(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】水性PHA分散液に基づく生分解性コーティング
(51)【国際特許分類】
C09D 167/04 20060101AFI20241211BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20241211BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20241211BHJP
【FI】
C09D167/04 ZBP
C09D5/02
C08L101/16
(21)【出願番号】P 2021507584
(86)(22)【出願日】2019-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019046102
(87)【国際公開番号】W WO2020036843
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-08-10
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523348656
【氏名又は名称】ダニマー・アイピーシーオー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グラブス・ザサード,ジョー・ビー
(72)【発明者】
【氏名】イートン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ブルックス,カースン
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0171559(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0247537(US,A1)
【文献】国際公開第2004/041936(WO,A1)
【文献】特開2002-121288(JP,A)
【文献】特開2005-089751(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0105639(US,A1)
【文献】米国特許第05362573(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0009914(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 167/04
C09D 5/02
C08L 101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
35から75重量%までの水;
25から65重量%までのポリヒドロキシアルカノエート;
ポリソルベート、芳香族ポリエチレンオキシド、ソルビタン誘導体、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマー、ポリ(グリコールエーテル)、ポリ(ビニルアルコール)、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート、ステアレート及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、0.01重量%から5.0重量%までの少なくとも1種の界面活性剤;
0.01重量%から5.0重量%までの少なくとも1種のレオロジー改変剤;
0.01重量%から2.5重量%までの少なくとも1種の湿潤及び分散剤;及び
0.01重量%から0.5重量%までの少なくとも1種の殺生物剤又は制生剤
を含む、食物接触基材をコーティングするための生分解性水性分散液であって、
分散液が、
ポリヒドロキシアルカノエートを粉末化し、ポリヒドロキシアルカノエートの初期ミセルを形成するために、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の湿潤及び分散剤の存在下で低から高せん断ミキサーを用いて粉末化されたポリヒドロキシアルカノエートを水中に分散させ、
超音波ミキサー/ホモジナイザーを用いてポリヒドロキシアルカノエート粒子の分散を仕上げて、均一なエマルション/分散液を作り、そして
少なくとも1種の殺生物剤又は制生剤及び少なくとも1種のレオロジー添加剤を加えて、せん断混合し、分散を完了させる、
ことによって調製される、
生分解性水性分散液。
【請求項2】
分散液が、25から65重量%までのポリ-3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート(“P(3HB-co-3HHx)”)を含む、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項3】
P(3HB-co-3HHx)が、75から99モルパーセントまでのヒドロキシブチレート及び1から25モルパーセントまでのヒドロキシヘキサノエートを含む、請求項2に記載の生分解性水性分散液。
【請求項4】
分散液が、25から50モルパーセントまでのヒドロキシバレレート、ヒドロキシヘキサノエート、ヒドロキシオクタノエート及び/又はヒドロキシデカノエートを含む少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエートの1から25重量%を含む、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項5】
分散液が、50,000ダルトンから250万ダルトンまでの重量平均分子量を有するポリヒドロキシアルカノエートを含む、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項6】
分散液が、10nmから50μmまでの平均粒度を有する粒子を含む、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項7】
分散液が、25パーセントから65パーセント固体までの平均固体含有率を有する、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項8】
少なくとも1種の界面活性剤が、10より大きい親水性親油性バランスを有する、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項9】
