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特許7602447監視アセンブリ、監視アセンブリを備えるクランプシステム、及び監視アセンブリによってクランプ装置を監視するための方法
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  • 特許-監視アセンブリ、監視アセンブリを備えるクランプシステム、及び監視アセンブリによってクランプ装置を監視するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】監視アセンブリ、監視アセンブリを備えるクランプシステム、及び監視アセンブリによってクランプ装置を監視するための方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/00 20060101AFI20241211BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B23Q17/00 B
B23Q3/06 304K
B23Q3/06 304G
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021185831
(22)【出願日】2021-11-15
(65)【公開番号】P2022098441
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】01635/20
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】502454802
【氏名又は名称】エロワ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】EROWA AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ヘディガー
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/178629(WO,A1)
【文献】特開2018-183863(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107848090(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06,17/00;
B23B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランプ装置(3,40,49)にクランプされたワークピースキャリア又はワークピースのクランプ品質を監視するための監視アセンブリであって、前記クランプ装置(3,40,49)に配置され、クランプされたワークピースキャリア又はワークピースの前記クランプ品質を独立して検出するための少なくとも2個のセンサ(A1~C4)と、前記センサ(A1~C4)によって測定され互いに正の相関性を有する複数のパラメータを受信装置(21)に無線送信するための送信装置(14)とを備える監視アセンブリにおいて、
前記送信装置(14)が、測定された前記複数のパラメータを前記受信装置(21)に送信するよう構成されていることを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の監視アセンブリであって、該監視アセンブリ(12)が、少なくとも1個のセンサモジュール(34,35,36,37)を備え、該少なくとも1個のセンサモジュール(34,35,36,37)により、前記センサ(A1~C4)における測定値をデジタル化して前記送信装置(14)に送信することを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の監視アセンブリであって、前記送信装置(14)に、2個の独立したマイクロプロセッサユニット(15,16)が設けられ、該マイクロプロセッサユニット(15,16)が、前記各センサモジュール(34,35,36,37)によって送信された前記測定値を独立的かつ冗長的に処理するよう構成されていることを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載の監視アセンブリであって、前記送信装置(14)が、前記2個の独立したマイクロプロセッサユニット(15,16)によって処理された測定データを送信するための少なくとも1個の送信アンテナ(17)を有することを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の監視アセンブリであって、前記少なくとも2個のセンサ(A1~A4)が、ワークピースキャリア又はワークピースのクランプ中に、前記クランプ装置(3,40,49)におけるチャック(6,7,8,9,41)又はバイス(50)の材料弾性変形を測定できるよう構成及び配置され、前記センサが、特にひずみゲージセンサ(DMS)であることを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の監視アセンブリであって、前記クランプ装置が、少なくとも1個のチャック(41)を有し、該少なくとも1個のチャック(41)が、クランプスピゴット(46)をクランプするためのクランプ要素(66)をZ方向に変位させる作動ピストン(65)を内部に含む監視アセンブリにおいて、
前記監視アセンブリが、非接触で作動する少なくとも2個のセンサ(71,72)を備え、前記少なくとも2個のセンサ(71,72)により、前記作動ピストン(65)の少なくとも2つの位置が互いに独立して検出可能であることを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載の監視アセンブリであって、前記センサが、誘導作動センサ(71,72)であり、前記誘導作動センサ(71,72)により、前記作動ピストン(65)の少なくとも1つの開放位置及び閉鎖位置が検出可能であることを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の監視アセンブリであって、前記クランプ装置(3,40)によってクランプされたワークピースキャリアのクランプ品質を監視するための監視アセンブリにおいて、
前記監視アセンブリが、前記クランプ装置(3,40)への前記ワークピースキャリアの取り付けを検出可能な少なくとも1個の更なるセンサ(B1~B4,43)を備えることを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項9】
請求項1~5の何れか一項に記載の監視アセンブリであって、該監視アセンブリが、クランプ装置(49)のバイス(50)にクランプされたワークピースのクランプ品質を監視するためのものであり、前記バイス(50)に、2個のガイドブロック(53,54)が設けられ、前記各ガイドブロック(53,54)上に、ワークピースをクランプするためのクランプジョー(51,52)が固定されている監視アセンブリにおいて、前記監視アセンブリが、前記バイス(50)における前記各ガイドブロック(53,54)へのワークピースの取り付けを検出可能な少なくとも2個の更なるセンサ(58,59)を備え
前記少なくとも2個の更なるセンサ(58,59)は、前記クランプジョー(51,52)の変位方向に対して直角に上方に測定するように前記ガイドブロック(53,54)の外側領域に配置され、クランプされた前記ワークピースの下側と前記ガイドブロック(53,54)との間の距離を検出することを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の監視アセンブリであって、該監視アセンブリに、クランプ要素を作動させるための要素の位置を検出可能な更なるセンサ(C1~C4)が設けられていることを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載の監視アセンブリであって、該監視アセンブリが、前記送信装置(14)によって送信されたデータを受信するための受信アンテナ(22)及び前記受信アンテナ(22)に接続されたゲートウェイ(24)を備え、該ゲートウェイ(24)に、前記受信したデータを独立的かつ冗長的に更に処理する2個の独立したマイクロプロセッサユニット(25,26)が設けられ、前記ゲートウェイ(24)が、加工機械の機械制御装置(28)に接続されていることを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載の監視アセンブリであって、前記検出された測定値の一致が前記2個の独立したマイクロプロセッサユニット(25,26)によって確認されると共に前記機械制御装置における所定の測定値に達した場合に、正しくクランプされたワークピースキャリア、又は正しくクランプされたワークピース、及び/又は、工作機械の信頼性の高い動作に関して、前記機械制御装置(28)に信号が冗長的に出力されるよう、前記ゲートウェイ(24)が前記送信装置(14)によって送信された前記測定値を処理することを特徴とする監視アセンブリ。
【請求項13】
ワークピースキャリア又はワークピースをクランプするためのクランプ装置(3,40,49)と、請求項1~10の何れか一項に従って構成された監視アセンブリとを備えるクランプシステム(2)において、
前記監視アセンブリ(12)が、クランプされたワークピースキャリア又はクランプされたワークピースに作用するクランプ力を独立して検出するために、前記クランプ装置上に配置された少なくとも2個のセンサ(A1~A4)を備えることを特徴とするクランプシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のクランプシステム(2)であって、前記監視アセンブリ(12)の送信装置(14)が、前記クランプ装置(3,40,49)上に配置された無線送信機を有し、受信装置(21)が、前記無線送信機から離れて配置された無線受信機を有し、前記送信装置(14)が、2個の独立したマイクロプロセッサユニット(15,16)を有し、該2個の独立したマイクロプロセッサユニット(15,16)が、各センサモジュール(34,35,36,37)から送信された同じ測定値を独立的かつ冗長的に処理すると共に、前記測定値を相互比較することによってその妥当性をチェックするよう構成されていることを特徴とするクランプシステム。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のクランプシステム(2)であって、前記センサ(A1~A4)が、ひずみゲージセンサであり、該ひずみゲージセンサが、その信号がクランプ力に実質的に比例するよう、前記クランプ装置(3,40,49)のチャック又はバイスに摩擦係合され及び/又は強固に接着されていることを特徴とするクランプシステム。
【請求項16】
