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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】配光制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/14 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
B60Q1/14 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021034654
(22)【出願日】2021-03-04
(65)【公開番号】P2022135070
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 桑梓
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-244892(JP,A)
【文献】特表2014-525867(JP,A)
【文献】特開2012-101586(JP,A)
【文献】特開2015-033954(JP,A)
【文献】特開2007-112250(JP,A)
【文献】特開2010-143336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の車両に設けられたレーダ装置の検出結果に基づいて、前記第1の車両の後側方の所定の領域内における第2の車両を検出する第1の検出部と、
前記レーダ装置の検出結果に基づいて、前記所定の領域より後方における前記第2の車両を検出する第2の検出部と、
前記第1の検出部が前記第2の車両を検出した第1のタイミングを基準として、前記第1の車両に設けられたヘッドランプの配光状態を変更する変更タイミングを決定する配光制御部と
を備え
前記配光制御部は、前記第2の検出部が前記第2の車両を検出した第2のタイミングから前記第1のタイミングまでの経過時間に基づいて、前記変更タイミングを決定する
配光制御装置。
【請求項2】
前記配光制御部は、前記経過時間が第1の時間よりも長い場合には、前記第1のタイミングに基づいて前記変更タイミングを決定する
請求項1に記載の配光制御装置。
【請求項3】
前記配光制御部は、前記経過時間が第2の時間よりも短い場合には、前記第1の検出部が前記第2の車両を検出しなくなったタイミングに基づいて前記変更タイミングを決定する
請求項1または請求項2に記載の配光制御装置。
【請求項4】
前記配光制御部は、前記経過時間が第1の時間より短く第2の時間よりも長い場合には、前記第1のタイミングから所定の長さの時間が経過したタイミングおよび前記第1の検出部が前記第2の車両を検出しなくなったタイミングのうちの早いタイミングに基づいて、前記変更タイミングを決定する
請求項1に記載の配光制御装置。
【請求項5】
1または複数のプロセッサと
前記1または複数のプロセッサに通信可能に接続される1または複数のメモリと
を備え、
前記1または複数のプロセッサは、
第1の車両に設けられたレーダ装置の検出結果に基づいて、前記第1の車両の後側方の所定の領域内における第2の車両を検出する第1の検出を行い
前記レーダ装置の検出結果に基づいて、前記所定の領域より後方における前記第2の車両を検出する第2の検出を行い、
前記第1の検出により前記第2の車両が検出された第1のタイミングを基準として、前記第2の検出により前記第2の車両が検出された第2のタイミングから前記第1のタイミングまでの経過時間に基づいて、前記第1の車両に設けられたヘッドランプの配光状態を変更する変更タイミングを決定す
配光制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドランプの配光制御を行う配光制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、他車両に追い越される場合に、ヘッドランプの配光制御を行うものがある。例えば、特許文献1には、レーダを用いて、自車両を基準とした他車両の相対移動ベクトルを算出し、この相対移動ベクトルに基づいて、他車両がヘッドランプの照射範囲に入るまでの時間を算出し、他車両が照射範囲に入った場合に配光制御を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-244892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、配光制御装置では、ヘッドランプの配光制御を行うことが望まれており、ヘッドランプの配光制御を効果的に行うことが期待されている。
【0005】
ヘッドランプの配光制御を効果的に行うことができる配光制御装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施の形態に係る第1の配光制御装置は、第1の検出部と、第2の検出部と、配光制御部とを備えている。第1の検出部は、第1の車両に設けられたレーダ装置の検出結果に基づいて、第1の車両の後側方の所定の領域内における第2の車両を検出するように構成される。第2の検出部は、レーダ装置の検出結果に基づいて、所定の領域より後方における第2の車両を検出するように構成される。配光制御部は、第1の検出部が第2の車両を検出した第1のタイミングを基準として、第1の車両に設けられたヘッドランプの配光状態を変更する変更タイミングを決定するように構成される。上記配光制御部は、第2の検出部が第2の車両を検出した第2のタイミングから第1のタイミングまでの経過時間に基づいて、変更タイミングを決定する。
【0007】
