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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20241211BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20241211BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20241211BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20241211BHJP
   H01M 8/04302 20160101ALI20241211BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20241211BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20241211BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20241211BHJP
【FI】
H02J3/38 170
H02J3/00 170
H02J3/32
H02J3/38 120
H02J3/38 130
H01M8/00 A
H01M8/04302
H01M8/04537
H01M8/04858
G06Q50/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020057554
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021158809
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-037352(JP,A)
【文献】特開2006-262697(JP,A)
【文献】特開2014-183017(JP,A)
【文献】国際公開第2017/104161(WO,A1)
【文献】特開2015-126675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/32
H02J 3/38
H01M 8/00
H01M 8/04
H01M 8/04225
H01M 8/04302
H01M 8/04858
H01M 8/04537
G06Q 50/06
H01M 8/10
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、
負荷追従運転により燃料を用いて発電可能であるとともに、発電時に発生する熱を蓄える燃料電池と、
電力を充放電可能な蓄電池と、
前記燃料電池及び前記蓄電池の動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、
前記発電部で発電された電力のうち電力需要に対して余剰する第一の余剰電力を予測し、
前記第一の余剰電力が所定値よりも多い時間帯があると予測される場合、前記燃料電池に対して、前記第一の余剰電力が発生する時間帯以外の時間帯に発電するよう指示し、
前記第一の余剰電力が発生する時間帯以外の時間帯が深夜時間帯である場合、前記蓄電池に所定量の電力を充電させることにより、前記蓄電池に深夜電力及び前記燃料電池の発電電力を充電するよう指示し、
前記充電の指示に基づく前記燃料電池の発電電力を考慮して予測された第二の余剰電力が前記蓄電池の蓄電可能量よりも多いと予測される場合、前記発電部によって発電が開始される時間までの電力需要分だけ、前記蓄電池に深夜電力及び前記燃料電池の発電電力を充電し、
前記第二の余剰電力が前記蓄電池の蓄電可能量よりも少ないと予測される場合、前記蓄電池に深夜電力及び前記燃料電池の発電電力を満充電する、
電力供給システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第一の余剰電力が所定値よりも多い時間帯があると予測される場合、系統電源からの購入電力量が所定の値よりも少ない時間帯以外の時間帯に発電するよう指示する、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第一の余剰電力が所定値よりも多い時間帯がないと予測される場合、前記燃料電池に対して、深夜電力時間帯以外の時間帯に発電するよう指示する、
請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電部及び燃料電池を具備する電力供給システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電部及び燃料電池を具備する電力供給システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、太陽光を利用して発電する太陽電池と、水素等の燃料を用いて発電可能であるとともに発電時に発生する排熱を用いて湯を沸かすことができる燃料電池と、電力を充放電可能な蓄電池を具備する電力供給システムが記載されている。当該電力供給システムにおいては、太陽電池で発電された電力や燃料電池で発電された電力を、家庭内負荷に供給することができる。また、太陽電池で発電された電力を蓄電池に充電したり、当該蓄電池に充電された電力を家庭内負荷に供給したりすることができる。また、適宜の場合に太陽光発電部で発電された電力の余剰分(余剰電力)を売電する(商用電源へと逆潮流させる)ことができる。
