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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】着用物品の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
A61F13/15 351Z
A61F13/15 311Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019542038
(86)(22)【出願日】2018-09-10
(86)【国際出願番号】 JP2018033368
(87)【国際公開番号】W WO2019054314
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-08-11
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2017177502
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】山村 喜信
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 昌之
(72)【発明者】
【氏名】島田 崇博
【合議体】
【審判長】八木 誠
【審判官】武市 匡紘
【審判官】神山 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-138795(JP,A)
【文献】特開2010-115283(JP,A)
【文献】特開2009-241607(JP,A)
【文献】国際公開第2014/200102(WO,A1)
【文献】特開2016-120275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
B29C63/00-63/48
B29C65/00-65/82
D06B1/00-23/30
D06C3/00-29/00
D06G1/00-5/00
D06H1/00-7/24
D06J1/00-1/12
B32B1/00-43/00
A41H43/02-43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用物品の製造装置であって、
第1シートと第2シートとの間に胴回り方向である搬送方向に伸張された状態の複数本の糸状の弾性部材が挟み込まれた胴回り部材としての弾性シートを生成する生成装置と、
前記弾性シートのうち前記弾性部材の一部を熱で溶断する切断装置とを備え、前記切断装置は、
ロールの表面に複数の凸部が形成された1つのアンビルと、
超音波振動することにより、前記凸部に前記弾性シートを介して繰り返し当接して前記溶断を実行する複数台のホーンと、
前記各ホーンを超音波振動させる複数台の振動装置とを備え、
前記各ホーンの先端面が前記1つのアンビルに対峙するように配置され、かつ、
前記各ホーンの少なくとも一部が前記複数の凸部のうち互いに異なる凸部に当接するように、前記各ホーンが前記ロールの軸方向の互いに異なる位置に配置されており、
前記複数の凸部の群は前記ロールの表面の一部に設けられ、前記ロールの周方向および軸方向の所定の領域に設けられ、前記複数の凸部は前記周方向および前記軸方向に間欠的かつ千鳥状に設けられており、
前記切断装置は、前記弾性シートと吸収性本体とが重なる部位において、前記弾性シートのうちの前記弾性部材の一部を溶断して、当該弾性部材の張力を無効化し、
前記弾性シートのうち、前記複数の凸部の群と前記複数台のホーンとの当接により前記弾性部材の一部が溶断された領域は、前記製造装置が備える架設装置の切出コンベヤから間欠的かつ断続的に導入された前記吸収性本体が架設されるもので
前記弾性部材のみが溶断され前記吸収性本体が架設される前記弾性シートの領域に対し、前記複数台のホーンが前記ロールの軸方向の互いに異なる位置に配置されていることを特徴とする、製造装置。
【請求項2】
請求項1において、前記各ホーンの先端面が前記ロールの少なくとも1つの母線に沿うように前記ロールの軸方向に延びる、製造装置。
【請求項3】
請求項2において、前記複数のホーンのうち互いに隣り合う各ホーンが前記ロールの軸方向に互いに離間して配置されている、製造装置。
【請求項4】
請求項3において、前記各ホーンが前記ロールの前記母線のうちの1つの母線に沿って一直線上に配置されている、製造装置。
【請求項5】
請求項2において、前記複数のホーンは、前記母線のうちの1つの母線に沿って延びる1つのホーンと前記1つの母線から前記ロールの周方向に離間した別の母線に沿って延びる別のホーンとを包含し、
前記1つのホーンおよび前記別のホーンは、各々の端部においてのみ前記ロールの軸方向に互いにラップするように配置されると共に、前記ロールの周方向に互いに離間して配置されている、製造装置。
