(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】デジタルツインを使用した区域災害防止システム、方法及びそのコンピューター読み取り可能な媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20241211BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20241211BHJP
G08B 31/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
G06Q50/26
G08B25/00 510Z
G08B31/00 B
(21)【出願番号】P 2022124633
(22)【出願日】2022-08-04
【審査請求日】2022-08-04
(32)【優先日】2022-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501027245
【氏名又は名称】中華電信股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盧柏安
(72)【発明者】
【氏名】陳韋金
(72)【発明者】
【氏名】林▲啓▼文
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2339691(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-2192028(KR,B1)
【文献】特開2003-168179(JP,A)
【文献】特開2020-098579(JP,A)
【文献】三菱総合研究所,スリーエックス-革新的なテクノロジーとコミュニティがもたらす未来 ,ダイヤモンド社,2021年04月28日,p.247,ISBN: 978-4-478-11115-4
【文献】臼田 裕一郎,ニューノーマル時代の防災・減災とレジリエンス 解説 デジタル技術を活用した防災・減災,月刊J-LIS ,株式会社ぎょうせい,2021年09月01日,第8巻,第6号,p.24~27,ISSN:2188-4943
【文献】BUSINESS NETWORK編集部,NTTコムと東京海上がスマートシティで協業、デジタルツインで災害予測,BUSINESS NETWORK,2021年08月31日,[online],[令和5年10月12日検索],インターネット<URL:https://businessnetwork.jp/article/8604/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G08B 25/00
G08B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建物にそれぞれ設置され、対応する建物の検知情報を受信し、複数の建物環境情報をそれぞれ形成する複数のスマート建築装置と、
該複数のスマート建築装置に通信可能に接続され、該複数の建物環境情報をそれぞれ受信するスマートシティ管理プラットフォームであって、区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造を有するスマートシティ管理プラットフォームと、を備え、
該スマートシティ管理プラットフォームは、
該区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造及び該複数のスマート建築装置により該複数の建物のデジタルツインを該スマートシティ管理プラットフォーム内に構築するとともに、該区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造に基づいて該複数の建物環境情報を記録することにより、該複数の建物環境情報を対応する該複数の建物のデジタルツインに統合する建築情報管理モジュールと、
該複数の建物のデジタルツインに統合された該複数の建物環境情報または歴史データに基づいて分析を行うことにより、該複数の建物の災害分析結果を生成し、該複数の建物の少なくともいずれか1つの災害分析結果は災害が発生したと判断した場合に、該災害分析結果に基づいて防災指令及び防災情報を生成する情報分析モジュールであって、現在の建物環境情報および該歴史データに基づき、加重移動平均演算法により短期の趨勢予測を行い、予測の短期の災害分析結果を得る情報分析モジュールと、
該複数の建物の少なくともいずれか1つのデジタルツインに基づいて該防災指令を対応する該複数の建物の少なくともいずれか1つのスマート建築装置に送信するとともに、該防災情報を該複数の建物の少なくともいずれか1つの近傍の防災装置に送信する災害報知警告モジュールと、
を備え、
該複数のスマート建築装置は、対応する建物の建築情報を有し、
該スマートシティ管理プラットフォームは、複数の地域の地域情報と該複数の地域に位置する該複数の建物の建築情報とを有し、
該スマートシティ管理プラットフォームは、該複数の地域の地域情報と該複数の建物の建築情報とに基づいて該区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造を構築
し、
該区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造の各ノードは、軽量化JavaScript Object Notation(JSON)フォーマットで属性記述および格納が行われ、データ属性の内容は、名称、唯一の識別コード、上下ノードの唯一の識別コード及び外部データに連結するリンクを含む、デジタルツインを使用した区域災害防止システム。
【請求項2】
該建築情報管理モジュールは、3Dグラフィカルインターフェイスを介して該複数の建物の建築情報モデリンググラフィックス及び四次元地理情報システムグラフィックスを管理し、該四次元地理情報システムグラフィックスを基に該建築情報モデリンググラフィックス、地形及び気候システムと結合することで、該複数の地域及び該複数の建物を視覚的に表現することを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインを使用した区域災害防止システム。
【請求項3】
該建築情報管理モジュールは、該建築情報モデリンググラフィックス及び該四次元地理情報システムグラフィックスにより時間次元を介して該情報分析モジュールによって分析された災害分析結果を表現することを特徴とする請求項2に記載のデジタルツインを使用した区域災害防止システム。
【請求項4】
該複数のスマート建築装置のそれぞれは、機器制御モジュールを備え、該複数のスマート建築装置のいずれか1つが該防災指令を受信した場合に、該複数のスマート建築装置のいずれか1つの該機器制御モジュールが該防災指令に基づいて該複数の建物のいずれか1つの避難及び防災機器の作動を制御することを特徴とする請求項1に記載のデジタルツインを使用した区域災害防止システム。
