IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通フロンテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-シート製造装置及びシート製造方法 図1
  • 特許-シート製造装置及びシート製造方法 図2
  • 特許-シート製造装置及びシート製造方法 図3
  • 特許-シート製造装置及びシート製造方法 図4
  • 特許-シート製造装置及びシート製造方法 図5
  • 特許-シート製造装置及びシート製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】シート製造装置及びシート製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31D 1/02 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
B31D1/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022016137
(22)【出願日】2022-02-04
(65)【公開番号】P2023114052
(43)【公開日】2023-08-17
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】金子 均
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-058450(JP,A)
【文献】特開2006-239941(JP,A)
【文献】特開2018-012584(JP,A)
【文献】米国特許第04952433(US,A)
【文献】英国特許出願公開第02447990(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31D 1/00
B65H 16/00
B65H 18/00
B65H 35/00
B65H 41/00
B41J 11/00
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の剥離シートに所定間隔毎に製品部が貼付された製品シートを製造するシート製造装置であって、
前記剥離シートに製品部形成層が接着された加工用シートが長手方向に繰り出される過程で、前記製品部形成層に前記製品部の外縁形状に応じた製品部用切込を形成する切断部と、
前記加工用シートの繰出方向にて前記切断部より下流側に設けられ、前記製品部形成層における前記製品部用切込の外側の不要部分を前記剥離シートから剥離する剥離部と、
前記剥離部で剥離された前記不要部分を回収する回収部とを備え、
前記切断部は、前記製品部用切込を形成する複数の製品部用型抜き刃と、前記繰出方向に隣り合う前記製品部用型抜き刃を繋ぐ分割用型抜き刃とを備え、
前記分割用型抜き刃は、前記不要部分を分割する分割用切込を形成し、
前記剥離部は、前記分割用切込によって前記不要部分を第1不要部分と第2不要部分とに分割して前記剥離シートから剥離し、
前記第1不要部分及び前記第2不要部分は、前記繰出方向に延出する帯状部と、前記帯状部の幅方向一側から突出して前記帯状部の延出方向に所定間隔毎に形成される突出部とを備えた形状に設けられ、
前記回収部は、前記第1不要部分及び前記第2不要部分を巻き取る巻取ロールと、前記剥離部から前記巻取ロールへ前記第1不要部分及び前記第2不要部分を案内する接合用ローラとを備え、
前記接合用ローラは、前記第1不要部分の前記突出部と、前記第2不要部分の前記突出部とを絡めつつ前記巻取ロールへ案内する
ことを特徴とするシート製造装置。
【請求項2】
前記分割用型抜き刃は、前記分割用切込が少なくとも2本の交差する切込を有するように前記不要部分を切断する
ことを特徴とする請求項1に記載のシート製造装置。
【請求項3】
前記接合用ローラには、案内する前記第1不要部分及び前記第2不要部分の幅方向両側に位置する一対の接合用カラーが設けられている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシート製造装置。
【請求項4】
前記回収部は、前記剥離部で剥離された前記第1不要部分を前記接合用ローラに案内する第1ガイドローラと、
