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特許7602362モータ駆動の多出力外科用ポンプアセンブリ、およびそれを組み込んだ外科用生成器
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  • 特許-モータ駆動の多出力外科用ポンプアセンブリ、およびそれを組み込んだ外科用生成器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】モータ駆動の多出力外科用ポンプアセンブリ、およびそれを組み込んだ外科用生成器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20241211BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
A61B17/32 510
A61B18/12
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020208165
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2021098011
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】62/952,245
(32)【優先日】2019-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/064,122
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ポール レンチャー
(72)【発明者】
【氏名】アラン ジー. アキノ
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/231827(WO,A1)
【文献】実開昭57-013886(JP,U)
【文献】米国特許第09316216(US,B1)
【文献】特開2001-293008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ポンプアセンブリであって、
モータ出力を提供するように構成されているモータと、
前記モータ出力を受け取り、複数の伝送出力を提供するように構成されている伝送アセンブリと、
複数のポンプであって、前記複数のポンプのうちの各ポンプは、前記複数の伝送出力のうちの1つの伝送出力を受け取るように構成されており、前記複数のポンプのうちの各ポンプは、外科用器具に解放可能に接続するように構成されている、複数のポンプと
前記複数のポンプのうちの各ポンプに解放可能に接続されている前記外科用器具のタイプを検出するように構成されているコントローラであって、前記コントローラは、前記複数の伝送出力のうちの各伝送出力を制御するように構成されており、前記複数の伝送出力のうちの各伝送出力を制御することは、当該伝送出力に対応するポンプに解放可能に接続されている前記外科用器具の前記検出されたタイプに少なくとも部分的に基づいて行われる、コントローラと
を備え外科用ポンプアセンブリ。
【請求項2】
前記複数の伝送出力のうちの少なくとも1つの伝送出力は、前記複数の伝送出力のうちの他の伝送出力とは独立して可変である、請求項1に記載の外科用ポンプアセンブリ。
【請求項3】
前記複数の伝送出力のうちの少なくとも2つの伝送出力は、互いに異なる、請求項1に記載の外科用ポンプアセンブリ。
【請求項4】
前記複数の伝送出力のうちの前記少なくとも2つの異なる伝送出力は、複数の異なる流量、流圧、流速で前記複数のポンプのうちの対応する少なくとも2つのポンプ駆動する、請求項3に記載の外科用ポンプアセンブリ。
【請求項5】
前記複数の伝送出力のうちの前記少なくとも2つの異なる伝送出力は、複数の異なる回転速度である、請求項3に記載の外科用ポンプアセンブリ。
【請求項6】
前記伝送アセンブリは、複数の伝送部を含み、前記複数の伝送部のうちの各伝送部は、前記モータと前記複数のポンプのうちの1つのポンプとの間に結合されている、請求項1に記載の外科用ポンプアセンブリ。
【請求項7】
前記複数の伝送部のうちの少なくとも2つの伝送部は、複数の異なる入力対出力比を画定する、請求項6に記載の外科用ポンプアセンブリ。
【請求項8】
前記複数の伝送部のうちの少なくとも1つの伝送部は、前記複数の伝送部のうちの前記少なくとも1つの伝送部の入力対出力比を変化させるように制御可能である、請求項6に記載の外科用ポンプアセンブリ。
【請求項9】
