(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】電子体温計及び体温計システム
(51)【国際特許分類】
G01K 13/20 20210101AFI20241211BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G01K13/20 361D
A61B5/01 150
G01K13/20 341G
G01K13/20 361P
(21)【出願番号】P 2021120055
(22)【出願日】2021-07-20
【審査請求日】2024-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】230128026
【氏名又は名称】駒木 寛隆
(72)【発明者】
【氏名】萩野 喜晴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達彦
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-501386(JP,A)
【文献】特開2008-194323(JP,A)
【文献】実開昭58-187742(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105640511(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 13/20
A61B 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子体温計であって、
エンドキャップの温度を計測する温度計測部と、
前記温度計測部で計測された前記エンドキャップの温度に基づいて被測定者の体温の測定値を取得し、前記体温の測定値とユーザが所望とする値に予め設定された閾値とを比較し、前記比較の結果を示して前記体温の測定値を表示部に表示させる、制御部と、
外部の情報処理装置と無線通信することが可能な通信部と、
前記電子体温計の各構成要素を動作させるための電力を蓄えるバッテリと、
電力源から電力の供給を受けて当該電力を前記バッテリに蓄えさせる受電部と、
を備え
、
前記制御部は、
前記外部の電力源から前記受電部に対して電力が供給されている状態と電力が供給されていない状態とが、予め定められた時間内に予め定められた回数交互に切り替えられる操作が行われたことに応じて、前記通信部を前記情報処理装置との間で通信を確立することが可能な状態に移行させ、
前記通信部を介して前記情報処理装置から受信した値を前記ユーザが所望とする値として前記閾値に設定する、
電子体温計。
【請求項2】
前記受電部は、前記電子体温計が充電台に収容された場合に、前記充電台が電力を出力するための出力端子と接触するように設けられた接続端子を備え、
前記制御部は、前記予め定められた操作として、前記接続端子が前記充電台の前記出力端子に接触している状態と接触していない状態とが、前記予め定められた時間内に前記予め定められた回数交互に切り替えられる操作が行われたことに応じて、前記通信部を前記情報処理装置との間で通信を確立することが可能な状態に移行させる、
請求項
1に記載の電子体温計。
【請求項3】
前記電子体温計の内部構造を収容する筐体を更に備え、
前記筐体は、前記電子体温計が前記充電台に収容されている状態において一部が押下された場合に、前記充電台の出力端子と前記接続端子との接触が切り離されるような形状を有する、
請求項
2に記載の電子体温計。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信部が前記情報処理装置との間で通信を確立することが可能な状態にある場合にその旨を前記表示部に表示させる、請求項
1から
3のいずれか一項に記載の電子体温計。
【請求項5】
前記制御部は、表示色により前記比較の結果を示して前記体温の測定値を前記表示部に表示させる、請求項1から
4のいずれか一項に記載の電子体温計。
【請求項6】
電子体温計と、前記電子体温計を収容可能な充電台と、を含む体温計システムであって、
前記充電台は、前記電子体温計へ電力を出力するための出力端子を備え、
前記電子体温計は、
エンドキャップの温度を計測する温度計測部と、
外部の情報処理装置と通信することが可能な通信部と、
前記温度計測部で計測された前記エンドキャップの温度に基づいて被測定者の体温の測定値を取得し、前記体温の測定値と、前記情報処理装置によりユーザが所望とする値に設定される閾値とを比較し、前記比較の結果を示して前記体温の測定値を表示部に表示させる、制御部と、
前記電子体温計の各構成要素を動作させるための電力を蓄えるバッテリと、
前記電子体温計が充電台に収容された場合に、前記充電台の前記出力端子と接触するように設けられた接続端子と、
を備え、
前記制御部は、前記接続端子が前記充電台の前記出力端子に接触している状態と接触していない状態とが、予め定められた時間内に予め定められた回数交互に切り替えられる操作が行われたことに応じて、前記通信部を前記情報処理装置との間で通信を確立することが可能な状態に移行させる、
体温計システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子体温計及び体温計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、測定された体温値を、記憶部に記憶された年齢及び性別毎の体温の平均値と比較し、測定された体温値がその平均値から所定値以上高い場合、又は、平均値から所定値以上低い場合に、その旨を表示部に表示する電子体温計が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、体温には個体差があり、人によって平熱は異なり得る。昼夜及び季節によっても平熱は異なり得る。例えば、平熱が低い人にとっては、普通は発熱に入らない程度の体温(例えば、37度)であっても発熱を疑う必要があり得る。
【0005】
本開示の目的は、被測定者の個体差、測定時間帯及び季節その他の体温測定に関する状況にかかわらず、被測定者の体温に応じた健康状態を適切に通知することが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態としての電子体温計は、エンドキャップの温度を計測する温度計測部と、前記温度計測部で計測された前記エンドキャップの温度に基づいて被測定者の体温の測定値を取得し、前記体温の測定値とユーザが所望とする値に予め設定された閾値とを比較し、前記比較の結果を示して前記体温の測定値を表示部に表示させる、制御部と、を備える。
【0007】
一実施形態として、外部の情報処理装置と通信することが可能な通信部を更に備え、前記制御部は、前記通信部を介して前記情報処理装置から受信した値を前記ユーザが所望とする値として前記閾値に設定する。
【0008】
一実施形態として、前記通信部は無線通信をすることが可能であり、前記制御部は、前記電子体温計に対して予め定められた操作が行われたことに応じて、前記通信部を前記情報処理装置との間で通信を確立することが可能な状態に移行させる。
【0009】
一実施形態として、前記電子体温計の各構成要素を動作させるための電力を蓄えるバッテリと、電力源から電力の供給を受けて当該電力を前記バッテリに蓄えさせる受電部と、を更に備え、前記制御部は、前記予め定められた操作として、前記外部の電力源から前記受電部に対して電力が供給されている状態と電力が供給されていない状態とが、予め定められた時間内に予め定められた回数交互に切り替えられる操作が行われたことに応じて、前記通信部を前記情報処理装置との間で通信を確立することが可能な状態に移行させる。
【0010】
一実施形態として、前記受電部は、前記電子体温計が充電台に収容された場合に、前記充電台が電力を出力するための出力端子と接触するように設けられた接続端子を備え、前記制御部は、前記予め定められた操作として、前記接続端子が前記充電台の前記出力端子に接触している状態と接触していない状態とが、前記予め定められた時間内に前記予め定められた回数交互に切り替えられる操作が行われたことに応じて、前記通信部を前記情報処理装置との間で通信を確立することが可能な状態に移行させる。
【0011】
一実施形態として、前記電子体温計の内部構造を収容する筐体を更に備え、前記筐体は、前記電子体温計が前記充電台に収容されている状態において一部が押下された場合に、前記充電台の出力端子と前記接続端子との接触が切り離されるような形状を有する。
【0012】
一実施形態として、前記制御部は、前記通信部が前記情報処理装置との間で通信を確立することが可能な状態にある場合にその旨を前記表示部に表示させる。
【0013】
一実施形態として、前記制御部は、表示色により前記比較の結果を示して前記体温の測定値を前記表示部に表示させる。
【0014】
