(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】通信システム、受信局、通信方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/04 20090101AFI20241211BHJP
H04W 48/16 20090101ALI20241211BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20241211BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W48/16 132
H04W48/18 111
(21)【出願番号】P 2022014700
(22)【出願日】2022-02-02
【審査請求日】2024-04-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄大
(72)【発明者】
【氏名】樫原 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】大岸 智彦
【審査官】中村 信也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/069066(WO,A1)
【文献】特表2013-535907(JP,A)
【文献】特開2006-333367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信局と受信局とを備える通信システムにおいて、
前記送信局は、
前記送信局と前記受信局との間の第1通信回線を使用して映像データの送信を行う第1送信部と、
前記送信局と前記受信局との間の第2通信回線を使用して映像データの送信を行う第2送信部と、
を備え、
前記第1送信部が送信する前記映像データは、動画圧縮されたデータであり、
前記送信局は、前記第1通信回線と前記第2通信回線との両方で、前記映像データを送信し、
前記受信局は、
前記第1通信回線を使用して映像データの受信を行う第1受信部と、
前記第2通信回線を使用して映像データの受信を行う第2受信部と、
前記第1受信部の前記第1通信回線の受信データに含まれる
前記映像データのフレームの全情報を保持した第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、前記送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する回線選択部と、
前記回線選択部によって選択された前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれかの通信回線を使用して受信した映像データを表示させる制御部と、
を備える、
通信システム。
【請求項2】
前記回線選択部は、前記第1通信回線の受信データに含まれる前記第1フレームのデコードが成功している第1状態と、前記第1通信回線の受信データに含まれる前記第1フレームのデコードが失敗している第2状態と、ビデオストリームの停止を検知した第3状態との間で遷移させ、前記受信局が前記第1状態、前記第2状態および前記第3状態のいずれであるかに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、前記送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1状態は、パスロスを検出することなく、前記第1受信部の前記第1通信回線の受信データに含まれる前記第1フレームと前記第1フレームを参照することによってデコードができる第2フレームとの両方のデコードが成功している状態であり、
前記第2状態は、パスロスを検出し、又は第1受信部の第1通信回線の受信データに含まれる前記第1フレームと前記第2フレームとのいずれか一方又は両方のデコードが失敗している状態である、請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記回線選択部は、前記第2状態で、前記第1通信回線の受信データに含まれる前記第1フレームのデコードに成功した場合に、前記第1状態に遷移させ、前記第3状態で、ビデオストリームの再開を検知した場合に、前記第1状態に遷移させる、請求項2又は請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記回線選択部は、前記第1フレームを参照することによってデコードができる第2フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、前記送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する、請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
前記回線選択部は、
前記第1フレームをペイロードに含むパケットを受信したか否か、又は前記パケットの累積受信数に基づいて、前記送信局から映像データを受信する受信回線を選択する、請求項1又は請求項
5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記回線選択部は、パケットロスを検出したか否か、又はパケットロスの累積数に基づいて、前記送信局から映像データを受信する受信回線を選択する、請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記回線選択部は、
前記第1フレームのデコードが完了したか否か、又はデコードが完了した第1フレームの累積数に基づいて、前記送信局から映像データを受信する受信回線を選択する、請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第1送信部は、前記第1通信回線を使用して第1映像データを送信し、
前記第2送信部は、前記第2通信回線を使用して前記第1映像データとは異なる第2映像データを送信する、請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項10】
第1通信回線を使用して映像データの受信を行う第1受信部と、
第2通信回線を使用して映像データの受信を行う第2受信部と、
前記第1受信部の前記第1通信回線の受信データに含まれる
前記映像データのフレームの全情報を保持した第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する回線選択部と
、
前記回線選択部によって選択された前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれかの通信回線を使用して受信した映像データを表示させる制御部と、
を備え、
前記第1受信部が受信する前記映像データは、動画圧縮されたデータであ
り、
前記映像データは、前記第1通信回線と前記第2通信回線との両方で送信される、受信局。
【請求項11】
送信局と受信局とを備える通信システムの通信方法において、
前記送信局が、前記送信局と前記受信局との間の第1通信回線
と第2通信回線との両方を使用して映像データの送信を行
う送信ステップと
、
前記受信局が、前記第1通信回線を使用して映像データの受信を行う第1受信ステップと、
前記受信局が、前記第2通信回線を使用して映像データの受信を行う第2受信ステップと、
前記受信局が、記第1通信回線の受信データに含まれる
前記映像データのフレームの全情報を保持した第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、前記送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する回線選択ステップと、
前記回線選択ステップで選択された前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれかの通信回線を使用して受信した映像データを表示させる表示ステップと、
を有し、
前
記送信ステップで送信される前記映像データは、動画圧縮されたデータである、
通信方法。
【請求項12】
第1通信回線を使用して映像データの受信を行う第1受信ステップと、
第2通信回線を使用して映像データの受信を行う第2受信ステップと、
前記第1通信回線の受信データに含まれる
前記映像データのフレームの全情報を保持した第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する回線選択ステップと
、