【請求項5】
複数の建物にそれぞれ設置された複数のスマート建築装置が、対応する建物の検知情報を受信し、複数の建物環境情報をそれぞれ形成する工程と、
スマートシティ管理プラットフォームが、該複数の建物環境情報をそれぞれ受信する工程と、
スマートシティ管理プラットフォームが、区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造及び該複数のスマート建築装置により該複数の建物のデジタルツインを該スマートシティ管理プラットフォーム内に構築する工程と、
該スマートシティ管理プラットフォームが、該区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造に基づいて該複数の建物環境情報を記録することにより、該複数の建物環境情報を対応する該複数の建物のデジタルツインに統合する工程と、
該スマートシティ管理プラットフォームが、該複数の建物のデジタルツインに統合された該複数の建物環境情報または歴史データに基づいて分析を行うことにより、該複数の建物の災害分析結果を生成し、現在の建物環境情報および該歴史データに基づき、加重移動平均演算法により短期の趨勢予測を行い、予測の短期の災害分析結果を得る工程と、
該スマートシティ管理プラットフォームが、該複数の建物の少なくともいずれか1つの災害分析結果は災害が発生したと判断した場合に、該災害分析結果に基づいて防災指令及び防災情報を生成する工程と、
該スマートシティ管理プラットフォームが、該複数の建物の少なくともいずれか1つのデジタルツインに基づいて該防災指令を対応する該複数の建物の少なくともいずれか1つのスマート建築装置に送信する工程と、
該スマートシティ管理プラットフォームが、該複数の建物の少なくともいずれか1つのデジタルツインに基づいて該防災情報を該複数の建物の少なくともいずれか1つの近傍の防災装置に送信する工程と、
を備え、
該複数のスマート建築装置は、対応する建物の建築情報を有し、
該スマートシティ管理プラットフォームは、複数の地域の地域情報と該複数の地域に位置する該複数の建物の建築情報とを有し、
該スマートシティ管理プラットフォームは、該複数の地域の地域情報と該複数の建物の建築情報とに基づいて該区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造を構築
し、
該区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造の各ノードは、軽量化JavaScript Object Notation(JSON)フォーマットで属性記述および格納が行われ、データ属性の内容は、名称、唯一の識別コード、上下ノードの唯一の識別コード及び外部データに連結するリンクを含む、ことを特徴とするデジタルツインを使用した区域災害防止方法。
【請求項6】
該スマートシティ管理プラットフォームは、3Dグラフィカルインターフェイスを介して該複数の建物の建築情報モデリンググラフィックス及び四次元地理情報システムグラフィックスを管理し、該四次元地理情報システムグラフィックスを基に該建築情報モデリンググラフィックス、地形及び気候システムと結合することで、該複数の地域及び該複数の建物を視覚的に表現することを特徴とする請求項5に記載のデジタルツインを使用した区域災害防止方法。
【請求項7】
該スマートシティ管理プラットフォームが、該建築情報モデリンググラフィックス及び該四次元地理情報システムグラフィックスにより時間次元を介して該災害分析結果を表現する工程をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のデジタルツインを使用した区域災害防止方法。
【請求項8】
該複数のスマート建築装置のいずれか1つが該防災指令を受信した場合に、該複数のスマート建築装置のいずれか1つが該防災指令に基づいて該複数の建物のいずれか1つの避難及び防災機器の作動を制御する工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のデジタルツインを使用した区域災害防止方法。
【請求項9】
計算装置またはコンピューターに応用されかつ指令が格納されたコンピューター読み取り可能な媒体であって、請求項5ないし請求8のいずれか1項に記載のデジタルツインを使用した区域災害防止方法を実行することを特徴とするコンピューター読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は区域災害防止技術に関し、特にデジタルツイン(Digital Twin)を使用した区域災害防止システム、方法及びそのコンピューター読み取り可能な媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在のスマート建築システムにおいては、いずれも独立かつ閉鎖型管理が採用されており、災害発生の直後に建物が収集されたデータを管理室に返送し、管理員またはシステムが救援機構や民衆に自動的に報知することにより救援や避難を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような管理フローには多くの課題がある。例えば、災害発生の直後に、関連機構や住民に伝達できず、災害の救援が遅延し救助のタイムリミットを逃したり、建築管理員が災害受信機を勝手に手動でオフにしたりすることにより、建築防災システムが失効されてしまい、生命財産の莫大な損失を招いてしまうことがある。
【0004】
従って、スマート建築情報を双方向的に統合し、デジタルツインとモノのインターネットの技術とを組み合わせることにより、より安全かつ信頼性のある建築防災システムを獲得する区域災害防止技術を提供することは、業界で解決しようとする極めて重要な課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来の技術的課題を解決し関連する効果を提供するために、本発明は、複数の建物にそれぞれ設置され、対応する建物の検知情報を受信し、複数の建物環境情報をそれぞれ形成する複数のスマート建築装置と、該複数のスマート建築装置に通信可能に接続され、該複数の建物環境情報をそれぞれ受信するスマートシティ管理プラットフォームであって、区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造を有するスマートシティ管理プラットフォームと、を備え、該スマートシティ管理プラットフォームは、該区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