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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】充放電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20241211BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20241211BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20241211BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02M3/28 H
H02M3/28 U
H02M3/155 U
H02M3/155 W
H02M3/155 H
H02J7/00 L
H02J7/00 302C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021022516
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124722
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森下 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】南 祐輔
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-195674(JP,A)
【文献】国際公開第2016/132586(WO,A1)
【文献】特開2013-153547(JP,A)
【文献】特開2014-003863(JP,A)
【文献】特開2018-148637(JP,A)
【文献】特開2014-090593(JP,A)
【文献】特開2017-127195(JP,A)
【文献】特開2013-192275(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0093187(US,A1)
【文献】特開2010-206864(JP,A)
【文献】特開2014-161204(JP,A)
【文献】特開2012-023791(JP,A)
【文献】特表2011-501639(JP,A)
【文献】特表2011-522504(JP,A)
【文献】特表2021-507657(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132452(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103683315(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02M 3/28
H02M 3/155
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1バッテリ及び少なくとも1つの第2バッテリを充放電する充放電システムであって、
入力交流電圧を直流電圧に変換し、直流電圧を出力交流電圧に変換するAC-DCコンバータと、
前記AC-DCコンバータに接続され、前記AC-DCコンバータから出力される直流電力を蓄積するコンデンサと、
前記コンデンサに接続され、前記コンデンサに蓄積された直流電力を用いて前記第1バッテリを充電し、前記第1バッテリを放電させて直流電力を前記コンデンサに出力する、第1DC-DCコンバータと、
前記第1バッテリと並列に前記第1DC-DCコンバータに夫々接続され、前記第1DC-DCコンバータから出力される直流電力を用いて前記少なくとも1つの第2バッテリを夫々充電し、前記少なくとも1つの第2バッテリを夫々放電させて直流電力を前記第1DC-DCコンバータに出力する、少なくとも1つの第2DC-DCコンバータと、
を備え、
前記第1DC-DCコンバータは、
放電動作の場合に、前記第1バッテリを放電させるとともに、前記第1バッテリの放電電力を抑制するための電力を前記少なくとも1つの第2バッテリに放電させるための、前記第1バッテリの電圧を前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータに送信し、
前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータの各々は、
放電動作の場合に、自機の出力電圧と前記第1バッテリの電圧とから自機の出力電圧を補正し、補正後の自機の出力電圧に基づいて前記第2バッテリを放電させる、
充放電システム。
【請求項2】
前記第1DC-DCコンバータは、
放電動作の場合に、前記第1バッテリを放電させるとともに、前記第1バッテリの放電電力を抑制するための電力を前記少なくとも1つの第2バッテリに放電させるための、目標電流設定値、目標電圧設定値、及び、前記第1バッテリの電圧を前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータに送信し、
前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータの各々は、
放電動作の場合に、自機の出力電圧から前記第1バッテリの電圧を減じることにより補正値を算出し、前記自機の出力電圧から前記補正値を減じることにより補正後の自機の出力電圧を算出し、前記補正後の自機の出力電圧、前記目標電圧設定値、及び、前記目標電流設定値に基づいて定電圧出力制御又は定電流出力制御を行う、
