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特許7602450情報処理方法、学習モデルの生成方法、コンピュータプログラム及び情報処理装置
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  • 特許-情報処理方法、学習モデルの生成方法、コンピュータプログラム及び情報処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】情報処理方法、学習モデルの生成方法、コンピュータプログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20241211BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20241211BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/08
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021200130
(22)【出願日】2021-12-09
(65)【公開番号】P2023085847
(43)【公開日】2023-06-21
【審査請求日】2024-08-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517255566
【氏名又は名称】株式会社エクサウィザーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】神戸 宏之
(72)【発明者】
【氏名】町田 雄一郎
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-108879(JP,A)
【文献】特開2002-117098(JP,A)
【文献】特開2013-196357(JP,A)
【文献】特開2021-047715(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、
工程の入力を受け付け、
工程の入力に対して次工程の候補を出力するよう学習された工程予測モデルへ受け付けた工程を入力して、前記工程予測モデルが出力する次工程の候補を複数取得し、
取得した前記次工程の候補を複数出力
複数の候補の中から1つの工程の選択入力を受け付け、
受け付けた前記工程を前記工程予測モデルへ入力して、前記工程予測モデルが出力する次工程の候補を取得し、
取得した前記次工程の候補を出力し、
前記工程予測モデルが出力する候補には工程の終了を含み、出力した複数の候補の中から前記終了の選択入力を受け付けるまで、前記工程予測モデルによる次工程の候補の出力を繰り返し行う、
情報処理方法。
【請求項2】
前記情報処理装置が、
以前に実施された工程に関して記憶された実施に要した期間に関する複数の情報を取得し、
取得した前記情報に基づいて、前記期間に関する統計値を算出し、
算出した前記統計値を出力する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記情報処理装置が、前記統計値として、前記工程の実施に要した期間の平均値、最大値又は最小値の少なくとも1つを算出する、
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記情報処理装置が、
工程の入力に対して前記工程の実施に要する期間を出力するよう学習された期間予測モデルへ受け付けた工程を入力して、前記期間予測モデルが出力する期間を取得し、
取得した期間を出力する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記情報処理装置が、
順番に実施される複数の工程の入力に対して前記複数の工程に含まれる最後の工程の実施に要する期間を出力するよう学習された期間予測モデルへ受け付けた工程を入力して、前記期間予測モデルが出力する期間を取得し、
取得した期間を出力する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記情報処理装置が、工程の実施に要する期間について複数の候補を出力する、
請求項から請求項までのいずれか1つに記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記情報処理装置が、
実施する複数の工程の入力を受け付け、
各工程の期間の入力を受け付け、
受け付けた工程及び期間に基づいて、複数の工程を実施順に示した工程表を作成し、
作成した前記工程表を出力する、
請求項1から請求項までのいずれか1つに記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記情報処理装置が、
複数の作業区分毎又は複数の建築区画毎に、複数の工程及び各工程の期間の入力を受け付け、
前記複数の作業区分毎又は複数の建築区画毎に複数の工程を実施順に示した工程表を作成する、
請求項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置が、
複数の工程と、当該複数の工程の実施順に関する情報とを含む学習用データを取得し、
取得した前記学習用データを用いた機械学習により、工程の入力に対して次に実施する工程の候補を出力する工程予測モデルを生成する、
学習モデルの生成方法。
【請求項10】
前記情報処理装置が、
複数の工程と、各工程の開始時点及び終了時点とが対応付けられたデータを取得し、
取得した前記データに基づいて、複数の工程を実施順に並べて学習用データを生成し、
生成した前記学習用データを用いて前記工程予測モデルを生成する、
請求項に記載の学習モデルの生成方法。
【請求項11】
情報処理装置が、
複数の工程と、各工程の実施期間とを含む学習用データを取得し、
取得した前記学習用データを用いた機械学習により、工程の入力に対して前記工程の実施に要する期間を出力する期間予測モデルを生成する、
学習モデルの生成方法。
【請求項12】
情報処理装置が、
複数の工程と、当該複数の工程の実施順に関する情報と、各工程の実施期間とを含む学習用データを取得し、
取得した前記学習用データを用いた機械学習により、順番に実施される複数の工程の入力に対して前記複数の工程に含まれる最後の工程の実施に要する期間を出力する期間予測モデルを生成する、
学習モデルの生成方法。
【請求項13】
コンピュータに、
工程の入力を受け付け、
工程の入力に対して次工程の候補を出力するよう学習された工程予測モデルへ受け付けた工程を入力して、前記工程予測モデルが出力する次工程の候補を複数取得し、
取得した前記次工程の候補を複数出力
複数の候補の中から1つの工程の選択入力を受け付け、
受け付けた前記工程を前記工程予測モデルへ入力して、前記工程予測モデルが出力する次工程の候補を取得し、
取得した前記次工程の候補を出力し、
前記工程予測モデルが出力する候補には工程の終了を含み、出力した複数の候補の中から前記終了の選択入力を受け付けるまで、前記工程予測モデルによる次工程の候補の出力を繰り返し行う
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータに、
複数の工程と、当該複数の工程の実施順に関する情報とを含む学習用データを取得し、 取得した前記学習用データを用いた機械学習により、工程の入力に対して次に実施する工程の候補を出力する工程予測モデルを生成する
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項15】
処理部を備え、
前記処理部が、
工程の入力を受け付け、
工程の入力に対して次工程の候補を出力するよう学習された工程予測モデルへ受け付けた工程を入力して、前記工程予測モデルが出力する次工程の候補を複数取得し、
取得した前記次工程の候補を複数出力し、
複数の候補の中から1つの工程の選択入力を受け付け、
受け付けた前記工程を前記工程予測モデルへ入力して、前記工程予測モデルが出力する次工程の候補を取得し、
取得した前記次工程の候補を出力し、
前記工程予測モデルが出力する候補には工程の終了を含み、出力した複数の候補の中から前記終了の選択入力を受け付けるまで、前記工程予測モデルによる次工程の候補の出力を繰り返し行う、
情報処理装置。
【請求項16】
複数の工程と、当該複数の工程の実施順に関する情報とを含む学習用データを取得する取得部と、
取得した前記学習用データを用いた機械学習により、工程の入力に対して次に実施する工程の候補を出力する工程予測モデルを生成する生成部と
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工事又は土木工事等の工程表の作成を支援する情報処理方法、学習モデルの生成方法、コンピュータプログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設工事又は土木工事等の現場においてその進捗状況等を把握するために工程表が用いられる。工程表は、建設工事又は土木工事等において行われる複数の工程と、各工程の実施期間とをまとめた表であり、例えばガントチャート又はバーチャート等として作成され得る。