造及び該複数のスマート建築装置により該複数の建物のデジタルツインを該スマートシティ管理プラットフォーム内に構築するとともに、該区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造に基づいて該複数の建物環境情報を記録することにより、該複数の建物環境情報を対応する該複数の建物のデジタルツインに統合する建築情報管理モジュールと、該複数の建物のデジタルツインに統合された該複数の建物環境情報または歴史データに基づいて分析を行うことにより、該複数の建物の災害分析結果を生成する情報分析モジュールであって、該複数の建物の少なくともいずれか1つの災害分析結果は災害が発生したと判断した場合に、該災害分析結果に基づいて防災指令及び防災情報を生成する情報分析モジュールと、該複数の建物の少なくともいずれか1つのデジタルツインに基づいて該防災指令を対応する該複数の建物の少なくともいずれか1つのスマート建築装置に送信し、該防災情報を該複数の建物の少なくともいずれか1つの近傍の防災装置に送信する災害報知警告モジュールと、を備える、デジタルツインを使用した区域災害防止システムを提供する。
【0006】
本発明は、複数の建物にそれぞれ設置された複数のスマート建築装置が、対応する建物の検知情報を受信し、複数の建物環境情報をそれぞれ形成する工程と、スマートシティ管理プラットフォームが、該複数の建物環境情報をそれぞれ受信する工程と、該スマートシティ管理プラットフォームが、区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造及び該複数のスマート建築装置により該複数の建物のデジタルツインを該スマートシティ管理プラットフォーム内に構築する工程と、該スマートシティ管理プラットフォームが、該区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造に基づいて該複数の建物環境情報を記録することにより、該複数の建物環境情報を対応する該複数の建物のデジタルツインに統合する工程と、該スマートシティ管理プラットフォームが、該複数の建物のデジタルツインに統合された該複数の建物環境情報または歴史データに基づいて分析を行うことにより、該複数の建物の災害分析結果を生成する工程と、該スマートシティ管理プラットフォームが、該複数の建物の少なくともいずれか1つの災害分析結果は災害が発生したと判断した場合に、該災害分析結果に基づいて防災指令及び防災情報を生成する工程と、該スマートシティ管理プラットフォームが、該複数の建物の少なくともいずれか1つのデジタルツインに基づいて該防災指令を対応する該複数の建物の少なくともいずれか1つのスマート建築装置に送信する工程と、該スマートシティ管理プラットフォームが、該複数の建物の少なくともいずれか1つのデジタルツインに基づいて該防災情報を該複数の建物の少なくともいずれか1つの近傍の防災装置に送信する工程と、を備える、デジタルツインを使用した区域災害防止方法をさらに提供する。
【0007】
一つの実施例において、該複数のスマート建築装置は、対応する建物の建築情報を有し、該スマートシティ管理プラットフォームは、複数の地域の地域情報と該複数の地域に位置する該複数の建物の建築情報とを有し、該スマートシティ管理プラットフォームは、該複数の地域の地域情報と該複数の建物の建築情報とに基づいて該区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造を構築する。
【0008】
一つの実施例において、該建築情報管理モジュールは、3Dグラフィカルインターフェイス(またはそのアプリケーション)を介して該複数の建物の建築情報モデリンググラフィックス及び四次元地理情報システムグラフィックスを管理し、該四次元地理情報システムグラフィックスを基に該建築情報モデリンググラフィックス、地形及び気候システムと結合することで、該複数の地域及び該複数の建物を視覚的に表現する。
【0009】
一つの実施例において、該建築情報管理モジュールは、該建築情報モデリンググラフィックス及び該四次元地理情報システムグラフィックスにより時間的次元を介して該情報分析モジュールによって分析された災害分析結果を表現する。
【0010】
一つの実施例において、該複数のスマート建築装置のそれぞれは、機器制御モジュールを備え、該複数のスマート建築装置のいずれか1つが該防災指令を受信した場合に、該複数のスマート建築装置のいずれか1つの該機器制御モジュールが該防災指令に基づいて該複数の建物のいずれか1つの避難及び防災機器の作動を制御する。
【0011】
一つの実施例において、該スマートシティ管理プラットフォームは、気象機構、防災センター及び/または地方自治体から発信された災害情報の収集に用いられる災害情報収集モジュールをさらに備える。
【0012】
一つの実施例において、該情報分析モジュールは、該災害情報または該歴史データに基づいて分析を行うことにより該複数の建物の災害分析結果を生成する。
【0013】
本発明は、プロセッサー及び/またはメモリを有するコンピューターまたは計算装置に応用されるコンピューター読み取り可能な媒体であって、該コンピューターまたは該計算装置はプロセッサー及び/またはメモリを介して目標プログラム及びコンピューター読み取り可能な媒体を実行するとともに、コンピューター読み取り可能な媒体を実行する場合に上記のデジタルツインを使用した区域災害防止方法を実行する、コンピューター読み取り可能な媒体をさらに提供する。
【0014】
上記のように、本発明に係るデジタルツインを使用した区域災害防止システム、方法及びコンピューター読み取り可能な媒体によれば、主に、複数の建物に設けられたスマート建築装置及びバックエンドのスマートシティ管理プラットフォームを介して区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造を構築することで建築グループのデジタルツインを構築することにより、一つの区域における複数の建物を管理し、建物に災害が発生した場合、スマート建築装置は情報を素早くスマートシティ管理プラットフォームに送信できるとともに、スマートシティ管理プラットフォームにより複数の建物のデジタルツインに基づいて建物自身の災害状況及び災害の影響範囲を評価し、さらに民衆及び防災関連機構に通報し、建物における避難及び防災機器の作動を制御し、人々を避難させ人々の生命安全を保障することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るデジタルツインを使用した区域災害防止システム構造の模式図である。
【
図2A】電信ビルディングのツリー状トポロジーデータ構造の模式図である。
【
図2B】台北市のツリー状トポロジーデータ構造の模式図である。
