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特許7602527生細胞又は生細胞のセットを観察するための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】生細胞又は生細胞のセットを観察するための装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20241211BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20241211BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20241211BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
C12M1/34 D
C12M1/00 A
C12Q1/02
G02B21/36
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022502410
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 FR2020051277
(87)【国際公開番号】W WO2021009465
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】1908163
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】511133761
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ヴェルサイユ・サン-クァンタン-アン-イヴェリーヌ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE VERSAILLES SAINT-QUENTIN-EN-YVELINES
【住所又は居所原語表記】55 avnue de Paris, 78000 Versailles, France
(73)【特許権者】
【識別番号】522017427
【氏名又は名称】セントレ ホスピタリア インタコミュナル ドゥ ポワシー-サン-ジェルマン
【氏名又は名称原語表記】CENTRE HOSPITALIER INTERCOMMUNAL DE POISSY-SAINT-GERMAIN
【住所又は居所原語表記】20 rue Armagis 78100 SAINT-GERMAIN-EN-LAYE France
(73)【特許権者】
【識別番号】517265288
【氏名又は名称】セントレ ホスピタリエ ユニヴェルシテール ドゥ ボルドー
【氏名又は名称原語表記】CENTRE HOSPITALIER UNIVERSITAIRE DE BORDEAUX
【住所又は居所原語表記】12, rue Dubernat, 33404 Talence
(73)【特許権者】
【識別番号】508136308
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【住所又は居所原語表記】3, rue Michel Ange, 75016 Paris France
(73)【特許権者】
【識別番号】515010235
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド ボルドー
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE BORDEAUX
【住所又は居所原語表記】35, Place Pey Berland, F-33000 Bordeaux, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィアラール, フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ジメネッツ, クレマン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンドル, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ヒベルティー, ブルーノ
(72)【発明者】
【氏名】デュクロ, ヒューゴ
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-504849(JP,A)
【文献】特開昭63-098619(JP,A)
【文献】SUGIMOTO, Ryo et al.,“Contrast enhancement by oblique illumination microscopy with an LED array”,Optik,2019年04月,Vol. 183,pp.92-98,DOI: 10.1016/j.ijleo.2019.02.068
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00- 3/10
C12Q 1/00- 3/00
G02B 19/00- 21/00
G02B 21/06- 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体外受精(IVF)を含む生殖研究において、生胞(80)の発達を観察するための撮像装置(100)であって、
-観察される1つ以上の生細胞(80)の観察のためのカメラ(121)を備える撮像システム(120)であって、前記1つ以上の生細胞(80)は、各生細胞(80)のための特定の区画(61)を含むペトリ皿(10)に置かれる、撮像システム(120)、
-前記ペトリ皿(10)を受けることができ、照明システム(110)と前記撮像システム(120)との間に位置決めされた支持体(1)、
-観察される1つ以上の生細胞(80)である物体を照明するための3つの光源(111a、111b、111c)を備え、中央ソース(111b)と、前記中央ソース(111b)の第1の側に配置された第1の横方向ソース(111a)と、前記中央ソース(111b)の第2の側に配置された第2の横方向ソース(111c)と、を含む、照明システム(110)であって、
前記照明システム(110)が、以下の特定のタイプの照明:
-前記撮像システム(120)によって観察される前記1つ以上の生細胞(80)を検
出するための「検出」タイプの照明であって、前記「検出」タイプの照明は、前記中央ソース(111b)、前記第1の横方向ソース(111a)及び前記第2の横方向ソース(111c)を使用して生成され、前記光源(111a、111b、111c)からの光線は、26°~34°の角度開口を有する円錐(α_GC)に従って前記物体に集束される、「検出」タイプの照明、
-前記撮像システム(120)によって観察される前記1つ以上の生細胞(80)に存在する前記細胞をカウントするための「輪郭」タイプの照明であって、前記「輪郭」タイプの照明は、前記第1の横方向ソース(111a)及び前記第2の横方向ソース(111c)を使用して生成され、前記第1の横方向ソース(111a)及び前記第2の横方向ソース(111c)からの前記光線は、前記ペトリ皿(10)支持体(1)によって形成された面又は前記ペトリ皿それ自体に対する垂直軸(P)に対して2つの対称コリメートビーム(113、114)に分離され、前記第1の横方向ソース(111a)からの第1のビーム(113)は、前記垂直軸(P)に対して±12°の入射角に従って前記物体を照明し、前記第2の横方向ソース(111c)からの第2のビーム(114)は、前記垂直軸(P)に対して±12°の入射角に従って前記物体を照明する、「輪郭」タイプの照明、
-前記撮像システム(120)によって観察される前記1つ以上の生細胞(80)に存在する前記細胞のテクスチャ及び粒度を視認するための「レリーフ」タイプの照明であって、前記「レリーフ」タイプの照明は、前記第1の横方向ソース(111a)を使用して生成され、前記第1の横方向ソース(111a)からの単一のコリメートされた光ビーム(115)は、前記垂直軸(P)に対して8°~16°の角度で傾斜した軸に沿って伝搬する、「レリーフ」タイプの照明の各々を実装するように構成されている、照明システム(120)、