【0003】
特許文献1においては、登録された職人のデータと、職人の余剰時間データと、複数の工程、複数の工程の順番、各工程の所要日数及び複数の工程のそれぞれで使用する材料を含む工事内容データとに基づいて、サーバが複数の工程、工程を担当する職人及び各工程の工期を含む工程表を作成し、担当する職人の端末装置に工程表を通知する工程表の作成方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-197783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
工程表を作成するためには、各工程で行われる作業の内容、複数の工程を実施する順序、及び、各工程の実施に要する期間等の種々の情報を把握している必要があり、ある程度の知識及び経験等が必要である。このため、例えば経験が浅い人が工程表を作成することは容易ではない。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、工程表の作成を支援することが期待できる情報処理方法、学習モデルの生成方法、コンピュータプログラム及び情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る情報処理方法は、情報処理装置が、工程の入力を受け付け、工程の入力に対して次工程の候補を出力するよう学習された工程予測モデルへ受け付けた工程を入力して、前記工程予測モデルが出力する次工程の候補を取得し、取得した前記次工程の候補を出力する。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態による場合は、工程表の作成を支援することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る情報処理システムの概要を説明するための模式図である。
図2】本実施の形態に係るサーバ装置の構成を示すブロック図である。
図3】本実施の形態に係る端末装置の構成を示すブロック図である。
図4】本実施の形態に係る工程予測モデルの構成を説明するための模式図である。
図5】本実施の形態に係る工程予測モデルの構成を説明するための模式図である。
図6】サーバ装置による学習用データの生成を説明するための模式図である。
図7】本実施の形態に係るサーバ装置が行う工程予測モデル生成処理の手順を示すフローチャートである。
図8】本実施の形態に係る期間予測モデルの構成を説明するための模式図である。
図9】本実施の形態に係るサーバ装置が行う期間予測モデル生成処理の手順を示すフローチャートである。
図10】最初の工程の選択を受け付ける工程選択画面の一例を示す模式図である。
図11】期間選択画面の一例を示す模式図である。
図12】次工程の選択を受け付ける工程選択画面の一例を示す模式図である。
図13】工程表の一表示例を示す模式図である。
図14】本実施の形態に係るサーバ装置が行う工程表作成処理の手順を示すフローチャートである。
図15】実施の形態2に係る期間入力画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る情報処理システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
<システム構成>
図1は、実施の形態1に係る情報処理システムの概要を説明するための模式図である。本実施の形態に係る情報処理システムは、機械学習により生成された学習モデル、いわゆるAI(Artificial Intelligence)を利用して、例えば建設会社の社員等のユーザが建設工事に関する工程表を作成する作業を支援するシステムである。なお本実施の形態においては、建設工事に関する工程表を例に説明を行うが、これに限るものではなく、本実施の形態に係る情報処理システムが作成を支援する工程表は、例えば土木工事又は工業製品の製造工程等の種々のものであってよい。
【0012】
本実施の形態に係る情報処理システムは、AIを用いた工程表の作成支援のサービスを提供するサーバ装置1と、このサービスを利用するユーザが使用する一又は複数の端末装置3とを備えて構成されている。サーバ装置1は、本サービスの提供会社等が管理運営する装置であり、インターネット等のネットワークを介して一又は複数の端末装置3との通信を行い、端末装置3に対して上記のサービスを提供するための種々の情報処理を行う。端末装置3は、例えば建設会社の社員等のユーザが使用するパーソナルコンピュータ等の情報処理装置であり、スマートフォン又はタブレット型端末装置等の可搬型の情報処理装置であってよい。
【0013】
本実施の形態に係る情報処理システムでは、ユーザは端末装置3を利用して工程表を作成するための操作を行う。本実施の形態においては、建設工事で実施される複数の工程は、一の工程が実施された後に次の工程が実施されるというように、時系列的な実施順序が設定される。例えば、端末装置3は設定可能な工程名を一覧表示し、表示された複数の工程の中からユーザは最初の工程を選択する操作を行い、端末装置3はユーザが選択した工程をサーバ装置1へ通知する。サーバ装置1は、ユーザが選択した工程に対して次に行う工程を予測する処理を、予め機械学習により生成された学習モデルを用いて行い、予測した一又は複数の工程を次工程の候補として端末装置3へ通知する。端末装置3は、サーバ装置1から得られる一又は複数の次工程の候補を表示し、次工程の候補の中から一の候補の選択をユーザから受け付ける。端末装置3は次工程の候補の中からユーザにより選択された工程をサーバ装置1へ通知し、サーバ装置1はこの工程の次に実施する工程を予測して、一又は複数の次工程の候補を端末装置3へ通知する。
【0014】
このように、本実施の形態に係る情報処理システムでは、ユーザによる工程の選択の受け付けを端末装置3が行い、選択された工程に対する次工程の候補の予測をサーバ装置1が行うことを繰り返すことによって、最初の工程から最後の工程までに実施する複数の工程、及び、この複数の工程の実施順序に関する情報を生成することができる。本実施の形態においては、複数の工程及びその実施順序に関する情報を、例えば工程名を実施順に並べた配列として扱い、この配列を工程列と呼ぶ。ただし、複数の工程及びその実施順序に関する情報は、どのような形式で扱われてもよい。サーバ装置1は、複数の工程及び実施順序に関する情報である工程列を生成し、生成した工程列に基づいてガントチャート又はバーチャート等の工程表を作成し、作成した工程表を端末装置3へ送信する。
【0015】
また、本実施の形態に係る情報処理システムでは、工程を実施するのに必要な期間をサーバ装置1が予測する。例えばガントチャート又はバーチャート等として工程表を作成するためには、各工程の期間が必要であり、サーバ装置1はユーザが選択した各工程の期間を予測し、予測結果に基づいて工程表を作成する。又は、サーバ装置1は、ユーザが選択した工程に対する次工程の候補を予測し、各候補について期間を予測し、次工程の候補と共に工程の期間の予測結果を端末装置3へ通知してもよい。また更に、サーバ装置1は各工程の期間について複数の候補を予測してもよく、ユーザは次の工程を選択する際に、この工程の期間を候補の中から選択し、端末装置3はユーザが選択した次工程及びその期間をサーバ装置1へ送信してもよい。
【0016】
本実施の形態に係る情報処理システムにてサーバ装置1が行う次工程の候補の予測処理は、予め機械学習により生成された学習モデルを用いて行われる。本実施の形態においてサーバ装置1は、次工程の候補を予測する学習モデルを生成するための機械学習の処理を行う。また更に、各工程の期間を予測する処理は学習モデルを用いて行われてよく、この場合にサーバ装置1は、工程の期間を予測する学習モデルを生成するための機械学習の処理を行う。なお本実施の形態においては、機械学習により学習モデルを生成する処理と、生成した学習モデルを用いた予測処理をと共にサーバ装置1が行うものとするが、これに限るものではなく、学習モデルの生成がサーバ装置1とは別の装置で行われてもよい。
【0017】
<装置構成>
図2は、本実施の形態に係るサーバ装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係るサーバ装置1は、処理部11、記憶部(ストレージ)12及び通信部(トランシーバ)13等を備えて構成されている。なお本実施の形態においては、1つのサーバ装置にて処理が行われるものとして説明を行うが、複数のサーバ装置が分散して処理を行ってもよい。
【0018】
