(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】冷蔵コンテナ内の雰囲気を制御する方法
(51)【国際特許分類】
A23L 3/3418 20060101AFI20241211BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20241211BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20241211BHJP
A23L 3/36 20060101ALI20241211BHJP
A23B 9/20 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
A23L3/3418
F25D23/00 302Z
F25D11/00 101D
A23L3/36 Z
A23B9/20
(21)【出願番号】P 2020071432
(22)【出願日】2020-04-13
【審査請求日】2023-03-31
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003493
【氏名又は名称】キャリア コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】CARRIER CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ファーリー ウィリアム ポストゲート
(72)【発明者】
【氏名】マルコム エヌ.フレミング
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-070608(JP,A)
【文献】特開2017-044444(JP,A)
【文献】特開平08-000168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雰囲気制御システムを操作して冷蔵コンテナ内の雰囲気を制御する方法であって、
始動相の前記雰囲気制御システムを操作
することであって、前記コンテナ内の酸素レベル
と二酸化炭素レベルを制御する
ように、前記コンテナに窒素を加えること
を含む、前記操作することと、
(i)前記酸素レベルが、前記コンテナに窒素を加えることによって達成可能な低下した酸素レベルに対応する酸素プルダウン限界よりも大きく、かつ(ii)前記二酸化炭素レベルが、二酸化炭素上方管理限界以上である場合に、前記始動相を終了することと、
制御相の前記雰囲気制御システムを操作して前記コンテナ内の前記酸素レベル及び二酸化炭素レベルを制御することと、
を含
み、
前記制御相が、前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが二酸化炭素上側閾値よりも大きいと判定することを含み、
前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが前記二酸化炭素上側閾値よりも大きいとき、前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが二酸化炭素下方管理限界以下になるまで前記コンテナに外気を加えることを含む、方法。
【請求項2】
前記始動相が、前記コンテナ内の前記酸素レベルが酸素プルダウン限界に等しくなるまで前記コンテナに窒素を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記始動相が、前記コンテナ内の前記酸素レベルが酸素プルダウン限界よりも小さくなるまで前記コンテナに窒素を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記制御相が、前記コンテナ内の前記酸素レベルが酸素上側閾値よりも大きいと判定することと、
前記コンテナ内の前記酸素レベルが酸素プルダウン限界に等しくなるまで前記コンテナに窒素を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記制御相が、前記コンテナ内の前記酸素レベルが酸素下方管理限界未満であると判定することと、
前記コンテナ内の前記酸素レベルが酸素上方管理限界に等しくなるまで前記コンテナに外気を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記制御相が、前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが二酸化炭素上方管理限界よりも大きいと判定することと、
前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが二酸化炭素上方管理限界よりも大きいとき、前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが二酸化炭素下方管理限界に等しくなるまで前記コンテナに窒素を加えることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コンテナ内の前記酸素レベルが酸素上方管理限界に等しくなるまで前記コンテナに外気を加えることを更に含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記始動相の終了後、前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが二酸化炭素下方管理限界に等しくなるまで前記コンテナに窒素を加えることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記コンテナ内の前記酸素レベルが酸素上方管理限界に等しくなるまで前記コンテナに外気を加えることを更に含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記始動相の終了後、前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが二酸化炭素下方管理限界に等しくなるまで前記コンテナに窒素を加えることを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