前記複数の伝送部のうちの少なくとも2つの伝送部は、前記複数の伝送部のうちの前記少なくとも2つの伝送部の入力対出力比を独立して変化させるように独立して制御可能である、請求項6に記載の外科用ポンプアセンブリ。
【請求項10】
前記コントローラは、前記伝送アセンブリと通信するように配置されており、前記コントローラは、前記複数の伝送出力のうちの少なくとも1つの伝送出力を独立して変化させるように前記伝送アセンブリに指示するように構成されている、請求項1に記載の外科用ポンプアセンブリ。
【請求項11】
外科用生成器であって、
エネルギー送達信号を生成するように構成されている少なくとも1つのエネルギーモジュールと、
外科用器具に接続することにより、前記エネルギー送達信号を前記外科用器具に送達するように構成されている少なくとも1つのエネルギーポートと、
外科用ポンプアセンブリであって、
モータ出力を提供するように構成されているモータと、
前記モータ出力を受け取り、複数の伝送出力を提供するように構成されている伝送アセンブリと、
複数のポンプであって、前記複数のポンプのうちの各ポンプは、前記複数の伝送出力のうちの1つの伝送出力を受け取るように構成されている、複数のポンプと、
複数のポンプ出力ポートであって、前記複数のポンプ出力ポートのうちの各ポンプ出力ポートは、前記複数のポンプのうちの1つのポンプに結合されており、前記複数のポンプ出力ポートのうちの各ポンプ出力ポートは、前記外科用器具に接続することにより、前記外科用器具をポンプに接続するように構成されている、複数のポンプ出力ポートと、
前記複数のポンプ出力ポートのうちの各ポンプ出力ポートに解放可能に接続されている前記外科用器具のタイプを検出するように構成されているコントローラであって、前記コントローラは、前記複数の伝送出力のうちの各伝送出力を制御するように構成されており、前記複数の伝送出力のうちの各伝送出力を制御することは、当該伝送出力に対応するポンプに結合されているポンプ出力ポートに解放可能に接続されている前記外科用器具の前記検出されたタイプに少なくとも部分的に基づいて行われる、コントローラと
を含外科用ポンプアセンブリ
を備える、外科用生成器。
【請求項12】
前記複数の伝送出力のうちの少なくとも1つの伝送出力は、前記複数の伝送出力のうちの他の伝送出力とは独立して可変である、請求項11に記載の外科用生成器。
【請求項13】
前記複数の伝送出力のうちの少なくとも2つの伝送出力は、互いに異なる、請求項11に記載の外科用生成器。
【請求項14】
前記複数の伝送出力のうちの前記少なくとも2つの異なる伝送出力は、複数の異なる流量、流圧、流速で前記複数のポンプのうちの対応する少なくとも2つのポンプ駆動する、請求項13に記載の外科用生成器。
【請求項15】
前記複数の伝送出力のうちの前記少なくとも2つの異なる伝送出力は、複数の異なる回転速度である、請求項13に記載の外科用生成器。
【請求項16】
前記伝送アセンブリは、複数の伝送部を含み、前記複数の伝送部の各伝送部は、前記モータと前記複数のポンプのうちの1つのポンプとの間に結合されている、請求項11に記載の外科用生成器。
【請求項17】
前記複数の伝送部のうちの少なくとも2つの伝送部は、複数の異なる入力対出力比を画定する、請求項16に記載の外科用生成器。
【請求項18】
前記複数の伝送部のうちの少なくとも1つの伝送部は、前記複数の伝送部のうちの前記少なくとも1つの伝送部の入力対出力比を変化させるように制御可能である、請求項16に記載の外科用生成器。
【請求項19】
前記複数の伝送部のうちの少なくとも2つの伝送部は、前記複数の伝送部のうちの前記少なくとも2つの伝送部の入力対出力比を独立して変化させるように独立して制御可能である、請求項16に記載の外科用生成器。
【請求項20】
前記コントローラは、前記伝送アセンブリと通信するように配置されており、前記コントローラは、前記複数の伝送出力のうちの少なくとも1つの伝送出力を独立して変化させるように前記伝送アセンブリに指示するように構成されている、請求項11に記載の外科用生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2019年12月21日に出願された米国仮特許出願第62/952,245号の利益および優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、外科用ポンプアセンブリ、より具体的には、多出力のモータ駆動外科用ポンプアセンブリ、およびそれを組み込んだ外科用生成器に関する。
【背景技術】
【0003】