処理部11は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)又は量子プロセッサ等の演算処理装置、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を用いて構成されている。処理部11は、記憶部12に記憶されたサーバプログラム12aを読み出して実行することにより、ユーザが選択した工程の次工程の候補を予測する処理、各工程の期間を予測する処理、及び、予測に用いる学習モデルを生成する処理等の種々の処理を行う。
【0019】
記憶部12は、例えばハードディスク等の大容量の記憶装置を用いて構成されている。記憶部12は、処理部11が実行する各種のプログラム、及び、処理部11の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部12は、処理部11が実行するサーバプログラム12aを記憶する。また記憶部12は、機械学習の処理により生成した工程予測モデル12b及び期間予測モデル12cを記憶する。
【0020】
本実施の形態においてサーバプログラム(コンピュータプログラム、プログラム製品)12aは、メモリカード又は光ディスク等の記録媒体99に記録された態様で提供され、サーバ装置1は記録媒体99からサーバプログラム12aを読み出して記憶部12に記憶する。ただし、サーバプログラム12aは、例えばサーバ装置1の製造段階において記憶部12に書き込まれてもよい。また例えばサーバプログラム12aは、遠隔の他のサーバ装置等が配信するものをサーバ装置1が通信にて取得してもよい。例えばサーバプログラム12aは、記録媒体99に記録されたものを書込装置が読み出してサーバ装置1の記憶部12に書き込んでもよい。サーバプログラム12aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体99に記録された態様で提供されてもよい。
【0021】
工程予測モデル12bは、工程の入力を受け付けて、この工程の次に実施する工程の候補を出力するよう予め機械学習がなされた学習モデルである。本実施の形態において工程予測モデル12bには、例えば時系列の情報を扱うRNN(Recurrent Neural Network)、Transformer又はGPT(Generative Pre-Training)-2等の学習モデルが採用されている。
【0022】
期間予測モデル12cは、工程の入力を受け付けて、この工程の実施に要する期間を出力するよう予め機械学習がなされた学習モデルである。本実施の形態において期間予測モデル12cには、例えば工程予測モデル12bと同様にRNN、Transformer又はGPT-2等の時系列情報を扱う学習モデルが採用され得る。ただし期間予測モデル12cには、DNN(Deep Neural Network)、SVM(Support Vector Machine)又はランダムフォレスト等の学習モデルが採用されてもよい。
【0023】
工程予測モデル12b及び期間予測モデル12cとして記憶部12に記憶される情報には、これらの学習モデルがどのような構成であるかを示す構成情報、及び、機械学習の処理により決定された学習モデルの内部パラメータの値等の情報が含まれ得る。
【0024】
通信部13は、携帯電話通信網、無線LAN(Local Area Network)及びインターネット等を含むネットワークNを介して、種々の装置との間で通信を行う。本実施の形態において通信部13は、ネットワークNを介して、一又は複数の端末装置3との間で通信を行う。通信部13は、処理部11から与えられたデータを他の装置へ送信すると共に、他の装置から受信したデータを処理部11へ与える。
【0025】
なお記憶部12は、サーバ装置1に接続された外部記憶装置であってよい。またサーバ装置1は、複数のコンピュータを含んで構成されるマルチコンピュータであってよく、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。またサーバ装置1は、上記の構成に限定されず、例えば可搬型の記憶媒体に記憶された情報を読み取る読取部、操作入力を受け付ける入力部、又は、画像を表示する表示部等を含んでもよい。
【0026】
また本実施の形態に係るサーバ装置1には、記憶部12に記憶されたサーバプログラム12aを処理部11が読み出して実行することにより、入力情報取得部11a、次工程予測部11b、期間予測部11c、予測結果出力部11d、工程表作成部11e及び学習処理部11f等が、ソフトウェア的な機能部として処理部11に実現される。なお本図においては、処理部11の機能部として、工程表の作成処理及び学習モデルの生成処理に関連する機能部を図示し、これ以外の処理に関する機能部は図示を省略している。
【0027】
入力情報取得部11aは、端末装置3を介してユーザが入力した工程及び期間等の情報を取得する処理を行う。例えば端末装置3はサーバ装置1が予測した次工程の候補を一覧表示し、これらの候補の中から一の工程の選択入力をユーザから受け付けて、受け付けた工程に関する情報をサーバ装置1へ送信する。入力情報取得部11aは、通信部13を介して端末装置3との通信を行い、ユーザが入力した工程に関する情報を受信することにより、ユーザが入力した工程を取得する。また例えば端末装置3は、サーバ装置1が予測した工程を実施する期間の候補を一覧表示し、これらの候補の中から一の期間の選択をユーザから受け付けて、受け付けた期間に関する情報をサーバ装置1へ送信する。入力情報取得部11aは、端末装置3を介してユーザが入力した期間に関する情報を取得する。
【0028】
次工程予測部11bは、ユーザが入力した工程の次に実施する工程を予測する処理を行う。本実施の形態において次工程予測部11bは、予め機械学習がなされた工程予測モデル12bを用いて、次工程の候補を予測する。次工程予測部11bは、入力情報取得部11aが取得した工程を工程予測モデル12bへ入力し、この入力に応じて工程予測モデル12bが出力する工程の候補を取得する。工程予測モデル12bは、例えば工程表に含まれ得る全ての工程について、次工程の候補とすべき度合(確率、尤度、確信度等)を出力する。次工程予測部11bは、次工程の候補とすべき度合いが高い物から順に所定数の工程を選択し、又は、次工程の候補とすべき度合が閾値を超える工程を選択し、選択した工程を次工程の候補とする。
【0029】
期間予測部11cは、ユーザが入力した工程又は次工程予測部11bが次工程の候補として予測した工程等について、その工程を実施する期間(例えば日数)を予測する処理を行う。本実施の形態において期間予測部11cは、予め機械学習がなされた期間予測モデル12cを用いて、工程の期間を予測する。期間予測部11cは、予測対象となる工程(又は予測対象の工程を含む工程列)を期間予測モデル12cへ入力し、期間予測モデル12cが出力する期間の予測結果を取得する。期間予測モデル12cは、例えば工程の実施に要すると予測する期間(日数)を数値として出力する構成であってもよく、また例えば期間が1日である確率X%、2日である確率Y%…のように複数の期間について確率(尤度、確信度等)を出力する構成であってもよい。
【0030】
予測結果出力部11dは、次工程予測部11bによる次工程の候補の予測結果、及び/又は、期間予測部11cによる工程の期間の予測結果を出力する処理を行う。予測結果出力部11dは、これらの予測結果に関する情報を端末装置3へ送信(出力)することによって、端末装置3に予測結果を表示(出力)させる。
【0031】
工程表作成部11eは、例えば最初の工程から最後の工程までの入力がなされた後、入力された複数の工程を実施順に示した工程表を作成する処理を行う。ただし工程表は、最初の工程から最後の工程までに限らず、最初の工程から途中の工程まで、途中の工程から最後の工程まで、又は、途中の工程から途中の工程までのもが作成されてもよい。工程表作成部11eは、例えばガントチャート又はバーチャート等による建設工事等の工程表を作成する。工程表作成部11eは、作成した工程表を端末装置へ送信(出力)し、端末装置3に工程表を表示(出力)させる。
【0032】
学習処理部11fは、機械学習により工程予測モデル12b及び期間予測モデル12cを生成する処理を行う。本実施の形態に係る情報処理システムでは、過去に行われた建設工事の工程に関する情報を予め収集し、収集した情報を基にサーバ装置1の学習処理部11fが機械学習の処理を行う。学習処理部11fは、例えば収集された情報を読み出して適宜の情報処理(前処理)を行うことにより、過去の建設工事にて行われた複数の工程を実施順に並べた工程列のデータを生成し、このデータを工程予測モデル12bを生成する機械学習を行うための学習用データ(いわゆる教師データ)として用いる。また例えば学習処理部11fは、収集された情報を読み出して適宜の前処理を行うことにより、過去の建設工事にて行われた工程とこの工程に費やされた期間とを対応付けたデータを生成し、このデータを期間予測モデル12cを生成する機械学習の処理を行うための学習用データとして用いる。例えば、工程予測モデル12b及び期間予測モデル12cとしてニューラルネットワークの学習モデルが用いられる場合、学習処理部11fは、勾配降下法、確率的勾配降下法又は誤差逆伝播法等の手法により学習モデルの機械学習を行うことができる。機械学習の処理は既存の技術であるため、詳細な説明は省略する。学習処理部11fは、機械学習により生成した工程予測モデル12b及び期間予測モデル12cの内部パラメータ等の情報を記憶部12に記憶する。