ことを特徴とする、請求項1記載の充放電システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータの各々は、
前記補正後の自機の出力電圧が前記目標電圧設定値よりも低い場合は、定電流出力制御を定電圧出力制御よりも優先して行い、
前記補正後の自機の出力電圧が前記目標電圧設定値よりも高い場合は、定電圧出力制御を定電流出力制御よりも優先して行う、
ことを特徴とする、請求項2に記載の充放電システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータの各々は、
前記自機の出力電圧及び前記第1バッテリの電圧に、予め定められた時定数のフィルタ処理を実施する、
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載の充放電システム。
【請求項5】
前記第1DC-DCコンバータは、
前記第1バッテリの電圧が上昇している場合は、前記目標電圧設定値を、前記時定数よりも大きい遅れ時間で、前記第1バッテリの電圧に追従させる、
ことを特徴とする、請求項4に記載の充放電システム。
【請求項6】
前記第1DC-DCコンバータは、
前記第1バッテリの電圧に予め定められたオフセットを加えることにより前記目標電圧設定値を算出する、
ことを特徴とする、請求項2から5のいずれか1項に記載の充放電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを充放電する充放電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、独立して充電動作可能な複数台の充電器を備える充電装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-140120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のバッテリを充放電する充放電システムにおいて、1つのバッテリから他のバッテリのDC-DCコンバータまでの間の配線による電圧降下が大きい場合、他のバッテリのDC-DCコンバータでは、1つのバッテリの電圧を正確に検出することができない。これは、1つのバッテリと他のバッテリのDC-DCコンバータとの間に、電圧検出用の配線を設ければ解決できる。しかしながら、この手法では、1つのバッテリに接続される他のバッテリのDC-DCコンバータがn台増えると配線もnセット増えることになり、ハードウェア量が増えてしまう。
【0005】
本発明は、ハードウェア量を抑制することが可能な充放電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の充放電システムは、
第1バッテリ及び少なくとも1つの第2バッテリを充放電する充放電システムであって、
入力交流電圧を直流電圧に変換し、直流電圧を出力交流電圧に変換するAC-DCコンバータと、
前記AC-DCコンバータに接続され、前記AC-DCコンバータから出力される直流電力を蓄積するコンデンサと、
前記コンデンサに接続され、前記コンデンサに蓄積された直流電力を用いて前記第1バッテリを充電し、前記第1バッテリを放電させて直流電力を前記コンデンサに出力する、第1DC-DCコンバータと、
前記第1バッテリと並列に前記第1DC-DCコンバータに夫々接続され、前記第1DC-DCコンバータから出力される直流電力を用いて前記少なくとも1つの第2バッテリを夫々充電し、前記少なくとも1つの第2バッテリを夫々放電させて直流電力を前記第1DC-DCコンバータに出力する、少なくとも1つの第2DC-DCコンバータと、
を備え、
前記第1DC-DCコンバータは、
放電動作の場合に、前記第1バッテリを放電させるとともに、前記第1バッテリの放電電力を抑制するための電力を前記少なくとも1つの第2バッテリに放電させるための、前記第1バッテリの電圧を前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータに送信し、
前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータの各々は、
放電動作の場合に、自機の出力電圧と前記第1バッテリの電圧とから自機の出力電圧を補正し、補正後の自機の出力電圧に基づいて前記第2バッテリを放電させる、
ことを特徴とする。
【0007】
前記充放電システムにおいて、
前記第1DC-DCコンバータは、
放電動作の場合に、前記第1バッテリを放電させるとともに、前記第1バッテリの放電電力を抑制するための電力を前記少なくとも1つの第2バッテリに放電させるための、目標電流設定値、目標電圧設定値、及び、前記第1バッテリの電圧を前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータに送信し、
前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータの各々は、
放電動作の場合に、自機の出力電圧から前記第1バッテリの電圧を減じることにより補正値を算出し、前記自機の出力電圧から前記補正値を減じることにより補正後の自機の出力電圧を算出し、前記補正後の自機の出力電圧、前記目標電圧設定値、及び、前記目標電流設定値に基づいて定電圧出力制御又は定電流出力制御を行う、
ことを特徴とする。
【0008】
前記充放電システムにおいて、
前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータの各々は、
