IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-吸込口体及び電気掃除機 図1
  • 特許-吸込口体及び電気掃除機 図2
  • 特許-吸込口体及び電気掃除機 図3
  • 特許-吸込口体及び電気掃除機 図4
  • 特許-吸込口体及び電気掃除機 図5
  • 特許-吸込口体及び電気掃除機 図6
  • 特許-吸込口体及び電気掃除機 図7
  • 特許-吸込口体及び電気掃除機 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】吸込口体及び電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/02 20060101AFI20241211BHJP
   A47L 9/04 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
A47L9/02 A
A47L9/04 A
A47L9/02 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021154087
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2023045579
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】品川 直子
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-330524(JP,A)
【文献】特開2010-022855(JP,A)
【文献】実開昭58-061152(JP,U)
【文献】国際公開第2016/199456(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/004695(WO,A1)
【文献】特開2021-3509(JP,A)
【文献】国際公開第2006/080383(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00- 9/32
A47L11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃部材を有する清掃体が配置された清掃体室、及び、この清掃体室に連通する吸込口を有し、左右方向に延びる本体部と、
前記清掃体室の前部に配置され前方の物体との接触により少なくとも下端部が被掃除部側に接近するように移動可能なカバー体と、を備え、
前記清掃体は、前後方向に回転する回転清掃体であり、
前記カバー体は、前記被掃除部側に突出し左右方向に延びる複数の突起を下端部に有し、
前記カバー体が前記被掃除部に接近するように移動した位置で、前記清掃体の同一の前記清掃部材に対し、前記カバー体の前記突起が形成されていない部分の下端部は接触し、前記カバー体の前記突起の下端部は接触しない
ことを特徴とする吸込口体。
【請求項2】
前記カバー体の下端部において、前記突起が形成されていない非配置部の左右方向の長さは左右方向の最も内側に配置された部分が最大に設定されている
ことを特徴とする請求項1記載の吸込口体。
【請求項3】
前記左右方向の最も内側に配置された部分の左右方向の長さは、その左右方向の外側に配置された前記突起の左右方向の長さより大きく設定されている
ことを特徴とする請求項2記載の吸込口体。
【請求項4】
前記突起の左右方向の長さは、その突起の左右方向の外側に配置された前記非配置部の左右方向の長さと同一に設定されている
ことを特徴とする請求項2又は3記載の吸込口体。
【請求項5】
前記突起は、前記カバー体の下端部において左右方向の中央部を除く位置にある
ことを特徴とする請求項2ないし4いずれか一記載の吸込口体。
【請求項6】
前記カバー体の下端部において、前記非配置部の高さは前記左右方向の最も内側に配置された部分が最大に設定されている
ことを特徴とする請求項2ないし5いずれか一記載の吸込口体。
【請求項7】
前記突起は、前記カバー体の下端部において左右両側部を除く位置にある
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一記載の吸込口体
【請求項8】
前記カバー体は、左右方向に連なる凸形状を前部に有する
ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の吸込口体。
【請求項9】
前記カバー体と前方の物体との接触により前記カバー体と前記物体との間に前記清掃体室に連通する風路が形成される
ことを特徴とする請求項記載の吸込口体。
【請求項10】
