(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
G07F 9/10 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
G07F9/10 101
(21)【出願番号】P 2021014415
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】722012006
【氏名又は名称】サンデン・リテールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 勇希
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-032576(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/00- 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を保管する本体と、
前記本体の前面を開閉可能に覆う外扉と、
前記本体に配設され、前記商品の温度を調整する温調装置と、を備えた自動販売機であって、
前記温調装置は、
該温調装置内を流通する冷媒と空気とで熱交換をすることが可能な熱交換器と、
前記熱交換器に該熱交換器の前方から後方に向かって空気を流通させる送風装置と、を有し、
前記外扉は、
前記自動販売機の制御をする制御装置の少なくとも一部である被冷却体を有し、
前記熱交換器は、前記本体の下端から所定距離離間した位置に配設され、
前記被冷却体は、前記熱交換器と略同じ高さに位置し、前記送風装置の作動により前記本体の外部より前記熱交換器に流入する空気の流路に面して配設され
、
前記外扉には、前記商品を前記自動販売機から顧客に提供する商品取出口が前記本体側に突出して形成されており、
前記本体には、
前記商品を保管する商品保管庫と、
該商品保管庫の下方に形成され、前記熱交換器を収納する機械室と、
前記商品保管庫と前記機械室とを仕切る仕切板と、を有し、
前記商品取出口の下部後端は、前記外扉が閉止した際に前記仕切板の前端に近接、または当接する、自動販売機。
【請求項2】
商品を保管する本体と、
前記本体の前面を開閉可能に覆う外扉と、
前記本体に配設され、前記商品の温度を調整する温調装置と、を備えた自動販売機であって、
前記温調装置は、
該温調装置内を流通する冷媒と空気とで熱交換をすることが可能な熱交換器と、
前記熱交換器に該熱交換器の前方から後方に向かって空気を流通させる送風装置と、を有し、
前記外扉は、
該外扉の下端に形成された通気口と、
前記自動販売機の制御をする制御装置の少なくとも一部である被冷却体と、を有し、
前記本体は、
前記商品を保管する商品保管庫と、
前記商品保管庫の下方に形成された下部収納室と、
前記下部収納室を上下に仕切る仕切台と、
前記下部収納室における上側の部分に形成され、前記熱交換器を収容する機械室と、を有し、
前記熱交換器は、前記本体の下端から所定距離離間した前記仕切台の上に配設され、
前記被冷却体は、前記熱交換器と略同じ高さに位置し、前記送風装置の作動により前記本体の外部より前記外扉の下端の前記通気口から導入され前記仕切台の前端部と前記外扉の内面との間を通り前記熱交換器に向かって流入する空気の流路である流通路に面して配設されている、自動販売機。
【請求項3】
前記本体は、
前記熱交換器の前方に配設される保護板と、
前記保護板の前記熱交換器に対向した位置に形成される通気孔と、を有し、
前記被冷却体の少なくとも一部は、前記外扉が閉止した際に前記通気孔と対向する位置に配置される、請求項1
又は2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記外扉には、前記商品を前記自動販売機から顧客に提供する商品取出口が形成されており、
前記被冷却体は、前記商品取出口の直下に位置する、請求項1
~3のいずれかに記載の自動販売機。
【請求項5】
前記商品取出口は、前記外扉が閉止した際に前記熱交換器の上方に位置する、請求項
4に記載の自動販売機。
【請求項6】
