(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ウェハを処理するための装置、およびそのような装置を制御する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
H01L21/304 651M
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
H01L21/304 648G
(21)【出願番号】P 2021544732
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(86)【国際出願番号】 EP2020052139
(87)【国際公開番号】W WO2020160976
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-06
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510141648
【氏名又は名称】ラム・リサーチ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラインディーンスト・マーティン
(72)【発明者】
【氏名】コーシュ・ステファン
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-179751(JP,A)
【文献】特開2017-069354(JP,A)
【文献】国際公開第2016/080502(WO,A1)
【文献】特開2012-138510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハを処理するための装置であって、
ウェハを受容するように適合されている回転可能チャックと、
前記回転可能チャックによって受容されているウェハを加熱するように構成されている加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
前記ウェハの表面上の液体からの電磁放射を検出するように構成されている画像センサと、
前記画像センサの測定出力に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されているコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記画像センサの前記測定出力に基づいて、前記ウェハの前記表面上の1つ以上の場所において前記ウェハの前記表面上の前記液体の温度を決定し、
決定された前記温度に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御する、ように構成されている、装置。
【請求項2】
ウェハを処理するための装置であって、
ウェハを受容するように適合されている回転可能チャックと、
前記回転可能チャックによって受容されているウェハを加熱するように構成されている加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
前記ウェハの表面上の液体からの電磁放射を検出するように構成されている画像センサと、
前記画像センサの測定出力に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されているコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記画像センサの前記測定出力に基づいて、前記ウェハの前記表面の一部または全体にわたる前記ウェハの前記表面上の前記液体の温度分布を決定し、
決定された前記温度分布に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御する、ように構成されている、装置。
【請求項3】
ウェハを処理するための装置であって、
ウェハを受容するように適合されている回転可能チャックと、
前記回転可能チャックによって受容されているウェハを加熱するように構成されている加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
前記ウェハの表面
上の液体からの電磁放射を検出するように構成されている画像センサと、
前記画像センサの測定出力に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されているコントローラと、を備え、
前記加熱要素のアレイの前記加熱要素の各々は、個別に制御可能であり、
前記コントローラは、前記加熱要素の各々に供給される電力を個別に制御するように構成されている、装置。
【請求項4】
ウェハを処理するための装置であって、
ウェハを受容するように適合されている回転可能チャックと、
前記回転可能チャックによって受容されているウェハを加熱するように構成されている加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
前記ウェハの表面
上の液体からの電磁放射を検出するように構成されている画像センサと、
前記画像センサの測定出力に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されているコントローラと、を備え、
前記加熱要素のアレイは、個別に制御可能な複数の加熱要素グループを備え、
前記コントローラは、前記複数の加熱要素グループの各々に供給される電力を個別に制御するように構成されている、装置。
【請求項5】
ウェハを処理するための装置であって、
ウェハを受容するように適合されている回転可能チャックと、
前記回転可能チャックによって受容されているウェハを加熱するように構成されている加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
前記ウェハの表面
上の液体からの電磁放射を検出するように構成されている画像センサと、
所定の波長または波長範囲を有する電磁放射を選択的に透過させるように適合されているフィルタと、
前記画像センサの測定出力に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されているコントローラと、を備える、装置。
【請求項6】
ウェハを処理するための装置であって、
ウェハを受容するように適合されている回転可能チャックと、
前記回転可能チャックによって受容されているウェハを加熱するように構成されている加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
前記ウェハの表面
上の液体からの電磁放射を検出するように構成されている画像センサと、
前記画像センサの測定出力に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されているコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記画像センサの前記測定出力を分析して、前記ウェハの前記表面上における、乾燥した領域と濡れた領域との間の移行部に対応する乾燥ラインの位置を決定し、
決定された前記乾燥ラインの前記位置に基づいて、前記乾燥ラインに近接した場所において、前記ウェハが、前記ウェハ上の他の場所よりも高い温度に加熱されるように、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されている、装置。
【請求項7】
ウェハを処理するための装置であって、
ウェハを受容するように適合されている回転可能チャックと、
前記回転可能チャックによって受容されているウェハを加熱するように構成されている加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
前記ウェハの表面
上の液体からの電磁放射を検出するように構成されている画像センサと、
前記画像センサの測定出力に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されているコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記加熱要素を制御して、半径方向に移動する円周方向前部に沿って、前記ウェハの前記表面の加熱を生じさせるように構成されている、装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置であって、前記画像センサはカメラである、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記カメラは熱画像カメラである、装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の装置であって、前記画像センサは、3~14μmの範囲の波長を有する電磁放射を検出するように適合されている、装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置であって、前記ウェハの前記表面上に液体を分配するための液体ディスペンサを備える、装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の装置であって、スピン洗浄装置である、装置。