前記コンテナ内の前記酸素レベルが酸素上方管理限界に等しくなるまで前記コンテナに外気を加えることを更に含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
雰囲気制御システムを操作して冷蔵コンテナ内の雰囲気を制御する方法であって、
始動相の前記雰囲気制御システムを操作することであって、前記コンテナ内の酸素レベルと二酸化炭素レベルを制御するように、前記コンテナに窒素を加えることを含む、前記操作することと、
(i)前記酸素レベルが、前記コンテナに窒素を加えることによって達成可能な低下した酸素レベルに対応する酸素プルダウン限界よりも大きく、かつ(ii)前記二酸化炭素レベルが、二酸化炭素上方管理限界以上である場合に、前記始動相を終了することと、
制御相の前記雰囲気制御システムを操作して前記コンテナ内の前記酸素レベル及び二酸化炭素レベルを制御することと、
を含み、
前記制御相が、前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが二酸化炭素上側閾値よりも大きいと判定することを含み、
前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが前記二酸化炭素上側閾値よりも大きいとき、前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが二酸化炭素下方管理限界以下になるまで前記コンテナに外気を加えることを含み、
前記始動相が、前記コンテナ内の前記酸素レベルが、前記酸素プルダウン限界以下になるまで前記コンテナに窒素を加えることを含み、
前記制御相が、前記コンテナ内の前記酸素レベルが酸素上側閾値よりも大きいと判定することと、前記コンテナ内の前記酸素レベルが前記酸素プルダウン限界以下になるまで前記コンテナに窒素を加えることと、を含み、
前記制御相が、前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが二酸化炭素上方管理限界よりも大きいと判定することと、前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが前記二酸化炭素上方管理限界よりも大きいとき、前記コンテナ内の前記二酸化炭素レベルが前記二酸化炭素下方管理限界以下になるまで前記コンテナに窒素を加えることと、を含み、
前記コンテナ内の前記酸素レベルが酸素上方管理限界以上になるまで前記コンテナに外気を加えることを更に含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は米国特許仮出願第62/833,071号の利益を主張するものであり、その全ての内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示される主題は、冷蔵コンテナのための雰囲気制御システムに関し、特に、冷蔵コンテナ内の雰囲気(例えば、窒素、酸素及び/または二酸化炭素の量)を調整して、果物、野菜、医薬品などの腐敗性商品の収穫後の貯蔵寿命または品質を延長する雰囲気組成を得るためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
海、レールまたは道路を介して貨物を輸送するために利用されるコンテナなどの、典型的な冷蔵貨物コンテナは、コンテナの一端に位置する冷蔵ユニットを含むように改良されたコンテナである。冷蔵ユニットは、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を含む。多量の冷媒が冷蔵ユニット全体にわたって循環し、冷蔵ユニットの1つ以上の蒸発器ファンは、蒸発器を通して給気流を送り、それによって給気を冷却し、その給気をコンテナ内に押し出す。
【0004】
雰囲気制御システムは、例えば、コンテナ内に保存された生産物の熟成率を変えるために冷蔵コンテナ内の酸素及び二酸化炭素の量を制御する。雰囲気制御システムは、コンテナ内の酸素(O2)及び二酸化炭素(CO2)の量を制御してもよい。既存の雰囲気制御システムは、コンテナに窒素(N2)を加えてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、冷蔵コンテナ内の雰囲気を制御する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、雰囲気制御システムを操作して冷蔵コンテナ内の雰囲気を制御する方法は、始動相の雰囲気制御システムを操作してコンテナ内の酸素レベルを制御することと、始動相を終了することと、制御相の雰囲気制御システムを操作してコンテナ内の酸素レベル及び二酸化炭素レベルを制御することとを含む。