請求項13~15の何れか一項に記載のクランプシステム(2)であって、前記クランプ装置(3,40)が、ワークピースキャリアをクランプするための少なくとも1個のチャック(6,7,8,9,41)を備え、前記チャック(6,7,8,9,41)が、前記ワークピースキャリアの取り付けを検出するために上側領域に配置されたセンサ(B1~B4,43)を有することを特徴とするクランプシステム。
【請求項17】
ワークピースキャリア又はワークピースをクランプするためのクランプ装置(3,40,49)と、請求項6に従って構成された監視アセンブリとを備えるクランプシステム(2)において、
前記監視アセンブリ(12)が、クランプされたワークピースキャリア又はクランプされたワークピースに作用するクランプ力を独立して検出するために、前記クランプ装置上に配置された少なくとも2個のセンサ(A1~A4)を備え、
該クランプシステムが、クランプスピゴット(46)が設けられたワークピースキャリア(45)をクランプするためのチャック(41)を備え、該チャック(41)が、前記クランプスピゴット(46)をクランプするクランプ要素を作動させるために初期位置とロック位置との間で変位可能な作動ピストンを有し、
前記チャック(41)に、前記作動ピストンの位置を監視するための更なるセンサが設けられ、特に、前記チャック(41)に、非接触で作動する少なくとも2個のセンサ(71,72)が設けられ、前記少なくとも2個のセンサ(71,72)により、前記作動ピストン(65)の少なくとも2つの位置が互いに独立して検出可能であることを特徴とするクランプシステム。
【請求項18】
ワークピースキャリア又はワークピースをクランプするためのクランプ装置(3,40,49)と、請求項6に従って構成された監視アセンブリとを備えるクランプシステム(2)において、
前記監視アセンブリ(12)が、クランプされたワークピースキャリア又はクランプされたワークピースに作用するクランプ力を独立して検出するために、前記クランプ装置上に配置された少なくとも2個のセンサ(A1~A4)を備え、
前記チャック(6,7,8,9,41)が、第1チャック(6,7,8,9)及び第2チャック(41)からなり、
前記第1チャック(6,7,8,9)が、該クランプシステムが、チャックの個数に対応する個数のクランプスピゴットを有するワークピースキャリアをクランプし、前記各第1チャック(6,7,8,9)が、前記各クランプスピゴットをクランプするクランプ要素を作動させるために初期位置とロック位置との間で変位可能な作動ピストンを有し、
少なくとも1個のチャックに、前記作動ピストンの位置を監視するための更なるセンサ(C1~C4)が設けられ、特に、前記第2チャック(41)に、非接触で作動する少なくとも2個のセンサ(71,72)が設けられ、前記少なくとも2個のセンサ(71,72)により、前記作動ピストン(65)の少なくとも2つの位置が互いに独立して検出可能であることを特徴とするクランプシステム。
【請求項19】
ワークピースキャリア又はワークピースをクランプするためのクランプ装置(3,40,49)と、請求項9に従って構成された監視アセンブリとを備えるクランプシステム(2)において、
前記監視アセンブリ(12)が、クランプされたワークピースキャリア又はクランプされたワークピースに作用するクランプ力を独立して検出するために、前記クランプ装置上に配置された少なくとも2個のセンサ(A1~A4)を備え、
各クランプジョー(51,52)に、クランプされたワークピースのクランプ力を判定するためのセンサが割り当てられていることを特徴とするクランプシステム。
【請求項20】
請求項1~12の何れか一項に従って構成された監視アセンブリにより、加工機械におけるクランプ装置を監視するための方法であって、
前記クランプ装置にクランプされたワークピースキャリア又はワークピースのクランプ品質を、少なくとも2個の独立したセンサ(A1~A4)によって判定し、前記2個の独立したマイクロプロセッサユニット(25,26)が前記各センサ(A1~A4)によって判定した測定データを、互いに比較すると共に妥当性に関してチェックし、前記判定又は計算したパラメータを、送信装置(14)によって受信装置(21)に冗長的に送信し、ゲートウェイ(24)によって前記加工機械の制御装置(28)に送信することを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記センサ(A1~A4)がひずみゲージセンサ(DMS)であり、妥当性のチェックが、前記送信装置(14)における2個の独立したマイクロプロセッサユニット(15,16)による処理後に、前記判定及び互いに比較したパラメータの一致をチェックすることを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記判定又は計算したパラメータを、前記送信装置(14)によって前記受信装置(21)にデータパケットの形式で冗長的に送信し、該送信したデータが妥当であるか否かを受信側においてチェックすることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記受信装置(21)が、ゲートウェイ(24)を有する方法において、
前記判定及び互いに比較したパラメータが一致すると共に所定の測定値に達した場合に、前記ゲートウェイ(24)が確実な動作に関するリリース信号を生成し、加工機械の制御装置(28)に冗長的に送信することを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記ゲートウェイ(24)が、前記リリース信号をバイナリ信号の形式で発し、前記測定値が妥当であると共に所定値に達している場合に前記リリース信号が1の値を取り、検出した測定値が妥当でないか又は所定値に達していない場合に前記リリース信号が0の値を取ることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に従って構成された監視アセンブリ、監視アセンブリを備える請求項14に従って構成されたクランプシステム、並びに監視アセンブリによってクランプ装置を監視するための請求項21に係る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に記載の形式の監視アセンブリにおいて、クランプ装置は、特にそれら各クランプ装置によってクランプされたワークピースキャリア(パレット)又はクランプ装置内にクランプされたワークピースが正しくかつ確実にクランプされた否かに関して監視される。特にクランプの質(クランプ品質)に関する情報を推測できるのが好適であり、この場合に測定されたパラメータは受信機に無線送信される。
【0003】
特許文献1(欧州特許出願公開第3391991号明細書)には、クランプスピゴットが設けられたパレットをクランプするよう構成されたチャックが既知である。このチャックには、クランプスピゴット用の位置決め孔と、クランプスピゴットを位置決め孔内でクランプするためのクランプ要素を含むクランプ手段とが設けられている。チャックには、少なくとも1個のセンサが配置され、その少なくとも1個のセンサにより、チャックに関する少なくとも1つのパラメータ、及び/又は、パレットとチャックとの相互作用に関する少なくとも1つのパラメータ、及び/又は、パレットに関する少なくとも1つのパラメータが検出可能である。チャックには、少なくとも1個のセンサによって判定されたパラメータを無線送信するための送信機が設けられている。第1センサにより、クランプスピゴットに作用するクランプ力を判定することができる。この目的のために、第1センサは、パレットがクランプされたときにチャックの材料弾性変形を測定できるよう構成されると共に、チャック上に配置されている。チャックには更に、チャックへのパレットの取り付けを検出可能な第2センサを設けることができる。
【0004】
特許文献2(欧州特許第1998932号明細書)には、3個のクランプジョーを有するクランプヘッドを備えるチャックが既知である。チャックは、クランプヘッドを収容するための円錐状の位置決め孔を有する回転対称的な基体を備える。チャックを位置決め孔内に引き込むために、機械のスピンドルの一部であるドローチューブが設けられている。このようなチャックは、特に旋盤において使用される。チャック本体の外面には第1センサが設けられ、チャック本体の外面の凹部には第2センサが配置されている。最後に、ドローチューブには3個目のセンサが配置されている。これらセンサは、ひずみゲージとして構成されると共に、それぞれに信号処理ユニットが統合されている。各信号処理ユニットには、測定値を無線送信するための送信装置が割り当てられている。この実施形態のチャックにより、チャックのクランプ力が判定可能である。最小クランプ力に達した場合、チャックのメンテナンスを行う必要がある。ワークピースの軸線方向における位置決めは、監視されておらず、また判定することもできない。ワークピースの存在に関するメッセージが出されることはない。更に、無線送信中に生じ得るエラーが検出されることもない。
【0005】
特許文献3(欧州特許出願公開第2052808号明細書)には、ワークピースキャリアを解放可能に固定するためのチャックを備えるクランプ装置が既知である。チャックには、ロック機構が設けられ、そのロック機構は、ロック位置において、ワークピースキャリアに接続されたクランプスピゴットに係合する複数のクランプ要素を含む。各クランプ要素には貫通孔が設けられ、これら貫通孔は、各クランプ要素が正しくロックされると一端が閉鎖されている。代替的又は付加的に、貫通孔が設けられた作動要素が各クランプ要素に割り当てられ、その作動要素の貫通孔は、各クランプ要素が正しくロック及び/又はロック解除されたときに一端が閉鎖されている。各クランプ要素又は作動要素の各貫通孔は、共通の接続ラインを介して空気圧源に接続されている。接続ラインには、空気流を検出するための少なくとも1個のセンサが設けられている。このセンサにより、クランプ要素が正しくロック解除されたか又はロックされたか否かを検出することができる。センサは、電子制御・評価装置に接続されている。
【0006】
更に、特許文献4(欧州特許出願公開第2759372号明細書)には、工作機械用のクランプ装置が既知である。この工作機械は、工具用の工具ホルダを有する回転可能なスピンドルを備える。クランプ装置は、工具をクランプするために設けられている。工具ホルダ内における工具の正しいクランプ又は不正なクランプを検出するために、クランプ装置は、異なる測定点に力センサを備えており、これにより異なる測定点のそれぞれに作用するクランプ力が検出される。各力センサは、工具ホルダにおける環状の着座面上に配置されている。各センサは、工具がクランプされたときに圧縮されるよう着座面上において突出している。これにより、クランプ力が検出可能であると共に、工具が正しくクランプされているか否か、又はミスアライメント及び/又は不正な位置決めが生じているか否かが検出可能である。力センサとしては、AOWセンサ(表面弾性波センサ)が使用される。力センサは、着座面上において、工作機械の中心軸線周りで回転対称的に配置されている。工具が正しく配置されている場合、各力センサは同じ大きさのクランプ力を検出するのに対して、工具が斜めにクランプされている場合、各力センサは異なる大きさのクランプ力を検出する。各センサの電気信号は、送受信ユニットに無線送信され、評価ユニットで評価される。