【0004】
しかしながら、昨今、太陽光発電部で発電された電力の売電単価は低下する傾向にあり、深夜電力単価よりも低い場合もある。このため、太陽光発電部で発電された電力を家庭内で消費することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-48992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、発電部で発電された電力の自家消費の向上を図ることができる電力供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、負荷追従運転により燃料を用いて発電可能であるとともに、発電時に発生する熱を蓄える燃料電池と、電力を充放電可能な蓄電池と、前記燃料電池及び前記蓄電池の動作を制御する制御部と、を具備し、前記制御部は、前記発電部で発電された電力のうち電力需要に対して余剰する第一の余剰電力を予測し、前記第一の余剰電力が所定値よりも多い時間帯があると予測される場合、前記燃料電池に対して、前記第一の余剰電力が発生する時間帯以外の時間帯に発電するよう指示し、前記第一の余剰電力が発生する時間帯以外の時間帯が深夜時間帯である場合、前記蓄電池に所定量の電力を充電させることにより、前記蓄電池に深夜電力及び前記燃料電池の発電電力を充電するよう指示し、前記充電の指示に基づく前記燃料電池の発電電力を考慮して予測された第二の余剰電力が前記蓄電池の蓄電可能量よりも多いと予測される場合、前記発電部によって発電が開始される時間までの電力需要分だけ、前記蓄電池に深夜電力及び前記燃料電池の発電電力を充電し、前記第二の余剰電力が前記蓄電池の蓄電可能量よりも少ないと予測される場合、前記蓄電池に深夜電力及び前記燃料電池の発電電力を満充電するものである。
【0009】
請求項2においては、前記制御部は、前記第一の余剰電力が所定値よりも多い時間帯があると予測される場合、系統電源からの購入電力量が所定の値よりも少ない時間帯以外の時間帯に発電するよう指示するものである。
【0010】
請求項3においては、前記制御部は、前記第一の余剰電力が所定値よりも多い時間帯がないと予測される場合、前記燃料電池に対して、深夜電力時間帯以外の時間帯に発電するよう指示するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、発電部で発電された電力の自家消費の向上を図ることができる。また発電部によって発電が開始される時間までの電力を深夜電力で賄いつつ、余剰電力の蓄電池への充電量の拡大を図ることができる。また光熱費の削減を図ることができる。
【0015】
請求項2においては、燃料電池の発電効率の維持を図ることができる。
【0016】
請求項3においては、深夜電力が燃料電池の発電コストよりも低い場合、光熱費の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
図2】計画制御を示したフローチャート。
図3】実行制御を示したフローチャート。
図4】燃料電池の発電時間を調整する前の消費電力及びPV発電電力等を示した図。
図5】燃料電池の発電時間を調整した後の消費電力及びPV発電電力等を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。なお、本明細書においては、「上流側」及び「下流側」とは、系統電源Kからの電力供給方向を基準とするものとする。
【0021】
図1に示す電力供給システム1は、系統電源Kからの電力や、発電された電力を負荷Hへと供給するものである。電力供給システム1は、住宅に設けられ、当該住宅の負荷H(例えば、住宅の機器等)へと電力を供給する。電力供給システム1は、主として蓄電システム10、分電盤20、燃料電池30、第一センサ40、第二センサ50及びEMS60を具備する。
【0022】
蓄電システム10は、電力を蓄電したり、負荷Hへと供給するものである。蓄電システム10は、系統電源Kと負荷Hとの間に設けられる。蓄電システム10は、太陽光発電部11、蓄電池12及びハイブリッドパワコン13を具備する。
【0023】
太陽光発電部11は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部11は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部11は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
【0024】
蓄電池12は、電力を充電可能に構成されるものである。蓄電池12は、例えば、リチウムイオン電池により構成される。蓄電池12は、後述するハイブリッドパワコン13を介して太陽光発電部11と接続される。
【0025】
蓄電池12には、放電閾値が設定されている。ここで、「放電閾値」とは、停電等の非常時における電力を確保するために設定されるものであり、常に確保される最低限の蓄電量を示すものである。本明細書において、「放電閾値」は、蓄電池12の蓄電容量(最大容量)に対する割合(例えば30%)で表される。本実施形態において、蓄電池12の放電閾値は30%に設定されているものとする。本実施形態において、放電閾値は、蓄電池12の蓄電容量(最大容量)の0~50%の間で10%刻みで設定可能とする。また、蓄電池12の蓄電容量(最大容量)は、5.4[kWh]であるものとする。