【請求項6】
請求項2において、前記複数のホーンは、前記母線のうちの1つの母線に沿って延びる1つのホーンと前記1つの母線から前記ロールの周方向に離間した別の母線に沿って延びる別のホーンとを包含し、
前記1つのホーンおよび前記別のホーンは前記ロールの周方向に互いに離間して配置されていると共に前記ロールの軸方向に互いに離間せずに配置され、かつ、前記ロールの軸方向に互いに隣接するように配置されている、製造装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項において、前記ロールの表面に前記弾性シートを吸着するバキューム装置を備える、製造装置。
【請求項8】
請求項1の製造装置を用いた着用物品の製造方法であって、ここにおいて、前記弾性部材は前記第1および第2シートよりも軟化点および融点が低く、
第1および第2シートよりも弾性部材の方が伸度が大きい状態で弾性シートを搬送する工程と、
製造装置が第1シートと第2シートとの間に伸長方向に互いに並行に延びる複数本の弾性糸を挟み込んで弾性シートを生成する生成工程と、
前記ロールの軸方向の互いに異なる位置に配置された前記各ホーンが超音波振動することで前記弾性シートのうちの前記第1および第2シートを溶断することなく、前記弾性シートの前記弾性糸の一部のみを溶断して切断する工程と、前記切断する工程は、前記弾性シートと吸収性本体とが重なる部位において前記弾性シートのうち前記弾性糸の一部を溶断して、前記弾性糸の張力を無効化し、
前記切断する工程において、前記弾性糸の張力が無効化された領域を断続的に形成し、
前記弾性糸の張力が無効化された領域に前記吸収性本体を配置する配置工程とを備える、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使い捨てオムツやパンツのような着用物品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、二枚の不織布の間に複数の糸状の弾性部材を挟み込んで伸縮可能な弾性シートを形成することがなされている(特許文献1)。この先行技術では、弾性シートを複数の凸部が形成されたエンボスロールと対向ロールとの間を通過させ、凸部と対向ロールとの間で弾性部材を不織布ごと挟み込んで切断する。これにより弾性シートに伸縮領域と非伸縮領域とを交互に形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】JP2002-113042 A(図1
【発明の概要】
【0004】
前記先行技術では、弾性部材を確実に切断するため、一方のロールを他方のロールに押圧する加圧機構が必要となる。
また、加圧によるロールの変形を防止するためにロールの径を大きくしたり、サイドリングを設けたりする必要があり、そのため、装置全体が大型化するといった問題がある。
さらに、弾性部材の切断を確実にするため、少なくともいずれか一方のロールを加熱することもなされている。
【0005】
したがって、本発明の目的は、これらの問題を解決するためになされたものである。
【0006】
本製造装置は、
第1シートと第2シートとの間に複数本の弾性部材が挟み込まれた弾性シートを生成する生成装置と、
前記弾性シートのうち前記弾性部材の一部を熱で溶断する切断装置とを備え、前記切断装置は、
ロールの表面に複数の凸部が形成された1つのアンビルと、
超音波振動することにより、前記凸部に前記弾性シートを介して繰り返し当接して前記溶断を実行する複数台のホーンと、
前記各ホーンを超音波振動させる複数台の振動装置とを備え、
前記各ホーンの先端面が前記1つのアンビルに対峙するように配置され、かつ、
前記各ホーンの少なくとも一部が前記複数の凸部のうち互いに異なる凸部に当接するように、前記各ホーンが前記ロールの軸方向の互いに異なる位置に配置されている。
なお、「各ホーンの少なくとも一部が複数の凸部のうち互いに異なる凸部に当接する」とは、各ホーンがそれぞれ互いに異なる凸部に当接する場合と、複数のホーンの一部が同一の凸部に当接し、かつ、複数のホーンの残部が互いに異なる凸部に当接する場合とがあることを意味する。
【0007】
かかる製造装置を用いた製造方法は、
前記製造装置が第1シートと第2シートとの間に複数本の弾性部材を挟み込んで弾性シートを生成する生成工程と、
前記各ホーンが超音波振動することで前記弾性シートのうちの前記第1および第2シートを溶断することなく、前記弾性部材を切断する工程とを備える。
【0008】
本発明によれば、超音波振動により弾性部材を切断する。そのため、弾性部材を確実に切断することができる。また、超音波振動による切断であるため、弾性シートの切断部分が美しく仕上がり、目立たない。さらに、切断部分にゴワツキが生じにくく装着感や手触りが良い。
【0009】