【0007】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、始動相が、コンテナ内の酸素レベルが酸素プルダウン限界に等しくなるまでコンテナに窒素を加えることを含むこと、を含んでもよい。
【0008】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、始動相が、コンテナ内の酸素レベルが酸素プルダウン限界よりも小さくなるまでコンテナに窒素を加えることを含むこと、を含んでもよい。
【0009】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、制御相が、コンテナ内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素上側閾値よりも大きいと判定することを含むこと、を含んでもよい。
【0010】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、コンテナ内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素上側閾値よりも大きいとき、コンテナ内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素下方管理限界に等しくなるまでコンテナに外気を加えることを含んでもよい。
【0011】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、制御相が、コンテナ内の酸素レベルが酸素上側閾値よりも大きいと判定することと、コンテナ内の酸素レベルが酸素プルダウン限界に等しくなるまでコンテナに窒素を加えることとを含むこと、を含んでもよい。
【0012】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、制御相が、コンテナ内の酸素レベルが酸素下方管理限界未満であると判定することと、コンテナ内の酸素レベルが酸素上方管理限界に等しくなるまでコンテナに外気を加えることとを含むこと、を含んでもよい。
【0013】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、制御相が、コンテナ内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素上方管理限界よりも大きいと判定することと、コンテナ内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素上方管理限界よりも大きいとき、コンテナ内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素下方管理限界に等しくなるまでコンテナに窒素を加えることとを含むこと、を含んでもよい。
【0014】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、コンテナ内の酸素レベルが酸素上方管理限界に等しくなるまでコンテナに外気を加えることを含んでもよい。
【0015】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、始動相が終了した後、コンテナ内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素下方管理限界に等しくなるまでコンテナに窒素を加えることを含んでもよい。
【0016】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、コンテナ内の酸素レベルが酸素上方管理限界に等しくなるまでコンテナに外気を加えることを含んでもよい。
【0017】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、始動相が終了した後、コンテナ内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素下方管理限界に等しくなるまでコンテナに窒素を加えることを含んでもよい。
【0018】
本明細書で説明される特徴の1つ以上に加えて、または代わりとして、更なる実施形態は、コンテナ内の酸素レベルが酸素上方管理限界に等しくなるまでコンテナに外気を加えることを含んでもよい。
【0019】
本開示の実施形態の技術的効果は、コンテナの内部の雰囲気を制御することを含む。
【0020】
特に明示的に指示がない限り、前述の特徴及び要素は、非排他的な各種の組み合わせで組み合わされてもよい。これらの特徴及び要素、ならびにその動作は、以下の説明及び添付図面に照らしてより明らかになる。しかしながら、以下の説明及び図面は実際には例示的かつ説明的であり、限定されないように意図されることが理解されるべきである。
【0021】
本開示は、一例として例示され、同様の参照数字が同様の要素を示す添付図面において限定されない。
【0022】
詳細な説明は、図面を参照しつつ一例として、利点及び特徴と共に、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】例示的な実施形態における冷蔵コンテナを示す。
【
図2】例示的な実施形態における冷蔵ユニットを示す。
【
図3】例示的な実施形態における雰囲気制御システムを備えた冷蔵ユニットを示す。
【
図4】例示的な実施形態における雰囲気制御システムを示す。
【
図5】例示的な実施形態におけるコンテナ内の雰囲気を制御するためのプロセスを示す。
【
