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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ブレーカ自動同期装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/10 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
H02P9/10 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020563452
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019031437
(87)【国際公開番号】W WO2019217625
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2021-01-08
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】62/669,042
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/669,048
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/669,057
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/669,063
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/669,070
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カミロ ロペス
(72)【発明者】
【氏名】マーク フォルツ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブ リー ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン ダウデル
(72)【発明者】
【氏名】マーク スティーブン ウィーランド
(72)【発明者】
【氏名】アラン メイジャーズ
【合議体】
【審判長】林 毅
【審判官】脇岡 剛
【審判官】大塚 俊範
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-269615(JP,A)
【文献】特開昭61-276036(JP,A)
【文献】実開昭52-170233(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電気回路を第2の電気回路に接続するためのシステムであって、
前記第1の電気回路と前記第2の電気回路との間に配置された、前記第1の電気回路と前記第2の電気回路との接続のために閉成されるブレーカと、
前記第1の電気回路から測定された第1の電気特性、および前記第2の電気回路から測定された第2の電気特性を受け取る第1のチェック回路と、
前記第1の電気回路から測定された第3の電気特性、および前記第2の電気回路から測定された第4の電気特性を受け取る第2のチェック回路と、
を含み、
前記第1のチェック回路は、測定された前記第1の電気特性と測定された前記第2の電気特性とが適合している場合、前記ブレーカを閉成するための第1の許可をセットし、
前記第2のチェック回路は、前記第3の電気特性と前記第4の電気特性とが適合している場合、前記ブレーカを閉成するための第2の許可をセットし、
前記第1の許可または前記第2の許可が前記ブレーカを閉成するようにセットされなかった場合、前記ブレーカは開放されたままであり、前記第1の許可および前記第2の許可の2つともが前記ブレーカを閉成するようにセットされた場合、前記ブレーカが閉成され、
前記第1の電気回路は、電力供給網を含み、
前記第2の電気回路は、発電機を含み、
前記発電機は、タービンに接続されており、
前記第1のチェック回路は、前記第1の許可をセットするための第1のプロセッサを含み、前記第2のチェック回路は、前記第2の許可をセットするための第2のプロセッサを含み、前記第1のプロセッサと前記第2のプロセッサとは異なる種類のプロセッサであり
記システムは、
前記第1の電気回路から電気波形を受け取って、前記第1のチェック回路に供給される測定された前記第1の電気特性を形成する、第1の導出回路と、
前記第2の電気回路から電気波形を受け取って、前記第1のチェック回路に供給される測定された前記第2の電気特性を形成する、第2の導出回路と、
前記第1の電気回路から電気波形を受け取って、前記第2のチェック回路に供給される測定された前記第3の電気特性を形成する、第3の導出回路と、
前記第2の電気回路から電気波形を受け取って、前記第2のチェック回路に供給される測定された前記第4の電気特性を形成する、第4の導出回路と、
をさらに含み、
前記第1の導出回路、前記第2の導出回路、前記第3の導出回路および前記第4の導出回路は、測定された前記第1の電気特性と測定された前記第3の電気特性とが対でありかつ測定された前記第2の電気特性と測定された前記第4の電気特性とが対であるような、冗長の適合回路である、
システム。