前記補正後の自機の出力電圧が前記目標電圧設定値よりも低い場合は、定電流出力制御を定電圧出力制御よりも優先して行い、
前記補正後の自機の出力電圧が前記目標電圧設定値よりも高い場合は、定電圧出力制御を定電流出力制御よりも優先して行う、
ことを特徴とする。
【0009】
前記充放電システムにおいて、
前記少なくとも1つの第2DC-DCコンバータの各々は、
前記自機の出力電圧及び前記第1バッテリの電圧に、予め定められた時定数のフィルタ処理を実施する、
ことを特徴とする。
【0010】
前記充放電システムにおいて、
前記第1DC-DCコンバータは、
前記第1バッテリの電圧が上昇している場合は、前記目標電圧設定値を、前記時定数よりも大きい遅れ時間で、前記第1バッテリの電圧に追従させる、
ことを特徴とする。
【0011】
前記充放電システムにおいて、
前記第1DC-DCコンバータは、
前記第1バッテリの電圧に予め定められたオフセットを加えることにより前記目標電圧設定値を算出する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様の充放電システムは、ハードウェア量を抑制することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1比較例の充放電システムの概要構成を示す図である。
図2図2は、第2比較例の充放電システムの概要構成を示す図である。
図3図3は、実施の形態の充放電システムの概要構成を示す図である。
図4図4は、実施の形態の充放電システムの回路構成を示す図である。
図5図5は、実施の形態のDC-DCコンバータの各々で検出される電圧の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の充放電システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0015】
以下、実施の形態について説明するが、実施の形態の理解を容易にするため、先に比較例について説明する。
【0016】
なお、比較例及び実施の形態では、バッテリの数を計4個とするが、本開示はこれに限定されない。バッテリの数は、計2個以上であれば良い。
【0017】
<第1比較例>
図1は、第1比較例の充放電システムの概要構成を示す図である。充放電システム101は、入力交流電圧の供給を交流電源7から受けて、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを充電する。また、充放電システム101は、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを放電させて、出力交流電圧を負荷8に出力する。
【0018】
充放電システム101は、AC-DCコンバータ2と、DC-DCコンバータ3と、DC-DCコンバータ102からDC-DCコンバータ105までと、を含む。
【0019】
AC-DCコンバータ2、DC-DCコンバータ3、及び、DC-DCコンバータ102からDC-DCコンバータ105までの各々は、双方向コンバータである。
【0020】
AC-DCコンバータ2の一方側(交流入出力側、図1中右側)は、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを充電する場合、スイッチSW1を介して、交流電源7に電気的に接続される。この場合、AC-DCコンバータ2は、入力交流電圧を直流電圧に変換して、DC-DCコンバータ3に出力する。つまり、この場合、AC-DCコンバータ2は、交流-直流変換を行う。
【0021】
AC-DCコンバータ2の一方側は、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを放電させる場合、スイッチSW2を介して、負荷8に電気的に接続される。この場合、AC-DCコンバータ2は、DC-DCコンバータ3から出力される直流電圧を出力交流電圧に変換して、負荷8に出力する。つまり、この場合、AC-DCコンバータ2は、直流-交流変換を行う。
【0022】
DC-DCコンバータ3の一方側(図1中右側)は、AC-DCコンバータ2の他方側(直流入出力側、図1中左側)に電気的に接続されている。DC-DCコンバータ3の他方側(図1中左側)は、DC-DCコンバータ102からDC-DCコンバータ105までに電気的に接続されている。
【0023】
DC-DCコンバータ3は、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを充電する場合、AC-DCコンバータ2から出力される直流電圧を変換して、DC-DCコンバータ102からDC-DCコンバータ105までに出力する。
【0024】
DC-DCコンバータ3は、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを放電させる場合、DC-DCコンバータ102からDC-DCコンバータ105までから出力される直流電圧を変換して、AC-DCコンバータ2に出力する。
【0025】
なお、DC-DCコンバータ3は、交流電源7とバッテリBATT0からバッテリBATT3までとの間のアイソレーションを確保するために、強化絶縁(JIS C 6950-1:2016)が図られている。強化絶縁は、トランスによって実現されることが例示される。
【0026】
