(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】係留ロボット
(51)【国際特許分類】
B63B 21/00 20060101AFI20241211BHJP
B25J 9/02 20060101ALI20241211BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20241211BHJP
B63B 59/02 20060101ALI20241211BHJP
E02B 3/20 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B63B21/00 A
B25J9/02 Z
B25J15/06 A
B63B59/02 J
B63B59/02 F
B63B21/00 D
B63B59/02 G
E02B3/20 A
(21)【出願番号】P 2022531349
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(86)【国際出願番号】 IB2020061199
(87)【国際公開番号】W WO2021105932
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-09-29
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】522208036
【氏名又は名称】アイパルコ ビーヴィー
【氏名又は名称原語表記】IPALCO BV
【住所又は居所原語表記】Stationsplein 45 Unit A4.004, 3013AK Rotterdam, NETHERLANDS
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ウォーリー,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】トプリス,ステファン
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-106398(JP,A)
【文献】特表2005-534554(JP,A)
【文献】特開昭62-106168(JP,A)
【文献】特開昭63-038755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/00
B63B 59/02
B25J 9/02
B25J 15/06
E02B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶をドックまたは第2の船舶へ解放可能に締結させる係留ロボットであって、前記係留ロボットは、
a)前記ドックまたは第2の船舶へ取り付けられるべきベース、
b)前記船舶の表面と解放可能に係合可能となるように構成された取付要素、および
c)前記ベースから独立して共に前記取付要素を支持する少なくとも2つの連結部であって、前記ベースへ接近および前記ベースから離隔する方向それぞれ(以下において「横方向」)において前記取付要素が移動することを可能にするように退避および伸長するように構成され、各連結部は、回転中間ジョイントにおいて旋回可能に共に接続されたベースアームおよび取付アームを含み、前記ベースアームは、回転ベースジョイントにおいて旋回可能に前記ベースに接続され、前記取付アームは、回転取付ジョイントにおいて旋回可能に前記取付要素に接続され、3つの前記ジョイントのそれぞれにより、相互に間隔を開けてかつ平行に配置された回転軸が規定され、前記少なくとも2つの連結部の第1の連結部のジョイントの回転軸は、前記少なくとも2つの連結部の少なくとも1つの第2の連結部のジョイントの回転軸に対して平行ではな
く、
前記回転軸の少なくとも1つに沿った方向から視て前記ベースアームと前記取付アームの少なくとも一部がオーバーラップ可能とされている、少なくとも2つの連結部、
を含む、係留ロボット。
【請求項2】
前記係留ロボットは、前記取付要素を前記横方向において伸長および/または退避させるように構成された可動配置構成を含む、請求項1に記載の係留ロボット。
【請求項3】
前記可動配置構成は、被駆動作動型の配置構成である、請求項2に記載の係留ロボット。
【請求項4】
前記可動配置構成は、前記ベースと、前記取付アームまたは取付要素のうち1つとの間に係合される、請求項3に記載の係留ロボット。
【請求項5】
前記係留ロボットは、3つの連結部、4つの連結部、5つの連結部または6つの連結部を含む、請求項1
~4のいずれか一項に記載の係留ロボット。
【請求項6】
前記係留ロボットは、2つの連結部のみを含み、すなわち、前記第1の連結部および前記第2の連結部を含む、請求項1
~4のいずれか一項に記載の係留ロボット。
【請求項7】
前記第1の連結部の中間回転軸間の角度は、前記第2の連結部の中間回転軸に対して90度である(すなわち、前記回転軸は、相互に直交する)、請求項1~
6のいずれか一項に記載の係留ロボット。
【請求項8】
前記連結部のみにより、前記取付要素の重量が前記ドックまたは第2の船舶へ移動される、請求項1~
7のいずれか一項に記載の係留ロボット。
【請求項9】
前記取付要素は、前記船舶の表面と係合するように構成された係合要素を含み、前記係合要素は、真空パッド、1つまたは複数の真空カップ、フックデバイス、充電接続、または前記船舶と解放可能に係合するように構成された他の係合フィーチャである、請求項1~8のいずれか一項に記載の係留ロボット。
【請求項10】
船舶とドックまたは第2の船舶との間の防舷のための、或いは船舶をドックまたは第2の船舶へ解放可能に締結させる係留ロボットのための、機構であって、前記機構は、
a)前記ドックまたは第2の船舶へ取り付けられるべきベース、
b)前記船舶の表面と解放可能に係合可能な取付要素または防舷要素となるように構成された要素、および
c)前記ベースから独立して共に前記要素を少なくとも部分的に支持する少なくとも2つの連結部であって、前記ベースへ接近および前記ベースから離隔する方向それぞれ(以下において「横方向」)において前記要素が移動することを可能にするように退避および伸長するように構成され、各連結部は、回転中間ジョイントにおいて旋回可能に共に接続されたベースアームおよび取付アームを含み、前記ベースアームは、回転ベースジョイントにおいて旋回可能に前記ベースに接続され、前記取付アームは、回転取付ジョイントにおいて旋回可能に前記要素に接続され、3つの前記ジョイントのそれぞれにより、相互に間隔を開けてかつ平行に配置された回転軸が規定され、前記少なくとも2つの連結部の第1の連結部のジョイントの回転軸は、前記少なくとも2つの連結部の少なくとも1つの第2の連結部のジョイントの回転軸に対して平行ではな
く、
前記回転軸の少なくとも1つに沿った方向から視て前記ベースアームと前記取付アームの少なくとも一部がオーバーラップ可能とされている、少なくとも2つの連結部、
を含む、機構。
【請求項11】
前記機構は、前記取付要素を前記横方向において伸長および/または退避させるように構成された可動配置構成を含む、請求項
10に記載の機構。
【請求項12】
前記可動配置構成は、被駆動作動型の配置構成である、請求項11に記載の機構。
【請求項13】
前記可動配置構成は減勢装置であり、および/または、前記可動配置構成は、減勢装置と、ゴムアブソーバ、油圧アブソーバおよび発泡体アブソーバから選択された1つ以上とである、請求項11に記載の機構。
【請求項14】
前記可動配置構成は、前記ベースと、前記取付アームおよび要素のうち片方または両方との間に係合される、請求項11~13のいずれか一項に記載の機構。
【請求項15】
前記係留ロボットは、2つの連結部、すなわち前記第1の連結部および前記第2の連結部を含む、請求項
10~14のいずれか一項に記載の機構。
【請求項16】
前記第1の連結部の中間回転軸間の角度は、前記第2の連結部の中間回転軸に対して90度である(すなわち、前記回転軸は、相互に直交する)、請求項
10~15のいずれか一項に記載の機構。
【請求項17】
前記機構は、前記連結部と前記要素との間の中間に設けられたフレームを含む、請求項10~16のいずれか一項に記載の機構。
【請求項18】
前記連結部のみにより、前記要素の重量が前記ドックまたは第2の船舶へ移動される、請求項
10~17のいずれか一項に記載の機構。
【請求項19】
少なくとも1つの連結部は、重力下において前記要素を退避させるように付勢される、請求項
10~18のいずれか一項に記載の機構。
【請求項20】
前記要素は、前記船舶の表面と係合するように構成された係合要素を含み、前記係合要素は、真空パッド、1つまたは複数の真空カップ、フックデバイス、充電接続、または前記船舶と解放可能に係合するように構成された他の係合フィーチャである、請求項
10~19のいずれか一項に記載の機構。
【請求項21】
前記ベースへの接近方向および/または前記ベースから離隔方向における前記要素の動きは、直線経路をたどる、
請求項10~20のいずれか一項に記載の機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係留ロボットに関する。より詳細にかつ非排他的には、サラス機構によってドックへ固定されるべき係留ロボットに関し、このサラス機構は、真空パッドを(ドックに対して接近方向およびドックから離隔方向に)伸長および退避させて、接続または係留対象である隣接船舶と係合させる。
【背景技術】
【0002】
係留ロボットなどの係留デバイスが、当該分野において周知である。このようなデバイスの一例について、特許公開WO2001/62585、EP2540271およびWO2001/62585中に開示がある。このような係留デバイスは、船舶のターミナル(例えば、港における波止場)への係合および保持のために用いられる。このような係留デバイスは典型的には、船舶に対する係合、保持および接近を行う手段(例えば、真空パッド)を含み得る。これらの真空パッドは、係留ロボットのベースからアームまたはアーム連結部上に載置されて移動される。
【0003】
上記したシステムおよび係留ロボットが用いられる場合、船をドッキングターミナルに横付けしてドックさせることが多い。ドッキングターミナルに沿って、複数の係留ロボットが定置される。これらの係留ロボットは、ドックされている船舶との係合相手である真空パッドを伸長および退避させ得る。係留ロボットの真空パッドが船舶の側部と係合されると、真空パッドが作動されて、船舶に対する吸引力生成により船舶の側面を高速保持し、これにより、船舶を確実にドッキングターミナルへ係留させる。
【0004】
