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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】演算装置、および演算方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/26 20060101AFI20241211BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B41F15/26 A
H05K3/34 505D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022551509
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2020036176
(87)【国際公開番号】W WO2022064625
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 敦志
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-191432(JP,A)
【文献】特開2009-115622(JP,A)
【文献】特開2020-034619(JP,A)
【文献】国際公開第2009/122529(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/113825(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/00 - 15/46
G03F 7/20 - 7/24
G03F 9/00 - 9/02
G01B 11/00 - 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とマスクとの一方に、長方形の頂点に位置するように配置された4つのマークが記されており、前記4つのマークのうちの第1のマークと第2のマークとを結ぶ線と前記4つのマークのうちの第3のマークと第4のマークとを結ぶ線とが直交し、基板とマスクとの他方に、第5のマークが記されている場合に、
それら5つのマークが露出し、前記第5のマークが前記4つのマークの中心に位置するように重ねられた基板とマスクとの撮像データを利用して、前記第1のマークと前記第2のマーク、若しくは、前記第3のマークと前記第4のマークに基づいて、前記撮像データに基づく画像の傾きを演算し、前記第1のマークと前記第2のマークとの並ぶ方向での単位画素当たりの距離と前記第3のマークと前記第4のマークとの並ぶ方向での単位画素当たりの距離とに基づいて、前記画像を撮像したカメラの光軸のズレにより生じた画素数の差を補正した上で、前記4つのマークの中心と前記第5のマークとの位置ズレ量を演算する演算装置。
【請求項2】
前記第1のマークと前記第2のマークと前記第3のマークとは同じ形状であり、前記第4のマークは前記第1のマークと前記第2のマークと前記第3のマークと異なる形状である場合に、
前記撮像データでの前記第4のマークの位置に基づいて、前記撮像データに基づく画像の向きを演算する請求項1に記載の演算装置。
【請求項3】
基板とマスクとの一方に、前記4つのマークが2組、記されており、基板とマスクとの他方に、前記第5のマークが2個、記されている場合に、
前記2組の4つのマークのうちの一方の4つのマークの中心と、前記2個の第5のマークのうちの一方の第5のマークとの位置ズレ量と、前記2組の4つのマークのうちの他方の4つのマークの中心と、前記2個の第5のマークのうちの他方の第5のマークとの位置ズレ量とに基づいて、基板とマスクとの回転角度を演算する請求項1または請求項2に記載の演算装置。
【請求項4】
基板とマスクとの一方に、長方形の頂点に位置するように配置された4つのマークが記されており、前記4つのマークのうちの第1のマークと第2のマークとを結ぶ線と前記4つのマークのうちの第3のマークと第4のマークとを結ぶ線とが直交し、基板とマスクとの他方に、第5のマークが記されている場合に、
それら5つのマークが露出し、前記第5のマークが前記4つのマークの中心に位置するように重ねられた基板とマスクとの撮像データを利用して、前記第1のマークと前記第2のマーク、若しくは、前記第3のマークと前記第4のマークに基づいて、前記撮像データに基づく画像の傾きを演算し、前記第1のマークと前記第2のマークとの並ぶ方向での単位画素当たりの距離と前記第3のマークと前記第4のマークとの並ぶ方向での単位画素当たりの距離とに基づいて、前記画像を撮像したカメラの光軸のズレにより生じた画素数の差を補正した上で、前記4つのマークの中心と前記第5のマークとの位置ズレ量を演算する演算方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板とマスクとの位置ズレを演算する演算装置および、演算方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板にクリームはんだ等を印刷する印刷機では、下記特許に記載されているように、基板とマスクとが版合わせされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