【
図3】本発明に係るデジタルツインを使用した区域災害防止方法の建築物環境情報アップロードフローの模式図である。
【
図4】本発明に係るデジタルツインを使用した区域災害防止方法のデータ分析フローの模式図である。
【
図5】本発明に係るデジタルツインを使用した区域災害防止方法の他のデータ分析フローの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を特定の実施例に基づいて説明する。この技術分野に精通した者は、本明細書の記載内容によって簡単に本発明のその他の利点や効果を理解できる。
【0017】
また、本明細書に添付された図面に示す構造、比例、寸法等は、この技芸に周知する者が理解できるように明細書に記載の内容に合わせて説明されるものであり、本発明の実施を制限するものではないため、技術上の実質的な意味を有せず、いかなる構造の修飾、比例関係の変更又は寸法の調整は、本発明の効果及び目的に影響を与えるものでなければ、本発明に開示された技術内容の範囲に入る。さらに、本明細書に記載された例えば「一」、「第一」、「第二」、「上」、「下」等の用語は、容易に記載されるための記述であり、本発明の実施可能な範囲を限定するものではなく、その相対関係の変更または調整は、技術内容に実質的な変更がない場合において、本発明の実施可能な範囲と見なすことができる。
【0018】
図1は、本発明に係るデジタルツインを使用した区域災害防止システム1の構造模式図である。該区域災害防止システム1は、複数のスマート建築装置10と、スマートシティ管理プラットフォーム20とを備え、複数のスマート建築装置10は、いずれもセンサデータ収集モジュール11、機器制御モジュール12と仲介モジュール13を含み、スマートシティ管理プラットフォーム20は、災害情報収集モジュール21、データベース22、建築情報管理モジュール23、情報分析モジュール24、災害報知警告モジュール25を含む。
【0019】
具体的には、複数のスマート建築装置10は、タブレット、ノートパソコン、パソコンまたはその他電子装置等であってもよく、スマートシティ管理プラットフォーム20は、サーバ(例えば汎用型サーバ、ファイル型サーバ、記憶ユニット型サーバ等)及びコンピューター等適当な演算メカニズムを有する電子機器に構築されてもよい。そのうち、スマート建築装置10及びスマートシティ管理プラットフォーム20における各モジュールは、いずれもソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアであってもよく、ハードウェアの場合は、データ処理及び演算能力を有する処理ユニット、プロセッサー、コンピューターまたはサーバであってもよく、ソフトウェアまたはファームウェアの場合は、処理ユニット、プロセッサー、コンピューターまたはサーバが実行可能な指令を含んでもよく、同一のハードウェア装置に取り付けたり異なる複数のハードウェア装置に分散したりすることができる。
【0020】
上記の複数のスマート建築装置10はそれぞれ複数の建物(例えばアパートメント、ビルディング)に設置され、複数の建物の建築情報をそれぞれ有する。建築情報はツリー状トポロジーデータ構造であり、ツリー状トポロジーデータ構造の各ノードを介して建物空間、センサ機器、避難や防災機器の関係を構築する。
【0021】
具体的には、
図2Aは電信ビルディング(即ち建物)のツリー状トポロジーデータ構造(即ち建築情報)の模式図である。電信ビルディングにはスマート建築装置10が設置されており、スマート建築装置10は、電信ビルディングのツリー状トポロジーデータ構造(即ち建築情報)を有し、電信ビルディングのツリー状トポロジーデータ構造は、少なくとも電信ビルディングの一階から五階までのフロア、一階における101室、102室、103室及びロビー等の建物空間、並びに101室における煙霧センサ、振動センサやドアコントローラ等の機器を含む。従って、各フロア、各建物空間及び各機器によって形成されたノードを介して電信ビルディングのツリー状トポロジーデータ構造(即ち建築情報)を構築する。また、ツリー状トポロジーデータ構造は、建物環境の違いに応じて、垂直ノードの層数及び水平ノードの数を柔軟に拡張することができ、各ノードはいずれも唯一の識別コードを有する。
【0022】
一つの実施例において、センサデータ収集モジュール11は、建物内外空間に配設された複数のセンサに通信的(電気的)に接続され、複数のセンサによって検出されたセンサデータを収集することで、建物環境情報を形成する。複数のセンサは、煙霧センサ、温湿度センサ、カメラ、赤外線センサ、加速度センサ、水位センサ、ガスセンサ等を含むが、それらに限定されない。また、建物環境情報は、建物における各フロア及び各建物空間の煙霧濃度、温湿度、撮影画面等のセンサデータ(センサ数値)を含むが、いずれの種類のセンサデータであってもよい。
【0023】
一つの実施例において、建物環境情報の建物における各フロア及び各建物空間は、唯一の識別コードを介してセンサデータと関連付けており、これにより唯一の識別コードを介して複数のセンサによって検出されたデータがいずれのフロアまたはいずれの建物空間に対応するかを確認することができる。また、いずれの建物環境情報も、後続分析のために、時間スタンプを含む。
【0024】
一つの実施例において、機器制御モジュール12は、複数の避難や防災機器に通信的(電気的)に接続され、防災指令に基づいて複数の避難や防災機器を動的に制御する。複数の避難や防災機器は、エレベータコントローラ、ドアコントローラ、放送システム、防火シャッターコントローラ、消防機器コントローラ、非常口標示コントローラ、排煙機器コントローラ等を含むが、それらに限定されない。
【0025】
一つの実施例において、仲介モジュール13は、ソフトウェアゲートモジュールであり、異なる通信プロトコルの間でのデータのやり取りのために、複数のスマート建築装置10とスマートシティ管理プラットフォーム20との間の異質データフォーマット、通信プロトコル及び/またはアドレス変換等を統合することにより、複数のスマート建築装置10の建物環境情報を統一のフォーマットに変換した後、スマートシティ管理プラットフォーム20に伝送する。
【0026】
上記のスマートシティ管理プラットフォーム20は、有線または無線通信で複数のスマート建築装置10に通信的(電気的)に接続され、複数のスマート建築装置10によって形成された建築グループを管理・統合することにより、簡単な双方向データメッセージのトランスポート層プロトコルで仲介モジュール13からの複数のスマート建築装置10の建物環境情報を受信する。さらに、スマートシティ管理プラットフォーム20は、複数の地域の地域情報と、複数の地域に位置する複数の建物の建築情報とを有し、地域情報はツリー状トポロジーデータ構造であり、ツリー状トポロジーデータ構造の各ノードを介して地理区域と建物との関係を確立する。