前記第1ガイドローラに取り付けられ、前記第1ガイドローラの軸方向における取り付け位置を調整可能に設けられた第1カラーと、
前記剥離部で剥離された前記第2不要部分を前記接合用ローラに案内する第2ガイドローラと、
前記第2ガイドローラに取り付けられ、前記第2ガイドローラの軸方向における取り付け位置を調整可能に設けられた第2カラーとを更に備えている
ことを特徴とする請求項に記載のシート製造装置。
【請求項5】
帯状の剥離シートに所定間隔毎に製品部が貼付された製品シートを製造するシート製造方法であって、
前記剥離シートに製品部形成層が接着された加工用シートが長手方向に繰り出される過程で、前記製品部形成層に前記製品部の外縁形状に応じた製品部用切込と、前記製品部形成層における前記製品部用切込の外側の不要部分を分割する分割用切込とを形成する切断工程と、
前記切断工程を実施した前記加工用シートの前記剥離シートから前記不要部分を前記分割用切込によって第1不要部分と第2不要部分とに分割しつつ剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離された前記第1不要部分及び前記第2不要部分を接合用ローラで案内して巻取ロールで巻き取ることで、前記不要部分を回収する回収工程とを備え
前記第1不要部分及び前記第2不要部分は、前記加工用シートの繰出方向に延出する帯状部と、前記帯状部の幅方向一側から突出して前記帯状部の延出方向に所定間隔毎に形成される突出部とを備えた形状に設けられ、
前記回収工程にて、前記第1不要部分の前記突出部と、前記第2不要部分の前記突出部とを前記接合用ローラによって絡めつつ前記巻取ロールへ案内す
ことを特徴とするシート製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート製造装置及びシート製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、各種のタグ(RFIDタグ等)やラベル等の片状をなす複数の製品部を扱う場合、帯状の剥離シートに所定間隔毎に製品部が貼付された製品シートが利用される。かかる製品シートを製造する装置としては、特許文献1に開示される構成が知られている。
【0003】
特許文献1は、剥離シートに仮着されている製品部形成層から製品部以外の部分を不要部分として剥離して製品シートが製造される。製品部形成層には、予め製品部の外形形状に相当する製品部用切込と、不要部分を左右に分割する分割用切込とが形成されている。不要部分の剥離は、分割用切込で分割される2つの不要部分を異なる位置で別々に剥離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-239941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1にあっては、製品部形成層に製品部用切込及び分割用切込が予め形成された原反ロールを用意している。このため、特許文献1に開示される不要部分を剥離して回収する装置とは別に、各切込を形成する装置や、各切込を形成した原反を巻き取られた状態にする装置が必要となる。この結果、各種装置の台数が多くなって設置スペースが大きくなる他、各切込の形成と不要部分の剥離とが別々に行われるので製品シートの製造時間が長くなる、という問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、分割用切込で不要部分を分割して剥離することで製品シートを製造するにあたり、装置数が増えることを回避でき、製造時間を短縮できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、帯状の剥離シートに所定間隔毎に製品部が貼付された製品シートを製造するシート製造装置であって、前記剥離シートに製品部形成層が接着された加工用シートが長手方向に繰り出される過程で、前記製品部形成層に前記製品部の外縁形状に応じた製品部用切込を形成する切断部と、前記加工用シートの繰出方向にて前記切断部より下流側に設けられ、前記製品部形成層における前記製品部用切込の外側の不要部分を前記剥離シートから剥離する剥離部と、前記剥離部で剥離された前記不要部分を回収する回収部とを備え、前記切断部は、前記製品部用切込を形成する複数の製品部用型抜き刃と、前記繰出方向に隣り合う前記製品部用型抜き刃を繋ぐ分割用型抜き刃