-前記ペトリ皿(10)の異なる区画に位置する1つ以上の生細胞(80)を観察することができるように、前記照明システム(110)及び前記カメラ(121)によって形成されたアセンブリに対する前記ペトリ皿(10)の相対移動のための手段(160)を備えることを特徴とし、
記カメラ(121)は、前記ペトリ皿(10)の前記区画のうちの1つの少なくとも全表面積をカバーする視界を有し、前記撮像装置(100)は、前記照明システム(110)及び前記カメラ(121)によって形成された前記アセンブリに対する前記移動手段(160)を用いる前記ペトリ皿の相対移動なしで、前記ペトリ皿(10)において、その前記区画における任意の位置の1つ以上の生細胞を撮像する、撮像装置(100)。
【請求項2】
前記1つ以上の生細胞が1つ以上の胚である、請求項1に記載の撮像装置(100)。
【請求項3】
前記照明システムの前記光源(111)が、前記ペトリ皿(10)を受けることができる前記支持体(1)によって規定された水平面と平行な面に配設され、前記少なくとも1つの光源(111)によって放出された前記ビームを成形するための装置が、前記光源(111)と前記ペトリ皿(10)との間に配設される、請求項1又は2に記載の撮像装置(100)。
【請求項4】
前記移動手段(160)が、前記ペトリ皿(10)に対して前記照明システム(110)及び前記撮像システム(120)の前記カメラ(121)によって形成された前記アセンブリを移動させることができ、観察される前記1つ以上の生細胞(80)が置かれている、請求項1又は2に記載の撮像装置(100)。
【請求項5】
点距離を前記生細胞の深さの方向に制御するように構成された液体レンズ(170)をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の撮像装置(100)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項で規定される撮像装置(100)によって生細胞の前記発
達を観察するための方法であって、
-前記撮像装置(100)の前記支持体(1)に配設された少なくとも1つのペトリ皿から選択することができるペトリ皿(10)に1つ以上の生細胞を連続的に置き、その後に、前記ペトリ皿(10)において培地(62)の滴下が続き、動作は、観察される1つ以上の生細胞の求められる数に従って必要な回数繰り返し、次いで、前記生細胞と前記培地の全体を液体(63)で覆う、準備ステップ(S300)と、
-専用のリーダーを使用して、観察される前記生細胞(80)を含有する前記ペトリ皿(10)の識別要素(50)を検出及び視認する前記ペトリ皿(10)の識別ステップ(S302)と、
-前記撮像システム(120)を使用する1つ以上の第1の生細胞(80)の観察ステップ(S304)と、を含む、方法。
【請求項7】
識別ステップ(S302)の前に、移動手段を使用して、選択されたペトリ皿10に対して照明システム(110)及び撮像システム(120)の前記カメラ(121)によって形成されたアセンブリに対する前記選択されたペトリ皿(10)の位置を決める近似位置決めステップ(S301)をさらに含み、前記ペトリ皿(10)が前記照明システム(110)及び前記撮像システム(120)の前記カメラ(121)によって形成されたアセンブリと位置合わせされるようにする、請求項に記載の生細胞の発達を観察するための方法。
【請求項8】
1つ以上の第1の生細胞を観察するステップの後に、ペトリ皿(10)の別の区画(61)に位置する別の1つ以上の生細胞を観察するために、照明システム(110)及び撮像システム(120)のカメラ(121)によって形成されたアセンブリに対する前記ペトリ皿(10)の相対移動ステップ(S310)を含む、請求項又はに記載の生細胞の発達を観察するための方法。
【請求項9】
撮像装置(100)が液体レンズ(170)をさらに備える場合において、1つ以上の第1の生細胞(80)を観察するステップが、ペトリ皿(10)を受けることができる支持体(1)に平行で、前記1つ以上の第1の生細胞の深さの方向に対して垂直な水平観察面で実行され、前記面は、前記液体レンズの構成によって追加の決定ステップ(S312)において決定される、請求項6又は7のいずれか一項に記載の生細胞の発達を観察するための方法。
【請求項10】
前記1つ以上の第1の生細胞(80)の観察面(S312)を決定するステップは、液体レンズの異なる構成によって、前記1つ以上の第1の生細胞(80)の深さの方向に対して垂直な異なる面について繰り返されて、決定された異なる観察面での1つ以上の第1の生細胞(80)を観察するようにする、請求項に記載の生細胞の発達を観察するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生殖を研究する文脈において、具体的には体外受精(IVF)のために、生細胞又は生細胞のセットを観察するための撮像装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、生細胞又は生細胞のセットを観察するための撮像装置、関連するペトリ皿、ならびにこの観察に好適な方法及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0003】
胚などの生細胞又は生細胞のセットを観察するための現在の撮像装置は、ほとんどの場合、異なる倍率のレンズ、単眼又は両眼の直接観察システム、及び一般に生細胞又は生細胞のセットをビデオ画面上で視認するためのオフセット観察システムを装備した顕微鏡である。
【0004】
生細胞又は生細胞のセットを支持体上に置き、得られた画像のサイズを拡大又は縮小するために異なるレンズを使用して観察し、このようにして異なる倍率に従って、すなわち詳細に又は全体的に生細胞又は生細胞のセットを観察する。
【0005】
これらの装置は、取り扱いの点であまり正確ではなく、使いやすくない。生細胞又は生細胞のセットを低い倍率で視認して、それの位置を特定することによって開始し、それを手動で移動して顕微鏡視野においてそれを中央にし、次いで、高い倍率を使用するレンズに変更して詳細に生細胞又は生細胞のセットを視認する必要がある。
【0006】
胚の発達を観察し、体外受精(IVF)を実行する特定の例では、移植される予定の胚は、その細胞の質、すなわち、その細胞数、その規則性(異なるサイズの細胞かどうか)、及びその断片化に従って選択される。選択された胚は、優先順位として、細胞分裂の時系列が観察され、通常の細胞があり、断片化されていないものである。これらのパラメータは、妊娠のより良い可能性のインジケータとなっている。
【0007】
この観察は、一般に、良好な胚の発達のために、温度及びガス濃度において理想的な環境を再現するように適合された胚培養エンクロージャー外で実行される。文書US2015/0278625A1は、インキュベーター外でのそのような観察モードを説明する。しかし、チャンバー外での観察、特に胚の環境の突然の変化は、その発達において潜在的に有害な役割を果たすことが実証された。
【0008】
したがって、胚撮像装置は、受精後、その発達に理想的なこのタイプの環境での胚の発達のインビトロ観察を可能にするために、体外受精(IVF)技術の文脈において開発されてきた。
【0009】
この観察は、IVFセンターに応じて、2~5日間継続される可能性があり、胚のより良い選択を患者の生殖管に移すことができるため、IVFの成功率を向上させるのに役立つ。
【0010】
観察装置には2つの既存のカテゴリーがあり、観察装置が、良好な胚の発達のための理想的な環境を再現するように適合されたシステムに直接一体化され、それに含まれる個々の培養チャンバーが各装置について特定の皿を受けるものか、又は、観察装置が、個別であり、観察専用でもある皿を備える既存のエンクロージャーの中に配置されるものである。
【0011】