請求項1ないしいずれか一記載の吸込口体を備える
ことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、清掃体室の前部を覆って配置されるカバー体を有する吸込口体及びこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機に用いられる吸込口体において、最前部にカバー体を備えるものが知られている。このカバー体は、吸込口体に回転可能に配置された回転清掃体を収容する清掃体室の前部をなすもので、上部が吸込口体の本体部に回動可能に支持されている。そして、このカバー体は、壁等の物体に接触したときに下端部が後方下側に向かうように回動することにより、被掃除部との高さ方向の間隙を狭くして、清掃体室の真空度を高めるように構成されている。
【0003】
掃除の際に吸引される塵埃には、粒状ごみが含まれることがあり、このような粒状ごみを吸込口体の前部から吸引できるようにすることが望まれる。その場合、吸引可能な粒状ごみの大きさに合わせてカバー体の下端部を予め高く設定すると、被掃除部とカバー体の下端部との高さ方向の間隙が広くなり、カバー体が回動していない状態での真空度が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4672553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、下端部が被掃除部側に移動した状態での真空度を確保しつつ粒状ごみを吸引可能な吸込口体及びこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の吸込口体は、本体部と、カバー体と、を備える。本体部は、清掃部材を有する清掃体が配置された清掃体室、及び、この清掃体室に連通する吸込口を有し、左右方向に延びる。清掃体は、前後方向に回転する回転清掃体である。カバー体は、清掃体室の前部に配置され前方の物体との接触により少なくとも下端部が被掃除部側に接近するように移動可能である。カバー体は、被掃除部側に突出し左右方向に延びる複数の突起を下端部に有する。カバー体が被掃除部に接近するように移動した位置で、清掃体の同一の清掃部材に対し、カバー体の突起が形成されていない部分の下端部は接触し、カバー体の突起の下端部は接触しない
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の吸込口体を示す正面図である。
図2】同上吸込口体の一部を拡大して示す正面図である。
図3図1のI-I相当位置の断面図である。
図4】(a)は図1のII-II相当位置の断面図、(b)は図1のIII-III相当位置の断面図である。
図5】同上吸込口体の一部を下方から示す斜視図である。。
図6】同上吸込口体の斜視図である。
図7】同上吸込口体を備える電気掃除機の斜視図である。
図8】第2の実施形態の吸込口体の一部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図7において、VCは電気掃除機を示す。電気掃除機VCは、電源部1からの給電により吸引源2が動作され、吸引源2の動作により生じた負圧の作用によって塵埃を空気とともに集塵部3に吸い込み、集塵部3において空気から分離した塵埃を集積する。本実施形態において、電気掃除機VCは、使用者が把持して操作するスティック型電気掃除機を例に挙げて説明する。これに限らず、電気掃除機VCは、床走行型すなわちキャニスタ型、アップライト型、ハンディ型等の任意のものとしてよい。
【0010】
電源部1は、商用電源から電力を取得するコードリール装置でもよいし、電池でもよい。本実施形態では、電源部1は二次電池である。したがって、本実施形態の電気掃除機VCはコードレスタイプである。電源部1から吸引源2への通電量が制御部4により設定される。制御部4としては、マイコンが好適に用いられる。
【0011】
吸引源2は、例えば電動送風機が用いられる。電動送風機は、電動機によりファンが回転されることで負圧を生じさせるように構成されている。
【0012】
本実施形態では、集塵部3は、含塵空気を旋回させることで塵埃を遠心分離するサイクロン式のものである。これに限らず、集塵部3は、フィルタや集塵袋等でもよい。
【0013】
電源部1、吸引源2及び制御部4は、掃除機本体5に配置される。集塵部3は、掃除機本体5に配置されていてもよいし、掃除機本体5とは別個の位置に配置されていてもよい。本実施形態において、集塵部3は、掃除機本体5に着脱可能となっている。
【0014】