-018122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、基板とマスクとを正確に版合わせすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、基板とマスクとの一方に、長方形の頂点に位置するように配置された4つのマークが記されており、前記4つのマークのうちの第1のマークと第2のマークとを結ぶ線と前記4つのマークのうちの第3のマークと第4のマークとを結ぶ線とが直交し、基板とマスクとの他方に、第5のマークが記されている場合に、それら5つのマークが露出し、前記第5のマークが前記4つのマークの中心に位置するように重ねられた基板とマスクとの撮像データを利用して、前記第1のマークと前記第2のマーク、若しくは、前記第3のマークと前記第4のマークに基づいて、前記撮像データに基づく画像の傾きを演算し、前記第1のマークと前記第2のマークとの並ぶ方向での単位画素当たりの距離と前記第3のマークと前記第4のマークとの並ぶ方向での単位画素当たりの距離とに基づいて、前記画像を撮像したカメラの光軸のズレにより生じた画素数の差を補正した上で、前記4つのマークの中心と前記第5のマークとの位置ズレ量を演算する演算装置を開示する。
【0006】
また、上記課題を解決するために、本明細書は、基板とマスクとの一方に、長方形の頂点に位置するように配置された4つのマークが記されており、前記4つのマークのうちの第1のマークと第2のマークとを結ぶ線と前記4つのマークのうちの第3のマークと第4のマークとを結ぶ線とが直交し、基板とマスクとの他方に、第5のマークが記されている場合に、それら5つのマークが露出し、前記第5のマークが前記4つのマークの中心に位置するように重ねられた基板とマスクとの撮像データを利用して、前記第1のマークと前記第2のマーク、若しくは、前記第3のマークと前記第4のマークに基づいて、前記撮像データに基づく画像の傾きを演算し、前記第1のマークと前記第2のマークとの並ぶ方向での単位画素当たりの距離と前記第3のマークと前記第4のマークとの並ぶ方向での単位画素当たりの距離とに基づいて、前記画像を撮像したカメラの光軸のズレにより生じた画素数の差を補正した上で、前記4つのマークの中心と前記第5のマークとの位置ズレ量を演算する演算方法を開示する。
【発明の効果】
【0007】
本開示では、基板とマスクとの一方に、長方形の頂点に位置するように配置された4つのマークが記されており、4つのマークのうちの第1のマークと第2のマークとを結ぶ線と4つのマークのうちの第3のマークと第4のマークとを結ぶ線とが直交し、基板とマスクとの他方に、第5のマークが記されている。そして、第5のマークが4つのマークの中心に位置するように重ねられた基板とマスクとの撮像データに基づいて、撮像データに基づく画像の傾きと、4つのマークの中心と第5のマークとの位置ズレ量とが演算される。これにより、基板とマスクとを正確に版合わせすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】印刷機を示す側面図である。
図2】印刷機を示す平面図である。
図3】制御装置を示すブロック図である。
図4】バーニア状のパターンが記されている治具基板と、バーニア状のパターンが記されている治具マスクとを版合わした状態を示す図である。
図5】バーニア状のパターンが記されている治具基板と、バーニア状のパターンが記されている治具マスクとを版合わした状態を示す図である。
図6】治具基板を示す平面図である。
図7】基準パターンを示す図である。
図8】治具マスクを示す平面図である。
図9】版合わせされた状態の治具基板及び治具マスクでの基準パターンと測定パターンとを示す図である。
図10】変形例の基準パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0010】
図1及び図2に印刷機10を示す。印刷機10は、回路基板にクリームはんだを印刷するための作業機である。印刷機10は、搬送装置20と、マスク保持装置22と、撮像装置23と、スキージ装置24と、はんだ供給装置26と、制御装置(図3参照)28とを備えている。なお、図1は、印刷機10を側方からの視点において示す図であり、図2は、印刷機10を上方からの視点において示す図である。
【0011】
搬送装置20は、コンベア装置30と、基板昇降装置32とを有している。コンベア装置30は、1対のコンベアベルト34と、コンベアベルト34を周回させる電磁モータ(図3参照)36とを有している。なお、コンベアベルト34の延びる方向をX方向、そのX方向に水平に直交する方向をY方向、X方向及びY方向の両方に直交する方向をZ方向と称する。そして、回路基板38が、それら1対のコンベアベルト34によって支持され、電磁モータ36が駆動することで、X方向に搬送される。また、基板昇降装置32は、1対のコンベアベルト34の間に配設されており、それら1対のコンベアベルト34により支持された回路基板38を、支持ピン40を介して、回路基板38の下面から支持し、所定の位置において昇降させる。
【0012】