本開示の一実施の形態に係る第2の配光制御装置は、1または複数のプロセッサと、1または複数のメモリとを備えている。1または複数のメモリは、1または複数のプロセッサに通信可能に接続される。上記1または複数のプロセッサは、第1の車両に設けられたレーダ装置の検出結果に基づいて、第1の車両の後側方の所定の領域内における第2の車両を検出する第1の検出を行いレーダ装置の検出結果に基づいて、所定の領域より後方における第2の車両を検出する第2の検出を行い、第1の検出により第2の車両が検出された第1のタイミングを基準として、第2の検出により第2の車両が検出された第2のタイミングから第1のタイミングまでの経過時間に基づいて、第1の車両に設けられたヘッドランプの配光状態を変更する変更タイミングを決定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施の形態に係る第1および第2の配光制御装置によれば、ヘッドランプの配光制御を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施の形態に係る車載システムの一構成例を表すブロック図である。
図2図1に示した車載システムを備えた車両の一構成例を表す説明図である。
図3図1に示した後側方車両検出部および後方車両検出部の検出対象領域を表す説明図である。
図4図1に示したヘッドランプの配光状態の一例を表す説明図である。
図5図1に示したヘッドランプの配光状態の他の一例を表す説明図である。
図6図1に示した配光制御装置の一動作例を表すタイミング図である。
図7図1に示した配光制御装置の他の動作例を表すタイミング図である。
図8図1に示した配光制御装置の他の動作例を表すタイミング図である。
図9図1に示した配光制御装置の他の動作例を表すタイミング図である。
図10図1に示した配光制御部の一動作例を表すフローチャートである。
図11】参考例に係るヘッドランプの配光状態の一例を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る配光制御装置を備えた車載システム1の一構成例を表すものである。車載システム1は、ステレオカメラ11と、レーダ装置12と、ヘッドランプ13と、処理部20とを備えている。車載システム1は、自動車等の車両10に搭載される。
【0012】
ステレオカメラ11は、車両10の前方を撮像することにより、互いに視差を有する一組の画像(左画像PLおよび右画像PR)を生成するように構成される。ステレオカメラ11は、左カメラ11Lと、右カメラ11Rとを有する。左カメラ11Lおよび右カメラ11Rのそれぞれは、レンズとイメージセンサとを含んでいる。
【0013】
図2は、車両10におけるステレオカメラ11の配置例を表すものである。左カメラ11Lおよび右カメラ11Rは、この例では、車両10の車両内において、車両10のフロントガラス9の上部近傍に、車両10の幅方向に所定距離だけ離間して配置される。左カメラ11Lは左画像PLを生成し、右カメラ11Rは右画像PRを生成する。左画像PLおよび右画像PRは、ステレオ画像PICを構成する。ステレオカメラ11は、所定のフレームレート(例えば60[fps])で撮像動作を行うことにより、一連のステレオ画像PICを生成し、生成したステレオ画像PICを処理部20に供給するようになっている。
【0014】
レーダ装置12(図1)は、車両10の周囲に例えばミリ波などの電波を照射し、対象物からの反射電波を検出することにより、車両10の周囲の車両などの対象物を検出するように構成される。そして、レーダ装置12は、車両10を基準としたその対象物の相対位置を示す位置データPOSを処理部20に供給するようになっている。
【0015】
ヘッドランプ13は、例えば発光ダイオードなどの光源を有し、車両10の前方に光を照射するように構成される。ヘッドランプ13は、左ヘッドランプ13Lと、右ヘッドランプ13Rとを有する。図2に示したように、左ヘッドランプ13Lは車両10の左前部に設けられ、右ヘッドランプ13Rは車両10の右前部に設けられる。ヘッドランプ13は、光の照射方向を変更することができるように構成される。具体的には、ヘッドランプ13は、例えばドライバの操作や図示しないECU(Electronic Control Unit)からの指示に基づいて、いわゆるハイビームまたはロービームを用いて光を照射することができる。ハイビームでは、ヘッドランプ13は、車両10の前方の遠方に光を照射する。ロービームでは、ヘッドランプ13は、ハイビームに比べて光の照射方向を下げることにより、車両10の前方のより車両10に近い部分に光を照射するようになっている。このヘッドランプ13は、配光可変型(ADB:Adaptive Driving Beam)のヘッドランプである。具体的には、左ヘッドランプ13Lおよび右ヘッドランプ13Rのそれぞれは、例えば、後述するように、ハイビームを用いて光を照射している場合において、他車両である車両90により追い越される場合に、その車両90に光を照射しないように光の照射を部分的に制御することができるようになっている。これにより、車両10では、その車両90のドライバがグレアを感じにくくすることができるようになっている。
【0016】
処理部20は、ステレオカメラ11から供給されたステレオ画像PIC、およびレーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、様々な処理を行うように構成される。処理部20は、例えば、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、処理データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)などにより構成される。処理部20は、車外環境検出部21と、配光制御部24とを有している。
【0017】