【請求項13】
請求項5に記載の装置であって、前記フィルタは帯域フィルタである、装置。
【請求項14】
請求項5または13に記載の装置であって、前記フィルタは、イソプロピルアルコールにより放出される熱放射を選択的に透過させるように適合されている、装置。
【請求項15】
請求項5、13または14に記載の装置であって、前記フィルタは、3.3~3.5μmの範囲、または8.6~9.1μmの範囲の波長を有する電磁放射を選択的に透過させるように適合されている、装置。
【請求項16】
請求項6に記載の装置であって、前記コントローラは、エッジ検出アルゴリズムを使用して前記乾燥ラインの前記位置を決定するように構成されている、装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の装置であって、前記加熱要素のアレイは、前記
画像センサにより撮像される前記ウェハの前記表面に対して前記ウェハの反対側にある前記ウェハの表面を加熱するように構成されている、装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の装置であって、前記加熱要素は、前記ウェハを照射して前記ウェハを加熱するように構成されている発光加熱要素である、装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置であって、前記発光加熱要素はLEDである、装置。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の装置、を制御する方法であって、
前記回転可能チャックによって受容されているウェハの表面上に液体を分配し、
前記回転可能チャックを回転させて前記ウェハの前記表面から液体を除去し、
前記回転中に、前記加熱要素のアレイに電力を供給して前記ウェハの前記表面を加熱し、
前記画像センサを用いて、前記ウェハの前記表面
上の液体からの電磁放射を検出し、
前記画像センサの前記測定出力に基づいて、前記加熱要素のアレイに供給される前記電力を調整すること、を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハを処理するための装置、およびそのような装置を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハは、エッチング、洗浄、研磨、および材料堆積などの様々な表面処理プロセスに曝される場合がある。そのようなプロセスを実施するために、ウェハの表面上に様々なプロセスが実施され得るように、ウェハは回転可能チャック上に載置され得る。
【0003】
例えば、ウェハの表面は、洗浄液またはリンス液(例えばイソプロピルアルコールまたは脱イオン水)をウェハの表面に適用することにより洗浄され得る。次いで、ウェハの表面は、回転可能チャックを使用してウェハを回転させ、ウェハを加熱して洗浄液またはリンス液を蒸発させることにより乾燥され得る。このような洗浄プロセスは一般に、スピン洗浄プロセスと呼ばれる。
【0004】
ウェハの表面を洗浄するために使用され得る装置の例が、米国特許出願公開第2017/0345681A1号に記載されており、その内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
米国特許出願公開第2017/0345681A1号に記載されている装置は、その上にウェハが載置可能である回転可能チャックと、ウェハが回転可能チャック上に載置されているときにウェハの上側表面上に液体を分配するための液体ディスペンサとを含む。装置はまた、ウェハが回転可能チャックに載置されているときに、ウェハの下に配置され、ウェハを加熱するように構成されている、加熱要素のアレイを含む。ウェハの表面に液体が分配された後、加熱要素のアレイを制御して、ウェハを加熱して液体を蒸発させる。
【発明の概要】
【0006】
最も一般的には、本発明はウェハを処理するための装置を提供し、装置は、装置に載置されたウェハを加熱するように構成されている加熱要素と、ウェハの表面から電磁放射を検出するように構成されている画像センサとを備え、画像センサの測定出力に基づいて、加熱要素への電力供給が制御される。
【0007】
ウェハ上に実施されるプロセスは、温度などの処理条件に極めて敏感であり得る。本発明は、処理中に、ウェハの温度をより正確に制御することを可能にする。なぜなら、ウェハを加熱するために使用される加熱要素は、ウェハの表面から電磁放射を検出する画像センサの測定出力に基づいて制御されるからである。
【0008】
例えば、画像センサの測定出力は、ウェハの一部または全体にわたる現在の温度分布を示す場合があり、次いで、測定出力に基づいて、加熱要素に供給される電力が制御され、ウェハの一部または全体にわたって所望の温度分布が実現され得る。
【0009】
ウェハの処理中にウェハ全体にわたって所望の温度分布を実現することを試みる従来の技術は、所望の温度分布に基づいて、各加熱要素に供給される電力を手動で設定することである。しかしながら、これは長く煩雑な手順である。更には、この技術は、温度分布における外乱に関して堅牢ではない。例えば、加熱要素によって生じる加熱は、例えば加熱要素のうちの1つ以上の故障または劣化により、時間の経過に伴い変化し得る。これにより、正しくない加熱条件がウェハに適用されること、および/または、異なる処理ステップ間でおよび/またはウェハ間で加熱条件が変動することにつながり得る。事前に適切に考慮することが困難または不可能である他の環境因子も、ウェハ全体にわたる温度分布に影響を及ぼす場合がある。例えば、ウェハの表面上に液体が存在する場合、液体の性質または特性がウェハの表面全体にわたって変動し、その結果、ウェハの表面全体にわたる温度分布に影響を及ぼす場合がある。
【0010】
本発明の装置はこの課題に対処するのに役立ち得る。なぜなら、ウェハを加熱するために使用される加熱要素は、ウェハの表面から電磁放射を検出する画像センサの測定出力に基づいて制御されるからである。例えば、目標温度分布を実現するまたは実質的に実現するように、画像センサの測定出力と、そのようないかなる相違をも除去または低減させるように制御された、加熱要素に供給される電力とに基づき、ウェハの実際の温度分布とウェハの目標温度分布との間の相違が特定され得る。
【0011】
したがって、本発明の第1の態様によれば、ウェハを処理するための装置が提供され、装置は、ウェハを受容するように適合されている回転可能チャックと、回転可能チャックによって受容されているウェハを加熱するように構成されている加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、ウェハの表面から電磁放射を検出するように構成されている画像センサと、画像センサの測定出力に基づいて加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されているコントローラと、を備える。
【0012】
上述したように、画像センサは、ウェハの表面からの電磁放射を検出するように構成されている。次いで、加熱要素に供給される電力は、画像センサの測定出力に基づいて制御される。したがって、ウェハの温度分布を、例えば実時間で変化させるように、ウェハの現在の温度分布を示す情報がインサイチューで例えば実時間で測定され、加熱要素を制御するために使用され得る。
【0013】
したがって、本発明により、ウェハの処理中に、ウェハの温度分布をより正確に制御することが可能になり得る。
【0014】
本発明の第1の態様による装置は、以下の任意選択の特徴のうちのいずれか1つ、または任意の組み合わせを有し得る。
【0015】
実際には、画像センサにより検出される電磁放射は、ウェハの表面の温度を表す、または示す。例えば、電磁放射の強度は、ウェハの表面の温度に依存し得る。例えば、電磁放射の強度とウェハの表面の温度との間に、一定の数学的関係が存在し得る。
【0016】
「回転可能チャック」(または回転チャック)という用語は、単に、ウェハを保持してウェハを回転させるように設計されたウェハホルダを意味し得る。