掃除機本体5には、本体吸込口50が形成されている。本体吸込口50は、吸引源2の吸引側に連通する。本実施形態において、本体吸込口50は、掃除機本体5に装着された集塵部3を介して吸引源2の吸引側に連通する。また、掃除機本体5には、使用者が把持して掃除操作する把持部51が形成されている。把持部51には、使用者によって操作される押しボタン等の動作設定部52が配置されている。動作設定部52は、使用者の操作に応じて吸引源2の動作を設定する信号を生成して制御部4に出力し、制御部4は、その出力された信号を受け取り、吸引源2をその信号に応じて動作させる。制御部4は、マイコン等が好適に用いられる。さらに、掃除機本体5には、本体排気口53が形成されている。本体排気口53は、吸引源2の排気側に連通する。
【0015】
掃除機本体5の本体吸込口50には、吸引風路部6が接続される。吸引風路部6は、吸引源2の動作により生じた負圧を被掃除部CLに作用させる風路部である。吸引風路部6は、電気掃除機VCの種類に応じて適宜設定される。スティック型の電気掃除機VCの場合、吸引風路部6は、延長管60とアタッチメント61とからなる。これに限らず、吸引風路部6は、電気掃除機VCの種類に応じて、可撓性を有するホース体をさらに備えていてもよいし、アタッチメント61のみでもよい。
【0016】
延長管60は、長尺に形成されたパイプである。延長管60は、一端部が本体吸込口50と接続され、他端部がアタッチメント61と接続されて、掃除機本体5とアタッチメント61との間の距離を取ることにより、使用者が床面等の被掃除部CLを電気掃除機VCにより立った姿勢のままで掃除することを可能としている。
【0017】
アタッチメント61としては、掃除用途に応じた様々なものを選択的に用いてよいが、一例として、吸込口体7が使用される。吸込口体7は、床ブラシ、掃除ヘッド、吸込ヘッド等とも呼ばれ、床面等の被掃除部CLに沿って移動させながら塵埃を吸い込むアタッチメントである。なお、以下、吸込口体7の上下、左右、前後の方向については、吸込口体7を水平な被掃除部CL上に載置した状態で使用者から見た方向を基準として説明する。図1ないし図6においては、上方向を矢印U、下方向を矢印D、前方向を矢印FR、後方向を矢印RR、左方向を矢印L、右方向を矢印Rとして示す。
【0018】
吸込口体7は、本体部70を備える。本体部70は、合成樹脂等の部材により形成されたケース体である。本体部70は、前後方向よりも左右方向に長い、すなわち横長の形状である。本体部70の後部に接続管71が接続されている。図7に示すように、接続管71は、吸込口体7と吸引源2とを連通させる管である。本実施形態において、接続管71は、延長管60を介して、又は、本体吸込口50に直接、接続可能となっている。接続管71は、本体部70の後部において、左右方向の中央部に配置されている。
【0019】
また、図3に示すように、本体部70には、複数の室が形成されている。本体部70には、室としての吸引風路700が形成されている。吸引風路700は、本体部70の長手方向である左右方向に細長い形状に形成された吸引室である。吸引風路700は、被掃除部CLに向かい開口された吸込口7000を下部に有する。吸込口7000は、吸引源2(図7に示す)により生じる負圧を被掃除部CLに直接的に作用させる部分である。吸込口7000は、吸引風路700の下部の全体又は略全体に亘り形成されている。すなわち、吸込口7000は、左右方向に長手状に形成されている。
【0020】
吸引風路700は、室としての連通室701と連通する。連通室701は、吸引風路700の後部に隣接して位置する。連通室701は、前後方向に延び、本体部70の後部に連なって、接続管71と連通する。すなわち、連通室701は、吸引風路700と接続管71とを連通する。
【0021】
さらに、吸引風路700は、室としての清掃体室702と連通する。清掃体室702は、吸引風路700の前部に隣接して、本体部70の最前部に位置する。清掃体室702は、吸引風路700と同幅又は略同幅に形成されている。すなわち、清掃体室702は、吸引風路700と同様に左右方向に延びる長手状に形成されている。清掃体室702と吸引風路700との間には、隔壁703が形成されている。隔壁703は、左右方向に延びて形成され、下端部が本体部70の下面よりも上方に位置する。隔壁703の下端部に形成された連通風路7030を介して、清掃体室702と吸引風路700又は吸込口7000とが連通される。
【0022】