また、ロールの凸部の先端を鋭利にする必要が無く、凸部の摩耗が少ない。そのため、凸部を研磨する必要がない。更に、ロールを加熱する必要が無く、回転部材への給電が不要となる。
【0010】
また、ロールを大きな力で加圧する必要が無く、加圧機構が不要であり、更に、ロールの径を小さくすることができ、装置全体を小型化することができる。また、ロールにサイドリングを設ける必要も無い。
【0011】
ところで、ロールの軸方向に長い1台のホーンがロールの凸部に当接する場合、ロールに対するホーンの微妙な傾きで、ロールに対するホーンの接触が不均一になり易い。これに対し、ホーンがロールの軸方向に複数配置されていることで、ロールに対する各ホーンの軸方向における押圧力が均一になり、切断の確実性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の一実施例にかかる着用物品を展開して示す平面図である。
図2図2は同着用物品の製造方法の工程を示す平面図ある。
図3図3Aは切断装置の平面図、図3Bは製造装置を示すレイアウト図である。
図4図4はアンビルを示す概略斜視図である。
図5図5は製造装置を示すレイアウト図である。
図6図6はアンビルを示す概略斜視図である。
図7図7A図7Bは、それぞれ、ホーンの配置パターンの一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましくは、前記各ホーンの先端面が前記ロールの少なくとも1つの母線に沿うように前記ロールの軸方向に延びる。
【0014】
この場合、ロールに対する各ホーンの軸方向の押圧力が均一になり、各ホーンは対応するロールの各凸部に均一な力で接触するだろう。
【0015】
好ましくは、前記複数のホーンのうち互いに隣り合う各ホーンが前記ロールの軸方向に互いに離間して配置されている。
【0016】
この場合、隣接するホーンが互いに干渉するのを防止し得る。
【0017】
好ましくは、前記各ホーンが前記ロールの前記母線のうちの1つの母線に沿って一直線上に配置されている。
【0018】
この場合、ホーンや振動装置を支持する構造が簡易になるであろう。
【0019】
好ましくは、前記複数のホーンは前記母線のうちの1つの母線に沿って延びる1つのホーンと前記1つの母線から前記ロールの周方向に離間した別の母線に沿って延びる別のホーンとを包含し、
前記1つのホーンおよび前記別のホーンは、各々の端部においてのみ前記ロールの軸方向に互いにラップするように配置されると共に、前記ロールの周方向に互いに離間して配置されている。
なお、「各々の端部においてのみ互いにラップする」とは、複数のホーン同士が軸方向において互いに全部においてラップする場合を除外することを意味する。すなわち、複数のホーンは軸方向の端部において互いにラップするが、軸方向の残部(大半)において互いにラップしないことを意味する。
【0020】
この場合、複数のホーンの切断エリアがラップした状態で複数のホーンを配置することができる。したがって、切断すべき弾性部材の切断の確実性が向上する。
【0021】
好ましくは、前記複数のホーンは前記母線のうちの1つの母線に沿って延びる1つのホーンと前記1つの母線から前記ロールの周方向に離間した別の母線に沿って延びる別のホーンとを包含し、
前記1つのホーンおよび前記別のホーンは前記ロールの周方向に互いに離間して配置されていると共に前記ロールの軸方向に互いに離間せずに配置され、かつ、前記ロールの軸方向に互いに隣接するように配置されている。
すなわち、前記1つのホーンおよび前記別のホーンは前記ロールの周方向に互いに離間しているが、前記ロールの軸方向には互いに離間せず、かつ、互いにラップもせず互いに隣接するように配置されている。
この場合、前記複数のホーンが前記軸方向に互いに隣接されて配置されているため、切断すべき弾性部材の切断の確実性が向上する。
【0022】
好ましくは、前記ロールの表面に前記弾性シートを吸着するバキューム装置を備える。
ところで、複数のホーンが弾性シートに接することにより弾性シートにシワが生じ易くなるのであるが、弾性シートを吸着しながら弾性シートを切断することで、前記シワの発生を抑制し得る。
【0023】
1つの前記各実施態様または下記の実施例に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様または他の実施例において同一または類似な形で、および/または他の実施態様または実施例の特徴と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【実施例
【0024】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかし、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0025】
以下、本発明にかかる着用物品1の構造の一例が図面にしたがって説明される。