【0033】
図3は、本実施の形態に係る端末装置3の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る端末装置3は、処理部31、記憶部(ストレージ)32、通信部(トランシーバ)33、表示部(ディスプレイ)34及び操作部35等を備えて構成されている。端末装置3は、例えば建設会社の社員等のユーザが使用する装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット型端末装置等の情報処理装置を用いて構成され得る。
【0034】
処理部31は、CPU又はMPU等の演算処理装置、ROM及び等を用いて構成されている。処理部31は、記憶部32に記憶されたプログラム32aを読み出して実行することにより、ユーザによる工程及び期間等の情報の入力を受け付ける処理、及び、サーバ装置1から得られた情報をユーザに提示する処理等の種々の処理を行う。
【0035】
記憶部32は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子又はハードディスク等の記憶装置等を用いて構成されている。記憶部32は、処理部31が実行する各種のプログラム、及び、処理部31の処理に必要な各種のデータを記憶する。本実施の形態において記憶部32は、処理部31が実行するプログラム32aを記憶している。本実施の形態においてプログラム32aは遠隔のサーバ装置等により配信され、これを端末装置3が通信にて取得し、記憶部32に記憶する。ただしプログラム32aは、例えば端末装置3の製造段階において記憶部32に書き込まれてもよい。例えばプログラム32aは、メモリカード又は光ディスク等の記録媒体98に記録されたプログラム32aを端末装置3が読み出して記憶部32に記憶してもよい。例えばプログラム32aは、記録媒体98に記録されたものを書込装置が読み出して端末装置3の記憶部32に書き込んでもよい。プログラム32aは、ネットワークを介した配信の態様で提供されてもよく、記録媒体98に記録された態様で提供されてもよい。
【0036】
通信部33は、携帯電話通信網、無線LAN及びインターネット等を含むネットワークNを介して、種々の装置との間で通信を行う。本実施の形態において通信部33は、ネットワークNを介して、サーバ装置1との間で通信を行う。通信部33は、処理部31から与えられたデータを他の装置へ送信すると共に、他の装置から受信したデータを処理部31へ与える。
【0037】
表示部34は、液晶ディスプレイ等を用いて構成されており、処理部31の処理に基づいて種々の画像及び文字等を表示する。操作部35は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作を処理部31へ通知する。例えば操作部35は、機械式のボタン又は表示部34の表面に設けられたタッチパネル等の入力デバイスによりユーザの操作を受け付ける。また例えば操作部35は、マウス及びキーボード等の入力デバイスであってよく、これらの入力デバイスは端末装置3に対して取り外すことが可能な構成であってもよい。
【0038】
また本実施の形態に係る端末装置3は、記憶部32に記憶されたプログラム32aを処理部31が読み出して実行することにより、選択受付部31a及び表示処理部31b等がソフトウェア的な機能部として処理部31に実現される。なおプログラム32aは、本実施の形態に係る情報処理システムに専用のプログラムであってもよく、インターネットブラウザ又はウェブブラウザ等の汎用のプログラムであってもよい。
【0039】
選択受付部31aは、ユーザによる工程及び/又は期間等の情報の選択入力を受け付ける処理を行う。選択受付部31aは、操作部35に対するユーザの操作に基づいて、例えば表示部34に一覧表示された工程又は期間等の選択項目の中から一の項目の選択を受け付けることで、工程又は期間等の選択入力を受け付ける。選択受付部31aは、受け付けた工程又は期間等に関する情報をサーバ装置1へ送信する。
【0040】
表示処理部31bは、サーバ装置1から送信される情報に基づいて、表示部34に種々の文字及び画像等を表示する処理を行う。表示処理部31bは、例えばユーザによる工程及び期間等の入力を受け付ける受付画面を表示する。また表示処理部31bは、例えばサーバ装置1が作成した工程表を表示する。
【0041】
<工程予測モデル>
図4及び図5は、本実施の形態に係る工程予測モデル12bの一構成例を説明するための模式図である。本実施の形態に係る工程予測モデル12bは、例えば図4に示すように、工程の入力を受け付けて、入力された工程の次に行う工程の候補を出力する学習モデルである。例えば、本実施の形態に係る情報処理システムにおいて扱われ得る全ての工程がN種類である場合、工程予測モデル12bはN個の数値を出力する。工程予測モデル12bが出力するN個の数値は、それぞれ工程1~工程Nに対応しており、数値が大きいほど対応する工程が次工程となる可能性が高いことを示している。工程予測モデル12bが出力する複数の数値のうち、数値が大きいものから順に所定数を選択することで、所定数の次工程の候補を取得することができる。
【0042】
工程予測モデル12bへの入力は、1つの工程であってもよく、複数の工程を実施順に並べた工程列であってもよい。工程予測モデル12bへ工程列が入力される構成である場合、工程予測モデル12bは、例えば入力された工程列に含まれる最後の工程の次に行う工程の候補を出力する。ただし工程予測モデル12bは、例えば工程列に含まれる各工程について、次に行う工程の候補を出力してもよく、この場合にはM個の工程を含む工程列の入力に対して工程予測モデル12bはM×N個の数値を出力する。
【0043】
工程列を工程予測モデル12bへ入力する場合、例えば工程列に含まれる複数の工程が工程予測モデル12bへ一括して入力される構成であってもよく、また例えば複数の工程が工程予測モデル12bへ順番に入力される構成であってもよい。図5は、複数の工程を1つずつ順番に工程予測モデル12bへ入力する場合の例である。工程予測モデル12bへ1番目の工程を入力すると、工程予測モデル12bは2番目の工程の候補について工程1~Nに対応するN個の数値を出力する。次いで工程予測モデル12bへ2番目の工程を入力すると、工程予測モデル12bは3番目の工程の候補について工程1~Nに対応するN個の数値を出力する。これを順に繰り返し行い、例えばM個の工程を含む工程列を入力情報とする場合、最後のM番目の工程を工程予測モデル12bへ入力すると、工程予測モデル12bはM+1番目の工程の候補について工程1~Nに対応するN個の数値を出力する。これにより、1番目からM番目までのM個の工程を含む工程列の入力に対して、M×N個の数値の出力を得ることができる。
【0044】
本実施の形態においては、工程予測モデル12bとして時系列の情報を扱う例えばRNN、Transformer又はGPT-2等の学習モデルが採用されている。RNNの学習モデルは、時系列の複数の情報が順に入力され、前時刻の状態と現時刻の入力とに応じて現時刻の状態を出力する学習モデルであり、過去の入力及び状態を考慮した現時刻の状態の予測を行うことができる。工程予測モデル12bとしてRNNの学習モデルが採用される場合、例えば第1番目の工程を工程予測モデル12bへ入力することで第2番目の工程の候補を取得し、候補の中から第2番目の工程を選択して工程予測モデル12bへ入力することで第3番目の工程の候補を取得し…、を繰り返すことで、最初の工程から最後の工程までを順に予測することができる。なお本実施の形態において工程予測モデル12bが扱う工程には、全工程の最後(終わり)であることを示す終了工程が含まれており、工程予測モデル12bは、次工程の候補としてこの終了工程を出力することがあり得る。
【0045】
またTransformer及びGPT-2の学習モデルは、アテンション(Attention)と呼ばれる仕組みを用いて時系列の情報の相関を学習する学習モデルである。工程予測モデル12bとしてTransformer又はGPT-2が採用される場合、例えば確定済みの一又は複数の工程を実施順に並べた工程列が工程予測モデル12bへ入力され、工程予測モデル12bは、入力された工程列に続く次工程の候補を出力する。例えば第1番目の工程のみを含む工程列を工程予測モデル12bへ入力することで第2番目の工程の候補を取得し、候補の中から第2番目の工程を選択して第1番目の工程及び第2番目の工程を並べた工程列を工程予測モデル12bへ入力することで第3番目の工程の候補を取得し、候補の中から第3番目の工程を選択して第1番目から第3番目までの工程をこの順で並べた工程列を工程予測モデル12bへ入力することで第4番目の工程の候補を取得し…、を繰り返すことで、最初の工程から最後の工程までを順に予測することができる。
