(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241211BHJP
B60R 16/037 20060101ALI20241211BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20241211BHJP
H04N 5/93 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B60R16/037
H04N5/77
H04N5/93
(21)【出願番号】P 2021193538
(22)【出願日】2021-11-29
【審査請求日】2023-11-28
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 優惟子
(72)【発明者】
【氏名】宮田 隆史
【審査官】宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-130502(JP,A)
【文献】特開2012-103046(JP,A)
【文献】特開2006-189977(JP,A)
【文献】国際公開第2006/120929(WO,A1)
【文献】特開2018-063133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
B60R 16/037
H04N 5/77
H04N 5/93
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行環境を認識する認識手段と、
前記認識手段により認識された走行環境について変化の有無を判定する第1判定手段と、
前記車両の搭乗者の感情を推定する推定手段と、
前記第1判定手段により前記走行環境について変化があると判定され、且つ、前記推定手段により推定された感情が変化したことに基づいて、再生対象のコンテンツを決定する決定手段と、
前記決定手段により決定されたコンテンツを再生させるための制御を行う制御手段と、
を備え
、
前記第1判定手段は、前記車両の走行シーンが、前記車両の搭乗者の運転の負荷が軽減されると推測される走行シーンとなった場合に、前記走行環境について変化があると判定し、
前記走行環境と前記推定手段により推定された感情とのうち少なくともいずれかが変化していないと判定された場合には、前記決定手段による前記再生対象のコンテンツの決定および前記制御手段によるコンテンツの再生は行われないように制御される、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第1判定手段は、前記車両の搭乗者の運転操作を示す信号と生体情報の少なくともいずれかの変化に基づいて、前記走行環境について変化の有無を判定することを特徴とする請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記推定手段により推定された感情について変化の有無を判定する第2判定手段、をさらに備え、
前記決定手段は、前記第2判定手段により前記感情について変化があると判定された場合、前記再生対象のコンテンツを決定する、
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記決定手段により決定されたコンテンツを再生するようコンテンツ再生装置を制御することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記決定手段により決定されたコンテンツの情報を含む画面を表示装置に表示させることを特徴とする請求項
4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記画面は、コンテンツの再生の指示を受付可能であり、
前記制御手段は、前記指示を受け付けた場合に、コンテンツを再生するよう前記コンテンツ再生装置を制御することを特徴とする請求項
5に記載の制御装置。
【請求項7】
コンテンツの情報を分析する分析手段、をさらに備え、
前記決定手段は、前記分析手段による分析結果に基づいて、前記認識手段により認識された走行環境に対応すると判定されたコンテンツを前記再生対象のコンテンツとして決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記分析手段は、前記コンテンツのテキスト情報の特徴を分析することを特徴とする請求項
7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記特徴は、地名、シーン、季節、の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項
8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記車両の位置情報に基づいて、該位置情報に対応するコンテンツの情報を外部の装置に要求する要求手段、をさらに備え、
前記決定手段は、前記要求手段による要求に応じて前記外部の装置から取得したコンテンツを前記再生対象のコンテンツとして決定する、
ことを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記認識手段は、前記車両の情報、交通情報、地図情報、気象情報の少なくともいずれかに基づいて、前記走行環境を認識することを特徴とする請求項1乃至
10のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項12】
前記推定手段は、音声、顔画像の少なくともいずれかに基づいて、前記車両の搭乗者の感情を推定することを特徴とする請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記コンテンツは楽曲であることを特徴とする請求項1乃至
12のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項14】
制御装置において実行される制御方法であって、
車両の走行環境を認識する認識工程と、
前記認識工程において認識された走行環境について変化の有無を判定する判定工程と、
前記車両の搭乗者の感情を推定する推定工程と、
前記判定工程において前記走行環境について変化があると判定され、且つ、前記推定工程において推定された感情が変化したことに基づいて、再生対象のコンテンツを決定する決定工程と、
前記決定工程において決定されたコンテンツを再生させるための制御を行う制御工程と、
を有
し、
前記判定工程では、前記車両の走行シーンが、前記車両の搭乗者の運転の負荷が軽減されると推測される走行シーンとなった場合に、前記走行環境について変化があると判定し、
前記走行環境と前記推定工程において推定された感情とのうち少なくともいずれかが変化していないと判定された場合には、前記決定工程における前記再生対象のコンテンツの決定および前記制御工程におけるコンテンツの再生は行われないように制御される、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項15】
