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特許7602361ステータのコンタクト装置、ステータ、および電気機械
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  • 特許-ステータのコンタクト装置、ステータ、および電気機械 図1
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  • 特許-ステータのコンタクト装置、ステータ、および電気機械 図4
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  • 特許-ステータのコンタクト装置、ステータ、および電気機械 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ステータのコンタクト装置、ステータ、および電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
H02K3/50 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020205529
(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公開番号】P2021114894
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】10 2020 000 232.3
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592179160
【氏名又は名称】ヴィーラント ウェルケ アクチーエン ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WIELAND-WERKE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ニコ ウィプレッチ
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2015/083478(JP,A1)
【文献】特開2011-066980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/30-3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械のステータのコンタクト装置であって、前記コンタクト装置は、前記ステータの周囲にわたって配置された複数のコイルに対して、コイル導体を介して電気的にコンタクト接続するように構成され、前記コンタクト装置は、電気絶縁材料からなるコンタクト支持体と、前記ステータから離反した少なくとも上面上に前記コイルをコンタクト接続するための導電接続導体とを有する、コンタクト装置において、
前記接続導体は、前記コイルの前記コイル導体に対し、前記コンタクト支持体の貫通開口を介しコンタクト接続可能であり、
前記コンタクト支持体は、前記接続導体がコンタクト面で前記コイル導体に接触し、
前記貫通開口に、前記コイル導体が前記貫通開口を通して供給されるときに前記コンタクト面で前記接続導体に恒常的な力作用を及ぼすように形成された固定装置を備え、
前記固定装置は、弾性保持突起によって形成されている
ことを特徴とする、コンタクト装置。
【請求項2】
前記コンタクト支持体は、固定装置が前記コイル導体を軸方向運動に対して少なくとも一方向にロックするように、前記貫通開口に前記固定装置を備えて形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のコンタクト装置。
【請求項3】
前記貫通開口に複数の前記弾性保持突起が配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のコンタクト装置。
【請求項4】
前記弾性保持突起は、前記コイル導体と形状結合的接続を形成することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンタクト装置。
【請求項5】
前記固定装置は、前記コイル導体の挿入方向で前記貫通開口の出口側の端に配置されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のコンタクト装置。
【請求項6】