前記回線選択ステップで選択された前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれかの通信回線を使用して受信した映像データを表示させる表示ステップと、
を有し、
前記第1受信ステップで受信される前記映像データは、動画圧縮されたデータであ
り、
前記映像データは、前記第1通信回線と前記第2通信回線との両方で送信される、受信局が実行する通信方法。
【請求項13】
受信局のコンピュータプログラムに、
第1通信回線を使用して映像データの受信を行う第1受信ステップと、
第2通信回線を使用して映像データの受信を行う第2受信ステップと、
前記第1通信回線の受信データに含まれる
前記映像データのフレームの全情報を保持した第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する回線選択ステップと
、
前記回線選択ステップで選択された前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を使用して受信した映像データを表示させる表示ステップと、
を実行させ、
前記第1受信ステップで受信される前記映像データは、動画圧縮されたデータであ
り、
前記映像データは、前記第1通信回線と前記第2通信回線との両方で送信される、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、受信局、通信方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転車の遠隔監視では,しばしば自動運転車に取り付けられた車載カメラから送信される映像による監視が行われる。このため、車載カメラ映像が途切れなく受信でき、表示できる環境の構築が重要となる。
通信の接続性確保のために,現用系と予備系とを備え、現用系で通信ができなくなった場合に予備系に切り替えて通信を継続させる通信システムが知られている。例えば、現用系と予備系との対向装置がデータの受信状況をフィードバックし、そのフィードバック状況に応じて回線の切り替えを行う(例えば、特許文献1参照)。例えば、送信機と受信機とを冗長構成し、同一のデータを両方の伝送路に流すことにより、現用系の伝送路に異常が発生した場合でも、受信側で予備系の伝送路からのデータを採用することにより、無瞬断で映像を受信する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-147055号公報
【文献】特開2009-017508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した技術は、通信の状況が悪化してから回線の切り替えを行うため、通信ができない状態が少なからず発生する。このため、遠隔監視システムにこの技術を適用した場合に、映像が受信できず監視が継続できない状態が発生することが想定される。前述した技術は、現用系と予備系に同一の映像データを送信し、現用系と予備系との受信データの時刻同期をとるために受信部にバッファを設けている。このため、映像表示までに遅延時間が発生する。
本発明の目的は、送信局と受信局との間で複数の通信回線を利用する際に、いずれの通信回線を利用するかを受信局が判断できる通信システム、受信局、通信方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一態様は、送信局と受信局とを備える通信システムにおいて、前記送信局は、前記送信局と前記受信局との間の第1通信回線を使用して映像データの送信を行う第1送信部と、前記送信局と前記受信局との間の第2通信回線を使用して映像データの送信を行う第2送信部と、を備え、前記第1送信部が送信する前記映像データは、動画圧縮されたデータであり、前記送信局は、前記第1通信回線と前記第2通信回線との両方で、前記映像データを送信し、前記受信局は、前記第1通信回線を使用して映像データの受信を行う第1受信部と、前記第2通信回線を使用して映像データの受信を行う第2受信部と、前記第1受信部の前記第1通信回線の受信データに含まれる前記映像データのフレームの全情報を保持した第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、前記送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する回線選択部と、前記回線選択部によって選択された前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれかの通信回線を使用して受信した映像データを表示させる制御部と、を備える、通信システムである。
(2)本発明の一態様は、上記(1)に記載の通信システムにおいて、回線選択部は、前記第1通信回線の受信データに含まれる前記第1フレームのデコードが成功している第1状態と、前記第1通信回線の受信データに含まれる前記第1フレームのデコードが失敗している第2状態と、ビデオストリームの停止を検知した第3状態との間で遷移させ、前記受信局が前記第1状態、前記第2状態および前記第3状態のいずれであるかに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、前記送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する。
(3)本発明の一態様は、上記(2)に記載の通信システムにおいて、前記第1状態は、パスロスを検出することなく、前記第1受信部の前記第1通信回線の受信データに含まれる前記第1フレームと前記第1フレームを参照することによってデコードができる第2フレームとの両方のデコードが成功している状態であり、前記第2状態は、パスロスを検出し、又は第1受信部の第1通信回線の受信データに含まれる前記第1フレームと前記第2フレームとのいずれか一方又は両方のデコードが失敗している状態である。
(4)本発明の一態様は、上記(2)又は上記(3)に記載の通信システムにおいて、前記回線選択部は、前記第2状態で、前記第1通信回線の受信データに含まれる前記第1フレームのデコードに成功した場合に、前記第1状態に遷移させ、前記第3状態で、ビデオストリームの再開を検知した場合に、前記第1状態に遷移させる。
(5)本発明の一態様は、上記(1)に記載の通信システムにおいて、前記回線選択部は、前記第1フレームを参照することによってデコードができる第2フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、前記送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する。
(6)本発明の一態様は、上記(1)又は上記(5)に記載の通信システムにおいて、前記回線選択部は、前記第1フレームをペイロードに含むパケットを受信したか否か、又は前記パケットの累積受信数に基づいて、前記送信局から映像データを受信する受信回線を選択する。
(7)本発明の一態様は、上記(1)から上記(5)のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記回線選択部は、パケットロスを検出したか否か、又はパケットロスの累積数に基づいて、前記送信局から映像データを受信する受信回線を選択する。
(8)本発明の一態様は、上記(1)から上記(7)のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記回線選択部は、前記第1フレームのデコードが完了したか否か、又はデコードが完了した第1フレームの累積数に基づいて、前記送信局から映像データを受信する受信回線を選択する。
(9)本発明の一態様は、上記(1)から上記(8)のいずれか一項に記載の通信システムにおいて、前記第1送信部は、前記第1通信回線を使用して第1映像データを送信し、前記第2送信部は、前記第2通信回線を使用して前記第1映像データとは異なる第2映像データを送信する。
【0006】
(10)本発明の一態様は、第1通信回線を使用して映像データの受信を行う第1受信部と、第2通信回線を使用して映像データの受信を行う第2受信部と、前記第1受信部の前記第1通信回線の受信データに含まれる前記映像データのフレームの全情報を保持した第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する回線選択部と、前記回線選択部によって選択された前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれかの通信回線を使用して受信した映像データを表示させる制御部と、を備え、前記第1受信部が受信する前記映像データは、動画圧縮されたデータであり、前記映像データは、前記第1通信回線と前記第2通信回線との両方で送信される、受信局である。
