(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ロッド回転駆動装置及び地盤改良機
(51)【国際特許分類】
E21B 3/02 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
E21B3/02 A
(21)【出願番号】P 2020195696
(22)【出願日】2020-11-26
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 重希
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-250956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド挿通孔を有する駆動シャフトを回転可能に備えた駆動装置本体と、前記駆動シャフトに一体回転可能に設けられたロッドチャック機構と、該ロッドチャック機構に対応するチャック解除機構とを備えたロッド回転駆動装置において、
前記ロッドチャック機構は、ロッドの外周面に係合する左右一対のチャック部材と、両チャック部材をロッド径方向に移動させて閉じ状態とするチャック手段と、
前記チャック部材の移動を直接検出するとともに前記チャック部材の移動量があらかじめ設定した閾値を超えたときに作動する無線スイッチとを有し、
前記無線スイッチは、無線信号を発する送信部を備え、前記駆動シャフト
と一体に回転可能に取り付けられていることを特徴とするロッド回転駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載のロッド回転駆動装置を備えた地盤改良機において、前記送信部との間で無線通信を行う受信部と、該受信部で受信した無線信号に基づいて前記チャック部材の開閉状態を報知する報知部とを備えていることを特徴とする地盤改良機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッド回転駆動装置及び地盤改良機に関し、詳しくは、ベースマシンの前部に立設したリーダに沿って昇降可能に設けられるロッド回転駆動装置及びロッド回転駆動装置を備えた地盤改良機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地盤改良機に用いるロッド回転駆動装置(オーガ)では、油圧モータや減速機などの回転駆動源を備えた駆動装置本体に、ロッドに設けた角軸部を挿通して係合可能な角孔を有するロッド回転部(出力軸)と、前記角軸部の下部に設けた周方向の溝部に係合可能なチャック板とを一体回転可能に備えたロッド回転駆動装置が知られている。チャック板は、スプリングの力により係合してロッド回転部にロッドを固定し、この固定の解除は、円錐状のコーン形チャック解除部材をチャック板に設けたコーン形チャック解除部材の受部に圧入し、チャック板をスプリングの力に抗して押し拡げることにより行なう構造である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、地盤改良機には、工法制御のための施工管理プログラムを記憶した施工管理装置が搭載されている。施工管理装置は、ロッドを地中に押し込む場合に、運転室内に設けた制御装置(コントロールボックス)によって施工管理プログラムを実行させて、リーダやロッド回転駆動装置などの各部に設けた複数のセンサから各データを得るとともに、各データから、深度、速度、トルク、回転数などを求めてディスプレイに表示させ、メモリに記録しながら施工を行っている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-189576号公報
【文献】特開2004-250956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載された施工管理システムは、ロッドの掴み替え時(チャック解除時)のロッドの沈み込みによる深度誤差を補正して、正確な深度管理が行える点で有用である。しかしながら、深度補正処理を行うためには、作業を再開するたびに深度の計測停止状態を解除する操作が必要であり、地盤改良機の運転者にとって必ずしも使い勝手がよいとはいえなかった。しかも、高所位置にあるチャックの状態を運転室から目視で確認するのは容易でないため、チャックの閉じ操作後、チャック板がロッドの溝部にはまり込んでいない状態に気付かずに解除操作を行い、そのまま作業を続けてしまうおそれがあった。
