(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】生石灰製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 2/10 20060101AFI20241211BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20241211BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
C04B2/10 ZAB
F27D17/00 104G
F27D7/02 A
(21)【出願番号】P 2020210117
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103539
【氏名又は名称】衡田 直行
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100162145
【氏名又は名称】村地 俊弥
(72)【発明者】
【氏名】今井 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】坂本 好明
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-231424(JP,A)
【文献】特開2015-030653(JP,A)
【文献】特開2019-089713(JP,A)
【文献】特開2018-035767(JP,A)
【文献】特開2019-172595(JP,A)
【文献】特開2020-019751(JP,A)
【文献】特開2013-095681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00-2/12
F27D 17/00
F27D 7/02
C07C 1/12
C07C 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石灰石を直接的に加熱するための直接加熱手段を含む石灰石焼成炉であって、上記
直接加熱手段を用いて熱エネルギー源を燃焼することによって、石灰石を加熱し、脱炭酸させて、生石灰を製造するための石灰石焼成炉と、
上記石灰石を上記石灰石焼成炉に供給するための石灰石供給路と、
上記生石灰を上記石灰石焼成炉から排出するための生石灰排出路と、
触媒を用いて、炭酸ガスと水素ガスを反応させて、メタンを生成させるためのメタン生成装置とを含む生石灰製造システムであって、
上記石灰石焼成炉における脱炭酸で生じた炭酸ガス含有排ガスを上記メタン生成装置に導くための排ガス排出路と、
上記水素ガスを上記メタン生成装置に導くための水素ガス供給路と、
上記メタン生成装置で生成させたメタンを、上記石灰石焼成炉における上記熱エネルギー源として用いるために、上記加熱手段に供給するためのメタン供給路と
を含む
生石灰製造システムを用いた生石灰製造方法であって、
上記熱エネルギー源のすべてがメタンであり、かつ、該メタンの少なくとも一部が上記メタン生成装置で生成されたものであり、
上記炭酸ガス含有排ガスに対して、上記触媒の阻害成分を分離するためのメタン化阻害成分分離処理を行うことなく、上記メタン生成装置に導くことを特徴とする生石灰製造方法。
【請求項2】
上記石灰石焼成炉が、上記
直接加熱手段と、上記石灰石を収容するための焼成炉本体と、上記焼成炉本体を収容する形で配設される間接加熱用付属体
と、該間接加熱用付属体内で上記熱エネルギー源を燃焼することによって、上記焼成炉本体内の上記石灰石を間接的に加熱し、脱炭酸させるための間接加熱手段を含み、
上記排ガス排出路は、第一の排ガス排出路と第二の排ガス排出路からなり、
上記第一の排ガス排出路が、上記焼成炉本体で生じた炭酸ガス含有排ガスを上記メタン生成装置に導くためのものであり、
上記第二の排ガス排出路が、上記間接加熱用付属体内で生じた炭酸ガス含有排ガスを排出するためのものである請求項1に記載の
生石灰製造方法。
【請求項3】
上記メタン生成装置が、上記反応を生じさせるためのメタン生成装置本体と、上記メタン生成装置本体を収容する形で配設される間接加熱用の補助手段からなるものであり、
上記間接加熱用の補助手段が、上記第二の排ガス排出路の途中に配設されており、上記第二の排ガス排出路内を流通する上記排ガスを用いて、上記メタン生成装置本体の内部空間を間接的に加熱するためのものである請求項
2に記載の
生石灰製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生石灰製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の抑制のため、二酸化炭素の排出量の低減が重要な課題になっている。