現行の係留ロボットのアームまたはアーム連結部は、重く不格好であり得、使用するドック空間も大きすぎる。既存の係留ロボットのドック上では大きな専有面積が必要とされ得、かつ/または、真空パッドの許容可能な伸長および退避距離は、上記必要性に対して不十分であり得るかまたはより長くなり得る。係留ロボットのアームまたはアーム連結部は、動作力に耐えるくらいに頑強にする必要がある。いくつかの場合において、アームまたはアーム連結部の重量支持のために、他の要素が必要となる。これらの他の要素に起因して、製造コスト増大に繋がり得る。いくつかの場合において、アームまたはアーム連結部は、アームまたはアーム連結部の伸長および/または退避のための可動配置構成(例えば、油圧またはケーブルシステム)を必要とする。これらの油圧機器は、アームまたはアーム連結部双方を横方向に移動させかつアームまたはアーム連結部そのものの重量の少なくとも一部を保持するために、十分に大型にする必要があり得る。
【0005】
本明細書において、外部の情報源(例えば、特許明細書および他の文書)について言及する場合、これは、主に本発明の特徴についての議論のための文脈を提供する目的のためである。他に明記無き限り、そのような情報源についての言及は、当該情報源が先行技術であることまたは当該分野における共通する一般的知識を一部形成することを認めたものとして(いずれの管轄区域においても)解釈されるべきではない。
【0006】
本発明の目的は、上記した不利点のうちいくつかを解消または少なくとも軽減するかあるいは公衆に対して有用な選択を少なくとも提供する係留ロボットを提供することである。
(発明の内容)
【0007】
第1の態様において、本発明は、船舶をドックまたは第2の船舶へ解放可能に締結させる係留ロボットにあるものと言われ得、上記係留ロボットは、以下を含む。
a.上記ドックまたは第2の船舶へ取り付けられるべきベース、
b.上記船舶の表面と解放可能に係合可能となるように構成された取付要素、および
c.上記ベースから独立して共に上記取付け要素を支持する少なくとも2つの連結部であって、上記ベースへ接近および上記ベースから離隔する方向(本明細書中以下において「横方向」)において上記取付要素が移動することを可能にするように退避および伸長するように構成される、少なくとも2つの連結部。各連結部は、回転中間ジョイントにおいて旋回可能に共に接続されたベースアームおよび取付アームを含み、上記ベースアームは、回転ベースジョイントにおいて旋回可能に上記ベースに接続され、上記取付アームは、回転取付ジョイントにおいて旋回可能に上記取付要素に接続され、上記3つのジョイント(回転中間ジョイント、上記回転ベースジョイントおよび上記回転取付ジョイント)はそれぞれ、相互に間隔を開けてかつ平行に配置された回転軸を規定し、上記少なくとも2つの連結部の第1の連結部の上記3つのジョイントの回転軸は、上記少なくとも2つの連結部の少なくとも1つの第2の連結部の上記3つのジョイントの回転軸に対して平行ではない。
【0008】
一実施形態において、上記可動配置構成は、上記ベースと上記取付要素との間において直接的または間接的に動作可能に作動する。
【0009】
一実施形態において、上記可動配置構成は、上記取付要素を上記横方向において伸長および退避させるように構成される。
【0010】
一実施形態において、上記中間ジョイントにおける上記回転軸は、本明細書中以下において上記中間回転軸と呼ばれ、ベースジョイントにおける上記回転軸は、本明細書中以下において上記ベース回転軸と呼ばれ、上記取付ジョイントにおける上記回転軸は、本明細書中以下において上記取付回転軸と呼ばれる。
【0011】
一実施形態において、上記ベースは、上記ドックまたは第2の船舶に対して固定されるかまたは移動可能である。
【0012】
一実施形態において、上記ロボットは、3~6個または3~6個以上の上記連結部を含む。
【0013】
一実施形態において、上記ロボットは、上記連結部、上記第1の連結部および上記第2の連結部のうち2つのみを含む。
【0014】
一実施形態において、上記連結部それぞれについて、上記アームは、相互に同じ長さである。
【0015】
別の実施形態において、上記連結部それぞれについて、上記アームの長さは、相互に異なる。
【0016】
一実施形態において、上記第1の連結部の上記中間回転軸の角度は、上記第2の連結部の上記中間回転軸に対して90度である(すなわち、これらの回転軸は、相互に直交する)。
【0017】
一実施形態において、2つの上記連結部の上記中間回転軸間の角度は、5度~175度である。
【0018】
一実施形態において、2つの上記連結部の上記中間回転軸間の角度は、40度~150度である。
【0019】
一実施形態において、2つの上記連結部の上記中間回転軸間の角度は、90度~130度である。
【0020】
一実施形態において、2つの上記連結部の上記中間回転軸間の角度は、100度である。
【0021】
一実施形態において、2つの上記連結部の上記中間回転軸間の角度は、120度である。
【0022】
一実施形態において、上記連結部は、上記取付要素の重量の大部分を上記ドックまたは第2の船舶へ(例えば、上記ベースを介して)移動させる。
【0023】
一実施形態において、上記連結部のみが、上記取付要素の重量を上記ドックまたは第2の船舶へ(例えば、上記ベースを介して)移動させる。
【0024】
一実施形態において、上記連結部のうち少なくとも1つの上記ベースアームおよび取付アームは、相互に180度まで回転可能であるか、または、少なくとも上記ジョイントの上記回転軸が同一面上に来るかまたは同一面の近隣に来るまで回転可能である。
【0025】
一実施形態において、各連結部について、上記中間ジョイントの最大回転角度は180度である。
【0026】
一実施形態において、各連結部は、オーバーセンターを過ぎて伸長することはできないか、または、少なくとも上記ジョイントの回転軸が全て同一面上に設けられた構成を過ぎて伸長することはできないか、または、(上記ベース回転軸間の距離が上記取付回転軸から離隔方向にある最大距離である)構成を過ぎて伸長できないか、または、上記中間回転軸は、上記ベース回転軸および取付回転軸双方が載置される想像上の面を過ぎて伸長することができない。
【0027】
一実施形態において、少なくとも1つの連結部は、重力下において上記取付要素を伸長させるように構成される。
【0028】
一実施形態において、少なくとも1つの連結部の中間ジョイントは、上記連結部機構の伸長時において下方に移動する。
【0029】
一実施形態において、少なくとも1つの連結部は、重力下において付勢されて、上記取付要素を退避させる。
【0030】
一実施形態において、少なくとも1つの連結部の中間ジョイントは、上記連結部機構の退避時において下方に移動する。
【0031】
一実施形態において、中間ジョイント双方は、上記連結部機構の伸長時において下方に移動する。
【0032】
一実施形態において、中間ジョイント双方は、上記連結部機構の退避時において下方に移動する。
【0033】
一実施形態において、少なくとも1つの連結部が、重力に起因して自己退避する。
【0034】
一実施形態において、2つの中間回転軸により、想像上の「V」字が下方を向いて形成される。
【0035】
一実施形態において、2つの中間回転軸により、想像上の「V」字が上方を向いて形成される。
【0036】
一実施形態において、上記可動配置構成は、被駆動作動型の配置構成である。
【0037】
一実施形態において、上記可動配置構成は、受動型の可動配置構成であり、上記フレームの上記横方向の動きに耐えるように構成される。
【0038】
一実施形態において、上記可動配置構成は、被駆動作動型の配置構成であり、上記取付要素を能動的に上記横方向に駆動するように構成される。
【0039】
一実施形態において、上記可動配置構成は、油圧アクチュエータ、電気アクチュエータ、チェーン駆動システムおよびベルト駆動システムから選択される1つ以上を含む。
【0040】
一実施形態において、上記可動配置構成は、上記ベースと、上記取付アームのうち1つ以上との間に係合される。
【0041】
一実施形態において、上記可動配置構成は、上記取付要素から遠位方向にある端部において上記1つ以上の取付アームの端部から伸長する伸長部と、上記伸長部の遠位端と上記ベースとの間に係合しかつ伸長するアクチュエータとによって規定されるトライセップドライブとして構成される。
【0042】
一実施形態において、上記伸長部は、上記各中間ジョイントを過ぎて伸長する。
【0043】
一実施形態において、上記可動配置構成は、上記ベースと上記取付要素との間に係合される。
【0044】
一実施形態において、上記可動配置構成は、1つ以上の油圧アクチュエータを含む。
【0045】
一実施形態において、上記可動配置構成は、複合油圧アクチュエータを含む。
【0046】
一実施形態において、上記複合油圧アクチュエータは、伸長および退避する(例えば、上記横方向においてまたは上記連結部を伸長および退避させるように)構成される。
【0047】
一実施形態において、上記可動配置構成は、1つ以上の連結部の1つ以上のジョイントに配置された油圧回転モータおよび/または電気回転モータを含む。
【0048】
一実施形態において、上記可動配置構成は、ダイレクトドライブまたはトライセップドライブと組み合わされた油圧回転モータおよび/または電気回転モータを含む。
【0049】
一実施形態において、上記少なくとも2つの連結部、ベースおよび取付要素により、サラス連結部が形成される。
【0050】
一実施形態において、上記取付要素は、上記船舶の表面と係合するように構成された係合要素を含む。
【0051】
一実施形態において、上記係合要素は、真空パッド、真空カップ(複数可)、フックデバイス、充電接続、または船舶と解放可能に係合するように構成された他の係合フィーチャである。
【0052】
一実施形態において、上記取付要素は、上記係合要素と上記連結部との間の中間にあるスライド機構を含む。
【0053】
一実施形態において、上記スライド機構は、
上記係合要素が上記ベースに対して上昇および下降することを可能にするように構成された実質的に垂直な細長ガイド、および
上記係合要素が上記ベースに対して縦方向移動することを可能にするように構成された実質的に水平な細長ガイド、
から選択されたものを少なくとも1つ含む。
【0054】
一実施形態において、上記スライド機構は、上記連結部と係合する。
【0055】
一実施形態において、上記スライド機構により、上記係合要素の受動的動きが可能になる。
【0056】
一実施形態において、上記スライド機構により、上記係合要素の動力による動きが可能になる。
【0057】