前記貫通開口は、前記コイル導体の挿入方向で円錐形に先細りになることを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載のコンタクト装置。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載のコンタクト装置を有する電気機械のステータ。
【請求項8】
請求項に記載のステータを有する電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の電気機械のステータのコンタクト装置、ならびにステータおよび電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータは例えば三相交流機械として、3つの相を有するステータと、それに伴い少なくとも3つの相導体または相巻線を有し、通常は永久磁石を備えた回転子またはロータが回転する回転磁界を生成するべく、3つの相導体または相巻線にそれぞれ位相をずらして電流が印加される。相巻線の相端は、電気モータを制御するために相端子を介してモータ電子機器へ導かれる。コイルは、コイル端の相巻線を介して適切な仕方で互いに接続されている。コイル端の結線の種類は、回転磁界巻線の巻線パターン(Wicklungsschema)によって決まる。
【0003】
コイル端を導き、かつ結線するために、端面側でステータ上に載置されるコンタクト装置(Kontakteinrichtung)が一般的である。この種のコンタクト装置は、例えば敷設リング(Verlegering)とその上に載置可能な結線リング(Verschaltungsring)とを有し、これらのリング間に、結線されるべきコイル端が位置する。
【0004】
実際には種々の巻線パターンを適切に、かつフレキシブルに接続するために、例えばコンタクト装置をモジュール組立体として形成することが考えられ、それにより用途および所望の結線に応じて異なったコンタクト接続装置(Kontaktiereinrichtung)がステータ上に載置される。特に、回転磁界巻線の二重(einfach)または多重(mehrfach)冗長の結線が所望される用途では、この種のモジュールコンタクト接続装置の所要スペースが大きい。
【0005】
特許文献1から、電気絶縁材料からなるリング状のコンタクト支持体とステータのコイルをコンタクト接続する(Kontaktierung)ための電気配線路(elektrische Leitungsbahnen)とを有する電気機械のステータにおけるコンタクト装置が公知である。配線路は、変形加工された取付け要素を介してコンタクト支持体に保持されている。
【0006】
さらに、特許文献2から、ステータ積層鉄心(Statorblechpaket)を有する電気機械のステータが公知である。関連するコンタクト装置は、端面側でステータ積層鉄心上に載置された敷設要素(Verlegeelement)と、コイル端をステータ端面における相端子と結線するための結線要素とを備えている。コイル端は、敷設要素の貫通開口(Durchfuehroeffnung)を垂直方向に通り抜けて突出し、それぞれ径方向に折り曲げられて敷設要素の案内溝に沿って案内されている。これらのコイル端は、結線要素と導電結合されたコンタクト要素によって案内溝のコンタクト箇所で軸方向にコンタクト接続されて取り付けられている。案内溝は、それぞれ案内溝に案内されたコイル端の軸方向の滑り抜けを防止するそれぞれ1つの狭窄箇所(Engstelle)を軸方向に有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許出願公開第2606558号明細書
【文献】独国特許出願公開第102016224526号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、電気機械のステータのためのコンタクト装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電気機械のステータのコンタクト装置であって、前記コンタクト装置は、前記ステータの周囲にわたって配置された複数のコイルに対して、コイル導体を介して電気的にコンタクト接続するように構成され、前記コンタクト装置は、電気絶縁材料からなるコンタクト支持体と、前記ステータから離反した少なくとも上面上に前記コイルをコンタクト接続するための導電接続導体とを有する、コンタクト装置において、前記接続導体は、前記コイルの前記コイル導体に対し、前記コンタクト支持体の貫通開口を介しコンタクト接続可能であり、前記コンタクト支持体は、前記接続導体がコンタクト面で前記コイル導体に接触し、前記貫通開口に、前記コイル導体が前記貫通開口を通して供給されるときに前記コンタクト面で前記接続導体に恒常的な力作用を及ぼすように形成された固定装置を備え、前記固定装置は、弾性保持突起によって形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】端面側に載置されたコンタクト装置を有する電気機械のステータを模式的に示す図である。
