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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】高生残性微生物乾燥菌体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/04 20060101AFI20241211BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20241211BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20241211BHJP
   C12R 1/225 20060101ALN20241211BHJP
【FI】
C12N1/04
C12N1/00 L
C12N1/20 A
C12N1/20 B
C12R1:225
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020511622
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2019005204
(87)【国際公開番号】W WO2019193841
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-08-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2018072833
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三井田 聡司
(72)【発明者】
【氏名】牧野 譲
(72)【発明者】
【氏名】松井 彰久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】茂木 康浩
【合議体】
【審判長】中村 浩
【審判官】田中 耕一郎
【審判官】中根 知大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/073752(WO,A1)
【文献】特開2012-055288(JP,A)
【文献】特開2016-105705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス属乳酸菌の微生物乾燥菌体に変温処理(a)
(a)1~2日、30~37℃に加温する処理
を施すことを特徴とする高生残性微生物乾燥菌体の製造方法(ただし、変温処理として(a)以外の処理を行わない)。
【請求項2】
ラクトバチルス属乳酸菌の微生物乾燥菌体に変温処理(b)
(b)1日、2~10℃に冷却する処理
を施し、更に、変温処理(a)
(a)1~2日、30~37℃に加温する処理
を施すことを特徴とする高生残性微生物乾燥菌体の製造方法(ただし、変温処理として(a)および(b)以外の処理を行わない)。
【請求項3】
ラクトバチルス属乳酸菌の微生物乾燥菌体に変温処理(a)
(a)1~2日、30~37℃に加温する処理
を施すことを特徴とする微生物乾燥菌体の生残性改善方法(ただし、変温処理として(a)以外の処理を行わない)。
【請求項4】
ラクトバチルス属乳酸菌の微生物乾燥菌体に変温処理(b)
(b)1日、2~10℃に冷却する処理
を施し、更に、変温処理(a)
(a)1~2日、30~37℃に加温する処理
を施すことを特徴とする微生物乾燥菌体の生残性改善方法(ただし、変温処理として(a)および(b)以外の処理を行わない)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保存後の生残性が高い微生物乾燥菌体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物には、有用な酵素活性を有するものが多く存在し、糖質、アミノ酸、リン脂質等の機能性食品素材の製造に広く利用されている。
【0003】
特に微生物の中でも乳酸菌は、従来からヨーグルトやチーズ等の乳製品の製造に広く利用されており、また、近年、乳酸菌を乾燥させたものを用いた食品や飲料等の開発が進んでいる。そして、乳酸菌の効果を得るためには、生きたままの菌体を利用することが望ましいが、乾燥菌体を得る工程では、菌体が損傷し、死滅することが多く、必要量の生菌体を得ることは難しかった。
【0004】
これまで、菌体の損傷や死滅を減らす技術としては、例えば、菌体を乾燥させる際に使用する分散媒を調整する技術等が知られている(特許文献1、2、非特許文献1)。
【0005】
しかしながら、菌体の損傷や死滅を減らす技術としては、菌体を乾燥させるまでに行われるものしか知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3504365号