前記被冷却体の少なくとも一部は、前記熱交換器より左右方向外側に配設する、請求項1~5のいずれか一項に記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動販売機に係り、特に電装部品の信頼性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、飲料等の商品を無人で販売する自動販売機は、商品を補充する作業者によって前側の扉(外扉)が開放されて商品収納棚に商品が補充される。このように商品収納棚に補充された商品は、消費者によって徐々に消費され、いずれは売り切れる。したがって、作業者は、各自動販売機に定期的に商品を補充することで、商品の売り切れが生じることを抑制している。
【0003】
しかしながら、一部の商品が短時間で消費者によって消費されるような場合、作業者による商品の補充を待つことなく売り切れになることが考えられる。また、作業者は、季節や地域等によって売れ行きが良い商品を主に補充するため、商品を補充する作業の際に売り切れた商品と同じ種類の商品を持ち合わせていない場合がある。
そこで、自動販売機の下部における外扉より内側に倉庫(収納室)を形成することで、該倉庫に予備の商品を保管可能にする技術が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、外扉の内側には、温調装置の稼働度合、顧客に対する商品や金銭の受け渡しの管理等の自動販売機全体の制御を行う制御装置(電装部品)が配設されている場合が多い。この制御装置は、電力を利用して稼働する際に発熱する部分(被冷却体)があるため、冷却する必要がある。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示される自動販売機のように、下部に倉庫を形成すると、温調装置の位置が倉庫の高さに比例して高くなり、被冷却体の近傍の空気の流れが、倉庫がない場合と比較して変化することが考えられる。このように被冷却体の近傍の空気の流れが変化することで、被冷却体やその近傍を通過する空気の量が減少あるいは空気の温度が高くなり、被冷却体についての冷却性能が低下する虞があり、さらなる改善の余地があった。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、温調装置(熱交換器)を比較的高い位置に配設しつつ、外扉の内側に配設される被冷却体を冷却することができる自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の自動販売機は、商品を保管する本体と、前記本体の前面を開閉可能に覆う外扉と、前記本体に配設され、前記商品の温度を調整する温調装置と、を備えた自動販売機であって、前記温調装置は、該温調装置内を流通する冷媒と空気とで熱交換をすることが可能な熱交換器と、前記熱交換器に該熱交換器の前方から後方に向かって空気を流通させる送風装置と、を有し、前記外扉は、前記自動販売機の制御をする制御装置の少なくとも一部である被冷却体を有し、前記熱交換器は、前記本体の下端から所定距離離間した位置に配設され、前記被冷却体は、前記熱交換器と略同じ高さに位置し、前記送風装置の作動により前記本体の外部より前記熱交換器に流入する空気の流路に面して配設されることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記本体は、前記熱交換器の前方に配設される保護板と、前記保護板の前記熱交換器に対向した位置に形成される通気孔と、を有し、前記被冷却体の少なくとも一部は、前記外扉が閉止した際に前記通気孔と対向する位置に配置されるとよい。
【0010】
好ましくは、前記外扉には、前記商品を前記自動販売機から顧客に提供する商品取出口が形成されており、前記被冷却体は、前記商品取出口の直下に位置するとよい。
好ましくは、前記商品取出口は、前記外扉が閉止した際に前記熱交換器の上方に位置するとよい。
【0011】
好ましくは、前記外扉には、前記商品を前記自動販売機から顧客に提供する商品取出口が前記本体側に突出して形成されており、前記本体には、前記商品を保管する商品保管庫と、該商品保管庫の下方に形成され、前記熱交換器を収納する機械室と、前記商品保管庫と前記機械室とを仕切る仕切板と、を有し、前記商品取出口の下部後端は、前記外扉が閉止した際に前記仕切板の前端に近接、または当接するとよい。