【0017】
回転可能チャックは、ウェハの表面と実質的に直角をなす、回転可能チャックの回転軸に対して、ウェハを回転させるように構成されてもよい。
【0018】
回転可能チャックは、上から見たときに実質的に円形であってもよい。
【0019】
回転可能チャックは、ウェハを受容し、チャックに対してウェハを適所にしっかりと保持するように適合されている機構(例えばクランプ、ねじ、真空ホルダなど)を含んでもよい。
【0020】
回転可能チャックは、所定サイズのウェハ(例えば300mmまたは450mmの直径を有するウェハ)を受容するように適合されてもよい。
【0021】
回転可能チャックは、回転軸に対するチャックの回転を駆動するためのモータを含んでもよい。
【0022】
代替として、回転可能チャックは、外部駆動手段によって、例えば磁気誘導を介して、回転されてもよい。
【0023】
加熱アセンブリは、回転可能チャック上に載置されたウェハを加熱する役割を担う。加熱アセンブリは、回転可能チャックによって受容されるウェハを加熱するように構成されている加熱要素のアレイを備える。
【0024】
用語「アレイ」は、単に複数の加熱要素を意味する場合があり、加熱要素が何らかの特定の順序で構成されることを必ずしも意味しない。
【0025】
ウェハが回転可能チャックによって受容されているとき、加熱要素のアレイはウェハの方に向くように構成されていてもよい。
【0026】
加熱要素のアレイは、処理(例えば洗浄、材料の堆積など)が実施されるウェハの第2の表面とは反対側の、ウェハの第1の表面の方に向くように構成されていてもよい。
【0027】
加熱要素は、実質的に平坦な表面上(例えば、回路基板などの基板上)に配置されてもよい。
【0028】
ウェハが回転可能チャックによって受容される場合、基板はウェハに対して実質的に平行に構成されてもよい。
【0029】
加熱要素は、ウェハを均一に加熱するために、平坦な表面の全体にわたって実質的に均一に分布していてもよい。
【0030】
上から見たときに、加熱アセンブリは円形形状を有してもよい。
【0031】
加熱要素のアレイは、ウェハの領域と実質的に同じ領域、またはウェハの領域から10%以内にある領域を覆うように構成されてもよい。
【0032】
加熱要素の全てが、同じタイプであってもよい(例えば、それら全てが同じ特徴を有してもよい)。
【0033】
回転可能チャックが回転軸を中心に回転するときに、加熱アセンブリが回転可能チャックと一緒に回転しないように、加熱アセンブリは回転可能チャックに対して取り付けられてもよい。換言すれば、回転可能チャックが回転軸を中心に回転するときに、加熱要素のアレイは静止したままであってもよい。これにより、加熱要素のアレイに電気接続を提供することが容易になり得る。
【0034】
加熱要素は、加熱アセンブリ内で同心円状に(加熱アセンブリの中心の周りに同心円状に)構成されてもよい。
【0035】
各同心円において、加熱要素は異なるグループに束ねられてもよい。換言すれば、それぞれの同心円内の加熱要素は、その同心円の周りに均一に分布していなくてもよい。
【0036】
異なるグループのそれぞれが、同数の加熱要素、例えば16個の加熱要素、を含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、アレイ内の個別の加熱要素グループを別々に制御することが可能であってもよい。
【0038】
同様に、いくつかの実施形態では、各個別の加熱要素を別々に制御することが可能であってもよい。
【0039】
一般に、加熱要素は、回転可能チャックによって受容されているウェハを加熱するように動作可能な要素(または部分)である。
【0040】
任意の種類の、例えば放射性、導電性、または対流性の、加熱要素が使用されてもよい。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、加熱要素は、ウェハを照射してウェハを加熱するように構成されている発光加熱要素であってもよい。
【0042】
一般に、発光加熱要素は、光を使用して放射加熱を実施する要素(または部分)である。
【0043】
発光加熱要素により放出される光は、可視光であってもよい。
【0044】
本明細書では、発光加熱要素は、ウェハを加熱するのに好適な波長にて光を放出する光源を参照し得る。例えば、発光加熱要素は、380nm~650nmの波長範囲において最大強度を有する光を放出してもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、発光加熱要素のうちの1つ以上は、発光ダイオード(LED)であってもよい。
【0046】
LEDは極めて効率的な場合があり、無駄になる熱の発生が比較的少ない場合があるので、LEDの使用は有利であり得る。LEDは、ウェハを加熱するのに好適な波長で、または波長範囲で光を放出する。例えば、LEDは、380nm~650nmの範囲の波長(単数または複数)を有する光を放出してもよい。他の波長範囲もまた好適な場合がある。
【0047】
画像センサは、ウェハの表面からの電磁放射を検出するように構成されている。
【0048】
上述したように、実際には、画像センサにより検出される電磁放射は、ウェハの温度を表す(例えば、ウェハの温度と相関する、または比例する)電磁放射である。
【0049】
用語「画像センサ」は、単に、電磁放射の強度分布を2次元にわたって測定するためのセンサまたはセンシング要素の2次元アレイを意味する。
【0050】
画像センサは、電磁放射の2次元強度分布の画像、またはそのような2次元強度分布を表す情報、例えばデータのストリーム、を出力してもよい。
【0051】
電磁放射は、ウェハ自体によって、または、ウェハの表面上の1つ以上の物質により放出されてもよい。例えば、電磁放射は、ウェハの表面上の液体により放出されてもよい。本明細書において、ウェハの表面による電磁放射の放出への参照は、ウェハの表面上の他の物質、例えばウェハの表面上の液体、による電磁放射の放出を明示的に含む。
【0052】
コントローラは、画像センサの測定出力に基づいて、加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されている。
【0053】
コントローラは、加熱要素のアレイに供給される電力を制御し、画像センサの測定出力を受信するためのソフトウェアがインストールされたコンピューティングデバイスであってもよい。
【0054】
コントローラは、通信インタフェース(例えばUSB、イーサネットなど)を介して、加熱要素のアレイに電力を供給する電源に接続されてもよい。コントローラは、電源にコマンドを送信して、電源から加熱要素のアレイに供給される電力を制御するように構成されてもよい。同様に、コントローラは、通信インタフェース(例えばUSB、イーサネットなど)を介して、画像センサに接続されて、画像センサから測定出力を受信してもよい。
【0055】
例えば、コントローラは、ウェハの一部もしくは全体にわたって所望の温度分布が達成されたこと、または実質的に達成されたことを測定出力が示すまで、加熱要素のアレイに供給される電力を画像センサの測定出力に基づいて制御するように構成されてもよい。
【0056】
コントローラは、画像センサの測定出力、または測定出力から導出された情報を基準と比較し、その比較に基づき、発光加熱要素のアレイの加熱要素のうちの1つ以上に供給される電力を調整する、ように構成されてもよい。
【0057】
基準は、所望の温度分布に関連してもよい。例えば、基準は、予想される測定出力に、もしくは所望の温度分布を有するウェハに対して以前に測定された測定出力に、または目標測定出力に対応してもよい。
【0058】
コントローラは、メモリに基準を保存するように構成されてもよい。
【0059】
画像センサは、例えば、サーモグラフィ画像センサ、赤外線画像センサ、または熱結像画像センサであってもよい。
【0060】
画像センサは、赤外放射を検出するように構成されてもよい。
【0061】
画像センサは、カメラであってもよい。例えば、カメラは、画像センサにより検出された電磁放射の画像を生成してもよい。
【0062】
カメラは、例えば、サーモグラフィカメラ、赤外線カメラ、または熱画像カメラであってもよい。
【0063】
画像センサは、3~14μmの範囲の波長を有する電磁放射を検出するように適合されてもよい。この波長範囲は、いわゆる中波長赤外線および長波長赤外線に対応し、これらは温度を表す。
【0064】
画像センサは、3~5μmの範囲の波長を有する電磁放射を検出するように適合されてもよい。この波長範囲は、いわゆる中波長赤外線に対応する。
【0065】