【0046】
本実施の形態に係る情報処理システムでは、過去に実施された建設工事にて行われた工程に関する情報(即ち、過去の工程表の情報)を予め蓄積し、蓄積したこれらの情報を用いてサーバ装置1が工程予測モデル12bを機械学習の処理により生成する。過去の工程表の情報は、例えばCSV(Comma Separated Value)又はTSV(Tab Separated Values)等のテーブル形式の情報に変換されてデータベース等に蓄積される。サーバ装置1は、蓄積されたテーブル形式の情報を取得し、取得した情報に基づいて工程列の情報を作成し、作成した工程列の情報を機械学習を行うための学習用データとして用いる。
【0047】
図6は、サーバ装置1による学習用データの生成を説明するための模式図であり、過去の工程表の情報をテーブル形式に変換した情報の一例が示されている。本例では、建設工事において行われる各工程について「工程名」、「開始日」、「終了日」、「実働日数」、「開始行」及び「終了行」の情報が対応付けて記憶されている。また本例は1つの建設工事において行われた工程のものであり、この建設工事には工程Aから工程Iまでの9種類の工程が含まれている。
【0048】
「工程名」は、工程に対して付された名称であり、例えば基礎工事、配管工事、外装工事及び内装工事等の文字列が設定される。図示の例では工程名を工程A~工程Iのように簡略化して表記している。「開始日」はその工程が開始された年月日であり、「終了日」はその工程が終了した年月日である。「実働日数」は、その工程の実施に要した日数であり、開始日から終了日までの日数以下の日数が設定される。
【0049】
本実施の形態において工程表は、横方向を時間軸とし、縦方向に複数の行を設けた表であり、各行に又は複数の行に跨って1つの工程を示す始点及び矢印等の記号を連ねて記入することで、建設工事にて行われた複数の工程の順序及び日数等を示す。「開始行」はその工程を開始したタイミングを示す始点が記入された行であり、「終了行」はこの始点から延びる矢印の終点が記入された行である。矢印の終点には次の工程の始点が記入され、最初の工程から複数の矢印を辿ることで工程の順序を判断することができ、矢印の横方向の長さにより工程の実施に要した日数を判断することができる。
【0050】
図示の例では、工程Aが最初の工程である。本実施の形態に係るサーバ装置1は、例えばテーブル形式の情報の「開始日」が最も早い工程を最初の工程として取得する。次いでサーバ装置1は、最初の工程Aに続く2番目の工程をこの情報の中から検索する。このときにサーバ装置1は、工程Aの終了日に開始日が一致し、且つ、工程Aの終了行に開始行が一致する工程を、工程Aの次に実施された工程とする。本例では、工程Aの次に工程Bが実施されている。同様にして工程Bの以後に実施された工程を順に検索していくと、工程A,工程B,工程C,工程D,工程Eの順に実施されていることがわかる。
【0051】
工程Eの終了日は2021/10/22であり、これと同じ開始日が工程F及び工程Gの2つの工程に設定されている。ただし、工程Eの終了行は2であり、工程Fの開始行は4であり、工程Gの開始行は2であることから、工程Eの次の工程は工程Gであることがわかる。なお本例において工程Gは、実働日数が0日であり、実際に実施された工程ではなく、工程表を作成するために挿入されたダミーの工程である。このため工程Gは、サーバ装置1が学習用データとする工程列においては除外されてもよい。
【0052】
同様にして工程Gの以後に実施された工程を順に検索していくと、最終的に、工程A,工程B,工程C,工程D,工程E,工程G,工程F,工程I,工程Hの順に実施されたことがわかる。この結果に基づいてサーバ装置1は、例えばダミーの工程である工程Gを削除し、最後に工程の終了を示す最終工程を追加して、[工程A,工程B,工程C,工程D,工程E,工程F,工程I,工程H,最終工程]の工程列を作成する。なお一連の工程は、例えば途中で複数に分岐する場合、又は、複数の工程が1つに合流する場合等が含まれてもよい。上記の例で工程Cにおいて工程D及び工程Jに分岐する場合、サーバ装置1は、上記の[工程A,工程B,工程C,工程D,工程E,工程F,工程I,工程H,最終工程]の工程列と、[工程A,工程B,工程C,工程J,…,最終工程]の工程列との2つの工程列を作成することができる。
【0053】
サーバ装置1は、蓄積された工程表の情報に基づいて工程列を作成し、作成した工程列の情報を学習用データとして用いた機械学習を行うことにより工程予測モデル12bを生成する。図4に示したように、本実施の形態に係る工程予測モデル12bは、工程の入力を受け付けて、入力された工程の次工程の候補を出力する構成である。サーバ装置1は、学習用データとして作成した工程列を用い、この工程列に含まれる一の工程を入力情報とし、この工程の次の工程を出力情報(正解値)として対応付けたデータを作成し、このデータをいわゆる教師データとして教師ありの機械学習の処理に用いることができる。サーバ装置1は、例えば[工程A,工程B,工程C,最終工程]の工程列から、工程A及び工程Bのデータ、工程B及び工程Cのデータ、並びに、工程C及び最終工程のデータの3つのデータを作成して機械学習に用いることができる。
【0054】
なお工程予測モデル12bに対する入力が工程列である場合、サーバ装置1は、例えば[工程A,工程B,工程C,最終工程]の工程列から、入力工程列が[工程A]及び正解値が工程Bのデータ、[工程A,工程B]及び工程Cのデータ、並びに、[工程A,工程B,工程C]及び最終工程のデータの3つのデータを作成して機械学習に用いることができる。
【0055】
サーバ装置1は、上記の手順で作成した、工程とこの工程の次の工程とを対応付けたデータを用いて教師ありの機械学習の処理を行うことによって、工程予測モデル12bの内部パラメータを決定し、工程予測モデル12bを生成する。サーバ装置1は、例えば勾配降下法、確率的勾配降下法又は誤差逆伝播法等の手法により学習モデルの機械学習を行う。サーバ装置1は、この機械学習の処理により生成した工程予測モデル12bを記憶部12に記憶し、以後の工程予測処理を記憶部12に記憶した工程予測モデル12bを用いて行うことができる。
【0056】
図7は、本実施の形態に係るサーバ装置1が行う工程予測モデル生成処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係るサーバ装置1の処理部11の学習処理部11fは、例えば記憶部12に蓄積された過去の工程表の情報を読み出す(ステップS1)。学習処理部11fは、読み出した工程表に含まれる各工程の例えば「開始日」、「終了日」、「開始行」及び「終了行」等の情報に基づいて、工程表に含まれる複数の工程を実施順に並べた工程列の情報を生成する(ステップS2)。学習処理部11fは、蓄積された全ての工程表の情報について上記の処理を終了したか否かを判定する(ステップS3)。全ての情報について処理を終了していない場合(S3:NO)、学習処理部11fは、ステップS1へ処理を戻し、次の情報を読み出して同様の処理を繰り返し行う。
【0057】
全ての情報について処理を終了した場合(S3:YES)、学習処理部11fは、生成した工程列の情報から更に、一の工程とこの工程の次の工程とを対応付けたデータを生成する(ステップS4)。学習処理部11fは、ステップS4にて生成した工程-次工程のデータを教師データとして用いて機械学習の処理を行い(ステップS5)、工程予測モデル12bを生成する。学習処理部11fは、生成した工程予測モデル12bの内部パラメータ等の情報を記憶部12に記憶して(ステップS6)、処理を終了する。
【0058】
<期間予測モデル>
図8は、本実施の形態に係る期間予測モデル12cの構成を説明するための模式図である。本実施の形態に係る工程予測モデル12bは、例えば工程の入力を受け付けて、入力された工程の実施に要する日数を出力する学習モデルである。例えば、本実施の形態に係る情報処理システムにおいて1つの工程の実施に要する日数の最大値がN日である場合、期間予測モデル12cはN個の数値を出力する。期間予測モデル12cが出力するN個の数値は、それぞれ工程の実施日数が1日、2日、…、N日であることに対応しており、数値が大きいほど対応する日数が入力された工程の実施に必要な日数となる可能性が高いことを示している。なお、本実施の形態においては期間予測モデル12cとして、日数毎の数値を出力する構成(いわゆる分類モデルの構成)が採用されているが、これに限るものではなく、工程の実施に必要な日数を1つの数値として出力する構成(いわゆる回帰モデルの構成)が採用されてもよい。
【0059】