セメントの製造において、セメントの原料である石灰石は、加熱によって脱炭酸処理されて生石灰となるが、その際に、多量の二酸化炭素が発生する。
二酸化炭素の排出量を低減する方法として、発生した炭酸ガス(気体の二酸化炭素)を、分離、回収した後、貯留、隔離、又は有効利用する方法が知られている。
発生した炭酸ガスを分離、回収する方法として、例えば、特許文献1には、製鉄所で発生する副生ガスから化学吸収法にて二酸化炭素を分離回収する方法であって、当該ガスから化学吸収液で二酸化炭素を吸収後、化学吸収液を加熱し二酸化炭素を分離させるプロセスに、製鉄所で発生する500℃以下の低品位排熱を利用または活用することを特徴とする二酸化炭素の分離回収方法が記載されている。
【0003】
また、炭酸ガスを有効利用する方法として、二酸化炭素を原料とするメタン化(メタネーション)が知られている。例えば、特許文献2には、水素と含炭素燃料の燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素とを原料とし、触媒を用いたメタン化反応によりメタンを得るメタン化方法であって、a)前記燃焼排ガスを二酸化炭素吸収材に接触させて燃焼排ガス中の二酸化炭素を吸収させる工程と、b)二酸化炭素を吸収した前記二酸化炭素吸収材を加熱して二酸化炭素を主成分とする第1ガスを取り出す工程と、c)前記第1ガスに第一の量の水素である第1水素を添加して第2ガスとし、前記第2ガスを脱硫剤を充填した脱硫器に通じて、前記第2ガス中の硫黄化合物を除去する工程と、d)前記硫黄化合物を除去する工程を経た第3ガスに第二の量の水素である第2水素を添加し、メタン化触媒に通じたメタン化反応によりメタンに変換する工程と、を含むメタン化方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-292298号公報
【文献】特開2019-172595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
石灰石を加熱、脱炭酸して生石灰を得る際に、二酸化炭素を含む排ガスが発生するが、上記排ガスは、通常、空気で希釈し次いで除塵された後、大気中に排出されている。
また、シャフト(竪型)炉や、ロータリーキルン等を用いて、石灰石を加熱、脱炭酸する際に、通常、石炭、コークス及び重油等の化石由来の熱エネルギー源(化石資源に由来する熱エネルギー源;以下、「化石熱エネルギー源」と略す。)が使用されるが、化石熱エネルギー源には硫黄が含まれているため、脱炭酸処理に伴って発生する排ガスには、硫黄酸化物(SOx)が含まれている。ガス化した硫黄酸化物は、脱炭酸を終えた生石灰と反応してCaSO4として生石灰に固定化されたり、上記排ガスを冷却した後に、ダストとして集塵機で回収されるものの、最終的には上記排ガスに微量の硫黄酸化物が残存してしまう。また、化石熱エネルギー源の燃焼に伴って、窒素酸化物(NOx)も発生する。
排ガスに含まれている二酸化炭素を原料として、メタン生成装置を用いてメタンを生成する際に、上記排ガスに硫黄酸化物や窒素酸化物が含まれている場合、二酸化炭素のメタン化に用いられる触媒が劣化しやすくなるという問題がある。
本発明の目的は、石灰石から生石灰を製造する際に発生する二酸化炭素の排出量を低減することができ、かつ、メタン生成装置で用いられる触媒の劣化を防ぐことができる生石灰製造システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、加熱手段を用いて熱エネルギー源を燃焼することによって、石灰石を加熱し、脱炭酸させて、生石灰を製造するための石灰石焼成炉と、石灰石を石灰石焼成炉に供給するための石灰石供給路と、生石灰を石灰石焼成炉から排出するための生石灰排出路と、メタンを生成させるためのメタン生成装置と、石灰石焼成炉における脱炭酸で生じた排ガスをメタン生成装置に導くための排ガス排出路と、水素ガスをメタン生成装置に導くための水素ガス供給路と、メタン生成装置で生成させたメタンを、石灰石焼成炉における熱エネルギー源として用いるために、加熱手段に供給するためのメタン供給路とを含む生石灰製造システムによれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[6]を提供するものである。