画像センサは、8~14μmの範囲の波長を有する電磁放射を検出するように適合されてもよい。この波長範囲は、いわゆる中波長赤外線に対応する。
【0066】
そのような種類の電磁放射はウェハの温度に関する(またはウェハの温度を示す)正確な情報を提供する場合があり、したがって、ウェハの温度を正確に制御するために、画像センサの測定出力が使われてもよい。
【0067】
画像センサは、イソプロピルアルコール(IPA)の透過率が80%を下回る範囲の波長を有する電磁放射を検出するように適合されてもよい。これにより、ウェハの表面上にIPAが存在する場合、IPAの下から来る電磁放射の一部、大部分、または全てが、IPAにより遮蔽され、したがって画像センサにより検出されない場合がある、という利点を提供する。例えば、画像センサは、イソプロピルアルコール(IPA)の透過率が80%を下回る範囲の波長を含む波長範囲を選択的に検出するように適合されてもよい。代替として、後述するように、イソプロピルアルコール(IPA)の透過率が80%を下回る範囲の波長を有する電磁放射を選択的に透過させるフィルタが提供されてもよい。
【0068】
画像センサは、イソプロピルアルコール(IPA)の放出強度スペクトルにおけるピークに対応する、または、イソプロピルアルコール(IPA)についての透過スペクトルの最小値(局所最小値または絶対最小値)に対応する波長を有する電磁放射を検出するように構成されてもよい。
【0069】
装置は、ウェハの表面上に液体を分配するための液体ディスペンサを備えてもよい。
【0070】
例えば、ウェハの表面を洗浄またはリンスするために、液体ディスペンサを使用して、イソプロピルアルコールまたは脱イオン水をウェハの表面に分配してもよい。
【0071】
液体ディスペンサは、加熱要素のアレイに面するウェハ表面とは反対側のウェハ表面上に液体を分配するように構成されてもよい。
【0072】
液体ディスペンサは、ウェハの表面の異なる位置で液体を分配するように移動可能であってもよい。したがって、洗浄プロセス中に、回転可能チャックに受容されているウェハの表面上に液体が分配されてもよい。
【0073】
液体ディスペンサは、分配ノズルを有するアームを備えてもよい。
【0074】
アームは、枢動軸を中心としてアームを回転させることにより、分配ノズルをウェハの表面全体にわたって円弧状に移動させることができるように、一端で回転するように枢動させてもよい。
【0075】
分配ノズルは、ウェハの回転中心にある第1の位置と、ウェハの円周の外側にある第2の位置との間を移動可能であってもよい。したがって、分配ノズルは、ウェハの半径全体にわたって移動可能であってもよい。
【0076】
ウェハの表面は、回転可能チャックを使用してウェハを回転させ、ウェハを加熱して液体を蒸発させることにより乾燥され得る。
【0077】
したがって、本発明の装置は、ウェハをスピン洗浄するためのスピン洗浄装置であり得る。
【0078】
コントローラは、画像センサの測定出力に基づいて、ウェハの表面上の1つ以上の場所における温度または温度に関連する情報を決定し、決定された温度または温度に関連する情報に基づいて、加熱要素のアレイへの電力供給を制御する、ように構成されてもよい。
【0079】
加熱要素のアレイに供給される電力を制御して、ウェハの表面上の複数の場所のうちの1つにおける温度を変化させてもよい。
【0080】
例えば、温度または温度に関連する情報は、以前の測定値に、または所望の温度分布または目標値を有するウェハに対する予測値に関連する基準と比較されてもよく、何らかの不一致が特定されてもよく、加熱要素のアレイに供給される電力を制御して、特定された何らかの不一致を低減または除去してもよい。このように、ウェハの温度分布をリアルタイムで制御して、所望の温度分布に一致させる、またはそれに接近させることができる。
【0081】
コントローラは、画像センサの測定出力に基づいて、ウェハの表面の全ての一部にわたる温度分布を、またはそのような温度分布に関連する情報を決定し、決定された温度分布もしくは温度分布に関連する情報に基づいて、加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されてもよい。
【0082】
加熱要素のアレイのうちの加熱要素の各々は、個別に制御可能であってもよく、コントローラは、加熱要素の各々に供給される電力を個別に制御するように構成されてもよい。これにより、ウェハ全体にわたる温度分布のより精密な制御が可能になり得る。
【0083】
代替として、加熱要素のアレイは、個別に制御可能な、複数の加熱要素グループを備えてもよく、コントローラは、複数の加熱要素グループの各々に供給される電力を個別に制御するように構成されてもよい。
【0084】
このように、加熱要素グループの各々は、コントローラによりそのグループに電力を供給することにより個別に起動されてもよい。これは、加熱要素の各々を個別に制御することと比較して、装置の複雑さを低減させ得る。
【0085】
ウェハが回転可能チャックによって受容される場合、加熱要素の各グループは、ウェハの異なるゾーンを加熱するように構成されてもよい。
【0086】
複数の加熱要素グループは、各グループがそれぞれの半径方向位置を占めるように、回転可能チャックの回転軸を中心として同心円状に構成されてもよい。このように、異なる加熱要素グループを作動させることにより、ウェハの異なる半径方向ゾーンが加熱され得る。
【0087】
装置は、所定の波長または波長範囲を有する電磁放射を選択的に透過させるように適合されているフィルタを備えてもよい。
【0088】
これは、画像センサによる、所定の波長を有する電磁放射の検出を手助けする。なぜなら、例えば、環境ノイズによって引き起こされ得る、電磁放射の他の波長が、フィルタにより遮断され得るからである。
【0089】
「選択的に透過させる」は、フィルタが、所定の波長だけを透過させる、および/または小さくとも、所定の波長よりも所定の割合または所定の量だけ小さい波長を透過させる、および/または大きくとも、所定の波長よりも所定の割合または所定の量だけ大きい波長を透過させる、ことを意味し得る。
【0090】
フィルタは、例えば、低域フィルタ、または高域フィルタ、または帯域フィルタであってもよい。
【0091】
所定の波長は、ウェハの処理で使用される液体の熱放出スペクトルに基づいて選択されてもよい。
【0092】
フィルタは、ウェハを処理する際に使用される液体により放出される熱放射を選択的に透過させるように適合されてもよい。
【0093】
フィルタは、イソプロピルアルコールにより放出される熱放射を選択的に透過させるように適合されてもよい。
【0094】
例えば、フィルタは、イソプロピルアルコール(IPA)により放出される固有波長、例えばイソプロピルアルコール(IPA)の放出強度スペクトルにおけるピークの波長、を有する熱放射を選択的に透過させるように適合されてもよい。
【0095】
フィルタは、3.3~3.5μmの範囲、または8.6~9.1μmの範囲の波長を有する電磁放射を選択的に透過させるように適合されてもよい。このような波長は、イソプロピルアルコール(IPA)により放出される固有波長であり得る。
【0096】
フィルタは、イソプロピルアルコール(IPA)の透過率が80%を下回る範囲の波長を有する電磁放射を選択的に透過させるように適合されてもよい。ウェハの表面上にIPAが存在する場合、これは、IPAの下から来る電磁放射の一部、大部分、または全てが、IPAにより遮蔽され、したがって画像センサにより検出されない場合がある、という利点を提供する。
【0097】
フィルタは、イソプロピルアルコール(IPA)の放出強度スペクトルにおけるピークに対応する波長を有する電磁放射を選択的に透過させるように構成されてもよい。
【0098】
フィルタは、イソプロピルアルコール(IPA)の透過スペクトルの最小値(局所最小値または絶対最小値)に対応する波長を有する電磁放射を選択的に透過させるように構成されてもよい。
【0099】
スピン洗浄装置において、回転可能チャックを回転させると、ウェハのスピンにより、ウェハの表面上の液体がウェハの表面を横切って半径方向外向きに移動する。したがって、ウェハの表面上の乾燥した領域と濡れた領域との間の移行部である乾燥ラインが形成され、この乾燥ラインがウェハの表面を横切って半径方向外向きに移動する。
【0100】
液体ディスペンサによって液体がウェハの表面上へと絶えず分配される場合、乾燥ラインの位置は液体ディスペンサの位置に関連することになる。例えば、液体ディスペンサの分配ノズルが固定位置に保持される場合、乾燥ラインの位置も実質的に固定されることになるが、実際は、液体ディスペンサの位置から幾らか半径方向内向きに存在することになる。分配ノズルが移動するとき、乾燥ラインの位置は、分配ノズルの位置の移動に連係して移動することになる。