【文献】特開2010-4787号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】G.L.DE ANTONI et al., "Trehalose, a Cryoprotectant for Lactobacillus bulgaricus", Cryobiology 26, p.149-153, 1989.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、菌体の損傷や死滅を減らす新たな技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、通常は熱ストレスは微生物の生残性を低下させる要因となるところ、乾燥菌体を得た後に熱ストレスに該当する変温処理を施すことにより、意外にも保存後の生残性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、微生物乾燥菌体に変温処理を施すことを特徴とする高生残性微生物乾燥菌体の製造方法である。
【0011】
また、本発明は、微生物乾燥菌体に変温処理を施すことを特徴とする微生物乾燥菌体の生残性改善方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、変温処理という簡単な方法で、一旦製造した微生物乾燥菌体の保存後の生残性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の高生残性微生物乾燥菌体の製造方法(以下、「本発明製造方法」という)は、微生物乾燥菌体に変温処理を施すものである。
【0014】
本発明製造方法に用いられる微生物乾燥菌体は、特に限定されないが、例えば、乳酸菌等の微生物を乾燥させた菌体が挙げられる。乳酸菌としては、例えば、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・クレモリス(Lactobacillus cremoris)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ユーグルティ(Lactobacillus yoghurti)、ラクトバチルス・デルブルッキィー サブスピーシーズ.ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルッキィー サブスピーシーズ.デルブルッキィー(Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・マリ(Lactobacillus mali)等のラクトバチルス属細菌、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)等のビフィドバクテリウム属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・ラクチス(Streptococcus lactis)等のストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ラクトコッカス・プランタラム(Lactococcus plantarum)、ラクトコッカス・ラフィノラクチス(Lactococcus raffinolactis)等のラクトコッカス属細菌、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)等のエンテロコッカス属細菌を挙げることができる。これら乳酸菌は1種または2種以上を組み合わせてもよい。これらの微生物の中でも乳酸菌が好ましい。これら乳酸菌の中でも、ラクトバチルス属の乳酸菌が好ましく、ラクトバチルス・カゼイがより好ましく、ラクトバチルス・カゼイ YIT 9029(FERM BP-1366、受託日:昭和56年5月1日、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(〒292-0818日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室))が特に好ましい。
【0015】
上記微生物を乾燥させ、乾燥菌体を得る方法は特に限定されず、当業者に周知な噴霧乾燥、凍結乾燥等を採用すればよい。具体的な方法としては、例えば、特許第3504365号、特開2010-4787号公報、G.L.DE ANTONI et al., "Trehalose, a Cryoprotectant for Lactobacillus bulgaricus", Cryobiology 26, p.149-153, 1989.、国際公開WO2017/073752号等に記載の方法等が挙げられる。これらの方法の中でも国際公開WO2017/073752号に記載されている方法が好ましい。
【0016】
より具体的に、国際公開WO2017/073752号に記載されている方法は次のようにして行われる。
【0017】
まず、微生物を常法に従って培養し、次いで、常法に従って集菌する。なお、微生物の培養や集菌の間や前後には、必要に応じて洗浄をしてもよい。
【0018】
この集菌した微生物菌体を、保護剤、抗酸化剤およびキレート剤を含む水溶液、好ましくは保護剤、抗酸化剤およびキレート剤からなる水溶液の分散媒(以下、これを単に「分散媒」ともいう)中に加えて懸濁させ、この懸濁液を乾燥すれば、微生物乾燥菌体が得られる。
【0019】
