IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】硬質表面用洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/68 20060101AFI20241211BHJP
   C11D 1/94 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
C11D1/68
C11D1/94
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020115533
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013159
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】土屋 聖人
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-294300(JP,A)
【文献】特開2005-060450(JP,A)
【文献】特開2009-144023(JP,A)
【文献】国際公開第2019/235424(WO,A1)
【文献】特開平11-189790(JP,A)
【文献】特開平11-256198(JP,A)
【文献】特開2007-023210(JP,A)
【文献】特表昭62-501570(JP,A)
【文献】特開2000-129292(JP,A)
【文献】特開2002-294281(JP,A)
【文献】特表2014-505126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)界面活性剤〔以下、(a)成分という〕を0.05質量%以上2質量%以下、及び水を含有する硬質表面用洗浄剤組成物であって、
(a)成分として、(a1)炭素数8以上18以下のアルキル基を有するアルキルグリコシド〔以下、(a1)成分という〕と、(a2)炭素数4以上12以下のアルキル基を有するアルキルグリセリルエーテル〔以下、(a2)成分という〕と、(a3)両性界面活性剤及び双性界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤〔以下、(a3)成分という〕とを含有し、
(a1)成分の含有量と(a2)成分の含有量の合計含有量と(a3)成分の含有量との質量比である〔(a1)+(a2)〕/(a3)が0.25以上2以下であり、
25℃におけるpHが5以上9以下である、
硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項2】
(a1)成分の含有量と(a2)成分の含有量との質量比である(a1)/(a2)が0.1超10以下である請求項1に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項3】
(a1)成分の含有量と(a3)成分の含有量との質量比である(a3)/(a1)が1超10以下である、請求項1又は2に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項4】
硬質表面の清拭洗浄用である、請求項1~の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項5】
請求項1~の何れか1項に記載の硬質表面用洗浄剤組成物を用いて、硬質表面を清拭洗浄する、硬質表面の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面用洗浄剤組成物、及び硬質表面の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住居用洗浄剤は、住環境の様々な場所、様々な場面で使用されることから、対象とする汚れも、埃や食べこぼしなどの除去容易な汚れから、変成した油汚れのような非常に除去が困難な汚れまで多岐にわたっている。そのため、各使用場所・使用場面でそれぞれ最適な洗浄剤が提案されている。例えば、変成油汚れが対象のキッチン廻りの洗浄剤は、アルカリ性の強力な洗浄剤が一般的であり、テーブルや窓ガラスなどの汚れ負荷が小さい汚れに対しては界面活性剤濃度を下げて、拭き筋やぬめりなどの不快な感触がない洗浄剤が使用されている。
【0003】
特許文献1には、所定のアルカノールアミド化合物と、糖系界面活性剤などの界面活性剤とを所定条件で含有する硬質表面用液体洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献2には、アルキルグリコシド型非イオン界面活性剤などの界面活性剤を0.01~2質量%、エタノールを4~15質量%、及び水を含有する水性組成物を、泡状にして洗浄対象に適用する洗浄方法が開示されている。
特許文献3には、(A)アルキル基の炭素数が3~8であるモノアルキルグリセリルエーテル、(B)一般式(1)で示される特定の化合物、(C)アミン類、(D)分子量40~400の多価カルボン酸及び/又はその塩、(E)界面活性剤(但し(A)及び(B)を除く)並びに水を含有し、(A)/(B)質量比、(A)+(B)含有量、(C)/(D)質量比、(C)+(D)含有量が、それぞれ特定範囲にあり、20℃でのpHが9.5~11.5である硬表面用洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献4には、(A)炭素数6~16の炭化水素、(B)カチオン界面活性剤、(C)非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤、並びに水を含有する硬質表面用中性洗浄剤組成物が開示されている。
特許文献5には、(A)アルキル基又はアルケニル基の炭素数が12のアルキルもしくはアルケニルコハク酸又はその塩及びアルキル基又はアルケニル基の炭素数が14のアルキルもしくはアルケニルコハク酸又はその塩、(B)水溶性有機溶剤、(C)アミン化合物、並びに水を含有し、(A)成分以外の界面活性剤/(A)の質量比が1未満である硬質表面用洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-294281号公報
【文献】特開2004-107655号公報