分散液が、0.01重量%から5.0重量%までの、多糖類、アクリレートに基づく乳化コポリマー、粘度降下剤及び増粘剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のレオロジー改変剤を含む、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項10】
分散液が、0.1重量%から5.0重量%までの、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、炭酸ジメチル、メタノール、エタノール、ケトン、アセテート及び又はそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の
造膜助剤をさらに含む、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項11】
分散液が、1重量%から35重量%までのクレー、炭酸カルシウム、タルク、カオリナイト、モントモリロナイト、ベントナイト、シリカ、キチン、二酸化チタン、ナノクレー又はそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の充填剤をさらに含む、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項12】
分散液が、0.5重量%から15重量%までの、セバケート、シトレート、アジピン酸、コハク酸及びグルカル酸の脂肪エステル、ラクテート、アルキルジエステル、シトレート、アルキルメチルエステル、ジベンゾエート、プロピレンカーボネート、200-10,000g/モルの数平均分子量を有するカプロラクトンジオール、400-10,000g/モルの数平均分子量を有するポリ(エチレン)グリコール、植物油のエステル、長鎖アルキル酸、アジペート、グリセロール、イソソルビド誘導体又はそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項13】
分散液が、0.1重量%から5重量%までの、硫黄、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ステアレート、ソルビトール、マンニトール、ポリエステルワックス及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の核形成剤をさらに含む、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項14】
分散液が、0.01重量%から5重量%までの、安定化アンモニウムジルコニウムカーボネート、アニオン性ヒドロキシル化ジルコニウムポリマー、カリウムジルコニウムカーボネート、アニオン性ヒドロキシル化ジルコニウムポリマー、亜鉛テトラアミンカーボネート及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項15】
分散液が、0.05から1重量%までのポリエーテルシロキサン、ポリアミド粒子及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の消泡剤をさらに含む、請求項1に記載の生分解性水性分散液。
【請求項16】
少なくとも1つの食物接触面を有する生分解性基材;及び
前記少なくとも1つの食物接触面上に適用されるコーティング
を含む生分解性給食用品であって、
ここでコーティングは
35から75重量%までの水;
25から65重量%までのポリヒドロキシアルカノエート;
ポリソルベート、芳香族ポリエチレンオキシド、ソルビタン誘導体、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマー、ポリ(グリコールエーテル)、ポリ(ビニルアルコール)、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート、ステアレート及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、0.01重量%から5.0重量%までの少なくとも1種の界面活性剤;
0.01重量%から5.0重量%までの少なくとも1種のレオロジー改変剤;
0.01重量%から2.5重量%までの少なくとも1種の湿潤及び分散剤;及び
0.01重量%から0.5重量%までの少なくとも1種の殺生物剤又は制生剤
を含む生分解性水性分散液として適用され、
分散液が、
ポリヒドロキシアルカノエートを粉末化し、ポリヒドロキシアルカノエートの初期ミセルを形成するために、少なくとも1種の界面活性剤及び少なくとも1種の湿潤及び分散剤の存在下で低から高せん断ミキサーを用いて粉末化されたポリヒドロキシアルカノエートを水中に分散させ、
超音波ミキサー/ホモジナイザーを用いてポリヒドロキシアルカノエート粒子の分散を仕上げて、均一なエマルション/分散液を作り、そして
少なくとも1種の殺生物剤又は制生剤及び少なくとも1種のレオロジー添加剤を加えて、せん断混合し、分散を完了させる、
ことによって調製される、
生分解性給食用品。
【請求項17】
生分解性基材が、生分解性皿、カップ、ボウル、ファイバートレー又は食器を含む、請求項16に記載の生分解性給食用品。
【請求項18】
乾燥基準で平方メートル当たり2から25グラムまでのコーティング重量で前記少なくとも1つの食物接触面上にコーティングを適用する、請求項16に記載の生分解性給食用品。
【請求項19】
コーティングが、TAPPI Standard T441に従って測定される平方メートル当たり20グラム未満のCobb吸水値を示す、請求項16に記載の生分解性給食用品。
【請求項20】
コーティングが、TAPPI Standard T559cm-12に従って測定されるKit Value5より大きいKit Test油抵抗性値を示す、請求項16に記載の生分解性給食用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は生分解性ポリマー組成物に関する。さらに特定的に本開示はポリヒドロキシアルカノエート(“PHAs”)の水性分散液から作られる給食用品(food service items(食品サービス品))のための生分解性コーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