【0026】
ハイブリッドパワコン13は、電力を適宜変換するもの(ハイブリッドパワーコンディショナ)である。ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11で発電された電力及び蓄電池12から放電された電力を配電線L(負荷H)に出力可能であると共に、配電線Lを流れる電力(系統電源Kからの電力及び後述する燃料電池30で発電された電力)を蓄電池12に出力可能に構成される。また、ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11及び蓄電池12の性能や運転状態に関する情報を取得可能に構成される。ハイブリッドパワコン13は、系統電源Kと負荷H(分電盤20)とを繋ぐ配電線Lの中途部(接続点P)に対して、電路A1を介して接続される。蓄電システム10のハイブリッドパワコン13は、後述する第一センサ40の検出結果等に基づいて、放電(出力)する電力を調整する負荷追従運転を行うことができる。
【0027】
分電盤20は、負荷Hへと電力を分配するものである。分電盤20は、蓄電システム10(接続点P)よりも下流側に設けられ、負荷Hと接続される。なお、図1においては1つの負荷Hしか示していないが、分電盤20は複数の負荷に接続され、各負荷に電力を分配する。分電盤20は、系統電源Kからの電力、蓄電池12から放電された電力及び後述する燃料電池30からの電力を負荷Hへと供給する。
【0028】
燃料電池30は、水素等のガス燃料を用いて発電する装置である。燃料電池30は、発電ユニット31及び貯湯タンク32を具備する。
【0029】
発電ユニット31は、燃料電池30の発電部である。発電ユニット31は、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)又は固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)や制御部等により構成される。発電ユニット31は、後述する第二センサ50によって検出された電力量(住宅の負荷Hの消費電力の合計)に応じて負荷追従運転を行う。また、燃料電池30は、住宅の負荷Hの消費電力や給湯需要に関する情報を学習する学習機能を有する。こうして、燃料電池30は、学習機能により学習した情報に基づいて発電計画を作成することができる。また、燃料電池30は、後述するEMS60からの指示に応じて、前記作成した発電計画に従って発電を行うことができる。
【0030】
貯湯タンク32は、発電ユニット31の発電時に発生する熱(排熱)を、温水として蓄熱するものである。貯湯タンク32は、発電ユニット31の発電時に発生する熱(排熱)によって加熱された上水(温水)を貯湯する。
【0031】
このように構成された燃料電池30は、貯湯タンク32の貯湯量が最大容量に達すると(貯湯タンク32が満タンになり、これ以上蓄熱ができない状態となると)、発電ユニット31による発電を停止させる場合がある。また、燃料電池30は、給湯需要の発生時間帯までに貯湯タンク32の貯湯量が最大容量になるように、発電を開始させる。
【0032】
第一センサ40は、配電線Lの中途部に設けられる。より詳細には、第一センサ40は、蓄電システム10(接続点P)よりも上流側(接続点Pの直ぐ上流側)に設けられる。第一センサ40は、当該第一センサ40が設けられた箇所を流れる電力(上流側へと流れる電力及び下流側へと流れる電力)の電圧(供給電圧)及び電流(供給電流)を検出する。
【0033】
第二センサ50は、配電線Lの中途部に設けられる。より詳細には、第二センサ50は、蓄電システム10(接続点P)と分電盤20との間に設けられる。第二センサ50は、当該第二センサ50が設けられた箇所を流れる電力(上流側へと流れる電力及び下流側へと流れる電力)の電圧(供給電圧)及び電流(供給電流)を検出する。
【0034】
EMS60は、電力供給システム1の動作を管理するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)である。EMS60は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部や、タッチパネル等の入出力部等を具備する。EMS60の記憶部には、電力供給システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。EMS60の演算処理部は、前記プログラムを実行して前記種々の情報を用いた所定の演算処理等を行うことで、電力供給システム1を動作させることができる。
【0035】
EMS60は、ハイブリッドパワコン13と電気的に接続される。EMS60は、所定の信号をハイブリッドパワコン13に送信し、蓄電池12の運転(例えば、蓄電池12の充放電等)を制御することができる。また、EMS60は、ハイブリッドパワコン13から所定の信号が入力可能に構成され、各種の情報(蓄電池12の蓄電残量等)を取得することができる。
【0036】
また、EMS60は、燃料電池30に電気的に接続され、当該燃料電池30の動作を制御することができる。
【0037】
上述の如く構成された電力供給システム1において、系統電源Kから購入された電力や、太陽光発電部11及び燃料電池30で発電された電力を、蓄電池12に充電することができる。また、当該電力供給システム1において、系統電源Kから購入された電力、太陽光発電部11及び燃料電池30で発電された電力、及び蓄電池12に充電された電力を、住宅の負荷Hへと供給することができる。また、当該電力供給システム1において、太陽光発電部11で発電された電力の余剰分(余剰電力)は、系統電源Kへと逆潮流させて売却することもできる。