【文献】特開2008-45108号公報
【文献】特開2010-37515号公報
【文献】特開2008-44993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
界面活性剤を用いた洗浄剤の洗浄力は、一般にアルカリ性で良好となる傾向があるが、住環境の清掃対象物はガラスやタイルのような硬質面以外に木や鉄などの金属も存在するため、これらに対しても損傷しない洗剤が求められ、身体への刺激などを考慮すると中性の洗浄剤が好ましい。そのため、中性で優れた洗浄力を示す洗浄剤は当業界で有用であり、とりわけ、硬質表面に付着した油汚れに対する洗浄力に優れた、液性が中性近傍の洗浄剤が望まれる。
また、界面活性剤を用いた洗浄剤の洗浄力は、一般に界面活性剤を増量した方が良好となる傾向があるが、界面活性剤が多いと、硬質表面に適用後、拭き取りを行うような場合に拭き残りが多くなり、いわゆる拭き筋として残存したり、残存する界面活性剤の影響でヌルつくなどの感触に影響したりして、仕上がり性が低下する。
【0006】
本発明は、油汚れに対する洗浄力に優れ、洗浄後の拭き筋が少ないなど仕上がり性に優れた硬質表面用洗浄剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(a)界面活性剤〔以下、(a)成分という〕及び水を含有する硬質表面用洗浄剤組成物であって、
(a)成分として、(a1)糖系界面活性剤〔以下、(a1)成分という〕と、(a2)炭素数4以上12以下のアルキル基を有するアルキルグリセリルエーテル〔以下、(a2)成分という〕と、(a3)(a1)成分及び(a2)成分以外の界面活性剤〔以下、(a3)成分という〕とを含有し、
(a1)成分の含有量と(a2)成分の含有量の合計含有量と(a3)成分の含有量との質量比である〔(a1)+(a2)〕/(a3)が0.25以上2以下であり、
25℃におけるpHが5以上9以下である、
硬質表面用洗浄剤組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を用いて、硬質表面を清拭洗浄する、硬質表面の洗浄方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、油汚れに対する洗浄力に優れ、洗浄後の拭き筋が少ないなど仕上がり性に優れた硬質表面用洗浄剤組成物、及び硬質表面の洗浄方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、油汚れに対する洗浄力に優れ、かつ硬質表面を洗浄した後の拭き筋が少ないなど、洗浄後の仕上がり性が良好である。このような効果が発現する理由は必ずしも明らかではないが、次のように考えている。
界面活性剤を用いた硬質表面の洗浄では、洗浄後の拭きとりを行った場合に、硬質表面に残存する微粒子が可視光を乱反射して拭き筋として認識されることが判明した。そして、この微粒子は、界面活性剤などの洗浄剤の配合成分の析出、希釈水などに含まれる硬度成分の析出、砂、ほこりなどの付着などにより生じることも判明した。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物で用いる(a1)成分の糖系界面活性剤は、(a2)成分や(a3)成分の結晶成長を適度に抑制して微細な粒子とする。そのため、界面活性剤が硬質表面に析出する場合でも、微細な粒子として存在する割合が増えるため、可視光の乱反射を低減する。一方、(a3)成分は硬質表面に付着した油汚れの洗浄に対する主要洗浄成分であるが、(a2)成分は(a3)成分の油汚れ洗浄力を更に増強する効果を有する。このことは、油汚れ洗浄力を高めるとともに、汚れが残存することによる拭き筋の形成を抑制する効果にも寄与する。このように、本発明では、主要洗浄成分である(a3)成分の油汚れ洗浄力を(a2)成分が高めるとともに、(a1)成分と(a2)成分を併用することにより、洗浄後の仕上がり性を大幅に改善できるものと推察される。
【0011】
<硬質表面用洗浄剤組成物>
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a)成分の界面活性剤を含有し、(a)成分として、(a1)成分の糖系界面活性剤と、(a2)成分の炭素数4以上12以下のアルキル基を有するアルキルグリセリルエーテルと、(a3)成分の、(a1)成分及び(a2)成分以外の界面活性剤とを含有する。
【0012】
(a1)成分の糖系界面活性剤としては、ソルビタン系非イオン界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤、グリコシド型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
【0013】
ソルビタン系非イオン界面活性剤は、下記一般式(a1-1)で表される非イオン界面活性剤及び下記一般式(a1-2)で表される非イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0014】
【化1】
【0015】
[式中、R11は、炭素数2以上4以下のアルキレン基を示し、R12は、それぞれ独立に炭素数1以上14以下のアルキル基又はアルケニル基を示し、該アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、a、b、cは平均付加モル数を示し、a、b、cの総和は3以上50以下の数である。]
【0016】
上記一般式(a1-1)及び(a1-2)において、R11は、炭素数2以上4以下のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基又はプロピレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
また上記一般式(a1-1)及び(a1-2)において、R12は好ましくは炭素数5以上、より好ましくは7以上、そして、13以下である。R12は好ましくはアルキル基であり、より好ましくは直鎖状のアルキル基である。
また上記一般式(a1-1)及び(a1-2)において、a、b及びcは、洗浄力及び仕上がり性の観点から、それぞれ独立して、好ましくは0以上であり、そして、好ましくは50以下であり、より好ましくは30以下である。a、b、cの総和は、洗浄力及び仕上がり性の観点から、3以上、好ましくは4以上であり、そして、50以下、好ましくは30以下である。