【0006】
そこで本発明は、ロッドのチャック状態を確実に判定することができるロッド回転駆動装置及びロッド回転駆動装置を備えた地盤改良機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明のロッド回転駆動装置は、ロッド挿通孔を有する駆動シャフトを回転可能に備えた駆動装置本体と、前記駆動シャフトに一体回転可能に設けられたロッドチャック機構と、該ロッドチャック機構に対応するチャック解除機構とを備えたロッド回転駆動装置において、前記ロッドチャック機構は、ロッドの外周面に係合する左右一対のチャック部材と、両チャック部材をロッド径方向に移動させて閉じ状態とするチャック手段と、前記チャック部材の移動を直接検出するとともに前記チャック部材の移動量があらかじめ設定した閾値を超えたときに作動する無線スイッチとを有し、前記無線スイッチは、無線信号を発する送信部を備え、前記駆動シャフトと一体に回転可能に取り付けられていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明の地盤改良機は、前記ロッド回転駆動装置を備えた地盤改良機において、前記送信部との間で無線通信を行う受信部と、該受信部で受信した無線信号に基づいて前記チャック部材の開閉状態を報知する報知部とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のロッド回転駆動装置によれば、チャック部材の移動を検出する検出手段に無線スイッチを用いているため、その無線式の特徴を活かした回転部位への取付構造が達成される。これにより、チャック部材の移動を直接的に検出することが可能となり、ロッドのチャック状態を確実に判定することができる。また、本発明の地盤改良機によれば、無線スイッチからの信号に基づいてチャック部材の開閉状態を報知する報知部を備えているので、ロッドのチャック状態を判定する際に、目視確認と併せて報知部による補助を受けることが可能となり、運転者の安心かつ安全な作業に資するものである。
【0010】
とりわけ、無線スイッチとこれに付属する通信モジュール(受信部)とからなるシンプルな構成であるため、制御回路の省配線化が図れ、既存の施工管理システムへの連結を容易にするものである。したがって、ロッドの掴み替え時に深度計測を一時停止するような事情があっても、こうした一時停止機能をチャック部材の正確な動作情報に基づき連動させることができるため、特許文献2のような解除スイッチを別途設ける必要がなくなる。すなわち、解除スイッチの操作を運転者に委ねる構成や、解除し忘れたときの手当てをソフト的な処理に頼るといった構成などが一切不要となり、施工管理システムの信頼性向上に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一形態例を示すロッド回転駆動装置を適用した地盤改良機の側面図である。
【
図3】ロッドのチャック状態を示す要部断面正面図である。
【
図4】ロッドのチャック解除状態を示す要部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至
図4は、本発明のロッド回転駆動装置の一形態例を示すものである。
図1に示すように、本発明のロッド回転駆動装置を適用した地盤改良機11は、履帯走行する下部走行体12と、該下部走行体12上に旋回可能に設けられた上部旋回体13とで構成されたベースマシン14の前部にリーダ15を立設し、該リーダ15をバックステー16にて支持している。リーダ15の長手方向に沿って設けられた左右一対のガイドパイプ15aには、ロッド回転駆動装置(オーガ)17が、ガイドギブ18を介して連結されるとともに、リーダ15の長手方向に掛け渡したチェーン15bによって昇降可能に設けられている。また、リーダ15の下部には、ロッド回転駆動装置17により回転するロッド19をガイドする下部ガイド20が設けられている。さらに、上部旋回体13の右側部には運転室21が、左側部にはエンジンや油圧ユニットを収納した機器室22がそれぞれ設けられている。
【0013】
ロッド19は、セメントミルクなどの地盤改良剤が中を通る継足し可能な中空管であり、
