(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】肉腫を治療する方法に有用な組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20241211BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241211BHJP
A61K 31/4164 20060101ALI20241211BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20241211BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20241211BHJP
A61K 31/475 20060101ALI20241211BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P35/00
A61K31/4164
A61K31/337
A61K31/706
A61K31/475
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2021557396
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 US2020025532
(87)【国際公開番号】W WO2020198705
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507166346
【氏名又は名称】ピーティーシー セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ウィートール マーラ エル
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ リャンシャン
(72)【発明者】
【氏名】シーディ ジョセフィン
(72)【発明者】
【氏名】シュピーゲル ロバート
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-504290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00-33/44
A61K47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1の構造を有する5-フルオロ-2-(6-フルオロ-2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-N
4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ピリミジン-4,6-ジアミン、またはその薬学的に許容される塩を含む、それを必要とする対象における肉腫を化学療法剤と組み合わせて治療するための医薬組成物であって、前記化学療法剤が、3週間に1回1000mg/m
2の量で対象に投与されるダカルバジンである、医薬組成物。
【化1】
化合物1
【請求項2】
100mg、
125mg、
150mg、
175mg、
200mg、
225mg、
250mg、
275mgおよび
300mgからなる群から選択される用量で週2回化合物1を経口投与するための、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
125mg、
150mg、
175mg、
225mg、
250mg、
275mgおよび
300mgからなる群から選択される用量で週2回化合物1を経口投与するための、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビン、エピルビシン、エリブリン、イホスファミド、テモゾロミド、トラベクテジンおよびビンクリスチンからなる群から選択される少なくとも1種の追加の化学療法剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種の追加の化学療法剤が、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシンおよびビンクリスチンからなる群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の追加の化学療法剤がドセタキセルである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の追加の化学療法剤がドキソルビシンである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種の追加の化学療法剤がリポソームドキソルビシンである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の追加の化学療法剤がビンクリスチンである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項10】
化合物1を
100mg~
400mgの用量で週2回経口投与するための、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
化合物1を
200mg~
400mgの用量で週2回経口投与するための、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
化合物1を
200mgの用量で週2回経口投与するための、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
化合物1を
300mgの用量で週2回経口投与するための、請求項1に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月27日に出願された米国仮特許出願第62/825,017号の優先権を主張するものである。
有効量の小分子化合物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療する方法が本明細書に記載される。より詳細には、有効量の小分子化合物を単独でまたは化学療法剤と組み合わせて対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療する方法が、本明細書に記載される。
【背景技術】
【0002】
軟部組織肉腫(STS)は、間葉組織、例えば平滑筋(子宮、胃、小腸、後腹膜、血管および皮膚)、腱、脂肪、リンパ管、血管組織および神経、ならびに軟骨および他の関節周囲組織に由来する癌である。年間の全新規癌の約1%にすぎないが、米国で毎年診断される肉腫の新規症例は約15,000件である。平滑筋肉腫はより一般的であり、全軟部組織肉腫の約5~10%を占める。肉腫のその一例において、侵襲性、局所再発性、切除不能および転移再発性/難治性の平滑筋肉腫(LMS)は、これらの肉腫の約24%を占める。
肉腫を治療するための標準治療(SOC)としては、手術、放射線および化学療法が挙げられる。しかし、侵襲性LMSの治療はほとんど進歩していない。一次治療としては、Adriamycin(登録商標)またはRubex(登録商標)(ドキソルビシン)とIfex(登録商標)(イホスファミド)との組み合わせまたはIfexなし、およびGemzar(登録商標)(ゲムシタビン)とTaxotere(登録商標)(ドセタキセル)との組み合わせが挙げられる。細胞毒性剤トラベクテジンおよび血管新生受容体チロシンキナーゼ阻害剤パゾパニブは、セカンドラインまたは後続のラインの場面におけるLMSの治療に最近承認され、全生存(OS)の改善は示されていないが、数カ月の無増悪生存(PFS)の利点を提供する(van der Graaf 2012, Demetri 2016)。
軟部組織肉腫の治療に広範に利用されるDTIC-Dome(登録商標)(ダカルバジン)は、後続のラインの場面において用いられる場合が多く、LMSについては約10%の応答率を達成する。
トラベクテジンとパゾパニブとの組み合わせでの短期応答率の改善がわずかであることから、ダカルバジンは、低い応答率にもかかわらず、依然としてLMS療法の適切な選択である。したがって、LMSは、新しい臨床的に有効な化学療法剤またはその組み合わせを必要とする比較的一般的な肉腫のサブタイプである。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載される一態様は、化合物1の構造を有する、有効量の5-フルオロ-2-(6-フルオロ-2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-N
4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ピリミジン-4,6-ジアミン、またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療する方法である。
【化1】
化合物1
【0004】
本明細書に記載される別の態様は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を有効量の少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療する方法である。
本明細書に記載される一態様は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療するための、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の使用である。
本明細書に記載される別の態様は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を有効量の少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療するための、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の使用である。
本明細書に記載される一態様は、有効量の薬物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療するための薬物を調製するための、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の使用である。
本明細書に記載される別の態様は、有効量の薬物を有効量の少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫の治療において使用するための薬物の調製における、化合物1の使用である。
【0005】
一態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、DTIC-Dome(登録商標)(ダカルバジン)、Taxotere(登録商標)(ドセタキセル)、Adriamycin(登録商標)またはRubex(登録商標)(ドキソルビシン)、Doxil(登録商標)(リポソームドキソルビシン)、ゲムシタビン、エピルビシン、エリブリン、イホスファミド、テモゾロミド、トラベクテジンおよびOncovin(登録商標)(ビンクリスチン)からなる群から選択される。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビン、エピルビシン、エリブリン、イホスファミド、テモゾロミド、トラベクテジンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
【0006】
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、ダカルバジンである。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、ドセタキセルである。
【0007】
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、ドキソルビシンである。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、リポソームドキソルビシンである。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、ビンクリスチンである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A-1B】化合物1単独、DTIC単独およびビヒクルと比較して、化合物1とダカルバジン(DTIC)との組み合わせでの処置後、SK-LMS-1マウスモデルの平均腫瘍体積の相乗的低下をもたらす、各々、化合物1とダカルバジン(DTIC)との組み合わせを示すグラフである;そこでbiwは週2回の用量投与を表し、tiwは週3回の用量投与を表し、qd5は1日1回5日間の用量投与を表す。
図1Aと
図1Bとの比較は、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とDTIC(21mg/kg IP qd5)との組み合わせ(
図1Bを参照のこと)での処置と比較して、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とDTIC(4mg/kg IP tiw)との組み合わせ(
図1Aを参照のこと)での処置後の平均腫瘍体積における相乗的用量応答低下を示す。
【
図2A-2B】化合物1単独、ドセタキセル単独およびビヒクルと比較して、化合物1とドセタキセルとの組み合わせでの処置後、SK-UT-1平滑筋肉腫(LMS)マウスモデルの平均腫瘍体積の相乗的低下をもたらす、各々、化合物1とドセタキセルとの組み合わせを示すグラフである;そこでbiwは週2回の用量投与を表し、qw6は週1回6週間の用量投与を表す。
図2Aと
図2Bとの比較は、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とドセタキセル(15mg/kg IP qw6)との組み合わせ(
図2Bを参照のこと)での処置と比較して、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とドセタキセル(5mg/kg IP biwを6用量)との組み合わせ(
図2Aを参照のこと)での処置後の平均腫瘍増殖の用量依存的抑制を示す。
【
図3A-3B】化合物1単独、ドキシル単独およびビヒクルと比較して、化合物1とドキシルとの組み合わせでの処置後、SK-LMS-1マウスモデルの平均腫瘍体積の相乗的低下をもたらす、各々、化合物1とドキシルとの組み合わせを示すグラフである;そこでbiwは週2回の用量投与を表し、qw5は週1回5週間の用量投与を表す。
図3Aと
図3Bとの比較は、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とドキシル(9mg/kg IP qw5)との組み合わせ(
図3Bを参照のこと)での処置と比較して、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とドキシル(3mg/kg IP qw5)との組み合わせ(
図3Aを参照のこと)での処置後、平均腫瘍増殖の用量依存的抑制を示す。
【
図4】化合物1単独(15mg/kg PO biw)、ドキソルビシン単独(0.3mg/kg IP q2d)およびビヒクルと比較して、化合物1とドキソルビシンとの組み合わせでの処置後、HT1080線維肉腫マウスモデルの平均腫瘍体積の相乗的低下をもたらす、化合物1とドキソルビシンとの組み合わせを示すグラフである;そこでbiwは週2回の用量投与を表し、q2dは2日ごとに1日1回の用量投与を表す。
【
図5】安全性および薬物動態を決定するための、31人の評価可能な患者の全固形腫瘍(AST)第Ia相臨床試験(NCT02404480)における化合物1での治療単独の持続期間を要約するグラフである。0.65mg/kgの初期ヒト用量は、1.3mg/kg、2.6mg/kg、5.2mg/kg、7mg/kgおよび10mg/kgに及ぶその後のより高いヒト用量と共に、40mg/kgのラットモデルのMTDに基づくものである。1コホートあたり3人の患者の標準的な3+3試験設計では、用量制限毒性(DLT)がない各コホートに対して用量漸増が可能であり、次のコホートは次のより高い用量で治療できる。コホートのいずれか1人の患者が、特定の用量でDLTを経験した場合、次のコホートは同じ用量で治療される。各患者の薬物動態の全面的な見直しを、1日目および29日目に行い、部分的な見直しを15日目に行った。
【
図6A-6D】AST試験において単剤療法としてヒトに週2回投与した化合物1の薬物動態(AUC
LastおよびC
maxで測定した)を要約するグラフであり、そこで各図の点線は、遊離薬物濃度を示す。
図6Aおよび6Bは、有効であると予測される標的濃度以上でヒトAUCおよびC
maxを各々維持するのに必要な、各々約2.0mg/kg以上または約1.4mg/kg以上の化合物1のヒト患者における用量に相関する、約13,125時間ng/mLの推定標的AUC
Last(
図6A)および約688ng/mLの推定標的C
max(
図6B)を示す。
図6Cおよび6Dは、有効であると予測される標的濃度以上でヒトAUCおよびC
maxを維持するのに必要な、各々約2.3mg/kg以上または約1.8g/kg以上の化合物1のヒト患者における用量に相関する、15,625時間ng/mLの推定標的AUC
Last(
図6C)および約859ng/mLの推定標的C
max(
図6D)を示す。
【
図7A-7B】化合物1単独、ビンクリスチン単独およびビヒクルと比較して、化合物1とビンクリスチンとの組み合わせでの処置後、HT1080線維肉腫異種移植マウスモデルの平均腫瘍体積の低下をもたらす、各々、化合物1とビンクリスチンとの組み合わせを示すグラフである;そこでbiwは週2回の用量投与を表し、tiwは週3回の用量投与を表す。
図7Aと
図7Bとの比較は、各剤について、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とビンクリスチン(0.3mg/kg IP tiw)との組み合わせ(
図7Bを参照のこと)での処置と比較して、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とビンクリスチン(0.1mg/kg IP tiw)との組み合わせ(
図7Aを参照のこと)での処置後の平均腫瘍増殖の用量依存的低下を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載される一態様は、化合物1の構造を有する、有効量の5-フルオロ-2-(6-フルオロ-2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-N4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ピリミジン-4,6-ジアミン、またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療する方法である。