【0017】
ショ糖脂肪酸エステル型非イオン界面活性剤としては、脂肪酸部分が炭素数8以上18以下、好ましくは炭素数10以上14以下の脂肪酸であるショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。好ましくは、脂肪酸部分が直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有する炭素数8以上18以下、より好ましくは炭素数10以上14以下の脂肪酸であるショ糖脂肪酸エステルである。
【0018】
グリコシド型非イオン界面活性剤としては、下記一般式(a1-3)で表される非イオン界面活性剤が挙げられる。
21(OR22 (a1-3)
[式中、R21は炭素数8以上18以下の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を示し、R22は炭素数2以上4以下のアルキレン基を示し、Gは炭素数5又は6を有する還元糖に由来する残基を示し、xはその平均値が0以上5以下の数を示し、yはその平均値が1以上10以下の数を示す。]
【0019】
上記一般式(a1-3)において、R21で表されるアルキル基又はアルケニル基、好ましくはアルキル基は、洗浄力と拭き取り性向上の点から、炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下である。またR22で示されるアルキレン基としては、溶解性の点から、炭素数2以上4以下である。また、Gで示される炭素数5又は6の還元糖に由来する残基は、使用される単糖類もしくは2糖類以上の糖によってその構造が決定される。Gで示される残基の原料としては、単糖類ではグルコース、ガラクトース、キシロース、マンノース、リキソース、アラビノース、フルクトース又はこれらの混合物等が挙げられ、2糖類以上ではマルトース、キシロビオース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチビオース、ラクトース、スクロース、ニゲロース、ツラノース、ラフィノース、ゲンチアノース、メンジトース又はこれらの混合物等が挙げられる。これらのうち好ましい原料は、それらの入手性及び低コストの点から、単糖類ではグルコース及びフルクトースであり、2糖類以上ではマルトース及びスクロースである。
【0020】
上記一般式(a1-3)の中のxは、その平均値が0以上、そして、5以下、好ましくは2以下、より好ましくは1以下であり、更に好ましくは0である。
また、上記一般式(a1-3)の中のyは、その平均値が1以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、そして、10以下、好ましくは2以下、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.6以下である。このyの値(糖縮合度)はH-NMRにより測定できる。
一般式(a1-3)の中のyの平均値が1より大きい場合、つまり当該グリコシド型非イオン界面活性剤が2つ以上の糖鎖を親水性基とする場合、糖鎖の結合様式が1-2、1-3、1-4,1-6結合又はα-、β-ピラノシド結合もしくはフラノシド結合及びこれらの混合された結合様式である任意の混合物を含むことが可能である。
【0021】
(a1)成分は、炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下のアルキル基を有するアルキルグリコシドが好ましい。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a1)成分として、炭素数8以上18以下のアルキル基を有するアルキルグリコシドを含有することが好ましい。
【0022】
(a2)成分は、炭素数4以上12以下のアルキル基を有するアルキルグリセリルエーテルである。
(a2)成分のアルキル基は、炭素数5以上10以下が好ましい。
(a2)成分のアルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、分岐鎖が好ましい。
(a2)成分は、炭素数5以上、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、そして、10以下のアルキル基を有するモノアルキルグリセリルエーテルが好ましい。
本発明では、(a2)成分は、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル、イソノニルグリセリル、及びイソデシルグルセリルエーテルから選ばれる化合物が好適である。
【0023】
(a3)成分は、(a1)成分及び(a2)成分以外の界面活性剤である。(a3)成分の界面活性剤としては、両性界面活性剤、双性界面活性剤、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及び陽イオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤が挙げられる。
【0024】
両性界面活性剤、及び双性界面活性剤としては、例えば炭素数1以上23以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するベタイン、例えば、スルホベタイン、カルボベタイン、前記アルキル基又はアルケニル基を有するアミンオキシドなどが挙げられる。
【0025】
ベタインとしては、油への洗浄力や起泡性などの観点から、下記一般式(a3-1)で表される両性界面活性剤が好ましい。
【0026】
【化2】
【0027】
〔式中、R31は炭素数8以上23以下のアルキル基又はアルケニル基であり、R32は炭素数1以上6以下のアルキレン基である。Aは-COO-、-CONH-、-OCO-、-NHCO-、-O-から選ばれる基であり、pは0又は1の数である。R33、R34は、炭素数1以上3以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R35はヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1以上5以下のアルキレン基である。Bは、-SO 、-OSO 、-COOから選ばれる基である。〕
