(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】X線コンピュータ断層撮影装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
A61B6/03 573
A61B6/03 550A
(21)【出願番号】P 2020214717
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡島 裕治
(72)【発明者】
【氏名】石田 祥大
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 博明
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-139760(JP,A)
【文献】特開2003-219418(JP,A)
【文献】特開2015-223350(JP,A)
【文献】特表2011-505228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0131588(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検出素子が少なくともチャネル方向に複数配列されたX線検出部と、
前記X線検出部に対して入射するX線の推定カウント数を前記複数の検出素子の各々について取得する取得部と、
前記推定カウント数に基づいて、前記複数の検出素子の各々のカウント数を示す検出データの伝送時のビット数を決定する決定部と
、を備え、
前記決定部は、前記検出データのビットのうち最上位ビットの他の前記推定カウント数に応じたビット位置を、伝送時の最上位ビットに指定することにより、前記伝送時のビット数を決定する、
X線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記X線検出部は、光子計数型のX線検出器であり、ビューごとにX線のエネルギーで弁別された複数の検出データを出力し、
前記決定部は、前記ビューごとに前記伝送時のビット数を決定する、
請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記取得部は、少なくとも1つのスキャン条件で被検体を透過せずに収集された前記複数の検出素子の各々のカウント数を示す検出データを取得し、取得された前記検出データに基づいて前記推定カウント数を算出する、
請求項1
又は請求項
2に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記取得部は、少なくとも1つのスキャン条件で収集された被検体のスキャノ画像データを取得し、取得された前記スキャノ画像データに基づいて前記推定カウント数を算出する、
請求項1から請求項
3のうちのいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記X線を発生するX線発生部と前記X線検出部との間に配置されるウェッジの種別及び形状のうち少なくとも一方に基づいて前記推定カウント数を算出する、
請求項1から請求項
4のうちのいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項6】
前記取得部は、光学カメラにより取得された被検体の光学画像データを取得し、取得された前記光学画像データに基づいて前記被検体の体格に関する情報を取得し、前記被検体の体格に関する情報に基づいて前記X線の前記被検体における透過長及び減衰率を推定し、前記透過長及び前記減衰率に基づいて前記推定カウント数を算出する、
請求項1から請求項
5のうちのいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項7】
前記取得部は、被検体に関する人体モデルに基づいて前記X線の前記被検体における透過長及び減衰率を推定し、前記透過長及び前記減衰率に基づいて前記推定カウント数を算出する、
請求項1から請求項
6のうちのいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項8】
スキャン条件と、前記推定カウント数との対応を示すモデルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記取得部は、被検体に関して前記検出データを収集するときのスキャン条件を取得し、前記スキャン条件に基づいて前記記憶部から前記推定カウント数を取得する、
請求項1から請求項
7のうちのいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項9】
被検体に関して収集された前記検出データの上位ビットを除去することにより、前記検出データのビット数を前記決定部により決定された前記伝送時のビット数に変換する変換部と、
変換された前記検出データを伝送する伝送部と、
前記伝送時のビット数に基づいて、伝送された前記検出データのビット数に上位ビットを付与することにより、前記検出データを前記変換部による変換前のビット数に復元する復元部と
をさらに備える、
請求項1から請求項
8のうちのいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項10】
被検体に関して収集された前記検出データの下位ビットを除去する非可逆圧縮を行う圧縮部をさらに備え、
前記変換部は、前記圧縮部により圧縮された前記検出データの上位ビットを除去することにより、前記検出データのビット数を前記伝送時のビット数に変換する、
請求項
9に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項11】
複数の検出素子が少なくともチャネル方向に複数配列されたX線検出部に対して入射するX線の
推定カウント数を前記複数の検出素子の各々について取得することと、
前記
推定カウント数に基づいて、前記複数の検出素子の各々の
カウント数を示す検出データの伝送時のビット数を決定することと
、を含み、
前記伝送時のビット数は、前記検出データのビットのうち最上位ビットの他の前記推定カウント数に応じたビット位置を、伝送時の最上位ビットに指定することにより決定する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォトンカウンティング型のX線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置においては、X線検出器の列方向、チャネル方向、時間方向及びエネルギー領域(ビン)の4次元のデータが収集されている。このため、フォトンカウンティング型のX線CTにおいては、エネルギービンを除く3次元のデータが収集される積分型のX線CTと比較して、データ伝送量が大きく、データ転送に長時間を要していた。
【0003】