【0010】
【化2】
化合物1
本明細書に記載される別の態様は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を有効量の少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療する方法である。
【0011】
本明細書に記載される一態様は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を、対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療するための、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の使用である。
本明細書に記載される別の態様は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を有効量の少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療するための、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の使用である。
本明細書に記載される一態様は、有効量の薬物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療するための薬物を調製するための、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の使用である。
本明細書に記載される別の態様は、有効量の薬物を有効量の少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫の治療において使用するための薬物の調製における、化合物1の使用である。
一態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、DTIC-Dome(登録商標)(ダカルバジン)、Taxotere(登録商標)(ドセタキセル)、Adriamycin(登録商標)またはRubex(登録商標)(ドキソルビシン)、Doxil(登録商標)(リポソームドキソルビシン)、ゲムシタビン、エピルビシン、エリブリン、イホスファミド、テモゾロミド、トラベクテジンおよびOncovin(登録商標)(ビンクリスチン)からなる群から選択される。
【0012】
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビン、エピルビシン、エリブリン、イホスファミド、テモゾロミド、トラベクテジンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物a1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで少なくとも1種の化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
化合物1およびそれを作製する方法は、国際公開番号WO2014/081906(化合物109として引用される)に開示される。
【0013】
定義
本明細書で使用する用語「約」は、得られた値が明示的に列挙される値と実質的に同じである、所与の値の付近の範囲を意味する。一態様において、「約」は、所与の値または範囲の25%以内を意味する。例えば、表現「約70質量%」は、52質量%~88質量%の少なくともすべての値を含む。別の態様において、用語「約」は、所与の値または範囲の10%以内を意味する。例えば、表現「約70質量%」は、63質量%~77質量%の少なくともすべての値を含む。別の態様において、用語「約」は、所与の値または範囲の7%以内を意味する。例えば、表現「約70質量%」は、65質量%~75質量%の少なくともすべての値を含む。濃度、量、細胞数、パーセンテージおよび他の数値は、範囲形式で本明細書に示され得る。このような範囲形式は、単に簡便性および簡潔性のために用いられ、範囲の限度として明示的に列挙された数値を含むだけでなく、各数値および部分範囲が明示的に列挙されているかのように、その範囲内に包含される個々の数値または部分範囲すべてを含むと柔軟に解釈されるべきであることが理解されるべきである。
【0014】
本明細書で使用する用語「療法(therapyiesおよびtherapy)」は、状態もしくは障害、またはこれらの1つもしくは複数の症状(例えば、肉腫、あるいはこれに関連する1つもしくは複数の症状または1つもしくは複数の状態)の予防、治療、管理または改善に使用できる任意のプロトコル、方法、組成物、製剤および/または剤を指し得る。
一態様において、用語「療法(therapiesおよびtherapy)」および「標準療法」は、状態もしくは障害またはこれらの1つもしくは複数の症状(例えば、肉腫、あるいはこれに関連する1つもしくは複数の症状または1つもしくは複数の状態)の治療、管理、予防または改善に有用な薬物療法、例えば化学療法、または補助療法、放射線、手術、生物学的療法、免疫療法、支持療法、抗ウイルス療法および/もしくは他の療法を含む、1種または複数の療法を指す。
【0015】
別の態様において、化学療法剤という用語は、典型的には悪性腫瘍の文脈において、急速に増殖する細胞の増殖を直接または間接的に阻害する化学療法で用いられる薬物を指す。その作用機序により分類されるこのような薬物としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、RNAまたはDNAに関連する機序に直接または間接的に影響を与えるものなどが挙げられる。
別の態様において、用語「補助療法」は、単剤療法としての、または化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含む化学療法組み合わせ療法としての、化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の使用以外の療法を指す。
本明細書で使用する用語「対象」は、用語「患者」と互換的に用いられ得、いずれかまたは両方の用語が、本明細書に記載される有益な効果または治療効果を提供する療法が施されるそれを必要とする個人を指す。具体的な態様において、個人はヒトである。
【0016】
化合物1を肉腫を有する対象に投与する文脈において、本明細書で使用する用語「有効量」は、有益な効果または治療効果をもたらす化合物1の用量を指す。一態様において、化合物1の「有効量」は、以下の有益な効果または治療効果のうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上を達成するのに十分な化合物1の量を指す:(i)肉腫の阻害;(ii)肉腫の退行;(iii)肉腫の根絶、除去または完全な寛解;(iv)肉腫に関連する1つまたは複数の症状の発生または発症の予防(v)肉腫に関連する1つまたは複数の症状の重症度の低減または改善;(vi)肉腫に関連する1つまたは複数の症状の数の減少;(vii)肉腫に関連する1つまたは複数の症状の重症度の改善;(viii)肉腫に関連する1つまたは複数の症状の持続期間の短縮;(ix)増殖または肉腫に関連する1つまたは複数の症状の再発の予防;(x)死亡率の低下;(xi)対象の生存率の増加;(xii)無再発生存の増加;(xiii)寛解状態の肉腫対象の数の増加;(xiv)対象の入院の減少;(xv)入院期間の短縮;(xvi)入院率の低下;(xvii)対象の生存の増加;(xviii)肉腫対象の無症状生存の増加;(xix)対象における肉腫の寛解期間の延長;(xx)当技術分野で周知の方法、例えば、QOLアンケートなどにより評価された生活の質(QOL)の改善;(xxi)別の化学療法剤での治療前の化合物1の投与による増殖の低下;(xxii)別の化学療法剤での治療後の化合物1の投与による増殖の低下;(xxiii)別の化学療法剤と共に化合物1の投与による組み合わせ療法での増殖の低下;(xxiv)別の化学療法剤と共に化合物1の投与による組み合わせ療法での相加的な抗増殖効果;(xxv)別の化学療法剤と共に化合物1の投与による組み合わせ療法での相乗的な抗増殖効果;(xxvi)放射線による療法前の化合物1の投与による増殖の低下;(xxvii)放射線による療法後の化合物1の投与による増殖の低下;(xxviii)放射線との組み合わせ療法での化合物1の投与による増殖の低下;(xxix)手術による治療前の化合物1の投与による増殖の低下;(xxx)手術との組み合わせ治療における化合物1の投与による増殖の低下;(xxxi)対症療法と共に化合物1の投与による治療効果の向上または改善;(xxxii)肉腫を有する対象におけるBMI-Iの血漿濃度の低下;(xxxiii)肉腫を有する対象の血漿における循環増殖細胞の減少;(xxxiv)肉腫を有する対象における肉腫バイオマーカー(例えば、BMI-1、チューブリン重合、アポトーシスマーカーまたは組織など)の血漿濃度の変化(例えば、低下または増加);(xxxv)肉腫を有する対象からの生体試料(例えば、血漿、血清、尿または任意の他の生体液)におけるBMI-1の濃度の低下;(xxxvi)磁気共鳴画像法(MRI)、ダイナミック造影MRI(DCE-MRI)、X線、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、陽電子放出断層撮影(PET)スキャン、7-AAD蛍光またはDAPI蛍光など、当業者に利用可能な従来の方法により測定したとき、増殖細胞数は、本明細書に記載される療法の投与後減少する;(xxxvii)磁気共鳴画像法(MRI)、ダイナミック造影MRI(DCE-MRI)、X線、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、陽電子放出断層撮影(PET)スキャン、7-AAD蛍光またはDAPI蛍光など、当業者に利用可能な従来の方法により測定したとき、増殖細胞数は、本明細書に記載される療法の投与後維持される;(xxxviii)磁気共鳴画像法(MRI)、ダイナミック造影MRI(DCE-MRI)、X線、コンピューター断層撮影(CT)スキャン、陽電子放出断層撮影(PET)スキャン、7-AAD蛍光またはDAPI蛍光など、当業者に利用可能な従来の方法により測定したとき、増殖細胞数は、本明細書に記載される療法の投与後増加しないか、または増加が予想を下回る。
【0017】
本明細書で使用する用語「24時間で」は、状態が維持される期間を指す。例えば、化合物1の有効量は、化合物1の平均血漿濃度が達成され、24時間の大部分で維持される場合に同定される。言い換えれば、化合物1の平均血漿濃度は、24時間を超え得るかまたは下回り得る好適な時間に到達され得る。
本明細書で使用する用語「本明細書に記載される療法」は、有効量の化合物1を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫の治療または改善において使用するための化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の使用方法を指す。
【0018】
本明細書に記載される療法の一態様において、化合物1の使用または使用方法は、その薬学的に許容される塩または医薬組成物を含む。本明細書に記載される療法の別の態様において、化合物1の使用または使用方法は、化合物1、化合物1の薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物、あるいは化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物と、別の化学療法剤との組み合わせの使用または使用方法を含み、そこで該組み合わせは、相乗的な抗増殖活性を有する。別の態様において、他の化学療法剤は、チューブリン重合を阻害する。別の態様において、他の化学療法剤は、BMI-1の機能的活性を阻害する。
【0019】
本明細書で使用する用語「薬学的に許容される塩」は、無機酸および塩基、ならびに有機酸および塩基を含む、薬学的に許容される非毒性の酸または塩基から調製される塩を指す;例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th eds., Mack Publishing, Easton PA (1990)またはRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 19 th eds., Mack Publishing, Easton PA (1995)を参照のこと。
本明細書で使用する用語「化合物1」は、5-フルオロ-2-(6-フルオロ-2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-N4-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ピリミジン-4,6-ジアミンまたはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を指す。様々な態様において、用語「化合物1」は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開番号WO2014/081906に開示される化合物109を指す。
【0020】
使用方法
任意の理論に限定されずに、機序研究は、化合物1が、チューブリンに結合して微小管重合を阻害し、G2/M期で停止させることで、有糸分裂、細胞周期およびアポトーシスに対する効果を含む、複数の細胞効果をもたらすことを示した。
一態様において、化合物1は、治療上有効な標的血漿濃度をもたらす用量で単剤療法として投与され得る。
別の態様において、化合物1は、治療上有効な相加的または相乗的な血漿濃度をもたらす用量で、少なくとも1種の他の化学療法剤と共に組み合わせ療法として投与され得る。化合物1の使用は、組み合わせて用いられる場合、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビン、ビンクリスチンおよび他のチューブリン結合剤を含む、標準的な化学療法剤の活性を著しく高める。
【0021】
これらのデータおよび以前の前臨床試験に基づき、Cpd1は、以下を含むClinical Trials.govに投稿された特定の臨床試験において評価されている:
NCT02404480:進行性固形腫瘍(AST)癌を有する患者において化合物1を使用するための安全性および薬物動態(PK)プロファイルを評価し、漸増用量レベルに従ってRP2D(推奨第II相臨床試験用量)を決定する第I相、非盲検、ヒト初回試験。
NCT03206645:ネオアジュバント化学療法を受けたステージIIIまたはIVの上皮性卵巣癌、原発性腹膜癌または卵管癌を有する女性に対して、化合物1を標準的なパクリタキセルおよびカルボプラチンと組み合わせて使用する卵巣癌の治療の安全性および有効性を評価する第Ib相試験。
NCT03605550:化合物1を放射線および化学療法と組み合わせて使用する、新たに診断されたびまん性内在性橋膠腫(DIPG)および/または高悪性度神経膠腫(HGG)を有する小児の治療の安全性および有効性を評価する第Ib相試験。DIPG/HGGと診断された患者は、放射線または手術のいずれかで治療され得る。該試験は、深刻な副作用を起こさずに放射線療法と共に投与できる化合物1の用量、再発腫瘍の除去手術前および/または手術中の化合物1の血漿および腫瘍組織濃度、ならびに化合物1での治療の結果としての腫瘍生物学の潜在的な変化を決定する。
NCT03761095:化合物1(200mg PO biw)とダカルバジン(DTIC)(1000mg/m2 IV 3週間に1回)との組み合わせを使用する、進行性平滑筋肉腫を有する患者の治療の安全性および有効性を評価し、MTD(最大耐量)を決定する第Ib相試験。
【0022】
本明細書に示されるように、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫の治療または改善において使用するためのチューブリン重合の小分子阻害剤である。
本明細書に記載される使用または使用方法の一態様において、化合物1の使用または使用方法は、その薬学的に許容される塩または医薬組成物を含む。
本明細書に記載される使用または使用方法の別の態様において、化合物1の使用または使用方法は、化合物1の使用または使用方法、化合物1の薬学的に許容される塩または医薬組成物の使用または使用方法、あるいは化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物と、別の化学療法剤との組み合わせの使用または使用方法を含み、そこで該組み合わせは、相加的または相乗的な抗増殖活性を有する。
別の態様において、他の化学療法剤はチューブリン重合を阻害する。別の態様において、他の化学療法剤は、様々な機序によりDNAまたはDNA修復に影響を与える。
【0023】
一態様において、本明細書に記載される組み合わせは、チューブリン重合を阻害するかまたは低下させ、これはまた、増殖細胞または細胞株において細胞周期停止を誘導し得ることが本明細書に記載される。
別の態様において、増殖細胞または細胞株における細胞周期停止を誘導するために、チューブリン重合を阻害するかまたは低下させる方法は、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を増殖細胞または細胞株に曝露させることを含む。別の態様において、増殖細胞または細胞株は、チューブリン阻害剤での治療にナイーブであり得るか、またはチューブリン重合の阻害または低下に影響を受けることが公知であり得る。
別の態様において、このような細胞または細胞株の非限定的な例は、HL-60、HeLa、HT1080、HCT116、HEK293、NCI H460、U-87MG、ASPC-1、PL-45、HPAF-2、PC-3、MDA-MB-231、MDA-MB-468、A431、SNU-1、AGS、Kato III、A549、Calu-6、A375、SY5Y、SKOV3、Capan-1、sNF96.2、TIVE-L1、TIVE-L2、LNCaP細胞などから選択される。より具体的な態様において、細胞または細胞株は肉腫細胞であり得る。
【0024】
一態様において、肉腫を有するそれを必要とする対象においてチューブリン重合を阻害するかまたは低下させる方法は、本明細書に記載されるように有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含む。