一実施形態において、上記作動手段は、上記ベースと上記スライド機構との間に係合される。
【0058】
一実施形態において、上記スライド機構要素は、フレームを含む。
【0059】
一実施形態において、上記作動手段は、上記ベースと上記フレームとの間に係合される。
【0060】
一実施形態において、上記回転接続は、1つ以上の多回転軸ジョイントを含む。これらの多回転軸ジョイントは、相互に一列に配置され、協働して回転ジョイントとして機能する。
【0061】
一実施形態において、上記アームは、実質的に幅広である。
【0062】
一実施形態において、上記アームは、概して矩形直方体形状である。
【0063】
一実施形態において、上記取付要素の横方向における伸長および退避の動きは、直線状の動きである。
【0064】
一実施形態において、上記取付要素の伸長および退避の動きは、横方向のみである。
【0065】
一実施形態において、上記取付要素の伸長および退避の動きは横方向のみであり、その際、上記スライド機構は全く動かない。
【0066】
一実施形態において、上記回転ジョイントは、ピンジョイントである。
【0067】
一実施形態において、上記回転ジョイントは、細長ピンおよびソケットジョイントである。
【0068】
一実施形態において、上記アームは、鋳造物である。
【0069】
一実施形態において、上記連結部は、100kgを超える取付要素を支持し得る。
【0070】
一実施形態において、連結部の取付アームおよびベースアームは、完全退避時において同一平面上に相互に隣接し得る。
【0071】
一実施形態において、上記連結部の重量は、500kgを超える。
【0072】
一実施形態において、上記アームは、細長である。
【0073】
一実施形態において、上記アームは、第1および第2の端部を含み、上記第2の端部は上記中間ジョイントまたはその近隣に設けられる。
【0074】
一実施形態において、上記アームは、その第1の端部と第2の端部との間において実質的に直線状である。
【0075】
一実施形態において、上記ベースアームは、その第1の端部と第2の端部との間において実質的に直線状である。
【0076】
一実施形態において、上記取付アームおよびベースアームのうち片方または双方は、その第2の端部においてL字型形状を含む。
【0077】
一実施形態において、上記L字型形状により、退避時において上記取付アーム上記同一連結部の各ベースアームと同一平面上において折りたたむことが可能になる。
【0078】
一実施形態において、上記連結部は、退避時および伸長時どちらにおいても上記取付要素の重量を完全に支持する。
【0079】
一実施形態において、上記取付要素の上記ベースからの最大伸長距離は、上記アームの合計長さ上記中間ジョイントの形成時における上記アームの重複を減算して得られた値に等しい。
【0080】
一実施形態において、上記取付要素の上記ベースからの最小退避距離は、上記ベースアームの厚さおよび上記取付アームの厚さの合計に等しい。
【0081】
一実施形態において、上記係合要素の最も外方の(船舶に対向する)面は、上記伸長機構の完全退避時において上記ドックの最も外方の(船舶に対向する)面と共に平面を形成する。
【0082】
一実施形態において、上記ベースジョイントの回転軸は、相互に同一面上にある。
【0083】
一実施形態において、上記中間ジョイントの回転軸は、相互に同一面上にある。
【0084】
一実施形態において、上記取付ジョイントの回転軸は、相互に同一面上にある。
【0085】
一実施形態において、各連結部の共通回転軸は、同じ垂直面上または伸長方向に対して直交方向の面上に載置される。
【0086】
一実施形態において、上記ベースジョイントの回転軸は、交差する。
【0087】
一実施形態において、中間ジョイントの回転軸は、交差する。
【0088】
一実施形態において、上記取付ジョイントの回転軸は、交差する。
【0089】
一実施形態において、各連結部の共通回転軸は、交差する。
【0090】
一実施形態において、上記ベースは、上記ドック上に配置された移動可能な配置構成と係合して、上記ベースの垂直方向および/または水平方向の動きを可能にする。
【0091】
一実施形態において、上記ベースは、上記ドックまたは第2の船舶へ取り付けられる。
【0092】
一実施形態において、上記取付要素は、上記船舶の表面と解放可能に係合される。
【0093】
一実施形態において、上記ベースから独立する少なくとも2つの連結部のみにより、上記取付要素が垂直に支持される。
【0094】
一実施形態において、連結部のアームは、長さが異なる。
【0095】
一実施形態において、2つのベースジョイントの回転軸は、相互に同一面から外れる。
【0096】
一実施形態において、2つの取付ジョイントの回転軸は、相互に同一面から外れる。
【0097】
一実施形態において、連結部の取付ジョイントの回転軸は、上記ベースジョイントの回転軸と同じ高さまたは高度にない。
【0098】
一実施形態において、連結部の取付ジョイントの回転軸は、上記回転軸上記ベースジョイントの回転軸に沿った方向においてオフセットされる。
【0099】
第2の態様において、本発明は、船舶をドックまたは第2の船舶へ解放可能に締結させる係留ロボットにあるものと言われ得、上記係留ロボットは、以下を含む。
上記ドックまたは第2の船舶へ取り付けられるべきベース、
上記船舶へ解放可能に係合可能な取付要素、
上記取付要素を保持するフレーム、
上記ベース、フレームおよび上記ベースとフレームとの中間にある少なくとも2つの連結部を含むサラス機構であって、上記サラス機構により、上記ベースから離隔方向および上記ベースへ接近方向における上記フレームの横方向の伸長および退避が可能になる、サラス機構、ならびに
上記伸長および退避のうち少なくとも1つを発生させる可動配置構成。
【0100】
一実施形態において、各連結部は、各ベースアームおよび取付アームを含む。
【0101】
一実施形態において、各連結部は、3つの回転ジョイントを含み、これらの3つの回転ジョイントにより、上記ベースとベースアームとの間、上記ベースアームと取付アームとの間、取付アームと取付要素との間の回転が可能になる。
【0102】
一実施形態において、連結部の上記3つの回転ジョイントの回転軸は、相互に平行である。
【0103】
一実施形態において、第1の連結部の上記3つの回転ジョイントの回転軸は、上記第2の連結部上の上記3つの回転ジョイントの回転軸に対して平行ではない。
【0104】
一実施形態において、上記可動配置構成は、上記フレームを上記横方向において駆動するように構成された油圧アクチュエータである。
【0105】
一実施形態において、上記フレームは、スライド機構と係合され、上記スライド機構により上記係合要素が保持される。
【0106】
一実施形態において、上記スライド機構は、以下から選択された少なくとも1つを含む。
上記係合要素が上記ベースに対して上昇および下降することを可能にするように構成された実質的に垂直な細長ガイド、および
上記係合要素が上記ベースに対して縦方向に移動することを可能にするように構成された実質的に水平なガイド。
【0107】
一実施形態において、上記連結部は、少なくとも上記フレームおよび取付要素の重量を支持する。
【0108】
第3の態様において本発明は、船舶と係合される係留ロボットにあるものと言われ得、上記係留ロボットは、以下を含む。
ドックまたは第2の船舶へ取り付けられるべきベース、
上記船舶の表面と解放可能に係合可能となるように構成された係合要素、
上記ベースから独立する少なくとも2つの連結部であって、上記少なくとも2つの連結部は、上記係合要素を支持し、上記ベースに対して接近方向および/または離隔方向における上記係合要素の横方向の動きを可能にするように構成され、各連結部は、回転中間ジョイントによって旋回可能に共に接続されたベースアームおよび取付アームを含み、上記ベースアームは、回転ベースジョイントにおいて上記ベースへ旋回可能に接続され、上記取付アームは、回転取付ジョイントにおいて上記取付要素へ旋回可能に接続され、上記3つのジョイントの回転軸は、相互に平行であり、上記少なくとも2つの連結部の第1の連結部のジョイントの回転軸は、上記少なくとも2つの連結部の第2の連結部のジョイントの回転軸に対して平行ではない、少なくとも2つの連結部、および
上記係合要素を上記横方向において伸長および退避させるように構成された可動配置構成。
【0109】
一実施形態において、上記係合要素は、真空パッド、真空カップ(複数可)、フックデバイス、磁気カップリング、充電接続、流体接続、または船舶と解放可能に係合される他の係合フィーチャである。
【0110】
第4の態様において、本発明は、船舶をドックへまたは第2の船舶へ解放可能に係合させる係留ロボットにあるものと言われ得、上記係留ロボットは、以下を含む。
a.上記ドックまたは第2の船舶へ取り付けられるべきベース、
b.上記船舶へ解放可能に係合可能な取付要素、
c.上記取付要素を保持するフレーム、
d.上記ベース、フレーム、および上記ベースとフレームとの中間にある少なくとも2つの連結部によって確立されたサラス機構であって、方向(本明細書中以下において「横方向」)において上記ベースから離隔方向および上記ベースへ接近方向に上記フレームを伸長および退避させることが可能であるサラス機構、ならびに
e.上記フレームの動きを上記ベースから離隔方向に駆動する可動配置構成。
【0111】
第5の態様において、本発明は、ドックまたは第2の船舶に対する船舶の係合または防舷を行う機構にあるものと言われ得、上記機構は、以下を含む。
a.上記ドックまたは第2の船舶へ取り付けられるべきベース、
b.上記船舶へ接触可能な要素、
c.上記要素を保持するフレーム、
d.上記ベースとフレームとの中間にある少なくとも2つの連結部であって、上記少なくとも2つの連結部は、上記ベースおよびフレームと協働してサラス機構を形成し、上記サラス機構により、上記ベースに対して横方向において上記フレームの動きを伸長または退避させることが可能になり、第1の連結部は、第2の連結部の回転軸のように非平行な回転軸を含む、少なくとも2つの連結部、および
e.上記横方向における上記フレームの動きを駆動させかつ/または上記横方向における上記フレームの動きに耐える可動配置構成。
【0112】
一実施形態において、上記少なくとも2つの連結部の各連結部は、各ベースアームおよび取付アームを含む。
【0113】
一実施形態において、各連結部は、3つの回転ジョイントを含み、上記3つの回転ジョイントにより、上記ベースとベースアームとの間、上記ベースアームと上記取付アームとの間、および上記取付アームと上記フレームとの間の回転が可能になる。
【0114】