図2】コイル導体と接続導体とのコンタクト箇所の領域におけるコンタクト装置の細部を模式的に示す図である。
図3】コンタクト装置の部分切片の上面図である。
図4図3からの線A-Aに沿う横断面を示す図である。
図5】コンタクト装置の部分切片の横断面を示す図である。
図6図5からの固定装置の細部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、電気機械のステータのコンタクト装置であって、コンタクト装置は、ステータの周囲にわたって配置された複数のコイルを、コイル導体(Spulenleiter)を介して電気的にコンタクト接続し、コンタクト装置は、電気絶縁材料からなるコンタクト支持体と、ステータから離反した少なくとも上面上にコイルをコンタクト接続するための導電接続導体(Anschlussleiter)とを有する、コンタクト装置を含む。この場合、コイルのコイル導体は、コンタクト接続するための接続導体とコンタクト支持体における貫通開口を介して接続されている。これに加えて、コンタクト支持体は、コイル導体がコンタクト面で接続導体に接触するとともに、コイル導体がコンタクト面で接続導体に恒常的な力作用を及ぼすように、貫通開口に固定装置を備えて形成されている。
【0012】
本発明の実施形態によるコンタクト装置は、発電機または電気モータなどの電気機械のステータにおいて用いられ得ることが好ましい。適用領域は、例えば自動車分野におけるモータ、または一般的な機械工学および駆動技術の用途である。例えば車両におけるサーボモータ、駆動モータ、または補機においてである。
【0013】
その際、本発明は、絶縁材料から製造されたコンタクト支持体がステータの端面上に載置され、かつステータハウジングと接続され得るという考察を出発点とする。したがってコンタクト支持体は、一方でコンタクト装置をステータに取り付けるために用いられ、他方で接続導体の配線路の支持体として用いられる。電気絶縁材料からなるコンタクト支持体の実施の形式にもとづいて、コンタクト支持体上のいくつかの配線路が電気的に互いに絶縁される。コンタクト支持体は、多くの場合、すでに非常に複雑な構造であるにもかかわらず、基本的に、接続導体の配線路が配置されている唯一のリング状のコンタクト支持体でも十分である。
【0014】
コンタクト装置により、ステータにおけるコイルがコイル線を介して電気的に結合される。コンタクト装置は、電気絶縁材料からなる大抵の場合リング状のコンタクト支持体と、コイルの巻線ワイヤをコンタクト接続するための接続導体としての導電配線路とを備える。配線路とコイルの巻線ワイヤとコイル導体とは、導体軸線に対して垂直方向に丸形、楕円形、矩形、またはさらに方形の横断面を有してもよい。
【0015】
コイルのコイル導体を電気的にコンタクト接続するための接続導体と接続するために、これらが接続箇所において同じ種類の矩形または方形の横断面を有することが有利である。それによってコイル導体と接続導体が、平面状に形成された、かつ最大化されたコンタクト面で互いに接触する。
【0016】
これらのコンタクト面の領域において、コイル導体が接続導体と導電接続され、好ましくは材料結合的に接続されている。それぞれの端で接し合うコイル導体と接続導体の適切な材料結合的接続は、例えば溶接接合または半田接合である。
【0017】
好ましくはリング状に形成された、電気絶縁材料からなるコンタクト支持体は、まず、導体端の敷設および接続の際に位置決め要素として用いられる。このために、コイル導体が貫通開口に挿通される。貫通開口は固定装置を有し、固定装置は少なくとも摩擦結合および/または材料結合によって接続導体を保持する。換言すると、固定装置は、貫通開口に配置された弾性変形可能な狭い通り抜け箇所である。狭窄箇所の弾性挙動は、コイル導体がコンタクト装置の接続導体と、例えば差込み接続によって、または溶接接合もしくは半田接合により材料結合的にコンタクト接続される場合に固定保持(Festhalten)をもたらす。溶接接合または半田接合の場合、コイル導体の固定保持は、溶接または半田付けの前にすでにケーブル端の固定をもたらし、それによりそれぞれの接続導体に対してそれぞれのコイル導体が接合を作成するべく互いに正確に位置決めされる。
【0018】