マスク保持装置22は、マスク50を固定的に保持するためのものであり、マスク50は、金属製、例えばステンレス製のシートからなり、複数の貫通孔(図示省略)が形成されている。マスク保持装置22は、搬送装置20の上方に配設されたマスク支持台52と、そのマスク支持台52の上面に配設されたマスク保持機構54とを有している。マスク支持台52の中央部には、開口部(図示省略)が形成されており、その開口部を覆うように、マスク50がマスク支持台52の上に載置される。そして、マスク支持台52の上に載置されたマスク50が、マスク保持機構54によって固定的に保持される。なお、マスク保持機構54は、保持したマスク50の位置をX方向及びY方向に調整するとともに、マスクの中心を軸心とする鉛直線回りの回転角度を調整するための調整装置56を有している。
【0013】
また、マスク支持台52に形成されている開口部は、回路基板38より大きくされている。そして、搬送装置20により所定の位置に搬送された回路基板38が、基板昇降装置32によって上昇することで、マスク保持装置22に保持されたマスク50の下面に密着する。また、マスク50の下面に密着している回路基板38が、基板昇降装置32によって下降することで、マスク50の下面から離間する。
【0014】
また、撮像装置23は、カメラ移動装置60と、上方カメラ62と、下方カメラ64とを有している。カメラ移動装置60は、1対のスライドレール66と、Yスライダ68と、Xスライダ70とを含む。1対のスライドレール66は、上下方向において搬送装置20とマスク保持装置22との間で、互いに平行かつ、Y方向に延びるように配設されている。Yスライダ68は、1対のスライドレール66によってスライド可能に保持されており、電磁モータ(図3参照)72の作動により、Y方向にスライドする。Xスライダ70は、Yスライダ68の下面側にX方向にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ(図3参照)76の作動により、X方向にスライドする。なお、スライドレール66は、搬送装置20の基板昇降装置32と上下方向において重なっておらず、Yスライダ68が、基板昇降装置32の上方から移動することで、回路基板38は、撮像装置23と当接することなく、基板昇降装置32により上昇する。また、Xスライダ70は、Yスライダ68の下面側から側方に向って延び出しており、その延び出したXスライダ70の上面に、上方カメラ62が上を向いた状態で取り付けられている。一方、Xスライダ70の下面には、下方カメラ64が下を向いた状態で取り付けられている。
【0015】
また、スキージ装置24は、スキージ移動装置80と、1対のスキージ82,84と、スキージ昇降装置86とを有している。スキージ移動装置80は、1対のスライドレール88とスライダ90とを含む。1対のスライドレール88は、マスク保持装置22の上方において、互いに平行かつ、Y方向に延びるように配設されている。スライダ90は、1対のスライドレール88にスライド可能に取り付けられており、電磁モータ(図3参照)92の作動により、Y方向にスライドする。また、1対のスキージ82,84の各々は、概して板状をなし、可撓性を有する素材により形成されている。1対のスキージ82,84は、互いに向かい合うとともに、X方向に延びるように配設され、スライダ90の下方において、スキージ昇降装置86によって保持されている。そのスキージ昇降装置86は、1対のスキージ82,84を個別に昇降させる。
【0016】
また、はんだ供給装置26は、クリームはんだを供給する装置であり、クリームはんだを吐出する吐出口96が、はんだ供給装置26の下面に形成されている。そして、はんだ供給装置26は、スライダ90のY方向における側面の略中央部に固定されている。これにより、はんだ供給装置26は、スキージ移動装置80の作動によりY方向の任意の位置に移動する。
【0017】
制御装置28は、図3に示すように、コントローラ100と、複数の駆動回路102と、画像処理装置106とを備えている。複数の駆動回路102は、上記電磁モータ36,72,76,92、基板昇降装置32、調整装置56、スキージ昇降装置86、はんだ供給装置26に接続されている。コントローラ100は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路102に接続されている。これにより、搬送装置20、スキージ装置24等の作動が、コントローラ100によって制御される。また、コントローラ100は、画像処理装置106にも接続されている。画像処理装置106は、上方カメラ62若しくは下方カメラ64によって得られた撮像データを処理するものであり、コントローラ100は、撮像データから各種情報を取得する。
【0018】
印刷機10では、上述した構成によって、回路基板38が所定の位置まで搬送され、基板昇降装置32によって上昇されることで、マスク保持装置22に保持されているマスク50の下面に密着する。なお、マスク50には、回路基板38のパッド等のパターンに合わせて貫通孔(図示省略)が形成されている。そして、マスク50にクリームはんだが塗布されることで、マスク50の貫通穴を介して、クリームはんだが回路基板38に印刷される。
【0019】