清掃体室702には、駆動部である清掃体72が動作可能に配置されている。本実施形態において、清掃体72は、左右方向に軸線を有して前後方向に回転可能な回転清掃体である。清掃体72は、軸体720を備えている。軸体720は、柱状に形成され、両端部が本体部70に回動可能に支持されている。軸体720の外部には、清掃部材721が配置されている。清掃部材721は、清掃体72の回転に伴い被掃除部CLから塵埃を掻き出すものである。清掃部材721は、例えば毛ブラシ等である。清掃部材721は、軸体720の周方向の複数箇所に離れて配置されている。清掃部材721は、軸体720から放射状に延びている。好ましくは、清掃部材721は、軸体720の両端部に亘り螺旋状に捻れて保持されている。清掃部材721の少なくともいずれかは、清掃体72の下部に位置する状態で、本体部70の下面よりも下方に延びるように軸体720からの突出長さが設定されている。本実施形態において、清掃部材721は、軸体720からの突出量が小さい第一清掃部材721aと、軸体720からの突出量が大きい第二清掃部材721bと、が設定されている。図示される例では、第一清掃部材721aと第二清掃部材721bとは、軸体720の周方向すなわち清掃体72の回転方向に交互に配置されている。
【0023】
清掃体72は、図6に示す電動機73により駆動される。電動機73は、例えば電源部1(図7に示す)から給電を受けて動作する。電動機73の動作は、駆動制御部74により制御される。駆動制御部74は、使用者により設定された動作設定部52(図7に示す)からの信号に応じて電動機73の動作を設定する。電動機73の動力は、ギヤやプーリ、タイミングベルト等の伝達手段を介して清掃体72に伝達され、清掃体72が回転駆動される。好ましくは、電動機73は、清掃体72を図3等にて矢印Aに示す反時計回り方向、すなわち吸込口体7の前進時の順方向に回転させる。これら電動機73及び駆動制御部74は、本体部70に形成された室としての電動機室704及び制御室705に収容される。電動機室704及び制御室705は、例えば本体部70の後部にて接続管71の両側に配置される。電動機室704及び制御室705は、本体部70において、図3に示す吸引風路700の上方から後方に亘り、連通室701の左右に区画されており、隔壁703を隔てて清掃体室702と前後に隣接している。
【0024】
また、清掃体室702の前部は、本体部70の外方と連通する前部開口部706に対して前カバーであるカバー体75が取り付けられて構成されている。前部開口部706は、本体部70の外殻の最前部に位置する。前部開口部706は、清掃体室702を介して吸込口7000と連通する。前部開口部706は、清掃体室702の前部の全体又は略全体に亘り形成されている。すなわち、前部開口部706は、左右方向に長手状に形成されている。前部開口部706の上縁部は、清掃体72の軸線よりも上方に位置している。
【0025】
カバー体75は、長手状に形成された四角形状であり、長手方向を左右方向とし、短手方向を上下方向として前部開口部706に配置されている。カバー体75により、前部開口部706の一部、本実施形態では過半が覆われているとともに、清掃体72の軸線方向において少なくとも清掃部材721が配置されている範囲に亘り左右方向に連なっている。カバー体75が、清掃体室702の前壁を構成する。
【0026】
カバー体75は、本体部70に取り付けられている。カバー体75は、被掃除部CL、例えば吸込口体7がフローリング等の硬質の平坦な床面、あるいは絨毯等の軟質の床面上に載置された状態で、下端部750が本体部70の下面よりも上方にあり、被掃除部CLに対して上方に離れて位置する。そのため、正面から見て、清掃体72の清掃部材721の一部がカバー体75の下端部750より下方の位置で前部開口部706から露出している。また、カバー体75は、清掃体72に対し、前方に離れて位置する。
【0027】
また、図3図4(a)及び図4(b)に示すように、カバー体75は、前方の物体OBとの接触により下端部750が被掃除部CLに接近するように形成されている。以下、「物体」とは、壁や家具等の、掃除する部屋等のエリアに設置された静的な物体を言う。本実施形態において、カバー体75は、上端部751が本体部70に回動可能に支持され、下端部750が自由端状となっている。カバー体75の上端部751は、前部開口部706の上縁部に支持されている。そのため、カバー体75の回動軸線は、清掃体72の軸線よりも上方にある。また、カバー体75の下端部750は、清掃体72の軸線よりも下方にある。
【0028】
そして、カバー体75は、二点鎖線に示す無負荷状態の位置又は自然状態の位置すなわち初期位置から物体OBとの接触により後方へと押し込まれて回動することで、下端部750が被掃除部CL及び清掃体72に接近して前部開口部706の開口面積を狭くするようになっている。なお、本実施形態では、カバー体75は、トーションばね、あるいはコイルばね等の付勢手段によって、初期位置に向かって付勢されている。そのため、カバー体75が物体OBと接触した状態ではこの物体OBとの接触を維持するとともに、カバー体75が物体OBから離れると初期位置に復帰するように構成されている。