【0007】
特許文献5(欧州特許出願公開第2093016号明細書)には、インテリジェントなマルチパーツクランプ装置が記載されている。このクランプ装置は、ベースプレート上に配置された複数のクランプジョーで構成され、固定されたクランプジョー及び変位可能なクランプジョーが一種のバイスを形成している。クランプジョーには、ワークピース取り付けセンサ又はラムエア・ワークピース取り付けコントロールが配置され、前者はケーブルで無線モジュールに接続されている。ワークピースがクランプジョーに正しく差し込まれているか否かは、センサによって監視される。
【0008】
特許文献6(欧州特許出願公開第3028804号明細書)には、送信アセンブリ、特にエネルギー及び/又は信号を送信すると共に、マシニングセンターで使用するための送信アセンブリが記載されている。この場合、信号及び電圧は、固定された機械フレームから回転チャックに誘導送信される(チャックの方向のみならず逆の方向にも送信される)。各チャックは、クランプジョーを有し、これらクランプジョーは、電気モータで変位可能であると共に、チャック本体に支持されている。電気モータは、所定の実際位置に到達するとスイッチオフされ、クランプジョーは、スプリングアセンブリ及び機械的摩擦ブレーキによって停止される。電気モータは、クランププロセス中にスプリングアセンブリを圧縮し、これによりクランプジョーにクランプ力が加えられる。電気モータがスイッチオフされた後、機械的摩擦ブレーキによってクランプジョーの滑り又は解放が回避される。更に、クランプジョーの位置は、加工エラー又はクランプされたワークピースの解放を検出するために、加工プロセス中に恒久的に監視される。クランプジョー及び/又は電気モータの動作状態及び位置を恒久的に監視するために、これらには複数の測定センサが割り当てられており、複数の測定センサは、対応する測定データを生成し、誘導送信装置を介してこれらデータを送信する。誘導送信装置は2個の部分で構成されており、一方は回転チャックに配置され、他方は固定支持フレームに配置されている。これら2個の送信装置は互いに同一平面上に配置され、空間的に分離されていることにより、チャックの回転が可能になると同時に、電気モータを作動させるための測定信号、測定データ、及び/又は、電圧の誘導送信が可能である。
【0009】
特許文献7(欧州特許出願公開第3620248号明細書)には、回転可能な部分から相対回転不可能な部分にデータを誘導送信することができる結合装置が開示されている。特に、動作中に回転するチャックを顧客側の制御装置に接続し、結合装置によって監視することができる。チャックは、ワークピースを固定するために、半径方向に変位可能なクランプジョーを有する。各クランプジョーは、割り当てられた電気モータで駆動される。クランプされたワークピースの加工プロセス中に回転するチャックにエネルギーを供給するために、チャックには第1伝達装置が設けられ、その第1伝達装置は、電気モータ及び測定センサに電気ラインで接続されている。クランプジョーの位置及び電気モータの電圧又は電気モータの速度は、測定センサによって測定される。支持フレームには、相対回転不可能に配置された第2伝達装置が取り付けられている。測定データは、回転可能な第1伝達装置から、相対回転不可能に配置された第2伝達装置に誘導送信される。第2伝達装置は、プログラム可能なインターフェースに電気ラインで接続されている。チャックの変形例において、チャックには、第2伝達装置に接続された2つのインターフェースが設けられている。両方のインターフェースは、互いに独立して、測定センサの測定データセットを受け取り、それら測定データセットを評価する。2つのインターフェースにおける測定結果が一致した場合、制御装置はリリース信号を受信するのに対して、測定結果が異なる場合、加工プロセスは中断されるか又は解放されない。
【0010】
最後に、特許文献8(欧州特許出願公開第2457688号明細書)には、ワークピースを位置決め及び固定するための方法が開示されている。この方法のプロセスステップにより、ワークピース又はワークピースキャリアの有無を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許出願公開第3391991号明細書
【文献】欧州特許第1998932号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2052808号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2759372号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2093016号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3028804号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3620248号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2457688号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、冒頭に記載の技術分野に属し、クランプ装置にクランプされたワークピースキャリア又はワークピースのクランプ品質を監視するための監視アセンブリを提供することである。この監視アセンブリは、1つ又は複数のパラメータ、特に、クランプされたワークピースキャリア又はワークピースの確実なクランプに関する情報を推測可能とするパラメータを、一方で確実に検出することができ、他方でデータラインなしで受信機に確実に送信することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題の解決策は、請求項1の特徴によって規定されている。本発明によれば、クランプ装置にクランプされたワークピースキャリア又はワークピースのクランプ品質を監視するための監視アセンブリは、クランプされたワークピースキャリア又はワークピースのクランプ品質を独立して検出するための少なくとも2個のセンサを備え、送信装置は、判定又は計算されたパラメータを受信装置に冗長的に送信するよう構成されている。クランプされたワークピースキャリア又はワークピースのクランプ品質を独立して検出するために少なくとも2個のセンサが設けられていれば、1個のセンサが提供する可能性のあるエラーを、例えば測定データを相互比較することで検出することができる。測定データを送信装置から受信装置に冗長的に送信すれば、送信リンク上のエラー検出し、必要に応じて排除することができる。
【0014】
監視アセンブリの好適な実施形態及び構成は、従属請求項2~13に記載されている。
【0015】
好適な実施形態においては、監視アセンブリが、少なくとも1個のセンサモジュールを備え、その少なくとも1個のセンサモジュールにより、センサにおける測定値をデジタル化して送信装置に送信することが想定されている。測定データのこのような処理により、信頼性が高まると共に、送信装置への測定値の送信が容易になる。更に、各センサモジュールは、必要に応じて、1個のセンサ又は複数のセンサへの給電に使用することができる。
【0016】
監視アセンブリの特に好適な実施形態においては、送信装置に、2個の独立したマイクロプロセッサユニットが設けられ、そのマイクロプロセッサユニットが、各センサモジュールによって送信された測定値を独立的かつ冗長的に処理するよう構成されている。この構成は、一方では、メッセージのエラーを即座に検出し、必要に応じて測定が妥当か否かをチェックするのに寄与する。他方では、互いに独立した異なるマイクロプロセッサは異ならせてプログラムすることも可能であり、これは冗長な測定データの検出及び処理に関して有利である。
【0017】
送信装置は、好適には、2個の独立したマイクロプロセッサユニットによって処理された測定データを送信するための少なくとも1個の送信アンテナを有する。測定データは、送信アンテナによって受信装置に無線送信でき、上述した構成要素は、コンパクトで省電力なコンポーネントにまとめる(グループ化する)ことができる。
【0018】
特に好適には、監視アセンブリは、少なくとも2個のセンサを備え、これらセンサは、それらの測定値が互いに正の相関性を有するよう配置されている。これにより、検出された値を相互比較することができるため、測定値の正確さに関して特に容易にチェックすることができる。
【0019】
監視アセンブリは、特に好適には、少なくとも2個のセンサを備え、その少なくとも2個のセンサが、ワークピースキャリア又はワークピースのクランプ中に、クランプ装置におけるチャック又はバイスの材料弾性変形を測定できるよう構成及び配置され、センサが、特にひずみゲージセンサ(DMS)である。DMSセンサは、高精度で長期安定性に優れていることが特徴であり、従って上述したセンサの配置により、実際のクランプ力に関する情報を極めて容易に推測することができる。
【0020】
監視アセンブリの好適な実施形態は、少なくとも1個のチャックを有するクランプ装置を監視し、その少なくとも1個のチャックは、クランプスピゴットをクランプするためのクランプ要素をZ方向に変位させる作動ピストンを内部スペースに含む。この場合、監視アセンブリは、非接触で作動する少なくとも2個のセンサを備え、その少なくとも2個のセンサにより、作動ピストンの少なくとも2つの位置、好適には3つの位置が互いに独立して検出可能である。この実施形態は、2個のセンサにより、チャックの異なる状態を確実に監視することを可能にし、また誘導作動センサが使用されるのが特に好適である。
【0021】
更なる好適な実施形態において、監視アセンブリは、クランプ装置へのワークピースキャリアの取り付けを検出可能な少なくとも1個の更なるセンサを備える。このようなセンサにより、ワークピースキャリアが実際にクランプ装置のZ支持部上の所定位置に直接的にあるのか、又は屑などの汚れの上にあり、従ってZ方向に正しく配置されていないか否かを検出することができる。
【0022】
監視アセンブリの更なる実施形態においては、クランプ装置のバイスにクランプされた
ワークピースのクランプ品質が監視され、この好適な実施形態における監視アセンブリは、バイスにおける各ガイドブロックへのワークピースの取り付けを検出可能な少なくとも2個の更なるセンサを備える。これにより、ワークピースが正しくクランプされているか、又は例えば斜めにクランプされているかを検出することができる。
【0023】
更に、監視アセンブリの好適な実施形態においては、監視アセンブリに、クランプ要素を作動させるための要素の位置を検出可能な更なるセンサが設けられていることが想定されている。この実施形態は、ロボットによるワークピースキャリアの自動供給又は自動取り外しに関して特に重要である。なぜなら、ワークピースキャリアを供給又は取り外すには、クランプ要素を作動させるための上述した要素が初期位置又は開放位置になければならないからである。