本開示の一実施形態としての体温計システムは、電子体温計と、前記電子体温計を収容可能な充電台と、を含む体温計システムであって、前記充電台は、前記電子体温計へ電力を出力するための出力端子を備え、前記電子体温計は、エンドキャップの温度を計測する温度計測部と、外部の情報処理装置と通信することが可能な通信部と、前記温度計測部で計測された前記エンドキャップの温度に基づいて被測定者の体温の測定値を取得し、前記体温の測定値と、前記情報処理装置によりユーザが所望とする値に設定される閾値とを比較し、前記比較の結果を示して前記体温の測定値を表示部に表示させる、制御部と、前記電子体温計の各構成要素を動作させるための電力を蓄えるバッテリと、前記電子体温計が充電台に収容された場合に、前記充電台の前記出力端子と接触するように設けられた接続端子と、を備え、前記制御部は、前記接続端子が前記充電台の前記出力端子に接触している状態と接触していない状態とが、予め定められた時間内に予め定められた回数交互に切り替えられる操作が行われたことに応じて、前記通信部を前記情報処理装置との間で通信を確立することが可能な状態に移行させる。
【0015】
本開示の一実施形態としての電子体温計の表示方法は、エンドキャップの温度を計測する温度計測部と、制御部と、を備えた電子体温計の表示方法であって、前記制御部が、前記温度計測部で計測された前記エンドキャップの温度に基づいて被測定者の体温の測定値を取得し、前記体温の測定値とユーザが所望とする値に予め設定された閾値とを比較し、前記比較の結果を示して前記体温の測定値を表示部に表示させる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一実施形態によれば、被測定者の個体差、測定時間帯及び季節その他の体温測定に関する状況にかかわらず、被測定者の体温に応じた健康状態を適切に通知することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る電子体温計を表側から見た外観斜視図である。
【
図2】
図1に例示される電子体温計を裏側から見た外観斜視図である。
【
図3】一実施形態に係る充電台の外観斜視図である。
【
図4】一実施形態に係るスマートフォンの外観を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る体温計システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図1に例示される電子体温計の表示部の表示例を説明する図である。
【
図7】電子体温計とスマートフォンとの間のペアリング動作を示すシーケンスチャートである。
【
図8】スマートフォンにより電子体温計の設定情報を更新する動作を示すシーケンスチャートである。
【
図9】
図4に例示されるスマートフォンの表示部の表示例を説明する図である。
【
図10】電子体温計とスマートフォンとの間のペアリング動作を示すシーケンスチャートである。
【
図11A】電子体温計をペアリングモードにするための操作を説明する図である。
【
図11B】電子体温計をペアリングモードにするための操作を説明する図である。
【
図12A】
図1の電子体温計が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12B】
図1の電子体温計が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12C】
図1の電子体温計が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12D】
図1の電子体温計が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12E】
図1の電子体温計が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12F】
図1の電子体温計が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13A】
図1に例示される電子体温計の表示部の表示例を説明する図である。
【
図13B】
図1に例示される電子体温計の表示部の表示例を説明する図である。
【
図13C】
図1に例示される電子体温計の表示部の表示例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。各図面中、同一の構成又は機能を有する部分には、同一符号を付している。本実施形態の説明において、同一の構成又は機能を有する部分については、説明を適宜省略又は簡略化する。
【0019】
本開示の一実施形態に係る体温計システム1は、電子体温計10、充電台30、及びスマートフォン50を備える。
図1及び
図2は、一実施形態に係る電子体温計10の外観斜視図である。
図1は表側から見た電子体温計10の外観斜視図であり、
図2は裏側から見た電子体温計10の外観斜視図である。本明細書では、電子体温計10を充電台30に収容した際に、充電台30に接触する側を電子体温計10の裏側と称し、その反対側を電子体温計10の表側と称する。
【0020】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る電子体温計10は、本体ハウジング2、尾部ハウジング3、エンドキャップ4、及び内部構造8を備える。本体ハウジング2の一面(表面)には、表示部15を設けてもよい。本体ハウジング2の他面(裏面)には、充電台30から給電を受けるための接点6を設けてもよい。本体ハウジング2、尾部ハウジング3、及びエンドキャップ4は、まとめて筐体7と総称される。筐体7は、内部構造8を収容する。
【0021】
本明細書において、
図1及び
図2に示すように、電子体温計10の長軸方向をZ軸方向とする。Z軸の正の方向は電子体温計10の先端方向(すなわちエンドキャップ4側の方向)であり、Z軸の負の方向は尾部ハウジング3側の方向を指す。本明細書において、電子体温計10の厚み方向をY軸方向とする。Y軸の正の方向は、電子体温計10の表側の方向である。本明細書において、電子体温計10の長軸方向(Z軸方向)及び厚み方向(Y軸方向)に直交する方向をX軸方向とする。X軸方向は、本体ハウジング2の幅方向となる。
【0022】
本体ハウジング2は、例えば、ブチレン・スチレン樹脂等の、耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂で構成されてよい。尾部ハウジング3は、例えば、ハイインパクトスチロール樹脂等の、耐衝撃性を有する熱可塑性樹脂で構成されてよい。本体ハウジング2は、エンドキャップ4と反対側に開口部を有し、尾部ハウジング3によって封止される。尾部ハウジング3は、超音波融着又は接着剤等により、本体ハウジング2に取り付けられる。なお、尾部ハウジング3は、締結部材により本体ハウジング2に取り付けられてもよい。この場合、締結部材は、ボルト又はビス等の螺合部材であってよい。ただし、本体ハウジング2はこのような構成に限られない。例えば、本体ハウジング2をZ方向に2分割して(すなわち、表示部15側と、表示部15側の反対の底面側)、それらを上下方向に融着することで形成してもよい。この場合、尾部ハウジング3は、本体ハウジング2の形成時に同時に成形される。
【0023】
エンドキャップ4は、エンドキャップ4の内部に配置された後述する温度計測部14を保護する。温度計測部14は、エンドキャップ4の温度を検出する。エンドキャップ4は、温度計測部14に対して被測定者の体温が伝導しやすいように、例えばステンレス等の金属部材に被覆された態様で構成されてもよい。エンドキャップ4は、被測定者が電子体温計10を腋に挟んで体温を測定する場合に、被測定者の腋下に接触する部材である。
【0024】
なお、本明細書において、被測定者は、電子体温計10を用いて体温を測定する対象となる者であり、被測定者等は、被測定者の他、被測定者による体温の測定を補助する者等を含む。例えば、被測定者等には、被測定者の家族及び医療従事者等が含まれてもよい。本実施形態では、被測定者等が体温計システム1のユーザとなる場合の例を説明するが、被測定者等以外のものがユーザとなってもよい。
【0025】
図3は、一実施形態に係る充電台30を表側から見た外観斜視図である。
図3に示すように、本実施形態に係る充電台30は、筐体22、収容溝25、及びポゴピン26を備える。収容溝25は、充電台30に対して電子体温計10の筐体7を収容可能に形成された溝である。収容溝25は、筐体7の少なくとも一部を収容する。好ましくは、筐体7の容積の1/4~2/3が、収容溝25内に収容される。電子体温計10は、裏側が収容溝25を形成する面に接触するように収容溝25に収容されることにより、充電台30に収容することができる。すなわち、電子体温計10は、表示部15と反対の面が収容溝25に面するように、充電台30に収容される。例えば、電子体温計10と、充電台30とは、一方に磁石、他方に強磁性体、例えば鉄板を備えることで、磁石によるマグネット吸着により電子体温計10が充電台30に収容されてよい。後述するように、電子体温計10が充電台30に収容された場合、電子体温計10の接点6と充電台30のポゴピン26とは接触し、接点6及びポゴピン26を介して、充電台30から電子体温計10へ給電される。充電台30は、さらに、収容溝25を覆う蓋部を備えてもよいし、そのような蓋部を着脱式としてもよい。なお、蓋部の取付けには、公知の手法を用いることができる。