【0029】
図1ないし図3に示すように、カバー体75の下端部750には、突起752が複数形成されている。突起752は、カバー体75の下端部750と被掃除部CLとの間の前部開口部706の開口面積を狭める方向である下方に向けて、つまり被掃除部CL側に膨出している。突起752は、清掃体室702の真空度を高める効果を有する。これら突起752の有無により、カバー体75の下端部750には上下の凹凸が左右方向に交互に形成されている。
【0030】
突起752は、カバー体75の両側方向である左右方向に延びる形状に形成されている。すなわち、突起752は、突出寸法である上下寸法よりも左右寸法が大きい。また、本実施形態において、突起752は、基端部から先端部へと、徐々に幅狭となるように形成されている。突起752は、正面から見て、下辺が上辺より短い台形状に形成されている。本実施形態では、複数の突起752の上下寸法はそれぞれ等しく設定されている。図2に示すように、本実施形態において、複数の突起752の先端部である下端部の高さHは、それぞれ等しく設定されている。なお、高さHとは、カバー体75が初期位置にある状態を基準とする。また、突起752の高さHは、所定の基準面からの高さにより定義される。所定の基準面とは、被掃除部CLに対して所定の上下方向の位置関係を有する水平面である。図2においては、本体部70の下面に配置された接地部76が接地する平面状の被掃除部CLを基準面とした例を示す。すなわち、水平なフローリング等の硬質の被掃除部CLの場合には、その表面又は被掃除面そのものが所定の基準面となる。接地部76は、走行輪等の走行部材でもよいし、不織布等の滑り部材でもよい。
【0031】
また、本実施形態では、図1に示すように、突起752は、カバー体75の下端部750において左右方向の中央部を除く位置にある。そのため、カバー体75の下端部750において左右方向の中央部には、突起752が配置されていない非配置部753が設定されている。非配置部753は、左右方向に延びて形成されている。
【0032】
好ましくは、突起752は、カバー体75の下端部750において、左右両側部を除く位置にある。そのため、カバー体75の下端部750において左右両側部には、突起752が配置されていない非配置部754がそれぞれ設定されている。非配置部754は、左右方向に延びて形成されている。
【0033】
さらに、本実施形態において、突起752は、カバー体75の下端部750の左右方向の中央部を基準として、左右に均等に配置されている。図示される例では、突起752は、カバー体75の下端部750の左右方向の中央部を基準として、左右に複数ずつ、例えば二つずつ配置されている。左右複数ずつの突起752は、互いに両側方向すなわち左右方向に離れて位置する。したがって、カバー体75の下端部750において左右複数ずつの突起752間には、突起752が配置されていない非配置部755が設定されている。非配置部755は、左右方向に延びて形成されている。
【0034】
したがって、図示される例では、カバー体75の下端部750には、左右方向の一方から他方へと、非配置部754、突起752、非配置部755、突起752、非配置部753、突起752、非配置部755、突起752、非配置部754の順に配置されている。
【0035】
また、好ましくは、カバー体75の下端部750において、突起752が形成されていない非配置部の両側方向である左右方向の長さは、左右方向の最も内側に位置する部分において最大に設定されている。ここで、「突起752が形成されていない非配置部のうち左右方向の最も内側に位置する部分」とは、非配置部のうち、カバー体75の左右方向の中央部に最も近い位置又は中央部を含む位置にある部分をいう。すなわち、本実施形態のように、カバー体75の左右方向の中央部に突起752が配置されていない場合、「突起752が形成されていない非配置部のうち左右方向の最も内側に位置する部分」とは、カバー体75の左右方向の中央部の非配置部753となる。また、例えばカバー体75の左右方向の中央部に突起752が位置する構成の場合、その突起752の左右に隣接する非配置部が、「突起752が形成されていない非配置部のうち左右方向の最も内側に位置する部分」となる。
【0036】