具体的には、回路基板38が印刷機10に搬入され、所定の位置まで搬送される。そして、Xスライダ70が、カメラ移動装置60の駆動により回路基板38の上方に移動し、Xスライダ70に取り付けられている下方カメラ64によって、所定の位置まで搬送された回路基板38が撮像される。回路基板38の上面には、フィデュ―シャルマーク(図示省略)が記されおり、その撮像データに基づいて、フィデュ―シャルマークの位置がコントローラ100により分析される。これにより、回路基板38の停止位置が演算される。また、Xスライダ70に取り付けられている上方カメラ62によって、マスク50が撮像される。マスク50の下面にも、フィデュ―シャルマーク(図示省略)が記されおり、その撮像データに基づいて、フィデュ―シャルマークの位置がコントローラ100により分析される。これにより、マスク保持装置22によるマスク50の保持位置が演算される。そして、演算されたマスク50の保持位置と、回路基板38の停止位置とに基づいて、マスク保持装置22によるマスク50の保持位置が、調整装置56により調整される。この際、回路基板38のクリームはんだの塗布予定位置と、マスク50の貫通孔とが上下方向、つまり、Z方向において一致するように、マスク保持装置22によるマスク50の保持位置が調整される。
【0020】
そして、Yスライダ68が基板昇降装置32の上方から退避し、回路基板38が基板昇降装置32の駆動により上昇する。これにより、回路基板38がマスク50の下面に密着する。次に、はんだ供給装置26によって、マスク50の上面にクリームはんだが供給される。続いて、1対のスキージ82,84の一方が、スキージ昇降装置86によって下降し、その下降したスキージの先端がマスク50の上面に接触する。そして、そのスキージが、スキージ移動装置80によってY方向に移動することで、クリームはんだが、スキージによって、掻き取られる。この際、クリームはんだが、マスク50の貫通孔の内部に充填され、回路基板38に印刷される。これにより、回路基板38への印刷作業が完了する。
【0021】
このように、印刷機10では、回路基板38及びマスク50のフィデュ―シャルマークの撮像データに基づいて、マスク50の保持位置を調整し、回路基板38とマスク50とを密着させることで、回路基板38の塗布予定位置に適切にクリームはんだを塗布することができる。しかしながら、回路基板38及びマスク50のフィデュ―シャルマークを撮像するカメラの光軸が鉛直方向からズレている場合には、回路基板38とマスク50とを適切な位置で密着させることができずに、回路基板38の塗布予定位置に適切にクリームはんだを塗布することができない虞がある。あるいは、基板昇降装置32が回路基板38を昇降させる駆動軸が鉛直方向に対して傾いている場合にも、同様の問題が起こる。このため、回路基板38とマスク50とを密着させた状態、つまり、版合わせした状態での回路基板38とマスク50とのズレ量を演算する必要がある。
【0022】
そこで、従来の手法では、ガラス製の治具基板と、ガラス製の治具マスクとの各々にバーニア状のパターンを記しておいて、それら治具基板と治具マスクとの版合わせした状態での撮像データに基づいて、治具基板と治具マスクとのズレ量が演算されていた。具体的には、バーニア状のパターンが記されている治具基板と、バーニア状のパターンが記されている治具マスクとを版合わせすると、図4に示すように、治具基板のバーニアと治具マスクのバーニアとが1本のバーニア120として重なる。そして、そのバーニア120を基準として、他のバーニアのズレ量を演算することで、治具基板と治具マスクとのズレ量が演算される。ただし、図5に示すように、治具基板のバーニアと治具マスクのバーニアとが2本のバーニア122,124として重なる場合がある。このような場合には、2本のバーニア122,124のいずれか一方を基準として、治具基板と治具マスクとのズレ量が演算されるが、基準とするバーニアは作業者により決められる。このため、作業者によって基準となるバーニアが異なることで、演算される治具基板と治具マスクとのズレ量にバラツキが生じる。
【0023】
また、例えば、ガラス製の治具基板と、ガラス製の治具マスクとに大きさの異なる丸印を記しておいて、それぞれの丸印が重なるように、印刷機において治具基板と治具マスクとを版合わせする。また、マスク保持装置22の上方に、カメラを配設し、版合わせした状態の治具基板と治具マスクとをカメラにより撮像する。そして、撮像データに基づいて治具基板の丸印と治具マスクの丸印のズレ量を演算し、そのズレ量に基づいて、治具基板と治具マスクとのズレ量を演算することもできる。ただし、その場合においてもカメラの光軸が鉛直方向からズレている場合には、適切にズレ量を演算することができないため、カメラの光軸のキャリブレーションが必要となる。また、カメラの設置および、カメラの撮像位置を変更するためのカメラ移動装置が必要となり、コストが増大する。
【0024】
このようなことに鑑みて、印刷機10では、図6に示すガラス製の治具基板150と、図7に示すガラス製の治具マスク160とを用いて、治具基板150と治具マスク160とのズレ量が演算される。具体的には、治具基板150は、図6に示すように、概して矩形であり、治具基板150の中心を挟んで対向する2つの角に、2組の基準パターン170が記されている。それら2組の基準パターン170は、治具基板150の中心を挟んで対照的に配置されている。なお、2組の基準パターン170を区別する場合には、2組の基準パターン170の一方を基準パターン170aと記載し、他方を基準パターン170bと記載する。