DC-DCコンバータ102からDC-DCコンバータ105までの一方側(図1中右側)は、並列接続され、DC-DCコンバータ3に電気的に接続されている。DC-DCコンバータ102からDC-DCコンバータ105までの他方側(図1中左側)は、バッテリBATT0からバッテリBATT3までに、夫々電気的に接続されている。
【0027】
DC-DCコンバータ102からDC-DCコンバータ105までは、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを充電する場合、DC-DCコンバータ3から出力される直流電圧を夫々変換して、バッテリBATT0からバッテリBATT3までに夫々出力する。
【0028】
DC-DCコンバータ102からDC-DCコンバータ105までは、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを放電させる場合、バッテリBATT0からバッテリBATT3までから出力される直流電圧を夫々変換して、DC-DCコンバータ3に出力する。
【0029】
充放電システム101は、AC-DCコンバータ2、DC-DCコンバータ3、及び、DC-DCコンバータ102からDC-DCコンバータ105までの計6個のコンバータを含む。また、強化絶縁が図られているコンバータは、DC-DCコンバータ3の計1個である。
【0030】
<第2比較例>
図2は、第2比較例の充放電システムの概要構成を示す図である。なお、充放電システム111の構成要素のうち、充放電システム101と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0031】
充放電システム111は、AC-DCコンバータ2と、DC-DCコンバータ112からDC-DCコンバータ115までと、を含む。
【0032】
DC-DCコンバータ112からDC-DCコンバータ115までの各々は、双方向コンバータである。
【0033】
DC-DCコンバータ112からDC-DCコンバータ115までの一方側(図2中右側)は、並列接続され、AC-DCコンバータ2の他方側(直流入出力側、図2中左側)に電気的に接続されている。DC-DCコンバータ112からDC-DCコンバータ115までの他方側(図2中左側)は、バッテリBATT0からバッテリBATT3までに、夫々電気的に接続されている。
【0034】
DC-DCコンバータ112からDC-DCコンバータ115までは、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを充電する場合、AC-DCコンバータ2から出力される直流電圧を夫々変換して、バッテリBATT0からバッテリBATT3までに夫々出力する。
【0035】
DC-DCコンバータ112からDC-DCコンバータ115までは、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを放電させる場合、バッテリBATT0からバッテリBATT3までから出力される直流電圧を夫々変換して、AC-DCコンバータ2に出力する。
【0036】
なお、DC-DCコンバータ112からDC-DCコンバータ115までの各々は、交流電源7とバッテリBATT0からバッテリBATT3までとの間のアイソレーションを確保するために、強化絶縁が図られている。
【0037】
充放電システム111は、AC-DCコンバータ2、及び、DC-DCコンバータ112からDC-DCコンバータ115までの計5個のコンバータを含む。また、強化絶縁が図られているコンバータは、DC-DCコンバータ112からDC-DCコンバータ115までの計4個である。
【0038】
<実施の形態>
(概要構成)
図3は、実施の形態の充放電システムの概要構成を示す図である。なお、充放電システム1の構成要素のうち、充放電システム101又は111と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
充放電システム1は、AC-DCコンバータ2と、DC-DCコンバータ3と、DC-DCコンバータ4からDC-DCコンバータ6までと、を含む。
【0040】
DC-DCコンバータ3が、本開示の「第1DC-DCコンバータ」の一例に相当する。
【0041】
DC-DCコンバータ4からDC-DCコンバータ6までの各々は、双方向コンバータである。
【0042】
DC-DCコンバータ4からDC-DCコンバータ6までが、本開示の「第2DC-DCコンバータ」の一例に相当する。
【0043】
バッテリBATT0は、DC-DCコンバータ3の他方側(図3中左側)に電気的に接続されている。
【0044】
バッテリBATT0が、本開示の「第1バッテリ」の一例に相当する。
【0045】
DC-DCコンバータ4からDC-DCコンバータ6までの一方側(図3中右側)は、バッテリBATT0に並列接続され、DC-DCコンバータ3に電気的に接続されている。DC-DCコンバータ4からDC-DCコンバータ6までの他方側(図3中左側)は、バッテリBATT1からバッテリBATT3までに、夫々電気的に接続されている。
【0046】
バッテリBATT1からバッテリBATT3までが、本開示の「少なくとも1つの第2バッテリ」の一例に相当する。
【0047】
DC-DCコンバータ3は、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを充電する場合、AC-DCコンバータ2から出力される直流電圧を変換して、バッテリBATT0に出力するとともに、DC-DCコンバータ4からDC-DCコンバータ6までに出力する。
【0048】