【0007】
(11)本発明の一態様は、送信局と受信局とを備える通信システムの通信方法において、前記送信局が、前記送信局と前記受信局との間の第1通信回線と第2通信回線との両方を使用して映像データの送信を行う送信ステップと、前記受信局が、前記第1通信回線を使用して映像データの受信を行う第1受信ステップと、前記受信局が、前記第2通信回線を使用して映像データの受信を行う第2受信ステップと、前記受信局が、記第1通信回線の受信データに含まれる前記映像データのフレームの全情報を保持した第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、前記送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する回線選択ステップと、前記回線選択ステップで選択された前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれかの通信回線を使用して受信した映像データを表示させる表示ステップと、を有し、前記送信ステップで送信される前記映像データは、動画圧縮されたデータである、通信方法である。
【0008】
(12)本発明の一態様は、第1通信回線を使用して映像データの受信を行う第1受信ステップと、第2通信回線を使用して映像データの受信を行う第2受信ステップと、前記第1通信回線の受信データに含まれる前記映像データのフレームの全情報を保持した第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する回線選択ステップと、前記回線選択ステップで選択された前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を使用して受信した映像データを表示させる表示ステップと、を有し、前記第1受信ステップで受信される前記映像データは、動画圧縮されたデータであり、前記映像データは、前記第1通信回線と前記第2通信回線との両方で送信される、受信局が実行する通信方法である。
【0009】
(13)本発明の一態様は、受信局のコンピュータプログラムに、第1通信回線を使用して映像データの受信を行う第1受信ステップと、第2通信回線を使用して映像データの受信を行う第2受信ステップと、前記第1通信回線の受信データに含まれる前記映像データのフレームの全情報を保持した第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する回線選択ステップと、前記回線選択ステップで選択された前記第1通信回線と前記第2通信回線とのうちいずれの通信回線を使用して受信した映像データを表示させる表示ステップと、を実行させ、前記第1受信ステップで受信される前記映像データは、動画圧縮されたデータであり、前記映像データは、前記第1通信回線と前記第2通信回線との両方で送信される、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、送信局と受信局との間で複数の通信回線を利用する際に、いずれの通信回線を利用するかを受信局が判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る固定局に適用される状態遷移モデルの一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る送信側(送信局)の送信処理の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る受信側(受信局)の受信処理の一例を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図6】第3実施形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本実施形態の通信システム、受信局、通信方法、及びコンピュータプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図である。第1実施形態に係る通信システム1では、移動局100と固定局200との間で通信を行う。通信システム1は、移動局100が送信局となって固定局200(受信局)へデータを送信する場合と、移動局100が受信局となって固定局200(送信局)からデータを受信する場合と、がある。
通信システム1は、例えば、自動運転車である移動局100と遠隔監視卓である固定局200とが通信を行うものであって、遠隔監視卓により遠隔で自動運転車を監視するためのものである。この遠隔監視では、自動運転車の挙動を常時監視することから、移動局100と固定局200との間の安定した通信が要求される。
移動局100は、第1通信端末101と、第2通信端末102と、制御部103とを備える。固定局200は、第1通信端末201と、第2通信端末202と、制御部203と、回線選択部204と、映像表示部205とを備える。
【0014】
(移動局)
第1通信端末101は、第1無線通信ネットワークNW1を利用して通信を行う。第1通信端末101は、第1無線通信ネットワークNW1の基地局に接続して当該基地局との間で無線通信を行う。移動局100の第1通信端末101は、固定局200の第1通信端末201との間の通信回線L1を確立する。通信回線L1は第1通信回線に対応する。
第2通信端末102は、第2無線通信ネットワークNW2を利用して通信を行う。第2通信端末102は、第2無線通信ネットワークNW2の基地局に接続して当該基地局との間で無線通信を行う。移動局100の第2通信端末102は、固定局200の第2通信端末202との間の通信回線L2を確立する。通信回線L2は第2通信回線に対応する。
【0015】
通信回線L1は、主に利用される通信回線である。通信回線L2は、予備的に利用される通信回線である。通信回線L1に利用される第1無線通信ネットワークNW1は、例えば通信性能や費用面で優れている無線通信ネットワークである。一方、通信回線L2が予備的に利用されることから、通信回線L2に利用される第2無線通信ネットワークNW2は、第1無線通信ネットワークNW1と同等以上の通信の安定性を有することが好ましい。第2無線通信ネットワークNW2は、例えば、移動通信の通信エリアが第1無線通信ネットワークNW1よりも広かったり、通信断が第1無線通信ネットワークNW1よりも発生しにくかったりすることが好ましい。
例えば、第1無線通信ネットワークNW1が通信性能面で優れる5G(第5世代移動通信システム)である場合に、第2無線通信ネットワークNW2が通信安定面で優れるLTE(Long Term Evolution)システムである。例えば、第1無線通信ネットワークNW1が費用面で優れるWiMAXシステムである場合に、第2無線通信ネットワークNW2が通信安定面で優れるLTEシステムである。例えば、海上での利用において、第1無線通信ネットワークNW1が費用面で優れるLTEシステムである場合に、第2無線通信ネットワークNW2が通信安定面で優れる衛星回線システムである。
【0016】
制御部103は、移動局100の制御を行う。制御部103は、移動局100の操作者や移動局側システム10等からの通信の開始や終了の指示に従って、移動局100の通信の開始や終了を制御する。移動局側システム10の一例は、例えば自動運転車の自動運転制御システムである。自動運転制御システムは、監視対象車両の車両に関する情報を制御部103に送信する。車両に関する情報の一例は、車載カメラ映像、車両の位置情報、走行経路情報などである。
制御部103は、移動局側システム10から受信した送信データを、通信回線L1と通信回線L2とのうち少なくとも一方の通信回線により固定局200へ送信する。固定局200へデータを送信する送信回線として主に利用される通信回線は通信回線L1である。送信データの一例は、映像データである。以下、送信データが映像である場合について説明を続ける。
制御部103は、映像をエンコードする。例えば、制御部103は、動画圧縮技術を使用して、映像を、Iフレーム(intra-coded frame)とPフレーム(predicted frame)とを含む映像データにエンコードする。Iフレームは、フレーム全ての情報を保持したフレームである。受信局は、他のフレームを参照することなく、Iフレームをデコードできる。Pフレームは、前に送信されたIフレーム又は前に送信されたPフレームとの差分の情報を保持したフレームである。受信局は、前に送信されたIフレーム又は前に送信されたPフレームを参照することによって、Pフレームをデコードできる。動画圧縮技術の一例は、H.264 Baseline Profileなどの動画圧縮規格に従ったものである。制御部103は、映像データを、通信回線L1と通信回線L2とのうち少なくとも一方の通信回線により固定局200へ送信する。