【0024】
特に好適な実施形態においては、監視アセンブリが、送信装置によって送信されたデータを受信するための受信アンテナ及び受信アンテナに接続されたゲートウェイを備え、そのゲートウェイに、受信したデータを独立的かつ冗長的に更に処理する2個の独立したマイクロプロセッサユニットが設けられ、ゲートウェイが、加工機械の機械制御装置に接続されている。この実施形態は、データが信頼性高く受信されると共に、ゲートウェイによって加工機械の機械制御装置に送信できるのに寄与する。
【0025】
監視アセンブリの特に好適な実施形態においては、検出された測定値の一致が確認されると共に機械制御装置における所定の測定値に達した場合に、正しくクランプされたワークピースキャリア、又は正しくクランプされたワークピース、及び/又は、工作機械の信頼性高い動作に関して、機械制御装置に信号が冗長的に出力されるよう、ゲートウェイが送信装置によって送信された測定値を処理する。これにより、ワークピースキャリア又はワークピースが確実かつ正確にクランプされたときにのみリリース信号が存在するため、加工機械の信頼性高い動作を保証することができる。
【0026】
本発明の更なる課題は、ワークピースキャリア又はワークピースをクランプするためのクランプ装置と、請求項1~13の何れか一項に従って構成された監視アセンブリとを備えるクランプシステムを提供し、ワークピースキャリア又はワークピースが確実にクランプされているか否かを信頼性高く検出できるようにすることである。
【0027】
この課題は、請求項14に係るクランプシステムによって解決される。クランプシステムの監視アセンブリが、クランプされたワークピースキャリア又はクランプされたワークピースに作用するクランプ力を独立して検出するために、クランプ装置上に配置された少なくとも2個のセンサを備えることにより、ワークピースキャリア又はワークピースの確実なクランプに関連する測定値は、互いに独立して2回検出される。これにより、ワークピースキャリア又はワークピースが確実にクランプされているか否かを信頼性高く検出できるという基本的な前提条件が得られる。
【0028】
クランプシステムの好適な実施形態は、従属請求項15~20に規定されている。
【0029】
クランプシステムは、好適には、監視アセンブリの送信装置が、クランプ装置上に配置された無線送信機を有し、受信装置が、無線送信機から離れて配置された無線受信機を有するよう構成され、送信装置が、2個の独立したマイクロプロセッサユニットを有し、その2個の独立したマイクロプロセッサユニットが、各センサモジュールから送信された測定値を独立的かつ冗長的に処理すると共に、測定値を相互比較することによってその妥当性をチェックするよう構成されている。これにより、測定データの妥当性に関する冗長的な前処理を送信側、即ちクランプ装置内又はクランプ装置上で既に行うことができる。
【0030】
クランプシステムの特に好適な実施形態においては、センサとしてひずみゲージが使用され、ひずみゲージが、その信号がクランプ力に実質的に比例するよう、クランプ装置のチャック又はバイスに摩擦係合され及び/又は強固に接着されている。DMSは、高精度で優れた長期安定性を有するため、チャック又はバイスにおける材料の変形を測定することにより、ワークピースキャリア又はワークピースに作用するクランプ力に関する正確な情報、従ってクランプ品質に関する正確な情報を提供するのに特に適している。
【0031】
クランプシステムの更なる好適な実施形態においては、クランプシステムのクランプ装置が、ワークピースキャリアをクランプするための少なくとも1個のチャックを備え、チャックが、ワークピースキャリアの取り付けを検出するために上側領域に配置されたセンサを有する。そのようなセンサにより、ワークピースキャリアのZ位置を正確に判定可能であり、このことは、例えば、Z支持部領域で生じ得る汚れに関して重要である。
【0032】
クランプシステムの特に好適な実施形態においては、クランプシステムが、クランプスピゴットが設けられたワークピースキャリアをクランプするためのチャックを備え、そのチャックが、クランプスピゴットをクランプするクランプ要素を作動させるために初期位置とロック位置との間で変位可能な作動ピストンを有し、チャックに、作動ピストンの位置を監視するための更なるセンサが設けられている。作動ピストンの位置を検出することは、ハンドリングロボットによるクランプシステムの自動装備に関して、特に不所望な損傷を引き起こさないようにするのに特に重要である。
【0033】
クランプシステムの特に好適な実施形態においては、クランプシステムが、チャックの個数に対応する個数のクランプスピゴットを有するワークピースキャリアをクランプするための少なくとも2個のチャックを備え、各チャックが、各クランプスピゴットをクランプするクランプ要素を作動させるために初期位置とロック位置との間で変位可能な作動ピストンを有し、少なくとも1個のチャックに、作動ピストンの位置を監視するための更なるセンサが設けられている。少なくとも1個の作動ピストンの位置が監視されることにより、ワークピースキャリアが基本的に供給可能か又は取り外し可能かに関する情報を推測することができる。
【0034】
クランプシステムの代替的な実施形態においては、クランプ装置が、2個のクランプジョーを備えるバイスとして構成され、各クランプジョーに、クランプされたワークピースのクランプ力を判定するためのセンサが割り当てられている。クランプ力が両方のクランプジョーによって判定されることにより、ワークピースが確実にクランプされているか否かに関しての情報を推測することができる。
【0035】
最後に、本発明の更なる課題は、請求項1~14の何れか一項に従って構成された監視アセンブリにより、加工機械におけるクランプ装置を監視するための方法を提供することである。この方法においては、クランプされたワークピースキャリア又はワークピースのクランプ品質が特定の要件を満たしているか否かを確実かつ容易に判定可能であり、測定値に基づいて加工機械及び/又は関連するハンドリングロボットの制御に影響を及ぼすことができる。
【0036】
この課題は、請求項21に係る方法によって解決される。クランプ装置にクランプされたワークピースキャリア又はワークピースのクランプ品質が、少なくとも2個の独立したセンサによって判定され、各センサによって判定された測定データが、互いに比較されると共に妥当性に関してチェックされ、判定又は計算されたパラメータが、送信装置によって受信装置に冗長的に送信され、検出された測定値に基づいて加工機械の制御が影響を受けることにより、クランプ装置又はワークピースキャリアによって加工機械にクランプされたワークピースの加工中に、信頼性を確保することができる。
【0037】
本発明の方法の好適な実施形態は、従属請求項22~25に規定されている。
【0038】
特に好適な方法において、妥当性のチェックが、送信装置における2個の独立したマイクロプロセッサユニットによる処理後に、判定及び互いに比較されたパラメータの一致がチェックされることを含む。これにより、確実なクランプに関連する測定値の二重検出の他に、冗長な評価も行われる。
【0039】
本発明の特に好適な実施形態においては、判定又は計算されたパラメータが、送信装置によって受信装置にデータパケットの形式で冗長的に送信され、その送信されたデータが妥当であるか否かが受信側においてチェックされる。これにより、無線リンク上のエラーを検出することができる。
【0040】
更なる好適な実施形態においては、判定及び互いに比較されたパラメータが一致すると共に所定の測定値に達した場合に、ゲートウェイによって確実な動作に関するリリース信号が生成され、加工機械の制御装置に冗長的に送信されることが想定されている。このように、加工機械の信頼性高い動作にとって必要な前提条件が満たされた場合、即ちワークピースキャリア又はワークピースが確実にクランプされた場合にのみリリース信号が存在する。
【0041】
最後に、本発明の特に好適な実施形態においては、ゲートウェイが、リリース信号をバイナリ信号の形式で発し、測定値が妥当であると共に所定値に達している場合にリリース信号が1の値を取り、検出された測定値が妥当でないか又は所定値に達していない場合にリリース信号が0の値を取ることが想定されている。従って、ワークピースキャリア又はワークピースが正しく確実にクランプされている場合にのみ、リリース信号が1の値を取るため正の信頼性を達成することができる。停電などの不具合が生じた場合には、リリース信号が自動的に0の値を取り、これが機械制御装置によって直ちに検出され、機械が停止するか又は少なくともエラーメッセージが出力される。
【0042】
本発明の更に有利な実施形態及び特徴の組み合わせは、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲全体から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】第1クランプ装置を、監視装置と一緒に示す略図である。
図2】第2クランプ装置を、ワークピースキャリア及び監視装置における個々の構成要素と一緒に示す斜視図である。
図3図3aは、図2におけるクランプ装置を、持ち上げられた状態のワークピースキャリアと一緒に示す断面図である。図3bは、図3aにおけるクランプ装置を、そのクランプ装置上にクランプされたワークピースキャリアと一緒に示す断面図である。図3cは、図2におけるクランプ装置を、ワークピースキャリアなしで示す更なる断面図である。
図4】バイスとして構成された第3クランプ装置を、監視装置における個々の構成要素と一緒に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、クランプ装置3を監視装置12と一緒に概略的に示す。第1長方形1によって機械スペースが概略的に表されており、その機械スペース内に加工機械が配置され、クランプ装置3がその上に載せられて使用される。破線2によってクランプシステムが表されており、そのクランプシステムは、クランプ装置3及び監視装置12の一部を備える。図示のクランプ装置3は、いわゆる4連チャックであり、4個のチャック6,7,8,9がベースプレート5上に配置されている。各チャックは、ワークピースキャリア(図示せず)に配置されたクランプスピゴットを収容してクランプするための中央位置決め孔(図示せず)を備える。クランプスピゴットを位置決め孔内にクランプするために、各チャック6~9にはクランプ機構が設けられている。4個のチャックの上側は、チャックのX‐Y平面を形成し、そのX‐Y平面に対していわゆるZ軸線が直交している。このようなチャックは、例えば、特許文献1又は独国特許出願公開第102013014036号明細書に原理的に既知であるため、各チャックは概略的にのみ表すと共に、本発明に関連する幾つかの特徴についてのみ説明するものとする。
【0045】
