(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】車両の車載バス上のコンピュータと対話する方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/46 20060101AFI20241211BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20241211BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
H04L12/46 Z
B60R16/023 P
H04L12/28 100A
(21)【出願番号】P 2021576268
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(86)【国際出願番号】 EP2020065039
(87)【国際公開番号】W WO2020259956
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-05-01
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アバディ, エリク
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-127449(JP,A)
【文献】特開2017-118317(JP,A)
【文献】特開2017-028523(JP,A)
【文献】特開2014-230140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/46
B60R 16/023
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の第1の車載バス(1)
から対話する方法であって、前記方法は、
- 前記車両内の第1の車載バス(1)に直接接続されていない第1のコンピュータ(12、13、14)を、前記車両内の第2の車載バス(2)に直接接続するステップと、
- 前記車両内の前記第1の車載バス(1)を、前記車両内の前記第1の車載バス(1)と前記車両内の前記第2の車載バス(2)に直接接続された第2のコンピュータ(11)によって前記車両内の前記第2の車載バス(2)に接続するステップと、
- 前記車両内の前記第2の車載バス(2)に直接接続されておらず、前記第1のコンピュータ(12、13、14)を対象とするメインコマンドを処理する前記車両内の第3のコンピュータ(10)を、前記車両内の第1の車載バス(1)に直接接続するステップと、
- 前記第3のコンピュータ(10)が、前記メインコマンドの記述(27)を、前記第2のコンピュータ(11)の第1の専用データゾーン(61)に書き込むための書き込みコマンドを生成するステップ(102)と、
- 前記第2のコンピュータ(11)が前記書き込みコマンドに応答する準備ができていることが検出された(103)とき、前記第3のコンピュータ(10)が、前記第2のコンピュータ(11)に前記書き込みコマンドを送信するステップ(104)と、
- 前記第2のコンピュータ(11)が、前記書き込みコマンドを受信した(111)後、前記メインコマンドに応答するために、前記第1のコンピュータ(12、13、14)に、1つまたは複数の補助コマンドを送信するステップ(114)と、
- 前記第1のコンピュータ(12、13、14)が、各々の受信された補助コマンド(121)に対する応答を送信するステップ(122)と、
- 前記第2のコンピュータ(11)が、少なくとも1つの受信された応答(115)を、第2の専用データゾーン(62)に記憶するステップ(116)と、
- 前記第2のコンピュータ(11)が読み出しコマンドに応答する準備ができていることが検出された(107)とき、前記第3のコンピュータ(10)が、前記第2のコンピュータ(11)を対象とする
前記第2の専用
データゾーン(62)を読み出すための前記読み出しコマンドを送信するステップ(108)と、
- 前記第2のコンピュータ(11)が、受信された前記読み出しコマンド(119)に対する応答を送信するステップ(124)と、
- 前記第3のコンピュータが、前記第1のコンピュータ(12、13、14)によって送信された前記応答が記憶されている、前記第2のコンピュータ(11)の前記第2の専用
データゾーンを読み出すための前記
読み出しコマンドに対する応答の少なくとも1つの受信(109)の後、前記メインコマンドに応答するステップ(126)と
を含
み、
レディ、ノットレディの2つの状態を備えた信号が、前記第1の車載バス(1)を通して前記第2のコンピュータ(11)によって周期的に送信され、前記方法がさらに、
- 前記第2のコンピュータ(11)が、前記第3のコンピュータ(10)から生じる前記書き込みコマンドを受信する(111)と、前記信号をノットレディ状態に設定するステップ(112)と、
- 前記第2のコンピュータ(11)が、前記第1のコンピュータ(12、13、14)から生じる前記応答を受信する(115)と、前記信号をレディ状態に設定するステップ(116)と
を含む方法。
【請求項2】
前記第3のコンピュータ(10)が、前記
ノットレディ状態に設定された前記信号を受信した(105)後に、前記レディ状態に設定された前記信号に対する待機状態になる(106)ステップを含むことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号は、前記第2のコンピュータ(11)によって送信される前記補助コマンドの1つまたは複数の進行度も備えることを特徴とする、請求項
1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記書き込みコマンドは、第1のフレーム(21)を備え、前記第1のフレーム(21)は、前記書き込みコマンドに対する第1の識別子フィールド(31)と、前記第1の専用データゾーン(61)に対する第1の識別子フィールド(32)と、前記メインコマンドの前記記述(27)の少なくとも1つのフィールド(33、34、35)とを備えることを特徴とする、請求項1から
3の少なくともいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記メインコマンドの前記記述(27)は、前記メインコマンドに対する標準フィールド(33)と、前記第2のコンピュータ(12、13、14)に対する識別フィールド(34)と、前記送信される応答を確立するための前記第2のコンピュータ(12、13、14)に対する有用パラメータフィールド(35)とを備えることを特徴とする、請求項1から
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のコンピュータ(11)は、前記書き込みコマンドを受信する(111)と、前記第1のコンピュータ(10)を対象とする肯定応答を送信するステップ(112)を含むことを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記肯定応答は、第2のフレーム(22)を備え、前記第2のフレーム(22)は、肯定応答識別子フィールド(37)と、前記第1の専用データゾーン(61)に対する第2の識別子フィールド(38)とを備えることを特徴とする、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記第3のコンピュータ(10)によって送信される前記読み出しコマンドは、第3のフレーム(23)を備え、前記第3のフレーム(23)は、第2のコマンド識別フィールド(39)と、前記第2の専用
データゾーン(62)に対する第1の識別子フィールド(40)とを備えることを特徴とする、請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記読み出しコマンドに対する前記応答は、第4のフレーム(24)を備え、前記第4のフレーム(24)は、前記読み出しコマンドに対する前記応答のための第4の識別子フィールド(41)と、前記第2の専用
データゾーン(62)のための第2の識別子フィールド(42)と、前記メインコマンドのための少なくとも1つの記述注釈フィールド(43、44、45)と、前記メインコマンドに対する前記応答のためのコンテンツフィールド(47)とを備えることを特徴とする、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記読み出しコマンドおよび前記書き込みコマンドは、UDS(統一診断サービス)プロトコルに従ったコマンドであることを特徴とする、請求項1から
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
- 前記第2のコンピュータ(11)が、前記メインコマンドの前記記述が完全か否かを、前記書き込みコマンドを受信する(111)とチェックするステップ(112)と、
- 前記第2のコンピュータ(11)が、前記メインコマンドの前記記述が完全である場合(113)にのみ、前記メインコマンドに応答するために、前記第1のコンピュータ(12、13、14)に、1つまたは複数の補助コマンドを送信するステップ(114)と、
- 前記第2のコンピュータ(11)が、前記メインコマンドの前記記述が完全でない場合(117)、前記第2の専用
データゾーンに警告を記憶するステップ(118)と
