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特許7602490クリーンルーム用途のためのラインガイドデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】クリーンルーム用途のためのラインガイドデバイス
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/16 20060101AFI20241211BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20241211BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
F16L3/16 D
F16L57/00 A
H02G11/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021570801
(86)(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2020064894
(87)【国際公開番号】W WO2020239938
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202019103068.2
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘルマイ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク バルテン
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-531141(JP,A)
【文献】特開平03-144193(JP,A)
【文献】実開昭53-110518(JP,U)
【文献】実開昭62-019459(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0260751(US,A1)
【文献】国際公開第2016/042134(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/16
F16L 57/00
H02G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンルーム用途におけるライン(10)のためのラインガイドデバイス(1)であって、
第1の接続ポイント(7)とそれに対して可動な第2の接続ポイント(5)との間で前後に変位可能であり、細長く柔軟なエンベロープ(11)を備え、
前記エンベロープ(11)は、接続領域が開放されたときのライン(10)の挿入又は除去のための少なくとも1つの取り外し可能及び再閉塞可能な接続領域(14A、14B)を有し、前記エンベロープ(11)は、閉塞された場合には、1本以上のラインを収納するための内部空間(15)を防塵的に包囲し、
前記エンベロープ(11)は、その、前記内部空間において動作上放出された粒子を保持する、及び/又は前記内部空間における粒子の動作上の放出に対抗する機能性材料(101;201;301;401)を有し該機能性材料が前記内部空間(15)における自由粒子数を減少させ、
前記機能性材料が、前記エンベロープの内部から及び/又はガイドされるラインから取外し可能となるように具現化された、ラインガイドデバイス(1)。
【請求項2】
前記機能性材料を含有し又はそれからなる機能性インサート、機能性インレー(100A、100B;200;400A~400C)、機能層又は機能性充填物(300)が、前記内部空間(15)に設けられた、請求項1に記載のラインガイドデバイス。
【請求項3】
前記機能性材料のコーティングが、前記エンベロープ(11)の内壁(11A)の少なくとも各適所に設けられた、請求項1に記載のラインガイドデバイス。
【請求項4】
粒子の吸引作用及び/又は接着作用を有する繊維構造物が、前記機能性インレーとして設けられた、請求項2に記載のラインガイドデバイス。
【請求項5】
ル、独立気泡フォーム及び/又は感圧接着剤が、前記エンベロープに少なくとも各適所に導入された、請求項2に記載のラインガイドデバイス。
【請求項6】
前記ゲル、前記フォーム又は前記感圧接着剤は、接着作用又は永久的粘着性を有する、請求項5に記載のラインガイドデバイス。
【請求項7】
粒子を減少させる機能性材料を有する機能層が、各適所に単に付与された、請求項5に記載のラインガイドデバイス。
【請求項8】
前記機能性材料が摩擦係数を減少させるトライボポリマーであり、前記機能性インレー(400A、400B、400C)が、該トライボポリマーのスライドフィルムとして具現化された、請求項2に記載のラインガイドデバイス。
【請求項9】
機能性インレー(200;400A~400C)として、少なくとも1つの細長いテープ状機能性インサート又は少なくとも1つの細長いテープ状機能性インレーが、前記内部空間(15)に配置された、請求項1から8のいずれか一項に記載のラインガイドデバイス。
