(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】信号制御機のケース
(51)【国際特許分類】
G08G 1/095 20060101AFI20241211BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G08G1/095 C
H05K5/02 J
(21)【出願番号】P 2020130426
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】高城 里香
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-173997(JP,A)
【文献】実開昭49-145503(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/095
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号灯器を制御する信号制御機の筐体内側に設けられ、筐体外側に取り出し可能な手動スイッチを収納するケースにおいて、
前記ケースに、前記信号制御機で使用する工具を収納する収納部を一体に設け
、
前記工具は、ドライバーであり、
前記収納部は、前記ケースの外壁面に、前記ドライバーのグリップ先端より延びる軸を少なくとも挿入する略半割り管状に形成され、
前記収納部は、その内部で軸方向の途中の内壁が軸心方向へ縮径して前記ドライバーの軸に近接する縮径部を備えることを特徴とする信号制御機のケース。
【請求項2】
前記収納部は、前記ケースと共に樹脂により一体成形されたことを特徴とする請求項1に記載の信号制御機のケース。
【請求項3】
前記収納部の入口に、前記ドライバーの軸の先端を内部へ誘い込む誘導部を備えることを特徴とする請求項
1または2に記載の信号制御機のケース。
【請求項4】
前記収納部の入口の内側に、前記ドライバーのグリップ先端を受ける座面部を備えることを特徴とする請求項
1,2または3に記載の信号制御機のケース。
【請求項5】
前記収納部の入口の内側に、前記ドライバーのグリップ先端に対して選択的に係合可能であり、係合した際に抜け止めとなる抜止部を備えることを特徴とする請求項
1,2,3または4に記載の信号制御機のケース。
【請求項6】
前記収納部は、その内部で軸方向の途中に内壁より突出して下方へ傾斜し前記ドライバーの軸を下方へ誘導する突片部を備えることを特徴とする請求項
1,2,3,4
または5に記載の信号制御機のケース。
【請求項7】
前記収納部は、入口から下方に向かって縮径するテーパー状に形成されたことを特徴とする請求項1,2,3,4,5
または6に記載の信号制御機のケース。
【請求項8】
前記収納部は、その後方に沿って入口から下方かつ前方に向かい傾斜する後方スロープと、該後方スロープの下側から下方に向かい開口する縦溝と、該縦溝と対向する内部で下方かつ後方に向かい傾斜する前方スロープと、を備えることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6
または7に記載の信号制御機のケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号灯器を制御する信号制御機の筐体内側に設けられ、筐体外側に取り出し可能な手動スイッチを収納するケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、信号制御機は、例えば特許文献1,2に開示されているように、交差点に設置されており、信号灯器の点灯を予め定められたプログラム通りの周期で自動制御したり、交通管制センターとの通信により、実際の交通量に応じて周期を変えられるものであるが、必要に応じて手動で操作できるように構成されている。
【0003】
信号制御機の手動操作に関しては、例えば信号制御機の筐体の開口面を開閉する外扉の内側に、筐体外側に取り出し可能な手動スイッチを備えるものが一般的であった。手動スイッチは、信号灯器の自動制御に代わって現示(現在の灯色)を手動で切り替えるものであり、通常は外扉の内側に設けられたケース内に、磁石により着脱自在に取り付けられていた。
【0004】
また、筐体の内部には、信号灯器の制御を行うための各種の基板が収納されている。これらの基板の中には、設置時や保守点検時に基板にあるコネクタに対して、専用の工具であるドライバーの刃先を差し込んで作業するものがある。よって、
図36に示すように、信号制御機に、作業者の便宜のためにドライバーAを付帯して出荷する場合があった。ここでドライバーAの付帯は、例えば市販のケーブルクリップBで工具を挟み、クリップBの裏面の両面テープにより、外扉12の裏側のうちケース21傍らに貼り付けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-221497号公報
【文献】特開昭59-99600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来の信号制御機では、専用の工具であるドライバーAを付帯して出荷する場合、市販のケーブルクリップBを購入する費用も別途発生する。また、クリップB自体の貼り付け作業やクリップBでドライバーAを挟む作業も必要となり、余分な作業工数も発生してコストアップの要因となる虞があった。
【0007】
また、ドライバーAの使用時に、クリップBからの着脱に両手を要するなど面倒で手間がかかるだけでなく、ドライバーAのがたつきが生じやすく、外れて落下する虞もあった。ところで、クリップBによるライバーAの取付位置は、外扉12の裏側のうちケース21傍らであったが、仮にケース21を従来の板金から樹脂化する場合、ケース21の設計の自由度が上がるため、ドライバーAをケース21自体に取り付けるような工夫も考えられる。
【0008】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、専用の工具を付帯させるための市販品を別途購入する必要がなく、コストや作業工数を低減することができ、工具を容易かつ確実に出し入れすることが可能となり操作性も向上する信号制御機のケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明の一態様は、
信号灯器を制御する信号制御機の筐体内側に設けられ、筐体外側に取り出し可能な手動スイッチを収納するケースにおいて、
