(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ガス輸送装置
(51)【国際特許分類】
F04B 45/047 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
F04B45/047 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022011276
(22)【出願日】2022-01-27
【審査請求日】2023-08-21
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】508252837
【氏名又は名称】研能科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Microjet Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】NO. 28, R&D 2nd Rd. Science-Based Industrial Park, Hsin-Chu, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】莫皓然
(72)【発明者】
【氏名】陳世昌
(72)【発明者】
【氏名】廖家▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】曾俊隆
(72)【発明者】
【氏名】韓永隆
(72)【発明者】
【氏名】黄啓峰
(72)【発明者】
【氏名】蔡長諺
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/124060(WO,A1)
【文献】特開2018-042453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 45/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース及びトップカバーを含み、前記ケースに吸気端、排気端及び収容溝が設けられ、前記収容溝が前記吸気端及び前記排気端に連通しており、かつ前記トップカバーが前記収容溝に覆っている、ハウジングと、
前記収容溝内に順次積み重ね設置された排気板、弁ディス及び第一プレートを含み、前記弁ディスが前記排気板と前記第一プレートとの間に位置し、前記排気板が複数の排気穴を有し、前記第一プレートが複数の第一貫通穴を有し、前記弁ディスが複数の弁穴を有し、かつ前記弁穴と前記第一貫通穴がずれて設置され、前記弁穴と前記排気穴が対応して設置されている、弁体と
第二プレート、筐体及びアクチュエータ要素を含み、前記第二プレートが前記弁体に積み重ね設置され、前記第二プレートが複数の第二貫通穴を有し、前記第二貫通穴が前記第一貫通穴に対応しており、前記筐体が前記第二プレートに積み重ね設置され、
ワイヤに電気的に接続するためのリードが設けられており、前記アクチュエータ要素が矩形の形態であり、前記筐体に積み重ね設置されている、アクチュエータと、
を含み、
前記アクチュエータ要素が吸気板と、圧電シートと、絶縁筐体と、導電筐体とを含み、
前記吸気板の下側が前記筐体に設けられ、前記吸気板が複数の吸気穴を有し、前記吸気板の上面において前記複数の吸気穴の位置により、前記複数の吸気穴に囲まれた作動領域及び前記複数の吸気穴の周囲にある固定領域を定義し、
前記圧電シートが前記吸気板の前記作動領域に設置され、
前記絶縁筐体が前記吸気板の前記固定領域に設置され、
前記導電筐体が前記絶縁筐体に設置され、前記導電筐体に、別のワイヤに電気的に接続するためのピンと、前記圧電シートと電気的に接触する電極とが設けられており、
前記弁体内に前記第一貫通穴、前記弁穴及び前記排気穴が、前記吸気穴に囲まれた前記作動領域の下に位置し、
前記アクチュエータ
の前記圧電シートが駆動され
て前記吸気板を動かすと、前記第一貫通穴と前記弁穴がずれて設置されることで、気流が順方向である場合、前記弁体が流路を開くように作動し、気流が逆方向である場合、前記弁体が流路を閉じように作動することを特徴とする、ガス輸送装置。
【請求項2】
前記収容溝内に複数の位置決め突起柱が設置され、かつ前記排気板、前記弁ディス、前記第一プレートが、それぞれ前記位置決め突起柱に対応する位置に位置決め穴が設置され、前記排気板、前記弁ディス、前記第一プレートの前記位置決め穴が、前記位置決め突起柱に対応してつけられて、位置決めて前記弁体を構成することを特徴とする、請求項