一実施形態において、各回転ジョイントは、回転軸を含み、連結部の3つの回転軸は、相互に平行であり、第1の連結部の上記3つの回転ジョイントの回転軸は、上記第2の連結部上の上記3つの回転ジョイントの回転軸に対して平行ではない。
【0115】
一実施形態において、上記可動配置構成は、上記フレームを上記横方向に駆動するように構成された油圧アクチュエータであるか、または、上記可動配置構成は減勢装置である。
【0116】
一実施形態において、上記連結部は、少なくとも自身の重量および上記要素の重量のうち少なくとも一部を支持する。第6の態様において、本発明は、船舶とドックまたは第2の船舶との間の防舷の機構と、船舶をドックまたは第2の船舶へ解放可能に締結させる係留ロボットとにあるものと言われ得、上記機構は、以下を含む。
a)上記ドックまたは第2の船舶へ取り付けられるべきベース、
b)上記船舶の表面と解放可能に係合可能な防舷要素または取付要素となるように構成された要素、および
c)上記ベースから独立する少なくとも2つの連結部であって、上記少なくとも2つの連結部は、共に上記要素を少なくとも部分的に支持し、退避および伸長して、方向(本明細書中以下において「横方向」)において上記ベースへ接近および上記ベースから離隔する方向においてそれぞれ上記要素の動きを可能にするように構成される、少なくとも2つの連結部。各連結部は、回転中間ジョイントにおいて旋回可能に共に接続されたベースアームおよび取付アームを含み、上記ベースアームは、回転ベースジョイントにおいて上記ベースへ旋回可能に接続され、上記取付アームは、回転取付ジョイントにおいて上記要素へ旋回可能に接続され、上記3つのジョイントはそれぞれ、相互に間隔を開けてかつ平行に配置された回転軸を規定し、上記少なくとも2つの連結部の第1の連結部のジョイントの回転軸は、上記少なくとも2つの連結部の少なくとも1つの第2の連結部のジョイントの回転軸に対して平行ではない。
【0117】
一実施形態において、上記機構は、上記取付要素を上記横方向において伸長および/または退避させるように構成された可動配置構成を含む。
【0118】
一実施形態において、上記機構は、3つ、4つ、5つまたは6つの連結部を含む。
【0119】
一実施形態において、上記ロボットは、2つの連結部である上記第1の連結部および上記第2の連結部を含む。
【0120】
一実施形態において、上記第1の連結部の上記中間回転軸間の角度は、上記第2の連結部の中間回転軸に対して90度である(すなわち、上記回転軸は、相互に直交する)。
【0121】
請求項6に記載のような機構において、上記2つの連結部の2つの中間ジョイント回転軸間の角度は、90度~130度である。
【0122】
一実施形態において、上記連結部のみにより、上記要素の重量が上記ドックまたは第2の船舶へ移動される。
【0123】
一実施形態において、少なくとも1つの連結部は、重力下において付勢されて、上記要素を退避させる。
【0124】
一実施形態において、上記可動配置構成は、被駆動作動型の配置構成である。
【0125】
一実施形態において、上記可動配置構成は、上記要素を上記横方向に能動的に駆動するように構成された被駆動作動型の配置構成である。
【0126】
一実施形態において、上記可動配置構成は、受動型の作動配置構成であり、上記要素を上記横方向に受動的に駆動するように構成される。
【0127】
一実施形態において、上記可動配置構成は、上記横方向における動きのみを提供する。
【0128】
一実施形態において、上記可動配置構成は減勢装置であり、かつ/または、上記減勢装置は、ゴムアブソーバ、油圧アブソーバおよび発泡体アブソーバから選択された1つ以上である。
【0129】
一実施形態において、上記可動配置構成は、油圧アクチュエータ、電気アクチュエータ、チェーン駆動システムおよびベルト駆動システムから選択された1つ以上を含む。
【0130】
一実施形態において、上記可動配置構成は、上記ベースと、上記取付アームおよび上記ベースアームのうち1つとの間に係合される。
【0131】
一実施形態において、上記可動配置構成は、上記ベースと上記要素との間に係合される。
【0132】
一実施形態において、上記可動配置構成は、1つ以上の油圧アクチュエータを含む。
【0133】
一実施形態において、上記可動配置構成は、複合油圧アクチュエータを含む。
【0134】
一実施形態において、上記複合油圧アクチュエータは、伸長および退避しかつ/または上記連結部を伸長および退避させるように構成される。
【0135】
一実施形態において、上記要素は、上記船舶の表面と係合するように構成された係合要素を含み、上記係合要素は、真空パッド、真空カップ(複数可)、フックデバイス、充電接続、または上記船舶と解放可能に係合するように構成された他の係合フィーチャである。
【0136】
第7の態様において、本発明は、船舶とドックまたは第2の船舶との間の防舷にあるものと言われ得、上記防舷は、以下を含む。
a)上記ドックまたは第2の船舶へ取り付けられるべきベース、
b)上記船舶の表面と接触可能となる要素、
c)上記ベースから独立する少なくとも2つの連結部であって、上記少なくとも2つの連結部は、共に上記要素を支持し、上記ベースへ接近および上記ベースから離隔するそれぞれの方向(本明細書中以下において「横方向」)における上記要素の動きを可能にするように退避および伸長するように構成され、各連結部は、回転中間ジョイントにおいて旋回可能に共に接続されたベースアームおよび取付アームを含み、上記ベースアームは、回転ベースジョイントにおいて上記ベースへ旋回可能に接続され、上記取付アームは、回転取付ジョイントにおいて上記要素へ旋回可能に接続され、上記3つのジョイントそれぞれにより、相互に間隔を開けてかつ平行に配置された回転軸が規定され、上記少なくとも2つの連結部の第1の連結部のジョイントの回転軸は、上記少なくとも2つの連結部の少なくとも1つの第2の連結部のジョイントの回転軸に対して平行ではない、少なくとも2つの連結部、
d)上記a)ベースおよびb)ドックまたは第2の船舶のいずれかまたは双方へ接続された近位端と、i)上記取付アームのいずれかまたは双方あるいは上記第1の連結部および第2の連結部ならびにii)上記要素のいずれかまたは双方へ接続された遠位端とを含む減勢装置。
【0137】
第8の態様において、本発明は、船舶とドックまたは第2の船舶との間の防舷のための、あるいは船舶をドックまたは第2の船舶へ解放可能に締結させる係留ロボットのための、機構にあるものと言われ得、上記機構は、以下を含む。
a)上記ドックまたは第2の船舶へ取り付けられるべきベース、
b)上記船舶の表面と接触可能となる要素、
c)上記ベースから独立する少なくとも2つの連結部であって、上記少なくとも2つの連結部は、共に上記要素を少なくとも部分的に支持し、上記ベースへ接近および上記ベースから離隔する方向それぞれ(本明細書中以下において「横方向」)において上記取付要素が移動することを可能にするように退避および伸長するように構成され、各連結部は、回転中間ジョイントにおいて旋回可能に共に接続されたベースアームおよび取付アームを含み、上記ベースアームは、回転ベースジョイントにおいて上記ベースへ旋回可能に接続され、上記取付アームは、回転取付ジョイントにおいて上記要素へ旋回可能に接続される、少なくとも2つの連結部。
上記ベースへの接近方向および/または上記ベースから離隔方向における上記要素の動きは、直線経路をたどる。
【0138】
一実施形態において、機構は、上記直線経路の維持のためにベクトル化制御を用いたシステムを含まない。
【0139】
一実施形態において、上記直線経路は、水平である。
【0140】
一実施形態において、上記直線経路は、上記回転ジョイントのうち少なくとも1つの回転軸に対して直交する。
【0141】
一実施形態において、上記要素/連結部の動きは、船舶から上記要素への衝撃(動きの付与)に起因する。
【0142】
一実施形態において、上記要素は、上記船舶の表面を防舷するように構成された防舷要素を含む。
【0143】
一実施形態において、上記要素は、上記船舶の表面と係合するように構成された係合要素を含み、上記係合要素は、真空パッド、真空カップ(複数可)、フックデバイス、充電接続、または上記船舶と解放可能に係合するように構成された他の係合フィーチャを含む。
【0144】
一実施形態において、上記3つのジョイントそれぞれにより、相互に間隔を開けてかつ平行に配置された回転軸が規定され、上記少なくとも2つの連結部の第1の連結部のジョイントの回転軸は、上記少なくとも2つの連結部の少なくとも1つの第2の連結部のジョイントの回転軸に対して平行ではない。
【0145】
一実施形態において、上記要素は、近位端および遠位端を含むエネルギー吸収要素であり、上記近位端は、上記ドック、第2の船舶またはベースへ抑制され、上記遠位端は、1つ以上の連結部において抑制されるかあるいは上記要素および/または上記要素または上記要素および/または上記要素に接近する方向に抑制される。
【0146】
一実施形態において、上記エネルギー吸収要素は、上記要素の重量を少なくとも部分的に支持する。
【0147】
一実施形態において、上記機構は、上記要素が船舶からの衝撃を受けた場合に上記エネルギー吸収要素における剪断動きに耐える。
【0148】
一実施形態において、機構は、上記エネルギー吸収要素の上記遠位端の垂直動きに耐える。
【0149】
本発明の他の態様は、添付の図面を参照しつつ、以下の記載を参照すれば明らかになり得る。以下の記載は、ひとえに例示目的のためのものである。
【0150】
本明細書中用いられるように、「および/または」という用語は、「および」または「または」あるいはこれら両方を指す。
【0151】
本明細書中用いられるように、名詞の後に「(s)」がつく場合、当該名詞の複数形および/または単数形を意味する。
【0152】
本明細書中用いられるように、「真空」という用語は、完全真空だけでなく、部分的真空である。
【0153】
本明細書および請求項に用いられるように、「含む」という用語は、「~から少なくとも部分的になる」を意味する。本明細書および請求項中の記載においてこの用語が含まれる場合、必要なのは当該特徴の前に各記載中のこの用語が存在することだけであると解釈されるべきであるが、他の特徴も存在し得る。「comprise」および「comprised」などの関連用語も、同様に解釈されるべきである。
【0154】
上記および下記に引用する出願、特許および公開文献がある場合、当該文献全ての開示内容全体を、参考のため援用する。
【0155】