前記ケースに、前記信号制御機で使用する工具を収納する収納部を一体に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る信号制御機のケースによれば、専用の工具を付帯させるための市販品を別途購入する必要がなく、コストや作業工数を低減することができ、工具を容易かつ確実に出し入れすることが可能となり操作性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る信号制御機のケースを内側から見て、収納部を使用していない状態と使用している状態を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る収納部を示す6面図である。
【
図3】第1実施形態に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態の変形例に係る収納部を示す6面図である。
【
図5】第1実施形態の変形例に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図6】第2実施形態に係る収納部を示す6面図である。
【
図7】第2実施形態に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図8】第2実施形態の変形例に係る収納部を示す6面図である。
【
図9】第2実施形態の変形例に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図10】第3実施形態に係る収納部を示す6面図である。
【
図11】第3実施形態に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図12】第3実施形態の変形例に係る収納部を示す6面図である。
【
図13】第3実施形態の変形例に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図14】第4実施形態に係る収納部を示す6面図である。
【
図15】第4実施形態に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図16】第4実施形態の変形例に係る収納部を示す6面図である。
【
図17】第4実施形態の変形例に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図18】第5実施形態に係る収納部を示す6面図である。
【
図19】第5実施形態に係る収納部とその使用状態を示す斜視図、それに使用状態を示す縦断面図である。
【
図20】第5実施形態の変形例に係る収納部を示す6面図である。
【
図21】第5実施形態の変形例に係る収納部とその使用状態を示す斜視図、それに使用状態を示す縦断面図である。
【
図22】第6実施形態に係る収納部を示す6面図である。
【
図23】第6実施形態に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図24】第6実施形態の変形例に係る収納部を示す6面図である。
【
図25】第6実施形態の変形例に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図26】第7実施形態に係る収納部を示す6面図である。
【
図27】第7実施形態に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図28】第7実施形態の変形例に係る収納部を示す6面図である。
【
図29】第7実施形態の変形例に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図30】第8実施形態に係る収納部を示す6面図である。
【
図31】第8実施形態に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図32】第8実施形態の変形例に係る収納部を示す6面図である。
【
図33】第8実施形態の変形例に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【
図34】第8実施形態の別の変形例に係る収納部を示す6面図である。
【
図35】第8実施形態の別の変形例に係る収納部とその使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明を代表する各種実施形態を説明する。
図1~
図3は、本発明の第1実施形態を示している。
第1実施形態に係る信号制御機10は、交差点等に設置された各信号灯器の主に点灯動作等を制御するものである。なお、信号制御機10について、既に周知な事項の詳細な説明は適宜省略する。また、信号制御機10において、従来品と共通する構成については
図36を参照する。
【0013】
<信号制御機10の概要>
図36に示すように、信号制御機10は、上下方向に長い箱状に形成された筐体11を備え、筐体11の内部に、信号灯器の制御を行うための各種基板として、入出力基板や制御基板、それに電源ユニット等の内部機構が収納されている。筐体11は、例えば板金等の金属で形成されており、正面側が大きく開口している。
【0014】
筐体11の正面側には、開口を覆う外扉12と、その内側の内扉13とが、それぞれ開閉可能に設けられている。内扉13は、開口内枠に収まる状態で上下に2分割され、上下それぞれの一側端が筐体11の開口の一側端に蝶番を介して連結され、蝶番を回動中心として他側端を前方に向けて開くことができる。
【0015】
外扉12は、筐体11の開口外枠に重なる長方形の板状に形成され、その一側端が筐体11の開口の一側端に蝶番を介して連結され、蝶番を回動中心として他側端を前方に向けて開くことができる。外扉12には、施錠可能なロック機構14が設けられている。また、外扉12の内側には、手動操作部20が設けられている。
【0016】
手動操作部20は、信号灯器を自動制御に代わって手動で操作するためのものである。手動操作部20は、外扉12が閉じられた状態でも、外扉12に開設された窓部(図示せず)を通じて、外部から操作できるように構成されている。なお、前記窓部は、通常は施錠可能な蓋板によって外側から閉じられている。
【0017】
<手動操作部20>
図1に示すように、手動操作部20は、前記窓部を通じて外扉12の外側に取り出し可能な手動スイッチ30と、該手動スイッチ30を収納するケース21と、を備えている。手動スイッチ30は、使用者が握って操作するものであり、略円筒形のグリップ本体31の上端に、押下操作するノック式の押ボタン32が出没可能に設けられている。手動スイッチ30は、押ボタン32を押すごとに、対応する信号灯器のステップ(階梯)を手動で進めて現示(現在の灯色)を切り替えるものである。
【0018】
グリップ本体31の外周のうち一側端に沿って、軸方向と平行に延びる平面部位を備えた磁石33が設けられている。この磁石33によって、手動スイッチ30は、次述するケース21の内壁に磁力で着脱可能に取り付けることができる。グリップ本体31の下端部は、伸縮自在な螺旋状のコード34を介して、操作信号を出力可能に内部機構と連結されている。ここでコード34の基端にあるプラグは、レセプタクル37に接続されている。