期間予測モデル12cへの入力は、工程予測モデル12bへの入力と同様に、1つの工程であってもよく、複数の工程を実施順に並べた工程列であってもよい。期間予測モデル12cへ工程列が入力される構成である場合、期間予測モデル12cは、例えば入力された工程列に含まれる最後の工程の実施に必要な日数を出力する。ただし期間予測モデル12cは、例えば工程列に含まれる各工程について実施に必要な日数を出力してもよく、この場合にはM個の工程を含む工程列の入力に対して期間予測モデル12cはM×N個の数値を出力する。
【0060】
本実施の形態において期間予測モデル12cには、工程予測モデル12bと同様に、例えばRNN、Transformer又はGPT-2等の学習モデルが採用され得るが、これに限るものではなく、例えばDNN、SVM又はランダムフォレスト等の学習モデルが採用されてもよい。
【0061】
サーバ装置1は、期間予測モデル12cを機械学習の処理により生成するために、予め蓄積された工程表の情報に基づいて学習用データを生成する。この際に用いられる工程表の情報は、工程予測モデル12bの学習用データを生成する際に用いた情報(図6参照)と同じものであってよい。サーバ装置1は、例えば図6に示した情報から、工程名と実働日数とを対応付けたデータを生成し、このデータを学習用データとする。又は、サーバ装置1は、工程予測モデル12bの学習用データを作成したものと同様の手順で工程列を生成し、工程列とこの工程列に含まれる各工程の実働日数とを対応付けたデータを学習用データとしてもよい。
【0062】
サーバ装置1は、蓄積された工程表の情報に基づいて学習用データを作成し、作成した学習用データを用いた機械学習を行うことにより期間予測モデル12cを生成する。図8に示したように、本実施の形態に係る期間予測モデル12cは、工程の入力を受け付けて、入力された工程の実施に要する日数を出力する構成である。サーバ装置1は、学習用データとして作成した工程及び日数を対応付けたデータを用い、このデータに含まれる一の工程を入力情報とし、この工程の日数を出力情報(正解値)として教師ありの機械学習の処理を行うことによって、期間予測モデル12cの内部パラメータを決定し、期間予測モデル12cを生成する。サーバ装置1は、例えば勾配降下法、確率的勾配降下法又は誤差逆伝播法等の手法により学習モデルの機械学習を行う。サーバ装置1は、この機械学習の処理により生成した期間予測モデル12cを記憶部12に記憶し、以後の期間予測処理を記憶部12に記憶した期間予測モデル12cを用いて行うことができる。
【0063】
図9は、本実施の形態に係るサーバ装置1が行う期間予測モデル生成処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係るサーバ装置1の処理部11の学習処理部11fは、例えば記憶部12に蓄積された過去の工程表の情報を読み出す(ステップS21)。学習処理部11fは、読み出した工程表に含まれる工程と、この工程の実働日数とを対応付けたデータを生成する(ステップS22)。学習処理部11fは、蓄積された全ての工程表の情報について上記のデータの生成を終了したか否かを判定する(ステップS23)。全ての情報についてデータの生成を終了していない場合(S23:NO)、学習処理部11fは、ステップS21へ処理を戻し、次の情報を読み出して同様の処理を繰り返し行う。
【0064】
全ての情報についてデータの生成を終了した場合(S23:YES)、学習処理部11fは、生成した工程-日数のデータを教師データとして用いて機械学習の処理を行い(ステップS24)、期間予測モデル12cを生成する。学習処理部11fは、生成した期間予測モデル12cの内部パラメータ等の情報を記憶部12に記憶して(ステップS25)、処理を終了する。
【0065】
<工程表作成処理>
本実施の形態に係るサーバ装置1は、作成した工程予測モデル12b及び期間予測モデル12cを用いて、工程表を作成する処理を行う。この際にサーバ装置1は、ユーザが使用する端末装置3との間で情報の授受を行うことにより、端末装置3に工程及び期間等の選択を受け付けるための画面表示、ユーザによる工程及び期間等の選択の受け付け、学習モデルにより予測した次工程及び期間等の情報の表示、及び、作成した工程表の表示等の処理を行う。
【0066】
図10は、最初の工程の選択を受け付ける工程選択画面の一例を示す模式図である。工程表作成処理においてサーバ装置1は、まずユーザから最初の工程の選択を受け付けるための工程選択画面を端末装置3の表示部34に表示させる。図10に示す工程選択画面は、工程が未記入の工程表の上に、工程選択のためのダイアログボックスを重ねて表示したものである。工程選択のダイアログボックスには、例えば最上部に「工程選択」のタイトル文字列が表示され、その下方に「最初の工程を選択してください」等の選択を促すメッセージが表示される。サーバ装置1は端末装置3に、工程選択のダイアログボックスのこのメッセージの下方に、選択可能な工程名がラベルとして付された複数のボタンを上下方向に並べて一覧表示させる。図示の例では、工程A~工程Eの5つの工程が選択肢として表示されており、ユーザは端末装置3の操作部35を利用していずれか1つの選択肢に対するクリック操作又はタッチ操作等を行うことにより、いずれか1つの工程を選択することができる。
【0067】
なお本実施の形態において、最初の工程の選択肢としてユーザに提示する工程は、予め定められている。サーバ装置1は、予め定められた最初の工程となり得る一又は複数の工程の名称等の情報を端末装置3へ送信し、この情報を受信した端末装置3が予め定められた最初の工程の選択肢を工程選択画面に表示する。端末装置3は、工程選択画面においてユーザによる工程の選択操作を受け付け、選択を受け付けた工程に関する情報をサーバ装置1へ送信する。
【0068】
ユーザが選択した工程に関する情報を端末装置3から受信したサーバ装置1は、期間予測モデル12cを用いて、選択された工程の実施に要する期間を予測する。サーバ装置1は、選択された工程(又は選択された工程を最後の工程として含む工程列)を期間予測モデル12cへ入力し、期間予測モデル12cが出力する期間の情報を取得する。本実施の形態において期間予測モデル12cは、工程(又は工程列)の入力に応じて、この工程(又は工程列の最後の工程)の期間の情報を出力するが、期間の情報は1日~N日に対応するN個の数値であり、各数値は対応する期間の確率を示す。サーバ装置1は、例えばN個の数値の中から上位5つの数値に対応する5つの期間を取得し、取得した5つの期間と各期間について期間予測モデル12cが出力した数値とを端末装置3へ送信する。
【0069】
サーバ装置1から工程の実施に要する期間に関する情報を受信した端末装置3は、ユーザから期間の選択を受け付けるための期間選択画面を表示部34に表示する。図11は、期間選択画面の一例を示す模式図である。図示の期間選択画面は、工程が未記入の工程表の上に、期間選択のためのダイアログボックスを重ねて表示したものである。期間選択のダイアログボックスには、例えば最上部に「期間選択」のタイトル文字列が表示され、その下方に「選択した工程Aの期間を選択してください。」等の選択を促すメッセージが表示される。
【0070】
サーバ装置1から受信した期間に関する情報に基づいて端末装置3は、選択を促すメッセージの下方に、選択可能な期間がラベルとして付された複数のボタンを上下方向に並べて一覧表示すると共に、各期間に対する予測確率を各ボタンの右側に表示する。図示の例では期間が短いものから順に2日~6日の5つの選択肢が一覧表示されているが、これに限るものではなく、例えば確率が高いものから順に選択肢を並べて表示してもよい。ユーザは端末装置3の操作部35を利用していずれか1つの選択肢に対するクリック操作又はタッチ操作等を行うことにより、いずれか1つの期間を選択することができる。端末装置3は、期間選択画面においてユーザによる期間の選択操作を受け付け、選択を受け付けた期間に関する情報をサーバ装置1へ送信する。
【0071】
ユーザが選択した期間に関する情報を端末装置3から受信したサーバ装置1は、図10の工程選択画面にて選択された工程と、図11の期間選択画面にて選択された期間とを対応付けて記憶する。次いでサーバ装置1は、工程選択画面にて選択された工程の次の工程を予測する処理を、工程予測モデル12bを用いて行う。サーバ装置1は、選択された工程(又は選択された工程を最後の工程として含む工程列)を工程予測モデル12bへ入力し、工程予測モデル12bが出力する次工程の候補の情報を取得する。本実施の形態において工程予測モデル12bは、工程(又は工程列)の入力に応じて、この工程(又は工程列の最後の工程)の次に実施する工程の候補の情報を出力するが、出力は全工程数Nに対応するN個の数値であり、各数値は対応する工程の確率を示す。サーバ装置1は、例えばN個の数値の中から上位5つの数値に対応する5つの工程を取得して次工程の候補とする。サーバ装置1は、5つの次工程の候補と、候補の各工程について工程予測モデル12bが出力した数値とを端末装置3へ送信する。
【0072】
