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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
H02G3/16
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022149807
(22)【出願日】2022-09-21
(65)【公開番号】P2024044342
(43)【公開日】2024-04-02
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 賢造
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳之
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-233353(JP,A)
【文献】特開2009-284622(JP,A)
【文献】特開2010-74955(JP,A)
【文献】特開2021-61666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する電線と、
前記電線に接続される電気接続箱と、を備え、
前記電気接続箱は、
設置時に上方側及び下方側に開口部が位置する筒状に形成され、内部に電子部品を収容する収容空間部を有するフレームと、
前記フレームの前記上方側の開口部を塞ぐアッパーカバーと、
前記フレームの前記下方側の開口部を塞ぐロアカバーと、を備え、
前記フレームは、
前記収容空間部を前記電子部品が組付けられる電子部品ブロックごとに区画する少なくとも1つの仕切り壁と、
前記仕切り壁により区画された区画空間部に対して前記下方側の開口部から収容される前記電子部品ブロックを固定する固定部と、を有し、
前記仕切り壁は、
前記下方側の開口部から前記区画空間部に収容され、かつ複数本の前記電線同士を電気的に接続するジョイントコネクタを係止する係止部を有し、
前記係止部は、
前記電子部品ブロックが前記固定部により前記フレームに固定された状態において、前記電子部品ブロックより前記下方側に位置し、かつ
前記フレームを前記下方側の開口部から視た場合に、前記電子部品ブロックの挿入方向と直交する直交方向において前記電子部品ブロックから離間している、
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項2】
前記係止部は、
複数種類の前記ジョイントコネクタにおいて共通する被係止部に対して係止可能に形成されている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記係止部は、
複数の前記仕切り壁のうち、前記直交方向において隣り合う2つの前記区画空間部の間の前記仕切り壁に形成される、
請求項1または2に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
電気接続箱においては、筐体の中に電子部品(ヒューズやヒュージブルリンク等の回路保護部品、リレーなど)が収容され、この電子部品が筐体の中の中継バスバを介して別の電子部品や電線に電気接続される。このような電気接続箱は、例えば、特許文献1、2に開示されているように、電気接続箱のカバー内にジョイントコネクタを収容することにより、ジョイントコネクタ内に水などの異物が侵入することを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-7370号公報
【文献】特開平7-39044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気接続箱内にジョイントコネクタを収容して固定する場合、当該ジョイントコネクタと共に収容される電線束や電子部品、リレーブロックとの干渉等を考慮して固定位置を設定する必要がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、電気接続箱内にジョイントコネクタを確実に収容して固定することができるワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