【0019】
<<ケース21>>
図1に示すように、ケース21は、その正面側が開口した底浅な箱状に形成されている。ケース21は、外扉12の内側において、正面開口が前記窓部に合致するように固定されている。よって、前記窓部の蓋板を開ければ、外扉12の外側からケース21の内部を覗くことができる。このケース21の内壁のうち、正面開口と対向して基準面をなす背面部22に、前記手動スイッチ30は着脱可能に取り付けられており、前記窓部を通じて外部に取り出して操作することができる。
【0020】
詳しく言えばケース21は、その基準面をなす背面部22の四辺より、それぞれ所定高さで立ち上がる周壁をなす各面部として上面部23、下面部24、および両側面部25,26を備えている。上面部23と下面部24には、それぞれ端縁に外扉12の内側に固定するためのフランジ28a,28bが略直角に延設されている。このようなケース21は、次述する収納部27等も含めて全て樹脂により一体成形されている。
【0021】
ケース21の一方の側面部25側には、手動スイッチ30とは別の各種スイッチ35,36等を収納するために、正面側が開口して区画された小空間をなす収納部27が一体的に設けられている。収納部27の内側には、動作切替スイッチ35、現示切替スイッチ36、手動スイッチ30のコード34を接続するレセプタクル37、これらの配線を接続するコネクタ38等が収納されている。
【0022】
<<収納部50>>
ケース21のもう一方の側面部26側には、信号制御機10で使用する工具を収納する収納部50が一体に設けられている。ここで信号制御機10で使用する工具とは、例えば
図19に示すドライバーAであるが、例えばJIS規格でサイズが定められている一般のタイプよりも小さいサイズの精密ドライバーの類いである。
図19に示すように、ドライバーAは、操作する手で握るグリップA1と、グリップA1の先端より軸方向に延びる軸A2とを備えている。
【0023】
一般にドライバーは、軸の先端の形状により、プラスドライバーとマイナスドライバーとに分類されるが、本実施形態のドライバーAは、精密ドライバーのうちマイナスドライバーに相当するものである。なお、ドライバーAのグリップA1の先端面は、フランジ状に周囲に広がり、その外周には等間隔で並ぶ軸心側への凹みが設けられている。
【0024】
信号制御機10におけるドライバーAの使用は、例えば筐体11の内部に収納された入出力基板や制御基板において、当該基板上にあるコネクタに差し込むことで、設置時や保守点検時に必要な作業を行うことである。もちろん、ドライバーAの用途は、特に限定されるものではなく、信号制御機10に関する使用であれば何でも良い。なお、専用の工具自体も、ドライバーに限定されるものではなく、収納部50に収納可能な軸状の部位を備えるものであれば、ドライバー以外であっても構わない。
【0025】
図2および
図3は、第1実施形態の収納部50を示している。
図2では、収納部50を前側から見たものを正面図として、図中の中段の左から順に、収納部50の左側面図、正面図、右側面図、背面図を示し、正面図の上段に平面図、正面図の下段に底面図を示している。以下の説明で、正面図に示す収納部50の紙面前方となる向きを「前方」とし、背面図に示す収納部50の紙面前方となる向きを「後方」とし、この前後方向と直交する方向を「左右両側」とする。
【0026】
また、
図3では、図中の左側に収納部50を前方から見た斜視図を示し、その右側に収納部50にドライバーAを収納した斜視図を示している。なお、前述した
図2中における6面図の並びと、
図3における2つの斜視図の並びは、以下に説明する各種実施形態とその変形例においても同様である。
【0027】
図2および
図3に示すように、第1実施形態の収納部50は、ドライバーAのグリップA1の先端より延びる軸A2を囲む略半割り管状に形成されている。このような収納部50は、その全長(全高)に亘って同一の略U字形断面が続く最もシンプルな基本形状となっている。詳しく言えば収納部50は、上下に細幅に延びる平板状の両側部51,51と、各側部51の後端側に一体に連なって閉じる半円管状の後部52とからなり、前方が開口している。収納部50の上端側は、そのままドライバーAを軸A2から挿入する入口となる。ここで入口は、収納部50の上端の開口縁に限らず、開口縁より下方の部位も所定範囲で含む概念である。
【0028】
収納部50の全長(全高)は、例えばドライバーAの軸A2の長さに応じて設定する。また、収納部50の内径(幅)は、例えばドライバーAの軸A2の太さ(外径)に応じて設定する。第1実施形態の収納部50では、その上端が開口した入口よりドライバーAの軸A2を差して収納した時、グリップA1の先端面は入口の開口縁に当接するように設定されている。
【0029】
各側部51の前端側は、そのまま開口しているが、一方の側部51の前端縁が、横向きでケース21の側面部26の外壁面に連なるように接続される。ここでの接続は、樹脂による一体成形による他、単品として成形した収納部50を後から側面部26に接着したり、あるいは図示省略したが、収納部50に別途設けた例えば舌片状の取付片等を側面部26に簡易にネジ止めしても良い。ケース21を外扉12の内側に取り付けたとき、収納部50の各側部51の前端側は、それぞれ外扉12に当接する状態となる。なお、収納部50をケース21と共に樹脂で一体成形する場合、金型からのケース21全体の型抜き方向に対して、収納部50がアンダーカットとならないように型抜き方向を合致させると良い。
【0030】
このようなケース21に対する収納部50の具体的な取付方法は、後述する他の実施形態においても同様であり、重複した説明は省略する。なお、ケース21に対する収納部50の取付位置は、
図1に示した箇所(側面部26の上側)に限定されるものではない。ケース21の各面部の外壁において、配置スペースがある箇所であれば、どこに設けても良い。ただし、収納部50は、上下方向に延びる状態で配置される。
【0031】
<<取付板40>>
また、ケース21を樹脂で成形したことにより、そのままでは背面部22に手動スイッチ30の磁石33を付けることはできない。よって、
図1に示すように、背面部22の内壁に沿って、磁石33を付けるための取付板40が設けられている。ここで取付板40は、本実施形態では、手動スイッチ30や各種スイッチ35,36の操作説明を文字やピクトグラム等で記した「表示銘板」を兼ねている。
【0032】