とを備え、前記分割用型抜き刃は、前記不要部分を分割する分割用切込を形成し、前記剥離部は、前記分割用切込によって前記不要部分を第1不要部分と第2不要部分とに分割して前記剥離シートから剥離し、前記第1不要部分及び前記第2不要部分は、前記繰出方向に延出する帯状部と、前記帯状部の幅方向一側から突出して前記帯状部の延出方向に所定間隔毎に形成される突出部とを備えた形状に設けられ、前記回収部は、前記第1不要部分及び前記第2不要部分を巻き取る巻取ロールと、前記剥離部から前記巻取ロールへ前記第1不要部分及び前記第2不要部分を案内する接合用ローラとを備え、前記接合用ローラは、前記第1不要部分の前記突出部と、前記第2不要部分の前記突出部とを絡めつつ前記巻取ロールへ案内する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の一態様は、帯状の剥離シートに所定間隔毎に製品部が貼付された製品シートを製造するシート製造方法であって、前記剥離シートに製品部形成層が接着された加工用シートが長手方向に繰り出される過程で、前記製品部形成層に前記製品部の外縁形状に応じた製品部用切込と、前記製品部形成層における前記製品部用切込の外側の不要部分を分割する分割用切込とを形成する切断工程と、前記切断工程を実施した前記加工用シートの前記剥離シートから前記不要部分を前記分割用切込によって第1不要部分と第2不要部分とに分割しつつ剥離する剥離工程と、前記剥離工程で剥離された前記第1不要部分及び前記第2不要部分を接合用ローラで案内して巻取ロールで巻き取ることで、前記不要部分を回収する回収工程とを備え、前記第1不要部分及び前記第2不要部分は、前記加工用シートの繰出方向に延出する帯状部と、前記帯状部の幅方向一側から突出して前記帯状部の延出方向に所定間隔毎に形成される突出部とを備えた形状に設けられ、前記回収工程にて、前記第1不要部分の前記突出部と、前記第2不要部分の前記突出部とを前記接合用ローラによって絡めつつ前記巻取ロールへ案内する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、分割用切込で不要部分を分割して剥離することで製品シートを製造するにあたり、装置数が増えることを回避でき、製造時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態におけるシート製造装置の正面図である。
図2】実施の形態における剥離部周辺の概略斜視図である。
図3】実施の形態の切断部で切込を形成した直後の加工用シートの平面図である。
図4】実施の形態の型抜き刃を下方から見た図である。
図5】実施の形態におけるシート製造装置の一部構成を省略した平面図である。
図6】実施の形態における回収部の部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態に係るシート製造装置について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。
【0012】
図1は、実施の形態におけるシート製造装置の正面図である。図2は、実施の形態における剥離部周辺の概略斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係るシート製造装置10は、貼合部20と、繰出部30と、切断部40と、剥離部50と、回収部60とを備えている。また、図2に示すように、シート製造装置10は、剥離部50を経た後に、帯状の剥離シートPSに所定間隔毎に製品部Tが貼付された製品シートTSを製造する。シート製造装置10を構成する各部は、不図示のフレーム等を介して支持される。
【0013】
ここで、製品部Tは、本実施の形態では、長方形となる平面形状に形成され、長辺が剥離シートPSの幅方向、短辺が剥離シートPSの長手方向(延出方向)に平行に形成される。また、製品部Tは、特に限定されるものでないが、RFIDタグとした場合を例として以下に説明する。
【0014】
図1に示されるように、貼合部20は、帯状の剥離シートPSがロール状に券かれた剥離シート用ロール21と、製品部Tを構成するための下ロール22、中間ロール23及び上ロール24とを備えている。中間ロール23には、製品部Tの基材となる帯状の基材シート23aがロール状に券かれ、基材シート23aにRFIDタグを構成するアンテナやICチップが所定間隔毎に設けられる。下ロール22及び上ロール24は、基材を保護する帯状の保護シート22a、24aがロール状に券かれ、保護シート22a、24aにおける基材シート23a側の面には粘着層が積層されている。また、下方の保護シート22aの剥離シートPS側の面には、両面テープが積層されている。