【0028】
一般式(a3-1)において、R31の炭素数は、好ましくは11又は12である。Aは、好ましくは-COO-又は-CONH-であり、より好ましくは-CONH-である。R32の炭素数は、好ましくは2又は3であり、R33、R34は、好ましくはメチル基である。
【0029】
好ましいベタインとしては、アルキル(炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下)-N,N-ジメチル酢酸ベタイン、脂肪酸(脂肪酸の炭素数9以上、好ましくは11以上、そして、19以下、好ましくは15以下)アミドプロピル-N,N-ジメチル酢酸ベタイン、アルキル(炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下)-N,N-ジメチルエタンスルホベタイン、アルキル(炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下)-N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロピルスルホベタイン、脂肪酸(脂肪酸の炭素数9以上、好ましくは11以上、そして、19以下、好ましくは15以下)アミドプロピル-N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロピルスルホベタイン、アルキル(炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下)カルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等のベタイン等が挙げられる。
【0030】
アミンオキシドとしては、例えば炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、23以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基を1つ有するアミンオキシドが挙げられ、具体的には下記一般式(a3-2)で表される界面活性剤が挙げられる。
【0031】
【化3】
【0032】
〔式中、R31は炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、23以下、好ましくは18以下、より好ましくは14以下のアルキル基又はアルケニル基であり、R32は炭素数1以上、好ましくは2以上、そして、6以下、好ましくは3以下のアルキレン基である。Aは-COO-、-CONH-、-OCO-、-NHCO-から選ばれる基であり、pは0又は1の数である。R33、R34は、炭素数1以上3以下のアルキル基又はヒドロキシアルキル基である。〕
【0033】
アミンオキシドとしては、具体的には、N-デシル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ラウリル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ミリスチル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-カプロイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ラウロイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ミリスチロイルアミノプロピル-N,N-ジメチルアミンオキシドを挙げることができ、デシルジメチルアミンオキシド、N-ラウリル-N,N-ジメチルアミンオキシド(ラウリルジメチルアミンオキシド)、N-ミリスチル-N,N-ジメチルアミンオキシド、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシドが好ましく、N-ラウリル-N,N-ジメチルアミンオキシド、N-ミリスチル-N,N-ジメチルアミンオキシドが油汚れの洗浄力の観点から、より好ましい。
【0034】
非イオン界面活性剤として、特に限定されるわけではないが、ポリオキシエチレン(エチレンオキシドの付加モル数4以上、好ましくは6以上、そして、30以下、好ましくは15以下)アルキル(炭素数8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下)エーテル、脂肪酸アルカノールアミド(脂肪酸の炭素数9以上、好ましくは11以上、そして、19以下、好ましくは15以下)、ポリオキシエチレンアルキルアミン(エチレンオキシドの付加モル数1以上、そして、5以下、好ましくは3以下)、脂肪酸グリセリンエステル(脂肪酸の炭素数9以上、好ましくは11以上、そして、19以下、好ましくは15以下)等が挙げられる。前記脂肪酸アルカノールアミドのアルカノールは、好ましくはエタノール、ジエタノールである。前記脂肪酸グリセリンエステルは、モノエステル、ジエステル、又はトリエステルであり、モノエステルが好ましい。
【0035】
陰イオン界面活性剤として、特に限定されるものではないが、ポリオキシアルキレン基を有する陰イオン界面活性剤が挙げられる。例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンジアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンジアルケニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンモノフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンジフェニルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル酢酸塩等が挙げられる。これらのアルキル基又はアルケニル基の炭素数は8以上、好ましくは10以上、そして、18以下、好ましくは14以下である。また、ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレンが好ましい。また、オキシエチレン基等のオキシアルキレン基の平均付加モル数は0.1以上、好ましくは0.5以上、そして、5以下、好ましくは3以下である。また、塩はアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩などが挙げられる。
【0036】
陽イオン界面活性剤としては、アルキル(例えば炭素数6以上、好ましくは8以上、そして、16以下、好ましくは14以下)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(例えば炭素数6以上、好ましくは8以上、そして、16以下、好ましくは14以下)ジメチルアンモニウム塩、トリエタノールアミン・ジ脂肪酸エステル四級塩、N-ヒドロキシエチル-N-メチル-プロパンジアミンの脂肪酸モノエステルモノアミド塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレンポリアミン等が挙げられる。
【0037】
陽イオン界面活性剤は、殺菌性を有するものであってよい。
陽イオン界面活性剤としては、下記一般式(a3-3)で表される陽イオン界面活性剤が挙げられる。
【0038】
【化4】
【0039】
[式中、
41は、炭素数6以上16以下のアルキル基であり、
42は、メチル基、エチル基及び炭素数6以上16以下のアルキル基からなる群から選択される基であり、
43は、メチル基又はエチル基であり、
44は、メチル基、エチル基及びベンジル基からなる群から選択される基であり、
は、対イオンである。]
【0040】
一般式(a3-3)中、R41は、炭素数6以上、好ましくは8以上、そして、16以下、好ましくは14以下のアルキル基である。
また、一般式(a3-3)中、R42は、メチル基、エチル基及び炭素数6以上16以下のアルキル基からなる群から選択される基であり、メチル基、エチル基、及び炭素数8以上14以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
また、一般式(a3-3)中、R43は、メチル基又はエチル基であり、メチル基が好ましい。
また、一般式(a3-3)中、R44は、メチル基、エチル基及びベンジル基からなる群から選択される基であり、メチル基、又はベンジル基が好ましく、ベンジル基がより好ましい。
また、一般式(a3-3)中、Lは、対イオンであり、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン、炭素数1以上5以下のアルキル硫酸イオン、炭素数1以上3以下のアルキル基を置換基として有するアルキル置換ベンゼンスルホン酸イオン及び炭素数6以上18以下のアルキルリン酸イオンからなる群から選択される陰イオン基が挙げられる。Lは、塩化物イオン、臭化物イオン及び炭素数1以上5以下のアルキル硫酸イオンからなる群から選択される陰イオン基が好ましい。
【0041】
(a3)成分は、両性界面活性剤及び双性界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤が好ましい。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(a3)成分として、両性界面活性剤及び双性界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤を含有することが好ましい。
【0042】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、油汚れに対する洗浄力と仕上がり性の両立の観点から、(a1)成分の含有量と(a2)成分の含有量の合計含有量と(a3)成分の含有量との質量比である〔(a1)+(a2)〕/(a3)が0.25以上2以下である。〔(a1)+(a2)〕/(a3)の質量比は、好ましくは0.35以上、より好ましくは0.45以上、そして、好ましくは1.7以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1以下、より更に好ましくは0.8以下である。
【0043】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、油汚れに対する洗浄力の観点から、(a1)成分の含有量と(a2)成分の含有量との質量比である(a1)/(a2)が好ましくは0.1超10以下である。(a1)/(a2)の質量比は、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、より更に好ましくは0.5以上、より更に好ましくは1以上、そして、好ましくは8以下、より好ましくは5以下、より更に好ましくは2以下、より更に好ましくは2未満である。
【0044】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、界面活性剤成分の析出を抑制する観点から、(a1)成分の含有量と(a3)成分の含有量との質量比である(a3)/(a1)が好ましくは1超10以下である。(a3)/(a1)の質量比は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、そして、好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。
【0045】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、油汚れに対する洗浄力と仕上がり性の両立の観点から、(a2)成分の含有量と、(a1)成分の含有量と(a3)成分の含有量の合計との質量比である〔(a1)+(a3)〕/(a2)が好ましくは1超11以下である。〔(a1)+(a3)〕/(a2)の質量比は、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、そして、より好ましくは10以下、更に好ましくは9以下、より更に好ましくは7以下である。
【0046】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、界面活性剤成分の析出を抑制する観点から、(a)成分を、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、そして、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下含有する。