[1] 加熱手段を含む石灰石焼成炉であって、上記加熱手段を用いて熱エネルギー源を燃焼することによって、石灰石を加熱し、脱炭酸させて、生石灰を製造するための石灰石焼成炉と、上記石灰石を上記石灰石焼成炉に供給するための石灰石供給路と、上記生石灰を上記石灰石焼成炉から排出するための生石灰排出路と、触媒を用いて、炭酸ガスと水素ガスを反応させて、メタンを生成させるためのメタン生成装置とを含む生石灰製造システムであって、上記石灰石焼成炉における脱炭酸で生じた炭酸ガス含有排ガスを上記メタン生成装置に導くための排ガス排出路と、上記水素ガスを上記メタン生成装置に導くための水素ガス供給路と、上記メタン生成装置で生成させたメタンを、上記石灰石焼成炉における上記熱エネルギー源として用いるために、上記加熱手段に供給するためのメタン供給路とを含むことを特徴とする生石灰製造システム。
[2] 上記排ガス排出路の途中に設けられた、上記炭酸ガス含有排ガスから上記触媒の阻害成分を分離するためのメタン化阻害成分分離装置を含む前記[1]に記載の生石灰製造システム。
【0008】
[3] 上記石灰石焼成炉が、上記加熱手段と、上記石灰石を収容するための焼成炉本体と、上記焼成炉本体を収容する形で配設される間接加熱用付属体を含み、上記石灰石焼成炉の上記加熱手段が、上記間接加熱用付属体内で上記熱エネルギー源を燃焼することによって、上記焼成炉本体内の上記石灰石を間接的に加熱し、脱炭酸させるための間接加熱手段を含み、上記排ガス排出路は、第一の排ガス排出路と第二の排ガス排出路からなり、上記第一の排ガス排出路が、上記焼成炉本体で生じた炭酸ガス含有排ガスを上記メタン生成装置に導くためのものであり、上記第二の排ガス排出路が、上記間接加熱用付属体内で生じた炭酸ガス含有排ガスを排出するためのものである前記[1]に記載の生石灰製造システム。
[4] 上記第一の排ガス排出路の途中に設けられた、上記炭酸ガス含有排ガスから上記触媒の阻害成分を分離するためのメタン化阻害成分分離装置を含む前記[3]に記載の生石灰製造システム。
【0009】
[5] 上記第二の排ガス排出路の中を流通する上記排ガスが、上記メタン化阻害成分分離装置又はその前流側の地点において、上記第一の排ガス排出路の中を流通する上記排ガスと合流するように、上記第二の排ガス排出路が配設されている前記[4]に記載の生石灰製造システム。
[6] 上記メタン生成装置が、上記反応を生じさせるためのメタン生成装置本体と、上記メタン生成装置本体を収容する形で配設される間接加熱用の補助手段からなるものであり、上記間接加熱用の補助手段が、上記第二の排ガス排出路の途中に配設されており、上記第二の排ガス排出路内を流通する上記排ガスを用いて、上記メタン生成装置本体の内部空間を間接的に加熱するためのものである前記[3]~[5]のいずれかに記載の生石灰製造システム。
【発明の効果】
【0010】
本発明の生石灰製造システムによれば、生石灰の製造における二酸化炭素の排出量を低減することができ、かつ、メタン生成装置で用いられる触媒の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の生石灰製造システムの一例(第一の実施形態)を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の生石灰製造システムの他の例(第二の実施形態)を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1~2を参照にしながら、本発明の生石灰製造システムについて詳しく説明する。
図1は、本発明の生石灰製造システム実施形態の一例(第一の実施形態例)を模式的に表したものである。
生石灰製造システム1aは、加熱手段13aを含む石灰石焼成炉2であって、加熱手段13aを用いて熱エネルギー源を燃焼することによって、石灰石を加熱し、脱炭酸させて、生石灰を製造するための石灰石焼成炉2と、石灰石を石灰石焼成炉2に供給するための石灰石供給路3と、生石灰を石灰石焼成炉2から排出するための生石灰排出路4と、触媒6を用いて、炭酸ガスと水素ガスを反応させて、メタンを生成させるためのメタン生成装置5とを含む生石灰製造システムであって、石灰石焼成炉2における脱炭酸で生じた炭酸ガス含有排ガスをメタン生成装置5に導くための排ガス排出路7と、水素ガスをメタン生成装置5に導くための水素ガス供給路8と、メタン生成装置5で生成させたメタンを、石灰石焼成炉2における熱エネルギー源として用いるために、加熱手段13aに供給するためのメタン供給路9とを含むものである。
【0013】
生石灰製造システム1aでは、生石灰の原料となる石灰石が、石灰石供給路3から、石灰石焼成炉2に投入される。石灰石焼成炉2内で、加熱手段13aを用いて熱エネルギー源を燃焼することによって、投入された石灰石を直接的に加熱し、脱炭酸させることで、生石灰を製造することができる。