このような中、データ量は、データの圧縮により低減することができる。また、非可逆圧縮であれば、可逆圧縮と比較して高い圧縮率を実現できる。しかしながら、非可逆圧縮において圧縮率を大きくすると、圧縮前のデータと圧縮後に復元されたデータとの間の乖離が大きくなり、復元されたデータを用いて生成される画像の画質が低下する。このため、画質を維持しつつデータ伝送量を低減することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、画質を維持しつつデータ転送に要する時間を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線検出部と、取得部と、決定部とを備える。前記X線検出部は、複数の検出素子が少なくともチャネル方向に複数配列されている。前記取得部は、前記X線検出部に対して入射するX線の推定カウント数を前記複数の検出素子の各々について取得する。前記決定部は、前記推定カウント数に基づいて、前記複数の検出素子の各々のカウント数を示す検出データの伝送時のビット数を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るX線CT装置のデータ転送に関する構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るX線CT装置における、データ転送量の低減について説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るX線CT装置において実行される、ビット数の最適化処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係るX線CT装置において実行される、データ伝送処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係るX線CT装置のデータ転送に関する構成の別の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る圧縮処理について説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る圧縮処理について説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る圧縮処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置及び制御方法を説明する。なお、以下の説明において、既出の図に関して前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。
【0009】
X線コンピュータ断層撮影装置(CT装置)には、第3世代CT、第4世代CT等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも各実施形態へ適用可能である。ここで、第3世代CTは、X線管と検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Typeである。第4世代CTは、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Typeである。
【0010】
また、以下の実施形態で説明するX線CT装置は、フォトンカウンティングCTを実行可能な装置である。すなわち、以下の実施形態で説明するX線CT装置は、フォトンカウンティング方式のX線検出器(光子計数型検出器)を用いて被検体を透過したX線を計数することで、X線CT画像データを再構成可能な装置である。また、以下の実施形態において、X線CT装置が行うスキャン(以下、「撮影」ともいう)とは、コンベンショナルスキャン又はヘリカルスキャンを意味する。
【0011】
図1は、実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置1の構成の一例を示す図である。X線CT装置1は、X線管11から被検体Pに対してX線を照射し、照射されたX線をX線検出器12で検出する。X線CT装置1は、X線検出器12からの出力に基づいて被検体Pに関するCT画像を生成する。
【0012】
図1に示すように、X線CT装置1は、架台10、寝台30及びコンソール40を有する。なお、
図1では説明の都合上、架台10が複数描画されている。架台10は、被検体PをX線CT撮影するための構成を有するスキャン装置である。寝台30は、X線CT撮影の対象となる被検体Pを載置し、被検体Pを位置決めするための搬送装置である。コンソール40は、架台10を制御するコンピュータである。例えば、架台10及び寝台30はCT検査室に設置され、コンソール40はCT検査室に隣接する制御室に設置される。架台10、寝台30及びコンソール40は、互いに通信可能に有線又は無線で接続されている。
【0013】
なお、コンソール40は、必ずしも制御室に設置されなくてもよい。例えば、コンソール40は、架台10及び寝台30とともに同一の部屋に設置されてもよい。また、コンソール40が架台10に組み込まれてもよい。
【0014】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し床面に対し垂直である軸方向をY軸方向と定義する。
【0015】
図1に示すように、架台10は、X線管11、X線検出器12、回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17及びデータ収集回路(Data Acquisition System:DAS)18を有する。
【0016】
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管11は、X線高電圧装置14から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、被検体Pに対してX線を照射する。ここで、X線管11は、X線発生部の一例である。
【0017】
なお、X線を発生させるハードウェアはX線管11に限られない。例えば、X線管11に代えて、第5世代方式を用いてX線を発生させることにしても構わない。第5世代方式は、電子銃から発生した電子ビームを集束させるフォーカスコイルと、電磁偏向させる偏向コイルと、被検体Pの半周を囲い偏向した電子ビームが衝突することによってX線を発生させるターゲットリングとを含む。
【0018】
X線検出器12は、光子計数型検出器であり、X線光子が入射するごとに、当該X線光子のエネルギー値を計測可能な信号を出力する。X線光子は、例えば、X線管11から照射され被検体Pを透過したX線光子である。X線検出器12は、X線光子が入射するごとに、1パルスの電気信号(アナログ信号)を出力する複数の検出素子を有する。電気信号(パルス)の数を計数することで、各検出素子に入射したX線光子の数(カウント数)を計数することが可能である。また、この信号に対して、処理の演算処理を行なうことで、当該信号の出力を引き起こしたX線光子のエネルギー値を計測することができる。例えば、X線検出器12は、検出素子が、チャネル方向(
図1中のX軸方向)にN列、列方向(
図1中のZ軸方向,スライス方向)にM列配置された面検出器である。
【0019】
上記の検出素子は、例えば、シンチレータと光電子増倍管等の光センサとにより構成される。この場合、X線検出器12は、入射したX線光子をシンチレータによりシンチレータ光に変換し、シンチレータ光を光電子増倍管等の光センサにより電気信号に変換する間接変換型の検出器である。また、上記の検出素子は、例えば、CdTe(テルル化カドミウム:cadmium telluride)やCdZnTe(テルル化カドミウム亜鉛:cadmium Zinc telluride)等の半導体検出素子に電極が配置されたものである。この場合、X線検出器12は、入射したX線光子を、直接、電気信号に変換する直接変換型の検出器である。
【0020】
X線検出器12は、上記の検出素子と、検出素子に接続されて、検出素子が検出したX線光子を計数するASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサとを複数有する。プロセッサは、検出素子が出力した個々の電荷を弁別することで、検出素子に入射したX線光子の数を計数する。また、プロセッサは、個々の電荷の大きさに基づく演算処理を行なうことで、計数したX線光子のエネルギーを計測する。さらに、プロセッサは、X線光子の計数結果をデジタルデータとしてDAS18に出力する。ここで、X線検出器12は、X線検出部の一例である。