【請求項2】
前記第1のプロセッサは、マイクロプロセッサであり、前記第2のプロセッサは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)である、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のプロセッサは、前記第2のプロセッサよりも大容量のプロセッサである、
請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のプロセッサはまた、前記第1の電気特性と前記第2の電気特性とを適合させるために前記第2の電気回路に加えるべき変更を決定し、前記第2のプロセッサは、前記第2の電気回路に加えるべきいかなる変更も決定しない、
請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のプロセッサは、第1のプログラミング言語でプログラムされており、前記第2のプロセッサは、第2のプログラミング言語でプログラムされており、前記第1のプログラミング言語と前記第2のプログラミング言語とは異なる種類のプログラミング言語である、
請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のプログラミング言語は、Cコードであり、前記第2のプログラミング言語は、VHDLコードである、
請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、第1のA/D(アナログデジタル)回路および第2のA/D(アナログデジタル)回路をさらに含み、前記第1のA/D回路は、測定された前記第1の電気特性および測定された前記第2の電気特性を受け取って、対応する第1のデジタル信号および第2のデジタル信号を前記第1のプロセッサに供給し、前記第2のA/D回路は、測定された前記第3の電気特性および測定された前記第4の電気特性を受け取って、対応する第3のデジタル信号および第4のデジタル信号を前記第2のプロセッサに供給し、前記第1のA/D回路および前記第2のA/D回路は、前記第1のデジタル信号と前記第3のデジタル信号とが対でありかつ前記第2のデジタル信号と前記第4のデジタル信号とが対であるような、冗長の適合回路である、
請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のチェック回路は、前記第1の許可に基づいて、閉成/開放信号を第1のリレーに出力し、前記第2のチェック回路は、前記第2の許可に基づいて、閉成/開放信号を第2のリレーに出力し、前記第1のリレーおよび前記第2のリレーは、前記第1のリレーおよび前記第2のリレーの2つともが閉成されている場合にのみブレーカが閉成可能となるように、直列に接続されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは、人間のオペレータからブレーカを閉成するための第3の許可を受け取るマンマシンインタフェース(HMI)をさらに含み、前記第3の許可が前記ブレーカを閉成するようにセットされなかった場合、前記ブレーカは開放されたままであり、前記第1の許可、前記第2の許可および前記第3の許可の全てが前記ブレーカを閉成するようにセットされた場合に、前記ブレーカが閉成される、
請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の電気特性および前記第3の電気特性は、それぞれ、前記第1の電気回路の電圧および周波数を含み、前記第2の電気特性および前記第4の電気特性は、それぞれ、前記第2の電気回路の電圧および周波数を含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記第1の電気特性と前記第3の電気特性とは相互に同じであり、前記第2の電気特性と前記第4の電気特性とは相互に同じである、
請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記第1の電気特性および前記第3の電気特性は、それぞれ、前記第1の電気回路の電圧および周波数を含み、前記第2の電気特性および前記第4の電気特性は、それぞれ、前記第2の電気回路の電圧および周波数を含み、前記第1の電気特性と前記第3の電気特性とは相互に同じであり、前記第2の電気特性と前記第4の電気特性とは相互に同じであり、前記第1の電気回路は、電力供給網を含み、前記第2の電気回路は、発電機を含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のチェック回路は、前記第1の許可をセットするための第1のプロセッサを含み、前記第2のチェック回路は、前記第2の許可をセットするための第2のプロセッサを含み、前記第1のプロセッサと前記第2のプロセッサとは異なる種類のプロセッサであり、前記第1のプロセッサは、前記第2のプロセッサよりも大容量のプロセッサであり、前記第1のプロセッサは、第1のプログラミング言語でプログラムされており、前記第2のプロセッサは、第2のプログラミング言語でプログラムされており、前記第1のプログラミング言語と前記第2のプログラミング言語とは異なる種類のプログラミング言語である、
請求項12記載のシステム。
【請求項14】