を含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記メインコマンドは、前記第1のコンピュータ内の常駐データを読み出すためのコマンドであること、前記補助コマンドは、読み出しコマンドのための識別フィールド(48)と前記常駐データのための識別フィールド(49)とを備えた、第5のフレーム(25)を備えること、および前記第1のコンピュータ(12、13、14)によって送信される前記応答は、前記読み出しコマンドに対する応答のための識別フィールド(50)と、前記常駐データのための識別フィールド(51)と、前記常駐データのための値を含むフィールド(52)とを備えた、第6のフレーム(26)を備えることを特徴とする、請求項1から
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記メインコマンドは、前記第1のコンピュータにデジタルコンポーネントをインストールするためのコマンドであることを特徴とする、請求項1から
11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車載バス上のコンピュータと対話する方法に関する。本発明は特に、車両内の第1の車載バスから、車両の第2の車載バスに接続された第1のコンピュータと対話する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による方法は、特に、車両を動作させるためにリアルタイムプログラムを実行させながら、同時に車載コンピュータを更新するのに役立つ。
【0003】
車載コンピュータの更新とプログラムのリアルタイム実行では、一般に、1つまたは複数の車載バスを通してコマンドが送信される必要がある。一般に、コマンドの送信とこのコマンドに対する応答の受信とを分離する持続時間を制御するのにタイマが実装されるが、コマンドの量が増加すると持続時間も増大するという欠点を有する。
【0004】
例えば、EP1434129A2は、車載プログラムに対する書き換えを制御するためのデバイスを開示しており、そこではコマンドの切り換えは、タイマから生じる信号に基づく。開示されたデバイスは、診断モードに対応し得る通常モードと、コンピュータ更新のために用いられ得る、車載プログラムを書き換えるための書き換えモードとの2つの動作モードを制御する。開示されたデバイスは、サーバから生じるプログラム書き換えコマンドを受信したときに、通常モードから書き換えモードに切り換わり、および書き換えモードの間に、通常モードに切り換えるためのコマンドを受信したときに、書き換えモードから通常モードに切り換わる。各切り換え動作は、進行中のモードを終了するという欠点を有する。
【発明の概要】
【0005】
従来技術において提起された欠点を克服するために、本発明の目標は、車両内の第1の車載バスから、車両の第2の車載バスに接続された第1のコンピュータと対話する方法であって、第1のバスは、第2のコンピュータによって第2のバスに接続され、第1の車載バスに接続された第3のコンピュータは、第1のコンピュータを対象とするメインコマンドを処理し、方法は、
- 第3のコンピュータが、前記メインコマンドの記述を、第2のコンピュータの第1の専用ゾーンに書き込むためのコマンドを生成するステップと、
- 第3のコンピュータが、第2のコンピュータが、前記書き込みコマンドに応答する準備ができていることを検出されたとき、第2のコンピュータに前記書き込みコマンドを送信するステップと、
- 第2のコンピュータが、前記書き込みコマンドを受信した後、メインコマンドに応答するために、第1のコンピュータに、1つまたは複数の補助コマンドを送信するステップと、
- 第1のコンピュータが、各々の受信された補助コマンドに対する応答を送信するステップと、
- 第2のコンピュータが、各々の受信された応答を、第2の専用ゾーンに記憶するステップと、
- 第3のコンピュータが、第2のコンピュータが、前記読み出しコマンドに応答する準備ができていることを検出されたとき、第2のコンピュータを対象とする前記第2の専用ゾーンを読み出すためのコマンドを送信するステップと、
- 第2のコンピュータが、受信された読み出しコマンドに対する応答を送信するステップと、
- 第3のコンピュータが、第1のコンピュータによって送信された応答が記憶されている、第2のコンピュータの第2のゾーンを読み出すためのコマンドに対する応答の少なくとも1つの受信の後、メインコマンドに応答するステップと
を含む。
【0006】
具体的には、レディ、ノットレディの2つの状態での信号は、第2のコンピュータによって周期的に送信され、それに対して方法は、第2のコンピュータが信号を、
- 第3のコンピュータから生じる書き込みコマンドを受信すると、占有状態に、
- 第1のコンピュータから生じる応答を受信すると、レディ状態に
設定するステップを含む。
【0007】
この方法は、第3のコンピュータが、占有状態に設定された前記信号を受信した後、レディ状態に設定された信号に対する待機状態になるステップを含むため、有利である。
【0008】
具体的には、前記書き込みコマンドは、第1のフレームを備え、第1のフレームは、コマンドに対する第1の識別子フィールドと、第1の専用ゾーンに対する第1の識別子フィールドと、メインコマンドに対する少なくとも1つの記述フィールドとを備える。
【0009】
また具体的には、メインコマンドの記述は、メインコマンドに対する標準フィールドと、第2のコンピュータに対する識別フィールドと、送信される応答を確立するための第2のコンピュータに対する有用データ識別フィールドとを備える。
【0010】
また具体的には、方法は、第2のコンピュータが、前記書き込みコマンドを受信すると、第1のコンピュータを対象とする肯定応答を送信するステップを含む。
【0011】
より具体的には、肯定応答は、第2のフレームを備え、第2のフレームは、肯定応答識別子フィールドと、第1の専用ゾーンに対する第2の識別子フィールドとを備える。
【0012】
より具体的には、第3のコンピュータによって送信される前記読み出しコマンドは、第3のフレームを備え、第3のフレームは、第2のコマンド識別フィールドと、第2の専用ゾーンに対する第1の識別子フィールドとを備える。
【0013】
また具体的には、読み出しコマンドに対する前記応答は、第4のフレームを備え、第4のフレームは、コマンドに対する応答のための第4の識別子フィールドと、第2の専用ゾーンのための第2の識別子フィールドと、メインコマンドのための少なくとも1つの記述注釈フィールドと、第1のコンピュータによって送信される応答のためのコンテンツフィールドとを備える。
【0014】
具体的には、前記メインコマンドは、第1のコンピュータ内の常駐データを読み出すためのコマンドであり、それに対して補助コマンドは、読み出しコマンドのための識別フィールドと前記常駐データのための識別フィールドとを備えた、第5のフレームを備え、それにより第1のコンピュータによって送信される応答は、読み出しコマンドに対する応答のための識別フィールドと、前記常駐データのための識別フィールドと、前記常駐データのための値を含むフィールドとを備えた、第6のフレームを備える。
【0015】
読み出しコマンドおよび書き込みコマンドは、UDS(統一診断サービス)プロトコルに従ったコマンドであることが好ましい。
【0016】
方法はまた、
- 第2のコンピュータが、前記メインコマンドの記述が完全か否かを、前記書き込みコマンドを受信するとチェックするステップと、
- 第2のコンピュータが、前記メインコマンドの記述が完全である場合にのみ、メインコマンドに応答するために、第1のコンピュータに、1つまたは複数の補助コマンドを送信するステップと、
- 第2のコンピュータが、前記メインコマンドの記述が完全でない場合、第2の専用ゾーンに警告を記憶するステップと
を含むことができる。
【0017】
本発明のさらなる利点および特徴は、添付の図面を参照して、非限定的な例示として示される、実施形態の詳しい説明を読むことによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明が実施される、車両に搭載されるシステムを概略的に示す図である。
【
図2】本発明が実施されるために用いられる、コマンドのフレームを概略的に示す図である。
【
図3】メイン読み出しコマンドを処理するための、本発明による方法のステップを示す図である。
【
図4】メインインストールコマンドを処理する、本発明による第1の方法のステップを示す図である。
【
図5】メインインストールコマンドを処理する、本発明による方法の第2の部分のステップを示す図である。
【
図6】メインインストールコマンドを処理する、本発明による方法の第3および最後の部分のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、車両内の車載バス1に接続された2つのコンピュータ9、10、および車両内の車載バス2に接続された3つのコンピュータ12、13、14を示す。コンピュータ9は、例えば、IVC(車両内通信)タイプの電気通信専用の車載コンピュータである。コンピュータ10は、例えば、IVI(車両内インフォテインメント)タイプの車載コンピュータであり、そのコンピュータ処理能力は、マイクロコンピュータのものと同等である。車載バス1には、図に示されない他の車載コンピュータが接続され得る。車載バス2に接続されたコンピュータ12、13、14は、ECU(電子制御ユニット)タイプの車両の制御・指令構成要素のための車載コンピュータであることが好ましい。車載バス1および車載バス2に接続されたコンピュータ11は、2つの車載バスの間のゲートウェイ機能を行う。
【0020】