【0025】
2組の基準パターン170は互いに同じ形状とされているため、1組の基準パターン170を、図8に示し、説明する。基準パターン170は、第1基準マーク172と第2基準マーク174と第3基準マーク176と第4基準マーク178との4つ基準マーク172~178により構成されている。それら4つの基準マーク172~178は円周上に配置されており、隣り合う2つの基準マークの中心間の距離は同じとされている。このため、それら4つの基準マーク172~178の中心は、正方形の頂点に位置している。なお、正方形は、4つの角が全て同じ、かつ、4つの辺の長さも全て同じの四角形であり、長方形は、4つの角が全て同じの四角形である。このため、本明細書での正方形は長方形に含まれる概念である。
【0026】
また、第1基準マーク172の中心と第2基準マーク174の中心とを結ぶ直線と、第3基準マーク176の中心と第4基準マーク178の中心とを結ぶ直線とが直交するように、4つの基準マーク172~178は配置されている。さらに、それら4つの基準マーク172~178は丸形状であり、第1基準マーク172と第2基準マーク174と第3基準マーク176とは同じ形状であるが、第4基準マーク178は第1基準マーク172,第2基準マーク174,第3基準マーク176より大きい丸形状である。なお、図7において4つの基準マーク172~178は白丸形状で示されているが、治具基板150には、黒丸形状で記されている。また、図8で2点鎖線により示される円,正方形,直線は仮想線である。
【0027】
なお、治具基板150には、図6に示すように、2組の基準パターン170だけでなく、2個のフィデュ―シャルマーク180も記されている。それら2個のフィデュ―シャルマーク180は、2組の基準パターン170が記されている2つの角と異なる2つの角に記されており、治具基板150の中心を挟んで対照的に配置されている。
【0028】
また、治具マスク160は、図7に示すように、概して矩形であり、治具マスク160の中心を挟んで対向する2つの角に、2組の測定パターン190が記されている。それら2組の測定パターン190は、治具マスク160の中心を挟んで対照的に配置されている。なお、2組の測定パターン190を区別する場合には、2組の測定パターン190の一方を測定パターン190aと記載し、他方を測定パターン190bと記載する。
【0029】
2組の測定パターン190の各々は、測定マーク192のみにより構成されている。測定マーク192は丸形状であり、基準パターン170の第4基準マーク178より大きい丸形状である。また、測定マーク192は、治具マスク160が治具基板150に重ねられた場合に、基準パターン170の4つの基準マーク172~178の中心に配置されるように、治具マスク160に記されている。すなわち、測定マーク192は、4つの基準マーク172~178で囲まれた内部領域に、4つの基準マーク172~178のいずれにも接することなく配置可能な大きさである。なお、測定パターン190aは基準パターン170aに対応しており、測定パターン190bは基準パターン170bに対応している。このため、測定パターン190aの測定マーク192は、基準パターン170aの4つの基準マーク172~178の中心に配置されるように、治具マスク160に記されている。また、測定パターン190bの測定マーク192は、基準パターン170bの4つの基準マーク172~178の中心に配置されるように、治具マスク160に記されている。
【0030】
なお、治具マスク160にも、2組の測定パターン190だけでなく、2個のフィデュ―シャルマーク196も記されている。それら2個のフィデュ―シャルマーク196は、2組の測定パターン190が記されている2つの角と異なる2つの角に記されており、治具マスク160の中心を挟んで対照的に配置されている。
【0031】
このように、基準パターン170が記された治具基板150と、測定パターン190が記された治具マスク160とが印刷機10において版合わせされる。つまり、印刷機10において、治具マスク160がマスク保持装置22により保持される。また、治具基板150が印刷機10に搬入され、所定の位置まで搬送される。そして、Xスライダ70が、カメラ移動装置60の駆動により治具基板150の上方に移動し、Xスライダ70に取り付けられている下方カメラ64によって、所定の位置まで搬送された治具基板150が撮像される。そして撮像データに基づいて、フィデュ―シャルマーク180の位置がコントローラ100により分析されて、治具基板150の停止位置が演算される。また、Xスライダ70に取り付けられている上方カメラ62によって、治具マスク160が撮像される。そして、撮像データに基づいて、フィデュ―シャルマーク196の位置がコントローラ100により分析されて、マスク保持装置22による治具マスク160の保持位置が演算される。そして、演算された治具マスク160の保持位置と、治具基板150の停止位置とに基づいて、マスク保持装置22による治具マスク160の保持位置が、調整装置56により調整される。そして、Yスライダ68が基板昇降装置32の上方から退避し、治具基板150が基板昇降装置32の駆動により上昇することで、治具基板150が治具マスク160の下面に密着する。これにより、治具基板150と治具マスク160との版合わせ作業が完了する。