記システムは、第1のA/D(アナログデジタル)回路および第2のA/D(アナログデジタル)回路をさらに含み、前記第1のA/D回路は、測定された前記第1の電気特性および測定された前記第2の電気特性を受け取って、対応する第1のデジタル信号および第2のデジタル信号を前記第1のプロセッサに供給し、前記第2のA/D回路は、測定された前記第3の電気特性および測定された前記第4の電気特性を受け取って、対応する第3のデジタル信号および第4のデジタル信号を前記第2のプロセッサに供給し、前記第1のA/D回路および前記第2のA/D回路は、前記第1のデジタル信号と前記第3のデジタル信号とが対でありかつ前記第2のデジタル信号と前記第4のデジタル信号とが対であるような、冗長の適合回路である、
請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記システムは、人間のオペレータから前記ブレーカを閉成するための第3の許可を受け取るマンマシンインタフェース(HMI)をさらに含み、前記第3の許可が前記ブレーカを閉成するようにセットされなかった場合、前記ブレーカは開放されたままであり、前記第1の許可、前記第2の許可および前記第3の許可の全てが前記ブレーカを閉成するようにセットされた場合に、前記ブレーカが閉成され、前記第1のプロセッサは、マイクロプロセッサであり、前記第2のプロセッサは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であり、前記第1のプロセッサはまた、前記第1の電気特性および前記第2の電気特性を適合させるために前記第2の電気回路に加えるべき変更を決定し、前記第2のプロセッサは、前記第2の電気回路に加えるべきいかなる変更も決定せず、前記第1のプログラミング言語は、Cコードであり、前記第2のプログラミング言語は、VHDLコードであり、前記第1のチェック回路は、前記第1の許可に基づいて、閉成/開放信号を第1のリレーに出力し、前記第2のチェック回路は、前記第2の許可に基づいて、閉成/開放信号を第2のリレーに出力し、前記第1のリレーおよび前記第2のリレーは、前記第1のリレーおよび前記第2のリレーの2つともが閉成されている場合にのみ前記ブレーカを閉成することができるように、直列に接続されている、
請求項14記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してブレーカに関し、より具体的には発電機と電力供給網との間のブレーカの同期に関する。
【0002】
発電所は、メインブレーカで電力供給網に接続される。多くの発電所は、大型の蒸気タービンを採用して発電している。発電所および送電網の電圧および周波数が適合していないときにブレーカが閉成されると、設備の重大な損傷が発生したり、付近にいる人に潜在的な物理的傷害が発生したりすることがある。例えば、ブレーカが閉成されているときに発電所および送電網の電圧および周波数が適合しない場合、典型的にはブレーカは直ちに再開放され、発電所が送電網から切り離される。しかし、サーキットブレーカのこのような再開放は、激甚反応または爆発様の事態を発生させうる。このような事態においてサーキットブレーカが再開放されないと、電圧および/または周波数の不適合から、送電網への適合のための発電機の急速な加速が生じ、発電機および接続されたハードウェア(例えば、タービン)のこのような急速な加速によって、設備の損傷または突然の故障が起こりうる。
【0003】
発明の概要
回路のそれぞれの電気特性が適合していることを保証しながら、2つの電気回路を互いに接続するためのシステムを説明する。当該システムは、ブレーカを閉成するための許可を共にセットする必要のある2つのチェック回路を含む。第1の電気回路は、電気送電網であってもよく、第2の電気回路は発電機であってもよい。電気特性は、電気回路のそれぞれの電圧および周波数であってもよい。
【0004】
本発明は、以下の説明を図面と併せて読むことにより、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】2つの電気回路98,100間のブレーカ102の閉成を制御するための2つの別個の回路10,14,18および12,16,20のブロック図である。
図2】第1の電気回路98の電気波形34を平均電圧38および周波数位相信号40に変換し、かつ第2の電気回路100の電気波形36を平均電圧42および周波数位相信号44に変換するための2つの導出回路30,32の概略図である。
図3】第1の電気回路98の電気波形34を平均電圧50および周波数位相信号52に変換し、かつ第2の電気回路100の電気波形36を平均電圧54および周波数位相信号56に変換するための2つの導出回路46,48の概略図である。
図4】A/D回路66,68で使用する基準電圧62,64を形成するための2つの電圧回路58,60の概略図である。
図5】平均電圧38,42,50,54を、第1のプロセッサ74および第2のプロセッサ76によってそれぞれ使用されるデジタル電圧信号70,72に変換するA/D回路66,68の図である。
図6】それぞれ入力および出力を有する第1のプロセッサ74および第2のプロセッサ76の概略図である。
図7】第1のプロセッサ74からの出力80を用いて、信号88を第2の電気回路100に送信し、電気特性(例えば、速度調整などによる電圧または周波数)が第1の電気回路98に適合するように変更させる駆動回路86の概略図である。