性を有する電線と、前記電線に接続される電気接続箱と、を備え、前記電気接続箱は、設置時に上方側及び下方側に開口部が位置する筒状に形成され、内部に電子部品を収容する収容空間部を有するフレームと、前記フレームの前記上方側の開口部を塞ぐアッパーカバーと、前記フレームの前記下方側の開口部を塞ぐロアカバーと、を備え、前記フレームは、前記収容空間部を前記電子部品が組付けられる電子部品ブロックごとに区画する少なくとも1つの仕切り壁と、前記仕切り壁により区画された区画空間部に対して前記下方側の開口部から収容される前記電子部品ブロックを固定する固定部と、を有し、前記仕切り壁は、前記下方側の開口部から前記区画空間部に収容され、かつ複数本の前記電線同士を電気的に接続するジョイントコネクタを係止する係止部を有し、前記係止部は、前記電子部品ブロックが前記固定部により前記フレームに固定された状態において、前記電子部品ブロックより前記下方側に位置し、かつ前記フレームを前記下方側の開口部から視た場合に、前記電子部品ブロックの挿入方向と直交する直交方向において前記電子部品ブロックから離間している、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るワイヤハーネスは、電気接続箱内にジョイントコネクタを確実に収容して固定することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るワイヤハーネスの概略構成を模式的に示す分解斜視図である。
図2図2は、図1の電気接続箱内のジョイントコネクタの係止構造を模式的に示す断面図である。
図3図3は、電気接続箱の仕切り壁に設けたジョイントコネクタの係止部を模式的に示す斜視図である。
図4図4は、電気接続箱の仕切り壁に設けたジョイントコネクタの係止部を模式的に示す平面図である。
図5図5は、電気接続箱に収容されたジョイントコネクタの配置例を示す模式図である。
図6図6は、電気接続箱に収容されたジョイントコネクタの他の配置例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0010】
[実施形態]
実施形態に係るワイヤハーネスWH及び電気接続箱1について説明する。図1は、実施形態に係るワイヤハーネスの概略構成を模式的に示す分解斜視図である。図2は、図1の電気接続箱内のジョイントコネクタの係止構造を模式的に示す断面図である。図3は、電気接続箱の仕切り壁に設けたジョイントコネクタの係止部を模式的に示す斜視図である。図4は、電気接続箱の仕切り壁に設けたジョイントコネクタの係止部を模式的に示す平面図である。図5は、電気接続箱に収容されたジョイントコネクタの配置例を示す模式図である。図6は、電気接続箱に収容されたジョイントコネクタの他の配置例を示す模式図である。なお、図2は、ジョイントコネクタ10,20に組付けられた分岐線W2,サブハーネスW3が省略されている。
【0011】
以下の説明では、図示のX方向は、便宜的に、本実施形態における電気接続箱の第1幅方向である。図示のY方向は、便宜的に、本実施形態における電気接続箱の第2幅方向であり、第1幅方向と直交する方向とする。図示のZ方向は、便宜的に、本実施形態における電気接続箱の高さ方向であり、第1幅方向及び第2幅方向と直交する方向とする。特に、Z方向のうち、Z1方向を第1高さ方向とし、Z2方向を第2高さ方向とする。また、上記各方向は、それぞれ「第1幅方向X」、「第2幅方向Y」、「高さ方向Z」、「第1高さ方向Z1」、「第2高さ方向Z2」と表記する。
【0012】
なお、ここでは、各部の説明を分かり易くするため、図1図6は、電気接続箱1の上下を逆にして図示している。実際に車両に搭載された状態では、電気接続箱1は、アッパーカバー4が設けられる第1高さ方向Z1側が鉛直方向上側、ロアカバー5が設けられる第2高さ方向Z2側が鉛直方向下側となる。また、第1幅方向Xは、後述する筐体の短辺方向に相当し、第2幅方向Yは、筐体の長辺方向に相当する。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、電気接続箱の各部が相互に組み付けられ、当該電気接続箱が車両に搭載された状態での方向として説明する。
