(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20241211BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20241211BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
H02G3/04
H02G3/30
H01B7/00 301
(21)【出願番号】P 2022140443
(22)【出願日】2022-09-05
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 基也
(72)【発明者】
【氏名】石川 達也
(72)【発明者】
【氏名】柏野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】村尾 泰明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏幸
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-126648(JP,A)
【文献】特開2012-010575(JP,A)
【文献】特開平09-063370(JP,A)
【文献】特開平08-249946(JP,A)
【文献】特開2018-068016(JP,A)
【文献】特開2013-125586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02G 3/30
H01B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、
前記電線における軸線方向で基点から一方に向けた第1巻付区間の第1電線部に対して第1粘着テープを巻き付けた第1テープ巻付体と、
前記電線における軸線方向で前記基点から他方に向けた第2巻付区間の第2電線部に対して第2粘着テープを巻き付けた第2テープ巻付体と、
を備え、
前記第1テープ巻付体は、前記第1巻付区間における前記第1テープ巻付体及び前記第1電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第1復元力が前記電線を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成し、
前記第2テープ巻付体は、前記第2巻付区間における前記第2テープ巻付体及び前記第2電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第2復元力が前記保持力よりも小さくなるものとして
形成し、
前記第1粘着テープは、ビニルテープであり、
前記第2粘着テープは、不織布テープであり、
前記第1テープ巻付体は、少なくとも前記第1巻付区間の長さのテープ幅を持つ前記第1粘着テープを前記第1復元力の発生が可能な巻き数で巻き付けたものであり、
前記第2テープ巻付体は、少なくとも前記第2巻付区間の長さのテープ幅を持つ前記第2粘着テープを前記第2復元力の発生が可能な巻き数で巻き付けたものであることを特徴としたワイヤハーネス。
【請求項2】
電線と、
前記電線における軸線方向で基点から一方に向けた第1巻付区間の第1電線部に対して第1粘着テープを巻き付けた第1テープ巻付体と、
前記電線における軸線方向で前記基点から他方に向けた第2巻付区間の第2電線部に対して第2粘着テープを巻き付けた第2テープ巻付体と、
を備え、
前記第1テープ巻付体は、前記第1巻付区間における前記第1テープ巻付体及び前記第1電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第1復元力が前記電線を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成し、
前記第2テープ巻付体は、前記第2巻付区間における前記第2テープ巻付体及び前記第2電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第2復元力が前記保持力よりも小さくなるものとして形成し、
前記第1粘着テープは、ビニルテープであり、
前記第2粘着テープは、不織布テープであり、
前記第1テープ巻付体は、前記第1粘着テープを前記第1復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けたものであり、
前記第2テープ巻付体は、前記第2粘着テープが前記第2復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けたものであることを特徴としたワイヤハーネス。
【請求項3】
前記電線の前記基点に組み付けたクランプを備えることを特徴とした請求項1又は2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記第1粘着テープ及び前記第2粘着テープよりも硬質で、かつ、前記電線における軸線方向で前記第1電線部よりも前記一方側を収容する第1外装部材と、
前記第1粘着テープ及び前記第2粘着テープよりも硬質で、かつ、前記電線における軸線方向で前記第2電線部よりも前記他方側を収容する第2外装部材と、
を備え、
前記第1粘着テープは、前記第1電線部と前記第1外装部材における前記第1電線部側の端部の外周壁とに巻き付け、
前記第2粘着テープは、前記第2電線部と前記第2外装部材における前記第2電線部側の端部の外周壁とに巻き付けることを特徴とした請求項1又は2に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
電線と、
前記電線における軸線方向で基点から一方に向けた第1巻付区間の第1電線部に対して第1粘着テープを巻き付けた第1テープ巻付体と、
前記電線における軸線方向で前記基点から他方に向けた第2巻付区間の第2電線部に対して第2粘着テープを巻き付けた第2テープ巻付体と、