DC-DCコンバータ3は、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを放電させる場合、バッテリBATT0、及び、DC-DCコンバータ4からDC-DCコンバータ6までから出力される直流電圧を変換して、AC-DCコンバータ2に出力する。
【0049】
DC-DCコンバータ4からDC-DCコンバータ6までは、バッテリBATT1からバッテリBATT3までを充電する場合、DC-DCコンバータ3から出力される直流電圧を夫々変換して、バッテリBATT1からバッテリBATT3までに夫々出力する。
【0050】
DC-DCコンバータ4からDC-DCコンバータ6までは、バッテリBATT1からバッテリBATT3までを放電させる場合、バッテリBATT1からバッテリBATT3までから出力される直流電圧を夫々変換して、DC-DCコンバータ3に出力する。
【0051】
充放電システム1は、AC-DCコンバータ2、DC-DCコンバータ3、及び、DC-DCコンバータ4からDC-DCコンバータ6までの計5個のコンバータを含む。また、強化絶縁が図られているコンバータは、DC-DCコンバータ3の計1個である。
【0052】
充放電システム1は、充放電システム101と比較して、コンバータの数を6個から5個へと減らすことができる。従って、充放電システム1は、充放電システム101と比較して、コスト抑制、サイズ抑制、電力変換効率の向上が可能である。
【0053】
充放電システム1は、充放電システム111と比較して、強化絶縁されているコンバータの数を4個から1個へと減らすことができる。従って、充放電システム1は、充放電システム111と比較して、コスト抑制、サイズ抑制が可能である。
【0054】
但し、図3に示す充放電システム1の構成では、バッテリBATT0とDC-DCコンバータ4から6までとが並列接続されているので、制御が重要となる。充放電システム1の制御については、後で説明する。
【0055】
(回路構成)
図4は、実施の形態の充放電システムの回路構成を示す図である。
【0056】
AC-DCコンバータ2の一方側(交流入出力側、図4中右側)は、フィルタ11を介して、交流電源7又は負荷8(図3参照)に電気的に接続される。AC-DCコンバータ2の他方側(直流入出力側、図4中左側)は、コンデンサ12に電気的に接続されている。
【0057】
AC-DCコンバータ2は、フルブリッジ回路が例示されるが、本開示はこれに限定されない。AC-DCコンバータ2は、交流-直流変換及び直流-交流変換の双方向変換ができるものであれば良い。
【0058】
AC-DCコンバータ2は、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを充電する場合、入力交流電圧を直流電圧に変換して、コンデンサ12に出力する。つまり、この場合、AC-DCコンバータ2は、交流-直流変換を行う。
【0059】
AC-DCコンバータ2は、バッテリBATT0からバッテリBATT3までを放電させる場合、コンデンサ12の直流電圧を出力交流電圧に変換して、負荷8(図3参照)に出力する。つまり、この場合、AC-DCコンバータ2は、直流-交流変換を行う。
【0060】
DC-DCコンバータ3は、コンバータ部3aと、制御部3bと、電圧センサ3c及び3dと、電流センサ3eと、を含む。
【0061】
コンバータ部3aは、DAB(Dual Active Bridge)回路が例示される。コンバータ部3aは、DAB回路に限定されない。コンバータ部3aは、強化絶縁機能を有し、直流-直流変換ができるものであれば良い。例えば、コンバータ部3aは、昇降圧チョッパ回路などであっても良い。
【0062】
コンバータ部3aの一方側(図4中右側)は、コンデンサ12に電気的に接続されている。
【0063】
電圧センサ3cは、コンバータ部3aの一方側の電圧、つまりコンデンサ12の電圧Vdcを検出して、検出信号を制御部3bに出力する。
【0064】
コンバータ部3aの他方側(図4中左側)は、バッテリBATT0に電気的に接続されている。
【0065】
電圧センサ3dは、コンバータ部3aの他方側の電圧、つまりバッテリBATT0の電圧Vを検出して、検出信号を制御部3bに出力する。
【0066】
電流センサ3eは、コンバータ部3aの他方側とバッテリBATT0との間に流れる電流Aを検出して、検出信号を制御部3bに出力する。
【0067】
制御部3bは、電圧Vdc、電圧V及び電流Aに基づいて、コンバータ部3aを制御する。
【0068】
パワーバスPBUSは、高電位側の配線PBUSaと、低電位側の配線PBUSbと、を含む。配線PBUSaは、コンバータ部3aの他方側の高電位側端に電気的に接続されている。配線PBUSbは、スイッチSW3を介して、コンバータ部3aの他方側の低電位側端に電気的に接続されている。
【0069】
制御バスCBUSは、制御部3bに電気的に接続されている。制御バスCBUSは、CAN(Controller Area Network、ISO 11898)が例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0070】
DC-DCコンバータ4は、コンバータ部4aと、制御部4bと、電圧センサ4cと、電流センサ4dと、を含む。
【0071】
コンバータ部4aは、双方向昇降圧チョッパ回路が例示されるが、本開示はこれに限定されない。コンバータ部4aは、直流-直流変換ができるものであれば良い。コンバータ部4aは、強化絶縁が図られている必要はない。
【0072】
コンバータ部4aの一方側(図4中右側)は、パワーバスPBUSに電気的に接続されている。コンバータ部4aの他方側(図4中左側)は、バッテリBATT1に電気的に接続されている。