図2にも示すように、長さ方向の複数箇所には、ロッド回転駆動装置17の下側に設けられたロッドチャック機構23に係合する断面円形の溝部19aを備えた角軸部19bが設けられ、下端には掘削刃24aと撹拌羽根24bとを備えた掘削ヘッド24が設けられている。また、ロッド19の上端には、注入ホース(グラウトホース)25から地盤改良剤を導入するスイベルジョイント26が設けられ、該スイベルジョイント26の連れ回りを防止する回り止めロッド27の一端がロッド回転駆動装置17に固設され、他端がロッド19の上端に設けられた取付部材28に取り付けられている。
【0014】
地盤改良機11を使用して地盤改良作業を行うには、ロッド回転駆動装置17の駆動装置本体(減速機構)29内にロッド19を挿通し、該ロッド19の溝部19aをロッドチャック機構23に係合させてロッド19の軸方向の移動を規制する。こうしてロッド19の中間部を把持した状態で、下部ガイド20によってロッド19が回転可能かつ上下動可能に保持され、ロッド19の上端部においてスイベルジョイント26に注入ホース25が接続される(
図1)。この作業開始状態で、駆動装置本体29を回転駆動用油圧モータ30で駆動し、ロッド19を回転駆動させながらリーダ15に沿って下降させるとともに、ロッド19を通って送られた地盤改良剤を掘削ヘッド24の先端から掘削孔に噴射することにより、掘削ヘッド24の掘削刃24aで掘削した土砂と地盤改良剤とを撹拌羽根24bで混合する。
【0015】
ロッド回転駆動装置17がリーダ15の下端部に到達すると、中間部の把持を解除したロッド回転駆動装置17を上昇させ、上部を把持させる掴み替えを行う。このとき、ロッド19をその位置に固定しておくために、下部ガイド20の固定手段によってロッド19が把持される。ロッド回転駆動装置17の移動によってロッド19の把持位置を上部側に切り替えたら、再びロッド19を回転駆動しながら下降させて、掘削刃24aで掘削した土砂と地盤改良剤とを撹拌羽根24bで混合する。そして、所定深度まで掘削ヘッド24を下降させた後、逆の手順で掘削ヘッド24を引上げることによって地盤改良作業が終了する。
【0016】
こうした地盤改良作業を行うために、運転室21内には、走行や旋回、ロッド回転駆動装置17の昇降・回転駆動などを行う操作レバーや操作ペダル、押しボタンスイッチなどの機器が操作性を考慮して運転席の近傍に集約的に配置されており、さらに、これらの機器や地盤改良機11の動作検出手段などと電気的に接続された施工管理装置が設置されている。施工管理装置は、各検出手段からの検出信号や運転者によって入力された情報に基づいて、工法制御のための施工管理プログラムを実行する制御部と、運転者が施工管理プログラムの処理結果を確認したり、データ入力などを行うタッチパネル式のディスプレイとから構成されている。
【0017】
ここで、地盤改良作業を円滑に進めるために、ロッド回転駆動装置17には必要な回転トルクや推力をロッド19に確実に伝え、かつ、適切な施工管理が行える機能が求められる。以下では、ロッド回転駆動装置17の具体的な構成について、
図2乃至
図4を参照しながら説明する。
【0018】
ロッド回転駆動装置17は、駆動装置本体29の内部に駆動シャフト31を回転可能に設けたもので、駆動シャフト31の内側に断面六角形状のロッド挿通孔31aを上下方向に貫通形成し、該ロッド挿通孔31aにロッド19の角軸部19bが挿通係合される。また、駆動シャフト31の下端部に円筒部31bが形成され、該円筒部31b下端には駆動シャフト31と一体回転するロッドチャック機構23が、駆動装置本体29下面とロッドチャック機構23との間にはチャック解除機構32がそれぞれ設けられている。
【0019】
ロッドチャック機構23は、円筒部31bの下端に設けられる枠状のブラケット33と、該ブラケット33内をロッド径方向(水平方向)に移動可能に対向配置されるチャック部材として左右一対のチャック板34,34と、両チャック板34,34を閉じ状態とするチャック手段として前後2列、上下2段の合計4つのスプリング(反対側は図示せず)35,35とで構成されている。
【0020】
ブラケット33は、
図3及び
図4にも示すように、中央部にロッド挿通孔33aが形成された偏平な角パイプ形状であり、一側部下面側に設けられた取付座33bには前記動作検出手段の一つである無線スイッチ36が取り付けられている。各チャック板34,34は、内端にロッド19の溝部19aに係合する半円形の切欠き34aを有し、図示は省略するが、両側部に設けられた長孔に、ブラケット33に挿通された案内ピンをそれぞれ貫通して、ブラケット33内をロッド径方向に移動可能に設けられている。スプリング35,35は、ブラケット33の両外端からそれぞれ突出する両チャック板34,34の端部両側に張設され、両チャック板34,34を閉じ方向へ付勢している。