【0013】
本実施形態におけるワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の電線Wを束にして集合部品とし、コネクタ等(不図示)で複数の電線Wを各装置に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、図1に示すように、幹線W1と、幹線W1から分岐する分岐線W2とを含む電線束WTと、電線束WTに接続される電気接続箱1とを備える。ワイヤハーネスWHは、電線Wも端末に設けられた接続端子P(図2参照)を介して電気接続箱1と電気的に接続される。なお、ワイヤハーネスWHは、不図示のグロメット、プロテクタ、固定具等を含んで構成されてもよい。
【0014】
幹線W1は、複数の電線Wを束ねて構成される。電線Wは、例えば、導電性を有する導体部(芯線)と、当該導体部の外側を覆う絶縁性の被覆部とを含んで構成されたものである。芯線は、複数の金属素線を撚り合わせた撚線であってもよいし、金属製の単線であってもよい。
【0015】
分岐線W2は、各電線Wの端末に接続端子Pが設けられている。接続端子Pは、電線Wの端末に設けられた金属金具であり、導電性の金属材料によって形成される。接続端子Pは、いわゆるメス型端子であり、例えば、後述するジョイントコネクタ20、電子部品ブロック6等に挿入され保持される。
【0016】
ジョイントコネクタ20は、後述するジョイントコネクタ10と嵌合することで複数本の電線W同士を電気的に接続するものである。ジョイントコネクタ20は、図2に示すように、絶縁性を有する合成樹脂材料等により矩形の筐体状に成形されたものであり、分岐線W2を構成する電線Wの端末に設けられた接続端子Pを内部に収容する。ジョイントコネクタ20は、いわゆるメス型コネクタであり、オス型コネクタであるジョイントコネクタ10に対して嵌合する。
【0017】
ジョイントコネクタ10は、図2に示すように、絶縁性を有する合成樹脂材料等により矩形の筐体状に成形されたものであり、サブハーネスW3を構成する電線Wの端末に設けられた接続端子Qを内部に収容する。接続端子Qは、電線Wの端末に設けられた金属金具であり、導電性の金属材料によって形成される。接続端子Qは、接続端子Pに対応する、いわゆるオス型端子である。
【0018】
ジョイントコネクタ10は、電気接続箱1に設けられた後述する係止部33に係止される被係止部10aを有する。被係止部10aは、電気接続箱1の係止部33に対するジョイントコネクタ10の係止方向(第1高さ方向Z1)と直交する方向の側壁に設けられている。被係止部10aは、複数種類のジョイントコネクタ10において共通する形状及び構造を有する。ジョイントコネクタ10は、被係止部10aが係止部33に係止されることで、電気接続箱1に固定される。
【0019】
サブハーネスW3は、例えば、複数本の電線Wと、各電線Wの一端に設けられた接続端子Pと、電線Wの他端に設けられた接続端子Qと、ジョイントコネクタ10とで構成されている。サブハーネスW3は、例えば、電線Wの他端に設けられた接続端子Qがジョイントコネクタ10に収容され、電線Wの一端に設けられた接続端子Pが電子部品ブロック6に収容される。サブハーネスW3は、例えば、電気接続箱1を構成する電子部品ブロック6と1対1の関係になるように電子部品ブロック6と当該サブハーネスW3とが相互に組付けられることで、各部の組付け作業性の向上を図るものである。
【0020】
電気接続箱1は、自動車等の車両(不図示)に搭載されて、バッテリ等の電源から供給される電力を各種の電子部品100を介して、車両に搭載される各種の電子機器に分配するものである。電気接続箱1は、図1に示すように、ワイヤハーネスWHに組み込まれ、配索材である電線W等の接続処理用部品を構成するコネクタ、ヒューズ、リレー、分岐部、電子制御ユニット等の電子部品100を集約して内部に収容するものである。電子部品100は、電気接続箱1に装着された状態において、当該電子部品100の本体から突出している端子101が接続端子Pに電気的にされる。つまり、電子部品100は、端子101及び接続端子Pを介して電線Wに電気的に接続されている。
【0021】