1に記載のガス輸送装置。
【請求項3】
前記排気板が、表面が凹んで深さを形成した凹部を有し、前記弁ディスが前記排気板に覆い、これによって、前記弁ディスと前記排気板の前記凹部が間隔を保持し、前記間隔と前記排気板の厚さとの比が1:2から2:3であり、前記間隔が40~70μmであることを特徴とする、請求項
1に記載のガス輸送装置。
【請求項4】
前記弁ディスがポリイミドフィルムであり、前記弁ディスの厚さが0.4~0.6μmであることを特徴とする、請求項
1に記載のガス輸送装置。
【請求項5】
前記弁穴の穴径が前記排気穴の穴径より大きいまたは等しく、前記第一貫通穴の穴径が前記第二貫通穴の穴径と同じであることを特徴とする、請求項
1に記載のガス輸送装置。
【請求項6】
前記吸気穴が漸減形状であり、前記吸気穴の数が偶数であり、前記吸気穴の数が48または52であることを特徴とする、請求項
1に記載のガス輸送装置。
【請求項7】
前記吸気穴の前記吸気板の平面における配列形状が、矩形、正方形、円形のいずれかであることを特徴とする、請求項
1に記載のガス輸送装置。
【請求項8】
前記作動領域が正方形であり、前記圧電シートが正方形であり、前記ガス輸送装置が、前記吸気板と前記圧電シートとの間に設置された緩衝シートをさらに含み、前記排気板、前記第一プレート、前記第二プレートがいずれも金属板であり、前記アクチュエータ要素の前記圧電シートが20~22kHzの作動周波数を維持することを特徴とする、請求項
1に記載のガス輸送装置。
【請求項9】
前記排気穴の穴径が100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μmのいずれかまたはそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項
1に記載のガス輸送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス輸送装置、特に大流量のガス輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在各分野において、医薬、コンピュータ科学技術、印刷、エネルギーなどの工業を問わず、製品は精緻化及び微小化の方向に発展しており、マイクロポンプ、噴霧器、インクジェットヘッド、工業用印刷装置などの製品に含まれる流体を輸送するためのポンプは、そのキー要素であるため、どのように革新的な構造でその技術的なボトルネックを突破するかは、発展の重要な内容である。
【0003】
科学技術の日進月歩に伴い、流体輸送装置の応用もますます多様化しており、例えば、工業応用、生医学応用、医療保健、電子放熱など、さらに最近人気のあるウェアラブル装置にもその影が見られ、従来のポンプは、装置の微小化、流量の極大化という傾向があることが分かる。
【0004】
しかし、現在ガス輸送装置は、流量の極大化という傾向があり、その主な構造設計は逆流を防止し、一方向の流量を生成することであり、そこで、大流量のガス輸送装置をどのように構成するかは、本発明の研究開発の主要な課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、排気板、弁ディス、第一プレート、第二プレート及び方形のアクチュエータ要素の順に積み重ね、組み合わせて使用するガス輸送装置を提供することにあり、弁ディス、第一プレート及び第二プレートの構造からなる弁体により、気流が順方向である場合、弁体が流路を開くように動作し、気流が逆方向である場合、弁体が流路を閉じるように動作し、これにより、逆流を防止し、一方向の気流を生成し、大流量のガス輸送装置を構成する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の広義の実施形態は、ケース及びトップカバーを含むハウジングであって、前記ケースに吸気端、排気端及び収容溝が設けられ、前記収容溝が前記吸気端及び前記排気端に連通しており、かつ前記トップカバーが前記収容溝に覆っているハウジングと、前記収容溝内に順次積み重ね設置された排気板、弁ディス及び第一プレートを含む弁体であって、前記弁ディスが前記排気板と前記第一プレートとの間に位置し、前記排気板が複数の排気穴を有し、前記第一プレートが複