【0038】
次に、電力供給システム1における電力の供給態様(モード)について説明する。
【0039】
電力供給システム1は、電力の供給態様として第一モード及び第二モードを有する。以下に示す第一モードは、第一センサ40及び第二センサ50の検出結果に基づいて蓄電池12の充放電を行うものである。また、以下に示す第二モードは、EMS60からの指示に基づいて蓄電池12の充放電を行うものである。
【0040】
第一モードが設定されたハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11で発電が行われている場合に、当該太陽光発電部11からの電力を負荷Hに供給する。また、ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11からの電力が負荷Hの消費電力に対して余剰すると、当該余剰電力を蓄電池12に充電する。ハイブリッドパワコン13は、蓄電池12を最大充電電力(蓄電池12が単位時間当たりに充電可能な最大の電力量)で充電しても太陽光発電部11からの電力が依然として余剰する場合に、当該余剰電力を系統電源Sへと逆潮流させる。
【0041】
上記負荷Hへの電力の供給において、ハイブリッドパワコン13は、第一センサ40の検出結果に基づいて蓄電池12の放電量を決定する負荷追従運転を行う。
【0042】
一方、第二モードが設定されたハイブリッドパワコン13は、EMS60からの指示に基づいて蓄電池12の充放電を行う。第二モードが設定されたハイブリッドパワコン13は、EMS60からの指示に基づいて、例えば系統電源Sからの電力(深夜電力)を蓄電池12に充電させることができる。
【0043】
ここで、従来、燃料電池30は、太陽光発電部11で発電された電力が余剰する時間帯にも発電(負荷追従運転)を行う場合がある。しかしながら、そのような場合、燃料電池30で発電された電力によって、太陽光発電部11で発電された電力の自家消費が減少するという問題がある。そこで、電力供給システム1においては、燃料電池30の発電時間を調整する制御(計画制御)を行う。
【0044】
以下、図2を用いて、EMS60による計画制御について説明する。図2に示す計画制御は、蓄電池12及び燃料電池30の運転計画を行うものである。本実施形態においては、翌日の運転計画を行うものとする。当該計画制御は、深夜電力時間帯(1日の中で比較的安い電力単価が設定された深夜の時間帯)の開始前(例えば当日の23時)に行われる。
【0045】
図2に示すステップS10において、EMS60は、翌日の電力需要、PV発電電力、余剰電力及び購入電力を予測する。この処理において、EMS60は、太陽光発電部11の過去の発電電力のデータ、及び翌日の天気予報等に基づいて、当該予測を行う。EMS60は、燃料電池30が全く発電しない想定で当該予測を行う。
【0046】
ここで、「PV発電電力」とは、太陽光発電部11による発電電力を示すものである。また、「余剰電力」とは、電力需要に対する太陽光発電部11及び燃料電池30による発電電力の余剰分を示すものである。なお、燃料電池30が全く発電しない想定であるので、ステップS10で予測される「余剰電力」は、電力需要に対するPV発電電力の余剰分となる。EMS60は、当該ステップS10の処理を行った後、ステップS11に移行する。
【0047】
図2に示すステップS11において、EMS60は、余剰電力>βである(余剰電力がβよりも多い時間帯がある)か否かを判定する。ここで、βは、0以上の任意の閾値であって、例えば2kWhとすることができる。βを0より大きい値とすることで、ステップS10における予測が多少ずれても、太陽光発電部11で発電される電力の自家消費の向上(拡大)を図ることができる。EMS60は、余剰電力>βであると判定した場合(ステップS11で「YES」)、ステップS12に移行する。一方、EMS60は、余剰電力>βでないと判定した場合(ステップS11で「NO」)、ステップS17に移行する。
【0048】
図2に示すステップS12において、EMS60は、余剰発生時間以外の時間帯、及び購入電力がγ未満の時間帯以外の時間帯に、燃料電池30への発電要請指示を行う。ここで、「余剰発生時間」とは、余剰電力が発生する時間帯(ステップS11で余剰電力>βであると予測される時間帯)を示すものである。また、γは、0以上の任意の閾値であって、燃料電池30の発電効率を考慮して設定される。γは例えば0.15kWとすることができる。γを0より大きい値とすることで、ステップS10における予測が多少ずれても、燃料電池の発電効率の維持を図ることができる。
【0049】
また、「発電要請指示」とは、EMS60から燃料電池30に対して発電時間を指示するものである。発電要請指示を受けた燃料電池30は、指示された発電時間において所定の条件を満たす場合に、発電を行うこととなる。すなわち、燃料電池30は、発電要請指示を受けても必ず発電を行うわけではなく、例えば貯湯タンク32の貯湯量が最大容量に達していれば(貯湯タンク32が満タンであれば)発電を行わない。
【0050】