【0027】
具体的には、
図2Bは、台北市(即ち地域)のツリー状トポロジーデータ構造(即ち地域情報)の模式図である。スマートシティ管理プラットフォーム20は、台北市(即ち地域)のツリー状トポロジーデータ構造(即ち地域情報)を有し、台北市のツリー状トポロジーデータ構造は、複数の区域(例えば大安区域、中正区域)、区域(例えば大安区域)における道路(例えば忠孝東路3段、忠孝東路4段等)、道路(例えば忠孝東路3段)における建物(例えば敦南忠孝新生ビルディング、凱統ホテルビルディング等)を含む。従って、各区域、各道路及び各建物によって形成されたノードを介して台北市のツリー状トポロジーデータ構造(即ち地域情報)を構築する。また、ツリー状トポロジーデータ構造は、地域における市町村の区画の違い及び建物数量の違いに基づいて、垂直ノードの層数及び水平ノードの数を柔軟に拡張することができ、各ノードはいずれも唯一の識別コードを有する。
【0028】
一つの実施例において、災害情報収集モジュール21は気象機構、防災センター及び/または地方自治体から発信された災害情報を定期的(例えば分毎)に収集する。
【0029】
一つの実施例において、データベース22は、複数の建物環境情報、災害情報および/または歴史データを格納し、後続分析のために、各情報はいずれも時間スタンプ付きである。
【0030】
一つの実施例において、建築情報管理モジュール23は、3Dグラフィカルインターフェイス(またはそのアプリケーション)を介して各建物の建築情報モデリング(Building Information Modeling、BIM)グラフィックス及び四次元地理情報システム(Global Information System,GIS)グラフィックスを管理し、四次元地理情報システムグラフィックスを基に(即ち経度、緯度、高度及び時間を基に)高精度の建築情報モデリング(BIM)グラフィックス、地形及び気候システムと結合することで、地域及び建物を視覚的に表現する。
【0031】
さらに、建築情報管理モジュール23は、建築情報及び地域情報に基づいて区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造(即ち
図2A及び
図2Bの建築情報と地域情報とが直列に接続されてなるもの)を構築する。区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造の深さは特に限定されるものではなく、ルートノードがこのツリー状構造の頂層にあり、管理の規模に応じてシティ名称または国の名称であってもよく、親ノードはルートノードの定義に応じて区域名称等であってもよく、兄弟ノードは上記ノードの定義内容に応じて建物名称であってもよく、さらに深層へ進めば、葉のノードはビルディングの各フロア、部屋及び各空間に含まれる各センサ、制御可能な避難や防災機器等である。また、各ノードは軽量化JavaScript Object Notation(JSON)フォーマットで属性記述や格納が行われ、データ属性の内容は、名称、唯一の識別コード、上下ノードの唯一の識別コード及び外部データに連結するリンクを含む。
【0032】
さらに、建築情報管理モジュール23は、区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造及びス複数のスマート建築装置10により複数の建物のデジタルツインをスマートシティ管理プラットフォーム20内に構築することで、区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造の設計により、複数の建物のデジタルツインが相互間の関係を構造的に確立できるようにする。さらに、建築情報管理モジュール23は、区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造に基づいて複数のスマート建築装置10からアップロードされた建物環境情報を記録することにより、複数のスマート建築装置10からアップロードされた建物環境情報を対応する複数の建物のデジタルツインに統合するともに、データベース22に格納する。ここで説明しておきたいのは、建物の情報をクラウドに個別に記録するだけの従来の技術に対して、本発明はデジタルツインにより、複数の建物の間の関連性を明確に記述することができる。
【0033】
さらに詳しくは、建築情報管理モジュール23は、視覚的に表現された建物及び地域を区域建物のツリー状トポロジーデータ構造と結合し、かつ、唯一の識別コードにより複数のスマート建築装置10の建物環境情報を区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造にそれぞれマッピング対応させ、即ち複数の建物環境情報を区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造の各ノード(
図2Aに示す一階等、
図2Bに示す大安区域等)に記録することにより、区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造と各ノードのセンサデータとフロント・バックエンド統合するとともに、上層応用の介在接続を提供し、さらに全体構造及び各ノードデータ属性、データ内容及びセンサデータ等を読み取ることにより、複数の建物のデジタルツインを構築する。一つの例として、管理者が建築情報管理モジュール23によって視覚的に表現された建物及び地域に対するクリックまたは指令の入力等の動作を行うことで、建築情報管理モジュール23が複数の建物のデジタルツイン及び区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造に基づいて各ノードのデータ属性及びデータ内容(例えばセンサデータ)等を提供するようにする。
【0034】
一つの実施例において、情報分析モジュール24は、複数の建物のデジタルツインに基づいてデータベース22からその建物環境情報及び災害情報収集モジュール21の災害情報を取得し分析を行うことで、複数の建物のデジタルツインの災害分析結果を生成するし、さらに複数の建物のデジタルツインに対応する建物に災害が発生した否かを判断する。複数の建物のいずれか1つに災害が発生した場合に、情報分析モジュール24は複数の建物のいずれか1つの災害分析結果に基づいてその防災指令及び防災情報を生成する。
【0035】
具体的には、情報分析モジュール24は、時系列分析演算法(加重移動平均演算法を含む)を用いて短期と長期の趨勢予測を行う。短期予測は歴史データ(歴史の建物環境情報または災害情報を含む)及び現在の建物環境情報または災害情報で加重移動平均演算法により短期の災害分析結果を予測し、短期の災害分析結果は災害発生時の、各空間に災害を被る影響をリアルタイムで予測することに用いられ、さらに短期の災害分析結果に基づいて防災指令及び防災情報が生成される。また、加重移動平均演算法は下記の通りである。