【請求項10】
前記機能性材料(201;401)が、前記エンベロープの少なくとも大部分の長さにわたって前記内部空間に設けられた、請求項1から9のいずれか一項に記載のラインガイドデバイス。
【請求項11】
前記機能性材料(101)は、前記内部空間及び/又はガイドされるラインに面する少なくとも1つの機能面を形成する、請求項1から10のいずれか一項に記載のラインガイドデバイス。
【請求項12】
前記ラインがケーブルまたはホースである、請求項1から11のいずれか一項に記載のラインガイドデバイス。
【請求項13】
前記接続領域は、噛合い形材を有して長さ方向に連続的である2つの閉塞ストリップを有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のラインガイドデバイス。
【請求項14】
前記エンベロープ(11)が、連続的な前記内部空間(15)を区切るプラスチック材料の2つの対向する外郭部(12A、12B)を有し2つの対向する該外郭部(12A、12B)が取り外し可能に組み立てられた、請求項13に記載のラインガイドデバイス。
【請求項15】
粒子を減少させる機能性材料を有する前記機能層が前記エンベロープの内壁(11A)に付与された、請求項7に記載のラインガイドデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略として、クリーンルーム用途における、例えば、ケーブル、ホースなどのような供給ラインの動的でかつ保護された誘導のために構成されたクリーンルーム用途のためのラインガイドデバイスに関する。汎用的なラインガイドデバイスは、第1の接続ポイントとそれに対して可動な第2の接続ポイントとの間で前後に変位可能な細長く柔軟なエンベロープを備える。ラインガイドデバイスは、通常、特定の最小半径の変位可能な偏向アークが間に介在された2本のランを形成し、例えば、垂直面又は線形状に移動し得る。
【背景技術】
【0002】
クリーンルームにおいて使用される装置は動作中に最小限の粒子しか周囲に排出すべきでなく、これは特にモバイル装置に関する。ラインガイドデバイスに関して、特許文献1、及び更なる展開として特許文献2は、エネルギーガイドチェーンによる粒子の摩耗関連の放出を最小化するクリーンルームに適したエネルギーガイドチェーンをラインガイドデバイスとして提案している。
【0003】
しかしながら、必要とされる前後運動の結果、ラインガイドデバイスだけでなくガイドされるライン自体も動作期間の過程にわたって粒子を放出する。この点について改善されたラインガイドデバイスが、特許文献3において本出願人によって提案された。それに記載のラインガイドデバイス(上記特許文献3の図3A~3D及び12~16を参照)は、商品名「e-skin」で出願人から入手可能である。
【0004】
この汎用的なラインガイドデバイスは、開放された場合のラインの挿入又は除去のための2つの対向する取り外し可能及び再閉塞可能な接続領域を有する対向する外郭部からなるエンベロープを有する。閉塞された場合には、エンベロープは、1本以上のラインを防塵的に受容するように作用する内部の内部空間を包囲する。したがって、クリーンルーム用途に大きな影響を与える粒子サイズの粒子が動作中に出ることはない。エンベロープ自体も、クリーンルーム使用に対して最適化される。
【0005】
これまでに知られている他の解決策を上回る相当大きな効果は、ラインガイドデバイスが必要に応じて順に開放されて、個々のラインを新たに交換し、すなわち、ラインガイドデバイスがラインのすべてとともに完全に交換されなくてもよいということである。
【0006】
そのようなラインガイドデバイス又は同等のラインガイドデバイスが、例えば、不良ラインを交換するのに保守の目的で開放される場合には、以前の動作期間にわたって、特にラインから内部空間で動作上放出された粒子は、周囲環境、すなわちクリーンルームに侵入し得る。そのような汚染は、複雑な洗浄対策を必要とし、又はダウンタイムを延長するので、明らかに望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第02/086349号
【文献】国際公開第2012/131033号
【文献】国際公開第2016/042134号
【発明の概要】
【0008】
したがって、本発明の第1の目的は、上記の汚染の問題に関して改善されたラインガイドデバイスを提案することである。この目的は、請求項1に特許請求されるようなラインガイドデバイスによって達成される。従属請求項は、効果的な更なる展開を明らかにする。
【0009】
請求項1のプリアンブル(preabmle)によるラインガイドデバイスの場合には、目的は、内部空間における自由粒子数を減少させるのに役立つ又は効果的なエンベロープ内に機能性材料を単に付与することによって達成される。
【0010】