上記分散媒で使用する水は、特に限定されないが、例えば、精製水、脱イオン水等の飲用可能な水を使用できる。
【0020】
上記分散媒で使用する保護剤は、特に限定されないが、例えば、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム等のグルタミン酸またはその塩、トレハロース、スクロース、ラクトース、マルトース等の二糖類、グリセロール、マルトデキストリン、サイクロデキストリン、脱脂粉乳等が挙げられる。これら保護剤の中でも、グルタミン酸もしくはその塩および/または二糖類を使用することが好ましく、グルタミン酸ナトリウムおよび/またはトレハロースがより好ましい。上記分散媒における保護剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、1~40質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
【0021】
また、上記分散媒で使用する抗酸化剤は、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム等のアスコルビン酸またはその塩、ビタミンE、カテキン、グルタチオン、アスタキサンチン等を使用することができ、これら抗酸化剤の中でもアスコルビン酸ナトリウムが好ましい。上記分散媒における抗酸化剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01~10質量%が好ましく、0.05~5質量%がより好ましい。
【0022】
更に、上記分散媒で使用するキレート剤は、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸ナトリウム等のクエン酸またはその塩、フィチン酸等を使用することができる。上記分散媒におけるキレート剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
【0023】
上記分散媒の好ましい態様としては、グルタミン酸ナトリウム、トレハロース、アスコルビン酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムを含有する水溶液が挙げられる。
【0024】
上記分散媒に微生物菌体を懸濁させる量は、特に限定されないが、例えば、懸濁液中の微生物菌体数として、1.0×10~4.0×1014cfu/mL程度であり、1.0×10~4.0×1013cfu/mL程度がより好ましい。
【0025】
上記懸濁液を乾燥させる方法は、特に限定されないが、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥等の公知の乾燥方法を利用することができるが、乾燥工程での微生物の生残率を高めるためには、凍結乾燥が好ましい。凍結乾燥法における乾燥条件としては、例えば、-35℃~-45℃で6~12時間の凍結処理を行った後、12℃~32℃で40~90時間の乾燥処理を行う条件を挙げることができる。
【0026】
上記のようにして得られる微生物乾燥菌体は、次いで、変温処理を行う。なお、変温処理の前にこの微生物乾燥菌体は、例えば、微生物乾燥菌体をミルで粉砕し、通常の大気組成下で脱気を行わずに、0.2gずつヒドロキシプロピルメチルセルロース等で形成されたカプセルに充填し、脱酸素剤と共にアルミ等で形成された袋等に入れておき、その状態で変温処理を行ってもよい。
【0027】
変温処理は、通常、微生物乾燥菌体が保存される、室温と異なる温度負荷を一定期間以上かけるものである。具体的には次の(a)および(b)
(a)1日以上、30℃以上に加温する処理
(b)1日以上、10℃以下に冷却する処理
からなる群から選ばれる処理の1または2以上を施すものである。これら(a)および(b)の処理はそれぞれの処理を単独で施したり、組み合わせて施したり、繰り返して施したりすることができる。
【0028】
上記(a)の処理の好ましい例としては以下のものが挙げられる。
(a1)1日以上、好ましくは2日、30℃以上、好ましくは35~37℃に加温する処理
(a2)1日以上、好ましくは1日、30℃以上、好ましくは35~37℃に加温する処理
【0029】
上記(b)の処理の好ましい例としては以下のものが挙げられる。
(b1)1日以上、好ましくは1日、10℃以下、好ましくは2~10℃に冷却する処理
【0030】
変温処理の好ましいものとしては、例えば、上記(a)を施す、または、上記(b)を施してから更に(a)を施すことであり、より好ましいものとしては、上記(a1)を施す、または、上記(b1)を施してから更に(a1)を施す、または、上記(a2)を施すことであり、特に好ましいものとしては、上記(a1)を施すことである。
【0031】
このような変温処理は、加温の場合には、乾燥機やオートクレーブ等の加温可能な装置を利用して施すことができ、冷却の場合には、冷蔵庫や冷凍庫等の冷却可能な装置を利用して施すことができる。なお、これら変温処理の際には、圧力等は特に限定されない。
【0032】