外科用ポンプは、外科的処置の過程で様々な異なる目的に利用される。例えば、外科用ポンプは、洗浄、吸引、煙の排出、吹送、伸縮自在な構造の膨張/収縮に利用され、開および/または閉ループなどにおいて流体を循環させることができる。いくつかの外科的処置において、複数のポンプ作動は、同時に、連続的に、交互に、および/または重複して利用される。多くの場合、これらの複数のポンプ作動は、異なる動作パラメータ、例えば、流量、流圧などを提供するように、異なるポンプ出力を必要とする。
【0004】
外科用生成器を利用して、外科用器具に電力供給し、および/または外科用器具にエネルギーを提供して、外科用器具から組織へ、例えば、電気外科用(単極および/または双極無線周波数(RF))エネルギー、超音波エネルギー、熱エネルギー、マイクロ波エネルギーなどのエネルギーを適用することを可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で使用するとき、「遠位」という用語は、ユーザからより遠くにあると記載されている部分を指し、一方で、「近位」という用語は、ユーザのより近くにあると記載されている部分を指す。さらに、矛盾しない程度に、本明細書に記載の態様のいずれかまたはすべては、本明細書に記載される他の態様のいずれかまたはすべてと併せて使用され得る。
【0006】
本開示の態様に従って、モータ出力を提供するように構成されているモータと、モータ出力を受容して、複数の伝送出力を提供するように構成されている伝送アセンブリと、複数のポンプと含む、外科用ポンプアセンブリが提供される。複数のポンプのうちの各ポンプは、複数の伝送出力のうちの1つの伝送出力を受容するように構成されている
【0007】
本開示の態様において、複数の伝送出力のうちの少なくとも1つの伝送出力は、複数の伝送出力のうちの他の伝送出力とは独立して可変である。
【0008】
本開示の別の態様において、複数の伝送出力のうちの少なくとも2つの伝送出力は、互いに異なる。
【0009】
本開示の別の態様において、複数の伝送出力のうちの少なくとも2つの異なる伝送出力は、異なる方法で複数のポンプのうちの少なくとも2つのポンプに対応して駆動する。
【0010】
本開示のさらに別の態様において、複数の伝送出力のうちの少なくとも2つの異なる伝送出力は、異なる回転速度である。
【0011】
本開示のさらに別の態様において、伝送アセンブリは、複数の伝送部を含む。複数の伝送部の各伝送部は、モータと複数のポンプのうちの1つのポンプとの間で連結されている。
【0012】
本開示のさらに別の態様において、複数の伝送部のうちの少なくとも2つの伝送部は、異なる入力対出力比を画定する。
【0013】
本開示の別の態様において、複数の伝送部のうちの少なくとも1つの伝送部は、その入力対出力比を変化させるように制御可能である。態様において、複数の伝送部のうちの少なくとも2つの伝送部は、その入力対出力比を独立して変化させるように独立して制御可能である。
【0014】
本開示のさらに別の態様において、コントローラは、伝送アセンブリと通信するように配置されており、複数の伝送出力のうちの少なくとも1つの伝送出力を独立して変化させるように伝送アセンブリに指示するように構成されている。
【0015】
本開示の態様に従って、外科用生成器も提供される。外科用生成器は、上記または別様に本明細書に詳述された態様のいずれかによる外科用ポンプアセンブリを含む。外科用生成器はさらに、エネルギー送達信号を生成するように構成されている少なくとも1つのエネルギーモジュールと、外科用器具に接続してエネルギー送達信号をそれに送達するように構成されている少なくとも1つのエネルギーポートとを含む。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
外科用ポンプアセンブリであって、
モータ出力を提供するように構成されているモータと、
前記モータ出力を受容して、複数の伝送出力を提供するように構成されている伝送アセンブリと、
複数のポンプであって、前記複数のポンプのうちの各ポンプが、前記複数の伝送出力のうちの1つの伝送出力を受容するように構成されている、複数のポンプと、を備える、外科用ポンプアセンブリ。
(項目2)
前記複数の伝送出力のうちの少なくとも1つの伝送出力が、前記複数の伝送出力のうちの他の伝送出力とは独立して可変である、上記項目に記載の外科用ポンプアセンブリ。
(項目3)
前記複数の伝送出力のうちの少なくとも2つの伝送出力が、互いに異なる、上記項目のいずれかに記載の外科用ポンプアセンブリ。
(項目4)
前記複数の伝送出力のうちの前記少なくとも2つの異なる伝送出力が、異なる方法で前記複数のポンプのうちの少なくとも2つのポンプに対応して駆動する、上記項目のいずれかに記載の外科用ポンプアセンブリ。
(項目5)