これらすべての特殊性により、現在の装置とその使用は非常にコストがかかるため、予算が制限されている医療施設のアクセスを制限するか、又はIVF受精者の治療費及び/又は治療コストの増加が必要になる。
【0012】
いずれにせよ、生細胞又は生細胞のセットの場合、あるいは胚の特定の場合であるかどうかにかかわらず、画像の光学的品質、生細胞又は生細胞のセットの正確な識別、及びその発達の定期的な時間的追跡は、これらの方法を使用するための重要なパラメータである。しかし、一方で、現在のシステムでは、生細胞又は生細胞のセットの正確な位置を特定することを可能にせず、後者は、x、y、及びzの三軸の観察視野を制限する縮小されたスペースに閉じ込められる。胚の場合、その自然移動により、再配置するオプションがなく観察可能なゾーンから出て行き、又は光学収差が大きい視野エッジに表示する可能性があり、一方、単一の入射での観察は、これまで、解釈を支援することができるアルゴリズムを作成することを可能にしている。
【0013】
別の重要なパラメータは、サンプルを形成する生細胞又は生細胞のセットの観察時間であり、これは、サンプルに対して実行される分析の効率に影響を与える。現在の装置は、一般に、サンプルを最適に位置決めするために、サンプルの深さの方向において、通常、x、y(観察されるサンプルを含む水平面を画定する)及びz(前の平面に垂直な方向)と称される三軸に沿った機械的移動のための手段を有する。これらの機械的移動手段は、潜在的に時間のかかる移動をすることを意味する。深さの移動時間を短縮するための従来技術における解決策は、液体レンズを使用することであり、歯科分野に関する特許出願、オートフォーカス頬内カメラに関するUS2014/0002626A1、及び歯科用カメラに関連するEP2161607A1におけるもののように、液体レンズの焦点距離を電子的に変動させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、従来技術の欠落、欠点、及び障害を克服する撮像装置、特に、装置の製造及び使用のコストを低減しながら、生細胞又は生細胞のセットの観察の光学的品質及び時間的効率を改善することを可能にする装置及び方法に対する真の必要性が存在する。IVFの特定の場合に、関係者のために、コストの削減を通じたより良いアクセス性が求められている。
【0015】
上記の欠点の1つ以上を解決するために、出願人は特に、
生殖研究の文脈において、特に体外受精(IVF)のために、生細胞又は生細胞のセット(80)の発達を観察するための撮像装置であって、
-観察される1つ以上の生細胞又は生細胞のセットの同定観察に適合された広視野カメラを備える撮像システムであって、生細胞又は生細胞のセットは、各生細胞又は生細胞のセットのための特定の区画を含むペトリ皿に置かれる、撮像システム、
-ペトリ皿を受けることができ、照明システムと撮像システムとの間に位置決めされた支持体、
-観察される生細胞又は生細胞のセットである物体を照明するように適合された3つの光源を備え、中央ソースと、中央ソースの第1の側に配置された第1の横方向ソースと、中央ソースの第2の側に配置された第2の横方向ソースと、を含む、照明システムであって、
照明システムが、以下のタイプの照明:
-「検出」タイプの照明であって、光源(111)は、撮像システムによって観察される生細胞又は生細胞のセットを検出するために構成されており、該「検出」タイプの照明は、中央ソース、第1の横方向ソース及び第2の横方向ソースを使用して生成され、光源からの光線は、26°~34°の角度開口を有する円錐に従って物体に集束される、「検出」タイプの照明、
-「輪郭」タイプの照明であって、該光源(111)は、撮像システムによって観察される生細胞又は生細胞のセットに存在する細胞をカウントするために構成されており、該「輪郭」タイプの照明は、第1の横方向ソース及び第2の横方向ソースを使用して生成され、第1の横方向ソース及び第2の横方向ソースからの光線は、ペトリ皿支持体によって形成された面又はペトリ皿それ自体に対する垂直軸に対して2つの対称コリメートビームに分離され、第1の横方向ソースからの第1のビームは、垂直軸に対して10°~14°の入射角に従って物体を照明し、第2の横方向ソースからの第2のビームは、垂直軸に対して10°~14°の入射角に従って物体を照明する、「輪郭」タイプの照明、
-「レリーフ」タイプの照明であって、該光源(111)は、撮像システムによって観察される生細胞又は生細胞のセットに存在する細胞のテクスチャ及び粒度を視認するために構成されており、該「レリーフ」タイプの照明は、第1の横方向ソースを使用して生成され、第1の横方向ソースからの単一のコリメートされた光ビームは、垂直軸に対して8°~16°の角度で傾斜した軸に沿って伝搬する、「レリーフ」タイプの照明の各々を実装するように構成されている、照明システム、
-ペトリ皿の異なる区画に位置する生細胞又は生細胞のセットを観察することができるように、照明システム及び該広視野カメラによって形成されたアセンブリに対するペトリ皿の相対移動のための手段を備えることを特徴とし、
該広視野カメラは、ペトリ皿の区画のうちの1つの少なくとも全表面積をカバーする視界を有し、該撮像装置は、照明システム及び該広視野カメラによって形成されたアセンブリに対する移動手段を用いる該ペトリ皿の相対移動なしで、ペトリ皿において、区画における任意の位置の生細胞又は生細胞のセットを撮像するように適合され、該広視野カメラは、生細胞又は生細胞のセットの詳細を観察するように適合された解像度を有し、該詳細は、マイクロメートルサイズを有する、撮像装置を提案する。
【0016】
本発明による装置の特定の照明システムは、装置をコンパクトで多機能にすることを可能にし、あるタイプの照明から別のタイプの照明に切り替えるためにいかなる部品の取り外しも必要としない。取り扱い動作は厳密に必要なものに削減され、長期間、胚の破壊のリスクなしにインキュベーター内で直接使用しやすくすることで、理想的な観察条件が提供される。
【0017】
「輪郭」タイプの照明は、セルが積み重ねられているときを含め、単一のビューでセルの数を簡単にカウントすることを可能にする。
【0018】
「レリーフ」タイプの照明は、細胞外皮のテクスチャについての情報を提供する。この照明は、2つの反対方向(上/下)に存在し、胚の形状を理解するのに役立つことがある追加情報を提供し、このように第3の組み合わせを形成する。
【0019】
したがって、ペトリ皿の区画のうちの1つの少なくとも全表面積をカバーする広視野カメラの視界は、このように移動手段なしで、ペトリ皿の区画内の任意の位置に位置決めされた生細胞又は生細胞のセットを直接撮像することを可能にする。
【0020】
本発明による「広視野」カメラは、特に、1mm超える視界を有し、ピクセル解像度が1μm未満であるカメラを意味する。
【0021】
好ましくは、観察される生細胞又は生細胞のセットは、1つ以上の胚である。
【0022】
好ましくは、本発明による撮像装置では、照明システムは、以下の特定のタイプの照明:
-「検出」タイプの照明であって、該光源は、撮像システムによって観察される生細胞又は生細胞のセットを検出するために構成されているもの、
-「輪郭」タイプの照明であって、該光源は、撮像システムによって観察される生細胞又は生細胞のセットに存在する細胞をカウントするために構成されているもの、
-「テクスチャ」タイプの照明であって、該光源は、撮像システムによって観察される生細胞又は生細胞のセットに存在する細胞のテクスチャ及び粒度を視認するために構成されているもののうちの少なくとも1つから選択することができる。
【0023】
本発明による装置の実施形態では、照明システムの該光源が、ペトリ皿を受けることができる支持体によって規定された水平面と平行な面に配設することができ、該少なくとも1つの光源によって放出されたビームを成形するための装置が、該光源とペトリ皿との間に配設される。
【0024】
代替の実施形態によれば、移動手段は、ペトリ皿を移動させることができ、観察される生細胞又は生細胞のセットは、照明システム及び撮像システムの広視野カメラによって形成されたアセンブリに対して置かれる。
【0025】