図3は、対話方法のステップを示し、そこではコンピュータ10は、コンピュータ12、13、14の1つ、例えば、コンピュータ12内の常駐データを読み出すためのコマンドである、メインコマンドを処理する。このタイプのコマンドは、例えば、デジタルコンポーネントが更新される必要があるか否かを決定する観点から、例えば、コンピュータ12内のデジタルコンポーネント参照、またはデジタルコンポーネントのバージョン番号を読み出すために役立つ。デジタルコンポーネントは、実行可能プログラム、データベース、または例えば、ソースプログラムもしくはパラメータのテーブルなどの任意の他のデジタル構造体に等しく関係し得る。
【0021】
初期には待機ステップ100にあるコンピュータ10は、より高位の方法、例えば、コンピュータ12を更新する方法によって提出された読み出し要求が、遷移101を確認したとき、ステップ102に遷移する。例として、読み出し要求は、車載バス2に接続されたコンピュータ12、13、14の中からコンピュータを識別するための識別子、この場合はコンピュータ12の識別子、を含むことができる。コンピュータ識別子は、航空、自動車イーサネット、または他の分野でも知られている、CAN(コントローラエリアネットワーク)、フレックスレイまたはTTPタイプの、バス2の通信プロトコルに従ったコンピュータアドレスから構成され得る。コンピュータ識別子はまた、例えば、「BCM」(ボディコントロールモジュール)、「HEVC」(ハイブリッド電気自動車コントローラ)、「VDC」(車両ダイナミックコントロール)その他の、コンピュータをそれの機能空間において命名するASCIIキャラクタの文字列から構成され得る。ASCIIキャラクタの文字列の利点は、車載システムアーキテクチャとは独立して、コンピュータを指定できることが関わる。ASCIIキャラクタの文字列のさらなる利点は、人が理解するのがより容易な、記憶を助ける手段を形成することが関わる。他の例として、読み出し要求は、識別されたコンピュータ内のデータ識別子63を含むことができる。
【0022】
ステップ102で、コンピュータ10は、遷移101を確認した要求に基づいてメインコマンドの記述を構築し、次いでコンピュータ11のメモリに常駐する、第1の専用データゾーン61内のメインコマンドの記述のための書き込みコマンドを生成する。
【0023】
図2は、フレーム21を備える書き込みコマンドの例を示す。フレーム21は、生成されたコマンドを書き込みコマンドとして識別する識別子フィールド31と、第1の専用ゾーン61を識別する識別子フィールド32と、メインコマンドの記述27を含むための少なくとも1つのフィールド33、34、35とを備える。
【0024】
記述27を構成するフィールド33は、メインコマンドのタイプをもたらす。全く非限定的な例示として、メインコマンドのタイプは、例えば、ASCIIコードの2つの文字によって識別される。第1の文字は、「実行」に対して「E」、「読み出し」に対して「R」、または「書き込み」に対して「W」として、メインコマンドのクラスを識別する。第2の文字は、第1の文字と組み合わされて、「活動化を実行」に対して「EA」、「ダウンロードを実行」に対して「ED」、「インストールを実行」に対して「EI」、「削除を実行」に対して「EC」、「再初期化を実行」に対して「ER」、「データを読み出し」に対して「RD」、「拡張データを読み出し」に対して「RX」、「データを書き込み」に対して「WD」として、メインコマンドクラス内のアクションを識別する。記述27を構成するフィールド34は、具体的には、要求において示されるものに従った車載コンピュータ識別子をもたらす。記述27を構成するフィールド35は、コマンドを実行するために役立つパラメータを含む。例として、フィールド33が、「EI」、「EA」コマンドタイプの1つを含むとき、パラメータは、インストールされることになり、それぞれ活動化されることになるデジタルコンポーネントの識別子である。
図3に示される例において、メインコマンドの記述27は、メインコマンドの「RD」タイプをもたらすフィールド33と、バス2に接続されたコンピュータ、例えば、コンピュータ12の機能名のための識別フィールド34と、メインコマンドの処理を支援するためにコンピュータ11にとって役立つ、パラメータとして読み出されることになるデータの識別子を含んだパラメータフィールド35とを備える。
【0025】
より具体的には、UDS(統一診断サービス)プロトコルに従った書き込みコマンドの使用は、一般に自動車分野での殆どの車載コンピュータにおいて、特に本発明による対話方法を実施するための低レベル通信レイヤを修正することを必要とせずに診断機能を行うために、プリインストールされる機構からの恩恵の利点を有する。この特定の場合においては、フィールド31はSID(サービス識別子)$2Eを含み、これはDID識別子によって書き込まれるデータに対する既知の16進コードである。
【0026】
ステップ102からステップ104に遷移するための遷移103は、コンピュータ11が、フレーム21によってサポートされる書き込みコマンドに応答する準備ができているとして検出されたときに確認される。このようにして、コンピュータ11が、本発明による対話方法の別の場合に対してゲートウェイ機能、または例えば、診断方法など、別の方法によって生成されたコマンドに対するゲートウェイ機能を行う場合、コンピュータはステップ102で待機状態のままとなる。コンピュータ10は、コンピュータ11が他の機能によって占有されていることにより、無効のままとなるであろうコマンドを送信する試みによって、バス1を不必要に混雑させない。別の方法に固有の診断コマンドの進行中の処理の例において、対話方法をステップ102で瞬間的に待機状態に置くことは、診断コマンドが、診断方法を中断することを必要とせずに、実行されることを可能にする。
【0027】
コンピュータ11が、フレーム21によってサポートされる書き込みコマンドに応答する準備ができているかどうかを検出するために、いくつかの解決策が企図され得る。例えば、コンピュータ10が、バス1上でコンピュータ11と対話する唯一のコンピュータとなる場合、コンピュータ10内のより上位の順序制御レイヤは、コンピュータ11のレディまたはノットレディ状態を制御し得る。この解決策は、別のコンピュータ9が、例えば、リモート診断を実行するために、バス1を通してコンピュータ11と対話しようとするとき、実施が難しくなり得る。そうでない場合、コンピュータ10は、例えば、コンピュータ11がフレーム21によってサポートされる書き込みコマンドに応答する準備ができていないであろう、コンピュータ11を対象とするその中のフレームを検出するためにバス1を観測し得る。この別の解決策は、バス1のチャネルを用いる数多くの方法の場合において、複雑さに関して素早く問題を提起し得る。本発明の範囲を逸脱せずに、他の解決策が企図され得る。
【0028】
コンピュータ11が準備ができているかどうかを検出するための好ましい解決策によれば、本発明による対話方法の範囲内で、送信されるコマンドを処理する準備ができているかどうかを宣言するのはコンピュータ11自体である。コンピュータ11は、バス1を通して、レディと、占有またはノットレディとの2つの状態を備える信号を、周期的に送信する。
【0029】
初期待機ステップ110において、コンピュータ11はデフォルトで信号をレディ状態に設定する。コンピュータ11が本発明による対話方法から、それとも例えば、診断方法などの任意の他の方法から、コマンドを受信するとすぐに、コンピュータ11は、進行中のコマンドの処理が終了するまで、信号を占有状態に設定する。
【0030】
ステップ104で、コンピュータ11は書き込みコマンドに応答する準備ができているとして検出されており、コンピュータ10は、コンピュータ11に書き込みコマンドを送信する。書き込みコマンドを送信するために、コンピュータ10は、フレーム21をバス1上のCANフレーム内にカプセル化することができ、または別の形で、例えば、バス1上で車両イーサネットプロトコルが用いられる場合、フレーム21をIPフレーム内にカプセル化することができる。
【0031】
コンピュータ11における書き込みコマンドの受信は、コンピュータ11を初期ステップ110からステップ114に遷移させるために必要な遷移111を確認し、そこでコンピュータ11は、コンピュータ11の専用データゾーン61に書き込まれたメインコマンドの記述27に基づいて、メインコマンドに応答するために、フィールド34において識別されるコンピュータ12、13、14のうちのコンピュータ、例えば、コンピュータ12に補助コマンドを送信する。
【0032】
メインコマンドはコンピュータ12内の常駐データを読み出すためのコマンドである、
図3の特定の場合において、
図2は、読み出しコマンドに対する識別フィールド48と、コンピュータ12内の常駐データに対する識別フィールド49とを備えたフレーム25を備える補助コマンドの例を示す。
【0033】
より具体的には、UDSプロトコルに従った読み出しコマンドの使用は、前述の利点を有する。この特定の場合においては、フィールド48はSID $22を含み、これはDID識別子によって読み出されるデータに対する既知の16進コードである。フィールド49は、フレーム21のフィールド35に示された、コンピュータ12のデータゾーン63のDID識別子を含む。
【0034】
遷移111は、方法を初期ステップ110からステップ114に直接遷移させることができる。遷移111は、方法を初期ステップ110から中間ステップ112に遷移させることが好ましいが必須ではない。
【0035】
ステップ112で、コンピュータ11は、本発明の主題の一部ではない所定のセキュリティ規則に関して、メインコマンド記述27が完全であるか否かをチェックする。ステップ112が実施された場合、遷移113は、メインコマンド記述27が完全であると検証された場合に確認され、または遷移117は、メインコマンド記述27が不完全である検証された場合に確認される。ステップ114は、次いで遷移113の確認の後に活動化される。