【0026】
図4は、本実施形態に係る情報処理装置としてのスマートフォン50の外観を示す図である。本実施形態では、電子体温計10と通信可能な情報処理装置の一例としてスマートフォン50を用いる場合を説明するが、スマートフォンに代えて、タブレット、PC(Personal Computer)又はスマートウォッチ等の他の電子機器が用いられてもよい。
【0027】
このような構成において、電子体温計10は、被測定者の体温の測定値と、電子体温計10に予め設定された閾値とを比較し、表示色等によりその比較結果を示して体温の測定値を表示する。ここで、被測定者等は、電子体温計10と通信可能なスマートフォン50を操作するなどして、電子体温計10に設定された閾値を被測定者等が所望とする値に設定及び変更することができる。したがって、被測定者等は、被測定者の個体差、測定時間帯及び季節その他の体温測定に関する状況に応じて閾値を設定することができる。よって、本実施形態に係る構成によれば、被測定者の個体差、並びに測定時間帯及び季節その他の体温測定に関する状況にかかわらず、被測定者の体温に応じた健康状態を適切に通知することが可能である。
【0028】
図5は、一実施形態に係る体温計システム1の概略構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、体温計システム1は、電子体温計10、充電台30、及びスマートフォン50を含んで構成されている。電子体温計10及びスマートフォン50は、有線又は無線により互いに情報通信可能に接続することができるように構成されている。また、電子体温計10及び充電台30は、接触又は非接触で、充電台30から電子体温計10へ電力を供給可能に接続することができるように構成されている。
【0029】
図5に示すように、充電台30は、給電部31及びバッテリ32を備える。充電台30は、電子体温計10へ電力を供給する電力源として機能する。
【0030】
給電部31は、接触又は非接触で、充電台30から電子体温計10へ電力を供給可能に接続された状態で、電子体温計10へ電力を供給する。給電部31は、電子体温計10の受電部13に電力を供給する。給電部31は、所定の条件下において、受電部13に電力を供給可能となるように構成されていてよい。例えば、給電部31は、電子体温計10が充電台30に収容された状態において、受電部13に電力が供給可能となるように構成されていてよい。この場合、給電部31は、電子体温計10の充電台30への収容が不完全な状態において、電力を供給できないように構成されていてよい。
【0031】
例えば、接触式の給電を行う場合、電子体温計10と充電台30とは、接点6と、それに対応するポゴピン26とから構成されるコンタクト部を介して電気的に接続される。ここで、充電台30のポゴピン26は電力を出力するための出力端子として機能し、電子体温計10の接点6は充電台30の出力端子と接触して受電する接続端子として機能する。電子体温計10の裏面と、充電台30の収容溝25とに、それぞれ接点6と、それに対応するポゴピン26とが設けられている。電子体温計10が充電台30に収容された状態において、電子体温計10の接点6と、充電台30のポゴピン26の可動部とが接触することにより、接点6及びポゴピン26を介して、充電台30の給電部31から電子体温計10の受電部13に電力が供給されてよい。また、電子体温計10の裏面にポゴピンが設けられ、充電台30の収容溝25に接点が設けられてもよい。この場合、充電台30の接点は電力を出力するための出力端子として機能し、電子体温計10のポゴピンは充電台30の出力端子と接触して受電する接続端子として機能する。ただし、充電台30から電子体温計10への電力の供給方法は、これに限られず、公知の電力の供給方法が用いられてよい。
【0032】
バッテリ32は給電部31から電子体温計10へ供給する電力を蓄える。バッテリ32は、例えば、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等とすることができる。本実施形態に係る体温計システム1においては、充電台30のバッテリ32は不図示の外部電力源から受電した電力を蓄える一次電池として機能し、後述する電子体温計10のバッテリ16は充電台30から受電部13を介して受電した電力を蓄える二次電池として機能する。もっとも、これに代えて、電子体温計10のバッテリ16は、例えば外部電力源から電源ケーブルを介して受電した電力を他のバッテリを介さずに蓄えてもよい。例えば、充電台30はバッテリ32を備えず、外部電力源から電源ケーブルを介して受電した電力を、適宜、電圧及び電流等の変換を行った上で、給電部31を介して電子体温計10へ供給してもよい。
【0033】
電子体温計10は、制御部11、記憶部12、受電部13、温度計測部14、表示部15、バッテリ16、通信部17、モーションセンサ18、及び報知部19を備える。電子体温計10が備える各機能ブロックには、バッテリ16から電力が供給される。
【0034】
電子体温計10は、充電台30に収容されている間は、充電台30から給電を受けつつ電源オフの状態となる。充電台30から取り出されると、電子体温計10は電源をオンにする。電源がオンになってから一定時間の間に温度計測部14において温度上昇が計測されると、電子体温計10は、検温を開始する。電子体温計10は、検温を開始すると、検温開始から一定時間(例えば、数十秒)を経過するまでの間の温度変化に基づき被測定者の体温を予測して表示部15に表示する。電子体温計10は、予測が成立したことを報知部19の振動で知らせてもよい。検温がそのまま続けられると、電子体温計10は、一定時間(例えば、10分間)経過後に実測検温終了を報知部19の振動で知らせてもよい。電子体温計10が被測定者の腋下から取り出されると、電子体温計10は温度計測部14における温度の低下によりそのことを検知する。電子体温計10は、被測定者の腋下から取り出されると、検温開始から一定時間(例えば、4分30秒)経過するまでは体温の予測値を表示部15に表示し、それ以降は体温の実測値の最高値を表示部15に表示する。
【0035】
制御部11は、電子体温計10の各機能部をはじめとして、電子体温計10の全体を制御及び管理する。制御部11は、少なくとも1つのプロセッサを含んで構成される。制御部11は、制御手順を規定したプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ又は各機能の処理に特化した専用のプロセッサで構成される。このようなプログラムは、記憶部12又は電子体温計10の外部の記憶媒体に記憶されている。
【0036】
本実施形態において、制御部11は、温度計測部14で検出される温度に基づいて被測定者の体温の測定値を取得する処理を実行する。また、制御部11は、体温の測定値と予め設定された閾値とを比較してその結果を示して体温の測定値を表示部15に表示させる処理、及び、スマートフォン50と通信を確立して閾値等の設定に関する情報等を送受信する処理等を実行する。制御部11が実行する処理の詳細については、後述する。
【0037】
記憶部12は、半導体メモリ又は磁気メモリ等で構成することができる。記憶部12は、例えば、前回測定した体温の測定値、及び被測定者の体温と比較する閾値等を含む各種情報、並びに、電子体温計10を動作させるためのプログラム等を記憶する。記憶部12は、ワークメモリとしても機能してもよい。
【0038】
受電部13は、接触又は非接触により、充電台30から電子体温計10に電力を供給可能に接続された状態において、電力源としての充電台30から供給される電力を受電する。具体的には、受電部13は、充電台30の給電部31から供給される電力を受電する。受電部13は、所定の条件下において、給電部31から電力を受電可能となるように構成されていてよい。例えば、受電部13は、電子体温計10が充電台30の収容溝25に収容された状態において、給電部31からの電力が受電可能となるように構成されてもよい。この場合、受電部13は、電子体温計10が充電台30に収容されていない状態において、電力が受電できないように構成されてもよい。受電部13は、受電した電力を後述するバッテリ16に蓄えさせる。
【0039】
温度計測部14は、エンドキャップ4の温度を検出する。温度計測部14は、温度を検出する温度センサを含んで構成される。温度計測部14は、公知の電子温度計における温度計測部と同様の構成を有していてよい。温度計測部14は、例えば、サーミスタの抵抗変化を利用して温度を検出してもよい。温度計測部14は、検出した温度の情報を制御部11へ出力可能に構成されている。
【0040】
