(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】埋め込みプレス、研磨及びポリッシング装置、並びに、サンプルを埋め込むと共に埋め込まれたサンプルを処理するための生産ライン
(51)【国際特許分類】
B30B 11/00 20060101AFI20241211BHJP
B24B 41/06 20120101ALI20241211BHJP
B24B 49/10 20060101ALI20241211BHJP
B24B 55/02 20060101ALI20241211BHJP
B24B 57/02 20060101ALI20241211BHJP
G01N 1/36 20060101ALI20241211BHJP
G01N 1/32 20060101ALI20241211BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20241211BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20241211BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20241211BHJP
B24B 37/10 20120101ALI20241211BHJP
【FI】
B30B11/00 H
B30B11/00 M
B24B41/06 L
B24B41/06 A
B24B49/10
B24B55/02 B
B24B57/02
G01N1/36
G01N1/32 A
G01N1/28 G
G01N1/00 101X
B24B49/12
B24B37/10
(21)【出願番号】P 2022569530
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 EP2021062301
(87)【国際公開番号】W WO2021228754
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-01-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522444265
【氏名又は名称】アーテーエム キューネス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ATM Qness GmbH
【住所又は居所原語表記】Reitbauernweg 26, 5440 Golling Austria
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘル, ロベルト
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-174338(JP,A)
【文献】特開平07-083813(JP,A)
【文献】特開2002-273600(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038816(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 11/00 - 11/08
B24B 41/06
B24B 49/10 ー 49/12
B24B 55/02
B24B 57/02
G01N 1/28 - 1/36
G01N 1/00
B24B 37/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル(126)を埋め込み材料(117)の中に埋め込むための埋め込みプレス(110)であって、
加圧シリンダ(132)を備える加圧ユニット(134)と、
埋め込み材料(117)を投入するための投入装置(115)と、
操作者がそれぞれ1つの埋め込まれるべきサンプル(126)をその上に載置することができる多数の装填場所(124)を備えるサンプル装填テーブル(122)と、
前記埋め込みプレス(110)をプログラム制御された態様で自動的に制御するよう調整された制御装置(111)であって、前記制御装置(111)は、厳密には、少なくとも前記サンプル装填テーブル(122)、前記加圧ユニット(134)及び前記投入装置(115)を、前記サンプル装填テーブル(122)に多数の埋め込まれるべきサンプル(126)が装填された後、多数の埋め込みプレスプロセスが次々に自動的に中間での操作者の介入なしに実行され得るよう制御し、このために、前記制御装置(111)は、前記埋め込みプレス(110)を、それぞれ
、多数の前記サンプルを埋め込むために繰り返される以下のクロックステップ
a)~d)、すなわち、
a)前記サンプル装填テーブル(122)は、前記装填場所(124)のうちの1つを、前記埋め込まれるべきサンプル(126)と共に、前記加圧ユニット(134)のサンプル受容位置(136)に接近させ、
b)前記埋め込まれるべきサンプル(126)は、前記サンプル受容位置(136)から前記加圧シリンダ(132)内へ挿入され、前記埋め込み材料(117)は、前記加圧シリンダ(132)内へ計量供給され、
c)埋め込まれたサンプル(142)を生成するために埋め込みプレスプロセスが実行され、
d)そのようにして埋め込まれた前記サンプル(142)は、前記加圧シリンダ(132)から排出され
る。
を有する多数のクロックサイクルで自動的に制御するように調整されている、制御装置(111)と、
を含み、
前記装填場所(124)には、前記埋め込まれるべきサンプル(126)のための載置場所としてのそれぞれ1つのピストン(128)があり、前記加圧ユニット(134)は、ピストン駆動装置(138)を備え、前記ピストン(128)を前記埋め込まれたサンプル(142)と共に前記装填場所(124)から外へ上昇させ前記加圧シリンダ(132)内へ押し込むために、前記サンプル受容位置(136)において、前記ピストン駆動装置(138)はそれぞれの前記ピストン(128)と連結される、
埋め込みプレス(110)。
【請求項2】
前記サンプル装填テーブル(122)はインデックステーブルとして形成されており、前記装填場所(124)は前記インデックステーブルの外縁の環状領域(123)に配置されている、請求項1に記載の埋め込みプレス(110)。
【請求項3】
前記加圧シリンダ(132)は下部の第1の開口(132a)及び上部の第2の開口(132b)を備え、前記サンプル(126)は前記下部の第1の開口(132a)を通じて前記加圧シリンダ(132)内へ挿入され、前記埋め込み材料(117)は前記上部の第2の開口(132b)を通じて前記加圧シリンダ(132)内へ投入される、請求項1又は2に記載の埋め込みプレス(110)。
【請求項4】
前記加圧ユニット(134)は上部の閉鎖スライド(140)を備え、前記制御装置(111)は、前記上部の閉鎖スライド(140)を制御し、前記上部の閉鎖スライド(140)が、前記埋め込み材料(117)の投入後、続いて埋め込みプレスプロセスを実施するために、前記加圧シリンダ(132)の前記上部の第2の開口(132b)を閉鎖するよう、調整されている、請求項3に記載の埋め込みプレス(110)。
【請求項5】
前記埋め込みプレスプロセスの後、前記埋め込まれたサンプル(142)は前記ピストン駆動装置(138)及び前記ピストン(128)によって上方へ前記加圧シリンダ(132)から移動され、前記加圧ユニット(134)は、上方へ前記加圧シリンダ(132)から移動された前記埋め込まれたサンプル(142)を、前記加圧ユニット(134)から排出するサンプルエジェクタ(144)を含む、請求項
1に記載の埋め込みプレス(110)。
【請求項6】
前記サンプルエジェクタ(144)は、前記埋め込まれたサンプル(142)を排出するために、当該埋め込まれたサンプル(142)を、前記加圧シリンダ(132)の軸に対して横方向に、上方へ移動された前記ピストン(128)から下方へ押す、請求項
5に記載の埋め込みプレス(110)。
【請求項7】
前記埋め込まれたサンプル(142)を排出した後、次のクロックサイクルを開始するために次の装填場所(124)が次のピストン(128)及び次のサンプル(126)と共にサンプル受容位置(136)へ移動される前に、前記ピストン駆動装置(138)は、前記ピストン(128)と共に、再び下方へ移動され、空の前記ピストン(128)は、再び前記サンプル装填テーブル(122)の前記装填場所(124)内に載置される、請求項
5に記載の埋め込みプレス(110)。
【請求項8】
サンプル(126)を埋め込み材料(117)の中に埋め込むための埋め込みプレス(110)であって、
加圧シリンダ(132)を備える加圧ユニット(134)と、
埋
め込み材料(117)を投入するための投入装置(115)と、
操作者がそれぞれ1つの埋め込まれるべきサンプル(126)をその上に載置することができる多数の装填場所(124)を備えるサンプル装填テーブル(122)と、
前記埋め込みプレス(110)をプログラム制御された態様で自動的に制御するよう調整された制御装置(111)であって、前記制御装置(111)は、厳密には、少なくとも前記サンプル装填テーブル(122)、前記加圧ユニット(134)及び前記投入装置(115)を、前記サンプル装填テーブル(122)に多数の埋め込まれるべきサンプル(126)が装填された後、多数の埋め込みプレスプロセスが次々に自動的に中間での操作者の介入なしに実行され得るよう制御し、このために、前記制御装置(111)は、前記埋め込みプレス(110)を、それぞれ、多数の前記サンプルを埋め込むために繰り返される以下のクロックステップa)~d)、すなわち、
a)前記サンプル装填テーブル(122)は、前記装填場所(124)のうちの1つを、前記埋め込まれるべきサンプル(126)と共に、前記加圧ユニット(134)のサンプル受容位置(136)に接近させ、
b)前記埋め込まれるべきサンプル(126)は、前記サンプル受容位置(136)から前記加圧シリンダ(132)内へ挿入され、前記埋め込み材料(117)は、前記加圧シリンダ(132)内へ計量供給され、
c)埋め込まれたサンプル(142)を生成するために埋め込みプレスプロセスが実行され、
d)そのようにして埋め込まれた前記サンプル(142)は、前記加圧シリンダ(132)から排出される。
を有する多数のクロックサイクルで自動的に制御するように調整されている、制御装置(111)と、
を含み、
前記埋め込みプレス(110)は前記加圧シリンダ(132)の下に挿入開口(152)を備え、当該挿入開口(152)内では、埋め込まれるべきサンプル(126)を次々に前記加圧シリンダ(132)の下へ移動させるために、前記サンプル装填テーブル(122)が少なくとも部分的に移動すると共に、周期的に次々に前記装填場所(124)を前記埋め込まれるべきサンプル(126)と共に前記挿入開口(152)内へ挿入する
、
埋め込みプレス(110)。
【請求項9】
異なる第1及び第2の埋め込み材料(117)を保持するための少なくとも1つの第1及び第2のリザーバ(114)が前記投入装置(115)と接続されており、その結果、前記投入装置(115)は、埋め込み材料(117)を、前記第1及び第2の両方のリザーバ(114)から前記加圧シリンダ(132)内へ投入することができ、前記第1及び/又は第2の埋め込み材料(117)をそれぞれ所定の量だけ自動的に前記加圧シリンダ(132)内へ投入するために、前記第1及び第2の埋め込み材料(117)の投入は、前記制御装置(111)によって制御される、請求項1~
8のいずれか1項に記載の埋め込みプレス(110)。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の埋め込みプレス(110)によって多数のサンプルを埋め込み材料内に埋め込むための方法であって、多数の装填場所(124)を備えるサンプル装填テーブル(122)に準備のステップにおいて多数の埋め込まれるべきサンプル(126)が装填され、前記サンプルは、前記サンプル装填テーブル(122)に前記多数の埋め込まれるべきサンプル(126)が装填された後、プログラム制御された態様で自動的に次々に、以下のクロックステップを有するクロックサイクルにおいて埋め込まれ、多数の前記サンプルを埋め込むために、クロックステップa)~d)を有するクロックサイクルは繰り返される、方法。
a)埋め込まれるべきサンプル(126)が装填された装填場所(124)を、加圧ユニット(134)のサンプル受容位置(136)へ移動させるステップ
b)ステップa)の前記サンプル(126)を、前記装填場所(124)から前記加圧ユニット(134)の加圧シリンダ(132)内へ挿入し、埋め込み材料(117)を前記加圧シリンダ(132)内へ計量供給するステップ
c)埋め込まれたサンプル(142)を生成するために、前記加圧シリンダ(132)内の前記埋め込み材料(117)及び前記サンプル(126)をプレスするステップ
d)前記埋め込まれたサンプル(142)を前記加圧シリンダ(132)から排出するステップ
【請求項11】
前記サンプル(126)は下から前記加圧シリンダ(132)内へ挿入され、前記埋め込み材料(117)は上から前記加圧シリンダ(132)内へ計量供給される、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
次に、プログラム制御された態様で自動的に埋め込みプレスプロセスを実施するために、前記加圧シリンダ(132)は、前記埋め込み材料(117)の計量供給の後、その上端においてプログラム制御された態様で閉鎖される、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記埋め込まれるべきサンプル(126)は、それぞれ固有のピストン(128)の上の前記装填場所(124)の上に載置され、前記サンプル(126)はそれぞれ固有のピストン(128)と共に軸方向に下方から前記加圧シリンダ(132)内へ押し込まれる、請求項
10~
12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記埋め込まれたサンプル(142)を排出するために、前記埋め込みプレスプロセスの後、前記埋め込まれたサンプル(142)は上方へ前記加圧シリンダ(132)から外へ移動され、サンプルエジェクタ(144)によって前記加圧シリンダ(132)の軸に対して横方向に前記ピストン(128)から押し下げられる、請求項
10~
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記埋め込まれたサンプル(142)を排出した後、次のクロックサイクルを開始するために次の装填場所(124)が次のピストン(128)及び次のサンプル(126)と共に前記サンプル受容位置(136)へ移動される前に、前記空のピストン(128)は、再び下方へ移動され、再び前記装填場所(124)の上に載置される、請求項
10~
14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ピストン(128)のうちのそれぞれ1つをその上に載置された前記サンプル(126)と共に軸方向に前記加圧シリンダ(132)内へ導入するために、前記サンプル装填テーブル(122)は、前記装填場所(124)を、前記ピストン(128)及びその上に載置された前記埋め込まれるべきサンプル(126)と共に移動させる、及び/又は、前記埋め込みプレスプロセスの後、前記ピストン(128)は、次のクロックサイクルにおいて次の装填場所(124)が次のピストン(128)及び次のサンプル(126)と共に前記加圧シリンダ(132)の下へ移動する前に、再び軸方向に、下方へ前記加圧シリンダ(132)から外へ移動すると共に、再び前記装填場所(124)の上に載置される、請求項
10~
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
プログラム制御された態様で自動的に次々に少なくとも2つの異なる埋め込み材料(117)が加圧シリンダ(132)内に計量供給される、請求項
10~
16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルを埋め込み材料中に自動的に埋め込むための、特にプラスチック埋め込み材料を用いて圧力下で熱間埋め込みするための、埋め込みプレス、実験室スケールの研磨及び/又はポリッシング装置、特に埋め込まれたサンプルのサンプル下面を平面研磨及び/又はポリッシングするための方法、並びに、自動化された埋め込みプレス及び自動化された研磨及びポリッシング装置、特に自動化された研磨及びポリッシング装置を含む、プログラム制御された全体システムにおいて、多数のサンプルを埋め込むための、及び、そのようにして埋め込まれたサンプルを、サンプルの研磨及び/又はポリッシングを通じて処理するための、自動化された生産ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
金属組織学においては、サンプルの材料調査を実施するために、しばしば、比較的小さなサンプル片が、プラスチック材料から成る円筒体に埋め込まれる。続いて、そのようにして埋め込まれたサンプルは、平面研磨され、場合によってはポリッシングされた材料サンプルの表面で、例えば硬度試験測定又は組織分析のような材料調査を実施することができるように、平面研磨され、場合によってはポリッシングされる。
【0003】
単純な埋め込みプレスは、加圧ピストンを有するシリンダと、手動の閉鎖器とを有する。小さな金属組織学的サンプル片は、埋め込みのために、例えば熱可塑性プラスチックから成る埋め込み顆粒と共にシリンダ内に装填され、典型的には最高約250~350barの圧力下で、最高約200℃の温度において、数時間にわたって、熱間プレスされる。このような埋め込みプレスは、加熱温度、加熱及び冷却の時間、並びに、プレス圧力を設定することができる制御装置を有する。このような埋め込みプレスにより、サンプル埋め込みは以下のように進行する:
【0004】
1.閉鎖器を開き、シリンダを上部の位置へ移動させ、
2.サンプルを装填し、シリンダを下方へ移動させ、
3.埋め込み顆粒をシャベルでシリンダ内へ入れ、
4.閉鎖器を閉じ、プレスプロセスを開始し、
5.埋め込みプレスプロセスの終了を待ち(設定されたパラメータに応じて、数時間)、
6.閉鎖器を開け、
7.サンプルが取り出され得るよう、シリンダを上方へ移動させる。
【0005】
操作者は、このプロセスを、手動で、個々のサンプルの各々について繰り返す。サンプルを埋め込むためのプロセスの総持続時間は、典型的には、設定されたパラメータに応じて約15分である。
【0006】
ATM Qness GmbHのモジュール式埋め込みプレスが、Opal X-Pressの名称で知られている(www.qatm.com参照)。Opal X-Pressの基本構造及び作動態様は、上述した埋め込みプレスと類似している。しかしながら、ここでは、場合によっては異なるサンプル直径での複数のプレスが組み合わされ、同時に操作され得る。加圧ピストンを有する各シリンダは、上端にレバー操作式の閉鎖機構を有し、当該閉鎖機構によって、加圧シリンダ内の圧入キャビティは、ハンドルを用いて閉鎖され、ロックされ得る。このモジュール式埋め込みプレスは、サンプル処理量が相応して増大され得るという利点を有する。しかしながら、操作者は、個々の埋め込みプレスを充填し、埋め込まれたサンプルを取り出すために、実質的に常にそこにいなければならない。
【0007】