【0036】
ステップ114で、またはステップ112が存在する場合はステップ112から、言い換えれば、コンピュータ10から生じる書き込みコマンドを受信することによる遷移111の確認の後に、コンピュータ11は、周期的信号を占有状態にする。それに付随して、コンピュータ11は、受信の肯定応答、または肯定応答を送信することによって書き込みコマンドに応答する。例えば、UDSプロトコルが用いられる場合、コンピュータ11は、フレーム22を送信し、その第1のフィールド37は値$6EのSIDコードを含み、その第2のフィールド38は、コンピュータ10が、受信された受信の肯定応答が対応する、送信された書き込みコマンドを認識することを可能にするための、フレーム21のフィールド32の値を含む。言い換えれば、フィールド38は、第1の専用ゾーン61に対する識別子フィールドを形成する。
【0037】
コンピュータ10による、占有状態に設定された周期的信号、またはフレーム22の受信は、コンピュータ10において方法をステップ104からステップ106に遷移させる遷移105を確認する。ステップ106で、コンピュータ10は、レディ状態に設定された信号に対する待機状態に置かれる。
【0038】
初期に、本発明による対話方法の待機ステップ120において、コンピュータ12は、それが車載バス2を通してコンピュータ11によって送信された、フレーム25によって表される補助コマンドを受信したとき、遷移121を確認する。遷移121の確認は、ステップ122を活動化し、そこでコンピュータ12は、受信された補助コマンドに対する応答を送信する。コンピュータ11に送信された応答は、フレーム26を備え、フレーム26は、この場合は読み出しコマンドに対する応答である、応答識別フィールド50と、前記常駐データのための識別フィールド51と、
図2に示されるように、フィールド51によって識別される常駐データ63の値を含んだフィールド52とを備える。
【0039】
UDSプロトコルの使用の特に有利な場合には、フィールド50は、SID $62を含み、これはDID識別子によって読み出されるデータに対する応答の、既知の16進コードである。フィールド51は、フレーム25のフィールド49に示された、コンピュータ12のデータゾーン63のDID識別子を含む。コンピュータ12は、次いで待機ステップ120に戻る。
【0040】
コンピュータ11による応答の受信は、対話方法をステップ114からステップ116に遷移させる遷移115を確認し、そこでコンピュータ11は、この場合はコンピュータ12内の常駐データ63を読み出すためのコマンドである、メインコマンドに対する応答の記述28を生成する。応答記述28は、フィールド43、44、45を備え、そのそれぞれは、応答記述が実際にメインコマンド記述に対応するものであることを識別するための、コマンド記述27のフィールド33、34、35の値を含む。応答記述28はまた、フィールド47を備え、これはフレーム26のフィールド52に含まれた値を含む。コンピュータ11は、コンピュータ11のメモリに常駐する、第2の専用データゾーン62に、応答記述28を記憶する。
【0041】
ステップ116で、コンピュータ11は、次いで周期的信号をレディ状態に設定する。
【0042】
遷移107は、コンピュータ10が、コンピュータ11は応答する準備ができていることを検出したときに確認される。本発明の好ましい実施形態の場合、遷移107は、レディ状態での周期的信号の受信を通して確認される。
【0043】
遷移107の確認は、コンピュータ10におけるステップ108を活動化する。ステップ108で、コンピュータ11は読み出しコマンドに応答する準備ができているとして検出されており、コンピュータ10は、コンピュータ11を対象とする第2の専用ゾーン62からの読み出しコマンドを送信する。読み出しコマンドは、例えば、
図2に示されるように、フレーム23によって表される。フレーム23は、コマンドを読み出しコマンドとして識別するための識別フィールド39と、第2の専用データゾーン62に対する識別子フィールド40とを備える。
【0044】
具体的には、UDSプロトコルの使用の有利な場合において、フィールド39は、読み出しコマンドを識別する値$22を含み、フィールド40は、コンピュータ11のメモリ内の専用データゾーン62のアドレスであるDID値を含む。
【0045】
遷移119は、コンピュータ11が、フレーム23によって表される読み出しコマンドを受信したときに確認される。
【0046】
遷移119の確認は、ステップ124を活動化し、そこでコンピュータ11は、コンピュータ10に対する応答を送信する。受信された読み出しコマンドに対する応答は、フレーム24を備え、フレーム24は、フレーム24がフレーム23によって表される読み出しコマンドに対する応答を形成することをチェックすることができように、読み出しコマンドに対する応答を識別するための識別子フィールド41と、第2の専用ゾーン62を識別するための識別子フィールド42とを備える。フレーム24は、続いて記述28を含み、記述28は、メインコマンドの記述の注釈によって、フィールド33、34、35のそれぞれに含まれたものとそれぞれ等しい値をそれぞれが含んだフィールド43、44、45を備える。記述28はまた、メインコマンドに対する応答を含む、フィールド47を備える。
【0047】
コンピュータ11は、次いで本発明による対話方法に関連して、初期待機ステップ110に戻る。
【0048】
遷移109は、コンピュータ10が、フレーム24によって表される読み出しコマンドに対する応答を受信したときに確認される。
【0049】
遷移109の確認は、ステップ126を活動化し、そこでコンピュータ10は、コンピュータ12によって送信された応答が記憶される、コンピュータ11の第2の専用ゾーンの、読み出しコマンドに対する応答から抽出されたフィールド47の内容に基づいて、メインコマンドに対して応答する。
【0050】
コンピュータ10は、続いて本発明による対話方法に関連して、初期待機ステップ100に戻る。
【0051】
上記の開示から、本発明による対話方法のコマンドに対するUDSプロトコルの使用は、メインコマンドが処理されることを可能にし、これは、診断モードから更新モードに切り換えることを必要とせずに、コンピュータ更新方法を形成することが留意されるべきである。コマンドは、コンピュータの間の対話における診断コマンドのままである。更新機能の処理は、診断機能の処理と同等なやり方で、上位レイヤでのコンピュータ10内のメインコマンドの処理によって行われる。コンピュータ11は、診断機能に関連付けられたフレームを、ゲートウェイとして、それらをバス1からバス2に、および逆も同様に、直接転送することによって処理することができる。コンピュータ11は、診断機能に関連したフレームを、コンピュータ11に常駐する診断機能によってそれらを処理することによって、処理することができる。コンピュータ11は、更新機能に関連したフレームを、コンピュータ11に常駐する診断機能に対して行い得るように、コンピュータ11に常駐する更新機能によって処理することができる。更新コマンドのように多くの純粋の診断コマンドを処理するためには、単一のプロトコルスタック、すなわちUDSプロトコルスタックで十分である。純粋の診断コマンドが、デジタルコンポーネントの更新に関連したコマンドが無い状態で、バス1からバス2に送信されるとき、コンピュータ11は、純粋の診断コマンドを処理するときに生じ得るように、単にコマンドを更新に関連した待機状態に置いて、周期的信号を占有状態に設定する。更新に関連したコマンドが、純粋の診断コマンドが無い状態でバス1からバス2に送信されるとき、コンピュータ11は、デジタルコンポーネントの更新に関連したコマンドを処理するときに生じ得るように、単に純粋の診断コマンドを無視して、周期的信号を占有状態に設定し、それにより、コンピュータ11が周期的信号をレディ状態に戻したときに、診断方法が純粋の診断コマンドを自由に再送信するようにする。
【0052】
車載バス1に接続されたコンピュータ10からのメインコマンドの処理に関連した、読み出しおよび書き込みコマンドの送信は、周期的信号がレディ状態に設定されるとすぐに更新プロセスを再開するために、リモートサーバから受信されるコマンドを必要としない。したがって、更新プロセスは、更新データがコンピュータ10に事前にダウンロードされている限り、車両のリモート接続を必要とせずに生じることができる。
【0053】
診断プロセスと平行した更新プロセスに対する例示として述べられた前述の説明は、本発明による対話方法を実施することによって、診断プロセスと平行した他のプロセスに適用可能である。
【0054】
対話方法のメインコマンドは、バス2に接続されたコンピュータ12、13、14のうちの1つのデータを読み出すためであるとき、データをホストするコンピュータ12、13、14のうちのコンピュータ、例えば、コンピュータ12を直接対象とする、データを読み出すための単一のコマンドによって、より簡単に実施され得る。しかし、先験的に簡単な、この解決策は単一の読み出しコマンドの送信と、応答の受信とを分離するようになる全持続時間の管理に関する問題を提起することになり、この持続時間は、単一の読み出しコマンドをコンピュータ10からコンピュータ11に送信するため、次いで単一の読み出しコマンドをコンピュータ11からコンピュータ12に送信するため、コンピュータ12によって応答を送信するため、コンピュータ12からコンピュータ11に応答を送信するため、次いでコンピュータ11からコンピュータ10に応答を送信するために必要な持続時間の合計となる。この全持続時間は、走行している車両内でしばしばそうであるようにバス1および2上のアクティビティが高い場合、直ちに極めて重大になり得る。