【0032】
そして、治具基板150と治具マスク160との版合わせ作業が完了すると、版合わせされた状態の治具基板150と治具マスク160とを、作業者がカメラ(図示省略)により印刷機10の上方から撮像する。つまり、治具基板150の上に載せられた状態の治具マスク160を、治具マスク160の上方から、作業者がカメラにより撮像する。なお、カメラは印刷機10に配設されておらず、作業者が手持ちで治具マスク160を撮像する。
【0033】
そして、作業者が、撮像により得られた撮像データを制御装置28に入力すると、制御装置28において撮像データが分析される。具体的には、治具基板150及び治具マスク160はガラス製であるため、撮像データに基づく画像には、図9に示すように、基準パターン170の4つの基準マーク172~178と測定パターン190の測定マーク192とが映り込む。そして、制御装置28において、まず、4つの基準マーク172~178の位置が、撮像データに基づいて演算される。この際、基準マークの位置は撮像データでの画素単位の座標位置として演算される。そして、第4基準マーク178は、第1基準マーク172,第2基準マーク174,第3基準マーク176より大きいため、第1基準マーク172,第2基準マーク174,第3基準マーク176に対する第4基準マーク178の相対的な位置が特定される。この際、その第4基準マーク178の相対的な位置に基づいて、撮像データに基づく画像の向きが特定される。そして、図9に示すように、4つの基準マーク172~178のうちの第4基準マーク178が最も右側に位置するように、撮像データに基づく画像の向きが変更される。これにより、作業者が版合わせした状態の治具基板150と治具マスク160とを撮像した際の撮像方向に関わらず、撮像データに基づく画像の向きを一定とすることができる。
【0034】
次に、第3基準マーク176の位置と第4基準マーク178の位置とに基づいて、第3基準マーク176と第4基準マーク178とを結ぶ直線の傾斜角度が演算される。具体的には、例えば、第3基準マーク176の中心の位置が(X3,Y3)であり、と第4基準マーク178の中心の位置が(X4,Y4)である場合に、第3基準マーク176と第4基準マーク178とを結ぶ直線の傾斜角度αが下記式に基づいて演算される。
tanα=(Y4-Y3)/(X4-X3)
そして、演算された直線の傾斜角度αは、撮像データに基づく画像の傾斜角度であるため、演算された傾斜角度α分、撮像データに基づく画像を回転させる。これにより、第3基準マーク176の中心と第4基準マーク178の中心とを結ぶ直線をX軸とし、第1基準マーク172の中心と第2基準マーク174の中心とを結ぶ直線をY軸とすることができる。
【0035】
続いて、第3基準マーク176の中心と第4基準マーク178の中心との間の画素数(以下、「X方向画素数」と記載する)が演算される。また、治具基板150での第3基準マーク176の中心と第4基準マーク178の中心との間の距離(以下、「X方向距離」と記載する)が予め測定されており、その距離が制御装置28に記憶されている。このため、第3基準マーク176と第4基準マーク178との並ぶ方向、つまり、X方向での単位画素当たりの距離が演算される。具体的には、例えば、X方向画素数が100画素であり、X方向距離が10mmである場合に、X方向での単位画素当たりの距離(=10mm/100pixel)が演算される。
【0036】
さらに、第1基準マーク172の中心と第2基準マーク174の中心との間の画素数(以下、「Y方向画素数」と記載する)が演算される。また、治具基板150での第1基準マーク172の中心と第2基準マーク174の中心との間の距離(以下、「Y方向距離」と記載する)が予め測定されており、その距離が制御装置28に記憶されている。このため、第1基準マーク172と第2基準マーク174との並ぶ方向、つまり、Y方向での単位画素当たりの距離が演算される。具体的には、例えば、Y方向画素数が102画素であり、Y方向距離が10mmである場合に、Y方向での単位画素当たりの距離(=10mm/102pixel)が演算される。
【0037】
なお、X方向距離とY方向距離とが同じであれば、演算されるX方向画素数とY方向画素数とは同じとなるはずであるが、治具基板150の撮像時におけるカメラの光軸が鉛直方向からズレている場合には、演算されるX方向画素数とY方向画素数とは異なる数値となる。このため、上述した手法により、X方向及びY方向での単位画素当たりの距離を演算することで、治具基板150の撮像時におけるカメラの光軸が鉛直方向からズレている場合であっても、治具基板150と治具マスク160とのズレ量を適切に演算することができる。また、治具マスク160の撮像時に用いられるカメラの画素数が判らない場合であっても、撮像データに基づいて画素数が演算されるため、画素数を制御装置28に入力しなくても、ズレ量を適切に演算することができる。
【0038】