石灰石焼成炉2の例としては、ベッケンバッハ炉、メルツ炉、及びコマ式炉等の竪型の焼成炉や、ロータリーキルン等の回転式の焼成炉等が挙げられる。加熱手段13aの例としては、バーナー等が挙げられる。
上記熱エネルギー源としては、二酸化炭素の排出量を低減することができる観点から、石灰石を加熱し、脱炭酸させる際に生じた炭酸ガスを原料としてメタン生成装置5を用いて生成されたメタンが用いられる。また、メタン及び石灰石には硫黄が含まれていないため、メタンを熱エネルギー源として用いて、石灰石を加熱し、脱炭酸させる際に発生する排ガスには、メタンを生成する際に用いられる触媒の阻害成分である硫黄酸化物が含まれない。このため、熱エネルギー源としてメタンを使用した分だけ、上記排ガス中の硫黄酸化物の量を低減することができ、メタン生成装置5で用いられる触媒6の劣化をより防ぐことができる。
なお、上記熱エネルギー源の一部として、石炭、コークス、重油、天然ガス等の化石熱エネルギー源を用いてもよい。
【0014】
ここで、石灰石の脱炭酸とは、石灰石の主成分である炭酸カルシウム(CaCO3)を、加熱によって生石灰(CaO)と炭酸ガス(CO2)に分解することである。石灰石が脱炭酸されることで、生石灰を得ることができる。
石灰石焼成炉内2において、石灰石を加熱する温度は、好ましくは600~1,050℃、より好ましくは700~1,000℃、特に好ましくは800~950℃である。上記温度が600℃以上であれば、石灰石の脱炭酸をより促進することができる。上記温度が1,000℃以下であれば、原料の焼結などにより、石灰石焼成炉2内が閉塞することを防ぐことができる。
【0015】
石灰石を脱炭酸させることで得られた生石灰は、生石灰排出路4から排出される。排出された石灰石は、クーラーで冷却してもよく、加熱後の高温を維持したままセメントクリンカ原料等として用いてもよい。
石灰石焼成炉2における脱炭酸で生じた炭酸ガス含有排ガス(炭酸ガスを含む排ガス)は、排ガス排出路7内を通って、メタン生成装置5に導かれる。また、排ガス排出路7の途中に、炭酸ガス含有排ガスを吸引するための排ガス誘引機15を設けてもよい。また、炭酸ガス含有排ガスの一部は外部へ排出してもよい。
【0016】
メタン生成装置5は、その内部空間に充填された触媒6を用いて、炭酸ガスと水素ガスを反応させてメタンを生成するものである。
上記触媒の例としては、Rh/Mn系、Rh系、Ni系、Pd系及びPt系等の触媒が挙げられる。また、上記触媒を担持するための担体を用いてもよい。該担体の例としては、CeO2、ZrO2、Y2O3、Al2O3、MgO、TiO2等が挙げられる。これらは適宜選択して用いればよい。
触媒を用いて、炭酸ガスと水素ガスからメタンを生成する反応(いわゆる、メタネーション反応)は、発熱反応であるが、ある一定のレベル以上のエネルギーを与えないとメタン化反応が進行しない。このため、上記反応を促進する目的で、外部から熱エネルギーを供給する必要がある。例えば、メタン生成装置5の周囲に、加熱手段18を配設して、メタン生成装置5の内部空間を間接的に加熱してもよい。
【0017】
上記炭酸ガスは、石灰石焼成炉2における脱炭酸で生じた炭酸ガス含有排ガスに含まれている。また、上記水素ガスは、水素貯蔵タンク10から水素ガス供給路8を通って、メタン生成装置5に導かれる。水素ガス供給路8の途中に、水素ガスを吸引するための水素ガス誘引機16を設けてもよい。
水素貯蔵タンク10に貯蔵されている水素は、水を電気分解することによって得ることができる。水を電気分解する際の電気エネルギーとして、水力、風力、地熱、又は太陽光等の再生可能なエネルギー由来のものを用いれば、二酸化炭素の排出量をさらに削減することができる。
【0018】
また、排ガス排出路7の途中に、炭酸ガス含有排ガスからメタン生成装置5で用いられる触媒の阻害成分(触媒の作用を阻害して、触媒としての性能を低下させる成分)を分離するためのメタン化阻害成分分離装置11を設けてもよい。
上記阻害成分の例としては、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、塩化水素(HCl)等が挙げられる。
メタン化阻害成分分離装置11は、硫黄酸化物、窒素酸化物、及び塩化水素等の上記阻害成分を除去するための既知の方法や装置を、適宜、組み合わせたものである。
なお、本発明の生石灰製造システム1aにおいて、加熱手段の熱エネルギー源のすべてがメタンである場合には、炭酸ガス含有排ガスは、上記阻害成分を含まない、または、含んでいてもその量は非常に少ないため、メタン化阻害成分分離装置11を配設しなくてもよい。
【0019】
硫黄酸化物を除去する方法の例としては、炭酸ガス含有排ガスを苛性ソーダ等のアルカリ水溶液と接触させて、硫黄酸化物を硫酸イオンにして除去する方法;炭酸ガス含有排ガスに生石灰又は消石灰を噴霧することで、硫黄酸化物を石膏に変換して集塵機で回収、除去する方法等が挙げられる。