図8】第1のプロセッサ74および第2のプロセッサ76からの出力82,84を使用して、リレー104,106を開閉するための信号94,96をリレーに送信する2つの駆動回路90,92の概略図である。
図9】2つの電気回路98,100間に配置されたブレーカ102、および2つのリレー104,106が閉成された場合にブレーカ102を閉成するように直列に配線されたリレー104,106の概略図である。
【0006】
詳細な説明
自動同期装置の目的は、2つのシステムの電圧および周波数を考慮して、発電機および電力供給網の間のブレーカを閉成することである。発電機の電圧および周波数が送電網にほぼ適合し、2つの送電網間の位相が揃うと、モジュールはブレーカ閉成コマンドを開始する。これらのパラメータが適合していない場合にブレーカ閉成コマンドが発生すると、設備に重大な損傷が発生し、設備付近にいる人に潜在的に危険な状況が発生するおそれがある。こうした危険の発生を防止するために、外部の「同期チェック」リレーが設置されることがしばしばある。好ましい実施形態では、ビルトイン冗長電気回路が提供され、構成要素の故障の事態でのリスクが低減される。冗長回路は、1次同期回路と同等の機能を提供するが、FPGAに実装されることにより設計が異なり、異なるプログラミング言語で記述された異なるファームウェアを使用している。ビルトイン同期チェック機能部の設計の背後にある多様性により、設計上の共通の欠陥の可能性が排除される。同期チェック回路は、ブレーカの閉成のための適正な条件が存在することにつき2つの回路が合致しない場合にブレーカの閉成を阻止する、許可部の役割を果たす。
【0007】
好ましい実施形態では、2つの別個の論理パス、分離した測定および出力部、独立したチェック測定および出力部、通信および処理部、ならびに独立したチェック処理部が提供される。安全のために、各バス入力は、それぞれが独立したADCで終端する2つの同一の独立したアナログ回路に接続される。ADCは別個のプロセッサに接続されており、バス間の周波数、位相、および電圧の適合を検出するための独立したアルゴリズムを実行する。安全のため、DO1は、DO2とは独立した物理的かつ論理的なソースから駆動される。AS01には、バス入力を独立して監視し、(構成に基づいて)ブレーカを閉成することが安全であるかどうかを示すことを担当する付加的なプロセッサが搭載される。当該プロセッサは、別個のアナログ回路およびADCからの入力を受け取って、独立したデジタル出力信号を発行する。AS01のメインブレーカ制御機能は、独立した同期チェック機能により制御されるデジタル出力の状態を監視し、独立したチェックデジタル出力がアクティブでない場合、ブレーカの閉成条件が満たされていると判定したとしても、ブレーカの閉成を開始しない。
【0008】
好ましい実施形態では、2つの別個の(独立した)入力回路が使用される。2つの独立した異なるプロセッサが存在する。好ましい実施形態では、マイクロプロセッサ(MCF54415)とFPGAとが2つのプロセッサである。これにより、プロセッサの共通の異常が排除される。2つの独立した異なるファームウェアコードを使用して、ソフトウェアの共通のバグを排除する。好ましい実施形態は、CコードおよびVHDLコードの2つを使用する。各ファームウェアは、相互に協調し、現状と行動過程との合致を確認する。2つの実行が合致しない場合、各プロセッサは、状態が修正されるまで、ブレーカの閉成を無効にする。2つの別個の(独立した)出力回路が使用され、これによりブレーカの閉成を起動する前に2つの出力回路が合致しなければならない。人間または制御装置ロジックの一方による、外部からの何らかのタイプのイネーブル動作が必要となる。
【0009】
図1には、診断のために通信する2つの別個の論理パスの図が示されている。
【0010】
好ましい実施形態では、別個の入出力源を有する相互に独立した2つの別個の回路が提供される。付加的に、各回路は、他方の回路を検証する。
【0011】
図2図9には、2つの別個の回路が示されている。好ましくは、一方の回路は制御動作にマイクロプロセッサを使用し、他方の回路は好ましくは制御動作にFPGAを使用する。したがって、2つの回路は、適合設計の全ての回路に影響を与えうる設計上の欠陥の影響を受けない。
【0012】
好ましい実施形態の改善点は、完全かつ多様な冗長性と、2つの実装間の相互通信とである。従来の幾つかのシステムでは、ブレーカの閉成を開始するために、単一の回路、または類似のロジックを有する重複回路のいずれかしか存在していなかった。好ましい実施形態では、異なる回路設計、異なるプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ対FPGA)、異なるプログラミングコードおよび言語が提供され、完全かつ多様な冗長性が提供される。他の従来の手法では、冗長性は有するものの、共通の欠陥を有しうるかまたは類似の条件で故障しうる類似の回路を含むことがある。
【0013】
好ましい実施形態の主な用途は、発電機と電力供給網との間にメインブレーカを有する電力生成プラント内である。当該用途は、ラインジェネレータモードと呼ばれる。しかし、スイッチヤード使用、ピアツーピアバス接続、およびデッドバスアプリケーションのための他の用途もある。好ましい実施形態はまた、これらの他の用途のための同一または類似の冗長性および保護方法もカバーする。