コンピュータを、
車両の走行環境を認識する認識手段、
前記認識手段により認識された走行環境について変化の有無を判定する判定手段、
前記車両の搭乗者の感情を推定する推定手段、
前記判定手段により前記走行環境について変化があると判定され、且つ、前記推定手段により推定された感情が変化したことに基づいて、再生対象のコンテンツを決定する決定手段、
前記決定手段により決定されたコンテンツを再生させるための制御を行う制御手段、
として機能させ
、
前記判定手段は、前記車両の走行シーンが、前記車両の搭乗者の運転の負荷が軽減されると推測される走行シーンとなった場合に、前記走行環境について変化があると判定し、
前記走行環境と前記推定手段により推定された感情とのうち少なくともいずれかが変化していないと判定された場合には、前記決定手段による前記再生対象のコンテンツの決定および前記制御手段によるコンテンツの再生は行われないように制御される、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツの再生のための制御を行う制御装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の走行状況を判断し、音源が再生可能なコンテンツの中から車両の走行状況に対応する属性を有するコンテンツを選択し、その選択したコンテンツの再生を搭乗者に提案する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両の走行状況の判断結果に基づいてコンテンツ再生の提案を行う場合、その提案によるコンテンツの再生の機会が頻繁となって搭乗者に煩わしさを感じさせてしまうことが考えられる。
【0005】
本発明は、コンテンツ再生の機会を適切に搭乗者に提供する制御装置、制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、車両の走行環境を認識する認識手段と、前記認識手段により認識された走行環境について変化の有無を判定する第1判定手段と、前記車両の搭乗者の感情を推定する推定手段と、前記第1判定手段により前記走行環境について変化があると判定され、且つ、前記推定手段により推定された感情が変化したことに基づいて、再生対象のコンテンツを決定する決定手段と、前記決定手段により決定されたコンテンツを再生させるための制御を行う制御手段と、を備え、前記第1判定手段は、前記車両の走行シーンが、前記車両の搭乗者の運転の負荷が軽減されると推測される走行シーンとなった場合に、前記走行環境について変化があると判定し、前記走行環境と前記推定手段により推定された感情とのうち少なくともいずれかが変化していないと判定された場合には、前記決定手段による前記再生対象のコンテンツの決定および前記制御手段によるコンテンツの再生は行われないように制御されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る制御方法は、制御装置において実行される制御方法であって、車両の走行環境を認識する認識工程と、前記認識工程において認識された走行環境について変化の有無を判定する判定工程と、前記車両の搭乗者の感情を推定する推定工程と、前記判定工程において前記走行環境について変化があると判定され、且つ、前記推定工程において推定された感情が変化したことに基づいて、再生対象のコンテンツを決定する決定工程と、前記決定工程において決定されたコンテンツを再生させるための制御を行う制御工程と、を有し、前記判定工程では、前記車両の走行シーンが、前記車両の搭乗者の運転の負荷が軽減されると推測される走行シーンとなった場合に、前記走行環境について変化があると判定し、前記走行環境と前記推定工程において推定された感情とのうち少なくともいずれかが変化していないと判定された場合には、前記決定工程における前記再生対象のコンテンツの決定および前記制御工程におけるコンテンツの再生は行われないように制御されることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、車両の走行環境を認識する認識手段、前記認識手段により認識された走行環境について変化の有無を判定する判定手段、前記車両の搭乗者の感情を推定する推定手段、前記判定手段により前記走行環境について変化があると判定され、且つ、前記推定手段により推定された感情が変化したことに基づいて、再生対象のコンテンツを決定する決定手段、前記決定手段により決定されたコンテンツを再生させるための制御を行う制御手段、として機能させ、前記判定手段は、前記車両の走行シーンが、前記車両の搭乗者の運転の負荷が軽減されると推測される走行シーンとなった場合に、前記走行環境について変化があると判定し、前記走行環境と前記推定手段により推定された感情とのうち少なくともいずれかが変化していないと判定された場合には、前記決定手段による前記再生対象のコンテンツの決定および前記制御手段によるコンテンツの再生は行われないように制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コンテンツ再生の機会を適切に搭乗者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】制御ユニットの機能ブロックを示す図である。
【
図4】コンテンツの再生制御の処理を示すフローチャートである。
【
図5】コンテンツの再生制御の処理を示すフローチャートである。
【
図6】コンテンツ再生を薦めるメッセージ画面を示す図である。
【
図7】コンテンツの再生制御の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両制御装置(走行制御装置)のブロック図であり、車両1を制御する。
図1において、車両1はその概略が平面図と側面図とで示されている。車両1は一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。
【0013】
[第1実施形態]
図1の走行制御装置は、制御ユニット2を含む。制御ユニット2は車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のECU20~29を含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUはプロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。
【0014】
以下、各ECU20~29が担当する機能等について説明する。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、あるいは、統合することが可能である。
【0015】
ECU20は、車両1の自動運転に関わる制御を実行する。自動運転においては、車両1の操舵と、加減速の少なくともいずれか一方を自動制御する。
【0016】