窒素酸化物を除去する方法としては、炭酸ガス含有排ガスに、アンモニア又は尿素を噴霧することで、窒素酸化物を窒素(N2)に変換して除去する方法;炭酸ガス含有排ガスを活性コークスに接触させることによって、窒素酸化物を活性コークスに吸着させて除去する方法;炭酸ガス含有排ガスに強酸化剤を添加することで、NOをNO2にした後、水に吸収させる方法等が挙げられる。
【0020】
また、メタン化阻害成分分離装置11において、必要に応じて水を除去してもよい。
例えば、硫黄酸化物を除去する方法や窒素酸化物を除去する方法が、乾式手段で行われる場合、炭酸ガス含有排ガスの温度が水の凝結温度以下になるまで冷却することによって、炭酸ガス含有排ガス中の水蒸気を、液体状の水として分離、除去することができる。
また、硫黄酸化物を除去する方法や窒素酸化物を除去する方法が、湿式手段で行われる場合、水は自然と除去される。
【0021】
また、炭酸ガス含有排ガス中の酸素(O2)は、メタンを製造する際に用いられる水素ガスとメタン生成装置5内で反応してしまうため、水素ガスを過剰に消費するという問題がある。また、炭酸ガス含有排ガス中の窒素(N2)は、メタン化に関与しない無用なガスである。そのため、効率的にメタン化を行う観点から、炭酸ガス含有排ガスから酸素及び窒素を除去し、炭酸ガスを分離、回収して、メタン生成装置5に導いてもよい。
炭酸ガス含有排ガスから炭酸ガスを分離、回収する方法の例としては、細孔径を調製したゼオライト膜を用いて炭酸ガスを物理的に吸着させて分離、回収する方法や、セレクソール法、レクチゾール法等の物理吸収法が挙げられる。また、再生のために過大なエネルギーを消費するという欠点があるものの、信頼性に優れた方法として、アミン系吸収液等を用いた化学吸収法が挙げられる。該方法によれば、アミン系吸収液に炭酸ガスを選択的に吸収させた後、再生塔において、アミン系吸収液を加熱することによって、高濃度の炭酸ガスを得ることができる。
【0022】
メタン生成装置5において生成されたメタンは、メタン、水分、並びに、反応せずに残存したCO2及びH2等を含むメタン含有ガスとして排出される。メタンは、その後、少なくとも水分を除去した後、メタン供給路9を通って、熱エネルギー源として、石灰石焼成炉2の加熱手段13aに供給される。
メタン供給路9の途中に、メタンを一時的に貯蔵するためのメタン貯蔵タンク12や、メタンを吸引し、メタンの供給量を調整するためのメタンガス誘引機17を設けてもよい。
【0023】
メタンを、石灰石焼成炉2の加熱手段13aの熱エネルギー源として用いることで、石灰石を加熱し、脱炭酸させる際に必要な熱エネルギーを得ることができ、燃焼に伴って発生する二酸化炭素の排出量を低減することができる。
ここで、生石灰製造システム1aにおける二酸化炭素の排出量を以下に算出する。なお、実際の生石灰製造システムでは、様々な要因によって二酸化炭素の排出量は変化するので、必ずしも算出された数値となるわけではない。
例えば、生石灰1トンを得るために、CaCO3の純度が95質量%の石灰石を1,880kg使用し、すべての熱エネルギー源として、燃焼熱量が5,440MJとなる量の重油を使用したと仮定した場合、計算上、1,949kg(重油の燃焼によるもの:1,163kg、脱炭酸によるもの:786kg)の二酸化炭素が排出される。
燃焼熱量が5,440MJとなる量の重油の代わりに、メタン生成装置5で生成されたメタン152Nm3を使用した場合、熱エネルギー源の燃焼に伴って生じる炭酸ガスの量は約79kg削減される。また、石灰石焼成炉2の加熱手段13aに供給されたメタンと同モルの二酸化炭素は、排ガス排出路7を通ってメタン生成装置5に導かれて、再びメタン化される。このため、生石灰製造システム1aにおける二酸化炭素の排出量は1,571kgとなり、重油を熱エネルギー源として用いた場合と比較して、二酸化炭素の排出量を約20%削減することができる。
【0024】
図2は、石灰石焼成炉を用いた本発明の生石灰製造システムの実施形態の他の例(第二の実施形態例)を模式的に表したものである。なお、
図2中、
図1中の符号と同じ名称を有する各部には、
図1と同じ符号を付けてある。