このように、ステップS12においては、EMS60は、余剰発生時間以外の時間帯(ステップS11で余剰電力>βであると予測される時間帯以外の時間帯)に燃料電池30への発電要請指示を行うことで、間接的に余剰発生時間において燃料電池30の発電を停止させることとなる。また、EMS60は、購入電力がγ未満の時間帯以外の時間帯に燃料電池30への発電要請指示を行うことで、間接的に購入電力がγ未満の時間帯において燃料電池30の発電を停止させることとなる。EMS60は、当該ステップS12の処理を行った後、ステップS13に移行する。
【0051】
図2に示すステップS13において、EMS60は、余剰電力の予測を更新する。この処理において、EMS60は、燃料電池30の発電を考慮して、ステップS11で得られた電力需要、PV発電電力、余剰電力及び購入電力の予測のうち余剰電力の予測を更新する。具体的には、EMS60は、ステップS12で発電要請指示した発電時間(余剰発生時間以外の時間帯、及び購入電力がγ未満の時間帯以外の時間帯)に燃料電池30が発電する想定で当該更新を行う。EMS60は、当該ステップS13の処理を行った後、ステップS14に移行する。
【0052】
図2に示すステップS14において、EMS60は、合計余剰電力量>蓄電可能量である(合計余剰電力量が蓄電可能量より多い)か否かを判定する。ここで、「合計余剰電力量」とは、ステップS13で更新した翌日の余剰電力の合計(9時から17時までの余剰電力の合計)を示すものである。また、「蓄電可能量」とは、放電閾値を考慮して蓄電池12が蓄電できる最大値を示すものであり、「蓄電容量×(1-放電閾値)」で算出される。例えば、放電閾値が30%である場合、蓄電可能量は「蓄電容量×(1-0.3)」で算出される。EMS60は、合計余剰電力量>蓄電可能量であると判定した場合(ステップS14で「YES」)、ステップS15に移行する。一方、合計余剰電力量>蓄電可能量でないと判定した場合(ステップS14で「NO」)、ステップS16に移行する。
【0053】
なお、ステップS14で「YES」の場合とは、翌日の合計余剰電力量によって蓄電池12を満充電にしても(最大容量まで充電しても)なお太陽光発電部11で発電された電力が余剰することを示している。一方、ステップS14で「NO」の場合とは、翌日の合計余剰電力量では蓄電池12を満充電にすることができない、又は翌日の合計余剰電力量によって蓄電池12を満充電にすると太陽光発電部11で発電された電力が余剰しないことを示している。
【0054】
図2に示すステップS15において、EMS60は、目標蓄電残量を、早朝時間帯(充電終了時刻から余剰発生時刻(余剰発生時間帯の開始時刻)まで)の合計消費電力量とする。ここで、「目標蓄電残量」とは、充電終了時刻において目標とする(確保すべき)放電可能な蓄電量を示すものである。また、「充電終了時刻」とは、電力単価の安い深夜電力の充電を終了する時刻であり、すなわち深夜電力時間帯の終了時刻を示すものである。EMS60は、当該ステップS15の処理を行った後、図2に示す計画制御フローを終了する。
【0055】
一方、図2に示すステップS16において、EMS60は、目標蓄電残量を蓄電可能量(=蓄電容量×(1-放電閾値))とする。
【0056】
このように、翌日の合計余剰電力量によって蓄電池12を満充電にしてもなお太陽光発電部11で発電された電力が余剰すると予測される場合(ステップS14で「YES」)、早朝時間帯に必要な電力量のみを系統電源Sから購入(買電)する(ステップS15)。一方、翌日の合計余剰電力量では蓄電池12を満充電にすることができない、又は翌日の合計余剰電力量によって蓄電池12を満充電にすると太陽光発電部11で発電された電力が余剰しないと予測される場合(ステップS14で「NO」)、蓄電池12を満充電にできる電力量を系統電源Sから購入する(ステップS16)。EMS60は、当該ステップS16の処理を行った後、図2に示す計画制御フローを終了する。
【0057】
一方、図2に示すステップS17において、EMS60は、深夜電力時間帯以外の時間帯、及び購入電力がγ未満の時間帯以外の時間帯に、燃料電池30への発電要請指示を行う。
【0058】
このように、ステップS17においては、EMS60は、深夜電力時間帯以外の時間帯に燃料電池30への発電要請指示を行うことで、間接的に深夜電力時間帯において燃料電池30の発電を停止させることとなる。また、EMS60は、購入電力がγ未満の時間帯以外の時間帯に燃料電池30への発電要請指示を行うことで、間接的に購入電力がγ未満の時間帯において燃料電池30の発電を停止させることとなる。EMS60は、当該ステップS17の処理を行った後、ステップS18に移行する。
【0059】
図2に示すステップS18において、EMS60は、余剰電力の予測を更新する。この処理において、EMS60は、燃料電池30の発電を考慮して、ステップS11で得られた電力需要、PV発電電力、余剰電力及び購入電力の予測のうち余剰電力の予測を更新する。具体的には、EMS60は、ステップS17で要請した発電時間(深夜充電時間以外の時間帯、及び購入電力がγ未満の時間帯以外の時間帯)に燃料電池30が発電する想定で当該更新を行う。EMS60は、当該ステップS18の処理を行った後、図2に示す計画制御フローを終了する。
【0060】
このようにして、EMS60は、燃料電池30の発電時間、及び蓄電池12の目標蓄電残量を決定する。
【0061】
次に、図3を用いて、EMS60による実行制御について説明する。図3に示すフローは、図2に示すフローが実行された後に常時実行される。
【0062】