ECU21は、電動パワーステアリング装置3を制御する。電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置3は、操舵操作をアシストしたり、あるいは、前輪を自動操舵するための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU21は、ECU20からの指示に対応して電動パワーステアリング装置3を自動制御し、車両1の進行方向を制御する。
【0017】
ECU22および23は、車両の周囲状況を検知する検知ユニット41~43の制御および検知結果の情報処理を行う。検知ユニット41は、車両1の前方を撮影するカメラであり(以下、カメラ41と表記する場合がある。)、本実施形態の場合、車両1のルーフ前部でフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。カメラ41が撮影した画像の解析により、例えば、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。
【0018】
検知ユニット42は、Light Detection and Ranging(LIDAR)であり、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、検知ユニット42は5つ設けられており、車両1の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。検知ユニット43は、ミリ波レーダであり(以下、レーダ43と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距する。本実施形態の場合、レーダ43は5つ設けられており、車両1の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0019】
ECU22は、一方のカメラ41と、各検知ユニット42の制御および検知結果の情報処理を行う。ECU23は、他方のカメラ41と、各レーダ43の制御および検知結果の情報処理を行う。車両の周囲状況を検知する装置を二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラやレーダ等、種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。
【0020】
ECU24は、ジャイロセンサ5、GPSセンサ24b、通信装置24cの制御および検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ5は、車両1の回転運動を検知する。ジャイロセンサ5の検知結果や、車輪速等により車両1の進路を判定することができる。GPSセンサ24bは、車両1の現在位置を検知する。通信装置24cは、地図情報や交通情報、気象情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。ECU24は、記憶デバイスに構築された地図情報のデータベース24aにアクセス可能であり、ECU24は、現在地から目的地へのルート探索等を行う。なお、データベース24aには、上記の交通情報や気象情報などのデータベースが構築されても良い。
【0021】
ECU25は、車車間通信用の通信装置25aを備える。通信装置25aは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。通信装置25aは、各種の通信機能を有し、例えば、専用狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication)機能やセルラー通信機能を有する。通信装置25aは、送受信アンテナを含むTCU(Telematics Communication Unit)として構成されても良い。
【0022】
ECU26は、パワープラント6を制御する。パワープラント6は、車両1の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。ECU26は、例えば、アクセルペダル7Aに設けた操作検知センサ7aにより検知した運転者の運転操作(アクセル操作あるいは加速操作)に対応してエンジンの出力を制御したり、車速センサ7cが検知した車速等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替える。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU26は、ECU20からの指示に対応してパワープラント6を自動制御し、車両1の加減速を制御する。
【0023】
ECU27は、方向指示器8(ウィンカ)を含む灯火器(ヘッドライト、テールライト等)を制御する。
図1の例の場合、方向指示器8は、車両1の前部、ドアミラーおよび後部に設けられている。
【0024】
ECU28は、入出力装置9の制御を行う。入出力装置9は、運転者に対する情報の出力と、運転者からの情報の入力の受け付けを行う。音声出力装置91は、運転者に対して音声により情報を報知する。表示装置92は、運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置92は例えば運転席正面に配置され、インストルメントパネル等を構成する。なお、ここでは、音声と表示を例示したが振動や光により情報を報知してもよい。また、音声、表示、振動または光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。更に、報知すべき情報のレベル(例えば緊急度)に応じて、組み合わせを異ならせたり、報知態様を異ならせてもよい。また、表示装置92は、ナビゲーション装置を含んでも良い。
【0025】
入力装置93は、運転者が操作可能な位置に配置され、車両1に対する指示を行うスイッチ群であるが、マイク等の音声入力装置も含まれてもよい。
【0026】
ECU29は、ブレーキ装置10やパーキングブレーキ(不図示)を制御する。ブレーキ装置10は、例えばディスクブレーキ装置であり、車両1の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両1を減速あるいは停止させる。ECU29は、例えば、ブレーキペダル7Bに設けた操作検知センサ7bにより検知した運転者の運転操作(ブレーキ操作)に対応してブレーキ装置10の作動を制御する。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU29は、ECU20からの指示に対応してブレーキ装置10を自動制御し、車両1の減速および停止を制御する。ブレーキ装置10やパーキングブレーキは、車両1の停止状態を維持するために作動することができる。また、パワープラント6の変速機がパーキングロック機構を備える場合、これを車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。
【0027】