更に、投入システムを有するデュアルプレスが知られている。デュアルプレスの動作は、上述した埋め込みプレスと類似しているが、埋め込み顆粒は、投入器を介して導入され得る。これは、加圧シリンダの上方で手によって旋回され、埋め込み顆粒がシリンダ内に投入される。このプレスはデュアルに具現されており、すなわち、手で交互に投入器を旋回させるために使用することができる2つの加圧シリンダが存在する。
【0008】
記載されたシステムの全ては、操作者が実質的に常にそこにいなければならないという欠点を有する。埋め込みは、とりわけ、埋め込みプレスプロセス中の、すなわち典型的には高圧及び高温下でのプレスの際の待機時間のために、時間のかかる作業であり、これは、実験室の専門技術者の貴重な時間を犠牲にする。更に、埋め込みは、サンプル生成の全体プロセスにおいて、ある種のボトルネックである。なぜなら、埋め込みは、サンプル生成の全体プロセスにおいて、典型的には最も多くの作業時間を必要とするからである。これは、特に、高いサンプルスループットを有する実験室に、すなわち多数のサンプルが熱間プレスされなければならない場合に、当てはまる。
【0009】
サンプルが埋め込まれた後、当該サンプルは、典型的には、回転する研磨盤を有する実験室用研磨装置を用いて平面研磨され、続いてポリッシングされる。典型的には、このような実験室用ディスク研磨装置は、研磨装置とポリッシング装置とを組み合わせた装置として設計されておr、すなわち、研磨ディスク上には、代替的にポリッシング機能を提供するために、ポリッシング盤も載置され得る。例えばATM Qness GmbHからSaphir及びRubinの商標で知られているような、このような実験室用ディスク研磨装置は、典型的には材料試験、特に硬度試験又は組織分析のための埋め込まれたサンプルの下面の平面研磨及び場合によってはポリッシングのために、使用される。
【0010】
このような研磨/ポリッシング装置は、シングルスピンドル又はマルチスピンドルのいずれかで入手可能である。手動の研磨/ポリッシング装置は、実質的に、タブ、駆動モータ及び研磨ディスクを備えたハウジングを有する。単純な研磨/ポリッシング装置において、埋め込まれたサンプルは、手によって押圧され研磨され得る。部分的に自動化された研磨/ポリッシング装置は、付加的に、時にはポリッシングヘッドと呼ばれる、回転する押圧ピストンを有する装置ヘッドと、その中に典型的には4~6個の埋め込まれたサンプルが装填され、必要に応じてクランプされ得るサンプル保持器と、を有する。個別接触圧の場合、サンプルは、サンプル保持器内に装填され、当該サンプル保持器と共に移動するのみである。個々のサンプルの各々は、それぞれ1つの空気圧シリンダ又はバネによって研磨ディスクに押し付けられる。中央接触圧の場合、サンプル保持器全体が研磨ディスクに対して押し付けられ、サンプルはこのためにサンプル保持器内に強固にクランプされる。自動化されたシステムの場合、これらは通常中央接触圧で動作するので、サンプルは典型的にはクランプされる。
【0011】
サンプルを装填及びクランプすることは、手動での作業であり、サンプルは、不都合なことに、相応の装置において非常に正確に平坦に位置合わせされなければならず、これは、対応する時間の消費と結び付いている。
【0012】
従来の部分的に自動化された研磨/ポリッシング装置は、例えば16個の研磨盤のためのマガジンを備え、当該研磨盤は、個々の処理ステップのために、自動化された交換システムによって研磨ディスク上に載置され得る。まず比較的粗い研磨粒から始め、続いてより細かくなり、最後にポリッシング盤が続く。仕上げられたサンプル表面を生成するためには、通常4~6回の研磨及びポリッシングステップが必要とされる。各処理ステップの後、水、メタノールを用いて又は超音波浴中で、1つ又は2つの洗浄ステップが実行される。
【0013】
有利には、この装置は、比較的コンパクトかつ安価である。しかしながら、不利な点は、1つのサンプル保持器内で常に6つのサンプルのみが自動的に生成され、次いでサンプル保持器が交換されることである。更に、研磨及びポリッシング盤は、各ステップの後、研磨ステップとポリッシングステップとの間で交換される。加えて、サンプルは、手動でサンプル保持器内にクランプされ位置合わせされる。
【0014】
別の基本的に同様の変形例では、サンプルは保持器内にクランプされ、同様に研磨盤が交換される。しかしながら、2つ以上のサンプル保持器が装備されることができ、機械は2つの洗浄ステーションを有する。しかしながら、この機械において不利な点は、サイズが大きくなることである。
【0015】
ATM Qness GmbHから、複数の研磨/ポリッシングステーションを有する自動研磨・ポリッシング装置が知られている。この機械は、複数の研磨/ポリッシングディスク、洗浄ステーション及びサンプルをドレッシングするための平面研磨装置をモジュール式に備えることができる。その他に、種々の研磨盤及びポリッシング盤を備えたマガジンも存在する。この機械は、2つのポリッシングヘッドを含み、これらは、それぞれ1つのサンプル保持器を収容することができ、複数のサンプルを有する2つのサンプル保持器を同時に処理することができる。機械は、12個までのサンプル保持器がその中に収容され得るサンプル保持器マガジンを有する。12個のサンプル保持器は、自動的に機械によって引き受けられ又は換されクランプされる。しかしながら、サンプルは、手動で、サンプル保持器内にクランプされ、平坦に整位置決めされなければならない。モジュール式の設計により、機械は、4つ、6つ又は8つのステーションを有するものとして構築され得る。有利には、この自動研磨・ポリッシング装置によってより高いサンプルスループットを達成することができ、当該自動研磨・ポリッシング装置は、そのモジュール式の設計により、操作者の要求に良好に適合可能である。しかしながら、調達は、比較的高い投資コストと結び付いている。更に、機械は、非常に大きなスペースを必要とする。
【0016】
複数のサンプル保持器が供給ベルト上に収容され、第1の装置内へ運搬される、更なる機械が知られている。そこでは、サンプル保持器は、まず砥石によりドレッシング(平坦化)され、洗浄され、続いて第1の精密研磨プロセスが行われる。続いて、サンプル保持器は第2の装置内へ運搬され、そこで、中間洗浄及び最終洗浄を伴う2つの研磨ステップが行われる。両方の処理ステーションは同時に動作し、すなわち、第1のサンプル保持器が第2の装置内でポリッシングされている間、第1のデバイスは既に次のサンプル保持器で動作している。
【0017】
この機械は、同様にモジュール式に構築されており、任意に多くの装置が組み合わせられ得る。不利な点は、とりわけ複数の装置が組み合わされる場合に、高い調達コスト及び非常に大きなスペースを必要とすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の課題は、操作が容易であり、特定の能力を必要とする作業時間を操作者にほとんど要求しない、埋め込み材料中にサンプルを埋め込むための埋め込みプレスを提供することである。
【0019】
本発明の課題の更なる態様は、多数のサンプルを埋め込み材料中に自動的に埋め込むための、埋め込みプレスを提供することである。
【0020】
本発明の課題の更なる態様は、操作者が多数のサンプルを1つの作業工程で埋め込みのために準備することを可能にする、サンプルを埋め込み材料中に埋め込むための埋め込みプレスを提供することであり、当該埋め込みプレスは、次に、準備されたサンプルを自動的に操作者がそこにいない状態で埋め込み、例えば平面研磨及びポリッシングのような更なる処理のために準備することができる。
【0021】
本発明の更なる課題は、高い効率及び操作者にとって高い快適性を提供する、特に埋め込まれたサンプルのサンプル下面を平面研磨及び/又はポリッシングするための、研磨及び/又はポリッシング装置を提供することである。
【0022】
本発明の課題の更なる態様は、安価であり、実験室内でほとんどスペースを必要とせず、それにもかかわらず高いサンプルスループットを有する、特に埋め込まれたサンプルのサンプル下面を平面研磨及び/又はポリッシングするための、研磨及び/又はポリッシング装置を提供することである。
【0023】
本発明の課題の更なる態様は、それによりサンプルのドレッシング/平坦化を省略することができる、特に埋め込まれたサンプルのサンプル下面を平面研磨及び/又はポリッシングするための、研磨及び/又はポリッシング装置を提供することである。
【0024】
本発明の課題の更なる態様は、複数の有利な特性、すなわち低コスト、高い作業時間効率、高いサンプルスループット及び小さなスペースしか必要としないことを互いに組み合わせる、特に埋め込まれたサンプルのサンプル下面を平面研磨及び/又はポリッシングするための、研磨及び/又はポリッシング装置を提供することである。
【0025】
本発明の更なる課題は、硬度試験、構造分析又は他の金属組織学的調査のために完全に準備された埋め込まれたサンプルの生成を簡易化することである。
【0026】
本発明の課題の更なる態様は、サンプル間の操作者の介入なしに、サンプルを自動的に埋め込むと共に、次いで、埋め込まれたサンプルのサンプル下面を処理する、特にそれを研磨及び場合によってはポリッシングすることができる、生産システムを提供することである。
【0027】
本発明の課題の更なる態様は、一方では操作者の所要作業時間に関する効率、及び、他方では実験室における小さな空間要求及び低コストを、互いに調和させる、多数のサンプルを埋め込み、研磨し、必要に応じてポリッシングするための、生産システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の課題は、独立請求項の主題によって解決される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0029】
本発明の一態様は、金属組織学的なサンプルを埋め込み材料中に埋め込むための埋め込みプレスに関する。そのような埋め込まれたサンプルの直径は、例えば硬度試験若しくは組織分析のような材料調査を実行するための小さな金属片及び対応する準備ステップを、良好に取り扱うことができるよう、例えば20mm~60mmの範囲にあり得る。
【0030】
埋め込みプレスは、埋め込まれるべきサンプルのためのサンプル受容位置、及び、加圧シリンダを有する加圧ユニットを含み、加圧シリンダ内では、ピストンを用いてサンプルを例えばプラスチック埋め込み材料によって高圧下及び場合によっては高温下で、埋め込みプレスプロセスの完了後にサンプルが埋め込み材料中に強固に埋め込まれているように、プレスされる。ピストン駆動装置としては、例えば、スピンドル駆動装置によって又は油圧により駆動されるピストンロッドが、使用され得る。加圧シリンダは、埋め込みプレスプロセスを高温化で実行するために、特に例えば100℃~300℃の範囲で生じ得るプラスチック埋め込み材料の融解を生じさせるために、好ましくは加熱されている。より速い冷却を達成するために、加圧シリンダが冷却されていてもよい。金属組織学において、このプロセスは、熱間埋め込み又は温間埋め込みと呼ばれる。
【0031】
更に、埋め込みプレスは、埋め込み材料を加圧シリンダ内に計量供給するための投入装置を含む。埋め込み材料を投入する際、埋め込まれるべきサンプルは、特に加圧シリンダ内のピストンの上に緩く置かれ、埋め込み材料は、埋め込み顆粒、特にプラスチック顆粒として、上方からサンプル及びピストンの上へ流下する。投入装置は、1つ又は複数のリザーバに接続されることができ、当該リザーバからは、埋め込み顆粒が投入装置内へ、例えばそれぞれコンベヤ・スクリューによって運搬される。
【0032】
埋め込みプレスは、多数の装填場所を有するサンプル装填テーブルを更に含み、操作者は、当該装填場所の上に、それぞれ1つの埋め込まれるべき、すなわち埋め込み用に意図されたサンプルを載置することができる。サンプル装填テーブルは、例えば、その外周に多数の装填場所を有するインデックステーブルであることができる。
【0033】
更に、制御装置が含まれており、当該制御装置は、埋め込みプレスをプログラム制御された態様で自動的に制御し、厳密には、好ましくは、少なくともサンプル装填テーブル、加圧ユニット及び投入装置を、多数の埋め込みプレスプロセスが、特にサンプル装填テーブルに多数の埋め込まれるべきサンプルが装填された後、次々に自動的に、中間での操作者の介入なしに実行され得るよう制御する。このために、制御装置は、埋め込みプレスを、それぞれ以下のクロックステップを有する多数のクロックサイクルで自動的に制御するように調整されている:
【0034】
クロックステップa):サンプル装填テーブルが、装填場所のうちの1つを、埋め込まれるべきサンプルのうちの1つと共に、加圧ユニットのサンプル受容位置へ移動させるよう、制御装置が、サンプル装填テーブルを制御する。
【0035】
クロックステップb):次に、制御装置は、クロックステップa)においてその装填場所がサンプル受容位置へ移動された埋め込まれるべきサンプルが、自動的にサンプル受容位置から加圧シリンダ内に導入されるよう、加圧ユニットを制御する。更に、制御装置は、埋め込み材料が、加圧シリンダ内へ、埋め込みの上に自動的に投入されるよう、投入装置を制御する。
【0036】
クロックステップc):次に、制御装置は、埋め込まれたサンプルを生成するために、埋め込みプレスプロセスが圧力及び場合によっては高温下で実行されるよう、加圧ユニットを制御する。
【0037】
クロックステップd):次に、制御装置は、クロックステップc)で生成された埋め込まれたサンプルが加圧シリンダから排出されるよう、加圧ユニットを制御する。
【0038】
次に、制御装置は、装填場所の上に載置された全てのサンプルが埋め込まれるまで、クロックステップa)~d)を有するクロックサイクルが自動的に繰り返されるよう、埋め込みプレスを制御する。その際、サンプル装填テーブルは、制御装置によって、各クロックサイクルで1つの装填場所を前進させるよう、制御される。場合によっては、埋め込まれるべきサンプルが加圧シリンダ内へプログラム制御された態様で導入される前に、今ちょうどサンプル受容位置にある装填場所が実際に装填されているかをチェックする、チェック装置を設けることができる。装填されていない場合、制御装置は、このクロックサイクルについてはクロックステップb)~d)が省略され、次の装填場所がサンプル受容位置に移動されるよう、サンプル装填テーブルを自動的に制御することができる。全てのサンプルが埋め込まれると、制御装置は、例えば、存在する装填場所と同じ数のクロックサイクルが処理された場合に、埋め込みプレスを自動的にオフにすることができる。
【0039】
したがって、操作者は、埋め込みプレスでは、彼/彼女がそれぞれ1つの埋め込まれるべきサンプルをそれぞれ1つの装填場所の上に載置することにより、サンプル装填テーブルに、多数の、例えば数十片のサンプルを装填することのみを必要とする。これは、場合によっては更に手によって行うことができるが、待機時間を必要とせず、したがって、一度に比較的迅速に完了させることができる。次に、操作者は、操作者の介入なしに自動的にサンプルを次々に埋め込むために、上述した多数のクロックサイクルを自動的に実行する制御装置の制御プログラムを開始させる。各クロックサイクルは、そのような埋め込みプレスプロセスにおいて、例えば15分のある程度の時間を必要とし、その結果、例えば32のクロックサイクルにおける32個のサンプルの埋め込みは、合計で例えば8時間、すなわち1シフト全体の時間がかかる可能性がある。しかしながら、クロックサイクルの自動的な実行の間、操作者の介入は全く必要とされず、その結果、操作者は、例えば夕方にサンプル装填テーブルを装填して制御プログラムを開始させることができ、翌朝、全てのサンプルを完全に埋め込まれた状態で見い出すことになる。これにより、特定の能力を必要とする作業時間の大幅な節減が達成され得る。
【0040】
例示的な実施形態によれば、サンプル装填テーブルは、インデックステーブルとして、好ましくは回転インデックステーブルとして形成されており、装填場所は、回転インデックステーブルの周縁の環状領域に配置されており、回転インデックステーブルは、次の装填場所をサンプル受容位置へ移動させるために、各クロックサイクルで所定の角度ステップだけ更に回転される。
【0041】
好ましくは、加圧シリンダは、下部の第1の開口及び上部の第2の開口を備える。それにより、サンプルの自動的な導入及び埋め込み材料の投入は、加圧シリンダの軸方向に対向する2つの端部で行われることができ、これは構造的な利点を有する。好ましくは、サンプルは、下方から、すなわち下部の第1の開口を通じて加圧シリンダ内に導入され、埋め込み材料は、上方から、すなわち上部の第2の開口を通じて加圧シリンダ内に計量供給される。
【0042】
好ましくは、加圧ユニットは、上部の閉鎖スライドを備え、制御装置は、次に埋め込みプレスプロセスを実行することができるよう、すなわちクロックサイクルb)の後かつクロックサイクルc)の前に、上部の閉鎖スライドが、埋め込み材料が計量供給された後に自動的に加圧シリンダの上部の第2の開口を閉鎖するように、上部の閉鎖スライドを制御するよう調整されている。
【0043】
本発明の好ましい態様によれば、装填場所には、埋め込まれるべきサンプルのための載置場所として、加圧シリンダのための加圧ピストンとして形成されたそれぞれ1つのピストンがある。このために、装填場所には、サンプル装填テーブルの上面にそれぞれ1つの凹部を形成することができ、当該凹部内には、それぞれ1つの下部載置面、例えば中央開口を有する載置縁部としての環状面を設けることができる。したがって、サンプル装填テーブル内に装填されたピストンは、二重の機能を有し、すなわち、一方では、操作者が予備装填中にサンプルを載置するための載置面として、他方では、それぞれの埋め込みプレスプロセスのための加圧ピストンとして、機能する。好ましくは、加圧ユニットは、例えばピストンロッドを有するピストン駆動装置を備え、サンプル受容位置において、ピストン駆動装置又はピストンロッドは、ピストンをその上にある埋め込まれるべきサンプルと共に装填場所から持ち上げ、下方へ下部の第1の開口を通じて加圧シリンダ内へ押し込むために、それぞれサンプル受容位置にあるピストンに結合し、それぞれのピストンは、後続の埋め込みプレスプロセスにおいて、加圧ピストンとして機能する。換言すれば、各サンプルは固有の加圧ピストンを有し、その上に当該サンプルが準備の装填ステップにおいて載置される。
【0044】
好ましくは、加圧ユニットは、自動化されたサンプルエジェクタを備える。埋め込みプレスプロセスの後、埋め込まれたサンプルは、ピストン駆動装置又はピストンロッド及びピストンによって、加圧シリンダから上方へ移動され、制御装置は、サンプルエジェクタが、加圧シリンダから上方へ移動された埋め込まれたサンプルを加圧ユニットから自動的に排出するように、サンプルエジェクタを制御する。
【0045】
好ましくは、サンプルエジェクタは、埋め込まれたサンプルを排出するために、埋め込まれたサンプルを、加圧シリンダの軸に対して径方向に、上方へ移動されたピストンから下方へ押す。このために、ピストンは、好ましくは、埋め込まれたサンプルが加圧シリンダから完全に外へ移動されるまで上方に移動するが、埋め込み材料とピストン表面との間に場合によっては存在する付着に打ち勝つことができるよう、ピストンは依然として径方向に固定されている。