本発明は、本出願の明細書中において個別的にまたは集合的に言及または記載される部品、要素およびフィーチャと、上記部品、要素またはフィーチャの任意のまたは全ての組み合わせあるいは任意の2つ以上とに広範にあり得、本明細書中において、(本発明が関連する分野において公知の相当量を有する)特定の整数が記載される場合、そのような公知の相当量は、あたかも個別に記載されているかのように本明細書中に援用されたものとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0156】
以下、本発明について、図面を参照しつつ、ひとえに例示目的のために説明する。
【
図1】係留ロボットが伸長位置にある様子の前上方斜視図である。
【
図2】船舶、ドックおよび関連付けられた係留ロボットの模式平面図である。
【
図3】係留ロボットが係合要素無しに伸長位置にある様子の前上方斜視図である。
【
図4a】
図3の係留ロボットが伸長位置にある様子の前上方斜視図である。
【
図4b】
図3の係留ロボットが退避位置にある様子の前上方斜視図である。
【
図8a】伸長位置における複合油圧アクチュエータを示す。
【
図8b】退避位置における複合油圧アクチュエータを示す。
【
図9】
図3の係留ロボットをトライセップドライブ構成と共に示す。
【
図10a】ダイレクトドライブ可動配置構成のために構成された、直交伸長機構を備えた係留ロボットが、伸長位置においてn型方向付けで設けられた前上方斜視図である。
【
図10b】ダイレクトドライブ可動配置構成のために構成された、直交伸長機構を備えた係留ロボットが、退避位置においてn型方向付けで設けられた前上方斜視図である。
【
図11a】トライセップドライブ可動配置構成のために構成された、直交伸長機構を備えた係留ロボットが、伸長位置においてv型方向付けで設けられた前上方斜視図である。
【
図11b】トライセップドライブ可動配置構成のために構成された、直交伸長機構を備えた係留ロボットが、退避位置においてv型方向付けで設けられた前上方斜視図である。
【
図12a】トライセップドライブ可動配置構成のために構成された、直交伸長機構を備えた係留ロボットが、伸長位置においてn型方向付けで設けられた前上方斜視図である。
【
図12b】トライセップドライブ可動配置構成のために構成された、直交伸長機構を備えた係留ロボットが、退避位置おいてn型方向付けで設けられた前上方斜視図である。
【
図13a】3つの連結部伸長機構を備えた係留ロボットの前上方斜視図である。
【
図13b】3つの連結部伸長機構を備えた係留ロボットの前上方斜視図である。
【
図14】単一のトライセップドライブをベースアーム上に用いた直交型伸長機構を備えた係留ロボットの上面斜視図であり、1つの連結部は、n型連結部である。
【
図15a】係留ロボットが伸長位置にある様子の前方図であり、伸長機構は、M型構成である。
【
図15b】係留ロボットが伸長位置にある様子の後方図であり、伸長機構は、M型構成である。
【
図16a】係留ロボットが伸長位置にある様子の前方図であり、伸長機構は、W型構成である。
【
図16b】係留ロボットが伸長位置にある様子の後方図であり、伸長機構は、W型構成である。
【
図17b】分離されたベースアームの上面図である。
【
図17c】分離されたベースアームの側面図である。
【
図18a】分離された連結部の側面図であり、異なる長さのアームが伸長位置にある。
【
図18b】分離された連結部の側面図であり、異なる長さのアームが退避位置にある。
【
図19】垂直レールと係合された係留ロボットの前上方斜視図である。
【
図20】ドックの片側の防舷および防舷機構の前上方斜視図であり、この機構は、2つの連結部を有し、1つが上方に、1つが側部に設けられる。
【
図21】
図20の代替図であり、これら2つの連結部は、上部のいずれかの側部において45度で配置される。
【
図22】
図20の代替図であり、これら2つの連結部は、側部のいずれかの側部において45度で配置される。
【
図23】
図20の代替図であり、これら2つの連結部は、側部および下部において配置される。
【
図24】ドックの片側の防舷および防舷機構の前上方斜視図であり、この機構は、3つの連結部を有する。
【
図25】ドックの片側の防舷および防舷機構の前上方斜視図であり、この機構は、4つの連結部を有する。
【
図26】オフセットベースおよび取付ジョイントを備えた機構が潰れた状態にある様子の上方前方斜視図である。
【
図30】中間ジョイントのアームがベースおよび取付ジョイントからオフセットされた機構の実施形態の斜視図である。
【0157】
上記図を参照して、図中、類似の特徴は類似の符号によって示す。本発明の第1の態様による係留ロボットを、主に参照符号1によって示す。一般的に連結部(複数可)について述べる際、「9」という表記を用いる。本明細書において連結部9の特徴について述べる際、明確さのため、第1の連結部100の表記が用いられる。第1の連結部を参照符号100によって示し、第2の連結部を参照符号200によって示す。一般的に、これらの連結部は、相互に同一である。しかし、いくつかの実施形態において、これらの連結部は、相互に異なる。これらのフィーチャは、各フィーチャに200」または「300」の表記が付記されている点(すなわち、第1の連結部100のベースアーム110、第2の連結部200のベースアーム210)以外は、第2の連結部200および第3の連結部などの上において概して同じである。
【0158】
本発明によれば、係留ロボット1が提供される。この係留ロボット1は、ターミナル4(例えば、ドック、波止場、埠頭、ポンツーン、浮遊構造、沖合構造または別の船舶)に対する船舶2の係留および/または接続、係合、防舷または連結を行うのに適している。係留ロボット1は、接近してくる船舶2防舷、係留または係合相手として防舷、係留または係合する目的のために用いられる。
【0159】
典型的には、係留ロボット1は、ベース500と、伸長機構8とを含む。伸長機構8は、ベース500から独立し、ベース500から遠隔にある遠位領域10における要素を支持する。この要素は、(後述する)防舷型要素701または取付要素300として構成され得る。先ず取付要素300について説明するが、下記の記載のほとんどは、防舷要素701にも関連し得る。
【0160】
取付要素300は、係合要素310(例えば、少なくとも1つの真空パッド311または係合要素310)を連結部9の遠位端10に含む。伸長機構8は、(真空パッド311が船舶2と係合するまで)真空パッド311を係留対象となる船舶2へ伸長させるために用いられる。その後、真空パッド311は船舶2の側部3上に吸引されて、船舶2はターミナル4に固定され、これにより係留される。真空パッド311は、(矢印Yとして示すような)横/横揺方向の伸長範囲内において伸長機構8によって移動可能である。真空パッド311は、2つのさらなる次元XおよびZにおいてスライド機構320および/または可動配置構成600によっても任意選択的に移動し得、ここで、Xは、ドック4に沿った縦方向/サージ方向であり、Zは、垂直/ヒーブ方向である。
【0161】
伸長機構8は、サラス機構の一部を形成する。サラス機構は、ベース500、伸長機構8および取付要素300によって形成される。このサラス機構により、取付要素300がベース500から線状に横方向に横揺方向Yに伸長することが可能になる。取付要素300の重量は、伸長機構8によってほとんど全体的にまたは全体的に支持される。サラス機構8または機構8は、係留のために用いてもよいし、あるいは、船舶に対する防舷として機能してもよい。
【0162】
伸長機構8は、2つ以上の連結部9を含む。これらの連結部9は、ベース500および取付要素300双方へ旋回可能に接続される。取付要素の重量300の自己支持のために必要とされる連結部9の数は、少なくとも2つである。2つよりも多数の連結部9が設けられ得、3つの連結部9による伸長機構8を
図13に示す。本明細書の大部分における記載は、2つの連結部9を備えた伸長機構8に主に基づく。しかし、当業者であれば、動作上の理由のために、伸長機構8を(2つよりも多数の連結部9を有するように)変更することができることが企図される。
【0163】
一実施形態において、連結部100は、2つのアームと、ベースアーム110と、取付アーム120とを含む。ベースアーム110はそれぞれ、ベース500から独立し、各ベース回転軸131を有するベースジョイント130によってベース500へ旋回可能に接続される。取付アーム120は、各取付回転軸151を有する取付ジョイント150において取付要素300へ旋回可能に接続される。ベースアーム110および取付アーム120は、中間回転軸141を有する中間ジョイント140において旋回可能に相互に接続される。各ジョイント(すなわち、ベースジョイント130、中間ジョイント140および取付ジョイント150)により、その各フィーチャ間の旋回可能な動きが可能になる(例えば、ベース500からベースアーム110への旋回可能な動き、ベースアーム110から取付アーム120への旋回可能な動き、取付アーム120から取付要素300への旋回可能な動き)。各ジョイント130、140および150は、連結部9の3つのジョイントとしても記述され得る。
【0164】
取付要素300は、可動配置構成400によって横方向Yに伸長および退避させることが可能である。いくつかの実施形態において、可動配置構成400は、受動型または能動型の可動配置構成である。受動型の可動配置構成の一例として、ゴムダンバーまたは同様の弾性手段や、あるいは取付要素300を伸長機構8の構成に応じて伸長または退避させるための重力の利用がある。被駆動作動型の配置構成401を
図3に示す。一実施形態において、被駆動作動型の配置構成401は、油圧アクチュエータ402を含む。油圧アクチュエータ402が作動すると、(伸長機構8を同じ方向に伸長させることにより)取付要素300は横方向Yに伸長し得る。同様に、油圧アクチュエータ402は作動して退避し得るため、取付要素300は横方向Yに退避し得る。
【0165】
好適には、取付要素300は、伸長機構8によってヒーブ方向Zに完全に支持される。好適には、伸長機構8は、連結部9および取付要素300の重量を支持する必要は無い。一実施形態において、油圧アクチュエータ402は、力の提供を横方向Yのみにおいて行い得、連結部9または取付要素300の重量をヒーブ方向Zにおいて全くとらない。
【0166】
ベース500と、取付要素300と、両者の間に延びる伸長機構8との組み合わせにより、サラス連結部/機構が形成される。サラス連結部の利点として、伸長機構により取付要素300を完全に支持することができる点がある。サラス連結部のさらなる利点として、伸長機構8が伸長することが可能な距離よりも退避することが可能な距離の方が短い点がある。これにより、取付要素300の引き込みおよび伸長の距離が大きくなる。さらに、伸長機構8は退避時において極めて小型になるため、伸長機構8の退避により、ドック上における係留ロボット1の専有面積が小さいという利点が得られる。理解されるように、サラス連結部は、複数の構成の連結部9を有する。
