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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】排水・汚物排出機能付きポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/70 20060101AFI20241211BHJP
   F04D 13/06 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
F04D29/70 G
F04D13/06 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023190110
(22)【出願日】2023-11-07
【審査請求日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】202311117435.X
(32)【優先日】2023-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520303151
【氏名又は名称】上海合璧電子元件有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】523406299
【氏名又は名称】東莞市東坑合利美電子電器有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】蕭裕明
(72)【発明者】
【氏名】董小亞
(72)【発明者】
【氏名】梁虎
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-278195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/70
F04D 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、固定子、スペーサー、回転子、羽根車およびホルダーを備え、
前記固定子は前記ハウジング内に配置され、
前記スペーサーは前記ハウジングの底部に被さって配置され、下向きの開口部を有する円柱状の格納溝と、前記格納溝の前記開口部の周りに位置する環状縁部とを有し、
前記固定子は前記スペーサーおよび前記ハウジングで被覆され、前記格納溝を囲むように配置され、
前記回転子は前記ハウジングかつ前記格納溝内に回転可能に配置されたうえで前記固定子に囲まれ、
前記羽根車は前記回転子の下方に配置され、頂面円盤と、前記頂面円盤の底面に配置された複数の羽根とを有し、前記羽根車が回転する際、複数の前記羽根は遠心力を介して水を側面に飛ばし、
前記ホルダーは前記ハウジングかつ前記スペーサーの下方に配置されたうえで前記スペーサーとの間が排水チャンバーになり、
前記羽根車は前記排水チャンバー内に格納され、
前記ホルダーは下向きの吸込口と、前記ホルダーの一側に位置する吐出口とを有し、
前記羽根車は中空軸と、一つ以上の前記中空軸を横向きに貫通する側面孔とを有し、前記中空軸は底部の空間が前記排水チャンバーに繋がり、一つ以上の前記側面孔の位置は前記頂面円盤より高く、
前記羽根車の前記頂面円盤は直径が前記格納溝の口径より大きく、一部分が前記環状縁部の下方に位置し、前記頂面円盤は前記環状縁部との間に所定の距離を置いて隙間を形成し、
前記羽根車の前記頂面円盤は頂面と、複数の前記頂面に配置された汚物排出羽根とを有し、前記羽根車が回転する際、複数の前記汚物排出羽根は遠心力を介して水を側面に飛ばし、
複数の前記汚物排出羽根は前記隙間内に位置せず、前記格納溝の下方に配置されることを特徴とする排水・汚物排出機能付きポンプ。
【請求項2】
複数の前記汚物排出羽根の高さは前記隙間の高さを超えていないことを特徴とする請求項1に記載の排水・汚物排出機能付きポンプ。
【請求項3】
前記格納溝は溝壁を有し、前記環状縁部と前記溝壁との連結部位は形が円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の排水・汚物排出機能付きポンプ。
【請求項4】
複数の前記汚物排出羽根は前記中空軸から外側の一定の距離まで放射状に伸びていくことを特徴とする請求項3に記載の排水・汚物排出機能付きポンプ。
【請求項5】
複数の前記汚物排出羽根の末端部は前記隙間と所定の距離を置くことを特徴とする請求項4に記載の排水・汚物排出機能付きポンプ。
【請求項6】
複数の前記汚物排出羽根の末端部は前記格納溝の前記溝壁の下方に位置していないことを特徴とする請求項4に記載の排水・汚物排出機能付きポンプ。
【請求項7】
前記羽根車はさらに複数の前記羽根の底部に連結された底面円盤を有し、前記頂面円盤、複数の前記羽根および前記底面円盤は一体になってクローズドインペラを構成することを特徴とする請求項1に記載の排水・汚物排出機能付きポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーターポンプ、特に排水・汚物排出機能付きポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の排水ポンプおよびその製造方法を掲示している。
特許文献1において、クローズドインペラは回転子の下方に装着され、頂面板および底面板との間に格納された羽根を有する。
回転子はチャンバー内に位置する。
チャンバーはクローズドインペラを収容する排水室の空間に繋がる。
クローズドインペラは回転子に伴って回転すると同時に水を強制流動させる。
水は強制流動すると同時に一部が外側に押し出され、一部が回転子とチャンバーの壁面との間に流入することで回転子を潤す。