図示される例では、非配置部753,754,755のうち、非配置部753の左右方向の長さL1が非配置部754,755の左右方向の長さL2,L3よりも長くなるように形成されている。つまり、L1>L2及びL1>L3である。非配置部753,754,755の長さL1,L2,L3とは、非配置部753,754,755の最小長さ又は最小有効長さを言うものとする。最小有効長さとは、非配置部が機能し得る最小の長さを言う。すなわち、本実施形態のように左右方向の長さすなわち幅が上下方向に徐々に変化する非配置部753,754,755において、長さL1,L2,L3は、非配置部753,754,755の最も狭くなっている部分つまり最上部の左右方向の長さで定義する。好ましくは、非配置部753の長さL1は、連通室701(図3に示す)の左右幅以上に設定されている。
【0037】
より好ましくは、カバー体75の下端部750において、突起752が形成されていない非配置部のうち左右方向の最も内側に配置された部分の左右方向の長さは、その左右方向の外側に配置された突起752の左右方向の長さより大きく設定されている。本実施形態の場合、非配置部のうち左右方向の最も内側に配置された部分である非配置部753の長さL1は、非配置部753の左右方向の外側すなわち両側部に配置された突起752の左右方向の長さL4より大きく設定されている。つまり、L1>L4である。突起752の長さL4とは、突起752の先端部である下端部の長さ又は最小有効長さをいうものとする。最小有効長さとは、突起752が機能し得る最小の長さを言う。すなわち、本実施形態のように左右方向の長さすなわち幅が上下方向に徐々に変化する突起752において、長さL4は、突起752の下端部の左右方向の長さで定義する。
【0038】
さらに好ましくは、突起752の左右方向の長さL4は、その突起752の左右方向の外側に配置された非配置部の左右方向の長さと同一又は略同一に設定されている。本実施形態において、突起752の左右方向の長さL4は、非配置部754又は非配置部755の左右方向の長さL2又は長さL3と同一又は略同一に設定されている。
【0039】
なお、非配置部754,755の長さL2,L3については、いずれかが長くてもよいし、同一の長さでもよい。
【0040】
さらに、好ましくは、非配置部753,754,755の被掃除部CLからの高さH1,H2,H3がそれぞれ互いに等しく設定されている。これらの高さH1,H2,H3についても、突起752に高さHと同じ所定の基準面からの高さを言うものとする。
【0041】
また、図3に示すように、カバー体75は、板状に形成されている。カバー体75は、本体部70に取り付けられた状態で厚み方向が前後方向となっている。カバー体75は、板厚方向に湾曲されている。図示される例では、カバー体75は、本体部70に取り付けられた状態で前側に凸状となっている。
【0042】
好ましくは、カバー体75の前部に凸形状756が形成されている。凸形状756は、カバー体75の強度を向上するとともに、カバー体75に意匠的な特徴を加えて見栄えを向上するものである。図1に示すように、凸形状756は、カバー体75の両側方向である左右方向、すなわちカバー体75の長手方向に線状に連なって形成されている。本実施形態において、凸形状756は、カバー体75の前部に左右方向全体に亘り連なって形成されている。また、凸形状756は、カバー体75の短手方向である上下方向に並んで複数配置されている。
【0043】
さらに、好ましくは、図3及び図5に示すように、カバー体75の下端部750に、後方である清掃体72側に突出する後部突起757が形成されている。本実施形態において、後部突起757は、突起752と非配置部753,754,755とに形成されている。図示される例では、後部突起757は、左右方向に亘り連なっているが、左右方向に断続的に形成されていてもよい。
【0044】
また、好ましくは、カバー体75の後部、すなわち清掃体72に対向する側に、補強部758がカバー体75の短手方向である上下方向に形成されている。補強部758は、リブ状に形成されている。補強部758は、カバー体75の両側方向である左右方向に離れて複数形成されている。図示される例では、補強部758は、各突起752の左右方向の中央部と非配置部753の左右方向の中央部とに対応する位置に配置されている。これら補強部758の有無により、カバー体75の後部には櫛歯形状に左右の凹凸が形成されている。また、補強部758は、後部突起757に連なって形成されている。補強部758は、少なくとも清掃体72に対向する範囲に亘り配置されている。
【0045】
次に、第1の実施形態の動作を説明する。
【0046】
掃除の際には、使用者が動作設定部52を操作すると、吸引源2を動作させる信号が制御部4に出力され、制御部4が吸引源2を設定された動作で駆動させる。吸引源2の駆動により生じた負圧は、集塵部3を介して本体吸込口50から吸引風路部6へと作用する。そこで、使用者は、把持部51を把持して電気掃除機VCを前後に移動させることで、吸込口体7を掃除対象となる部屋等のエリアの被掃除部CL上で前後に移動させ、吸込口7000から作用する負圧によって塵埃を空気とともに吸い込む。