取付板40は、矩形の平板状の薄いプレートからなり、その材質は磁石33が付く磁性材料である鉄等の板金である。取付板40の大きさは、手動スイッチ30を取り付ける箇所の周囲に、表示銘板としての文字等を記せるスペースを確保できる程度に設定されている。また、ケース21の背面部22に対する取付板40の取り付けは、例えばネジ等を用いることなく、両面テープや接着剤等により簡単に固定することができる。また、背面部22には、取付板40の取り付け時に仮止めできる構造22aを設けると良い。
【0033】
取付板40の表面上には、例えば手動スイッチ30を取り付ける箇所で、その形状の縁取りの内側に「手動押ボタン取付位置」等と記されている。取付板40は、ケース21内側で収納部27に隣接するように配置され、取付板40の表面には、前記「手動押ボタン取付位置」の正面視右側に、その側方で上下に並ぶ各種スイッチ35,36の動作説明も併せて記されている。なお、取付板40に対する文字等の表記は、直接印刷しても良く、あるいは別途印刷したラベルを貼り付けても良い。
【0034】
ちなみに、取付板40の表面上で、動作切替スイッチ35のトグル式可動子35aが重なる位置には、このスイッチ35による動作切り替えとして、可動子35aが下向きであれば、通常の自動モードであり、可動子35aを上向きとすれば、手動スイッチ30の操作が可能な手動モードに切り替わる説明が記されている。
【0035】
また、取付板40の表面上で、現示切替スイッチ36のトグル式可動子36aが重なる位置には、このスイッチ36による現示(現在の灯色)の切り替えとして、可動子36aが下向きであれば、通常の標準モードであり、可動子36aを上向きとすれば、いわゆる特Iモードに切り替わる説明が記されている。なお、「手動押ボタン取付位置」の正面視左側には、手動スイッチ30による手動操作が終了した後は、動作切替スイッチ35を元の自動モードに戻す旨の注意書きも記されている。
【0036】
<信号制御機10の作用について>
次に、第1実施形態に係る信号制御機10における手動操作部20の作用を説明する。
手動操作部20の主たる構成のケース21は、基本的には樹脂により一体成形する。ケース21を樹脂で成形することにより、従来の板金製に比べて重量を低減することができるだけでなく、複雑な形状であっても比較的容易に成形することができ、量産も可能となり、大幅にコストを低減することができる。
【0037】
このように、ケース21を樹脂化した場合には、ケース21の設計の自由度が上がるため、ドライバーAを収納する収納部50をケース21自体に一体に設けることも可能となる。従って、第1実施形態のように、収納部50をケース21の側面部26に一体に設けたことにより、従来ドライバーAを外扉12の裏側に付帯させていたクリップB等の市販品を別途購入する必要がなく、コストや作業工数を低減することができる。また、収納部50は、工具Aを収納する用途に特化されたものであり、収納部50に対しては、ドライバーAを容易かつ確実に出し入れすることが可能となり操作性も向上する。
【0038】
なお、ケース21を樹脂で成形すると、手動スイッチ30を磁石33で簡単に付けることができなくなる。よって、取付板40を、手動スイッチ30が磁力で着脱可能な磁性材料から形成することで、樹脂製のケース21内でも手動スイッチ30の磁石33を着脱させることができる。ケース21の背面部22に取付板40を設けるには、前述したように、ネジ等を用いることなく、例えば両面テープや接着剤等により簡単に固定することができる。
【0039】
<<収納部50の作用について>>
第1実施形態の収納部50によれば、最もシンプルな基本形状であるため、収納部50を成形する金型が作り易い簡単なものとなり、コストを低減することが可能となる。また、収納部50を成形する樹脂量は比較的少なくて済むため、材料費を抑えることが可能となる。さらに、収納部50では、ドライバーAの軸A2のみが内部に挿入され、グリップA1の先端面は入口の開口縁に当接するため、グリップA1の先端外形が変更されても、収納に影響を受けることはない。
【0040】
<第1実施形態の変形例である収納部50’>
図4および
図5は、第1実施形態の変形例である収納部50’を示している。
本変形例である収納部50’は、前述した第1実施形態の収納部50と基本的な構成は共通するが、収納部50’の内部で軸方向の途中に、当該部位の内壁が軸心方向へ局所的に縮径して、ドライバーAの軸A2(
図19参照)に近接する縮径部53が設けられている。
【0041】
縮径部53では、その最大縮径した頂端の上側と下側に、なだらかに傾斜したテーパーが併せて形成されている。縮径部53がドライバーAの軸A2に対して近接するには、軸A2の外径より若干大きな内径が適するが、必ずしも当接させる必要はなく、がたつかない程度の僅かな隙間が生じても構わない。また、縮径部53の数は、図示した2つに限らず、1つあるいは3つ以上でも良く、また具体的な形状も、適宜定める設計事項である。
【0042】
このように、第1実施形態の変形例である収納部50’によれば、前述した第1実施形態の収納部50が奏する作用効果に加えて、収納部50’に収納された状態のドライバーAのがたつきを低減することができる。また、縮径部53の最大縮径した内径を、ドライバーAの軸A2の外径より僅かに小さくすれば、ドライバーAの抜け止めとなる。なお、第1実施形態の収納部50と共通する作用効果について重複した説明は省略する。
【0043】
<第2実施形態の収納部50A>
図6および
図7は、第2実施形態の収納部50Aを示している。
第2実施形態の収納部50Aは、前述した第1実施形態の収納部50と基本的な構成は共通するが、収納部50Aの入口に、ドライバーAの軸A2の先端を内部へ誘い込む誘導部を備えている。
【0044】
第2実施形態の誘導部は、収納部50Aの入口の下側から上端に向かって広がるスロープ54からなる。ここでスロープ54は、両側部51,51と後部52との上端側を含む全周に亘って設けられている。なお、第1実施形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0045】
このような第2実施形態の収納部50Aによれば、比較的シンプルな基本形状であるため、収納部50Aを成形する金型が作り易い簡単なものとなり、コストを低減することが可能となる。また、収納部50Aを成形する樹脂量は比較的少なくて済むため、材料費を抑えることが可能となる。
【0046】
また、収納部50Aでは、ドライバーAの軸A2のみが内部に挿入され、グリップA1の先端面は入口の開口縁に当接するため、グリップA1の先端外形が変更されても、収納に影響を受けることはない。さらに、収納部50Aでは、入口に誘導部としてスロープ54があるから、スロープ54によってドライバーAの軸A2の先端が内部へ誘い込まれて、ドライバーAを容易に挿入することができる。
【0047】
<第2実施形態の変形例である収納部50A’>
図8および
図9は、第2実施形態の変形例である収納部50A’を示している。