【0101】
ウェハのスピン洗浄を実施する場合、分配ノズルは、ウェハの表面全体にわたって半径方向外向きに移動するように移動し得る。この場合、乾燥ラインは、分配ノズルの移動を追跡してウェハの表面上を半径方向外向きに移動し得る。
【0102】
米国特許出願公開第2017/0345681A1号で論じられているように、乾燥ラインに近接した場所においてウェハを(乾燥ラインの乾燥した側を)優先的に加熱して、ウェハの表面上の他の場所よりも高い温度にすることが有利である。これにより、乾燥ラインにおける液体をより急速に乾燥させることができ、そうしない場合には乾燥中に生じる可能性があるパターン崩壊現象を防止できる。
【0103】
本発明の実施形態では、コントローラは、画像センサの測定出力、またはその測定出力から導出された情報を分析して、ウェハの表面上における、乾燥した領域と濡れた領域との間の移行部に対応する乾燥ラインの位置を決定し、決定された乾燥ラインの位置に基づいて、加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されている。
【0104】
乾燥ラインは、実質的に、ウェハの回転軸を中心とする円形形状であってもよい。
【0105】
上述したように、乾燥ラインの半径方向位置は、液体がウェハの表面上に分配されている半径方向位置と同じである、またはこれに対応する、またはこれに関連する場合がある。したがって、液体がウェハの表面上に分配されている位置が、ウェハの表面を横切って半径方向外向きに移動する場合、乾燥ラインもまた、ウェハの表面を横切って半径方向外向きに移動し得る。
【0106】
コントローラは、エッジ検出アルゴリズムを使用して乾燥ラインの位置を決定するように構成されてもよい。使用可能な多くの好適なエッジ検出アルゴリズムが知られている。
【0107】
コントローラは、乾燥ラインに近接した場所においてウェハが、ウェハ上の他の場所よりも高い温度に加熱されるように、加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されている。上述したように、これが、ウェハをスピン洗浄するときに、ウェハを乾燥させている間にパターン崩壊現象を防止することを手助けし得る。
【0108】
コントローラは、乾燥ラインに近接した、乾燥ラインの乾燥した側において、ウェハがウェハ上の他の場所よりも高い温度に加熱されるように、加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されている。上述したように、これが、ウェハを乾燥させている間にパターン崩壊現象を防止することを手助けし得る。
【0109】
コントローラは、加熱要素を制御して、半径方向に移動する円周方向前部に沿って、ウェハの表面の加熱を生じさせるように構成されてもよい。
【0110】
半径方向に移動する円周方向前部は、乾燥ラインに対して固定された向きを維持してもよい。例えば、半径方向に移動する円周方向前部は、乾燥前部から固定された半径方向距離を維持してもよく、例えば乾燥前部の乾燥した側にある乾燥前部に直接近接していてもよい。半径方向に移動する円周方向前部は、ウェハの表面上に液体を分配している分配ノズルの半径方向移動を追跡してもよい。
【0111】
コントローラは加えて、加熱要素のアレイを制御して、ウェハの他の部分の一部または全部をより低い温度に加熱してもよい。
【0112】
加熱要素のアレイは、カメラにより撮像されるウェハの表面に対してウェハの反対側にあるウェハの表面を加熱するように構成されてもよい。
【0113】
装置は、ウェハが回転可能チャックに受容されているときに、加熱要素のアレイとウェハとの間に存在するように構成されているプレートを更に備えてもよい。プレートは、ウェハの表面上に実施されているプロセスから加熱要素のアレイを保護する役割を担ってもよい。
【0114】
プレートは透明であってもよく、例えば石英またはサファイアで作製されていてもよい。
【0115】
加熱要素が発光加熱要素である場合、透明プレートは、発光加熱要素により放出される光に対して透過性であってもよい。
【0116】
ウェハは、半導体ウェハであってもよい。
【0117】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様に従って装置を制御する方法が提供される。本発明の第2の態様の方法は、本発明の第1の態様に関連して上述した特徴を含み得る。したがって、これらの特徴は繰り返さない。
【0118】
方法は、回転可能チャックによって受容されているウェハの表面上に液体を分配し、回転可能チャックを回転させて、回転中にウェハの表面から液体を除去し、加熱要素のアレイに電力を供給してウェハの表面を加熱し、ウェハの表面からの電磁放射を画像センサで検出し、画像センサの測定出力に基づいて、加熱要素のアレイに供給される電力を調整すること、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0119】
本発明の実施形態について、添付図面を参照して以下で論じる。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による装置の概略断面図である。
【
図2a】
図2aは、本発明の実施形態における、ウェハの表面上の乾燥ラインの形成の概略図である。
【
図2b】
図2bは、本発明の実施形態における、
図2aに図示する構成において適用される加熱温度プロファイルの概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態における、赤外線カメラによって捕捉されたウェハからの赤外線の画像の一例である。
【
図4a】
図4aは、
図3の画像から得られた温度の半径方向距離に対するプロット例である。
【
図4b】
図4bは、
図4aの例示的プロットの半径方向距離に対する半径方向距離に対する温度の微分のプロットである。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態において使用され得る加熱アセンブリの実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0120】
図1は、本発明の第1の実施形態に従ってウェハを処理するための装置100の概略断面図を示す。
図1では、装置100内にウェハ101が載置されている。
【0121】
装置100は、ウェハを受容するように適合されている回転可能チャック102を含む。回転可能チャック102は、ベース106上に回転可能に載置されたチャック本体104を含む。チャック本体104は、参照番号108で示す回転軸を中心としてベース106に対して回転可能である。ベース106に対するチャック本体104の回転は、例えば、モータ(図示せず)によって駆動されてもよく、モータ自体はコントローラによって制御されてもよい。チャック本体104は、ウェハ101を受容し、ウェハ101を適所にしっかりと保持するように適合されている一組の把持ピン110を含む。このように、ウェハ101が把持ピン110を介して回転可能チャック102上に載置される場合、チャック本体104をベース106に対して回転させることにより、ウェハ101は回転され得る。
【0122】
図1に示す構成では、把持ピン110は、ウェハ101を適所に保持するために把持力を作用させる。しかしながら、代わりに、ウェハ101を適所に保持するために、他の好適な機構が使用されてもよい(例えばクランプ、ねじ、吸引ホルダなど)。
【0123】
回転可能チャック102は、チャック本体104上に載置されたプレート112を更に含む。プレート112はチャック本体104に固定され、その結果、プレート112は、ベース106に対してチャック本体104と共に回転する。
図1に示すように、プレート112は、ウェハ101が回転可能チャック102に載置された場合に、ウェハ101に対して実質的に平行となるように構成されている。本実施形態では、プレート112は、石英またはサファイアで作製された透明プレートである。
【0124】
装置100は、加熱アセンブリ114を更に備える。本実施形態では、加熱アセンブリ114は、回転可能チャック102に載置されたウェハを照射するように構成されているLED116のアレイを備える。LED116は、回転可能チャック102によって受容されているウェハ101を加熱するための発光加熱要素として機能する。
【0125】