前記第1粘着テープ及び前記第2粘着テープよりも硬質で、かつ、前記電線における軸線方向で前記第1電線部よりも前記一方側を収容する第1外装部材と、
前記第1粘着テープ及び前記第2粘着テープよりも硬質で、かつ、前記電線における軸線方向で前記第2電線部よりも前記他方側を収容する第2外装部材と、
を備え、
前記第1テープ巻付体は、前記第1巻付区間における前記第1テープ巻付体及び前記第1電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第1復元力が前記電線を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成し、
前記第2テープ巻付体は、前記第2巻付区間における前記第2テープ巻付体及び前記第2電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第2復元力が前記保持力よりも小さくなるものとして形成し、
前記第1粘着テープと前記第2粘着テープは、各々、同じビニルテープであり、
前記第1テープ巻付体は、前記第1粘着テープを前記第1復元力の発生が可能な第1ラップ量で重ねながら巻き付けたものであり、
前記第2テープ巻付体は、前記第2粘着テープを前記第2復元力の発生が可能で且つ前記第1ラップ量よりもラップ量の少ない第2ラップ量で重ねながら巻き付けたものであり、
前記第1粘着テープは、前記第1電線部と前記第1外装部材における前記第1電線部側の端部の外周壁とに巻き付け、
前記第2粘着テープは、前記第2電線部と前記第2外装部材における前記第2電線部側の端部の外周壁とに巻き付けることを特徴としたワイヤハーネス。
【請求項6】
電線と、
前記電線における軸線方向で基点から一方に向けた第1巻付区間の第1電線部に対して第1粘着テープを巻き付けた第1テープ巻付体と、
前記電線における軸線方向で前記基点から他方に向けた第2巻付区間の第2電線部に対して第2粘着テープを巻き付けた第2テープ巻付体と、
前記第1粘着テープ及び前記第2粘着テープよりも硬質で、かつ、前記電線における軸線方向で前記第1電線部よりも前記一方側を収容する第1外装部材と、
前記第1粘着テープ及び前記第2粘着テープよりも硬質で、かつ、前記電線における軸線方向で前記第2電線部よりも前記他方側を収容する第2外装部材と、
を備え、
前記第1テープ巻付体は、前記第1巻付区間における前記第1テープ巻付体及び前記第1電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第1復元力が前記電線を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成し、
前記第2テープ巻付体は、前記第2巻付区間における前記第2テープ巻付体及び前記第2電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第2復元力が前記保持力よりも小さくなるものとして形成し、
前記第1粘着テープと前記第2粘着テープは、各々、同じビニルテープであり、
前記第1テープ巻付体は、前記第1粘着テープを前記第1復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けたものであり、
前記第2テープ巻付体は、前記第2粘着テープを前記第2復元力の発生が可能な荒巻状態で巻き付けたものであり、
前記第1粘着テープは、前記第1電線部と前記第1外装部材における前記第1電線部側の端部の外周壁とに巻き付け、
前記第2粘着テープは、前記第2電線部と前記第2外装部材における前記第2電線部側の端部の外周壁とに巻き付けることを特徴としたワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤハーネスは、様々な経路で車両に配索されるので、その経路の途中で折り曲げられたりする(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワイヤハーネスは、車体等の構造物へと組み付ける前に、組付け後の経路に沿わせた大凡の仮配索形状に形作られることがある。一方、ワイヤハーネスにおいては、その構造物等の周辺部品から電線を保護するべく、電線をコルゲートチューブ等の硬質の外装部材で覆うことがある。このため、従来のワイヤハーネスにおいては、組付け後の経路に沿わせた仮配索形状を予め作っておこうとしても、その外装部材の屈曲形状からの復元力が電線の屈曲形状の保持力よりも勝っているので、構造物への組付けを始めるまで仮形状を維持しておくことができない。
【0005】
そこで、本発明は、組付け前の仮配索形状を維持することが可能なワイヤハーネスを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電線と、前記電線における軸線方向で基点から一方に向けた第1巻付区間の第1電線部に対して第1粘着テープを巻き付けた第1テープ巻付体と、前記電線における軸線方向で前記基点から他方に向けた第2巻付区間の第2電線部に対して第2粘着テープを巻き付けた第2テープ巻付体と、を備え、前記第1テープ巻付体は、前記第1巻付区間における前記第1テープ巻付体及び前記第1電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第1復元力が前記電線を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成し、前記第2テープ巻付体は、前記第2巻付区間における前記第2テープ巻付体及び前記第2電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第2復元力が前記保持力よりも小さくなるものとして形成し、前記第1粘着テープは、ビニルテープであり、前記第2粘着テープは、不織布テープであり、前記第1テープ巻付体は、少なくとも前記第1巻付区間の長さのテープ幅を持つ前記第1粘着テープを前記第1復元力の発生が可能な巻き数で巻き付けたものであり、前記第2テープ巻付体は、少なくとも前記第2巻付区間の長さのテープ幅を持つ前記第2粘着テープを前記第2復元力の発生が可能な巻き数で巻き付けたものであることを特徴とする。