【0012】
好ましくは、前記被冷却体の少なくとも一部は、前記熱交換器より左右方向外側に配設するとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の自動販売機によれば、熱交換器を本体の下端から所定距離離間した位置に配設しつつ、被冷却体を熱交換器と略同じ高さに位置し、本体の外部より熱交換器に流入する空気の流路に面して配設したので、例えば熱交換器の下方に倉庫を形成しつつ、熱交換器を冷却する空気を利用して被冷却体を冷却することができる。これにより、熱交換器を比較的高い位置に配設しつつ、外扉の内側に配設される被冷却体を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る自動販売機の前方斜視図である。
【
図5】
図3中I-I断面で視た自動販売機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。
なお、説明の便宜上、自動販売機内部から視て、後述する外扉が外方に臨む方向を前方、前方を視て右手方向を右方、重力方向で視て略上方を上方とし、当該前方、右方及び上方の反対方向をそれぞれ後方、左方及び下方とする。
【0016】
図1を参照すると、外扉を開放した状態の本発明に係る自動販売機1の前方斜視図が示されている。自動販売機1は、飲料等の商品を顧客に無人で提供することが可能な装置である。この自動販売機1は、本体3及び外扉5を備えている。
【0017】
本体3は、商品を所定の温度となるよう温度管理をしつつ保管することや、顧客が指定した商品を提供することが可能である。この本体3は、商品保管庫11、下部収納室13及び仕切台15を有している。商品保管庫11は、商品を保管することが可能な保管庫である。この商品保管庫11は、上部に補充口11aが、下部に搬出口11bがそれぞれ形成されている。したがって、商品保管庫11は、作業者によって補充口11aから補充された商品を商品の種類ごとに略上下方向に並べて保管し、顧客が指定した商品を搬出口11bから排出することが可能である。
【0018】
図2を参照すると、
図1中の範囲Aの正面図が示されている。下部収納室13は、本体3の下部であって、商品保管庫11の下方に形成された、前後方向に延びる空間である。具体的には、下部収納室13は、上面13aが商品保管庫11の下端により、左右の側面13bが脚部9の内側面9aにより、下面13cが本体3の底面を形成する底板3aの上面により、後面13dが本体3の後端面を形成する背板3bの前面によりそれぞれ形成されている。仕切台15は、例えば下部収納室13の上下方向略中央に配設される、換言すると、本体3の下端から所定距離離間した位置に配設された板部材であり、左右両端が、前後方向に延びる図示しないレールを介して側面13bに固定されている。したがって、下部収納室13は、仕切台15によって上下に仕切られて、機械室21と倉庫23とが形成されている。
【0019】
機械室21は、下部収納室13の上側、すなわち商品保管庫11の下方に形成された空間である。この機械室21には、電力が供給されることで稼働して商品保管庫11内の温度を調整することが可能な温調装置7が仕切台15に載置され、換言すると、本体3の下端から所定距離離間した位置に配設されている。したがって、商品保管庫11は、保管されている商品を、温調装置7によって温度を管理しつつ保管することができる。なお、温調装置7の構成については、後述する。
【0020】
倉庫23は、下部収納室13の下側、すなわち本体3の下部に形成された空間である。この倉庫23は、例えば商品保管庫11に補充される商品の予備や、災害対応用の備品等を保管するために用いられる空間である。
【0021】
図3を参照すると、外扉5の正面図が示されている。また、
図4を参照すると、外扉5の背面図が示されている。外扉5は、サンプル室31、コイン投入口32、紙幣投入口33、ロックレバー34、金額表示器35、釣銭返却口36、商品取出口37、小窓38、制御装置41、コインメック42、金庫43、第1近接板45及び第2近接板47を有している。また、外扉5には、下端の左右方向中央に、下端から上方に凹むように通気口5aが形成されている。なお、通気口5aについての説明は後述する。