【0047】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、水を含有する。水の含有量は、例えば、80質量%以上、更に99質量%以上、そして、99.7質量%以下、更に97質量%以下である。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は液体である。
【0048】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(b)水溶性溶剤〔以下、(b)成分という〕を含有することが好ましい。(b)成分について「水溶性」とは、20℃の水100gに5g以上溶解することをいう。
【0049】
(b)成分の水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、2-メチル-2-プロパノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、フェノキシエタノール、フェニルグリコール、フェニルジグリコール、フェノキシイソプロパノール、ジブチレンジグリコール、ベンジルアルコールから選ばれる水溶性溶剤が挙げられる。(b)成分は、洗浄性向上の観点から、エタノール、メチルプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、及びブチルプロパノールから選ばれる水溶性溶剤がより好ましい。
【0050】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物が(b)成分を含有する場合、組成物中の(b)成分の含有量は、例えば、1質量%以上、更に2質量%以上、そして、10質量%以下、更に8質量%以下である。
【0051】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、その他の任意成分として、酸化防止剤、防腐剤、増粘剤、防錆剤、pH調整剤、色素、香料、殺菌剤等を含有することができる。なお、任意成分は、ふき取り後の仕上がり性を考慮してその配合量が調整される。
【0052】
本発明では、組成物中の金属イオン封鎖剤の量が、(a)成分に対して10質量%以下、更に5質量%以下、更に3質量%以下、更に0質量%であってもよい。すなわち、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、金属イオン封鎖剤を含有しないものであってもよい。このように含有量が制限される金属イオン封鎖剤は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、メチルグリシン二酢酸、グルタミン酸二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、ニトリロ三酢酸、1,3-プロパンジアミン三酢酸、1,3-ジアミノ-2-ヒドロキシプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、及びヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジカルボキシメチルグルタミン酸等のポリカルボン酸、並びにトリポリリン酸等から選ばれる金属イオン封鎖剤であってよい。
【0053】
香料として、単独の香料成分を用いてもよく、複数の香料成分を特定の比率で含有する香料組成物を用いることもできる。香料成分としては、「香料の化学」(赤星亮一著、日本化学会編産業化学シリーズ昭和58年9月16日発行)や「合成香料化学と商品知識」(印藤元一著、化学工業日報社、1996年3月6日発行)や「香料と調香の基礎知識」(中島基貴著、産業図書(株)、1995年6月21日発行)に記載のものを用いることができる。具体的には、炭化水素系香料、アルコール系香料、エーテル系香料、アルデヒド系香料、ケトン系香料、エステル系香料、ラクトン系香料、環状ケトン系香料及び含窒素系香料から選ばれる1種以上、好ましくは炭化水素系香料、アルコール系香料及びアルデヒド系香料から選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0054】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、25℃におけるpHが5以上、好ましくは6以上、そして、9以下、好ましくは8以下である。このようなpHは、洗浄対象への影響などを考慮すると好ましいものであり、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、このpH範囲で優れた洗浄力と仕上がり性を両立できる。
【0055】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、25℃における粘度が、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは2mPa・s以上、そして、好ましくは1000以下、より好ましくは300mPa・s以下である。この粘度は、ウベローデ粘度計(柴田科学機械工業(株)製)により測定されたものである。
【0056】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、厨房、台所、浴室、トイレ等の一般家庭の硬質表面や、食品加工工場等、各種工業施設などの硬質表面に適用できる。なかでも、油汚れが付着しやすい厨房、台所、居間、調理器具、食品加工工場等の硬質表面に好適に適用できる。硬質表面の清拭洗浄用洗浄剤組成物は、本発明の好適な態様の1つである。
【0057】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、噴霧又は塗布して、油汚れ等が付着した硬質表面に接触させて用いることが好ましい。噴霧や塗布には、スプレー手段を用いることができる。本発明により、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、プレイヤーを具備する容器に充填してなる、スプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品が提供される。