【0017】
制御部103は、固定局200から受信した受信データを、移動局側システム10へ送信する。固定局200からデータを受信する受信回線として主に利用される通信回線は通信回線L1である。なお、制御部103は、通信回線L1,L2のうちいずれか一方の通信回線からしか、固定局200からデータを正常受信しない場合には、正常受信する通信回線を、固定局200からデータを受信する受信回線に決定する。
制御部103は、移動局100が固定局200へデータを送信する際に、第1通信端末101や第2通信端末102の性能に応じて送信ビットレート等を変化させて送信データ量を調節する機能を備えてもよい。
【0018】
(固定局)
第1通信端末201及び第2通信端末202は、通信ネットワークNW3を利用して通信を行う。通信ネットワークNW3は、無線通信ネットワークであってもよく又は有線通信ネットワークであってもよい。固定局200は移動しながら通信を行わないので、通信ネットワークNW3が無線通信ネットワークであっても無線通信品質が安定して良好である。なお、本実施形態では、第1通信端末201及び第2通信端末202が同じ通信ネットワークNW3を利用するが、第1通信端末201と第2通信端末202とがそれぞれ異なる通信ネットワークを利用してもよい。
固定局200の第1通信端末201は、移動局100の第1通信端末101との間の通信回線L1を確立する。固定局200の第2通信端末202は、移動局100の第2通信端末102との間の通信回線L2を確立する。第1通信端末201は、通信回線L1により移動局100の第1通信端末101から受信するデータの受信データ品質(状況)を測定する。受信データ品質(状況)は、例えば、パケットロス数、Iフレームをペイロードに含むパケットの受信数、デコードが完了したIフレームのフレーム数、ビデオエレメンタリーストリームのビットレート等である。第2通信端末202は、通信回線L2により移動局100の第2通信端末102からデータが届いているか否かを判断する。
【0019】
制御部203は、固定局200の制御を行う。制御部203は、固定局200の操作者や固定局側システム20等からの通信の開始や終了の指示に従って、固定局200の通信の開始や終了を制御する。固定局側システム20は、例えば自動運転車を遠隔で監視するための遠隔監視システムである。
制御部203は、固定局側システム20から受信した送信データを、通信回線L1と通信回線L2とのうち少なくとも一方の通信回線により移動局100へ送信する。移動局100へデータを送信する送信回線として主に利用される通信回線は通信回線L1である。制御部203は、移動局100から受信した受信データを、固定局側システム20へ送信する。移動局100からデータを受信する受信回線として主に利用される通信回線は通信回線L1である。制御部203は、第1通信端末201から受信データ品質(状況)を取得する。制御部203は、取得した受信データ品質(状況)を回線選択部204へ送信する。制御部203は、回線選択部204から受信回線選択結果を受信した場合、当該受信回線選択結果に基づいて、通信回線L1,L2から、移動局100からデータを受信する受信回線を決定する。制御部203は、決定した受信回線に基づいて、通信回線L1,L2の各々からの映像データのうちいずれかを選択し、選択した映像データを映像表示部205に出力する。なお、制御部203は、通信回線L1,L2のうちいずれか一方の通信回線からしか、移動局100からデータを正常受信しない場合には、回線選択部204の受信回線選択結果にかかわらず、正常受信する通信回線からの映像データを映像表示部205に出力する。
【0020】
制御部203は、固定局200が移動局100へデータを送信する際に、第1通信端末201や第2通信端末202の性能に応じて送信ビットレート等を変化させて送信データ量を調節する機能を備えてもよい。
回線選択部204は、受信回線選択機能を備える。回線選択部204は、制御部203が送信した受信データ品質(状況)を受信する。回線選択部204は、受信した受信データ品質(状況)に基づいて、通信回線L1,L2から、移動局100からデータを受信する受信回線を選択する。回線選択部204が、移動局100からデータを受信する受信回線を選択する処理の一例について説明する。H264、H265、VP9などの画像圧縮コーデックを利用した映像伝送においては、Iフレーム、Pフレームのデコードに失敗すると、その後の受信状況に関わらず次のIフレームのデコードが成功するまで映像が乱れるという性質がある。このため、第1通信端末201が受信した映像データに関して、IフレームとPフレームとのいずれか一方又は両方のデコードの失敗と、Iフレームのデコードの成功とにより、固定局200の状態を遷移させる状態遷移モデルを構築する。
【0021】
図2は、本実施形態に係る固定局に適用される状態遷移モデルの一例を示す図である。固定局200は、正常状態S01と乱れ継続発生状態S02と乱れ一時発生状態S03とのうちいずれかの状態に遷移する。正常状態S01は、固定局200がパスロスを検出することなく、第1通信端末201が受信した映像データに関して、IフレームとPフレームとの両方のデコードが成功している状態である。乱れ継続発生状態S02は、固定局200がパスロスを検出し、又は第1通信端末201が受信した映像データに関して、IフレームとPフレームとのいずれか一方又は両方のデコードが失敗している状態である。
乱れ一時発生状態S03は、固定局200が通信回線のジッターの発生やレンダリング遅延によりビデオストリームの停止を検知した状態である。ビデオストリームの停止は、通信回線の状況に応じて逐次発生するおそれがあり、影響範囲はビデオストリームの停止期間に留まる。このため、正常状態S01と乱れ継続発生状態S02への遷移と独立して、固定局200は、ビデオストリームの停止を検知した場合に、映像が停止していると判定し、乱れ一時発生状態S03に遷移する。例えば、固定局200は、ビデオストリームのビットレートが0(ゼロ)である場合と、受信パケット数が増加しない場合と、デコード済フレーム数が増加しない場合とのいずれかの場合に、ビデオストリーム停止を検知したと判定する。固定局200は、ビデオストリームのビットレートが0(ゼロ)でない場合と、受信パケット数が増加した場合と、デコード済フレーム数が増加する場合とのいずれかの場合に、ビデオストリーム開始(再開)を検知したと判定する。
【0022】
図2を参照して、固定局200が、正常状態S01と乱れ継続発生状態S02と乱れ一時発生状態S03との間で状態を遷移させる処理について説明する。回線選択部204は、移動局100との通信を開始した直後に、Iフレームをペイロードに含むパケットを受信しているか否かを判定し、Iフレームをペイロードに含むパケットを受信していると判定した場合に、固定局200を正常状態S01に遷移させる。例えば、回線選択部204は、受信データ品質に含まれるIフレームをペイロードに含むパケットの受信数に基づいて、Iフレームをペイロードに含むパケットの受信を検知した場合、若しくは、Iフレームをペイロードに含むパケットの累積受信数が所定の閾値以上に増加した場合に、固定局200を正常状態S01に遷移させる。例えば、第1通信端末201は、Iフレームをペイロードに含むか否かは、ペイロードに含まれるフレームタイプを示すフラグによって判定する。H.264コーデックの場合はペイロードの先頭に含まれるAVC NALユニットタイプによって判定する。
回線選択部204は、正常状態S01で、IフレームとPフレームとのいずれか一方又は両方のデコードに失敗したか否かを判定し、IフレームとPフレームとのいずれか一方又は両方のデコードに失敗したと判定した場合に、固定局200を、正常状態S01から乱れ継続発生状態S02に遷移させる(T01)。例えば、回線選択部204は、受信データ品質に含まれるパケットロス数に基づいて、パケットロスの受信を検知した場合、若しくは、パケットロスと判定された累積パケット数が所定の閾値以上に増加した場合に、IフレームとPフレームとのいずれか一方又は両方のデコードに失敗したと判定し、固定局200を、正常状態S01から乱れ継続発生状態S02に遷移させる。
【0023】