【0167】
好適な実施形態においては、2つの連結部機構9を用いているが、3つの連結部9の伸長機構8も
図13に示す。空間上の制約、製造コスト、材料進化、重量要求、動作力および/または組み立て技術の変更が必要になった場合、その他の連結部構成の実行可能性が(連結部の数および連結部の方向付け双方において)増減し得る。
【0168】
2つの連結部9の伸長機構8の使用を、主に
図1~
図12に示す。2つの連結部9の伸長機構8は、複数の異なる方向付けにおいて方向付けられた連結部9を有し得る。さらに、これらの異なる方向付けの伸長機構8は、可動配置構成400の異なる構成によって移動され得る。
【0169】
伸長機構8の1つの構成として、
図11および
図12に示すような直交構成がある。直交構成において、第1の連結部100の回転ジョイント軸は、第2の連結部200の回転ジョイント軸に直交する。すなわち、第1の連結部100は、第2の連結部200に対して直角である。さらに、連結部の9本のジョイント回転軸のうち少なくとも1本は実質的に垂直であり、かつ/または、連結部のジョイント回転軸のうち少なくとも1つは実質的に水平である。
【0170】
伸長機構8の別の構成として、少なくとも
図3に示すような対角構成がある。この対角構成において、ジョイント回転軸は、互に角度Aを形成していることが分かる。角度Aは、90°であってもよいし、あるいは180°未満(例えば、175度)であってもよい。さらに、連結部9のうち1つのジョイント回転軸は、垂直または水平ではない。さらに、水平方向からの回転軸間の角度は、双方の連結部について同等である。すなわち、連結部9は、相互に対称に方向付けられる。すなわち、連結部9は、横揺方向Yに対して直交方向の中間平面の周囲において相互に鏡となる。連結部9間の角度について記載がある場合、類似のジョイント間における比較を一般的に指す(例えば、上記角度は、第1の連結部100の中間回転軸141と第2の連結部200の中間回転軸241との間のものであり得る)。
【0171】
連結部9の他の可能な方向付けとして、「n」型方向付けおよび「v」型方向付け(簡単に言うと、連結部9が退避時において上方に屈曲するかまたは下方に屈曲するか)がある。例えば、
図1に示すのは2つのv型連結部であり、各連結部は想像上のVを構成しているため、下方を向いている。退避時において、中間ジョイントは、ベースジョイントおよびアームジョイントに相対して上方に移動する。
図11および
図12は、単一の第2の連結部200のv型方向付けを示す。あるいは、連結部は、
図10に示すように上方を向く想像上のn字を構成し得、その場合、連結部200は上方に屈曲される。n型の方向付けにおいては、退避時において中間ジョイントは、ベースジョイントおよびアームジョイントに相対して下方に移動する。n型方向付けとv型方向付けとの間の変化は伸長機構が重力下において伸長または退避する際の付勢に影響を与える。すなわち、中間ジョイントが重力に起因して下方に移動しようとする方向が、好ましい移動方向となる。すなわち、n型構成の場合、伸長機構は重力と共に伸長しようとし、v型方向付けの場合、伸長機構は、重力と共に退避しようとする。
【0172】
連結部9が対角方向付けにおいて配置される場合、これらの連結部9は、W型構成またはM型構成としてさらに配置され得る。
【0173】
W型方向付けにおいて、2つの隣接する中間ジョイント140および240(またはベースジョイントまたは取付ジョイント)の中間回転軸141および241は、相互に上方に伸長する。例えば、
図3および
図16において、収束および交差する中間回転軸141および241は、想像上の形状は、相互に交差し、上方を向く。このW構成により、ジョイントピンへのアクセスがより容易になるという恩恵が得られる。
【0174】
図15において、中間回転軸141および241of2つの隣接する中間ジョイント140および240(あるいはベースジョイントまたは取付ジョイント)は、「M」字の内部形状のように、下方に相互に伸長する。このM構成の場合、いくつかの恩恵がある(例えば、可動配置構成400の中央に配置されたダイレクトドライブへのアクセス向上および中間ジョイントのより密接なグルーピング)。
【0175】
対角方向付けにおいて、好適には、2つの中間回転軸141と中間回転軸241との間の角度Aは、0度よりも大きくかつ180度よりも小さい。好適には、2つの中間回転軸141および241間の角度Aは、40度~150度である。好適には、2つの中間回転軸141および241間の角度Aは、90度~130度である。好適には、2つの中間回転軸141および241間の角度Aは100度であり、これはこの構成の他の角度と比較して応力値が低いことが多いため、100°の角度はM字型構成にとって良好であることが判明した。好適には、2つの中間回転軸141および241間の角度Aは120度であり、これはこの構成の他の角度と比較して応力値が低いことが多いため、120°の角度はW字型構成にとって概ね良好であることが判明した。
【0176】
動作負荷に応じて、連結部間の角度Aを(製造の間)動作負荷に対する角度Aの有効性を最大にするように調節することができる。例えば、対角方向付けの伸長機構の場合、X方向におけるサージ負荷が高くなりそうな場合、角度Aを増加させることができるため、これらのX方向サージ負荷に対するより有効な抵抗が得られる。Z方向における負荷が高い場合、より小さな角度Aが用いられる。アーム内の応力の分析およびコンピュータモデリングを用いて、具体的形状のアームの最適な角度、具体的形状の連結部、連結部の方向付けおよび共通動作負荷が決定される。
【0177】
要約すると、下記の表は、可能な2つの連結部伸長機構構成のうちいくつかを示す。これらの構成および方向付けは、2つよりも多い連結部を備えた伸長機構にも適用され得る。
【0178】
3つのジョイント(ベースジョイント130、中間ジョイント140および取付ジョイント150を含むジョイント)は好適には、単一軸の回転ジョイントである(すなわち、回転ジョイントとして機能する)。これらのジョイントは、単一の回転軸を有する限り、多数の配置構成において配置することが可能である。これらのジョイントは好適には、ピンアンドホール型ジョイントである。例えば、第2の連結部上のベースジョイント230は、
図3に示すようにピン232およびホール233を有する。第1の連結部100のホール133は、
図3中により容易に示され得る。他の種類のジョイントが、用いられ得る。例えば、長細円筒型ソケットが、取付アームの遠位端中に形成され、相補型円筒型形成が、ベースアームの遠位端中に形成されたソケット内においてスライドする(図示せず)。これらのジョイントは、単一軸の回転ジョイントを共に形成する複数の多回転軸ジョイントから形成され得る。例えば、ジョイントは、2つの多軸回転球と、1つのアームの端部へ取り付けられたソケットジョイントとにより形成され得、自由度の制限に起因して、単一軸のみにおいて回転し得る。
【0179】
好適には、1つの連結部のジョイントの回転軸131、141および151は全て、相互に平行である。好適には、これは、伸長機構の各連結部に当てはまる。そのため、連結部9が、取付要素300、伸長機構8およびベース500によって形成されたサラス機構の一部として機能することが可能になる。
【0180】
好適には、中間ジョイントの最大回転角度は180度であり、そのような実施形態において、アームは入れ子状にしてもよいし、あるいは双方が遠位端において伸長を有してもよい(例えば、
図9に示すアーム)。アームが直線上であり、ジョイント軸がアーム端部に配置されている場合、回転角度は、180度未満であり得る。
【0181】
好適には、連結部9は、過度に伸長することもセンターを越えることもできないとよい。完全伸長状態の一例として、ベース回転軸および取付回転軸双方が相互に離隔したときの両者間の距離が最大になったときがある。過度に伸長した状態として、アームが完全伸長位置を過ぎて回転し続ける状態がある。過度の伸長の例として、(ベース回転軸および取付回転軸双方が相互に既に最大距離だけ離隔した後に)中間軸が伸長時と同じ方向に移動し続ける状態がある。完全伸長距離は、アームの合計長さであり、この長さは、
図17Aおよび
図17Bに示すように回転軸間にある。最小退避距離は、
図17Cおよび
図17Dに示すように、アームの厚さtである。
【0182】
ベースアーム110および取付アーム120が完全伸長位置まで伸長すると、好適にはこれ以上同一方向に相互に旋回することができなくなる。各連結部は、これを行う限界を各中間ジョイントにおいて有し得る。代替的にまたは追加的に、ベースアーム110または取付アーム120は、各アームが相互に180°通過することを回避する停止部を含む。代替的にまたは追加的に、可動配置構成400は、(可動配置構成400が特定の距離を超えて伸長することができなくなるかまたは伸長しなくなる)限界を含み得、これにより、アームが180°を超えて相互に近接または離隔する事態が回避される。すなわち、油圧アクチュエータのストロークは、アームを完全伸長させるために必要なストロークよりも小さくされ得る。
【0183】
上記との組み合わせにおいて、伸長機構8は、連結部9の重量および取付要素300の協働によりアームの過度の伸長が回避されるような構成にされ得る。v字型において、アーム重量は、アームの過度の伸長を回避するように機能し、油圧アクチュエータが故障した場合または作動力がゼロになった場合、伸長機構は、重力に起因して自己退避する。
【0184】
一実施形態において、ジョイントの回転軸131および141は全て、垂直面上にある。好適には、類似の/共通のジョイント(例えば、ベースジョイント130およびベースジョイント230)は、各回転軸を同一面上に有する。同様に、これは、中間ジョイント140および240ならびに取付ジョイント150および250に当てはまる。好適には、隣接連結部間の各類似の(共通の)ジョイントは、(伸長機構が水平横方向に伸長するために用いられる)同一垂直面上に回転軸を有する。同一面上に角度と共に設けられているため、類似の/共通の回転軸は、1点において交差する。
【0185】
他の実施形態において、
図26~
図29に示す1つのこのような実施形態において、1つのベースアームの回転軸131は、第2のベースアームの回転軸231と同じ垂直面上に設けられていない。そのため、ベースジョイント130およびベースジョイント230ならびに/あるいは取付ジョイント150および250の各回転軸は、相互にオフセットされる。この様子は、