本変形例の収納部50A’は、前述した第2実施形態の収納部50Aと基本的な構成は共通するが、収納部50A’の内部で軸方向の途中に、当該部位の内壁が軸心方向へ局所的に縮径して、ドライバーAの軸A2(
図19参照)に近接する縮径部53が設けられている。なお、縮径部53の構成は、前述した第1実施形態の変形例である収納部50’と同様であり、重複した説明は省略する。
【0048】
このように、第2実施形態の変形例である収納部50A’によれば、前述した第2実施形態の収納部50Aが奏する作用効果に加えて、収納部50A’に収納された状態のドライバーAのがたつきを低減することができる。また、縮径部53の最大縮径した内径を、ドライバーAの軸A2の外径より僅かに小さくすれば、ドライバーAの抜け止めとなる。なお、第2実施形態の収納部50Aと共通する作用効果について重複した説明は省略する。
【0049】
<第3実施形態の収納部50B>
図10および
図11は、第3実施形態の収納部50Bを示している。
第3実施形態の収納部50Bは、前述した第2実施形態の収納部50Aと基本的な構成は共通するが、収納部50Bの上側にある入口の内側に、ドライバーAのグリップA1の先端を受ける座面部55を備えている。
【0050】
第3実施形態の収納部50Bの入口は、円筒状に広がり開口しており、その内側に環状で軸方向に直交する面からなる座面部55が設けられている。また、座面部55の内側には、前記第2実施形態と同様な誘導部をなすスロープ54が連なっている。なお、第2実施形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0051】
このような第3実施形態の収納部50Bによれば、比較的シンプルな形状であるため、収納部50Bを成形する金型が作り易い簡単なものとなり、コストを低減することが可能となる。また、収納部50Bでは、入口に誘導部としてスロープ54があるから、スロープ54によってドライバーAの軸A2の先端が内部へ誘い込まれやすくなり、ドライバーAを容易に挿入することができる。さらに、収納部50Bでは、入口の内側に、ドライバーAのグリップA1の先端面を受ける座面部55があるため、グリップA1の先端が周囲から覆われ先端面は面接触するので、ドライバーAのがたつきを低減することができる。
【0052】
<第3実施形態の変形例である収納部50B’>
図12および
図13は、第3実施形態の変形例である収納部50B’を示している。
本変形例の収納部50B’は、前述した第3実施形態の収納部50Bと基本的な構成は共通するが、収納部50B’の内部で軸方向の途中に、当該部位の内壁が軸心方向へ局所的に縮径して、ドライバーAの軸A2(
図19参照)に近接する縮径部53が設けられている。なお、縮径部53の構成は、前述した第1実施形態の変形例である収納部50’と同様であり、重複した説明は省略する。
【0053】
このように、第3実施形態の変形例である収納部50B’によれば、前述した第3実施形態の収納部50Bが奏する作用効果に加えて、収納部50B’に収納された状態のドライバーAのがたつきをいっそう低減することができる。また、縮径部53の最大縮径した内径を、ドライバーAの軸A2の外径より僅かに小さくすれば、ドライバーAの抜け止めとなる。なお、第3実施形態の収納部50Bと共通する作用効果について重複した説明は省略する。
【0054】
<第4実施形態の収納部50C>
図14および
図15は、第4実施形態の収納部50Cを示している。
第4実施形態の収納部50Cは、前述した第3実施形態の収納部50Bと基本的な構成は共通するが、誘導部の構成が異なるほか、収納部50Cの入口の内側に、ドライバーAのグリップA1の先端に対する抜止部56を備えている。
【0055】
第4実施形態の収納部50Cの入口は、円筒状に広がり少し深く開口しており、その内側下方に、前記第3実施形態と同様の座面部55が設けられている。また、座面部55の内側には、前記第3実施形態と同様の誘導部をなすスロープ54が連なっている。また、第4実施形態の誘導部は、スロープ54に加えて、入口の開口縁より下向きに凹設されたスリット57も備えてなる。ここでスリット57は、当該部位より入口の開口縁の内側へドライバーAの軸A2の先端を導きやすい略U字形に開設されている。
【0056】
さらに、第4実施形態では、収納部50Cの入口の内側上方に抜止部56が設けられている。ここで抜止部56は、ドライバーAのグリップA1の先端に対して選択的に係合可能であり、係合した際に抜け止めとなる凸条からなる。抜止部56は、例えば前記スリット57を間にして2つ並ぶように設けられており、2つの抜止部56の間隔は、前述したグリップA1の先端外周に並ぶ凹み間の寸法に合致している。
【0057】
すなわち、ドライバーAのグリップA1を収納部50Cの入口に挿入するとき、グリップA1の凹みを各抜止部56に合わせれば、そのまま挿入することができる。一方、各抜止部56にグリップA1の凹みを通した後は、ドライバーAを周方向にずらすように回せば、グリップA1の先端外周の凹み間の出っ張りに各抜止部56が上から重なる状態となるので抜け止めとなる。なお、ドライバーAを収納部50Cから抜くときも、ドライバーAを引きながら少し回せば、抜止部56が凹みを通った時点で簡単に抜き出すことができる。
【0058】
このような第4実施形態の収納部50Cによれば、入口に誘導部として、スロープ54だけでなくスリット57もあるから、スロープ54とスリット57によってドライバーAの軸A2の先端が内部へ誘い込まれやすく、ドライバーAをいっそう容易に挿入することができる。また、収納部50Cでは、入口の内側に、ドライバーAのグリップA1の先端面を受ける座面部55もあるため、グリップA1の先端が周囲から覆われ先端面は面接触するので、ドライバーAのがたつきを低減することができる。
【0059】
しかも、収納部50Cによれば、入口の内側に、ドライバーAのグリップA1の先端に対して選択的に係合可能であり、係合した際に抜け止めとなる抜止部56を備える。これにより、ドライバーAを収納部50Cに確実に収納しておくことが可能となり、ドライバーAが収納部50Cから抜け落ちるような事態を防止することができる。
【0060】
<第4実施形態の変形例である収納部50C’>
図16および
図17は、第4実施形態の変形例である収納部50C’を示している。
本変形例の収納部50C’は、前述した第4実施形態の収納部50Cと基本的な構成は共通するが、収納部50C’の内部で軸方向の途中に、当該部位の内壁が軸心方向へ局所的に縮径して、ドライバーAの軸A2(
図19参照)に近接する縮径部53が設けられている。なお、縮径部53の構成は、前述した第1実施形態の変形例である収納部50’と同様であり、重複した説明は省略する。
【0061】