【0014】
好ましい実施形態の改善により、2つのバスの電圧、周波数、および位相が適合していない場合に、単一の構成要素の故障(または類似の冗長回路内の複数の構成要素の故障)から不用意な発電機のブレーカの閉成が生じて、設備の重大な損傷および結果的に危険な状況が発生しうることが防止される。付加的に、当該ロジックにより、不適合または故障が存在することがオペレータに通知されるので、問題を適時に解決することができる。
【0015】
好ましい実施形態の利点は、時宜を得ないブレーカ閉成のリスクを低減することである。別の利点は、構成要素の故障が存在する可能性があることをユーザに知らせることである。別の利点は、設備の損傷リスクを低減することである。別の利点は、人員の負傷リスクを低減することである。
【0016】
好ましい実施形態の改善は、別個の異なる電気回路、プロセッサ、およびファームウェアを提供し、設計上の共通の欠陥のリスクを排除することである。好ましい実施形態では、ブレーカの閉成を許可する前に2つが合致していなければならないように、ANDロジックが使用される。さらに、2つの設計は相互に監視し合い、これにより、2つともが合致しない場合、モジュールがブレーカの閉成を阻止し、ユーザに潜在的な構成要素の故障を通知する。
【0017】
好ましい実施形態では、異なるプロセッサ、ファームウェアおよびコードのような多様な設計構成要素を使用するが、ハードウェアの異常を排除するために、重要な構成要素および重要でない構成要素を含む全ての製品構成要素が多様であってもよい。付加的に、別個の回路を設計して、異なる設計の実施を提供可能である。好ましい実施形態では、マイクロプロセッサおよびFPGAを使用しているが、他の種類のプロセッサまたはロジックデバイスも同様に使用可能である。さらに、2つの回路間で異なる通信方法を使用可能である。
【0018】
本明細書で説明している発明は、上述したいずれかの特徴に加えて、以下の特徴のうちの1つ以上を有することができる。図を参照しながら、以下に特徴を示す。
【0019】
第1の電気回路98を第2の電気回路100に接続するためのシステムは、第1の電気回路98と第2の電気回路100との間に配置された、第1の電気回路98と第2の電気回路100との接続のために閉成されるブレーカ102と、第1の電気回路98から測定された第1の電気特性40,70を受け取り、第2の電気回路100から測定された第2の電気特性44,70を受け取る、第1のチェック回路10,14,18,30,32,66,74,90と、第1の電気回路98から測定された第3の電気特性52,72を受け取り、第2の電気回路100から測定された第4の電気特性56,72を受け取る、第2のチェック回路12,16,20,46,48,68,76,92と、を含み、第1のチェック回路10,14,18,30,32,66,74,90は、測定された第1の電気特性40,70と測定された第2の電気特性44,70とが適合している場合、ブレーカ102を閉成するための第1の許可82,94をセットし、第2のチェック回路12,16,20,46,48,68,76,92は、第3の電気特性52,72と第4の電気特性56,72とが適合している場合、ブレーカ102を閉成するための第2の許可84,96をセットし、第1の許可82,94または第2の許可84,96がブレーカ102を閉成するようにセットされなかった場合、ブレーカ102は開放されたままであり、第1の許可82,94および第2の許可84,96の2つともがブレーカ102を閉成するようにセットされた場合、ブレーカ102は閉成される。
【0020】
第1の電気回路98が電力供給網を含む、システム。
【0021】
第2の電気回路100が発電機を含む、システム。
【0022】
第2の電気回路100が、発電機に接続されたタービンをさらに含む、システム。
【0023】
第1のチェック回路10,14,18,30,32,66,74,90が、第1の許可82,94をセットするための第1のプロセッサ74を含み、第2のチェック回路12,16,20,46,48,68,76,92が、第2の許可84,96をセットするための第2のプロセッサ76を含み、第1のプロセッサ74と第2のプロセッサ76とは異なる種類のプロセッサである、システム。
【0024】
第1のプロセッサ74がマイクロプロセッサ74であり、第2のプロセッサ76がフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)76である、システム。
【0025】
第1のプロセッサ74が第2のプロセッサ76よりも大容量のプロセッサである、システム。
【0026】
第1のプロセッサ74はまた、第1の電気特性40,70と第2の電気特性44,70とを適合させるために第2の電気回路100に加えるべき変更80,86,88を決定し、第2のプロセッサ76は、第2の電気回路100に加えるべきいかなる変更も決定しない、システム。
【0027】
第1のプロセッサ74が第1のプログラミング言語でプログラムされており、第2のプロセッサ76が第2のプログラミング言語でプログラムされており、第1のプログラミング言語と第2のプログラミング言語とは異なる種類のプログラミング言語である、システム。