図29の平面図から最も容易に分かる。
図29に示すのは、伸長機構8が伸長しており、2つの連結部が相互に90度において設けられ、オフセットされたベースジョイントおよび取付ジョイントを有する様子である。ピボットポイントが同一面から外れているため、これらのアームの重複が可能になり、よりコンパクトな設計に繋がる。
【0186】
連結部9のアームは典型的には、相互に同じ長さである。すなわち、ベース旋回軸131と中間旋回軸141との間の距離は、中間旋回軸141と取付旋回軸141との間の距離に等しい。しかし、連結部間の各アーム(すなわち、ベースアーム110およびベース210)は、常に同じ長さである(
図17に示すようなL)。これらのアームが分離状態にある様子を
図17A~
図17Dに示す。
図7Aおよび
図7Cは、取付アーム120の平面図および側面図であり、
図17Bおよび
図17Cは、ベースアーム110の平面図および側面図である。いくつかの実施形態において、連結部9のアームは、相互に同じ長さではなく、取付アーム120の一例がベースアーム110よりも長い様子を
図18Aおよび
図18Bに示す。
図18Bは、異なる長さのアームが退避位置にある様子を示し、同図において、ベースアーム110は実質的に垂直であり、取付アーム120は垂直方向から外れているが、取付ジョイントおよびベースジョイントは、相互に実質的に水平である。異なる長さのアームは、特定の空間上の制約またはアクセス上の制約が避けられない場合またはアームおよび駆動機構をさらに入れ子状にする必要が有る場合において用いられ得る。
【0187】
他の実施形態において、1つの連結部のアームは異なる長さを有するため、(例えば、連結部のベースジョイントが水平であった場合に)取付ジョイントはベースジョイントの上方または下方に来る。伸長機構を作動させるためには、他のアーム(2つの連結部のサラスがあり、他方のアームが第1のアームに対して90度で設けられると仮定する)が捩れて、各ベースジョイントが取付ジョイントそれぞれの上方または下方に来る。換言すると、連結部の取付ジョイントの回転軸は、回転軸ベースジョイントの回転軸に沿って方向においてオフセットされる。ピボットポイントのオフセットにより、(連結部の片方または双方の)アームを重複させることが可能になり、よりコンパクトな設計に繋がる。
【0188】
例えば
図30および
図31に示すさらなる実施形態において、中間ジョイント140は、取付ジョイントおよびベースジョイントと比較して回転軸方向においてオフセットされる。中間ジョイント140をオフセットさせるには、双方のアームの捩れ、歪みまたは角度付けが必要になる。ピボットポイントのオフセットにより、(連結部のいずれかまたは双方の)これらのアームが重複し、これによりよりコンパクトな設計に繋がる。これらのアームは、隣接する連結部の入れ子状配置の向上のためにカットアウトまたは凹部1000を有し得るため、よりコンパクトな退避設計に繋がる。
【0189】
上記の変更例および実施形態は、本発明の範囲内にあるものとみなされ、本明細書中に記載のその他の設計および構成の多くに適用可能である。
【0190】
一実施形態において、取付アーム120およびベースアーム110の片方または双方は、L字型形状のフィーチャ123を有する。このL字型形状のフィーチャ123は、
図5Aおよび
図17Cおよび
図1717D中に最小に示され、ここで、少なくとも取付アーム120は、中間軸141に接近する方向に延びる曲線状フィーチャを有する。L字型形状123は、必ずしもL字型形状ではなく、少なくともアームの細長長さから概して曲線またはオフセットを有する。L字型形状123により、取付アーム120を折り畳んで、ベースアーム110のより近隣において入れ子状に配置することが可能になる。これにより、連結部100の折り畳みをよりコンパクトにすることができる。一実施形態において、取付アーム120は、ベースアーム110に隣接するように構成された隣接面124を含む。隣接面124は、ベースアーム110上の類似の面に対して同一平面上に隣接し得る。この隣接面124は、停止部として機能し得るため、過度の力が取付要素300上に付加された場合、この力は、(中間ジョイント140を通じてではなく)隣接面124を通じて駆動される。L字型形状123は、取付アーム120またはベースアーム110のいずれかまたは双方に配置され得る。L字型形状123により、アームが相互に180°伸長すると、L字形状が若干捩れるため、完全な直線ではなくなる。当業者であれば、類似の構成を可能にするジョイントを用いれば、L字型形状123無しにアームを相互にコンパクトに折り畳む方法は他に多数存在することを理解する。すなわち、中間ジョイントピン142が、取付アーム120およびベースアーム110双方の間にドアヒンジのように直接設けられる。それぞれ類似のL字型形状123を備えた対称なアームの一例を
図17Cおよび
図17Dに示す。ここで、(アームが相互に係合しているときの)中間ジョイント140は、2つのアームの中間に設けられる。
【0191】
取付要素300は、支持され、連結部9から独立する。取付要素300は、複数のサブ要素(例えば、係合要素310)を含み得る。係合要素310は、船舶2と係合するように構成される。係合要素310は、船舶2の表面または他のフィーチャと係合するように構成される。好適には、係合要素310は、真空パッド、真空カップ(複数可)、フックデバイス、弾性防舷、磁気接続、流体輸送接続、充電接続、または船舶と解放可能に係合するように構成された他の係合フィーチャ2から選択された1つ以上である。真空パッド311を
図1に示す。真空パッド311は、
図2に示すように船舶2の表面21と係合するように構成され得る。真空パッドまたは係合要素は、当該分野において主に周知である。
【0192】
取付要素300は、スライド機構320をさらに含み得る。スライド機構320により、係合要素310が複数の方向に移動して船舶をドックに相対して移動させることが(係合要素310との係合解除の必要無しに)可能になる。好適には、スライド機構320により、
図2に示すように係合要素310がサージX方向およびヒーブZ方向双方に移動することが可能になる。スライド機構320も、当該分野において概して公知である。スライド機構320が存在する場合、連結部9は、スライド機構320へ取り付けられる。
【0193】
一実施形態において、取付要素300は、船舶2との係合に用いられる。このような係合は、船舶2の締結に用いられるのではなく、船舶2と係合して動力または流体を移動させるために用いられ得る。いくつかの実施形態において、取付要素300は、船舶2に対する締結と、船舶2への接続の係合との双方を行い得る。(伸長機構8によって支持されているときに)取付要素300をベース500から伸長および退避させる方法が、複数存在する。
【0194】
取付要素300は、フレーム330をさらに含み得る。フレーム330は、(連結部9をスライド機構320へ直接接続させるのではなく)連結部9へ接続するように構成される。フレーム330により、連結部9の取付要素300への取付が容易になる。フレーム330と係合要素310との間の中間において、スライド機構320が設けられる。
【0195】
好適には、スライド機構320は、係合要素310がベースに対して上昇および下降(すなわち、上下方向またはヒーブ方向Z)することを可能にするように構成された実質的に垂直な細長ガイド321、および係合要素310がベース500に対して縦方向(すなわち、前後/サージ方向X)に移動することを可能にするように構成された実質的に水平な細長ガイド322から選択された少なくとも1つを含む。
【0196】
いくつかの実施形態において、スライド機構320により、係合要素310の受動的動きが可能になる。一方、他の実施形態において、スライド機構320により、
図14に示すような係合要素310の動力による動きが可能になる。好適には、可動配置構成400は、ベース500と、フレーム330との間に係合される。
【0197】
さらなる実施形態において、スライド機構320は、係合要素310が1つ以上の軸において平行移動および回転のうち片方または双方を行うことを可能にする弾性手段を含む(例えば、ゴムダンバー、バネまたは防舷)。これは、垂直および水平のスライド動きと組み合わされ得る。
【0198】
いくつかの実施形態において、横方向に作用する取付要素300上への衝撃の吸収または力への抵抗を行い得る受動型の可動配置構成(図示せず)が設けられ得る。すなわち、係留ロボットは、ダンパーとして機能し得る。しかし、他の実施形態において、可動配置構成は、能動型可動配置構成400である。
【0199】
一実施形態において、能動型可動配置構成400は、被駆動作動型の配置構成401である。被駆動作動型の配置構成401は、油圧アクチュエータ402、電気アクチュエータ、チェーン駆動システムおよびベルト駆動システムから選択された1つ以上を含む。
【0200】
可動配置構成400は、(ダイレクトドライブ構成として公知である)ベース500と取付要素300との間に伸長し得る。ダイレクトドライブ構成の例を
図1、
図3、
図4~
図8に示す。
【0201】
あるいは、ダイレクトドライブ構成との組み合わせとして、可動配置構成400は、取付アーム120とベース500との間にも延びる。この配置構成において、可動配置構成は、トライセップドライブ構成として公知である。可動配置構成は、伸長122から取付アーム120またはベースアーム110から伸長し、可動配置構成の他方の端部は、ベース500に相対して旋回可能に固定され、その一例を
図11、
図12および
図14に示す。
【0202】
一実施形態において、伸長122は、
図11および
図12に示すように、取付アーム120の遠位端121から(中間ジョイント140へ)伸長して、可動配置構成400を旋回可能に接続させるためのレバーとして機能する。
【0203】
一実施形態において、伸長122は、
図14に示すように、ベースアーム110近位端111から伸長する。これにより、可動配置構成400がベース500とベースアーム110上に配置された伸長122との間に伸長することが可能になる。
【0204】
トライセップドライブ構成は、ダイレクトドライブ構成と比較して高い撓みおよびピン負荷を有し得る。
【0205】
伸長222と、関連付けられた可動配置構成400とは、1つ以上の連結部9上に設けられ得る。トライセップドライブ構成が1つの連結部のみに設けられた様子を
図14に示す。
【0206】
可動配置構成400
【0207】