電気接続箱1は、例えば、車両のエンジンルーム等、外部環境に曝される場所に設置され、バッテリ等の電源と、車両内に搭載される各種電子機器との間に接続されている。なお、電気接続箱1は、ジャンクションボックス、ヒューズボックス、リレーボックス等とも呼ばれる場合があるが、本実施形態ではこれらを総称して電気接続箱と呼ぶ。電気接続箱1は、図1に示すように、複数の筐体部材から構成される筐体2を備える。本実施形態における電気接続箱1は、筐体2の外側に設けられた車両取り付け部を車両側の取り付けパネル等(不図示)と接触させ、ボルト等の締結部材によって車両取り付け部と車両側の取り付けパネルとを締結させることで、車両に設置される。
【0022】
筐体2は、図1に示すように、絶縁性を有する合成樹脂材料等によって箱型形状に形成され、内部に形成された収容空間部2aに電子部品100及び電線束WTの延在方向の一部を収容する。筐体2は、フレーム3と、アッパーカバー4と、ロアカバー5とを備え、第2高さ方向Z2側からロアカバー5、フレーム3、アッパーカバー4の順番に複数の層(3層)が積層された構造、すなわち複数の筐体部材に分割された構造となっている。
【0023】
フレーム3は、筐体2の一部である。フレーム3は、図1に示すように、電気接続箱1が車両に設置された設置状態において、高さ方向Zから見た場合に、外周形状が略矩形状に形成されている。フレーム3は、収容空間部3aを有する。収容空間部3aは、筐体2の収容空間部2aの一部である。フレーム3は、上記設置状態において、第2高さ方向Z2側端部に開口部3bが、第1高さ方向Z1側端部に開口部3cが形成される。フレーム3は、開口部3bと開口部3cとが高さ方向Zにおいて収容空間部3aを介して連通する中空形状に形成される。フレーム3は、収容空間部3aが複数の区画に分割されており、区画された収容空間部3aに電子部品100が収容される電子部品ブロック6や電子部品100が挿入され保持される。フレーム3は、フレーム側側壁30と、仕切り壁31と、固定部32とを有する。
【0024】
フレーム側側壁30は、収容空間部3aを囲むように開口部3bに沿って形成されている。フレーム側側壁30は、例えば、外壁と内壁を有する二重壁を構成する。外壁及び内壁は、ロアカバー5が開口部3bを閉塞した閉塞状態において、ロアカバー5を構成するロアカバー側側壁を挟み込むように形成される。
【0025】
仕切り壁31は、収容空間部3aを電子部品100が組付けられる電子部品ブロック6ごとに区画するものである。仕切り壁31は、例えば、延在する方向の両端が、フレーム側側壁30に対して交差する方向に連結し、収容空間部3aを複数の区画空間部3aaに区画している。各区画空間部3aaには、電子部品ブロック6が収容される。複数の区画空間部3aaのうちの1つには、電子部品ブロック6と共に、ジョイントコネクタ10,20が収容される(図5図6参照)。仕切り壁31は、係止部33を有する。
【0026】
固定部32は、図4に示すように、電子部品ブロック6を係止固定するものである。固定部32は、例えば、仕切り壁31から区画空間部3aaに向けて突出して形成される。固定部32は、係止部33に対して、高さ方向Zに離間して配置される。
【0027】
係止部33は、下方側の開口部3bから区画空間部3aaに収容されるジョイントコネクタ10を係止するものである。係止部33は、複数種類のジョイントコネクタ10において共通する被係止部10aに対して係止可能に形成されている。係止部33は、図5に示すように、複数の仕切り壁31のうち、電子部品ブロック6の挿入方向(第1高さ方向Z1)と直交する直交方向において隣り合う2つの区画空間部3aaの間の仕切り壁31に形成される。係止部33は、例えば、仕切り壁31から区画空間部3aaに向けて形成されている。
【0028】
係止部33は、電子部品ブロック6が固定部32により仕切り壁31に固定された固定状態において、電子部品ブロック6より下方側に位置し、当該係止部33に係止されたジョイントコネクタ10が電子部品ブロック6に干渉しない位置に設けられている。係止部33は、上記固定状態における電子部品ブロック6に対して第2高さ方向Z2に離間している。係止部33は、仕切り壁31の仕切り壁面31aに設けられて凹部31bの底面31cに設けられている。つまり、係止部33は、仕切り壁31の凹部31bの底面31cから区画空間部3aaに向けて突出して形成される。凹部31bの第2幅方向Yの厚みは、図4に示すように、凹部31b以外の仕切り壁31の第2幅方向Yの厚みと比較して、厚みM分薄くなっている。言い換えると、底面31cは、仕切り壁面31aよりも第2幅方向YにおいてM分低くなっている。