ECU20が実行する車両1の自動運転に関わる制御について説明する。ECU20は、運転者により目的地と自動運転が指示されると、ECU24により探索された案内ルートにしたがって、目的地へ向けて車両1の走行を自動制御する。自動制御の際、ECU20はECU22および23から車両1の周囲状況に関する情報(外界情報)を取得して認識を行い、取得した情報及び認識結果に基づきECU21、ECU26および29に指示して、車両1の操舵、加減速を制御する。
【0028】
図2は、制御ユニット2と本実施形態で用いられる処理部230の機能ブロックを示す図である。制御部200は、
図1の制御ユニット2に対応し、外界認識部201、自己位置認識部202、車内認識部203、行動計画部204、駆動制御部205、デバイス制御部206を含む。各ブロックは、
図1に示す1つのECU、若しくは、複数のECUにより実現される。なお、制御部200の機能は、主に車両1の自動運転走行において実行されるが、搭乗者により車両1の運転が行われる場合でも、制御部200の機能は実現可能である。例えば、搭乗者により車両1の運転が行われる場合においても、本実施形態の動作を実現する処理部230と制御部200とが連携することにより、外界認識部201や車内認識部203の機能が実行される。
図2の制御部200、処理部230の構成は、プログラムを実施するコンピュータとなり得る。
【0029】
外界認識部201は、外界認識用カメラ211及び外界認識用センサ212からの信号に基づいて、車両1の外界情報を認識する。ここで、外界認識用カメラ211は、例えば
図1のカメラ41であり、外界認識用センサ212は、例えば
図1の検知ユニット42、43である。外界認識部201は、外界認識用カメラ211及び外界認識用センサ212からの信号に基づいて、例えば、交差点や踏切、トンネル等のシーン、路肩等のフリースペース、他車両の挙動(速度や進行方向等)を認識する。自己位置認識部202は、GPSセンサ215からの信号に基づいて車両1の現在位置を認識する。ここで、GPSセンサ215は、例えば、
図1のGPSセンサ24bに対応する。
【0030】
車内認識部203は、車内認識用カメラ213、車内認識用センサ214からの信号に基づいて、車両1の搭乗者を識別し、また、搭乗者の状態を認識する。車内認識用カメラ213は、例えば、車両1の車内の表示装置92上に設置された近赤外カメラであり、例えば、撮影された画像データから搭乗者の視線の方向を検出する。また、車内認識用センサ214は、例えば、搭乗者の生体信号を検知し生体情報を取得するためのセンサである。生体情報とは、例えば、脈拍、心拍数、体重、体温、血圧、発汗、睡眠情報といった生体に関わる情報である。車内認識用センサ214は、そのような生体に関わる情報を例えば搭乗者のウエアラブルデバイスから取得するようにしても良い。車内認識部203は、それらの信号に基づいて、搭乗者の居眠り状態、運転以外の作業中の状態、であることなどを認識する。
【0031】
行動計画部204は、外界認識部201、自己位置認識部202による認識の結果に基づいて、最適経路、リスク回避経路など、車両1の行動を計画する。行動計画部204は、例えば、交差点や踏切等の開始点や終点に基づく進入判定、他車両の挙動の予測結果に基づく行動計画を行う。駆動制御部205は、行動計画部204による行動計画に基づいて、駆動力出力装置216、ステアリング装置217、ブレーキ装置218を制御する。ここで、駆動力出力装置216は、例えば、
図1のパワープラント6に対応し、ステアリング装置217は、
図1の電動パワーステアリング装置3に対応し、ブレーキ装置218は、ブレーキ装置10に対応する。
【0032】
デバイス制御部206は、制御部200に接続されるデバイスを制御する。例えば、デバイス制御部206は、スピーカ219、マイク220を制御し、警告やナビゲーションのためのメッセージ等、所定の音声メッセージを出力させ、車両内の搭乗者が発話した音声信号を検知し音声データを取得する。また、例えば、デバイス制御部206は、表示装置221を制御し、所定のインタフェース画面を表示させる。表示装置221は、例えば表示装置92に対応する。また、例えば、デバイス制御部206は、ナビゲーション装置222を制御し、ナビゲーション装置222での設定情報を取得する。また、デバイス制御部206は、楽曲等のコンテンツを再生するコンテンツ再生装置223を制御し、スピーカ219を介して音楽等を再生する。通信インタフェース224は、例えば
図1の通信装置25aに対応し、サーバ等の外部の装置や他の車両との間の通信を制御する。また、通信インタフェース224は、複数の通信方式それぞれに対応した構成を含み、例えば、WifiやBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信に対応した構成を有する。通信の一部もしくは全てにおいて有線通信が行われるようにしても良い。その場合、別途、有線接続のためのコネクタ部が設けられる。また、通信インタフェース224は、例えば、3Gやセルラー、LTE通信等の携帯電話網に代表される無線通信網やインターネット回線に接続可能である。
【0033】
制御部200は、
図2に示す以外の機能ブロックを適宜含んでも良く、例えば、通信装置24cを介して取得した地図情報に基づいて目的地までの最適経路を算出する最適経路算出部を含んでも良い。また、制御部200が、
図1に示すカメラやセンサ以外から情報を取得しても良く、例えば、通信装置25aを介して他の車両の情報を取得するようにしても良い。また、制御部200は、GPSセンサ215だけでなく、車両1に設けられた各種センサからの検知信号を受信する。例えば、制御部200は、車両1のドア部に設けられたドアの開閉センサやドアロックの機構センサの検知信号を、ドア部に構成されたECUを介して受信する。それにより、制御部200は、ドアのロック解除や、ドアの開閉動作を検知することができる。
【0034】
本実施形態では、制御部200と相互に通信可能に処理部230が構成されている。処理部230は、車両1の搭乗者の音声や顔画像を認識し、その認識結果から搭乗者の感情を推定する。また、処理部230は、楽曲に相当するコンテンツを取得し、取得されたコンテンツから再生対象のコンテンツを決定し、コンテンツ再生装置223で再生させるよう制御部200に要求する。
【0035】
音声認識部231は、マイク220で入力された音声信号を分析し、言語分析などを行う。その際、音声認識部231は、音声信号の抑揚やテンポ等の特徴量の取得を行う。画像認識部232は、車内認識用カメラ213で撮像された画像データを分析し、顔認識を行う。感情推定部233は、音声認識部231及び画像認識部232の分析結果に基づいて、車両1の搭乗者の感情の推定を行う。感情推定は、例えば、音声認識部231により認識された音声の高さ、抑揚、テンポと、画像認識部232により認識された搭乗者の顔のパーツ(鼻、眉など)の位置及び形状の変化との少なくともいずれかに基づいて推定された笑顔等により、感情の変化を推定する。感情の変化の推定とは、例えば、笑顔や笑い声の認識により、感情の高揚を推定するということである。なお、感情推定部233は、音声認識部231及び画像認識部232以外の信号やデータを用いても良い。例えば、感情推定部233は、車内認識用センサ214で検知された生体情報を用いて、感情の変化を推定しても良い。