表示部15は、制御部11による制御に基づき、各種情報を表示する。表示部15は、情報を表示可能な表示デバイスを含んで構成されている。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro-Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro-Luminescence Display)等とすることができる。
【0041】
図6は電子体温計10の表示部15の表示例を説明する図である。表示部15において、体温表示域61は、測定した体温の測定値を表示する領域である。「電池」マーク62は、バッテリ16の電圧低下又は充電中である旨を示すマークである。例えば、バッテリ16の電圧が低下した場合、電子体温計10は「電池」マーク62を点滅して表示することによりバッテリ16の電圧低下を示してもよい。また、例えば、バッテリ16の充電中である間、電子体温計10は、体温表示域61において「電池」マーク62のみを点滅して表示することで充電中であることを示してもよい。「前回値表示」マーク63は、前回の測定により取得された体温の測定値であることを示すマークである。前回の体温の測定値は、「前回値表示」マーク63とともに体温表示域61に表示される。「予測」マーク64は、被測定者の体温を予測中である場合、及び、体温の予測値を体温表示域61に表示している場合に表示される。
【0042】
図5の説明に戻る。バッテリ16は、電子体温計10の各構成要素を動作させるための電力を蓄える。充電台30のバッテリ32と同様に、バッテリ16は、例えば、リチウムイオン電池又はニッケル水素電池等とすることができる。前述のように、本実施形態では、充電台30のバッテリ32は外部電力源から受電した電力を蓄える一次電池として機能し、電子体温計10のバッテリ16は充電台30から受電した電力を蓄える二次電池として機能する。もっとも、これに代えて、電子体温計10のバッテリ16は、例えば外部電力源から電源ケーブルを介して受電した電力を他のバッテリを介さずに蓄えたり、あるいは、市販の乾電池により構成したりしてもよい。
【0043】
通信部17は、電子体温計10とスマートフォン50とが有線又は無線により情報通信可能に接続された状態で、外部の情報処理装置としてのスマートフォン50と情報の送受信を行う。本実施形態では、通信部17の一例としてBluetooth(登録商標)によりスマートフォン50と無線通信をすることが可能な場合を説明する。もっとも、通信部17は、これに代えて、赤外線、NFC(Near Field Communication)、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN若しくはその他任意の通信媒体又はこれらの任意の組み合わせにより通信を行ってもよい。
【0044】
モーションセンサ18は、電子体温計10の動きを検知するセンサである。モーションセンサ18は公知の加速度センサと同様の構成により実現されるが、これに加えて又はこれに代えて角速度センサ(ジャイロセンサ)が設けられてもよい。モーションセンサ18は、検知した電子体温計10の動きの情報を制御部11へ出力可能に構成されている。
【0045】
報知部19は、被測定者等に情報を報知する。本実施形態では、報知部19は、例えば振動モータ(振動子)を含んで構成され、振動により被測定者等に情報を報知する例を説明する。もっとも、報知部19は、これに代えて、又は、これに加えて、例えばスピーカを含んで構成され、音により情報を報知してよい。あるいは、報知部19は、表示部15を含んで構成されていてもよい。この場合、表示部15が報知部19としても機能し、画像を表示することにより情報を報知してもよい。報知部19は、例えば、予測検温の開始、実測検温の開始、及び検温の終了を報知してもよい。
【0046】
スマートフォン50は、制御部51、記憶部52、通信部53、入力部54、表示部55、及びバッテリ56を備える。
【0047】
制御部51は、1つ以上のプロセッサである。プロセッサは、CPU若しくはGPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。制御部51には、1つ以上の専用回路が含まれてもよいし、又は制御部51において、1つ以上のプロセッサを1つ以上の専用回路に置き換えてもよい。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。制御部51は、スマートフォン50の各部を制御して、スマートフォン50の動作に関わる情報処理を実行する。
【0048】
記憶部52は、1つ以上の半導体メモリ、1つ以上の磁気メモリ、1つ以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせである。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read-Only Memory)である。RAMは、例えば、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)である。記憶部52は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部52には、スマートフォン50の動作に用いられる情報、及びスマートフォン50の動作によって得られた情報等が記憶される。
【0049】
通信部53は、1つ以上の通信用インタフェースである。通信用インタフェースは、有線LANインタフェース、無線LANインタフェース、又はBluetooth(登録商標)通信インタフェース等である。通信部53は、スマートフォン50の動作に用いられる情報を受信し、スマートフォン50の動作によって得られた情報を送信する。本実施形態では、スマートフォン50は、電子体温計10との間で、Bluetooth(登録商標)通信により電子体温計10の設定情報等を送受信する例を説明する。
【0050】
入力部54は、被測定者等の入力操作を受け付けて、被測定者等の操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力インタフェースを含む。入力部54は、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングディバイス、表示部55のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等であるが、これらに限定されない。本実施形態では、入力部54は、表示部55のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーンとして提供される例を説明する。
【0051】
表示部55は、制御部51による制御に基づき、各種情報を表示する。表示部55は、情報を表示可能な表示デバイスを含んで構成されている。表示デバイスは、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OELD)、又は無機ELディスプレイ(IELD)等とすることができる。
【0052】
スマートフォン50の機能は、プログラムを、制御部51に含まれるプロセッサで実行することにより実現されてもよい。すなわち、スマートフォン50の機能は、ソフトウェアにより実現されてもよい。プログラムは、スマートフォン50の動作に含まれる処理をコンピュータに実行させることで、そのステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させる。ただし、スマートフォン50の一部又は全ての機能が、制御部51に含まれる専用回路により実現されてもよい。すなわち、スマートフォン50の一部又は全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。また、スマートフォン50は単一の情報処理装置により実現されてもよいし、複数の情報処理装置の協働により実現されてもよい。
【0053】
本実施形態では、電子体温計10が、通信部17を介したスマートフォン50との通信により受信した値を、被測定者の体温の測定値と比較する閾値として設定する例を説明する。前述のように、電子体温計10及びスマートフォン50は、無線通信であるBluetooth(登録商標)通信により情報を送受信する。このような無線通信を行うには、事前にスマートフォン50に対して電子体温計10を通信相手として登録するペアリングの処理を行う必要がある。
【0054】
図7は、電子体温計10とスマートフォン50との間のペアリング動作を示すシーケンスチャートである。
図7の各ステップの処理は、電子体温計10の制御部11及びスマートフォン50の制御部51の制御に基づき実行される。以下の処理の前提として、電子体温計10には、スマートフォン50以外の情報処理装置ともペアリングが行われていない場合が説明される。
【0055】
ステップS1において、電子体温計10の制御部11は、電子体温計10の筐体7が充電台30に収容されたことに応じて、電子体温計10の電源をオフにする。制御部11は、筐体7が充電台30に収容されたことを、例えば、受電部13への給電が開始されたことにより検出してもよい。なお、このステップS1は省略してもよい。