【0073】
電圧センサ4cは、コンバータ部4aの一方側の電圧V1Bを検出して、検出信号を制御部4bに出力する。
【0074】
電流センサ4dは、コンバータ部4aの一方側とパワーバスPBUSとの間に流れる電流A1Bを検出して、検出信号を制御部4bに出力する。
【0075】
制御部4bは、電圧V1B及び電流A1Bに基づいて、コンバータ部4aを制御する。
【0076】
DC-DCコンバータ5は、コンバータ部5aと、制御部5bと、電圧センサ5cと、電流センサ5dと、を含む。
【0077】
コンバータ部5aは、双方向昇降圧チョッパ回路が例示されるが、本開示はこれに限定されない。コンバータ部5aは、直流-直流変換ができるものであれば良い。コンバータ部5aは、強化絶縁が図られている必要はない。
【0078】
コンバータ部5aの一方側(図4中右側)は、パワーバスPBUSに電気的に接続されている。コンバータ部5aの他方側(図4中左側)は、バッテリBATT2に電気的に接続されている。
【0079】
電圧センサ5cは、コンバータ部5aの一方側の電圧V2Bを検出して、検出信号を制御部5bに出力する。
【0080】
電流センサ5dは、コンバータ部5aの一方側とパワーバスPBUSとの間に流れる電流A2Bを検出して、検出信号を制御部5bに出力する。
【0081】
制御部5bは、電圧V2B及び電流A2Bに基づいて、コンバータ部5aを制御する。
【0082】
DC-DCコンバータ6は、コンバータ部6aと、制御部6bと、電圧センサ6cと、電流センサ6dと、を含む。
【0083】
コンバータ部6aは、双方向昇降圧チョッパ回路が例示されるが、本開示はこれに限定されない。コンバータ部6aは、直流-直流変換ができるものであれば良い。コンバータ部6aは、強化絶縁が図られている必要はない。
【0084】
コンバータ部6aの一方側(図4中右側)は、パワーバスPBUSに電気的に接続されている。コンバータ部6aの他方側(図4中左側)は、バッテリBATT3に電気的に接続されている。
【0085】
電圧センサ6cは、コンバータ部6aの一方側の電圧V3Bを検出して、検出信号を制御部6bに出力する。
【0086】
電流センサ6dは、コンバータ部6aの一方側とパワーバスPBUSとの間に流れる電流A3Bを検出して、検出信号を制御部6bに出力する。
【0087】
制御部6bは、電圧V3B及び電流A3Bに基づいて、コンバータ部6aを制御する。
【0088】
(充電動作)
AC-DCコンバータ2は、例えば定格(例えば、1500W)で、交流電源7(図3参照)から電力を取り込んで、コンデンサ12に出力する。DC-DCコンバータ3は、AC-DCコンバータ2からコンデンサ12に出力される直流電力の一部を用いて、バッテリBATT0を充電する。例えば、DC-DCコンバータ3は、バッテリBATT0の定格電流以下及び定格電圧以下で、バッテリBATT0を充電する。つまり、制御部3bは、コンバータ部3aをCC(定電流)/CV(定電圧)制御する。なお、制御部3bは、CC制御をCV制御よりも優先させても良い。制御部3bは、DC-DCコンバータ3が電流センサ3eを含むことにより、バッテリBATT0の充電電流を適切に制御できる。
【0089】
制御部3bは、残りの電力、つまり、AC-DCコンバータ2の供給電力からバッテリBATT0の充電電力を減じた電力を、DC-DCコンバータ4から6までに分担させる。例えば、バッテリBATT0の定格電力が500Wであるとすると、残りの電力は、1000W(=1500W-500W)となる。
【0090】
例えば、制御部3bは、残りの電力をDC-DCコンバータ4から6までに均等に分担させる場合、残りの電力(1000W)をDC-DCコンバータ4から6までの台数(3台)で除した電力(1000W÷3=333W)を、目標充電電力設定値として、制御バスCBUS経由で制御部4b、5b及び6bに送信する(CP(定電力)制御)。
【0091】
制御部4b、5b及び6bは、目標充電電力設定値(333W)に基づいて、バッテリBATT1からバッテリBATT3までを夫々充電する。つまり、制御部4b、5b及び6bは、コンバータ部4a、5a及び6aを夫々CC/CV制御する。なお、制御部4b、5b及び6bは、CC制御をCV制御よりも優先させても良い。
【0092】
なお、制御部3bは、残りの電力をDC-DCコンバータ4から6までに均等に分担させなくても良い。つまり、制御部3bは、制御部4b、5b及び6b毎に、異なる目標充電電力設定値を送信しても良い。
【0093】
或いは、制御部3bは、バッテリBATT1からバッテリBATT3までに放電、充電、又は充放電停止のいずれかを夫々させるように、制御部4b、5b及び6bに指示しても良い。
【0094】
(放電動作)
[通常の場合]
DC-DCコンバータ3は、バッテリBATT0の定格電流以下で、バッテリBATT0を放電させる。つまり、制御部3bは、コンバータ部3aをCC制御する。制御部3bは、DC-DCコンバータ3が電流センサ3eを含むことにより、バッテリBATT0の放電電流を適切に制御できる。
【0095】
制御部3bは、負荷8の消費電力を、DC-DCコンバータ4から6までにも分担させる。つまり、制御部3bは、バッテリBATT0が放電する電力を抑制するための電力をバッテリBATT1からバッテリBATT3までに放電させる。
【0096】