回線選択部204は、乱れ継続発生状態S02で、Iフレームのデコードが完了したか否かを判定し、Iフレームのデコードが完了したと判定した場合に、固定局200を、乱れ継続発生状態S02から正常状態S01に遷移させる(T02)。例えば、回線選択部204は、受信データ品質に含まれるデコードが完了したIフレームのフレーム数に基づいて、Iフレームのデコードの完了を検知した場合、若しくは、デコードが完了したIフレームの累積受信数が所定の閾値以上に増加した場合に、固定局200を、乱れ継続発生状態S02から正常状態S01に遷移させる。回線選択部204は、正常状態S01で、ビデオストリームの停止を検知したか否かを判定し、ビデオストリームの停止を検知した場合に、固定局200を、正常状態S01から乱れ一時発生状態S03に遷移させる(T03)。例えば、回線選択部204は、受信データ品質に含まれるビデオエレメンタリーストリームのビットレートに基づいて、ビデオストリームの停止を検知した場合に、固定局200を、正常状態S01から乱れ一時発生状態S03に遷移させる。
回線選択部204は、乱れ一時発生状態S03で、ビデオストリームの再開を検知したか否かを判定し、ビデオストリームの再開を検知した場合に、固定局200を、乱れ一時発生状態S03から正常状態S01に遷移させる(T04)。例えば、回線選択部204は、受信データ品質に含まれるビデオエレメンタリーストリームのビットレートに基づいて、ビデオストリームの再開を検知した場合に、固定局200を、乱れ一時発生状態S03から正常状態S01に遷移させる。
【0024】
回線選択部204は、乱れ一時発生状態S03で、IフレームとPフレームとのいずれか一方又は両方のデコードに失敗したか否かを判定し、IフレームとPフレームとのいずれか一方又は両方のデコードに失敗したと判定した場合に、固定局200を、乱れ一時発生状態S03から乱れ継続発生状態S02に遷移させる(T05)。例えば、回線選択部204は、受信データ品質に含まれるパケットロス数に基づいて、パケットロスの受信を検知した場合、若しくは、パケットロスと判定された累積パケット数が所定の閾値以上に増加した場合に、IフレームとPフレームとのいずれか一方又は両方のデコードに失敗したと判定し、固定局200を、乱れ一時発生状態S03から乱れ継続発生状態S02に遷移させる。
図1に戻り説明を続ける。
【0025】
回線選択部204は、正常状態S01であるときに通信回線L1を特定する情報を含む受信回線選択結果を作成し、作成した受信回線選択結果を制御部203へ出力する。回線選択部204は、乱れ継続発生状態S02又は乱れ一時発生状態S03であるときに通信回線L2を特定する情報を含む受信回線選択結果を作成し、作成した受信回線選択結果を制御部203へ出力する。制御部203は、回線選択部204からの受信回線選択結果に基づいて、通信回線L1を特定する情報が含まれる場合には通信回線L1からの映像データを選択し、選択した映像データを映像表示部205に出力する。制御部203は、回線選択部204からの受信回線選択結果に基づいて、通信回線L2を特定する情報が含まれる場合には通信回線L2からの映像データを選択し、選択した映像データを映像表示部205に出力する。映像表示部205は、例えば表示装置によって構成され、制御部203から送信される映像を表示する。
【0026】
(送信側(送信局)の送信処理)
図3は、本実施形態に係る送信側(送信局)の送信処理の一例を示す図である。ここでは、送信側(送信局)として移動局100を例に挙げて説明する。移動局100は、移動局100の操作者や移動局側システム10等からの通信の開始の指示に従って、固定局200との通信を開始する。移動局100は、移動局側システム10から受信した送信データを固定局200へ送信する。
(ステップS1-1) 制御部103は、動画圧縮技術を使用して、映像を、IフレームとPフレームとを含む映像データにエンコードする。
(ステップS2-1) 制御部103は、映像データを第1通信端末101(第1送信部)へ出力する。第1通信端末101は、制御部103が出力した映像データを取得し、取得した映像データを、通信回線L1(第1通信回線)を使用して固定局200へ送信する。
(ステップS3-1) 制御部103は、映像データを第2通信端末102(第2送信部)へ出力する。第2通信端末102は、制御部103が出力した映像データを取得し、取得した映像データを、通信回線L2(第2通信回線)を使用して固定局200へ送信する。その後、ステップS1-1へ戻る。
移動局100は、移動局100の操作者や移動局側システム10等から通信の終了の指示を受けた場合には
図3の送信処理を終了する。
なお、前述した送信処理の説明では、送信側(送信局)として移動局100を例に挙げたが、
図3の送信処理を送信局としての固定局200に適用してもよい。
【0027】
(受信側(受信局)の受信処理)
図4は、本実施形態に係る受信側(受信局)の受信処理の一例を示す図である。ここでは、受信側(受信局)として固定局200を例に挙げて説明する。固定局200は、固定局200の操作者や固定局側システム20等からの通信の開始の指示に従って、移動局100との通信を開始する。固定局200は、移動局100から受信した受信データを固定局側システム20へ送信する。
(ステップS1-2) 第1通信端末201(第1受信部)は、通信回線L1(第1通信回線)を使用して移動局100からデータを受信する。第1通信端末201は、受信データの受信データ品質(状況)を測定する。制御部203は、第1通信端末201から受信データ品質(状況)を取得する。制御部203は、取得した受信データ品質(状況)を回線選択部204へ送信する。回線選択部204は、制御部203が送信した受信データ品質(状況)を受信する。回線選択部204は、Iフレームをペイロードに含むパケットを受信しているか否かを判定する。
(ステップS2-2) 回線選択部204は、Iフレームをペイロードに含むパケットを受信したと判定した場合に、受信データ品質に含まれるパケットロス数に基づいて、パケットロスの受信を検知した場合、若しくはパケットロスと判定された累積パケット数が所定の閾値以上に増加したか否かを判定する。
(ステップS3-2) 回線選択部204は、パケットロスの受信を検知した場合、若しくはパケットロスと判定された累積パケット数が所定の閾値以上に増加した場合に、固定局200を乱れ継続発生状態S02に遷移させる。
(ステップS4-2) 回線選択部204は、乱れ継続発生状態S02であるときに通信回線L2を特定する情報を含む受信回線選択結果を作成し、作成した受信回線選択結果を制御部203へ出力する。制御部203は、回線選択部204からの受信回線選択結果に基づいて通信回線L2を特定する情報が含まれるため通信回線L2からの映像データを選択し、選択した映像データを映像表示部205に出力する。その後、ステップS1-2へ戻る。
【0028】
(ステップS5-2) 回線選択部204は、Iフレームをペイロードに含むパケットを受信していないと判定した場合に、受信データ品質に含まれるパケットロス数に基づいて、パケットロスの受信を検知したか否か、若しくは、パケットロスと判定された累積パケット数が所定の閾値以上に増加したか否かを判定する。回線選択部204が、パケットロスの受信を検知していない、若しくはパケットロスと判定された累積パケット数が所定の閾値未満であると判定した場合に、ステップS1-2に戻る。
(ステップS6-2) 回線選択部204は、パケットロスの受信を検知した、若しくは、パケットロスと判定された累積パケット数が所定の閾値以上に増加したと判定した場合に、固定局200を乱れ継続発生状態S02に遷移させる。
(ステップS7-2) 回線選択部204は、パケットロスが発生していないと判定した場合にIフレームのデコードが完了したか否かを判定する。Iフレームのデコードが完了していない場合にステップS2-2へ戻る。
(ステップS8-2) 回線選択部204は、Iフレームのデコードが完了したと判定した場合に、固定局200を正常状態S01に遷移させる。
(ステップS9-2) 回線選択部204は、正常状態S01であるときに、通信回線L1を特定する情報を含む受信回線選択結果を作成し、作成した受信回線選択結果を制御部203へ出力する。制御部203は、回線選択部204からの受信回線選択結果に基づいて通信回線L1を特定する情報が含まれるため通信回線L1からの映像データを選択し、選択した映像データを映像表示部205に出力する。その後、ステップS1-2へ戻る。
固定局200は、固定局200の操作者や固定局側システム20等から通信の終了の指示を受けた場合には
図3の受信処理を終了する。
前述した受信処理の説明では、受信側(受信局)として固定局200を例に挙げたが、受信局としての移動局100の受信処理も同様である。
【0029】