【0015】
貼合部20は、駆動ローラ26と、駆動ローラ26との間に剥離シートPS、保護シート22a、24a及び基材シート23aを挟み込むピンチローラ27とを更に備えている。駆動ローラ26はモータ等を含む駆動源28によって回転駆動される。駆動ローラ26及びピンチローラ27は、剥離シートPS、保護シート22a、24a及び基材シート23aを挟み込んで一体に積層することで、製品部Tが形成される前の加工用シートMSを形成する。加工用シートMSにおいては、保護シート22a、24a及び基材シート23aの積層によって製品部形成層TLが形成される。また、製品部形成層TLは剥離シートPSに両面テープを介して接着(仮着)された状態となる。
【0016】
貼合部20の駆動ローラ26及びピンチローラ27は、加工用シートMSを図1中左から右方向へ繰り出しており、該方向が加工用シートMSの長手方向であり繰出方向とされる。加工用シートMSは、切断部40及び剥離部50を経ることで製品シートTSとされるが、製品シートTSにおいても、駆動ローラ31及びピンチローラ32で挟み込まれて繰出方向へ繰り出す力が加えられる。ここにおいて、駆動ローラ31及びピンチローラ32と、貼合部20の駆動ローラ26及びピンチローラ27とを備えて繰出部30が構成される。
【0017】
切断部40は、加工用シートMSが長手方向に繰り出される過程で、製品部形成層TLに後述する各種の切込を形成する。切断部40は、加工用シートMSの上方に配設された型抜き刃41と、型抜き刃41を上方から保持する昇降体42と、加工用シートMSの下方であって加工用シートMSを挟んで型抜き刃41と対向する受け体43とを備えている。昇降体42は、不図示の駆動装置によって上下方向に所定ストロークで移動可能に設けられ、加工用シートMSの製品部形成層TLに型抜き刃41をプレス可能となっている。
【0018】
ここで、型抜き刃41の具体的な構成を説明する前に、製品部形成層TLに型抜き刃41で形成される切込について、図3を参照して、以下に説明する。図3は、実施の形態の切断部で切込を形成した直後の加工用シートの平面図である。図3に示すように、製品部形成層TLには、製品部Tの外縁形状に応じた製品部用切込CL1が繰出方向に所定間隔毎に複数形成されている。製品部用切込CL1は、製品部Tと同様に、長辺が製品部形成層TLの幅方向、短辺が繰出方向に平行な長方形状に形成される。
【0019】
製品部形成層TLにおいて、製品部用切込CL1の内側が製品部Tとなり、製品部用切込CL1の外側は不要部分USとされる。不要部分USには、繰出方向に隣り合う製品部用切込CL1を繋ぐ位置に分割用切込CL2が形成される。分割用切込CL2は、不要部分US(製品部形成層TL)の幅方向中央に形成され、不要部分USを第1不要部分US1と第2不要部分US2とに分割している。本実施の形態では、分割用切込CL2を挟んで図3中下方に第1不要部分US1が配置され、同図中上方に第2不要部分US2が配置される。
【0020】
製品部用切込CL1は、型抜き刃41(図1参照)によって5箇所を1セット(図3中二点鎖線の矩形で囲んで図示)とするプレス動作によって形成される。ここで、かかる5箇所の製品部用切込CL1の両側に位置する分割用切込CL2は、2本の切込が交差してX字状をなす部分を有し、かかるX字状をなす部分は繰出方向に対して傾斜する方向に延出するように形成されている。一方、それ以外の分割用切込CL2は、2本の切込が交差して+字状をなす部分を有し、言い換えると、繰出方向に平行に延びて製品部用切込CL1に連なる切込と、該切込に直交(交差)する切込とによって形成される。
【0021】
製品部用切込CL1の繰出方向上流及び下流の両側に位置する不要部分USにおいては、細分用切込CL3が形成されている。細分用切込CL3は、製品部用切込CL1の長辺に連なり、繰出方向に交差する方向となる製品部形成層TLの幅方向に並んで所定間隔毎に複数形成されている。細分用切込CL3によって、製品部Tに対し繰出方向に隣り合う不要部分USが細分化される。