クランプされたワークピースキャリアのクランプ品質を検出するための複数のセンサの他に、監視装置12は、破線で表された送信装置14及び受信装置21を備える。図示の実施例においては、各チャック6~9に3個のセンサA1,B1,C1;A2,B2,C2;A3,B3,C3;A4,B4,C4が割り当てられており、その機能については以下により詳細に説明する。各チャック6~9における3個のセンサA1~C1;A2~C2;A3~C3;A4~C4は、それぞれセンサモジュール34,35,36,37に接続され、そのセンサモジュールにおいては、各センサで測定された測定値の処理が行われる。各センサモジュールは、一方では、センサ(ひずみゲージ又はホイートストンブリッジ回路、誘導センサなど)への給電(フィーディング)を担当する。他方では、アナログ測定信号をデジタル化するA/Dコンバータが統合されているため、これら測定データを比較的少数のラインL1~L4を介して、理想的にはセンサモジュール34~37毎に1つのラインを介して、送信装置14にデジタル送信することができる。送信装置14には、測定データの前処理を行う2個の独立したマイクロプロセッサユニット15,16が設けられている。2個のマイクロプロセッサユニット15,16には、測定データの独立的かつ冗長的な処理を保証するために、異なるマイクロプロセッサが設けられるのが好適である。送信装置14には更に、測定データを無線送信するために、無線モジュール(無線送信機)及び送信アンテナ17が設けられている。図示の実施例において、2個のマイクロプロセッサユニット15,16によって処理された測定データを送信するための送信アンテナ17が設けられている。更に、クランプシステム2には加速度センサ18が設けられ、図示のように送信装置14領域に配置することができる。
【0046】
送信装置14への供給を行うために、電池又はアキュムレータの形態の電源19が使用されるのが好適であり、その電源19は、例えば、クランプ装置3における別箇の電池用コンパートメントに収容することができる(電池及び電池用コンパートメントの何れも図示せず)。必要に応じて、パワーパック、誘導電源、又は環境からのエネルギー変換(環境発電)用の装置を設けることもできる。
【0047】
クランプ装置3から離れて配置された受信装置21(無線受信機)は、受信アンテナ22の他に、データを処理するためのゲートウェイ24を有する。一般的に知られている技術用語であるゲートウェイとは、スイッチングデバイス、特にコンピュータネットワークにおけるスイッチングデバイスとしての転送ポイントを指す。コンピューティングにおいて、ゲートウェイは、2つのシステム間の接続を確立するコンポーネント(ハードウェア及び/又はソフトウェア)を意味するものと理解される。ゲートウェイ24も、受信したデータを評価するための2個の独立したマイクロプロセッサユニット25,26を有する。この場合も、2個のマイクロプロセッサユニット25,26には、受信した測定データの独立的かつ冗長的な処理を保証するために、異なるマイクロプロセッサが設けられるのが好適である。互いに異なると共に独立したマイクロプロセッサは、異なるソフトウェアでプログラムすることも可能であり、これによりやはり信頼性が高まる。
【0048】
受信アンテナ22は、第1ケーブル23を介してゲートウェイ24に接続され、そのゲートウェイ24は、第2ケーブル27を介して機械制御装置28に接続されている。機械制御装置28は、第3ケーブル29を介してハンドリングロボット30に接続されている。ゲートウェイ24は、第4ケーブル31を介してサービスツール32にも接続されている。図示のゲートウェイ24は、クランプシステムを表すライン2の外側に表されているが、基本的には監視装置12の構成要素であると共に、クランプシステムに割り当てられている。ハンドリングロボット30により、クランプ装置3にワークピースキャリア又はワークピースを供給したり、クランプ装置3からワークピースキャリア又はワークピースを取り外したりすることができる。機械制御装置28は、クランプ装置3が載せられて使用される加工機械を制御する。最後に、サービスツールは、較正及び診断をするためのツールとして機能する。上述した図示のケーブル23,27,29,31は、ラインとして概略的に表されているだけであるが、この文脈におけるケーブルという用語は、任意の種類の電気接続部を意味しており、単芯及び多芯の電気ライン、並びに複数の独立したラインを包含するものと理解される。このようにゲートウェイ24は、例えば、以下により詳細に説明するように、少なくとも2つのラインを介して機械制御装置28に接続されている。
【0049】
ゲートウェイ24は、アンテナ22により、送信装置14からデジタル送信されたデータを受信すると共に、評価を行う。無線データ送信においては、例えば、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、又は2.4 GHzの周波数領域における独自の無線送信機などの標準化されたインターフェースを使用することが好適であり、以下により詳細に説明するように、Bluetooth Low Energy(BLE)無線技術を使用することが特に好適である。
【0050】
送信されたデータに基づいて、ゲートウェイ24は、クランプ装置の状態、例えば、チャックは開放、パレットは存在しない、パレットは所定位置にある、パレットはクランプされている、パレットは10 kNでクランプされているなどを検出可能であり、それを機械制御装置28又は機械制御装置28に接続されたプロセス制御システムに中継することができる。機械制御装置28又はプロセス制御システムは、コマンドをハンドリングロボット30に送信することができ、例えば、ワークピースキャリアをクランプ装置3に移送したり、ワークピースキャリアをクランプ装置3から取り外したりすることができる。誤作動が生じた場合又は機械的クランプが不十分であることが検出された場合、特にクランプ装置3にクランプされたワークピースキャリアの加工中であっても各加工機械を直ちに停止することができる。何れにせよ、センサにおける測定値に基づいて、加工機械及び/又は関連するハンドリングロボットの制御に影響を及ぼすことができる。
【0051】
チャック6~9毎における3個のセンサのうち、各第1センサA1,A2,A3,A4は、クランプスピゴットが各クランプチャック内にクランプされているクランプ力を測定するよう機能する。この目的のために、チャック、特にハウジングの材料弾性変形を測定できるひずみゲージに基づくセンサ(以下DMSと称する)が使用されるのが好適である。これにより、クランプスピゴットが各チャックに引き込まれたり各チャック内にクランプされたりする力に関する情報を推測することができる。
【0052】
更なる各センサB1,B2,B3,B4は、一方ではワークピースキャリアの存在を確認するよう機能する。他方では各センサB1~B4により、ワークピースキャリアの正確なZ位置を判定することもできる。この目的のために、ワークピースキャリアの存在又は取り付けを検出するようチャック6~9の上側領域に配置された誘導動作センサが使用されるのが好適である。
【0053】
更なる各センサC1,C2,C3,C4は、クランプ要素を作動させるための作動ピストンの位置を監視するよう機能する。作動ピストンにより、クランプスピゴットをクランプするためのクランプ要素(クランプボール)を半径方向内方に向けて押し込み、これによりクランプ要素がクランプスピゴットに対して摩擦係合的に当接する。作動ピストンによってクランプ要素が半径方向内方に向けて押し込まれると、作動ピストンは作動位置にある。作動ピストンが初期位置に押された場合、クランプ要素は、開放位置にあるか又は少なくとも開放位置に押し戻すことができる。従って、作動ピストンの開放位置においては、クランプスピゴットをチャックに導入するか又はチャックから取り外すことができるのに対して、作動ピストンのロック位置においては、クランプ要素がクランプ位置にあり、クランプスピゴットがチャック内にクランプされている。作動ピストンがロック位置にある場合、クランプスピゴットはチャックに導入することもチャックから取り外すこともできない。このようなチャックの場合、作動ピストンは通常、空気圧で作動し、空気圧で開放位置に移動されるのに対して、ばね作用によってロック位置に押されると共に、自己保持力でそのロック位置に留まる。これは、圧縮されていなくてもチャックがロックされるため、圧縮空気がなくてもワークピースキャリアが確実にクランプされてその状態を維持するという利点がある。
【0054】
チャック6~9毎に3個のセンサを設ける必要はなく、要件に応じて、1個、2個、3個のセンサを設ければ十分であり得ることは言うまでもない。場合によっては、4個のチャックのうちの2個にのみセンサを設ければ十分である。そのような場合、好適には、互いに対角線上に位置する2個のチャック6,8又は7,9にセンサが配置され、そのセンサにより、各クランプスピゴットがチャック内にクランプされているクランプ力を測定することができる。
【0055】
更に、加速度センサ18は、クランプ装置3の位置を判定するために使用される。加えて、クランプ装置3の動きも加速度センサ18で監視することができる。従って、例えばワークピースの加工中に生じる振動は、連続的に監視することができ、限界値を超えたことが検出された場合には加工プロセスを直ちに停止することができる。
【0056】
無線送信において特に好適に使用されるBluetooth Low Energy(BLE)技術は、送信に必要なエネルギーが極めて僅かであり、約10メートルの送信距離を有する。更に、BLEは国際的に標準化された無線インターフェースであり、従って2.4 GHzの周波数で世界中において使用可能である。BLEは例えばスマートフォンにも使用されているため、対応部品は極めて多く製造され、従って有利なコストで入手することができる。従って、例えば、スマートフォンがチャックと通信することもできる。これにより、当該技術には、例えば特許文献6に開示されている誘導送信と比べても極めて多くの利点がある。
【0057】
以下、監視装置における幾つかの実現可能な機能モードを説明する。
【実施例1】
【0058】
この例においては、チャック6~9ごとに1個のセンサ、即ち存在するクランプ力を測定するためのDMSセンサA1,A2,A3,A4のみが設けられていると仮定する。
【0059】
ワークピースキャリア(図示せず)がクランプ装置3にクランプされた後、DMSセンサA1~A4によって測定され、センサモジュール34,35,36,37でデジタル化されたデータは、送信装置14における2個のマイクロプロセッサユニット15,16で並行して処理される。この場合、様々なセンサの測定データは、2個のマイクロプロセッサユニット15,16によって互いに独立して処理されると共に、相互比較によってその妥当性がチェックされる。DMSセンサA1~A4における測定値は、最大でも所定値だけ互いに相違していてもよい。判定された測定値が所定の許容範囲内にある場合、測定値が送信装置14によって受信装置21に送信される。ただし、測定値が互いに著しく異なる場合、エラーが存在することが既に送信側で検出可能であり、必要に応じてエラーメッセージを出力することが可能である。この場合、エラーにもかかわらず、測定値を受信装置21に送信することができる。