【0026】
図1に示すように、着用物品1は、左右対称の形状および構造を有し、吸収性本体2および前後の胴回り部3を備えている。前記吸収性本体2は、着用者の前胴を覆い胴回り方向Xに延びる胴部、着用者の後胴を覆い胴回り方向Xに延びる胴部、ならびに、前記両胴部の間の股間を覆う股部22を有している。
【0027】
前記股部22は前記胴回り方向Xに直交する縦方向Yに延びる。前記吸収性本体2は股部22の一部又は全部を構成する。
【0028】
図2のように、着用物品1の完成品の状態では、前記股部22は前記胴回り方向Xに平行なラインにおいて2つに折られている。これにより、図1の前記前後の胴回り部の胴回り方向Xの端部E3同士が互いに重なる。着用物品がパンツ型である場合、前胴回り部3と後胴回り部3の胴回り方向Xの端部同士が互いに溶着される。
【0029】
図1の前記吸収性本体2には図示しない吸収コアが設けられている。この吸収コアは体液を吸収する。前記吸収コアは、トップシートとバックシートとの間で挟まれている。各シートおよび吸収コアは互いに積層されている。
【0030】
前記トップシートは透液性の薄い不織布からなり、吸収コアの肌面を覆う。このトップシートの上には、図示しないカフが設けられていてもよい。
【0031】
前記バックシートは吸収コアの非肌面を覆い、液不透過性の樹脂シートからなる。前記吸収性本体2の前記縦方向Yの各端部には、前記各胴回り部3が貼り付けられている。
【0032】
前記各胴回り部3は、前記吸収性本体2から胴回り方向Xに突出している。つまり、前記胴回り部3は、股部22よりも胴回り方向Xに突出し吸収性本体2の両縁部(胴回り方向の端部)E2から胴回り方向Xに延び出している。
【0033】
各胴回り部3には、着用物品1を着用者にフィットさせるための弾性部材32が設けられている。この弾性部材32としては、たとえば、複数本の糸ゴムや平ゴムまたは熱可塑性樹脂を含む材料などを採用することができる。また、弾性部材32は吸収性本体2と重なる部分において、無効化され(収縮力がない状態とされ)ている。各弾性部材32は互いに平行に胴回り方向に延びていてもよい。
【0034】
前記吸収性本体2には、着用者の脚部に沿って括れた脚回り部(図示せず)が形成されてもよい。前記脚回り部や、前記胴回り部3の脚回り部に連なる部位には、着用者の脚回りに沿うように、たとえば、糸ゴムなどからなる別の弾性部材が設けられていてもよい。
【0035】
前記吸収性本体2は前記胴回り部3の肌面に付着されている。
本明細書において、「肌面」とは着用物品1の着用時において着用者の肌に対面する面をいい、「非肌面」とは前記肌面とは反対の面をいう。
【0036】
つぎに、本着用物品1の更なる詳細について説明される。
【0037】
図1において、前記前後の胴回り部3の各々は、胴回り方向Xに延びる複数の弾性部材32が第1および第2シート11,12の間に挟まれて形成されている。第1および第2シート11,12は例えば不織布シート片で、互いに接着剤や溶着構造で接合されて弾性シート10を構成する。この弾性シート10は弾性部材32の収縮力により襞(ギャザー)を形成する。
【0038】
つぎに、本着用物品の製造装置について説明する。
図3A図4は実施例1を示す。
【0039】
図3Bに示すように、本製造装置は生成装置50、切断装置60および架設装置70などを備える。
【0040】
前記生成装置50は一対のニップロール51,52を有し、当該一対のニップロール51,52により第1シート11と第2シート12との間に複数本の弾性部材32が挟み込まれた弾性シート10を生成する。生成後の前記弾性シート10を構成する第1シート11、第2シート12および弾性部材32は流れ方向に連続する連続体である。
【0041】
すなわち、本例の場合、一対のニップロール51,52には一対のシート11,12および弾性部材32が導入され、これらが積層された弾性シート10が生成される。なお、一方のシート11(12)には塗布機53から接着剤が塗布されてもよい。また、シートに接着剤を塗布せず、弾性部材32にのみ接着剤を塗布した後に弾性部材32を一対のシート11,12に挟んで弾性シートを生成してもよい。
【0042】
前記切断装置60は図3Aの複数台のホーン61,62,63と、各ホーン61~63ごとに設けられた振動装置64と、1台のアンビル65を備え、図3Bの前記弾性シート10のうち前記弾性部材32の一部を熱で溶断する。
【0043】
前記アンビル65にはロール66の表面に複数の凸部67が形成されている。前記各ホーン61~63は超音波振動することにより、前記凸部67に前記弾性シート10を介して繰り返し当接して前記溶断を実行する。前記各振動装置64は前記各ホーン61~63を超音波振動させる。
【0044】