【0022】
続いて、型抜き刃41の具体的な構成について、図4を参照して、以下に説明する。図4は、実施の形態の型抜き刃を下方から見た図である。図4に示すように、型抜き刃41は、製品部用切込CL1を形成する複数(本実施の形態では5つ)の製品部用型抜き刃44と、分割用切込CL2を形成する分割用型抜き刃45と、細分用切込CL3を形成する細分用型抜き刃46とを備えている。
【0023】
分割用型抜き刃45は、繰出方向に隣り合う製品部用型抜き刃44を繋ぐ位置に形成されており、分割用切込CL2に応じて2本の刃が交差して+字状をなすように形成されている。繰出方向にて5つの製品部用型抜き刃44の両側に位置する分割用型抜き刃45は、1箇所で屈曲した形状を備えている。これにより、型抜き刃41の1回のプレス動作で繰出方向両側に位置する分割用切込CL2は、次のプレス動作で2本の切込が交差してX字状をなす部分を有するように形成される。
【0024】
細分用型抜き刃46は、製品部用型抜き刃44の繰出方向上流及び下流の両側に連なり、繰出方向に直交(交差)する方向に並んで所定間隔毎に複数形成されている。
【0025】
図1に戻り、剥離部50は、繰出方向にて切断部40より下流側に設けられている。また、剥離部50は、切断部40より下流側に繰り出される加工用シートMSの上面に沿って配置される第1剥離ブレード51と及び第2剥離ブレード52を備えている。第1剥離ブレード51と及び第2剥離ブレード52は、繰出方向に離れて配置され、第1剥離ブレード51より第2剥離ブレード52の方が繰出方向下流側に配置される。
【0026】
各剥離ブレード51、52は、先端が鋭角に形成され、また、加工用シートMSの繰出方向及び幅方向に対して傾いて配置される(図5参照)。図2に示すように、第1剥離ブレード51は、繰り出し中の加工用シートMSにて第1不要部分US1だけを急激に折り返して剥離シートPSから剥離する。また、第2剥離ブレード52は、第1不要部分US1が剥離された加工用シートMSに対し、第2不要部分US2だけを急激に折り返して剥離シートPSから剥離する。
【0027】
各剥離ブレード51、52は、上記のように剥離を行いつつ繰り出し中の加工用シートMSを上方から押さえている。各剥離ブレード51、52を経て第1不要部分US1及び第2不要部分US2が剥離された後は、剥離シートPSに所定間隔毎に製品部Tが貼付された製品シートTSとして繰出方向下流側に供給される。図示省略したが、剥離部50を経た後の製品シートTSは、製品部Tを剥離シートPSから剥離して所定位置に貼り付ける装置等に供給する他、枚葉に切断したりロール状に巻いたりして搬送、保管、利用することが例示できる。
【0028】
第1不要部分US1及び第2不要部分US2は、加工用シートMSの幅方向にて対称となる櫛刃形状に設けられている。具体的には、第1不要部分US1及び第2不要部分US2は、繰出方向に延出する帯状部US1a、US2aをそれぞれ備えている。また、第1不要部分US1及び第2不要部分US2は、帯状部US1a、US2aの幅方向一側から突出して帯状部US1a、US2aの延出方向に所定間隔毎に複数形成される突出部US1b、US2bを備えている。
【0029】
剥離部50における不要部分USの剥離は、第1不要部分US1と第2不要部分US2とで分割するよう、繰出方向における第1不要部分US1及び第2不要部分US2の剥離位置をずらしている。これにより、第1不要部分US1を剥離する際、第2不要部分US2は剥離シートPSに貼付した状態が維持されるので、不要部分USと一緒に製品部Tが剥離されて共上がりすることを防止できる。
【0030】
また、第1剥離ブレード51での第1不要部分US1の剥離の際、分割用切込CL2にて第1不要部分US1及び第2不要部分US2が分割される。かかる分割において、分割用切込CL2が交差する2本の切込を備えて形成されるので、第2不要部分US2からの第1不要部分US1の分離をスムースに促すことができる。
【0031】
更に、製品部用切込CL1の長辺に複数の細分用切込CL3が連なって形成されて突出部US1b、US2bが細分化されるので、不要部分USの剥離の際に、製品部Tからの突出部US1b、US2bの分離をスムースに促すことができる。従って、これによっても、不要部分USと一緒に製品部Tが剥離されて共上がりすることを防止でき、また、突出部US1b、US2bが破れて剥離シートPSに残存することを防止できる。