可動配置構成400の構成は、構成の種類および連結部9の駆動に依存する。例えば、W方向付け伸長機構8は、トライセップドライブ構成可動配置構成400用の空間が無いため、トライセップドライブ構成の使用は不可能である。一般的に、対角の実施形態において、ダイレクトドライブ構成が用いられる。しかし、
図9に示すのは、トライセップドライブを用いた対角の実施形態の例である。
【0208】
一実施形態において、可動配置構成400は、1つ以上の油圧アクチュエータ402と、関連付けられたフィーチャ(例えば、旋回ジョイント)である。一実施形態において、油圧アクチュエータまたはアクチュエータ402は、トライセップドライブ構成内の1つ以上の連結部上の単一の油圧アクチュエータ402である。油圧アクチュエータ402は、伸長122と、ベース500との間に伸長する。ダイレクトドライブ構成において、油圧アクチュエータ402は、ベース500と、取付要素300との間に伸長する。好適な実施形態において、ダイレクトドライブ構成は、
図7および
図8に示すような複合油圧アクチュエータである。複合油圧アクチュエータ402により、移動範囲の拡大が可能になる。
図8aに示すのは、複合油圧アクチュエータ402が伸長位置にある様子であり、
図8bに示すのは、複合油圧アクチュエータ402および退避位置である。
図6aおよび
図6bは、係留ロボット1の中間平面を通じた断面図であり、可動配置構成400が伸長位置および退避位置それぞれにある様子を強調表示している。
【0209】
好適には、上記したような可動配置構成400は、垂直方向Zにおいては取付要素300の重量を全く支持しない。好適には、可動配置構成400は、取付要素300の重量を支持するフィーチャへ旋回可能に接続される。しかし、他の実施形態において、可動配置構成400は、一例としての回転駆動実施形態において、連結部9または可動配置構成400のいずれかの一定の重量を支持し得る。可動配置構成400によって支持される重量は、取付要素300および連結部9の重量全体と比較して最小である。
【0210】
さらなる実施形態において、可動配置構成400は、回転駆動装置(図示せず)を被駆動作動型の配置構成401として含み得る。これらの回転駆動装置は、電気モータまたは油圧モータであり得、1つ以上の連結部の1つ以上のジョイント9に配置される。一実施形態において、回転駆動装置は、ジョイントを作動させるロータリースプラインを回転させるように構成された油圧シリンダを含む。
【0211】
一実施形態において、回転駆動装置は、中間ジョイント140に配置される油圧モータであり、ベースアーム110と取付アーム120との間の相対運動を駆動する。いくつかの実施形態において、1つの連結部の3つのジョイント全てにおいて、回転駆動装置が配置される。例えば、他の実施形態において、ベースジョイント130および230において、回転駆動装置が2つの連結部9に設けられる、動き配置構成により可能な構成が、多数存在する。
【0212】
さらなる実施形態において、可動配置構成400は、上記被駆動作動型の配置構成のうち1つ以上を含み得る(例えば、トライセップドライブ、ダイレクトドライブおよび回転駆動装置から選択された1つ以上)。例えば、一実施形態において、係留ロボット1は、トライセップドライブおよび回転駆動装置を含む。完全退避構成においては、連結部または伸長機構を伸長させるためにトライセップドライブを作動させるためのてこの力が最小であることに起因して、極めて大きな力が必要になり得る。この場合、回転駆動装置が作動されて伸長機構8の伸長を開始させ、より大きなてこの力が利用可能となった後、トライセップドライブは、伸長機構8の伸長を支援するかまたは引き継ぐ。
【0213】
ベース
【0214】
ベース500は、連結部9およびその結果取付要素300を支持するように概して配置される。ベース500は、ドックまたは第2の船舶2へ取り付けられるように構成された足部511を含む。この取付は、ボルト止め接続または類似の恒久的接続または別の機械的取付を介して行われ得る。
【0215】
いくつかの実施形態において、ベース500は、ドック2上の移動可能な配置構成600または他の任意の類似の構造(例えば、沖合構造)へ取り付けられる。移動可能な配置構成600により、ベース500は、ドック2に相対して移動することができる。例えば、移動可能な配置構成600により、ベース500は、サージ方向Xにおいてドック2に沿って横方向に移動することができ得る。他の配置構成においてまたは組み合わせにおいて、
図19に示すような移動可能な配置構成600により、ベース500は、ヒーブ方向Zにおいて垂直方向に移動し得る。移動可能な配置構成600は、1組のスライダーまたはレールであり得る。
【0216】
ベース500は、例えばドック2の側部へ垂直方向に取り付けられ得る。ベース500は、ドック2または沖合構造の側部上の垂直レール上へ係合され得る。移動可能な配置構成600により、取付要素300に配置された可動配置構成400は、移動可能な配置構成600によって可能となる自由度を取り入れるように変更され得る。例えば、移動可能な配置構成600によって一定の垂直動きが可能になる場合、可動配置構成400は、大量の垂直動きも必要とせず、垂直動きを必要としなくなり得る。
【0217】
本発明による専有面積が小さなベース500により、ベース500と、
図19に示すようなレールシステム600との係合が可能になる。ベース500が垂直レールシステム600へ係合される実施形態において、係留ロボット1全体が90°だけ回転され得るため、それほど幅広にならず、比較的幅狭のレールシステム上にフィットし得る。このような実施形態において、真空パッドは、図示のような同一の方向付けにされ得るが、フレーム330、連結部9およびベース500は全て、横揺方向Yに延びる水平軸周囲のいずれかの方向において90°だけ回転されている。ジョイント間の角度Aは、(相互およびドックに対する連結部の方向付けを介して)調節され得るため、適切な負荷応力が係留ロボットを通じて得られる。
【0218】
防舷
【0219】
いくつかの実施形態において、係留ロボット1は、防舷700としてのみの機能を行う。このような実施形態において、要素300は、船舶と解放可能に係合することはできないが、船舶と接触するだけとなる。防舷700の実施形態において、要素300は、取付フィーチャを含まないが、単に大きな表面(例えば、接触表面703)となり、船舶表面と接触可能となる。防舷700は、防舷要素701およびエネルギー吸収要素702を含み、本明細書中に記載のような機構8を用いる。
【0220】
係留ロボット1についての上記の記載の大部分は、本明細書中に記載の機構8を用いた本発明の防舷に類似する。機構8は、少なくとも2つの連結部を含む。連結部の回転軸は、相互に角度付けされるか、または、少なくとも相互に平行にされない。
【0221】
防舷700のエネルギー吸収要素702は、係留ロボット1内の可動配置構成に相当する。この類似例に従うと、可動配置構成の位置などについての上記の記載は、エネルギー吸収要素702に相当する。エネルギー吸収要素702は好適には、防舷700および防舷要素701の中央に配置される。
【0222】
防舷要素または取付要素は、防舷要素または取付要素が横方向ベースへ接近およびベースから離隔する方向において横方向に出入りする際に、直線経路をたどる。これは、平行運動防舷と呼ばれる。防舷要素701の接触面703は、ドック4、岸壁または第2の船舶に対して平行のまま保持されることが可能である。防舷要素701の経路は、直線または直線経路をたどるものとして記述され得る。ここで、直線経路は線状である。好適には、直線経路は、係留ロボットの場合と同様に防舷700がドックまたは岸壁へ取り付けられている場合に、水平である。直線経路は、回転ジョイントの回転軸のいずれかに対して直交するものとして記述され得る。要素の動きを直線経路とすることにより、エネルギー吸収要素702における剪断または角度歪みの発生が回避または少なくとも低減される。例えば、防舷要素701が船舶に対して角度と共に設けられている場合、エネルギー吸収要素702の定格応答の低減が必要になる。直線経路により、エネルギー吸収要素702の寿命の増加に繋がり得る。
【0223】
先行技術の防舷においては、単一アームが用いられ得、これらの単一アームは極めて長尺であり得るため、アーム端部において防舷要素によって記述される弧形状が、直線経路をたどった様態で出現し得る。これらの防舷の場合、平行運動の出現のための大直径の弧形状を達成するために必要な長尺アームに起因して、専有面積が大きくなる。
【0224】
防舷700または係留ロボット1は、直線経路の維持のためのベクトル化制御を用いたシステムを含まない。直線経路は、機構のジオメトリによって決定される。
【0225】
要素/連結部の動きは、防舷要素701による船舶からの衝撃(動きの付与)に起因する。
【0226】
エネルギー吸収要素702は、近位端704および遠位端705を含み、近位端704は、ドック、第2の船舶またはベースへ抑制され、遠位端705は、1つ以上の連結部100および200へ抑制されるかまたは要素701および/または要素701に接近する方向へ抑制される。
【0227】
一実施形態において、エネルギー吸収要素は、要素の重量を少なくとも部分的に支持する。しかし、いくつかの実施形態において、機構は、防舷要素を全体的に支持しかつ/または遠位端705も全体的に支持する。
【0228】
一実施形態において、機構は、要素が船舶からの衝撃を受けた場合に、エネルギー吸収要素における剪断動きに耐える。
【0229】
一実施形態において、機構は、エネルギー吸収要素の遠位端の垂直動きに耐える。
【0230】
請求項12に記載のような機構において、可動配置構成は、受動型の作動配置構成であり、要素を横方向において受動的に駆動するように構成される。
【0231】
請求項14に記載のような機構において、可動配置構成は減勢装置であり、かつ/または、減勢装置は、ゴムアブソーバ、油圧アブソーバおよび発泡体アブソーバから選択された1つ以上である。
【0232】
当業者であれば、ベースジョイント130は、ベース500と部分的に一体的に形成または接続され得ることを理解する。同様に、取付ジョイント150の部分は、取付要素300に対して一体的に形成または接続され得る。
【0233】
ベース500、連結部9およびフレーム330は、概して金属製である。アームは、これらのアームは、恐らくは鋳造される。
【0234】
上記記載において、要素または既知の同等物を有する整数について言及する場合、そのような同等物は、あたかも個別に記載されているかのように含まれるものとする。
【0235】
本発明について、例示目的のために特定の実施形態を参照して述べてきたが、本発明の範囲または意図から逸脱すること無く変更および/または向上が可能となり得ることが理解される。