また、本発明は、電線と、前記電線における軸線方向で基点から一方に向けた第1巻付区間の第1電線部に対して第1粘着テープを巻き付けた第1テープ巻付体と、前記電線における軸線方向で前記基点から他方に向けた第2巻付区間の第2電線部に対して第2粘着テープを巻き付けた第2テープ巻付体と、を備え、前記第1テープ巻付体は、前記第1巻付区間における前記第1テープ巻付体及び前記第1電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第1復元力が前記電線を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成し、前記第2テープ巻付体は、前記第2巻付区間における前記第2テープ巻付体及び前記第2電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第2復元力が前記保持力よりも小さくなるものとして形成し、前記第1粘着テープは、ビニルテープであり、前記第2粘着テープは、不織布テープであり、前記第1テープ巻付体は、前記第1粘着テープを前記第1復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けたものであり、前記第2テープ巻付体は、前記第2粘着テープが前記第2復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けたものであることを特徴とする。
また、本発明は、電線と、前記電線における軸線方向で基点から一方に向けた第1巻付区間の第1電線部に対して第1粘着テープを巻き付けた第1テープ巻付体と、前記電線における軸線方向で前記基点から他方に向けた第2巻付区間の第2電線部に対して第2粘着テープを巻き付けた第2テープ巻付体と、前記第1粘着テープ及び前記第2粘着テープよりも硬質で、かつ、前記電線における軸線方向で前記第1電線部よりも前記一方側を収容する第1外装部材と、前記第1粘着テープ及び前記第2粘着テープよりも硬質で、かつ、前記電線における軸線方向で前記第2電線部よりも前記他方側を収容する第2外装部材と、を備え、前記第1テープ巻付体は、前記第1巻付区間における前記第1テープ巻付体及び前記第1電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第1復元力が前記電線を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成し、前記第2テープ巻付体は、前記第2巻付区間における前記第2テープ巻付体及び前記第2電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第2復元力が前記保持力よりも小さくなるものとして形成し、前記第1粘着テープと前記第2粘着テープは、各々、同じビニルテープであり、前記第1テープ巻付体は、前記第1粘着テープを前記第1復元力の発生が可能な第1ラップ量で重ねながら巻き付けたものであり、前記第2テープ巻付体は、前記第2粘着テープを前記第2復元力の発生が可能で且つ前記第1ラップ量よりもラップ量の少ない第2ラップ量で重ねながら巻き付けたものであり、前記第1粘着テープは、前記第1電線部と前記第1外装部材における前記第1電線部側の端部の外周壁とに巻き付け、前記第2粘着テープは、前記第2電線部と前記第2外装部材における前記第2電線部側の端部の外周壁とに巻き付けることを特徴とする。
また、本発明は、電線と、前記電線における軸線方向で基点から一方に向けた第1巻付区間の第1電線部に対して第1粘着テープを巻き付けた第1テープ巻付体と、前記電線における軸線方向で前記基点から他方に向けた第2巻付区間の第2電線部に対して第2粘着テープを巻き付けた第2テープ巻付体と、前記第1粘着テープ及び前記第2粘着テープよりも硬質で、かつ、前記電線における軸線方向で前記第1電線部よりも前記一方側を収容する第1外装部材と、前記第1粘着テープ及び前記第2粘着テープよりも硬質で、かつ、前記電線における軸線方向で前記第2電線部よりも前記他方側を収容する第2外装部材と、を備え、前記第1テープ巻付体は、前記第1巻付区間における前記第1テープ巻付体及び前記第1電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第1復元力が前記電線を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成し、前記第2テープ巻付体は、前記第2巻付区間における前記第2テープ巻付体及び前記第2電線部の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第2復元力が前記保持力よりも小さくなるものとして形成し、前記第1粘着テープと前記第2粘着テープは、各々、同じビニルテープであり、前記第1テープ巻付体は、前記第1粘着テープを前記第1復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けたものであり、前記第2テープ巻付体は、前記第2粘着テープを前記第2復元力の発生が可能な荒巻状態で巻き付けたものであり、前記第1粘着テープは、前記第1電線部と前記第1外装部材における前記第1電線部側の端部の外周壁とに巻き付け、前記第2粘着テープは、前記第2電線部と前記第2外装部材における前記第2電線部側の端部の外周壁とに巻き付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るワイヤハーネスは、第2巻付区間で構造物への組付けを始めるまで屈曲形状が保たれるので、組付け前の仮配索形状を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態のワイヤハーネスを示す平面図である。