【0032】
図1に戻り、回収部60は、第1ガイドローラ61と、第2ガイドローラ62と、接合用ローラ63と、巻取ロール64とを備え、剥離部50で剥離された不要部分USを回収する。
【0033】
第1ガイドローラ61は、第1剥離ブレード51で剥離された第1不要部分US1を掛け回して接合用ローラ63に案内する。第2ガイドローラ62は、第2剥離ブレード52で剥離された第2不要部分US2を掛け回して接合用ローラ63に案内する。
【0034】
各ガイドローラ61、62は、各不要部分US1、US2の粘着層側が接触して掛け回されるので、表面をフッ素樹脂やシリコーン樹脂等でコーティングし、各不要部分US1、US2の繰り出しが円滑に行われる。
【0035】
図5は、実施の形態におけるシート製造装置の一部構成を省略した平面図である。図5及び後述する図6では、分割用切込CL2にて繰出方向に交差する方向に延びる切込及び細分用切込CL3の図示を省略する。図5に示すように、第1ガイドローラ61には単一となる第1カラー65が取り付けられている。第1カラー65は、第1不要部分US1の帯状部US1aにおける突出部US1bと反対側に隣接して設けられる。
【0036】
第1カラー65は、第1ガイドローラ61の軸方向における取り付け位置を調整可能に設けられている。例えば、第1ガイドローラ61が第1カラー65の穴に圧入され、それらの間の摩擦抵抗によって軸方向の位置調整及び位置決めが行えるようになっている。第1カラー65の位置調整によって、第1ガイドローラ61に対する第1不要部分US1の掛け回し位置を調整可能となる。かかる掛け回し位置を調整することで、第1剥離ブレード51で折り返された後の第1不要部分US1の繰出方向(角度)を調整でき、第1不要部分US1の剥離状態を調整可能となる。
【0037】
第2ガイドローラ62には単一となる第2カラー66が取り付けられている。第2カラー66は、第2不要部分US2の帯状部US2aにおける突出部US2bと反対側に隣接して設けられる。
【0038】
第2カラー66は、第2ガイドローラ62の軸方向における取り付け位置を調整可能に設けられている。例えば、第2ガイドローラ62が第2カラー66の穴に圧入され、それらの間の摩擦抵抗によって軸方向の位置調整及び位置決めが行えるようになっている。第2カラー66の位置調整によって、第2ガイドローラ62に対する第2不要部分US2の掛け回し位置を調整可能となる。かかる掛け回し位置を調整することで、第2剥離ブレード52で折り返された後の第2不要部分US2の繰出方向(角度)を調整でき、第2不要部分US2の剥離状態を調整可能となる。
【0039】
なお、各ガイドローラ61、62と接合用ローラ63との間で繰り出される第1不要部分US1及び第2不要部分US2は、各ガイドローラ61、62から離れるに従って突出部US1b、US2bの垂れ下がり量が大きくなる(図1参照)。そして、突出部US1b、US2bは接合用ローラ63に達する位置では略全体が下向きに垂れた状態となる。
【0040】
接合用ローラ63は、剥離部50から各ガイドローラ61、62を経た第1不要部分US1及び第2不要部分US2を掛け回して巻取ロール64へ案内する。接合用ローラ63には、案内する第1不要部分US1及び第2不要部分US2の幅方向両側に位置する一対の接合用カラー68が設けられる。
【0041】
一対の接合用カラー68の離間幅は、第1不要部分US1及び第2不要部分US2の各幅寸法より小さく設定されている。よって、接合用カラー68は、各ガイドローラ61、62を経た第1不要部分US1及び第2不要部分US2が繰出方向に進行するに連れて相互に接近するようガイドしている。これにより、第1不要部分US1の帯状部US1aと第2不要部分US2の帯状部US2aとは、接合用ローラ63に達する位置にて隣り合う、或いは、隙間を介しつつ相当接近した状態となる。
【0042】
なお、一対の接合用カラー68は、接合用ローラ63の軸方向における取り付け位置を調整可能に設けられている。例えば、接合用ローラ63が接合用カラー68の穴に圧入され、それらの間の摩擦抵抗によって軸方向の位置調整及び位置決めが行えるようになっている。各接合用カラー68の位置調整によって、各接合用カラー68の離間幅を調整でき、相互に接近する第1不要部分US1及び第2不要部分US2の相対位置を調整可能となる。