前記複数の伝送出力のうちの前記少なくとも2つの異なる伝送出力が、異なる回転速度である、上記項目のいずれかに記載の外科用ポンプアセンブリ。
(項目6)
前記伝送アセンブリが、複数の伝送部を含んでおり、前記複数の伝送部の各伝送部が、前記モータと前記複数のポンプのうちの1つのポンプとの間で連結されている、上記項目のいずれかに記載の外科用ポンプアセンブリ。
(項目7)
前記複数の伝送部のうちの少なくとも2つの伝送部が、異なる入力対出力比を画定する、上記項目のいずれかに記載の外科用ポンプアセンブリ。
(項目8)
前記複数の伝送部のうちの少なくとも1つの伝送部が、前記入力対出力比を変化させるように制御可能である、上記項目のいずれかに記載の外科用ポンプアセンブリ。
(項目9)
前記複数の伝送部のうちの少なくとも2つの伝送部が、前記入力対出力比を独立して変化させるように独立して制御可能である、上記項目のいずれかに記載の外科用ポンプアセンブリ。
(項目10)
前記伝送アセンブリと通信するように配置されているコントローラをさらに備え、前記コントローラが、前記複数の伝送出力のうちの少なくとも1つの伝送出力を独立して変化させるように前記伝送アセンブリに指示するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用ポンプアセンブリ。
(項目11)
外科用生成器であって、
エネルギー送達信号を生成するように構成されている少なくとも1つのエネルギーモジュールと、
外科用器具に接続して前記エネルギー送達信号を送達するように構成されている少なくとも1つのエネルギーポートと、
外科用ポンプアセンブリであって、
モータ出力を提供するように構成されているモータと、
前記モータ出力を受容して、複数の伝送出力を提供するように構成されている伝送アセンブリと、
複数のポンプであって、前記複数のポンプのうちの各ポンプが、前記複数の伝送出力のうちの1つの伝送出力を受容するように構成されている、複数のポンプと、
複数のポンプ出力ポートであって、前記複数のポンプ出力ポートのうちの各ポンプ出力ポートが、前記複数のポンプのうちの1つのポンプに連結されている、複数のポンプ出力ポートと、を含む、外科用ポンプアセンブリと、を備える、外科用生成器。
(項目12)
前記複数の伝送出力のうちの少なくとも1つの伝送出力が、前記複数の伝送出力のうちの他の伝送出力とは独立して可変である、上記項目のいずれかに記載の外科用生成器。
(項目13)
前記複数の伝送出力のうちの少なくとも2つの伝送出力が、互いに異なる、上記項目のいずれかに記載の外科用生成器。
(項目14)
前記複数の伝送出力のうちの前記少なくとも2つの異なる伝送出力が、異なる方法で前記複数のポンプのうちの少なくとも2つのポンプに対応して駆動する、上記項目のいずれかに記載の外科用生成器。
(項目15)
前記複数の伝送出力のうちの前記少なくとも2つの異なる伝送出力が、異なる回転速度である、上記項目のいずれかに記載の外科用生成器。
(項目16)
前記伝送アセンブリが、複数の伝送部を含んでおり、前記複数の伝送部の各伝送部が、前記モータと前記複数のポンプのうちの1つのポンプとの間で連結されている、上記項目のいずれかに記載の外科用生成器。
(項目17)
前記複数の伝送部のうちの少なくとも2つの伝送部が、異なる入力対出力比を画定する、上記項目のいずれかに記載の外科用生成器。
(項目18)
前記複数の伝送部のうちの少なくとも1つの伝送部が、前記入力対出力比を変化させるように制御可能である、上記項目のいずれかに記載の外科用生成器。
(項目19)
前記複数の伝送部のうちの少なくとも2つの伝送部が、前記入力対出力比を独立して変化させるように独立して制御可能である、上記項目のいずれかに記載の外科用生成器。
(項目20)
前記伝送アセンブリと通信するように配置されているコントローラをさらに備え、前記コントローラが、前記複数の伝送出力のうちの少なくとも1つの伝送出力を独立して変化させるように前記伝送アセンブリに指示するように構成されている、上記項目のいずれかに記載の外科用生成器。
(摘要)
外科用ポンプアセンブリは、モータ出力を提供するように構成されているモータと、モータ出力を受容して、複数の伝送出力を提供するように構成されている伝送アセンブリと、複数のポンプとを含む。複数のポンプのうちの各ポンプは、複数の伝送出力のうちの1つの伝送出力を受容するように構成されている。外科用生成器は、エネルギー送達信号を生成するように構成されている少なくとも1つのエネルギーモジュールと、外科用器具に接続してエネルギー送達信号をそれに送達するように構成されている少なくとも1つのエネルギーポートと、外科用ポンプアセンブリとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示の上記および他の態様および特徴は、同様の参照番号が類似または同一の要素を識別する、添付の図面と併せて解釈されたときに、以下の詳細な説明に照らしてより明らかとなろう。