【0003】
上述した特許文献1の構造および特徴は、回転子とチャンバーの内壁との間の空間をできるだけ縮減し、固定子の磁気作用および駆動効率を向上させる。
しかし、水中の異物が水流とともにクローズドインペラの上方まで流動する際、このあたりを流れる水流はクローズドインペラの作動に左右されることがないため、水中の異物は回転子とシャンバーの内壁との間に流れ込んで詰まって回転子の回転を妨害するか、回転子を損傷させるか、回転子に作動を停止させるという問題が発生する。
【0004】
上述した問題に対し、回転子とチャンバーの内壁との間に水中の異物が流れ込むことを防止する方法が最も解決すべき課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】CN 100491739C号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は羽根車の上方に汚物排出羽根を配置し、羽根車の上方の水を側面に飛ばすことによって羽根車の上方の水中の異物や汚れを排出することができる排水・汚物排出機能付きポンプを提供することを主な目的とする。
【0007】
本発明は回転子と格納溝の溝壁との間に異物や汚れが水流とともに流れ込むことを防止できる排水・汚物排出機能付きポンプを提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、排水・汚物排出機能付きポンプはハウジング、固定子、スペーサー、回転子、羽根車およびホルダーを備える。固定子はハウジング内に配置される。スペーサーはハウジングの底部に被さって配置され、下向きの開口部を有する円柱状の格納溝と、格納溝の開口部の周りに位置する環状縁部とを有する。固定子はスペーサーおよびハウジングで被覆され、格納溝を囲むように配置される。回転子はハウジングかつ格納溝内に回転可能に配置されたうえで固定子に囲まれる。羽根車は回転子の下方に配置され、頂面円盤と、頂面円盤の底面に配置された複数の羽根とを有する。羽根車が回転する際、複数の羽根は遠心力を介して水を側面に飛ばす。ホルダーはハウジングかつスペーサーの下方に配置されたうえでスペーサーとの間が排水チャンバーになる。羽根車は排水チャンバー内に格納される。ホルダーは下向きの吸込口と、ホルダーの一側に位置する吐出口とを有する。羽根車は中空軸と、一つ以上の中空軸を横向きに貫通する側面孔とを有する。中空軸は底部の空間が排水チャンバーに繋がる。一つ以上の側面孔の位置は頂面円盤より高い。羽根車の頂面円盤は直径が格納溝の口径より大きい。羽根車の頂面円盤は一部分が環状縁部の下方に位置し、環状縁部との間に所定の距離を置いて隙間を形成する。羽根車の頂面円盤は頂面と、複数の頂面に配置された汚物排出羽根とを有する。羽根車が回転する際、複数の汚物排出羽根は遠心力を介して水を側面に飛ばす。複数の汚物排出羽根は隙間内に位置せず、格納溝の下方に配置される。
【0009】
詳しく言えば、本発明は羽根車の上方に位置する複数の汚物排出羽根によって羽根車の上方の水流を側面に飛ばし、羽根車の上方の水中の異物または汚れを排出するため、回転子と格納溝の溝壁との間に異物や汚れが水流とともに流れ込むことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による排水・汚物排出機能付きポンプを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による排水・汚物排出機能付きポンプを示す分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による排水・汚物排出機能付きポンプを別の角度から見た分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による排水・汚物排出機能付きポンプを示す平面図である。
図5図4中の5-5線に沿った断面図である。
図6】本発明の一実施形態による排水・汚物排出機能付きポンプの回転子および羽根車を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による排水・汚物排出機能付きポンプを図面に基づいて説明する。
【0012】
(一実施形態)
図1から図6を参照して説明する。本発明に係る排水・汚物排出機能付きポンプ10はハウジング11、固定子13、スペーサー15、回転子21、羽根車31およびホルダー41から構成される。
【0013】
固定子13はハウジング11の中に配置される。
【0014】
スペーサー15はハウジング11の底部に被さって配置され、下向きの開口部を有する円柱状の格納溝151と、格納溝151の内壁即ち溝壁152と、格納溝151の開口部の周りに位置する環状縁部153とを有する。固定子13はスペーサー15およびハウジング11で被覆され、格納溝151を囲むように配置される。
【0015】
回転子21はハウジング11かつ格納溝151内に回転可能に配置されたうえで固定子13に囲まれる。
【0016】
羽根車31は回転子21の下方に配置され、頂面円盤32と、頂面円盤32の底面に配置された複数の羽根34とを有する。
羽根車31が回転する際、複数の羽根34は遠心力を介して水を側面に飛ばす。
本実施形態において、羽根車31はさらに複数の羽根34の底部に連結された底面円盤36を有する。
頂面円盤32、複数の羽根34および底面円盤36は一体になってクローズドインペラを構成する。
【0017】
ホルダー41はハウジング11かつスペーサー15の下方に配置されたうえでスペーサー15との間が排水チャンバー42になる。