数の第一貫通穴を有し、前記弁ディスが複数の弁穴を有し、かつ前記弁穴と前記第一貫通穴がずれて設置され、前記弁穴と前記排気穴が対応して設置されている弁体と、第二プレート、筐体及びアクチュエータ要素を含むアクチュエータであって、前記第二プレートが前記弁体に積み重ね設置され、かつ前記第二プレートの厚さが前記第一プレートの厚さよりも大きく、前記第二プレートが複数の第二貫通穴を有し、前記第二貫通穴が前記第一貫通穴に対応しており、前記筐体が前記第二プレートに積み重ね設置され、前記アクチュエータ要素が矩形の形態であり前記筐体に積み重ね設置されているアクチュエータと、を含むガス輸送装置である。これにより、前記アクチュエータが駆動されると、前記第一貫通穴と前記弁穴がずれて設置されることで、気流が順方向である場合、前記弁体が流路を開くように作動し、気流が逆方向である場合、前記弁体が流路を閉じるように作動する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本発明のガス輸送装置の外観模式図である。
【
図1B】本発明のガス輸送装置の分解模式図である。
【
図2A】本発明のガス輸送装置を上面から見た平面模式図である。
【
図2B】
図2AにおけるA-A断面線から見た断面模式図である。
【
図2C】
図2AにおけるB-B断面線から見た断面模式図である。
【
図2D】
図2Cにおける記号Cから見た部分断面模式図である。
【
図3A】本発明のガス輸送装置の動作模式図である。
【
図3B】本発明のガス輸送装置の動作模式図である。
【
図3C】本発明のガス輸送装置の動作模式図である。
【
図4A】本発明のガス輸送装置の動作模式図である。
【
図4B】本発明のガス輸送装置の動作模式図である。
【
図5】本発明のガス輸送装置の別の実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において記述する。本発明は異なる態様において様々な変化を有することができ、いずれも本発明の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に例示するために用いられものであり、本発明を限定する意図はないことを理解されたい。
【0009】
本発明はガス輸送装置100を提供し、
図1A、
図1B及び
図2Aを参照し、ガス輸送装置100はハウジング1、弁ディス22及びアクチュエータ3を含む。
【0010】
上記ハウジング1はケース11及びトップカバー12を含み、ケース11は方形のボックス体であり、吸気端111、排気端112、収容溝113及び複数の位置決め突起柱114を有し、吸気端111と排気端112は、それぞれケース11の対向する両側壁に位置し、かつ収容溝113に連通しており、複数の位置決め突起柱114は収容溝113内に位置し、本実施形態では、位置決め突起柱114は4つであり、それぞれ収容溝113の四隅に設置されているが、これに限定されるものではなく、トップカバー12は前記ケース11に固定されかつ収容溝113をカバーする。
【0011】
図1A、
図1B及び
図2Aから
図2Dに示すように、弁体2は、収容溝113内に順次積み重ね設置された排気板21、弁ディス22、第一プレート23を含み、かつ弁ディス22は排気板21と第一プレート23との間に位置し、排気板21、弁ディス22、第一プレート23は、それぞれ位置決め突起柱114に対応する位置に位置決め穴20が設置されることで、排気板21、弁ディス22、第一プレート23の位置決め穴20は、ケース11の位置決め突起柱114に対応してつけて、位置決めて弁体2を構成することができ、逆流を防止して一方向の流量を生成する作用を有する。かつ、本実施形態では、排気板21、第一プレート23はいずれも金属板であり、弁ディス22は、厚さ約0.4~0.6マイクロメートル(μm)、最も好ましくは0.5マイクロメートル(μm)の可撓性フィルムであり、本実施形態では、弁ディス22は、ポリイミドフィルム(Polyimide Film)であることが好ましいが、これに限定されない。
【0012】