本明細書に記載される一態様において、本明細書に記載される意図される使用で治療できる肉腫としては、骨原性肉腫、骨肉腫(bone sarcoma)、骨肉腫(osteosarcoma)、軟骨肉腫、脊索腫、滑膜腫、肉腫性中皮腫、ユーイング腫瘍、骨の線維肉腫、骨膜肉腫、軟部組織肉腫、血管肉腫(angiosarcoma)、血管肉腫(hemangiosarcoma)、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、粘液線維肉腫、内皮肉腫およびリンパ管内皮肉腫からなる群から選択される骨および結合組織の肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。
別の態様において、対象は、肉腫と診断され、肉腫はユーイング腫瘍、線維肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫および骨肉腫からなる群から選択される。
具体的な態様において、肉腫と診断された対象は、チューブリン重合を阻害するかまたは低下させる化学療法剤により治療できる。
【0025】
具体的な態様において、肉腫と診断された対象は、BMI-1機能を阻害するかまたは低下させる化学療法剤により治療できる。
具体的な態様において、本明細書に記載されるチューブリン重合を阻害するかまたは低下させる方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のチューブリン重合と比較して、チューブリン重合を約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、80%、85%、90%、95%または100%阻害するかまたは低下させる。
具体的な態様において、本明細書に記載されるBMI-1機能を阻害するかまたは低下させる方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のBMI-1機能と比較して、BMI-1機能を約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、80%、85%、90%、95%または100%阻害する。
具体的な態様において、本明細書に記載されるチューブリン重合を阻害するかまたは低下させる方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のチューブリン重合と比較して、チューブリン重合を約5%~約20%、10%~30%、15%~40%、15%~50%、20%~30%、20%~40%、20%~50%、30%~60%、30%~70%、30%~80%、30%~90%、30%~95%、30%~99%もしくは約40%~約100%の範囲でまたはその間の任意の範囲で阻害するかまたは低下させる。
【0026】
具体的な態様において、本明細書に記載されるBMI-1機能を阻害するかまたは低下させる方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のBMI-1機能と比較して、BMI-1機能を約5%~約20%、10%~30%、15%~40%、15%~50%、20%~30%、20%~40%、20%~50%、30%~60%、30%~70%、30%~80%、30%~90%、30%~95%、30%~99%もしくは約40%~約100%の範囲でまたはその間の任意の範囲で阻害するかまたは低下させる。
具体的な態様において、本明細書に記載されるチューブリン重合を阻害するかまたは低下させる方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のin vitroまたはin vivo増殖細胞または細胞株集団と比較して、増殖を約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、80%、85%、90%、95%または100%阻害するか、またはin vitroもしくはin vivo増殖細胞もしくは細胞株集団を前記の割合で減少させる。
【0027】
具体的な態様において、本明細書に記載されるBMI-1機能を阻害するかまたは低下させる方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のin vitroまたはin vivo増殖細胞または細胞株集団と比較して、増殖を約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、80%、85%、90%、95%または100%阻害するか、またはin vitroもしくはin vivo増殖細胞もしくは細胞株集団を前記の割合で減少させる。
具体的な態様において、本明細書に記載されるチューブリン重合を阻害するかまたは低下させる方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のin vitroまたはin vivo増殖細胞または細胞株集団と比較して、増殖を約5%~約20%、10%~30%、15%~40%、15%~50%、20%~30%、20%~40%、20%~50%、30%~60%、30%~70%、30%~80%、30%~90%、30%~95%、30%~99%もしくは約40%~約100%またはその間の任意の範囲で阻害するか、またはin vitroもしくはin vivo増殖細胞もしくは細胞株集団を前記の範囲で減少させる。
【0028】
具体的な態様において、本明細書に記載されるBMI-1機能を阻害するかまたは低下させる方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のin vitroまたはin vivo増殖細胞または細胞株集団と比較して、増殖を約5%~約20%、10%~30%、15%~40%、15%~50%、20%~30%、20%~40%、20%~50%、30%~60%、30%~70%、30%~80%、30%~90%、30%~95%、30%~99%もしくは約40%~約100%またはその間の任意の範囲で阻害するか、またはin vitroもしくはin vivo増殖細胞もしくは細胞株集団を前記の範囲で減少させる。
様々な態様において、本明細書に記載されるチューブリン重合を阻害するかまたは低下させる方法は、当技術分野で周知の方法、例えば、ELISAにより評価したとき、対象において微小管構築に利用可能なGTP結合型αβチューブリンサブユニットの発現を低下させる。
様々な態様において、本明細書に記載されるBMI-1機能を阻害するかまたは低下させる方法は、当技術分野で周知の方法、例えば、ELISAにより評価したとき、対象におけるBMI-1の血漿濃度を低下させる。
【0029】
一態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、本明細書に記載されるように、対象においてチューブリン重合を阻害するかまたは低下させるのに有効な量の化合物1を投与することを含む。
一態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、本明細書に記載されるように、対象においてBMI-1機能を阻害するかまたは低下させるのに有効な量の化合物1を投与することを含む。
具体的な態様において、本明細書に記載されるように、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のチューブリン重合と比較して、チューブリン重合を約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、80%、85%、90%、95%または100%阻害するかまたは低下させる。
具体的な態様において、本明細書に記載されるように、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のBMI-1機能と比較して、BMI-1機能を約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、80%、85%、90%、95%または100%阻害するかまたは低下させる。
【0030】
具体的な態様において、本明細書に記載されるように、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のチューブリン重合と比較して、チューブリン重合を約5%~約20%、10%~30%、15%~40%、15%~50%、20%~30%、20%~40%、20%~50%、30%~60%、30%~70%、30%~80%、30%~90%、30%~95%、30%~99%もしくは約40%~約100%の範囲でまたはその間の任意の範囲で阻害するかまたは低下させる。
具体的な態様において、本明細書に記載されるように、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前のBMI-1機能と比較して、BMI-1機能を約5%~約20%、10%~30%、15%~40%、15%~50%、20%~30%、20%~40%、20%~50%、30%~60%、30%~70%、30%~80%、30%~90%、30%~95%、30%~99%もしくは約40%~約100%の範囲でまたはその間の任意の範囲で阻害するかまたは低下させる。
【0031】
様々な態様において、本明細書に記載されるように、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、当技術分野で周知の方法、例えば、ELISAにより評価したとき、対象におけるBMI-1の濃度を低下させる。
一態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、本明細書に記載されるように、増殖を阻害するかまたは対象のin vitroもしくはin vivo増殖細胞もしくは細胞株集団を減少させるのに有効な量の化合物1を投与することを含む。
具体的な態様において、本明細書に記載されるように、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前の増殖または対象のin vitroもしくはin vivo増殖細胞もしくは細胞株集団と比較して、増殖を約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、80%、85%、90%、95%もしくは100%阻害するか、または対象のin vitroもしくはin vivo増殖細胞もしくは細胞株集団を前記の割合で減少させる。
【0032】
具体的な態様において、本明細書に記載されるように、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、当技術分野で周知の方法により評価したとき、対象への化合物1の投与前の増殖または対象のin vitroもしくはin vivo増殖細胞もしくは細胞株集団と比較して、増殖を約5%~約20%、10%~30%、15%~40%、15%~50%、20%~30%、20%~40%、20%~50%、30%~60%、30%~70%、30%~80%、30%~90%、30%~95%、30%~99%もしくは約40%~約100%またはその間の任意の範囲で阻害するか、または対象のin vitroもしくはin vivo増殖細胞もしくは細胞株集団を前記の範囲で減少させる。
様々な態様において、本明細書に記載されるように、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、当技術分野で周知の方法、例えば、ELISAにより評価したとき、増殖を阻害するか、または対象のin vitroもしくはin vivo増殖細胞もしくは細胞株集団を減少させる。
一態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、本明細書に記載されるように、増殖を阻害するか、または対象のin vitroもしくはin vivo増殖細胞もしくは細胞株集団を減少させるのに有効な量の化合物1を、別の療法(例えば、化合物1を含まないか、または異なる抗増殖剤を含む、1つまたは複数の追加療法)と組み合わせてそれを必要とする対象に投与することを含む。
このような方法は、追加療法の投与前、投与と同時、または投与後に化合物1を投与することを含み得る。ある種の態様において、このような方法は、相加効果または相乗効果を有する。
【0033】
具体的な態様において、有効量の化合物1および有効量の別の療法をそれを必要とする対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法が本明細書に提供される。
本明細書に記載される一態様は、本明細書に提供される方法に従って予防、治療または改善できる血液癌を含み、血液癌としては肉腫が挙げられるが、これに限定されない。
一態様において、(a)1回または複数回用量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物をそれを必要とする対象に投与する工程と、(b)工程(a)の前および/またはその後に特定のバイオマーカーの濃度を監視する工程とを含む、肉腫を予防、治療または改善する方法が本明細書に提供される。
【0034】
具体的な態様において、監視工程(b)は、一定数の用量(例えば、1、2、4、6、8、10、12、14、15もしくは29用量またはそれ以上の用量;2~4、2~8、2~20または、2~30用量)または一定期間(例えば、1、2、3、4、5、6もしくは7日間;または1、2、3、4、5、10、15、20、30、40、45、48もしくは50週間)の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の投与前および/または投与後に行われる。
具体的な態様において、これらの監視パラメーターのうちの1つまたは複数は、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与する前に検出される。
具体的な態様において、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の投与後のin vitroまたはin vivo増殖細胞または細胞株集団の増殖の低下は、一連の治療が肉腫を予防、治療または改善するのに有効であることを示す。
具体的な態様において、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の投与後のin vitroまたはin vivo増殖細胞または細胞株集団の増殖における変化は、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の投与の投薬量、頻度および/または期間が調整(例えば、増加、減少または維持)され得ることを示し得る。
具体的な態様において、対象の生体試料における特定のバイオマーカーの濃度は、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の対象への投与を含む肉腫の一連の治療前、治療中および/または治療後監視される。
【0035】
化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の投与の投薬量、頻度および/または期間は、in vitroまたはin vivo増殖細胞または細胞株集団の増殖の結果によって変更され得る。代替的には、これらの監視パラメーター(例えば、特定のバイオマーカーの濃度)の変化は、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の投与を含む一連の治療が、肉腫を予防、治療または改善するのに有効であることを示し得る。
対象における特定のバイオマーカーの濃度は、当業者に公知の任意の技術により検出され得る。ある種の態様において、対象の特定のバイオマーカーの濃度を検出する方法は、生体試料(例えば、組織または体液試料)を対象から得、特定の種類の処理(例えば、遠心分離)が施された生体試料(例えば、血漿、血清、尿または任意の他の生体液)におけるバイオマーカーの濃度を検出すること、および免疫学的技術、例えば、ELISAの使用による検出を含む。
【0036】
具体的な態様において、本明細書に記載されるELISAアッセイは、特定の種類の処理(例えば、遠心分離)が施された生体試料(例えば、血漿、血清、尿または任意の他の生体液)におけるバイオマーカーの濃度を検出するために用いられ得る。生体試料におけるバイオマーカーの濃度を検出するために用いられ得る当技術分野で公知の他の技術としては、多重アッセイまたはプロテオミクスアッセイが挙げられる。
具体的な態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、肉腫に関連する1つ、2つまたはそれ以上の症状を軽減または管理する。肉腫の1つ、2つまたはそれ以上の症状の軽減または管理は、肉腫を予防、治療または改善するための化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の有効性の臨床エンドポイントとして用いられ得る。いくつかの態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、肉腫に関連する1つまたは複数の症状の持続時間および/または重症度を低減する。いくつかの態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、肉腫に関連する1つまたは複数の症状の発症、進行および/または再発を阻害する。いくつかの態様において、本明細書に提供される肉腫を治療する方法は、肉腫に関連する症状の数を減少させる。
【0037】
ある種の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、細胞周期のG1/S期またはG1/S後期(すなわち、後期チェックポイント(休薬または前DNA合成期)から初期DNA合成期までの期間)を延長または遅延させる。他の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、細胞周期のS期またはG2/M期(DNA合成期から初期分裂期までの期間)を延長または遅延させる。
いくつかの態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、肉腫および/またはその1つもしくは複数の症状の重症度を低減、改善または軽減する。他の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、肉腫と診断された対象の入院(例えば、入院頻度または入院の持続期間)を減少させる。
ある種の態様において、本明細書に提供される方法は、肉腫と診断された対象の生存を増加させる。具体的な態様において、本明細書に提供される方法は、肉腫と診断された対象の生存を約6カ月以上、約7カ月以上、約8カ月以上、約9カ月以上または約12カ月以上増加させる。