別の代替の実施形態によれば、移動手段が、ペトリ皿に対して照明システム及び撮像システムの広視野カメラによって形成されたアセンブリを移動させることができ、観察される生細胞又は生細胞のセットは置かれている。
【0026】
有利には、撮像システムは、観察された生細胞又は生細胞のセットに存在する細胞の数をカウントするように適合されている。
【0027】
また、有利には、システムは、観察された生細胞又は生細胞のセットに存在する細胞のテクスチャ及び粒度を視認するように適合されている。
【0028】
一実施形態では、撮像装置は、生細胞又は生細胞のセットの焦点距離をその深さの方向に制御するように適合された液体レンズをさらに備えることができる。
【0029】
本出願はまた、本発明による撮像装置による、生細胞又は生細胞のセットの発達を観察するためのペトリ皿に関し、該ペトリ皿は、
-観察される1つ以上の生細胞又は生細胞のセットを受けるように適合された受容体
-ふた
-観察された生細胞又は生細胞のセットを識別するために適合された識別要素
-生細胞又は生細胞のセットを置くことを意図とした特定の区画又はウェルであって、該区画又はウェルは、カップ内の生細胞又は生細胞のセットに加えて、培地の滴下を受けるように適合されたカップの形態で生成される、区画又はウェルを備える。
【0030】
本出願はまた、本発明による撮像装置による、生細胞又は生細胞のセットの発達を観察するための方法に関し、以下のステップ:
-上記で規定され、撮像装置の支持体に配設された少なくとも1つのペトリ皿から選択することができるペトリ皿に生細胞又は生細胞のセットを連続的に置き、その後に、該ペトリ皿において培地の滴下が続き、動作は、観察される生細胞又は生細胞のセットの求められる数に従って必要な回数繰り返し、次いで、全体を油又は水などの液体で覆う、準備ステップと、
-専用のリーダーを使用して、観察される生細胞又は生細胞のセットを含有するペトリ皿の識別要素を検出及び視認するペトリ皿の識別ステップと、
-撮像システムを使用する第1の生細胞又は生細胞のセットの観察ステップと、を含む。
【0031】
有利には、ペトリ皿を識別するステップの前に、移動手段を使用して、ペトリ皿に対して照明システム及び撮像システムの広視野カメラによって形成されたアセンブリに対するペトリ皿の近似位置決めの任意選択のステップが行われ、ペトリ皿が照明システム及び撮像システムの広視野カメラと粗く位置合わせされるようにする。
【0032】
有利には、生細胞又は生細胞のセットの発達を観察するための方法は、第1の生細胞又は第1の生細胞のセットを観察するステップの後に、ペトリ皿の別の区画に位置する別の生細胞又は別の生細胞のセットを観察するために、照明システムと撮像システムの広視野カメラによって形成されたアセンブリに対するペトリ皿の相対移動のステップを含むことができる。
【0033】
本発明による撮像装置が液体レンズをさらに含む実施形態において、生細胞又は生細胞のセットの発達を観察するための方法において、第1の生細胞又は生細胞のセットを観察するステップは、ペトリ皿を受けることができる支持体に平行であり、かつ該第1の生細胞又は該生細胞のセットの深さの方向に垂直な水平観察面において実行することができ、該面は、液体レンズの構成によって追加の決定ステップにおいて決定される。
【0034】
有利には、本発明による撮像装置が液体レンズをさらに備える同じ実施形態において、該第1の生細胞又は該生細胞のセットの観察面を決定するステップは、液体レンズの異なる構成によって、該第1の生細胞又は該生細胞のセットの深さの方向に対して垂直な異なる面について繰り返されて、決定された異なる観察面での第1の生細胞又は第1の生細胞のセットを観察するようにする。
【0035】
したがって、本発明による撮像装置内の液体レンズの存在によって可能になる、該第1の生細胞又は該生細胞のセットの深さの方向に垂直な異なる面での観察は、該第1の生細胞又は該生細胞のセットの深さの方向における移動をなくす、すなわち、生細胞又は生細胞のセットを分析及び観察するための手順の時間を節約することを可能にする。
【0036】
本出願はまた、通信ネットワークからダウンロード可能であり、及び/又はコンピュータ可読媒体に記録され、及び/又はプロセッサによって実行可能であるコンピュータプログラム製品に関し、本発明による生細胞又は生細胞のセットを観察及び発達させるための方法を実装するためのプログラムコード命令を備えることを特徴とする。
【0037】
本発明のさらなる利点及び特異性は、添付の図を参照して、非限定的な例として与えられた以下の説明からもたらされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明による撮像装置の第1の実施形態を表す。
図2図2は、「検出」タイプの照明の第1の実施形態を表す。
図3図3は、「輪郭」タイプの照明の第1の実施形態を表す。
図4図4は、「テクスチャ」タイプの照明の第1の実施形態を表す。
図5図5は、本発明による撮像装置の第2の実施形態を表す。
図6図6は、インキュベーター内に配設された本発明の別の実施形態による撮像装置を表す。
図7a図7aは、図6のインキュベーター内に配設された撮像装置の縦断図を表す。
図7b図7bは、図6のインキュベーター内に配設された撮像装置の上面図を表す。
図8a図8aは、本発明で使用することができるペトリ皿の例のいくつかの二次元図(上面、側面、横断面)を表す。
図8b図8bは、図8aのペトリ皿の例の3Dビューを表す。
図9a図9aは、支持体上に配置された、本発明によるペトリ皿の実施形態の縦断図を表す。
図9b図9bは、支持体上に配置された図9aのペトリ皿の上面図を表す。
図10図10は、本発明の実施形態によるペトリ皿の底に存在する胚貯蔵器を表す。
図11a図11aは、本発明によるペトリ皿の別の実施形態において、縦断図を表す。
図11b図11bは、本発明によるペトリ皿の別の実施形態において、上面図を表す。
図11c図11cは、本発明によるペトリ皿の別の実施形態において、ペトリ皿の縦断の面を表す。
図12図12は、本発明の第1の実施形態による、生細胞又は生細胞のセットの発達を観察するための方法の概要を表す。
図13図13は、本発明による撮像装置の撮像システムの広視野カメラを用いる、本発明による観察方法の第1の実施形態によって得られた全視野画像を表す。
図14図14は、本発明の第2の実施形態による、生細胞又は生細胞のセットの発達を観察するための方法の概要を表す。
図15図15は、本発明の第3の実施形態による、生細胞又は生細胞のセットの発達を観察するための方法の概要を表す。
図16図16は、撮像装置を用いて、かつ本発明による観察方法の第1の実施形態により得られた、胚の2つの画像を示し、2つの異なるタイプの照明は、それぞれ、左側の「輪郭」タイプの照明及び右側の「テクスチャ」タイプの照明である。
図17a図17aは、「輪郭」タイプの照明を使用して、本発明による装置を用いて、かつ本発明による観察方法の第3の実施形態により得られた、胚のその深さにおける一連の横断面を表す。
図17b図17bは、「テクスチャ」タイプの照明を使用して、本発明による装置を用いて、かつ本発明による観察方法の第3の実施形態により得られた、胚のその深さにおける一連の横断面を表す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図16~17bは、その範囲を限定することなく本発明を説明する以下の実施例においてより詳細にコメントされている。装置、ペトリ皿、及び本発明による観察方法の異なる実施形態を説明し、例で使用又は実装される他の図は、以下に詳述される。
【0040】
本発明による撮像装置
図1に示されるような本発明の第1の実施形態による撮像装置100は、以下の要素から具現化される。
-照明システム110:LED(発光ダイオード)タイプの照明
-観察される1マイクロメートル当たり5ピクセルのオーダーの解像度を有する画像センサーを装備した広視野カメラ121を備える撮像システム120
-支持体1:ガラス板
-電動プレートなどの相対移動手段
【0041】