図6】例示的な実施形態における二酸化炭素制御パラメータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
冷蔵コンテナ10の実施形態を
図1に示す。コンテナ10は、上壁12、正対する底壁14、対向する側壁16、及び前壁18によって実質的に矩形の構造を有する。コンテナ10は、前壁18に対向する後壁20に1つのドアまたは複数のドア(図示せず)を更に含む。コンテナ10は、コンテナ10に位置する冷蔵ユニット24を用いることにより、コンテナ10内に位置する貨物22を選択された温度に維持するように構成される。コンテナ10は、可動であり、例えば、トラック、列車または船を介して貨物22を輸送するために利用される。コンテナ10は、トレーラまたはシャシーと一体化されてもよい。冷蔵ユニット24は、前壁18に位置し、圧縮機26、凝縮器28、膨張装置30(例えば、TXVまたはEXV)、蒸発器32及び(
図2に示す)蒸発器ファン34、ならびに他の補助的な構成要素を含む。
【0025】
図2を参照すると、冷蔵ユニット24は、蒸発器ファン34を介して蒸発器32を通して還気36を流し、それによって還気36を選択された温度に冷却し、ここでは給気38と呼ばれる冷却後の還気流36を、冷蔵ユニット排気口40を通してコンテナ10内に、例えば、コンテナ10の底壁14に沿って延在する1つ以上のT形材44の開口42を介して押し込んで、貨物22を冷却する。
【0026】
冷蔵ユニット24は、蒸発器32、蒸発器ファン34及び蒸発器ファンモータ56を含む蒸発器部分54と、圧縮機26、凝縮器28及び膨張装置30を含む凝縮器部分58とに分けられる。いくつかの実施形態では、膨張装置30は、蒸発器部分54に位置してもよい。蒸発器部分54は、いくつかの実施形態では凝縮器部分58より上に位置し、冷蔵ユニット24にわたって延在するパネル50によって凝縮器部分58から分離される。凝縮器部分58は、外気に露出されており、内部に開口を形成させたパネルによって覆われてもよい。動作中、冷媒は、直列方式で循環され、圧縮機26、凝縮器28、膨張装置30、蒸発器32を通って再度圧縮機26に戻る。冷蔵ユニット24は、図示されない追加的な構成要素(例えば、エコノマイザ、受器、SMVなど)を含んでもよいことが理解される。
【0027】
ここで
図3を参照すると、冷蔵ユニット24は、冷蔵ユニット24の構成要素を収容するためのハウジング46を含む。いくつかの実施形態では、ハウジング46は、コンテナ10とは別個であり異なるが、他の実施形態では、ハウジング46は、コンテナ10の一体部分である。凝縮器ファン29は、凝縮器28の上方に空気を動かし、その空気を冷蔵ユニット24の外側に排出するように凝縮器モータ(図示せず)によって駆動される。凝縮器28は、凝縮器ファン29の周りに放射状に配置されてもよい。コントローラ70は、例えば、圧縮機26(例えば、オン/オフ/可変速度)、蒸発器ファンモータ56(例えば、オン/オフ/可変速度)、凝縮器ファンモータ(例えば、オン/オフ/可変速度)などを制御することにより、冷蔵ユニット24の動作を制御する。コントローラ70は、ユーザによって実装されてもよい。マイクロプロセッサ、メモリ、ユーザインタフェース、I/O入力などを含むプロセッサベースのデバイス。コントローラ70は、当分野において知られているように、コンテナ10の内部において所望の温度を維持するために冷蔵ユニット24の構成要素を制御する。空気圧縮機80は、凝縮器部分58に位置する。空気圧縮機80は、コンテナ10の内部の雰囲気(例えば、酸素及び二酸化炭素)を調整するように動作する雰囲気制御システム74(
図4)の構成要素である。
【0028】
図4は、例示的な実施形態における雰囲気制御システム74を示す。雰囲気制御システム74は、コンテナ10内の少なくとも1つのガスのレベルを制御するように動作する。実施形態では、雰囲気制御システム74は、酸素及び/または二酸化炭素のレベルを制御するように動作する。雰囲気制御システム74は、凝縮器部分58に、したがってコンテナ10の内部の外側に位置する空気圧縮機80を含む。コントローラ70は、電力を空気圧縮機80に加えるリレーまたは接触器に信号を送ることにより、空気圧縮機80をオンにしてもよい。オンにされると、空気圧縮機80は、第1のフィルタ82(例えば、50ミクロン微粒子フィルタ)を通してコンテナ10の外側に空気を送り出す。空気圧縮機80によって生成された圧縮空気は、凝縮器部分58から蒸発器部分54内に流れ、熱交換器84に達する。熱交換器は、様々な種類の空冷式熱交換器(例えば、円管プレートフィン、マイクロチャネルなど)であってもよい。熱交換器84にて、圧縮空気は、水分除去を容易にするために冷却される。熱交換器84から、圧縮空気は水分離器86に流れ、そこで水分が除去される。水分離器86から、圧縮空気は、第2のフィルタ88(例えば、5ミクロン微粒子フィルタ)及び第3のフィルタ89(例えば、0.01ミクロン微粒子フィルタ)に流れる。第2のフィルタ88及び第3のフィルタ89は、凝縮器部分または蒸発器部分54に位置してもよい。
【0029】