特定の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、肉腫、またはこれに関連する1つもしくは複数の症状の進行を阻害または低減する。具体的な態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、別の療法(例えば、抗癌剤、放射線、化学療法などの薬物療法、抗アンドロゲン療法または手術)の治療効果を向上または改善する。ある種の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、補助療法としての化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の使用を含む。
【0038】
特定の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、肉腫と診断された対象の死亡率を低下させる。ある種の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、寛解状態の対象の数を増加させるか、または入院率を低下させる。他の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、肉腫に関連する1つまたは複数の症状の発生、発症または進行を予防する。
特定の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、肉腫対象の無症状生存を増加させる。いくつかの態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、対象における肉腫を治癒するのではなく、疾患の進行または悪化を予防する。いくつかの態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、対象の生活の質を改善する。
ある種の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、癌と診断された対象の無癌生存率を増加させる。いくつかの態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、無再発生存を増加させる。ある種の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、寛解状態の対象の数を増加させる。他の態様において、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法は、対象の寛解期間を延長する。
【0039】
治療集団
一態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、肉腫を有するか、または肉腫と診断されたヒトである。別の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、肉腫に罹患しやすいか、またはその影響を受けやすいヒトである。別の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、肉腫を発生するリスクがあるヒトである。別の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、対象に肉腫を発生するリスクまたは素因を与える、遺伝的変異または体細胞変異を有するヒトである。
一態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、ヒト乳児である。別の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、ヒト幼児である。別の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、ヒト小児である。別の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、ヒト成人である。別の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、中年のヒトである。別の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、高齢のヒトである。
【0040】
ある種の態様において、本明細書に提供される方法に従って癌の治療を受ける対象は、身体の他の部分、例えば、骨、肺および肝臓に転移した肉腫を有する。ある種の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、肉腫からの寛解状態にある。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、肉腫の再発を有していた。ある種の態様において、本明細書に提供される方法に従って治療を受ける対象は、肉腫に関連する1つまたは複数の症状の再発を経験している。
ある種の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、i)約1~約5歳の範囲の年齢のヒト幼児;ii)約5~約10歳または約10~約18歳の範囲の年齢のヒト小児;ii)約18~約30歳または約25~約35歳または約35~約45歳の範囲の年齢のヒト成人;ii)約40~約55歳または約50~約65歳の範囲の年齢の中年のヒト成人;ii)約60~約75歳の範囲の年齢のヒト成人;ii)約70~約85歳、約80~約90歳、約90~約95歳もしくは約95~約100歳、またはその間の任意の年齢のヒト幼児である。
【0041】
具体的な態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、18歳以上のヒトである。特定の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、1歳~18歳の年齢のヒト小児である。ある種の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、12歳~18歳の年齢のヒトである。ある種の態様において、対象は男性のヒトである。別の態様において、対象は女性のヒトである。一態様において、対象は妊娠していないか、または授乳していない女性のヒトである。一態様において、対象は、妊娠しているか、もしくは妊娠する予定である/可能性があるか、または授乳している女性である。
本明細書で使用する用語「ヒト乳児」は、新生児から1歳までのヒトを指す。
本明細書で使用する用語「ヒト幼児」は、1歳~5歳のヒトを指す。
本明細書で使用する用語「ヒト小児」は、5歳~18歳のヒトを指す。
本明細書で使用する用語「ヒト成人」は、18歳以上のヒトを指す。
本明細書で使用する用語「中年のヒト」は、40歳~65歳のヒトを指す。
【0042】
本明細書で使用する用語「高齢のヒト」は、65歳以上のヒトを指す。
特定の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、免疫無防備状態または免疫抑制状態にあるヒトである。ある種の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、免疫抑制療法を受けているか、またはそれから回復しているヒトである。ある種の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、肉腫を有するか、またはそれに罹患するリスクがあるヒトである。ある種の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、手術、化学療法などの薬物療法、ホルモン療法および/または放射線療法を受けているか、これらを受ける予定であるかまたはこれらを受けたヒトである。
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象には、化合物1以外の療法に対する何らかの有害な作用またはそれに対する不耐性が発生する前に、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物、あるいは組み合わせ療法が投与される。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、不応性である対象である。ある種の態様において、不応性である対象は、標準的療法(例えば、手術、放射線および/または化学療法などの薬物療法)に不応性である対象である。ある種の態様において、肉腫が有意に根絶されなかった場合、および/または1つもしくは複数の症状が有意に軽減されなかった場合、肉腫を有する対象は療法に不応性である。対象が不応性であるかどうかの決定は、このような文脈において「不応性」に関して当技術分野で認められる意味を用いて、肉腫の治療の有効性をアッセイする当技術分野で公知の任意の方法により、in vivoまたはin vitroのいずれかで行われ得る。
【0043】
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物での治療以外の療法に対して不応性であることが証明されたが、もはやこれらの療法を受けていないヒトである。ある種の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、1つまたは複数の従来の抗癌療法、例えば、手術、化学療法などの薬物療法、抗アンドロゲン療法または放射線をすでに受けているヒトである。とりわけ対象は不応性である対象、従来の療法には若すぎる対象、既存の療法での治療にもかかわらず肉腫が再発した対象である。
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、従来の療法に対する有害反応の影響を受けやすいヒトである。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の投与前に、化学療法などの薬物療法、手術、抗アンドロゲン療法または放射線療法などの療法を受けていないヒトである。他の態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の投与前に療法を受けたヒトである。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法に従って肉腫の治療を受ける対象は、前の療法に対する有害な副作用を経験したヒト、または前の療法が、ヒトに対する許容できないレベルの毒性により中断されたヒトである。
【0044】
投薬量および投与
化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物は、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法に従って、有益な効果または治療効果をもたらす量で、様々な経路によりそれを必要とする対象に投与され得る。化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物は、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法に従ってそれを必要とする対象に経口投与され得る。化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の経口投与は、このような治療を必要とする対象が、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の接種のレジメンに従うことを容易にし得る。したがって、具体的な態様において、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物は、それを必要とする対象に経口投与される。別の態様において、本明細書に提供される化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物は、食物または水を伴わず、またはそれを伴って経口投与され得る。
【0045】
他の投与経路としては、静脈内、皮内、髄腔内、筋肉内、皮下、鼻腔内、吸入、経皮、局所、経粘膜、頭蓋内、硬膜外および関節滑液嚢内が挙げられるが、これらに限定されない。一態様において、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物は、それを必要とする対象に全身(例えば、非経口)投与される。一態様において、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物は、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物が、血液脳関門を横断することを可能にする経路(例えば、経口)を介して投与される。
化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物、および1つまたは複数の追加療法は、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を1つまたは複数の追加療法と組み合わせて投与することを含む、本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法に従って、同じ投与経路または異なる投与経路で投与され得る。
【0046】
本明細書に提供される肉腫を予防、治療または改善する方法に従って、それを必要とする対象に投与される、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の投与の投薬量および頻度は、何らかの副作用を最小限に抑えながら効果がある。化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の投与の正確な投薬量および頻度は、治療を必要とする対象に関連する因子を考慮して、実務者により決定され得る。
考慮され得る因子としては、疾患状態の重症度、対象の全般的な健康、対象の年齢、体重および性別、食事、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ、反応感度および療法に対する耐性/応答が挙げられる。化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の投与の投薬量および頻度は、化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物の有効量を提供するため、または所望の効果を維持するために、経時的に調整され得る。
本明細書に記載されるように、本明細書に提供されるそれを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含む。
【0047】
別の態様において、用語「有効量」は、単剤療法として患者に投与される化合物1の量を指し、この有効量は、約40~約200Kgの範囲の体重を有する患者または対象に対して単一、分割または連続用量で約0.001mg/Kg/日~約500mg/Kg/日または約0.01mg/Kg/日~約500mg/Kg/日または約0.1mg/Kg/日~約500mg/Kg/日または約1.0mg/Kg/日~約500mg/Kg/日の範囲である(この用量は、この範囲を上回るまたは下回る患者または対象、特に40Kg未満の小児に対して調整され得る)。投与は、1キログラムあたりの用量、1平方メートルあたりの用量または質量単位(例えば、ミリグラム、グラム)で表されるフラット用量として投与されてもよい。
別の態様において、有効量は、対象の応答に応じて増加または減少され得る、対象に投与される用量である。対象の有効量はまた、対象の体重、サイズおよび健康を含む様々な因子に依存する。典型的な成人対象は、約60~約100Kgの範囲の体重中央値を有すると予想される。したがって、所与の患者の有効量は、臨床医の技能および判断に従って決定され得る。
【0048】
一態様において、単剤療法の1日用量は、対象または患者の体重に基づき調整され得、化合物1は、約0.02、0.025、0.03、0.05、0.06、0.075、0.08、0.09、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.75、0.80、0.90、1.0、1.10、1.20、1.25、1.50、1.75、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、10、20、50、75または100mg/Kg/日またはその間の任意の範囲で単剤療法として送達するために製剤化され得る。
別の態様において、1日用量は、対象または患者の体重に基づき調整され得、単一、分割または連続用量として投与され得る。
別の態様において、化合物1の1日用量は、1日1回、2回、3回またはそれ以上など、1日1回以上投与され得る。
別の態様において、化合物1の用量は、週1回、2回、3回またはそれ以上など、週1回以上投与され得る。
別の態様において、有効量は、対象に週2回異なる日に投与される用量であり得、ある週の2回目の用量は1回目の3日目までに続き、翌週の1回目の用量は前週の2回目の用量の4日目までに続く。別の実施形態において、対象には、1回または複数回用量の有効量の化合物1が投与され得、有効量は、各用量によって異なり得る。
【0049】
一態様において、化合物1の有効量は、約0.001mg/Kg/日~約500mg/Kg/日の範囲であり得る。本明細書に記載される範囲内で、薬物の製造において、またはそれを必要とする対象における肉腫を治療する方法において使用するための化合物1の「有効量」は、毎日投与される約0.1ng~約3500mg、毎日投与される約0.1μg~約3500mg、毎日投与される約0.1mg~約3500mg、毎日投与される約1mg~約3500mg、毎日投与される約1mg~約3000mg、毎日投与される約0.05mg~約1500mg、毎日投与される約0.5mg~約1500mg、毎日投与される約1mg~約1500mg、毎日投与される約5mg~約1500mg、毎日投与される約10mg~約600mg、毎日投与される約0.5mg~約2000mgの範囲の量または毎日投与される約5.0mg~約1500mgの範囲の量を含むことが意図される。
別の態様において、化合物1の有効量は約0.1ng~約3500mgの範囲内である。
一態様において、化合物1の有効量は、最初に細胞培養アッセイから、あるいはヒトまたは関連する動物モデル、例えばマウス、チンパンジー、マーモセットもしくはタマリン動物モデルの結果により推定できる。関連する動物モデルを使用して、適当な濃度範囲および投与経路を決定することもできる。治療効果および毒性は、細胞培養または実験動物における標準的な製薬手順により、例えばED50(集団の50%で治療上有効な用量)およびLD50(集団の50%で死に至る用量)により求められ得る。毒性と治療効果の間の用量比は治療指数と称され、比LD50/ED50と表され得る。別の態様において、有効量は、大きい治療指数が達成されるような量である。別の態様において、投与される用量は、ほとんどまたは全く毒性なしにED50を含む血漿濃度の範囲内にある。投薬量は、使用した剤形、患者の感受性および投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。
