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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】精密空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20241211BHJP
   F24F 11/80 20180101ALI20241211BHJP
   F24F 11/84 20180101ALI20241211BHJP
【FI】
F24F11/46
F24F11/80
F24F11/84
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023198779
(22)【出願日】2023-11-24
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591066465
【氏名又は名称】日本エアーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】岡野 宏志
(72)【発明者】
【氏名】豊田 貴大
(72)【発明者】
【氏名】丸山 秋広
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169130(JP,A)
【文献】特開2003-048622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/46
F24F 11/80
F24F 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を冷却する冷却部と、前記冷却部によって冷却された空気を送風する送風機とを備えた精密空調装置であって、
熱交換器と、
前記冷却部と前記熱交換器とに接続されて、前記冷却部と前記熱交換器との間で内部冷却水を循環させる内部冷却水循環路と、
前記熱交換器に前記内部冷却水循環路と独立して接続されて、外部冷却水を前記熱交換器に供給する外部冷却水供給路と、
前記熱交換器に前記内部冷却水循環路と独立して接続されて、前記内部冷却水との間で熱交換された前記外部冷却水を前記熱交換器から排出する外部冷却水排出路と、
前記内部冷却水循環路のうち、前記冷却部から前記熱交換器に向けて前記内部冷却水が流れる往路と、前記熱交換器から前記冷却部に向けて前記内部冷却水が流れる復路とが接続される第1制御弁と、
前記送風機から送風される空気の温度を検知する送風空気温度センサと、
前記送風空気温度センサと前記第1制御弁とが接続される第1調節計とを備え、
前記復路から前記冷却部に流入する前記内部冷却水の流量は、前記送風空気温度センサによって検知された温度に基づいて、前記第1調節計が前記第1制御弁を制御することによって制御され、
前記冷却部に流入する流量が制御された前記内部冷却水によって、前記冷却部で温度制御されて当該冷却部から前記送風機に送られる空気を、前記送風機の発熱負荷によって所定温度に昇温して前記送風機によって送風し、
前記外部冷却水供給路と前記外部冷却水排出路とが接続される第2制御弁と、
前記内部冷却水循環路の前記熱交換器より下流側を流れる前記内部冷却水の温度を検知する冷却水温度センサと、
前記冷却水温度センサと前記第2制御弁とが接続される第2調節計を備え、
前記熱交換器は、前記内部冷却水循環路から流入する前記内部冷却水と前記外部冷却水供給路から流入する前記外部冷却水との間で熱交換し、
前記外部冷却水供給路から前記熱交換器に流入する前記外部冷却水の流量は、前記冷却水温度センサによって検知された温度に基づいて、前記第2調節計が前記第2制御弁を制御することによって制御される
ことを特徴とする精密空調装置。
【請求項2】
前記冷却部に供給される外気を加熱可能な補助加熱部を備え、
前記冷却部は、前記補助加熱部によって昇温された外気を冷却する
ことを特徴とする請求項1に記載の精密空調装置。
【請求項3】
前記補助加熱部を通過した外気の温度を検知する外気温度センサと、
前記補助加熱部の温度を制御する温度制御部と、
前記外気温度センサと前記温度制御部とが接続される外気温度調節計とを備え、
前記補助加熱部の温度は、前記外気温度センサによって検知された温度に基づいて、前記外気温度調節計が前記温度制御部を制御することによって制御される
ことを特徴とする請求項に記載の精密空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷水制御システムを内蔵した精密空調機関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場や電算室は年間を通して冷房を行っている。これらを冷房する時の冷水は、基本的には冷凍機によって製造する(例えば特許文献1参照)。