これらの要素は例として示され、本発明による装置は、異なるパラメータを有する要素を用いて具体化することができる。
【0042】
具現化された撮像装置100は、支持体1上に配置されたペトリ皿10に含有された生細胞又は生細胞のセット80を観察することを意図している。「観察する」という用語は、構造の詳細を検出して区別することを意味する。
【0043】
図1に示される実施形態では、装置100は、「倒立顕微鏡」構成で具体化される。すなわち、観察される細胞又は生細胞のセット80は、上から照明され、撮像システム120は、下に位置し、半透明の物体である生細胞又は生細胞のセット80によって透過された光を観察する。以下、本説明では、この構成が保持されるが、装置100は、「倒立」構成のように、「通常の」構成(標準的な顕微鏡のように下から照明され、上から観察される細胞又は生細胞のセット80)で具現化することもできる。
【0044】
広視野カメラ121による画像キャプチャは、細胞又は生細胞のセット80を通した透過において、すなわち、いわゆるガラス圧診技術によって実行される。これは、照明が撮像される物体の一方側に位置し、カメラがオブジェクトの他方側に位置することを意味する。
【0045】
[37]したがって、観察される生細胞又は生細胞のセット80を含有するペトリ皿10は、生細胞又は生細胞のセット80を照明するために使用される光に対して透明でなければならない。図1に記載された実施形態のように、ペトリ皿10は支持体1上に配置される。この支持体1はまた、光が可視範囲で発光する電球である従来の顕微鏡のためのガラス板など、生細胞又は生細胞のセット80を照明するために使用される光に対して透明でなければならない。ここに示されている装置では、この支持体1は、ガラス板であるが、1つ以上のペトリ皿10を配設することができるスライド式引き出しにすることもできる。
【0046】
有利には、この支持体1は、事前に画定された位置にペトリ皿10を事前に位置決めするための接触ブロック又はリムを備えることができる。この場合、広視野カメラの広い視界のおかげで、生細胞又は生細胞のセット80を観察するために、予備的な横方向セッティング、すなわち、支持体1によって画定される面に平行な面でのセッティングは必要なく、ペトリ皿10のウェル又はカップとも称される区画61の少なくとも全体をカバーする広視野カメラ121により、区画内のそれらの位置に関係なく、生細胞又は生細胞のセット80を直接検出することを可能にする。
【0047】
有利には、照明システム110及び広視野カメラ121は、図1のように、照明システム110が広視野カメラ121に面するように、しっかりと接続され、「U」字型の構造に取り付けられる。
【0048】
有利には、照明システム110は、以下の特定のタイプの照明:
-「検出」タイプの照明であって、少なくとも1つの光源111が、撮像システム120によって観察される生細胞又は生細胞のセット80を検出するために構成されているもの、
-「輪郭」タイプの照明であって、少なくとも1つの光源111が、撮像システム120によって観察される生細胞又は生細胞のセット80に存在する細胞をカウントするために構成されているもの、
-「レリーフ」タイプの照明では、少なくとも1つの光源111が、撮像システム120によって観察される生細胞又は生細胞のセット80に存在する細胞のテクスチャ及び粒度を表示するように構成されるもののうちの少なくとも1つから選択される。
【0049】
「検出」タイプの照明は、好ましくは、撮像システム120によって検出及び視認するため、ペトリ皿10に存在する識別要素50を撮像及び分析するため、ならびに観察される生細胞又は生細胞のセット80を識別するために使用される。したがって、少なくとも1つの光源111及び広視野カメラ121の選択を設定しなければならない。例えば、広視野カメラ121の感度は、光源111によって放出される波長に従って最適化されなければならない。
【0050】
この「検出」タイプの照明はまた、広視野カメラ121及び撮像システム120による生細胞又は生細胞のセット80の検出を支援するために使用することができる。
【0051】
図2は、「検出」タイプの照明の実施形態を表す。この図2では、ペトリ皿の識別要素50、又は図2のように、生細胞又は生細胞のセット80であることができる、広視野カメラ121及び撮像システム120を使用して識別又は検出される物体が、均一又は拡散タイプの照明で照明される。光源110からの光線112は、30°のオーダーの角度開口α_GCを有する円錐内で、識別又は検出される物体に集中又は集束される。したがって、観察された物体(識別要素50又は生細胞又は生細胞のセット80)は、支持体1によって形成される面又はペトリ皿10自体に対する垂直軸Pに対して-15°~+15°で変動する入射角に従って照明される。
【0052】
角度開口α_GCの円錐は、30°±4°のオーダーである。入射角は、-15°±2°~+15°±2°で変動する。
【0053】
図3は、「輪郭」タイプの照明の実施形態を表す。この図3では、広視野カメラ121によって観察される生細胞又は生細胞のセット80は、ペトリ皿の支持体1によって形成される面又はペトリ皿10自体に対する垂直軸Pに対して好ましくは対称な軸に沿って照明することができる。したがって、少なくとも1つの光源111からの光線は、2つのコリメートされたビーム113及び114に分離される。第1のビーム113は、垂直軸Pに対する入射角β_PC1に従って胚80を照明し、第2のビーム114は、入射角β_PC2に従って胚80を照明する。前述のように、角度β_PC1とβ_PC2は、等しく、反対であることが好ましい(すなわち、β_PC1=-β_PC2)。すなわち、ビーム113及び114は、垂直軸Pに対して対称であることが好ましい。典型的には、角度β_PC1及びβ_PC2は、+/-12°±2°のオーダーである。したがって、ビーム113と114によって形成される2つの方向の間の全角度は、典型的には、24°±4°のオーダーである。広視野カメラ121の高解像度(生細胞又は生細胞のセット80の詳細を観察するためであり、該詳細はマイクロメートルサイズを有する)は、この「輪郭」タイプの照明と協調する。
【0054】
「テクスチャ」タイプの照明は、好ましくは、撮像システム120による、観察された生細胞又は生細胞のセット80に存在する細胞のテクスチャ及び粒度の観察を最適化して、そのレリーフ及びその深さを評価するために使用される。
【0055】
図4は、「テクスチャ」タイプの照明の実施形態を表す。この図4では、広視野カメラ121によって観察される生細胞又は生細胞のセット80、ならびにそのテクスチャ及び粒度が、単一の光ビーム115によって照明され得る。このビーム115はコリメートされ、垂直軸Pに対して角度γ_PCだけ傾斜した軸に沿って伝播する。この角度γ_PCの絶対値は、典型的には、8°~16°で変動する。垂直軸P又は生細胞又は生細胞のセット80に対して、入射方向は好ましいものではない。
【0056】
これらの異なる照明の実施形態を容易にするために、照明システム110は、LEDタイプの1つ以上の光源111から構成することができる。これらの光源111の各々は、個別に制御することができる。LEDは、LEDが生細胞又は生細胞のセット80を照明するように、LEDのセットによる照明を複製することが可能であるように、非常にコンパクトであるという利点を有することに留意されたい。
【0057】
観察される生細胞のセットが胚である特定の場合において、使用される少なくとも1つの光源111(LED又は他のもの)の波長は、好ましくは、胚80にとって最も害の少ない範囲である赤色範囲(約630nm)に位置することができる。さらに、光源111は、胚80の光への累積曝露時間を1日当たり数十秒に制限して損傷を与えないように、パルスモードで制御することが好ましい。
【0058】
図5は、本発明の実施形態を示し、照明システム110がいくつかの光源111a、111b、111c、この例では3つ、すなわち中央ソース111b、中央ソース111bの第1の側に配置された第1の横方向ソース111a、及び中央ソース111bの第2の側に配置された第2の横方向ソース111cを備える。図5の面Aは、図2~4の直交面Pに対応する。面Aは中央ソース111bを通る。