【0047】
吸込口7000から作用する負圧は、吸引風路700に塵埃を空気とともに引き込む。本実施形態では、吸引風路700と連通する清掃体室702にも負圧が作用することで、吸引風路700に直接、又は、清掃体室702から連通風路7030を介して、塵埃を空気とともに引き込む。この含塵空気は、連通室701、接続管71を経由して延長管60から本体吸込口50を介して集塵部3へと吸い込まれ、集塵部3において塵埃が分離捕集されて集積される。塵埃が分離された空気は、本体排気口53から掃除機本体5の外部に排出される。
【0048】
図4(a)及び図4(b)に示すように、壁等の物体OBの近傍の被掃除部CLを掃除する際には、吸込口体7の前部を物体OBに押し付けることにより、カバー体75の前部が物体OBにより後方に押されることで回動し、カバー体75の下端部750側が被掃除部CLに接近する。このとき、本実施形態では、下端部750に左右方向に延びる突起752が形成されているため、突起752が被掃除部CLに近接して位置することで、カバー体75により前部が覆われている清掃体室702の真空度を確保する。他方、カバー体75の下端部750において、突起752が形成されていない部分、すなわち非配置部753,754,755においては、被掃除部CLとの間に多少の上下方向の隙間が生じているため、これら非配置部753,754,755の位置から、負圧の作用によって例えば米粒等の所定の大きさを有する粒状ごみを、清掃体室702及び吸込口7000を介して吸引風路700へと吸引できる。
【0049】
また、本実施形態では、非配置部において左右方向の最も内側に配置された部分の左右方向の長さを、その左右方向の外側に配置された突起752の左右方向の長さL4より大きく設定しているため、つまり、本実施形態では非配置部753の左右方向の長さL1をその両側に位置する突起752の左右方向の長さL4より大きくしているため、例えば絨毯等の毛足が長い被掃除部CLに突起752が近接して位置した状態であっても、カバー体75の左右方向の中央部付近において、非配置部の位置に隙間を確保でき、この隙間から粒状ごみを吸引できる。
【0050】
さらに、突起752の左右方向の長さL4を、その突起752の左右方向の外側に配置された非配置部754又は非配置部755の左右方向の長さL2,L3と同一に設定しているため、カバー体75の下端部750において被掃除部CLに近接させる面積を確保でき、清掃体室702の真空度を確保できる。
【0051】
特に、使用者は粒状ごみを見つけたときに、一般的に吸込口体7の左右方向の中央部に粒状ごみが来るように吸込口体7を移動させるため、突起752がカバー体75の下端部750において左右方向の中央部を除く位置にあることで、この中央部の非配置部753から効率よく粒状ごみを吸引できる。
【0052】
このとき、カバー体75の下端部750において、突起752が形成されていない非配置部の左右方向の長さを、カバー体75の左右方向の最も内側に配置された部分で最大となるように設定しているため、つまり、本実施形態では非配置部753,754,755の長さL1,L2,L3において長さL1を最大としているため、中央部の非配置部753から吸引する粒状ごみの量を確保でき、ある程度の量の粒状ごみでも満足に吸引できる。
【0053】
さらに、掃除する部屋等のエリアのコーナーに吸込口体7を移動させたときには、コーナー部分の被掃除部CLにある塵埃を吸込口体7の側部から吸い込むこととなる。そのため、カバー体75の突起752を、下端部750において左右両側部を除く位置に形成することで、左右両側部に非配置部754を形成し、これら非配置部754からコーナー部分の塵埃を吸引できる。
【0054】
また、カバー体75の前部に左右方向である左右方向に切れ目なく連なる凸形状756が形成されていることにより、カバー体75が物体OBに接触する際にはこの凸形状756が物体OBと接触するので、カバー体75と物体OBとの接触位置がカバー体75の左右方向に亘りシールされて上方からの空気の回り込みが生じにくくなり、カバー体75と物体OBとの間に清掃体室702に連通する風路Wが形成される。そのため、この風路Wを介して、物体OBの近傍の被掃除部CLにある塵埃やコーナー部分の被掃除部CLにある塵埃を、効率よく、かつ、確実に清掃体室702側へと引き込むことができる。
【0055】