【0021】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。回転フレーム13の開口部19には、画像視野(FOV)が設定される。例えば、回転フレーム13は、アルミニウムを材料とした鋳物である。なお、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やウェッジ16、コリメータ17及びDAS18等をさらに支持することもできる。また、回転フレーム13は、
図1において図示しない種々の構成をさらに支持することもできる。
【0022】
X線高電圧装置14は、高電圧発生装置及びX線制御装置を有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する。X線制御装置は、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行う。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。X線高電圧装置14は、架台10内の回転フレーム13に設けられてもよいし、架台10内の固定フレーム(図示しない)に設けられても構わない。なお、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
【0023】
制御装置15は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構と、この駆動機構を制御するプロセッサ及びメモリ等を有する処理回路とを含む。制御装置15は、入力インターフェース43や架台10に設けられた入力インターフェース等からの入力信号を受けて、架台10及び寝台30の動作制御を行う。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や架台10をチルトさせる制御、寝台30を動作させる制御を行う。なお、架台10をチルトさせる制御は、架台10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は架台10に設けられてもよいし、コンソール40に設けられてもよい。
【0024】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工して構成される。
【0025】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を限定する。コリメータ17は、X線を遮蔽する複数の鉛板をスライド可能に支持し、複数の鉛板により形成されるスリットの形態を調節する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。
【0026】
DAS18は、X線検出器12から入力された計数結果に基づいて検出データを生成する。検出データは、例えば、サイノグラムである。サイノグラムは、X線管11の各位置(以下、ビュー角度ともいう)において各検出素子に入射した計数処理の結果を並べたデータである。サイノグラムは、ビュー方向及びチャネル方向を軸とする2次元直交座標系に、計数処理の結果を並べたデータである。DAS18は、例えば、X線検出器12におけるスライス方向の列単位で、サイノグラムを生成する。ここで、計数処理の結果は、エネルギー領域(ビン)ごとのX線の光子数を割り当てたデータである。例えば、DAS18は、X線管11から照射されて被検体Pを透過したX線に由来する光子(X線光子)を計数し、当該計数したX線光子のエネルギーを弁別して計数処理の結果とする。DAS18は、生成した検出データをコンソール40へ転送する。DAS18は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0027】
なお、DAS18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode: LED)を有する送信機から光通信によって架台10の非回転部分(例えば固定フレーム。
図1での図示は省略している。)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台10の非回転部分へのデータの送信方法は、光通信に限らず、非接触型の如何なるデータ伝送方式を採用してもよく、接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
【0028】
なお、本実施形態では、光子計数型のX線検出器12が搭載されたX線CT装置1を例として説明するが、本実施形態に係る技術は、積分型のX線検出器12が搭載されたX線CT装置1として実現することもできる。
【0029】
寝台30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを有する。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、天板33の長手方向(Z軸方向)に移動する駆動機構であり、モータ及びアクチュエータ等を含む。天板33は、被検体Pが載置される板である。天板33は、支持フレーム34の上面に設けられる。天板33は、被検体Pの全身が撮影可能となるように、寝台30から架台10側へ突出することが可能である。天板33は、例えば、X線の透過性と、剛性及び強度等の物理特性とが良好な炭素繊維強化樹脂(carbon fiber reinforced plastic;CFRP)により形成される。また、例えば、天板33の内部は、空洞である。支持フレーム34は、天板33を、天板33の長手方向に移動可能に支持する。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長手方向に移動してもよい。
【0030】
コンソール40は、メモリ41、ディスプレイ42、入力インターフェース43及び処理回路44を有する。メモリ41とディスプレイ42と入力インターフェース43と処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。なお、コンソール40は架台10とは別体として説明するが、架台10にコンソール40又はコンソール40の各構成要素の一部が含まれてもよい。ここで、入力インターフェース43は、入力部の一例である。
【0031】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ41は、投影データや再構成画像データを記憶する。また、例えば、メモリ41は、事前収集処理により得られた各スキャン条件での検出データや各スキャン条件における計数結果の推定データ(推定カウント数)を記憶する。また、例えば、メモリ41は、各種のプログラムを記憶する。なお、メモリ41の保存領域は、X線CT装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。ここで、メモリ41は、記憶部の一例である。
【0032】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。ディスプレイ42としては、種々の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。例えばディスプレイ42として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)又はプラズマディスプレイが使用可能である。
【0033】
なお、ディスプレイ42は、制御室の如何なる場所に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、架台10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール40の本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ42として、1又は2以上のプロジェクタが用いられてもよい。