【0022】
サンプル室31は、外扉5の前面から後方に向かって形成され、前側が図示しない透明な樹脂製の窓31aによって覆われる空間である。このサンプル室31には、窓31aから前方に突出するように商品選択ボタン31bが配設されており、商品の形状を模した複数種のサンプル31cを該当する商品選択ボタン31bの上方に展示することが可能である。コイン投入口32は、顧客が商品を購入する際に硬貨を投入するための投入口であり、紙幣投入口33は、紙幣を投入するための投入口である。
【0023】
ロックレバー34は、外扉5を開閉する際に用いられるレバーである。このロックレバー34は、把持部34aが左方に延びる姿勢で後方に押圧されることで、外扉5に収納され、錠前34bに鍵を差し込んで回すことで外扉5を施解錠することができる。金額表示器35は、コイン投入口32や紙幣投入口33から投入された金額を表示することが可能なデジタルパネルである。釣銭返却口36は、例えば顧客がコイン投入口32や紙幣投入口33から投入した金額より安価な商品を購入した際に顧客に返却する釣銭の硬貨を排出する返却口である。
【0024】
商品取出口37は、顧客が購入した商品を搬出する取出し口である。すなわち、顧客は、商品選択ボタン31bを押すことで選択した商品を、商品保管庫11から商品取出口37を介して取り出すことが可能である。小窓38は、外扉5の倉庫23に対応する位置に形成された開口であり、蓋38aによって閉じることや、錠前38bで蓋38aを施解錠することができる。これにより、小窓38は、錠前38bの施錠状態を解錠して蓋38aを取り外すことで、外扉5を開放することなく倉庫23を開放させることができる。
【0025】
制御装置41は、温調装置7の稼働度合、顧客に対する商品や金銭の受け渡しの管理等の自動販売機1全体の制御を行う装置である。具体的には、制御装置41は、コントローラ41a、制御部(被冷却体)41b及びスイッチング電源部(被冷却体)41cを有している。コントローラ41aは、外扉5の内側に着脱可能に設置され、自動販売機1を管理する作業者が操作することで、金庫43内の金銭や商品保管庫11内の商品を取り出すことや各装置の制御を行うことが可能な操作装置である。
【0026】
制御部41bは、コントローラ41aから入力された情報に基づいて自動販売機1全体の制御を実行する装置である。スイッチング電源部41cは、自動販売機1の図示しない電源から供給される電力をコントローラ41aや制御部41b、該制御部41bによって制御される各機器に対応する電圧に降圧させて供給可能な降圧装置である。これら制御部41b及びスイッチング電源部41cは、稼働することで発熱するため、冷却が必要である。
【0027】
コインメック42は、顧客がコイン投入口32に投入した硬貨を種類ごとに仕分けることや種類ごとに硬貨を貯留することが可能な装置である。このコインメック42に貯留される硬貨は、顧客につり銭としても利用される。また、コインメック42は、下端が仕切台15より上方に位置している。金庫43は、コインメック42に貯留しきれなかった硬貨を受け取り貯留することが可能な金庫である。
【0028】
図5を参照すると、
図3中I-I断面で視た自動販売機1の断面図が示されている。外扉5の下端に形成された通気口5aは、外扉5の前方から倉庫23に向かって開放してなる。したがって、本体3は、外扉5を開放することなく、通気口5aから外気を導入することができる。
【0029】
温調装置7は、例えば冷媒を循環させる図示しない冷媒回路や、凝縮器(熱交換器)7a及びファン(送風装置)7bを有している。凝縮器7aは、内部を冷媒が流通する熱交換器であり、前方から後方に向かって通過する空気と冷媒とで熱交換させることが可能である。ファン7bは、凝縮器7aの後方に配設される送風機であり、稼働することで前方から後方に向かって空気を流通させることができる。
【0030】
したがって、温調装置7は、ファン7bを稼働させることで、凝縮器7aの前方に位置する空気を後方に移動させることができ、ファン7bによって移動する空気と凝縮器7a内の冷媒とで熱交換させることで冷媒を冷却することができる。このように冷媒を冷却することで、商品保管庫11内の空気と熱交換可能な図示しない蒸発器を冷却して、商品保管庫11内の空気を冷却することができる。