第2のフィルタ88及び第3のフィルタ89から、圧縮空気は第1の弁V1に流れる。第1の弁V1は、コントローラ70によって制御可能である2つの排気口を有する。第1の弁V1が第1の位置(例えば、通電時の開位置)にあるとき、圧縮空気は第1の弁V1からコンテナ10の内部に出力される。第1の弁V1は、蒸発器32の上流に空気を提供するために位置してもよい。第1の弁V1が第2の位置(例えば、非通電時の閉位置)にあるとき、圧縮空気は分離器90に誘導される。分離器90は、非常に純粋な、分離された窒素の出力を蒸発器32の上流に生成する膜分離器であってもよい。酸素、アルゴン及び二酸化炭素を含む他の雰囲気ガスは、凝縮器部分58に、更には冷蔵ユニット24の外側に排気される。分離器90からの窒素は、第2の弁V2に誘導される。第2の弁V2は、窒素の純度を測定するために分離器90からの窒素のごく一部を窒素センサ96に送ることを可能にする吹き出し口である。第2の弁V2は、コントローラ70によって制御されてもよい。
【0030】
窒素が蒸発器32の上流に提供されるとき、窒素は、コンテナ10の内部に入り、酸素及び/または二酸化炭素をコンテナ10の内部から外に押し出す。コンテナ10内の酸素レベルを低減することにより、生産物の熟成が抑制される。コンテナ10内の二酸化炭素レベルを低減することにより、二酸化炭素レベルが高いことによるコンテナ内の貨物への損傷が妨げられる。
【0031】
動作中、コントローラ70は、コントローラ70と通信する酸素センサ92及び/または二酸化炭素センサ94を用いて、コンテナ10内の少なくとも1つのガスのレベルを監視する。酸素センサ92及び/または二酸化炭素センサ94は、蒸発器32の上流で、蒸発器部分54に位置してもよい。コンテナに外気を加えるために、コントローラ70は、空気圧縮機80をオンにするために信号を送り、第1の弁V1を開位置に設定するために第1の弁V1に信号を送る。これにより、空気圧縮機80からコンテナ10の内部に圧縮空気が誘導される。コンテナに窒素を加えて他のガスのレベルを制御するために、コントローラ70は、空気圧縮機80をオンにし、弁V1を閉じるために信号を送る。これにより、空気圧縮機80から分離器90に圧縮空気が誘導され、この分離器は、コンテナ10の内部(例えば、蒸発器32の上流または下流)に誘導される窒素を生成する。分離器90によって生成される窒素の純度を測定するために、コントローラ70は、第2の弁V2の吹き出し口を開いて、コントローラ70と通信する窒素センサ96に窒素の一部を誘導する。いくつかの実施形態では、酸素センサ92からの測定値がコンテナ10内の窒素レベルの指示を与えるため、個別の窒素センサ96は用いられない。
【0032】
図5は、例示的な実施形態における雰囲気制御システム74を制御するためのプロセスを示す。プロセスは、コントローラ70によって実行される。プロセスは、始動相100及び制御相200を含む。プロセスは、コンテナ10内の(例えば、百分率で測定された)酸素レベル及び二酸化炭素レベルを、管理帯を用いて調整してもよい。
図6は、コンテナ10内の二酸化炭素レベルのための例示的な管理帯を示す。管理帯は、管理帯を定める下方管理限界及び上方管理限界を含む。設定点は、通常、管理帯の中央に設定されるが、任意の位置にあってもよい。
図6は、コンテナ10内の二酸化炭素レベルを制御するための例示的な値を示す。コンテナ10内の酸素レベルは、数値は異なるが、同様の管理帯を用いて制御されてもよい。
【0033】
図5を参照すると、始動相100は102で始まり、104に流れる。そこで、酸素プルダウン動作が開始される。104の酸素プルダウン動作は、コンテナ10に窒素を加えるために空気圧縮機80に給電すること及び弁V1を閉位置に設定することを含む。104の酸素プルダウン動作は、一定期間(例えば、40時間)持続してもよい。104の酸素プルダウン動作が終了すると、フローは106に進む。そこでコントローラ70は、コンテナ10内の(CO2センサ94によって測定された)二酸化炭素レベルを二酸化炭素上側閾値と比較する。二酸化炭素上側閾値は、二酸化炭素管理帯に第1のオフセット(例えば、2%)を加えたものを、二酸化炭素設定点に加えたものに等しくてもよい。106でコンテナ10内の二酸化炭素レベルが106の二酸化炭素上側閾値よりも大きい場合、フローは108に進み、そこで、酸素プルダウン動作が完了したとみなされる。
【0034】
106でコンテナ10内の二酸化炭素レベルが上側閾値以下である場合、フローは110に進む。そこでコントローラ70は、(O2センサ92によって測定された)コンテナ10内の酸素レベルが酸素プルダウン限界(例えば、コンテナ10に窒素を加えることによって達成可能な最小限の酸素レベル)以上かどうかを判定する。110でコンテナ10内の酸素レベルが酸素プルダウン限界よりも小さい場合、フローは112に進み、そこで、酸素プルダウン動作が完了したとみなされる。112で、コントローラ70は、空気圧縮機80をオフにする。
【0035】
110で、コンテナ10内の酸素レベルが酸素プルダウン限界以上である場合、フローは114に進む。そこでコントローラ70は、コンテナ10内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素上方管理限界よりも大きいかどうかを判定する。コンテナ10内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素上方管理限界よりも大きい場合、フローは116に進み、そこで、酸素プルダウン動作が完了したとみなされる。114で、コンテナ10内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素上方管理限界以下である場合、フローは104に進む。そこで、酸素プルダウン動作が追加時間(例えば、10時間)継続され、プロセスが継続する。
【0036】