【数1】
ここで、
【数2】
:次期の予測値
【数3】
:移動平均の時期個数
【数4】
:それぞれ一つ前の期、2つ前の期からn前の期までの実際値
【数5】
:それぞれ一つ前の期、2つ前の期からn前の期までの重み値
重み値は経験法則及び実験により決定され、次期の予測値に近い前期実際値であるほど、重み値が高くなる。即ち、
【数6】
【0036】
一つの例として、
図2Aに示すように、火災が発生した場合に、センサデータ収集モジュール11は、電信ビルディングにおける煙霧センサから秒に一回の採集頻度で出力される煙霧濃度実際値(即ちセンサデータ)を収集して建物環境情報を生成し、仲介モジュール13を介してスマートシティ管理プラットフォーム20に伝送し、その後、情報分析モジュール24は、歴史データ及び現在の建物環境情報に基づいて、加重移動平均演算法により短期趨勢予測を行う。電信ビルディングの一階の101室の歴史データである煙霧濃度実際値(即ち
【数7】
)及び現在の建物環境情報の煙霧濃度実際値
【数8】
はそれぞれ10、12、15、20、23、28、30、38、48、55ppmであり、煙霧濃度実際値に対応する重み値(即ち
【数9】
)は、それぞれ1、1.1、1.3、1.7、2、2.5、3.2、3.5、3.8、4であり、情報分析モジュール24が加重移動平均演算法により短期趨勢予測を行うことにより、次の秒(t)の煙霧濃度予測値(
【数10】
)が82.4と予測し、さらに現在の時点(t-1)の煙霧濃度実際値
【数11】
と煙霧濃度予測値(
【数12】
)とを比較した後、情報分析モジュール24は101室の煙霧が増加しつつあると判断し、この方法で101室に隣接する空間例えばロビーと102室等の煙霧濃度を同時に予測することで、火勢進行方向の災害分析結果を得ることができる。
【0037】
さらに、長期予測は、歴史データ(歴史の建物環境情報及び災害情報を含む)の分析を主な対象とし、主に意思決定の支援に運用される。災害事件が空間分布及び時系列特性を有するため、情報分析モジュール24は、区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造によって構築された建物空間と機器との間の関係(即ち、デジタルツイン)に基づいて、センサ機器によって収集された歴史データに合わせて、予測モデルを機器学習方法でトレーニングすることにより、長期の災害分析結果を予測し、例えば洪水災害防止などの環境整備のような意思決定アドバイス等を提供し、トポロジーデータ構造において構築された建物空間分布関係、歴史データ及び歴史災害事件をトレーニングモデルの要素として利用することで、環境整備の意思決定の参考として、ユーザが評価しようとする区域の水没確率を特定する。
【0038】
一つの例として、水没になった場合、情報分析モジュール24は、ある区域の水位高度を降水量で評価するとともに、区域建築グループのデジタルツインに基づいて予測しようとする区域の歴史降水量、推移変化等の歴史データ(即ち歴史のセンサデータ)を収集し、自然法則経験により水位高度が降水量に対し比例しかつ線形関連性を有するため、情報分析モジュール24は機器学習における線形回帰演算法を用いて予測モデルをトレーニングする。以下、線形回帰演算法について説明する。
【数13】
ここで、
【数14】
:予測値
【数15】
:入力パラメータ
a:傾き
b:インタセプト
ここで、aとbの値は最小二乗法で求められる。
【0039】
従って、情報分析モジュール24は雨量、水位センサによってそれぞれ測定された10個の歴史データ、例えば歴史雨量(X)100、113、80、73、150、123、120、92、50、45mmとともに、対応する歴史水位(Y)センサ値5、5.12、4.77、4.56、8.3、6.2、5.8、5、3.8、3.3cmを用いて、線形回帰演算法で線形モデルを下記のように推定することができる。
【数16】
【0040】
従って、情報分析モジュール24は線形モデルを用いて降水量と水位との間の関係、例えば、降水量が450mmに達した場合に水位が19cmに達するという災害分析結果を予測することができ、これにより、災害分析結果を関連する意思決定の実行の支援として提供する。
【0041】
さらに、建築情報管理モジュール23は、四次元GISグラフィックスを用いて建築情報モデリング(BIM)グラフィックスと結合し、時間次元を介して情報分析モジュール24によって分析された災害分析結果を表現し、時間軸のドラッグの方法により、過去、現在、未来の環境変化を展示することができ、例えばビルディング火災の発生を、四次元GISグラフィックスを建築情報モデリング(BIM)グラフィックスと結合することで、災害発生現場のリアルタイム状況、過去の火災発生プロセス及び未来延焼可能な区域を視覚化に表現することができる。
【0042】
一つの実施例において、災害報知警告モジュール25は、情報分析モジュール24によって生成された複数の建物のいずれか1つの防災指令及び防災情報を受信し、複数の建物のいずれか1つの防災指令を複数の建物のいずれか1つ(即ち災害発生の建物)のスマート建築装置10に送信する。防災指令は、建物(即ち災害発生の建物)位置情報、制御すべき避難や防災機器、災害地点及び/またはフロア等の情報を含み、建物位置情報は、情報分析モジュール24が複数の建物のデジタルツインに基づいて設定され、災害報知警告モジュール25が建物位置情報に基づいて防災指令を複数の建物のいずれか1つのスマート建築装置10に送信する。
【0043】
他の実施例において、災害報知警告モジュール25は、セルブロードキャスト(Cell broadcast)または国家レベル警報により防災情報を複数の建物のいずれか1つの近傍の建物のスマート建築装置10、または民衆や防災関連機構の防災装置(例えば携帯電話、パソコン等、防災情報を受信可能な装置など、これらに限定されない)に通報することで、建物災害の発生または建物の被った災害影響を警告する。防災情報は、通報区域、災害地点及び/またはフロア等の情報を含み、通報区域は、情報分析モジュール24により複数の建物のデジタルツインに基づいて設定され、災害報知警告モジュール25が通報区域に基づいて防災情報を複数の建物のいずれか1つの近傍の建物のスマート建築装置10または民衆や防災関連機構の防災装置に送信する。例えば、