【0021】
チャック解除機構32は、駆動装置本体29の左右両側部(非回転部)にスライド装置37を介して前後互い違いに配置された左右一対のチャックシリンダ38,38及びスプリング39,39と、該チャックシリンダ38とスプリング39とにより昇降可能に支持されたコーン形チャック解除部材40と,前記ブラケット33の両外端からそれぞれ突出するチャック板34,34の端部上面側にそれぞれ設けられる半月状のリング41,41とで構成されている。
【0022】
コーン形チャック解除部材40は、下部の先端側が上部よりも小径の中空逆円錐形状に形成されており、コーン形チャック解除部材40を貫通して前記円筒部31bが配置されている。半月状のリング41,41は、チャックシリンダ38の縮小状態では、コーン形チャック解除部材40の先端から離間して配置され、かつ、両リング41,41間にコーン形チャック解除部材40の先端が挿入可能な間隔に配置されている。
【0023】
また、半月状のリング41,41は、それぞれブラケット33の外端から突出するチャック板34の端部上面に設けたステー34bに取り付けられ、チャックシリンダ38の伸長により下降するコーン形チャック解除部材40の胴部40aが両リング41,41の内周側に係合することにより、両リング41,41の間隔を広げ、チャックシリンダ38の伸長による上下方向の力を水平方向に変換する推力変換機構として働き、両チャック板34,34を開き方向に移動させる。このため、半月状のリング41,41の内周側には、コーン形チャック解除部材40の胴部40aの傾斜と略同じ勾配の傾斜が設けられている。
【0024】
前記無線スイッチ36は、チャック板34に当接したアーム36aの回動を受けて作動するリミットスイッチ(ローラアーム式)である。アーム36aは、作動前の初期位置でチャック板34の移動に対応した設定角度に調整され、
図3に示すように、閉じ状態にあるチャック板34の外端に対して隙間がなくなる程度に近接している。ここで、チャック板34が開き方向に移動すると、アーム36aはチャック板34に押されて回動し始め、チャック板34の移動量が、例えば、閾値として設定した10mmを超えたときに、アーム36aが初期位置から所定角度回動して作動位置に至る。その後、
図4に示すように、アーム36aは、移動するチャック板34の下面を滑りながらその回動角度が一定に保持される。
【0025】
無線スイッチ36の本体には、内蔵される発電部で発生した電力を用いて動作識別信号(ON/OFF信号)を無線送信する送信部が設けられている。発電部にはアーム36aが回動したときの物理力で発電する圧電素子などが用いられ、これにより、外部電源や電池が不要となる。スイッチ作動時に送信部で発した動作識別信号は、施工管理装置の制御回路に組み込まれた受信部により受信される。そして、施工管理装置の制御部では、受信した前記動作識別信号に基づき、報知部であるディスプレイの表示画面にチャック板34の開閉状態を表示させる。
【0026】
このように構成したロッド回転駆動装置17は、チャックを開き操作する場合、ロッド回転駆動装置17を停止した状態で、チャック解除機構32のチャックシリンダ38を伸長してコーン形チャック解除部材40を下降させる。これにより、コーン形チャック解除部材40の胴部40aが両リング41,41の内周側に係合し、コーン形チャック解除部材40の下降に伴って両チャック板34,34が開き方向に移動する。こうして、両チャック板34,34の切欠き34a,34aとロッド19の溝部19aとの係合が解除され、
図4に示すように、ロッド19とロッド回転駆動装置17との相対移動が可能な状態、例えば、ロッド19の掴み替えが可能な状態になる。このとき、施工管理装置では、無線スイッチ36からの動作識別信号に基づいて、ディスプレイの表示画面にチャックが開き状態である表示がなされる。
【0027】
一方、チャックを閉じ操作する場合、チャックシリンダ38を縮小してコーン形チャック解除部材40を上昇させる。これにより、両チャック板34,34はスプリング35,35の付勢力(弾性力)によって閉じ方向へ移動し、コーン形チャック解除部材40の胴部40aと両リング41,41との係合がなくなる。ここで、ロッド回転駆動装置17が高所位置にあると、チャック板34を十分に目視することができない場合も少なくない。この場合、閉じ操作を行っても、両チャック板34,34の切欠き34a,34aがロッド19の溝部19aにはまらず、完全に閉じきらないことが起きる。