【0059】
光源111によって放出された光をコリメートし、均一な光を放出するか、又は拡散した光を放出するために、照明システム110は、レンズ又はレンズアレイ、フィルタなどの光源111によって放出される光ビームを成形するための光学システム140をさらに備えてもよい。
【0060】
照明されるゾーンを調整するために、この光学成形システム140はまた、光源111からの光が通過して後者が観察される生細胞又は生細胞のセット80を照明することを可能にするように移動することができる、穴のあるプレートなどのマスクを備えてもよい。これは、少なくとも1つの光源111が拡張されている場合、又は照明システム110が、任意選択で別々に制御することができるいくつかの光源111を含む場合に特に当てはまる可能性がある。さらに、そのようなマスクの使用はまた、生細胞又は生細胞のセット80の観察を妨害する可能性のある寄生光をフィルタリングすることを可能にする。
【0061】
したがって、図5の文脈において、「テクスチャ」タイプの照明を生成し、側方で観察される生細胞又は生細胞のセット80を照明するために、胚80の上に位置する光源111bのスイッチをオフにし、中央光源111bの側方に位置する2つの光源111a又は111cのうちの1つのスイッチをオンにし、このように生細胞又は生細胞のセット80に斜めの光を投射することができる。
【0062】
撮像システム120は、図1及び5の場合、ペトリ皿10の下に位置し、したがって、観察される生細胞又は生細胞のセット80の下に位置する(倒立顕微鏡の原理)。それは、観察される生細胞又は生細胞のセット80を識別するように適合された広視野カメラ121を備え、生細胞又は生細胞のセット80は、適合されたペトリ皿10に置かれている。
【0063】
このため、広視野カメラ121は、ペトリ皿10上に存在する識別要素50を後者が撮像できるようにセットすることができ、このように観察される生細胞又は生細胞のセット80の識別を観察する。このため、撮像システム120は、広視野カメラ121によってキャプチャされた画像を分析して、識別要素50の位置及びペトリ皿10の特徴を使用して生細胞又は生細胞のセット80の位置を検出する処理ユニットをさらに備えることができる。
【0064】
生細胞又は生細胞のセット80が1つ以上の胚である場合、この処理ユニットはまた、移動手段160を使用して、広視野カメラ121が位置決めされたときに広視野カメラ121によってキャプチャされた画像を分析することを可能にし、ペトリ皿10の識別要素50を撮像するようにし、以前に完成したデータベースにおいて、ペトリ皿10の内容に関する情報、すなわち、胚80、例えば、胚80が属するカップル、皿に存在する胚80の数、胚80の調製及び挿入の日付などを見つけるようにする。
【0065】
その高解像度のおかがで、広視野カメラ121は、照明された生細胞又は生細胞のセット80を撮像し、その発達を観察するように適合されている。広視野カメラ121は、典型的には、観察される1μm当たり5ピクセルのオーダーの解像度の画像センサーを装備し、よく観察される表面積全体をカバーすることができる量のピクセルを設け、この表面積は、位置決めの不確実性を予測するという観点から安全マージンを確保する表面積によって補足される。
【0066】
さらに、生細胞又は生細胞のセット80に存在する異なる細胞層を分離することができるようにするために、広視野カメラ121は、100μmのオーダーの比較的小さな被写界深度を有さなければならない。
【0067】
異なる細胞層を視認し、したがってその深さ方向において生細胞又は生細胞のセット80を観察するために、撮像装置100は、生細胞又は生細胞のセット80の焦点距離を、その深さの方向に、すなわち、ペトリ皿10によって画定されるか又は支持体1によって画定される面に垂直な軸Zに沿って制御するように適合された液体レンズをさらに備えることができる。例えば、エレクトロウェッティングによる作動によって構成されたか、電気活性高分子膜を使用したか、又は圧電アクチュエータによって構成された液体レンズ170を使用することができる。エレクトロウェッティングによる作動によって構成された液体レンズ170の場合、電圧を使用して、2つの異なる液体を分離する界面の形状を変更して、このように液体レンズ170の焦点距離を変更する。電気活性高分子膜を使用する液体レンズ170の場合、液体レンズ170の焦点距離も電極と基板との間に電圧を印加することによって変更され、このように液体レンズ170の曲率を変更する。圧電アクチュエータによって構成された液体レンズ170の場合、圧電アクチュエータは、液体で満たされた膜を膨潤させる効果を有する。したがって、観察される細胞層に対応する面は、液体レンズを設定することによって構成されている。したがって、利点は、z軸に沿って移動するための手段をなくすことができることであり、その作動は時間がかかる。
【0068】
処理ユニットのおかげで、撮像システム120を使用して、観察された生細胞又は生細胞のセット80に存在する細胞の数をカウントすることができる。このため、撮像システム120の処理ユニットは、広視野カメラ121によってキャプチャされた画像を分析することができ、輪郭検出などの撮像処理動作を介することで、観察された生細胞又は生細胞セット80に存在する細胞の数をカウントすることが可能になる。
【0069】
観察された生細胞又は生細胞のセット80が「輪郭」タイプの照明を使用して照明されるときに、カウント、特に画像処理動作が最適である。
【0070】
撮像システム120はまた、観察された胚80に存在する細胞のテクスチャ及び粒度を観察するために使用することができる。このため、撮像システム120の処理ユニットは、広視野カメラ121によってキャプチャされた画像を分析し、観察された生細胞又は生細胞のセット80に存在する細胞のテクスチャ及び粒子の視覚的レンダリングを最適化する画像処理動作でそれらを処理する。
【0071】
図5に示されるように、撮像システム120、特に広視野カメラ121は、装置100をよりコンパクトにするために、光学戻りシステム150を使用して有利にオフセットすることができる。この光学戻りシステム150は、例えば、図5の点線で、撮像装置100の光軸Aに対して45°で位置決めされたレンズ151及び戻りミラー152からなることができる。
【0072】
図6に示すように、生細胞又は生細胞のセット80が胚又はいくつかの胚である場合、撮像装置100の寸法は、IVFセンターに見られるインキュベーター200と適合性があることが好ましく、そのようなインキュベーター200の内部に配設することができるようにする。したがって、装置100の高さ及び深さは、30cmのオーダーとすることができ、装置100の幅は、約30cm~55cmのオーダーとすることができる。
【0073】
図6の撮像装置100は、スライド式引き出しを含み、その上に、1つ以上のペトリ皿10を上記のように置くことができる。
【0074】
図7a及び7bは、それぞれ、インキュベーター200に存在する図6の撮像装置100の縦断図及び上面図を表す。この場合、撮像装置100の全幅をカバーする支持体1は、少なくとも照明システム110と、支持体1によって画定される面と平行な面(X,Y)において相対移動手段160によって移動する「細長いU」字型の構造に固定された広視野カメラ121とによって形成されたアセンブリであり、同じペトリ皿10からの別の胚80、又は別のペトリ皿10内の胚80のいずれかを視認することができるようにする。
【0075】
本発明によるペトリ皿
第2に、上記で定義されたような撮像装置100による生細胞又は生細胞のセット80の発達の観察に適合されたペトリ皿10が以下に詳述される。
【0076】
第1の実施形態によれば、そのようなペトリ皿10は、
・観察される1つ以上の胚80を受けるように適合されたレセプタクル20と、
・ふた30と、を備えることができる。