サーバ装置1から次工程の候補に関する情報を受信した端末装置3は、ユーザから次の工程の選択を受け付けるための工程選択画面を表示部34に表示する。図12は、次工程の選択を受け付ける工程選択画面の一例を示す模式図である。図12に示す次工程の工程選択画面は、図10に示した最初の工程の工程選択画面と略同じ構成であるが、「工程選択」のタイトル文字列の下方に表示されるメッセージが次工程の選択に適したメッセージ、例えば「工程Aの次の工程を選択してください。」に変更されている。また次工程の工程選択画面には、選択肢として一覧表示される複数の工程名に対応付けて、各工程が次工程となる確率が表示される。
【0073】
端末装置3は、サーバ装置1から受信した次工程の候補に関する情報に基づき、次工程の候補とされた複数の工程名を工程選択画面に選択肢として一覧表示すると共に、受信した情報に含まれる工程予測モデル12bが出力した数値の情報に基づいて各工程の確率を表示する。端末装置3は、工程選択画面においてユーザによる次工程の選択操作を受け付け、選択を受け付けた工程に関する情報をサーバ装置1へ送信する。
【0074】
ユーザが選択した次工程に関する情報を端末装置3から受信したサーバ装置1は、期間予測モデル12cを用いてこの工程の実施に要する期間を予測し、予測結果を端末装置3へ送信する。端末装置3は、サーバ装置1から送信される期間の予測結果に基づいて、図11に示す期間選択画面を表示し、ユーザから期間の選択を受け付けてサーバ装置1へ送信する。以降は、次工程として全行程の終わりを示す終了工程がユーザにより選択されるまで、工程の選択及び期間の選択が繰り返し行われる。
【0075】
ユーザにより終了工程の選択がなされた場合、サーバ装置1は、これまでに選択された工程及び期間の情報に基づいて、工程表を作成する処理を行う。サーバ装置1は、例えば選択された複数の工程について、各工程を期間に応じた長さの矢印で示し、複数の工程に対応する複数の矢印をユーザが選択した順序で連結する。サーバ装置1は、連結した複数の矢印を、横軸を日付とする表の上に重ねて描くことで工程表を作成する。サーバ装置1は作成した工程表に関する情報を端末装置3へ送信し、端末装置3はサーバ装置1が作成した工程表を表示部34に表示する。
【0076】
図13は、工程表の一表示例を示す模式図である。図示の工程表は、ある建設工事の2021年12月1日(月)から14日(日)までの工程表である。この工程表には、例えば「仮設」、「外装」及び「内装」等の作業区分(作業の種類又は分類等)が設けられており、各区分について工程を記載する3行分の領域が設けられている。本例は、「仮設」の作業区分についてユーザが工程の入力を終えた状態である。ユーザは、工程A,工程B,工程C,工程D,工程Eの順に実施する工程を選択し、工程Aを3日、工程Bを3日、工程Cを2日、工程Dを1日、工程Eを4日と期間を選択している。
【0077】
サーバ装置1は、作業区分毎に上述の工程の選択及び期間の選択をユーザから受け付けて、複数の工程を実施順に矢印で連結したものを作成し、最終的には複数の作業区分についてそれぞれ複数の工程を連結した工程表を作成する。なお本例においてサーバ装置1は、「仮設」、「外装」及び「内装」等の作業区分に分けた工程表を作成しているが、これらの作業区分は一例であって、これらに限るものではない。またサーバ装置1は、作業区分ではなく例えば「建物南側」及び「建物北側」等のような建築区画(作業を行う場所)に分けた工程表を作成してもよく、更には作業区分及び建築区画の組み合わせで分けた工程表を作成してもよい。
【0078】
なお本実施の形態においては、端末装置3が工程表を表示するために必要な情報、例えば日付、作業区分及びこれらの配置等の情報は、一連の工程を示す矢印を表示するための情報と共に、サーバ装置1から端末装置3へ送信される。ただし、工程表を表示するために必要な情報は端末装置3が予め記憶していてもよい。またサーバ装置1が工程及び期間の予測を行い、端末装置3が工程表を作成する処理を行ってもよい。
【0079】
図14は、本実施の形態に係るサーバ装置1が行う工程表作成処理の手順を示すフローチャートである。本実施の形態に係るサーバ装置1の処理部11の入力情報取得部11aは、端末装置3に最初の工程選択画面を表示させる(ステップS41)。入力情報取得部11aは、端末装置3から送信される情報を通信部13にて受信することにより、端末装置3を介してユーザによる最初の工程の選択を受け付ける(ステップS42)。
【0080】
次いで処理部11の期間予測部11cは、ユーザが選択した工程の期間を予測する処理を行う(ステップS43)。このときに期間予測部11cは、ユーザが選択した工程(又は、これまでにユーザが選択した複数の工程を時系列に並べた工程列)を期間予測モデル12cへ入力し、期間予測モデル12cが出力する期間の予測結果を取得することで、期間の予測を行う。処理部11の予測結果出力部11dは、期間予測部11cによる期間の予測結果を端末装置3へ送信することにより、端末装置3の表示部34に期間選択画面を表示させる(ステップS44)。入力情報取得部11aは、端末装置3を介してユーザによる期間の選択を受け付ける(ステップS45)。
【0081】
次いで処理部11の次工程予測部11bは、ユーザが選択した工程の次の工程を予測する処理を行う(ステップS46)。このときに次工程予測部11bは、ステップS42又はS48にてユーザが選択した工程(又は、これまでにユーザが選択した複数の工程を時系列に並べた工程列)を工程予測モデル12bへ入力し、工程予測モデル12bが出力する次工程の候補を取得することで、次の工程の予測を行う。予測結果出力部11dは、次工程予測部11bよる次工程の予測結果を端末装置3へ送信することにより、端末装置3の表示部34に次工程の工程選択画面を表示させる(ステップS47)。入力情報取得部11aは、端末装置3を介してユーザによる次の工程の選択を受け付ける(ステップS48)。入力情報取得部11aは、ユーザにより選択された工程が、全行程の終了を示す終了工程であるか否かを判定する(ステップS49)。選択された工程が終了工程でない場合(S49:NO)、処理部11は、ステップS43へ処理を戻し、ステップS43~S49の処理を繰り返し行う。
【0082】
選択された工程が終了工程である場合(S49:YES)、処理部11の工程表作成部11eは、これまでに受け付けた工程及び期間の情報に基づいて、図13に示すような工程表を作成する(ステップS50)。工程表作成部11eは、作成した工程表の情報を端末装置3へ送信することにより、端末装置3に工程表を表示させて(ステップS51)、処理を終了する。
【0083】
<まとめ>
以上の構成の本実施の形態に係る情報処理システムでは、サーバ装置1が端末装置3を介してユーザによる工程の入力を受け付け、工程予測モデル12bを用いて次工程の候補を予測し、予測した次工程の候補を端末装置3へ送信(出力)することで、端末装置3の表示部34に表示(出力)する。これによりユーザは入力した工程の次に実施すべき工程を容易に把握することができるため、本実施の形態に係る情報処理システムは、ユーザによる工程表の作成を支援することが期待できる。
【0084】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、サーバ装置が工程予測モデル12bの出力に基づいて次工程の複数の候補を端末装置3へ送信し、端末装置3を介して複数の候補の中から1つの工程の選択入力を受け付けて、選択された工程の次工程の候補を更に予測する。工程予測モデル12bの出力には全工程の終了を示す終了工程が含まれ、ユーザがこの終了工程を選択するまで、サーバ装置1は次工程の候補の予測及び次工程の選択の受け付けを繰り返し行う。次工程の候補の予測及び次工程の選択受付を繰り返し行うことで、サーバ装置1は、時系列的に実施される一連の工程に関する情報をユーザから取得することができる。ユーザは限定され且つ信頼性の高い候補の中から次工程を選択することができるため、多数の工程の中から次工程を選択する場合と比較して、次工程の選択を容易化することが期待できる。
【0085】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、サーバ装置1が期間予測モデル12cを用いて工程の実施に要する期間を予測し、予測した期間を端末装置3へ送信(出力)することで、端末装置3の表示部34に工程の期間を表示(出力)する。期間予測モデル12cは、工程又は工程列の入力に対して、入力された工程又は工程列の最後の工程の実施に要する期間を出力する。これによりユーザは、建設工事等の各工程にどの程度の期間が必要であるかを容易に把握することができるため、本実施の形態に係る情報処理システムは、ユーザによる工程表の作成を支援することが期待できる。
【0086】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、サーバ装置1が工程の実施に要する期間を予測して複数の候補を端末装置3へ送信し、端末装置3が期間の候補を複数表示する。これによりユーザは、複数の候補の中から適した期間を判断して入力することができるため、本実施の形態に係る情報処理システムは、ユーザによる工程表の作成を支援することが期待できる。