図3に示すステップS20において、EMS60は、現在時刻tが充電時間であるか否かを判定する。ここで、「充電時間」とは、蓄電池12に充電可能な時間(例えば23~7時)を示すものであり、住宅の住人によって予め設定される。EMS60は、現在時刻tが充電時間であると判定した場合(ステップS20で「YES」)、ステップS21に移行する。一方、EMS60は、現在時刻tが充電時間でないと判定した場合(ステップS20で「NO」)、ステップS24に移行する。
【0063】
図3に示すステップS21において、EMS60は、「現在の蓄電残量-(蓄電容量×放電閾値)≧目標蓄電残量」であるか否かを判定する。ここで、「目標蓄電残量」は、図2に示す計画制御フローにおいて決定されたものである。EMS60は、「現在の蓄電残量-(蓄電容量×放電閾値)≧目標蓄電残量」であると判定した場合(ステップS21で「YES」)、ステップS22に移行する。一方、EMS60は、「現在の蓄電残量-(蓄電容量×放電閾値)≧目標蓄電残量」でないと判定した場合(ステップS21で「NO」)、ステップS23に移行する。
【0064】
なお、ステップS21で「YES」の場合とは、蓄電池12に蓄電されている電力のうち放電可能な電力量(以下、「放電可能残量」という)が、目標蓄電残量以下であることを示している。一方、ステップS21で「NO」の場合とは、蓄電池12に蓄電されている電力のうち放電可能な電力量が、目標蓄電残量より多いことを示している。
【0065】
図3に示すステップS22において、EMS60は、蓄電池12のモードを第二モードに設定する。これにより、蓄電池12は、放電可能残量が目標蓄電残量となるように、系統電源Sからの電力(深夜電力)を充電する。EMS60は、当該ステップS22の処理を行った後、図3に示す実行制御フローを終了する。
【0066】
このようにして、ステップS22においては、「合計余剰電力量>蓄電可能量」でない場合(翌日の余剰電力によって蓄電池12を満充電にできないと見込まれる場合、ステップS14で「NO」)、目標蓄電残量は蓄電可能量とされているので(ステップS16)、系統電源Sからの電力(深夜電力)が蓄電池12に満充電となるまで充電される。一方、「合計余剰電力量>蓄電可能量」である場合(翌日の余剰電力によって蓄電池12を満充電にできると見込まれる場合、ステップS14で「YES」)、目標蓄電残量は早朝時間帯の合計消費電力量とされているので(ステップS15)、系統電源Sからの電力(深夜電力)が蓄電池12に満充電となるまで充電されるわけではなく、早朝時間帯の合計消費電力量のみ充電される。
【0067】
一方、図3に示すステップS23において、EMS60は、蓄電池12のモードを待機モードに設定する。これにより、蓄電池12は、充放電を行わない。EMS60は、当該ステップS22の処理を行った後、図3に示す実行制御フローを終了する。
【0068】
このようにして、蓄電池12の放電可能残量(蓄電池12に蓄電されている電力のうち放電可能な電力量)は、深夜電力時間において目標蓄電残量が常に確保される。
【0069】
一方、図3に示すステップS24において、EMS60は、蓄電池12のモードを第一モードに設定する。これにより、蓄電池12は、余剰電力があれば当該余剰電力を充電し、電力需要に対して電力が不足している場合は放電を行う。EMS60は、当該ステップS24の処理を行った後、ステップS25に移行する。
【0070】
図3に示すステップS25において、EMS60は、現在時刻tが早朝時間帯(充電終了時刻から余剰発生時刻(余剰発生時間帯の開始時刻)まで)であるか否かを判定する。EMS60は、現在時刻tが早朝時間帯であると判定した場合(ステップS25で「YES」)、ステップS26に移行する。一方、EMS60は、現在時刻tが早朝時間帯でないと判定した場合(ステップS25で「NO」)、ステップS28に移行する。
【0071】
図3に示すステップS26において、EMS60は、「合計余剰電力量>蓄電可能量+(蓄電容量×10%)」であるか否かを判定する。EMS60は、「合計余剰電力量>蓄電可能量+(蓄電容量×10%)」であると判定した場合(ステップS26で「YES」)、ステップS27に移行する。一方、EMS60は、「合計余剰電力量>蓄電可能量+(蓄電容量×10%)」でないと判定した場合(ステップS26で「NO」)、図3に示す実行制御フローを終了する。
【0072】
なお、ステップS26で「YES」の場合とは、放電閾値を1段階下げても蓄電池12を満充電にできるだけの余剰電力が存在することを示している。一方、ステップS26で「NO」の場合とは、放電閾値を1段階下げると余剰電力では蓄電池12を満充電にできないことを示している。
【0073】
図3に示すステップS27において、EMS60は、放電閾値を1段階下げる処理を行う。この処理において、EMS60は、例えば現在の放電閾値が30%である場合、放電閾値を20%に変更する(下げる)。EMS60は、当該ステップS27の処理を行った後、図3に示す実行制御フローを終了する。
【0074】
このように、余剰電力の充電が見込める場合に放電閾値を下げることにより、蓄電池12の充放電量を拡大することができるため、負荷Hの早朝時間帯における消費電力を、蓄電池12からの電力で賄い易くすることができ、ひいては系統電源Sからの買電量を減らすことができる。
【0075】