【0034】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、これらの物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。また、入力インターフェース43は、架台10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0035】
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。処理回路44は、ハードウェア資源として、プロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、データ転送機能442、前処理機能443、再構成処理機能444、画像処理機能445及び表示制御機能446等を実行する。
【0036】
システム制御機能441において処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。一例として、処理回路44は、架台10で行なわれるスキャンを制御する。具体的には、処理回路44は、X線検出器12、X線高電圧装置14、制御装置15、DAS18及び寝台駆動装置32の動作を制御することで、架台10における計数結果の収集処理を制御する。例えば処理回路44は、位置決め画像(スキャノ画像)を収集する位置決めスキャン及び診断に用いる画像を収集する撮影(本スキャン)における投影データの収集処理をそれぞれ制御する。
【0037】
また、システム制御機能441において処理回路44は、事前収集処理を行う。処理回路44は、位置決めスキャンや本スキャンより前の時点で事前収集処理を行う。処理回路44は、事前収集処理において、各スキャン条件下で被検体Pを天板33に載置しない状態で検出データを収集する。この検出データは、被検体Pを透過せずに検出された、各検出素子の各エネルギービンのカウント数を示すデータである。処理回路44は、事前収集処理において、得られた各スキャン条件での検出データを、推定データ(推定カウント数)としてメモリ41に格納する。この推定カウント数は、被検体P(被写体)を置かない状態で想定されるカウント数であるから、被写体や関心領域によらず使用することができる。
【0038】
なお、事前収集処理(撮影)は、本スキャン前に行われるため、速い伝送速度でのデータ伝送が要求されるものではない。したがって、この撮影に係るデータ伝送では、本実施形態に係るデータ伝送処理(
図5参照)のように、スキャン条件に応じて上位ビットを除去するデータ変換処理は不要である。
【0039】
また、処理回路44は、ビット数の最適化処理において、例えば入力インターフェース43を介して操作者から受け付けたスキャン条件の指定に応じて、指定されたスキャン条件に関する推定カウント数をメモリ41から取得する。処理回路44は、取得された推定カウント数をデータ転送機能442に供給する。ここで、システム制御機能441を実現する処理回路44は、取得部の一例である。
【0040】
データ転送機能442において処理回路44は、システム制御機能441により取得された推定カウント数に基づいて、DAS18からの検出データの伝送時の最上位ビット(MSB:Most Significant Bit)を指定する。処理回路44は、伝送時の最上位ビットを、各検出素子、各ビュー及び各エネルギービンに対して指定する。こで、伝送時の最上位ビットとは、伝送されるデータの最上位のビットのビット位置である。伝送時の最上位ビットは、DAS18から出力される検出データのビットのうち最上位ビットの他の推定カウント数に応じたビット位置である。つまり、伝送時の最上位ビットは、DAS18からの検出データの最上位ビットより下位のビットである。一方で、伝送時の最上位ビットは、収集時に推定カウント数より大きいカウント数が計数されても損失なく計数結果を伝送できるように、推定カウント数に対応するビット位置より上位のビットである。換言すれば、伝送時の最上位ビットは、推定カウント数より大きいカウント数に対応するビット位置である。このように、処理回路44は、各検出素子、各ビュー及び各エネルギービンについて、それぞれ推定カウント数に基づいて、データ伝送で使用するビット数を決定する。また、処理回路44は、指定された最上位ビットを後述する変換部21(
図2参照)に供給する。ここで、データ転送機能442を実現する処理回路44は、決定部の一例である。
【0041】
前処理機能443において処理回路44は、DAS18から出力される検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、以下では、前処理前のデータ(検出データ)及び前処理後のデータを総称して投影データともいう。
【0042】
また、前処理機能443において処理回路44は、データ転送機能442により指定されたデータ転送時の最上位ビットに基づいて、前処理前のデータ(検出データ)に対して各チャネルのデータへ分割し、上位ビットを付与しなおすことにより元の形式へと復元する復元処理を行う。ここで、元の形式とは、例えばDAS18から出力されたデータの形式であり、前処理や再構成処理に適したデータ形式である。処理回路44は、復元されたデータをメモリ41に格納する。ここで、前処理機能443を実現する処理回路44は、復元部の一例である。
【0043】
再構成処理機能444において処理回路44は、前処理機能443による前処理後の投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法、機械学習等を用いた再構成処理を行い、CT画像データを生成する。処理回路44は、再構成したCT画像データをメモリ41に格納する。
【0044】
ここで、フォトンカウンティング型のX線CT装置1で得られる計数結果から生成された投影データには、被検体Pを透過することで減弱されたX線のエネルギーの情報が含まれている。このため、再構成処理機能444において処理回路44は、例えば、特定のエネルギー成分のCT画像データを再構成することができる。また、処理回路44は、例えば、複数のエネルギー成分それぞれのCT画像データを再構成することができる。
【0045】
また、再構成処理機能444において処理回路44は、例えば、各エネルギー成分のCT画像データの各画素にエネルギー成分に応じた色調を割り当て、エネルギー成分に応じて色分けされた複数のCT画像データを重畳した画像データを生成することができる。また、処理回路44は、例えば、物質固有のK吸収端を利用して、当該物質の同定が可能となる画像データを生成することができる。処理回路44が生成する他の画像データとしては、単色X線画像データや密度画像データ、実効原子番号画像データ等が挙げられる。
【0046】
画像処理機能445において処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能444によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。例えば、処理回路44は、当該CT画像データにボリュームレンダリングや、サーフェスレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planar Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して、任意視点方向のレンダリング画像データを生成する。なお、任意視点方向のレンダリング画像データ等の3次元画像データの生成は、再構成処理機能444が直接行っても構わない。処理回路44は、断層像データや3次元画像データをメモリ41に格納する。
【0047】