具体的には、先に演算されている4つの基準マーク172~178の位置に基づいて、4つの基準マーク172~178の中心の位置(以下、「演算中心位置」と記載する)が演算される。また、測定マーク192の中心の位置が、撮像データに基づいて演算される。この際、治具基板150と治具マスク160とが正確に版合わせされている場合には、演算中心位置と測定マーク192の中心の位置とは同じとなる。一方で、治具基板150と治具マスク160とがズレた状態で版合わせされている場合には、演算中心位置と測定マーク192の中心の位置との差が、治具基板150と治具マスク160とがズレ量となる。なお、治具基板150と治具マスク160とのズレ量として、X方向でのズレ量とY方向でのズレ量とが演算されるため、例えば、(ΔX,ΔY)となる。なお、治具基板150と治具マスク160とのズレ量は、撮像データでの画素単位の座標位置でのズレ量であるため、演算中心位置と測定マーク192の中心の位置との差に基づいて演算されたズレ量を、画素単位ズレ量(ΔXG,ΔYG)と記載する。
【0039】
そして、画素単位ズレ量(ΔXG,ΔYG)に、先に演算されている単位画素当たりの距離(mm/pixel)を乗じることで、距離単位ズレ量(ΔXK,ΔYK)を演算することができる。つまり、X方向の画素単位ズレ量ΔXGに、X方向での単位画素当たりの距離(=10mm/100pixel)を乗じることで、X方向の距離単位ズレ量ΔXKが演算される。また、Y方向の画素単位ズレ量ΔYGに、Y方向での単位画素当たりの距離(=10mm/102pixel)を乗じることで、Y方向の距離単位ズレ量ΔYKが演算される。
【0040】
このように、X方向とY方向との各々の単位画素当たりの距離(mm/pixel)を用いて、距離単位ズレ量(ΔXK,ΔYK)を演算することで、カメラの光軸のズレにより生じたX方向及びY方向での画素数の差を補正して、距離単位ズレ量(ΔXK,ΔYK)が演算される。つまり、治具基板150の撮像時におけるカメラの光軸が鉛直方向からズレている場合であっても、治具基板150と治具マスク160とが実際にX方向にズレている距離(ΔXK)及び、Y方向にズレている距離(ΔYK)が演算される。
【0041】
なお、距離単位ズレ量(ΔXK,ΔYK)は、基準パターン170aと測定パターン190aとの組合せと、基準パターン170bと測定パターン190bとの組合せとの各々において演算される。つまり、測定パターン190aの測定マーク192の位置と、基準パターン170aの4つの基準マーク172~178の演算中心位置との差に基づいて、第1の距離単位ズレ量(ΔXK1,ΔYK1)が演算される。また、測定パターン190bの測定マーク192の位置と、基準パターン170bの4つの基準マーク172~178の演算中心位置との差に基づいて、第2の距離単位ズレ量(ΔXK2,ΔYK2)が演算される。
【0042】
このように、第1の距離単位ズレ量と第2の距離単位ズレ量とが演算されると、第1の距離単位ズレ量と、そのズレ量演算時に用いられた演算中心位置とが対応付けられ、第2の距離単位ズレ量と、そのズレ量演算時に用いられた演算中心位置とが対応付けられる。つまり、第1の距離単位ズレ量と、基準パターン170aの4つの基準マーク172~178の演算中心位置とが対応付けられ、第2の距離単位ズレ量と、基準パターン170bの4つの基準マーク172~178の演算中心位置とが対応付けられる。また、治具マスク160の中心の位置座標(以下、「マスク中心座標」と記載する)が撮像データに基づいて演算される。そして、マスク中心座標でのX方向及びY方向のズレ量と、マスク中心座標を中心とする治具マスク160の回転角度とが、第1の距離単位ズレ量と基準パターン170aの演算中心位置との組み合わせ、及び、第2の距離単位ズレ量と基準パターン170bの演算中心位置との組み合わせに基づいて演算される。なお、この演算手法は、フィデュ―シャルマークに基づいてマスク等のズレ量及び回転角度が演算される手法と同じであり、公知の手法であるため、詳細な説明は省略する。ちなみに、治具マスク160の回転角度は、治具基板150と治具マスク160との相対的な回転角度である。
【0043】
そして、演算されたマスク中心座標でのX方向及びY方向のズレ量と、治具マスク160の回転角度とに基づいて、マスク保持装置22による治具マスク160の保持位置が調整装置56により調整されることで、治具基板150と治具マスク160とを正確に版合わせすることができる。つまり、実際のクリームはんだの塗布作業時において、マスク保持装置22によるマスク50の保持位置が、演算されたX方向及びY方向のズレ量と、回転角度とに基づいて調整装置56により調整されることで、マスク50と回路基板38とを正確に版合わせすることができる。具体的には、コントローラ100は、演算されたマスク中心座標でのX方向及びY方向のズレ量と、治具マスク160の回転角度を予め記憶する。実際のクリームはんだの塗布作業時において、印刷機10に搬入された回路基板38のフィデューシャルマークを下方カメラ64が撮像する。コントローラ100は、回路基板38のフィデューシャルマークの撮像データと、上方カメラ62によって撮像されたマスク50のフィデューシャルマークの撮像データとに基づいて、回路基板38とマスク50とのズレ量及び回転角度を演算した値に、予め記憶したズレ量及び回転角度を加味することで、調整装置56が調整するX方向及びY方向のズレ量と回転角度を演算する。
【0044】