【0036】
コンテンツ記憶部234は、楽曲に相当するコンテンツを記憶している。コンテンツ記憶部234に記憶されているコンテンツは、例えば、車両1の搭乗者が保持するスマートフォン等の携帯端末やインターネットを介して外部から取得されたコンテンツ及びメタデータ等のコンテンツ情報である。なお、上記のコンテンツ情報には、歌詞、メロディー、テンポ、波長解析データ、発売時期、アーティスト名、楽器種別、タイアップ情報、曲名又はアルバム名称、製作国、レーベル種別、撮影場所の情報、が含まれる。コンテンツ情報は、さらに、上記の情報に基づいて生成された情報を含んでも良い。コンテンツ分析部235は、コンテンツ記憶部234に記憶されたコンテンツ及びコンテンツ情報を分析する。例えば、コンテンツ分析部235は、コンテンツ記憶部234に記憶された歌詞情報をテキスト分析する。コンテンツ決定部236は、コンテンツ記憶部234に記憶されたコンテンツから、コンテンツ分析部235による分析結果に基づいて、再生対象のコンテンツを決定する。コンテンツ決定部236により再生対象のコンテンツが決定されると、処理部230は、制御部200に決定された再生対象のコンテンツの情報と再生要求を送信する。そして、制御部200は、決定された再生対象のコンテンツをコンテンツ再生装置223で再生させる。
【0037】
走行情報分析部237は、制御部200から走行情報を所定の時間間隔で取得し分析する。ここで、走行情報は、車両1の位置情報と、外界認識部201により得られた認識結果とを含む。走行情報分析部237は、取得した認識結果から、例えば、車両1が走行しているシーンが変化したか否かを判定する。
【0038】
図3は、車両1が通信インタフェース224を介して通信可能なサーバ300の構成を示す図である。サーバ300は、車両の走行情報と、再生されたコンテンツの情報とを対応付けたデータを、予め登録されたユーザ(搭乗者)ごとに記憶したデータベース330を有する。
【0039】
サーバ300は、制御部310、記憶部320を備える。制御部310は、プロセッサ311、メモリ312を備え、サーバ300を統括的に制御する。本実施形態におけるサーバ300の動作は、メモリ312に記憶されたプログラムをプロセッサ311が実行することにより実現される。通信インタフェース313は、外部のネットワーク媒体に応じた通信インタフェース構成を有する。サーバ300と車両1は、通信インタフェース313を介して相互に通信が可能であり、例えば、サーバ300は、車両1から走行情報と、再生されたコンテンツの情報を受信し、搭乗者情報と関連付けて記憶部320内に構成されたデータベース330に登録する。例えば、
図3に示すように、車両Aから送信された走行情報341及びコンテンツ情報342が、車両Aの搭乗者Aと関連付けられた履歴情報340として登録される。また、車両Bから送信された走行情報351及びコンテンツ情報352が、車両Bの搭乗者Bと関連付けられた履歴情報350として登録される。走行情報は、例えば、車両1の位置情報でも良い。また、コンテンツ情報は、コンテンツを識別可能な情報であれば、例えば、タイトルやアーティスト名でも良い。また、サーバ300は、
図1で説明した地図情報、交通情報、気象情報それぞれに対応するデータベースを、地図情報361、交通情報362、気象情報363として有する。
【0040】
図4は、本実施形態におけるコンテンツの再生制御の処理を示すフローチャートである。
図4の処理は、例えば、処理部230を構成するECU等のプロセッサが不図示のメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、
図4の処理は、車両1が走行を開始したことが制御部200から処理部230に通知されると開始される。
【0041】
S101において、処理部230は、コンテンツ分析部235により、コンテンツ記憶部234に記憶されたコンテンツのテキスト情報の特徴を分析する。例えば、処理部230は、コンテンツ記憶部234に記憶された歌詞情報に含まれるワードを類似するもの同士でクラスタリングし、その分析結果に基づいて、記憶されているコンテンツを、地名、シーン、季節などで特徴でタグ付けする。例えば、コンテンツAについて、その歌詞に特定の地名が多く含まれている場合には、その地名でタグ付けする。また、その歌詞に「海」に関連したワードが多く含まれている場合には、そのシーン名「海」でタグ付けする。
【0042】
S102において、処理部230は、走行情報分析部237により、制御部200から車両1の位置情報及び外界認識部201の認識結果を走行環境の情報として取得し分析する。一方、S102の処理と並行して、S103において、処理部230は、音声認識部231により、車両1の搭乗者の音声信号に基づいて音声認識を行い、画像認識部232により、車両1の搭乗者の画像情報に基づいて顔認識を行う。そして、処理部230は、感情推定部233により、搭乗者の感情を推定する。なお、S102の処理とS103の処理は、車両1が走行している間、所定の時間間隔で繰り返し行われる。
【0043】
S104において、処理部230は、走行情報分析部237により、外界認識部201の認識結果に基づいて、走行環境の変化の有無を判定する。本実施形態では、走行環境の変化とは、所定の走行シーンへの変化をいう。所定の走行シーンへの変化とは、登場者の運転の負荷が軽減されると推測されるシーンへの変化をいう。なお、ここでの運転の負荷の軽減とは、登坂から降坂に移行するような運転操作に関わるトルク等から推定される運転負荷の軽減のみならず、運転者の精神的な負荷の軽減も含む。精神的な負荷を軽減させる走行シーンへの変化として、例えば、渋滞が解消された等の交通量の変化や、天候が好転した、サービスエリアから高速へ合流した、目的地までの所定距離内に近づいた、走行経路において地域の堺を跨いだ(例えば県境を跨いだ、目的地のある市に入った)、といった走行シーンの変化である。その際、交通量の変化は、例えば、サーバ300の交通情報データベース362から取得した交通情報や車両1の速度の変化に基づいて判定されても良い。また、目的地までの所定距離内に近づいたか否かは、例えば、車両1の位置情報、地図情報に基づいても判定されても良い。また、天候の変化は、例えば、サーバ300の気象情報データベース363から取得した気象情報や車両1に設けられたカメラ、センサ、温度計、湿度計の情報に基づいて判定されても良い。また、高速への合流や目的地までの距離の変化は、例えば、サーバ300の地図情報データベース361から取得した地図情報に基づいて判定されても良い。また、運転者の精神的な負荷が軽減されるようなシーンの変化とは、建物が少なくなり視界が広がるような条件を満たす走行シーンへの変化、例えば、海が見えた、トンネルを抜けた、景色が広がった、といったことを含む。そのような走行シーンへの変化は、例えば、外界認識部201による認識結果の変化が上記の条件を満たすか否かに基づいて判定されても良い。また、上記のように、運転者の精神的な負荷が軽減されるようなシーンの変化には、目的地までの所定距離内に近づくことが含まれており、目的地までの接近の程度に基づいて、運転者の精神的な負荷の軽減を定量化するようにしても良い。例えば、目的地に所定距離(50kmなど)分近づくごとに、目的地までの距離に対する接近距離の割合分、精神的な負荷が低減されていると判定されても良い。