【0029】
係止部33は、フレーム3を下方側の開口部3bから視た場合に、電子部品ブロック6の挿入方向(第1高さ方向Z1)と直交する直交方向において電子部品ブロック6から離間している。係止部33は、当該係止部33の第2幅方向Yの電子部品ブロック6側端部が幅(長さ)L分離間している。係止部33は、係止突起33aと、一対の係止リブ33bとを有する。係止突起33aは、凹部31bの底面31cに沿って一対の係止リブ33bの間に配置され、区画空間部3aaに向けて突出している。一対の係止リブ33bは、第2高さ方向Z2から視た場合、それぞれがL字状に形成されている。
【0030】
アッパーカバー4は、筐体の一部である。アッパーカバー4は、上記設置状態において、フレーム3の第1高さ方向Z1側に位置し、かつフレーム3の開口部3cを閉塞するものである。アッパーカバー4は、高さ方向Zから見た場合に、外周形状がフレーム3の外周形状と同一(略同一も含む)の略矩形状に形成されている。アッパーカバー4は、収容空間部4aを有する。収容空間部4aは、筐体2の収容空間部2aの一部である。したがって、筐体2の収容空間部2aは、フレーム3の収容空間部3a、アッパーカバー4の収容空間部4a、ロアカバー5の収容空間部5aによって構成されることとなる。アッパーカバー4は、第2高さ方向Z2側端部に開口部4bが形成される。アッパーカバー4は、収容空間部4aと開口部4bとが連通する蓋状に形成される。アッパーカバー4は、フレーム3に対して組み付けた状態において、開口部4bを、フレーム3の開口部3cと高さ方向Zに対向させた状態で、アッパーカバー4の側面に設けられた係止機構(不図示)によりフレーム3に係止される。
【0031】
ロアカバー5は、筐体2の一部である。ロアカバー5は、上記設置状態において、フレーム3の第2高さ方向Z2側に位置し、かつフレーム3の開口部3bを閉塞するものである。ロアカバー5は、高さ方向Zから見た場合に、外周形状がフレーム3の外周形状と同一(略同一も含む)の略矩形状に形成されている。ロアカバー5は、収容空間部5aを有する。収容空間部5aは、筐体2の収容空間部2aの一部である。ロアカバー5は、第1高さ方向Z1側端部に開口部5bが形成される。ロアカバー5は、収容空間部5aと開口部5bとが連通するトレイ状に形成される。ロアカバー5は、フレーム3に対して組み付けた状態において、開口部5bを、フレーム3の開口部3bと高さ方向Zに対向させた状態で、フレーム3に係止される。
【0032】
次に、本実施形態に係るワイヤハーネスWHの組立て手順について説明する。まず、作業者は、電子部品ブロック6に電線Wの接続端子Pをそれぞれ組み付け、分岐線W2を作製する。また、作業者は、必要なサブハーネスW3を用意する。
【0033】
次に、作業者は、フレーム3の第2高さ方向Z2側から上記分岐線W2ごと上記電子部品ブロック6を所定の区画空間部3aaに挿入し、固定部32に対して電子部品ブロック6を固定させる。次に、作業者は、サブハーネスW3のジョイントコネクタ10を所定の区画空間部3aaに収容し、被係止部10aを仕切り壁31の係止部33に係止してジョイントコネクタ10をフレーム3側に固定する。そして、作業者は、サブハーネスW3をフレーム3内に配索すると共に、分岐線W2の端末に設けられた接続端子Pを保持するジョイントコネクタ20をジョイントコネクタ10に嵌合させる。次に、作業者は、フレーム3側に固定されたフレーム3の第1高さ方向Z1側から各電子部品ブロック6に対して電子部品100を装着し、電子部品100と電線Wとを電気的に接続する。
【0034】
次に、作業者は、ロアカバー5をフレーム3の第2高さ方向Z2側に位置させ、ロアカバー5を、フレーム3に対し第2高さ方向Z2側から第1高さ方向Z1側に向けて挿入する。作業者が、フレーム3に対しロアカバー5を第1高さ方向Z1側に向かって挿入し続け、それ以上ロアカバー5を第1高さ方向Z1側に向かって移動させることができなくなったとき、フレーム3に対するロアカバー5の組み付けが完了する。