【0017】
図1】外科用生成器と、外科用生成器に選択的に接続可能な第1および第2の外科用器具とを含む、本開示に従って提供されている外科用システムの側面図である。
図2】本開示に従って提供され、図1の外科用生成器、別の外科用構成要素と共に、または独立型デバイスとして使用するように構成されている外科用ポンプのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、本開示の態様に従って提供される外科用システムは、第1の外科用器具100、第2の外科用器具200、および外科用生成器300を含み、概して、参照番号10によって識別され、示されている。第1の外科用器具100は、ブレード冷却システムを組み込んだ超音波外科用器具として本明細書に示されて、記載されており、第2の外科用器具200は、煙排出システムを組み込んだ電気外科用ペンシルとして本明細書に示されて、記載されている。しかしながら、外科用器具100、200は、単なる例示であり、任意の適切な方法で構成し得、さらに、追加の、または代替の外科用器具、コンソール、アセンブリ、および/またはシステムが、外科用システム10の一部として外科用生成器300と共に利用され得る。
【0019】
外科用器具100は、ハンドルアセンブリ110、ハンドルアセンブリ110から遠位に延在するシャフトアセンブリ120、シャフトアセンブリ120の遠位端部分で支持されているエンドエフェクタアセンブリ130、およびハンドルアセンブリ110と動作可能に連結されており、外科用生成器300への接続のためにそこから延在するプラグアセンブリ140を含む。
【0020】
外科用器具100は、ハンドルアセンブリ110に取り付けられている作動ボタン150、ハンドルアセンブリ110に動作可能に連結されているクランプトリガー160、およびハンドルアセンブリ110内に支持されている超音波変換器170をさらに含む。シャフトアセンブリ120は、エンドエフェクタアセンブリ130の顎部134をその遠位端で支持する、支持スリーブと、顎部134に動作可能に連結する、駆動スリーブとを含む。駆動アセンブリ(図示せず)は、クランプトリガー160が選択的に作動可能であり、それにより、顎部134とブレード132との間で組織をクランプするために、エンドエフェクタアセンブリ130のブレード132に対して離間位置から近接位置に顎部134を枢動するよう、駆動スリーブを移動するように、駆動スリーブの近位部分をクランプトリガー160に連結する。
【0021】
導波管180は、その近位端部分で超音波変換器170に連結されており、エンドエフェクタアセンブリ130のブレード132を画定するように、シャフトアセンブリ120を通って遠位に延在する。超音波変換器170によって生成された超音波運動は、ブレード132と顎部134との間にクランプされた、またはブレード132に隣接して位置付けられた組織を治療するために、導波管180に沿ってブレード132に伝送される。
【0022】
外科用器具100は、冷却流体を循環させてブレード132を冷却するように、導波管180および/またはブレード132を通って延在する1つ以上の管腔(明示的に示されていない)に連結された1つ以上の流体ライン102を含むブレード冷却システムをさらに含む。ブレード冷却システムは、局所流体リザーバ、例えば、ハンドルアセンブリ110内もしくはその上に、または遠隔流体リザーバ(図示せず)をさらに含み得る。ブレード冷却の代替として、流体ライン(複数可)102は、外科用器具が超音波吸引器/洗浄器である構成における吸引および/または洗浄のために利用され得る。
【0023】
外科用器具100のプラグアセンブリ140は、ケーブル142、超音波プラグ144、およびポンププラグ146を含む。超音波プラグ144は、外科用生成器300の超音波プラグポート330と接続するように構成されており、一方、ポンププラグ146は、外科用生成器300のポンププラグポート350のうちの1つと接続するように構成されている。代替的に、プラグアセンブリ140は、超音波プラグ144およびポンププラグ146の両方として動作するように構成されている共通プラグ(図示せず)を含み得る。超音波プラグ144に電気的に連結されている電気リード線は、作動ボタン150の作動時に、外科用生成器300から超音波変換器170への超音波駆動信号の選択的供給を可能にするように、超音波変換器170および/または作動ボタン150への電気接続のために、ケーブル142を通ってハンドルアセンブリ110内に延在する。1つ以上の流体ライン(複数可)102は、外科用器具100のブレード冷却システムに接続して、外科用生成器300のポンプアセンブリ600を介した冷却流体のポンピングを可能にするように、ポンププラグ146に流体連結されており、ケーブル142を通ってハンドルアセンブリ110内に延在する。