【0031】
また、温調装置7の前方には、保護板22が配設されている。保護板22は、機械室21の前側を覆うように配設される平板部材である。この保護板22には、凝縮器7aの前方に対応する位置に通気孔22aが形成されている(
図1参照)。これにより、温調装置7は、保護板22によって前方が例えば外気に混じる砂埃等から保護されつつ、通気孔22aを介して凝縮器7aに空気を流通させることができる。
【0032】
温調装置7の上方、すなわち下部収納室13の上面13aは、商品保管庫11の下端を形成する下端壁(仕切板)11cによって形成されている。一方、外扉5には、下端壁11cに略対応する上下位置に第1近接板45が配設され、第1近接板45の下方に第2近接板47が配設されている。第1近接板45は、下端壁11cと略同一の上下位置で左右方向に延び、後端が商品取出口37の下部後端37aを形成している。これにより、商品取出口37は、外扉5が本体3の前面を閉止している際は下部後端37aが下端壁11cの前端に近接している。なお、下部後端37aは、外扉5が本体3の前面を閉止している際に下端壁11cの前端に当接するように形成してもよく、保護板22に当接または近接するようにしてもよい。
【0033】
第2近接板47は、小窓38の上方であって仕切台15と略同じ高さの位置に配設され、左右方向に延びる平板部材である。この第2近接板47は、外扉5から仕切台15に向かって後方に突出している。仕切台15の前端(後述する第2突出部52)は、下部収納室13の前端部に位置しており、外扉5が本体3の前面を閉止している際は前端が第2近接板47に例えば手が通過できない程度に所定の空隙を有して近接する。
【0034】
これにより、仕切台15及び第2近接板47は、外扉5が本体3の前面を閉止している際、機械室21と倉庫23とを手が入らないよう仕切ることができる。ゆえに、いたずら等の目的を有する者によって小窓38の蓋38aが破壊されてコントローラ41aを不正に操作されることを防止することができる。また、第2近接板47は、仕切台15と所定の空隙を有しているため、第2近接板47と仕切台15との間を空気が流通することを許容することができる。
【0035】
図4によると、保護板22に形成された通気孔22aは、制御装置41の制御部41bの前方の少なくとも一部が上下左右方向で重なるように位置している。
これにより、通気孔22aを介して凝縮器7aに供給される空気は、制御部41b及びその近傍を通過して供給される。一方、スイッチング電源部41cは、通気孔22aの右端より右方(外側)、すなわち通気孔22aの前方とは重ならない位置に位置している。これにより、スイッチング電源部41cが通気孔22aの前方を塞ぐことを抑制することができる。
【0036】
図5に戻り、外扉5の通気口5aと温調装置7との間には、空気を流通可能な流通路50が形成されている。流通路50は、通気口5aの上方から後方に向かって突出してなる第1突出部51及び仕切台15の前端部にあたる、機械室21から前方に突出してなる第2突出部52により、左右方向から視て略S字状に形成された通路である。
【0037】
このように流通路50が形成されることで、外扉5の通気口5aから本体3に導入される空気は、通気口5aから後方に向かって移動したあと、再び前方に移動しながら上り、制御部41b及びスイッチング電源部41c並びにその近傍を通過して凝縮器7aに供給される。即ち、制御部41bは、凝縮器7aに流入する空気の流路である流通路50に面して配置されており、凝縮器7aに供給される空気を利用して制御部41b及びスイッチング電源部41cを冷却することができる。
【0038】
以上説明したように、本発明に係る自動販売機1では、商品を保管する本体3と、本体3の前面を開閉可能に覆う外扉5と、本体3に配設され、商品の温度を調整する温調装置7と、を備えた自動販売機1であって、温調装置7は、温調装置内を流通する冷媒と空気とで熱交換をすることが可能な凝縮器7aと、凝縮器7aに該凝縮器7aの前方から後方に向かって空気を流通させるファン7bと、を有し、外扉5は、自動販売機1の制御をする制御装置41の少なくとも一部である制御部41b及びスイッチング電源部41cを有し、凝縮器7aは、本体3の下端から所定距離離間した位置に配設され、制御部41b及びスイッチング電源部41cは、凝縮器7aと略同じ高さに位置し、ファン7bの作動により本体3の外部より凝縮器7aに流入する空気の流路である流通路50に面して配設されている。