車外環境検出部21は、ステレオカメラ11から供給されたステレオ画像PIC、およびレーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、車両10の周囲の環境を検出するように構成される。車両10では、車外環境検出部21が検出した環境についての情報に基づいて、例えば、車両10の走行制御を行い、あるいは、検出した環境についての情報をコンソールモニタに表示することができるようになっている。車外環境検出部21は、後側方車両検出部22と、後方車両検出部23とを有している。
【0018】
後側方車両検出部22は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、車両10の左右の後側方における検出対象領域RAに車両が走行しているかどうかを検出する後側方検出DAを行うように構成される。
【0019】
後方車両検出部23は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、車両10の左右の後方における検出対象領域RBに車両が走行しているかどうかを検出する後方検出DBを行うように構成される。
【0020】
図3は、後側方検出DAの検出対象領域RA、および後方検出DBの検出対象領域RBの一例を表すものである。この例では、車両10は3車線の走行路100における中央のレーンを走行している。
【0021】
後側方検出DAの検出対象領域RAは、2つの検出対象領域RAL,RARを含んでいる。検出対象領域RALは車両10の左側の後方に位置する。車両10の車長方向における検出対象領域RALの先端は、車両10の左側方に位置する。検出対象領域RARは、車両10の右側の後方に位置する。車両10の走行方向における検出対象領域RARの先端は、車両10の左側方に位置する。この例では、車両10の車幅方向における、検出対象領域RAL,RARの幅(図3における横方向の幅)は、例えば走行レーンの幅と同程度であり、車両10の車長方向における、検出対象領域RAL,RARの長さ(図3における縦方向の長さ)は、例えば10メートル程度である。このように、検出対象領域RAL,RARは、固定された所定の領域である。後側方車両検出部22は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RAL,RARに車両が走行しているかどうかを検出する。
【0022】
車両10は、この後側方検出DAの結果に基づいて、いわゆるBSD(Blind Spot Detection)処理を行うことができる。すなわち、この検出対象領域RAL,RARは、車両10のいわゆる死角に対応する領域である。車両10は、この後側方検出DAの結果に基づいて、車両10のドライバに、検出対象領域RAにおいて車両が走行している旨を通知する。これにより、車両10は、車両10の死角を走行している車両と衝突することを避けることができるようになっている。
【0023】
後方検出DBの検出対象領域RBは、2つの検出対象領域RBL,RBRを含んでいる。検出対象領域RBLは車両10の左側の後方において、検出対象領域RALよりも後方に位置する。この例では、検出対象領域RBLの一部は、検出対象領域RALの一部と重なっている。検出対象領域RBRは車両10の右側の後方において、検出対象領域RARよりも後方に位置する。この例では、検出対象領域RBRの一部は、検出対象領域RARの一部と重なっている。この例では、車両10の車幅方向における、検出対象領域RBL,RBRの幅(図3における横方向の幅)は、例えば走行レーンの幅と同程度である。車両10の車長方向における、検出対象領域RBL,RBRの長さ(図3における縦方向の長さ)は、可変である。具体的には、例えば、車両90が車両10の後方を走行している場合において、後方車両検出部23は、車両10の走行方向における車両90の位置が、車両10の位置に到達するであろう時間(到達時間)を算出する。そして、後方車両検出部23は、その到達時間が所定時間(例えば4秒)である場合に、その車両90が検出対象領域RBに入ったと判断する。車両10の走行方向における検出対象領域RBL,RBRの最終端の位置は、このように、車両90が所定時間(例えば4秒)後に車両10の位置に到達するような車両90の位置である。よって、例えば、車両90の速度SP90と車両10の速度SP10との速度差ΔSP(=SP90-SP10)が大きいほど、検出対象領域RBL,RBRの長さは長くなり、速度差ΔSPが小さいほど、検出対象領域RBL,RBRの長さは短くなる。このように、検出対象領域RBL,RBRは、可変の領域である。後方車両検出部23は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RBL,RBRに車両が走行しているかどうかを検出する。
【0024】
車両10は、この後方検出DBの結果に基づいて、いわゆるLCA(Lane Change Assist)処理を行うことができる。車両10は、この後方検出DBの結果に基づいて、車両10のドライバに、検出対象領域RBにおいて車両が走行している旨を通知する。これにより、車両10は、例えば車両10のドライバが走行レーンを変更しようとしている場合において、車両10の後方を走行している車両と衝突することを避けることができるようになっている。
【0025】
配光制御部24(図1)は、後側方検出DAおよび後方検出DBの結果に基づいて、ヘッドランプ13の配光を制御するように構成される。後側方車両検出部22、後方車両検出部23、および配光制御部24は、配光制御装置25を構成する。
【0026】