【0087】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、サーバ装置1が端末装置3を介してユーザから複数の工程の入力及び各工程の期間の入力を受け付け、受け付けた工程及び期間に基づいて複数の工程を実施順に示した工程表を作成し、作成した工程表を端末装置3へ送信(出力)して、端末装置3の表示部34に工程表を表示(出力)させる。またサーバ装置1は、複数の作業区分毎又は建築区画毎に工程及び期間の入力をユーザから受け付けて、複数の作業区分毎又は複数の建築区画毎に複数の工程の実施順を示した工程表を作成してもよい。これらにより、本実施の形態に係る情報処理システムは、ユーザの入力した情報に基づいて自動的に工程表を作成して出力することができ、ユーザによる工程表の作成を支援することが期待できる。
【0088】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、サーバ装置1が複数の工程とこれらの工程の実施順に関する情報とを含む例えば工程列の情報を学習用データとして取得し、取得した学習用データを用いた機械学習を行うことにより、工程の入力に対して次工程の候補を出力する工程予測モデル12bを生成する。これによりサーバ装置1は、生成した工程予測モデル12bを用いて、ユーザが選択した工程に対する次工程の候補を予測して出力することができるため、ユーザによる工程表の作成を支援することが期待できる。
【0089】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、複数の工程と各工程の開始時点及び終了時点とが対応付けられたデータをサーバ装置1が取得し、このデータに基づいて複数の工程を実施順に並べた工程列の学習用データを生成して、工程予測モデル12bの機械学習を行う。これによりサーバ装置1は、過去に実施された建設工事等の工程表などの情報を基に学習用データを生成し、生成した学習用データを用いて工程予測モデル12bの機械学習を行うことができる。
【0090】
また本実施の形態に係る情報処理システムでは、サーバ装置1が複数の工程と各工程の実施期間とを含む学習用データを取得し、取得した学習用データを用いた機械学習を行うことにより、工程の入力に対してこの工程の実施に要する期間を出力する期間予測モデル12cを生成する。又は、サーバ装置1は、複数の工程とこの複数の工程の実施順に関する情報と各工程の実施期間とを含む学習用データを取得し、取得した学習用データを用いた機械学習を行うことにより、工程の入力に対してこの工程の実施に要する期間を出力する期間予測モデル12cを生成する。これによりサーバ装置1は、生成した期間予測モデル12cを用いて、ユーザが選択した工程の実施に要する期間を予測して出力することができるため、ユーザによる工程表の作成を支援することが期待できる。
【0091】
なお本実施の形態においては、建設工事の工程表の作成を例に説明を行ったが、情報処理システムが扱う工程表は建設工事に限らず、例えば土木工事又は製品製造等の工程についての工程表であってもよく、これら以外のどのような工程表であってもよい。また、本実施の形態において図10図12等に示した画面表示は、一例であってこれに限るものではなく、どのような態様で画面表示が行われてもよい。
【0092】
<実施の形態2>
実施の形態2に係る情報処理システムでは、サーバ装置1が期間予測モデル12cを用いた期間の予測を行わず、過去に実施された工程に関する情報に基づいて期間に関する情報をユーザに提供して、ユーザによる期間の入力を受け付ける。実施の形態2に係るサーバ装置1は、例えば図10又は図12に示した工程選択画面によるユーザから工程の選択を受け付けた後、選択された工程の実施期間の入力を受け付けるための期間入力画面を端末装置3の表示部34に表示させる。
【0093】
図15は、実施の形態2に係る期間入力画面の一例を示す模式図である。実施の形態2に係る情報処理システムにおいて端末装置3が表示する期間入力画面は、工程が未記入の工程表の上に、期間入力のためのダイアログボックスを重ねて表示したものである。期間入力のダイアログボックスには、例えば最上部に「期間入力」のタイトル文字列が表示され、その下方に「選択した工程Aの期間を入力してください。」等の入力を促すメッセージが表示される。端末装置3は、このメッセージの下方に、ユーザが選択した工程Aについての過去の履歴に基づく「平均日数」、「最大日数」及び「最小日数」等の統計値を表示する。また端末装置3は、これらの表示の下方に、工程Aの期間の数値入力を受け付けるための入力ボックスと、「OK」のラベルが付されたボタンとを表示する。ユーザは、端末装置3の操作部35を用いて、入力ボックスに工程Aの実施に要する期間の日数を入力し、OKボタンに対するクリック操作又はタッチ操作等を行うことにより、期間を入力することができる。端末装置3は入力された期間に関する情報をサーバ装置1へ送信し、これを受信したサーバ装置1は期間を記憶すると共に、次の工程の候補を端末装置3へ送信する。以降は、ユーザによる候補の選択及び期間の入力が繰り返し行われ、最終工程の選択がなされた場合にサーバ装置1が工程表を作成する。
【0094】
実施の形態2に係るサーバ装置1は、図示の期間入力画面を端末装置3が表示するために、ユーザが選択した工程に関する平均日数、最大日数及び最小日数等の統計値を算出し、算出結果を端末装置3へ送信する。このときにサーバ装置1は、予め蓄積された過去の工程表の情報、例えば図6に示した情報から、対象となる工程の実働日数を全て抽出し、抽出した実働日数の平均値、最大値及び最小値を算出する。端末装置3は、サーバ装置1から送信されるこれらの情報を受信して、期間入力画面に工程の平均日数、最大日数及び最小日数を表示する。なお本実施の形態において端末装置3は、過去の期間の平均日数、最大日数及び最小日数を表示するものとするが、これに限るものではなく、これら以外のどのような統計値を表示してもよい。
【0095】
また端末装置3は、例えば対象の工程について抽出した実働日数について、横軸を日数とし、縦軸を度数としたヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムを統計値として表示部34に表示してもよい。更に端末装置3は、ヒストグラムの表示と共に、上記の平均値、最大値及び最小値等の統計値を表示してもよい。なお端末装置3は、ヒストグラムに限らず、工程の実働日数に関する種々のグラフ表示を行ってよい。
【0096】
また実施の形態2に係る情報処理システムでは、期間入力画面に表示された最大日数又は最小日数に対するクリック操作又はタッチ操作等の操作を端末装置3が受け付ける。例えば最大日数に対する操作がなされた場合、端末装置3からサーバ装置1へその旨が通知され、サーバ装置1はこの最大日数で実施された工程を含む工程表の情報を端末装置3へ送信し、端末装置3がこの工程表を表示部34に表示する。最大日数で実施された工程を含む工程表が複数存在する場合、サーバ装置1は、例えば最も新しい工程表を選択して端末装置3へ送信してもよく、また例えば該当する工程表のタイトル又は日付等の一覧を端末装置3に表示させてユーザから選択を受け付けて工程表の表示を行ってもよい。
【0097】
以上の構成の実施の形態2に係る情報処理システムでは、以前に実施された建設工事の工程表を基に、ユーザにより選択された工程について過去の平均日数、最大日数又は最小日数の少なくとも1つの統計値をサーバ装置1が算出して端末装置3へ送信(出力)し、端末装置3にこれらの統計値を表示(出力)させる。これによりユーザは、自身が選択した工程について、実施にどの程度の期間を要するかを過去の実績から把握することができるため、本実施の形態に係る情報処理システムは、ユーザによる工程表の作成を支援することが期待できる。
【0098】
なお、実施の形態2に係る情報処理システムのその他の構成は、実施の形態1に係る情報処理システムと同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0099】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
1 サーバ装置
3 端末装置
11 処理部
11a 入力情報取得部
11b 次工程予測部
11c 期間予測部
11d 予測結果出力部
11e 工程表作成部
11f 学習処理部
12 記憶部
12a サーバプログラム
12b 工程予測モデル
12c 期間予測モデル
13 通信部
31 処理部
31a 選択受付部
31b 表示処理部
32 記憶部
32a プログラム
33 通信部
34 表示部
35 操作部
98,99 記録媒体
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
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図15