【0058】
本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品における本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を充填するスプレイヤーを具備する容器は、トリガー式スプレー容器、ポンプ式スプレー容器等の噴射剤を使用しない手動式スプレー装置、噴射剤を用いるエアゾール等が挙げられる。前記スプレイヤーを具備する容器は、内容物を液滴状又は泡状にして噴霧又は塗布することができるトリガー式スプレーが好ましく、内容物を液滴状に噴霧する機構を備えたトリガー式スプレー又は泡を形成する機構(泡形成機構)を備えたトリガー式スプレーがより好ましい。
【0059】
本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品において、液滴状に本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を噴霧する機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、前記組成物を入れるスプレー容器の噴射ノズルの噴口径は、スプレーのし易さや、噴射された液滴が荒くなく、直線状にスプレーされず、スプレーできる面積が極端に狭くならないために、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、そして、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下の範囲である。
液滴状に噴霧する機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品は、1回の操作で、好ましくは0.1mL以上、より好ましくは0.3mL以上、そして、好ましくは5mL以下、より好ましくは2mL以下の組成物を噴霧する。
【0060】
また本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品において、泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、好ましくはスピンエレメント及び直径4~8mmの円形状の空間部分に棒状の突起を数個設置された液体通過板を有するものが好適である。ここでスピンエレメントとは、スピンエレメントを通じて液状物の流れにスピンを与え、最後にノズルから噴出する機構であり、その詳細な構造としては特開平8-332422号公報や特開平8-108102号公報の図4(b)、特開2002-68265号公報の図1などを参考にすることができる。
【0061】
泡形成機構を備えたトリガー式スプレーを用いる場合、本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品は、1回の操作で、好ましくは0.5mL以上、より好ましくは1mL以上、そして、好ましくは30mL以下、より好ましくは15mL以下、更に好ましくは5mL以下の組成物を噴霧する。
【0062】
泡形成機構のもう一つの部材である液体通過板は、直径5~7mmの円形状の空間部分に棒状の突起を好ましくは3~8個設置されたものであり、通過する板を平面で見た場合に、好ましくは幅0.8~1.2mm、長さ2~4mmの長方形状の棒状の突起が好適である。また、棒状の突起を除いた空間部分に対する棒状の突起の占める面積は、好ましくは30面積%以上、より好ましくは40面積%以上、そして、好ましくは90面積%以下、より好ましくは80面積%以下、更に好ましくは70面積%以下であり、このような液体通過板を設置することで、垂直表面への泡の付着滞留性が良好になる。
【0063】
本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品の容器は、一般に使用されている容器を用いることができる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートを原料として得られるものであり、ブロー成形などによって製造することができる。容器の肉厚は底面と側面と異なってもよく、0.01~2mmが好ましく、容器の容量は100~1000mLが好ましい。容器に充填される硬質表面用液体洗浄剤組成物の量は、取り扱い上、200~500mLが望ましい。また液の充填は、常識的な空隙を残して行われる。
【0064】
<硬質表面の洗浄方法>
本発明は、前記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を用いて、硬質表面を清拭洗浄する、硬質表面の洗浄方法を提供する。
前述のように、界面活性剤を用いた硬質表面の洗浄では、洗浄後の拭きとりを行った場合に、硬質表面に残存する微粒子が可視光を乱反射して拭き筋として認識されることが判明した。本発明のように、(a)成分として、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分を所定条件で組み合わせて用いることは、洗浄後の拭き取りの際に界面活性剤が粒子化する際の微小粒子の形成を促進し、その結果、仕上がり性の向上がもたらされると考えられる。従って、本発明により、例えば、(a)界面活性剤〔以下、(a)成分という〕及び水を含有する硬質表面用洗浄剤組成物で硬質表面を清拭洗浄する際に、清拭後の硬質表面における(a)成分の微小粒子の形成を促進して硬質表面の拭き筋を低減する、硬質表面の洗浄方法もまた提供できる。
【0065】
また、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物及びスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品は、水拭き用組成物ないし水拭き用物品として好適である。すなわち、居間、部屋、台所、浴室、トイレといった居住まわり等の硬質表面(各種物品、床、壁、天井等)等の軽い洗浄に好適に用いられる。この場合、本発明の組成物は、泡立ち、ヌルつき、跡残りが生じず、仕上がり性に優れており、また、乾燥も早いため、別途水拭き(二度拭き)する必要がない。本発明により、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に適用した後、拭き取り洗浄を行う硬質表面の洗浄方法が提供される。拭き取り洗浄は、布巾、雑巾、不織布等を用いて、硬質表面に適用した組成物を硬質表面から除去することが好ましい。