図4,5は、ヘッドランプ13の配光状態の一例を表すものであり、図4は、配光状態SAの一例を示し、図5は、配光状態SBを示す。この例では、車両10は2車線の走行路101における左側のレーンを走行している。図4では、車両10の周辺に、他の車両は走行しておらず、車両90は、車両10の後方において、車両10から離れて、車両10と同じ方向に走行している。図5では、車両90が、車両10を追い越している。図4,5において、網掛部は、ヘッドランプ13の照射範囲を示している。領域RCは、ステレオカメラ11の画角を示している。
【0027】
配光制御部24は、ヘッドランプ13がハイビームを用いて光を照射している場合において、車両90により追い越される場合に、ヘッドランプ13の配光状態Sを、配光状態SA(図4)から、配光状態SB(図5)に変化させる配光制御を行う。配光状態SBでは、車両90にハイビームを照射しないように、光の照射が部分的に制御される。配光制御部24は、後側方検出DAの検出タイミングを基準として、ヘッドランプ13の配光状態Sを配光状態SAから配光状態SBに変化させるタイミングを決定し、決定したタイミングにおいて、ヘッドランプ13の配光状態Sを変更するように制御する。これにより、車両10では、その車両90のドライバがグレアを感じにくくすることができるようになっている。
【0028】
また、配光制御部24は、後側方検出DAにおいて車両90が検出され続けた時間の長さ(時間Ton)に基づいて、配光状態Sを配光状態SBに維持する時間の長さ(時間T)を決定することにより、ヘッドランプ13の配光状態Sを配光状態SBから配光状態SAに戻すタイミングを決定する。この例では、配光制御部24は、ステレオ画像PICのフレーム数をカウントすることにより、時間を計測する。配光制御部24は、配光状態Sを配光状態SAから配光状態SBに変化させたタイミングでカウント動作を開始し、そのカウント値に基づいて、決定したタイミングにおいてヘッドランプ13の配光状態Sを配光状態SBから配光状態SAに戻すようになっている。
【0029】
ここで、後側方車両検出部22は、本開示における「第1の検出部」の一具体例に対応する。後方車両検出部23は、本開示における「第2の検出部」の一具体例に対応する。配光制御部24は、本開示における「配光制御部」の一具体例に対応する。車両10は、本開示における「第1の車両」の一具体例に対応する。車両90は、本開示における「第2の車両」の一具体例に対応する。レーダ装置12は、本開示における「レーダ装置」の一具体例に対応する。ヘッドランプ13は、本開示における「ヘッドランプ」の一具体例に対応する。
【0030】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の車載システム1の動作および作用について説明する。
【0031】
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、ステレオカメラ11は、車両10の前方を撮像することにより、ステレオ画像PICを生成し、生成したステレオ画像PICを処理部20に供給する。レーダ装置12は、車両10の周囲に電波を照射し、対象物からの反射電波を検出することにより、車両10の周囲の対象物を検出する。そして、レーダ装置12は、その対象物の自車両から見た相対位置を示す位置データPOSを処理部20に供給する。処理部20の車外環境検出部21は、ステレオカメラ11から供給されたステレオ画像PIC、およびレーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、車両10の周囲の環境を検出する。後側方車両検出部22は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、車両10の左右の後側方における検出対象領域RAに車両が走行しているかどうかを検出する後側方検出DAを行う。後方車両検出部23は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、車両10の左右後方における検出対象領域RBに車両が走行しているかどうかを検出する後方検出DBを行う。配光制御部24は、後側方検出DAおよび後方検出DBの結果に基づいて、ヘッドランプ13の配光を制御する。ヘッドランプ13は、車両10の前方に光を照射する。左ヘッドランプ13Lおよび右ヘッドランプ13Rのそれぞれは、ハイビームを用いて光を照射している場合において、配光制御部24からの指示に基づいて、配光を変更する。
【0032】
(詳細動作)
配光制御部24は、ヘッドランプ13がハイビームを用いて光を照射している場合において、車両90により追い越される場合に、ヘッドランプ13の配光状態Sを、配光状態SA(図4)から、その車両90にハイビームを照射しないような配光状態SB(図5)に変化させる。以下に、配光制御装置25の動作について、いくつか例を挙げて詳細に説明する。
【0033】
(ケースC1)
図6は、車両90の速度SP90と車両10の速度SP10との速度差ΔSP(=SP90-SP10)が大きい場合における配光制御装置25の一動作例を表すものであり、(A)は後方車両検出部23による後方検出DBの結果を示し、(B)は後側方車両検出部22による後側方検出DAの結果を示し、(C)はヘッドランプ13の配光状態Sを示し、(D)は配光制御部24におけるカウント動作を示す。図6(A)において、“オン”は、後方車両検出部23が検出対象領域RBにおいて車両90を検出したことを示す。図6(B)において、“オン”は、後側方車両検出部22が検出対象領域RAにおいて車両90を検出したことを示す。
【0034】
タイミングt11以前において、車両90は、車両10の後方を走行している。配光制御部24は、ヘッドランプ13の配光状態Sを配光状態SA(図4)に設定している。車両90の速度SP90は、車両10の速度SP10より速いので、時間の経過に応じて、車両10と車両90との間の距離は短くなる。