【0046】
サンプルの排出後、制御装置は、次のクロックサイクルを開始するために、次の装填場所が次のピストン及び次のサンプルと共にサンプル受容位置へ移動される前に、ピストン駆動装置又はピストンロッドが、ピストンと共に再び下方へ移動され、空のピストンが、再びサンプル装填テーブルの装填場所内に載置されるよう、埋め込みプレスを制御する。
【0047】
埋め込みプレスは、下部の領域に、サンプル装填テーブルのための挿入開口を有する。回転式インデックステーブルの場合、挿入開口は、好ましくは、埋め込みプレスが加圧シリンダの下に横方向に開いた凹部を備えることによりU字形に構成されている。直線的なサンプル装填テーブルの場合、導入開口は、それを通じて直線的なサンプル装填テーブルが押し込まれる貫通開口として形成されていてもよい。サンプル装填テーブルは、少なくとも部分的に埋め込みプレスの凹部内を移動し、埋め込まれるべきサンプルを次々に加圧シリンダの下へ移動させるために、埋め込まれるべきサンプルと共に装填場所を横方向に開いた凹部内へ周期的に次々に導入する。
【0048】
好ましい実施形態によれば、埋め込みプレスは、異なる第1及び第2の埋め込み材料を保持するための少なくとも第1及び第2のリザーバを含む。両方のリザーバは投入装置に接続されており、その結果、投入装置は、埋め込み材料を、第1及び第2のリザーバの両方から加圧シリンダ内へ計量供給することができ、第1及び/又は第2の埋め込み材料を、好ましくは次々に、それぞれ所定の量で自動的に加圧シリンダ内へ計量供給するために、第1及び第2の埋め込み材料の投入は、制御装置によって制御される。それにより、操作者の介入なしに、例えば下部の領域ではより高品質の埋め込み材料から成り、上部の領域ではより安価な埋め込み材料から成る、2層の埋め込みが生成され得る。埋め込み材料は、例えば、第1及び/又は第2のコンベヤ・スクリューによって、第1及び/又は第2のリザーバから投入通路内へ導入され得る。埋め込み材料を有するリザーバは、好ましくは、それぞれ、制御装置と通信する自動化された充填レベルモニタを備える。リザーバのうちの1つの中にもはや埋め込み材料がない場合、関連する充填レベルセンサは、この状態を制御装置に報告し、制御装置は、それに応答して、機械を停止し、好ましくは、エラーメッセージ(例えば、リザーバ内に埋め込み顆粒がない)を、ディスプレイを介して操作者に出力し、場合によっては付加的に赤信号灯を点灯させる。
【0049】
本発明の一態様は、埋め込みプレスを用いて多数のサンプルを埋め込み材料中に埋め込むための方法であって、多数の装填場所を備えるサンプル装填テーブルに、準備のステップにおいて、多数の埋め込まれるべきサンプルが、場合によっては手動で充填される方法に関する。サンプル装填テーブルに多数の埋め込まれるべきサンプルが装填された後、サンプルは、以下のクロックステップを有するクロックサイクルで、プログラム制御された態様で自動的に次々に埋め込まれる:
【0050】
クロックステップa):装填場所のうちの1つが、予めその上に載置された埋め込まれるべきサンプルと共に、プログラム制御された態様で、加圧ユニットのサンプル受容位置へ移動される。
【0051】
クロックステップb):ステップa)のサンプルが、プログラム制御された態様で、サンプル受容位置の装填場所から、加圧ユニットの加圧シリンダ内へ押し込まれ、埋め込み材料が、プログラム制御された態様で加圧シリンダ内へ計量供給される。
【0052】
クロックステップc):埋め込まれたサンプルを生成するために、埋め込み材料及びサンプルが、プログラム制御された態様で、加圧シリンダ内でプレスされる。
【0053】
クロックステップd):埋め込まれたサンプルが、プログラム制御された態様で、加圧シリンダから排出される。
【0054】
ステップa)~d)を有するクロックサイクルは、多数のサンプルが埋め込まれるまで、プログラム制御された態様で繰り返される。
【0055】
好ましくは、サンプルは下方から加圧シリンダ内へ導入され、埋め込み材料は上方から加圧シリンダ内へ計量供給される。
【0056】
好ましくは、加圧シリンダは、埋め込み材料の計量供給の後、次にプログラム制御された態様で自動的に埋め込みプレスプロセスを実施するために、その上端においてプログラム制御された態様で自動的に閉鎖される。
【0057】
準備の装填ステップでは、埋め込まれるべきサンプルは、装填場所で、好ましくはそれぞれ固有のピストン上に載置され、ピストンは、次の埋め込みプレスプロセスにおいて、加圧シリンダ内の加圧ピストンとして機能する。クロックステップb)においては、例えば、加圧シリンダの下で、ピストンロッドが、それぞれの加圧ピストンに連結し、それぞれの加圧ピストンを、それぞれのサンプルと共に、上方へ加圧シリンダ内に押し込むことにより、それぞれのサンプルが、それ自体の加圧ピストンと共に、軸方向に下方から加圧シリンダ内へ押し込まれる。
【0058】
サイクル工程c)の後、埋め込まれたサンプルと共にピストンは上方へ移動され、サンプルを排出するために、クロックステップd)において、サンプルエジェクタによって加圧シリンダの軸に対して径方向にピストンから押し下げられるよう、埋め込まれたサンプルは、加圧シリンダから外へ移動される。
【0059】
クロックステップd)の後、空のピストンは再び下方へ移動され、次のクロックサイクルを開始するために、次の装填場所が次のピストン及び次のサンプルと共にサンプル受容位置へ移動される前に、再び装填場所の上に載置される。
【0060】
したがって、好ましくは、サンプル装填テーブルは、続いてそれぞれのピストンをサンプルと共に下方から軸方向に加圧シリンダ内へ導入するために、制御装置によって制御された態様で、ピストンを備える装填場所と、その上に載置された埋め込まれるべきサンプルを、周期的に次々に加圧シリンダの下へ移動させる。埋め込みプレスプロセスの後、加圧シリンダ内へ導入されるために、ピストンは、次のクロックサイクルにおいて次の装填場所が次のピストン及び次のサンプルと共に加圧シリンダの下へ移動する前に、再び軸方向に下方へ加圧シリンダから外へ移動し、再び装填場所の上に載置される。
【0061】
好ましくは、2層の埋め込みを生成するために、少なくとも2つの異なる埋め込み材料が、プログラム制御された態様で自動的に次々に、加圧シリンダ内へ計量供給される。
【0062】
本発明の一態様は、サンプルを埋め込み材料中に埋め込むための、特に上述した特徴を有する埋め込みプレスであって、
垂直軸を有する加圧シリンダと、
埋め込まれるべきサンプルがその上に載置されたピストンと、
加圧シリンダ内に埋め込み材料を計量供給するための投入装置と、を含み、
加圧シリンダは、下部の第1の開口及び上部の第2の開口を備え、埋め込まれるべきサンプルは、ピストンと共に、下部の第1の開口を通じて加圧シリンダ内に押し込まれ、埋め込み材料は、上部の第2の開口を通じて加圧シリンダ内へ計量供給される、埋め込みプレスに関する。
【0063】
すなわち、サンプルを、それ自体のピストンと共に、一方の軸方向側から、すなわち下方から、加圧シリンダ内へ導入し、埋め込み材料を、他方の軸方向側から、すなわち上方から、計量供給することが、基本的に有利であることが判明している。この構造的な構成は、それが、サンプル及び埋め込み顆粒を上方から導入する場合と比較して構造的に幾分複雑である可能性があるとしても、上述した他の特徴と共に、しかしまたそれらから独立して、埋め込みプレスプロセスを簡略化することができる。
【0064】
したがって、本発明はまた、以下のステップを有する、埋め込み材料中にサンプルを埋め込むための、特に上述した特徴を有する方法に関する:
ピストンを、予めその上に載置された埋め込まれるべきサンプルと共に、加圧シリンダの下部の第1の開口を通じて、加圧シリンダ内へ押し込むステップ、
埋め込み材料を、加圧シリンダの上部の第2の開口を通じて、その上に載置されたサンプルを伴うピストンの上へ計量供給するステップ、
加圧シリンダの上部の第2の開口を閉じ、サンプルを埋め込み材料と共に加圧シリンダ内でプレスするステップ、
埋め込まれたサンプルを加圧シリンダから排出するステップ。
【0065】
本発明の更なる態様は、埋め込み材料中にサンプルを埋め込むための、特に上述した特徴を有する埋め込みプレスであって、
加圧シリンダを有する加圧ユニットと、
加圧シリンダ内で埋め込みプレスプロセスを実行するための、ピストンを駆動するためのピストン駆動装置と、
多数の装填場所を有するサンプル装填テーブルと、
好ましくは、ピストン上面を有すると共に、加圧シリンダのための加圧ピストンとして形成された多数のピストンと、を含み、
ピストンは、それぞれ装填場所のうちの1つにおいて、載置面としてのピストン上面によって、操作者がそれぞれ1つの埋め込まれるべきサンプルをピストン上面上に載置することができるような態様で、載置可能であり、
ピストン駆動装置は、クロックサイクル毎にピストンのうちの1つと連結し、それぞれの埋め込まれるべきサンプルが埋め込みプレスプロセスのためにそれ自体のピストンによって加圧シリンダ内へ挿入されることにより、多数のサンプルをクロックサイクルで埋め込むよう、交互にピストンと連結可能である、埋め込みプレスに関する。
【0066】
以下では、研磨及び/又はポリッシング装置、自動化された製造ライン、並びに、関連する方法の実施形態が、更に詳細に説明される。
【0067】
研磨及び/又はポリッシング装置
本開示は更に、特に埋め込まれたサンプルのサンプル下面を平面研磨及び/又はポリッシングするための、実験室スケールの自動化された研磨及び/又はポリッシング装置に関する。研磨及び/又はポリッシングは、特に、試験測定のための、及び、例えば特に埋め込まれた金属組織学的なサンプルに対する硬度試験測定用の埋め込まれたサンプルの準備に役立つ。
【0068】
研磨及び/又はポリッシング装置は、例えば研磨ディスク及び/又はポリッシングディスクのための駆動モータ、制御装置等をその内部に収容することができ、かつ、研磨ディスク及び/又はポリッシングディスクをその内部に配置することができるタブがその上面に形成され得る、装置ハウジングを含む。更に、ハウジングは、機械フレームを収容することができ、当該機械フレームには、しばしば研磨/ポリッシングヘッドと呼ばれる移動可能な装置ヘッドが、水平方向に移動可能に掛けられ得る。
【0069】
本開示の一態様によれば、装置ハウジング内には、サンプル下面を研磨処理するための少なくとも1つの表面処理ステーションが存在し、当該表面処理ステーションは、特に研磨ステーションとして又はポリッシングステーションとして形成されており、すなわち、サンプル下面を研磨するための研磨盤を有する回転及び/又は振動する研磨ディスク、あるいは、サンプル下面をポリッシングするための回転及び/又は振動するポリッシングディスクを備える。
【0070】
更に、研磨及び/又はポリッシングプロセスのためのサンプルを供給及び準備するための、サンプル取出位置を有するサンプル供給装置が含まれている。その際、サンプルの準備は、個々にかつバラバラに、特に連続的に次々に行われる。したがって、好ましくは、埋め込まれたサンプルは個々に処理され、好ましくは複数でサンプル保持器内にクランプされない。サンプル供給装置は、例えばシュート又はコンベヤーベルトとして形成することができ、それによって、埋め込まれたサンプルは、個々に連続的に次々に自動的にサンプル取出位置に滑り落ち又は運搬され、そこで次々に個別に取り出され得る。
【0071】
更に、研磨及び/又はポリッシングプロセス後にサンプルを載置するためのサンプル載置位置が含まれており、サンプルは、研磨及び/又はポリッシングステーションにおける研磨及び/又はポリッシングプロセスの終了後に、そこに載置され得る。サンプル載置位置は、例えばここでもシュート又は更なるコンベヤーベルトの一部として形成することができ、その結果、サンプルは、例えばサンプル収集装置において収集されるために、サンプル載置位置を自動的に連続的に次々に再び離れる。しかしながら、研磨及び/又はポリッシング装置が多数のサンプル取出位置及び/又は多数のサンプル載置位置を備えることも可能であり、その場合、研磨/ポリッシングヘッドは、次々に全てのサンプルを処理するために、サンプル取出位置及びサンプル載置位置に、それぞれ次々に接近する。
【0072】
研磨/ポリッシングヘッドは、サンプルを、好ましくは単一の埋め込まれたサンプルを把持し取り扱うためのサンプル把持器を備える。
【0073】
埋め込まれたサンプルを研磨及び/又はポリッシングするために、研磨/ポリッシングヘッドは、サンプル把持器と共に、まずプログラム制御された態様でサンプル取出位置に接近し、サンプル把持器は、そこで、好ましくは個々の埋め込まれたサンプルを把持し、それを保持する。
【0074】
次に、研磨/ポリッシングヘッドは、サンプル把持器と共に、プログラム制御された態様で少なくとも1つの表面処理ステーションに接近し、当該表面処理ステーションにおいてサンプル下面が研磨処理、特に研磨又はポリッシングされ得るよう、埋め込まれたサンプルを少なくとも1つの表面処理ステーションに供給する。その際、サンプル把持器は、個々の埋め込まれたサンプルを保持し、研磨表面処理ステーションの研磨盤又はポリッシング盤の回転及び/又は振動に加えて、場合によっては連続的にさえ、回転する。
【0075】
研磨又はポリッシング及び場合によっては更なる表面処理ステップの後、研磨/ポリッシングヘッドは、個々の埋め込まれたサンプルをサンプル載置位置に供給するために、サンプル把持器と共にプログラム制御された態様でサンプル載置位置に接近し、埋め込まれたサンプルをサンプル載置位置に載置するために、埋め込まれたサンプルを、サンプル載置位置で、最終的にプログラム制御された態様で解放する。
【0076】
このように、埋め込まれたサンプルの把持から、埋め込まれたサンプルの載置までの処理プロセスの全体は、操作者がサンプル間に介入する必要なく、プログラム制御された態様で自動的に経過する。
【0077】
好ましくは、研磨及び/又はポリッシング装置は、直線的なスライド装置、例えばモータ駆動されプログラム制御装置によって制御されるリニアスライドを備え、当該スライド装置は例えば機械フレームに掛けられ、当該スライド装置によって、研磨/ポリッシングヘッドは、サンプル取出位置、少なくとも1つの表面処理ステーション及び載置位置の間で移動するために、水平方向に移動される。
【0078】
研磨/ポリッシングヘッドは、例えばモータ駆動されプログラム制御装置によって制御されるリニアスライドを有する垂直方向の直線スライド装置を備え、当該直線スライド装置によって、サンプル把持器は、埋め込まれたサンプルをサンプル取出位置において収容するために、埋め込まれたサンプルを少なくとも1つの表面処理ステーションで下降させ研磨盤又はポリッシング盤に対して押し付けるために、及び、埋め込まれたサンプルをサンプル載置位置で載置するために、垂直方向に移動される。これは、例えばスピンドル駆動装置によって実現され得る。
【0079】
有利には、研磨及び/又はポリッシング装置は、埋め込まれたサンプルを次々に完全に自動的に取り扱い、かつ、その下面を平面研磨及び/又はポリッシングすることができ、その結果、操作者は、多数の連続的に処理される埋め込まれたサンプルの進行中の研磨及び/又はポリッシングプロセス中、介入する必要がない。操作者は、研磨及び/又はポリッシング装置に、例えばその総処理時間が数時間を要する可能性のある所望の量の埋め込まれたサンプルを、夕方に装填することができ、翌朝、全ての埋め込まれたサンプルは、完成した状態で個々にサンプル収集装置内で取り出す準備ができている。これは、操作者にとって、埋め込まれたサンプルの研磨及び/又はポリッシングにおける高い効率及び高度の快適性を意味する。
【0080】
更に有利な点は、とりわけ複数の異なる表面処理ステーション、例えば研磨ステーション及びポリッシングステーション、又は、異なる研磨材粒度を有する複数の研磨ステーション、及び/又は、例えば異なるポリッシングス懸濁液を有する複数のポリッシングステーションが、同一の装置ハウジング内に組み込まれ、そこへ同一の研磨/ポリッシングヘッドが次々に接近する場合の、コンパクトな構造の可能性である。好ましくは、全ての研磨及びポリッシングステーションは、同一の装置内に組み込まれており、好ましくは、同一の研磨/ポリッシングヘッドによって操作される。しかしながら、装置は、それぞれが1つのサンプル把持器を有する2つ以上の研磨/ポリッシングヘッドを備えることもでき、当該研磨/ポリッシングヘッドは、同一の装置内の同一の表面処理ステーションに交互に接近する。
【0081】
好ましくは、サンプル把持器は、埋め込まれた金属組織学的なサンプルを、個々に複数のサンプル保持なしに、厳密には自動的にプログラム制御された態様で、特に操作者の介入なしに、把持するように調整されている。埋め込まれた金属組織学的なサンプルの外周の外殻面は、好ましくは円筒形であり、熱間埋め込みプレスの加圧シリンダ内における熱可塑性若しくは熱硬化性の埋め込み材料から成るサンプルの圧入を通じて、埋め込み材料から形成されている。特に、サンプル把持器は、埋め込まれた金属組織学的なサンプルの熱間プレスされたプラスチック埋め込み材料の円筒状の外殻面を把持し、例えば円筒状の外殻面に径方向に押し付けられる把持フィンガーによって、摩擦係合により保持するように調整されている。有利には、熱間埋め込みにおいて、例えばロボットアームによる把持のための特殊な突起を有するカップのような、付加的な補助手段は省略され得る。したがって、円筒形の埋め込まれた金属組織学的なサンプルの外側の外殻面は、好ましくは、埋め込みプレスの加圧シリンダ内で熱間プレスされたプラスチック材料から成る。
【0082】
サンプルスループットに関して、埋め込まれたサンプルを個々に取り扱うことは、差し当たり生産的でないように思われる。しかしながら、特に、好ましくは同一の装置において、全ての研磨及びポリッシングステップが完全に自動的に実行される場合、すなわち、特に、研磨及び/又はポリッシング装置が、操作者の介入なしに、比較的長い時間、例えば一晩、完全に自動的に動作する場合、高いサンプルスループットが依然として達成され得る。特に、操作者の有効な作業時間に対するサンプルスループットの比に関して、そのような高い効率が達成され得る。
更に、特に、埋め込まれたサンプルが、サンプル把持器によって個々にかつ直接的に把持され、処理プロセス全体の間保持される場合、場合によっては、埋め込まれたサンプルの砥石によるドレッシング又は平坦化を省略することができ、これはプロセスを更に簡略化する。
【0083】
特に、一方では依然として高い作業効率で他方では高いサンプルスループットで、低コスト及び低スペース要件の有利な相乗効果を達成することができ、これは実験室において、例えば硬度試験若しくは組織分析のための埋め込まれたサンプルの準備において有利な変数である。
【0084】
サンプル把持器は、例えば少なくとも3つの把持フィンガーを有するフィンガー把持器として形成することができ、把持フィンガーは、径方向に移動可能であり、径方向に移動されることにより、埋め込まれたサンプルを埋め込みプラスチックの周囲の外殻面において把持し保持する。フィンガー把持器、例えば3本指把持器は、個々の埋め込まれたサンプルを把持するのに適していることが判明した。
【0085】
好ましくは、把持フィンガーはそれぞれ水平な棚部を備え、その結果、把持フィンガーの棚部は、埋め込まれたサンプルを可能な限り水平に把持するために、サンプル把持器の下降の際、サンプル上面に対する垂直方向のストッパとして作用する。