消費者は、簡便のために使い捨てである皿、ボウル、カップ及び飲食器のような給食用品を頻繁に用いる。使い捨て給食用品は大きな集会および屋外会食(outdoor dining events)において食物を提供するために特に簡便である。
【0003】
使い捨て給食用品は、有利には埋め立て廃棄後に比較的迅速に分解する板紙のような基材から容易に二次加工される場合がある。しかしながらコーティングされていない単純な板紙基材は水及び/又は油を容易に吸い取り、それらは板紙の強度を危うくする。結局、板紙から作られる給食用品には、水及び油抵抗性を向上させるために、典型的に薄いポリマー層がコーティングされる。
【0004】
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリマーから作られるコーティングは水及び/又は油吸収への板紙の抵抗性を有意に向上させる場合がある;しかしながらそのようなポリマーは埋め立て廃棄の後に容易に劣化又は分解しない。かくしてそのようなポリマーがコーティングされた板紙品は廃棄の後に何世紀に及んで埋め立て中に存在する場合がある。
【0005】
かくして完全に生分解性である給食用品のための新規なコーティングを提供することが望ましい。さらに、この生分解性コーティングが優れた水及び油抵抗性-すなわち通常の非生分解性コーティングにより与えられるものに匹敵する水及び油抵抗性を与えれば、それも望ましい。
【発明の概要】
【0006】
上記及び他の要求は、食物接触基材をコーティングするための生分解性水性分散液により満たされる。1つの態様に従うと、この分散液は約35から約75重量%までの水及び約25から約65重量%までのポリヒドロキシアルカノエートで構成される。
【0007】
ある態様において、分散液は好ましくは約25から約65重量%までのポリ-3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート(“P(3HB-co-3HHx)”)で構成される。さらに、ある態様において、このP(3HB-co-3HHx)は今度は好ましくは約75から約99モルパーセントまでのヒドロキシブチレート及び約1から約25モルパーセントまでのヒドロキシヘキサノエートで構成される。より好ましくは、P(3HB-co-3HHx)は約85から約95モルパーセントまでのヒドロキシブチレート及び約5から約15モルパーセントまでのヒドロキシヘキサノエートで構成される。
【0008】
いくつかの態様において、分散液は好ましくは約25から約50モルパーセントまでのヒドロキシバレレート、ヒドロキシヘキサノエート、ヒドロキシオクタノエート及び/又はヒドロキシデカノエートを含む少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエートの約1から約25重量%で構成される。
【0009】
さらに、いくつかの場合、ポリヒドロキシアルカノエートポリマーは少なくとも3種類の型のヒドロキシアルカノエートモノマー残基で構成されるターポリマーの場合がある。ターポリマーは例えば約75から約99モルパーセントまでのヒドロキシブチレート、約0.1から約15モルパーセントまでのヒドロキシバレレート及び約1から約25モルパーセントまでのヒドロキシヘキサノエートのような第3のヒドロキシアルカノエートを含む場合がある。
【0010】
ある態様に従うと、分散液中のポリヒドロキシアルカノエートは好ましくは約50,000ダルトンから約250万ダルトンまでの重量平均分子量を有する。より好ましくは、重量平均分子量は約150,000ダルトンから約600,000ダルトンまでであり、さらに好ましくは約150,000ダルトンから約500,000ダルトンまでである。
【0011】
ある態様において、分散液は好ましくは約10nmから約50μmまでの平均粒度を有する粒子で構成される。さらに、いくつかの態様において、分散液は好ましくは約25パーセントから約65パーセント固体までの平均固体含有率を有する。より好ましくは、平均固体含有率は約40パーセントから約55パーセント固体までそしてさらにもっと好ましくは約40パーセントから約50パーセント固体までである。
【0012】
水及びPHAの他に、分散液は任意的にさらなる成分を含む場合がある。例えばある態様において、分散液は好ましくは約0.01重量%から約5.0重量%までのポリソルベート、芳香族ポリエチレンオキシド、ソルビタン誘導体、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマー、ポリ(グリコールエーテル)、ポリ(ビニルアルコール)、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート、ステアレート及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤も含む。より好ましくは分散液は約0.5重量%から約5.0重量%までの少なくとも1種の界面活性剤そしてさらにもっと好ましくは約0.5重量%から約2.0重量%までの少なくとも1種の界面活性剤を含む。
【0013】
いくつかの場合、この少なくとも1種の界面活性剤は好ましくは10より大きい親水性親油性バランスを有する。より好ましくは、少なくとも1種の界面活性剤は、好ましくは約12から約15までの親水性親油性バランスを有する。
【0014】
いくつかの態様において、分散液は好ましくは約0.01重量%から約5.0重量%までの多糖類、アクリレートに基づく乳化コポリマー(emulsion copolymer)、粘度降下剤及び増粘剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のレオロジー改変剤も含む。
【0015】
いくつかの場合、分散液は好ましくは約0.01重量%から約2.5重量%までの少なくとも1種の湿潤及び分散剤も含む。
【0016】
ある態様に従うと、分散液は好ましくは約0.01重量%から約0.5重量%までの少なくとも1種の殺生物剤(biocide)又は制生剤も含む。
【0017】