表示制御機能446において処理回路44は、画像処理機能445により生成された各種画像データに基づいて、画像をディスプレイ42に表示させる。ディスプレイ42に表示させる画像は、CT画像データに基づくCT画像、任意断面の断面画像データに基づく断面画像、任意視点方向のレンダリング画像データに基づく任意視点方向のレンダリング画像等を含む。ディスプレイ42に表示させる画像は、操作画面を表示するための画像や操作者への通知及び警告を表示するための画像を含む。
【0048】
なお、各機能441~446は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路44を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各機能441~446を実現するものとしても構わない。ここで、各機能441~446は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0049】
なお、コンソール40は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明したが、複数の機能を別々のコンソールが実行することにしても構わない。例えば、前処理機能443、再構成処理機能444等の処理回路44の機能を分散して有しても構わない。
【0050】
なお、処理回路44は、コンソール40に含まれる場合に限らず、複数の医用画像診断装置にて取得された検出データに対する処理を一括して行う統合サーバに含まれてもよい。
【0051】
なお、後処理は、コンソール40又は外部のワークステーションのどちらで実施することにしても構わない。また、コンソール40とワークステーションの両方で同時に処理することにしても構わない。ワークステーションとしては、例えば再構成処理機能444及び画像処理機能445を実現するプロセッサと、ROMやRAM等のメモリとをハードウェア資源として有するコンピュータ等が適宜利用可能である。
【0052】
なお、X線CT画像データの再構成においては、フルスキャン再構成方式及びハーフスキャン再構成方式のいずれの再構成方式が適用されてもよい。例えば、再構成処理機能444において処理回路44は、フルスキャン再構成方式では、被検体Pの周囲一周、360度分の投影データを用いる。また、処理回路44は、ハーフスキャン再構成方式では、180度+ファン角度分の投影データを用いる。以下では、説明の簡単のため、処理回路44は、被検体Pの周囲一周、360度分の投影データを用いて再構成するフルスキャン再構成方式を用いるものとする。
【0053】
なお、本実施形態に係る技術は、一管球型のX線コンピュータ断層撮影装置にも、X線管と検出器との複数のペアを回転リングに搭載した、いわゆる多管球型のX線コンピュータ断層撮影装置にも適用可能である。
【0054】
なお、本実施形態に係る技術は、デュアルエネルギー方式で撮影できるように構成されたX線CT装置1にも適用可能である。このとき、X線高電圧装置14は、例えば2種の電圧値の高速スイッチングにより、X線管11から射出されるX線のエネルギースペクトルを交互に切り替えることができる。つまり、X線CT装置1は、管電圧変調の制御信号に従うタイミングで管電圧を変調しながら各収集ビューで投影データを収集できるように構成されている。被検体を異なる管電圧で撮影することにより、X線のエネルギースペクトルごとの物質のエネルギー透過性に基づいて、CT画像における濃淡のコントラストを向上させることができる。
【0055】
図2は、実施形態に係るX線CT装置1のデータ転送に関する構成の一例を示す図である。
図2に示すように、架台10は、回転部101及び固定部102を有する。
【0056】
回転部101は、架台10の回転部分であり、回転フレーム13と、回転フレーム13により支持されている架台10の各部とを含む。回転部101は、DAS18及び変換部21を含む。
【0057】
変換部21は、DAS18からの検出データに対して、データ転送機能442により指定された伝送時の最上位ビットに基づいて、検出データの上位ビットを除去するデータ変換処理を行う。このデータ変換処理は、各検出素子、各ビュー及び各エネルギービンについて行われるとする。具体的には、変換部21は、DAS18からの検出データにおいて、指定された伝送時の最上位ビットより上位のビットを除去する。換言すれば、変換部21は、上位ビットを除去することにより、DAS18からの検出データを、データ転送機能442により決定されたビット数の検出データに変換する。変換部21は、変換後の検出データを伝送部23の送信機に供給する。変換部21は、ハードウェア資源として、プロセッサと、ROMやRAM等のメモリとを有する。変換部21のメモリは、データ転送機能442により指定されたデータ伝送時の最上位ビットを記憶する。
【0058】
固定部102は、回転フレーム13を回転可能に支持する固定フレームや制御装置15などを含む、架台10の非回転部分である。
【0059】
また、架台10は、伝送部23をさらに有する。伝送部23は、回転部101から固定部102へ検出データ等を伝送する。伝送部23は、上述したように、回転フレーム13に設けられた送信機と、固定フレーム等に設けられた受信機とを有する。つまり、回転部101は、伝送部23の送信機を含む。また、固定部102は、伝送部23の受信機を含む。伝送部23の受信機は、送信機から受信した検出データをコンソール40に供給する。
【0060】
なお、固定部102には、上述の復元処理、すなわち前処理機能443の一部を実行する復元部が設けられていてもよい。この復元部は、ハードウェア資源として、プロセッサと、データ転送機能442により指定されたデータ伝送時の最上位ビットを記憶するROMやRAM等のメモリとを有する。DAS18からコンソール40への伝送速度が、回転部101から固定部102へのデータ伝送速度により制限されている場合には、この構成であっても撮影時のデータ伝送速度を向上することができる。つまり、変換部21及び復元部の間に、DAS18からコンソール40までのデータ伝送区間のうち、撮影時のデータ伝送のボトルネックになっている区間が含まれていればよい。したがって、実施形態に係るX線CT装置1において、変換部21は、DAS18又は伝送部23の送信機と一体に構成されていても構わない。また、復元部は、伝送部23の受信機と一体に構成されていてもよい。
【0061】
ここで、実施形態に係る回転部101から固定部102へのデータ転送量の低減について、図面を参照してより詳細に説明する。
図3は、実施形態に係るX線CT装置1における、データ転送量の低減について説明するための図である。
図3は、任意のビューに関するDAS18からの検出データ500を例示する。
【0062】
X線検出器12の複数の検出素子(画素)の各々は、ビューごとにエネルギー弁別された複数のデータ510,520,530,540,550を出力する。
図3に示す例において、検出データ500は、5つのエネルギービンに振り分けられた、5つのデータ510,520,530,540,550を含む。以下、任意のエネルギービンに関するデータ510を例に説明を続ける。
【0063】
従来、X線検出器12(あるいはDAS18)からの検出データのビット数は、例えば想定される出力に応じて予め定められた固定値である。この固定値551は、複数のスキャン条件で想定される検出光子数(カウント数553)の検出データ500を確実に伝送できるように、想定されるカウント数553より十分に大きいカウント数551に応じたビット数に設定されている。
【0064】
このため、検出光子数(カウント数)が小さい場合など、スキャン条件によっては、伝送される検出データの上位側のビットは、使用されていない場合があった。しかしながら、この上位側のビットは、カウント数の表現に使用されていないだけであり、回転部101から固定部102に値「0」のビットとして伝送される。このような中、伝送部23における回転部101から固定部102へのデータ伝送は、例えば有線で伝送される他の区間における伝送と比較してデータ転送速度が遅い。このため、検出データのデータ量の大きいフォトンカウンティング型のX線CT装置1においては特に、データ転送に長時間を要していた。