前述した第1実施形態によれば、通信システム1は、送信局としての移動局100と受信局としての固定局200とを備える。送信局は、送信局と受信局との間の第1通信回線を使用して映像データの送信を行う第1通信端末101としての第1送信部と、送信局と受信局との間の第2通信回線を使用して映像データの送信を行う第2通信端末102としての第2送信部とを備える。第1送信部が送信する映像データは、動画圧縮されたデータである。受信局は、第1通信回線を使用して映像データの受信を行う第1通信端末201としての第1受信部と、第2通信回線を使用して映像データの受信を行う第2通信端末202としての第2受信部と、第1受信部の第1通信回線の受信データに含まれるフレームの全情報を保持した第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、第1通信回線と第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する回線選択部204と、を備える。
このように構成することによって、受信局は、複数の通信回線から送信された車載カメラなどからの映像データのいずれを使用する(表示する)かを判断できる。このため、受信局は、複数の通信回線の間で使用する映像データを頻繁に切り替えることが必要な場合であっても遅延なく表示映像の切り替えができる。受信局は、イントラフレームとしての第1フレームのデコード成功状況に基づいて、受信映像の乱れの有無を判別でき、映像の乱れの開始時間や乱れの継続時間を把握できるため、利用したい側の車載カメラ映像を用いて遠隔監視を行う時間を最大化しつつ、乱れが発生した場合には第2通信回線(副回線)の映像で監視を継続できる環境を構築できる。受信局は、第1受信部の第1通信回線の受信データに含まれる第1フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、第1通信回線と第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択するため、車載カメラ映像のバッファが必要ないため,映像表示までの遅延時間を短くできる。
【0030】
通信システム1において、回線選択部204は、第1フレームを参照することによってデコードができる第2フレームのデコードが成功したか否かに基づいて、第1通信回線と第2通信回線とのうちいずれの通信回線を、送信局から映像データを受信する受信回線に使用するかを選択する。このように構成することによって、受信局は、第2フレームのデコード成功状況に基づいて、受信映像の乱れの有無を判別でき、映像の乱れの開始時間や乱れの継続時間を把握できるため、利用したい側の車載カメラ映像を用いて遠隔監視を行う時間を最大化しつつ、乱れが発生した場合には第2通信回線(副回線)の映像で監視を継続できる環境を構築できる。
通信システム1において、回線選択部204は、第1フレームをペイロードに含むパケットを受信したか否か、又は前記パケットの累積受信数に基づいて、前記送信局から映像データを受信する受信回線を選択する。このように構成することによって、受信局は、第1フレームをペイロードに含むパケットを受信した後、又はパケットの累積受信数が増加した後に、複数の通信回線から送信された車載カメラなどからの映像データのいずれを使用する(表示する)かを判断できる。
通信システム1において、回線選択部204は、パケットロスを検出したか否か、又はパケットロスの累積数に基づいて、送信局から映像データを受信する受信回線を選択する。このように構成することによって、受信局は、パケットロスを検出したか否か、又はパケットロスの累積数が増加したか否かに基づいて、複数の通信回線から送信された車載カメラなどからの映像データのいずれを使用する(表示する)かを判断できる。
【0031】
通信システム1において、回線選択部204は、第1フレームのデコードが完了したか否か、又はデコードが完了した第1フレームの累積数に基づいて、送信局から映像データを受信する受信回線を選択する。このように構成することによって、受信局は、第1フレームのデコードが完了したか否か、又はデコードが完了した第1フレームの累積数が増加したか否かに基づいて、複数の通信回線から送信された車載カメラなどからの映像データのいずれを使用する(表示する)かを判断できる。
通信システム1において、第1送信部は、第1通信回線を使用して第1映像データを送信し、第2送信部は、第2通信回線を使用して第1映像データとは異なる第2映像データを送信する。このように構成することによって、送信局は第1映像データよりも低容量の第2映像データを送信できるため通信回線の帯域に応じた車載カメラ映像を送信できる。
【0032】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図である。前述した第1実施形態に係る通信システム1では、
図1に示す固定局200が通信回線L1を確立する第1通信端末201と通信回線L2を確立する第2通信端末202を備えたが、第2実施形態に係る通信システム1aでは、
図5に示す固定局200aが1台の通信端末201aによって移動局100との間の通信回線L1及び通信回線L2を確立する。この点以外は、前述した第1実施形態と同じである。
【0033】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図である。第3実施形態に係る通信システム1bでは、移動局100bと固定局200bが通信を行う。通信システム1bは、移動局100bが送信局となって固定局200b(受信局)へデータを送信する場合と、移動局100bが受信局となって固定局200b(送信局)からデータを受信する場合と、がある。
移動局100bは、第1通信端末101と、第2通信端末102と、制御部103bと、回線選択部104bと、通信品質予測部110bとを備える。固定局200bは、第1通信端末201と、第2通信端末202と、制御部203bと、回線選択部204bと、映像表示部205とを備える。
【0034】
(移動局)
第1通信端末101は、第1無線通信ネットワークNW1を利用して通信を行う際の無線通信品質を測定する。無線通信品質は、例えば、RSRP(Reference Signal Received Power)やSINR(Signal to Interference and Noise power Ratio)やスループット等である。また、第1通信端末101は、自端末が接続する第1無線通信ネットワークNW1の基地局を識別する基地局識別子(基地局ID)や、自端末の現在位置(緯度経度)を取得する。また、第1通信端末101は、通信回線L1により固定局200の第1通信端末201から受信するデータの受信データ品質を測定する。受信データ品質は、例えば、データの正常受信の有無やパケットロス率やジッターや画像データの画質評価値等である。
第2通信端末102は、通信回線L2により固定局200の第2通信端末202からデータが届いているか否かを判断する。
制御部103bは、制御部103を適用できる。ただし、制御部103bは、回線選択部104bから送信回線選択結果を受信した場合、当該送信回線選択結果に基づいて、通信回線L1,L2から、固定局200へ映像データなどのデータを送信する送信回線を決定する。制御部103bは、回線選択部104bから受信した送信回線選択結果を、通信回線L1と通信回線L2とのうち少なくとも一方の通信回線により固定局200へ送信する。制御部103bは、回線選択部104bから受信回線選択結果を受信した場合、当該受信回線選択結果に基づいて、通信回線L1,L2から、固定局200からデータを受信する受信回線を決定する。なお、制御部103bは、通信回線L1,L2のうちいずれか一方の通信回線からしか、固定局200からデータを正常受信しない場合には、回線選択部104bの受信回線選択結果にかかわらず、正常受信する通信回線を、固定局200からデータを受信する受信回線に決定する。
【0035】
通信品質予測部110bは、移動局100bと固定局200との間の通信回線L1についての無線通信品質を予測する。この無線通信品質の予測では、将来、通信回線L1の無線通信品質が悪化すること及び良好であることを予測する。以下、無線通信品質予測方法のいくつかの例を説明する。
(無線通信品質予測方法の例1)