【0056】
ステップS2において、電子体温計10の制御部11は、通信部17がスマートフォン50との間で通信を確立することが可能な状態であるペアリングモードにある旨を表示部15に表示させる。制御部11は、例えば、表示部15の体温表示域61に「P」の表示をすることによりペアリングモードにあることを示してもよい。このように、本実施形態では、ペアリング可能であるか否かが電子体温計10の表示部15に表示されるため、被測定者等は、表示部15を参照してペアリングの可否を確認することができる。
【0057】
ステップS3において、スマートフォン50の制御部51は、被測定者等の入力部54に対する操作入力に応じて、電子体温計10の設定を行うためのアプリ(アプリケーションプログラム)を起動する。例えば、制御部51は、電子体温計10の設定を行うためのアプリを示すアイコン(図柄)の選択に応じて、アプリの起動を行ってもよい。
【0058】
ステップS4において、スマートフォン50の制御部51は、電子体温計10とのペアリングが可能であることを示す接続許可を表示部55に表示する。制御部51は、これに加えて電子体温計10とのペアリングを行うための一連の操作の図解付きの説明文を表示部55に表示してもよい。
【0059】
ステップS5において、スマートフォン50の制御部51は、被測定者等からペアリングの指示を入力する。
【0060】
ステップS6において、スマートフォン50の制御部51は、ステップS5における被測定者等の入力部54に対する操作入力に応じて、電子体温計10との間でペアリングの処理を行う。ペアリング処理においては、電子体温計10の機器情報が電子体温計10からスマートフォン50へ送信されてもよい。このような電子体温計10の機器情報には、電子体温計10の型式、シリアル番号、及び医療機器認証番号等の情報が含まれ得る。このような電子体温計10の機器情報は、ペアリング処理の際ではなく、ペアリング後に電子体温計10とスマートフォン50との間で通信か確立された際に、電子体温計10からスマートフォン50へ送信されてもよい。
【0061】
電子体温計10及びスマートフォン50の間でペアリングの処理が完了すると、ステップS7において、電子体温計10の制御部11は、ペアリングの処理が完了したことを表示部15に表示させる。例えば、制御部11は、表示部15の体温表示域61に「End」の表示をすることによりペアリングが完了したことを示してもよい。
【0062】
ステップS8において、電子体温計10の制御部11は、電子体温計10の電源をオフにする。制御部11は、例えば、ステップS7でペアリングの完了を表示してから一定時間が経過したことに応じて、電源をオフにしてもよい。被測定者等は、ペアリングの完了を確認すると、電子体温計10を充電台30から取り出す。
【0063】
一方、ステップS9において、スマートフォン50の制御部51は、ペアリングの処理が完了したことを表示部55に表示させる。例えば、制御部51は、表示部55にペアリング完了を示す図柄等を表示することによりペアリングが完了したことを示してもよい。
【0064】
ステップS10において、スマートフォン50の制御部51は、電子体温計10の設定を行うためのアプリを終了する。アプリの終了は、例えば、被測定者等の入力部54に対する操作入力に応じて行ってもよい。
【0065】
図7の一連の処理により、電子体温計10の電源をオンにしてから、スマートフォン50においてアプリを起動すると、電子体温計10とスマートフォン50との間で自動的に通信が確立される。これにより、スマートフォン50により電子体温計10の設定情報を設定及び更新することが可能になる。ペアリング済みのスマートフォン50により電子体温計10の設定情報を設定及び更新する処理について、
図8を参照して説明する。
図8は、スマートフォン50により電子体温計10の設定情報を更新する動作を示すシーケンスチャートである。
図8の各ステップの処理は、電子体温計10の制御部11及びスマートフォン50の制御部51の制御に基づき実行される。
【0066】
ステップS11において、電子体温計10の制御部11は、電子体温計10の電源をオンにする。制御部11は、例えば、被測定者等により電子体温計10が充電台30から取り出されたこと、又は、モーションセンサ18が電子体温計10の動き(例えば、水銀式体温計を振るのと同様の動き)を検知したことに応じて、電源をオンにしてもよい。
【0067】
ステップS12において、スマートフォン50の制御部51は、被測定者等の入力部54に対する操作入力に応じて、電子体温計10の設定を行うためのアプリを起動する。例えば、制御部51は、電子体温計10の設定を行うためのアプリを示すアイコンの選択に応じて、アプリの起動を行ってもよい。
【0068】
ステップS13において、スマートフォン50及び電子体温計10は、両者の間で通信を確立する。通信の確立は、ステップS12におけるスマートフォン50のアプリの起動に応じて自動的に行われるが、スマートフォン50のアプリの又は電子体温計10に対する被測定者等の操作に応じて行われてもよい。
【0069】
ステップS14において、スマートフォン50の制御部51は、電子体温計10の設定を行うための画面を表示部55に表示させる。
図9は、スマートフォン50の表示部55に表示された電子体温計10の設定画面の一例を示す図である。
【0070】
図9において、Bluetooth接続ボタン71は、スマートフォン50の通信部53がBluetooth(登録商標)に基づく通信を行うか否かを被測定者等が設定するためのボタンである。明るさ設定ボタン72は、電子体温計10の表示部15の輝度を被測定者等が設定するためのボタンである。
図9の例では、被測定者は、暗めと明るめの2段階の輝度を設定することができる。
【0071】
色設定領域73は、被測定者の体温の測定値と比較する閾値を設定するための領域である。本実施形態では、被測定者は、スライダ74をスライドさせることにより、被測定者の体温の測定値と比較する閾値を設定することが可能である。本実施形態において、電子体温計10は、被測定者の体温の測定値と設定された閾値とを比較し、表示部15の表示色等によりその比較結果を示して体温の測定値を表示する例を説明する。例えば、電子体温計10は、被測定者の体温の測定値が設定された閾値未満の場合は、測定値を緑色の表示色で表示部15に表示させ、測定値が設定された閾値以上の場合は、測定値を赤色の表示色で表示部15に表示させてもよい。スライダ74は、32.0度~42.0度の範囲において0.1度刻みで閾値を選択できるようにしてもよい。また、スライダ74は、赤色表示を無効とし、被測定者の体温の測定値がいかなる値であっても表示色が緑色になるように設定できるようにしてもよい。このように、本実施形態では、体温の測定値と予め設定された閾値との比較の結果を表示色により示して体温の測定値を表示するため、被測定者等は、被測定者の体温に応じた健康状態を容易に把握することが可能である。
【0072】
機器情報表示領域75は、電子体温計10の機器情報を表示する領域である。電子体温計10の機器情報には、例えば、電子体温計10の型式、シリアル番号、及び医療機器認証番号等の情報が含まれ得る。前述のように、このような機器情報は電子体温計10とのペアリングが行われた際、又は、通信を確立した際に、電子体温計10からスマートフォン50へ送信されてもよい。
【0073】
ステップS15において、スマートフォン50の制御部51は、
図9に例示した設定画面に対して被測定者等により設定操作の入力を受け付ける。
【0074】
ステップS16において、スマートフォン50の制御部51は、設定情報を電子体温計10へ送信する。このような設定情報には、電子体温計10の表示部15の輝度、及び被測定者の体温の測定値と比較する閾値が含まれるが、さらにスマートフォン50が有する計時手段が計時する日時情報も含まれてもよい。日時情報は、電子体温計10が有する計時手段の日時を調整するために用いられる。スマートフォン50及び電子体温計10の計時手段は、例えば、水晶振動子に基づく方式により構成してもよい。設定情報の送信は、例えば、スマートフォン50の入力部54に対して、被測定者等から設定情報を送信する旨の指示が行われたことに応じて行われてもよい。
【0075】
ステップS17において、電子体温計10の制御部11は、スマートフォン50から受信した設定情報に基づき、記憶部12に記憶された情報を更新する。具体的には、制御部11は、記憶部12に記憶された、例えば、電子体温計10の表示部15の輝度、及び被測定者の体温の測定値と比較する閾値等の情報を更新する。スマートフォン50から日時情報も受信した場合は、その日時情報に合わせて、電子体温計10の計時手段の日時を調整する。
【0076】
ステップS18において、スマートフォン50及び電子体温計10は、両者の間で確立されている通信を切断する。通信の切断は、電子体温計10において設定情報に基づく更新が行われたことに応じて自動的に行われるが、スマートフォン50のアプリの又は電子体温計10に対する被測定者等の操作に応じて行われてもよい。