【0066】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、基体に含浸させて清掃用物品として使用することもできる。本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を基体に含浸させた清掃用物品は、清掃作業の作業性の観点から好ましい。
【0067】
本発明の硬質表面の洗浄方法には、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。
【0068】
本発明の硬質表面の洗浄方法では、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物をスプレー容器に充填し泡状に噴霧して硬質表面上の汚れに適用することが好ましい。本発明の硬質表面の洗浄方法では、前記した、本発明のスプレー容器入り硬質表面用洗浄剤物品を用いることができる。
本発明の硬質表面の洗浄方法では、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を硬質表面に適用した後、所定時間、例えば、10秒以上、更に0.5分以上、更に1分以上、そして、5分以下、更に3分以下、更に2分以下静置することが好ましい。
本発明の硬質表面の洗浄方法では、硬質表面の清拭洗浄は、適当な拭き取り材、例えば、シート、ブラシ、モップなどを用いて行うことができる。拭き取り材は、天然繊維、合成繊維などの繊維を含んでよい。
本発明の硬質表面の洗浄方法では、清拭洗浄後の硬質表面を、水などですすいでもよい。
【0069】
本発明の硬質表面の洗浄方法の例として、例えば、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物を、住居周りの硬質表面、すなわち、台所、食卓、フローリング床、家具、家電の外装、浴室、トイレ、鏡、ガラス、洗面台、コンロ、車内等に、所定量、例えば1mあたりおよそ6mL、噴射又は塗布したあと、支持体、例えば乾いた、もしくは処方液や水等が含浸された支持体、を用いて拭き取る、硬質表面の洗浄方法が挙げられる。拭き取りは、布巾、雑巾、不織布、キッチンペーパー、ティッシュペーパー等を用いて、硬質表面に適用した組成物を硬質表面から除去することが好ましい。この場合、本発明の組成物は、仕上がり性に優れており、また、乾燥も早いため、別途水拭き(二度拭き)する必要がない。
【実施例
【0070】
<実施例1~13及び比較例1~5>
表1に示される硬質表面用洗浄剤組成物を調製し、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0071】
〔洗浄力の評価〕
ステンレス天板(JISG4305、SUS304、8cm×12cm×1.0mm、エンジニアリングテストサービス(株)製)に、180℃で6時間加熱して変性させた菜種油(富士フイルム和光純薬(株))をスプレーして付着させた。付着量は実場面汚れ量を想定し、0.1mg/cmとした。ステンレス表面に硬質表面用洗浄剤組成物を1回スプレー(10mg/cm)した後、キッチンペーパー(エリエール超吸収キッチンタオル、大王製紙(株)製)1枚で拭き取りし、拭き取り前後のステンレス天板の質量差から油汚れ洗浄率を算出した。洗浄率は、洗浄率=(1-[(A2)-(A0)]/[(A1)-(A0)])×100より算出した。式中、A0は汚れ付着前のステンレス天板質量(g)、A1は汚れが付着したステンレス天板の質量(g)、A2は拭き取り洗浄後のステンレス天板質量(g)である。各質量は、メトラートレド社製AB204-S分析天秤で計測した。
得られた洗浄率から洗浄力を下記の判定基準にて判定した。
5点:洗浄率が97%を超え100%以下
4点:洗浄率が95%を超え97%以下
3点:洗浄率が90%を超え95%以下
2点:洗浄率が80%を超え90%以下
1点:洗浄率が80%以下
【0072】
〔仕上り性の評価〕
前記洗浄力の評価で、キッチンペーパーで拭き取りを行った後、ステンレス表面の仕上がり性を、パネラー4人(20代から30代の当該分野の研究員)が目視にて観察し、下記の基準にて判定した。表1には、4人の平均値を示した。
5点:拭き筋がほとんどないレベル
4点:わずかに拭き筋が残るが全く気にならないレベル
3点:わずかに拭き筋が残るが気にならないレベル
2点:拭き筋が残り気になるレベル
1点:拭き筋が著しく残るレベル
【0073】
【表1】
【0074】
表中の成分は以下のものである。
・ラウリルグリコシド:マイドール12、花王株式会社製
・2-エチルヘキシルグリセリルエーテル:ペネトールGE-EH、花王株式会社製
・ラウリルジメチルアミンオキシド:アンヒトール20N、花王株式会社製
・ラウリルアミノプロピルジメチルアミンオキシド:ソフタゾリンLAO、川研ファインケミカル株式会社
・ラウリル-2-ヒドロキシプロピルスルホベタイン:アンヒトール20HD、花王株式会社製
・ラウリン酸アミドプロピルベタイン:アンヒトール20AB、花王株式会社製
・ラウリルベタイン:アンヒトール20BS、花王株式会社製
・POEアルキルエーテル:エマルゲン108、花王株式会社製
・ラウリン酸ジエタノールアミド:アミノーンL-02、花王株式会社製
・ポリオキシエチレンアルキルアミン:アミート320、花王株式会社製
・POE(2.0)アルキル硫酸Na:エマール227、花王株式会社製
・塩化ベンザルコニウム:サニゾールB-50、花王株式会社製
・ソルビタン脂肪酸モノラウレート:エマゾールL-10V、花王株式会社製
・ショ糖脂肪酸エステル:サンソフトNo.750-C、太陽化学株式会社製
【0075】
<配合例1~10>
表2に、本発明の硬質表面用洗浄剤組成物の配合例を示す。
【0076】
【表2】
【0077】
表中、ソルビタン脂肪酸モノラウレートとショ糖脂肪酸エステルは以下のものである。表中のその他の成分(一部)は実施例1で用いたものと同じものである。
・ソルビタン脂肪酸モノラウレート:エマゾールL-10V、花王株式会社製
・ショ糖脂肪酸エステル:サンソフトNo.750-C、太陽化学株式会社製