そのため、制御部3bは、目標AXB電流設定値、目標VXB電圧設定値及びマスター電圧V検出値を、制御バスCBUS経由で制御部4b、5b及び6bに送信する。目標AXB電流設定値は、DC-DCコンバータ4から6までの各々の出力電流の目標電流設定値である。目標VXB電圧設定値は、DC-DCコンバータ4から6までの各々の出力電圧の目標電圧設定値である。マスター電圧V検出値は、電圧センサ3dの検出値、即ち電圧Vである。
【0097】
制御部4bは、電流A1Bが目標AXB電流設定値となるようにコンバータ部4aをCC制御するとともに、電圧V1Bが目標VXB電圧設定値となるようにコンバータ部4aをCV制御し、バッテリBATT1を放電させる。なお、制御部4bは、CC制御をCV制御よりも優先させても良い。制御部4bは、マスター電圧V検出値を、後述する電圧補正動作で使用する。
【0098】
制御部5b及び6bも、制御部4bと同様の制御を行う。
【0099】
なお、制御部3bは、DC-DCコンバータ4から6までを均等に放電させなくても良い。つまり、制御部3bは、制御部4b、5b及び6b毎に、異なる目標AXB電流設定値及び目標VXB電圧設定値を送信しても良い。
【0100】
或いは、制御部3bは、バッテリBATT1からバッテリBATT3までに放電、充電、又は充放電停止のいずれかを夫々させるように、制御部4b、5b及び6bに指示しても良い。
【0101】
[負荷の消費電力が急減した場合]
負荷の消費電力が急減(以下、「負荷急減」と称する)した場合の放電制御の一例について、説明する。
【0102】
(A)負荷急減すると、コンデンサ12の電圧Vdcが上昇する。
(B)電圧Vdcが上昇すると、制御部3bは、バッテリBATT0の放電を抑制するように、コンバータ部3aを制御する。
(C)しかし、制御部4b、5b及び6bがCC制御からCV制御へ移行して放電抑制するまでには、タイムラグがある。そのため、制御部3bは、DC-DCコンバータ4から6までから供給される電力をコンデンサ12に出力するように、コンバータ部3aを制御する。
(D)すると、電圧Vdcが過電圧となるので、制御部3bは、コンバータ部3aを動作停止させる。従って、DC-DCコンバータ4から6までから出力される電力が、意図せず、バッテリBATT0に流れ込んでしまうことになる。このとき、パワーバスPBUSの電圧(電圧V1B、V2B及びV3B)が上昇するので、制御部4b、5b及び6bがCC制御からCV制御へ移行することが、促進される。
(E)その後、制御部4b、5b及び6bのCV制御への移行が完了し、DC-DCコンバータ4から6までの出力が抑制される。
【0103】
上記(D)に記載した通り、DC-DCコンバータ4から6までから出力される電力が、意図せず、バッテリBATT0に流れ込んでしまうことが起こり得る。そこで、充放電システム1では、上記(B)に代えて、次の(B’)の制御を行う。
【0104】
(B’)電圧Vdcが上昇すると、制御部3bは、バッテリBATT0の放電を抑制するに留まらず、電圧Vdcの上昇分による電力を回生させて、バッテリBATT0を仕様範囲内(例えば定格)で充電するように、コンバータ部3aを制御する。このとき、パワーバスPBUSの電圧(電圧V1B、V2B及びV3B)が上昇するので、制御部4b、5b及び6bのCC制御からCV制御への移行が上記(D)よりも更に促進される。
【0105】
なお、コンバータ部3aをシームレス双方向型とすることで、バッテリBATT0の充電からコンデンサ12の充電へ、又は、コンデンサ12の充電からバッテリBATT0の充電へ、とシームレスに移行することも可能である。
【0106】
このように、DC-DCコンバータ3が電圧Vdcの上昇による電力を回生させてバッテリBATT0を充電することにより、DC-DCコンバータ3が制御可能な間(動作停止前)にパワーバスPBUSの電圧を上昇させることができる。これにより、DC-DCコンバータ4から6までがCC制御からCV制御へ移行することを、更に促進することができる。
【0107】
充放電システム1は、図3及び図4に示す構成で、バッテリBATT0からバッテリBATT3までの充放電を適切に行うことができ、負荷急減にも適切に対応できる。これにより、第1及び第2比較例と比較して、DC-DCコンバータの数を削減でき、強化絶縁の数を削減できる。従って、コスト抑制、サイズ抑制、電力変換効率を改善することが可能である。
【0108】
[電圧補正動作]
上記したように、制御部4bは、電流A1Bが目標AXB電流設定値となるようにコンバータ部4aをCC制御するとともに、電圧V1Bが目標VXB電圧設定値となるようにコンバータ部4aをCV制御し、バッテリBATT1を放電させる。但し、以下に説明するように、制御部4bは、電圧センサ4cで検出された電圧V1Bを補正し、補正後の電圧V1B_correctedが目標VXB電圧設定値となるようにコンバータ部4aをCV制御することが好ましい。制御部5b及び6bも同様である。
【0109】
以下、充放電システム1の電圧補正動作について説明する。
【0110】
制御部3bは、制御部4b、5b及び6bにCV制御よりもCC制御を優先させるために、電圧センサ3dで検出された電圧Vに予め定められたオフセットαを加えることにより、目標VXB電圧設定値を算出する。つまり、制御部3bは、目標VXB電圧設定値を(V+α)に設定する。
【0111】
また、制御部3bは、目標VXB電圧設定値を、電圧Vが降下している場合は電圧Vに相対的に高速に追従させ、電圧Vが上昇している場合は電圧Vに相対的に低速に追従させる。電圧Vが上昇している場合の目標VXB電圧設定値の追従の遅れ時間は、後述するフィルタの時定数よりも大きいことが好ましい。これにより、制御部4b、5b及び6bの各々は、負荷急減時に、電圧VXB_correctedが目標VXB電圧設定値よりも高くなるので、CV動作へ移行することが促進される。