【0050】
より具体的には、化合物1に関して観察された濃度-生物学的効果(薬力学)の関連性は、約0.001μg/mL~約50μg/mL、約0.01μg/mL~約20μg/mL、約0.05μg/mL~約10μg/mLまたは約0.1μg/mL~約5μg/mLの範囲の標的血漿濃度を示唆する。このような血漿濃度を達成するために、化合物1は、体重約40~約100kgの患者に対して単一、分割または連続用量で投与経路に応じて0.001μg~100,000mgで変動する用量で投与され得る(この用量は、この体重範囲を上回るまたは下回る患者、特に40kg未満の小児に対して調整され得る)。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される、約50mg~約400mg、約100mg~約200mg、約125mg~約175mg、約100mg~約300mg、約100mg~約400mg、約150mg~約200mg、約150mg~約300mg、約150mg~約400mg、約200mg~約300mg、約225mg~約275mg、約225mg~約300mg、約275mg~約300mg、約200mg~約225mg、約200mg~約275mg、約200mg~約400mg、約250mg~約300mg、約250mg~約400mg、約250mg~約350mgなどの範囲の用量から選択される用量である。
【0051】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約50mg~約400mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約100mg~約200mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約125mg~約175mgの範囲の用量である。
【0052】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約125mg~約200mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約175mg~約200mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約100mg~約125mgの範囲の用量である。
【0053】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約100mg~約175mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約100mg~約300mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約100mg~約400mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約150mg~約200mgの範囲の用量である。
【0054】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約150mg~約300mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約150mg~約400mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約200mg~約300mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約225mg~約275mgの範囲の用量である。
【0055】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約225mg~約300mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約275mg~約300mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約200mg~約225mgの範囲の用量である。
【0056】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約200mg~約275mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約200mg~約400mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約250mg~約300mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約250mg~約400mgの範囲の用量である。
【0057】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約250mg~約350mgの範囲の用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される、約50mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mgおよび約450mgからなる群から選択される用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mgおよび約300mgからなる群から選択される用量である。
【0058】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される、約125mg、約150mg、約175mg、約225mg、約250mg、約275mgおよび約300mgからなる群から選択される用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約100mgの用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約125mgの用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約150mgの用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約175mgの用量である。
【0059】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約200mgの用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約225mgの用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約250mgの用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約275mgの用量である。
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、週2回経口投与される約300mgの用量である。
【0060】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、1平方メートルあたりのmg(mg/m2)で表される投薬量である。化合物1のmg/m2は、例えば、動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、イヌ、サルおよびヒト)の変換係数に1キログラムあたりのmg(mg/kg)の動物の用量を乗じて、ヒト用量相当のmg/m2の用量を得ることにより求められ得、以下のアロメトリック変換係数(アロメトリック変換がすべての薬物に対して等しいと想定する)が用いられ得る:例えば、マウス=3、ハムスター=4.1、ラット=6、モルモット=7.7(Freireich et al., Cancer Chemother. Rep. 50(4):219-244 (1966)に基づく)。ヒトの身長および体重を使用して、ヒトの体表面積をボイドの体表面積算出式を適用して算出することができる。
別の態様において、ヒトの平均体重は一般に70kgと考えられる。しかし、理想体重に基づく投与は、成人対象において現在推奨されている全体重に基づくレジメンより優れている場合がある。男性の推定理想体重(IBW)(kg)は、5フィート以上のインチごとに50kg+2.3kgと計算される。女性の推定理想体重(IBW)(kg)は、5フィート以上のインチごとに45.5kg+2.3kgと計算される。
【0061】
アロメトリック変換係数の使用と対照的に、
図6A~Dはヒトにおける化合物1の投与の薬物動態を要約しており、マウスにおける遊離薬物と比較したヒトにおける遊離薬物に基づく化合物1の変換係数を導出して、有効標的AUCおよびC
maxを推定でき、このようにしてこれらの種間での遊離薬物における差異が考慮されることを示している。
以下の表A1に示すように、
図6Aは、様々な用量で測定されたヒト曝露量のAUCを示す。破線は、遊離薬物を考慮した、10mg/kgでのマウスにおける曝露量に基づく、少なくとも13,125時間ng/mLの最小推定標的AUCを示す。破線で示されるように、これにより、約2.0mg/kg(biw)以上の化合物1のヒト患者における推定用量が有効であると予測される。
以下の表A1に示すように、
図6Bは、様々な用量で測定されたヒト曝露量のC
maxを示す。破線は、遊離薬物を考慮した、10mg/kgでのマウスにおける曝露量に基づく、少なくとも688ng/mLの最小推定標的C
maxを示す。破線で示されるように、これにより、約1.4mg/kg(biw)以上の化合物1のヒト患者における推定用量が有効であると予測される。
【0062】
以下の表A1に示すように、
図6Cは、様々な用量で測定されたヒト曝露量のAUCを示す。破線は、遊離薬物を考慮した、12.5mg/kgでのマウスにおける曝露量に基づく、少なくとも15,625時間ng/mLの最小推定標的AUCを示す。破線で示されるように、これにより、約2.3mg/kg(biw)以上の化合物1のヒト患者における推定用量が有効であると予測される。
以下の表A1に示すように、
図6Dは、様々な用量で測定されたヒト曝露量のC
maxを示す。破線は、遊離薬物を考慮した、12.5mg/kgでのマウスにおける曝露量に基づく、少なくとも859ng/mLの最小推定標的C
maxを示す。破線で示されるように、これにより、約1.8mg/kg(biw)以上の化合物1のヒト患者における推定用量が有効であると予測される。
遊離薬物濃度はヒトにおいてはマウスと比較して異なり、比は8:5である。
【0063】
【0064】
以下の表A2に示すように、遊離薬物濃度を考慮しなかった場合、ヒトおよびマウスにおける全薬物の場合の推定標的AUCおよびC
maxは同じになる。
以下の表A2に示すように、本明細書で使用するマウスに週2回経口投与される10mg/kgの前臨床用量は、予想される治療効果のために標的濃度以上でAUCおよびC
maxを各々維持するために約3.2mg/kg~約2.3mg/kg biwの範囲の予測推定最小有効ヒト用量となる。
以下の表A2に示すように、本明細書で使用するマウスに週2回経口投与される12.5mg/kgの前臨床用量は、予想される治療効果のために標的濃度以上でAUCおよびC
maxを各々維持するために約4.2mg/kg~約3.2mg/kg biwの範囲の予測推定最小有効ヒト用量となる。
【表2】
70kgのヒト対象について、マウスにおける遊離薬物12.5mg/kgを標的とすることに基づき、ヒトにおいて単剤療法として使用するための化合物1の対応する最小有効量は、(AUCおよびC
max各々について)約2.3mg/kg~約1.8mg/kgの範囲の用量であり、週2回経口投与される約162mg~約124mgの量となる。
【0065】
70kgのヒト対象について、マウスにおける全薬物12.5mg/kgを標的とすることに基づき、ヒトにおいて単剤療法として使用するための化合物1の対応する最小有効量は、(AUCおよびCmax各々について)約4.2mg/kg~約3.2mg/kgの範囲の用量であり、週2回経口投与される約290mg~約226mgの量となる。
具体的な態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、約0.1mg/m2~約1000mg/m2の範囲またはその間の任意の範囲の量である。
一態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、肉腫を有する対象または予め確立された肉腫を有する動物モデルにおいて化合物1の標的平均血漿濃度を達成する投薬量である。
【0066】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、肉腫を有する対象または予め確立された肉腫を有する動物モデルにおいて、24時間での化合物1の平均最大血漿濃度(Cmax)を約0.1時間μg/mL~約1.0時間μg/mL、約0.2時間μg/mL~約1.0時間μg/mL、約0.3時間μg/mL~約1.0時間μg/mL、約0.4時間μg/mL~約1.0時間μg/mL、約0.5時間μg/mL~約1.0時間μg/mL、約0.6時間μg/mL~約1.0時間μg/mL、約0.7時間μg/mL~約1.0時間μg/mL、約0.8時間μg/mL~約1.0時間μg/mL、約0.9時間μg/mL~約1.0時間μg/mL、約3時間μg/mL~約70時間μg/mL、約3時間μg/mL~約60時間μg/mL、約3時間μg/mL~約50時間μg/mL、約3時間μg/mL~約40時間μg/mL、約3時間μg/mL~約30時間μg/mL、約3時間μg/mL~約20時間μg/mL、約3時間μg/mL~約10時間μg/mLなどの範囲で、またはその間の任意の範囲で達成する投薬量である。
【0067】
別の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、肉腫を有する対象または予め確立された肉腫を有する動物モデルにおいて、24時間での化合物1の平均血漿濃度を約0.1時間μg/mL、約0.2時間μg/mL、約0.3時間μg/mL、約0.4時間μg/mL、約0.5時間μg/mL、約0.6時間μg/mL、約0.7時間μg/mL、約0.8時間μg/mL、約0.9時間μg/mL、約1.0時間μg/mL、約1.1時間μg/mL、約1.2時間μg/mL、約1.3時間μg/mL、約1.4時間μg/mL、約1.5時間μg/mL、約1.6時間μg/mL、約1.7時間μg/mL、約1.8時間μg/mL、約1.9時間μg/mL、約2.0時間μg/mL、約2.1時間μg/mL、約2.2時間μg/mL、約2.3時間μg/mL、約2.4時間μg/mL、約2.5時間μg/mL、約2.6時間μg/mL、約2.7時間μg/mL、約2.8時間μg/mL、約2.9時間μg/mL、約3.0時間μg/mL、約10時間μg/mL、約20時間μg/mL、約30時間μg/mL、約40時間μg/mL、約50時間μg/mL、約60時間μg/mL、約70時間μg/mLなどの範囲で、またはその間の任意の範囲で達成する投薬量である。
このような血漿濃度を達成するために、化合物1またはその医薬組成物の本明細書に記載される用量が投与され得る。ある種の態様において、化合物1またはその医薬組成物のその後の用量は対象に投与された化合物1またはその医薬組成物の用量で達成された化合物1の平均血漿濃度に基づき相応に調整され得る。
具体的な態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、肉腫を有する対象または予め確立された肉腫を有する動物モデルにおいて、1つまたは複数のバイオマーカーの標的平均血漿濃度の低下を達成する投薬量である。
【0068】
特定の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、肉腫を有する対象または予め確立された肉腫を有する動物モデルにおいて、例えば、当技術分野で公知の任意の撮像技術により決定される化合物1またはその医薬組成物の所望の組織対平均血漿濃度比を達成する投薬量である。
いくつかの態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、有効量の化合物1またはその医薬組成物を対象に投与することを含み、そこで有効量は、各用量で同じであってもよく、または同じでなくてもよい。特定の態様において、化合物1またはその医薬組成物の第1の(すなわち、初期)用量は第1の期間にそれを必要とする対象に投与され、次いで、化合物1またはその医薬組成物の第2の(すなわち、負荷)用量が第2の期間に対象に投与され、その後、化合物1またはその医薬組成物の第3の(すなわち、維持)用量が第2の期間に対象に投与される。第1の用量は第2の用量より多くてもよく、または第1の用量は第2の用量より少なくてもよい。同様の方式において、化合物1またはその医薬組成物の第3の用量は、第2の用量より多くてもまたは少なくてもよく、第1の用量より多くてもまたは少なくてもよい。
【0069】
いくつかの態様において、本明細書に記載される投薬量は、投与される総量を指す;すなわち、1超の化合物が投与される場合、いくつかの態様において、投薬量は、投与される総量に対応する。具体的な態様において、経口組成物は、約5質量%~約95質量%の化合物1を含有する。
それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法に従って化合物1またはその医薬組成物がそれを必要とする対象に投与される期間は、無癌生存または症状からの解放により決定される期間である。ある種の態様において、本明細書に提供される肉腫を治療する方法は、化合物1またはその医薬組成物を、肉腫に関連する1つまたは複数の症状の重症度および/または数が減少するまでの期間投与することを含む。
いくつかの態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、化合物1またはその医薬組成物を最大48週間投与することを含む。他の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、化合物1またはその医薬組成物を最大4週間、8週間、12週間、16週間、20週間、24週間、26週間(0.5年間)、52週間(1年間)、78週間(1.5年間)、104週間(2年間)、または130週間(2.5年間)またはそれ以上投与することを含む。
【0070】