上記排気板21は複数の排気穴211を有し、第一プレート23は複数の第一貫通穴231を有し、弁ディス22は複数の弁穴221を有し、弁穴221と第一貫通穴231の位置が互いにずれていることで、弁ディス22は第一貫通穴231を閉じることができ、弁穴221と排気穴211の位置は互いに対応しており、かつ弁穴の穴径d4は排気穴の穴径d2より大きいまたは等しく、このような排気穴211の穴径設計により、弁体2が流路を開く時、大流量の気流が弁穴221から、排気穴211を経て速やかに排出される。また、排気板21は、表面が凹んで深さを形成した凹部212を有し、弁ディス22は排気板21に覆い、これによって、弁ディス22と排気板21の凹部212は間隔Gを保持し、この間隔Gと排気板21の厚さとの比は1:2から2:3であり、約40~70マイクロメートル(μm)であり、本実施形態では、最も好ましくは60マイクロメートル(μm)である。このような弁体2の設計により、弁ディス22が第一プレート23の方向に向かって偏在する時、弁ディス22は第一貫通穴231を閉じることができ、弁体2は流路を閉じるように動作し(
図3Bに示すように)、弁ディス22が排気板21の方向に向かって偏在する時、弁ディス22は間隔Gにおいて気流を振動させることができ、かつ気流(矢印で示される経路)は弁穴221を通って排気穴211を経て速やかに排出され、弁体2は流路を開くように動作する(
図3Cに示すように)。この弁体2の設計により、逆流を防止して一方向気流の大流量制御の作用を生じる。
【0013】
また、アクチュエータ3は、第二プレート31、筐体32、アクチュエータ要素33を含み、上記第二プレート31は第一プレート23に固設され、かつ第二プレート31の厚さは第一プレート23よりも大きく、第二プレート31は複数の第二貫通穴311を有し、第二貫通穴311の数、位置、穴径はすべて、第一貫通穴231に対応しており、本実施形態では、第二貫通穴311の穴径は、第一貫通穴231の穴径と同じである。筐体32に、ワイヤで電気的に接続するためのリード321が設けられている。本実施形態では、第二プレート31は金属板である。
【0014】
上記筐体32は第二プレート31に位置決め設置され、アクチュエータ要素33は筐体32に位置決め設置されている。上記アクチュエータ要素33は吸気板331、圧電シート332、絶縁筐体333、導電筐体334を含む。
【0015】
上記吸気板331は複数の吸気穴3311を有し、吸気穴3311は吸気板331の平面においてある形状に沿って配列設置され、本実施形態では、吸気穴3311は正方形に沿って配列され、吸気板331は、吸気穴3311の配列形状により、吸気穴3311に囲まれた作動領域3312及び吸気穴3311の周囲に位置する固定領域3313を定義する。上記吸気穴3311は漸減形状であり、吸気効率を向上させることができ、入りやすい出にくくガスの逆流を防止するという効果を有し、かつ吸気穴3311の数は偶数であり、一実施形態では、吸気穴3311の数は48であり、別の実施形態では、吸気穴3311の数は52であり、これに限定されない。なお、上記吸気穴3311の配列形状は、矩形、正方形、円形などであってもよい。
【0016】
上記圧電シート332の形状は正方形であり、圧電シート332は吸気板331の作動領域3312に設置され、圧電シート332は吸気板331の作動領域3312に対応している。本実施形態では、吸気穴3311が正方形に配列されている場合、作動領域3312が正方形に定義され、圧電シート332も正方形であり、かつ上記のように、吸気穴3311の配列形状は、矩形、正方形、円形などであってもよく、作動領域3312は、吸気穴3311の配列に応じてその形状が変化し、圧電シート332もその形状に対応している。
【0017】
上記絶縁筐体333は吸気板331の固定領域3313に設置され、導電筐体334は絶縁筐体333に設置されている。上記導電筐体334は電極3341及びピン3342を有し、電極3341は圧電シート332と電気的に接触しており、ピン3342は外部ワイヤに接続され、吸気板331自体も導電材料であり、圧電シート332と電気的に接触しており、かつ筐体32のリード321は別のワイヤに接続されて、アクチュエータ要素33の駆動ループを完成させることができ、このように、本発明のガス輸送装置100は2本のワイヤにより駆動信号を送信することができ、一方のワイヤは導電筐体334のピン3342を介して、駆動信号を電極3341から圧電シート332に送信し、他方のワイヤは筐体32のリード321を介して、筐体32が吸気板331に密着接触し、吸気板331が圧電シート332に密着することで、駆動信号を圧電シート332に送信し、これによって、圧電シート332は駆動信号(駆動電圧及び駆動周波数)を受信して変形し、さらにアクチュエータ要素33に上下変位するための駆動を発生させる(