【0055】
単一の読み出しコマンドを、コンピュータ11の第1の専用データゾーン内の書き込みコマンドと、それに続くコンピュータ11の第2の専用データゾーン内の読み出しコマンドとによって置き換えることで、前のパラグラフで提起された過大な持続時間の問題が克服されることを可能にする。本発明の書き込みコマンドと、書き込みコマンドに対する応答とを分離する第1の持続時間は、書き込みコマンドをコンピュータ10からコンピュータ11に送信するためと、次いで応答、一般に簡単な肯定応答を、コンピュータ11からコンピュータ10に送信するためとに必要な、持続時間の合計に縮小される。本発明の読み出しコマンドと、読み出しコマンドに対する応答とを分離する第2の持続時間は、読み出しコマンドをコンピュータ10からコンピュータ11に送信するためと、次いで応答をコンピュータ11からコンピュータ10に送信するためとに必要な、持続時間の合計に縮小される。第1の持続時間の終了と、第2の持続時間の開始とを分離する第3の持続時間は、問題にはならず、なぜなら方法の待機ステップ106において、周期的信号の状態は、それがレディであることが検出されるまで、単に連続して読み出される必要があるだけだからである。具体的には、方法は、例えば、車両の電気的切断の場合に、前記第3の持続時間の間に生じ得る中断に関して信頼性がある。本発明による方法は、中断の前に停止されたステップ内で再開することができる。
【0056】
ステップ112を備え、コンピュータ11は、メインコマンドの記述27が完全であるか否かをチェックする代替実施形態によれば、遷移117は、メインコマンドの記述27が不完全であると検証されたときに確認される。遷移117の確認は、ステップ118を活動化し、そこでコンピュータ11は、第2の専用ゾーン62に警告を記憶し、次いで周期的信号をレディ状態に設定する。
【0057】
本発明による対話方法は、車載バス2に接続された第1のコンピュータ内のデータを読み出すためのメインコマンド以外のメインコマンドに適用可能であり、その処理の間、コンピュータ11は、メインコマンドに応答するように、データを読み出すためのコマンドによって形成される、単一の補助コマンドを第1のコンピュータに送信する。
【0058】
図4は、対話方法のステップを示し、そこではコンピュータ10は、例えば、コンピュータ12内のデジタルコンポーネントをインストールするためのコマンドである、メインコマンドを処理する。このタイプのコマンドは、例えば、1つまたは複数のデジタルコンポーネントをインストールするために役立つ。デジタルコンポーネントは、実行可能プログラム、データベース、または任意の他のデジタル構造体、例えば、ソースプログラムもしくは構成パラメータのテーブルなどに対して、等しく関係し得る。
【0059】
初期に待機ステップ100にある、コンピュータ10は、より高位の方法、例えば、コンピュータ12を更新するための方法によって提出されたインストール要求が、遷移201を確認したとき、ステップ202に遷移する。例として、インストール要求は、車載バス2に接続されたコンピュータ12、13、14の中からコンピュータを識別するための識別子、この場合はコンピュータ12の識別子を含むことができる。他の例として、インストール要求は、例えば、コンピュータ12の物理メモリのブロックを識別するタグを有するHTMLフォーマットでのファイルを含むことができ、ブロックのそれぞれには、同じ物理メモリブロック64を識別する2つのタグの間にわたってHTMLファイルの内容が書き込まれる。物理メモリブロックは、永続的書き換え可能メモリタイプ、例えば、EEPROMタイプのものである。
【0060】
ステップ202で、コンピュータ10は、遷移201を確認した要求からメインコマンドの記述を構築し、次いでコンピュータ11のメモリに常駐する、第1の専用データゾーン61における、メインコマンドの記述のための書き込みコマンドを生成する。
【0061】
図2は、書き込みコマンドの例を示し、フレーム21のフィールド31は、生成されたコマンドを書き込みコマンドとして連続して識別し、フィールド32は、第1の専用ゾーン61を連続して識別する。メインコマンドの記述27において、フィールド33は、例えば、「インストールを実行」タイプのメインコマンドを示す2つの文字「EI」を備える。
図4に示される例において、フィールド34は具体的には、特にメインコマンドが適用される、バス2に接続されたターゲットコンピュータ、例えば、コンピュータ1を識別する。フィールド35はパラメータを含み、その値は、ターゲットコンピュータにインストールされることになる少なくとも1つのデジタルコンポーネントを含んだパケットを識別する。
【0062】
UDSプロトコルに従った書き込みコマンドの使用の特定の場合には、フィールド31は、次いでSID $2Eを含み、これはDID識別子によって書き込まれたデータの既知の16進コードであり、この場合は専用ゾーン61に対応する。
【0063】
ステップ202からステップ204に遷移するための遷移203は、コンピュータ11が、フレーム21によってサポートされる書き込みコマンドに応答する準備ができているとして検出されたときに確認される。ここで再び、コンピュータ11が、本発明による対話方法の別の場合に対してゲートウェイ機能、または例えば、診断方法など、別の方法によって生成されたコマンドに対するゲートウェイ機能を行う場合、コンピュータはステップ202で待機状態のままとなる。コンピュータ10は、コンピュータ11が他の機能によって占有されていることにより、無効のままとなるであろうコマンドを送信する試みによって、バス1を不必要に混雑させない。別の方法に固有の診断コマンドの進行中の処理の例において、対話方法をステップ202で瞬間的に待機状態に置くことは、診断コマンドが、診断方法を中断することを必要とせずに、実行されることを可能にする。
【0064】
コンピュータ11がレディであるかどうかを、例えば、2つの状態、すなわちレディと占有状態とを備える信号によって検出することが可能であり、信号はバス1を通してコンピュータ11によって周期的に送信される。
【0065】
初期待機ステップ110において、コンピュータ11は、デフォルトによって信号をレディ状態に設定する。コンピュータ11がコマンドを受信するとすぐに、これが本発明による対話方法であるか、いずれかの他の方法、例えば診断方法であるかどうかに関わらず、コンピュータ11は、進行中のコマンドの処理が完了するまで、信号を占有状態に設定する。
【0066】
ステップ204の間、コンピュータ11は書き込みコマンドに応答する準備ができているとして検出されており、コンピュータ10は、コンピュータ11に書き込みコマンドを送信する。書き込みコマンドを送信するために、コンピュータ10は、フレーム21をバス1上のCANフレーム内にカプセル化することができ、または別の形で、例えば、バス1上で車両イーサネットプロトコルが用いられる場合、フレーム21をIP上のフレーム内にカプセル化することができる。
【0067】
コンピュータ11における書き込みコマンドの受信は、遷移211を確認し、これはコンピュータ11を初期ステップ110からステップ212に遷移させ、そこでコンピュータ11は、第1の専用ゾーン61に記述27を書き込み、次いで直ちに、書き込みコマンドの適切な実行の肯定応答をコンピュータ10に送信する。例としてUDSプロトコルが用いられるとき、書き込みコマンドの適切な実行の肯定応答は、フレーム22によって表され、その中でフィールド37は値$6Eを含み、フィールド38はゾーン61のDIDを含む。
【0068】
コンピュータ10におけるフレーム22の受信は、コンピュータ10をステップ204からステップ206に遷移させる遷移205を確認し、そこでコンピュータ10は、レディ状態を読み出すために待機しながら、コンピュータ11によって周期的に送信される信号の状態を読み出す。本発明による方法の有利な変形形態において、周期的信号はまた、コンピュータ11におけるステップの実行の進行の状態の表示を備える。
【0069】
ステップ212の間、コンピュータ11は、周期的信号を占有状態に設定し、次いで一連の1つまたは複数の第1の補助コマンドを、フィールド34において識別されたコンピュータ12、13、14のうちのコンピュータ、例えば、コンピュータ12に送信して、コンピュータ11の専用データゾーン61に書き込まれたメインコマンドの記述27に基づいて、メインコマンドに応答する。周期的信号がまた進行の状態の表示を備えるとき、コンピュータ11は、ステップ212に対応する進行の状態を示す。
【0070】
メインコマンドが、少なくとも1つのデジタルコンポーネントをコンピュータにインストールするためのコマンドである、
図4の特定の場合において、各々の第1の補助コマンドは、コンピュータ12の属性の読み出しに関わり、その知識は1つまたは複数のデジタルコンポーネントを正しくインストールするために役立つ。
図2に示される例は、第1の補助コマンドのために用いられることができ、コマンドは、読み出しコマンドのための識別フィールド48と、読み出し属性に対応する、コンピュータ12の常駐データのための識別フィールド49とを備えた、フレーム25を備える。
【0071】
コンピュータ12における一連の第1の補助コマンドの受信は、ステップ222を活動化する遷移221を確認し、そこでコンピュータ12は、各々の第1の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0072】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド48はSID $22を含む。