図8aは、本発明の範囲で使用することができるペトリ皿の例の二次元上面図及び縦断図ならびに面AAを示す。レセプタクル20の例及び対応するふた30の例がそこで観察される。図8bは、図8aのレセプタクル20及びふた30のレリーフ表現を示す。
【0077】
ペトリ皿10のこの第1の実施形態の概略図が図9aに示される。
【0078】
ペトリ皿10を通して生細胞又は生細胞のセット80を視認することができるように、ペトリ皿10は、上記のように照明システム110によって放出される光に対して透過な材料で作製することができる。この光は一般に可視範囲(つまり、約400nm~800nm)にある。したがって、使用される材料は、例えば、プラスチック材料のガラスとすることができる。
【0079】
図9bを参照すると、レセプタクル20の底部は、観察された生細胞又はセット又は生細胞80を識別するように適合された識別要素50を備える。
【0080】
図9bに示される実施形態によれば、ペトリ皿10は長方形の形状である。
【0081】
識別要素50は、例えば、図9bに示されるようなデータマトリックスタイプのバーコード又は2Dコードとすることができる。この識別要素50は、特に、ペトリ皿10の内容、すなわち、そこに含有される生細胞又は生細胞のセット80に関する情報を知ることを可能にする。生細胞又は生細胞のセット80が1つ以上の胚である場合、ペトリ皿10の内容に関する情報は、以前に完成したデータベースを介して、例えば、胚80が属するカップル、さらに存在する胚80の数、胚80の準備又は挿入の日付などとすることができる。
【0082】
この実施形態によれば、生細胞又は生細胞のセット80は、図9bに示される長方形のペトリ皿10の場合のように、1つ以上の行にわたって直線状に分布している。
【0083】
図10に示されるペトリ皿10の特定の実施形態によれば、レセプタクル20の底部は、有利には、少なくとも1つの胚リザーバ60を備え、そのリザーバ60は、生細胞又は生細胞のセット80を受けるように適合された、カップ61、区画又はウェルをその中央に備え、そのリザーバ60はまた、カップ61内の生細胞又は生細胞のセット80に加えて、培地62の滴下(典型的には6μlのオーダー)を受けるように適合されている。カップの直径は典型的には1mmのオーダーであり、その容量は0.75μlのオーダーとすることができる。培地62が位置するゾーンは、レセプタクル20の底部又はバルジ64の隆起によって区切られる。
【0084】
次に、少なくとも生細胞又は生細胞のセット80、培地62の滴下によって形成されたアセンブリは、次いで、油又は水などの液体63で覆われ得る。このため、レセプタクル20のエッジは、十分に高くなければならず、典型的には5~10mmのオーダーである。
【0085】
図11aから11cに示され、図9a及び9bに示されるものと同様の別の実施形態によれば、ペトリ皿10は、ペトリ皿10の容易な取り扱いを可能にする把持ラグ12を備える透明板11に堅固に接続することができる。これは、胚80の観察及び装置100によってキャプチャされた画像の品質を妨げるであろうふた30又はレセプタクル20の底部を汚すリスクを防ぐ。有利には、把持ラグ12は、タグ付け領域13を備え、その上に、レセプタクル20の底部ではなく、識別要素50を貼付することが可能である。
【0086】
最後に、レセプタクル20のエッジは、培地62の滴下と生細胞又は生細胞のセット80によって形成されたアセンブリを覆う油又は水などのある量の液体63を置くことができるように十分に高く、典型的には5~10mmのオーダーである。
【0087】
実施形態によれば、識別要素50は、レセプタクル20の底部をその内面又は外面に機械加工することによって、又はラベル及び/又は自己接着マーカーをレセプタクル20の外側の底部に貼付することによって、材料内で直接生成することができる。
【0088】
本発明による観察方法
第3に、上記で定義された撮像装置100によって生細胞又は生細胞のセット80の発達を観察するための方法が、以下に詳述される。
【0089】
図12に示される方法の第1の一般的な実施形態によれば、この方法は、3つの主要なステップ:
-準備ステップS300と、
-識別ステップS302と、
-観察ステップS304と、を含むことができる。
【0090】
準備ステップS300は、上記で定義され、装置の支持体に配設された少なくとも1つのペトリ皿から選択することができるペトリ皿10において、生細胞又は生細胞のセット80を連続的に置き、その後に、培地62の滴下が続き(又は逆に、培地62の滴下の後に、生細胞又は生細胞のセット80が続く)、次いで、動作を、観察される生細胞又は生細胞のセット80の求められた数に従って必要な回数繰り返し、最後に、油又は水などの液体63で全体を覆うことを伴う。
【0091】
生細胞又は生細胞のセット80は、カップ61内に置かれ、次いで、生細胞又は生細胞のセットリザーバ60において培地62の滴下で覆われ得る。
【0092】
有利には、そして特に生細胞又は生細胞のセット80が胚又は複数の胚である場合に、胚80を準備又は置く動作に続いて、データベースは、ペトリ皿10の特徴で準備技術者によって、特に、例えば、胚80が属するカップル、皿に存在する胚80の数、胚80の準備及び挿入の日付などのペトリ皿10に置かれた胚80と関連するデータで充填することができる。
【0093】
観察される生細胞又は生細胞のセット80の識別ステップS302は、撮像システム120を使用して、観察される生細胞又は生細胞のセット80を含有するペトリ皿10の識別要素50を撮像及び分析することを伴う。
【0094】
有利には、近似位置決めステップS301と称される任意選択のステップS301は、識別ステップS302と称されるステップの前に実行することができ、該任意選択のステップS301は、移動手段160を使用して、照明システム110及び撮像システム120の広視野カメラ121によって形成されたアセンブリと、ペトリ皿10とを互いに対して移動させて、選択されたペトリ皿10が、照明システム(110)及び撮像システム(120)の広視野カメラ(121)によって形成されたアセンブリと粗く位置合わせされるようにすることを伴う。
【0095】
したがって、複数のペトリ皿10が支持体に配設される場合に、任意選択のステップS301中に、選択されたペトリ皿10の上方に、撮像システム120を位置決めして、選択されたペトリ皿10が、照明システム110及び撮像システム120の広視野カメラ121によって形成されたアセンブリを移動させることによって、広視野カメラ121で識別要素50を識別することによって直接識別されるようにすることが単に必要である。
【0096】
次いで、第1の撮像システム120の処理ユニットは、広視野カメラ121によってキャプチャされた画像を分析することができ、識別要素50を分析して、以前に充填されたデータベースを介して観察されたペトリ皿10の特性とリンクすることを可能にする。
【0097】
観察ステップS304は、撮像システム120を使用して、第1の生細胞又は生細胞のセット80を撮像することを伴う。
【0098】
支持体1が、事前に画定された位置にペトリ皿10を事前に位置決めするための接触ブロックもしくはリム、又はノッチを含む構成では、ノッチは、そこに事前に位置決めされる。広視野カメラ121の広い視界がペトリ皿10の区画61又はウェルの少なくとも全体をカバーするため、予備的な横方向セッティング、すなわち、支持体1によって画定される面と平行な面におけるセッティングが、ペトリ皿10に対して撮像システム120及び広視野カメラ121を位置決めするために必要ではない。これにより、撮像システム120の起動から、広視野カメラ121を設定することによって生細胞又は生細胞のセット80の観察面を画定した後、所定の位置にペトリ皿10の区画61の1つに位置決めされた生細胞又は生細胞のセット80を、ペトリ皿10の区画61の1つにおける生細胞又は生細胞のセット80の位置にかかわらず、直接検出することが可能になる。したがって、照明システム110は、第1の生細胞又は生細胞のセット80を照明し、広視野カメラ121は、その画像をキャプチャする。図13は、上記の観察方法で得られた胚の完全な画像を示し、その画像は、特にステップS304の後に得られる。その中で、ペトリ皿10においてその区画61の左側に位置する胚を観察し、その構成細胞を区別することが可能である。