ある種の態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、化合物1またはその医薬組成物を無期限投与することを含む。いくつかの態様において、本明細書に提供される肉腫を治療する方法は、化合物1またはその医薬組成物を一定期間投与し、次いで、休薬期間(すなわち、化合物1またはその医薬組成物が投与されない期間)の後、化合物1またはその医薬組成物の投与が再開されることを含む。
具体的な態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、化合物1またはその医薬組成物を、1週間サイクル、2週間サイクル、3週間サイクル、4週間サイクル、5週間サイクル、6週間サイクル、8週間サイクル、9週間サイクル、10週間サイクル、11週間サイクルまたは12週間サイクルなどのサイクルで投与することを含む。このようなサイクルにおいて、化合物1またはその医薬組成物は、週1回または週2回投与され得る。毎週のサイクルの具体的な態様において、化合物1またはその医薬組成物は、週2回投与され得る。このような毎週のサイクルの具体的な態様において、化合物1またはその医薬組成物は1日1回投与され得る。
具体的な態様において、化合物1またはその医薬組成物の投与期間は、1つまたは複数の監視パラメーター、例えば、特定のバイオマーカーの濃度により指示され得る。
【0071】
特定の態様において、化合物1またはその医薬組成物の投与期間は、1つまたは複数の監視パラメーター、例えば、バイオマーカーの濃度に基づき調整され得る。
ある種の態様において、化合物1またはその医薬組成物は、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法に従って、それを必要とする対象に、食事(例えば、朝食、昼食または夕食)の前、食事と同時または食事の後に投与される。具体的な態様において、化合物1またはその医薬組成物は、本明細書に提供される肉腫を治療する方法に従って、それを必要とする対象に午前中(例えば、午前5時~午後12時)に投与される。
ある種の態様において、化合物1またはその医薬組成物は、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法に従って、それを必要とする対象に正午(すなわち、午後12時)に投与される。特定の態様において、化合物1またはその医薬組成物は、本明細書に提供される肉腫を治療する方法に従って、それを必要とする対象に午後(すなわち、午後12時~午後5時)、夕方(例えば、午後5時から就寝まで)、および/または就寝前に投与される。
具体的な態様において、化合物1またはその医薬組成物の一用量は、対象に1日1回および週2回投与される。
【0072】
組み合わせ療法
化合物1またはその医薬組成物を1つまたは複数の追加療法と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む、肉腫の治療のための組み合わせ療法が、本明細書に提供される。具体的な態様において、有効量の化合物1またはその医薬組成物を有効量の別の療法と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む、肉腫の治療のための組み合わせ療法が、本明細書に提供される。
本明細書で使用する用語「組み合わせ」は、化合物1またはその医薬組成物の投与の文脈において、肉腫の治療において使用するための1つまたは複数の追加療法(例えば、剤、手術または放射線)の投与前、投与と同時、または投与後に化合物1またはその医薬組成物を投与することを指す。用語「組み合わせ」の使用は、1つまたは複数の治療剤および1つまたは複数の追加療法が対象に投与される順番を制限しない。具体的な態様において、化合物1またはその医薬組成物の投与と1つまたは複数の追加療法の投与との間の時間間隔は、約1~5分間、1~30分間、30~60分間、1時間、1~2時間、2~6時間、2~12時間、12~24時間、1~2日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、15週間、20週間、26週間、52週間、11~15週間、15~20週間、20~30週間、30~40週間、40~50週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、12カ月間、1年間、2年間またはその間の任意の期間であり得る。ある種の態様において、化合物1またはその医薬組成物および1つまたは複数の追加療法は、1日未満、1週間未満、2週間未満、3週間未満、4週間未満、1カ月未満、2カ月未満、3カ月未満、6カ月未満、1年未満、2年未満または5年未満あけて投与される。
【0073】
いくつかの態様において、本明細書に提供される組み合わせ療法は、化合物1またはその医薬組成物を毎日投与する工程、および1つまたは複数の追加療法を週1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、月1回、2カ月に1回(例えば、約8週間)、3カ月に1回(例えば、約12週間)または4カ月に1回(例えば、約16週間)投与する工程を含む。ある種の態様において、化合物1またはその医薬組成物および1つまたは複数の追加療法は、対象に周期的に投与される。サイクリング療法は、化合物1またはその医薬組成物を一定期間投与し、次いで1つまたは複数の追加療法を一定期間投与し、この順次投与を繰り返すことを含む。ある種の態様において、サイクリング療法は、化合物1もしくはその医薬組成物または追加療法が、一定期間(例えば、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、10週間、20週間、1カ月間、2カ月間、3カ月間、4カ月間、5カ月間、6カ月間、7カ月間、8カ月間、9カ月間、10カ月間、11カ月間、12カ月間、2年間または3年間)投与されない休薬期間も含み得る。一態様において、投与サイクル数は1~12サイクル、2~10サイクルまたは2~8サイクルである。
【0074】
いくつかの態様において、それを必要とする対象における肉腫を予防、治療または改善する方法は、化合物1またはその医薬組成物を追加療法と組み合わせて投与する前に、化合物1またはその医薬組成物を単剤として一定期間投与することを含む。ある種の態様において、本明細書に提供される肉腫を治療する方法は、化合物1またはその医薬組成物を追加療法と組み合わせて投与する前に、追加療法を単独で一定期間投与することを含む。
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法に従った化合物1またはその医薬組成物および1つまたは複数の追加療法の投与は、化合物1もしくはその医薬組成物または前記1つもしくは複数の追加療法の単独での投与と比較して、相加効果を有する。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法に従った化合物1またはその医薬組成物および1つまたは複数の追加療法の投与は、化合物1もしくはその医薬組成物または前記1つもしくは複数の追加療法の単独での投与と比較して、相乗効果を有する。
本明細書で使用する用語「相乗」は、化合物1またはその医薬組成物を1つまたは複数の追加療法(例えば、剤)と組み合わせて投与する効果を指し、その組み合わせは、任意の2つ以上の単一療法(例えば、剤)の相加効果よりも有効である。
【0075】
具体的な態様において、組み合わせ療法の相乗効果は、化合物1もしくはその医薬組成物または追加療法のより低い投薬量(すなわち、最適以下の用量)の使用、ならびに/あるいは対象への化合物1もしくはその医薬組成物または追加療法のより低い頻度の投与を可能にする。
ある種の態様において、化合物1もしくはその医薬組成物または追加療法のより低い投薬量を利用するか、ならびに/あるいは化合物1もしくはその医薬組成物または前記追加療法をより低い頻度で投与する能力は、肉腫の治療において、化合物1もしくはその医薬組成物または前記追加療法各々の有効性を低下させずに、対象に対する化合物1もしくはその医薬組成物または前記追加療法各々の投与に関連する毒性を低減する。
いくつかの態様において、相乗効果は、肉腫の治療において、化合物1またはその医薬組成物および各前記追加療法の有効性の改善をもたらす。いくつかの態様において、化合物1またはその医薬組成物と1つまたは複数の追加療法との組み合わせの相乗効果は、任意の単一療法の使用に関連する有害または望ましくない副作用を回避または低減する。
【0076】
化合物1またはその医薬組成物と1つまたは複数の追加療法との組み合わせは、同じ医薬組成物中で対象に投与され得る。代替的に、化合物1またはその医薬組成物および1つまたは複数の追加療法は、別個の医薬組成物中で対象に同時投与され得る。化合物1またはその医薬組成物および1つまたは複数の追加療法は、別個の医薬組成物中で対象に順次投与され得る。化合物1またはその医薬組成物および1つまたは複数の追加療法はまた、同じまたは異なる投与経路で対象に投与され得る。
本明細書に提供される組み合わせ療法は、化合物1またはその医薬組成物を、肉腫を治療するための従来のまたは公知の療法と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することを含む。肉腫またはこれに関連する状態の他の療法は、1つまたは複数の症状を制御または緩和することが目的とされる。したがって、いくつかの態様において、本明細書に提供される組み合わせ療法は、鎮痛剤、または肉腫に関連する1つもしくは複数の症状またはこれに関連する状態を緩和または制御することを目的とした他の療法を、それを必要とする対象に投与することを含む。
【0077】
一態様において、肉腫を治療するための化合物1またはその医薬組成物と組み合わせて用いられ得る抗癌剤の例としては、ホルモン剤(例えば、アロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)およびエストロゲン受容体アンタゴニスト)、化学療法剤(例えば、微小管分解ブロッカー、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤およびDNA架橋剤または損傷剤)、血管新生阻害剤(例えば、VEGFアンタゴニスト、受容体アンタゴニスト、インテグリンアンタゴニスト、血管標的剤(VTA)/血管破壊剤(VDA))、放射線療法および従来の手術が挙げられる。
別の態様において、肉腫を治療するための化合物1またはその医薬組成物と組み合わせて用いられ得るホルモン剤の非限定的な例としては、アロマターゼ阻害剤、SERMおよびエストロゲン受容体アンタゴニストが挙げられる。アロマターゼ阻害剤であるホルモン剤は、ステロイド系または非ステロイド系であり得る。非ステロイド系ホルモン剤の非限定的な例としては、レトロゾール、アナストロゾール、アミノグルテチミド、ファドロゾールおよびボロゾールが挙げられる。ステロイド系ホルモン剤の非限定的な例としては、アロマシン(エキセメスタン)、ホルメスタンおよびテストラクトンが挙げられる。SERMであるホルモン剤の非限定的な例としては、タモキシフェン(Nolvadex(登録商標)として商標が付され/市販されている)、アフィモキシフェン、アルゾキシフェン、バゼドキシフェン、クロミフェン、フェマレル、ラソホキシフェン、オルメロキシフェン、ラロキシフェンおよびトレミフェンが挙げられる。エストロゲン受容体アンタゴニストであるホルモン剤の非限定的な例としては、フルベストラントが挙げられる。他のホルモン剤としては、アビラテロンおよびロナプリサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
別の態様において、癌を治療するための化合物1またはその医薬組成物と組み合わせて用いられ得る化学療法剤の非限定的な例としては、微小管分解ブロッカー、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤およびDNA架橋剤または損傷剤が挙げられる。
別の態様において、微小管分解ブロッカーである化学療法剤としては、タキサン(例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)として商標が付され/市販されている)、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標)として商標が付され/市販されている)、nab-パクリタキセル(ABRAXANE(登録商標)として商標が付され/市販されている)、ラロタキセル、オルタタキセルおよびテセタキセル);エポチロン(例えば、イクサベピロン);およびビンカアルカロイド(例えば、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビンクリスチン(ONCOVIN(登録商標)として商標が付され/市販されている))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
別の態様において、代謝拮抗剤である化学療法剤としては、葉酸代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、アミノプテリン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド);プリン代謝拮抗剤(例えば、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ペントスタチン、チオグアニン);ピリミジン代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシル、カペシタビン(capcitabine)、ゲムシタビン(GEMZAR(登録商標)として商標が付され/市販されている)、シタラビン、デシタビン、フロクスウリジン、テガフール):およびデオキシリボヌクレオチド代謝拮抗剤(例えば、ヒドロキシ尿素)が挙げられるが、これらに限定されない。
別の態様において、トポイソメラーゼ阻害剤である化学療法剤としては、クラスI(カンプトテカ)トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポテカン(HYCAMTIN(登録商標)として商標が付され/市販されている)、イリノテカン、ルビテカンおよびベロテカン);クラスII(ポドフィルム)トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドまたはVP-16およびテニポシド);アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、エピルビシン、アクラルビシン、アムルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、バルルビシンおよびゾルビシン);およびアントラセンジオン(例えば、ミトキサントロンおよびピクサントロン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
別の態様において、DNA架橋剤(またはDNA損傷剤)である化学療法剤としては、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、メクロレタミン、イホスファミド(IFEX(登録商標)として商標が付され/市販されている)、トロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、プレドニムスチン、ベンダムスチン、ウラムスチン、エストラムスチン、カルムスチン(BiCNU(登録商標)として商標が付され/市販されている)、ロムスチン、セムスチン、フォテムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ストレプトゾシン、ブスルファン、マンノスルファン、トレオスルファン、カルボコン、N,N’,N’-トリエチレンチオホスホラミド、トリアジコン、トリエチレンメラミン);アルキル化様剤(例えば、カルボプラチン(PARAPLATIN(登録商標)として商標が付され/市販されている)、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン);非古典的DNA架橋剤(例えば、プロカルバジン、ダカルバジン(DTIC-DOME(登録商標)として商標が付され/市販されている)、テモゾロミド(TEMODAR(登録商標)として商標が付され/市販されている)、アルトレタミン、ミトブロニトール);および挿入剤(例えば、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシンおよびプリカマイシン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
別の態様において、肉腫を治療するための化合物1またはその医薬組成物と組み合わせて用いられ得る血管新生阻害剤の非限定的な例としては、VEGFアンタゴニスト、受容体アンタゴニスト、インテグリンアンタゴニスト(例えば、ビタキシン、シレンギチドおよびS247)、およびVTA/VDA(例えば、フォスブレタブリン)が挙げられる。VEGFアンタゴニストとしては、抗VEGF抗体(例えば、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)として商標が付され/市販されている)およびラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標)として商標が付され/市販されている))、VEGFトラップ(例えば、アフリベルセプト)、VEGFアンチセンスまたはsiRNAもしくはmiRNAおよびアプタマー(例えば、ペガプタニブ(MACUGEN(登録商標)として商標が付され/市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。受容体アンタゴニストである血管新生阻害剤としては、抗体(例えば、ラムシルマブ)、およびキナーゼ阻害剤(例えば、スニチニブ、ソラフェニブ、セジラニブ、パゾパニブ(panzopanib)、バンデタニブ、アキシチニブおよびAG-013958)、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。血管新生阻害剤の他の非限定的な例としては、ATN-224、酢酸アネコルタブ(RETAANE(登録商標)として商標が付され/市販されている)、微小管脱重合阻害剤、例えば、コンブレタスタチンA4プロドラッグ、およびタンパク質またはタンパク質断片、例えば、コラーゲン18(エンドスタチン)が挙げられる。
【0082】
別の態様において、肉腫を治療するための化合物1またはその医薬組成物と組み合わせて対象に投与され得る他の療法の非限定的な例としては、以下が挙げられる:
(1)スタチン、例えば、ロバスタチン(例えば、MEVACOR(登録商標)として商標が付され/市販されている);