ある態様において、分散液は好ましくは約0.1重量%から約5.0重量%までのバイオ-コハク酸(bio-succinic acid)に基づく凝集溶剤、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート、炭酸ジメチル、メタノール、エタノール、ケトン、アセテート及び又は(and or)それらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の造膜助剤も含む。
【0018】
いくつかの態様において、分散液は好ましくは約1重量%から約35重量%までのクレー、炭酸カルシウム、タルク、カオリナイト、モントモリロナイト、ベントナイト、シリカ、キチン、二酸化チタン、ナノクレー、雲母又はそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の充填剤も含む。
【0019】
ある態様において、分散液は好ましくは約0.5重量%から約15重量%までのセバケート、シトレート、アジピン酸、コハク酸及びグルカル酸の脂肪エステル、ラクテート、アルキルジエステル、シトレート、アルキルメチルエステル、ジベンゾエート、プロピレンカーボネート、200-10,000g/モルの数平均分子量を有するカプロラクトンジオール、400-10,000g/モルの数平均分子量を有するポリ(エチレン)グリコール、植物油のエステル、長鎖アルキル酸、アジペート、グリセロール、イソソルビド誘導体又はそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の可塑剤も含む。
【0020】
他の態様において、分散液は好ましくは約0.1重量%から約5重量%までの硫黄、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、人工甘味料、ステアレート、ソルビトール、マンニトール、ポリエステルワックス、2:1;2:1結晶構造化学品(crystal structure chemicals)を有する化合物及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の核形成剤も含む。
【0021】
いくつかの態様に従うと、分散液は好ましくは約0.01重量%から約5重量%までのカレンジュラオイル、安定化アンモニウムジルコニウムカーボネート、アニオン性ヒドロキシル化ジルコニウムポリマー、カリウムジルコニウムカーボネート、アニオン性ヒドロキシル化ジルコニウムポリマー、亜鉛テトラアミンカーボネート及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋剤も含む。
【0022】
いくつかの態様において、分散液は好ましくは約0.05から約1重量%までのポリエーテルシロキサン、ポリアミド粒子及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の消泡剤も含む。
【0023】
1つの好ましい態様において、分散液は水とPHAの他に:(1)約0.01重量%から約5.0重量%までの少なくとも1種の界面活性剤;(2)約0.01重量%から約5.0重量%までの少なくとも1種のレオロジー改変剤;(3)約0.01重量%から約2.5重量%までの少なくとも1種の湿潤及び分散剤;ならびに(4)約0.01重量%から約0.5重量%までの少なくとも1種の殺生物剤又は制生剤も含む場合がある。
【0024】
第2の側面において、本開示は生分解性給食用品を提供する。1つの態様に従うと、生分解性給食用品は少なくとも1つの食物接触面を有する生分解性基材を含む。給食用品は少なくとも1つの食物接触面の上に適用されるコーティングも含む。このコーティングは生分解性水性分散液として適用され、それは約35から約75重量%までの水及び約25から約65重量%までのポリヒドロキシアルカノエートで構成される。
【0025】
ある態様において、生分解性基材は好ましくは生分解性皿、カップ、ボウル、ファイバートレー(fiber tray)又は食器である。
【0026】
いくつかの態様において、コーティングは好ましくは少なくとも1つの食物接触面上に乾燥基準で平方メートル当たり約2から約25グラムまでそしてより好ましくは平方メートル当たり約4から約25グラムまでのコーティング重量で適用される。
【0027】
ある態様において、コーティングは好ましくはTAPPI Standard T441に従って測定される平方メートル当たり20グラム未満のCobb吸水値(Cobb
water absorption value)を示す。より好ましくは、Cobb吸水値は平方メートル当たり10グラム未満である。さらに、ある態様において、コーティングは好ましくはTAPPI Standard T559cm-12に従って測定されるKit Value 5より大きいKit Test油抵抗性値(Kit Test grease resistance value)を示す。より好ましくはKit Valueは約8から約12までである。
【0028】
詳細な記述
生分解性水性分散液
本開示に従い、食物接触基材及び他の基材のコーティングのための生分解性水性分散液を提供する。この分散液は少なくとも水とポリヒドロキシアルカノエートを含み、下記でより詳細に議論される通り、他の成分も含む場合がある。
【0029】
本明細書で用いられる場合、「生分解性」という用語は嫌気性及び好気性環境において(ASTM D5511により決定される)、土壌環境において(ASTM 5988により決定される)、淡水環境において(ASTM D5271(EN 29408)により決定される)又は海水環境において(ASTM D6691により決定される)生物(微生物)による生分解を受けるプラスチック又はポリマー材料コーティングを指す。生分解性プラスチックの生分解性はASTM D6868及びEuropean EN 13432を用いても決定され得る。
【0030】
本開示の水性分散液は好ましくは、工業的又は家庭堆肥化可能性に関するASTM D6400により決定される場合に「堆肥化可能」でもある。
【0031】
水は分散液のための溶媒であり、典型的に分散液の約35重量%から約75重量%を構成するであろう。より好ましくは、水は分散液の約40重量%から約60重量%までを構成する。
【0032】
分散液はポリヒドロキシアルカノエート(“PHAs”)も含む。ポリヒドロキシアルカノエートは典型的に分散液の約25から約65重量%までを構成するであろう。より好ましくは、ポリヒドロキシアルカノエートは分散液の約40から約55重量%までを構成するであろう。