【
図2】
図2は、折り曲げ後の実施形態のワイヤハーネスを示す平面図である。
【
図3】
図3は、変形例1のワイヤハーネスを示す平面図である。
【
図4】
図4は、折り曲げ後の変形例1のワイヤハーネスを示す平面図である。
【
図5】
図5は、変形例2のワイヤハーネスを示す平面図である。
【
図6】
図6は、折り曲げ後の変形例2のワイヤハーネスを示す平面図である。
【
図7】
図7は、変形例3のワイヤハーネスを示す平面図である。
【
図8】
図8は、折り曲げ後の変形例3のワイヤハーネスを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係るワイヤハーネスの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
本発明に係るワイヤハーネスの実施形態の1つを
図1及び
図2に基づいて説明する。
【0011】
図1及び
図2の符号1は、本実施形態のワイヤハーネスを示す。このワイヤハーネス1は、例えば、車両における車体等の構造物に沿って配策され、その配索経路上で構造物に固定される。
【0012】
このワイヤハーネス1は、電線(通信線としての電線、電源線としての電線等)10を備える(
図1及び
図2)。ここで示す電線10とは、1本の電線又は複数本の電線が束ねられた電線束のことをいう。
【0013】
このワイヤハーネス1においては、電線10における軸線方向で基点10aから一方に向けた第1巻付区間10bで第1粘着テープ21が巻き付けられ、かつ、電線10における軸線方向で基点10aから他方に向けた第2巻付区間10cで第2粘着テープ31が巻き付けられる(
図1及び
図2)。よって、このワイヤハーネス1は、電線10における第1巻付区間10bの第1電線部11に対して第1粘着テープ21を巻き付けた第1テープ巻付体20と、電線10における第2巻付区間10cの第2電線部12に対して第2粘着テープ31を巻き付けた第2テープ巻付体30と、を備える(
図1及び
図2)。
【0014】
ここで、電線10の基点10aとは、このワイヤハーネス1の配索経路上で屈曲点となる箇所における電線折曲げ作業時の目印となる場所のことである。このワイヤハーネス1においては、構造物に組み付ける前に、組付け後の経路に沿わせた大凡の仮配索形状に形作っておく。ワイヤハーネス1においては、その仮配索形状を作る際に、基点10aを目印にして電線10を折り曲げる。従って、このワイヤハーネス1は、仮形状の状態で構造物への組付けを行うので、その構造物への組付けを始めるまで仮配索形状を維持しておく必要がある。そこで、このワイヤハーネス1は、第1テープ巻付体20と第2テープ巻付体30を次のように構成して、仮配索形状における基点10aを目印にして行った電線10の屈曲形状を維持させる。
【0015】
先ず、第1テープ巻付体20は、第1巻付区間10bにおける第1テープ巻付体20及び第1電線部11の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への復元力(以下、「第1復元力」という。)が電線10を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成する。次に、第2テープ巻付体30については、第2巻付区間10cにおける第2テープ巻付体30及び第2電線部12の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への復元力(以下、「第2復元力」という。)が電線10を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも小さくなるものとして形成する。
【0016】
このワイヤハーネス1においては、第1巻付区間10bで第1テープ巻付体20及び第1電線部11を屈曲前形状から折り曲げたとしても、その第1復元力が電線10の単体の保持力よりも勝っているので、第1テープ巻付体20及び第1電線部11が屈曲形状から屈曲前形状へと戻ろうとする。一方、このワイヤハーネス1においては、第2巻付区間10cで第2テープ巻付体30及び第2電線部12を屈曲前形状から折り曲げたならば、その第2復元力が電線10の単体の保持力よりも小さいので、第2テープ巻付体30及び第2電線部12が屈曲形状のままに保たれる(
図2)。従って、このワイヤハーネス1は、基点10aを目印にして第2巻付区間10cで第2テープ巻付体30及び第2電線部12を折り曲げることによって、その屈曲形状を構造物への組付けを始めるまで維持し続けることができる。この例示では、第2巻付区間10cにおける基点10a側の端部で第2テープ巻付体30及び第2電線部12を折り曲げる。
【0017】
このワイヤハーネス1においては、第1粘着テープ21を第1巻付区間10bと第2巻付区間10cにおける基点10a側の端部とに巻き付け、かつ、第2粘着テープ31を第2巻付区間10cと第1巻付区間10bにおける基点10a側の端部とに巻き付けてもよい。
【0018】
更に、このワイヤハーネス1は、電線10の基点10aに組み付けたクランプ40を備えてもよい(
図1及び
図2)。このクランプ40は、その基点10aの位置を把握し易くするための識別部品である。ワイヤハーネス1においては、このクランプ40を目印にして基点10aの位置を把握することができるので、第2巻付区間10cでの第2テープ巻付体30及び第2電線部12の折曲げ作業が容易になる。
【0019】
また更に、このワイヤハーネス1は、第1粘着テープ21及び第2粘着テープ31よりも硬質で、かつ、電線10における軸線方向で第1電線部11よりも一方側を収容する第1外装部材51と、第1粘着テープ21及び第2粘着テープ31よりも硬質で、かつ、電線10における軸線方向で第2電線部12よりも他方側を収容する第2外装部材52と、を備えてもよい(