羽根車31は排水チャンバー42の中に格納される。ホルダー41は下向きの吸込口44と、ホルダー41の一側に位置する吐出口46とを有する。
【0018】
本発明の特徴はつぎのとおりである。
【0019】
羽根車31は中空軸38と、二つの中空軸38を横向きに貫通する側面孔381とを有する。
中空軸38は底部の空間が排水チャンバー42に繋がる。
二つの側面孔381の位置は頂面円盤32より高い。
本実施形態は羽根車31の中空軸38と回転子21の一部分とを一体に成型することを例として挙げるが、これに限定されず、中空軸38と回転子21とを連結する従来の方式を採用してもよい。
【0020】
羽根車31の頂面円盤32は直径が格納溝151の口径より大きく、一部分が環状縁部153の下方に位置する。
頂面円盤32は環状縁部153との間に所定の距離を置いて隙間Sを形成する。
【0021】
羽根車31の頂面円盤32は頂面321と、複数の頂面321に配置された汚物排出羽根322とを有する。
羽根車31が回転する際、複数の汚物排出羽根322は遠心力を介して水を側面に飛ばす。
本実施形態において、複数の汚物排出羽根32は中空軸38から外側の一定の距離まで放射状に伸びていく。
複数の汚物排出羽根32の末端部は格納溝151の溝壁152の下方に位置せず、隙間Sと所定の距離を置くように形成される。
上述した構造特徴により、水の通る空間を十分に作ることができる。
【0022】
複数の汚物排出羽根322は隙間Sの中に位置せず、格納溝151の下方に配置される。
【0023】
本実施形態において、複数の汚物排出羽根322の高さは隙間Sの高さを超えていない。
つまり、複数の汚物排出羽根322の頂部は環状縁部153を超えていない。
上述した構造特徴により、複数の汚物排出羽根322は浅い水流を隙間Sにスムーズに流入させることができるため、羽根車31の上方の異物は水流とともに隙間Sに流入し、続いて複数の羽根34の作動下で流動する水流とともに吐出口46から外部へ流出することができる。
汚物排出羽根322の高さが隙間Sの高さより大きい場合、異物を外部へ排出することはできるが、流動させる水流に対するポンプの揚程が比較的大きいため、水流が隙間Sに流れ込む前に妨害を受け、騒音を引き起こすという問題が起こりやすい。
それゆえに複数の汚物排出羽根322は製造者のニーズに応じて決められる。
【0024】
本実施形態において、格納溝151は溝壁152を有する。環状縁部153と溝壁152との連結部位は形が円弧状である。
上述した構造特徴により、複数の汚物排出羽根322は水を隙間Sにスムーズに流入させ、流動妨害を抑制することができる。
【0025】
以上は本実施形態の構造についての説明である。続いて本実施形態の作動状態について説明する。
【0026】
図5を参照して説明する。排水・汚物排出機能付きポンプが作動する際、水は吸込口44から排水シャンバー42に流れ込む。
羽根車31が駆動されて回転する際、複数の羽根34は排水チャンバー42内の水を外側へ回転・移動させながら、続いて吐出口46から外部へ排出する。
同時に羽根車31の上方の水は複数の汚物排出羽根322の推力によって隙間Sへ強制的に流動する。
中空軸38の下方の水は中空軸38に流れ込み、続いて二つの側面孔381から羽根車31の上方へ流動する。
【0027】
複数の汚物排出羽根322は隙間Sの中に位置せず、格納溝151の下方に配置される。
上述した構造特徴により、複数の汚物排出羽根322が水を後押しする際、水は複数の汚物排出羽根322の末端部を流れて隙間Sに流れ込む。
異物または汚れの中の比較的固い物は重さが水より大きいため、羽根車31の上方の水中の異物の一部分は羽根車31の頂面円盤32の頂面に落下し、続いて複数の汚物排出羽根322の推力によって側面から隙間Sへ強制的に流動し、続いて水流とともに吐出口46から流出する。
【0028】
上述をまとめてみると、複数の汚物排出羽根322は羽根車31の上方に配置されるため、羽根車31の上方の水流を側面に飛ばし、羽根車31の上方の水中の異物または汚れを排出することができる。
【0029】
羽根車31の上方の異物が効果的に排出されれば、異物または汚れが回転子21と格納溝151の溝壁152との間に流れ込むことを抑制する、
即ち、回転子21を損壊させるという従来技術の問題を解決することができる。
【0030】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0031】
10:排水・汚物排出機能付きポンプ
11:ハウジング
13:固定子)
15:スペーサー
151:格納溝
152:溝壁
153:環状縁部
21:回転子
31:羽根車
32:頂面円盤
321:頂面
322:汚物排出羽根
34:羽根
36:底面円盤
38:中空軸
381:側面孔
41:ホルダー
42:排水チャンバー
44:吸込口
46:吐出口
S:隙間
【要約】
【課題】排水・汚物排出機能付きポンプを提供する。
【解決手段】排水・汚物排出機能付きポンプはハウジング、固定子、スペーサー、回転子、羽根車およびホルダーを備える。固定子はハウジング内に配置される。スペーサーは下方からハウジングに被さって固定子を被覆するように配置される。羽根車は中空軸と、一つ以上の中空軸に形成された側面孔とを有する。羽根車は頂面円盤を有し、頂面円盤と環状縁部との間に所定の距離を置いて隙間を形成する。羽根車の頂面円盤は頂面と、複数の頂面に配置された汚物排出羽根とを有する。羽根車が回転する際、複数の汚物排出羽根は遠心力を介して水を側面に飛ばす。複数の汚物排出羽根は隙間内に位置せず、スペーサーの下方に配置される。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6