【0043】
接合用ローラ63は、第1不要部分US1及び第2不要部分US2を反転して巻取ロール64へ案内している。接合用ローラ63は、かかる反転によって、第1不要部分US1の突出部US1bと第2不要部分US2の突出部US2bとが繰出方向に交互に位置するよう絡めた状態としている(図5に加え、図1及び図6参照)。
【0044】
図6は、実施の形態における回収部の部分側面図である。図6Aは、図1の矢視Aより見た図、図6Bは、図1の矢視Bより見た図(図6Aを裏から見た図)である。図6に示すように、巻取ロール64は、接合用ローラ63(図5参照)を経て絡み合った状態の第1不要部分US1及び第2不要部分US2を巻き取っている。巻取ロール64は、巻取軸64aと、巻取軸64aの軸方向両側に設けられたフランジ部64bとを備えている。巻取ロール64は、モータ等を含む駆動源70(図1参照)によって回転駆動され、各不要部分US1、US2を巻き取る力を発揮する。
【0045】
回収部60での各不要部分US1、US2の回収において、接合用ローラ63を通過する際に第1不要部分US1の突出部US1bと第2不要部分US2の突出部US2bとを絡め、1本に纏めてから巻き取ることができる。これにより、剥離部50での剥離位置から接合用ローラ63で絡み合う位置までの各不要部分US1、US2の長さが経時的に変化することを防止することができる。この結果、各不要部分US1、US2のテンションの安定化を図ることができ、また、各不要部分US1、US2でのテンションに差分が発生することを抑制して巻き取りの安定化も図ることができる。
【0046】
ここで、上記実施の形態とは異なり、各不要部分US1、US2が絡み合わない場合を仮定すると、巻取軸64aに巻き取られる各不要部分US1、US2が一対のフランジ部64bの何れか一方に偏る可能性が高くなる。この場合、各不要部分US1、US2の巻き取り径が巻取軸64aの軸方向にて相対的に大きくなる箇所と小さくなる箇所とが生じた状態となる。この状態で巻き取りを継続すると、巻き取り径が小さくなる箇所に各不要部分US1、US2の少なくとも一方が移動し、各不要部分US1、US2のテンションが変化する、という問題がある。
【0047】
この点、本実施の形態では、図6に示すように絡み合った状態の各不要部分US1、US2を巻き取るので、該状態の幅を一定とし、巻取軸64aの軸方向にて巻き取り径を一定に維持することができる。これにより、各不要部分US1、US2が巻取軸64aの軸方向に移動することを抑制でき、各不要部分US1、US2のテンションの安定化を図ることができる。
【0048】
次に、シート製造装置10による製品シートTSのシート製造方法について、以下に説明する。かかるシート製造方法は、貼合工程、切断工程、剥離工程、回収工程の順に実施される。
【0049】
貼合工程は、図1に示すように、駆動ローラ26及びピンチローラ27にて、剥離シートPS、保護シート22a、24a及び基材シート23aを挟み込んで一体に積層する。これにより、製品部Tが形成される前の加工用シートMSが形成される。加工用シートMSは、保護シート22a、24a及び基材シート23aの積層によって製品部Tを形成する製品部形成層TLと、製品部形成層TLが両面テープを介して接着される剥離シートPSとを備えて形成される。
【0050】
貼合工程を完了して長手方向に繰り出される過程の加工用シートMSに対し、切断工程が実施される。切断工程は、間欠的に繰り出される加工用シートMSが停止したタイミングで、昇降体42を昇降させることで製品部形成層TLに型抜き刃41をプレスする。これにより、型抜き刃41の製品部用型抜き刃44、分割用型抜き刃45、細分用型抜き刃46(図4参照)によって、図2及び図3に示すように、製品部用切込CL1、分割用切込CL2及び細分用切込CL3が製品部形成層TLに形成される。
【0051】
切断工程を実施して切断部40より繰出方向下流側に繰り出される加工用シートMSに対し、剥離工程が実施される。剥離工程は、先ず、繰り出し中の加工用シートMSにて、第1剥離ブレード51で第1不要部分US1だけを折り返して剥離シートPSから剥離する。かかる剥離において、第2不要部分US2は、第1剥離ブレード51で上方から押さえられて製品部Tと共に剥離シートPSに接着された状態が維持される。これにより、不要部分USにて、第2不要部分US2から第1不要部分US1が分割用切込CL2で分割される。