コイル導体は、コンタクト面で恒常的な力作用(permanente Kraftwirkung)を接続導体に及ぼし、場合によっては他の保持手段なしでも確実な電気的接続を形成することができる。力作用を生成するために、コンタクト支持体は貫通開口に固定装置を備え、2つの導体端の互いの的確な位置決めを可能にする。これによって、互いに平行に位置する導体端が共通のコンタクト面で、それぞれの導体軸線に対して垂直方向に作用する力によって互いに押し付けられる。この力作用は、特に、良好な電気的コンタクト接続を形成するための接合過程で存在し、有利にも導体端の接続後にもなお引き続き長期的に形成される。
【0019】
特別な利点は、コイル導体および接続導体を互いに押し付けるだけですでに、引張張力(Zugspannung)で負荷されない確実かつ長期的な電気的コンタクトが存在することである。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、コンタクト支持体は、固定装置がコイル導体を軸方向運動に対して少なくとも一方向にロックするように、貫通開口に固定装置を備えて形成されていてもよい。組み付けのために、コイルの接続導体が貫通開口に挿通される。固定装置は、接続導体が摩擦結合または材料結合によって少なくとも挿入方向とは逆に固定保持されるように形成されていることが好ましい。挿入方向は、コイルの方を向いたコンタクト支持体の下面から接続導体がある上面への方向である。この場合、固定装置として、それぞれの導体端の戻り運動を確実に阻止する弾性変形可能な狭い通り抜け箇所が提供される。狭窄箇所の弾性挙動は、接続導体がコンタクト装置のコイル導体と、例えば差込み接続によって、または溶接接合もしくは半田接合により材料結合的に接続される前にすでに固定をもたらす。
【0021】
有利にも、固定装置は保持突起によって形成されていてもよい。弾性および/または塑性変形可能な複数の保持突起は、開口幅がコイル導体の直径より小さい狭窄箇所を形成する。保持突起は、固定装置がグリップメカニズムのようにそれぞれの導体端を固定するように横断面を狭くする。弾性または塑性変形可能な材料によって、導体端が通り抜けて初めて開口幅が拡開され、それによって導体の軸方向に対して垂直方向および/または同時に軸方向にも保持力が生成される。材料として、相応に弾性特性または塑性特性を有するプラスチックが適している。特に保持突起はコンタクト支持体の材料と同じ材料からなってもよい。
【0022】
基本的に、貫通開口に複数の保持突起が配置されていてもよいことも有利である。その際、保持突起は、通り抜け平面に配置されていてもよく、ならびに/またはコンタクト支持体を通って通り抜け開口(Durchtrittsoeffnung)の軸方向に互い違いに(gestaffelt)、および/もしくはずらして配置されていてもよい。保持突起はその作用全体において保持突起が結果としてコイル導体の恒常的な力作用を共通のコンタクト面で接続導体に及ぼすように配置されている。保持突起はその全体において、それぞれの導体端の、挿入方向とは逆の戻り運動をもたらすこともできる。方形または矩形の導体横断面の場合、4つの保持突起で4つの導体表面上に当接することが有利である。
【0023】
通常、固定装置と、貫通開口を通り抜ける導体区分との間には静止摩擦(Haftreibung)によって引き起こされる力結合が形成される。しかし単独または互いに組み合わせたその他の固定メカニズムも考えられる。
【0024】
本発明の有利な一実施形態では、保持突起がコイル導体と形状結合的接続を形成してもよい。このために、貫通開口を通り抜ける導体区分がその表面に、それぞれ保持突起と形状結合を形成する適当な粗さ、またはその他の構造を有してもよい。コイル導体の導体表面において、保持突起が係合することのできるノッチ(Kerbungen)、くぼみ(Einbuchtungen)、または鋸歯状部(Zahnungen)があることが構造的に有利である。
【0025】
これに代えて、または組み合わせて、本発明の別の有利な一実施形態では、保持突起がコイル導体と材料結合的接続を形成してもよい。このために、例えば溶接または半田付けなどの熱的接続法が使用されてもよい。電気的コンタクト接続を形成する際の的確な入熱によって、コイル導体に沿って大量の熱が固定装置へ流れ込むことができ、それにより固定装置が熱で溶け始めるか、または溶かされ、それにより安定した材料結合を形成する。
【0026】
本発明の別の有利な一実施形態では、固定装置がコイル導体の挿入方向で貫通開口の出口側の端に配置されていてもよい。この場合、導入時に、導体端がまず通り抜け開口に挿入され、すでに出口側の端において安定的に案内されているので、導体端が固定装置を通り抜けることができる。