【0086】
それにより、埋め込まれたサンプルは、有利には正確に把持されることができ、これは、場合によってはドレッシングを省略することができるという事実に寄与し得る。更に、サンプル把持器の棚部はまた、研磨及び/又はポリッシングの際の接触圧に対する対抗支持部を形成し、その結果、径方向の把持力を許容限度内に保ち、それにもかかわらず、研磨及び/又はポリッシング中の埋め込まれたサンプルの望ましくない滑り落ちを回避することができる。
【0087】
好ましくは、サンプル把持器は、研磨及び/又はポリッシングプロセス中、連続的に回転する。このために、研磨/ポリッシングヘッドは、モータによって回転駆動される駆動シャフトを備え、サンプル把持器は、駆動シャフトの下端に固定されている。したがって、サンプル把持器は、研磨及び/又はポリッシング中に、特に研磨盤及び/又はポリッシング盤の回転又は振動と同時に、把持された埋め込まれたサンプルと共に、所定の回転数で回転する。サンプル把持器の回転は、好ましくは、同様にプログラム制御された態様で、特に、研磨及び/又はポリッシングプロセス用にプログラム制御された態様で、埋め込まれたサンプルがサンプル取出位置において把持された後に起動され、好ましくは、埋め込まれたサンプルがサンプル載置位置に載置される前に、プログラム制御された態様で再び終了される。
【0088】
埋め込まれたサンプルの対称軸は、埋め込まれたサンプルがサンプル把持器によって把持されるとき、好ましくはサンプル把持器の回転軸に対して同軸に延び、その結果、埋め込まれたサンプルは、その対称軸を中心として回転する。
【0089】
それにより、比較的小さな研磨盤及び/又はポリッシング盤を使用することができ、これは、研磨及び/又はポリッシング装置のサイズに対して有利に作用し、加えて、場合によっては研磨盤の研磨材が効率的に使用され得る。好ましくは、表面処理ステーション内の研磨盤及び/又はポリッシング盤は、300mm以下、好ましくは250mm以下、好ましくは80mm~250mmの範囲、好ましくは200mm±50mmの範囲の直径を有する。水平に振動する振動ディスクを有するポリッシングステーションの場合、ポリッシング盤は、場合によっては更に小さい可能性があり、例えば少なくとも50mm、好ましくは50mm~200mm、好ましくは120mm~200mmの直径を有する。
【0090】
好ましくは、埋め込まれたサンプルは、サンプル把持器によって次々に把持されることができるように、研磨及び/又はポリッシング装置に自動的に連続的に個別に供給される。このために、研研磨及び/又はポリッシング装置は、好ましくは自動化されたサンプル供給装置を備え、当該サンプル供給装置によって、個々の埋め込まれたサンプルは、自動的に連続的にサンプル取出位置に入る。サンプル把持器が、現在サンプル取出位置にある埋め込まれたサンプルを把持し取り出すと、次の埋め込まれたサンプルが、自動的にサンプル取出位置へ移動され、先の埋め込まれたサンプルの研磨及び/又はポリッシングプロセスが完了すると、サンプル把持器に対して準備が整う。
【0091】
これは、有利には、プロセス全体の効率に寄与する。
【0092】
自動化された供給装置は、例えば、埋め込まれたサンプルが重力により自力で連続的にサンプル取出位置の方向に滑り落ちるシュート、又は、埋め込まれたサンプルを自動的に連続的にサンプル取出位置に供給し、場合によっては、サンプルストッパがサンプル取出位置を定義するコンベヤーベルト、又は、例えば多数の埋め込まれたサンプルが積み重ねられて挿入されたサンプルマガジンを含むことができる。サンプル取出位置の前に、埋め込まれたサンプルを分別するセパレータを設けることができ、及び/又は、サンプルが水平方向にサンプル把持器によって受容され得るよう、シュートの下部を、サンプルの取り出しのために水平状態に旋回させることができる。セパレータは、サンプルを互いに少し分離し、及び/又は、現在把持すべきサンプルの旋回及び/又は把持の間に、更なるサンプルが滑り落ちるのを防止する。最も下のサンプルは、サンプルプッシャによってサンプル取出位置へ押され得る。
【0093】
特に好ましい実施形態によれば、研磨及び/又はポリッシング装置は、互いに隣接して配置されたサンプル下面を処理するための複数の表面処理ステーションを備え、表面処理ステーションの各々は、サンプル下面を研磨するための研磨盤を有する回転及び/又は振動する固有の研磨ディスク、又は、サンプル下面をポリッシングするための回転及び/又は振動する固有のポリッシングディスクを備える。したがって、特に有利には、研磨/ポリッシングヘッドは、把持された埋め込まれたサンプルと共に、同一の埋め込まれたサンプルを自動的に次々に研磨及びポリッシングするために、及び/又は、次々に異なる粒度で研磨するために、及び/又は、次々に異なるポリッシング剤でポリッシングするために、少なくとも2つの、好ましくは2つより多くの、例えば、表面要件に応じて2~10の、好ましくは3~8の、好ましくは3~6の、表面処理ステーションに接近する。この場合、好ましくは、埋め込まれたサンプルをクランプし直す必要はなく、1つの同一の研磨及び/又はポリッシング装置において全ての表面処理ステップで処理されるか、又は、全ての表面処理ステップの間、同一の研磨/ポリッシングヘッド若しくはサンプル把持器に留まり、有利には(摩耗による場合を除いて)、研磨盤又はポリッシング盤を交換する必要はない。
【0094】
これは、サイズ、ワークフロー効率及び/又は達成される結果の品質に関して、利点を有することができる。
【0095】
したがって、好ましくは、研磨及び/又はポリッシング装置は、少なくとも、第1の研磨盤を有する第1の研磨ステーションと、第1のポリッシング盤を有する第1のポリッシングステーションとを備える。同一の埋め込まれたサンプルを同一の研磨及び/又はポリッシング装置において自動的にプログラム制御された態様で先ず研磨し次にポリッシングするために、研磨/ポリッシングヘッドは、好ましくは、サンプル把持器によって把持された埋め込まれたサンプルと共に、先ず第1の研磨ステーションに接近し、次いで、特に埋め込まれたサンプルをクランプし直すことなく、好ましくは洗浄ステーションの介在の下で、第1のポリッシングステーションに接近する。
【0096】
好ましくは、研磨及び/又はポリッシング装置は、それぞれが研磨盤を有する少なくとも2つの、好ましくは2つより多くの研磨ステーション、例えば第1の研磨盤を有する第1の研磨ステーション、第2の研磨盤を有する第2の研磨ステーション、第3の研磨盤を有する第3の研磨ステーション、及び場合によっては、それぞれが更なる研磨盤を有する更なる研磨ステーションを備え、及び/又は、それぞれがポリッシング盤を有する少なくとも2つ以上のポリッシングステーションを備える。その際、同一の埋め込まれたサンプルを同一の研磨及び/又はポリッシング装置において自動的にログラム制御された態様で、次々に異なる粒度で研磨し、及び/又は、次いで、場合によっては次々に異なるポリッシング剤でポリッシングするために、研磨/ポリッシングヘッドは、好ましくは、把持された埋め込まれたサンプルと共に、クランプし直すことなく、少なくとも2つ、3つ若しくはより多くの研磨ステーション、及び/又は、少なくとも1つのポリッシングステーション、少なくとも2つ若しくはより多くのポリッシングステーションに接近する。
【0097】
好ましい実施形態によれば、研磨及び/又はポリッシング装置は、少なくとも1つの洗浄容器若しくは洗浄槽を備え、それらには、研磨/ポリッシングヘッドがプログラム制御された態様で接近し、それらの中には、研磨及び/又はポリッシングプロセスの前、間及び/又は後に、把持された埋め込まれたサンプルが浸漬される。好ましくは、少なくとも1つの洗浄容器は、当該洗浄容器を自動的にプログラム制御された態様で充填し及び/又は空にすることができるよう、液体入口及び/又は液体出口を備える。
【0098】
好ましくは、研磨及び/又はポリッシング装置は、研磨及び/又はポリッシングプロセスの前、間及び/又は後に、把持された埋め込まれたサンプルを自動的にプログラム制御された態様で吹き付け乾燥するために、特に洗浄容器に少なくとも1つのガスノズルを備える。したがって、埋め込まれたサンプルは、把持器によって、先ず研磨ステーションにおいて研磨され、続いて、研磨屑を洗浄するために洗浄浴中に浸漬され、続いて、洗浄浴中で洗浄液面より上で吹き付け乾燥され、続いてポリッシングされるが、厳密には全てが、プロセス制御された態様で、同一の研磨/ポリッシングヘッド若しくは同一のサンプル把持器によって、特に埋め込まれたサンプルをクランプし直す必要なしに行われる。
【0099】
好ましくは、研磨及び/又はポリッシング装置は、研磨ステーションでの研磨プロセス中に冷却液及び/又は洗浄液を投入するために、冷却液及び/又は洗浄液、例えば水を投入するための1つ又は複数の液体ノズルを備える。更に、例えばダイヤモンド粒子懸濁液のようなポリッシング懸濁液も、液体ノズルのうちの1つを介してポリッシングステーションに投入することができる。
【0100】
これに加えて、冷却液、洗浄液及び/又はポリッシング懸濁液のための液体ノズルは、とりわけ、同一の液体ノズルによって複数の表面処理ステーションが操作され得るよう、研磨/ポリッシングヘッドが、したがって埋め込まれたサンプルが、表面処理ステーションから表面処理ステーションへと共に移動するように、好ましくは研磨/ポリッシングヘッドに配置されている。それにより、研磨及び/又はポリッシング装置は、表面処理ステーションの数にかかわらず、各研磨/ポリッシングヘッドに対して1組の液体ノズルを備えるだけでよい。好ましくは、研磨/ポリッシングヘッドには少なくとも2つの液体ノズル、すなわち研磨プロセスのための冷却液及び洗浄液のための少なくとも1つの液体ノズルと、ポリッシングプロセスのためのポリッシング懸濁液のための少なくとも1つの液体ノズルとが配置されており、その結果、液体ノズルによって、研磨ステーションには冷却液及び/又は洗浄液が、ポリッシングステーションにはポリッシング懸濁液が、それぞれ自動的にプログラム制御された態様で投入され得る。しかしながら、例えば複数の異なる冷却液及び洗浄液のための、特に異なるポリッシング懸濁液のための、2つより多くの液体ノズルが設けられていてもよい。
【0101】
可能な実施形態によれば、表面処理ステーション、及び場合によっては少なくとも1つの洗浄容器は、研磨及び/又はポリッシング装置内で直線的な配列に沿って配置されている。研磨/ポリッシングヘッドは、リニアガイドに沿って表面処理ステーション及び場合によっては洗浄容器を越えて移動し、それぞれのステーションで自動的にプログラム制御された態様で停止し、埋め込まれたサンプルを、把持器によって、例えば研磨のために研磨ステーション内の研磨盤の上へ、洗浄のために洗浄浴内へ、及び/又は、ポリッシングのためにポリッシングステーション内のポリッシング盤の上へ下降させることにより、種々の表面処理ステーションへ次々に接近することができるよう、好ましくは、この直線的な配列に沿って、リニアガイドによって直線的に変位可能に掛けられている。このような直線的な配列は、実験室において、空間要件に関連して有利であり得る。
【0102】
実験室内での空間条件を更に良好に利用するために、表面処理ステーション及び場合によっては少なくとも1つの洗浄容器は、水平面内における2次元配列で配置することもできる。例えば、2つの研磨ステーション及び2つのポリッシングステーションを2×2配列で、3つの研磨ステーション及び2つのポリッシングステーションを3×2配列で、あるいは、更に多くの表面処理ステーションも、配置することができる。好ましくは、研磨及び/又はポリッシングステーションの間に、更に1つ又は複数の洗浄容器が、場合によっては横方向にオフセットして、配置されている。そのような配列は、表面処理ステーション及び場合によっては洗浄容器への接近の際の経路に関連して利点を有し得るが、これは、プロセス速度にとって有益であり得る。2次元配列の場合、水平平面内の全ての点に接近することができるよう、研磨/ポリッシングヘッドは、独立して2次元的に、すなわち例えば独立してx方向及びy方向に、変位可能に掛けられている。これは、全ての表面処理ステーション及び1つ又は複数の洗浄容器に、x方向及びy方向の2つの次元で接近することができるよう、コンテナクレーンの場合と同様に、例えばガントリー配列によって達成され得る。このために、研磨/ポリッシングヘッドは、例えばU字形ブリッジに掛けられることができ、研磨/ポリッシングヘッドは、直線方向x又はyに変位可能にブリッジに掛けられている。ブリッジ自体は、他の直線方向y又はxへの変位を可能にするリニアガイド上に立っている。
【0103】
好ましくは、研磨及び/又はポリッシング装置のハウジングは、例えば保護グリッドの形態の安全エンクロージャを備え、その中には、負傷のリスクを回避するために、例えば把持器、研磨/ポリッシングヘッド、及び/又は、全ての研磨及び/又はポリッシングステーションのような、全ての可動部分が収容されている。安全エンクロージャは、前方へ開いていることができ、前方の開口部は、操作者が、例えばサンプル把持器、研磨ステーション、ポリッシングステーション又は洗浄容器にアクセスするために、光バリアを越えて安全エンクロージャの内部空間内へ手を伸ばした場合に、光バリアが自動的に緊急スイッチオフを発動することによって、例えば(レーザ)光グリッドのような光バリアによって、介入に対して保護されている。
【0104】
サンプル把持器は、特に垂直リニアガイドを用いて、垂直に直線的に移動可能に研磨/ポリッシングヘッドに掛けられている。サンプル把持器を垂直方向に移動させるために、研磨/ポリッシングヘッドは、好ましくは垂直なリニアスライドを備え、当該リニアスライドに、サンプル把持器及び/又はサンプル把持器の回転駆動のためのモータが、z方向(テーブル平面に対して垂直)の長手方向に移動可能に掛けられている。垂直なリニアスライドは、サンプル把持器の垂直移動のために、例えばスピンドル駆動装置を備えることができる。このようにして、サンプル把持器の垂直方向の変位可能性及び同時の連続的な回転を可能とすることができ、その結果、サンプル把持器は、自動的にプログラム制御された態様で、i)研磨/ポリッシングヘッドによって、サンプル取出位置、研磨ステーション、ポリッシングステーション、1つ又は複数の洗浄容器、及び/又は、サンプル載置位置に接近することができ、iii)そこで、埋め込まれたサンプルの研磨、ポリッシング、洗浄及び/又は載置のために、埋め込まれたサンプルを受容し把持するために下降され、iii)例えば研磨、ポリッシング及び/又は洗浄の際に回転し、iv)次いで、次のプロセスステップの前に再び上方へ移動される。好ましくは、埋め込まれたサンプルの各々は、個々にかつ連続的に次々に、研磨及び/又はポリッシング装置内への供給から、完全に研磨され、ポリッシングされ、洗浄された埋め込まれたサンプルに至るまで、厳密には特に1つの同一の装置内で、サンプル把持器によって把持され、自動的にプログラム制御された態様で、場合によっては複数の研磨ステップを有する研磨プロセスを通り、場合によっては複数のポリッシングステップを有するポリッシングプロセスを通り、場合によっては、場合によっては複数の洗浄ステップを有する洗浄プロセスを通って導かれる。それにもかかわらず、研磨及び/又はポリッシング装置は、比較的コンパクトに、場合によってはテーブルトップ装置としてさえ、構築され得る。そのようにして完全に研磨され、ポリッシングされ、洗浄された埋め込まれたサンプルは、例えば出願人のQシリーズの硬度試験機のような硬度試験装置を用いた硬度試験測定に供されることができ、あるいは、組織分析が実行され得る。
【0105】
好ましくは、埋め込まれたサンプルは、個々の埋め込まれたサンプルとしてサンプル取出位置にバラバラに存在し、特に複数の埋め込まれたサンプルのための特別なサンプル保持器内に手動でクランプされる必要はない。更に、埋め込まれたサンプルをクランプし直す必要なく、同一の研磨及び/又はポリッシングヘッドが、同一のサンプル把持器と共に、特に自動的にプログラム制御された態様で、場合によっては異なる研磨材及び/又はポリッシング剤を有する複数の研磨ステーション及び/又は複数のポリッシングステーションに接近することができると、有利である。
【0106】
埋め込まれたサンプルを研磨及びポリッシングするために、研磨/ポリッシングヘッドが、埋め込まれたサンプルを伴うサンプル把持器の研磨盤又はポリッシング盤への押し付け力を測定する力センサと、駆動装置、好ましくは垂直リニアスライドのスピンドル駆動装置による埋め込まれたサンプルの押し付け力を所定の値に調整する制御回路と、を備えると、有利である。
【0107】
更に好ましくは、サンプル把持器が垂直に(z方向)進んだ距離が測定される。このために、研磨/ポリッシングヘッドは、好ましくは距離計を備え、当該距離計によって、z方向におけるサンプル把持器又はその垂直リニアスライドの直線移動距離が測定される。それにより、例えば研磨プロセスにおいて、操作者によって設定可能な層厚さが、自動的にプログラム制御された態様で除去され得る。このために、垂直リニアスライドは、研磨盤との接触が力センサによって検出され、変位経路のためのゼロ位置として記憶されるまで、埋め込まれたサンプルを研磨盤に対して接近させる。続いて、更に、プログラム制御装置において操作者によって予め設定された研磨厚さの値に達するまで、自動的にプログラム制御された態様で、埋め込まれたサンプルの研磨が行われる。したがって、所定の層厚さの研磨のためのゼロ点は、力センサによって決定され得る。
【0108】
本開示の主題はまた、特に上述した研磨及び/又はポリッシング装置によって、自動的にプログラム制御された態様で、特に埋め込まれたサンプルの下面を自動的に研磨及び/又はポリッシングするための方法であり、プログラム制御装置は、研磨/ポリッシングヘッドを、それに接触した状態でz方向に移動可能なサンプル把持器と共に、特にサンプルをクランプし直すことなく、少なくとも以下のステップによって自動的に制御する:
a)研磨/ポリッシングヘッドをサンプル取出位置に接近させ、サンプル把持器を下降させ、サンプル取出位置においてサンプル把持器によって特にバラバラの個々の埋め込まれたサンプルを把持するステップ、
b)研磨ステーションに接近させ、サンプル把持器をサンプルと共に下降させ、サンプルを所定の押し付け力で研磨ステーションの回転する研磨盤上へ、特にサンプル把持器の回転下で、場合によっては冷却液の計量供給下で押し付け、サンプル把持器をサンプルと共に上昇させるステップ、
c)場合によっては、サンプル把持器によって把持されたサンプルを接近させると共に洗浄容器内へ浸漬させ、サンプルを洗浄容器から上昇させ、場合によってはサンプルを吹き付け乾燥させるステップ、
d)場合によっては、ステップb)とは異なる研磨盤を有する他の研磨ステーションにおいて、ステップb)を繰り返すステップ、
e)場合によっては、ステップc)を繰り返し、ステップシーケンスd)及び/又はe)を、特に異なる研磨盤を有する他の研磨ステーションにおいて、更なる回数繰り返すステップ、
f)ポリッシングステーションに接近させ、サンプル把持器をサンプルと共に下降させ、サンプルを所定の押し付け力でポリッシングステーションのポリッシング盤上へ、場合によってはサンプル把持器の回転下で、場合によってはポリッシング懸濁液の投入下で押し付け、サンプル把持器をサンプルと共に上昇させるステップ、