このように、基準パターン170が記された治具基板150と、測定パターン190が記された治具マスク160とを用いて距離単位ズレ量を演算することで、バーニアが記された治具基板及び治具マスクを用いる場合に生じる作業者毎のズレ量のバラツキを防止することができる。また、治具基板150及び治具マスク160を用いることで、撮像時のカメラの光軸が鉛直方向からズレている場合であっても、X方向及びY方向の距離単位ズレ量を適切に演算することができる。このため、印刷機10にカメラ及び、カメラ移動装置を配設しなくても、作業者が手持ちで撮像することが可能となり、装置のコストダウンを図ることができる。つまり、版合わせされた状態の治具基板150と治具マスク160とを撮像するためのカメラがない印刷機においても、適切に距離単位ズレ量を演算することができる。
【0045】
なお、上記実施例において、制御装置28は、演算装置の一例である。治具基板150は、基板の一例である。治具マスク160は、マスクの一例である。第1基準マーク172は、第1のマークの一例である。第2基準マーク174は、第2のマークの一例である。第3基準マーク176は、第3のマークの一例である。第4基準マーク178は、第4のマークの一例である。測定マーク192は、第5のマークの一例である。
【0046】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、4つの基準マーク172~178が正方形の頂点に位置するように、治具基板150に記されているが、長方形の頂点に位置するように、4つの基準マークが治具基板150に記されてもよい。具体的には、図10に示すように、第1基準マーク200と第2基準マーク202と第3基準マーク204と第4基準マーク206との4つの基準マーク200~206の中心が円周上に配置されており、隣り合う2つの基準マークの中心を結ぶ直線同士が直交している。このため、それら4つの基準マーク200~206の中心は、長方形の頂点に位置している。なお、第1基準マーク200の中心と第2基準マーク202の中心とを結ぶ直線と、第2基準マーク202の中心と第4基準マーク206の中心とを結ぶ直線とが直交している。このため、それら4つの基準マーク200~206を用いる場合には、第1基準マーク200の中心と第2基準マーク202の中心とを結ぶ直線がX軸となり、第2基準マーク202の中心と第4基準マーク206の中心とを結ぶ直線がY軸となるように、撮像データに基づく画像が回転させられる。
【0047】
また、上記実施例では、第3基準マーク176の中心と第4基準マーク178の中心とを結ぶ直線の傾斜角度が演算されているが、第1基準マーク172の中心と第2基準マーク174の中心とを結ぶ直線の傾斜角度が演算されてもよい。このような場合には、第1基準マーク172の中心と第2基準マーク174の中心とを結ぶ直線の傾斜角度に基づいて、撮像データに基づく画像が回転させられる。
【0048】
また、上記実施例では、治具基板150に基準パターン170が記され、治具マスク160に測定パターン190が記されているが、治具基板150に測定パターン190が記され、治具マスク160に基準パターン170が記されてもよい。
【0049】
また、治具基板150及び治具マスク160がガラス製とされているが、ガラス以外の光を透過する素材であってもよい。また、治具基板150及び治具マスク160として、光を透過しない素材の治具基板及び治具マスクを採用してもよい。このような場合には、治具基板に記されるマークが露出するように、治具マスクに貫通孔が形成される。これにより、治具基板と治具マスクとが版合わせされた状態において、治具基板に記されるマークと治具基板に記されるマークとが、上方からの視点において露出する。
【0050】
また、上記実施例では、マスク50の保持位置が調整装置56により調整されているが、回路基板38の保持位置が調整機構により調整されてもよい。つまり、治具基板150と治具マスク160とのX方向及びY方向の相対的なズレ量と、治具基板150と治具マスク160との相対的な回転角度が演算され、演算された相対的なズレ量及び回転角度に基づいて、回路基板38とマスク50との少なくとも一方の位置が調整されればよい。
【0051】
また、上記実施例では、印刷機10の制御装置28において上述した各種の演算処理が実行されているが、印刷機10の外部の情報処理装置において上述した各種の演算処理が実行されてもよい。このような場合には、演算されたズレ量などが制御装置28に入力されることで、調整装置56の作動が制御される。
【0052】
また、上記実施例では、版合わせされた状態の治具基板150と治具マスク160とが作業者により撮像されているが、マスク保持装置22の上方にカメラを配設し、版合わせされた状態の治具基板150と治具マスク160とが、そのカメラにより撮像されてもよい。このような場合には、そのカメラの光軸の鉛直方向での精度は低くてもよい。
【符号の説明】
【0053】
28:制御装置(演算装置) 150:治具基板(基板) 160:治具マスク(マスク) 172:第1基準マーク(第1のマーク) 174:第2基準マーク(第2のマーク) 176:第3基準マーク(第3のマーク) 178:第4基準マーク(第4のマーク) 192:測定マーク(第5のマーク)
図1
図2
図3
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図8
図9
図10