通信品質予測部110bは、第1通信端末101が測定する無線通信品質の測定結果に基づいて、通信回線L1の無線通信品質を予測する。第1通信端末101の無線通信品質の測定結果は、第1通信端末101が第1無線通信ネットワークNW1を利用して通信を行う際の無線通信品質の測定結果であって、通信回線L1の無線品質測定値に対応する。第1通信端末101の無線通信品質の測定結果は、第1通信端末101から制御部103bを介して通信品質予測部110bへ通知される。無線通信品質は、例えば、RSRPやSINRやスループット等である。通信品質予測部110bは、例えばRSRP及びSINRの各測定結果から、無線通信品質のスコア(評価値)を所定のスコア算出方法で算出する。このスコア算出では、RSRP及びSINRに対してそれぞれに重み付けしてもよい。通信品質予測部110bは、無線通信品質のスコアが所定のスコア閾値(無線通信品質評価基準)を満たさなくなった場合に将来の通信回線L1の無線通信品質が悪化すると予測する。例えば、無線通信品質のスコアが一定期間以上、所定のスコア閾値を上回っている良好状態から、無線通信品質のスコアが一定期間以上、所定のスコア閾値を下回る状態に変化した場合に将来の通信回線L1の無線通信品質が悪化すると予測してもよい。
一方、通信品質予測部110bは、無線通信品質のスコアが所定のスコア閾値を満たす場合に、将来の通信回線L1の無線通信品質が良好であると予測する。例えば、無線通信品質のスコアが一定期間以上、所定のスコア閾値を上回っている場合に、将来の通信回線L1の無線通信品質が良好であると予測してもよい。
【0036】
(無線通信品質予測方法の例2)
通信品質予測部110bは、第1通信端末101と、第1通信端末101が接続する第1無線通信ネットワークNW1の基地局との間の距離に基づいて、通信回線L1の無線通信品質を予測する。通信品質予測部110bは、第1通信端末101が接続する第1無線通信ネットワークNW1の基地局の基地局IDに基づいて当該基地局の位置(緯度経度)を取得する。第1通信端末101が接続する第1無線通信ネットワークNW1の基地局の基地局IDは、第1通信端末101から制御部103bを介して通信品質予測部110bへ通知される。また、第1通信端末101の現在位置(緯度経度)が、第1通信端末101から制御部103bを介して通信品質予測部110bへ通知される。通信品質予測部110bは、第1通信端末101が接続する第1無線通信ネットワークNW1の基地局の位置(緯度経度)と、第1通信端末101の現在位置(緯度経度)とに基づいて、当該基地局と第1通信端末101との間の距離(端末・基地局間距離)を算出する。通信品質予測部110bは、端末・基地局間距離が所定の端末・基地局間距離閾値(無線通信品質評価基準)を満たさなくなった場合に将来の通信回線L1の無線通信品質が悪化すると予測する。例えば、端末・基地局間距離が一定期間以上、所定の端末・基地局間距離閾値を下回っている良好状態から、端末・基地局間距離が一定期間以上、所定の端末・基地局間距離閾値を上回る状態に変化した場合に将来の通信回線L1の無線通信品質が悪化すると予測してもよい。一方、通信品質予測部110bは、端末・基地局間距離が所定の端末・基地局間距離閾値を満たす場合に、将来の通信回線L1の無線通信品質が良好であると予測する。例えば、端末・基地局間距離が一定期間以上、所定の端末・基地局間距離閾値を下回っている場合に、将来の通信回線L1の無線通信品質が良好であると予測してもよい。
【0037】
(無線通信品質予測方法の例3)
通信品質予測部110bは、移動局100bが走行する予定の経路(予定走行経路)上の過去の無線通信品質の記録に基づいて、通信回線L1の無線通信品質を予測する。通信品質予測部110bは、通信回線L1に利用される第1無線通信ネットワークNW1についての過去の無線通信品質が地点ごとに記録された通信品質マップと、移動局100bの予定走行経路情報とに基づいて、移動局100bの現在位置(例えば第1通信端末101の現在位置(緯度経度))と移動局100bの予定走行経路上の所定の無線通信品質評価基準を満たさない地点との間の距離(判定対象距離)を算出する。移動局100bの予定走行経路は、予め、制御部103bに設定される。通信品質マップは、例えば、移動局100bの予定走行経路を含むエリアの通信品質マップデータが、予め、通信品質マップ格納サーバ(図示せず)から移動局100bへダウンロードされる。
通信品質予測部110bは、判定対象距離が所定の判定対象距離閾値(無線通信品質評価基準)を満たさなくなった場合に、将来の通信回線L1の無線通信品質が悪化すると予測する。例えば、判定対象距離が所定の判定対象距離閾値を上回っている良好状態(無線通信品質評価基準を満たさない地点から離れている状態)から、判定対象距離が所定の判定対象距離閾値を下回る状態(無線通信品質評価基準を満たさない地点に近づいた状態)に変化した場合に、将来の通信回線L1の無線通信品質が悪化すると予測してもよい。
一方、通信品質予測部110bは、判定対象距離が所定の判定対象距離閾値を満たす場合に、将来の通信回線L1の無線通信品質が良好であると予測する。例えば、判定対象距離が所定の判定対象距離閾値を上回っている場合に、将来の通信回線L1の無線通信品質が良好であると予測してもよい。なお、所定の無線通信品質評価基準を満たさない地点が移動局100bの予定走行経路上に存在しない場合には、判定対象距離を無限大「∞」に設定することにより、判定対象距離が所定の判定対象距離閾値を上回る状態となって、将来の通信回線L1の無線通信品質が良好であると予測される結果になる。なお、制御部103bは、移動局側システム10から移動局100bの現在位置(緯度経度)や予定走行経路等の情報を取得してもよい。
【0038】
回線選択部104bは、送信回線選択機能と、受信回線選択機能とを備える。回線選択部104bの送信回線選択機能は、移動局100bの通信回線L1の無線通信品質の予測結果に基づいて、第2通信端末102により通信回線L2を使用するデータ送信を行うか否かを選択する。移動局100bの通信回線L1の無線通信品質の予測結果は、通信品質予測部110bから制御部103bを介して回線選択部104bへ通知される。回線選択部104bの送信回線選択機能は、通信回線L1の無線通信品質の予測結果が悪化である場合に、送信回線選択結果「通信回線L2で送信開始」を制御部103bへ通知し、通信回線L1でのデータ送信に加えて通信回線L2を使用するデータ送信を制御部103bにより開始させる。一方、回線選択部104bは、通信回線L1の無線通信品質の予測結果が良好である場合に、送信回線選択結果「通信回線L2での送信終了」を制御部103bへ通知し、通信回線L2を使用するデータ送信を制御部103bにより停止させる。
【0039】
回線選択部104bの送信回線選択機能は、通信回線L2を使用するデータ送信を開始するように固定局200bから要求された場合、送信回線選択結果「通信回線L2で送信開始」を制御部103bへ通知し、通信回線L2を使用するデータ送信を制御部103bにより開始させる。通信回線L2を使用するデータ送信を開始するように要求する通信開始要求は、通信回線L1,L2のいずれかの通信回線により固定局200bから受信されて制御部103bを介して回線選択部104bへ通知される。回線選択部104bの受信回線選択機能は、第1通信端末101の通信回線L1の受信データ品質に基づいて、通信回線L1と通信回線L2とのうちいずれの通信回線を、固定局200bからデータを受信する受信回線に使用するかを選択する。受信データ品質は、例えば、データの正常受信の有無やパケットロス率やジッターや画像データの画質評価値等である。受信データ品質は、第1通信端末101から制御部103bを介して回線選択部104bへ通知される。
回線選択部104bの受信回線選択機能は、通信回線L1の受信データ品質が所定の受信データ品質基準を満たす場合に、通信回線L1の受信データ品質が良好であると判断する。回線選択部104bの受信回線選択機能は、通信回線L1の受信データ品質が良好である場合、通信回線L1を、固定局200bからデータを受信する受信回線に選択する。一方、回線選択部104bの受信回線選択機能は、通信回線L1の受信データ品質が所定の受信データ品質基準を満たさない場合に、通信回線L1の受信データ品質が良好ではないと判断する。回線選択部104bの受信回線選択機能は、通信回線L1の受信データ品質が良好ではない場合、通信回線L2を、固定局200bからデータを受信する受信回線に選択する。
【0040】