【0077】
ステップS19において、電子体温計10の制御部11は、電子体温計10の電源をオフにする。制御部11は、例えば、ステップS18でスマートフォン50との通信が切断されたことに応じて、自動的に電源をオフにしてもよい。
【0078】
ステップS20において、スマートフォン50の制御部51は、電子体温計10の設定を行うためのアプリを終了する。アプリの終了は、例えば、被測定者等の入力部54に対する操作入力に応じて行ってもよい。
【0079】
上記のように、電子体温計10は、温度計測部14で計測されたエンドキャップ4の温度に基づいて被測定者の体温の測定値を取得し、体温の測定値と予め設定された閾値とを比較し、比較の結果を示して体温の測定値を表示部15に表示させる。ここで、体温の測定値と比較される閾値は、ユーザが所望とする値に設定される。このように、本実施形態では、体温の測定値とユーザが所望とする値に予め設定された閾値とを比較して、その比較の結果を示して体温の測定値を表示部15に表示させるため、ユーザは、体温測定に関する状況に応じて閾値を設定することができる。したがって、本開示によれば、被測定者の個体差、測定時間帯及び季節その他の体温測定に関する状況にかかわらず被測定者の体温に応じた健康状態を適切に通知することが可能である。
【0080】
また、電子体温計10は、外部の情報処理装置と通信することが可能な通信部17を備え、通信部17を介して情報処理装置から受信した値をユーザが所望とする値として閾値に設定する。したがって、ユーザは、スマートフォン50等の情報処理装置を操作して、電子体温計10の閾値を設定することが可能である。なお、体温の測定値と比較される閾値は、電子体温計10に対するユーザからの操作入力によって電子体温計10に設定されてもよい。また、充電台30にユーザから閾値の設定を受け付ける受付部及び電子体温計10と通信するための通信部を設け、充電台30の受付部が設定を受け付けた閾値を電子体温計10へ通信部を介して送信することにより、電子体温計10に閾値を設定してもよい。
【0081】
本実施形態に係る電子体温計10は、いかなる装置との間でペアリングが行われていない場合、充電台30に収容されている間は、情報処理装置との間で通信を確立することが可能な状態であるペアリングモードにある。一方で、電子体温計10は、スマートフォン50等の何らかの情報処理装置との間でペアリングがされた後は、充電台30に収容されている間であっても、ペアリングを行わない非ペアリングモードにある。そこで、あるスマートフォン50との間でペアリングが行われた後にさらに他のスマートフォン50とのペアリングを行うためには、再度、電子体温計10をペアリングモードに移行させる必要がある。本実施形態では、ユーザが充電台30に収容されている電子体温計10の筐体7を押下した後に離す操作を、予め定められた時間内に予め定められた回数繰り返したことに応じて、電子体温計10をペアリングモードに移行させる。したがって、本実施形態によれば、ユーザは、電子体温計10と情報処理装置とのペアリングを簡単に行うことが可能である。
【0082】
図10は、非ペアリングモードにある電子体温計10とスマートフォン50との間のペアリング動作を示すシーケンスチャートである。
図10の各ステップの処理は、電子体温計10の制御部11及びスマートフォン50の制御部51の制御に基づき実行される。以下の処理の前提として、電子体温計10には、既にスマートフォン50以外の他の情報処理装置との間でペアリングが行われている場合が説明される。
【0083】
ステップS21において、電子体温計10の制御部11は、ステップS1と同様に、電子体温計10の筐体7が充電台30に収容されたことに応じて、電子体温計10の電源をオフにする。なお、このステップS21は省略してもよい。
【0084】
ステップS22において、電子体温計10の制御部11は、電子体温計10に対して予め定められた操作が行われたか否かを判定する。本実施形態では、制御部11は、このような操作として、外部の電力源から受電部13に対して電力が供給されている状態と電力が供給されていない状態とが、予め定められた時間内に予め定められた回数交互に切り替えられる操作が行われたか否かを判定する。この処理の一例について
図11A及び
図11Bを参照して説明する。
図11A及び
図11Bは、非ペアリングモードにある電子体温計10をペアリングモードにするための操作を説明する図である。
【0085】
図11Aに示すように、電子体温計10の筐体7及び充電台30は、電子体温計10が充電台30に収容されている間に筐体7の一部(例えば、尾部ハウジング3)が手により押下されると、電子体温計10のエンドキャップ4が浮き上がるような形状を有する。エンドキャップ4が浮き上がることにより、充電台30の出力端子(例えば、ポゴピン26)と電子体温計10の接続端子(例えば、接点6)との接触が切り離される。したがって、充電台30に収容されている筐体7の一部を押下することにより、電子体温計10は、外部の電力源から受電部13を介して電力が供給されている状態から電力が供給されていない状態へ切り替わることになる。
【0086】
図11Bに示すように、筐体7から手を離すと、電子体温計10は再び充電台30に収容され、充電台30の出力端子と電子体温計10の接続端子は接触する。したがって、筐体7の押下を止めることにより、電子体温計10は、外部の電力源から電力が供給されていない状態から、電力が供給されている状態へ切り替わることになる。
【0087】
そこで、電子体温計10は、予め定められた操作として、外部の電力源から受電部13に対して電力が供給されている状態と供給されていない状態とが、予め定められた時間内に予め定められた回数交互に切り替えられる操作が行われたか否かを判定してもよい。ここで、予め定められた時間は、例えば、30秒としてもよい。予め定められた回数は、例えば、5回としてもよい。制御部11は、電子体温計10に対して予め定められた操作が行われた場合(ステップS22でYES)はペアリングモードへ移行してステップS23へ進み、そうでない場合(ステップS22でNO)はステップS22へ戻る。
【0088】
ステップS23~ステップS31の処理内容は、
図7のステップS2~ステップS10と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0089】
このように、電子体温計10は、非ペアリングモードにある場合、電子体温計10に対して予め定められた操作が行われたことに応じて、通信部17を情報処理装置との間で通信を確立することが可能なペアリングモードに移行させる。例えば、電子体温計10は、外部の電力源から電力が供給されている状態と供給されていない状態とが、予め定められた時間内に予め定められた回数交互に切り替えられる操作が行われたことに応じて、ペアリングモードへ移行してもよい。具体的には、例えば、電子体温計10の筐体7は、充電台30に収容されている状態において一部が押下された場合に、充電台30の出力端子と電子体温計10の接続端子との接触が切り離されるような形状を有してもよい。このような構成によれば、ユーザは、充電台30に収容されている電子体温計10の筐体7を押下した後に離す操作を、予め定められた時間内に予め定められた回数繰り返すことで、電子体温計10と情報処理装置とのペアリングを簡単に行うことが可能である。
【0090】
次に、電子体温計10が被測定者の検温を行う処理について、
図12A~
図12F及び
図13A~
図13Cを参照して説明する。
図12A~
図12Fは、電子体温計10が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図13A~
図13Cは、電子体温計10の表示部15の表示例を説明する図である。
図12A~
図12F及び
図13A~
図13Cを参照して説明する電子体温計10の動作は本実施形態に係る電子体温計10の表示方法に相当する。
図12A~
図12Fの各ステップの処理は、電子体温計10の制御部11の制御に基づき実行される。以下の処理の前提として、電子体温計10は充電台30に収容されており、電子体温計10の電源はオフになっている。
【0091】
ステップS41において、制御部11は、電子体温計10が充電台30から取り出されたか否かを判定する。制御部11は、例えば、受電部13が受電している状態から受電しない状態へ切り替わったことに応じて、電子体温計10が充電台30から取り出されたことを検知する。充電台30から取り出された場合(ステップS41でYES)はステップS42へ進み、そうでない場合(ステップS41でNO)はステップS41の処理を継続する。
【0092】
ステップS42において、制御部11は、電子体温計10の電源をオンにする。ここで、制御部11は、更に、
図13Aのような画面を、緑色の表示色で表示部15に表示させてもよい。ステップS42の処理を終えると、制御部11はステップS43へ進む。
【0093】