一方、図3に示すステップS28において、EMS60は、「放電閾値<設定値(30%)」であるか否かを判定する。ここでいう「設定値」は、住宅の住人によって予め(図3に示す実行制御の前に)設定される放電閾値であって、本実施形態では30%とする。EMS60は、「放電閾値<設定値(30%)」であると判定した場合(ステップS28で「YES」)、ステップS29に移行する。一方、EMS60は、「放電閾値<設定値(30%)」でないと判定した場合(ステップS28で「NO」)、図3に示す実行制御フローを終了する。
【0076】
図3に示すステップS29において、EMS60は、放電閾値を設定値(30%)に戻す処理を行う。これにより、非常時に備えて十分な電力を蓄電池12に確保することができる。EMS60は、当該ステップS29の処理を行った後、図3に示す実行制御フローを終了する。
【0077】
以下、図4及び図5を用いて、燃料電池30の発電時間の設定の具体例を示す。
【0078】
図4は、燃料電池30の発電時間を調整する前の消費電力及びPV発電電力等(の予測)を示した図である。図4に示す例においては、燃料電池30は、常時負荷追従運転を行っており、余剰電力が発生する時間帯(7~18時頃)においても発電(負荷追従運転)している。このため、余剰電力が発生する時間帯(7~18時頃)において、太陽光発電部11で発電された電力は電力需要に用いられることなく、蓄電池12へ充電され、それでも余剰する分は系統電源Kへ売電されている。
【0079】
図5は、燃料電池30の発電時間を調整した後の電力需要(消費電力)及びPV発電電力等(の予測)を示した図である。図5に示す例においては、余剰電力が発生する時間帯(2日目の8~18時頃)において燃料電池30が発電を停止している(発電要請指示を行っていない)ため、太陽光発電部11で発電された電力の一部は電力需要に用いられている(自家消費されている)。なお、図5に示す例においては、2日目の深夜電力時間帯(1~3時頃)に早朝時間帯の合計消費電力量だけ、深夜電力を蓄電池12に充電している。
【0080】
このように、本実施形態に係る電力供給システム1は、図2に示す計画制御フローを実行することによって、燃料電池30の発電時間を余剰電力が発生しない時間帯に設定する(図2に示すステップS12)。すなわち、余剰電力が発生する時間帯(余剰発生時間帯)には燃料電池30の発電を停止させる。そうすることで、燃料電池30による発電電力が減少した分、太陽光発電部11の発電電力の自家消費率を向上させることができる。これにより、深夜電力の買電単価より太陽光発電部11で発電された電力の売電単価が低い場合、光熱費の低減を図ることができる。
【0081】
また、本実施形態に係る電力供給システム1は、燃料電池30の発電時間を購入電力が比較的多い時間帯に設定する(図2に示すステップS12)。すなわち、購入電力が比較的少ない時間帯には燃料電池30の発電を停止させる。ここで、燃料電池30は、一般的に、部分負荷運転(出力を下げた運転)を行う場合、定格運転を行う場合と比べて発電効率(ひいては総合効率)が低下する。本実施形態に係る電力供給システム1においては、余剰電力が発生していない時間帯であっても、購入電力が比較的少ない時間帯には燃料電池30の発電を停止させるので、比較的小さい出力で運転を行うのを防止することができ、ひいては燃料電池30の発電効率(ひいては総合効率)を維持(向上)させることができる。
【0082】
また、本実施形態に係る電力供給システム1においては、翌日に比較的多くの余剰電力が見込める場合(ステップS14で「YES」)、深夜電力時間帯において、系統電源Sからの電力(深夜電力)が蓄電池12に満充電となるまで充電されるわけではなく、早朝時間帯の電力需要分のみ深夜電力が蓄電池12に充電される(ステップS15)。これにより、深夜電力の買電量を減らすとともに余剰電力の蓄電池12への充電量の拡大を図ることができる。そうすることで、太陽光発電部11の発電電力の自家消費率を向上させることができる。また、深夜電力の買電単価より太陽光発電部11で発電された電力の売電単価が低い場合、光熱費の低減を図ることができる。
【0083】
一方、翌日に比較的多くの余剰電力が見込めない場合(ステップS14で「NO」)、深夜電力時間帯において、満充電となるように系統電源Sからの電力(深夜電力)が蓄電池12に充電される(ステップS16)。これにより、昼間に蓄電池12に充電された電力を利用することができるとともに、昼間に系統電源Sからの電力を充電するのに比べて、光熱費を低減することができる。
【0084】
また、本実施形態に係る電力供給システム1においては、蓄電池12の放電閾値を1段階下げても蓄電池12を満充電にできるだけの余剰電力が見込める場合(ステップS26で「YES」)、蓄電池12の放電閾値は1段階下げられる。これにより、蓄電池12の充放電量を拡大することができるため、負荷Hの早朝時間帯における消費電力を、蓄電池12からの電力で賄い易くすることができ、ひいては系統電源Sからの買電量を減らすことができる。また、急激に負荷Hの消費電力が上昇した場合であっても、蓄電池12の充電電力で対応可能である。
【0085】
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、自然エネルギーを利用して発電可能な太陽光発電部11(発電部)と、燃料を用いて発電可能であるとともに、発電時に発生する熱を蓄える燃料電池30と、前記燃料電池30の動作を制御するEMS60(制御部)と、を具備し、前記EMS60は、前記太陽光発電部11で発電された電力のうち電力需要に対して余剰する余剰電力を予測し、前記余剰電力が所定値(β)よりも多い時間帯があると予測される場合(図2に示すステップS11でYES)、前記燃料電池30に対して、前記余剰電力が発生する時間帯以外の時間帯に発電するよう指示する(図2に示すステップS12)ものである。