【0028】
こうした半閉じ状態では、無線スイッチ36の接点が切替位置(作動)に至らないので、運転者はディスプレイの表示からチャックが完全に閉じていないことを知る。したがって、そのままロッド回転駆動装置17を昇降しながら、ロッド19の溝部19aの位置(チャック位置)を探ることになる。そして、両チャック板34,34とロッド19の溝部19aとの互いの位置が合致したときに、両チャック板34,34は完全に閉じて、
図3に示すように、切欠き34a,34aがロッド19の溝部19aに係合する。このとき、施工管理装置では、無線スイッチ36からの動作識別信号に基づいて、ディスプレイの表示画面にチャックが閉じ状態である表示がなされる。
【0029】
この状態で、ロッド回転駆動装置17を作動してロッド19を回転させると、駆動シャフト31とロッドチャック機構23とが一体に回転し、ロッド回転駆動装置17の下降による両チャック板34,34とロッド19の溝部19aとの単純な面圧によりロッド19に押し込み推進力が与えられる。
【0030】
このように、本発明のロッド回転駆動装置17によれば、チャック板34の移動を検出する検出手段に無線スイッチ36を用いているため、その無線式の特徴を活かした回転部位への取付構造が達成される。これにより、チャック板34の移動を直接的に検出することが可能となり、ロッド19のチャック状態を確実に判定することができる。また、本発明の地盤改良機11によれば、無線スイッチ36からの信号に基づいてチャック板34の開閉状態を報知する報知部を備えているので、ロッド19のチャック状態を判定する際に、目視確認と併せて報知部による補助を受けることが可能となり、運転者の安心かつ安全な作業に資するものである。
【0031】
とりわけ、無線スイッチ36とこれに付属する通信モジュール(受信部)とからなるシンプルな構成であるため、制御回路の省配線化が図れ、既存の施工管理システムへの連結を容易にするものである。したがって、ロッド19の掴み替え時に深度計測を一時停止するような事情があっても、こうした一時停止機能をチャック板34の正確な動作情報に基づき連動させることができるため、特許文献2のような解除スイッチを別途設ける必要がなくなる。すなわち、解除スイッチの操作を運転者に委ねる構成や、解除し忘れたときの手当てをソフト的な処理に頼るといった構成などが一切不要となり、施工管理システムの信頼性向上に寄与するものである。
【0032】
なお、本発明は、前記形態例に限定されるものではなく、ロッドチャック機構は、チャック板を有する係合溝構造の他に、ロッド径方向に出没するクサビ部材によってロッドを任意の位置でチャックできる機構としてもよい。また、チャック手段の作動をばね部材の弾性力に替えて、チャックシリンダの油圧で直接的に行ってもよい。こうした機構においても、各種チャック部材の移動量を検出する無線スイッチを設けることができる。
【0033】
また、無線スイッチは、アーム式の他にプランジャ式、ヒンジレバー式などの種々の形式のものを用いることができ、本実施形態例のような自己発電型の発電機構を備えれば、送信部を動作させるための電源が不要となるため、組立や保守を容易にすることができる。加えて、報知部は、ディスプレイの他にLED表示灯などで視覚的に報知したり、音声、ブザーなどで聴覚的に報知したりする報知装置が考えられる。
【符号の説明】
【0034】
11…地盤改良機、12…下部走行体、13…上部旋回体、14…ベースマシン、15…リーダ、15a…ガイドパイプ、15b…チェーン、16…バックステー、17…ロッド回転駆動装置、18…ガイドギブ、19…ロッド、19a…溝部、19b…角軸部、20…下部ガイド、21…運転室、22…機器室、23…ロッドチャック機構、24…掘削ヘッド、24a…掘削刃、24b…撹拌羽根、25…注入ホース、26…スイベルジョイント、27…回り止めロッド、28…取付部材、29…駆動装置本体、30…回転駆動用油圧モータ、31…駆動シャフト、31a…ロッド挿通孔、31b…円筒部、32…チャック解除機構、33…ブラケット、33a…ロッド挿通孔、33b…取付座、34…チャック板、34a…切欠き、34b…ステー、35…スプリング、36…無線スイッチ、36a…アーム、37…スライド装置、38…チャックシリンダ、39…スプリング、40…コーン形チャック解除部材、40a…胴部、41…リング