【0060】
測定値の妥当性が判定される上述した測定値の相互比較とは別に、ワークピースキャリア又はワークピースが必要なクランプ力で正しくクランプされているか否かを判定するために絶対的な測定値も勿論使用される。
【0061】
測定又は判定されたデータは、好適には、その妥当性が送信前にチェックされ、送信後に再び妥当性がチェックされる。
【0062】
DMSセンサA1~A4によって測定されたクランプ力など、互いに正の相関性を有する測定データが2個のマイクロプロセッサユニット15,16で比較されると共に妥当性がチェックされるという事実により、既に送信装置14において測定データの前処理を行うことができ、必要に応じて、データ量を減少して受信装置21に送信することができる。測定データが妥当な場合には送信装置14から受信装置21に送信されるのに対して、測定データが妥当でないことが検出された場合にはエラーメッセージが送信される。エラーメッセージに加えて、必要に応じて、測定データも送信することができる。実際の測定値、即ち各クランプスピゴットがチャック内にクランプされるクランプ力を送信するか、代替的に測定値が妥当な場合には「クランプOK」という意味でデータ量を減少して送信することもできる。場合によっては、対角線上に配置された2個のセンサからの測定値のみを検出し、その測定値の妥当性をチェックするだけでも十分である。ただし、4個のDMSセンサA1,A2,A3,A4の全てのデータが判定されると共に妥当性がチェックされた場合、4個のクランプスピゴットの全てがワークピースキャリア上に存在し、何れも欠落していないことを保証することもできる。
【0063】
メッセージの破損、メッセージの意図しない反復、メッセージの不正な順序、メッセージ損失、メッセージの時間的遅延、例えば誤作動又は不正な送信者に起因する不正情報の挿入など、発生し得る無線リンク上の送信エラーを回避するために適切な措置を講じる必要がある。
【0064】
測定データは、好適には、デジタルデータパケットの形式で冗長的に送信される。各データパケットには、混乱に対して安全なコーディングを施すことができるため、受信側において対応する割り当てを行うことができる。
【0065】
受信側において、データパケットはアンテナによって受信され、ゲートウェイ24における2個のマイクロプロセッサユニット25,26で評価される。送信された測定データは、好適には、受信側においても相互比較によって妥当性がチェックされる。相互比較とは別に、クランプが正しいか否かを判定するために、絶対的な測定値も使用する必要がある。
【0066】
信頼性を確実に確保するために、正しいクランプが検出された場合、ゲートウェイ24がクランプ信号(リリース信号)を生成し、その信号が機械制御装置によって監視される。正しいクランプとは、一方では相互比較によって測定値の妥当性が検出され、他方では所定の最小クランプ力に達していることを意味する。ゲートウェイは、リリース信号をバイナリ信号の形式で発するのが好適であり、測定値が妥当であると共に所定値に達している場合にリリース信号は1の値を取り、検出された測定値が妥当でないか又は所定値に達していない場合にリリース信号は0の値を取る。両方のマイクロプロセッサユニット25,26が正しいクランプを検出すると、ゲートウェイ24における2個のマイクロプロセッサユニット25,26によって、1の値を有する2つのリリース信号が互いに独立して生成される。機械制御装置は、リリース信号を送信するために2つのラインを介してゲートウェイ24に接続され、両方のラインにおけるリリース信号が1の値を取る場合にのみ、機械制御装置28によって正しいクランプが検出される。このように、リリース信号は、機械制御装置28に冗長的に(2回)送信される。
【0067】
ゲートウェイ24が送信リンク上で許容できないエラーが生じたことを検出すると、やはりエラーが生成され、リリース信号は0の値を取る。これにより、機械制御装置は加工機械を停止させる。受信装置(電子機器)の欠陥又は他の誤作動、例えば停電又は妥当でない測定値の場合、リリース信号はやはり0の値を取り、これにより機械制御装置28はやはり加工機械を停止させる。
【0068】
特に好適には、データは、破損及び/又はエラーを検出するために、無線送信において冗長な情報で強化される。このような措置を講じることにより、エラー及び/又は破損を最後にではなく早期に検出することができる。
【0069】
送信装置14及び受信装置12については上述したが、送信装置14から受信装置21への一方向のデータ送信のみが行われるわけではなく、上述したように逆方向にデータを送信することもできる。
【0070】
何れにせよ、確実なクランプに関連する測定データ又はパラメータは、本発明に従って構成された監視装置で2回、即ち冗長的に検出され、これら測定データは、送信側において2個の独立したマイクロプロセッサユニット15,16を使用して相互比較することによって妥当性がチェックされた後に冗長的に送信され、受信側においてゲートウェイ24における2個の独立したマイクロプロセッサユニット25,26を使用して再びダブルチェック及び冗長的に評価され、最後に機械制御装置28に再び冗長的に送信される。このように、これら各ステップにおいては、二重の安全性が組み込まれているため、無線送信を含む測定チェーン全体が確実に信頼性高く機能する。
【実施例2】
【0071】
この例においては、クランプ装置3における全てのセンサの測定データが検出される。好適には、同じ種類のセンサのデータが互いに比較され、妥当性がチェックされる。一方では、DMSセンサにより、クランプされたワークピースキャリアのクランプ品質を上述したように判定することができる。原則として、安全性に関連する測定値は常に互いに比較される。
【0072】
他方では、更なるセンサB1,B2,B3,B4により、ワークピースキャリアの存在及びその正確な位置を判定することができる。各チャック6~9の上側領域に配置された誘導センサB1~B4は、各センサからのワークピースキャリアの正確な距離を測定することができる。これにより、特に、ワークピースキャリアがクランプ装置3上又は各チャック6~9のZ支持部上に平らに載っているか否かを検出することができ、例えば汚染により、Z支持部とワークピースキャリアにおける対応の支持部との間に、ワークピースキャリア上にクランプされたワークピースの加工精度に悪影響を及ぼす不所望の距離が存在しないことを検出することができる。これにより、例えば、屑がパレットの下にクランプされ、従ってパレットが該当箇所上に例えば0.1 mmだけ載っていないか否かを検出することができる。ワークピースキャリアが不正に取り付けられていることが検出された場合、エラーメッセージが出力され、リリース信号は0の値を取る。
【0073】
更なる各センサC1,C2,C3,C4は、クランプ要素を作動させるための作動ピストンの位置を監視するのに使用される。作動ピストンの位置に基づいて、作動ピストンが開放位置にあるのか又はロック位置にあるのかに関する情報を推測することができる。この情報は、クランプスピゴットを各チャックに導入できるか又は各チャックから取り外すことができるかに関して使用することができる。これにより、ロボットによってワークピースキャリアを供給できるか又は取り外すことができるかも勿論判断可能である。ただし、ワークピースキャリアの供給又は取り外しは、作動ピストンが開放位置にあるときにのみ行われなければならない。
【0074】
更に、クランプ装置3の位置は、加速度センサ18によって判定することができる。クランプ装置3の動きも加速度センサ18で監視することができる。
【0075】
図2は、クランプ装置40の更なる実施形態を、ワークピースキャリア45及び監視装置における個々の構成要素と一緒に斜視図で示す。図示のクランプ装置は、単一のチャック41として構成されている。チャック41には、ワークピースキャリア45上に配置されたクランプスピゴット46を収容するための中央位置決め孔42が設けられている。図示の例において、監視装置は、クランプ装置40に配置された送信装置14と、送信装置14から離れて配置された受信装置21との他に、クランプ力を判定するための2個のセンサと、ワークピースキャリア45の位置を判定するための第3センサ43と、クランプ要素を作動させるための作動ピストンを監視するための第4センサと、クランプ装置40の位置を判定するための第5センサとを備え、第3センサ43以外のセンサは、図2に表されていない。
【0076】
クランプ力を測定するよう機能する2個の第1センサは、DMSセンサとして構成され、そのセンサによってチャック41の材料弾性変形を測定することができる。第3センサ43は、チャック41の上側に配置された誘導センサであり、その誘導センサによってワークピースキャリア45の存在又は正しい取り付けを判定することができる。第4センサは、チャックの内部に配置された誘導センサであり、クランプ要素を作動させるための作動ピストンの位置、即ち作動ピストンが開放位置にあるかロック位置にあるかを検出する。最後に、第5センサは、クランプ装置40上に配置された加速度センサであり、これによってチャック41の位置及び/又は動きを検出することができる。
【0077】
送信装置14及び受信装置21は、基本的には図1に示すものと同様に構成されているが、図2に明示されているように、ゲートウェイ24には多芯ケーブル27が設けられ、その多芯ケーブルを介してリリース信号を機械制御装置(図示せず)に冗長的に中継可能であることが分かる。リリース信号を冗長的に送信するための多芯ケーブル27の他に、ゲートウェイ24と機械制御装置との間には、好適には、チャックは開放、パレットは存在しない、パレットは所定位置にある、パレットはクランプされている、パレットは10 kNでクランプされているなど、例えば付加的な情報を機械制御装置に送信するための更なるラインも設けられている。
【0078】
図2に示す監視装置と図1に示す監視装置との違いは、図2に示す監視装置が、単一のチャック41に配置されてクランプ力を測定するDMSセンサを2個しか備えないことである。2個のDMSセンサは、互いに正の相関性を有する測定値を検出するようチャック41に配置されている。この目的のために、2個のDMSセンサは、ワークピースキャリア45がクランプされたときに、材料弾性変形、即ちチャック41の材料弾性変形を正確かつ反復的に検出できるようチャック41の上側領域に取り付けられている。これにより、クランプ装置40上におけるワークピーキャリア45の正しいクランプを2個のDMSセンサで信頼性高く確実に監視することができる。
【0079】