【0086】
このように構成されることにより、太陽光発電部11で発電された電力の自家消費の向上を図ることができる。
具体的には、余剰電力が発生しない時間帯に燃料電池30の発電時間を設定する(すなわち、余剰電力が発生する時間帯(余剰発生時間帯)には燃料電池30の発電を停止させる)ことにより、燃料電池30による発電電力が減少した分、太陽光発電部11の発電電力の自家消費率を向上させることができる。
また、燃料電池30は、貯湯タンク32が満タンになると発電することができない場合がある。このため、余剰電力が発生する時間帯(余剰発生時間帯)に燃料電池30を発電させていると貯湯タンク32が早期に満タンになり、余剰電力が発生しない時間帯にいざ燃料電池30を発電させようとしても、発電することができない場合がある。本実施形態に係る電力供給システム1においては、余剰電力が発生する時間帯(余剰発生時間帯)には燃料電池30の発電を停止させることにより、早期に貯湯タンク32が満タンになるのを抑制することができ、ひいては余剰電力が発生しない時間帯に燃料電池30が発電できなくなるのを抑制することができる。
【0087】
また、前記EMS60は、前記余剰電力が所定値(β)よりも多い時間帯があると予測される場合(図2に示すステップS11でYES)、系統電源Kからの購入電力量が所定の値(γ)よりも少ない時間帯以外の時間帯に発電するよう指示する(図2に示すステップS12)ものである。
【0088】
このように構成されることにより、燃料電池30の発電効率の維持を図ることができる。
具体的には、燃料電池30が比較的小さい出力で運転を行うことが抑制されるので、燃料電池30の発電効率を維持(向上)させることができる。
【0089】
また、前記EMS60は、前記余剰電力が所定値(β)よりも多い時間帯がないと予測される場合(図2に示すステップS11でNO)、前記燃料電池30に対して、深夜電力時間帯以外の時間帯に発電するよう指示する(図2に示すステップS17)ものである。
【0090】
このように構成されることにより、深夜電力が燃料電池30の発電コストよりも低い場合、光熱費の低減を図ることができる。
具体的には、深夜電力時間帯に燃料電池30の発電を停止させることにより、深夜電力を電力需要に用いることとなるので、深夜電力が燃料電池30の発電コストよりも低い場合、光熱費の低減を図ることができる。
【0091】
また、本実施形態に係る電力供給システム1は、電力を充放電可能な蓄電池12を具備し、前記EMS60は、前記余剰電力が前記蓄電池12の蓄電可能量よりも多いと予測される場合(図2に示すステップS14でYES)、前記発電部によって発電が開始される時間までの電力需要分だけ、前記蓄電池に深夜電力を充電する(図2に示すステップS15)ものである。
【0092】
このように構成されることにより、太陽光発電部11によって発電が開始される時間までの電力(早朝時間帯の合計消費電力量)を深夜電力で賄いつつ、余剰電力の蓄電池12への充電量の拡大を図ることができる。
具体的には、早朝時間帯の合計消費電力量のみ深夜電力が蓄電池12に充電されるため、余剰電力の蓄電池12への充電量の拡大を図ることができる。
【0093】
また、本実施形態に係る電力供給システム1は、電力を充放電可能な蓄電池12を具備し、前記EMS60は、前記余剰電力が前記蓄電池12の蓄電可能量よりも少ないと予測される場合(図2に示すステップS14でNO)、前記蓄電池に深夜電力を満充電する(図2に示すステップS16)ものである。
【0094】
このように構成されることにより、光熱費の削減を図ることができる。
具体的には、蓄電池12に充電した深夜電力を昼間に使用することができるため、光熱費の削減を図ることができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0096】
例えば、本実施形態においては、電力供給システム1は住宅に設けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、オフィス等に設けられるものであってもよい。
【0097】
また、本実施形態において発電部は、太陽光を利用して発電する太陽光発電部11であるものとしたが、他の自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電するものであってもよい。
【0098】
また、本実施形態においては、図2に示すステップS12において、EMS60は、余剰発生時間以外の時間帯、及び購入電力がγ未満の時間帯以外の時間帯に、燃料電池30への発電要請指示を行うものとしたが、余剰発生時間以外の時間帯のみ発電要請指示を行うものとしてもよい。
【0099】
また、本実施形態においては、図2に示すステップS14において合計余剰電力量>蓄電可能量である(合計余剰電力量が蓄電可能量より多い)か否かを判定するものとしたが、合計余剰電力量≧蓄電可能量である(合計余剰電力量が蓄電可能量以上である)か否かを判定するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 電力供給システム
11 太陽光発電部
12 蓄電池
30 燃料電池
60 EMS
図1
図2
図3
図4
図5