【0039】
従って、凝縮器7aを本体3の下端から所定距離離間した位置に配設しつつ、制御部41b及びスイッチング電源部41cを凝縮器7aと略同じ高さに位置し、流通路50に面して配設したので、例えば凝縮器7aの下方に倉庫23を形成しつつ、凝縮器7aを冷却する空気を利用して制御部41bを冷却することができる。
【0040】
ところで、自動販売機1は、屋外に設置されることが多く、風雨に晒されることが一般的である。特に、台風等によって自動販売機1の下部が浸水するようなことも考えられる。そこで、本発明に係る自動販売機1について鑑みると、温調装置7、コインメック42並びに制御部41b及びスイッチング電源部41c等(総じて「電装部品」という)を本体3の下端から所定距離離間した位置に配設することで、浸水によって電装部品が破損することを抑制することができる。
【0041】
また、本体3は、凝縮器7aの前方に配設される保護板22と、保護板22の凝縮器7aに対向した位置に形成される通気孔22aと、を有し、制御装置41の少なくとも一部である制御部41bは、外扉5が閉止した際に通気孔22aと対向する位置に配置されているので、保護板22によって凝縮器7aの前側を保護しつつ、通気孔22aを介して凝縮器7aに供給される空気によって制御部41bを直接的に冷却することができる。
【0042】
また、外扉5には、商品を自動販売機1から顧客に提供する商品取出口37が形成されており、制御部41b及びスイッチング電源部41cは、商品取出口37の直下に位置する。さらに、商品取出口37は、外扉5が閉止した際に凝縮器7aの上方に位置するので、本体3から商品取出口37までの経路と制御部41b及びスイッチング電源部41cから凝縮器7aまでの経路とが交差することを防止することができる。これにより、凝縮器7aへ冷却用の空気をスムーズに供給することができる。
【0043】
また、外扉5には、商品を自動販売機1から顧客に提供する商品取出口37が後方(本体側)に突出して形成されており、本体3には、商品を保管する商品保管庫11と、該商品保管庫11の下方に形成され、凝縮器7aを収納する機械室21と、商品保管庫11と機械室21とを仕切る下端壁11cと、を有し、商品取出口37の下部後端37aは、外扉5が閉止した際に下端壁11cの前端に近接、または当接しているので、商品保管庫11と機械室21との空気の流通を抑制し、商品保管庫11における温調性能を向上させることができる。
【0044】
また、スイッチング電源部41cは、凝縮器7aより左右方向外側に配設されているので、凝縮器7aの前方が凝縮器7aによって覆われることを抑制し、凝縮器7aへの空気の流入性を向上させることができる。
【0045】
以上で本発明に係る発明の名称の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0046】
例えば、本実施形態では、外扉5が本体3の前面を閉止している際、仕切台15と第2近接板47とが手が通過できない程度に所定の空隙を有して近接するようにしたが、仕切台15または第2近接板47の一方の他方側の端部または双方の端部に複数の開孔を設けて通気可能な構造にし、仕切台15と第2近接板47とを当接させるようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、制御部41b及びスイッチング電源部41cを本体3の下端から所定距離離間した位置に配設するようにしたが、いずれか一方であってもよく、制御装置41に含まれる装置等で冷却が必要な物(被冷却体)が制御部41b及びスイッチング電源部41c以外にあれば、それを本体3の下端から所定距離離間した位置に配設すればよい。
【符号の説明】
【0048】
1 自動販売機
3 本体
5 外扉
7 温調装置
7a 凝縮器(熱交換器)
7b ファン(送風装置)
11 商品保管庫
11c 下端壁(仕切板)
21 機械室
22 保護板
22a 通気孔
37 商品取出口
37a 下部後端
41 制御装置
41b 制御部(被冷却体)
41c スイッチング電源部(被冷却体)