図1及び
図2)。第1外装部材51は、電線10における第1電線部11よりも一方側を周辺部品が保護する部品である。また、第2外装部材52は、電線10における第2電線部12よりも他方側を周辺部品が保護する部品である。ここでは、第1外装部材51と第2外装部材52にコルゲートチューブを用いている。
【0020】
ワイヤハーネス1に第1外装部材51を設ける場合、第1粘着テープ21は、第1電線部11と第1外装部材51における第1電線部11側の端部の外周壁とに巻き付ける(
図1及び
図2)。そして、ワイヤハーネス1に第2外装部材52を設ける場合、第2粘着テープ31は、第2電線部12と第2外装部材52における第2電線部12側の端部の外周壁とに巻き付ける(
図1及び
図2)。
【0021】
具体的に、本実施形態のワイヤハーネス1においては、第1粘着テープ21にビニルテープを用い、かつ、第2粘着テープ31に不織布テープを用いている。ここでは、少なくとも第1巻付区間10bの長さのテープ幅を持つ第1粘着テープ(ビニルテープ)21と、少なくとも第2巻付区間10cの長さのテープ幅を持つ第2粘着テープ(不織布テープ)31と、を用いている(
図1及び
図2)。
【0022】
このワイヤハーネス1においては、その第1粘着テープ(ビニルテープ)21を第1復元力の発生が可能な少なくとも1巻き以上の巻き数でフルラップ状態に巻き付け、かつ、その第2粘着テープ(不織布テープ)31を第2復元力の発生が可能な少なくとも1巻き以上の巻き数でフルラップ状態に巻き付ける(
図1及び
図2)。例えば、このワイヤハーネス1においては、第1粘着テープ(ビニルテープ)21が第1復元力の発生が可能な巻き数でフルラップ状態に巻き付けられる。そして、このワイヤハーネス1においては、第2粘着テープ(不織布テープ)31が第1粘着テープ(ビニルテープ)21と同じ巻き数でフルラップ状態に巻き付けられる。このワイヤハーネス1は、少なくとも第1巻付区間10bの長さのテープ幅を持つ第1粘着テープ(ビニルテープ)21を第1復元力の発生が可能な巻き数で巻き付けた第1テープ巻付体20と、少なくとも第2巻付区間10cの長さのテープ幅を持つ第2粘着テープ(不織布テープ)31を第2復元力の発生が可能な巻き数で巻き付けた第2テープ巻付体30と、を備える。
【0023】
この例示のワイヤハーネス1においては、第1巻付区間10bの長さよりもテープ幅の広い第1粘着テープ(ビニルテープ)21が用いられ、第1電線部11と第1外装部材51における第1電線部11側の端部の外周壁とに対して、その第1粘着テープ(ビニルテープ)21が第1復元力の発生が可能な巻き数でフルラップ状態に巻き付けられている(
図1及び
図2)。そして、この例示のワイヤハーネス1においては、第2巻付区間10cの長さよりもテープ幅の広い第2粘着テープ(不織布テープ)31が用いられ、第2電線部12と第2外装部材52における第2電線部12側の端部の外周壁とに対して、その第2粘着テープ(不織布テープ)31が第2復元力の発生が可能な巻き数でフルラップ状態に巻き付けられている(
図1及び
図2)。
【0024】
以上示したように、本変形例のワイヤハーネス1は、第2巻付区間10cで構造物への組付けを始めるまで屈曲形状が保たれるので、組付け前の仮配索形状を維持することができる。
【0025】
[変形例1]
本変形例のワイヤハーネス2は、前述した実施形態のワイヤハーネス1において、第1テープ巻付体20と第2テープ巻付体30を各々第1テープ巻付体120と第2テープ巻付体130に置き換えたものである(
図3及び
図4)。
【0026】
本変形例の第1テープ巻付体120は、前述した実施形態の第1テープ巻付体20と同じように、第1巻付区間10bの第1電線部11に対して第1粘着テープ121を巻き付けたものである(
図3及び
図4)。そして、この第1テープ巻付体120は、その実施形態の第1テープ巻付体20と同じように、第1巻付区間10bにおける第1テープ巻付体120及び第1電線部11の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第1復元力が電線10を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成する。
【0027】
本変形例の第1粘着テープ121は、前述した実施形態の第1粘着テープ21と同じように、ビニルテープである。但し、本変形例の第1粘着テープ(ビニルテープ)121は、実施形態の第1粘着テープ(ビニルテープ)21と同じように少なくとも第1巻付区間10bの長さのテープ幅を持つものであってもよく、第1巻付区間10bの長さよりも狭いテープ幅を持つものであってもよい。そして、本変形例の第1粘着テープ(ビニルテープ)121は、第1復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けられる。そのラップ量は、このワイヤハーネス2を設計するに当たって定められた規定ラップ量であり、例えば、第1粘着テープ(ビニルテープ)121のテープ幅の1/4であったり、1/2(所謂ハーフラップ)であったり、3/4であったりする。このように、本変形例のワイヤハーネス2は、第1粘着テープ(ビニルテープ)121を第1復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けた第1テープ巻付体120を備えている。
【0028】
また、本変形例の第2テープ巻付体130は、前述した実施形態の第2テープ巻付体30と同じように、第2巻付区間10cの第2電線部12に対して第2粘着テープ131を巻き付けたものである(
図3及び