図2のフレーム26のモデル上の第1の補助コマンドに対する各応答は、フィールド50にSID $62、フィールド51に属性の識別、およびフィールド52に属性の読み出し値を含む。
【0073】
コンピュータ11における、一連の第1の補助コマンドに対する最後の応答の受信は、コンピュータ11をステップ212からステップ214に遷移させる遷移213を確認し、そこでコンピュータ11は、コンピュータ12にデジタルコンポーネントのインストールを妨げる可能性が高い障害によるトラブルがないことチェックするために、コンピュータ12に一連の1つまたは複数の第2の補助コマンドを送信する。
【0074】
図2は、フレーム29を備える補助コマンドの例を示し、フレーム29は、補助コマンドが関連する、補助コマンド指定フィールド53と、コンピュータ12内のターゲットを識別するための識別フィールド54とを備え、付随的にコマンド拡張フィールド55を備えてもよく、備えなくてもよい。第2の補助コマンドに対して、ターゲットは特に障害コードである。
【0075】
コンピュータ12における一連の第2の補助コマンドの受信は、ステップ224を活動化する遷移223を確認し、そこでコンピュータ12は、各々の第2の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0076】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、DTC(「診断トラブルコード」)情報の読み出しを示すSID $29を含む。フィールド54は、一般に5つの英数字に基づく障害識別コードを含む。全く非限定的な例として、第1のキャラクタは、車両のパワートレイン(例えば、エンジンおよびギアボックスを備える)を示す文字P、車両シャーシを示す文字C、車両ボディを示す文字B、ユーザネットワークを示す文字Uである。また、全く非限定的な例として、第2のキャラクタは、一般的障害を示す数字0、製造障害を示す数字1である。それに続くキャラクタは、障害コードのヘッダ内の文字によって識別される、システムのサブシステムの要素を指し、例えば、燃料および酸化剤測定に対してP01xx、より具体的には噴射回路に関連付けられた燃料および酸化剤測定に対してP02xx、補助的排出制御に対してP04xxである。
図2のフレーム30のモデルに示される、第2の補助コマンドに対する各応答は、フィールド56にSID $59、フィールド57に障害コードの注釈、およびフィールド59に障害コードの状態の読み出し値、例えば、障害または非障害を含む。
【0077】
周期的信号がまた進行の状態の表示を備えるとき、コンピュータ11は、フィールド59に含まれる障害または非障害に対応する進行の状態を示す。
【0078】
コンピュータ11における一連の第2の補助コマンドに対する最後の応答の受信は、コンピュータ11をステップ214からステップ216に遷移させる遷移215を確認し、そこでコンピュータ11は、更新セッションを開始するために第3の補助コマンドをコンピュータ12に送信する。
【0079】
図2に示されるフレーム29は、第3の補助コマンドを表すために用いられ得る。第3の補助コマンドの場合、ターゲットは特に、コンピュータ12で行われる動作を閉じることが関わる。
【0080】
コンピュータ12における第3の補助コマンドの受信は、ステップ226を活動化する遷移225を確認し、そこでコンピュータ12は、第3の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0081】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、診断セッションの制御を示すSID $10を含む。注意として、様々なサービスの利用可能性は、アクティブである診断セッションに依存する。例えば、「拡張診断セッション」と呼ばれるセッションは、例えば、センサの調整など、追加の診断機能をリリースするために用いられる。他の例として、「安全システム診断セッション」と呼ばれるセッションは、例えば、エアバッグを試験するなど、安全性のために極めて重要なすべての診断機能を試験するために用いられる。特定の診断セッションがない場合、一般に、特にステップ120で「デフォルトセッション」がアクティブであり、遷移225が確認されるまで維持される。フィールド54は、セッション識別コードを含み、これはこの場合、例えば、「FOTA」と呼ばれる、コンピュータ12内の1つまたは複数のデジタルコンポーネントのインストールに特に専用である。
図2のフレーム30のモデルに示される、第3の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $50、およびフィールド57にセッション識別コードの注釈を含む。周期的信号がまた、進行の状態表示を備えるとき、コンピュータ11は、更新セッションの開始に対応する進行の状態を示す。
【0082】
コンピュータ11における第3の補助コマンドに対する応答の受信は、コンピュータ11をステップ216からステップ218に遷移させる遷移217を確認し、そこでコンピュータ11は、それらを用いてその中にデジタルコンポーネントの更新を書き込む観点から、コンピュータ12のメモリブロック内に障害がないことをチェックするために、第4の補助コマンドをコンピュータ12に送信する。
【0083】
図2に示されるフレーム29は、第4の補助コマンドを表すために用いられ得る。第4の補助コマンドに対して、ターゲットは特にメモリ障害コードである。
【0084】
コンピュータ12における第4の補助コマンドの受信は、ステップ228を活動化する遷移227を確認し、そこでコンピュータ12は、第4の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0085】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、診断された障害読み出しを示すSID $19を含む。
図2のフレーム30のモデルに示される、第4の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $59、およびフィールド57に障害コードの注釈を含む。フィールド59は、フィールド57に含まれたコードによって識別される障害があるかないかを示す値を含む。周期的信号がまた進行の状態表示を備えるとき、コンピュータ11は、フィールド59に含まれた障害の有無に関係する状態に対応する進行の状態を示す。
【0086】
コンピュータ11における、最後の第4の補助コマンドに対する応答の受信は、コンピュータ11をステップ218からステップ220に遷移させる遷移219を確認し、そこでコンピュータ11は、デジタルコンポーネントの更新をメモリブロックに書き込むために用いる観点から、コンピュータ12のメモリブロックカウンタに障害がないことをチェックするために、一連の第5の補助コマンドをコンピュータ12に送信する。
【0087】
図2に示されるフレーム29は、各々の第5の補助コマンドを表すために用いられ得る。第5の補助コマンドに対して、ターゲットは特にメモリカウンタ障害コードである。
【0088】
コンピュータ12における一連の第5の補助コマンドの受信は、ステップ230を活動化する遷移229を確認し、そこでコンピュータ12は、各々の第5の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0089】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、診断された障害読み出しを示すSID $19を含む。
図2のフレーム30のモデルに示される、各々の第5の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $59、およびフィールド57に障害コードの注釈を含む。フィールド59は、フィールド57に含まれたコードによって識別される障害があるかないかを示す値を含む。周期的信号がまた進行の状態表示を備えるとき、コンピュータ11は、フィールド59に含まれた障害の有無に関係する状態に対応する進行の状態を示す。
【0090】
図5は、
図4のものに続くステップを示す。コンピュータ11における、最後の第5の補助コマンドに対する応答の受信は、コンピュータ11を第1のループのステップ220からステップ252に遷移させる遷移251を確認し、そこでコンピュータ11は、コンピュータ12のメモリ内の第1のメモリブロックの開始アドレスを読み出すために、第6の補助コマンドをコンピュータ12に送信する。
【0091】
図2に示されるフレーム29は、各々の第6の補助コマンドを表すために用いられ得る。第6の補助コマンドに対して、ターゲットは特に、コンピュータ12におけるメモリブロックアドレス指定レジスタに関係するDIDデータ参照である。
【0092】
コンピュータ12における第6の補助コマンドの受信は、ステップ262を活動化する遷移261を確認し、そこでコンピュータ12は、第6の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0093】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、フィールド54のDID参照によって識別されるデータの読み出しを示すSID $22を含む。