上述した2個のDMSセンサは、ワークピースキャリア45がチャック41に確実にクランプされているか否かを監視するのに原則的に十分である。なぜなら、チャック41における所定の弾性変形は、クランプスピゴット46に十分に大きなクランプ力が作用したときにのみ生じるからである。クランプスピゴット46に所定の大きさのクランプ力が作用していれば、ワークピースキャリア45は確実にクランプされていると想定することができる。ワークピースキャリア45がクランプされていないか又は正しくクランプされていない場合、2個のDMSセンサによって検出することができる。なぜなら、ワークピースキャリア45が正しくクランプされていない場合のチャック41の弾性変形は、正しくクランプされている場合よりも小さいからである。正しいクランプを示す測定値は、システムのテスト測定及び較正によって判定されると共に保存される。DMSセンサの測定値は、送信装置14での相互比較によって既に妥当性がチェックされるのが好適である。測定値が妥当であると思われる場合には、その測定値が送信装置14によって受信装置21に送信され、測定値が妥当でないと思われる場合には、エラーメッセージが送信される。エラーメッセージに加えて、必要に応じて測定値も送信することができる。エラーメッセージは、受信装置21によって受信され、それに応じてゲートウェイ24における両方の出力に0の値を有する信号が存在し、その信号が機械制御装置によって検出される。リリース信号が0の値を取ると、進行中の加工プロセスは中断されるか又は開始することさえできない。
【0080】
測定値が妥当であると思われる場合、その測定値が送信装置14によって受信装置21に送信され、そこで2個のマイクロプロセッサユニット25,26によって評価される。この場合、測定値は、指定された値(設定値)と比較される。両方のマイクロプロセッサユニット25,26が設定値に達したことを検出すると、正しいクランプであることが検出され、リリース信号は1の値を取る。このリリース信号は、好適には、別々のラインを介して機械制御装置に冗長的に送信される。リリース信号が1の値を取ると、加工プロセスを開始又は継続することができる。
【0081】
他方で、受信装置21における2個のマイクロプロセッサユニットのうちの少なくとも1個が設定値に達していないことを検出した場合、クランプが不正であることが検出され、リリース信号は0の値を取り、その信号がやはり機械制御装置によって検出される。この場合も、リリース信号は、機械制御装置に冗長的に送信される。リリース信号が0の値を取ると直ぐに、進行中の加工プロセスは中断されるか又は開始することさえできない。
【0082】
要約すれば、正しいクランプは、測定値が妥当であると共に、設定値に達している場合にのみ検出される。何れにせよ、リリース信号は、大きな測定値又は所定の測定値がセンサに存在すると共に、その測定値が最大でも所定値だけ互いに相違している場合にのみ1の値を取る。ライン/ケーブルの物理的な構成にかかわらず、リリース信号が冗長的に送信されるのが重要である。
【0083】
ワークピースキャリア45の正しいクランプの他に、更なるセンサを使用することによってクランプ装置40又はチャック41の更なる状態を確認することができる。第3センサにより、ワークピースキャリア45がチャック41上に取り付けられているか否かを検出することができる。上述したように、第3センサ43の測定信号の大きさに基づいて、チャック41に対するワークピースキャリア45の位置を判定することもできる。第4センサにより、クランプ要素(クランプボール)を作動させるための作動ピストンの位置を判定することができる。特に、作動ピストンが初期位置又はロック位置にあるか否かを判定することが可能である。ロック位置において、クランプ要素は、半径方向内方に向けて押圧されるため、クランプ要素がクランプスピゴットに対して摩擦係合的に当接するか又は当接することができる。作動ピストンが初期位置に押された場合、クランプ要素は、開放位置にあるか又は少なくとも開放位置に押し戻すことができる。従って、開放位置においては、ワークピースキャリア45のクランプスピゴット46をチャック41の位置決め孔42に導入し、又は位置決め孔42から取り外すことができる。作動ピストンの各位置の検出は、特にハンドリングロボットによるクランプ装置40の自動装備に関連して重要である。なぜなら、これによりクランプ装置40を損傷させることなくワークピースキャリア45を供給又は取り外しできるか否かが推測可能だからである。最後に、クランプ装置40の位置は、加速度センサとして構成された第4センサによって判定することができる。クランプ装置40は、必要に応じて、ワークピースの加工中に、第4センサによって揺れ/振動に関して監視することもできる。
【0084】
各種センサの測定データは、上述したように、送信装置14によって受信装置21に冗長的に送信することができる。言うまでもなく、5個のセンサが存在する必要はなく、また5個のセンサが存在する場合であっても、全ての測定値を送信する必要はなく、又は少なくとも全ての測定値を常に受信装置21に送信する必要はない。ワークピースキャリアの確実なクランプを検出するためには、原則として、2個のDMSセンサのデータを評価すれば十分である。
【0085】
図3aは、図2におけるクランプ装置のチャック41を、持ち上げられた状態のワークピースキャリア45と一緒に断面図で示す。図3aにおいて、チャック41の内部に配置された作動ピストン65が明示されており、その作動ピストン65は、球状に形成されたクランプ要素66を作動させるよう機能し、これによりワークピースキャリア45に固定されたクランプスピゴット46をチャック41内にクランプすることができる。
【0086】
図示の実施例において、監視アセンブリは、チャック41の上側に配置された2個の誘導センサ43,44と、チャック41の上側ハウジング部分に配置された2個のDMSセンサ69,70との他に、チャック41の内部に配置された非接触作動する2個のセンサ71,72を備え、これら2個のセンサ71,72により、作動ピストン65の少なくとも2つの位置を検出することができる。2個のセンサ71,72は、互いに正反対に位置し、作動ピストン65までの距離を測定する。好適には、誘導作動するセンサ71,72が使用され、これらセンサ71,72により、作動ピストン65の少なくとも2つの異なる位置、好適には3つの異なる位置を検出することができる。チャック41の上側に配置された2個の誘導センサ43,44によってワークピースキャリア45の存在又は取り付けを検出することができるのに対して、2個のDMSセンサ69,79によってチャックハウジングの弾性変形を測定することができ、実際に存在するクランプ力が推測可能である。チャック41の内部に配置されたセンサ71,72は、固定されると共に、変位可能な作動ピストン65の上側までの距離を測定する。ワークピースキャリア45が持ち上げられた状態であれば、ワークピースキャリア45の下側とチャック41の上側に配置された2個の誘導センサ43,44との間に比較的大きな距離Y1が存在するため、2個のセンサ43,44によってワークピースキャリア45が取り付けられていないことが検出される。
【0087】
作動ピストン65を図3aの初期位置に移動させるために、作動ピストンは、圧縮ばね力に抗するよう空圧で上方に向けて移動させる。この目的のために、作動ピストン65の下方に配置された環状スペースに過剰圧力が負荷される。この初期位置において、作動ピストン65は、ハウジング上側部分によって形成された上側ストッパに当接している。従って、チャック41は、ワークピースキャリア45のクランプスピゴット46がチャック41に導入可能か又はチャック41から取り外し可能な開放位置にある。作動ピストン65の初期位置/開放位置においては、作動ピストン65と各センサ71,72との間の距離X1は最小であり、例えば約0.5 mm~数 mmの間に位置することができる。この状態においては、各センサ71,72における測定値が較正中に検出され、「開放位置」として保存される。2個のDMSセンサにおける測定値も、「開放位置」として保存される。更に、チャック41の上側に配置された2個の誘導センサ43,44における測定値は、ワークピースキャリアは「取り付けられていない」又は「存在しない」として保存される。
【0088】
図3bは、図3aにおけるチャック41を、そのチャック41上にクランプされたワークピースキャリア45と一緒に断面図で示す。この場合に作動ピストン65は、ロック位置にあり、ロック位置においては、作動ピストンが圧縮ばね力を受けてチャックベース方向に下方に向けて変位する(環状空間68に過剰圧力は負荷されていない)。作動ピストン65が下方に向けて移動すると、内側に配置されると共に下方に向けて僅かに円錐状に広がる押圧面により、クランプ球66がクランプスピゴット46の肩部に当接するまで、クランプ球66がチャック41の中央孔68の内方に向けて押し込まれる。従って、作動ピストン65のチャックベース方向への変位経路は、クランプスピゴット46の押圧面に当接するクランプ球66によって制限される。作動ピストン65は、ばね力によって図示のロック位置に保持されるのに対して、クランプスピゴット46は、自己保持力によって保持される。
【0089】
図3bに示す作動ピストン65のロック位置においては、作動ピストン65と各センサ71,72との間の距離X2が初期位置と比べて遥かに大きく、例えば約1~4 mm大きい。この状態においては、各センサ71,72における測定値は、再び較正中に検出され、「正しくクランプされている」として保存される。ワークピースキャリア45がクランプされると、クランプ球66がクランプスピゴット46に及ぼすクランプ力によってチャックハウジングの弾性変形が生じ、その弾性変形は、2個のDMSセンサによって正確かつ反復的に測定することができる。更に、チャック41の上側に配置された2個の誘導センサ43,44における測定値は、ワークピースキャリアは「存在する」又は「取り付けられている」として保存される。これは、ワークピースキャリア45の下側とチャック41の上側に配置された2個の誘導センサ43,44との間に比較的小さな距離Y2があるからである。
【0090】
図3cは、図3aにおけるチャック41をワークピースキャリアなしでやはり断面図で示す。この場合、クランプスピゴットがチャック41の中央孔68に収容されていないため、クランプ球66は、作動ピストン65によって中央孔42の内側に押し込まれ、これにより作動ピストン65を圧縮ばね67の作用で作動ピストン65の終端位置まで完全に下方に向けて移動させることができる。このための前提条件は、作動ピストン65の下方のスペース68が所定の過剰圧力で空圧的に負荷されていないことである。この状態においては、作動ピストン65と各センサ71,72との間の距離X3が比較的大きく、ロック位置の場合と比べて例えば約1~4 mm大きい。この状態においては、各センサ71,72における測定値は、再び較正中に検出され、「正しくクランプされていない」又は「ワークピースキャリアが存在しない」として保存される。
【0091】