図4および図3Aに示すように、前記アンビル65の複数の凸部67の群はロール66の表面の一部に設けられ、ロール66の周方向Rおよび軸方向Sの所定の領域に設けられている。前記複数の凸部67は周方向Rおよび軸方向Sに間欠的に設けられていてもよいし、千鳥状に配列されていてもよい。なお、凸部67の群の数は1つのロール66に1以上設けられていればよい。
【0045】
図4に示すように、前記各ホーン61~63の先端面68は前記1つのアンビル65に対峙するように配置されている。また、前記各ホーン61~63が前記複数の凸部67のうち互いに異なる凸部67に当接するように、前記各ホーン61~63は前記ロール66の軸方向Sの互いに異なる位置に配置されている。
【0046】
図4において、前記各ホーン61~63の先端面68は前記ロール66の母線Mに沿うように前記ロール66の軸方向Sに延びる。本例の場合、前記各ホーン61~63が前記ロール66の単一の前記母線Mに沿って一直線上に配置されている。
【0047】
前記複数のホーン61~63(図3A)のうち互いに隣り合う各ホーン61~63(図3A)の先端面68は、図4のように、前記ロール66の軸方向Sに互いに所定の間隔Δだけ離間して配置されている。これにより、ホーン同士の干渉が防止される。
【0048】
つぎに、本着用物品1の製造方法が説明される。
【0049】
図2に示すように、搬送方向Lに延びる複数本の連続した弾性部材32が搬送方向Lに伸張された状態で搬送方向Lに搬送される。
【0050】
図3Bのニップロール51,52は図2の前記搬送方向Lに延びる一対の側縁部4Eを有する2枚の連続した第1および第2シート(連続不織布)11,12の間に前記連続弾性部材32を挟むと共に、前記第1および第2シート11,12が互いに重なるように接着剤で接合して弾性シート10を生成する。
なお、この接合はヒートシール(熱溶着)であってもよいし、超音波エネルギーによる溶着であってもよい。
【0051】
図2の前記弾性シート10は前記吸収性本体2と重なる部位において、前記図3Aの切断装置60で弾性部材32が切断されて無効化される。以下、前記弾性部材32の切断について詳細に説明する。
【0052】
図3Bに示すように、前記弾性シート10はホーン61~63とアンビル65との間に導入される。アンビルの凸部67がホーン61~63に対面する位置まで回転した時、各ホーン61~63の超音波振動により各ホーン61~63が凸部67に当接し、各ホーン61~63と凸部67とで挟まれた弾性シート10の部位が昇温する。
【0053】
一方、弾性部材32は第1および第2シート11,12よりも軟化点や融点が低く、また、搬送中の伸度も大きい。そのため、弾性シート10のうちの弾性部材32のみが前記昇温により図2の所定の領域αにおいて溶断される。すなわち、前記各ホーン61~63が超音波振動することで前記弾性シート10のうちの前記第1および第2シート11,12を溶断することなく、前記弾性部材32のみを切断する工程が実行される。
【0054】
その後、図2に示すように、前記一対の側縁部4Eを有する弾性シート10は搬送方向Lに搬送されながら搬送方向Lに沿ってスリッタ(図示せず)でスリットされる。これにより、前記弾性シート10は前後の胴回り部となる一対の胴回り弾性シート10となる。前記スリット後、前記搬送方向Lに直交する縦方向Yに互いに離間するように、前記2つの胴回り弾性シート10が前記縦方向Yに相対移動される。
【0055】
その後、前記一対の胴回り弾性シート10が互いに概ね平行に前記搬送方向Lに搬送されながら、前記吸収性本体2が前記一対の胴回り弾性シート10の前記領域αに跨り、かつ、前記各胴回り弾性シート10に一部において重なるように前記吸収性本体2が配置(架設)されて、連続積層体W1が生成される。
【0056】
すなわち、図3Bの架設装置70の切出コンベヤ73からは図2の吸収性本体2が間欠的かつ断続的に第1コンバインロール71に導入される。一方、架設装置70の第2コンバインロール72を介して、両ロール71,72間に前記分割された一対の弾性シート10が導入される。こうして、前記吸収性本体2は前記両ロール71,72により弾性シート10に架設され、図2の連続積層体W1が生成される。
【0057】
その後、前記連続積層体W1は前記一対の胴回り弾性シート10同士が互いに重なるように、前記吸収性本体2において2つに折り畳まれる。
【0058】
図2に示すように、前記前後の胴回り部3となる部分の前記搬送方向Lの端部E3(図1)において、かつ、サイドシール部において、前記一対の胴回り弾性シート10同士が互いに溶着接合される。なお、この溶着接合は超音波ホーンの超音波エネルギーによる溶着であってもよいし、ヒートシールであってもよい。
【0059】
その後、図2の前記連続積層体W1は一点鎖線で示す仮想の切断線に沿って個々の着用物品1ごとの大きさ(単位)に切り取られる。すなわち、個々の着用物品1を次々に生成するために、連続積層体W1が前記搬送方向Lに互いに隣り合う吸収性本体2同士の間において縦方向Yに次々に切断される。こうして、着用物品1の胴回り方向X(図1)の端部E3となる位置において、一対の胴回り弾性シート10が次々に切断される。これにより、個々のパンツ型着用物品1が得られる。