【0044】
また、上記では、所定の走行シーンへの変化の有無を判定することを説明したが、他の構成でも良い。例えば、S102で取得した位置情報をサーバ300に送信し、車両1もしくは搭乗者に対応する履歴情報に、その位置情報もしくは近傍の位置情報が記憶されているか否かを問い合わせるようにしても良い。その場合、問合せの結果、位置情報が記憶されている場合には、車両1が過去に走行した土地を再び走行しているとして、走行環境に変化があると判定しても良い。そのような構成により、例えば、搭乗者の思い出の土地を再び走行している場合には、そのことをコンテンツ再生のトリガとすることができる。
【0045】
また、例えば、処理部230が制御部230から運転者の運転操作のトルク等の信号や、搭乗者の生体情報を検知するようにし、その変化を以てS104で走行環境に変化があると判定しても良い。
【0046】
S104で走行環境に変化がないと判定された場合、S108に進む。一方、S104で走行環境に変化があると判定された場合、S105に進む。
【0047】
S105において、処理部230は、感情推定部233により、搭乗者の感情の推定結果の変化の有無を判定する。本実施形態では、感情の推定結果の変化とは、「喜び」等の高揚の感情が認識されたことをいう。例えば、感情推定部233は、音声認識部231により笑い声が認識された場合や、画像認識部232により笑顔が認識された場合には、「喜び」の感情を認識する。S105で感情の推定結果の変化がないと判定された場合、S108に進む。一方、S105で感情の推定結果の変化があると判定された場合、S106に進む。
【0048】
S106において、処理部230は、コンテンツ決定部236により、コンテンツ記憶部234に記憶されたコンテンツから、再生対象のコンテンツを決定する。例えば、コンテンツ決定部236は、現在の位置情報に対応する地名でタグ付けされたコンテンツを再生対象として決定する。また、例えば、コンテンツ決定部236は、現在の車両1が走行しているシーンでタグ付けされたコンテンツを再生対象として決定する。このようなコンテンツの決定基準は、コンテンツ分析部235がコンテンツ記憶部234に記憶されたコンテンツの対する分析結果に応じて決定されるようにしても良い。例えば、分析の結果、「地名」「シーン」「季節」といったように、複数種類のタグが取得された場合には、現在の車両1の走行環境(位置、シーン、季節など)に合致すると判断されるコンテンツが再生対象として決定されるようにしても良い。その場合、決定されるコンテンツは、1つであっても良いし、複数であっても良い。
【0049】
S107において、処理部230は、コンテンツ決定部236により決定されたコンテンツをコンテンツ再生装置223で再生するよう制御部200に要求する。制御部200は、処理部230からの要求に応じて、コンテンツ再生装置223でコンテンツ決定部236により決定されたコンテンツを再生させる。
【0050】
S108において、処理部230は、車両1の現在位置が終着点近傍であるか否かを判定する。S108の判定は、処理部230が制御部200に問い合わせることにより行われても良い。S108で終着点近傍でないと判定された場合、S102及びS103からの処理が繰り返される。一方、S108で終着点近傍であると判定された場合、S109に進む。
【0051】
S109において、処理部230は、走行情報分析部237により取得された走行情報および再生されたコンテンツの情報を、車両1もしくは搭乗者の識別情報とともにサーバ300に送信する。S109で送信される走行情報は、少なくとも、コンテンツが再生されたときの車両1の位置情報を含む。即ち、外界認識部201の認識結果は送信されなくても良い。サーバ300は、車両1から受信した、走行情報およびコンテンツ情報を、搭乗者情報と関連付けてデータベース330に格納する。S109の後、
図4の処理を終了する。
【0052】
以上のように、本実施形態によれば、車両の走行環境に変化があり、且つ、搭乗者の感情に変化があったと判断された場合には、走行環境に対応するような楽曲が再生される。そのような構成により、搭乗者の感情の変化に沿った適切な頻度で、現在の走行環境に適した楽曲の再生を提供することができる。
【0053】
[第2実施形態]
以下、第1実施形態と異なる点について第2実施形態を説明する。第1実施形態では、S106で再生対象のコンテンツが決定されると、ユーザ操作を介することなく、S107で楽曲が再生されていた。本実施形態では、再生対象のコンテンツが決定されると、そのコンテンツの情報を搭乗者に対して通知する。そして、搭乗者からの再生指示を受け付けた場合に、そのコンテンツの再生を行う。
【0054】
図5は、本実施形態におけるコンテンツの再生制御の処理を示すフローチャートである。
図5の処理は、例えば、処理部230を構成するECU等のプロセッサが不図示のメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、
図5の処理は、車両1が走行を開始したことが制御部200から処理部230に通知されると開始される。
【0055】
S201~S206は、
図4のS101~S106における説明と同じであるので、それらの説明を省略する。
【0056】
S206で再生対象のコンテンツが決定されると、S207において、処理部230は、再生対象のコンテンツの情報を表示装置221に表示させるよう制御部200に要求する。制御部200は、処理部230から再生対象のコンテンツの情報を受信すると、表示装置221に、コンテンツ再生を薦めるメッセージ画面を表示する。
【0057】
図6は、コンテンツ再生を薦めるメッセージ画面の一例を示す図である。
図6に示すように、メッセージ画面600には、曲の再生を薦めるメッセージ601が表示される。そして、メッセージ601の下には、再生対象となるコンテンツの情報602が表示される。
図6では、情報602として、楽曲のタイトルとアーティスト名が表示される。なお、情報602には、一つのコンテンツのみについての情報が表示されているが、複数であっても良い。また、情報602として、タイトル、アーティスト名に限られず、他の情報が表示されても良い。例えば、再生時間等が表示されても良い。メッセージ画面600には、ボタン603とボタン604が表示されている。ボタン603は、搭乗者からの楽曲再生の指示を受付可能なボタンである。ボタン604は、搭乗者からの楽曲を再生しない指示を受付可能なボタンである。情報602として、複数のコンテンツが表示される場合、スクロールキーなどが表示されても良い。その場合、複数のコンテンツから搭乗者により所望のコンテンツが選択され、ボタン603が押下されることによって、搭乗者の所望のコンテンツが再生されることになる。