図4)。そして、この第2テープ巻付体130は、その実施形態の第2テープ巻付体30と同じように、第2巻付区間10cにおける第2テープ巻付体130及び第2電線部12の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第2復元力が電線10を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも小さくなるものとして形成する。
【0029】
本変形例の第2粘着テープ131は、前述した実施形態の第2粘着テープ31と同じように、不織布テープである。但し、本変形例の第2粘着テープ(不織布テープ)131は、実施形態の第2粘着テープ(不織布テープ)31と同じように少なくとも第2巻付区間10cの長さのテープ幅を持つものであってもよく、第2巻付区間10cの長さよりも狭いテープ幅を持つものであってもよい。そして、本変形例の第2粘着テープ(不織布テープ)131は、第2復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けられる。そのラップ量は、このワイヤハーネス2を設計するに当たって定められた規定ラップ量であり、例えば、第2粘着テープ(不織布テープ)131のテープ幅の1/4であったり、1/2(所謂ハーフラップ)であったり、3/4であったりする。このように、本変形例のワイヤハーネス2は、第2粘着テープ(不織布テープ)131を第2復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けた第2テープ巻付体130を備えている。例えば、第2テープ巻付体130は、第2粘着テープ(不織布テープ)131が第1粘着テープ(ビニルテープ)121と同じラップ量で重ねながら巻き付けられている。
【0030】
本変形例のワイヤハーネス2においては、前述した実施形態のワイヤハーネス1と同じように、第1巻付区間10bで第1テープ巻付体120及び第1電線部11を屈曲前形状から折り曲げたとしても、その第1復元力が電線10の単体の保持力よりも勝っているので、第1テープ巻付体120及び第1電線部11が屈曲形状から屈曲前形状へと戻ろうとする。また、このワイヤハーネス2においては、前述した実施形態のワイヤハーネス1と同じように、第2巻付区間10cで第2テープ巻付体130及び第2電線部12を屈曲前形状から折り曲げたならば、その第2復元力が電線10の単体の保持力よりも小さいので、第2テープ巻付体130及び第2電線部12が屈曲形状のままに保たれる。従って、このワイヤハーネス2は、基点10aを目印にして第2巻付区間10cで第2テープ巻付体130及び第2電線部12を折り曲げることによって、その屈曲形状を構造物への組付けを始めるまで維持し続けることができる(
図4)。この例示では、第2巻付区間10cにおける基点10a側の端部で第2テープ巻付体130及び第2電線部12を折り曲げている。
【0031】
以上示したように、本変形例のワイヤハーネス2は、前述した実施形態のワイヤハーネス1に対して、第1テープ巻付体20と第2テープ巻付体30を各々第1テープ巻付体120と第2テープ巻付体130に置き換えたものであるが、このワイヤハーネス1と同様の効果を得ることができる。
【0032】
ここで、この例示のワイヤハーネス2においては、第1巻付区間10bの長さよりもテープ幅の狭い第1粘着テープ(ビニルテープ)121と、第2巻付区間10cの長さよりもテープ幅の狭い第2粘着テープ(不織布テープ)131と、が用いられている(
図3及び
図4)。更に、この例示のワイヤハーネス2においては、同じテープ幅の第1粘着テープ(ビニルテープ)121と第2粘着テープ(不織布テープ)131が用いられている(
図3及び
図4)。そして、この例示のワイヤハーネス2においては、第1電線部11と第1外装部材51における第1電線部11側の端部の外周壁とに対して、その第1粘着テープ(ビニルテープ)121が第1復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けられ、かつ、第2電線部12と第2外装部材52における第2電線部12側の端部の外周壁とに対して、その第2粘着テープ(不織布テープ)131が第2復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けられている(
図3及び
図4)。
【0033】
[変形例2]
本変形例のワイヤハーネス3は、前述した実施形態のワイヤハーネス1において、第1テープ巻付体20と第2テープ巻付体30を各々第1テープ巻付体220と第2テープ巻付体230に置き換えたものである(
図5及び
図6)。
【0034】
本変形例の第1テープ巻付体220は、前述した実施形態の第1テープ巻付体20と同じように、第1巻付区間10bの第1電線部11に対して第1粘着テープ221を巻き付けたものである(
図5及び
図6)。そして、この第1テープ巻付体220は、その実施形態の第1テープ巻付体20と同じように、第1巻付区間10bにおける第1テープ巻付体220及び第1電線部11の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第1復元力が電線10を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成する。
【0035】
本変形例の第1粘着テープ221は、前述した実施形態の第1粘着テープ21と同じように、ビニルテープである。但し、本変形例の第1粘着テープ(ビニルテープ)221は、実施形態の第1粘着テープ(ビニルテープ)21と同じように少なくとも第1巻付区間10bの長さのテープ幅を持つものであってもよく、第1巻付区間10bの長さよりも狭いテープ幅を持つものであってもよい。そして、本変形例の第1粘着テープ(ビニルテープ)221は、第1復元力の発生が可能な第1ラップ量で重ねながら巻き付けられる。その第1ラップ量は、前述した変形例1で示した第1粘着テープ(ビニルテープ)121のラップ量と同じものであり、例えば、第1粘着テープ(ビニルテープ)221のテープ幅の1/4であったり、1/2(所謂ハーフラップ)であったり、3/4であったりする。このように、本変形例のワイヤハーネス3は、第1粘着テープ(ビニルテープ)221を第1復元力の発生が可能な第1ラップ量で重ねながら巻き付けた第1テープ巻付体220を備えている。