g)洗浄容器に接近させ、サンプル把持器によって把持されたサンプルを洗浄容器内へ浸漬させ(サンプル浴)、サンプルを洗浄容器から上昇させ、場合によってはサンプルを吹き付け乾燥させるステップ、
h)場合によっては、場合によっては異なるポリッシング剤を有する他のポリッシングステーション、において、例えばステップf)とは異なるポリッシング懸濁液の投入下で、ステップf)を繰り返すステップ、
i)場合によっては、ステップg)を繰り返し、ステップシーケンスh)及び/又はi)を、特に異なるポリッシング剤、例えば異なるポリッシング懸濁液を有する他の研磨ステーションにおいて、更なる回数繰り返すステップ、
j)研磨/ポリッシングヘッドをサンプル載置位置に接近させ、サンプルをサンプル把持器によって、特にサンプル把持器を亜考させることによって、サンプル載置位置に載置し、サンプル把持器によってサンプルを解放するステップ。
【0109】
本開示の主題はまた、特に上述したように、埋め込まれたサンプルのサンプル下面を処理するための、研磨/ポリッシング装置及び/又はエッチング装置であり、以下を含む:
装置ハウジング、
個々の埋め込まれたサンプルを把持するように形成されたサンプル把持器、
以下のステーションのうちの少なくとも1つ若しくは複数又はそれらの組み合わせ:
埋め込まれたサンプルのサンプル下面を研磨するための、研磨ディスク及び研磨盤を有する研磨ステーション、
埋め込まれたサンプルのサンプル下面を洗浄するための洗浄ステーション、
埋め込まれたサンプルのサンプル下面をポリッシングするための、ポリッシングディスクを有するポリッシングステーション、及び/又は、
埋め込まれたサンプルのサンプル下面をエッチングするためのエッチングステーション、
そして、埋め込まれたサンプルはサンプル把持器によって把持され、サンプル把持器は、埋め込まれたサンプルのサンプル下面をそれぞれのステーションにおいて処理するために又は埋め込まれたサンプルを洗浄するために、把持された埋め込まれたサンプルを、ステーションのうちの1つ又は複数に供給する。
【0110】
個々の埋め込まれたサンプルの把持は、自動化されたワークフローに関して有利であることが判明した。更に、サンプル保持器内への手動によるクランプ及び場合によってはドレッシングを、省略することができる。更に、装置は、比較的小さな寸法で構築され、安価であり得る。
【0111】
自動化された生産ライン
本開示は、更に、金属組織学的なサンプルの埋め込みと、埋め込まれたサンプルのその後の表面処理との両方を、特に操作者の介入なしに、自動的にプログラム制御された態様で実行することができ、サンプルを、埋め込みから、準備されたすなわち研磨され場合によってはポリッシングされたサンプル下面を伴う完成まで、自動的に一貫処理する、自動化された生産ラインに関する。
【0112】
生産ラインは、特にそれぞれ上述したような、多数のサンプルを連続的に次々にプログラム制御された態様で埋め込み排出するための自動化された埋め込みプレスと、埋め込みプレスによって埋め込まれた多数のサンプルのサンプル下面を連続的に次々にプログラム制御された態様で処理するための自動化された表面処理装置とを含む。表面処理装置は、更に、埋め込みプレスから供給された埋め込まれたサンプルのためのサンプル取出位置と、表面処理された埋め込まれたサンプルを載置するためのサンプル載置位置とを備える。サンプル下面の処理は、研磨処理、特に研磨及び/又はポリッシングとして行われる。したがって、表面処理装置は、特に、サンプル下面を研磨及び/又はポリッシングすることができる研磨及び/又はポリッシング装置である。
【0113】
生産ラインの終わりには、すなわち表面処理装置の後には、埋め込みプレスによって埋め込まれ、研磨及び/又はポリッシング装置によって研磨及び/又はポリッシングされた、多数の埋め込まれたサンプルを収集し、取り出すための、及び、操作者による更なる使用のための、サンプル収集装置がある。
【0114】
埋め込みプレスによって埋め込まれ排出されたサンプルは、第1の運搬装置によって自動的に連続的に次々に、研磨及び/又はポリッシング装置のサンプル取出位置に運搬される。研磨及び/又はポリッシング装置によって研磨及び/又はポリッシングされた埋め込まれたサンプルは、場合によっては第2の運搬装置によって、サンプル取出位置からサンプル収集装置内へ運搬され得る。したがって、埋め込まれたサンプルは、研磨及び/又はポリッシング装置に自動的に供給され、及び/又は、自動的に再びそこから運び去られる。
【0115】
埋め込みプレス及び研磨及び/又はポリッシング装置は、プログラム制御装置によって自動制御され、その結果、埋め込みプレス及び研磨及び/又はポリッシング装置は、プログラム制御された態様で多数のサンプルを連続的に次々に埋め込み、研磨及び/又はポリッシングすることができる。
【0116】
生産ラインによって、有利には、多数のサンプルが、プログラム制御された態様で自動的に、操作者の介入なしに、一度に埋め込まれ、研磨され、及び場合によってはポリッシングされることができ、これは、従来の装置と比較して大幅な効率向上を示す。
【0117】
好ましくは、サンプルは、個々に埋め込まれるだけでなく、埋め込まれたサンプルは、生産ライン全体において、特にサンプル保持器なしで個々に、更に処理される。特に、第1及び/又は第2の運搬装置は、埋め込まれたサンプルを個々にバラバラに運搬する。更に、埋め込まれたサンプルは研磨及び/又はポリッシング装置において個々に研磨及び/又はポリッシングされ、及び/又は、研磨及び/又はポリッシングの後、個々にサンプル載置位置に載置され、及び/又は、埋め込まれ、研磨され、及び場合によってはポリッシングされたサンプルは、生産ラインを通過した後、例えばそれぞれ1つの、埋め込まれ、研磨され、及び場合によってはポリッシングされたサンプルのための多数の載置場所を有するマガジンを備えるサンプル収集装置において、操作者による取り出しができる状態になる。サンプル収集装置内で準備の整った埋め込まれたサンプルは、特に実際の材料サンプルに対する更なる表面処理ステップなしに、そこから直接的に、例えば、硬度試験機、顕微鏡、マクロスコープ又は同様の分析装置のような分析装置内へ挿入され、あるいは、組織分析又は他の冶金学的な分析に使用され得る。
【0118】
それにより、操作者は、有利には、多くの従来の装置において必要とされた複数のサンプル、例えば6つのサンプルのサンプル保持器内へのクランプ及び取り外しをせずに済み、これは、有利には、組み合わされた埋め込み及び表面処理プロセスを簡略化し、埋め込まれ、研磨され及び場合によってはポリッシングされたサンプルの生成プロセスの効率向上に寄与する。
【0119】
個々のバラバラの埋め込まれたサンプルを、埋め込みプレスから研磨及び/又はポリッシング装置へ、及び/又は、研磨及び/又はポリッシング装置から収集ステーションへ運搬するために、例えばシュート又はモータ駆動されるコンベヤーベルトが使用され得る。埋め込まれたサンプルは、埋め込みプレスの後、生産ラインを通って個々に更に移動するので、コンベヤーベルトだけでなく研磨及び/又はポリッシング装置も、比較的コンパクトに構成され得る。コンベヤーベルトは、個々の埋め込まれたサンプルの直径に対応する僅かなベルト幅のみを必要とし、これは15mm~100mmの範囲、好ましくは25mm~50mmの範囲であり得る。
【0120】
特に、自動化された埋め込みプレス並びに研磨及び/又はポリッシング装置を含む生産ライン全体は、実験室用ベースキャビネット上に設置され得るよう、コンパクトに構築され得る。生産ラインの底面積は、好ましくは最大で800cm×150cm、好ましくは最大で600cm×120cm、好ましくは最大で400cm×90cmのサイズを有する。
【0121】
自動化された埋め込みプレスは、好ましくは加圧シリンダを有する加圧ユニットと、埋め込み材料、例えばプラスチック顆粒を計量供給するための投入装置と、操作者がそれぞれ1つの埋め込まれるべきサンプルをその上に載置することができる多数の装填場所を有するサンプル装填テーブルと、を含み得る。操作者は、準備作業ステップにおいて、多数の装填場所に、それぞれ1つの埋め込まれるべきサンプルを、例えば数十の埋め込まれるべきサンプルを、装填することができる。この典型的には唯一の依然として手動の準備作業ステップの後、操作者は、プログラム制御装置によって生産ラインを起動することができ、生産ラインは、その後、自動的に連続的に次々にサンプルを自埋め込み、このようにして埋め込まれたサンプルを自動的に連続的に次々に研磨及び/又はポリッシング装置に運搬し、研磨及び/又はポリッシング装置は、埋め込まれたサンプルのサンプル下面を自動的に連続的に次々に研磨及び場合によってはポリッシングし、このようにして埋め込まれ、研磨及び/又はポリッシングされたサンプルを、厳密には既に上述したように好ましくはここのバラバラの埋め込まれたサンプルとして、サンプル保持器を必要とすることなく、サンプル収集装置に運搬する。
【0122】
サンプルの埋め込みのために、加圧シリンダは、好ましくは、下部の第1の開口及び上部の第2の開口を有する。埋め込まれるべきサンプルは、それぞれの装填場所から、好ましくは下部の第1の開口を通じて加圧シリンダ内に導入され、埋め込み材料は、上部の第2の開口を通じて加圧シリンダ内に計量供給される。
【0123】
埋め込まれるべきサンプルと埋め込み顆粒の加圧シリンダ内への導入の空間的な分離は、構造的に有利であり、加圧シリンダによるサンプルの自動的なプログラム制御された態様での埋め込みにおける更なる効率向上に寄与し得る。
【0124】
埋め込みプレスプロセスの後、埋め込まれたサンプルは、好ましくは加圧シリンダの上部の第2の開口から上方へ移動され、加圧ユニットは、埋め込まれたサンプルをプログラム制御された態様で加圧ユニットから第1の運搬装置上へ排出するサンプルエジェクタを含む。
【0125】
自動化されたサンプルエジェクタは、生産ラインの自動化の度合いに寄与し、加圧シリンダ内へのサンプル導入と加圧シリンダからの埋め込まれたサンプルのサンプル排出との空間的な分離は、自動化された生産ラインにとって構造的に有利である。
【0126】
埋め込みプレスプロセスの後、好ましくは加圧シリンダ内の加圧ピストンは上方へ移動し、その際、埋め込まれたサンプルを上方へ加圧シリンダから外へ移動させる。次いで、例えばモータ駆動されるスライドとして形成されたサンプルエジェクタは、加圧シリンダの軸に対して横方向に、すなわち実質的に水平に、埋め込まれたサンプルを加圧ピストンから第1の運搬装置上へ押し下げる。スライドのモータ駆動装置は、例えば電動モータ、空気圧若しくは油圧駆動装置を含み得る。
【0127】
その際、埋め込み材料と加圧シリンダとの間の表面付着に打ち勝つことができ、埋め込まれたサンプルの経路を短く保つことができ、これは、生産ラインのコンパクトさ及び構造的な簡潔性に寄与し得る。
【0128】
好ましくは、埋め込まれたサンプルのサンプル下面を平面研磨及びポリッシングするための研磨及び/又はポリッシング装置である表面処理装置は、好ましくは以下を備える:
サンプル下面を研磨するための研磨ディスク及び研磨盤を有する研磨ステーション、並びに、サンプル下面をポリッシングするためのポリッシングディスクを有するポリッシングステーション。
【0129】
したがって、好ましくは、表面処理装置は、対応する研磨及びポリッシングステーションを有する組み合わされた研磨及びポリッシング装置である。好ましくは、1つの同一の装置内に、複数の研磨ステーション及び場合によっては複数のポリッシングステーションさえ存在し、その結果、異なる粒度での全ての必要な研磨プロセス、並びに、場合によっては異なるポリッシング懸濁液による全ての必要なポリッシングプロセスが、1つの同一の装置内で実行され得る。各研磨ステーションは、好ましくは、それ自体の研磨タブと、それ自体の研磨ディスクと、関連する研磨ディスクの上に装着されたそれ自体の研磨盤を備え、各ポリッシングステーションは、好ましくは、それ自体のポリッシングタブと、場合によってはポリッシングクロスも含み得るポリッシング盤を有するそれ自体のポリッシングディスクを備える。
【0130】
埋め込まれたサンプルは、好ましくは、サンプル把持器が個々のバラバラの埋め込まれたサンプルを把持し、これを次いで、サンプル下面のそれぞれの表面処理ステップを実行するために、ステーションからステーションへ移動させることにより、サンプル把持器によってサンプル取出位置からピックアップされる。換言すれば、サンプル把持器は、単一のサンプルを把持し、次いで、第1の研磨プロセスを実行するために、それを先ず研磨ステーションのうちの1つに移動させる。続いて、サンプル把持器は、同一の埋め込まれたサンプルを、例えばより細かい粒度での研磨プロセスを実行するために、次の研磨ステーションに移動させることができる。続いて、サンプル把持器は、同一のサンプルを、ポリッシングプロセスを実行するために、ポリッシングステーションに移動させることができる。好ましくは、約4~6の研磨及びポリッシングプロセスが、異なる研磨及びポリッシング剤を用いて各サンプルに対して行われ、各研磨及びポリッシングプロセスは、固有のステーションで実行される。これは、研磨盤及び/又はポリッシング盤を、研磨及びポリッシングプロセスの間に、すなわち進行中のプロセス中に交換することが、摩耗の故に研磨盤を交換しなければならない場合を除き、回避できるという利点を有する。これにより、研磨及びポリッシングプロセスの高い効率が可能となる。
【0131】
場合によっては、研磨及び/又はポリッシング装置は、洗浄容器も含むことができ、サンプル把持器は、各研磨及びポリッシングプロセスの後、埋め込まれたサンプルを洗浄するために、当該埋め込まれたサンプルを洗浄ステーションに移動させる。
【0132】
全ての所望の研磨及びポリッシングプロセス及び場合によっては洗浄プロセスが実行された後、研磨/ポリッシングヘッドはサンプル把持器と共にサンプルをサンプル載置位置に移動させ、サンプル把持器はそこでサンプルを載置する。
【0133】
既に上述したように、埋め込まれたサンプルは、研磨及び/又はポリッシング装置においても、個々に好ましくはバラバラに処理され、すなわち、サンプル把持器は、サンプル保持器なしで埋め込まれたサンプルを個々に把持するように、及び、そのようにして把持された個々のサンプルを、場合によっては洗浄ステーションの介在下で、研磨ステーションから研磨ステーションへ、研磨ステーションからポリッシングステーションへ、ポリッシングステーションからポリッシングステーションへ、全ての研磨及び/又はポリッシングプロセス及び場合によっては洗浄プロセスを通して移動させるように、調整されている。
【0134】
それにより、一方では、サンプル保持器内へのサンプルのクランプ、及び、サンプル保持器からのサンプルの取り外しが、回避され得る。他方、個々のサンプルの取り扱い及び複数サンプル保持器の省略は、埋め込みプレスと研磨及びポリッシング装置との間での埋め込まれたサンプルの中間保管、サンプル収集装置における最終保管、及び、コンベヤーベルト上への搬送において、空間の節約に寄与する。しかしながら、更に、研磨ステーション、ポリッシングステーション及び/又は洗浄ステーションは、より小さなサイズで具現することもでき、これは、生産ラインのコンパクトさ及びコスト削減に対して、相乗的な態様で付加的に寄与する。埋め込まれたサンプルの生成における従来の対抗手段、すなわち、一方ではより高い自動化の度合い及び高い効率、他方では低い空間要件及び低いコストは、互いに調和させることができる。
【0135】
好ましくは、研磨/ポリッシングヘッドは、モータによって回転駆動される駆動シャフトを備える。サンプル把持器は駆動シャフトに配置されており、その結果、サンプル把持器は、回転軸を中心として回転する。サンプルが、研磨及びポリッシングプロセスの間、研磨盤の回転又はポリッシング盤の回転若しくは振動に加えて回転する場合、高品質な研磨又はポリッシング結果が達成され得る。好ましくは、サンプルの対称軸は、埋め込まれたサンプルがサンプル把持器によって把持されるとき、サンプル把持器の回転軸に対して同軸に延び、その結果、埋め込まれたサンプルは、その対称軸を中心として回転する。
【0136】
自動化された生産ラインの枠内で、同一の研磨及び/又はポリッシング装置が、それぞれがそれ自体の研磨ディスク及びそれ自体の研磨盤を有する、少なくとも2つ以上の研磨ステーション、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又はそれより多くの研磨ステーションを含む場合、有利である。このようにして、異なる粒度を有する種々の研磨盤が種々の研磨ステーションに予め装填されることができ、その結果、サンプル下面を、複数の異なる粒度で、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ又はそれより多くの異なる粒度で、特に埋め込まれたサンプルを研磨する全ての粒度で研磨するために、研磨盤を交換する必要はない。異なる粒度を有する、埋め込まれたサンプルの、例えば数十個のサンプルの生産工程の研磨のために必要な全ての研磨盤は、種々の研磨ステーションに同時に取り付けられており、その結果、埋め込まれたサンプルの研磨プロセスの間に研磨盤を交換する必要はなく、サンプルは次々に研磨ステーションから研磨ステーションへ、合間に研磨盤を交換することなく、移動される。換言すれば、1つの同一の研磨及び/又はポリッシング装置は、少なくとも、各粒度に対して固有の研磨ステーションが存在し、これらの研磨ステーションの全てが同一の研磨及び/又はポリッシング装置に属するか又は同一のサンプル把持器によって接近され得る程度に多くの研磨ステーションを含む。
【0137】
同じことがポリッシングステーションにも当てはまり、そのうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ以上、例えば2つ、3つ、4つ又はそれより多くのポリッシングステーションが、研磨及びポリッシング装置内に存在する。したがって、各ポリッシングステーションは、特定のポリッシング剤に、例えば特定のポリッシング懸濁液に割り当てられ得る。それにより、サンプル間でのポリッシング盤の交換又は研磨ステーションの完全な洗浄が、場合によっては回避され得る。ここでも、好ましくは、埋め込まれたサンプルの、例えば数十個のサンプルの生産工程の研磨のために必要な全てのポリッシング剤は、同時に種々のポリッシングステーションに存在し、その結果、多数の埋め込まれたサンプルのポリッシング中にポリッシング盤及び/又はポリッシング剤を交換する必要はなく、サンプルは次々にポリッシングステーションからポリッシングステーションへ、合間にポリッシング盤及び/又はポリッシング剤を交換する必要なく、移動される。換言すれば、1つの同一の研磨及びポリッシング装置は、少なくとも、各ポリッシング盤又は各ポリッシング剤に対して固有のポリッシングステーションが存在し、これらのポリッシングステーションの全てが同一の研磨及びポリッシング装置に属するか又は同一のサンプル把持器によって接近され得る程度に多くのポリッシングステーションを含む。
【0138】