図3Bから
図3Cに示すように)。
【0018】
上記アクチュエータ要素33の形状は矩形の形態であり、本発明の具体的な実施形態では、アクチュエータ要素33の形状は正方形であるため、本発明は同一の装置の周辺寸法において、アクチュエータ要素33は正方形の外観設計を採用し、その構成要素である吸気板331、圧電シート332、絶縁筐体333、導電筐体334も対応して正方形を採用し、従来公知の円形のアクチュエータ要素の設計に比べて、明らかに省電力の利点があり、かつその消費電力の比較は以下の表一に示す。
【0019】
【0020】
したがって、アクチュエータ要素33は共振周波数で動作する容量性負荷であり、その消費電力は周波数の上昇に伴って増加するが、正方形設計のアクチュエータ要素33の共振周波数が、円形のアクチュエータ要素よりも著しく低いため、その対応する消費電力も著しく低く、すなわち、本発明に採用される正方形設計のアクチュエータ要素33は、従来の円形のアクチュエータ要素の設計に比べて、省電力という利点がある。
【0021】
図1A、
図1B、
図2Aから
図2D、
図3Aから
図3C及び
図4Aから
図4Bを参照し、上記排気板21、弁ディス22、第一プレート23、第二プレート31及びアクチュエータ要素33は、ハウジング1のケース11の収容溝113内に順次積み重ね収容され、トップカバー12によってケース11に固定され、収容溝113がカバーされてガス輸送装置100が構成され、アクチュエータ要素33は、吸気板331、圧電シート332、絶縁筐体333、導電筐体334の順に筐体32に積み重ね固設され、アクチュエータ要素33、筐体32、第二プレート31の間に吸気チャンバ322を形成する。また、第一プレート23の第一貫通穴231及び第二プレート31の第二貫通穴311は、いずれも吸気板331の作動領域3312の垂直投影領域の下に位置し、作動領域3312に垂直に対応している。
【0022】
本発明の具体的な実施形態では、
図3Aから
図3Cに示すように、圧電シート332が駆動信号(駆動電圧及び駆動周波数)を受信すると、逆圧電効果により電気エネルギーから機械エネルギーに変換され、駆動電圧の大きさに応じて圧電シート332の変形量を制御し、駆動周波数を操作することで圧電シート332の変形周波数を制御し、圧電シート332の変形によりアクチュエータ要素33にガスの輸送を開始させる。
【0023】
さらに、
図3Bを参照し、駆動信号を受信した後、圧電シート332は変形し始め、吸気板331を動かして上向きに曲げ、このとき、吸気チャンバ322の容積が大きくなり、負圧が形成されて、弁ディス22が上向きに吸引されかつ第一プレート23の第一貫通穴231を閉じ、このとき、
図4Aに示すように、ケース11の吸気端111側のガスは、アクチュエータ要素33内に吸い込まれ、吸気チャンバ322内に入る。さらに
図3Cを参照し、圧電シート332は駆動信号を受信して再び変形し、吸気板331を動かして下向きに曲げ、吸気チャンバ322を圧縮し、このとき、
図4に示すように、ケース11の吸気端111側のガスは、アクチュエータ要素33内に吸い込まれると同時に、吸気チャンバ322内部のガスが推進されて、それぞれ第二プレート31の第二貫通穴311及び第一プレート23の第一貫通穴231を通って下向きに輸送され、これによって、運動エネルギーがアクチュエータ要素33から下向きに伝達されて間隔Gに伝達される時、運動エネルギーにより弁ディス22を推進して変位させることができ、弁ディス22が第一貫通穴231から離脱して排気板21に当接し、さらに流路を開くように動作し、ガスを弁穴221を通って排気板21の排気穴211に下向きに輸送し、さらに排気穴211を通って、最後にケース11の排気端112からガスを排出する(
図4Bに示すように)。その後、また
図3Bに示すように、圧電シート332は吸気板331を動かして上向きに曲げ、吸気チャンバ322の容積を増加させる時、吸気チャンバ322内に負圧状態が形成されることで、弁ディス22は第一貫通穴231を閉じて、ガスが弁穴221及び第一貫通穴231、第二貫通穴311を通って吸気チャンバ322に逆流することを回避し、かつ収容溝113のガスが吸気チャンバ322に入る時、収容溝113のガス圧はガス輸送装置100外部のガス圧よりも低くなり、ガス輸送装置100外のガスは吸気端111を通って収容溝113に入る(