斯くして得られる微生物乾燥菌体は、6ヶ月保存後の場合は、微生物乾燥菌体に変温処理を施さない場合の110%以上の生残性を有するものとなり、12ヶ月保存後の場合は、微生物乾燥菌体に変温処理を施さない場合の120%以上の生残性を有するものとなり、好ましくは130~140%の生残性を有するものとなる。
【0033】
この高生残性微生物乾燥菌体は、従来の微生物乾燥菌体と同様の用途に用いることができる。具体的には、そのまま、あるいは通常食品に添加される他の食品素材と混合することにより、食品や飲料に利用することができる。食品としては、例えば、ハム、ソーセージ等の食肉加工食品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工食品、パン、菓子、バター、ヨーグルトや発酵乳等が挙げられる。また、飲料としては、例えば、清涼飲料、乳製品乳酸菌飲料、乳酸菌飲料等が挙げられる。更に、飲食品の形態としては、通常用いられる飲食品の形態、例えば、粉末、顆粒等の固体状、ペースト状、液状等が挙げられる。また更に、微生物乾燥菌体は、例えば、錠剤、散剤、チュアブル剤、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤、丸剤等の製剤化をしてもよい。
【実施例
【0034】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、ラクトバチルス・カゼイの生菌数は、次の方法で測定した。
【0035】
<ラクトバチルス・カゼイ生菌数の測定法>
ラクトバチルス・カゼイ乾燥菌体を生理食塩水(0.85質量%塩化ナトリウム)で段階希釈した。希釈液1mLをBCP加プレートカウント寒天培地で混釈し、37℃、72時間培養した後に、生じたコロニーを計測し、希釈率を乗じ、ラクトバチルス・カゼイ生菌数とした。
【0036】
実 施 例 1
ラクトバチルス・カゼイ乾燥菌体の調製および変温処理:
ラクトバチルス・カゼイYIT 9029を、酵母エキス1質量%、リン酸一カリウム0.1質量%、リン酸二カリウム0.2質量%、乳糖2質量%を含む培地(pH7)で、37℃、20時間嫌気的に培養した。培養終了後、液温が20℃以下になるまで冷却し、5規定の水酸化ナトリウム溶液でpHを7.0に調整した。この培養液を遠心分離(14000G、4℃、30分間)して得られた菌体を回収して、グルタミン酸ナトリウム10質量%、トレハロース10質量%、アスコルビン酸ナトリウム1質量%、クエン酸ナトリウム1質量%となる組成で全量が1000mLとなるように調製した分散媒に、菌体を2.0×1011cfu/mLとなるように懸濁した。この菌体懸濁液をトレーに分注し、凍結乾燥法により乾燥菌体を調製した。なお、凍結乾燥は、凍結乾燥機(TAKARA FREEZE-DRYER TF20-80TANNS:(株)宝エーテーエム製)を用い、棚温-40℃で9時間、その後20℃で80時間の条件で行った。得られた乾燥菌体をミルで粉砕し、通常の大気組成下で脱気を行わずに、0.2gずつカプセル(ヒドロキシプロピルメチルセルロース製)に充填し、脱酸素剤(三菱ガス化学(株)製)と共にアルミパウチに入れた。
【0037】
上記で得られた製造直後のアルミパウチを35℃で2日間加温した後、22℃で6か月間保存した(実施方法1)。また、上記で得られた製造直後のアルミパウチを2℃で1日間冷却し、更に、35℃で2日間加温した後、22℃で6か月間保存した(実施方法2)。更に、上記で得られた製造直後のアルミパウチを37℃で1日間加温した後、22℃で6か月間保存した(実施方法3)。なお、上記で得られたアルミパウチを22℃で6か月間保存したものを比較とした。保存前後の生菌数を測定した結果を表1に示した。また、これらの生菌数から以下の式を用いて生残率を算出し、更に、各実施方法が比較方法(変温処理なし)に対してどれだけ生残性を向上させたかを以下の式を用いて算出した。それらの結果も表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
[数1]
生残率(%)=(保存後の生菌数/保存前の生菌数)×100
【0040】
[数2]
生残性の向上率(%)=(実施方法の生残率/比較方法の生残率)×100
【0041】
この結果から、実施方法の6ヶ月保存後の生残率は25%以上であり、実施方法は変温処理を施さない場合(比較方法)の少なくとも110%以上の生残性を有することが分かった。
【0042】
実 施 例 2
ラクトバチルス・カゼイ乾燥菌体の長期保存:
実施例1で得られた6ヶ月保存後の乾燥菌体を22℃でさらに6ヶ月保存し、保存前後の生菌数を実施例1と同様の方法で測定した結果を表2に示した。また、実施例1と同様の方法で生残率と生残性の向上率を算出した。それらの結果も表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
この結果から、実施方法の12ヶ月保存後の生残率は21%以上であり、実施方法は変温処理を施さない場合(比較方法)の少なくとも130%以上の生残性を有することが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、微生物の乾燥菌体の製造に利用できる。

以 上