冷凍機を使用した従来の精密空調機(の温度制御システム)の一例を図4に示す。この図に示すように、精密空調機に取り込まれた外気は冷凍機を用いた冷却システムで過冷却され、その後、電気ヒータを用いて所定の温度に制御される。
【0003】
電気ヒータは、冷却コイルによって生成(冷却)された冷空気を加熱して温空気を生成する。温空気は送風機によって、外部(例えばクリーンルーム)に給気される。
また、電気ヒータには制御部が接続され、この制御部には調節計が接続されている。送風機の吹出口の前方には温度センサが設けられ、この温度センサが調節計に接続されている。そして調節計は、温度センサによって検知された温度に基づいて、制御部によって電気ヒータの温度を制御する。
また、冷凍機から冷却コイルに冷媒を供給する冷媒配管には膨張弁が設けられている。
また、冷凍機から冷却水を排出する排出路には、制水弁が設けられており、当該制水弁は冷媒配管に接続されている。
このような精密空調機では、空気冷却に冷凍機を用いており、冷凍機で使用されるフロン等の冷媒は環境負荷が大きいという問題点がある。
【0004】
冷凍機を用いない従来の空調機の一例を図5に示す。この図に示すように、冷凍機を用いない空調機は、建屋側の冷却塔から供給される冷却水を空気冷却用として利用している。
空調機内に取り込まれた外気は冷却塔から供給された冷却水が循環する冷却コイルにて過冷却される。冷却コイルに供給される冷水量をモータ弁(制御弁)にて制御することによって、冷却コイルから吹出される冷風を温度制御している。
【0005】
冷却コイルによって生成された冷空気の温度を検知する温度センサSEが設けられ、この温度センサSEに、調節計が接続され、この調節計にモータ弁(制御弁)が接続されている。そして、調節計は、温度センサSEによって検知された冷風の温度に基づいて、制御弁を制御し、電気ヒータを用いて冷却コイルから吹出される冷風を所定の温度に制御する。
また、電気ヒータには制御部が接続され、この制御部には調節計が接続されている。送風機の吹出口の前方には温度センサが設けられ、この温度センサSEが調節計に接続されている。そして調節計は、温度センサSEによって検知された温度に基づいて、制御部によって電気ヒータの温度を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-61911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した冷凍機を用いない従来の空調機では、フロン等の冷媒を用いないので、環境負荷は小さいが、冷却コイルによる過冷却後に、電気ヒータを用いて所定の温度に昇温する為、ヒータの消費電力が大きいという問題点がある。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、環境負荷が小さく、電気ヒータを用いることなく、空調温度制御を行える精密空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の精密空調装置は、外気を冷却する冷却部と、この冷却部によって冷却された空気を送風する送風機とを備えた精密空調装置であって、
前記冷却部に外部冷却水を供給する外部冷却水供給路と、
前記冷却部から前記外部冷却水を排出する外部冷却水排出路と、
前記外部冷却水供給路と前記外部冷却水排出路とが接続される制御弁と、
前記送風機から送風される空気の温度を検知する送風空気温度センサと、
前記送風空気温度センサと前記制御弁とが接続される調節計と、
を備え、
前記外部冷却水供給路から前記冷却部に流入する前記外部冷却水の流量は、前記送風空気温度センサによって検知された温度に基づいて、前記調節計が前記制御弁を制御することによって、制御され、
前記冷却部に流入する流量が制御された外部冷却水によって、前記冷却部で温度制御されて当該冷却部から前記送風機に送られる空気を、前記送風機の発熱負荷によって所定温度に昇温して前記送風機によって送風することを特徴とする。
【0010】
ここで、冷却部としては、冷却コイルが好適に使用されるが、これに限るものではない。冷却コイルは、管内を流れる低温の水やブラインまたは冷媒によって、管の外側の流体を冷却する熱交換器の熱交換部のことを言う。
【0011】
本発明においては、外部冷却水供給路から冷却部に流入する外部冷却水の流量が、送風機から送風される空気の温度を検知する送風空気温度センサによって検知された温度に基づいて、調節計が制御弁を制御することによって、制御され、流量が制御された外部冷却水によって、冷却部で温度制御されて当該冷却部から送風機に送られる空気を、送風機の発熱負荷によって所定温度に昇温して送風機によって送風するので、従来と異なり、空調温調制御に電気ヒータを用いずに、冷水コイルに流入する冷水量の制御のみで空調温調制御を行うことができる。