図2のフレーム30のモデルに示される、第6の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $62、およびフィールド57にDID参照の注釈を含む。フィールド59は、そこに第1のデジタルコンポーネントをロードするためにもたらされる第1のメモリブロックの開始アドレスを示す値を含む。
【0094】
コンピュータ11における第6の補助コマンドに対する応答の受信は、コンピュータ11を第1のループのステップ252からステップ254に遷移させる遷移253を確認し、そこでコンピュータ11は、第1のデジタルコンポーネントに対する参照を、コンピュータ12のメモリ内の第1のメモリブロックのヘッダ内に書き込むために、第7の補助コマンドをコンピュータ12に送信する。
【0095】
図2に示されるフレーム29は、各々の第7の補助コマンドを表すために用いられ得る。第7の補助コマンドに対して、ターゲットは特に、コンピュータ12におけるデジタルコンポーネントネーミングレジスタに関係するデータに対するDID参照である。
【0096】
コンピュータ12における第7の補助コマンドの受信は、ステップ264を活動化する遷移263を確認し、そこでコンピュータ12は、第7の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0097】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、フィールド54のDID参照によって識別されるデータの書き込みを示すSID $2Eを含む。
図2のフレーム30のモデルに示される、第7の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $6E、およびフィールド57にDID参照の注釈を含む。フィールド59は、書き込みコマンドの肯定応答を示す値を含む。
【0098】
コンピュータ11における第7の補助コマンドに対する応答の受信は、コンピュータ11を第1のループのステップ254からステップ256に遷移させる遷移255を確認し、そこでコンピュータ11は、デジタルコンポーネントがコンピュータ12の第1のメモリブロックにロードされることを要求する第8の補助コマンドを、コンピュータ12に送信する。
【0099】
図2に示されるフレーム29は、第8の補助コマンドを表すために用いられ得る。第8の補助コマンドに対して、ターゲットは、特に第1のメモリブロックのアドレスである。
【0100】
コンピュータ12における第8の補助コマンドの受信は、ステップ266を活動化する遷移265を確認し、そこでコンピュータ12は、進行中のメモリブロックの内容を削除し、次いで、第8のコマンドの適切な実行を肯定応答する、第8の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。この場合、書き換え可能タイプの物理メモリブロックは、書き換えの前に削除される必要があることが留意されるべきである。
【0101】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、コンピュータ11からコンピュータ12にロードする要求を示すSID $34を含む。フィールド55は、ロードされることになるデジタルコンポーネントのサイズを含む。
図2のフレーム30のモデルに示される、第8の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $74、およびフィールド57にメモリブロックのアドレスの注釈を含む。フィールド58は、ロードされることになるデジタルコンポーネントのサイズを示す。フィールド59は、最大許容ロードサイズを示す値を含む。
【0102】
コンピュータ11における第8の補助コマンドに対する応答の受信は、コンピュータ11を第1のループのステップ256からステップ258に遷移させる遷移257を確認し、そこでコンピュータ11は、デジタルコンポーネントの内容をコンピュータ12の第1のメモリブロックに転送するために、第9の補助コマンドをコンピュータ12に送信する。
【0103】
図2に示されるフレーム29は、第9の補助コマンドを表すために用いられ得る。第9の補助コマンドに対して、ターゲットは、特に第1のメモリブロックのアドレスである。
【0104】
コンピュータ12における第9の補助コマンドの受信は、ステップ268を活動化する遷移267を確認し、そこでコンピュータ12は、第9の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0105】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、デジタルコンポーネントの内容を現在の物理メモリブロックに転送するためのコマンドを示す、SID $36を含む。知られているやり方で、転送は最大サイズのパケットによって行われる。内容のサイズが、パケットの最大サイズを超える場合、転送は、すべての内容が送信されるまで繰り返される。
図2のフレーム30のモデルに示される、第9の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $76、およびフィールド57にメモリブロックのアドレスの注釈を含む。
【0106】
コンピュータ11における第9の補助コマンドに対する応答の受信は、コンピュータ11を第1のループのステップ258からステップ260に遷移させる遷移259を確認し、そこでコンピュータ11は、転送を終了するために、第10の補助コマンドをコンピュータ12に送信する。
【0107】
図2に示されるフレーム29は、第10の補助コマンドを表すために用いられ得る。
【0108】
コンピュータ12における第10の補助コマンドの受信は、ステップ270を活動化する遷移269を確認し、そこでコンピュータ12は、第10の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0109】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、転送モード終了コマンドを示すSID $37を含む。
図2のフレーム30のモデルに示される、第9の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $77、およびフィールド57にメモリブロックのアドレスの注釈を含む。
【0110】
コンピュータ11における第10の補助コマンドに対する応答の受信は、コンピュータ11を第1のループのステップ260からステップ292に遷移させる遷移291を確認し、そこでコンピュータ11は、後続のメモリブロックにロードされることになる、後続のデジタルコンポーネントが存在するかどうかをチェックする。
【0111】
後続のデジタルコンポーネントの存在は、ステップ252から292までの再実行に方法をループバックする遷移293を確認し、それぞれは、識別、サイズ、およびメモリブロックアドレスの観点において、後続の物理メモリブロックに適合される。
【0112】
後続の物理メモリブロックを必要とするデジタルコンポーネントがないことは、ステップ296を活動化する遷移295を確認し、そこでコンピュータ11は、コンピュータ12のメモリブロックの書き込みにおいて障害がないことをチェックするために、第11の補助コマンドをコンピュータ12に送信する。
【0113】
この場合、
図2に示されるフレーム29はまた、第11の補助コマンドを表すために用いられ得る。第11の補助コマンドに対して、ターゲットは、特にメモリ障害コードである。
【0114】
コンピュータ12における第11の補助コマンドの受信は、ステップ272を活動化する遷移271を確認し、そこでコンピュータ12は、第11の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0115】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、診断された障害読み出しを示すSID $19を含む。
図2のフレーム30のモデルに示される、第11の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $59、およびフィールド57に障害コードの注釈を含む。フィールド59は、フィールド57に含まれたコードによって識別される障害があるかないかを示す値を含む。
【0116】
図6は、
図5に示されるものに続く方法の最後のステップを示す。コンピュータ11における第11の補助コマンドに対する応答の受信は、ステップ298を活動化する第2のループの遷移297を確認し、そこでコンピュータ11は、第1のローカルプログラムを活動化するための第12の補助コマンドをコンピュータ12に送信し、そこではコンピュータ12は、第1のデジタルコンポーネントが、コンピュータ12のメモリ内の第1のメモリブロックに正しく書き込まれたことをチェックする。
【0117】
図2に示されるフレーム29は、各々の第12の補助コマンドを表すために用いられ得る。第12の補助コマンドに対して、特にフィールド54に登録されるターゲットは、コンピュータ12内のメモリに記憶された圧縮プログラム参照である。フィールド55は、チェックされることになるメモリブロックのアドレスを含む。
【0118】
コンピュータ12における第12の補助コマンドの受信は、ステップ274を活動化する遷移273を確認し、そこでコンピュータ12は、圧縮プログラムを活動化し、これは特に、物理メモリブロックに書き込まれた内容の圧縮を計算することが関わる。コンピュータ12は、計算された圧縮を含む、第12の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。第12の補助コマンドに対する応答は、コンピュータ11が、コンピュータ12によって計算された圧縮を、内容が物理メモリブロックにロードされる前にコンピュータ11によって保持されていた圧縮と比較することを可能にする。このようにしてコンピュータ11は、書き換えの後に、物理メモリブロックの内容が、物理メモリブロックにロードされることになる内容と一貫性をもつことをチェックすることができる。