【0028】
第1のプログラミング言語がCコードであり、第2のプログラミング言語がVHDLコードである、システム。
【0029】
システムは、第1の電気回路98から電気波形34を受け取って、第1のチェック回路66,74,90に供給される測定された第1の電気特性38,40,70を形成する第1の導出回路30と、第2の電気回路100から電気波形36を受け取って、第1のチェック回路66,74,90に供給される測定された第2の電気特性42,44,70を形成する第2の導出回路32と、第1の電気回路98から電気波形34を受け取って、第2のチェック回路68,76,92に供給される測定された第3の電気特性50,52,72を形成する第3の導出回路46と、第2の電気回路100から電気波形36を受け取って、第2のチェック回路68,76,92に供給される測定された第4の電気特性54,56,72を形成する第4の導出回路48と、をさらに含み、第1の導出回路30、第2の導出回路32、第3の導出回路46、および第4の導出回路48は、測定された第1の電気特性38,40,70と測定された第3の電気特性50,52,72とが対でありかつ測定された第2の電気特性42,44,70と測定された第4の電気特性54,56,72とが対であるような、冗長の適合回路である。
【0030】
システムは、第1のA/D(アナログデジタル)回路66および第2のA/D(アナログデジタル)回路68をさらに含み、第1のA/D回路66は、測定された第1の電気特性38および測定された第2の電気特性42を受け取って、対応する第1のデジタル信号および第2のデジタル信号70を第1のプロセッサ74に供給し、第2のA/D回路68は、測定された第3の電気特性50および測定された第4の電気特性54を受け取って、対応する第3のデジタル信号および第4のデジタル信号72を第2のプロセッサ76に供給し、第1のA/D回路66および第2のA/D回路68は、第1のデジタル信号70と第3のデジタル信号72とが対でありかつ第2のデジタル信号70と第4のデジタル信号72とが対であるような、冗長の適合回路である。
【0031】
第1のチェック回路10,14,18,30,32,66,74,90は、第1の許可82に基づいて、閉成/開放信号94を第1のリレー104に出力し、第2のチェック回路12,16,20,46,48,68,76,92は、第2の許可84に基づいて、閉成/開放信号96を第2のリレー106に出力し、第1のリレー104および第2のリレー106が、第1のリレー104および第2のリレー106の2つともが閉成されている場合にのみブレーカ102が閉成可能となるように、直列に接続されている、システム。
【0032】
システムは、人間のオペレータからブレーカ102を閉成するための第3の許可78を受け取るマンマシンインタフェース(HMI)をさらに含み、第3の許可78がブレーカ102を閉成するようにセットされなかった場合、ブレーカ102は開放されたままであり、第1の許可82、第2の許可84、および第3の許可78の全てがブレーカ102を閉成するようにセットされた場合に、ブレーカ102が閉成される。
【0033】
第1の電気特性40,70および第3の電気特性52,72は、それぞれ、第1の電気回路98の電圧70,72および周波数40,52を含み、第2の電気特性44,70および第4の電気特性56,72は、それぞれ、第2の電気回路100の電圧70,72および周波数44,56を含む、システム。
【0034】
第1の電気特性40,70と第3の電気特性52,72とが相互に同じであり、第2の電気特性44,70と第4の電気特性56,72とが相互に同じである、システム。
【0035】
図1に示しているように、第1の回路10,14,18はまた、他のデジタル入力22を含んでもよい。例えば、2つの電気回路98,100の周波数および電圧のデジタル出力24,26は、第1のプロセッサ14,74による付加的な機能のために使用可能である。また、他のハードウェアと通信するための通信バス28が提供されていてもよい。
【0036】
本明細書において説明した好ましい実施形態は、所望に応じて、非一時的コンピュータ可読媒体においてコンピュータ化された方法として実施可能であることが理解される。
【0037】
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本明細書における発明から逸脱することなく修正可能であることを理解されたい。本明細書において説明した各実施形態は、所定の特徴のみを参照して説明し、他の実施形態に関して説明した全ての特徴を具体的に参照していないところもあるが、所定の特徴への参照がなされていない場合でも、本明細書において説明した各特徴は、別段の記載がない限り互換性があることを認識されたい。また、上述した利点は、必ずしも本発明の唯一の利点ではなく、本発明の各実施形態によって説明した利点の全てが達成されることが必ずしも期待されないことも理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲の意味範囲内にある全ての装置および方法は、語句によってまたは等価性によってそこに包含されることが意図されている。
図1
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図9