このように、第4実施形態の変形例である収納部50C’によれば、前述した第4実施形態の収納部50Cが奏する作用効果に加えて、縮径部53により、収納部50C’に収納された状態のドライバーAのがたつきをいっそう低減することができる。また、縮径部53の最大縮径した内径を、ドライバーAの軸A2の外径より僅かに小さくすれば、ドライバーAの抜け止めとなる。なお、第4実施形態の収納部50Cと共通する作用効果について重複した説明は省略する。
【0062】
<第5実施形態の収納部50D>
図18および
図19は、第5実施形態の収納部50Dを示している。
第5実施形態の収納部50Dは、入口から下方に向かって縮径するテーパー状に形成されている。すなわち、両側部51,51および後部52に囲まれた内部の横断面積は、一定断面積が確保された円筒状の入口の内側を除いて、全体的には入口の下側から下方へ漸次小さくなる逆円錐形状となっている。
【0063】
第5実施形態では、収納部50Dの入口の内側下方には、前記第4実施形態と同様の座面部55が設けられている。また、第5施形態の誘導部は、入口の内側にスロープ54はないが、入口の開口縁より下向きに凹設されたスリット57は備えてなる。ここでスリット57は、前記第4実施形態と同様に略U字形に開設されている。さらに、第5実施形態でも、収納部50Dの入口の内側上方に、前記第4実施形態と同様の抜止部56が設けられている。
【0064】
このような第5実施形態の収納部50Dによれば、入口から下方に向かって縮径するテーパー状に形成されているから、全体的にドライバーAの軸A2を内部へ誘い込みやすくなり、軸A2の先端が途中で内壁に引っ掛かる虞はなく、最も奥の下端まで確実に落とし込むことができる。しかも、収納部50Dの入口には、誘導部としてスリット57もあるから、ドライバーAの軸A2の先端を入口へ入れやすく、ドライバーAをいっそう容易に挿入することができる。
【0065】
また、収納部50Dでは、入口の内側に座面部55もあるため、ドライバーAのグリップA1の先端が周囲から覆われ先端面は面接触するので、ドライバーAのがたつきを低減することができる。さらに、収納部50Dでは、入口の内側に抜止部56もあるため、ドライバーAを収納部50Dに確実に収納しておくことが可能となり、ドライバーAが収納部50Dから抜け落ちるような事態を防止することができる。
【0066】
<第5実施形態の変形例である収納部50D’>
図20および
図21は、第5実施形態の変形例である収納部50D’を示している。
本変形例である収納部50D’は、前述した第5実施形態の収納部50Dと基本的な構成は共通するが、収納部50D’の内部で軸方向の途中に、当該部位の内壁より突出して下方へ傾斜し、ドライバーAの軸A2(
図21参照)を下方へ誘導する突片部58が設けられている。
【0067】
突片部58は、主として両側部51,51の内壁より舌片状に突出して下方へ傾斜するように、両側で互い違いに配置されている。両側より互い違いに対向する突片部58間の隙間は、ドライバーAの軸A2に対して近接する程度で足りる。このような突片部58は、収納部50D’の内部がスペース的に比較的余裕がある場合に適している。なお、突片部58の数や配置は、図示した3つに限らず、2つあるいは4つ以上でも良く、また具体的な形状も、適宜定める設計事項である。
【0068】
このように、第5実施形態の変形例である収納部50D’によれば、前述した第5実施形態の収納部50Dが奏する作用効果に加えて、突片部58により、ドライバーAの軸A2をよりスムーズに最も奥の下端まで確実に落とし込むことができる。なお、第5実施形態の収納部50Dと共通する作用効果について重複した説明は省略する。
【0069】
<第6実施形態の収納部50E>
図22および
図23は、第6実施形態の収納部50Eを示している。
第6実施形態の収納部50Eは、その後方に沿って入口から下方かつ前方に向かい傾斜する後方スロープと、該後方スロープの下側から下方に向かい開口する縦溝52aと、該縦溝52aと対向する内部で下方かつ後方に向かい傾斜する前方スロープ59と、を備えている。
【0070】
後方スロープは、後部52の上側そのものであり、該後部52は入口の開口縁の一部をなす上端から、横幅は一定の半円管状のままで下方かつ前方に向かい傾斜している。すなわち、後部52の両端に連なる両側部51,51が、それぞれ鉛直線に沿う前端縁に対して、前後幅が下方へ向かい徐々に狭まる略直角三角形状となっている。縦溝52aは、後方スロープの下側から下方に向かい一定幅で所定の長さ分まで開口している。前方スロープ59は、両側部51,51の間で、各側部51の前端縁の略中間から下方かつ後方に向かい傾斜する板状に形成され、その下端は縦溝52aの下端にそのまま連なっている。
【0071】
このような第6実施形態の収納部50Eによれば、後部52の上側である後方スロープによって、ドライバーAの軸A2の先端が入口から内部へ誘い込まれやすく、ドライバーAを容易に挿入することができる。また、収納部50Eの内部にある前方スロープ59によって、ドライバーAの軸A2を最も奥の下端まで確実に落とし込むことができる。
【0072】
また、後方スロープと前方スロープ59とによって、ドライバーAの軸A2は前後から押さえられるため、ドライバーAのがたつきを低減することができる。しかも、ドライバーAの軸A2は、縦溝52aを通じて収納部50Eの外部に露出可能であり、ドライバーAががたついたとしても、軸A2の先端は、信号制御機10の外扉12に当たることがなく、傷つけることがない。
【0073】
<第6実施形態の変形例である収納部50E’>
図24および
図25は、第6実施形態の変形例である収納部50E’を示している。
本変形例である収納部50E’は、前述した第6実施形態の収納部50Eと基本的な構成は共通するが、収納部50E’の内部で後方スロープの途中に、当該部位の内壁が軸心方向へ局所的に縮径して、ドライバーAの軸A2に近接する縮径部53が設けられている。なお、縮径部53の構成は、前述した第1実施形態の変形例である収納部50’と同様であり、重複した説明は省略する。
【0074】
このように、第6実施形態の変形例である収納部50E’によれば、前述した第6実施形態の収納部50Eが奏する作用効果に加えて、縮径部53により、収納部50E’に収納された状態のドライバーAのがたつきを低減することができる。また、縮径部53の最大縮径した内径を、ドライバーAの軸A2の外径より僅かに小さくすれば、ドライバーAの抜け止めとなる。なお、第6実施形態の収納部50Eと共通する作用効果について重複した説明は省略する。
【0075】
<第7実施形態の収納部50F>
図26および
図27は、第7実施形態の収納部50Fを示している。