図2Bに示すように、電信ビルディングに火災が発生した場合に、情報分析モジュール24は、電信ビルディングのデジタルツインに基づいて近傍の世紀明珠ビルディングが通報区域であると判断し、災害報知警告モジュール25が通報区域に基づいて防災情報を世紀明珠ビルディングのスマート建築装置10に送信する。従って、複数の建物のデジタルツインによって構築された複数の建物の間の関係により、災害が発生可能な区域を明確に判断することができ、予め通知を行い災害の拡大を回避することができる。
【0044】
さらに、複数の建物のいずれか1つのスマート建築装置10は、災害報知警告モジュール25からの防災指令を受信し、機器制御モジュール12は、防災指令に基づいて複数の避難や防災機器の作動を制御する。
【0045】
一つの例として、
図2Aに示すように、センサデータ収集モジュール11が電信ビルディングにおける煙霧センサ及び温度センサのセンサデータを受信して建物環境情報を生成し、仲介モジュール13を介してスマートシティ管理プラットフォーム20に送信した後、情報分析モジュール24は、歴史データ及び建物環境情報(センサデータを含む)に基づいて移動平均演算法で演算した後、電信ビルディングの一階の101室の煙霧濃度及び温度数値が予め設定された閾値まで増大し、かつ電信ビルディングの一階のロビー煙霧及び温度センサも数値にも増大の傾向があると判定した後、例えば煙がロビー方向へ延焼するという災害分析結果を生成する。
【0046】
この場合、情報分析モジュール24は防災指令及び防災情報を生成するとともに、災害報知警告モジュール25を介して防災情報で電信ビルディング内の民衆及び防災関連機構に対して災害が発生していると通知し、災害報知警告モジュール25は防災指令を電信ビルディングのスマート建築装置10における機器制御モジュール12に送信し、これにより、機器制御モジュール12は防災指令に基づいて例えば避難方向標示の指向を制御し、101室及びロビー近傍のドアコントローラを解除し、一つのフロアへの停止を回避するようにエレベータの使用を制御する。
【0047】
図3は本発明に係るデジタルツインを使用した区域災害防止方法の建物環境情報アップロードフローの模式図である。
図1、
図2A、
図2Bの説明を併せて参照し、該方法フローは下記のステップS31~ステップS35を含む。
【0048】
ステップS31において、複数の建物のスマート建築装置10におけるセンサデータ収集モジュール11は、それぞれ複数の建物の複数のセンサのセンサデータを収集することで、複数の建物環境情報をそれぞれ生成する。
【0049】
ステップS32において、複数の建物のスマート建築装置10における仲介モジュール13は、その建物環境情報を統一のフォーマットに変換した後、スマートシティ管理プラットフォーム20に送信する。
【0050】
ステップS33において、スマートシティ管理プラットフォーム20は、複数のスマート建築装置10の建物環境情報を受信する。
【0051】
ステップS34において、スマートシティ管理プラットフォーム20のデータベース22は、複数の建物のデジタルツインに基づいて複数のスマート建築装置10の建物環境情報を格納する。
【0052】
ステップS35において、スマートシティ管理プラットフォーム20の建築情報管理モジュール23は、複数の建物の建物環境情報をリアルタイムで建築情報モデリング(Building Information Modeling,BIM)グラフィックス及び四次元地理情報システムグラフィックス(Global Information System,GIS)グラフィックスにより視覚的に表現する。
【0053】
図4は、本発明に係るデジタルツインを使用した区域災害防止方法のデータ分析フローの模式図である。
図1、
図2A及び
図2Bを併せて参照し、該方法フローは下記のステップS41~ステップS46を含む。
【0054】
ステップS41において、スマートシティ管理プラットフォーム20は、複数のスマート建築装置10の建物環境情報を受信する。
【0055】
ステップS42において、スマートシティ管理プラットフォーム20における情報分析モジュール24は、複数のスマート建築装置10の建物環境情報及び歴史データに基づいて災害分析結果を生成し、災害分析結果により複数の建物に災害(例えば火災)が発生しているか否かを判断する。複数の建物のいずれか1つに災害が発生した場合にステップS43に進み、逆に災害が発生した建物がない場合にはステップS41に戻る。一つの実施例において、火災を例として、センサデータ収集モジュール11は、例えば煙霧センサのセンサデータを受信し建物環境情報を生成し、情報分析モジュール24は、現在の建物環境情報に基づいて予め設定された閾値を超えているか否かを判断し、例えば煙霧実際値が100よりも大きい場合に、情報分析モジュール24は、火災が既に発生したという災害分析結果を生成する。
【0056】
ステップS43において、スマートシティ管理プラットフォーム20における災害報知警告モジュール25が防災指令を災害が発生した建物のスマート建築装置10に送信することにより、スマート建築装置10における機器制御モジュール12は防災指令に基づいて、建物における民衆が素早く避難するように災害が発生した建物における避難及び防災機器(例えばドアコントローラ等)の作動を制御する。
【0057】
ステップS44において、スマートシティ管理プラットフォーム20における災害報知警告モジュール25は、民衆及び防災関連機構に対して災害地点及びフロア等の情報を通知するように防災情報を送信する。
【0058】
ステップS45において、情報分析モジュール24は複数のスマート建築装置10からその後にアップロードされた建物環境情報を持続的に分析するとともに、災害が発生した建物における避難及び防災機器の作動を制御するように、災害分析結果及びその防災指令並びに防災情報を持続的に生成する。
【0059】
ステップS46において、スマートシティ管理プラットフォーム20の建築情報管理モジュール23は、災害状況を建築情報モデリング(BIM)グラフィックス及び四次元地理情報システム(GIS)グラフィックスによりスマートシティ管理プラットフォーム20にリアルタイムで表示させる。
【0060】
図5は、本発明に係るデジタルツインを使用した区域災害防止方法の他のデータ分析フローの模式図である。
図1、
図2A及び
図2Bを併せて参照して説明する。該方法フローは下記のステップS51~ステップS56を含む。
【0061】
ステップS51において、スマートシティ管理プラットフォーム20における災害情報収集モジュール21は、気象機構、防災センター及び/または地方自治体からの災害情報(例えば自然災害情報)を定期的(例えば1分毎)に収集する。
【0062】