本発明により達成される減少は、相対的な視点で理解されるものであり、本発明によるラインガイドデバイス、及びそれと構造的に同一であり同一のラインが内部空間において充填されているが機能性材料は存在しないラインガイドデバイスにおける同一の動作期間後の内部空間の吸引によるいずれの場合も、実行される比較測定値に関連する。この場合には特に、単位空気当たりの粒子の数及びサイズは、規格DIN EN ISO 14644-1に従って測定され得る。
【0011】
減少は、特に、2つのモードの作用によって、すなわち、内部空間において動作上放出された粒子をまるで捕捉若しくは保持するような機能性材料を使用することによって、及び/又は内部空間において特にガイドされるラインによる粒子の動作上の放出に対抗する機能性材料を使用することによって実現され得る。同様に、本発明は、両モードの作用を実現する1つの機能性材料の使用、又は実際に各々がこれらの効果の一方を有する2つの材料の組合せを包含する。
【0012】
少なくとも1つの機能性材料は、この場合は特に、内部空間に収納される実際のエンベロープ及びラインとは別に又はそれらに加えて配置又は搭載され得る。
【0013】
エンベロープは、ラインガイドデバイスの内部空間を、両端間の縦方向及び周方向の双方で防塵的に包囲する。防塵エンベロープは、閉塞された場合に粒子が漏出するのを効果的に防止する。本文脈において、防塵とは、浸透又は漏出するものがないような態様で気密性を有し又は封止されていることを必ずしも意味しない。むしろ、防塵とは、例えば従来の解決策の場合には、摩擦、摩耗又は運動を通じて生じるクリーンルーム用途に大きな影響を与える粒子サイズの粒子の漏出に対して、技術的に不浸透性であることを意味する。
【0014】
本発明の目的のために、一般的に粒子を減少させる機能性材料を導入するための異なる選択肢がある。この目的で、粒子を減少させる機能性材料を備え又はそれらと一体的になるインサート、インレー、層、充填物、パディングなどが内部空間に設けられてもよい。
【0015】
代替的又は追加的に、機能性材料のコーティングも、エンベロープの内壁の少なくとも各適所に設けられ得る。
【0016】
一実施形態では、機能性インレーは、粒子の吸引作用及び/又は接着作用を有する繊維構造物、特に不織布の形態で設けられる。特に、静電的作用を有し、好ましくはポリマー繊維を有する繊維構造物が、機能性材料として設けられ得る。帯電は、粒子に対して引力作用を有し、この場合には、エンベロープ及び/又はガイドされるラインに対する不織布又は繊維構造物の動作上の運動によって実現又は維持され得る。適切な不織布は、例えば洗浄目的で知られている。ポリエチレン及び/又はポリエステルのマイクロファイバーが考えられ得る。繊維構造物には、例えば感圧接着剤のコーティングが設けられてもよく、それは永久的に粘着性を有するとともに接着作用を強化し、又は帯電が減衰しても粒子は繊維に接着可能となる。
【0017】
機能性材料は、特に、例えば、天然若しくは合成ゴム若しくはアクリレートによる、又は実際にポリウレタン及びシリコーンによる感圧接着剤を含み得る。適切な感圧接着剤は、長期間の動作にわたって(及び適用温度範囲内で)永久的表面粘着性(タック)を有するべきである。
【0018】
更なる一実施形態では、ゲル、独立気泡フォーム及び/又は感圧接着剤が、機能性材料としてエンベロープに少なくとも各適所に導入され得る。この場合には、機能性材料は、特に、高粘性の機能性充填物又は機能層として導入され得る。充填物は、この場合、自由内部空間(ライン無し)を断面及び/又は縦方向に完全に充填しなくてもよい。
【0019】
対応する機能性材料、特に、ゲル、フォーム又は感圧接着剤は、好ましくは、接着作用又は永久的粘着性を、少なくとも対象とする環境又は動作条件下で、特に、5℃~60℃、少なくとも10℃~50℃の範囲の温度で有する。
【0020】
代替的又は追加的に、粒子を減少させる機能性材料を有する機能層は、各適所に、特にエンベロープの内壁に単に付与されてもよい。好ましくは、エンベロープ及びラインとは別の、すなわち、エンベロープ内部又はライン外部に結合されたコーティングではない材料が、機能性材料として使用される。
【0021】
内部空間における、特にガイドされるラインによる粒子の動作上の放出に対抗する機能性材料の例として、追加的又は代替的に、摩擦係数を減少させるトライボポリマーを設けることが可能である。構造を簡素に維持するために、これは、特に隣接ライン間に、例えば中立軸上の中心に又は実際にライン間の外部及びエンベロープの内壁に向けて機能性インレー又はスライドフィルムとして設けられ得る。
【0022】
構造的又は製造的な観点で単純な解決策は、内部空間に少なくとも1つの細長いテープ状機能性インサート又は少なくとも1つの細長いテープ状機能性インレーを配置することである。この場合には、例えば、特許文献3の図3A~3D又は12~16による既存のエンベロープが、変更なく使用され得る。
【0023】