本実施形態では、LED116は、380nm~650nmの波長範囲の光を放出するように構成されている。例えば、LED116は、380nm~650nmの波長範囲において最大強度を有する光を放出してもよい。このような波長範囲は、半導体ウェハを加熱するのに好適である。
【0126】
透明プレート112は、LED116により放出される波長に対して実質的に透明となるように構成されている。すなわち、LED116により放出される全ての光または大部分の光が透明プレート112を透過する。
【0127】
加熱アセンブリ114は、プレート118を更に備える。LED116のアレイはプレート118の上側表面上に載置され、プレート118は、LED116によって発生する熱を放散させるための、LED116のアレイに対するヒートシンクとして機能する。例えば、プレート118は、アルミニウムなどの金属で作製されてもよい。LED116のための駆動回路(図示せず)を含む回路基板120は、プレート118の下部表面に設けられる。LED116のアレイと回路基板上の駆動回路間との間の相互接続は、プレート118を通してなされる。プレート118は、静止ポスト122上に載置されている。静止ポスト122はチャック本体104に接続されていないので、チャック本体104と共に回転することはない。プレート118は、透明プレート112に実質的に平行である。
【0128】
ウェハが回転可能チャック102に載置されているとき、LED116のアレイはウェハ101の方に向くように構成されている。
図1に示すように、ウェハ101が回転可能チャック102に載置されたとき、透明プレート112はLED116のアレイとウェハ101との間に位置する。したがって、LED116のアレイにより放出された光は、透明プレート112を透過し、ウェハ101に当たり、ウェハ101を加熱し得る。透明プレート112は、ウェハが回転可能チャック102に載置されたとき、ウェハ101に実施されるプロセスからLED116のアレイを保護する役割を担ってもよい。
【0129】
LED116のアレイは、ウェハ101の第2の表面105の反対側にある、ウェハ101の第1の表面103を照射するように構成されている。ウェハ101の第2の表面105は露出しており、ウェハ101の第2の表面105上にプロセス(例えばエッチング、材料の堆積、洗浄)が実施され得る。
【0130】
LED116のアレイは、回転可能チャック102の回転軸108の周りに実質的に対称に配置されてもよい。このように、LED116のアレイは、回転軸108の周りに実質的に対称にウェハを照射してもよい。
【0131】
装置100は、例えば第2の表面105を洗浄するために、ウェハ101の第2の表面105上に液体を分配するための液体ディスペンサを更に備える。本実施形態では、液体ディスペンサは、吐出ノズル130を有するアーム128を含む。アーム128には、ウェハ101の第2の表面105上に吐出ノズル130を通して下向きに吐出されるプロセスおよび/またはリンス液が供給される。
【0132】
アーム128は、吐出ノズル130が配置されたアームの端部128とは反対側のアームの端部128に枢動可能に取り付けられたスイングアーム128であり、それにより、枢動取付け部を中心にしてアーム128を回転させて、吐出ノズル130の位置をウェハ101の第2の表面105に対して変化させることができる。特に、枢動取付け部を中心としてアーム128を回転させることにより、例えばウェハ101の第2の表面105の中央にある第1の位置と、ウェハ101の外周エッジの半径方向外側に位置する第2の位置との間で、吐出ノズル130の半径方向位置を、ウェハ101の第2の表面105に対して変化させることができる。吐出ノズル130は、ウェハ101の第2の表面105の上方を円弧状に移動する。
【0133】
上述した液体ディスペンサの構成は、回転可能チャック102によるウェハ101の回転と併せると、ウェハ101が回転している間にアーム128を第2の表面105の中心から第2の表面105のエッジまで枢動させることにより、ウェハ101の第2の表面105全体にわたって液体を分配するように液体ディスペンサを動作させることができることを意味する。
【0134】
もちろん、他の実施形態では、この特定の液体ディスペンサの代わりに、他の好適な液体ディスペンサが使用されてもよい。
【0135】
図2aに示すように、液体Lを分配している間、およびウェハ101が回転している間に、アーム128の吐出ノズル130が、ウェハ101の第2の表面105の中心から第2の表面105のエッジまで移動するにつれて、ウェハの乾燥した領域202とウェハの濡れた領域203との間の移行部である乾燥ライン201が生成され、乾燥ライン201は、吐出ノズル130の移動に相関してウェハ101の第2の表面105を横断して半径方向外向きに移動する。例えば、乾燥ラインは、実質的に、ウェハ101の回転軸を中心とする円形形状であってもよい。任意の所与の時間における乾燥ライン201の半径方向位置は、吐出ノズル130の半径方向位置に対応し得る。実際には、乾燥ラインは、吐出ノズル130の半径方向位置の、いくぶん半径方向内向きに存在する可能性が高い。
【0136】
米国特許出願公開第2017/0345681号で論じられているように、高アスペクト比の表面フィーチャ、例えばドープドシリコンのフィン、を有するウェハの表面をスピン洗浄する場合、スピン洗浄で使用される液体が乾燥すると、パターン崩壊現象が生じて高アスペクト比の表面フィーチャが損傷をうける場合がある。
【0137】
例えば、洗浄液またはリンス液(例えば、イソプロピルアルコール(IPA))の表面張力、およびウェハの表面上に形成される構造の高アスペクト比は、高アスペクト比構造の間の空間から、洗浄液またはリンス液が、よりゆっくりと押し出されることを意味する場合があり、これにより、構造間の空間内におけるメニスカスの形成につながる可能性がある。乾燥が継続すると、洗浄液またはリンス液の表面張力が構造を互いに向かって引っ張り、その形状を変化させ、および/または構造を損傷させる、または破壊する可能性があり、それにより、関連する半導体デバイスの正しい性能が損なわれる、または妨げられる可能性がある。
【0138】
米国特許出願公開第2017/0345681号は、乾燥ラインに近接した場所においてウェハの表面を優先的に加熱して、より高い温度にすることにより、パターン崩壊現象を低減または防止できることについて記載している。この局所的なより高い温度での加熱は、洗浄液またはリンス液を、乾燥ラインにおいて十分に急速に蒸発させる役割を担うことができて、高アスペクト比構造の間にメニスカスが形成されず、その結果、パターン崩壊現象を回避できる。分配ノズルの半径方向移動を追跡しながら、乾燥ラインがウェハの表面上を半径方向外向きに移動するのにつれて、局所的なより高い温度での加熱もまた、ウェハの表面上を半径方向外向きに移動して乾燥ラインの移動を追跡する。したがって、分配ノズルの移動を追跡してウェハの表面を横切って半径方向外向きに移動する、局所的なより高い温度の前部が生成される。
【0139】
この種の加熱は、本発明のいくつかの実施形態において用いられる。
【0140】
図2bは、本発明の一実施形態において、
図2aに示す構成に適用され得る加熱プロファイルの一例を示す。
【0141】
図2bは、ウェハ101が加熱アセンブリ114により加熱される温度Tを、ウェハ101上の半径方向位置Rに対して示す。半径方向位置Rは、ウェハ101の半径方向に沿った、ウェハ101の回転軸からの距離である。
【0142】
乾燥ライン201の半径方向位置は、
図2bの破線を用いて示される。
【0143】
図2bは、単一の半径方向に沿った温度プロファイルを示す。実際には、温度プロファイルは、全ての半径方向に沿って同一または実質的に同一であってもよい(すなわち、ウェハの温度プロファイルは回転対称であってもよい、または実質的に回転対称であってもよい)。しかしながら、温度プロファイルは、環境ファクタなどに起因して、異なる半径方向において異なっていてもよい。
【0144】
図2bに示すように、濡れた領域203では、ウェハ101上の液体が、上昇された温度204まで加熱されるが、この温度は、液体の不完全な乾燥を引き起こさない温度である。
【0145】
対照的に、乾燥ライン201に近接した乾燥した領域202では、洗浄液またはリンス液の蒸発速度が十分に速くて、高アスペクト比フィーチャの間にメニスカス(または平坦な、または90度のメニスカス)が形成されないような温度205までウェハ101の温度が実質的に上昇し、その結果、上述したパターン崩壊現象が回避される。
【0146】
図2bに示すように、乾燥した領域202の残りの部分では、すでに乾燥されたウェハは、より低いが依然として上昇した温度206で維持されて、リンス液の完全な蒸発が確実になり、乾燥されたウェハの表面上での凝結が防止される。