図4Aに示すように)。圧電シート332が駆動信号を受信して再び変形し、アクチュエータ要素33を再び動かして下向きに変位させる時、前記のように、吸気チャンバ322内のガスが下向きに導送され、最後に排気端112から排出され、駆動信号により前記ステップを継続することで、ガスを吸気端111から速やかに導入し、排気端112から排出することができ、大流量の効果を達成する。
【0024】
さらに
図5を参照し、別の実施形態では、ガス輸送装置100は、圧電シート332と吸気板331との間に設置され、圧電シート332と吸気板331との間の共振周波数を調整するための緩衝シート335をさらに含むことができる。
【0025】
上記排気板21、弁ディス22、第一プレート23で弁体2を構成し、弁体2の流体の総流量は、排気穴211、弁穴221、第一貫通穴231の穴径または数に応じて設計・実現することができ、以下の表2に示す排気穴211の穴径と数及び弁穴221、第一貫通穴231の数の関係表を参照して、ガス輸送装置100が大流量を達成する最良の効果を実現する。
【0026】
【0027】
なお、本発明の具体的な実施形態では、排気板21、弁ディス22、第一プレート23で弁体2を構成し、設計上に弁ディス22が厚さ約0.4~0.6マイクロメートル(μm)の可撓性フィルであり、かつ弁ディス22と排気板21の凹部212との間に保持される間隔Gが約40~70マイクロメートル(μm)の範囲内であることから、アクチュエータ要素33の圧電シート332が20~22キロヘルツ(kHz)の作動周波数、最も好ましくは21キロヘルツ(kHz)の作動周波数を維持し、30マイクロメートル(μm)の波長での圧差の振動を維持し、3マイクロメートル(μm)の弁ディス22を排気板21の凹部212に設置することによって保持された40~70マイクロメートル(μm)の範囲内の間隔Gと合わせることにより、この間隔G内で振動して粗密波を形成し、一方向に導流し、逆流を防止することができる最良の効果が得られ、これによって最大流量が得られ、空気の流れに伴う弁体による圧力降下を最小化することは、弁性能を最大化するには重要である。
【0028】
上記のように、本発明に提供されるガス輸送装置は、排気板、弁ディス、第一プレート、第二プレート及び方形のアクチュエータ要素の順に積み重ね、組み合わせて使用し、弁ディス、第一プレート及び第二プレートの構造で弁体を構成し、弁体内に第一貫通穴、弁穴及び排気穴は、いずれも吸気穴に囲まれた作動領域の下に位置し、圧電シートが吸気板を動かす時、ガスを速やかに下向きに導送することができ、さらに、第一貫通穴と弁穴との間の位置ずれ処理により、気体の逆流を回避し、大流量及び気体の逆流を回避する構造を有し、気流が順方向である場合、弁体が流路を開くように動作し、気流が逆方向である場合、弁体が流路を閉じるように動作し、これにより、逆流を防止し、一方向の気流を生成し、ガスの輸送量を増加させ、ガスの流量を大幅に増やし、大流量のガス輸送装置を構成することができ、産業上の利用可能性が極めて高い。
【0029】
本発明は、当業者なら様々な修正を加えることができるが、特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0030】
100... ガス輸送装置
1... ハウジング
11... ケース
111... 吸気端
112... 排気端
113... 収容溝
114... 位置決め突起柱
12... トップカバー
2... 弁体
20... 位置決め穴
21... 排気板
211... 排気穴
212... 凹部
23... 第一プレート
231... 第一貫通穴
22... 弁ディス
221... 弁穴
3... アクチュエータ
31... 第二プレート
311... 第二貫通穴
32... 筐体
321... リード
322... 吸気チャンバ
33... アクチュエータ要素
331... 吸気板
3311... 吸気穴
3312... 作動領域
3313... 固定領域
332... 圧電シート
333... 絶縁筐体
334... 導電筐体
3341... 電極
3342... ピン
335... 緩衝シート
A-A... 断面線
B-B... 断面線
C... 記号
d2... 排気穴の穴径
d4... 弁穴の穴径
G... 間隔