【0060】
図5および図6は実施例2を示す。
本実施例2において得られる着用物品は、前記実施例1と同様である。
【0061】
本例においては、図6のように、前記複数のホーン61~63は前記ロール66の軸方向Sに互いにΔsだけラップするように配置される。一方、図5のように、ホーン61,63とホーン62とは、前記ロール66の周方向Rに互いに離間して配置されている。
【0062】
前記ロール66の表面に前記弾性シート10を吸着するバキューム装置80を備えていてもよい。例えば、バキューム装置80は、ホーン61~63が設けられている角度の範囲においてのみ弾性シート10をロール66の表面に吸着するものであってもよい。
【0063】
なお。各実施例において、アンビル65は本質的に加熱する必要がなく、したがって、アンビル65の加熱のための給電設備は設けられていない。
【0064】
図7A図7Dは、それぞれ、複数のホーンの配置パターンの一例を示す概略平面図である。図面を簡略化して分かり易くするため、各ホーンの先端面68を用いて示す。
【0065】
図7Aに示す例は前記実施例1と同じ配置である。本例において、ロールの軸方向Sに互いに隣り合う各ホーンは所定の間隔Δだけ離間して配置されている。また、各ホーンはロールの単一の母線Mに沿って一直線上に配置されており、ロールの周方向Rに互いにズレていない。
【0066】
図7Bに示す例は前記実施例2と同じ配置である。本例において、前記複数のホーンは、1つの母線Mに沿って延びる1つのホーン(たとえば左右両側のホーン)と前記1つの母線Mから前記周方向Rに離間した別の母線Mに沿って延びる別のホーン(たとえば真中のホーン)とを包含する。すなわち、前記1つのホーンと前記別のホーンとは前記周方向Rに互いに離間している。
一方、前記軸方向Sにおいて、前記1つのホーンの端部と前記別のホーンの端部とのみがΔsだけ互いにラップするように配置されている。すなわち、前記1つのホーンの中央部分を含む大半と前記別のホーンの中央部分を含む大半とは前記軸方向Sにおいて互いにラップしていない。
【0067】
図7Cに示す例において、図7Bの例と同様、前記複数のホーンは前記1つのホーンおよび前記別のホーンを包含する。すなわち、前記1つのホーンと前記別のホーンとは前記周方向Rに互いに離間している。
一方、前記1つのホーンの端68Eと前記別のホーンの端68Eとは前記軸方向Sに互いに離間せずに配置され、かつ、前記軸方向Sに互いに隣接するように配置されている。言い換えると、前記軸方向Sに隙間なく一直線上に並んだ3つのホーンのうち真中の1つのホーンのみを前記周方向Rに動かしたような配置である。
【0068】
図7Dに示す例において、図7Bの例と同様、前記複数のホーンは前記1つのホーンおよび前記別のホーンを包含する。すなわち、前記1つのホーンと前記別のホーンとは前記周方向Rに互いに離間している。
一方、前記1つのホーンと前記別のホーンとは前記軸方向SにおいてΔだけ互いに離間して配置されている。
なお、図7Dにおいて前記1つのホーンと前記別のホーンとは前記周方向Rにおいて互いにラップしていないが、互いにラップするように配置されてもよい。
【0069】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、本着用物品は、カフなどを有していなくてもよい。また、胴回り部材における吸収性本体とラップする部位以外の部位についても、弾性部材の張力が無効化されてもよい。
また、バキューム装置は実施例1のアンビルに設けられていてもよい。
また、弾性シート10のスリットおよび一対の弾性シート10の縦方向Yへの離間は切断装置60による弾性部材32の切断前に行われてもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は使い捨てオムツやパンツなどの着用物品に適用できる。
【符号の説明】
【0071】
1:着用物品 10:弾性シート 11:第1シート 12:第2シート
2:吸収性本体 22:股部
3:胴回り部 32:弾性部材
4E:側縁部
50:生成装置 51,52:ニップロール 53:塗布機
60:切断装置 61,62,63:ホーン 64:振動装置 65:アンビル
66:ロール 67:凸部 68:先端面
70:架設装置 71:第1コンバインロール 72:第2コンバインロール
73:切出コンベヤ 80:バキューム装置
E2,E3:端部
M:母線
L:搬送方向 R:周方向 S:軸方向 X:胴回り方向 Y:縦方向
W:連続積層体
α:領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7