適切な機能性材料は、内部空間において少なくともエンベロープの大部分の長さにわたって設けられてもよく、これはまた、収納空間内の配置に応じて2つの接続ポイント間で連続的であり又は中断することがない。ただし、例えば、内部を分割するために分離ウェブを使用する場合には、機能性材料は、例えばテープ状の個々のストリップとして長さ方向で各適所に中断を伴って分散される規定がなされてもよい。
【0024】
例えば、1つのみの機能性インサート、1つのみの機能性インレー、1つのみの機能層などには、エンベロープにおける中立軸高さに機能性材料が設けられてもよく、又は実際に例えば、中立軸に対して相互に対向するような態様で2つの機能性インサート、機能性インレーなどがエンベロープ内に設けられる。
【0025】
機能性材料は、好ましくは、内部空間及び/又はガイドされるラインに面する少なくとも1つの機能面を形成し、例えば、粒子保持若しくは接着剤及び/又は摩擦係数減少モードの作用を有する。
【0026】
保守作業を簡素化するために、機能性材料は、エンベロープの内部から及び/又はガイドされるラインから取外し可能なように、特に、手作業によって、又はツールを使用することなく容易に取外し可能に具現化される。
【0027】
機能性材料には、好ましくは、例えば、取外し可能なインサート、インレーなどが再利用可能な形式で設けられる。
【0028】
再閉塞可能な接続又は対応するクロージャに関して、接続領域は、好ましくは、長さ方向に連続的であり噛合い形材(profile)を有する2つの閉塞ストリップを有する。これらは、圧力閉塞、スライド閉塞などの形態で相互作用し、エンベロープの開放をその全長にわたって可能とし得るものであり、閉塞ストリップは、好ましくは実質上中立軸高さに配置される。
【0029】
好適な一実施形態では、ラインガイドは、特許文献3の図3A~3D又は12~16の原理に従って、例えば上記実施形態の1つにおける機能性材料により本発明に従って整合又は後付けされる。この場合には、エンベロープは、プラスチック材料の2つの対向する外郭部、特に異なる波形形材の2つの外郭部のいずれの場合の部分にも取り外し可能に組み立てられる。ここで長さ方向にともに接続された外殻部分は、機能性材料が設けられる連続的内部空間を区切る。
【0030】
本発明の更なる特徴及び効果は、添付図面に基づく多数の好適な例示的実施形態の以下の説明からの保護範囲を限定することなく推察され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1の例示的実施形態によるラインガイドデバイスを通る概略断面図を示す。
図2】第2の例示的実施形態によるラインガイドデバイスを通る概略断面図を示す。
図3】第3の例示的実施形態によるラインガイドデバイスを通る概略断面図を示す。
図4】第4の例示的実施形態によるラインガイドデバイスを通る概略断面図を示す。
図5A】ラインガイドデバイスの長手方向に対する機能性材料の配置を明確にするための概略縦断面図を示す。
図5B】ラインガイドデバイスの長手方向に対する機能性材料の配置を明確にするための概略縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1~4及び図5A~5Bは、ラインガイドデバイス1(図5A~5B)の概略表示である。これは、一般に符号10で示したケーブル、ホース又は同様のラインの保護された誘導に用いられる(図1~4参照)。上側ラン2と下側ラン3の間で、ラインガイドデバイス1は、偏向軸を中心に特定の曲率の偏向アーク4を可変又は動的に形成する。ラインの破壊を阻止するために、偏向アーク4は特に、特定の曲率の最小半径を有し、このようにして曲率半径が、ガイドされるライン10に対して許容可能な曲率半径未満に確実にならないようにする。偏向アーク4は、接続部7とともに固定接続部5に対して一定の距離にわたって移動し、それはここでは例えば垂直面において、例えば線形状に可動である。図示する例では、可動性接続部5は、例として上側ラン2に位置し、固定接続部7は下側ラン3に位置する。上側ラン2は、好ましくは自己支持型であり、すなわち、自己支持型の長さを有する。
【0033】
ラインガイドデバイス1は、エンベロープ11を有し、それは波形ホース状で具現化されるとともに波形形材を有し、一方では柔軟性を与え、他方では偏向アーク4の半径を予め決定する。エンベロープ11は、特許文献3の図12~16により具現化され、すなわち、ともに係合される2つの外郭部12A、12Bの部分に組み立てられるようなものである。
【0034】
外郭部12A、12Bは、長期的に曲げ抵抗を有する弾性プラスチックからなり、好ましくは、熱可塑性材料から射出成形される。
【0035】
外郭部は、両側に接続ストリップ14A、14Bを有し、例えば特許文献3による歯により、いずれの場合も中立軸13において対向して配置される(図3参照)。接続ストリップ14A、14Bは、両側において取り外し可能及び再閉塞可能な接続領域を形成する。このように、エンベロープ11は、ラインの挿入又は除去のために全長にわたって横方向に開放され得る。接続ストリップ14A、14Bは、防塵閉塞として作用する。
【0036】