【0024】
引き続き図1を参照すると、外科用器具200は、その上に配置された1つ以上の制御部212、214を含む本体210、本体210から遠位に延在する電極プローブ220、本体210から遠位に延在し、かつその長さの一部に沿って電極プローブ220を取り囲む煙排出管230、ならびにそれぞれ第1および第2のケーブル240、250を含む。
【0025】
電極プローブ220は、単極無線周波数(RF)エネルギーを組織に供給するように構成され得るが、他の適切なエネルギー、例えば、双極RF、マイクロ波、熱、超音波なども企図される。電極プローブ220は、鋭利な、例えば、針状遠位先端、鈍い遠位先端、および/または他の任意の適切な構成、例えば、直線、湾曲、角度付き、フック形状などを画定し得る。1つ以上の制御部212、214は、電極プローブ220へのエネルギー送達の作動、モード、および/または強度を制御する。
【0026】
上記のように、煙排出管230は、その長さの一部に沿って電極プローブ220を取り囲み、それを通して流体、例えば、煙の吸引を容易にするように、それを通して開いた遠位端232および/または開口234を画定する。
【0027】
第1のケーブル240は、電気外科用プラグ242を含んでおり、電気外科用プラグ242に電気的に連結され、かつ電極プローブ220および/または制御部212、214に電気的に接続するように、第1のケーブル240を通って本体210内に延在する電気リード線を収容する。電気外科用プラグ242は、生成器300から電極プローブ220への電気外科用エネルギーの選択的供給を可能にするように、外科用生成器300の電気外科用プラグポート340に接続するよう構成されている。
【0028】
第2のケーブル250は、ポンププラグ252を含み、煙排出管230に流体連結されている吸引管254を画定する。ポンププラグ252は、外科用生成器300のポンプアセンブリ600が、吸引管254および煙排出管230を通る吸引を適用して、手術部位からの流体、例えば、煙の排出を容易にすることを可能にするように、外科用生成器300のポンププラグポート350のうちの1つと接続するように構成されている。外部収集リザーバ(図示せず)は、手術部位から排出された煙および/または他の流体を収集するように、煙排出管230および/または吸引管254に連結され得る。代替的に、第1および第2のケーブル240、250は、組み合わせられて、共通プラグ(図示せず)まで延在し得るか、または電気外科用プラグ242およびポンププラグ252の両方として動作するように構成されている共通プラグで結合され得る。
【0029】
さらに図1を参照すると、外科用生成器300は、ディスプレイ310、複数のユーザインターフェース特徴320、例えば、ボタン、タッチスクリーン、スイッチなど、1つ以上のエネルギーポート、例えば、超音波プラグポート330、および単極電気外科用プラグポート340を含む。他の適切なエネルギーポート、例えば、バイポーラプラグポート、アドバンスドエネルギープラグポート、マイクロ波プラグポートなども、企図されている。外科用生成器300は、複数のポンププラグポート350をさらに含む。
【0030】
外科用生成器300はさらに、超音波プラグポート330を通して出力するための超音波駆動信号を生成するように構成されている超音波生成器モジュール400と、単極電気外科用プラグポート340を通して出力するための単極RF信号を生成するように構成されている単極電気外科用モジュール500とを含む。もちろん、追加の、または代替のエネルギーが提供される場合、追加の、または異なるモジュールも、同様に提供される。外科用生成器300は、複数のポンププラグポート350(例えば、第1、第2…および「n」ポンププラグポート350)を通してポンプ出力を提供するように構成されている複数のポンプ654(例えば、第1、第2…および「n」ポンプ654)を含むポンプアセンブリ600を追加的に含む。ポンプアセンブリ600は、以下でより詳細に記載される。さらに、実施形態において、ポンププラグポート350およびエネルギープラグポート(例えば、超音波プラグポート330、単極電気外科用プラグポート340、任意の適切なエネルギープラグを受容して、それに適切な出力を提供するように構成されているユニバーサルスマートプラグポート、または任意の他の適切なエネルギープラグポート)の両方として構成されている1つ以上の共通プラグポートが、提供され得る。