【0033】
分散液中での使用に好ましいポリヒドロキシアルカノエートはポリ-3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート(“P(3HB-co-3HHx)”)である。ある態様において、P3HB-co-P3HHxは分散液中で主要なポリヒドロキシアルカノエートである。いくつかの場合、P(3HB-co-3HHx)は分散液中で用いられる実質的に唯一のポリヒドロキシアルカノエートの場合がある。かくして本開示のある態様において、分散液は好ましくは約25から約65重量%までのP(3HB-co-3HHx)で構成される場合がある。
【0034】
前記のP(3HB-co-3HHx)は今度はヒドロキシブチレートとヒドロキシヘキサノエートの両方で構成されるコポリマーであり、2つの相対的な量はいくらか変わる場合がある。しかしながら一般にP(3HB-co-3HHx)は約75から約99モルパーセントまでのヒドロキシブチレートと約1から約25モルパーセントまでのヒドロキシヘキサノエートで構成されるのが好ましい。より好ましくは、P(3HB-co-3HHx)は約85から約95モルパーセントまでのヒドロキシブチレートと約5から約15モルパーセントまでのヒドロキシヘキサノエートで構成される。
【0035】
いくつかの態様において、分散液は好ましくは約25から約50モルパーセントまでの
ヒドロキシバレレート、ヒドロキシヘキサノエート、ヒドロキシオクタノエート及び/又はヒドロキシデカノエートを含む少なくとも1種のポリヒドロキシアルカノエートの約1から約25重量%で構成される。
【0036】
分散液中で用いられるポリヒドロキシアルカノエートの分子量範囲もいくらか変わる場合がある。典型的に分散液中のポリヒドロキシアルカノエートは約50,000ダルトンから約250万ダルトンまでの重量平均分子量を有する。より好ましくは、ポリヒドロキシアルカノエートに関する重量平均分子量は約150,000ダルトンから約600,000ダルトンまでであり、さらに好ましくは約150,000ダルトンから約500,000ダルトンまでである。
【0037】
ある態様において、分散液は好ましくは約10nmから約50μmまでの平均粒度を有する粒子で構成される。さらに、いくつかの態様において、分散液は好ましくは約25パーセントから約65パーセント固体までの平均固体含有率を有する。より好ましくは、平均固体含有率は約40パーセントから約55パーセント固体までそしてさらにもっと好ましくは約40パーセントから約50パーセント固体までである。
【0038】
水及びPHAの他に、分散液は任意的にさらなる成分も含む場合がある。例えば分散液は界面活性剤、レオロジー改変剤、湿潤及び分散剤、殺生物剤又は制生剤、造膜助剤、充填剤、可塑剤、核形成剤及び/又は架橋剤も含む場合がある。
【0039】
本明細書で用いられる場合、「界面活性剤」は水性媒体中でポリマーを安定化させるために分散液に加えられる。界面活性剤は典型的に疎水性領域と親水性領域の両方からなる。分散液中で、これらの異なる領域はポリマー粒子と水性媒体の界面に位置し(orient themselves)、2つの相の境界の間の表面エネルギーを下げて分散を促進する。
【0040】
本明細書で用いられる場合、「レオロジー改変剤」は分散液の流動性を変える(すなわち分散液を薄めるか又は濃くする)物質である。
【0041】
本明細書で用いられる場合、「湿潤及び分散剤」はポリマーの安定化及び分散液の均一性に寄与する型の界面活性剤である。これらの材料は典型的に嵩高い基を含み、それは立体障害を介して懸濁された粒子を分離して保ち、それは粒子の凝集及び沈降の予防を助ける。湿潤及び分散剤は、粒子が水性媒体により完全に湿潤して完全な均一な分散を促進することも保証する。
【0042】
本明細書で用いられる場合、「殺生物剤」は生物を殺し、かくして材料を微生物成長及び付着から保護する材料である。「制生剤」はバクテリア又は菌・カビのような微生物が成長するのを妨げるが、微生物を殺すことはない材料である。
【0043】
本明細書で用いられる場合、「造膜助剤」は一時的に材料を分散液中で可塑化させ、より迅速な乾燥時間の助けとなる材料、通常は有機溶剤である。造膜助剤は典型的に水より高い沸点を有し、従って乾燥すると水が最初に蒸発して造膜助剤が後に残り、乾燥過程が続くとともにそれが蒸発するまでポリマーを可塑化し続ける。
【0044】
本明細書で用いられる場合、クレー、シリカ及び他の無機材料のような「充填剤」は、分散液において多数の機能を与える。第一に、これらの材料は分散液の固体含有率を向上させる。第二に、充填剤は形成されるフィルムの輝度及び光沢を変える場合がある。最後に、充填剤はさらに増粘剤として働く場合がある。
【0045】
本明細書で用いられる場合、「可塑剤」はポリマー鎖間の相互作用を崩壊させ、ポリマー鎖がより柔軟になるのを可能にするように働く材料である。可塑剤の導入はポリマーのガラス転移温度(Tg)を有意に低下させる。
【0046】
本明細書で用いられる場合、「核形成剤」は乾燥後に分散液中のポリマーの結晶化を促進するように働く材料である。核形成剤は結晶が生成し得る部位を与え、フィルムのための結晶化時間を短縮する。結晶の発現が速いほど、コーティングを使用する準備ができるまでの待ち時間が短い。
【0047】
本明細書で用いられる場合、「架橋剤」はポリマーコーティングと基材の間ならびにポリマーコーティング自身内に堅固な化学結合を形成する材料である。架橋はより強くより硬いフィルムコーティングを形成し、それは摩滅及び摩耗に対してより抵抗性であろう。
【0048】
本明細書で用いられる場合、「消泡剤」は分散液中の泡を減らすか又は取り除く材料である。多くの場合、分散液中の泡は適用の間にコーティングの障壁性に影響する不完全さ又は欠陥を有するフィルムを生ずる。
【0049】
例えばある態様において、分散液は好ましくは約0.01重量%から約5.0重量%までのポリソルベート(TWEENのような)、芳香族ポリエチレンオキシド(TRITONのような)、ソルビタン誘導体(SPANのような)、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(プロピレンオキシド)のブロックコポリマー(PLURONICのような)、ポリ(グリコールエーテル)(TERGITOLのような)、ポリ(ビニルアルコール)、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート、ステアレート及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤も含む。より好ましくは分散液は約0.5重量%から約2.0重量%までの少なくとも1種の界面活性剤を含む。