【0036】
また、本変形例の第2テープ巻付体230は、前述した実施形態の第2テープ巻付体30と同じように、第2巻付区間10cの第2電線部12に対して第2粘着テープ231を巻き付けたものである(
図5及び
図6)。そして、この第2テープ巻付体230は、その実施形態の第2テープ巻付体30と同じように、第2巻付区間10cにおける第2テープ巻付体230及び第2電線部12の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第2復元力が電線10を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも小さくなるものとして形成する。
【0037】
本変形例の第2粘着テープ231は、第1粘着テープ(ビニルテープ)221と同じビニルテープである。更に、本変形例の第2粘着テープ(ビニルテープ)231は、実施形態の第2粘着テープ(ビニルテープ)31と同じように少なくとも第2巻付区間10cの長さのテープ幅を持つものであってもよく、第2巻付区間10cの長さよりも狭いテープ幅を持つものであってもよい。この第2粘着テープ(ビニルテープ)231は、第1粘着テープ(ビニルテープ)221と同じテープ幅を持つものであることが望ましい。つまり、本変形例のワイヤハーネス3においては、第1粘着テープ(ビニルテープ)221と第2粘着テープ(ビニルテープ)231が同じものであることが望ましい。そして、本変形例の第2粘着テープ(ビニルテープ)231は、第2復元力の発生が可能で且つ第1粘着テープ(ビニルテープ)221の第1ラップ量よりもラップ量の少ない第2ラップ量で重ねながら巻き付けられる。例えば、第2ラップ量は、第1粘着テープ(ビニルテープ)221の第1ラップ量がテープ幅の3/4の場合、これよりもラップ量の少ない第2粘着テープ(ビニルテープ)231のテープ幅の1/4等に設定される。このように、本変形例のワイヤハーネス3は、第2粘着テープ(ビニルテープ)231を第2復元力の発生が可能で且つ第1粘着テープ(ビニルテープ)221の第1ラップ量よりもラップ量の少ない第2ラップ量で重ねながら巻き付けた第2テープ巻付体230を備えている。例えば、第2テープ巻付体230は、第1粘着テープ221と同じビニルテープが第2粘着テープ231として用いられたものであり、この第2粘着テープ(ビニルテープ)231が第1粘着テープ(ビニルテープ)221の第1ラップ量よりもラップ量の少ない第2ラップ量で重ねながら巻き付けられている。
【0038】
本変形例のワイヤハーネス3においては、前述した実施形態のワイヤハーネス1と同じように、第1巻付区間10bで第1テープ巻付体220及び第1電線部11を屈曲前形状から折り曲げたとしても、その第1復元力が電線10の単体の保持力よりも勝っているので、第1テープ巻付体220及び第1電線部11が屈曲形状から屈曲前形状へと戻ろうとする。また、このワイヤハーネス3においては、前述した実施形態のワイヤハーネス1と同じように、第2巻付区間10cで第2テープ巻付体230及び第2電線部12を屈曲前形状から折り曲げたならば、その第2復元力が電線10の単体の保持力よりも小さいので、第2テープ巻付体230及び第2電線部12が屈曲形状のままに保たれる。従って、このワイヤハーネス3は、基点10aを目印にして第2巻付区間10cで第2テープ巻付体230及び第2電線部12を折り曲げることによって、その屈曲形状を構造物への組付けを始めるまで維持し続けることができる(
図6)。この例示では、第2巻付区間10cにおける基点10a側の端部で第2テープ巻付体230及び第2電線部12を折り曲げている。
【0039】
以上示したように、本変形例のワイヤハーネス3は、前述した実施形態のワイヤハーネス1に対して、第1テープ巻付体20と第2テープ巻付体30を各々第1テープ巻付体220と第2テープ巻付体230に置き換えたものであるが、このワイヤハーネス1と同様の効果を得ることができる。
【0040】
ここで、この例示のワイヤハーネス3においては、第1巻付区間10bの長さよりもテープ幅が狭く且つ第2巻付区間10cの長さよりもテープ幅が狭い第1粘着テープ(ビニルテープ)221と第2粘着テープ(ビニルテープ)231が用いられている(
図5及び
図6)。そして、この例示のワイヤハーネス3においては、その第1粘着テープ(ビニルテープ)221と第2粘着テープ(ビニルテープ)231に同じ粘着テープ(ビニルテープ)が用いられている(
図5及び
図6)。この例示のワイヤハーネス3においては、第1電線部11と第1外装部材51における第1電線部11側の端部の外周壁とに対して、その粘着テープ(ビニルテープ)が第1復元力の発生が可能な第1ラップ量で重ねながら巻き付けられ、かつ、第2電線部12と第2外装部材52における第2電線部12側の端部の外周壁とに対して、その粘着テープ(ビニルテープ)が第2復元力の発生が可能で且つ第1ラップ量よりもラップ量の少ない第2ラップ量で重ねながら巻き付けられている(
図5及び
図6)。
【0041】
[変形例3]
本変形例のワイヤハーネス4は、前述した実施形態のワイヤハーネス1において、第1テープ巻付体20と第2テープ巻付体30を各々第1テープ巻付体320と第2テープ巻付体330に置き換えたものである(
図7及び
図8)。
【0042】
本変形例の第1テープ巻付体320は、前述した実施形態の第1テープ巻付体20と同じように、第1巻付区間10bの第1電線部11に対して第1粘着テープ321を巻き付けたものである(