生石灰製造システム1bは、加熱手段13b、14を含む石灰石焼成炉であって、加熱手段13b、14を用いて熱エネルギー源を燃焼することによって、石灰石を加熱し、脱炭酸させて、生石灰を製造するための石灰石焼成炉2と、石灰石を石灰石焼成炉2に供給するための石灰石供給路3と、生石灰を石灰石焼成炉2から排出するための生石灰排出路4と、触媒6を用いて、炭酸ガスと水素ガスを反応させて、メタンを生成させるためのメタン生成装置5と、石灰石焼成炉における脱炭酸で生じた炭酸ガス含有排ガスをメタン生成装置5に導くための排ガス排出路7aと、水素ガスをメタン生成装置5に導くための水素ガス供給路8と、メタン生成装置5で生成させたメタンを、石灰石焼成炉2における熱エネルギー源として用いるために、加熱手段に供給するためのメタン供給路9とを含み、石灰石焼成炉2が、加熱手段と、石灰石を収容するための焼成炉本体2aと、焼成炉本体2aを収容する形で配設される間接加熱用付属体2bを含み、石灰石焼成炉2の加熱手段が、間接加熱用付属体内2bで熱エネルギー源を燃焼することによって、焼成炉本体2a内の石灰石を間接的に加熱し、脱炭酸させるための間接加熱手段14を含み、排ガス排出路は、第一の排ガス排出路7aと第二の排ガス排出路7bからなり、第一の排ガス排出路7aが、焼成炉本体2aで生じた炭酸ガス含有排ガスをメタン生成装置5に導くためのものであり、第二の排ガス排出路7bが、間接加熱用付属体2b内で生じた炭酸ガス含有排ガスを排出するためのものである。
【0025】
第二の実施形態例では、石灰石焼成炉2として、加熱手段(間接加熱手段14、加熱手段13b)と、石灰石を収容するための焼成炉本体2aと、焼成炉本体2aを収容する形で配設される間接加熱用付属体2bを含むものを用いている。このような構造を有する焼成炉としては、二重円筒型のロータリーキルン等が挙げられる。なお、
図2の石灰石焼成炉2は、二重円筒型のロータリーキルンを、軸線に沿って鉛直方向に切断した状態を示している。
間接加熱用付属体2bは、焼成炉本体2a内の石灰石を加熱することができるものであればよく、焼成炉本体2aの一部分を収容する(覆う)ように配設されていてもよい。
間接加熱手段14は、間接加熱用付属体2b内で熱エネルギー源を燃焼することによって、焼成炉本体2a内の石灰石を間接的に加熱し、脱炭酸させることができるものである。
【0026】
焼成炉本体2aと間接加熱用付属体2bは完全に分けられているため、間接加熱手段14において熱エネルギー源を燃焼した際(特に、石炭、コークス、重油、天然ガス等の化石熱エネルギー源を燃焼した場合)に発生する硫黄酸化物等の触媒の阻害成分が、焼成炉本体2a内で生じた炭酸ガス含有排ガスに混入しないため、上記炭酸ガス含有排ガスは、メタン生成装置の触媒を劣化させにくいものとなる。また、上記炭酸ガス含有排ガスには、熱エネルギー源を燃焼する際に用いられる空気等の支燃性ガス由来の窒素や酸素が含まれないため、上記炭酸ガス含有排ガスは、炭酸ガス濃度の高いものとなる。このため、焼成炉本体2a内で生じた炭酸ガス含有排ガスは、メタンを生成する際の原料として好ましいものとなる。
【0027】
間接加熱手段14の例としては、バーナー等が挙げられる。また、間接加熱手段14で用いられる熱エネルギー源としては、石炭、コークス、重油、天然ガス等の化石熱エネルギー源が挙げられる。また、上記熱エネルギー源として、石灰石を加熱し、脱炭酸させる際に生じた炭酸ガスを原料としてメタン生成装置を用いて生成されたメタンを用いてもよい。該メタンを熱エネルギー源として用いることで、二酸化炭素の排出量を低減することができる。また、メタンには硫黄が含まれていないため、メタンを燃焼した際に発生する炭酸ガス含有排ガスには、メタン化阻害成分である硫黄酸化物が含まれない。このため、熱エネルギー源としてメタンを使用した分だけ、熱エネルギー源を燃焼した際に発生する炭酸ガス含有排ガス中の硫黄酸化物の量を低減することができ、該排ガスを用いてメタンを生成する場合、メタン生成装置5で用いられる触媒6の劣化を防ぐことができる。
【0028】
また、石灰石の加熱、脱炭酸を促進する観点から、焼成炉本体2内で、熱エネルギー源を燃焼することによって、焼成炉本体2a内の石灰石を直接的に加熱し、脱炭酸させるための加熱手段13bを設けてもよい。
加熱手段13bや、加熱手段13bに用いられる熱エネルギー源としては、間接加熱手段14と同様のものを用いることができる。
【0029】
焼成炉本体2a内の、石灰石を加熱する温度は、好ましくは600~1,050℃、より好ましくは700~1,000℃、特に好ましくは800~950℃である。上記温度が600℃以上であれば、石灰石の脱炭酸をより促進することができる。上記温度が1,000℃以下であれば、原料の焼結などにより、石灰石焼成炉2内が閉塞することを防ぐことができる。
また、間接加熱用付属体2b内の温度は、好ましくは900℃以上、より好ましくは950~1,050℃、特に好ましくは980~1,020℃である。上記温度が900℃以上であれば、焼成炉本体2aの中の石灰石を十分に加熱することができる。
【0030】