【0065】
そこで、本実施形態に係るX線CT装置1においては、各スキャン条件において計測され得るカウント数の上限を事前に推定し、この推定カウント数より大きいカウント数の検出データ500を伝送できる範囲で、伝送しない上位ビットを設定する。以下の説明では、推定カウント数より大きいカウント数であって、推定カウント数の検出データ500の伝送に足るビット数を示す最上位のビットを最上位ビットと記載する。つまり、本実施形態に係るX線CT装置1では、DAS18からの検出データにおいて、最上位ビットより上位のビットは、伝送されない。これにより、データ転送量を低減することができる。
【0066】
ここで、上位ビットの除去によりどの程度のデータ転送量を低減できるか、すなわち上位ビットの除去によりどの程度のデータ圧縮が可能であるかを見積もる。以下の見積もりにおいては、X線CT装置1により計測可能なビューレートは、1000-5000 view/secであるとする。また、X線検出器12が計数可能なカウント数の上限は、100 Mcpsであるとする。また、エネルギー弁別のビンの数は、5ビンであるとする。また、各エネルギービンのカウント数は、同カウントであるとする。
【0067】
まず、1ビューあたりにX線検出器12が計数可能なカウント数は、1000 view/secにおいて最も大きく、1×105 count/viewとなる。この100,000 countの検出データを圧縮せずに伝送できるようにするには、少なくとも17 bit必要となる。このため、上述したように従来は、すべての検出素子(画素)の各エネルギービンのデータは、スキャン条件によらず、それぞれ17bitで伝送されるように予め定められていた。
【0068】
このとき、単位時間あたり、かつ、検出素子あたりの伝送データ量は、ビューレートが大きくなるに従い増加する。5つのエネルギービンの検出素子あたりに伝送するデータ量は、例えば以下のようになる。
1000 view/sec: 8.5×104 bit/pixel/sec
2000 view/sec: 1.7×105 bit/pixel/sec
3000 view/sec: 2.6×105 bit/pixel/sec
4000 view/sec: 3.4×105 bit/pixel/sec
5000 view/sec: 4.3×105 bit/pixel/sec
【0069】
このような中、推定カウント数に応じて上位ビットを除去する場合について考える。ここでは、X線検出器12の推定される検出データ(推定カウント数)として、すべての検出素子において50 Mcpsを計数するデータが与えられた場合の、データ伝送量を計算する。
【0070】
ビューあたりのカウント数は、ビューレートが大きくなるほど、小さくなる。例えば、5000 view/secでのビューあたりの計数可能なカウント数は、1×104 count/viewとなる。そして、このカウント数は、エネルギービンごとに振り分けられるため、ビンごとのカウント数はさらに減少する。上述したように、すべてのエネルギービンで同等のカウント数を得られると仮定した場合、1つのエネルギービンあたりのカウント数は2×103 count/view程度となる。この場合、各エネルギービンに割り当てるビット数は、11 bitとなる。
【0071】
したがって、5000 view/secで収集した検出データを伝送する際、各エネルギービンに割り当てるビット数は17 bitから11 bitまで減少することができるため、伝送されるデータ量は、35%程度削減されると見積もることができる。
【0072】
この推定カウント数を使用した場合に、各ビューレートで伝送に必要な検出素子あたりのビット数は、以下の通り見積もることができる。
1000 view/sec: 7.0×104 bit/pixel/sec
(上位ビットの除去によるビット数の削減割合: 18%)
2000 view/sec: 1.3×105 bit/pixel/sec
(上位ビットの除去によるビット数の削減割合: 24%)
3000 view/sec: 1.8×105 bit/pixel/sec
(上位ビットの除去によるビット数の削減割合: 30%)
4000 view/sec: 2.4×105 bit/pixel/sec
(上位ビットの除去によるビット数の削減割合: 30%)
5000 view/sec: 2.8×105 bit/pixel/sec
(上位ビットの除去によるビット数の削減割合: 35%)
【0073】
このように、推定カウント数に応じて上位ビットを除去する場合、ビューレートが5000 view/secより小さい場合であっても、X線検出器12からコンソール40まで伝送されるデータサイズを低減することができる。上述の見積もりによれば、伝送されるデータは、各ビューレートで伝送に必要な検出素子あたりのビット数換算で20%~40%程度削減することができる。
【0074】
図4は、実施形態に係るX線CT装置1において実行される、ビット数の最適化処理の一例を示すフローチャートである。
【0075】
システム制御機能441において処理回路44は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、操作者により指定された本スキャンのスキャン条件を取得する(S101)。また、処理回路44は、取得されたスキャン条件における推定カウント数をメモリ41から取得する(S102)。処理回路44は、取得された推定カウント数をデータ転送機能442に供給する。
【0076】
なお、S102の処理に先立って、各スキャン条件下で被検体Pを天板33に載置しない状態での撮影(事前収集処理)が行われているとする。
【0077】
データ転送機能442において処理回路44は、推定カウント数に基づいて、データ伝送時の最上位ビットを指定する(S103)。具体的には、処理回路44は、各スキャン条件の推定カウント数に基づいて、各検出素子、各ビュー及び各エネルギービンに関して、それぞれの推定カウント数より大きいカウント数の検出データを伝送できるビット数を示すデータ伝送時の最上位ビットを決定する。また、処理回路44は、決定されたデータ伝送時の最上位ビットを架台10の回転部101の変換部21に供給する。その後、
図4の流れは終了する。
【0078】
このように、実施形態に係るビット数の最適化処理では、各検出素子、各ビュー及び各エネルギービンに関してそれぞれ異なる圧縮が行われるように、各検出素子、各ビュー及び各エネルギービンそれぞれのデータ伝送時の最上位ビットを指定することができる。
【0079】
図5は、実施形態に係るX線CT装置1において実行される、データ伝送処理の一例を示すフローチャートである。
図5の流れは、指定されたスキャン条件での本スキャンが開始された後に実行されるとする。
【0080】
変換部21は、被検体Pに関する本スキャンにより収集された検出データをDAS18から取得する(S201)。変換部21は、ビット数の最適化処理においてデータ転送機能442により指定されたデータ伝送時の最上位ビットに基づいて、取得された検出データを変換するデータ変換処理を行う(S202)。また、伝送部23は、変換部21により変換された検出データを伝送する(S203)。
【0081】
システム制御機能441において処理回路44は、変換部21により変換された検出データと、データ転送機能442により決定された伝送時の最上位ビットとを取得し、前処理機能443に供給する。また、前処理機能443において処理回路44は、伝送時の最上位ビットの指定に基づいて、変換された検出データを復元する復元処理を行う(S204)。その後、