【0031】
外科用生成器300の制御に関して、1つ以上の汎用コントローラ(明示的に示されていない)が、外科用生成器300の様々なモジュール、構成要素、および特徴を制御するために提供され得る。追加的または代替的に、1つ以上の専用コントローラ(明示的に示されていない)が、外科用生成器300の様々なモジュール、構成要素、および特徴のうちの1つ以上を個別に制御するために提供され得る。
【0032】
図2に目を向けると、ポンプアセンブリ600は、上で詳述したように、外科用生成器300(図1)内に組み込まれ得るか、別の外科的構成要素、例えば、器具、コンソール、システムなどに組み込まれ得るか、または独立デバイスとして構成され得る。ポンプアセンブリ600は、概して、モータ出力612を有するモータ610と、複数の伝送部622(例えば、第1、第2…および「n」伝送部622)を含んでおり、これらの各々が、モータ出力612に連結されている伝送アセンブリ620と、それぞれの伝送部620に連結されている複数のポンプ630(例えば、第1、第2…および「n」ポンプ630)と、それぞれのポンプ630とポンププラグポート350との間に連結されている複数のポンプ出力640(例えば、第1、第2…および「n」ポンプ出力640)と、コントローラ650とを含む。
【0033】
モータ610は、任意の適切なモータ出力612、例えば、回転出力、往復出力、回転および往復出力などを、伝送アセンブリ620に提供するように構成されている任意の適切なモータであり得る。モータ610は、より具体的には、伝送アセンブリ620の別個の伝送部622を介して各ポンプ630に接続されている。伝送アセンブリ620は、必要に応じて、モータ出力612をポンプ630に提供されているそれぞれの伝送出力624内に、選択的に増幅、減衰、維持、および/または変換するように構成されている。場合によっては、伝送アセンブリ620は、モータ出力612を変換しないことがあり、したがって、1つ以上の伝送出力624は、モータ出力612と等しくなり得る。追加的または代替的に、場合によっては、伝送アセンブリ620は、受容されたモータ出力612に関係なく、1つ以上の伝送部622から伝送出力624を提供しないことがある。
【0034】
以下に詳述するように、伝送アセンブリ620は、各ポンプ630が、他のポンプ630aの動作とは独立して所望の方法で動作され得るように、単一のモータであるモータ610が、ポンプ630に異なるタイプおよび/またはレベルの出力を独立して選択的に提供することを可能にする。さらに、この構成はまた、単一のモータであるモータ610が、異なるタイプのポンプ630を駆動することを可能にし、さらになお、可変出力モータ構成も企図されるが、モータ610が(可変出力ではなく)単一出力を提供することを可能にする。1つ以上のポンプ630は、他のポンプ630とは異なり得る。代替的に、ポンプ630のすべては、同じタイプであり得る。ポンプ630は、同じであっても異なっていても、例えば、遠心ポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプ、ローブポンプ、ローラーポンプ、ピストンポンプ、スクリューポンプ、真空および/または圧力ポンプ、油圧ポンプなど、任意の適切なポンプタイプを含み得る。
【0035】
引き続き図2を参照すると、上記のように、伝送アセンブリ620は、モータ610からモータ出力612を受容して、同じまたは異なるタイプおよび/またはレベルの出力であり得る伝送出力624を選択的にポンプ630に提供するように構成されている。モータ610は、回転モータ出力612を伝送アセンブリ620に提供するものとして以下に記載されているが、他の適切な出力も、企図されている。
【0036】
伝送アセンブリ620は、実施形態において、モータ610から回転モータ出力612を受容するように構成されている共通入力626を含む。共通入力626は、例えば、ギアリング、プーリー、ケーブルなど、または他の任意の適切な方法によって、モータ出力612に連結され得、1:1の入力対出力比、減衰された出力比、または増幅された出力比を提供するように、その中で連結され得る。次に、共通入力626は、伝送入力628を介して伝送部622のそれぞれに回転モータ出力612(増幅、減衰、または維持されているかどうかにかかわらず)を提供するように、例えば、ギアリング、プーリー、ケーブルなどによって複数の伝送入力628に連結されている。共通入力626と各伝送入力628との間の連結は、同様または異なる出力比、例えば、1:1の入力対出力比、減衰された出力比、または増幅された出力比を、伝送部622に提供し得る。