【0035】
タイミングt11において、後方車両検出部23は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RB(この例では検出対象領域RBR)における車両90を検出する(図6(A))。その後も、時間の経過に応じて、車両10と車両90との間の距離は短くなる。そして、車両90は、検出対象領域RA(この例では検出対象領域RAR)に近づく。
【0036】
そして、タイミングt11から、所定の時間T1より長い時間が経過したタイミングt12において、後側方車両検出部22は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RARにおける車両90を検出する(図6(B))。ここで、所定の時間T1は、例えば、30フレーム分の時間にすることができる。
【0037】
このように、後方検出DBがオンになってから、後側方検出DAがオンになるまでの時間ΔTが所定の時間T1より長い場合(ΔT>T1)には、配光制御部24は、後側方検出DAがオンになったタイミングt12において、配光状態Sを配光状態SA(図4)から配光状態SB(図5)に変化させる(図6(C))。配光状態SB(図5)では、配光状態SA(図4)に比べて、ヘッドランプ13の照射範囲が制限される。この例では、車両90は、車両10の右側の後方を走行しているので、照射範囲の右側が欠けるように、照射範囲が制限される。
【0038】
そして、このタイミングt12において、配光制御部24は、ステレオ画像PICのフレーム数をカウントすることによりカウント動作を開始する(図6(D))。これにより、カウント値は、時間の経過に応じて増加する。
【0039】
そして、タイミングt13において、後方車両検出部23は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RBRに車両90がいなくなったことを検出する(図6(A))。すなわち、車両90は、検出対象領域RBRを通り抜け、検出対象領域RBRより前方を走行するので、後方車両検出部23は、検出対象領域RBRに車両90がいなくなったことを検出する。
【0040】
そして、タイミングt14において、後側方車両検出部22は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RARに車両90がいなくなったことを検出する(図6(B))。すなわち、車両90は、検出対象領域RARを通り抜け、検出対象領域RARより前方を走行するので、後側方車両検出部22は、検出対象領域RARに車両90がいなくなったことを検出する。配光制御部24は、後側方検出DAがオンであるタイミングt12~t14の期間の長さ(時間Ton)を計測する。
【0041】
車両90は、車両10の右前方に向かって走行を続ける。このとき、配光状態SBでは、図5に示したように、ヘッドランプ13の照射範囲の右側が欠けるように、照射範囲が制限される。これにより、車両90のドライバが、例えば車両90のドアミラーで反射した光によりグレアを感じる可能性を低くすることができる。その後、車両90は、引き続き車両10の速度SP10よりも速い速度SP90で走行し、車両90は車両10から離れていく。
【0042】
そして、配光制御部24は、カウント動作におけるカウント値に基づいて、タイミングt12から、時間TonのN倍の時間T(=Ton×N)が経過したタイミングt15において、配光状態Sを配光状態SB(図5)から配光状態SA(図4)に戻す(図6(C))。ここで、“N”は、例えば“5”にすることができる。すなわち、このタイミングt15では、車両90は、車両10から十分に離れているので、配光制御部24は、配光状態Sを配光状態SBから配光状態SAに戻す。
【0043】
(ケースC2)
図7,8は、車両90の速度SP90と車両10の速度SP10との速度差ΔSPが中程度である場合における配光制御装置25の一動作例を表すものである。タイミングt21,t31以前において、車両90は、車両10の後方を走行している。そして、車両90は、検出対象領域RBRに近づく。
【0044】
タイミングt21,t31において、後方車両検出部23は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RBRにおける車両90を検出する(図7(A),8(A))。その後も、時間の経過に応じて、車両10と車両90との間の距離は短くなる。
【0045】
そして、タイミングt21,t31から、所定の時間T2より長く所定の時間T1より短い時間が経過したタイミングt22,t32において、後側方車両検出部22は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RARにおける車両90を検出する(図7(B),8(B))。ここで、所定の時間T2は、例えば、20フレーム分の時間にすることができる。
【0046】
また、タイミングt24,t34において、後方車両検出部23は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RBRに車両90がいなくなったことを検出する(図7(A),8(A))。そして、タイミングt25,t35において、後側方車両検出部22は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RARに車両90がいなくなったことを検出する(図7(B),8(B))。配光制御部24は、後側方検出DAがオンである期間の長さ(時間Ton)を計測する。
【0047】