図5の流れは終了する。
【0082】
このように、実施形態に係るデータ伝送処理では、収集された検出データに対して、各検出素子、各ビュー及び各エネルギービンそれぞれに指定されたデータ伝送時の最上位ビットに従い、各検出素子、各ビュー及び各エネルギービンに関してそれぞれ異なるデータ変換(圧縮)を行うことができる。
【0083】
以上説明したように、実施形態に係るX線CT装置1において、X線検出器12は、複数の検出素子が少なくともチャネル方向に複数配列されている。処理回路44は、X線検出器12に対して入射するX線の推定されるカウント数(推定カウント数)をX線検出器12の複数の検出素子の各々について取得する。また、処理回路44は、取得された推定カウント数に基づいて、X線検出器12の複数の検出素子の各々のカウント数を示すDAS18からの検出データのデータ伝送時のビット数を決定する。
【0084】
この構成によれば、データ伝送時のビット数をX線検出器12の複数の検出素子の各々について取得された推定カウント数に応じたビット数に低減することができる。したがって、実施形態に係る技術によれば、伝送される画質を維持しつつデータ転送に要する時間を低減することができる。データ転送に要する時間の低減は、撮影から画像再構成完了までに要する時間の短縮に寄与し、検査のスループット向上に寄与する。
【0085】
一例として、実施形態に係るX線CT装置1において、処理回路44は、DAS18からの検出データのビットのうち最上位ビットの他の推定カウント数に応じたビット位置を、伝送時の最上位ビットに指定することにより、伝送時のビット数を決定する。これにより、計数結果の表現に寄与していない、すなわち不要な上位ビットを伝送時に除去することができるため、伝送されるデータ量を低減することができる。
【0086】
一例として、実施形態に係るX線CT装置1において、X線検出器12は、光子計数型のX線検出器であり、ビューごとに、X線のエネルギーで弁別された複数の検出データを出力する。また、処理回路44は、ビューごとにX線検出器12の複数の検出素子の各々についてデータ伝送時のビット数を決定する。
【0087】
一例として、実施形態に係るX線CT装置1において、処理回路44は、少なくとも1つのスキャン条件で、被検体Pを透過せずに収集された検出データを取得し、取得された検出データに基づいてカウント数を推定する。これにより、被写体や関心領域によらず使用可能な推定カウント数を算出することができる。
【0088】
一例として、実施形態に係るX線CT装置1において、変換部21は、被検体Pに関して本スキャンで収集された、X線検出器12の複数の検出素子の各々のカウント数を示す検出データのビット数を、データ伝送時のビット数に変換する。また、伝送部23は、変換された検出データを回転部101から固定部102へ伝送する。また、前処理機能443において処理回路44は、データ伝送時のビット数に基づいて、X線検出器12の複数の検出素子の各々について、変換された検出データのビット数を変換部21による変換前のビット数に復元する。これにより、伝送される検出データを圧縮し、検出データのデータ量を低減することができる。
【0089】
(第1の変形例)
なお、上述の実施形態では、被検体Pを置かない状態で収集された検出データに基づいて推定カウント数を算出するX線CT装置1を例示したが、これに限らない。実施形態に係るX線CT装置1において、処理回路44は、例えば位置決めスキャンにおいて収集された、被検体Pの位置決め画像(スキャノ画像)のデータに基づいて、推定カウント数を算出することもできる。
【0090】
システム制御機能441において処理回路44は、指定されたスキャン条件に応じた位置決めスキャン(事前収集処理)を行う(S102)。また、処理回路44は、位置決めスキャンにより収集された、各検出素子の各エネルギービンのカウント数を示すスキャノ画像データを、推定データ(推定カウント数)としてメモリ41に格納する。
【0091】
この構成によれば、算出される推定カウント数を、被検体PによるX線の減衰により、上述の実施形態に係る推定カウント数より小さくすることができる。換言すれば、本変形例に係るX線CT装置1によれば、被検体Pの遮蔽能が考慮されたデータ伝送時のビット数を決定することができる。したがって、本変形例に係るX線CT装置1は、上述の実施形態に係るX線CT装置1より効率良く、伝送される検出データを圧縮することができる。
【0092】
(第2の変形例)
なお、第1の変形例では、スキャノ画像データを用いて推定カウント数を算出することにより、被検体Pの遮蔽能が考慮されたデータ伝送時のビット数を決定するX線CT装置1を例示したが、これに限らない。実施形態に係るX線CT装置1において、処理回路44は、ウェッジ16の種別及び形状のうち少なくとも一方に基づいて推定カウント数を算出してもよい。ウェッジ16は、X線を発生するX線管11とX線検出器12部との間に配置されている。
【0093】
一例として、システム制御機能441において処理回路44は、各スキャン条件、各ウェッジ16の種別及び各ウェッジ16の形状について事前収集処理を行う。処理回路44は、事前収集処理において、得られた各スキャン条件、各ウェッジ16の種別及び各ウェッジ16の形状での検出データを、推定データ(推定カウント数)としてメモリ41に格納する。
【0094】
別の一例として、システム制御機能441において処理回路44は、上述の実施形態に係る事前収集処理により得られた各スキャン条件での検出データを、ウェッジ16の種別及び形状のうち少なくとも一方に基づいて補正する。つまり、処理回路44は、ウェッジ16の種別及び形状に応じたX線の遮蔽能に基づいて、各ウェッジ16の種別及び各ウェッジ16の形状での検出データを推定する。処理回路44は、推定された検出データ(推定カウント数)をメモリ41に格納する。なお、ウェッジ16の種別及び形状に基づく検出データの推定は、事前収集処理に限らず、例えば
図4のS102の処理において実行されても構わない。
【0095】
この構成によれば、補正用のデータ収集時、すなわち上述の実施形態に係る事前収集処理で使用されたウェッジ16とは異なるウェッジ16を使用する撮影であっても、撮影時に使用するウェッジ16に応じた推定カウント数を算出することができる。換言すれば、本変形例に係るX線CT装置1によれば、ウェッジ16の遮蔽能が考慮されたデータ伝送時のビット数を決定することができる。したがって、本変形例に係るX線CT装置1は、上述の実施形態に係るX線CT装置1より効率良く、伝送される検出データを圧縮することができる。
【0096】
(第3の変形例)
本変形例に係るX線CT装置1は、天板33上に載置された被検体Pを撮像する光学カメラをさらに備える。光学カメラは、例えば架台10の筐体上に配置されている。光学カメラは、例えばX線CT装置1が設置されているCT検査室の天井などに配置されてもよい。光学カメラは、一例として可視光や赤外光を検出可能な撮像素子を搭載する。
【0097】
なお、本変形例に係るX線CT装置1において、処理回路44は、X線CT装置1の外部の光学カメラから、当該光学カメラにより天板33上に載置された被検体Pを撮像して得られた光学画像データを取得してもよい。なお、光学画像データに基づいて被検体Pの体格が把握できれば良く、例えば立位状態の被検体Pを撮像して得られた光学画像データが利用されても構わない。
【0098】
システム制御機能441において処理回路44は、光学カメラにより被検体Pを撮像して得られた光学画像データを取得する。また、処理回路44は、例えば光学画像データに画像処理を施すことにより、画像内の被検体Pの体厚などの被検体Pの体格に関する情報を取得する。処理回路44は、被検体Pの体格に関する情報に基づいてX線検出器12の複数の検出素子の各々が各ビューで検出するX線の被検体P内の透過長と、被検体P内を透過するX線の減衰率とを推定する。処理回路44は、指定されたスキャン条件に対応する事前収取処理の検出データを、被検体P内のX線の透過長及び減衰率に基づいて補正する。つまり、処理回路44は、被検体P内のX線の透過長及び減衰率に基づいて、被検体Pを透過したX線に関する検出データを推定する。