センサ71,72によって測定された値は、チャックの各状態が確実かつ反復的に検出できるよう、上述した3つのチャック状態に割り当てることができる。この目的のために、2個のセンサ71,72は、好適には、意識的かつ正確にもたらされたチャック41の3つの状態で較正される。チャック41の各状態において、2個のセンサ71,72は、チャック状態の明確な割り当てを行えるよう、少なくともほぼ同一の値又は較正値を測定する必要がある。2個のセンサにおける測定データは、好適には、上述したように、2個のマイクロプロセッサユニットによって互いに独立して処理されると共に、測定データの相互比較によってその妥当性がチェックされ、これによりチャック状態の明確な割り当てが可能である。
【0092】
場合によっては、2個のセンサ71,72における測定値は、例えば2個のセンサ71,72が作動ピストン65の異なる箇所において測定する場合には同一である必要はないが、較正状態で測定された値に対応する必要はある。何れにせよ、センサ71,72は、作動ピストン65から異なる距離に配置することも可能である。唯一重要なことは、チャック41における少なくとも2つの作動状態、好適には3つの作動状態に、2個のセンサ71,72によって明確な値が割り当てられると共に、作動状態を明確に区別できることである。区別されるべき3つの作動状態とは、特に以下のとおりである。
‐チャックは開放されている。
‐チャックは閉鎖され、ワークピースキャリアが正しくクランプされている。
‐チャックは閉鎖され、ワークピースキャリア又はクランプスピゴットが存在しない。
【0093】
ただし、各作動状態には、固定された単一値が割り当てられているわけではなく、所定の許容範囲が割り当てられている。
【0094】
言うまでもなく、上述したセンサを異なる組み合わせで備える単一のチャックのみならずクランプ装置の両方を提供することができる。最も単純なケースにおいては、測定値が互いに正の相関性を有する2個のセンサを設ければよい。即ち、チャックのクランプ状態/作動状態に関して確実な情報を推測するために、チャックハウジングの弾性変形を判定するための2個のDMSセンサ、又は作動ピストン65の位置を監視するための2個のセンサを設ければ十分であり得る。上述したセンサの組み合わせも勿論可能であり、この場合、チャックの上側に配置されると共に、ワークピースキャリアの位置に関する情報を提供する誘導センサを付加的に設けることができる。
【0095】
何れにせよ、チャックの作動においては、「チャック開放」又は「チャック閉鎖及びワークピースキャリアが正しくクランプされている」というリリース信号は、2個のセンサにおける測定値が所定の範囲内にある場合にのみ生成される。
【0096】
チャックの確実な作動を監視するために、最初に説明したDMSセンサの代わりに、作動ピストンの位置を監視するための2個のセンサを設けることができる。ただし、必要に応じて、2個のDMSセンサ及び作動ピストンの位置を監視する2個のセンサを組み合わせることも可能である。場合によっては、チャックの上側に配置される2個の誘導センサを組み合わせることもできる。
【0097】
図4は、更なるクランプ装置49の斜視図である。このクランプ装置は、監視装置(図示せず)と一緒にやはりクランプシステムを構成している。クランプ装置49は、それ自体既知のバイス50であり、2個の変位可能なクランプジョー51,52が設けられている(図示のクランプジョー51は持ち上げられている)。2個のクランプジョー51,52は、スピンドル60によって作動する。2個のクランプジョー51,52の間には、概略的に表されたワークピース64をクランプすることができる。2個のクランプジョー51,52は、ねじによってガイドブロック53,54上に固定することができる。ワークピースをバイス50に固定するには、ワークピースが2個のクランプジョー51,52の間にクランプされる。バイス50は、安定した基体55を備え、その基体55の上部には、2個の変位可能なガイドブロック53,54をガイドするための平行に延在する2個のガイドレール56,57が設けられている。バイス50には、基体55の下側に固定されたクランプスピゴット63が設けられ、図2に表されているように、そのクランプスピゴットによってチャックに固定することができる。言うまでもなく、バイス50は、他の方法で加工機械に固定することもできる。
【0098】
クランプ装置49には、上述したように、送信装置(図示せず)が設けられている。クランプジョー51,52の間でクランプされたワークピースのクランプ品質を監視するために、2個のガイドレール56,57にはそれぞれDMSが配置されている(図3では1個のDMS61だけが表されている)。DMSを外部の影響から保護するために、カバーキャップ62が設けられている。各DMSは、ガイドレール56,57上の箇所、即ちワークピースのクランプ中に大きな力及びこれに対応して大きな弾性材料変形が生じる箇所に配置され、その変形はDMSによって測定可能である。DMSセンサがガイドレール56,57上に配置されていることにより、使用されるクランプジョーにかかわらず、これらセンサでクランプ力が測定可能であり、従ってDMSセンサに何らかの変更を加える必要なくクランプジョー51,52を交換することができる。
【0099】
また、各ガイドブロック53,54には、クランプされたワークピースの位置を検出するための各センサ58,59が設けられている。各センサ58,59は、クランプジョー51,52の変位方向に対して直角に上方に、即ちZ方向に測定するようガイドブロック53,54の外側領域に配置され、従ってクランプされたワークピースの下側と各ガイドブロック53,54との間の距離を検出する。2個のセンサ58,59は、互いに対角線上に配置されている。位置検出をするためのセンサ58,59は、好適には、誘導近接スイッチの形態の誘導動作センサである。これにより、例えば、斜めにクランプされたワークピースを検出できるのが好適である。位置検出センサ58,59がガイドブロック53,54上に配置されていることにより、使用されるクランプジョーにかかわらず、これらセンサで測定を行うことができる。
【0100】
送信装置及び受信装置の他に、上述した4個のセンサは、やはり監視装置の一部を構成している。送信装置は、好適には、バイスの下側半分の領域に配置された凹部に収容される。送信装置及び受信装置は、基本的に図1に示すものと構造が同じであるため、ここでは詳細に説明しない。2個の位置検出センサ58,59は、バイス50の可動部(ガイドブロック)上に配置されているため、可動ケーブルを介して基体55に収容された送信装置に接続されている。2個のDMSセンサは、従来のケーブルを介して送信装置に接続されている。2個のDMSセンサにおける測定データを相互比較することによって、やはり測定データの妥当性を相互にチェックすることができる。従って、2個のDMSによって、クランプされたワークピースのクランプ品質を上述したように冗長的に監視することができる。上述した4個のセンサの他に、バイスに配置された加速度センサなど付加的なセンサを設けることも可能であり、これによりバイスの位置のみならず、必要に応じてバイスの動きを検出することができる。更に、2個のガイドブロック53,54の間の距離を測定するためのセンサを設けてもよい。
【0101】
上述した実施形態は、決定的又は包括的でないことは言うまでもない。従って、例えば、送信装置及び受信装置には、測定値を冗長的に送信するために、2個の独立した送信機及び受信機を設けることができる。更なるパラメータを監視するために、チャック又は各クランプ装置に付加的なセンサを設けることもできる。例えば、温度センサを使用することもできる。更なるセンサのデータは、送信装置を使用して無線送信することができる。作動ピストンの位置を判定するために、誘導方式のセンサ71,72の代わりに、例えば、超音波センサ、静電容量センサ、光学センサを設けることもできる。
【0102】
本発明に従って構成された監視装置の「より単純な」変形例も想定可能である。この場合、例えば、2個のセンサでクランプ力のみが冗長的に監視され、そのクランプ力は、必ずしも絶対的に高分解能で検出される必要はなく、場合によってはクランプ力を例えば2~10段階で検出及び/又は監視し、送信装置によって送信することで十分である。また、送信装置と受信装置との間で双方向のデータ交換が可能である。これにより、例えば、ソフトウェアのアップデートを受信装置から送信装置に送信することができる。
【0103】
クランプ品質という用語は、本明細書において、必要なクランプ力(部品の大きさ及び加工中にワークピースに作用する加工力による)と、実際に測定されたクランプ力又は測定値との比率を意味すると理解される。
【0104】
本発明に従って構成された監視装置の幾つかの利点を以下に簡単に要約する。
‐ワークピースキャリア/ワークピースとクランプ装置との間のクランプ品質を確実に監視し、離れた場所に無線送信することができる。
‐送信されたデータは、検出、保存、外部評価することができる。
‐クランプされたワークピースキャリア又はワークピースのクランプ品質は、2個のセンサだけで信頼性高く確実に監視することができる。
‐パラメータを継続的に監視することができる。
‐特定のパラメータの測定により、加工の信頼性が高まる。特に、クランプ力又はクランプスピゴットの引き込み力を継続的に監視することにより、有用な安全関連データを得ることができる。
‐送信装置及び受信装置に2個の異なるマイクロプロセッサを設けることにより、測定データを独立的かつ冗長的に処理することができる。
‐測定データの送信及び評価を含む測定チェーン全体が、信頼性高く冗長的に構成されている。
【符号の説明】
【0105】
1 機械スペース
2 クランプシステム
3 クランプ装置

5 ベースプレート
6 第1チャック
7 第2チャック
8 第3チャック
9 第4チャック
10
11
12 監視アセンブリ
13
14 送信装置
15 第1マイクロプロセッサユニット
16 第2マイクロプロセッサユニット
17 送信アンテナ
18 加速度センサ
19 電源
20
21 受信装置
22 受信アンテナ
23 第1ケーブル
24 ゲートウェイ
25 第1マイクロプロセッサユニット
26 第2マイクロプロセッサユニット
27 第2ケーブル
28 機械制御装置
29 第3ケーブル
30 ハンドリングロボット
31 第4ケーブル
32 サービスツール
33
34 第1センサモジュール
35 第2センサモジュール
36 第3センサモジュール
37 第4センサモジュール
38
39
40 クランプ装置
41 チャック
42 中央孔
43 センサ存在パレット
44
45 ワークピースキャリア(パレット)
46 クランプスピゴット
47
48
49 クランプ装置
50 バイス
51 クランプジョー
52 クランプジョー
53 ガイドブロック
54 ガイドブロック
55 基体
56 ガイドレール
57 ガイドレール
58 第1位置センサ
59 第2位置センサ
60 スピンドル
61 DMS
62 カバー
63 クランプスピゴット
64 ワークピース
65 作動ピストン
66 クランプ球
67 圧縮ばね
68 環状スペース
69 第1DMSセンサ
70 第2DMSセンサ
71 第1誘導センサ(作動ピストン)
72 第2誘導センサ(作動ピストン)

L1~L4 ライン(センサモジュール)
A1~C4 センサ
図1
図2
図3
図4