このように、後方検出DBがオンになってから、後側方検出DAがオンになるまでの時間ΔTが所定の時間T2より長く所定の時間T1より短い場合(T2<ΔT<T1)には、配光制御部24は、後側方検出DAがオンになったタイミングt22,t32から、所定の時間T3(例えば20フレーム分の時間)が経過したタイミングt23(図7)、および後側方検出DAがオフになったタイミングt35(図8)のうちのいずれか早いタイミングにおいて、配光状態Sを配光状態SA(図4)から配光状態SB(図5)に変化させる(図7(C),8(C))。配光状態SB(図5)では、配光状態SA(図4)に比べて、ヘッドランプ13の照射範囲が制限される。
【0048】
そして、このタイミングt23,t35において、配光制御部24は、ステレオ画像PICのフレーム数をカウントすることによりカウント動作を開始する(図7(D),8(D))。これにより、カウント値は、時間の経過に応じて増加する。
【0049】
車両90は、車両10の右側方から右前に向かって走行を続ける。このとき、配光状態SBでは、図5に示したように、ヘッドランプ13の照射範囲の右側が欠けるように、照射範囲が制限される。これにより、車両90のドライバが、例えば車両90のドアミラーで反射した光によりグレアを感じる可能性を低くすることができる。
【0050】
そして、配光制御部24は、カウント動作におけるカウント値に基づいて、タイミングt23,t35から、時間TonのN倍の時間T(=Ton×N)が経過したタイミングt15において、配光状態Sを配光状態SB(図5)から配光状態SA(図4)に戻す(図7(C),8(D))。ここで、“N”は、例えば“5”にすることができる。
【0051】
(ケースC3)
図9は、車両90の速度SP90と車両10の速度SP10との速度差ΔSPが小さい場合における配光制御装置25の一動作例を表すものである。タイミングt41以前において、車両90は、車両10の後方を走行している。そして、車両90は、検出対象領域RBRに近づく。
【0052】
タイミングt41において、後方車両検出部23は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RBRにおける車両90を検出する(図9(A))。その後も、時間の経過に応じて、車両10と車両90との間の距離は短くなる。
【0053】
そして、タイミングt41から、所定の時間T2より短い時間が経過したタイミングt42において、後側方車両検出部22は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RARにおける車両90を検出する(図9(B))。
【0054】
また、タイミングt43において、後方車両検出部23は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RBRに車両90がいなくなったことを検出する(図9(A))。そして、タイミングt44において、後側方車両検出部22は、レーダ装置12から供給された位置データPOSに基づいて、検出対象領域RARに車両90がいなくなったことを検出する(図9(B))。配光制御部24は、後側方検出DAがオンである期間の長さ(時間Ton)を計測する。
【0055】
このように、後方検出DBがオンになってから、後側方検出DAがオンになるまでの時間ΔTが時間T2より短い場合(ΔT<T2)には、配光制御部24は、後側方検出DAがオフになったタイミングt44において、配光状態Sを配光状態SA(図4)から配光状態SB(図5)に変化させる(図9(C))。配光状態SB(図5)では、配光状態SA(図4)に比べて、ヘッドランプ13の照射範囲が制限される。
【0056】
そして、このタイミングt44において、配光制御部24は、ステレオ画像PICのフレーム数をカウントすることによりカウント動作を開始する(図9(D))。これにより、カウント値は、時間の経過に応じて増加する。
【0057】
車両90は、車両10の右側方から右前に向かって走行を続ける。このとき、配光状態SBでは、図5に示したように、ヘッドランプ13の照射範囲の右側が欠けるように、照射範囲が制限される。これにより、車両90のドライバが、例えば車両90のドアミラーで反射した光によりグレアを感じる可能性を低くすることができる。
【0058】
そして、配光制御部24は、カウント動作におけるカウント値に基づいて、タイミングt44から、時間TonのN倍の時間T(=Ton×N)が経過したタイミングt45において、配光状態Sを配光状態SB(図5)から配光状態SA(図4)に戻す(図9(C))。ここで、“N”は、例えば“5”にすることができる。
【0059】
以上では、車両90の速度SP90と車両10の速度SP10との速度差ΔSPに応じた3つのケースC1~C3を想定した。このように、この例では、速度差ΔSPに着目したが、例えば、カーブなどの道路形状によっても後側方検出DAや後側方検出DAの結果は変化し得る。この場合でも、ケースC1~C3のような動作を行う。
【0060】
このようにして、配光制御部24は、後側方検出DAの検出タイミングを基準として、配光状態Sを配光状態SA(図4)から配光状態SB(図5)に変化させるタイミングを決定する。ケースC1~C3に示したように、配光制御部24は、後方検出DBがオンになってから、後側方検出DAがオンになるまでの時間ΔTの長さに応じて、配光状態Sを配光状態SA(図4)から配光状態SB(図5)に変化させるタイミングを調節する。配光制御部24は、配光状態Sを配光状態SA(図4)から配光状態SB(図5)に変化させるタイミングは、後側方検出DAがオンになったタイミングから、後側方検出DAがオフになったタイミングまでのタイミング範囲内で調節する。
【0061】
ここで、時間ΔTは、本開示における「経過時間」の一具体例に対応する。所定の時間T1は、本開示における「第1の時間」の一具体例に対応する。所定の時間T2は、本開示における「第2の時間」の一具体例に対応する。