【0119】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、フィールド54のプログラム参照によって識別されるプログラムの活動化を示すSID $31を含む。
図2のフレーム30のモデルに示される、第12の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $62、およびフィールド57にDID参照の注釈を含む。フィールド59は、第1のデジタルコンポーネントをロードするためにもたらされる第1のメモリブロックの開始アドレスを示す値を含む。
【0120】
コンピュータ11における第6の補助コマンドに対する応答の受信は、ステップ300を活動化する遷移299を確認し、そこでコンピュータ11は、デジタルコンポーネントの後続のロードのために、次の物理メモリブロックが存在するかどうかをチェックする。
【0121】
次の物理メモリブロックの存在は、ステップ298にループバックする遷移301を確認し、そこでは第1のブロックは次のブロックによって置き換えられるというように、最後の物理メモリブロックまで行われる。
【0122】
次の物理メモリブロックがないことは、ステップ304を活動化する遷移303を確認し、そこでコンピュータ11は、検出された障害を記憶するためのコンピュータ12のメモリを読み出すために、第13の補助コマンドをコンピュータ12に送信する。
【0123】
コンピュータ12における第13の補助コマンドの受信は、ステップ276を活動化する遷移275を確認し、そこでコンピュータ12は、前のステップを実行したときに検出された障害を含む、第13の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0124】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、診断トラブルコード(DTC)情報の読み出しを示すSID $19を含む。コンピュータ12によって処理される各DTC障害は、任意の時点で読み出され得る、エラーメモリと呼ばれる、コンピュータ12の専用メモリ内のそれ自体のコードを用いて記憶されることが留意されるべきである。各障害に関連して、特に障害の発生に関する状況に関連付けられた、追加の情報も記憶され、任意の時点で読み出されることができる。
図2のフレーム30のモデルに示される、第13の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $59、およびフィールド57にDID参照の注釈を含む。フィールド59は、エラーメモリの内容を用いる。
【0125】
コンピュータ11における第13の補助コマンドに対する応答の受信は、ステップ306を活動化する遷移305を確認し、そこでコンピュータ11は、第14の補助コマンドをコンピュータ12に送信する。第14の補助コマンドの効果は、コンピュータ12に、それをデフォルトセッションに戻すように、ステップ216のオープンセッションを終了させることである。したがって、コンピュータ12は、ステップ216と306の間で、上記に記載された対話方法の関連において、コンピュータ11から生じるコマンドを考慮に入れるのみである。ステップ216の前、およびステップ306の後で、コンピュータ12は、
図5および6の観点における前述の対話方法の場合の関連において、コンピュータ11から生じる多くのコマンドがあるものとして、
図4の観点における前述の対話方法の別の場合の関連において、コンピュータ11から生じるコマンドがあるものとして、さらには、例えば、ローカル診断方法またはリモート診断方法など、別の方法の関連において、受信されるコマンドがあるものとして、考慮に入れることができる。
【0126】
コンピュータ12における第14の補助コマンドの受信は、ステップ278を活動化する遷移277を確認し、そこでコンピュータ12は、第14の受信された補助コマンドに対する応答を送信する。
【0127】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、診断セッション制御を示すSID $10を含む。フィールド54は、セッション識別コードを含み、これはこの場合は「デフォルトセッション」である。
図2のフレーム30のモデルに示される、第14の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $50、およびフィールド57にセッション識別コードの注釈を含む。周期的信号がまた、進行の状態の表示を備えるとき、コンピュータ11は、更新セッションの終了に対応する進行の状態を示す。
【0128】
コンピュータ11における第14の補助コマンドに対する応答の受信は、コンピュータ11をステップ306からステップ308に遷移させる遷移307を確認し、そこでコンピュータ11は、第2のローカルプログラムを活動化するために、第15の補助コマンドをコンピュータ12に送信する。
【0129】
第1の実施形態によれば、コンピュータ12は、書き換え可能メモリの単一の活動化可能バンクと、書き換え可能メモリの2つの非活動化可能バンクとを備える。単一の活動化可能バンクは、車両が走行しているときに、車載コンピュータ12によってリアルタイムに実行および/またはアクセスされるデジタルコンポーネントを含む、メモリブロックを備える。第1の非活動化可能バンクは、1つまたは複数の更新されたデジタルコンポーネントをロードするために、上述のメモリブロックを備える。第2の非活動化可能バンクは、第2のローカルプログラムによって用いられ、その実行は、車両が走行する次の時点で更新されたデジタルコンポーネントを用いて単一の活動化可能バンクを活動化するように、車両が走行していないときに、第1の非活動化可能バンクの内容を、単一の活動化可能バンクにコピーする前に、活動化可能バンクの内容を、第2の非活動化可能バンクにコピーすることが関わる。
【0130】
第2の実施形態によれば、コンピュータ12は、書き換え可能メモリの2つの対をなす活動化可能バンクを備える。第1の対をなす活動化可能バンクは、車両が走行しているときに、車載コンピュータ12によってリアルタイムに実行および/またはアクセスされるデジタルコンポーネントを含む、メモリブロックを備える。第2の対をなす活動化可能バンクは、1つまたは複数の更新されたデジタルコンポーネントをロードするための上述のメモリブロックを備える。そして第2のローカルプログラムの実行は、車両が走行していないときに、第1の対をなす活動化可能バンクから第2の対をなす活動可能バンクへの、リアルタイム実行の開始に切り換えることが関わり、その結果として、車両が走行する次の時点で、更新されたデジタルコンポーネントを用いて第2の対をなす活動化可能バンクを活動化し、それに対して第2の対をなす活動化可能バンクは、第1の対をなす活動可能バンクとして動作し、逆も同様である。
【0131】
第15の補助コマンドに先行する補助コマンドのすべてまたはいくつかは、車両が走行しているときに行われ得ることが留意されるべきである。上記で述べられた2つの実施形態は、リアルタイムにデジタルコンポーネントを実行するおよび/またはアクセスするように車両の動作を切り換えるための短い持続時間、言い換えれば、デジタルコンポーネントを更新するために車両走行を止めるための短い持続時間を必要とするだけであるという利点を有する。
【0132】
図2に示されるフレーム29は、第15の補助コマンドを表すために用いられ得る。第15の補助コマンドに対して、特にフィールド54に書き込まれたターゲットは、コンピュータ12内のメモリに記憶された切り換えプログラム参照である。
【0133】
コンピュータ12における第15の補助コマンドの受信は、ステップ280を活動化する遷移279を確認し、そこでコンピュータ12は、第2のローカルプログラム、言い換えれば、第2のローカルプログラムの適切な実行の肯定応答を含む、第15の受信された補助コマンドに対する応答を送信する前の、切り換えプログラムを活動化する。このようにしてコンピュータ11は、コンピュータ12が、最新として読み出されるデジタルコンポーネントのいずれの将来のアクセスおよび/または実行に対して、準備ができていることをチェックすることができる。
【0134】
コマンドがUDSプロトコルに従って用いられるとき、フィールド53は、フィールド54のプログラム参照によって識別されるプログラムの活動化を示すSID $31を含む。
図2のフレーム30のモデルに示される、第15の補助コマンドに対する応答は、フィールド56にSID $62を含む。
【0135】
コンピュータ11における第15の補助コマンドに対する応答の受信は、ステップ310を活動化する遷移309を確認し、そこでコンピュータ11は、周期的信号をレディ状態に設定する。周期的信号はまた、いくつかの補助コマンドを統合するフェーズにおける進行度を備え得る。例えば、コンピュータ11は、ステップ212にパラメータ検証フェーズを示すため、ステップ252に進行中のインストールフェーズを示すため、およびステップ310にインストールフェーズの終了を示すために、進行度を配置する。
【0136】
コンピュータ10におけるレディ状態での周期的信号の受信は、遷移207を確認し、遷移207は、任意の他のメインコマンドを待つ間、コンピュータ10での初期ステップ100を再活動化する。