また、環境負荷が大きい冷凍機を使用していないので、環境負荷を小さくすることができる。
【0012】
また、本発明の精密空調装置は、外気を冷却する冷却部と、この冷却部によって冷却された空気を送風する送風機とを備えた精密空調装置であって、
熱交換器と、
前記冷却部と前記熱交換器とに接続されて、前記冷却部と前記熱交換器との間で内部冷却水を循環させる内部冷却水循環路と、
前記熱交換器に前記内部冷却水循環路と独立して接続されて、外部冷却水を前記熱交換器に供給する外部冷却水供給路と、
前記熱交換器に前記内部冷却水循環路と独立して接続されて、前記内部冷却水との間で熱交換された前記外部冷却水を前記熱交換器から排出する外部冷却水排出路と、
前記内部冷却水循環路のうち、前記冷却部から前記熱交換器に向けて前記内部冷却水が流れる往路と、前記熱交換器から前記冷却部に向けて前記内部冷却水が流れる復路とが接続される第1制御弁と、
前記送風機から送風される空気の温度を検知する送風空気温度センサと、
前記送風空気温度センサと前記第1制御弁とが接続される第1調節計とを備え、
前記復路から前記冷却部に流入する前記内部冷却水の流量は、前記送風空気温度センサによって検知された温度に基づいて、前記第1調節計が前記第1制御弁を制御することによって、制御され、
前記冷却部に流入する流量が制御された内部冷却水によって、前記冷却部で温度制御されて当該冷却部から前記送風機に送られる空気を、前記送風機の発熱負荷によって所定温度に昇温して前記送風機によって送風することを特徴とする。
【0013】
本発明においては、内部冷却水循環路の復路から冷却部に流入する内部冷却水の流量が、送風機から送風される空気の温度を検知する送風空気温度センサによって検知された温度に基づいて、第1調節計が第1制御弁を制御することによって、制御され、流量が制御された内部冷却水によって、冷却部で温度制御されて当該冷却部から送風機に送られる冷空気を、送風機の発熱負荷によって所定温度に昇温して前記送風機によって送風するので、従来と異なり、温調制御に電気ヒータを用いずに、冷水コイルに流入する冷水量の制御のみで空調温調制御を行うことができる。
また、環境負荷が大きい冷凍機を使用していないので、環境負荷を小さくすることができる。
さらに、内部冷却水循環路が外部冷却水供給路および外部冷却水排出路に対して独立となっているので、内部冷却水循環路が外部冷却水の圧力変動を受け難い。
【0014】
また、本発明の前記構成において、前記外部冷却水供給路と前記外部冷却水排出路とが接続される第2制御弁と、
前記内部冷却水循環路の前記熱交換器より下流側を流れる内部冷却水の温度を検知する冷却水温度センサと、
前記冷却水温度センサと前記第2制御弁とが接続される第2調節計を備え、
前記熱交換器は、前記内部冷却水循環路から流入する内部冷却水と、前記外部冷却水供給路から流入する外部冷却水との間で熱交換し、
前記外部冷却水供給路から前記熱交換器に流入する前記外部冷却水の流量は、前記冷却水温度センサによって検知された温度に基づいて、前記第2調節計が前記第2制御弁を制御することによって、制御されてもよい。
【0015】
このような構成によれば、外部冷却水供給路から熱交換器に流入する外部冷却水の流量が、冷却水温度センサによって検知された温度に基づいて、第2調節計が第2制御弁を制御することによって、制御されることで、内部冷却水循環路を流通して冷却部に供給される内部冷却水の温度を所定の温度に制御できる。
【0016】
また、本発明の前記構成において、冷却部に供給される外気を加熱可能な補助加熱部を備え、
前記冷却部は、前記補助加熱部によって昇温された外気を冷却してもよい。
【0017】
このような構成によれば、送風機の発熱負荷だけでは、冷却部から送風機に送られる冷空気を所定温度に昇温するのが困難(昇温不足)な場合に、補助加熱部によって外気を昇温することによって、空調の昇温不足を解消できる。
【0018】
また、本発明の前記構成において、前記補助加熱部を通過した外気の温度を検知する外気温度センサと、
前記補助加熱部の温度を制御する温度制御部と、
前記外気温度センサと前記温度制御部とが接続される外気温度調節計とを備え、
前記補助加熱部の温度は、前記外気温度センサによって検知された温度に基づいて、前記外気温度調節計が前記温度制御部を制御することによって、制御されてもよい。
【0019】