【0062】
(配光制御部24の動作)
図10は、配光制御部24の一動作例を表すものである。
【0063】
まず、配光制御部24は、後方車両検出部23による後方検出DBがオンであるかどうかを確認する(ステップS101)。後方検出DBがオフである場合(ステップS101において“N”)には、後方検出DBがオンになるまで、このステップS101の処理を繰り返す。
【0064】
ステップS101において、後方検出DBがオンである場合(ステップS101において“Y”)には、配光制御部24は、後側方車両検出部22による後側方検出DAがオンであるかどうかを確認する(ステップS102)。後側方検出DAがオフである場合(ステップS102において“N”)には、後側方検出DAがオンになるまで、このステップS102の処理を繰り返す。
【0065】
ステップS102において、後側方検出DAがオンである場合(ステップS102において“Y”)には、配光制御部24は、後方検出DBがオンになってから、後側方検出DAがオンになるまでの時間ΔTが所定の時間T2より短い(ΔT<T2)かどうかを確認する(ステップS103)。時間ΔTが所定の時間T2より短い場合(ステップS103において“Y”)には、配光制御部24は、後側方検出DAはオフであるかどうかを確認する(ステップS104)。後側方検出DAがまだオンである場合(ステップS104において“N”)には、後側方検出DAがオフになるまで、このステップS104の処理を繰り返す。後側方検出DAがオフになった場合(ステップS104において“Y”)には、配光制御部24は、配光状態Sを配光状態SAから配光状態SBに変化させる(ステップS108)。すなわち、時間ΔTが所定の時間T2より短い場合には、配光制御部24は、後側方検出DAがオフになった時に、配光状態Sを配光状態SAから配光状態SBに変化させる。この動作は、ケースC3(図9)に対応する。そして、ステップS109において配光状態Sを変化させてから時間T(=Ton×N)が経過した後に、配光状態Sを配光状態SAに戻す(ステップS109)。
【0066】
ステップS103において、時間ΔTが所定の時間T2より短くない場合(ステップS103において“N”)には、配光制御部24は、時間ΔTが所定の時間T2より長く所定の時間T1より短い(T2<ΔT<T1)かどうかを確認する(ステップS105)。時間ΔTが所定の時間T2より長く所定の時間T1より短い場合(ステップS105において“Y”)には、配光制御部24は、後側方検出DAはオフであるかどうかを確認する(ステップS106)。後側方検出DAがまだオンである場合(ステップS106において“N”)には、配光制御部24は、後側方検出DAがオンになってから所定の時間T3が経過したかどうかを確認する(ステップS107)。まだ所定の時間T3が経過していない場合(ステップS107において“N”)には、ステップS106の処理に戻る。後側方検出DAがオンである場合(ステップS106において“Y”)、または所定の時間T3が経過した場合(ステップS107において“Y”)には、配光制御部24は、配光状態Sを配光状態SAから配光状態SBに変化させる(ステップS108)。すなわち、時間ΔTが所定の時間T2より長く所定の時間T1より短い場合には、配光制御部24は、後側方検出DAがオンになってから所定の時間T3が経過したタイミング、および後側方検出DAがオフになったタイミングのうちの早いタイミングにおいて、配光状態Sを配光状態SAから配光状態SBに変化させる。この動作は、ケースC2(図7,8)に対応する。そして、ステップS109において配光状態Sを変化させてから時間T(=Ton×N)が経過した後に、配光状態Sを配光状態SAに戻す(ステップS109)。
【0067】
ステップS105において、時間ΔTが所定の時間T2より長く所定の時間T1より短い条件を満たさない場合(ステップS105において“N”)には、時間ΔTは所定の時間T1より長い(ΔT>T1)ので、配光制御部24は、配光状態Sを配光状態SAから配光状態SBに変化させる(ステップS108)。すなわち、時間ΔTが所定の時間T1より長い場合には、配光制御部24は、後側方検出DAがオンになった時に、配光状態Sを配光状態SAから配光状態SBに変化させる。この動作は、ケースC1(図6)に対応する。そして、ステップS109において配光状態Sを変化させてから時間T(=Ton×N)が経過した後に、配光状態Sを配光状態SAに戻す(ステップS109)。
【0068】
以上で、この処理は終了する。
【0069】
このように、配光制御装置25では、車両10に設けられたレーダ装置12の検出結果に基づいて、車両10の後側方の所定の検出対象領域RA内における車両90を検出する後側方車両検出部22と、後側方車両検出部22が車両90を検出した第1のタイミング(例えばタイミングt12,t22,t32,t42)を基準として、車両10に設けられたヘッドランプ13の配光状態Sを変更する変更タイミング(例えばタイミングt12,t23,t35,t44)を決定する配光制御部24とを備えるようにした。これにより、配光制御装置25では、ヘッドランプの配光制御を効果的に行うことができる。
【0070】
すなわち、例えば、処理部20が、ステレオカメラ11の撮像結果に基づいて、車両10を追い越す車両90を検出した場合に、ヘッドランプ13の配光状態Sを配光状態SA(図4)から配光状態SB(図5)に変化させる方法もあり得る。夜間では、例えば、処理部20は、車両90のテールランプを検出することにより、車両90を検出することができる。しかしながら、この場合には、図11に示すように、車両90が車両10の斜め前方を走行している場合でも、車両90のテールランプがステレオカメラ11の画角に対応する範囲に入っていない場合には、処理部20は車両90を検出できない。よって、配光状態Sは配光状態SAに維持されるため、車両90のドライバが、例えば車両90のドアミラーで反射した光によりグレアを感じる可能性がある。