(2)mTOR阻害剤、例えば、ラパマイシン(例えば、RAPAMUNE(登録商標)として商標が付され/市販されている)としても公知であるシロリムス、テムシロリムス(例えば、TORISEL(登録商標)として商標が付され/市販されている)、エベロリムス(evorolimus)(例えば、AFINITOR(登録商標)として商標が付され/市販されている)およびデフォロリムス;
(3)ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、チピファルニブ(例えば、ZARNESTRA(登録商標)として商標が付され/市販されている);
(4)抗線維化剤、例えば、ピルフェニドン;
【0083】
(5)ペグ化インターフェロン、例えば、PEG-インターフェロンアルファ-2b;
(6)CNS刺激剤、例えば、メチルフェニデート(RITALIN(登録商標)として商標が付され/市販されている);
(7)HER-2アンタゴニスト、例えば、抗HER-2抗体(例えば、トラスツズマブ)およびキナーゼ阻害剤(例えば、ラパチニブ);
(8)IGF-1アンタゴニスト、例えば、抗IGF-1抗体(例えば、AVE1642およびIMC-A11)またはIGF-1キナーゼ阻害剤;
(9)EGFR/HER-1アンタゴニスト、例えば、抗EGFR抗体(例えば、セツキシマブ、パニツムマブ(panitumamab))またはEGFRキナーゼ阻害剤(例えば、エルロチニブ(例えば、TARCEVA(登録商標)として商標が付され/市販されている)、ゲフィチニブ);
(10)SRCアンタゴニスト、例えば、ボスチニブ;
(11)サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤、例えば、セリシクリブ;
(12)ヤヌスキナーゼ2阻害剤、例えば、レスタウルチニブ;
(13)プロテアソーム阻害剤、例えば、ボルテゾミブ;
(14)ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えば、アナグレリド;
(15)イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、例えば、チアゾフリン;
【0084】
(16)リポキシゲナーゼ阻害剤、例えば、マソプロコール;
(17)エンドセリンアンタゴニスト;
(18)レチノイド受容体アンタゴニスト、例えば、トレチノインまたはアリトレチノイン;
(19)免疫モジュレータ、例えば、レナリドミド、ポマリドミドまたはサリドマイド(例えば、THALIDOMID(登録商標)として商標が付され/市販されている);
(20)キナーゼ(例えば、チロシンキナーゼ)阻害剤、例えば、イマチニブ(例えば、GLEEVEC(登録商標)として商標が付され/市販されている)、ダサチニブ、エルロチニブ、ニロチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ(例えば、SUTENT(登録商標)として商標が付され/市販されている)、ラパチニブ、AEE788またはTG100801;
(21)非ステロイド系抗炎症剤、例えば、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標)として商標が付され/市販されている);
(22)ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、例えば、フィルグラスチム(NEUPOGEN(登録商標)として商標が付され/市販されている);
(23)フォリン酸またはロイコボリンカルシウム;
【0085】
(24)インテグリンアンタゴニスト、例えば、インテグリンα5β1-アンタゴニスト(例えば、JSM6427);
(25)核内因子カッパベータ(NF-κβ)アンタゴニスト、例えば、抗酸化剤でもあるOT-551;
(26)ヘッジホッグ阻害剤、例えば、CUR61414、シクロパミン、GDC-0449、または抗ヘッジホッグ抗体;
(27)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、例えば、SAHA(ボリノスタット(ZOLINZA(登録商標)として商標が付され/市販されている)としても公知である)PCI-24781、SB939、CHR-3996、CRA-024781、ITF2357、JNJ-26481585またはPCI-24781;
(28)レチノイド、例えば、イソトレチノイン(例えば、ACCUTANE(登録商標)として商標が付され/市販されている);
【0086】
(29)肝細胞増殖因子/散乱因子(HGF/SF)アンタゴニスト、例えば、HGF/SFモノクローナル抗体(例えば、AMG102);
(30)合成化学物質、例えば、アンチネオプラストン;
(31)抗糖尿病薬、例えば、マレイン酸ロシグリタゾン(例えば、AVANDIA(登録商標)として商標が付され/市販されている);
(32)抗マラリア薬および殺アメーバ薬、例えば、クロロキン(例えば、ARALEN(登録商標)として商標が付され/市販されている);
(33)合成ブラジキニン、例えば、RMP-7;
(34)血小板由来増殖因子受容体阻害剤、例えば、SU-101;
(35)FIk-1/KDR/VEGFR2、FGFR1およびPDGFRベータの受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、SU5416およびSU6668;
(36)抗炎症剤、例えば、スルファサラジン(例えば、AZULFIDINE(登録商標)として商標が付され/市販されている);ならびに
(37)TGF-ベータアンチセンス療法。
【0087】
別の態様において、肉腫を治療するための化合物1またはその医薬組成物と組み合わせて対象に投与され得る他の療法の非限定的な例としては、天然に存在するゴナドトロピン放出ホルモンの合成ノナペプチド類似体、例えば、酢酸ロイプロリド(LUPRON(登録商標)として商標が付され/市販されている);非ステロイド系抗アンドロゲン、例えば、フルタミド(ELUEXIN(登録商標)として商標が付され/市販されている)またはニルタミド(NILANDRON(登録商標)として商標が付され/市販されている);非ステロイド系アンドロゲン受容体阻害剤、例えば、ビカルタミド(CASODEX(登録商標)として商標が付され/市販されている);ステロイド系ホルモン、例えば、プロゲステロン;抗真菌剤、例えば、ケトコナゾール(NIZORAL(登録商標)として商標が付され/市販されている);グルココルチコイド、例えば、プレドニゾン;リン酸エストラムスチンナトリウム(EMCYT(登録商標)として商標が付され/市販されている);ならびにビスホスホネート、例えば、パミドロネート、アレンドロネートおよびリセドロネートが挙げられる。
別の態様において、肉腫を治療するための化合物1またはその医薬組成物と組み合わせて用いられ得る療法のさらなる具体例としては、癌免疫療法に関連する剤(例えば、サイトカイン、インターロイキンおよび癌ワクチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
一態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで化学療法剤は、DTIC-DOME(登録商標)(ダカルバジン)、TAXOTERE(登録商標)(ドセタキセル)、ADRIAMYCIN(登録商標)またはRUBEX(登録商標)(ドキソルビシン)、DOXIL(登録商標)(リポソームドキソルビシン)、ゲムシタビン、エピルビシン、イホスファミド、テモゾロミド、トラベクテジンおよびONCOVIN(登録商標)(ビンクリスチン)からなる群から選択される。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビン、エピルビシン、エリブリン、イホスファミド、テモゾロミド、トラベクテジンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
【0089】
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
ある種の態様において、化合物1またはその医薬組成物は、肉腫を治療するために、CYP2D6により主に代謝される薬物(例えば、抗うつ薬(例えば、非三環系抗うつ薬、選択的セロトニン再取り込み阻害剤など)、抗精神病薬、ベータアドレナリン受容体ブロッカーまたは特定の種類の抗不整脈薬)と組み合わせて用いられない。
別の態様において、肉腫を治療するための本明細書に提供される組み合わせ療法は、化合物1またはその医薬組成物を、副作用、例えば、出血(通常、一過性で軽度の鼻出血)、爪下出血、出血性膀胱炎(膀胱の出血および炎症)、動脈および静脈内血栓症、高血圧、創傷治癒の遅延、無症候性タンパク尿、鼻中隔穿孔、高血圧に関連する可逆性後白質脳症症候群、意識朦朧、運動失調、頭痛、嗄声、悪心、嘔吐、下痢、発疹、骨髄異形成症候群、骨髄抑制、疲労、甲状腺機能低下症、QT間隔延長または心不全を治療および/または管理するために用いられる少なくとも1種または複数の剤と組み合わせて投与することを含み得る。
【0090】
別の態様において、化合物1またはその医薬組成物との組み合わせ療法として用いられ得る、肉腫に関連する副作用を軽減する剤の例としては、制吐剤、例えば、塩酸オンダンセトロン(ZOFRAN(登録商標)として商標が付され/市販されている)、塩酸グラニセトロン(KYTRIL(登録商標)として標識が付され/市販されている)、ロラゼパム(ATIVAN(登録商標)として標識が付され/市販されている)およびデキサメタゾン(DECADRON(登録商標)として標識が付され/市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
別の態様において、化合物1またはその医薬組成物との組み合わせ療法として用いられ得る、肉腫化学療法剤に関連する副作用を軽減する剤の例としては、抗出血剤、例えばメスナ(Mesnex(登録商標)として標識が付され/市販されている)が挙げられるが、これらに限定されない。
別の態様において、肉腫の治療としては、手術または放射線療法を挙げることができる。
一態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビン、エピルビシン、エリブリン、イホスファミド、テモゾロミド、トラベクテジンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
【0091】
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1をダカルバジンおよびドキソルビシンと組み合わせて投与することを含み得、そこで組み合わせは、ダカルバジン250mg/m2/日IV連続注入5日間(800~1000mg/m2 IV 3週間に1回に相当する)およびドキソルビシン15mg/m2/日IV連続注入1~4日目で、tiw(3週間に1回)投与される。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1をドキソルビシン、イホスファミドおよびダカルバジンと組み合わせて投与することを含み得、そこで組み合わせは、ドキソルビシン20mg/m2/日IV連続注入3日間、イホスファミド2.5g/m2/日IV連続注入3日間、およびダカルバジン300mg/m2/日IV連続注入3日間で、tiw(3週間に1回)投与される。
【0092】
一態様において、有効量の化合物1および有効量の化学療法剤は、互いに組み合わせて投与される場合、被験レジメンおよび当技術分野で公知のレジメンと比較して、低減されるか、またはより低い頻度で投与される。
別の態様において、化学療法組み合わせ療法は、化合物1を少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて投与することを含み、そこで化学療法剤は、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシンおよびビンクリスチンからなる群から選択される。
キット
化合物1またはその医薬組成物が充填された1つまたは複数の容器を含む医薬パックまたはキットが本明細書に提供される。さらに、肉腫の治療に有用な1つもしくは複数の他の療法、または他の適切な剤も、医薬パックまたはキットに含まれ得る。本明細書に記載される医薬組成物の成分のうちの1つまたは複数が充填された1つまたは複数の容器を含む医薬パックまたはキットも本明細書に提供される。医薬品または生物由来物質の製造、使用または販売を規制する政府機関が定めた形式の通知がこのようなキットに関連してもよく、この通知は、ヒト投与のための製造、使用または販売に関する機関による承認を反映する。
【0093】
生物学的実施例
包括的な一連のin vitroおよびin vivoモデルを用いて肉腫の増殖に影響を与える有用性について、化合物1を試験した。
背景
平滑筋肉腫は、軟部組織肉腫の5~10%を占める。典型的には、平滑筋肉腫は、複雑な核型を有し、p53変異に関連する(Yang J, Du X, Chen K, Ylipaa A, Lazar AJ, Trent J, Lev D, Pollock R, Hao X, Hunt K, Zhang W. Genetic aberrations in soft tissue soft tissue leiomyosarcome. Cancer Lett. 2009 Mar 8;275(1):1-8)。細胞株SK-LMS-1は、複雑な核型および変異p53遺伝子を有する。ドキソルビシンとイホスファミドとの組み合わせなどのドキソルビシンベースの薬物レジメンによる化学療法は標準治療である。しかし、これらのレジメンは通常、心毒性、耐性の急速な発達をもたらし、顕著な延命効果が得られない。SK-LMS-1モデルを利用する以前の研究では、化合物1(Cpd1)を、様々な用量/レジメンのドキソルビシンおよびゲムシタビンと組み合わせて一定の用量(12.5mg/kg biw)で試験した。Cpd1とゲムシタビンは、単剤療法としてのいずれかの剤よりも有効であった。ドキソルビシンは、単剤療法としてまたはCpd1との組み合わせで活性でなかった。以前の研究ではより侵襲性の腫瘍モデルが作製されたのに対し、ここでは、SK-LMS-1細胞を、in vivoでより長時間継代培養した。この研究は、SK-LMS-1ヒト平滑筋肉腫腫瘍を有するマウスの処置において、Cpd1単独ならびに化学療法剤ドキシルおよびDTICとの組み合わせでの有効性を試験した。
【0094】
(実施例1)
表1に示すように、化合物1とダカルバジン(DTIC)との組み合わせを、SK-LMS-1平滑筋肉腫マウスモデルで試験した。
図1Aおよび
図1Bにさらに示すように、化合物1(12.5mg/kg、PO、biw)と低用量DTIC(4mg/kg、IP、tiw)との組み合わせ、および化合物1(12.5mg/kg、PO、biw)と高用量DTIC(21mg/kg、IP、qd5)との組み合わせを試験し、化合物1単独、低用量DTIC単独、高用量DTIC単独およびビヒクルの投与の結果と比較した。そこで、biwは週2回の用量投与を表し、tiwは週3回の用量投与を表し、qd5は5日間毎日の用量投与を表し、IPは腹腔内投与を表し、IVは静脈内投与を表し、POは経口投与(経口経管栄養投与)を表す。各図に示すように、組み合わせは、平均腫瘍体積の相乗的低下をもたらす。
図1Aと
図1Bとの比較は、化合物1(12.5mg/kg、PO、biw)とDTIC(21mg/kg、IP、qd5)との組み合わせ(
図1Bを参照のこと)での処置と比較して、化合物(12.5mg/kg、PO、biw)およびDTIC(4mg/kg、IP、tiw)との組み合わせ(
図1Aを参照のこと)での処置後の平均腫瘍体積における用量応答低下を示す。表1はさらに、各処置群の被験マウス(N)について、28日目の腫瘍体積の低下パーセント(%)、個々のマウスの腫瘍体積が1000mm
3に達するまでの時間の中央値(日数)およびそれぞれの対応する相互作用係数(IC)を示す。そこで
*はp<0.05(ANOVA、多重比較対ビヒクル)を表す。マイナスの係数は、単剤療法の活性に基づいて予想されたものを上回る組み合わせ群における阻害を示す。係数のマイナス値が大きいほど、組み合わせの活性は高くなる。
【0095】
【0096】
投与開始時、腫瘍体積は約222mm
3であった。
図1Aおよび1B、3Aおよび3Bに示すように、ビヒクルのみを投与したマウスの腫瘍は、28日目までに1766mm
3の平均体積に達した。28日目、ビヒクルを投与したマウスのほとんどを、腫瘍が大きいため安楽死させた(7/8;1匹のマウスでは腫瘍が増殖しなかった)。ビヒクルを投与したマウスにおいて平均腫瘍体積が1000mm
3に達する時間は19日であった。Cpd1で処置したマウスにおいて、腫瘍増殖はわずかに遅延し、28日目で1388mm
3および32日目で1607mm
3の平均体積に達し、32日目の時点で群内のマウスすべてが、大きな腫瘍を有しており、安楽死させた。測定された効果が予測された効果を上回るかどうかについて評価する相互作用係数を、組み合わせごとに表1に要約する。0日目~28日目の腫瘍体積対日数曲線のAUCを用いて、相互作用係数を求めた。28日目以降のデータを考慮するため、相互作用係数を、1000mm
3に達するまでの時間の中央値に対して計算した。マイナスの相互作用係数は相乗作用を示す。
【0097】
実施例1の結果
Cpd1(12.5mg/kg、biw)は、単剤療法として腫瘍増殖をわずかに遅延させた。DTIC(21mg/kg、IP、qd5)は、高用量で単剤療法としてCpd1よりも有効であり、腫瘍増殖を遅延させた。DTIC(4mg/kg、IP、tiw)は、低用量で単剤療法として有効性をほとんど示さなかった。
Cpd1と低用量のDTICとの組み合わせは、Cpd1単独または低用量のDTIC単独よりも有効であった。これは、DTICが、低用量で単剤療法として有効性をほとんど示さなかったため予想外であった。Cpd1と高用量のDTICとの組み合わせは、Cpd1単独または高用量のDTIC単独よりも有効であった。
【0098】
図1Aは、ビヒクル、Cpd1、DTIC(4mg/kg IP tiw)またはCpd1とDTIC(4mg/kg IP tiw)との組み合わせについての経時的な平均腫瘍体積を示す。DTICは、4mg/kg IP tiwの用量/レジメンで活性を示さなかった。驚くべきことに、Cpd1とDTICとの組み合わせは、いずれかの剤単独よりもはるかに有効であった。3匹のマウスが136日目まで試験に残り、2匹のマウスが150日目まで試験に残り、150日目の時点でこれらを試験から外した。150日目、2つの腫瘍のうちの1つは、測定できないほど小さかった。
【0099】