【0147】
したがって、本発明では、ウェハの表面を横切って半径方向外向きに移動する、局所的なより高い温度の前部が生成され得る。
【0148】
局所的により高い温度の前部は、ウェハ101の第2の表面105にわたって実質的にリング状であってもよい。
【0149】
局所的により高い温度の前部の半径方向位置は、ウェハの表面上の乾燥ラインの半径方向位置に対応し得る。
【0150】
局所的により高い温度の前部の半径方向位置は、吐出ノズル130の半径方向位置に対応し得る。
【0151】
装置100は、ウェハ101の第2の表面105から赤外線を検出するように構成されている赤外線カメラ124の形態の画像センサを更に備える。
【0152】
図1では、赤外線カメラ124は、ウェハ101の回転軸の上方に位置していることが示されている。赤外線カメラ124のそのような位置決めは、赤外線カメラ124が、ウェハ101の第2の表面105全体から赤外線を容易に検出できることを意味し得る。しかしながら、他の実施形態では、赤外線カメラ124は、ウェハ101の第2の表面105の一部または全体から赤外線を検出するように、異なる位置に設けられてもよい。
【0153】
赤外線カメラ124は、ウェハ101の第2の表面105から、二次元の赤外線強度分布を検出する。
【0154】
赤外線カメラ124は、3~14μm、もしくは3~5μm、もしくは8~14μmの範囲の波長、または実際には赤外線の任意の好適な波長範囲の波長、を有する赤外線を検出するように構成されてもよい。
【0155】
装置100は、LED116のアレイに供給される電力を制御し、赤外線カメラ124からの測定出力を受信するためのコントローラ(図示せず)を更に含んでもよい。
【0156】
コントローラは、必要な機能を実行するためのソフトウェアがインストールされた任意の好適なコンピューティングデバイスでもあってもよい。例えば、コントローラは、通信インタフェース(例えばUSB、イーサネットなど)を介して回路基板120に接続されて、LED116のアレイに供給される電力量を制御してもよい。同様に、コントローラは、通信インタフェースを介して赤外線カメラ124に接続されて、赤外線カメラ124からの測定出力を受信してもよい。コントローラは、LED116のアレイのための様々な制御パラメータ(例えば電力レベル)が保存されるメモリを含んでもよい。コントローラは、赤外線カメラ124から受信した測定データを保存してもよい。
【0157】
LED116は、個別に制御可能な、LED116の複数のグループで構成されてもよい。LED116の各グループが独立して制御(例えば、スイッチをオンする、またはオフする)され得るように、LED116の複数のグループの各々に、例えば回路基板120の回路を介して、電力が独立して供給されてもよい。ウェハ101の異なるゾーンが制御可能に加熱され得るように、LED116の各グループがウェハ101の特定のゾーンを加熱するように構成されてもよい。LED116の複数のグループは、各グループがそれぞれの半径方向位置を占めるように、回転可能チャック102の回転軸108を中心として同心円状に構成されてもよい。このように、LED116の異なるグループを作動させることにより、ウェハ101の異なる半径方向ゾーンが加熱され得る。
【0158】
コントローラは、赤外線カメラ124から受信した測定出力に基づいて、LED116のアレイに供給される電力を自動的に制御するように構成されていてもよい。例えば、コントローラは、測定出力がウェハ101の第2の表面105上で所望の温度分布を示すまで、LED116のアレイに供給される電力を調整してもよい。LED116のアレイが、個別に制御可能なLED116の複数のグループを含む場合、コントローラは、各グループに対して所望の出力が得られるように、LED116のグループの各々に供給される電力を自動的に調整して、ウェハ101の表面105上で所望の温度分布を実現してもよい。
【0159】
本実施形態では、コントローラは、赤外線カメラ124からの測定出力に基づいて、ウェハ101の表面105の一部または全てにわたる温度分布を、または温度分布に関連する情報を決定するように構成されている。コントローラは、決定された温度分布または温度分布に関連する情報に基づいて、LED116のアレイへの電力供給を制御するように更に構成されている。
【0160】
例えば、コントローラは、ウェハ101の第2の表面105についての目標温度分布、またはそのような目標温度分布に関する情報をメモリに保存してもよい。赤外線カメラ124からの測定出力に基づいて、現在の温度分布と目標温度分布との間のいかなる相違も識別され得る。次いで、現在の温度分布が目標温度分布に実質的に一致するように、または対応するように、LED116に供給される電力が制御されて、いかなる識別された相違も実質的に除去される、または低減される。
【0161】
各LED116が個別に制御可能な場合、コントローラは各LED116に供給される電力を個別に制御してもよい。
【0162】
対照的に、LEDが個別に制御可能な複数のグループに構成される場合、コントローラはLED116の複数のグループの各々に供給される電力を個別に制御してもよい。
【0163】
本発明の一実施形態では、ウェハ101の第2の表面105に対する目標温度分布は、
図2bに示すものに類似していてもよい。例えば、目標温度分布が、乾燥ライン201に直接近接した、(半径方向に)局所的なより高い温度の領域を含むことにより、乾燥ライン201に近接した場所において、ウェハ101をより高い温度に加熱して、パターン崩壊現象を回避させるまたは低減させることができる。
【0164】
本発明の一実施形態では、赤外線カメラ124の測定出力が分析されて、ウェハの表面上の乾燥ライン201の位置が決定されてもよい。例えば、乾燥ライン201の位置は、赤外線カメラ124の測定出力にエッジ検出アルゴリズムを適用することによって決定されてもよい。
【0165】
図3は、本発明の実施形態における、赤外線カメラ124の測定出力の実施例である。
図3におけるx軸およびy軸は、直角をなすx方向とy方向におけるウェハの表面101上の距離を示し、陰影は、ウェハの表面101から検出された赤外線の異なる強度を表す(陰影が薄いほど温度が高い)。
【0166】
図4aは、
図3に示す実線に沿った距離に対する温度の変化を示す。
図4bは、
図4aの距離に対する温度の微分を示す。
【0167】
乾燥ライン201の位置(
図4aおよび
図4bの破線)において、表面の乾燥した領域と表面の濡れた領域との間の移行部により、ウェハ101の第2の表面105の温度において急激な変化が存在する。
【0168】
したがって、
図4bに示すように、半径方向距離に対する温度の微分の最大値の位置を決定することにより、乾燥ラインの位置を決定できる。
【0169】
もちろん、他の実施形態では、乾燥ラインの位置を識別するために異なる技術を使用できる。
【0170】
次いで、決定された乾燥ライン201の位置に基づいて、LED116のアレイへの電力供給が制御されてもよい。例えば、上述したように、LED116のアレイへの電力供給を制御して、決定された乾燥ライン201の位置に直接近接した(乾燥ラインの乾燥した側にある)、局所的なより高い温度の領域が生成されてもよい。
【0171】
乾燥ライン201が、例えば分配ノズルの半径方向移動を追跡して、ウェハ101の表面105を横切って半径方向外向きに移動するにつれて、LED116のアレイへの電力供給も制御されて、乾燥ライン201の移動に対応させて、局所的なより高い温度の領域を、ウェハ101の表面105を横切って半径方向外向きに移動させてもよい。
【0172】
このように、半径方向に移動する、より高い温度の円周方向前部は、LED116によって生成されてもよい。
【0173】
本発明の実施形態では、ウェハ101の第2の表面105上に分配される液体はイソプロピルアルコール(IPA)であり、ウェハ101の第2の表面105を洗浄またはリンスするために使用されてもよい。
【0174】
ウェハの表面101以外の物体により放出される赤外線もまた、赤外線カメラ124により検出可能な場合があり、それが、ウェハの表面101からの赤外線の検出に干渉する場合がある。例えば、赤外線が、装置100の他の部分により、または装置100の周囲環境にある他の物体により放出される場合がある。
【0175】
ウェハ101の表面105から赤外線を容易におよび/または正確に検出するために、装置100は、所定の波長範囲を有する赤外線を選択的に透過させるように適合されているフィルタ(図示せず)を含んでもよい。フィルタは、赤外線カメラ124のアパーチャに取り付けられる、またはそれに近接して設けられるので、赤外線カメラ124のアパーチャに入る赤外線の全てまたは大部分が最初にフィルタを通過する。