特に、使用者は、清掃体72を駆動させることで絨毯等の被掃除部CLから塵埃を掻き出し、この掻き出した塵埃を吸引することで、被掃除部CLをよりきれいに掃除することができる。清掃体72を使用する際には、動作設定部52を操作すると、駆動制御部74が電動機73を動作させて、電動機73の動力が伝達手段を介して清掃体72に伝達されて、清掃体72が駆動される。本実施形態においては、清掃体72が矢印Aに示すように回転し、被掃除部CLに入り込ませた清掃部材721により塵埃を掻き出す。
【0056】
このとき、図4(a)に示すように、カバー体75の下端部750の一部、本実施形態では突起752が形成されていない部分が、カバー体75が被掃除部CLに接近するように移動した位置で清掃体72の清掃部材721と接触するように構成されていることで、清掃体72の回転に伴い、清掃部材721に付着した塵埃がカバー体75によって叩き落され、清掃体72を除塵できる。叩き落された塵埃は、清掃体室702から吸込口7000へと吸引される。
【0057】
他方、図4(b)に示すように、カバー体75の下端部750の一部、本実施形態では突起752が形成されている部分が、カバー体75が被掃除部CLに接近するように移動した位置で清掃体72の清掃部材721と接触しないように構成されているため、清掃体72の回転に対してカバー体75との接触による負荷を抑制し、清掃体72の回転時の電動機73の負荷電流を抑制できる。
【0058】
このように、カバー体75の下端部750には、突起752が左右方向に間欠的に配置されているため、清掃体72の回転に伴いこれら突起752が清掃体72の清掃部材721を梳かして、絡み付いた髪の毛等の糸状ごみ又は線状ごみをほどいたり切断したりすることができる。
【0059】
さらに、カバー体75の下端部750の後部に後部突起757が形成されていることで、清掃体72の回転に伴う清掃部材721の移動方向に対して交差するように後部突起757の少なくとも一部が当接するため、清掃部材721に付着した塵埃をより効果的に除去できる。
【0060】
同様に、カバー体75の清掃体72に対向する後部に、上下方向すなわち清掃体72の回転方向に沿ってリブ状の補強部758が両側方向である左右方向に離れて複数形成されていることで、補強部758の有無によって櫛歯形状の凹凸が前後に生じているため、清掃体72の回転に伴い補強部758が清掃体72の清掃部材721を櫛歯状に梳かして、絡み付いた髪の毛等の糸状ごみをほどいたり切断したりすることができる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図8を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
本実施形態では、カバー体75の下端部750において、突起752が形成されていない非配置部のない高さは、非配置部のうち左右方向の最も内側に配置された部分が最大に設定されているものである。本実施形態の場合、カバー体75の下端部750は、非配置部753の高さH1が、非配置部754,755の高さH2,H3よりも高くなるように設定されている。
【0063】
そのため、物体OBの近傍の被掃除部CLを掃除する際に、中央部の非配置部753から吸引する粒状ごみの量を確保でき、ある程度の量の粒状ごみでも満足に吸引できる。
【0064】
特に、使用者は粒状ごみを見つけたときに、一般的に吸込口体7の左右方向の中央部に粒状ごみが来るように吸込口体7を移動させるため、左右方向の中央部に位置する又は中央部に最も近い非配置部753の高さH1を最大とすることで、この非配置部753から効率よく粒状ごみを吸引できる。
【0065】
なお、上記各実施形態において、カバー体75は回動するものに限らず、例えば物体OBとの接触による変形等で下端部750が被掃除部CLに接近するように移動するものでもよい。
【0066】
また、カバー体75の下端部750において、非配置部753,754,755の少なくともいずれかには、左右方向に延びない突起部が形成されていてもよい。
【0067】
さらに、本体部70は、清掃体室702と吸引風路700とを別個に形成する構成としたが、これに限らず、清掃体室702と吸引風路700とを一体的に形成した構成であっても、同様の作用効果を奏することができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
CL 被掃除部
OB 物体
VC 電気掃除機
W 風路
7 吸込口体
70 本体部
72 清掃体
75 カバー体
702 清掃体室
721 清掃部材
750 下端部
752 突起
753,754,755 非配置部
756 凸形状
7000 吸込口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8