ステップS52において、スマートシティ管理プラットフォーム20における情報分析モジュール24は、災害情報及び歴史データに基づいて災害分析結果を生成し、災害分析結果により複数の建物のいずれか1つの所在地域において自然災害(例えば暴雨)が発生したか否かを判断し、複数の建物のいずれか1つの所在地域において自然災害が発生した場合にステップS53に進み、逆に自然災害が発生していない場合にはステップS51に戻る。一つの実施例において、洪水を例として、災害情報収集モジュール21は政府の自然災害リアルタイムメッセージ、例えば一時間降雨量または風力の災害情報を収集し、情報分析モジュール24は、災害情報及び歴史データ(例えば過去の水位センサによって検出された水位データ等)に基づいて加重移動平均演算法で歴史災害発生時の一時間降水量、風力と持続期間を分析することにより、災害の発生確率を予測し、災害が発生したという分析結果を生成する。
【0063】
一つの実施例において、情報分析モジュール24は災害情報(自然災害が発生しうる地方の少なくともいずれか1つの位置情報)及び複数の建物のデジタルツインに基づいて、影響を受けた地域及び範囲を分析し、複数の建物の少なくともいずれか1つの所在地域において自然災害(例えば暴雨)が発生したか否かを判断する。
【0064】
ステップS53において、スマートシティ管理プラットフォーム20における災害報知警告モジュール25が、影響を受けた建物のスマート建築装置10に防災指令を送信することで、スマート建築装置10における機器制御モジュール12は、建物の浸水を回避するために、防災指令に基づいて影響を受けた建物における避難及び防災機器(例えば水シャッター等)の作動を制御する。
【0065】
ステップS54において、スマートシティ管理プラットフォーム20における災害報知警告モジュール25は、民衆及び防災関連機構に対して災害地点及びフロア等の情報を通知するように防災情報を送信する。
【0066】
ステップS55において、情報分析モジュール24は複数のスマート建築装置10からその後にアップロードされた建物環境情報、または災害情報収集モジュール21によってその後に収集された災害情報を持続的に分析するとともに、災害が発生した建物における避難及び防災機器の作動を制御するように、災害分析結果及びその防災指令並びに防災情報を持続的に生成する。
【0067】
ステップS56において、スマートシティ管理プラットフォーム20の建築情報管理モジュール23は、災害状況を建築情報モデリング(BIM)グラフィックス及び四次元地理情報システム(GIS)グラフィックスによりスマートシティ管理プラットフォーム20にリアルタイムで表示させる。
【0068】
また、本発明は、プロセッサー(たとえばCPU、GPU等)及び/またはメモリを有するコンピューターまたは計算装置に応用されかつ指令が格納されたコンピューター読み取り可能な媒体であって、該コンピューターまたは該計算装置がプロセッサー及び/またはメモリを介してこのコンピューター読み取り可能な媒体を実行することにより、コンピューター読み取り可能な媒体を実行する場合に上記の方法及び各工程を実行する、コンピューター読み取り可能な媒体をさらに提供する。
【0069】
上記のように、本発明に係るデジタルツインを使用した区域災害防止システム、方法及びコンピューター読み取り可能な媒体によれば、複数の建物に設けられたスマート建築装置及びバックエンドのスマートシティ管理プラットフォームを介して区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造を構築することで建築グループのデジタルツインを構築することにより、一つの区域における複数の建物を管理し、建物に災害が発生した場合、スマート建築装置は情報を素早くスマートシティ管理プラットフォームに送信できるとともに、スマートシティ管理プラットフォームにより複数の建物のデジタルツインに基づいて建物自身の災害状況及び災害の影響範囲を評価し、さらに民衆及び防災関連機構に通報し、建物における避難及び防災機器の作動を制御し、人々を避難させ人々の生命安全を保障することができる。
【0070】
また、本発明に係るデジタルツインを使用した区域災害防止システム、方法及びそのコンピューター読み取り可能な媒体は、下記の利点及び技術的効果を有する。
【0071】
一、本発明では、複数の建物のスマート建築装置とスマートシティ管理プラットフォームとの間の双方向連結フローを利用しているため、従来の建物の独立管理に比して、本発明のスマートシティ管理プラットフォームは、区域建築グループのツリー状トポロジーデータ構造を介して複数の建物を管理し、建築グループのデジタルツインを構築し、複数の建物同士の間の関連性を構成し、建築グループの管理効率及び正確度を向上させることができる。
【0072】
二、本発明では、従来の手動通報の代わりに、複数の建物のスマート建築装置及びスマートシティ管理プラットフォームによる災害発生時の通報フローを利用しているため、救援の遅延を回避し、避難及び救援効率を向上させることができる。
【0073】
三、本発明は、スマートシティ管理プラットフォームにより複数の建物のスマート建築装置から送信された建物環境情報または気象機構、防災センター及び/または地方自治体から発信された災害情報、及び歴史データに基づいて分析を行うことで、災害発生のプロセスをリアルタイムで模擬し、政策決定者の意思決定の補助とし、かつ救援者に対して探索救助及び民衆避難路線の動的制御を行えるよう協力することにより、災害発生時における被害を低減させることができる。
【0074】
四、本発明は、スマートシティ管理プラットフォームが災害分析結果に基づいて防災指令及び防災情報を生成することで、災害発生時に建物のスマート建築装置に警告を能動的に提供するとともに、民衆に対して避難させるためのセルブロードキャストを通知する。
【0075】
五、本発明は、収集された大量の情報を複数の建物のスマート建築装置によりスマートシティ管理プラットフォームに送信し、スマートシティ管理プラットフォームが複数の建物のデジタルツインに基づいて、自身の強大な演算能力、格納能力、意思決定分析能力及び管理能力により意思決定の支援、救援サポート及び避難や防災機器の制御を提供し、災害による損失を低減させる。
【0076】
上記実施例は本発明の例示的効果に過ぎず、本発明を限定するためのものではなく、所属する技術分野において通常知識を有する者により本発明の主旨を逸脱しない範囲でそれらの実施態様に対して種々に修正や変更を施すことが可能である。従って、本発明の権利保護範囲は、後述の特許請求の範囲の示されるものである。
【符号の説明】
【0077】
1 デジタルツインを使用した区域災害防止システム
10 スマート建築装置
11 センサデータ収集モジュール
12 機器制御モジュール
13 仲介モジュール
20 スマートシティ管理プラットフォーム
21 災害情報収集モジュール
22 データベース
23 建築情報管理モジュール
24 情報分析モジュール
25 災害報知警告モジュール
S31~S35、S41~S46、S51~S56 ステップ