【0176】
好ましくは、フィルタは帯域フィルタであり、赤外放射の所定の波長範囲だけを透過させる。しかしながら、フィルタは、代替として、低域フィルタまたは高域フィルタであってもよい。
【0177】
実際には、フィルタが透過させる波長は、ウェハ上に分配される液体の熱放出スペクトルに基づいて選択されることになる。特に、フィルタは、ウェハ上に分配された液体により放出される熱放射を選択的に透過させるように適合されることになる。
【0178】
したがって、ウェハ101の表面105上に分配される液体がイソプロピルアルコール(IPA)である場合、フィルタは、イソプロピルアルコールにより放出される熱放射を選択的に透過させるように適合されることになる。
【0179】
例えば、フィルタは、イソプロピルアルコール(IPA)により放出される固有波長、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)の放出強度スペクトルにおけるピークの波長、を有する熱放射を選択的に透過させるように適合されてもよい。
【0180】
フィルタは、3.3~3.5μmの範囲、または8.6~9.1μmの範囲の波長を有する電磁放射を選択的に透過させるように適合されてもよい。このような波長は、イソプロピルアルコール(IPA)により放出される固有波長であり得る。
【0181】
実際には、半導体ウェハは通常、半導体ウェハである。
【0182】
本発明のいくつかの実施形態における加熱アセンブリ114の例示的構成を
図5に示す。
【0183】
図5に示すように、LED116は、加熱アセンブリ114の中心の周りの同心リングの形で構成されている。LED116の構成は、加熱アセンブリ114の中心の周りに回転対称である。
【0184】
所与の同心リングにおいて、LED116は束ねられて(複数の)グループ501になり、各グループ501には16個のLED116がある。換言すれば、所与の同心リングにおいて、LED116は、同心リングの周りに均一に分布していない。
【0185】
上述したように、LED116の各グループ501に対する電力は、独立して制御されてもよい。
【0186】
この実施例では、LED116の同心リングは20個あるが、もちろん他の実施形態では、同心リングの数は異なっていてもよい。
【0187】
図5では、加熱アセンブリ114は4つの四分円502に分割され、それらはコネクタ503により結合されている。
【0188】
各LEDは、10Wの電力消費量を有してもよく、3Wの出力を供給してもよい。
【0189】
もちろん、加熱アセンブリ114は、
図5に示すものとは異なっていてもよい。特に、加熱アセンブリにおけるLEDの構成は本発明にとって本質的ではない。
<適用例1>
ウェハを処理するための装置であって、
ウェハを受容するように適合されている回転可能チャックと、
前記回転可能チャックによって受容されているウェハを加熱するように構成されている加熱要素のアレイを備える加熱アセンブリと、
前記ウェハの表面からの電磁放射を検出するように構成されている画像センサと、
前記画像センサの測定出力に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されているコントローラと、を備える、装置。
<適用例2>
適用例1に記載の装置であって、前記画像センサはカメラである、装置。
<適用例3>
適用例2に記載の装置であって、前記カメラは熱画像カメラである、装置。
<適用例4>
適用例1から3のいずれか一項に記載の装置であって、前記画像センサは、3~14μmの範囲の波長を有する電磁放射を検出するように適合されている、装置。
<適用例5>
適用例1から4のいずれか一項に記載の装置であって、前記ウェハの前記表面上に液体を分配するための液体ディスペンサを備える、装置。
<適用例6>
適用例1から5のいずれか一項に記載の装置であって、スピン洗浄装置である、装置。
<適用例7>
適用例1から6のいずれか一項に記載の装置であって、前記コントローラは、
前記画像センサの前記測定出力に基づいて、前記ウェハの前記表面上の1つ以上の場所における温度、または前記温度に関連する情報を決定し、
決定された前記温度または前記温度に関連する前記情報に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御する、ように構成されている、装置。
<適用例8>
適用例1から7のいずれか一項に記載の装置であって、前記コントローラは、
前記画像センサの前記測定出力に基づいて、前記ウェハの前記表面の全てのいくつかにわたる温度分布を、または前記温度分布に関連する情報を決定し、
決定された前記温度分布または前記温度分布に関連する情報に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御する、ように構成されている、装置。
<適用例9>
適用例1から8のいずれか一項に記載の装置であって、
前記加熱要素のアレイの前記加熱要素の各々は、個別に制御可能であり、
前記コントローラは、前記加熱要素の各々に供給される電力を個別に制御するように構成されている、装置。
<適用例10>
適用例1から8のいずれか一項に記載の装置であって、
前記加熱要素のアレイは、個別に制御可能な複数の加熱要素グループを備え、
前記コントローラは、前記複数の加熱要素グループの各々に供給される電力を個別に制御するように構成されている、装置。
<適用例11>
適用例1から10のいずれか一項に記載の装置であって、所定の波長または波長範囲を有する電磁放射を選択的に透過させるように適合されているフィルタを備える、装置。
<適用例12>
適用例11に記載の装置であって、前記フィルタは帯域フィルタである、装置。
<適用例13>
適用例11または12に記載の装置であって、前記フィルタは、イソプロピルアルコールにより放出される熱放射を選択的に透過させるように適合されている、装置。
<適用例14>
適用例11から13のいずれか一項に記載の装置であって、前記フィルタは、3.3~3.5μmの範囲、または8.6~9.1μmの範囲の波長を有する電磁放射を選択的に透過させるように適合されている、装置。
<適用例15>
適用例1から14のいずれか一項に記載の装置であって、前記コントローラは、
前記画像センサの前記測定出力を分析して、前記ウェハの前記表面上における、乾燥した領域と濡れた領域との間の移行部に対応する乾燥ラインの位置を決定し、
決定された前記乾燥ラインの前記位置に基づいて、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されている、装置。
<適用例16>
適用例15に記載の装置であって、前記コントローラは、エッジ検出アルゴリズムを使用して前記乾燥ラインの前記位置を決定するように構成されている、装置。
<適用例17>
適用例15または16に記載の装置であって、前記コントローラは、前記乾燥ラインに近接した場所において、前記ウェハが、前記ウェハ上の他の場所よりも高い温度に加熱されるように、前記加熱要素のアレイへの電力供給を制御するように構成されている、装置。
<適用例18>
適用例1から17のいずれか一項に記載の装置であって、前記コントローラは、前記加熱要素を制御して、半径方向に移動する円周方向前部に沿って、前記ウェハの前記表面の加熱を生じさせるように構成されている、装置。
<適用例19>
適用例1から18のいずれか一項に記載の装置であって、前記加熱要素のアレイは、前記カメラにより撮像される前記ウェハの前記表面に対して前記ウェハの反対側にある前記ウェハの表面を加熱するように構成されている、装置。
<適用例20>
適用例1から19のいずれか一項に記載の装置であって、前記加熱要素は、前記ウェハを照射して前記ウェハを加熱するように構成されている発光加熱要素である、装置。
<適用例21>
適用例20に記載の装置であって、前記発光加熱要素はLEDである、装置。
<適用例22>
適用例1から21のいずれか一項に記載の装置、を制御する方法であって、
前記回転可能チャックによって受容されているウェハの表面上に液体を分配し、
前記回転可能チャックを回転させて前記ウェハの前記表面から液体を除去し、
前記回転中に、前記加熱要素のアレイに電力を供給して前記ウェハの前記表面を加熱し、
前記画像センサを用いて、前記ウェハの前記表面からの電磁放射を検出し、
前記画像センサの前記測定出力に基づいて、前記加熱要素のアレイに供給される前記電力を調整すること、を備える、方法。