ステップS43において、制御部11は、報知部19を駆動して、電子体温計10を所定時間振動させる。制御部11は、電子体温計10を振動させることにより、被測定者等に電子体温計10の電源がオンになったことを知らせることができる。ステップS43の処理を終えると、制御部11はステップS44へ進む。
【0094】
ステップS44において、制御部11は、記憶部12に前回の測定により取得された体温の測定値が記憶されている場合は、その測定値を、「前回値表示」マーク63とともに表示部15に表示させる。その際、制御部11は、前回の体温の測定値と予め設定された閾値との比較の結果も併せて表示部15に表示させてもよい。例えば、制御部11は、前回の測定値が閾値以上の場合は赤色の表示色で表示し、閾値未満の場合は緑色の表示色で表示してもよい。
図13Bは、前回の測定により取得された体温の測定値を表示する画面の一例を示している。制御部11は、記憶部12に前回の測定により取得された体温の測定値が記憶されていない場合は、例えば、「――.-」のような表示を体温表示域61に表示してもよい。なお、ステップS42~ステップS44の処理の順序は適宜入れ替えてもよい。ステップS44の処理を終えると、制御部11はステップS45へ進む。
【0095】
ステップS45において、制御部11は、検温の準備が整ったことを示す表示を表示部15に表示させる。制御部11は、例えば、
図13Cのような画面を、緑色の表示色で表示部15に表示させてもよい。ステップS45の処理を終えると、制御部11はステップS46へ進む。
【0096】
ステップS46において、制御部11は、温度計測部14によりエンドキャップ4の温度が所定のパターンで上昇したことを検出したか否かを判定する。制御部11は、エンドキャップ4の温度が所定のパターンで上昇したことにより、エンドキャップ4が被測定者の腋下に入れられたことを検出する。制御部11は、例えば、温度計測部14が計測した温度が予め定められた時間内に一定以上の大きさで上昇した場合に、エンドキャップ4の温度が所定のパターンで上昇したことを検出してもよい。制御部11は、エンドキャップ4の温度が所定のパターンで上昇したことを検出した場合(ステップS46でYES)はステップS47へ進み、そうでない場合(ステップS46でNO)はステップS46の処理を継続する。
【0097】
ステップS47において、制御部11は、温度計測部14が計測した温度の変化に基づき被測定者の体温を予測する予測検温を開始する。予測検温は、従来公知の予測検温の手法を用いて実行することができる。ステップS47の処理を終えると、制御部11はステップS48へ進む。
【0098】
ステップS48において、制御部11は、表示部15において「予測」マーク64を緑色の表示色で表示するとともに、予測検温の進行状態を表示する。制御部11は、例えば、予測検温の進行に伴い、「-」、「--」、「---」のように多数の「-」を体温表示域61に表示することで予測検温の進行状態を示してもよい。ステップS48の処理を終えると、制御部11はステップS49へ進む。
【0099】
ステップS49において、制御部11は、予測検温が終了したか否かを判定する。制御部11は、予測検温が終了した場合(ステップS49でYES)はステップS50へ進み、そうでない場合(ステップS49でNO)はステップS48へ戻る。
【0100】
ステップS50において、制御部11は、予測検温により取得された予測検温値が赤色で表示すべき温度範囲にあるか否かを判定する。制御部11は、例えば、予測検温値が記憶部12に記憶された閾値以上である場合は赤色で表示すべき温度範囲にあると判定し、閾値未満である場合は緑色で表示すべき温度範囲にあると判定してもよい。制御部11は、予測検温値が赤色で表示すべき温度範囲にある場合(ステップS50でYES)はステップS51へ進み、そうでない場合(ステップS50でNO)はステップS52へ進む。
【0101】
ステップS51において、制御部11は、表示部15に表示する文字及びマーク等の表示色を赤色に設定する。ステップS51の処理を終えると、制御部11はステップS53へ進む。
【0102】
ステップS52において、制御部11は、表示部15に表示する文字及びマーク等の表示色を緑色に設定する。ステップS52の処理を終えると、制御部11はステップS53へ進む。
【0103】
ステップS53において、制御部11は、予測検温に伴い取得された測定関連データを記憶部12に記憶する。このような測定関連データには、例えば、予測検温値、温度計測部14が計測した温度の実測値、測定日時、及び、ステップS51又はステップS52において設定された表示色等が含まれ得る。ステップS53の処理を終えると、制御部11はステップS54へ進む。
【0104】
ステップS54において、制御部11は、報知部19を駆動して、電子体温計10を所定時間振動させる。制御部11は、電子体温計10を振動させることにより、被測定者等に予測検温が終了したことを知らせることができる。ステップS54の処理を終えると、制御部11はステップS55へ進む。なお、ステップS54の処理は、ステップS49の処理より後で、後述するステップS56の処理より前の適当なタイミングで実施してよい。
【0105】
ステップS55において、制御部11は、設定された表示色で予測検温値を表示部15に表示させる。ステップS55の処理を終えると、制御部11はステップS56へ進む。
【0106】
ステップS56において、制御部11は、温度計測部14によりエンドキャップ4の温度が所定のパターンで低下したことを検出したか否かを判定する。制御部11は、エンドキャップ4の温度が所定のパターンで低下したことにより、エンドキャップ4が被測定者の腋下から外されたことを検出する。制御部11は、例えば、温度計測部14が計測した温度が予め定められた時間内に一定以上の大きさで低下した場合に、エンドキャップ4の温度が所定のパターンで低下したことを検出してもよい。制御部11は、エンドキャップ4の温度が所定のパターンで低下したことを検出した場合(ステップS56でYES)はステップS74へ進み、そうでない場合(ステップS56でNO)はステップS57へ進む。
【0107】
ステップS57において、制御部11は、予測検温の開始から一定時間(例えば、4分30秒)経過したか否かを判定する。制御部11は、予測検温の開始から一定時間経過した場合(ステップS57でYES)はステップS58へ進み、そうでない場合(ステップS57でNO)はステップS56へ戻る。
【0108】
ステップS58において、制御部11は、表示部15において「予測」マーク64の表示を消灯するとともに、実測検温を開始して、実測検温の進行状態を表示する。制御部11は、例えば、実測検温の進行状態の表示と同様に、実測検温の進行に伴い、「-」、「--」、「---」のように多数の「-」を体温表示域61に表示することで実測検温の進行状態を示してもよい。ステップS58の処理を終えると、制御部11はステップS59へ進む。
【0109】
ステップS59において、制御部11は、実測検温を開始してから温度計測部14が計測した温度の最高値を記憶部12に保持する。ステップS59の処理を終えると、制御部11はステップS60へ進む。
【0110】
ステップS60において、制御部11は、温度計測部14によりエンドキャップ4の温度が所定のパターンで低下したことを検出したか否かを判定する。ステップS60の処理はステップS56と同様に行うことができる。制御部11は、エンドキャップ4の温度が所定のパターンで低下したことを検出した場合(ステップS60でYES)はステップS63へ進み、そうでない場合(ステップS60でNO)はステップS61へ進む。
【0111】
ステップS61において、制御部11は、予測検温の開始から一定時間(例えば、10分)経過したか否かを判定する。制御部11は、予測検温の開始から一定時間経過した場合(ステップS61でYES)はステップS62へ進み、そうでない場合(ステップS61でNO)はステップS58へ戻る。
【0112】
ステップS62において、制御部11は、報知部19を駆動して、電子体温計10を所定時間振動させる。制御部11は、電子体温計10を振動させることにより、被測定者等に実測検温が終了したことを知らせることができる。ステップS62の処理を終えると、制御部11はステップS68へ進む。
【0113】
ステップS63において、制御部11は、実測検温を開始してから温度計測部14が計測した温度の最高値が、赤色で表示すべき温度範囲にあるか否かを判定する。制御部11は、例えば、実測検温の最高値が記憶部12に記憶された閾値以上である場合は赤色で表示すべき温度範囲にあると判定し、閾値未満である場合は緑色で表示すべき温度範囲にあると判定してもよい。制御部11は、実測検温の最高値が赤色で表示すべき温度範囲にある場合(ステップS63でYES)はステップS64へ進み、そうでない場合(ステップS63でNO)はステップS65へ進む。
【0114】
ステップS64において、制御部11は、表示部15に表示する文字及びマーク等の表示色を赤色に設定する。ステップS64の処理を終えると、制御部11はステップS66へ進む。
【0115】