【0058】
S208において、処理部230は、コンテンツの再生指示を受け付けたか否かを判定する。例えば、処理部230がボタン603の押下を検出した場合、コンテンツの再生指示を受け付けたと判定する。S208でコンテンツの再生指示を受付けなかったと判定された場合、S202及びS203からの処理が繰り返される。一方、S208でコンテンツの再生指示を受け付けたと判定された場合、S209に進む。
【0059】
S209において、処理部230は、コンテンツ決定部236により決定されメッセージ画面600上で選択されたコンテンツをコンテンツ再生装置223で再生するよう制御部200に要求する。制御部200は、処理部230からの要求に応じて、コンテンツ再生装置223でコンテンツ決定部236により決定されたコンテンツを再生させる。
【0060】
S210及びS211は、S108及びS109における説明と同じであるので、それらの説明を省略する。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、車両の走行環境に変化があり、且つ、搭乗者の感情に変化があったと判断される場合には、走行環境に対応するような楽曲の再生を薦めるようなメッセージが表示される。また、薦める対象のコンテンツが複数ある場合には、それらが表示されるので、搭乗者は、現在の車両の走行環境に対応するような楽曲の中でも特にお気に入りの楽曲を再生させることができる。
【0062】
[第3実施形態]
以下、第1及び第2実施形態と異なる点について第3実施形態を説明する。第1及び第2の実施形態では、再生対象のコンテンツをコンテンツ記憶部234に記憶されているコンテンツから決定することを説明した。しかしながら、再生対象のコンテンツを外部のサーバ300から取得するようにしても良い。
【0063】
図3で説明したように、サーバ300は、車両1の搭乗者と関連付けて、走行情報およびコンテンツ情報を蓄積している。つまり、コンテンツ情報と、そのコンテンツが再生されたタイミングでの位置情報とが関連付けて蓄積されている。本実施形態では、第1及び第2実施形態と同様に車両1の走行環境が変化し且つ搭乗者の感情が変化したと判定された場合、車両1は、サーバ300に対して、現在の車両1の位置情報を送信するとともにコンテンツを要求する。そして、サーバ300は、送信された位置情報と対応するコンテンツ情報をデータベースから検索し、それらの情報を車両1に対して送信する。そして、車両1は、サーバ300から送信されたコンテンツ情報に基づいて、コンテンツの再生を行う。そのような構成により、再生されるコンテンツが、搭乗者が過去に走行した土地で再生した楽曲であれば、搭乗者の思い出の曲として再生させることができる。また、再生されるコンテンツが、他の搭乗者がその土地で再生した楽曲であれば、搭乗者に新鮮な感覚を提供することができる。
【0064】
図7は、本実施形態におけるコンテンツの再生制御の処理を示すフローチャートである。
図7の車両1の処理は、例えば、処理部230を構成するECU等のプロセッサが不図示のメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、
図7のサーバ300の処理は、例えば、制御部310のプロセッサ311がメモリ312に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、
図7の処理は、
図4のS105もしくは
図5のS205で搭乗者の感情に変化があると判定された場合に開始される。
【0065】
搭乗者の感情に変化があると判定された場合、S301において、車両1の処理部230は、車両1の現在の位置情報を送信するとともにコンテンツ情報を要求する。S302において、サーバ300の制御部310は、S301で送信された位置情報に基づいて、データベース330を参照し、該位置情報に対応するコンテンツを検索する。S302では、制御部310は、データベース330に蓄積されている位置情報で、S301で送信された位置情報に合致するもしくは近傍の位置情報を検索する。その際、車両1の搭乗者に対応する履歴情報だけでなく、他の搭乗者に対応する履歴情報も検索の対象となる。位置情報に合致するもしくは近傍ではなく、所定の範囲に含まれることを条件としても良い。例えば、車両1の現在の位置情報が含まれる「県」等の地域であっても良い。
【0066】
S303において、制御部310は、S301で送信された位置情報に対応する、例えば送信された位置情報に合致するもしくは近傍の位置情報の有無を判定する。対応する位置情報がなかったと判定された場合、S308において、制御部310は、検索されなかったことを示す情報を車両1に送信し、
図7の処理を終了する。一方、対応する位置情報があったと判定された場合、S304に進む。
【0067】
S304において、制御部310は、検索された位置情報に対応するコンテンツ情報を取得する。S304では、車両1の搭乗者に対応する履歴情報からコンテンツ情報が取得される場合もあれば、車両1の搭乗者と異なる搭乗者に対応する履歴情報からコンテンツ情報が取得される場合もある。S305において、制御部310は、S304で取得されたコンテンツ情報を、S301のコンテンツ要求に対する応答として車両1に送信する。
【0068】
S306において、車両1の処理部230は、S305で送信されたコンテンツ情報を取得する。その際、処理部230は、通信インタフェース224及び制御部200を介してコンテンツ情報を取得しても良いし、制御部200を介さず、通信インタフェース224からコンテンツ情報を取得しても良い。
【0069】
S307において、処理部230は、サーバ300から送信されたコンテンツ情報に基づいて、再生対象のコンテンツの情報を表示装置221に表示させるよう制御部200に要求する。制御部200は、処理部230から再生対象のコンテンツの情報を受信すると、表示装置221に、コンテンツ再生を薦めるメッセージ画面を表示する。その後、
図7の処理を終了する。
【0070】
S307で表示されるメッセージ画面には、再生を薦めるコンテンツ情報が表示される。表示されるコンテンツ情報は、1つでも良いし、複数でも良い。また、S305でサーバ300から送信されたコンテンツ情報についてすべてS307で表示するようにしても良いし、その一部について表示するようにしても良い。例えば、サーバ300から送信されたコンテンツ情報のうち、コンテンツ記憶部234に記憶されているコンテンツに対応するコンテンツ情報を特定し、特定されたコンテンツ情報について表示するようにしても良い。その場合、S307で表示されるメッセージ画面は、