【0050】
いくつかの場合、この少なくとも1種の界面活性剤は好ましくは10より大きい親水性親油性バランスを有する。より好ましくは、少なくとも1種の界面活性剤は、好ましくは約12から約15までの親水性親油性バランスを有する。
【0051】
またいくつかの態様において、分散液は好ましくは約0.01重量%から約5.0重量%までの多糖類(デンプン、キサンタンガム、グアガム、セルロース繊維及び海藻抽出物のような)、アクリレートに基づく乳化コポリマー、粘度降下剤(VISCOBYK 5120又はカルボン酸エステルと湿潤及び分散成分を含むブレンドのような)ならびに増粘剤(BYK 400ファミリー又はALCOGUMのようなアクリル酸エチルとメタクリル酸のコポリマーの誘導体を含む改質ポリウレタンの溶液)からなる群より選ばれる少なくとも1種のレオロジー改変剤も含む場合がある。
【0052】
くつかの場合、分散液は好ましくは約0.01重量%から約2.5重量%までの少なくとも1種の湿潤及び分散剤(BYK 190、BYK 184、TEGO 755又はTEGO 761のような、しかし非イオン性又はわずかにアニオン性コポリマーであると思われるものに限られない)を含む場合がある。
【0053】
ある態様に従うと、分散液は約0.01重量%から約0.5重量%までの少なくとも1種の殺生物剤又は制生剤(エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)又はベンズイソチアゾリノンのような)も含む場合がある。
【0054】
さらに、分散液は約0.1重量%から約5.0重量%までのバイオ-コハク酸に基づく凝集溶剤(MYRIFILMのような)、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(Eastman TEXANOLのような)、ベンゾエートエステル又はアルキルベンゾエートエステル(Eastman BENZOFLEX又はVELATEのような)、炭酸ジメチル、メタノール、エタノール、ケトン、アセテート及び又はそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の造膜助剤も含む場合がある。
【0055】
いくつかの態様において、分散液は好ましくは約1重量%から約35重量%までのクレー、炭酸カルシウム、タルク、カオリナイト、モントモリロナイト、ベントナイト、シリカ、キチン、二酸化チタン、ナノクレー又はそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の充填剤を含む場合がある。
【0056】
ある態様において、分散液は約0.5重量%から約15重量%までのセバケート、シトレート、アジピン酸、コハク酸及びグルカル酸の脂肪エステル、ラクテート、アルキルジエステル、シトレート、アルキルメチルエステル、ジベンゾエート、プロピレンカーボネート、200-10,000g/モルの数平均分子量を有するカプロラクトンジオール、400-10,000g/モルの数平均分子量を有するポリエチレングリコール、植物油のエステル、長鎖アルキル酸、アジペート、グリセロール、イソソルビド誘導体又はそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の可塑剤も含む場合がある。
【0057】
他の態様において、分散液は好ましくは約0.1重量%から約5重量%までの硫黄、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、人工甘味料、ステアレート、ソルビトール、マンニトール、ポリエステルワックス、2:1;2:1結晶構造化学品を有する化合物及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の核形成剤も含む。
【0058】
いくつかの態様に従うと、分散液は好ましくは約0.01重量%から約5重量%までのカレンジュラオイル、安定化アンモニウムジルコニウムカーボネート、アニオン性ヒドロキシル化ジルコニウムポリマー(BACOTEのような)、カリウムジルコニウムカーボネート、アニオン性ヒドロキシル化ジルコニウムポリマー(ZIRMEL及びZIRMEL XLのような)、亜鉛テトラアミンカーボネート(ZINPLEXのような)及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の架橋剤も含む。
【0059】
他の態様において、分散液は約0.05から約1重量%までのポリエーテルシロキサン(AIRASE 5355又は5655或いはTEGO FOAMEX 825、902又は1488のような)、ポリアミド粒子(BYK 1640又はBYK 016のような)及びそれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のシリコーン及び/又は鉱油非含有消泡剤を含む。
【0060】
1つの好ましい態様において、分散液は水とPHAの他に:(1)約0.01重量%から約5.0重量%までの少なくとも1種の界面活性剤;(2)約0.01重量%から約5.0重量%までの少なくとも1種のレオロジー改変剤;(3)約0.01重量%から約2.5重量%までの少なくとも1種の湿潤及び分散剤;ならびに(4)約0.05重量%から約0.25重量%までの少なくとも1種の殺生物剤又は制生剤も含む場合がある。
【0061】
分散液の調製
本開示の分散液は高もしくは低せん断ミキサー及び/又は超音波ミキサーのような種々の通常の混合法を用いて調製される場合があると思われる。好ましい態様において、PHAを粉末化し、次いでPHAの初期ミセルを形成するために界面活性剤ならびに/或いは湿潤及び分散剤の存在下で低から高せん断ミキサーを用いて水中に分散させる。次いで好ましくは超音波ミキサー/ホモジナイザーを用いてPHA粒子の分散を仕上げ、均一なエマルション/分散液を調製する。いくつかの場合、超音波ミキサー/ホモジナイザー又は