【0052】
剥離工程においては、第1剥離ブレード51より加工用シートMSの繰出方向下流側にて、第2剥離ブレード52で第2不要部分US2だけを折り返して剥離シートPSから剥離する。かかる剥離において、製品部Tは剥離シートPSに接着された状態が維持され、第2剥離ブレード52を経た後は、剥離シートPSに所定間隔毎に製品部Tが貼付された製品シートTSが繰出方向下流側に供給される。
【0053】
剥離工程を実施して各剥離ブレード51、52より剥離された各不要部分US1、US2に対し、回収工程が実施される。回収工程は、剥離部50から各ガイドローラ61、62を経た第1不要部分US1及び第2不要部分US2を接合用ローラ63によって巻取ロール64へ案内し、各不要部分US1、US2を巻取ロール64で巻き取って回収する。
【0054】
回収工程において、接合用ローラ63における一対の接合用カラー68によって、各不要部分US1、US2が相互に接近するようガイドしている。また、回収工程において、巻取ロール64で巻き取る前に各不要部分US1、US2を接合用ローラ63で反転し、第1不要部分US1の突出部US1bと第2不要部分US2の突出部US2bとが繰出方向に交互に位置するよう絡めた状態としている。
【0055】
以上のように、上記実施の形態は、単一のシート製造装置10において、切断部40による各切込CL1~CL3の形成と、剥離部50及び回収部60による不要部分USの剥離及び回収とを実施することができる。これにより、従来のように切込が予め形成された原反ロールを用意すべく、切込を形成するだけの専用装置や、各切込を形成した原反を巻き取る専用装置を不要とすることができる。この結果、実施の形態では、各種装置の台数が増えることを回避でき、ひいては、装置を設置するためのスペースが大きくなることを回避することができる。また、実施の形態では、各切込CL1~CL3の形成と不要部分USの剥離及び回収とを、加工用シートMSの一連の繰り出しにて実施でき、製品シートTSの製造時間を短縮することができる。
【0056】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、方向などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0057】
上記実施の形態にて、貼合部20にて積層や接着等を行うことで製品部形成層TLが剥離シートPSに接着された加工用シートMSを形成したが、これに限られるものでない。例えば、加工用シートMSを原反ロールとして予め用意することで切断部40に繰り出される構成としてもよく、かかる構成では貼合部20を省略することができる。
【0058】
また、製品部Tは、RFIDタグ以外の各種片状体やラベルとしてもよい。更に、製品部Tの平面形状は、上記実施の形態と同様に不要部分USを剥離できる限りにおいて、円形や長方形以外の多角形状等にする等、種々の変更が可能である。
【0059】
また、上記実施の形態にて、細分用切込CL3は、製品部用切込CL1の繰出方向上流及び下流の両側に位置する不要部分USに形成されているが、繰出方向下流側だけに形成してもよい。
【0060】
また、上記実施の形態にて、分割用切込CL2は、2本の切込が交差するように形成されているが、繰出方向と平行な1本の切込によって形成してもよい。但し、2本の切込が交差するよう分割用切込CL2を形成することで、第2不要部分US2からの第1不要部分US1の分割をよりスムースに促進できる点で有利となる。
【符号の説明】
【0061】
10 :シート製造装置
40 :切断部
44 :製品部用型抜き刃
45 :分割用型抜き刃
46 :細分用型抜き刃
50 :剥離部
60 :回収部
61 :第1ガイドローラ
62 :第2ガイドローラ
63 :接合用ローラ
64 :巻取ロール
65 :第1カラー
66 :第2カラー
68 :接合用カラー
CL1 :製品部用切込
CL2 :分割用切込
CL3 :細分用切込
MS :加工用シート
PS :剥離シート
T :製品部
TL :製品部形成層
TS :製品シート
US :不要部分
US1 :第1不要部分
US1a :帯状部
US1b :突出部
US2 :第2不要部分
US2a :帯状部
US2b :突出部

図1
図2
図3
図4
図5
図6