第7実施形態の収納部50Fは、前述した第6実施形態の収納部50Eと基本的な構成は共通するが、収納部50Fの入口から下方へ傾斜するスロープ54は、後方だけでなく両側も含めた全周に亘って傾斜している。すなわち、第7実施形態のスロープ54は、後部52が傾斜した後方スロープだけでなく、両側部51,51も一緒に上方へ広がるように傾斜した全周スロープとして形成されている。
【0076】
また、収納部50Fの後方である後部52に沿って、前記スロープ54の下側から下方に向かい一定幅で所定の長さ分まで開口する縦溝52aが設けられている。また、収納部50Fの内部には、縦溝52aと対向するように、下方かつ後方に向かい傾斜する前方スロープ59も設けられている。ここで縦溝52aや前方スロープ59については、前述した第6実施形態のものと同等の構成であり、重複した説明は省略する。
【0077】
このような第7実施形態の収納部50Fによれば、入口側には後方スロープだけでなく、これを含めて全周に亘るスロープ54があるため、よりいっそうドライバーAの軸A2の先端が入口から内部へ誘い込まれやすく、ドライバーAを容易に挿入することができる。また、収納部50Fの内部にある前方スロープ59によって、ドライバーAの軸A2を最も奥の下端まで確実に落とし込むことができる。
【0078】
また、スロープ54のうち後方スロープと前方スロープ59とによって、ドライバーAの軸A2は前後から押さえられるため、ドライバーAのがたつきを低減することができる。しかも、ドライバーAの軸A2は、縦溝52aを通じて収納部50Fの外部に露出可能であり、ドライバーAががたついたとしても、軸A2の先端は、信号制御機10の外扉12に当たることがなく、傷つけることがない。
【0079】
<第7実施形態の変形例である収納部50F’>
図28および
図29は、第7実施形態の変形例である収納部50F’を示している。
本変形例である収納部50F’は、前述した第7実施形態の収納部50Fと基本的な構成は共通するが、収納部50F’の内部で後方スロープの途中に、当該部位の内壁が軸心方向へ局所的に縮径して、ドライバーAの軸A2に近接する縮径部53(
図28の背面図にも表れる)が設けられている。なお、縮径部53の構成は、前述した第1実施形態の変形例である収納部50と同様であり、重複した説明は省略する。
【0080】
このように、第7実施形態の変形例である収納部50F’によれば、前述した第7実施形態の収納部50Fが奏する作用効果に加えて、縮径部53により、収納部50F’に収納された状態のドライバーAのがたつきを低減することができる。また、縮径部53の最大縮径した内径を、ドライバーAの軸A2の外径より僅かに小さくすれば、ドライバーAの抜け止めとなる。なお、第7実施形態の収納部50Fと共通する作用効果について重複した説明は省略する。
【0081】
<第8実施形態の収納部50G>
図30および
図31は、第8実施形態の収納部50Gを示している。
第8実施形態の収納部50Gは、前述した第7実施形態の収納部50Fと基本的な構成は共通するが、収納部50Gの入口から下方へ傾斜するスロープ54の形状が若干異なる。すなわち、収納部50Gのスロープ54のうち、両側の両側部51も傾斜する部分は、入口の開口縁に近い上側だけとなっている。なお、前述した第7実施形態の収納部50Fと同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0082】
このような第8実施形態の収納部50Gによっても、前述した第7実施形態の収納部50Fと共通する作用効果を得ることができる。また、第8実施形態の収納部50Gでは、スロープ54の直ぐ下の部分から内径が小さくなっており、当該部分に次述する縮径部53を設けると良い。
【0083】
<第8実施形態の変形例である収納部50G’>
図32および
図33は、第8実施形態の変形例である収納部50G’を示している。
本変形例である収納部50G’は、前述した第8実施形態の収納部50Gと基本的な構成は共通するが、収納部50G’の内部でスロープ54の下方に、当該部位の内壁が軸心方向へ局所的に縮径して、ドライバーAの軸A2に近接する縮径部53が設けられている。なお、縮径部53の構成は、前述した第1実施形態の変形例である収納部50と同様であり、重複した説明は省略する。
【0084】
このように、第8実施形態の変形例である収納部50G’によれば、前述した第8実施形態の収納部50Gが奏する作用効果に加えて、縮径部53により、収納部50G’に収納された状態のドライバーAのがたつきを低減することができる。また、縮径部53の最大縮径した内径を、ドライバーAの軸A2の外径より僅かに小さくすれば、ドライバーAの抜け止めとなる。なお、第8実施形態の収納部50Gと共通する作用効果について重複した説明は省略する。
【0085】
<第8実施形態の別の変形例である収納部50G”>
図34および
図35は、第8実施形態の別の変形例である収納部50G”を示している。本変形例である収納部50G”は、前述した第8実施形態の変形例の収納部50G’と基本的な構成は共通するが、入口の開口縁、下端縁、それに両側部51,51の前端縁に、それぞれフランジ54a,52b,51aが設けられている。なお、収納部50G”におけるフランジ54a,52b,51a以外の構成は、前述した第8実施形態の変形例である収納部50G’と同様であり、重複した説明は省略する。
【0086】
このように、第8実施形態の別の変形例である収納部50G”によれば、前述した第8実施形態の変形例の収納部50G’が奏する作用効果に加えて、フランジ54a,52b,51aにより、高い強度を得ることができる。さらに、両側部51,51の前端縁にあるフランジ51aによれば、ケース21の外壁に一体に設ける時に、のり代を広く確保することもでき、接合強度も高めることができる。
【0087】
<本発明の構成と作用効果>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態から導かれる本発明について、以下に説明する。なお、以下の説明における「収納部50」は、第1実施形態に限られるものではなく、他の実施形態(変形例を含む)の収納部も総称するものとする。
【0088】
[1]先ず、本発明は、
信号灯器を制御する信号制御機10の筐体11内側に設けられ、筐体11外側に取り出し可能な手動スイッチ30を収納するケース21において、
前記ケース21に、前記信号制御機10で使用する工具Aを収納する収納部50を一体に設けたことを特徴とする。
【0089】
このように、収納部50をケース21に一体に設けたことにより、従来工具Aを外扉12の裏側に付帯させていたクリップB等の市販品を別途購入する必要がなく、コストや作業工数を低減することができる。また、収納部50は、工具Aを収納する用途に特化されたものであり、収納部50に対しては、ドライバーAを容易かつ確実に出し入れすることが可能となり操作性も向上する。ここで収納部50は、第1実施形態とのその変形例に限らず、全ての実施形態とその変形例が該当する。