【0112】
図5は、実施の形態のDC-DCコンバータの各々で検出される電圧の一例を示す図である。
【0113】
図4及び図5を参照すると、電圧センサ4cで検出されるパワーバスPBUSの電圧V1B(DC-DCコンバータ4の出力電圧)は、DC-DCコンバータ3からDC-DCコンバータ4までの間の配線による電圧降下等に起因する電圧V1busだけ、電圧Vより高い。つまり、次の式(1)が成り立つ。
1B=V+V1bus ・・・(1)
【0114】
同様に、電圧センサ5cで検出されるパワーバスPBUSの電圧V2B(DC-DCコンバータ5の出力電圧)は、DC-DCコンバータ4からDC-DCコンバータ5までの間の配線による電圧降下等に起因する電圧V2busだけ、電圧V1Bより高い。つまり、次の式(2)が成り立つ。
2B=V1B+V2bus ・・・(2)
【0115】
同様に、電圧センサ6cで検出されるパワーバスPBUSの電圧V3B(DC-DCコンバータ6の出力電圧)は、DC-DCコンバータ5からDC-DCコンバータ6までの間の配線による電圧降下等に起因する電圧V3busだけ、電圧V2Bより高い。つまり、次の式(3)が成り立つ。
3B=V2B+V3bus ・・・(3)
【0116】
図5を参照すると、電圧V2B及び電圧V3Bは、目標VXB電圧設定値(V+α)よりも高い。従って、制御部5b及び6bは、CC制御よりもCV制御を優先することになるので、目標AXB電流設定値に従ったCC制御ができなくなってしまう。一方、制御部5b及び6bにCV制御よりもCC制御を優先させるために、目標VXB電圧設定値を更に高く設定する、即ちオフセットαを更に高く設定することとすると、負荷急減時に、CV制御の感度が下がることになる。つまり、制御部5b及び6bは、負荷急減時に、CC制御からCV制御への移行が遅れることになる。これにより、DC-DCコンバータ5及び6からバッテリBATT0へ流入する電流が生じてしまう。つまり、制御部4b、5b及び6bの各々は、電圧Vの変動を相対的且つ正確に取得する必要がある。
【0117】
そこで、実施の形態では、制御部4b、5b及び6bの各々は、自機で検出されたパワーバスPBUSの電圧VXBから、マスター電圧V検出値を減じることにより、補正値VXAを算出する。つまり、制御部4b、5b及び6bの各々は、次の式(4)により、補正値VXAを算出する。
XA=VXB-V ・・・(4)
【0118】
なお、制御部4b、5b及び6bの各々は、電圧VXB及びマスター電圧V検出値に、1sec(秒)程度の時定数のフィルタ処理を実施することが好ましい。つまり、制御部4b、5b及び6bの各々は、次の式(4’)により、フィルタ後の補正値VXA_filteredを算出することが好ましい。
XA_filtered=VXB_filtered-V0_filtered ・・・(4’)
【0119】
これは、負荷急減が発生した際の電圧Vの変動が補正値VXA_filteredに反映されることを遅らせるためである。
【0120】
つまり、制御部4b、5b及び6bの各々は、次の式(5)により、補正後の自機の電圧VXB_correctedを算出する。
XB_corrected
=VXB-VXA_filtered
=VXB-(VXB_filtered-V0_filtered) ・・・(5)
【0121】
補正後の自機の電圧VXB_correctedは、目標VXB電圧設定値よりも、概ねオフセットα分だけ低い。
【0122】
以上を整理すると、制御部4bは、電流A1Bが目標AXB電流設定値となるようにコンバータ部4aをCC制御するとともに、電圧V1B_correctedが目標VXB電圧設定値となるようにコンバータ部4aをCV制御し、バッテリBATT1を放電させる。
【0123】
制御部5b及び6bも、制御部4bと同様の制御を行う。
【0124】
通常の放電時は、VXB_corrected<目標VXB電圧設定値であるので、制御部4b、5b及び6bの各々は、CV制御よりもCC制御を優先して行う。また、負荷急減時は、VXB_correctedが上昇する一方、目標VXB電圧設定値(V+α)が電圧Vに相対的に低速に追従するので、VXB_corrected>目標VXB電圧設定値となる。従って、制御部4b、5b及び6bの各々は、CC制御からCV制御へ速やかに移行するので、CV制御の感度の低下を抑制できる。
【0125】
(効果)
制御部4b、5b及び6bの各々は、通常の放電時は、CC制御を優先して行うとともに、負荷急減時は、CV制御の感度の低下を抑制できる。また、制御部3bと、制御部4b、5b及び6bと、の間に電圧検出用の配線を設ける必要がない。これにより、ハードウェア量を抑制することができる。
【0126】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0127】
1、101、111 充放電システム
2 AC-DCコンバータ
3、4、5、6、102、・・・、105、112、・・・、115 DC-DCコンバータ
3a、4a、5a、6a コンバータ部
3b、4b、5b、6b 制御部
3c、3d、4c、5c、6c 電圧センサ
3e、4d、5d、6d 電流センサ
7 交流電源
8 負荷
11 フィルタ
12 コンデンサ
BATT0、BATT1、BATT2、BATT3 バッテリ
CBUS 制御バス
PBUS パワーバス
SW1、SW2、SW3 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5