【0035】
次に、作業者は、アッパーカバー4をフレーム3の第1高さ方向Z1側に位置させ、アッパーカバー4を、フレーム3に対し第1高さ方向Z1側から第2高さ方向Z2側に向けて挿入する。作業者が、フレーム3に対しアッパーカバー4を第2高さ方向側に向かって挿入し続け、それ以上アッパーカバー4を第2高さ方向側に向かって移動させることができなくなったとき、フレーム3に対するアッパーカバー4の組み付けが完了し、電気接続箱1の組立てが完了する。
【0036】
以上のように、本実施形態に係るワイヤハーネスWHは、フレームが仕切り壁31を有する。仕切り壁31は、下方側の開口部3bから区画空間部3aaに収容されるジョイントコネクタ10を係止する係止部33を有する。係止部33は、電子部品ブロック6が固定部32によりフレーム3に固定された状態において、電子部品ブロック6より下方側に位置し、かつフレーム3を下方側の開口部3bから視た場合に、電子部品ブロック6の挿入方向(第1高さ方向Z1)と直交する直交方向において電子部品ブロック6から離間している。
【0037】
上記構成により、ワイヤハーネスWHは、区画空間部3aaにおいて、ジョイントコネクタ10と電子部品ブロック6とを、高さ方向Z及び高さ方向Zと直交する直交方向において離間させているので、互いを干渉させることなく、電気接続箱内にジョイントコネクタを確実に収容して固定することができる。このように、ジョイントコネクタ10等を固定するための固定構造をフレーム3に設けたので、本実施形態に係るワイヤハーネスWHは、ジョイントコネクタ10等をフレーム3側に固定するための部品を追加する必要がなく、コスト上昇を抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態に係るワイヤハーネスWHは、係止部33が、複数種類のジョイントコネクタ10において共通する被係止部10aに対して係止可能に形成されている。これにより、本実施形態に係るワイヤハーネスWH専用のジョイントコネクタでなく、汎用製品であるジョイントコネクタを利用することが可能となり、部品コストの上昇を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態に係るワイヤハーネスWHは、係止部33が、複数の仕切り壁31のうち、挿入方向と直交する直交方向において隣り合う2つの区画空間部3aaの間の仕切り壁31に形成される。これにより、本実施形態に係るワイヤハーネスWHは、係止部33をフレーム側側壁30ではなく仕切り壁31に設けることで、例えば、図5に示すように、ジョイントコネクタ10と電子部品ブロック6との間に用いる電線Wの長さを相対的に短くすることが可能となる。また、本実施形態に係るワイヤハーネスWHは、係止部33をフレーム側側壁30ではなく仕切り壁31に設けることで、例えば、図6に示すように、電線束WTに設けられた分岐位置WTaからジョイントコネクタ10と電子部品ブロック6との間に用いる電線Wの長さを相対的に短くすることが可能となる。
【0040】
なお、上記実施形態では、ジョイントコネクタ10の被係止部10aが仕切り壁31の係止部33に係止されることでジョイントコネクタ10がフレーム3に固定されるが、これに限定されるものではない。例えば、ジョイントコネクタ20に被係止部が仕切り壁31の係止部33に係止されるものであってもよい。この場合、ジョイントコネクタ20がフレーム3に固定されるものとなる。
【符号の説明】
【0041】
1 電気接続箱
2 筐体
3 フレーム
3a 収容空間部
3b 開口部
3c 開口部
6 電子部品ブロック
10,20 ジョイントコネクタ
10a 被係止部
30 フレーム側側壁
31 仕切り壁
31a 仕切り壁面
31b 凹部
32 固定部
33 係止部
33a 係止突起
33b 係止リブ
100 電子部品
W 電線
W1 幹線
W2 分岐線
W3 サブハーネス
WT 電線束
WH ワイヤハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6