高せん断ミキサーのみを用いて分散液を調製することが可能な場合がある。PHAが均一に分散されたら、次いで湿潤及び分散剤、殺生物剤又は制生剤ならびに/或いはレオロジー添加剤を加えてせん断混合し、分散を完了させる場合がある。最後の混合の後、分散液の粘度は一般に約22℃の温度で測定すると約50から約2500センチポアズまで、より好ましくは約50から約1000センチポアズまでそして最も好ましくは約100から約500センチポアズまでである。
【0062】
コーティングされた基材の給食用品
調製されたら、前記の分散液は多様な基材(substrate materials)にコーティングとして適用される場合がある。分散液は、板紙から作られる基材のためのコーティングとしての使用に特に十分に適している。紙及び板紙のような木材パルプから製造される製品は一般に、非生分解性である材料がコーティングされていなければ、生分解性であると考えられる。しかしながら基材への本開示の生分解性分散液の適用は、生分解性のままであるコーティングされた基材を与える。
【0063】
生分解性水性分散液をエアナイフ、フレキソグラフィー、グラビア、ロッド及びプレスコーティング適用のような通常のコーティング法を用い、板紙又は他の基材の1つ以上の表面に適用する場合がある。次いで基材上で分散液を乾燥し、最終的な固体コーティング層を与える。基材上の分散液のコーティング重量は様々な場合があるが、一般に乾燥基準で平方メートル当たり約2から約25グラムまでそしてより好ましくは平方メートル当たり約4から約25グラムまでのコーティング重量で基材の表面上にコーティングを適用する。
【0064】
コーティングされた基材を次いで転換し、コーティングされた板紙又は他の基材から製造される種々の最終的な製品を与える場合がある。本開示に従うと、コーティングされた基材は生分解性給食用品を与えるために有利に転換される場合がある。例えばコーティングされた基材を転換して皿、カップ、ボウル、ファイバートレーあるいはフォーク、スプーン、先割れスプーン、ナイフ、箸、串、爪楊枝、ストロー又は飲料撹拌器のような食(飲を含む)器を与える場合がある。
【0065】
そのような場合、板紙又は他の生分解性基材は少なくとも1つの食物接触面を含み、分散液はこの食物接触面上にコーティング層として適用される。任意的に、基材の他の非食物接触面を同様にコーティングする場合がある。
【0066】
かくして与えられる給食用品は水及び油吸収に対する優れた抵抗性を示す-一般にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)又はポリエチレンテレフタレート(PET)のような非生分解性ポリマーがコーティングされた板紙品に匹敵する。同時に、コーティングされた板紙基材は生分解性のままである。
【0067】
特に吸水への抵抗性はTAPPI Standard T441において規定されるCobb吸水試験を用いて測定される場合がある。本開示に従うコーティングされた基材は、典型的に平方メートル当たり20グラム未満のCobb吸水値を示す。より好ましくは、Cobb吸水値は平方メートル当たり10グラム未満である。
【0068】
同様に、吸油に対する抵抗性はTAPPI Standard T559cm-12において規定されるKit油抵抗性試験を用いて測定される場合がある。本開示に従うコーティングされた基材は典型的に、Kit Value5より大きいKit Test油抵抗性値を示す。より好ましくは、Kit Valueは約8から約12までである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
実施例
以下の制限ではない実施例は、本発明の種々の追加の側面を示す。他にことわらなければ、温度は度摂氏における温度であり、パーセンテージは調製物の乾燥重量に基づく重量による。
【0070】
実施例1-21:水性分散液の調製
【実施例1】
【0071】
この実施例では水性分散液を調製した。42.0gのPHA(6.7モル%ヒドロキシヘキサノエート;Mw:357,000g/モル)を1.5gのTween 20と一緒に56gの水中に入れ、1100RPMで90分間せん断した。せん断の後、混合物を超音波混合に3分間供した。得られる白色の分散液に次いで0.05gのキサンタンガムを加え、さらに400RPMで30分間せん断した。最後に0.1%の殺生物剤を分散液に加えた。
【実施例2】
【0072】
実施例1に示した通りに分散液を調製した。この分散液に次いで0.5mLの分散剤(DISPERBYK 190)及び0.1mLのレオロジー改変剤(BYK 425)を加え、せん断して均一な混合を確実にした。
【実施例3】
【0073】
実施例2に示した通りに分散液を調製し、次いで3.5gのクレー(Imersys Talc)を加え、せん断して均一な分散液とした。
【実施例4】
【0074】
この実施例では、42.0gのPHA(6.7モル%ヒドロキシヘキサノエート;Mw:357,000g/モル)を0.8gのTween 20と一緒に56gの水中に入れ、1100RPMで90分間せん断した。せん断の後、混合物を超音波混合に3分間供した。得られる白色の分散液に0.05gのキサンタンガムを加え、さらに400RPMで30分間せん断した。最後に0.1%の殺生物剤を分散液に加えた。
【実施例5】
【0075】
実施例4に示した通りに分散液を調製した。この分散液に次いで0.75mLの分散剤(DISPERBYK 190)及び0.1mLのレオロジー改変剤(BYK 425)を加え、せん断して均一な混合を確実にした。
【実施例6】
【0076】
実施例5に示した通りに分散液を調製し、次いで10gのカオリンクレーを加え、せん断して均一な分散液とした。
【実施例7】
【0077】
この実施例では、35.0gのPHA(6.0モル%ヒドロキシヘキサノエート;Mw:545,000g/モル)を2.0gのTween 20と一緒に60gの水中に入れ、1100RPMで90分間せん断した。せん断の後、混合物を超音波混合に7分間供した。得られる白色の分散液に0.05gのキサンタンガムを加え、さらに400RPMで30分間せん断した。最後に0.1%の殺生物剤を分散液に加えた。
【実施例8】
【0078】
実施例7に示した通りに分散液を調製し、次いで7.0gのカオリンクレーを加え、せん断して均一な分散液とした。
【実施例9】
【0079】