【0027】
有利には、貫通開口は、コイル導体の挿入方向で円錐形に先細りになってもよい。通り抜け開口の円錐形状は、コイル導体の導体端を容易に挿入できるより大きい開口を入り口側にもたらし、導入時に導体端が先細りになる円錐形の形状を通って出口側の端へ案内される。このような通り抜け開口の場合、出口側の端に直接固定装置を配置することが有利である。このようにすることで、導体端が固定装置に直接挿入される。
【0028】
本発明の別の実施態様は、本発明によるコンタクト装置を有する電気機械のステータを含む。
【0029】
本発明のさらに別の実施態様は、本発明によるステータを有する電気機械を含む。本発明によるコンタクトユニットを有する上記のステータは、電気機械の独立したモジュールユニットであってもよい。
【0030】
模式図をもとに本発明の実施例について詳しく説明する。
【0031】
互いに対応する部品にはすべての図において同一の参照符号が付されている。
【0032】
図1において、端面側に載置されたコンタクト装置1を有するステータ2が模式的に示されている。コンタクト支持体4の上面上に配置された接続コンタクトは、電気端子と接続されるべきプラグに統合されている。このコンタクト装置1は、部分図としての図2に示されている。
【0033】
図2は、コイル導体31と接続導体41とのコンタクト箇所の領域におけるコンタクト装置1の詳細図を模式的に示す。コイル3は図2に詳しく示されていないが、矢印方向に配置されている。コイル導体31と接続導体41とは、これらのそれぞれの導体軸線に対して垂直方向に矩形の横断面を有する。コイル導体31と接続導体41とは矩形の横断面によって共通のコンタクト面7で接触する。コイル導体31の端は、コンタクト支持体4における貫通開口を通り抜ける。貫通開口の出口側の端には、保持突起61を有する固定装置6が形成されている。この事例では、これらはそれぞれ矩形のコイル導体31の面に当接する4つの弾性変形可能な保持突起61である。これらの保持突起61は、固定装置6がそれぞれのコイル導体31にグリップメカニズムのように作用するように横断面を狭くする。この事例では、保持突起61はコンタクト支持体4と同じ材料からなる。
【0034】
コイル導体31を組み付ける場合、固定装置6によって予め定められた狭窄箇所にコイル導体31が挿通され、その際、保持突起61がいわば付勢される。これによって力作用が生じ、この力作用によってコイル導体31が共通のコンタクト面7で接続導体41に恒常的な力作用を及ぼす。コイル導体31と接続導体41とはすでに押圧力によってすでに導電接続され、これに加えて少なくとも部分切片において、または共通のコンタクト面7全体にわたって、例えば半田接合または溶接接合により材料結合的に接合される。差込みコンタクトの場合も、コイル導体31と接続導体41との間の押圧力が確実な電気的コンタクトを形成するために用いられる。
【0035】
図3は、コンタクト装置1の部分切片の上面図を示す。図4には、図3からの線A-Aに沿う横断面が示されている。コイル導体31と接続導体41とは共通のコンタクト面7で互いに接触する。このコンタクト面7で接合が行われてもよい。コイル導体31の端は、コンタクト支持体4における貫通開口5を通り抜ける。貫通開口5は、入口側の端9が出口側の端8より大きい開口径を有し、したがってコイル導体31の挿入方向に円錐形に先細りになる。貫通開口5の円錐形の形状によって、コイル導体31の導体端を貫通開口5に容易に導入でき、導入時に、導体端は、先細りになる円錐形状を通って出口側の端8へと固定装置6内を案内される。固定装置6は、その保持突起61により出口側の端8に直接配置されている。このようにすることで、それぞれのコイル導体31の導体端は、接続導体41に位置決めされるまで固定装置6によって的確に貫通案内される。
【0036】
図5は、コンタクト装置1の部分切片の横断面を示す。図6には、図5からの固定装置6の詳細図が示されている。出口側の端8に配置された固定装置6の保持突起61は、挿通されたコイル導体31によって挿入方向に弾性変形されて付勢される。上方へ曲げられるこれらの保持突起61は、コイル導体31のそれぞれの導体端の戻り運動を阻止する。狭窄箇所の弾性挙動は、関連する接続導体41がコイル導体31と溶接接合または半田接合によって材料結合的に接続される前にすでに固定をもたらす。
【符号の説明】
【0037】
1 コンタクト装置
2 ステータ
3 コイル
31 コイル導体
4 コンタクト支持体
41 接続導体
5 貫通開口
6 固定装置
61 保持突起
7 コンタクト面
8 出口側の端
9 入口側の端
図1
図2
図3
図4
図5
図6