すなわち、特に、埋め込まれたサンプルに必要な研磨盤を有する全ての研磨ステーション、並びに、同一のサンプルに必要な全てのポリッシングクロス及び/又はポリッシング懸濁液が、同一の研磨及びポリッシング装置に属するか又は同一のサンプル把持器によって接近され得る。したがって、各埋め込まれたサンプルは、サンプル把持器によって一度把持され、次いで、異なる粒度及び場合によっては異なるポリッシングクロス及び/又はポリッシング懸濁液を用いるそれぞれの研磨及び/又はポリッシングプロセスを実行するために、1つの同一のサンプル把持器が、全ての必要な研磨ステーション(たとえば、2、3、4、5、6、7、8以上)及び/又は全ての必要なポリッシングステーション(たとえば、1、2、3、4以上)に接近し、その際、埋め込まれたサンプルは、全ての研磨及び/又はポリッシングプロセス中、サンプル把持器によって把持されたままである。
【0139】
研磨及び/又はポリッシング装置は、更に、少なくとも1つの洗浄容器、好ましくは2つ以上の洗浄容器を含むことができ、これらの洗浄容器は、研磨及び/又はポリッシングヘッドあるいはサンプル把持器によって接近され、それぞれの把持された埋め込まれたサンプルは、これを洗浄するために、研磨及びポリッシングプロセスの前、間及び/又は後に、洗浄容器内に浸漬される。
【0140】
本開示の一態様は、場合によっては更なるステップの介在の下、以下のステップを含む、特に上述した生産ラインを用いて、研磨及び/又はポリッシングされたサンプル下面を有する多数の埋め込まれたサンプルを生成するための自動化された方法に関する:
a)準備ステップにおいて、サンプル装填テーブルのそれぞれの装填場所の上に操作者が場合によっては手動でサンプルを載置することにより、埋め込みプレスに多数の埋め込まれるべきサンプルを準備するステップ、
b)第1の埋め込まれたサンプルを生成するために埋め込みプレスの加圧シリンダ内で第1の埋め込まれるべきサンプルを埋め込み材料と共にプレスするステップ、
c)加圧シリンダから第1の埋め込まれたサンプルを排出するステップ、
d)第1の埋め込まれたサンプルを埋め込みプレスから表面処理装置へ運搬するステップ、
e)第1の埋め込まれたサンプルを表面処理装置のサンプル把持器によって、厳密には個々に把持するステップ、
f)異なる研磨及び/又はポリッシング剤を有する1つ又は複数の種々の表面処理ステーションにおいて第1の埋め込まれたサンプルのサンプル下面を好ましくは連続的に複数回処理するために、同一のサンプル把持器が、同一の表面処理装置の、少なくとも1つの、好ましくは連続的に複数の表面処理ステーション、例えば1つ又は複数の研磨ステーション、及び/又は、1つ又は複数のポリッシングステーションに接近するステップ、
g)サンプル把持器をサンプル載置位置に接近させ、第1の埋め込まれたサンプルをサンプル載置位置に載置するステップ、
h)表面処理されたサンプル下面を有する多数の埋め込まれたサンプルを自動的に生成するために、ステップb)~d)及びe)~g)を多数回繰り返すステップ。
表面処理されたサンプル下面を有する全ての完成したサンプルは、そこで操作者による取り出しのために準備を整えるために、自動的に個々にサンプル収集装置に供給されるその際、ステップb)~h)は、自動的にプログラム制御された態様で、厳密には全てのサンプルについて自動的に次々に、特に合間に操作者の介入が必要となることなく、実行される。その際、ステップb)~d)及びe)~g)の繰り返しサイクルは、互いに独立していても同期していてもよく、埋め込まれたサンプルは、埋め込みプレスと表面処理装置との間で貯留され得る。特に、ステップb)~d)及びe)~g)の繰り返しサイクルが互いに独立しており、1つより多くの埋め込まれたサンプルの埋め込みが先行している場合、埋め込まれたサンプルは、埋め込みプレスと表面処理装置との間で貯留される。
【0141】
好ましくは、サンプル把持器は、それぞれ研磨及び/又はポリッシングプロセスの後、同様にプログラム制御された態様で洗浄容器に接近し、埋め込まれたサンプルを洗浄するために、サンプル把持器によって把持された埋め込まれたサンプルを洗浄容器内に浸漬させる。
【0142】
以下において、本発明が、実施例に基き、図面を参照して詳細に説明されるが、その際、同一の及び類似の要素には、部分的に同一の参照番号が付され、様々な実施例の特徴は互いに組み合わせられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【
図1】自動化された埋め込みプレスの3次元図示である。
【
図3】
図1の埋め込みプレスの、部分的に切断されたビューである。
【
図4】初期状態にある
図1の埋め込みプレスの概略的な断面図である。
【
図5】埋め込み顆粒を投入する際の、
図4と同様の図である。
【
図6】埋め込みプレスプロセスにおける、
図4と同様の図である。
【
図7】埋め込まれたサンプルを排出する際の、
図4と同様の図である。
【
図8】例示的に埋め込まれたサンプルの断面図である。
【
図9】自動化された研磨及びポリッシング装置の3次元図示である。
【
図11】供給ベルトを有する、
図9と同様の図である。
【
図13】垂直な供給マガジンを有する、
図9と同様の図である。
【
図15】安全エンクロージャを有する、
図9の研磨及びポリッシング装置である。
【
図16】
図15の研磨及びポリッシング装置の研磨ステーションの、部分的に切断された図示である。
【
図19】ハウジングのない、研磨及びポリッシングヘッドの3次元図示である。
【
図20】
図19の切断線A-Aに沿った研磨及びポリッシングヘッドの垂直断面図である。
【
図21】
図19の切断線B-Bに沿った研磨及びポリッシングヘッドの垂直断面図である。
【
図22】エッチングモジュールを有する、自動化された研磨及びポリッシング装置の3次元図示である。
【
図24】
図22のエッチングモジュールの3次元的な切断された図示である。
【
図25】
図22のエッチングモジュールの概略的な断面である。
【
図26】実験室用ベースキャビネット上の完全自動化された埋め込みライン、研磨ライン及びポリッシングラインの3次元図示である。
【
図27】完全自動化された埋め込みライン、研磨ライン及びポリッシングラインの更なる実施形態の3次元図示である。
【
図28】安全エンクロージャを有する、
図27の埋め込みライン、研磨ライン及びポリッシングラインである。
【
図29】
図1~7の埋め込みプレスによるサンプルの埋め込みのための例示的なプロセスシーケンスである。
【
図30】
図9~21の研磨及びポリッシング装置による研磨及びポリッシングのための例示的なプロセスシーケンスである。
【
図31】
図26~28の生産ラインによる埋め込まれたサンプルの生成のための例示的なプロセスシーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0144】
1.自動化された埋め込みプレス
図1~7を参照すると、自動化された埋め込みプレス110の一例が示されている。埋め込みプレス110はハウジング112を備え、当該ハウジングには、埋め込み材料としてのプラスチック顆粒のための本例では3つのリザーバ114があり、異なるリザーバ114内には異なる埋め込み材料が保持される。計量装置115によって、ユーザの介入なしに、プログラム制御された態様で、それぞれ所望の量の異なる埋め込み顆粒が、加圧シリンダ内に投入され得る。リザーバ114は、このために、接続管116を介して共通のホッパー118に接続されており、その結果、選択的に、それぞれ所望の埋め込み顆粒が、それぞれのリザーバ114からホッパー118を介して加圧シリンダ内に、投入され得る。
【0145】
図5を参照すると、埋め込み顆粒117は、接続管116内の投入スクリュー120によって、それぞれのリザーバ114から、出口に投入通路119を備えるホッパー118内へ、運ばれる。
【0146】
図1及び3を参照すると、埋め込みプレス110は、多数の装填場所124、本例では32個の装填場所124を備える、サンプル装填テーブル122を有する。この例では、サンプル装填テーブル122は、インデックステーブルとして形成されており、装填場所124は、サンプル装填テーブル122の外縁の環状領域123内に周方向に配置されている。各装填場所124は、サンプル装填テーブル122内の円筒形の孔127と、当該孔内に置かれた金属シリンダの形態のピストン128と、を含む。ピストン128は、下部でエッジ130の上に載っており、上方へ孔から押し出すことが可能である。ピストン128は、加圧ユニット134の加熱された加圧シリンダ132のための加圧ピストンとして形成されている。
【0147】
操作者は、準備の作業ステップにおいて、それぞれのピストン128のピストン上面128b上に埋め込まれるべきサンプル126を置くことにより、装填場所124の一部又は全部に、
図1において半分にされたネジとして表された埋め込まれるべき金属組織学的なサンプル126を、装填する。このために、操作者は、埋め込まれるべきサンプル126の各々を、個々に、一つずつ、それぞれ装填場所124の上に置く。装填場所124にあるピストン128は、サンプル装填テーブル122内に幾分埋没しており、これは、加圧ピストン128上への載置の際の埋め込まれるべきサンプル126の位置決めを容易にする。
【0148】
この手動による準備の作業ステップの後、操作者は、全ての載置された埋め込まれるべきサンプル126の、プログラム制御され完全に自動化された埋め込みプレスプロセスを開始することができる。制御装置若しくはプログラム制御装置111は、クロックサイクルに沿って、サンプル126の埋め込みプレスプロセスを制御する。各クロックサイクルで、サンプル装填テーブル122は、プログラム制御された態様で、それぞれ1つの装填場所124を、その中に置かれた加圧ピストン128及びその上に置かれた埋め込まれるべきサンプル126と共に、加圧ユニット134のサンプル受容位置136へ、すなわち加圧シリンダ132の下へ、移動させる。
【0149】
図4~7は、埋め込まれるべきサンプル126のうちの1つの熱間埋め込み中のクロックサイクルのクロックステップを、概略的に示す。
【0150】
図4では、埋め込みのために意図され、その加圧ピストン128上に置かれた、埋め込まれるべきサンプル126は、加圧シリンダ132の下のサンプル受容位置136にある。本例ではピストンロッドの形態のピストン駆動装置138は、上方に移動し、下方から加圧ピストン128に連結し、加圧ピストン128を加圧シリンダ132の下部の開口132aを通じてその空洞135内に押し込む。ピストンロッド138は、例えば油圧シリンダの一部であることができ、又は、図に詳細には示されていないモータ駆動のスピンドルによって駆動されることができる。
【0151】
図5を参照すると、加圧シリンダ132の上部の開口132bを通じて、1つの又は複数の、場合によっては種々の埋め込み顆粒117が、計量装置115によって、空洞135内へ、サンプル126及び加圧ピストン128の上へ、投入される。次に、加圧シリンダ132の投入開口132bが、閉鎖スライド140が加圧シリンダ132の上方へと水平に押されることによって、当該閉鎖スライド140によって閉鎖される。
【0152】
図6を参照すると、引き続き、ピストンロッド138及び加圧ピストン128によって、加圧シリンダ132の加熱下、高圧下で、加圧ピストン128と閉鎖スライド140との間のサンプル126が、埋め込み顆粒117と共に、熱間プレスされる。本例では、2つの異なる埋め込み顆粒117が投入された。先ず、より品質の高いものが投入され、続いて、サンプル126をそのサンプル下側で取り囲み、上部の領域には、より安価な埋め込み顆粒117が投入された。
【0153】
熱間埋め込みプレスプロセスが完了した後、加圧シリンダ132を上方において開放するために、閉鎖スライド140は再び脇に引かれる。次に、加圧ピストン128は、ピストン駆動装置によって上方へ移動され、埋め込まれたサンプル142は、上部の開口132bを通じて加圧シリンダ132から外へ移動される。
【0154】
図7を参照すると、埋め込まれたサンプル142は、サンプルエジェクタ144によって、水平方向に加圧ピストン128から自動的に脇へ押し下げられ、この例では横方向の排出開口147を通じて加圧ユニット134から押し出されてサンプルシュート148上へと達し、その上で収集容器150内へと滑り落ちる(
図1)。
図1~7に示された埋め込みプレス110の例では、埋め込まれたサンプル142は、収集容器150内に収集される。
【0155】
次に、ピストンロッド138は、加圧ピストン128を再びその装填場所124内に置くために、当該加圧ピストン128を再び下方へ移動させ、ピストンロッド138は、加圧ピストン128から再び連結解除される。ピストンロッド138は、このために、それぞれの加圧ピストン128内でロックされ(図示せず)、その結果、加圧ピストン128は、金型又は加圧シリンダ132から引き出される際、ピストンロッド138から解放されることはできない。ロックは、制御装置又はプログラム制御装置111によって活性化され解除され得るように具現されている。これは、加圧ピストン128が、サンプル装填テーブル122内に置かれる際にピストンロッド138から連結解除され、ピストンロッド138が更にもう少し下方へ移動され、その結果、サンプル装填テーブル122が、次の埋め込まれるべきサンプル126を、加圧ユニット134内へ又は加圧シリンダ132の下へ移動させることができると、有利である。
【0156】
これで、最初のサンプルを埋め込むためのサイクルは終了し、次のクロックサイクルは、サンプル装填テーブル122が次の装填場所124を加圧シリンダ132の下のサンプル受容位置136へと移動させることにより、同様に開始することができる。
【0157】
図示された埋め込みプレス110の例では、サンプル装填テーブル122は、インデックステーブルとして形成されており、ピストンロッド138を、その上に置かれた埋め込まれるべきサンプル126と共に次の加圧ピストン128に連結させるために、プログラム制御装置111によってクロックされる駆動装置151によって、各クロックサイクルで1つの位置だけ更に回転される。
【0158】
加圧ユニット134は、断面において概して略U字形に形成されており(
図2、4~6)、加熱され、場合によっては冷却された加圧シリンダ132の下に、挿入開口152を備える。装填場所124は、埋め込まれるべきサンプル126及び付属する加圧ピストン128と共に、クロックごとに横方向に、この例では横方向に開放された凹部として形成された挿入開口152の中へと導入される。本例では、これは、装填場所124の間隔に対応する角度セグメントだけ、インデックステーブルを回転させることにより、行われる。しかしながら、各クロックサイクルでサンプル装填テーブル122を1クロック位置だけ前進させるために、直線的なサンプル装填テーブル122を使用することも考えられ、それにより、次の加圧ピストン128を加圧シリンダ132内へと押し込むことができる。加圧ユニット134の挿入開口152は、望ましい場合には、干渉からも保護され得る(図示せず)。
【0159】
したがって、埋め込みプレス110は、準備の手動の装填ステップを除いて、埋め込まれるべき多数のサンプル126のための埋め込みプレスプロセス及びサンプルの排出が、連続的に一つずつ完全に自動的にプログラム制御された態様で実施されるという意味で、完全に自動化された埋め込みプレス110である。換言すれば、操作者は、準備の作業ステップにおいて装填場所124に全ての埋め込まれるべきサンプルを装填し、埋め込みプレス110を始動させると、この時点から、埋め込まれるべき全てのサンプル126のための埋め込みプレスプロセスが完全に自動的に進行し、その結果、操作者は、埋め込みプレス110を例えば夕方に装填し始動させることができ、翌朝、収集容器150内に全てのサンプルを埋め込まれた形態で再び見つける。
図8は、埋め込まれたサンプル142の一例の断面を示す。
【0160】
図29を参照すると、埋め込みプレス方法の実施例は、最初に、操作者による準備の方法ステップにおいて、すなわちステップ402における埋め込まれるべき多数のサンプルのサンプル装填テーブルへの装填、及び、次にクロックサイクルの実行を含み、それぞれ、以下のプログラム制御された方法ステップを伴う:
【0161】
ステップ404:サンプル装填テーブル122を移動させるステップであって、装填場所124は、加圧ピストン128のうちの1つ及びその上に置かれた埋め込まれるべきサンプル126と共に、加圧ユニット134の加圧シリンダ132の下のサンプル受容位置136へと移動される。
【0162】
ステップ406:ピストン駆動装置138を加圧ピストン128へと移動させると共に、ピストン駆動装置138をサンプル受容位置136における装填場所124内の加圧ピストン128に連結させるステップ。
【0163】
ステップ408:加圧ピストン128を、その上に置かれた埋め込まれるべきサンプル126と共に、ピストン駆動装置138によって、下から、加圧シリンダ132の空洞135内へと押し込むステップ。
【0164】
ステップ410:1つ又は複数の埋め込み顆粒117を、上部の開口132bを通じて、加圧シリンダ132内へと、加圧ピストン128及びその上に置かれた埋め込まれるべきサンプル126の上へと、投入するステップ。
【0165】
ステップ412:加圧シリンダ132の上部の開口132bを閉じるステップ。
【0166】
ステップ414:加圧シリンダ132内で、圧力及び温度印加の下で、サンプルを埋め込み顆粒117と共に熱間プレスするステップ。
【0167】
ステップ416:加圧シリンダ132を開放するステップ。
【0168】
ステップ418:埋め込まれたサンプル142を加圧シリンダ132から外へ移動させるステップ。
【0169】
ステップ420:埋め込まれたサンプル142を加圧ユニット134から排出するステップ。
【0170】
ステップ422:加圧ピストン128を加圧シリンダ132の空洞135から引き出し、加圧ピストン128を載置場所の上に、特にステップ406の装填場所124の上に置くステップ。
【0171】
ステップ424:ピストン駆動装置138を加圧ピストン128から連結解除するステップ。
【0172】
ステップ404~424を有するクロックサイクルの、プログラム制御された態様での多数回の反復。
【0173】
要約すると、上述した埋め込みプレス110によれば、埋め込みプロセスは、準備の装填ステップの後に完全に自動的に、厳密には、埋め込まれるべき全てのサンプル126について操作者の立会なしに、実行され得る。それにもかかわらず、構造は比較的簡単で安価であり、その結果、自動化された埋め込みプレス110のための投資は短期間で償却され得る。
【0174】
2.自動研磨・ポリッシング装置
図9~21を参照すると、完全に自動化された研磨・ポリッシング装置210(自動研磨・ポリッシング装置)の一例が示されている。自動化された研磨及びポリッシング装置210は、埋め込まれたサンプル142を次々にサンプル取出位置214に運ぶためのサンプル供給装置212を有する。サンプル供給装置212は、例えば、
図9及び10に示されているようにサンプルシュートとして、又は、
図11及び12に示されているようにサンプル取出位置を定義するためにストッパ213を備えるモータ駆動のコンベヤーベルトとして、又は、
図13及び14に示されているようにサンプルマガジンとして、形成され得る。したがって、個々の埋め込まれたサンプル142は、異なる解決策によって搬送、収集又は保管されることができ、場合によっては、自動的に、上流の埋め込みプレス110によって引き継がれ得る。
【0175】