図7及び
図8)。そして、この第1テープ巻付体320は、その実施形態の第1テープ巻付体20と同じように、第1巻付区間10bにおける第1テープ巻付体320及び第1電線部11の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第1復元力が電線10を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも大きくなるものとして形成する。
【0043】
本変形例の第1粘着テープ321は、前述した実施形態の第1粘着テープ21と同じように、ビニルテープである。但し、本変形例の第1粘着テープ(ビニルテープ)321は、実施形態の第1粘着テープ(ビニルテープ)21と同じように少なくとも第1巻付区間10bの長さのテープ幅を持つものであってもよく、第1巻付区間10bの長さよりも狭いテープ幅を持つものであってもよい。そして、本変形例の第1粘着テープ(ビニルテープ)321は、第1復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けられる。そのラップ量は、前述した変形例1で示した第1粘着テープ(ビニルテープ)121のラップ量や前述した変形例2で示した第1粘着テープ(ビニルテープ)221の第1ラップ量と同じものであり、例えば、第1粘着テープ(ビニルテープ)321のテープ幅の1/4であったり、1/2(所謂ハーフラップ)であったり、3/4であったりする。このように、本変形例のワイヤハーネス4は、第1粘着テープ(ビニルテープ)321を第1復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けた第1テープ巻付体320を備えている。
【0044】
また、本変形例の第2テープ巻付体330は、前述した実施形態の第2テープ巻付体30と同じように、第2巻付区間10cの第2電線部12に対して第2粘着テープ331を巻き付けたものである(
図7及び
図8)。そして、この第2テープ巻付体330は、その実施形態の第2テープ巻付体30と同じように、第2巻付区間10cにおける第2テープ巻付体330及び第2電線部12の一体となった屈曲形状から屈曲前形状への第2復元力が電線10を単体で屈曲形状のままに保つ保持力よりも小さくなるものとして形成する。
【0045】
本変形例の第2粘着テープ331は、第1粘着テープ(ビニルテープ)321と同じように、ビニルテープが用いられる。更に、本変形例の第2粘着テープ(ビニルテープ)331は、第2巻付区間10cの長さよりも狭いテープ幅を持つものである。そして、本変形例の第2粘着テープ(ビニルテープ)331は、第2復元力の発生が可能な荒巻状態で巻き付けられる。つまり、本変形例の第2粘着テープ(ビニルテープ)331は、隙間を空けながら巻き付けられていく。このように、本変形例のワイヤハーネス4は、第2粘着テープ(ビニルテープ)331を第2復元力の発生が可能な荒巻状態で巻き付けた第2テープ巻付体330を備えている。
【0046】
本変形例のワイヤハーネス4においては、前述した実施形態のワイヤハーネス1と同じように、第1巻付区間10bで第1テープ巻付体320及び第1電線部11を屈曲前形状から折り曲げたとしても、その第1復元力が電線10の単体の保持力よりも勝っているので、第1テープ巻付体320及び第1電線部11が屈曲形状から屈曲前形状へと戻ろうとする。また、このワイヤハーネス4においては、前述した実施形態のワイヤハーネス1と同じように、第2巻付区間10cで第2テープ巻付体330及び第2電線部12を屈曲前形状から折り曲げたならば、その第2復元力が電線10の単体の保持力よりも小さいので、第2テープ巻付体330及び第2電線部12が屈曲形状のままに保たれる。従って、このワイヤハーネス4は、基点10aを目印にして第2巻付区間10cで第2テープ巻付体330及び第2電線部12を折り曲げることによって、その屈曲形状を構造物への組付けを始めるまで維持し続けることができる(
図8)。この例示では、第2巻付区間10cにおける基点10a側の端部で第2テープ巻付体330及び第2電線部12を折り曲げている。
【0047】
以上示したように、本変形例のワイヤハーネス4は、前述した実施形態のワイヤハーネス1に対して、第1テープ巻付体20と第2テープ巻付体30を各々第1テープ巻付体320と第2テープ巻付体330に置き換えたものであるが、このワイヤハーネス1と同様の効果を得ることができる。
【0048】
ここで、この例示のワイヤハーネス4においては、第1巻付区間10bの長さよりもテープ幅が狭く且つ第2巻付区間10cの長さよりもテープ幅が狭い第1粘着テープ(ビニルテープ)321と第2粘着テープ(ビニルテープ)331が用いられている(
図7及び
図8)。そして、この例示のワイヤハーネス4においては、その第1粘着テープ(ビニルテープ)321と第2粘着テープ(ビニルテープ)331に同じ粘着テープ(ビニルテープ)が用いられている(
図7及び
図8)。この例示のワイヤハーネス4においては、第1電線部11と第1外装部材51における第1電線部11側の端部の外周壁とに対して、その粘着テープ(ビニルテープ)が第1復元力の発生が可能なラップ量で重ねながら巻き付けられ、かつ、第2電線部12と第2外装部材52における第2電線部12側の端部の外周壁とに対して、その粘着テープ(ビニルテープ)が第2復元力の発生が可能な荒巻状態で巻き付けられている(
図7及び
図8)。
【符号の説明】
【0049】
1,2,3,4 ワイヤハーネス
10 電線
10a 基点
10b 第1巻付区間
10c 第2巻付区間
11 第1電線部
12 第2電線部
20,120,220,320 第1テープ巻付体
21,121,221,321 第1粘着テープ
30,130,230,330 第2テープ巻付体
31,131,231,331 第2粘着テープ
40 クランプ
51 第1外装部材
52 第2外装部材