【0090】
[2]また、本発明では、
前記収納部50は、前記ケース21と共に樹脂により一体成形されたことを特徴とする。
【0091】
これにより、より簡易にケース21および収納部50を同時に成形することができる。このように、収納部50をケース21と共に樹脂で一体成形する場合、金型からのケース21全体の型抜き方向に対して、収納部50がアンダーカットとならないように型抜き方向を合致させると良い。なお、収納部50の形状が、ケース21の型抜き方向に対してアンダーカットを含む場合には、金型の工夫が必要となる。よって、収納部50を単品として簡易に成形してから、ケース21に一体に後付けしても良い。
【0092】
[3]また、本発明では、
前記工具は、ドライバーAであり、
前記収納部50は、前記ケース21の外壁面に、前記ドライバーAのグリップA1先端より延びる軸A2を少なくとも挿入する略半割り管状に形成されたことを特徴とする。
【0093】
これにより、収納部50は簡易に構成することができ、金型による型抜きも比較的容易であり、製造コストを低減することが可能となる。ここでの収納部50は、第1実施形態とのその変形例に限らず、全ての実施形態(変形例を含む)が該当する。
【0094】
[4]また、本発明は、
前記収納部50の入口に、前記ドライバーAの軸A2の先端を内部へ誘い込む誘導部を備えることを特徴とする。
【0095】
このような誘導部によれば、収納部50の入口に対してドライバーAを容易に挿入することができる。ここで誘導部としては、具体的には第2,第3,第4,第7,第8実施形態(変形例を含む)の各スロープ54、第6実施形態の後方スロープ、それに第4,第5実施形態(変形例を含む)のスリット57等が該当する。
【0096】
[5]また、本発明は、
前記収納部50の入口の内側に、前記ドライバーAのグリップA1先端を受ける座面部55を備えることを特徴とする。
【0097】
このような座面部55によれば、ドライバーAのグリップA1の先端が周囲から覆われ、グリップA1の先端面は座面部55に面接触するので、ドライバーAのがたつきを低減することができる。ここで座面部55は、第3,第4,第5実施形態(変形例を含む)に備わっている。
【0098】
[6]また、本発明は、
前記収納部50の入口の内側に、前記ドライバーAのグリップA1先端に対して選択的に係合可能であり、係合した際に抜け止めとなる抜止部56を備えることを特徴とする。
【0099】
このような抜止部56によれば、ドライバーAを収納部50に確実に収納しておくことが可能となり、ドライバーAが収納部50から抜け落ちるような事態を防止することができる。ここで抜止部56は、第4,第5実施形態(変形例を含む)に備わっている。
【0100】
[7]また、本発明は、
前記収納部50は、その内部で軸A2方向の途中の内壁が軸A2心方向へ縮径して前記ドライバーAの軸A2に近接する縮径部53を備えることを特徴とする。
【0101】
このような縮径部53によれば、収納部50に収納された状態のドライバーAのがたつきを低減することができる。また、縮径部53の最大縮径した内径を、ドライバーAの軸A2の外径より僅かに小さくすれば、ドライバーAの抜け止めとなる。ここで縮径部53は、第5実施形態(変形例を含む)を除く他の実施形態の変形例に備わっている。
【0102】
[8]また、本発明では、
前記収納部50は、その内部で軸A2方向の途中に内壁より突出して下方へ傾斜し前記ドライバーAの軸A2を下方へ誘導する突片部58を備えることを特徴とする。
【0103】
このような突片部58により、ドライバーAの軸A2をよりスムーズに収納部50の最も奥の下端まで確実に落とし込むことができる。ここで突片部58は、第5実施形態の変形例に備わっている。
【0104】
[9]また、本発明では、
前記収納部50は、入口から下方に向かって縮径するテーパー状に形成されたことを特徴とする。
【0105】
このような収納部50によれば、全体的にドライバーAの軸A2を内部へ誘い込みやすくなり、軸A2の先端が途中で内壁に引っ掛かる虞はなく、最も奥の下端まで確実に落とし込むことができる。このような収納部50は、第5実施形態が相当する。
【0106】
[10]さらに、本発明では、
前記収納部50は、その後方に沿って入口から下方かつ前方に向かい傾斜する後方スロープと、該後方スロープの下側から下方に向かい開口する縦溝52aと、該縦溝52aと対向する内部で下方かつ後方に向かい傾斜する前方スロープ59と、を備えることを特徴とする。
【0107】
このような収納部50によれば、後方スロープによって、ドライバーAの軸A2の先端が入口から内部へ誘い込まれやすく、ドライバーAを容易に挿入することができる。また、前方スロープ59によって、ドライバーAの軸A2を最も奥の下端まで確実に落とし込むことができる。
【0108】
また、後方スロープと前方スロープ59とによって、ドライバーAの軸A2は前後から押さえられるため、ドライバーAのがたつきを低減することができる。しかも、ドライバーAの軸A2は、縦溝52aを通じて収納部50の外部に露出可能であり、ドライバーAががたついたとしても、軸A2の先端は、信号制御機10の外扉12に当たることがなく、傷つけることがない。このような収納部50は、第6,第7,第8実施形態(変形例を含む)が相当する。
【0109】
以上、実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、信号制御機10のほか、手動操作部20、手動スイッチ30等の具体的な形状は、図示したものに限定されることはない。
【0110】
特に、収納部50の具体的な形状は、図示したものに限定されることはない。例えば何れの実施形態においても、収納部は基本的には略半割り管状の形状であるが、かかる形状に限定されることはなく、例えば収納部を全体的に略管状に形成しても良い。また、ケース21に対する収納部50の取付位置は、
図1に示した箇所(側面部26の上側)に限定されるものではない。ケース21の各面部の外壁において、配置スペースがある箇所であれば、どこに設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、信号灯器を制御するための信号制御機に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0112】
10…信号制御機
11…筐体
12…外扉
13…内扉
20…手動操作部
21…ケース
22…背面部
23…上面部
24…下面部
25…側面部
26…側面部
27…収納部
30…手動スイッチ
40…取付板(表示銘板)
50…収納部
51…側部
52…後部
53…縮径部
54…スロープ
55…座面部
56…抜止部
57…スリット
58…突片部