図9及び10を参照すると、任意選択で、最も下の埋め込まれたサンプル142は、サンプルプッシャ215によってサンプル取出位置214へと押し動かされ得る。代替的に、埋め込まれたサンプル142が取り外しのための準備ができた状態にあるサンプルシュートの最も下の部分は、埋め込まれたサンプル142をサンプル把持器222によって把持するために水平な位置に移すために、旋回可能に具現され得る。把持されるべき埋め込まれたサンプル142を旋回させる際、残りの埋め込まれたサンプル142は、それらが滑り落ちないよう、サンプルシュート上で好ましくは押しとどめられる。これは、例えばセパレータによって行われ得る。セパレータ217は、サンプル取出位置214にある埋め込まれたサンプル142をより良好に個々に把持することができるように、コンベヤーベルト212においても使用され得る。
【0176】
図13及び14のサンプルマガジンにおいて、最も下のサンプルは、例えば同様にサンプルプッシャ215を用いて、サンプル取出位置214へと押し動かされ得る。
【0177】
これらのサンプル供給装置212は、それらが埋め込まれたサンプル142を個々に、特に次々に連続的にサンプル取出位置214へと運び、その結果、ちょうどそこにある埋め込まれたサンプル142が取り出されると共に自動的に次の埋め込まれたサンプル142が運ばれるという点で、共通している。更に、埋め込まれたサンプル142は、一般にサンプル供給の方法にかかわらず、サンプル把持器222による正確な把持のために、好ましくは水平にサンプル取出位置214にある。
【0178】
自動化された研磨及びポリッシング装置210は、本例ではフレーム又はブリッジ218に掛けられ、水平なxーy平面内で水平次元x及びyの両方において変位可能である研磨及びポリッシングヘッド216を備える。このために、研磨及びポリッシングヘッド216は、フレーム218に沿ってx方向に変位させることができると共に、フレーム218は、リニアガイド220によってy方向に変位させられる。両方とも、モータ駆動されると共に、プログラム制御された態様で実行可能である。したがって、ここに示された研磨及びポリッシング装置210は、ポータル構造として形成され得る。しかしながら、例えばアウトリガーなど、サンプル把持器のための他の移動機構も使用され得る。
【0179】
研磨及びポリッシングヘッド216は、個々の埋め込まれたサンプル142をサンプル保持なしに把持するように形成されたサンプル把持器222を含む。サンプル把持器222は、本例では、3本指把持器として形成されている。サンプル把持器222は、径方向に移動可能な(本例では3本の)把持フィンガー224を備え、当該把持フィンガーは、埋め込まれたサンプル142をその径方向外周の外殻面142cで把持し、摩擦接続式に保持する。把持フィンガー224は、段部226又は内向きの棚部を有し、これは、サンプル上面142bに対するストッパを形成すると共に、埋め込まれたサンプル142が可能な限り水平にサンプル把持器222によって把持され得るという結果をもたらす。
【0180】
図19~21を参照すると、サンプル把持器222は、ボールベアリングによって支持された駆動シャフト228の下端に配置されており、当該駆動シャフトは、ベルト駆動部230を介して駆動モータ232によって駆動され、その結果、サンプル把持器222は、研磨及びポリッシングプロセスの間、所定の回転数で連続的にその対称軸Aを中心として回転する。サンプル把持器222を回転させるための駆動モータ232は、伝動装置244及びカップリング246を介してベルト駆動部230に連結されている。更に、研磨及びポリッシングヘッド216はリニアスライド234を有し、それによって、サンプル把持器222を、把持された埋め込まれたサンプル142を研磨盤又はポリッシング盤に対して位置決めするために、z方向において軸方向に、すなわち垂直に変位させることができる。サンプル把持器222の軸方向の変位も、自動化されプログラム制御された態様で、モータ236による駆動によって、行われる。駆動シャフト228は、サンプル把持器222を径方向ガイド238に沿って開閉させることができるよう、空気圧ガスをサンプル把持器222へ及び再びサンプル把持器222から導くために、本例では2つの深孔252、254を備えるものとして形成されている。このために、各把持フィンガー224は、対応する径方向駆動スライド238を有し、埋め込まれたサンプル142を把持又は解放するために、径方向内向き又は外向きに移動され得る。しかしながら、埋め込まれたサンプル142を把持するための、把持フィンガー224のための他の駆動機構も可能である。
【0181】
したがって、埋め込まれたサンプル142は、ここでは3本指把持器として形成されたサンプル把持器222によって個々に把持及び保持されるので、サンプル保持器内にクランプされる必要はない。サンプル把持器222は、把持された埋め込まれたサンプル142を、サンプル把持器222の回転軸Aと同軸に延びる埋め込まれたサンプル142の対称軸を中心として回転させる。したがって、研磨の際、研磨ディスクも、それに対して軸方向にオフセットされた把持された埋め込まれたサンプル142も、連続的に、例えば逆方向に又は同一の方向に回転する。
【0182】
サンプル把持器222のz方向における直線移動経路は、光学プローブ240及び付属する光学測定テープ242によって監視され、その結果、z方向におけるサンプル把持器222の変位のための経路測定システム240、242が形成される。
【0183】
更に、サンプル把持器222のための研磨及びポリッシングヘッド216は、力センサ248を備え、それによって、サンプル把持器222によって把持された埋め込まれたサンプル142の、研磨盤又はポリッシング盤に対する接触圧が測定され得る。力センサ248によって、一方では、所定の接触圧で研磨及びポリッシングを行うことができ、操作者は、所望の接触圧を予めプログラム制御装置211に入力することができる。力センサ248を介して、研磨盤上への下降の際の埋め込まれたサンプル142の接触点も検出することができ、続いて、経路測定システム240、242によって、予め定められ操作者によってプログラム制御装置211に予め入力された材料除去が、プログラム制御された態様で実行され得る。したがって、研磨及びポリッシングヘッド216は、埋め込まれたサンプル142の研磨盤又はポリッシング盤への接触点を検出し、実際の接触圧を測定し、及び/又は、埋め込まれたサンプル142を研磨する際のz方向におけるサンプル把持器222の軸方向の移動経路を測定することができる。これは、研磨プロセス及び/又はポリッシングプロセスを、接触圧に関して及び/又は研磨性除去の層厚に関して制御回路によって制御すべく、上述した測定値のうちの1つ又は複数をプログラム制御装置211にフィードバックするためである。
【0184】
換言すれば、研磨及びポリッシングヘッド216のz軸は、経路測定システム240、242を備えるものとして構成されており、これにより、予め設定された、プログラム制御装置211において予め調整された層厚を、埋め込まれたサンプル142から自動的に除去することが可能となる(ターゲット調製)。ターゲット調製におけるゼロ点を決定するために、力センサ248が使用され、それによって、把持された埋め込まれたサンプル142がそれぞれの研磨盤にいつ接触したかが検出される。
【0185】
把持フィンガー224の空気圧作動のためのガスは、回転フィードスルー250を介して駆動スピンドル228に導かれ、それを介して、空気圧ガスは、ガス供給ライン252を介して把持フィンガー224のリニアスライド238に供給される。空気圧ガスは、ガス排出ライン254を介して再び排出される。したがって、回転フィードスルー250は、この例では、サンプル把持器222の空気圧駆動のための2チャネル回転フィードスルーとして形成されている。
【0186】
図9~12を参照すると、自動化された研磨及びポリッシング装置210の実施例は、4つの研磨ステーション256を備え、各研磨ステーション256は、スピンドルとも呼ばれることがあるそれ自体の研磨ディスク258と、その内部でそれぞれの研磨ディスク258が回転するタブ260とを備える。研磨タブ260内では、研磨屑及び/又は冷却液が収集され、流出口を通じて排出され得る。
【0187】
各研磨ディスク258上には、研磨盤262が取り付けられている。4つの研磨ステーション256の各々には、好ましくは異なる粒度を有する異なる研磨盤が装備されており、その結果、サンプル把持器222は、研磨プロセス全体を通して、一度に把持された埋め込まれたサンプル142を保持し、これらを、連続的に最初は粗く次いで次第に細かく研磨するために、研磨ステーションから研磨ステーションへと移動させる。その場合、研磨盤262は、異なる粒度での研磨プロセスの間で交換される必要はない。なぜなら、各所望の粒度について対応する研磨盤262を備える固有の研磨ステーション256が存在し、当該研磨ステーションに、研磨及びポリッシングヘッド216及びサンプル把持器222が、次から次に、同一の一度に把持された埋め込まれたサンプル142と共に接近する。したがって、研磨及びポリッシングヘッド216は、最初に、サンプル取出位置214に接近し、そこで、サンプル把持器222が下げられ、単一の固定されていない埋め込まれたサンプル142を把持する。続いて、サンプル把持器222は再び上方へ移動し、研磨及びポリッシングヘッド216は、典型的には最も粗い研磨盤262を備える第1の研磨ステーション256に接近する。そこに到着すると、サンプル142把持器222は、把持された埋め込まれたサンプル142が研磨盤と接触するまで、z方向に下降するが、これは、力センサ248によって検出され得る。続いて、制御回路によるフィードバックを伴い、力制御若しくは経路制御された態様で、研磨盤262及びサンプル把持器222の同時回転の下で、第1の研磨プロセスが実行される。第1の研磨プロセスが終了すると、サンプル把持器222は再び上方へ移動する。次に、研磨及びポリッシングヘッド216は、好ましくは洗浄ステーション268に接近する。そこで、サンプル把持器222は、この例では、把持された埋め込まれたサンプル142を洗浄槽内に浸漬するために、再び下方へ移動する。次に、サンプル把持器222は再び上方へ移動する。次に、サンプル把持器222を有する研磨及びポリッシングッド216は、好ましくは異なる粒度、典型的にはより細かい粒度を有する他の研磨盤262を有する次の研磨ステーション256に接近し、サンプル把持器222は、そこで再び下げられ、次の研磨プロセスが、好ましくは上述したのと同じ方法で、実行される。ここで示された研磨及びポリッシング装置210では、好ましくは同じ方法で、次々に、対応する4つの異なる研磨盤262を有する4つまでの異なる研磨ステーション256への連続的な接近が行われ得る。
【0188】
図17を参照すると、研磨及びポリッシングヘッド216は、本例では、液体ノズル264、266を有する。液体ノズル264を介して、研磨プロセス中、湿式研磨を行うために、冷却液が計量供給される。有利には、液体ノズル264、266は研磨及びポリッシングヘッド216にあり、したがって、サンプル把持器222及び把持された埋め込まれたサンプル142と共に、研磨ステーション256から研磨ステーション256へと移動され、その結果、各研磨ステーション256が固有の冷却液ノズルを必要とはしない。冷却液は、研磨屑と共に、公知の方法で、それぞれの研磨タブ260を介して排出され得る。
【0189】
図9、11及び18を参照すると、自動化された研磨及びポリッシング装置210は、洗浄容器269を有する2つの洗浄ステーション268を有し、これらには、研磨プロセスの間に、サンプル把持器222が接近する。このために、研磨及びポリッシングヘッド216は、研磨プロセスの終了後、洗浄容器269に接近し、当該洗浄容器は、洗浄液270で満たされていると共に、サンプルを洗浄するために、当該サンプルを洗浄液270中に浸漬する。洗浄ステーション268では、例えば水又はアルコールが、洗浄液270として使用され得る。所望であれば、サンプル把持器222は埋め込まれたサンプル142と共に回転することができ、及び/又は、超音波装置271が設けられることができ、その結果、洗浄ステーション268は超音波浴として形成される。洗浄容器269は、任意選択的に、自動的に空にされ、新しい洗浄液で満たされ得る。
【0190】
洗浄容器269内には、洗浄液270の上方の領域に、径方向に空気ノズル272が取り付けられており、当該空気ノズルによって、埋め込まれたサンプル142は、洗浄後、冷気及び/又は暖気によって乾燥され得る。十分な洗浄の後、サンプル把持器222は埋め込まれたサンプル142と共に再び上方へ移動し、埋め込まれたサンプル142は、空気ノズル272によって、吹き付け乾燥される。洗浄ステーション268における洗浄プロセスの後、サンプル把持器222は次の研磨ステーション256に接近し得る。
【0191】
図示された例では、自動化された研磨及びポリッシング装置は、更に2つの研磨ステーション276を備える。したがって、図示された例は、4つの研磨ステーション256、2つの洗浄ステーション268及び2つのポリッシングステーション276を有する。しかしながら、ステーション256、268、276の他の数及び/又は配置、例えば3つの研磨ステーション256、2つの洗浄ステーション268及び3つのポリッシングステーション276、又は、
図13に示されているように例えば3つの研磨ステーション256、2つの洗浄ステーション268及び2つのポリッシングステーション276、又は、他の所望の数及び/又は配置も可能であることは、明らかである。ポリッシングステーション276は、それぞれポリッシングタブ280内に配置されたそれぞれ1つのポリッシングディスク278を有し、当該ポリッシングディスクの上にはそれぞれ1つのポリッシング盤282が固定されており、当該ポリッシング盤282はポリッシングクロスも含むことができる。全ての所望の研磨プロセスが完了し、埋め込まれたサンプル142が最後の研磨プロセスの後に洗浄されると、研磨及びポリッシングヘッド216は、サンプル把持器222及び把持された埋め込まれたサンプル142と共に、サンプル下面142aを第1のポリッシング剤でポリッシングするために、第1のポリッシングステーション276に接近する。研磨及びポリッシングヘッド216の液体ノズル266を通じて、ポリッシングプロセスのためのポリッシング懸濁液が投入され得る。好ましくは、ポリッシングプロセス中も、所定の接触圧でポリッシングするために、接触圧が力センサ248によってフィードバック制御され、所定の接触圧は、例えばユーザによって、プログラム制御装置において確定され得る。
【0192】
したがって、研磨プロセスのための水冷却の計量及び/又はポリッシングプロセスのためのポリッシング懸濁液の計量は、研磨及びポリッシングヘッド216からの供給によって行われる。このようにして、必要とされる液体は、各表面処理ステーション256、276において別個に提供される必要なしに、各表面処理ステーション256、276において研磨及びポリッシングヘッド116から投入され得る。換言すれば、液体ノズル264、266は、サンプル把持器222と共に又は把持された埋め込まれたサンプル142と共に、移動する。
【0193】
第1のポリッシングステーション276において第1のポリッシングプロセスが完了すると、研磨及びポリッシングヘッド216は、サンプル把持器222及び把持された埋め込まれたサンプル142と共に、研磨プロセスに関連して上述したように、洗浄されるために、洗浄ステーション268に接近する。研磨プロセスのために第1の洗浄ステーション268を、ポリッシングプロセスのために第2の洗浄ステーション268を、それぞれ使用することが実用的であり、その結果、研磨屑及びポリッシング懸濁液が相互に汚染することはなく、又は、洗浄ステーションがあまりに頻繁に再充填される必要はない。第2の洗浄ステーション268での埋め込まれたサンプル142の洗浄の後、異なるポリッシング剤、例えば異なるポリッシング懸濁液でポリッシングするために、更に第2のポリッシングステーション276に接近することもできる。他のポリッシング懸濁液は、同じ液体ノズル266を介して計量供給することができ、又は、更なる液体ノズル、例えば2、3、4、5、6又はそれ以上の冷却液体及び/又はポリッシング懸濁液用の液体ノズルを、研磨及びポリッシングヘッド216に設けることができ、これらは、サンプル把持器222と共に、ステーション256、268、276からステーション256、268、276へと移動する。
【0194】
したがって、本例では、埋め込まれたサンプル142は、サンプル把持器222によって一度把持され、次いで、異なる粒度を有する複数の、本例では4つの研磨テーション256で次々に連続的に研磨され、それぞれの研磨プロセスの間に、洗浄槽268、270内で洗浄される。加えて、同一の埋め込まれたサンプル142は、同一のサンプル把持器222を用いて、異なるポリッシング剤を有する1つ又は複数の、本例では2つのポリッシングステーション276で、次々に連続的にポリッシングされる。ここでも、ポリッシングプロセスの間に、埋め込まれたサンプル126は、洗浄ステーション268において洗浄され得る。研磨、ポリッシング及び洗浄のプロセス全体は、操作者が関与することなく、完全に自動化されプログラム制御された態様で、行われる。
【0195】
サンプルは、図示された例では個々に処理され、それぞれのステーション256、276、268を通過し、それらは、常に同じサンプル把持器222によって保持される。
【0196】
研磨及びポリッシングヘッド216は、把持された埋め込まれたサンプル142と共にサンプル把持器222の高さを変え(z軸)、それぞれの研磨盤262に対して、又は、それぞれのポリッシングクロス若しくはそれぞれのポリッシング盤282に対して押し付け、あるいは、それぞれの洗浄容器269内に浸漬することができる。好ましくは、研磨及びポリッシングヘッド216が力センサ248を備えている場合、把持された埋め込まれたサンプル142を有するそれぞれの研磨盤262は、把持された埋め込まれたサンプル142が研磨盤262又はポリッシング盤282に対して押し付けられる力を測定し、フィードバック制御回路内で測定値によってプログラム制御装置211内で予め設定された値に制御するように構成される。
【0197】
研磨及びポリッシングプロセスの終わりに、研磨及びポリッシングヘッド216は、サンプル載置位置284に接近し、そこに、仕上げられ、研磨され、ポリッシングされ、洗浄された埋め込まれたサンプル142を載置し、その結果、この埋め込まれたサンプルは、例えば、硬度試験又は構造分析のような材料分析のための更なる処理ステップなしに、直接的に使用され得る。
【0198】
図9を参照すると、いくつかの個々の載置場所を有するサンプル載置位置284が、概略的に示されている。
図11を参照すると、サンプル載置位置284は、運搬装置の一部として、本例ではモータ駆動されるコンベヤーベルトとして形成されており、当該コンベヤーベルトによって、完全に準備された埋め込まれたサンプル142が、サンプル収集装置に更に搬送される。
【0199】
図9及び