また、回線選択部104bの受信回線選択機能は、通信回線L1の受信データ品質が良好ではない場合において、通信回線L2により固定局200bからデータが届いていないときには、固定局200に対して通信回線L2を使用するデータ送信を開始するように要求する。通信回線L2により固定局200からデータが届いているか否かは、第2通信端末102から制御部103bを介して回線選択部104bへ通知される。通信回線L2を使用するデータ送信を開始するように要求する通信開始要求は、回線選択部104bから制御部103bを介して、通信回線L1,L2のいずれかの通信回線により固定局200bへ送信される。制御部103bは、回線選択部104bの受信回線選択結果に基づいて、固定局200bからデータを受信する受信回線を、通信回線L1にするか又は通信回線L2にするかを決定する。制御部103bは、受信回線により固定局200bから受信した受信データを移動局側システム10へ送信する。
制御部103bは、回線選択部104bの受信回線選択結果が通信回線L1である場合、固定局200からデータを受信する受信回線を通信回線L1に決定する。制御部103bは、回線選択部104bの受信回線選択結果が通信回線L2である場合において、通信回線L2により固定局200bからデータが届いているときには、固定局200bからデータを受信する受信回線を通信回線L2に決定する。一方、制御部103bは、回線選択部104bの受信回線選択結果が通信回線L2である場合において、通信回線L2により固定局200からデータが届いていないときには、通信回線L1を、固定局200bからデータを受信する受信回線とする。
制御部103bは、回線選択部104bの受信回線選択結果が通信回線L2である場合において、通信回線L2により固定局200bからデータが届いていない状態からデータが届く状態に変化したときに、固定局200bからデータを受信する受信回線を通信回線L2に決定する。
【0041】
(固定局)
第1通信端末201は、通信回線L1により移動局100bの第1通信端末101から受信するデータの受信データ品質(状況)を測定する。受信データ品質(状況)は、例えば、パケットロス数、Iフレームをペイロードに含むパケットの受信数、デコードが完了したIフレームのフレーム数、ビデオエレメンタリーストリームのビットレート、データの正常受信の有無、パケットロス率、ジッター、画像データの画質評価値等である。
制御部203bは、制御部203を適用できる。ただし、制御部203bは、移動局100bから送信回線選択結果を受信した場合、当該送信回線選択結果に基づいて、通信回線L1,L2から、移動局100bへデータを送信する送信回線を決定する。なお、制御部203bは、通信回線L1,L2のうちいずれか一方の通信回線からしか、移動局100bからデータを正常受信しない場合には、回線選択部204bの受信回線選択結果にかかわらず、正常受信する通信回線を、移動局100bからデータを受信する受信回線に決定する。
【0042】
第3実施形態では、移動局100bの回線選択部104bが送信回線選択機能を備え、移動局100bが送信回線選択結果を固定局200bへ通知し、固定局200bの制御部203bが、移動局100bから通知された送信回線選択結果に基づいて、通信回線L1,L2から、移動局100bへデータを送信する送信回線を決定する。なお、固定局200bの回線選択部204も送信回線選択機能を備え、移動局100bが通信品質予測部110bによる通信回線L1の無線通信品質の予測結果を固定局200bへ通知し、固定局200bの回線選択部204の送信回線選択機能が、当該通信回線L1の無線通信品質の予測結果に基づいて、通信回線L2を使用するデータ送信を行うか否かを選択してもよい。この場合、固定局200bの制御部203bは、当該回線選択部204の送信回線選択結果に基づいて、通信回線L1,L2から、移動局100bへデータを送信する送信回線を決定する。
【0043】
回線選択部204の受信回線選択機能は、第1通信端末201の通信回線L1の受信データ品質に基づいて、通信回線L1と通信回線L2とのうちいずれの通信回線を、移動局100bからデータを受信する受信回線に使用するかを選択する。受信データ品質は、例えば、データの正常受信の有無やパケットロス率やジッターや画像データの画質評価値等である。受信データ品質は、第1通信端末201から制御部203bを介して回線選択部204へ通知される。回線選択部204の受信回線選択機能は、通信回線L1の受信データ品質が所定の受信データ品質基準を満たす場合に、通信回線L1の受信データ品質が良好であると判断する。回線選択部204の受信回線選択機能は、通信回線L1の受信データ品質が良好である場合、通信回線L1を、移動局100bからデータを受信する受信回線に選択する。
一方、回線選択部204の受信回線選択機能は、通信回線L1の受信データ品質が所定の受信データ品質基準を満たさない場合に、通信回線L1の受信データ品質が良好ではないと判断する。回線選択部204の受信回線選択機能は、通信回線L1の受信データ品質が良好ではない場合、通信回線L2を、移動局100bからデータを受信する受信回線に選択する。
【0044】
また、回線選択部204の受信回線選択機能は、通信回線L1の受信データ品質が良好ではない場合において、通信回線L2により移動局100bからデータが届いていないときには、移動局100bに対して通信回線L2を使用するデータ送信を開始するように要求する。通信回線L2により移動局100bからデータが届いているか否かは、第2通信端末202から制御部203bを介して回線選択部204へ通知される。通信回線L2を使用するデータ送信を開始するように要求する通信開始要求は、回線選択部204から制御部203bを介して、通信回線L1,L2のいずれかの通信回線により移動局100bへ送信される。
制御部203bは、回線選択部204の受信回線選択結果に基づいて、移動局100bからデータを受信する受信回線を、通信回線L1にするか又は通信回線L2にするかを決定する。制御部203bは、受信回線により移動局100bから受信した受信データを固定局側システム20へ送信する。制御部203bは、回線選択部204の受信回線選択結果が通信回線L1である場合、移動局100bからデータを受信する受信回線を通信回線L1に決定する。制御部203bは、回線選択部204の受信回線選択結果が通信回線L2である場合において、通信回線L2により移動局100bからデータが届いているときには、移動局100bからデータを受信する受信回線を通信回線L2に決定する。
【0045】
一方、制御部203bは、回線選択部204の受信回線選択結果が通信回線L2である場合において、通信回線L2により移動局100bからデータが届いていないときには、通信回線L1を、移動局100bからデータを受信する受信回線とする。制御部203bは、回線選択部204の受信回線選択結果が通信回線L2である場合において、通信回線L2により移動局100bからデータが届いていない状態からデータが届く状態に変化したときに、移動局100bからデータを受信する受信回線を通信回線L2に決定する。
前述した各実施形態によれば、送信局と受信局とのうち少なくとも一方が移動局である通信システムにおいて、送信局と受信局との間の複数の通信回線を利用する際に、移動局における局所的な無線通信品質の変動や悪化に適応することができると共に、できる限り通信断が発生しないように通信品質の向上を図ることができるという効果が得られる。
【0046】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、前述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
前述した実施形態の通信システム、移動局、固定局によれば、交通の安全性を改善して、すべての人々が、安全で、手頃な価格の、使いやすく持続可能な輸送システムを利用できるようになることが想定されることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標11「住み続けられるまちづくりを」に貢献することが可能となる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、前述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してコンピュータプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。らに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0048】
1、1a、1b…通信システム、10…移動局側システム、20…固定局側システム、100、100b…移動局、101…第1通信端末、102…第2通信端末、103、103b…制御部、104b…回線選択部、110b…通信品質予測部、200、200a、200b…固定局、201…第1通信端末、201a…通信端末、202…第2通信端末、203、203b…制御部、204、204b…回線選択部、205…映像表示部