第二の実施形態例において、排ガス排出路は、第一の排ガス排出路7aと第二の排ガス排出路7bからなる。
第一の排ガス排出路7aは、焼成炉本体2a内で生じた炭酸ガス含有排ガスをメタン生成装置5に導くためのものである。
焼成炉本体2a内で生じた上記排ガスには、硫黄酸化物や窒素酸化物がほとんど含まれていないが、必要に応じてメタン化阻害成分分離装置11を、第一の排ガス排出路7aの途中に設けてもよい。
また、第一の排ガス排出路7aの途中に、炭酸ガス含有排ガスを吸引するための排ガス誘引機15を設けてもよい。また、炭酸ガス含有排ガスの一部は外部へ排出してもよい。
【0031】
第二の排ガス排出路7bは、間接加熱用付属体2b内で生じた炭酸ガス含有排ガスを排出するためのものである。また、第二の排ガス排出路7bの途中に、炭酸ガス含有排ガスを吸引するための排ガス誘引機15を設けてもよい。
間接加熱用付属体2b内で生じた炭酸ガス含有排ガスは、メタン生成装置5において、メタンを生成させるための原料として用いてもよい。
間接加熱用付属体2b内で生じた炭酸ガス含有排ガスに含まれる炭酸ガスを、メタンを生成させるための原料として用いる場合、第二の排ガス排出路は、メタン化阻害成分分離装置11又はその前流側の地点において、第一の排ガス排出路7aの中を流通する上記排ガスと合流するように配設してもよい。
特に、間接加熱手段14の熱エネルギー源として、石炭、コークス、重油、天然ガス等の化石熱エネルギー源を用いた場合には、間接加熱用付属体2b内で生じた炭酸ガス含有排ガスには、硫黄酸化物等の触媒の阻害成分が含まれているため、メタン化阻害成分分離装置11を用いて、上記阻害成分を分離することが好ましい。
また、メタン化阻害成分分離装置11の負担を軽減する目的等から、第二の排ガス排出路7b内を流通している上記排ガスを、メタンを生成させるための原料として使用せずに、脱硫、脱硝処理した後、煙突から外部へ排出してもよい。
【0032】
メタン生成装置5は、上述した生石灰製造システム1aで用いたものと同様のものが用いられる。
また、炭酸ガスと水素ガスからメタンを生成する反応を促進する目的で、メタン生成装置5を、上記反応を生じさせるためのメタン生成装置本体5aと、メタン生成装置本体5aを収容する形で配設される間接加熱用の補助手段5bからなるものとし、間接加熱用の補助手段5bが、第二の排ガス排出路7bの途中に配設されており、第二の排ガス排出路7b内を流通する上記排ガスを用いて、メタン生成装置本体5aの内部空間を間接的に加熱してもよい。メタン生成装置本体5aの内部空間を間接的に加熱することに用いられた上記排ガスは、第二の排ガス排出路7bを通って、メタン化阻害成分分離装置11又はその前流側の地点において、第一の排ガス排出路7aの中を流通する上記排ガスと合流してもよく、外部に排出してもよい。
なお、間接加熱用の補助手段5bは、メタン生成装置本体5a内を昇温することができるものであればよく、メタン生成装置本体5aの一部分を収容する(覆う)ように配設されていてもよい。
【0033】
図2において、メタン生成装置5において生成されたメタンは、メタン、水分、並びに、反応せずに残存したCO
2及びH
2等を含むメタン含有ガスとして排出される。その後、少なくとも水分を除去した後、メタン供給路9を通って、焼成炉本体2aの加熱手段13b、及び、間接加熱用付属体2bの間接加熱手段14の少なくともいずれか一方に熱エネルギー源として供給される。
また、メタン供給路9の途中に、メタンを一時的に貯蔵するためのメタン貯蔵タンク12、メタンを吸引し、メタンの供給量を調整するためのメタンガス誘引機17を設けてもよい。
【0034】
図2中の、水素ガス供給路8、水素貯蔵タンク10、メタン化阻害成分分離装置11、メタン貯蔵タンク12、水素ガス誘引機16は、各々、上述した
図1中の、水素ガス供給路8、水素貯蔵タンク10、メタン化阻害成分分離装置11、メタン貯蔵タンク12、水素ガス誘引機16と同様である。
【0035】
生石灰製造システム1bにおける、二酸化炭素の排出量を以下に算出する。なお、実際のセメントクリンカ製造では、様々な要因によって二酸化炭素の排出量は変化するので、必ずしも算出された数値となるわけではない。
例えば、生石灰1トンを得るために、CaCO3の純度が95質量%の石灰石を1,880kg使用し、間接加熱手段14と加熱手段13bを用いて、間接加熱手段14での燃焼熱量が1,088MJとなる量の重油と、加熱手段13bでの燃焼熱量が4,354MJとなる量のメタンを、各々、燃焼させることで、焼成炉本体2a内の石灰石を850~1,000℃で加熱し、脱炭酸させると仮定した場合、焼成炉本体2a内で生じた二酸化炭素の量は1,811kgと算出される。このうち240kgの二酸化炭素はメタン製造の原料として利用される。一方、重油の燃焼によって間接加熱用付属体2b内で生じた二酸化炭素の量は862kgと算出される。よって、生石灰製造システム1b全体から排出される二酸化炭素の合計は、2,433kgと算出される。