図11において、表面処理ステーション、すなわち研磨ステーション256及びポリッシングステーション276は、3×2の矩形アレイに配置されており、2つの洗浄ステーション268は、表面処理ステーション256、276の間に配置されている。例示された3×2配置を有する自動研磨及びポリッシング装置210の寸法は、長さが約1.0~1.2m、深さが約0.8~0.9mであるので、通常の実験室ライン(深さ90cm)に据え付けられ得る。しかしながら、研磨及びポリッシング装置210は、一体化された据付型装置として形成されることもでき、この場合、制御装置、液体のためのリザーバ、投入システム等は、研磨及びポリッシング装置210の下にあることができる。表面処理ステーション256、276は全て、研磨/ポリッシングヘッド216も掛けられた同じ装置ハウジング208内に配置されており、すなわち、それらは全て同じ研磨及び/又はポリッシング装置210に属する。
【0200】
GUIとして、例えばタッチディスプレイを使用することができ、当該タッチディスプレイは、研磨及びポリッシング装置210に一体化されるか、又は、調整可能な支持アームによって取り付けられている(図示せず)。
【0201】
図13を参照すると、表面処理ステーション256、276及び洗浄ステーション268の実質的に直線的な配置も企図され得る。これは、研磨/ポリッシングヘッド216が移動する必要があるのは、1つの次元(x)においてのみである、という利点を有する。その代償として、研磨及びポリッシング装置210の全長は幾分長くなり、又は、収容されるステーション256、268、276はより少なくなる。サンプル下面142aを、自動シーケンスで、それぞれ異なる表面処理ステーション256、276における複数の表面処理ステップによって、次第に表面微細度が増大するように研磨及び/又はポリッシングするために、
図9及び11の例のように、ここでも異なる処理微細度を有する複数の表面処理ステーション256、276がxy平面内で互いに隣接して配置されている。表面処理ステーション256、276及び洗浄ステーション268の数、並びに、xy平面におけるそれらの空間的な配置は、必要に応じて、それぞれの顧客の要求に対応して設計され得る。
【0202】
図15を参照すると、自動化された研磨及びポリッシング装置210は、前方のアクセス開口288を有する安全エンクロージャ286内に収容することができ、前方のアクセス開口288は、アクセス保護としてのレーザ光グリッド290によって保護されており、その結果、研磨及びポリッシング装置は、作動中に人が安全エンクロージャ286の中に手を差し入れるような場合には、自動的に緊急スイッチオフされる。
【0203】
図30を参照すると、研磨及びポリッシング方法の実施例は、以下のプログラム制御された方法ステップを含む:
【0204】
ステップ502:研磨及びポリッシングヘッド216をサンプル取出位置214に接近させ、サンプル把持器222を下降させ、サンプル取出位置214においてサンプル把持器222によって埋め込まれたサンプル142を把持するステップ。
【0205】
ステップ504:第1の研磨ステーション256に接近し、サンプル把持器222を把持された埋め込まれたサンプル142と共に下降させ、埋め込まれたサンプル142を、所定の押し付け力で、第1の粒度を有する第1の研磨ステーション256の回転する研磨盤262に対して、サンプル把持器222の回転の下、冷却流体の計量供給の下で、押し付け、サンプル把持器222を把持された埋め込まれたサンプル142と共に上昇させるステップ。
【0206】
必要に応じてステップ506:第1の洗浄容器269に接近し、サンプル把持器222によって把持された埋め込まれたサンプル142を第1の洗浄容器269内に浸漬し、埋め込まれたサンプル142を第1の洗浄容器269から上昇させ、必要に応じて把持された埋め込まれたサンプル142を吹き付け乾燥するステップ。
【0207】
ステップ508:第2の研磨ステーション256に接近し、サンプル把持器222を把持された埋め込まれたサンプル142と共に下降させ、埋め込まれたサンプル142を、所定の押し付け力で、第2の粒度を有する第2の研磨ステーション256の回転する第2の研磨盤262に対して、サンプル把持器222の回転の下、冷却流体の計量供給の下で、押し付け、サンプル把持器222を把持された埋め込まれたサンプル142と共に上昇させるステップ。
【0208】
必要に応じてステップ510:第1の又は他の洗浄容器269に接近し、サンプル把持器222によって把持された埋め込まれたサンプル142を洗浄容器269内に浸漬し、埋め込まれたサンプル142を洗浄容器269から上昇させ、必要に応じて把持された埋め込まれたサンプル142を吹き付け乾燥するステップ。
【0209】
ステップ512:第3の研磨ステーション256に接近し、サンプル把持器222を把持された埋め込まれたサンプル142と共に下降させ、埋め込まれたサンプル142を、所定の押し付け力で、第3の粒度を有する第3の研磨ステーション256の回転する第3の研磨盤262に対して、サンプル把持器222の回転の下、冷却流体の計量供給の下で、押し付け、サンプル把持器222を把持された埋め込まれたサンプル142と共に上昇させるステップ。
【0210】
必要に応じてステップ514:第1の又は他の洗浄容器269に接近し、サンプル把持器222によって把持された埋め込まれたサンプル142を洗浄容器269内に浸漬し、埋め込まれたサンプル142を洗浄容器269から上昇させ、必要に応じて把持された埋め込まれたサンプル142を吹き付け乾燥するステップ。
【0211】
ステップ516:第1のポリッシングステーション276に接近し、サンプル把持器222を把持された埋め込まれたサンプル142と共に下降させ、埋め込まれたサンプル142を、所定の押し付け力で、第1のポリッシングステーション276の回転する又は振動する第1のポリッシング盤282に対して、サンプル把持器222の回転の下、第1のポリッシング懸濁液の計量供給の下で、押し付け、サンプル把持器222を把持された埋め込まれたサンプル142と共に上昇させるステップ。
【0212】
必要に応じてステップ518:第2の又は他の洗浄容器269に接近し、サンプル把持器222によって把持された埋め込まれたサンプル142を洗浄容器269内に浸漬し、埋め込まれたサンプル142を洗浄容器269から上昇させ、把持された埋め込まれたサンプル142を吹き付け乾燥するステップ。
【0213】
ステップ520:第2のポリッシングステーション276に接近し、サンプル把持器222を把持された埋め込まれたサンプル142と共に下降させ、埋め込まれたサンプル142を、所定の押し付け力で、第2のポリッシングステーション276の回転する又は振動する第2のポリッシング盤282に対して、サンプル把持器222の回転の下、第2のポリッシング懸濁液の計量供給の下で、押し付け、サンプル把持器222を把持された埋め込まれたサンプル142と共に上昇させるステップ。
【0214】
必要に応じてステップ522:第2の又は他の洗浄容器269に接近し、サンプル把持器222によって把持された埋め込まれたサンプル142を洗浄容器269内に浸漬し、埋め込まれたサンプル142を洗浄容器269から上昇させ、必要に応じて把持された埋め込まれたサンプル142を吹き付け乾燥するステップ。
【0215】
ステップ524:研磨/ポリッシングヘッド216をサンプル載置位置284に接近させ、埋め込まれたサンプル142をサンプル把持器222と共にサンプル載置位置284に載置するステップ。
【0216】
ステップ502~504の、プログラム制御された態様での多数回の反復。
【0217】
有利には、研磨及びポリッシング装置216の実施例は、以下によって特徴付けられる:
- 埋め込まれたサンプル142は、場合によっては、サンプルホルダ内にクランプされる必要はない。
- 研磨、ポリッシング及び洗浄の全プロセスは、場合によっては、人手の介入なしに完全に自動的に進行し得る。
- 研磨及びポリッシング装置210は、迅速に償却され得る低い投資コストによって特徴付けられる。
- 研磨及びポリッシング装置210は、コンパクトな寸法によって特徴付けられ、従来の実験室ラインに統合され得る。
- 研磨及びポリッシング装置210は、柔軟に使用することができる。
【0218】
図22~25を参照すると、研磨及びポリッシング装置210は、更に、研磨された及び/又はポリッシングされたサンプル下面142aをエッチングするためのエッチング槽758を備えるエッチングステーション756を含むことができる。図示された例では、エッチングステーション756は、研磨及びポリッシング装置210が取り付けられる別個のエッチングモジュール710内にあり、搬入及び搬出用の運搬装置712、314が、エッチングされるべき埋め込まれたサンプル142を搬送する。サンプル把持器722は、それぞれ単一の埋め込まれたサンプル142を把持し、それをエッチングステーション756に供給し、それをエッチング槽758に浸漬する。次に、サンプル把持器722は、エッチングされた埋め込まれたサンプル142を洗浄ステーション768に供給し、埋め込まれたサンプル142を、そこで、洗浄容器769内の洗浄液770から成る洗浄槽に浸漬する。続いて、サンプル把持器722は、埋め込まれたサンプル142と共に、図示された例では搬出用の運搬装置314上のサンプル載置位置284に移動し、そこに、埋め込まれたサンプル142を載置する。
【0219】
エッチングモジュール710は、更に、エッチング槽758の蒸気を吸引するために、気密なドア732を備え気密に閉鎖可能なハウジング708と、排出口734とを含む。更に、エッチング槽758は、当該エッチング槽758内の酸の過度な蒸発を阻止するために、カバー759で閉鎖され得る。
【0220】
図示された例では、エッチングステーション756は、別個のエッチングモジュール710内で研磨及びポリッシング装置210に取り付けられており、好ましくはサンプル把持器222のように構築された第2のサンプル把持器722を備える。しかしながら、エッチングステーション756は、研磨及びポリッシング装置210に一体化されていてもよい(図示せず)。したがって、エッチングモジュール710が取り付けられた又はエッチングステーション756が一体化された研磨及びポリッシング装置210は、研磨/ポリッシング及び/又はエッチング装置210とも称され得る。
【0221】
3.完全に自動化された生産ライン
図26~28を参照すると、サンプルの埋め込み、研磨及びポリッシングのための完全に自動化された生産ライン310の例が示されている。自動化された生産ライン310は、特に、上述した自動化された埋め込みプレス110と、上述した自動化された研磨及びポリッシング装置210とを含む。
【0222】
自動化された埋め込みプレス110によって埋め込まれ、当該埋め込みプレス110のサンプルエジェクタ147で排出されるサンプル142は、第1の運搬装置312によって個々に、すなわち反復サンプル保持器内においてではなく、自動化された埋め込みプレス110から自動化された研磨及びポリッシング装置210に、特に連続的に次々に搬送される、このために、第1の運搬装置312は、例えばサンプルシュート又はモータ駆動されるコンベヤーベルトとして形成され得る。第1の運搬装置312上では、埋め込まれたサンプル142のうちの幾つかが貯留され得る。いずれの場合も、第1の運搬装置312は、埋め込まれたサンプル142を、自動化された研磨及びポリッシング装置210のサンプル取出位置214に搬送し、その結果、埋め込まれたサンプル142は、上述した研磨プロセス、ポリッシングプロセス及び/又は洗浄プロセスを通過するために、そこで、個々に、連続的に次々と、サンプル把持器222によって把持され得る。埋め込まれたサンプル142がその後完全に準備されると、それは、サンプル把持器222によってサンプル載置位置284に載置される。
【0223】
図26に示された例では、完全に準備された埋め込まれたサンプル142は、サンプル載置位置284から、第2の運搬装置314によって、個々に、すなわち反復サンプル保持器内においてではなく、サンプル収集装置316内へ、特に連続的に次々と、搬送される。第2の運搬装置314も、例えばシュート又はモータ駆動されるコンベヤーベルトとして形成され得る。したがって、完全に準備された埋め込まれたサンプル142は、次から次に、サンプル収集装置316に供給され、その結果、自動化された生産ライン310を通過した埋め込まれるべき全てのサンプル126は、埋め込まれ、完全に準備された状態で、個々に、サンプル収集装置316内にあり、操作者によってその更なる用途のために用いられる。
【0224】
完全に準備された(研磨され、ポリッシングされ及び/又はエッチングされた)埋め込まれたサンプル142がシュート上を摺動する場合、好ましくは、完全に準備された埋め込まれたサンプル142は、事前に裏返されるか、又は、シュートは、完全に準備された埋め込まれたサンプル142の外縁のみが載るよう、中央において解放され得るかのいずれかである。それにより、ポリッシングされたサンプル126の下面が、例えば引っ掻き傷によって損傷を受ける可能性が回避され得る。
【0225】
図27及び28を参照すると、サンプル収集装置316は、多数のサンプル載置場所324を有するマガジン322として形成されることができ、それぞれ単一の完全に準備された埋め込まれたサンプル142が、それぞれマガジン322のサンプル載置場所324の上に載置される。マガジン322は、例えば、特に互いに隣接して配置されたサンプル載置場所324を備えるサンプル載置テーブルとして可動に形成されることができ、プログラム制御された態様で、それぞれ1つの空いたサンプル載置場所324がサンプル載置位置284へ移動され、その結果、完全に準備された埋め込まれたサンプル142のそれぞれは、この時点で研磨及びポリッシング装置210のサンプル載置位置284にある空いたサンプル載置場所324の上に、それぞれ載置され得る。次のクロックで、次の空いたサンプル載置場所324が、サンプル載置位置284へ移動される。換言すれば、サンプル把持器222によるサンプル載置場所324上へのサンプル載置は、研磨及び/又はポリッシングプロセスと同期して、あるいは、自動化された研磨及びポリッシング装置210のサンプル処理クロックにおいて、行われる。
図27及び28に示された例では、テーブル状のマガジン322としてのサンプル収集装置316は、例えばサンプル装填テーブル122に対応する32個の外縁のサンプル載置場所324を備えるインデックステーブルを含む。もちろん、ここにもエッチングモジュール710を含めることができる。
【0226】
したがって、操作者は、準備の作業ステップにおいて、埋め込まれるべきサンプル126の全てを、それぞれサンプル装填テーブル122のサンプル装填位置124に載置し、その後、完全に自動化された生産ライン310を始動させる。この場合、サンプルは、次いで、プログラム制御された態様で自動的に埋め込みプレス110によって埋め込まれ、第1の運搬装置312によって研磨及びポリッシング装置210に運搬され、そこで研磨され、ポリッシングされ、洗浄され、続いて、第2の運搬装置314によって、サンプル収集装置316内へ運搬されるか又はそこで載置される。準備の装填ステップは、操作者によって、例えば夕方に行われることができ、完全に自動化されプログラム制御された完全な過程の後、翌朝には、全てのサンプルが、埋め込まれ完全に準備された状態で、すなわち研磨され、ポリッシングされ、洗浄された状態で、サンプル収集装置316内に存在する。全生産プロセスの間、埋め込まれたサンプル142は、個々にバラバラに処理され、例えば運搬され、把持され、研磨され、ポリッシングされ、洗浄され、エッチングされ及び/又は最終的に載置される。
【0227】
全生産ライン310の制御は、例えば中央コンピュータ上で動作するプログラム制御装置111、211によって、実施され得る。
【0228】
例示された生産ライン310の寸法は、長さが4.8m未満、深さが90cm未満であるので、通常の実験室ライン(深さ90cm)に据え付けられ得る。
【0229】
図28を参照すると、生産ライン310は、安全エンクロージャ386内に収容されることができ、前方のアクセス開口388は、緊急スイッチオフを保証するために、レーザ光グリッド390によって監視される。
【0230】
図31を参照すると、多数の埋め込まれ表面処理されたサンプル142を生成するための自動化された方法の実施例は、ステップ602において埋め込まれるべき多数のサンプル126の提供と、以下のプログラム制御された方法ステップとを含む:
【0231】
ステップ604:埋め込まれるべきサンプル126を、埋め込み材料117と共に、埋め込まれたサンプル142を生成するための埋め込みプレス110の加圧シリンダ132の中で熱間埋め込みプレスするステップ。
【0232】
ステップ606:埋め込まれたサンプル142を加圧シリンダ132から排出するステップ。
【0233】
ステップ608:埋め込まれたサンプル142を、埋め込みプレス110から表面処理装置210に搬送するステップ。
【0234】
ステップ610:個々の埋め込まれたサンプル142を、表面処理装置210のサンプル把持器222によって把持するステップ。
【0235】
ステップ612:表面処理ステーション256、276における埋め込まれたサンプル142のサンプル下面142aの処理のために、サンプル把持器222を表面処理装置210の表面処理ステーション256、276に接近させる、及び、必要に応じて、埋め込まれたサンプル142の洗浄のために、サンプル把持器222を表面処理装置210の洗浄ステーション268に接近させるステップ。
【0236】
必要に応じて、ステップ614:ステップ612を、表面処理装置210の他の表面処理ステーション256、276において、及び、必要に応じて、表面処理装置210の他の洗浄ステーション268において、1回又は複数回繰り返すステップ。
【0237】
ステップ616:サンプル把持器222をサンプル載置位置284に接近させ、サンプル載置位置284において、埋め込まれ表面処理されたサンプル142を解放し載置するためにサンプル把持器222を開くステップ。
【0238】
ステップ604~608及びステップ610~616を、プログラム制御された態様で多数回繰り返し、その際、埋め込まれたサンプルは、ステップ608と610との間で貯留され得る。
【0239】
要約すると、本発明は、自動化された埋め込みプレス110、自動化された研磨及びポリッシング装置210、並びに、埋め込みプレス110及び研磨及びポリッシング装置210を備える自動化された生産ライン310に関する。したがって、埋め込みプレス110及び研磨及びポリッシング装置210に関連して説明された特徴の全ては、生産ライン310についても開示されていると見なされ、逆もまた同様である。埋め込みプレスに関連して開示された全ての特徴は、開示される関連する方法ついても開示されていると見なされ、逆もまた同様である。研磨及びポリッシン装置に関連して開示された全ての特徴は、開示される関連する方法ついても開示されていると見なされ、逆もまた同様である。生産ラインに関連して開示された全ての特徴は、開示される関連する方法ついても開示されていると見なされ、逆もまた同様である。
【0240】
上述した実施形態は例示的なものと理解されるべきであり、本発明は、それらに限定されず、請求項の保護範囲から逸脱することなく多くの方法で変更できることが、当業者には明らかである。更に、当業者には明らかなように、特徴は、明細書、特許請求の範囲、図面又は他の方法で開示されているか否かにかかわらず、たとえ他の特徴と共に記載されていても、本発明の本質的な構成要素を個々に定義する。