【0099】
有利には、この観察ステップS304中、観察された生細胞又は生細胞のセット80に存在する細胞の数をカウントするか、又は撮像システム120のおかげで、また適合された照明のおかげでこれらの生細胞又は生細胞のセットのテクスチャ及び粒子を観察することができる。
【0100】
生細胞又は生細胞のセット80が胚である特定の場合において、全体として発達の進化を観察することができるように、広視野カメラ131によってキャプチャされた画像が、胚80の識別と画像キャプチャの日時に注意しながら、記録されてもよい。
【0101】
本発明による観察方法の第2の一般的な実施形態によれば、図14に示されるように、ペトリ皿10の別の区画61に位置する別の生細胞又は生細胞のセット80を観察することが可能である。したがって、追加のステップS310は、その総観が図12に示されている観察方法の第1の実施形態に対して実行することができる。ペトリ皿10と、少なくとも照明システム110及び狭視野カメラ131によって形成されたアセンブリは、移動手段160を用いて互いに対して移動することができる。移動は、ペトリ皿10によって画定される水平面、又はペトリ皿10が配置される支持体1によって画定される水平面と平行な面に沿って実行される。移動は、少なくとも照明システム110及び広視野カメラ121によって形成されたアセンブリが、観察される新しい生細胞又は生細胞のセット80の区画61に位置決めされるように実行される。図14は、ペトリ皿の別の区画61に位置する別の生細胞又は生細胞のセット80の観察のこの実施形態の総観を示す。
【0102】
複数の生細胞又は生細胞のセット80を観察するときの時間を節約するために、撮像システム120の処理ユニットは、観察された生細胞又は生細胞のセット80の以前の位置をメモリに記憶して、移動手段にこれらの位置に直接行くように命令することができる。したがって、同じ生細胞又は生細胞のセット80の2つの画像キャプチャ間の時間経過が低減され、生細胞又は生細胞のセット80の経時的な進化がより効果的に観察される。
【0103】
撮像装置100が液体レンズ170をさらに備える場合に、生細胞又は生細胞のセット80の観察面は、液体レンズ170の設定によって決定することができる。
【0104】
本発明による観察方法の第3の実施形態によれば、生細胞又は生細胞のセット80をその深さにおいて観察することが可能である。この目的のために、液体レンズ170を備える撮像装置100が使用される。それらの使用は、支持体1によって画定される水平面に垂直に画定されるz軸に沿った機械的移動のための手段をなくし、したがって、生細胞又は生細胞のセット80を観察するための撮像装置の設定時間を削減することを可能にする。典型的には、研究された生細胞又は生細胞のセット80の深さ範囲は、数十マイクロメートルのオーダーである(例えば、10μm~100μm、典型的には20μm)。観察面は、ステップS312における液体レンズ170の設定によって決定される。液体レンズ170の設定は、液体レンズ170の焦点距離を画定するための電圧などの制御パラメータのセッティングとして理解されるべきである。例えば、上記の観察方法の実施形態を実装するために、Variopticブランドの液体レンズモデルC-u-25H0-075を使用することができる。
【0105】
したがって、液体レンズ170を設定することによって観察面を決定する追加のステップS312を複数回繰り返して、液体レンズ170の異なる設定によって決定される深さの方向に対する複数の垂直面で生細胞又は生細胞のセット80を観察することができる。図15は、生細胞又は生細胞のセット80のその深さにおける観察のこの実施形態の総観を示す。
【0106】
本発明によるコンピュータプログラム製品
本発明はまた、通信ネットワークからダウンロード可能であり、及び/又はコンピュータ可読媒体に記録され、及び/又はプロセッサによって実行可能であるコンピュータプログラム製品に関する。このプログラムは、上記で定義されたような生細胞又は生細胞のセット80の発達を観察するための方法を実装するためのプログラムコード命令を含む。
【0107】
生細胞又は生細胞のセット80の観察を最適化し、特に広視野カメラ121によってキャプチャされた各画像間の偏差を最小化するために、コンピュータプログラムは、生細胞又は生細胞のセット80の以前に記録された位置の知識のおかげで、少なくとも照明システム110及び広視野カメラ121によって形成されたアセンブリの移動を最適化することができる。
【0108】
有利なことに、コンピュータプログラムはまた、生細胞又は生細胞のセット80のキャプチャされた画像を、経時的にその進化を追跡するビデオの形式で、又は画像ごとに視認することを可能にしてもよい。
【実施例
【0109】
実施例1:本発明による撮像装置を用いて、異なるタイプの照明を有する本発明による観察方法を使用する胚の観察
図16は、本発明による撮像装置100を用いて、かつ本発明による観察方法の第1の実施形態により、それぞれ「輪郭」タイプの照明及び「テクスチャ」タイプの照明を使用して得られた胚80の2つの画像を示す。「輪郭」タイプの照明を用いる画像では、胚80を形成する細胞のエッジ及びそのエッジ、「テクスチャ」タイプの照明を用いる画像では、これらの要素のレリーフ及びテクスチャがそれぞれ区別される。
【0110】
実施例2:本発明による撮像装置を用いた、かつ本発明による観察方法の第3の実施形態による、胚のその深さにおける観察
図18a及び18bは、Variopticブランド(C-u-25H0-07)の40Vの印加電圧に対して7.5mmの焦点距離を有する液体レンズモデルを含む撮像装置を用いて得られた、異なる深さでの胚の異なる横断面を示す。図17aは、「輪郭」タイプの照明を用いる一連の面を示し、液体レンズの定義された電圧範囲を適用することにより、切断面が約30ミクロン離間している。図17bは、レリーフタイプの照明を用いる一連の面を示し、切断面が30μm離間している。これらの一連の画像において、図16と同じプロパティ、及び各横断面の鮮明さを観察することができる。
【0111】
上述の発明は複数の利点を有する。
【0112】
撮像装置には、現在の顕微鏡のように手動で取り扱われる倍率の異なるレンズのセットは装備されていないが、ペトリ皿10の区画61内の任意の位置に配置された第1の細胞又は細胞のセット80の予備的なセッティング又は移動なしで直接観察を可能にする単一のカメラが装備されており、観察は、生細胞もしくは生細胞のセット80の高解像度観察である。
【0113】
したがって、ペトリ皿10内のそれらの区画61内を移動することができる生細胞又は生細胞のセット80を置くことに対する制約は、広視野カメラ121が区画61の少なくともの表面積全体をカバーするという点で緩和される。これにより、生細胞又は生細胞のセット80をそれらの区画61において観察するために撮像装置100を動かす必要がないことが可能になる。
【0114】
撮像装置に含めることができる異なるタイプの照明により、ペトリ皿10、したがって生細胞又は生細胞のセット80を識別する、撮像システム120によるその検出、又は観察された生細胞又は生細胞のセット80に存在する細胞の数をカウントするなど、観察プロセスの異なる段階と関連する画像処理動作を設定することが可能になる。
【0115】
ここで説明する撮像装置100及び生細胞又は生細胞のセットを観察するための方法は、画像の光学的品質、ならびに材料効率、すなわち、従来技術で知られた装置に対して簡略化された機器の使用、ならびに装置の製造及び使用のコストを削減しながら、特に体外受精に関して、生殖研究プロセスの、移動手段の制限及び深さにおける移動の除去による時間的効率を強化することが可能になる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図10
図11a
図11b
図11c
図12
図13
図14
図15
図16
図17a
図17b