図2Bはビヒクル、Cpd1単独、DTIC単独(4mg/kg IP tiw)およびDTIC単独(21mg/kg IP qd5)またはCpd1とDTIC(4mg/kg IP tiw)もしくはCpd1とDTIC(21mg/kg IP qd5)との組み合わせについての経時的な平均腫瘍体積を示す。DTICのこの用量およびレジメンを使用すると、DTICはCpd1よりも有効であり、18日目までは腫瘍増殖を完全に抑えたが、21日目以降、急速に増殖する腫瘍は脱出した。DTIC(21mg/kg IP qd5)と組み合わせたCpd1の有効性は、いずれかの剤単独よりもはるかに高く、98日目の時点で腫瘍増殖をほぼ完全に阻害した。98日目以降、もはやCpd1をマウスに投与しなかった。98日目からマウスを試験から外した150日目までに、試験に残った8匹のマウスにおいて3匹の腫瘍は大きくなったが、5匹の腫瘍は大きくならなかった。大きい腫瘍を有する1匹のマウスを123日目に試験から外した。165日目に、残りの7匹のマウスを試験から外すと、5匹のマウスは、測定できないほど小さい腫瘍を有しており、他の2匹のマウスは、蝕知可能だが100mm
3より小さい腫瘍を有していた。
両方の用量について、Cpd1とDTICとの組み合わせの効果は、いずれかの療法単独より高かった(相互作用係数はマイナスであった;表1)。4mg/kg tiwよりも21mg/kg qd5の用量を使用すると、より大きな相加性が観察された。
【0100】
(実施例2)
表2に示すように、化合物1とドセタキセルとの組み合わせをSK-UT-1平滑筋肉腫マウスモデルで試験した。
図2Aおよび
図2Bにさらに示すように、化合物1(12.5mg/kg PO biw)と低用量ドセタキセル(5mg/kg IP biw5.5を合計11用量)との組み合わせおよび化合物1(12.5mg/kg PO biw)と高用量ドセタキセル(15mg/kg IP qw6)(合計6用量)との組み合わせを試験し、化合物1単独、低用量ドセタキセル単独、高用量ドセタキセル単独およびビヒクルの投与の結果と比較した。そこで、biwは週2回の用量投与を表し、qw6は週1回6週間の用量投与を表し、IPは腹腔内投与を表し、POは経口投与(経口経管栄養投与)を表す。各図に示すように、組み合わせは平均腫瘍体積の相乗的低下をもたらした。
図2Aと
図2Bとの比較は、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とドセタキセル(15mg/kg IP qw6)との組み合わせ(
図2Bを参照のこと)での処置と比較して、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とドセタキセル(5mg/kg IP biwを合計11用量)との組み合わせ(
図2Aを参照のこと)での処置後の平均腫瘍増殖の用量依存的抑制を示す。表2は、各処置群の被験マウス(N)について、28日目の腫瘍体積の低下パーセント(%)、個々のマウスの腫瘍体積が1000mm
3に達するまでの時間の中央値(日数)およびそれぞれの対応する相互作用係数(IC)を示す。そこで
*はp<0.05(ANOVA、多重比較対ビヒクル)を表す。マイナスの係数は、単剤療法の活性に基づいて予想されたものを上回る組み合わせ群における阻害を示す。係数のマイナス値が大きいほど、組み合わせの活性は高くなる。
【0101】
【0102】
投与開始時、平均腫瘍体積は約163mm
3であった。
図2Aおよび2Bに示すように、ビヒクルのみを投与したマウス(群1)の腫瘍は、25日目に1520mm
3の平均体積に達した。25日目、ビヒクルを投与したマウスを、腫瘍が大きいため安楽死させた。ビヒクルを投与したマウスにおいて平均腫瘍体積が1000mm
3に達するまでの時間は18.5日であった。Cpd1で処置したマウス(群2)において、腫瘍増殖は遅延し、25日目に983mm
3(35%阻害対ビヒクル;p<0.05、共分散分析(ANOVA)、多重比較対ビヒクル)および42日目に1508mm
3の平均体積に達し、42日目の時点で、群のマウスすべてが大きな腫瘍を有しており、安楽死させた。ドセタキセルで処置したマウスにおいて、腫瘍増殖は15mg/kg腹腔内(IP)週1回6週間の用量(QW6;群5)では遅延したが、5mg/kg IP BIW×5.5(合計11用量;群3)では遅延しなかった。
【0103】
この試験は、胸腺欠損ヌードマウスの側腹部に移植されたSK-UT-1平滑筋肉腫腫瘍細胞を利用した。このモデルにおいて、Cpd1は12.5mg/kg BIW6の用量で単剤療法として有効性を示し、腫瘍増殖を25日目で約35%減少させ、腫瘍増殖が1000mm3に達するまでの時間の中央値を約1.7倍遅延させた。単剤療法として、高用量ドセタキセル(15mg/kg IP QW6)は、1486mm3の腫瘍サイズで、25日目に(マウスを試験から外した時点で)78%阻害を示し、共分散分析によるp<0.05(ANOVA、多重比較対ビヒクル)を有していた。低用量ドセタキセル(5mg/kg IP BIW5.5)は、単剤療法として有効性を示さなかったが、Cpd1と低用量ドセタキセルとの組み合わせは、腫瘍増殖を有意に遅延させた。25日目、Cpd1と低用量ドセタキセルとの組み合わせを投与したマウスの平均腫瘍サイズは、128mm3であり、92%阻害対ビヒクルを示し、84日目に1251mm3の腫瘍サイズでp<0.05(ANOVA、多重比較対ビヒクル)を有していた。Cpd1と高用量ドセタキセルとの組み合わせは、いずれかの剤単独よりも有効であった。25日目、組み合わせを投与したマウスの平均腫瘍サイズは77mm3であり、95%阻害対ビヒクル(p<0.05、ANOVA、多重比較対ビヒクル)を示した。145日目、8/10匹のマウスがまだ試験に残り、8匹すべてが、測定できないほど小さい腫瘍を有していた(<50mm3)。
【0104】
実施例2の結果
Cpd1は、12.5mg/kg BIW6で、単剤療法として腫瘍増殖をわずかに遅延させた。低用量ドセタキセルは、5mg/kg IP BIW5.5(11用量)で単剤療法として有効性を示さなかったが、高用量ドセタキセルは15mg/kg IP QW6でCpd1よりも有効であった。
低または高用量ドセタキセルいずれかとCpd1との組み合わせは、単剤療法としてのいずれかの薬物よりも有効であった。
【0105】
より高い罹患率/死亡率の比が、Cpd1とドセタキセルとの組み合わせで認められた。低用量ドセタキセル(5mg/kg IP BIW5.5)とCpd1との組み合わせでは、5/10匹のマウスを瀕死のため外したか、または腫瘍が1000mm
3に達する前に安楽死させた。高用量ドセタキセル(15mg/kg IP QW6)とCpd1との組み合わせでは、2/10匹のマウスを瀕死のため外したか、または腫瘍が1000mm
3に達する前に安楽死させた。
図2Aは、ビヒクル、Cpd1単独、低用量ドセタキセル単独(5mg/kg IP BIW5.5;週2回5週間半投与、合計11用量)およびCpd1と低用量ドセタキセルとの組み合わせについての経時的な平均腫瘍体積を示す。低用量ドセタキセル単独は、5mg/kg IP BIW5.5の用量で単剤療法として有効性を示さなかったが、Cpd1と低用量ドセタキセルとの組み合わせは、腫瘍増殖を著しく遅延させた。25日目、組み合わせを投与したマウスの平均腫瘍サイズは128mm
3、92%阻害対ビヒクル(p<0.05、ANOVA、多重比較対ビヒクル)、84日目に1251mm
3であった。
【0106】
図2Bは、ビヒクル、Cpd1、高用量ドセタキセル(15mg/kg IP QW6)またはCpd1と高用量ドセタキセルとの組み合わせについての経時的な平均腫瘍体積を示す。単剤療法として、高用量ドセタキセルは、1486mm
3の腫瘍については、25日目に78%阻害を示し、この時点でマウスを試験から外した(p<0.05、ANOVA、多重比較対ビヒクル)。Cpd1と高用量ドセタキセルとの組み合わせは、いずれかの療法単独よりも有効であった。25日目、組み合わせを投与したマウスの平均腫瘍サイズは77mm
3であり、95%阻害対ビヒクル(p<0.05、ANOVA、多重比較対ビヒクル)を示した。145日目、8/10匹のマウスがまだ試験に残り、8匹すべてが測定できないほど小さい腫瘍を有していた(<50mm
3)。
腫瘍増殖を比較するために、各個々のマウスについて腫瘍体積対日数を比較する曲線下面積を計算し、次いで群ごとに平均化した。
図1に示すように、単剤療法での処置と比較して、Cpd1とドセタキセルとの組み合わせで、より高い有効性が認められた。
測定された効果が予測された効果よりも高いかどうかを評価する相互作用係数を表2に示す。0日目~25日目の腫瘍体積対日数曲線のAUCを用いて、相互作用係数を求めた。25日目以降のデータを考慮するため、相互作用係数を、1000mm
3に達するまでの時間の中央値に対しても計算した。マイナスの相互作用係数は相乗作用を示す。
【0107】
(実施例3)
表3に示すように、化合物1とドキシルとの組み合わせを、SK-LMS-1平滑筋肉腫マウスモデルで試験した。
図3Aおよび
図3Bにさらに示すように、化合物1(12.5mg/kg、PO、biw)と低用量ドキシル(3mg/kg、IV、qw5)および高用量ドキシル(9mg/kg、IV、qw5)との組み合わせを試験し、化合物1単独、ドキシル単独およびビヒクルの投与の結果と比較した。ここでbiwは週2回の用量投与を表し、qw5は週1回5週間の用量投与を表し、IVは静脈内投与を表し、POは経口投与(経口経管栄養投与)を表す。各図に示すように、組み合わせは、平均腫瘍体積の相乗的低下をもたらした。
図3Aと
図3Bとの比較は、化合物1(12.5mg/kg、PO biw)と高用量ドキシル(9mg/kg IV qw5)との組み合わせ(
図3Bを参照のこと)での処置と比較して、化合物1(12.5mg/kg、PO biw)と低用量ドキシル(3mg/kg IV qw5)との組み合わせ(
図3Aを参照のこと)での処置後の平均腫瘍増殖の用量依存的抑制を示す。表1はさらに、各処置群の被験マウス(N)について、28日目の腫瘍体積の低下パーセント(%)、個々のマウスの腫瘍体積が1000mm
3に達するまでの時間の中央値(日数)およびそれぞれの対応する相互作用係数(IC)を示す。そこで
*はp<0.05(ANOVA、多重比較対ビヒクル)を表す。マイナスの係数は、単剤療法の活性に基づいて予想されたものを上回る組み合わせ群における阻害を示す。係数のマイナス値が大きいほど、組み合わせの活性は高くなる。
【0108】
【0109】
投与開始時、腫瘍体積は約222mm
3であった。
図3Aおよび3Bに示すように、ビヒクルのみを投与したマウスの腫瘍は、28日目までに1766mm
3の平均体積に達した。28日目、ビヒクルを投与したマウスのほとんどを、腫瘍が大きいため安楽死させた(7/8匹;1匹のマウスでは腫瘍は増殖しなかった)。ビヒクルを投与したマウスの平均腫瘍体積が1000mm
3に達するまでの時間は19日であった。Cpd1で処置したマウスにおいて、腫瘍増殖はわずかに遅延し、28日目に1388mm
3および32日目に1607mm
3の平均体積に達し、32日目の時点で群のマウスすべてが大きい腫瘍を有しており、安楽死させた。測定された効果が予測された効果より高いかどうかを評価する相互作用係数を、組み合わせごとに表3に要約する。0日目~28日目の腫瘍体積対日数曲線のAUCを用いて、相互作用係数を求めた。28日目以降のデータを考慮するため、相互作用係数を、1000mm
3に達するまでの時間の中央値に対して計算した。マイナスの相互作用係数は相乗作用を示す。
【0110】
実施例3の結果
Cpd1(12.5mg/kg、biw)は単剤療法として腫瘍増殖をわずかに遅延させた。低用量のドキシルと高用量のドキシルの両方が、単剤療法としてCpd1よりも有効であり、腫瘍増殖を遅延させた。しかし、高用量ドキシルのレジメンは忍容性が低かった。
Cpd1と低用量のドキシルとの組み合わせは、Cpd1単独または低用量のドキシル単独よりも有効であった。Cpd1と高用量のドキシルとの組み合わせはCpd1単独または高用量ドキシル単独のいずれよりも有効であった。しかし、Cpd1と高用量ドキシルとの組み合わせは、忍容性が低かった。
図3Aは、ビヒクル、Cpd1、ドキシル(3mg/kg IV qw5)またはCpd1とドキシル(3mg/kg IV qw5)との組み合わせについての経時的な平均腫瘍体積を示す。
図3Bは、ビヒクル、Cpd1単独、ドキシル単独(0、9、15、21および28日目に9mg/kg IV)またはCpd1とドキシル(9mg/kg IV)との組み合わせについての経時的な平均腫瘍体積を示す。ドキシルは、単剤療法としてCpd1よりも効果的にSK-LMS-1の増殖を遅延させ、9mg/kg IV(0、9、15、21および28日目)は3mg/kg IV qw5よりも有効であった。Cpd1は、単剤療法として限られた有効性しか示さなかったが、Cpd1は、両方のレジメンを用いてドキシルの有効性を高めた(相互作用係数は、相乗作用を示すマイナスであった)。
【0111】
(実施例4および結果)
化合物1とドキソルビシンとの組み合わせを、HT1080線維肉腫マウスモデルで試験した。
図4に示すように、化合物1(15mg/kg PO biw)とドキソルビシン(0.3mg/kg IP q2d)との組み合わせを試験すると、化合物1単独、ドキソルビシン単独およびビヒクルの投与の結果と比較して、平均腫瘍体積の相乗的低下をもたらした。そこでbiwは週2回の用量投与を表し、q2dは2日に1回の用量投与を表す。
(実施例5および結果)
進行性固形腫瘍(AST)癌を有する患者において化合物1を使用するための安全性およびPKプロファイルを評価するよう設計されたNCT02404480、第Ia相臨床試験におけるファーストライン療法として、化合物1を投与した。31人の評価可能な患者について
図5に示すように、2/31人の患者が、混合/部分奏功を有し、5/31人の患者は安定疾患を示した。
【0112】
(実施例6および結果)
図6に示すNCT02404480臨床試験からのPKプロファイル(AUC
LastおよびC
maxで測定した)は、13.1時間ng/mLの標的AUC
Lastおよび679ng/mLの標的C
maxに対して、2.6mg/kgの化合物1の有効量が第II相臨床試験用量に選択されたことを示す。
(実施例7および結果)
化合物1とビンクリスチンとの組み合わせをHT1080線維肉腫異種移植マウスモデルで試験した。
図7Aおよび7Bに示すように、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とビンクリスチン(0.1mg/kg IP tiw)との組み合わせを試験し、化合物1単独、ビンクリスチン単独およびビヒクルの投与の結果と比較した。そこでbiwは週2回の用量投与を表し、tiwは週3回の用量投与を表す。
図7Aと
図7Bとの比較は、各剤について、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とビンクリスチン(0.3mg/kg IP tiw)との組み合わせ(
図7Bを参照のこと)での処置と比較して、化合物1(12.5mg/kg PO biw)とビンクリスチン(0.1mg/kg IP tiw)との組み合わせ(
図7Aを参照のこと)での処置後の平均腫瘍増殖の用量依存的低下を示す。
【0113】
本明細書に示すように、化合物1は、少なくとも1種の標準治療化学療法剤と組み合わせて投与したとき、相乗的かつ相加的活性を示す、肉腫の治療のための標準治療化学療法剤との組み合わせ療法として、前臨床in vivo活性を示した。これらの結果は、肉腫の治療に対する化合物1と少なくとも1種の化学療法剤との組み合わせの潜在的な臨床治療的有用性を強く示す。
参照
本明細書において引用される文書が、参照により組み込まれるように具体的かつ個々に示されたかどうかにかかわらず、本明細書において参照されるすべての文書は、あたかも各々の個々の参照が、本明細書に十分に記載されていたかのように、あらゆる目的のために同じ程度で参照により本出願に組み込まれる。
次に、特許請求の範囲の主題が十分に記載され、前記が、本明細書に記載される主題の範囲または態様に影響を与えずに、広範囲の等価物内で実施され得ることが当業者により理解されるであろう。添付の特許請求の範囲は、すべてのこのような等価物を含むと解釈されることが意図される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕化合物1の構造を有する、有効量の5-フルオロ-2-(6-フルオロ-2-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-N
4
-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ピリミジン-4,6-ジアミン、またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における肉腫を治療する方法。
【化1】
化合物1
〔2〕有効量の化合物1またはその薬学的に許容される塩もしくは医薬組成物を有効量の少なくとも1種の化学療法剤と組み合わせて対象に投与することを含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕有効量が、週2回経口投与される、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mgおよび約300mgからなる群から選択される用量である、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕有効量が、週2回経口投与される、約125mg、約150mg、約175mg、約225mg、約250mg、約275mgおよび約300mgからなる群から選択される用量である、前記〔3〕に記載の方法。
〔5〕少なくとも1種の化学療法剤が、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ゲムシタビン、エピルビシン、エリブリン、イホスファミド、テモゾロミド、トラベクテジンおよびビンクリスチンからなる群から選択される、前記〔2〕に記載の方法。
〔6〕少なくとも1種の化学療法剤が、ダカルバジン、ドセタキセル、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシンおよびビンクリスチンからなる群から選択される、前記〔5〕に記載の方法。
〔7〕少なくとも1種の化学療法剤がダカルバジンである、前記〔6〕に記載の方法。
〔8〕少なくとも1種の化学療法剤がドセタキセルである、前記〔6〕に記載の方法。
〔9〕少なくとも1種の化学療法剤がドキソルビシンである、前記〔6〕に記載の方法。
〔10〕少なくとも1種の化学療法剤がリポソームドキソルビシンである、前記〔6〕に記載の方法。
〔11〕少なくとも1種の化学療法剤がビンクリスチンである、前記〔6〕に記載の方法。