ステップS65において、制御部11は、表示部15に表示する文字及びマーク等の表示色を緑色に設定する。ステップS65の処理を終えると、制御部11はステップS66へ進む。
【0116】
ステップS66において、制御部11は、実測検温を開始してから温度計測部14が計測した温度の最高値を設定された表示色で表示部15に表示させる。ステップS66の処理を終えると、制御部11はステップS67へ進む。
【0117】
ステップS67において、制御部11は、実測検温に伴い取得された測定関連データを記憶部12に記憶する。このような測定関連データには、例えば、最新の実測検温値、実測検温を開始してから温度計測部14が計測した温度の最高値、測定日時、及び、ステップS64又はステップS65において設定された表示色等が含まれ得る。ステップS67の処理を終えると、制御部11はステップS74へ進む。
【0118】
ステップS68において、制御部11は、実測検温を開始してから温度計測部14が計測した温度の最高値が、赤色で表示すべき温度範囲にあるか否かを判定する。ステップS68の処理はステップS63と同様に行うことができる。制御部11は、実測検温の最高値が赤色で表示すべき温度範囲にある場合(ステップS68でYES)はステップS69へ進み、そうでない場合(ステップS68でNO)はステップS70へ進む。
【0119】
ステップS69において、制御部11は、表示部15に表示する文字及びマーク等の表示色を赤色に設定する。ステップS69の処理を終えると、制御部11はステップS71へ進む。
【0120】
ステップS70において、制御部11は、表示部15に表示する文字及びマーク等の表示色を緑色に設定する。ステップS70の処理を終えると、制御部11はステップS71へ進む。
【0121】
ステップS71において、制御部11は、実測検温を開始してから温度計測部14が計測した温度の最高値を設定された表示色で表示部15に表示させる。ステップS71の処理を終えると、制御部11はステップS72へ進む。
【0122】
ステップS72において、制御部11は、実測検温に伴い取得された測定関連データを記憶部12に記憶する。ステップS72の処理はステップS67と同様に行うことができる。ステップS72の処理を終えると、制御部11はステップS73へ進む。
【0123】
ステップS73において、制御部11は、温度計測部14によりエンドキャップ4の温度が所定のパターンで低下したことを検出したか否かを判定する。ステップS73の処理はステップS56と同様に行うことができる。制御部11は、エンドキャップ4の温度が所定のパターンで低下したことを検出した場合(ステップS73でYES)はステップS74へ進み、そうでない場合(ステップS73でNO)はステップS73の処理を継続する。
【0124】
ステップS74において、制御部11は、10秒間の電子体温計10の静止を検出したか否かを判定する。制御部11は、モーションセンサ18が電子体温計10の動きを検出しなかったことに基づき、電子体温計10の静止を検出してもよい。制御部11は、10秒間の静止を検出した場合(ステップS74でYES)はステップS75へ進み、そうでない場合(ステップS74でNO)はステップS76へ進む。
【0125】
ステップS75において、制御部11は、表示部15の表示を消灯する。ステップS75の処理を終えると、制御部11はステップS74へ戻る。なお、最初にステップS74の処理を開始してから一定時間(例えば、3分)経過した場合、制御部11は、電子体温計10の電源をオフにしてもよい。
【0126】
ステップS76において、制御部11は、表示部15の表示を点灯する。ステップS76の処理を終えると、制御部11はステップS77へ進む。
【0127】
ステップS77において、制御部11は、電子体温計10が振られたか否かを判定する。制御部11は、モーションセンサ18が電子体温計10の動きを検出したことに基づき、電子体温計10が振られたと判定してもよい。制御部11は、電子体温計10が振られたと判定された場合(ステップS77でYES)は、表示部15の表示を消灯した後、ステップS45へ進み、そうでない場合(ステップS77でNO)はステップS78へ進む。
【0128】
ステップS78において、制御部11は、温度計測部14によりエンドキャップ4の温度が所定のパターンで上昇したことを検出したか否かを判定する。ステップS78の処理はステップS46と同様に行うことができる。制御部11は、エンドキャップ4の温度が所定のパターンで上昇したことを検出した場合(ステップS78でYES)はステップS47へ進み、そうでない場合(ステップS78でNO)はステップS79へ進む。
【0129】
ステップS79において、制御部11は、電子体温計10が充電台30に収容されたか否かを判定する。制御部11は、例えば、受電部13が受電していない状態から受電している状態へ切り替わったことに応じて、電子体温計10が充電台30に収容されたことを検知する。充電台30に収容された場合(ステップS79でYES)はステップS80へ進み、そうでない場合(ステップS79でNO)はステップS74へ戻る。
【0130】
ステップS80において、制御部11は、電子体温計10の電源をオフにする。ステップS80の処理を終えると、制御部11はステップS81へ進む。
【0131】
ステップS81において、制御部11は、充電台30の給電部31から受電部13への電力の供給を受けて、バッテリ16の充電を開始する。ステップS81処理を終えると、フローチャートの処理を終了する。
【0132】
上記のように、本実施形態に係る電子体温計10は、温度計測部14で計測されたエンドキャップ4の温度に基づいて被測定者の体温の測定値を取得して表示部15に表示する。ここで、電子体温計10は、体温の測定値と予め設定された閾値とを比較し、体温の測定値が閾値未満の場合は第1の表示色で体温の測定値を表示し、体温の測定値が閾値以上の場合は第2の表示色で体温の測定値を表示する。体温の測定値と比較される閾値は、スマートフォン50等の情報処理装置を介した操作等により、ユーザが所望とする値に予め設定可能である。したがって、本開示によれば、ユーザが適切な閾値を設定して、被測定者の個体差、測定時間帯及び季節その他の体温測定に関する状況にかかわらず、被測定者の体温に応じた健康状態を適切に通知することが可能である。なお、体温の測定値と閾値との比較の結果を示す手法は、体温の測定値の表示色を切り替えるものに限られない。例えば、電子体温計10は、表示部15の背景色又は比較結果を示す図柄等により体温の測定値と閾値との比較の結果を示してもよい。なお、電子体温計10は、複数の異なる閾値(例えば、T1、T2(T2>T1))を設定可能とし、被測定者の体温の測定値が複数の閾値により規定される数値範囲(例えば、T1未満の範囲、T1以上T2未満の範囲、及びT2以上の範囲)のいずれに該当するかを表示部15に示すようにしてもよい。また、電子体温計10は、測定時間帯や季節に対応した閾値を設定可能とし、電子体温計10が有する計時手段に基づいて閾値を切り替えるようにしてもよい。また、電子体温計10は、体温の測定値と比較する閾値が検温中に変更され、それにより体温の測定値と閾値との大小が変化した場合は、それに応じて体温の測定値の表示色を切り替えるなど、体温の測定値と閾値との比較の結果を適宜更新してもよい。
【0133】
また、本実施形態に係る電子体温計10は、充電台30に収容された状態において、電子体温計10に対して予め定められた操作が行われたことに応じて、通信部17を情報処理装置との間で通信を確立することが可能な状態であるペアリングモードに移行させる。したがって、本開示によれば、ユーザは、電子体温計10と情報処理装置とのペアリングを簡単に行うことが可能である。
【0134】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック図に記載の複数のブロックは統合されてもよいし、又は1つのブロックは分割されてもよい。フローチャートに記載の複数のステップは、記述に従って時系列に実行する代わりに、各ステップを実行する装置の処理能力に応じて、又は必要に応じて、並列的に又は異なる順序で実行されてもよい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。
【符号の説明】
【0135】
1:体温計システム
2:本体ハウジング
3:尾部ハウジング
4:エンドキャップ
6:接点
7:筐体
8:内部構造
10:電子体温計
11:制御部
12:記憶部
13:受電部
14:温度計測部
15:表示部
16:バッテリ
17:通信部
18:モーションセンサ
19:報知部
22:筐体
25:収容溝
26:ポゴピン
30:充電台
31:給電部
32:バッテリ
50:スマートフォン
51:制御部
52:記憶部
53:通信部
54:入力部
55:表示部
56:バッテリ
61:体温表示域
62:「電池」マーク
63:「前回値表示」マーク
64:「予測」マーク
71:Bluetooth接続ボタン
72:明るさ設定ボタン
73:色設定領域
74:スライダ
75:機器情報表示領域