この実施例では、30.0gのPHA(9.3モル%ヒドロキシヘキサノエート;Mw:1,458,000g/モル)を3.0gのTween 20及び2.0mLのTriton 100と一緒に65gの水中に入れ、900RPMで130分間せん断した。せん断の後、混合物を超音波混合に20分間供した。得られる白色の分散液に0.05gのキサンタンガムを加え、さらに400RPMで30分間せん断した。最後に0.1%の殺生物剤を分散液に加えた。
【実施例10】
【0080】
実施例9に示した通りに分散液を調製し、次いで0.75mLの分散剤(DISPERBYK 184)を加え、せん断して均一な混合を確実にした。
【実施例11】
【0081】
実施例10に示した通りに分散液を調製し、次いで5.0gのPHA(28.3モル%ヒドロキシヘキサノエート)を加え、せん断して均一な分散液とした。
【実施例12】
【0082】
この実施例では、45.0gのPHA(6.7モル%ヒドロキシヘキサノエート;Mw:357,000g/モル)を0.8gのTween 20と一緒に56gの水中に入れ、1100RPMで60分間せん断した。せん断の後、混合物を超音波混合に5分間供した。得られる白色の分散液に次いで0.05gのキサンタンガムを加え、さらに400RPMで30分間せん断した。最後に0.1%の殺生物剤を分散液に加えた。
【実施例13】
【0083】
実施例12に示した通りに分散液を調製し、次いで0.75mLの分散剤(DISPERBYK 190)及び0.1mLのレオロジー改変剤(BYK 425)を加え、せん断して均一な混合を確実にした。
【実施例14】
【0084】
この実施例では、45.0gのPHA(6.7モル%ヒドロキシヘキサノエート;Mw:492,000g/モル)を1.5gのTego 755と一緒に53gの水中に入れ、10,000RPMで5分間せん断した。せん断の後、混合物を超音波混合に3分間供した。得られる白色の分散液に0.25gのAlcogumを加え、さらに7000RPMで5分間せん断した。最後に0.1%の殺生物剤を分散液に加えた。
【実施例15】
【0085】
実施例14に示した通りに分散液を調製した。この分散液に次いで1mLの分散剤(Tego 761)及び0.1mLのレオロジー改変剤(Alcogum)を加え、せん断して均一な混合を確実にした。
【実施例16】
【0086】
実施例15に示した通りに分散液を調製し、次いで10gのカオリンクレーを加え、せん断して均一な分散液とした。
【実施例17】
【0087】
この実施例では、30.0gのPHA(9.3モル%ヒドロキシヘキサノエート;Mw:1,458,000g/モル)を3.0gのTween 20及び2.0mLのTriton 100と一緒に65gの水中に入れ、900RPMで130分間せん断した。せん断の後、混合物を超音波混合に20分間供した。得られる白色の分散液に0.05gの
キサンタンガムを加え、さらに400RPMで30分間せん断した。最後に0.1%の殺生物剤を分散液に加えた。
【実施例18】
【0088】
実施例17に示した通りに分散液を調製し、次いで0.75mLの分散剤(Tego 755)を加え、せん断して均一な混合を確実にした。
【実施例19】
【0089】
実施例18に示した通りに分散液を調製し、次いで5.0gのPHA(28.3モル%ヒドロキシヘキサノエート)を加え、せん断して均一な分散液とした。
【実施例20】
【0090】
この実施例では、55.0gのPHA(6.7モル%ヒドロキシヘキサノエート;Mw:357,000g/モル)を2.5gのTego 755と一緒に53gの水中に入れ、10,000RPMで10分間せん断した。せん断の後、混合物を超音波混合に5分間供した。得られる白色の分散液に次いで0.1gのキサンタンガム及び0.25gのAlcogumを加え、さらに4000RPMで3分間せん断した。最後に0.1%の殺生物剤を分散液に加えた。
【実施例21】
【0091】
実施例20に示した通りに分散液を調製し、次いで0.75mLの分散剤(Tego 761)及び1.0mLのレオロジー改変剤デンプンを加え、せん断して均一な混合を確実にした。
【0092】
実施例22-24:コーティングされた基材の製造及び試験
【実施例22】
【0093】
Mayerロッド4を用い、実施例1、4及び12からの水性分散液それぞれを14pt及び18ptの両方の厚さの固形漂白サルフェート(solid bleached sulphate)(SBS)板紙基材上にコーティングした。コーティングを熱風乾燥器中で170℃において硬化させ、平方メートル当たり8グラム(gsm)の乾燥コート重量まで適用した。これらの分散液のそれぞれに関して得られるCobb吸水値は30gsm未満であり、5より大きいKit油抵抗性値を有した。
【実施例23】
【0094】
Mayerロッド4を用い、実施例2、5及び13からの水性分散液それぞれを14pt及び18ptの両方の厚さの固形漂白サルフェート(SBS)板紙基材上にコーティングした。コーティングを熱風乾燥器中で170℃において硬化させ、8gsmの乾燥コート重量まで適用した。これらの分散液のそれぞれに関して得られるCobb吸水値は10gsm未満であり、9より大きいKit油抵抗性値を有した。
【実施例24】
【0095】
Mayerロッド4、6、8、9を用い、実施例3、6、14、15、16、20及び21からの水性分散液それぞれを14pt及び18ptの厚さの固形漂白サルフェート(SBS)板紙基材上にコーティングした。コーティングを熱風乾燥器中で170℃において硬化させ、8gsmの乾燥コート重量まで適用した。これらの分散液のそれぞれに関して得られるCobb吸水値は10gsm未満であり、9より大きいKit油抵抗性値を有した。
【0096】
本発明の好ましい態様の前記の記述を例示及び説明の目的で提示した。それらは網羅的
であるか又は本発明を開示された正確な形態に制限することを意図していない。上記を見て、明らかな修正又は変更が可能である。態様は、本発明の原理及びその実際の適用を最も良く例示するため、ならびにそれにより当業者が種々の態様において及び意図される特定の用途に適した種々の修正を以て本発明を使用することを可能にするための努力において選ばれ、記述される。すべてのそのような修正及び変更は、それらが適正に、法的に及び公正に権利が与えられる大きさ(breadth)に従って解釈される場合、添付の請求項により決定される本発明の範囲内である。