【0037】
各伝送部622は、対応する伝送入力628を受容して、それに提供されている伝送出力624に従って対応するポンプ630を駆動する出力のために、伝送出力624に選択的に接続可能である。例えば、回転出力に関して、伝送出力624の回転速度は、例えば、同じまたは異なる流量、流圧、流速など、所望の方法でポンプ630を駆動するように、モータ出力612に関係なく、伝送部622によって設定され得る。
【0038】
伝送部622は、類似していても異なっていてもよく、伝送入力に対して伝送出力を選択的に変化させることを可能にする任意の適切な伝送構成(複数可)を含み得る。適切な伝送構成は、無段伝送、ギアボックス伝送、デュアルクラッチ伝送、磁気直接駆動伝送、およびそれらの組み合わせを含む。特定の構成に関係なく、伝送部622はまた、入力に関係なく出力を抑制するように、伝送部622への入力を伝送部622の出力から選択的に切り離すことを可能にする解放クラッチ(または他の適切な解放メカニズム)を含み得る。
【0039】
各伝送部622は、対応する伝送出力624を介してそれぞれのポンプ630に出力するために、それに提供されている対応する伝送入力628を選択的に増幅、減衰、または維持するように構成されている。伝送部622は、それに提供されている伝送入力628を異なるタイプの出力に変換するように、例えば、回転入力を往復出力に、またはその逆に変換するように、追加的に構成され得る。追加的または代替的に、伝送部622は、回転伝送出力624の方向と比較して、回転伝送入力628の方向を、例えば、時計回りから反時計回りに、またはその逆に選択的に切り替えるように構成され得る。
【0040】
さらに図2を参照すると、1つ以上の伝送部622は、例えば、同じ入力対出力比を提供するように固定され得、および/または1つ以上の伝送部622は、例えば、ポンプ630またはそれに接続された器具の必要性に応じて、入力対出力比の連続的または段階的な調整を可能にするように可変であり得る。このようにして、モータ610からの単一のモータ出力612は、ポンプアセンブリ600に接続された様々な異なる器具、システム、コンソールなどの必要性を満たすように、同様もしくは異なる方法で、および/または同様もしくは異なるレベルで、ポンプ630を駆動するよう、利用され得る。1つ以上のポンプ630の停止および/または1つ以上のポンプ630の方向の反転もまた、モータ出力612を変更することなく容易に達成することができる。
【0041】
コントローラ650は、プロセスによって実行される命令を格納するプロセッサ652およびメモリ654を含む。コントローラ650は、入力/出力(I/O)656および通信バス658をさらに含み得る。I/O656は、ポンプアセンブリ600と外部モジュール、構成要素、および/またはデバイスとの間の通信を可能にする。通信バス658は、例えば、コントローラ650と伝送部622およびポンプ630との間の通信を可能にする。このようにして、コントローラ650が、例えば、通信バス658を介して、伝送部(複数可)622の構成を制御して、対応するポンプ(複数可)630に適切な出力を提供することを可能にするように、命令は、例えば、生成器300への入力として提供され、および/または、ポンププラグポート450のうちの1つに接続された特定の検出されたデバイスに基づいて、(RFID通信またはその他の適切な検出を介して)ポンププラグポート350のうちの1つに接続された器具または他のデバイスからI/O656を介してコントローラ650に受容され得る。コントローラ650は、追加的または代替的に、通信バス658を介してポンプ630からフィードバックを受容し、それに基づいて、フィードバックベースの制御ループの一部として適切なパラメータを維持するように、伝送部(複数可)622の構成を制御得る。
【0042】
本開示のいくつかの実施形態が上で詳述され、図面に示されているが、本開示は、当該技術分野が許容する範囲と同様に広い範囲であり、かつ本明細書も同様に読み取られるべきであると意図されるので、本開示は、これらの実施形態に限定されるものではないことが意図される。したがって、上記の記載および添付の図面は、限定的であるとして解釈されるべきではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付されている特許請求の範囲および趣旨内での他の修正を想定するであろう。
図1
図2