ブロック112から、プロセスは、通常動作と呼ばれる制御相200のブロック202に流れる。フローはブロック204に進み、そこでコントローラ70は、コンテナ10内の二酸化炭素レベルを二酸化炭素上側閾値と比較する。204でコンテナ10内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素上側閾値よりも大きい場合、フローは206に進む。204で警告が生成されてもよい。206で、空気圧縮機80がオンにされ、弁V1が開位置に設定されてコンテナ10に空気を加える。システムは、コンテナ10内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素下方管理限界に等しくなるまでこの状態にとどまる。この時点で、空気圧縮機80がオフにされ、フローは202に進む。
【0037】
204でコンテナ10内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素上側閾値以下である場合、フローは208に進む。208で、コントローラ70は、コンテナ10内の酸素レベルを酸素上側閾値と比較する。酸素上側閾値は、酸素管理帯に第2のオフセット(例えば、0.2%)を加えたものを、酸素設定点に加えたものに等しくてもよい。208でコンテナ10内の酸素レベルが酸素上側閾値よりも大きい場合、フローは210に進む。210で、空気圧縮機80がオンにされ、弁V1が閉位置に設定されてコンテナ10に窒素を加える。システムは、コンテナ10内の酸素レベルが酸素プルダウン限界に等しくなるまでこの状態にとどまる。この時点で、空気圧縮機80がオフにされ、フローは202に進む。
【0038】
208でコンテナ10内の酸素レベルが酸素上側閾値以下である場合、フローは212に進む。212で、コントローラ70は、コンテナ10内の酸素レベルを酸素下方管理限界と比較する。212でコンテナ10内の酸素レベルが酸素下方管理限界未満である場合、フローは214に進む。214で、空気圧縮機80がオンにされ、弁V1が開位置に設定されてコンテナ10に空気を加える。システムは、コンテナ10内の酸素レベルが酸素上方管理限界に等しくなるまでこの状態にとどまる。この時点で、空気圧縮機80がオフにされ、フローは202に進む。
【0039】
212でコンテナ10内の酸素レベルが酸素下方管理限界以上である場合、フローは216に進む。216で、コントローラ70は、コンテナ10内の二酸化炭素レベルを二酸化炭素上方管理限界と比較する。216でコンテナ10内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素上方管理限界以下である場合、フローは202に進む。216でコンテナ10内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素上方管理限界よりも大きい場合、フローは218に進む。ブロック108及びブロック116もブロック218に繋がっていることにも注意されたい。
【0040】
218で、空気圧縮機80がオンにされ、弁V1が第2の位置に設定されてコンテナ10に窒素を加える。システムは、コンテナ10内の二酸化炭素レベルが二酸化炭素下方管理限界に等しくなるまでこの状態にとどまる。
【0041】
218から、プロセスは220に流れる。そこでコントローラ70は、新鮮空気モードに入るべきかどうかを判定する。220で、コントローラ70は、コンテナ10内の酸素レベルが酸素下方管理限界未満であるかどうかを判定する。コンテナ10内の酸素レベルが酸素下方管理限界未満である場合、新鮮空気モードが有効になり、プロセスは214に流れる。さもなければ、プロセスは202に戻る。
【0042】
図5の制御プロセスは、空気圧縮機80及び第1の弁V1の制御のみを必要とする。これにより、制御プロセスが簡単になり、雰囲気制御システム74のための専用コントローラが不要になる。制御プロセスは、コンテナ10内の雰囲気を適切に維持し、コンテナの漏れ及び/または貨物の呼吸の広範な変動を補償する。
【0043】
上述したように、実施形態は、プロセッサ実装プロセス及び、コントローラ70内のプロセッサなどの、それらのプロセスを実施するための装置の形をとることができる。実施形態は、ネットワーククラウドストレージ、SDカード、フラッシュドライブ、フロッピーディスケット、CD-ROM、ハードドライブまたは任意の他のコンピュータ可読記憶媒体などの有形媒体内に具現化された命令を含むコンピュータプログラムコードの形をとることもできる。実施形態は、電気配線もしくはケーブルを経て、光学繊維を通して、または電磁放射を介してなど、ある伝送媒体を経て送信されるコンピュータプログラムコードの形をとることもできる。汎用マイクロプロセッサ上に実装されるとき、コンピュータプログラムコードは、特定の論理回路を作製するようにマイクロプロセッサを構成する。
【0044】
限定された数の実施形態のみに関連して本発明を詳細に説明してきたが、本発明はこのような開示された実施形態に限定されないことが容易に理解されるべきである。むしろ、本発明は、これまで説明されないが、本発明の趣旨及び範囲に対応する任意の数の変形、変更、置換または等価構成を組み込むように修正することができる。加えて、本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明の態様は説明された実施形態の一部のみを含んでもよいことが理解されるべきである。したがって、本発明は、上記の説明によって限定されるものとみなされるべきではなく、添付された請求項の範囲によってのみ限定される。