なお、間接加熱用付属体2b内で生じた排ガスには、高濃度(4,400ppm程度)の硫黄酸化物が含まれる。
一方、燃焼熱量が1,088MJとなる量の重油の代わりに、メタン生成装置5で生成されたメタン30Nm3を使用した場合、熱エネルギー源の燃焼に伴って生じる炭酸ガスの量は約17kg削減される。また、間接加熱手段14と加熱手段13bに供給されたメタンと同モルの二酸化炭素は、排ガス排出路を通ってメタン生成装置5に導かれて、再びメタン化される。このため、生石灰製造システム1bにおける二酸化炭素の排出量は2,357kgとなり、重油を熱エネルギー源として用いた場合の2,433kgと比較して、二酸化炭素の排出量を約3%削減することができる。
上記の二酸化炭素の排出量の試算は、生石灰製造システム1bの熱エネルギー源として利用可能な量のみの二酸化炭素をメタン化することを前提としたが、生石灰製造システム1b以外で、メタンの用途がある場合には、より多くの量の二酸化炭素をメタン化して利用することができるため、二酸化炭素の排出量をより削減することができる。
【0036】
また、生石灰製造システムにおいて、メタン生成装置において生成されたメタン含有ガスの供給量及び組成に基いて、加熱手段において補助的に用いられる化石熱エネルギー源の供給量を制御してもよい。
メタン生成装置におけるメタン化は平衡反応であるため、メタン濃度が100体積%であるガスを製造することはできない。また、メタン化の条件が変動すると、得られるメタン含有ガスの組成や熱量が変動するため、上記ガスの流量を一定にして石灰石焼成炉の加熱手段に供給したとしても、加熱手段における燃焼熱量を一定にすることは難しい。メタン含有ガスの供給量及び組成に基いて、加熱手段に補助的に供給される化石熱エネルギー源の量を増減することで、安定的に生石灰を製造することが可能となる。
化石熱エネルギー源の供給量を制御する方法としては、石灰石焼成炉に必要な熱量から、メタン生成装置において生成されたメタン含有ガスの燃焼で補うことが可能な熱量を減じて、不足分の熱量に相当する化石熱エネルギー源を供給する方法が挙げられる。
【0037】
また、生石灰製造システムにおいて、熱エネルギー源の燃焼に必要な支燃性のガスとして、空気の代わりに、空気に比べて酸素濃度を高めた支燃性ガスを用いてもよい。該支燃性ガスを用いることで、発生する排ガスに含まれる窒素(空気等の支燃性のガス由来のもの)の量を減らすことができ、取り扱う排ガスの絶対量を減少させて、設備をコンパクトにすることができる。
支燃性ガスは、支燃性ガス供給装置(図示せず。)から供給され、支燃性ガス供給路(図示せず。)を通って、石灰石焼成炉の加熱手段に導かれる。
支燃性ガス供給装置としては、例えば酸素タンク、空気から酸素を分離する空気分離装置(Air Separation Unit:ASU)、水の電気分解により酸素を生成させる水電気分解装置等が挙げられる。
【0038】
例えば、石灰石焼成システム1aにおいて、使用する熱エネルギー源のすべてを、メタン生成装置5で生成されたメタンにして、生石灰1トンを製造した場合、発生する炭酸ガス含有排ガスの量は、支燃性ガスとして空気を用いた場合、2,688Nm3であるのに対して、支燃性ガスとして酸素の含有率が100体積%である気体を用いた場合、1,317Nm3となる。
また、支燃性ガスとして空気を用いた場合、上記排ガス中の炭酸ガス濃度は約35体積%となるのに対して、支燃性ガスとして酸素の含有率が100体積%であるものを用いた場合、上記排ガス中の炭酸ガス濃度は約72体積%となる。上記排ガス中の炭酸ガス濃度が高い程、上記排ガスは、メタン化の原料として好ましいものとなる。
なお、実際の生石灰製造システムでは、様々な要因によって上記排ガスの排出量や、炭酸ガス濃度は変化するので、必ずしも算出された数値となるわけではない。
【符号の説明】
【0039】
1a,1b 生石灰製造システム
2 石灰石焼成炉
2a 焼成炉本体
2b 間接加熱用付属体
3 石灰石供給路
4 生石灰排出路
5 メタン生成装置
5a メタン生成装置本体
5b 間接加熱用の補助手段
6 触媒
7 排ガス排出路
7a 第一の排ガス排出路
7b 第二の排ガス排出路
8 水素ガス供給路
9 メタン供給路
10 水素貯蔵タンク
11 メタン化阻害成分分離装置
12 メタン貯蔵タンク
13a,13b,18 加熱手段
14 間接加熱手段
15 排ガス誘引機
16 水素ガス誘引機
17 メタンガス誘引機