エンベロープ11は、閉塞されると、縦方向及び周方向で防塵的に連続的内部空間15を規定又は区切る。内部空間15は、複数のライン10を収納するように作用する。エンベロープ11の更なる構造的詳細に関して、特許文献3(特にその図12~16)の教示は簡潔化のためにここに組み込まれる。
【0037】
図1による例示的実施形態では、内部空間15における自由粒子数を減少させるために、2つの対向するテープ状機能性インレー100A、100Bが各適所に設けられ、それらは機能面として、内面に面する表面上に機能性材料101を有する薄いフレキシブルバッキング(不図示)を有する。ここで機能性材料101は、例えば、適切な感圧接着剤などの形態であってもよく、内部空間において動作上放出されるクリーンルームに大きな影響を与える粒子に対して接着作用又はタックを有する。放出された粒子はラインガイドデバイス1の変位に応じて内部空間において準無秩序的に移動し、それにより充分長期間にわたって大部分の粒子が、機能性インレー100A、100Bの機能性材料101によって「捕捉」され、そこに接着されたままとなる前提とすべきである。したがってこの粒子は、開放されても漏出しなくなる。機能性インレー100A、100Bは、ここではエンベロープ11の内壁においてラインガイドデバイス1の大部分の長さにわたって設けられ、又は図5Aで概略的に示すように、追加重量が減少するとともに材料コストが最小化されるように、より小さな部分にわたって縦方向に分散されてもよい。
【0038】
図2の変更例では、自由塵粒子に関して静電的吸引作用を有する不織布が、機能性インレー200として設けられる。機能性インレー200及び/又は接着作用が付与される。例えば、ポリエチレン及び/又はポリエステルのマイクロファイバーが、好ましくは、例えば感圧接着剤などの粘着性コーティングを有する不織布における機能性材料201としてここでは使用され得る。図2の機能性インレー200は、中央、特に中立軸高さ13に配置され、ラインガイドデバイス1又はエンベロープ11の全長にわたって、例えば、図5Bに従って連続的に延在し得る。この配置の更なる効果は、図2のように、中立軸高さ13(偏向アーク4において長さの修正を受けない長手方向面)に配置されないライン10間では摩擦を阻止することができ、それに対応して摩耗がさらに低減されるということである。
【0039】
図3による実施形態では、ゲル301からなる機能性充填物300が、機能性材料として設けられる。好適なゲル301は永続的に流動可能であるので、ラインを交換するための切り口は再度閉塞する。さらに、ゲル301は、粒子を保持するためにタック又は永久的粘着性により具現化され得る。ゲルは、例えば、ドイツのヘラマン・タイトン社(D-25436 トルネッシュ)の取扱製品Relicon(登録商標)による適切なゲルの形態であり得る。また、ラインは、ゲル301によって間隔を空けて摩擦なく保持され得る。あるいは、軽量化のために、独立気泡永久的粘着性フォームも使用され得る。感圧接着剤との混合物も、接着作用又は永久的粘着性を実現するために考慮され得る。
【0040】
図4による更なる実施形態では、3つの細長い機能性インレー400A、400B、400Cが、摩擦係数を減少させるトライボポリマー401のスライドフィルムの形態で機能性材料として設けられる。適切なトライボポリマーは、例えば、イグス社(D-51147 ケルン)の商品名iglidur tribo-tape linerにより入手可能である。図4によると、そのような2つの機能性インレー400A、400Bは、いずれの場合もエンベロープ11の内壁11Aとガイドされるライン10との間に設けられ得る。更なる機能性インレー400Cは、中立軸13において概ね中央に設けられる。トライボポリマー401の機能性インレー400A、400B、400Cは、内部空間における粒子の動作上の放出の原因に対処するように、すなわち、ライン間の摩耗を大幅に防止することによって作用する。これにより、機能性インレー400A、400B、400Cは、好ましくは、長さ方向に連続的に設けられる(図5B参照)。
【0041】
図4による配置では、機能性インレー400A、400B、400Cの1以上に追加して又は代替として、例えば、中間の機能性インレー400Cに追加して、不織布200も図2に従って使用されてもよく、及び/又は感圧接着剤101が図1に従って使用されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ラインガイドデバイス
2 上側ラン
3 下側ラン
4 偏向アーク
5、7 接続ポイント
10 ライン(例えば、電力供給ケーブル)
11 エンベロープ
11A 内壁
12A、12B (エンベロープの)外郭部
13 中立軸
14A、14B 接続ストリップ
15 内部空間
100A、100B;200 機能性インレー
101;201;301;401 機能性材料
300 機能性充填物
400A~400C 機能性インレー
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B