【0071】
一方、配光制御装置25では、レーダ装置12の検出結果に基づいて、車両10の後側方の所定の検出対象領域RA内における車両90を検出し、車両90を検出した第1のタイミングを基準として、ヘッドランプ13の配光状態Sを変更する変更タイミングを決定するようにした。これにより、図4,5に示したように、車両90が所定の検出対象領域RAに入ったタイミングを基準として、ヘッドランプ13の配光状態Sを変更する変更タイミングを決定するので、車両90が車両10の斜め前方を走行している場合には、配光状態Sを配光状態SBにすることができる。これにより、車両10では、その車両90のドライバがグレアを感じにくくすることができるので、ヘッドランプの配光制御を効果的に行うことができる。
【0072】
また、配光制御装置25では、レーダ装置12の検出結果に基づいて、検出対象領域RAより後方における車両を検出する後方車両検出部23をさらに備えるようにした。そして、配光制御部24は、この後方車両検出部23が車両90を検出した第2のタイミング(例えばタイミングt11,t21,t31,t41)から第1のタイミングまでの時間ΔTに基づいて、ヘッドランプ13の配光状態Sを変更する変更タイミングを決定するようにした。これにより、例えば、カーブなどの道路形状や、車両90の速度SP90と車両10の速度SP10との速度差ΔSPに応じて、配光状態Sを変更する変更タイミングを調節することができる。
【0073】
具体的には、例えば、配光制御装置25は、時間ΔTが所定の時間T1よりも長い場合には、ケースC1(図6)に示したように、後側方車両検出部22が車両90を検出した第1のタイミング(タイミングt12)に基づいて、変更タイミングを決定することができる。すなわち、車両90の速度SP90と車両10の速度SP10との速度差ΔSPが大きい場合には、早いタイミングで、配光状態Sを配光状態SBに変更することができる。これにより、車両10は、車両10を素早く追い越していく車両90のドライバがグレアを感じにくくすることができる。
【0074】
また、例えば、配光制御装置25は、時間ΔTが所定の時間T2よりも短い場合には、ケースC3(図9)に示したように、後側方車両検出部22が車両90を検出しなくなったタイミングに基づいて、変更タイミングを決定することができる。すなわち、車両90の速度SP90と車両10の速度SP10との速度差ΔSPが小さい場合には、遅いタイミングで、配光状態Sを配光状態SBに変更することができる。これにより、車両10は、車両10をゆっくりと追い越していく車両90のドライバがグレアを感じにくくすることができる。
【0075】
この例では、図6~9に示したように、配光状態Sを変更する変更タイミングを、後側方車両検出部22が車両90を検出したタイミングから、後側方車両検出部22が車両90を検出しなくなったタイミングまでのタイミング範囲内で調節することができる。
【0076】
このように、配光制御装置25では、車両90の速度SP90と車両10の速度SP10との速度差ΔSPに応じて、配光状態Sを変更する変更タイミングを調節することができるので、ヘッドランプの配光制御を効果的に行うことができる。
【0077】
[効果]
以上のように本実施の形態では、車両に設けられたレーダ装置の検出結果に基づいて、車両の後側方の所定の領域内における車両を検出する後側方車両検出部と、後側方車両検出部が車両を検出した第1のタイミングを基準として、車両に設けられたヘッドランプの配光状態を変更する変更タイミングを決定する配光制御部とを備えるようにしたので、ヘッドランプの配光制御を効果的に行うことができる。
【0078】
本実施の形態では、レーダ装置の検出結果に基づいて、領域より後方における車両を検出する後方車両検出部をさらに備えるようにした。そして、この後方車両検出部が車両を検出した第2のタイミングから第1のタイミングまでの時間に基づいて、ヘッドランプの配光状態を変更する変更タイミングを決定するようにした。これにより、ヘッドランプの配光制御を効果的に行うことができる。
【0079】
以上、実施の形態を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0080】
例えば、上記実施の形態では、配光制御部24は、ステレオ画像PICのフレーム数を用いて、時間を計測したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、任意の周波数を有するクロック信号に基づいて時間を計測することができる。
【0081】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…車載システム、9…フロントガラス、10…車両、11…ステレオカメラ、11L…左カメラ、11R…右カメラ、12…レーダ装置、13…ヘッドランプ、13L…左ヘッドランプ、13R…右ヘッドランプ、20…処理部、21…車外環境検出部、22…後側方車両検出部、23…後方車両検出部、24…配光制御部、DA…後側方検出、DB…後方検出、PIC…ステレオ画像、PL…左画像、POS…位置データ、PR…右画像、RA,RAL,RAR,RB,RBL,RBR…検出対象領域、S,SA,SB…配光状態。
図1
図2
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図7
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図10
図11