図6と同様に、再生指示を受付可能なボタンを含んでも良い。また、サーバ300から送信されたコンテンツ情報が、コンテンツ記憶部234に記憶されていないコンテンツに対応するものである場合、S307で表示されるメッセージ画面は、再生指示を受付可能なボタンを含まず、楽曲の情報を提供するに留まるようにしても良い。また、コンテンツ記憶部234に記憶されていないコンテンツに対応するものであっても、楽曲再生に制限等がない場合には、再生指示を受付可能なボタンを表示するようにしても良い。その場合、再生指示を受け付けると、処理部230は、通信インタフェース224を介して外部よりコンテンツを取得し、コンテンツ再生装置223で再生するよう制御部200に要求する。
【0071】
以上のように、本実施形態によれば、再生対象のコンテンツを外部のサーバ300から取得する。そのような構成により、再生されるコンテンツが、搭乗者が過去に走行した土地で再生した楽曲であれば、搭乗者の思い出の曲として再生させることができる。また、再生対象のコンテンツが、他の搭乗者がその土地で再生した楽曲であれば、搭乗者に新しい楽曲の情報を提供することができる。
【0072】
図4及び
図5では、コンテンツ記憶部234に記憶されたコンテンツが再生対象となっていた。しかしながら、そのような構成に限られない。例えば、車両1の搭乗者が保持しているスマートフォン等の携帯端末に記憶されているコンテンツが再生対象となっても良い。その場合は、処理部234は、S101及びS201において通信インタフェース224を介して携帯端末と通信し、各携帯端末に記憶されているコンテンツの情報を分析する。そして、再生対象のコンテンツが決定された場合、処理部234は、そのコンテンツを保持する携帯端末に対して再生を指示するようにしても良い。また、
図4、
図5、
図7では、コンテンツ情報を車両1の表示装置221に表示するとして説明した。しかしながら、そのような構成に限られない。例えば、車両1の搭乗者が保持しているスマートフォン等の携帯端末に情報を表示させるようにしても良い。また、上記のような構成は、携帯端末が処理部230と通信可能なアプリを予めダウンロードしておき、搭乗者がアプリを実行することで実現するようにしても良い。
【0073】
また、
図2の処理部230は、車両1に構成されるものとして説明したが、そのような構成に限られない。例えば、処理部230がサーバ等、外部の装置に構成されるようにしても良い。また、制御部200の機能の一部を処理部230が実行可能に構成されても良いし、処理部230の機能の一部を制御部200が実行可能に構成されても良い。
【0074】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態の制御装置は、車両の走行環境を認識する認識手段(201)と、前記車両の搭乗者の感情を推定する推定手段(233)と、前記認識手段により認識された走行環境と、前記推定手段により推定された感情とが変化したことに基づいて、再生対象のコンテンツを決定する決定手段(236)と、前記決定手段により決定されたコンテンツを再生させるための制御を行う制御手段(230)とを備える。また、制御装置は、前記認識手段により認識された走行環境について変化の有無を判定する第1判定手段(S204)、をさらに備え、前記決定手段は、前記第1判定手段により前記走行環境について変化があると判定された場合、前記再生対象のコンテンツを決定する。また、前記第1判定手段は、走行シーンが所定の走行シーンとなったときに前記走行環境について変化があると判定する。また、前記所定の走行シーンは、前記車両の搭乗者の運転の負荷が軽減されるような走行シーンである。また、前記第1判定手段は、前記車両の搭乗者の運転操作を示す信号と生体情報の少なくともいずれかの変化に基づいて、前記走行環境について変化の有無を判定する。また、制御装置は、前記推定手段により推定された感情について変化の有無を判定する第2判定手段(S205)、をさらに備え、前記決定手段は、前記第2判定手段により前記感情について変化があると判定された場合、前記再生対象のコンテンツを決定する。
【0075】
そのような構成により、走行環境と搭乗者の感情とが変化したことに基づいて、コンテンツの再生の機会を搭乗者に適切に提供することができる。
【0076】
また、前記制御手段は、前記決定手段により決定されたコンテンツを再生するようコンテンツ再生装置(223)を制御する。
【0077】
そのような構成により、ユーザ操作を介することなく、コンテンツを再生することができる。
【0078】
また、前記制御手段は、前記決定手段により決定されたコンテンツの情報を含む画面を表示装置(221、
図6)に表示させる。また、前記画面は、コンテンツの再生の指示を受付可能であり(603)、前記制御手段は、前記指示を受け付けた場合に、コンテンツを再生するよう前記コンテンツ再生装置を制御する。
【0079】
そのような構成により、ユーザ指示に応じて、コンテンツを再生することができる。
【0080】
また、制御装置は、コンテンツの情報を分析する分析手段(235)、をさらに備え、前記決定手段は、前記分析手段による分析結果に基づいて、前記認識手段により認識された走行環境に対応すると判定されたコンテンツを前記再生対象のコンテンツとして決定する。また、前記分析手段は、前記コンテンツのテキスト情報の特徴を分析する。また、前記特徴は、地名、シーン、季節、の少なくともいずれかを含む。
【0081】
そのような構成により、例えば、コンテンツの歌詞情報に多く含まれる地名を車両1が走行している場合には、そのコンテンツを再生することができる。
【0082】
また、制御装置は、前記車両の位置情報に基づいて、該位置情報に対応するコンテンツの情報を外部の装置に要求する要求手段(S301)、をさらに備え、前記決定手段は、前記要求手段による要求に応じて前記外部の装置から取得したコンテンツを前記再生対象のコンテンツとして決定する。
【0083】
そのような構成により、例えば、搭乗者や他の搭乗者が過去に走行した土地で再生したコンテンツを再生することができる。
【0084】
また、前記認識手段は、前記車両の情報、交通情報、地図情報、気象情報の少なくともいずれかに基づいて、前記走行環境を認識する。
【0085】
そのような構成により、例えば、車両の位置情報、速度情報、渋滞情報、天候、目的地に基づいて、走行シーンの変化を認識することができる。
【0086】
また、前記推定手段は、音声、顔画像の少なくともいずれかに基づいて、前記車両の搭乗者の感情を推定する。そのような構成により、例えば、搭乗者が笑顔になったときに、コンテンツ再生の機会を提供することができる。
【0087】
また、前記コンテンツは楽曲である。そのような構成により、走行環境と搭乗者の感情とに基づいて、楽曲の再生の機会を搭乗者に適切に提供することができる。
【0088】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 車両: 200 制御部: 230 処理部: 231 音声認識部: 232 画像認識部: 233 感情推定部: 234 コンテンツ記憶部: 235 コンテンツ分析部: 236 コンテンツ決定部: 237 走行情報分析部: 300 サーバ