【0099】
これにより、被検体Pの体厚などの被検体Pの体格に応じた被検体Pの遮蔽能が考慮されたデータ伝送時のビット数を決定することができる。
【0100】
(第4の変形例)
なお、人体モデルを用いて被検体P内を透過するX線の減衰率を推定することにより、第3の変形例と同様に、被検体Pの遮蔽能が考慮されたデータ伝送時のビット数を決定することもできる。システム制御機能441において処理回路44は、メモリ41又はX線CT装置1の外部から被検体Pに関する人体モデルを取得する。処理回路44は、取得された人体モデルに基づいて複数の検出素子の各々に入射するX線の被検体Pにおける透過長及び減衰率を推定する。これにより、被検体Pの遮蔽能が考慮されたデータ伝送時のビット数を決定することができる。
【0101】
(第5の変形例)
なお、システム制御機能441において処理回路44は、スキャン条件などに基づいて推定カウント数を算出するようにパラメータや構成が決定されたモデルを用いて、推定カウント数を取得することもできる。モデルとしては、各スキャン条件の入力に応じて各スキャン条件に対応する推定カウント数を出力するようにパラメータが決定された関数や各スキャン条件と推定カウント数との対応が登録されたテーブルを含む。一例として、各スキャン条件に対応する推定カウント数は、想定されるX線管11からの線量やX線管11からX線検出器12までの距離、X線検出器12の検出能などのX線CT装置1の構成に応じた各値とに基づいて算出することができる。モデルは、例えば予め定められてメモリ41に格納されていればよい。
【0102】
なお、モデルの生成においては、被検体Pによる遮蔽能が考慮されていてもよい。この場合、モデルは、例えば被検体Pの体格(体形)ごとに生成される。あるいは、モデルは、被検体Pの実スキャンにおける撮影対象の部位ごとに生成される。
【0103】
これらの構成であっても、被検体Pの遮蔽能が考慮されたデータ伝送時のビット数を決定することができる。
【0104】
(第6の変形例)
図6は、実施形態に係るX線CT装置1のデータ転送に関する構成の別の一例を示す図である。
図6に示すように、X線CT装置1において、回転部101は、圧縮部25をさらに有していてもよい。
【0105】
圧縮部25は、DAS18の後段、かつ、変換部21の前段に設けられる。一例として、圧縮部25は、被検体Pに関して収集された検出データに対する圧縮を行う。この圧縮は、非可逆圧縮(不可逆圧縮)であってもよいし、可逆圧縮であっても構わない。変換部21は、圧縮部25により圧縮された検出データの上位ビットを除去することにより、検出データのビット数を、データ転送機能442により指定されたデータ伝送時のビット数に変換する。
【0106】
図7、
図8及び
図9は、それぞれ実施形態に係る圧縮処理について説明するための図である。
図7は、圧縮部25によるデータ圧縮前のカウント数を示すデータのビット数を例示する。
図8は、圧縮部25によるデータ圧縮後のカウント数を示すデータのビット数を例示する。
図9は、圧縮部25により圧縮されたデータの上位ビットを、変換部21により除去した後のカウント数を示すデータのビット数を例示する。
図7、
図8及び
図9に示す例では、横軸はビット番号を示す。
【0107】
図7に示すカウント数のデータは、16 bitのデータ長を有する。ここでは、
図7に示すように、所定のビット値(
図7では「1」)が入力されている最上位ビットの位置ごとにケースが定義される。したがって、16 bitのデータ長の場合には、カウントが0のケースと合わせて、17のケースが存在する。このような中、カウント数のデータの下位ビットは、量子ノイズの影響が大きいビットJ2である。この量子ノイズの影響が大きいビットJ2では、ビット値の変化を量子ノイズと区別することは困難である。換言すれば、量子ノイズの影響が大きいビットJ2は、使用できないビットである。
【0108】
そこで、本変形例に係る圧縮部25は、使用できないビットの存在によりデータ量が大きくなることを抑制するために、量子ノイズの影響が大きいビットJ2、すなわちカウント数のデータの下位ビットを除去する。換言すれば、圧縮部25は、下位ビットの除去により有効信号ビットJ1を順次押し下げ、最上位ビットを押し下げる。
図8は、
図7に示す最上位ビットが15 bitのデータが、圧縮部25による下位ビットの除去により最上位ビットが9 bitに不可逆圧縮された場合を例示する。例えば
図8に示すデータが伝送される場合、伝送時の最上位ビット(MSB)は、いずれのケースにおいても9 bitである。
【0109】
変換部21は、圧縮部25により圧縮されたデータの上位ビットを、上述の実施形態と同様にして
図9のように除去する。これにより、カウント数のデータのビット数は、不可逆圧縮のみを適用した場合よりも低減し、伝送される検出データのデータ量をさらに抑制することができる。例えば
図9に示すデータが伝送される場合、伝送時の最上位ビット(MSB)は、各ケースのカウント数に応じて決定され、9 bit以下である。
【0110】
なお、
図9は、説明の簡単のために、所定のビット値(
図9では「1」)が入力されている最上位ビットのビット位置より上位のビットをすべて除去する場合を例示する。しかしながら、上述の実施形態において説明したように、伝送時の最上位ビットは、推定カウント数より大きいカウント数に対応するビット位置である。つまり、伝送される検出データにおいて、伝送時の最上位ビット(MSB)に入力されているビット値は、「1」に限らず「0」の場合もある。
【0111】
なお、上述の各変形例に係る技術は、任意に組み合わせて実施形態に係るX線CT装置1に適用することができる。
【0112】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、ASIC、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)等の回路を意味する。PLDは、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)を含む。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムが保存された記憶回路は、コンピュータ読取可能な非一時的記録媒体である。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0113】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、画質を維持しつつデータ転送に要する時間を低減することができる。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0115】
1 X線CT装置
10 架台
101 回転部
102 固定部
11 X線管
12 X線検出器(X線検出部)
13 回転フレーム
14 X線高電圧装置
15 制御装置
16 ウェッジ
17 コリメータ
18 データ収集回路
19 開口部
21 変換部
23 伝送部
25 圧縮部
30 寝台
31 基台
32 寝台駆動装置
33 天板
34 支持フレーム
40 コンソール
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース
44 処理回路
441 システム制御機能(取得部)
442 データ転送機能(決定部)
443 前処理機能(復元部)
444 再構成処理機能
446 表示制御機能