このような構成によれば、補助加熱部の温度が、外気温度センサによって検知された温度に基づいて、外気温度調節計が温度制御部を制御するによって制御されるので、補助加熱部によって加熱される外気の温度を所定の温度に制御できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、環境負荷が小さく、電気ヒータを用いることなく、空調温度制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態に精密空調装置を示すもので、当該空調装置の概略構成を示す冷却制御システム図である。
図2】本発明の第2の実施形態に精密空調装置を示すもので、当該空調装置の概略構成を示す冷却制御システム図である。
図3】同、概略構成を示す正面図である。
図4】従来の冷凍機を使用した精密空調機の概略構成を示す冷却制御システム図である。
図5】従来の冷凍機を使用しない精密空調機の概略構成を示す冷却制御システム図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明に係る精密空調装置の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態の精密空調装置1の概略構成を示す温度制御システム図である。
図1に示すように、精密空調装置1は、冷却コイル(冷却部)2と、補助電気ヒータ(補助加熱部)3と、送風機4とを備えている。このような精密空調装置1は、例えばクリーンルーム等の部屋に設置されるが、精密空調装置1はクリーンルーム以外の他の場所や部屋に設置してもよい。
【0023】
冷却コイル2には、後述する外部冷却水供給路12から外部冷却水が供給されて流通しており、当該冷却コイル2の表面を外気が通過し、これによって、当該外気が冷却される。この外気が冷却された空気(冷空気)は、送風機4によって外部に送風される。
補助電気ヒータ3は、冷却コイル2に供給される外気を加熱可能な電気ヒータであり、前記外気を必要に応じて加熱して昇温させる。また、冷却コイル2は、補助電気ヒータ3によって昇温された外気を冷却する。
【0024】
また、精密空調装置1は、外部冷却水供給路12と外部冷却水排出路13とを備えている。
外部冷却水供給路12は、外部冷却水を冷却コイル2に供給する管路であり、基端部が建屋側に設けられた冷却塔に接続され、先端部が冷却コイル2に接続されている。
外部冷却水排出路13は、冷却コイル2で熱交換された外部冷却水を冷却コイル2から排出する管路であり、基端部が冷却コイル2に接続され、先端部が前記冷却塔に接続されている。
【0025】
また、本実施形態の精密空調装置1は制御弁15を備えている。制御弁15は、三方弁とモータを備えたモータ弁であり、当該制御弁15には、外部冷却水供給路12と外部冷却水排出路13とが接続されている。すなわち、外部冷却水供給路12は、当該外部冷却水供給路12から分岐する分岐路12aを有しており、この分岐路12aが制御弁15に接続されている。また、外部冷却水排出路13の途中に制御弁15が接続されている。
【0026】
また、本実施形態の精密空調装置1は、調節計17と送風空気温度センサ18とを備えている。送風空気温度センサ18は、送風機4から送風される空気の温度を検知するものであり、調節計17に接続されている。この調節計17には、前記制御弁15が接続されている。
そして、外部冷却水供給路12から冷却コイル2に流入する外部冷却水の流量は、送風空気温度センサ18によって検知された温度に基づいて、調節計17が制御弁15を制御(フィードバック制御)することによって、制御される。
【0027】
例えば、送風空気温度センサ18によって検知された空気の温度が所定の設定温度より低い場合、調節計17は制御弁15を、現在より開側に制御することで、外部冷却水の一部を分岐路12aを通して、外部冷却水排出路13に流すことで、冷却コイル2に供給する外部冷却水の流量を減らして、冷却コイル2による熱交換量を調整することによって、冷却コイル2によって生成される空気の温度を設定温度まで上昇させる。
【0028】
一方、送風空気温度センサ18によって検知された温空気の温度が所定の設定温度より高い場合、調節計17は制御弁15を、現在より閉側に制御することで、冷却コイル2に供給する外部冷却水の流量を増やして、冷却コイル2による熱交換量を調整することによって、冷却コイル2によって生成される空気の温度を設定温度まで下降させる。
【0029】
このように、冷却コイル2に流入する流量が制御された外部冷却水によって、冷却コイル2で温度制御されて当該冷却コイル2から送風機4に送られる空気は、送風機4の発熱負荷によって所定温度に昇温されて送風機4によって送風される。
【0030】
さらに、本実施形態の精密空調装置1は、前記補助電気ヒータ(補助加熱部)3と、外気温度センサ40と、温度制御部41と、外気温度調節計42とを備えている。
補助電気ヒータ3は、冷却コイル2に供給される外気を必要に応じて加熱するものである。例えば、補助電気ヒータ3は、送風機4の発熱負荷では所定の温度まで外気昇温が不足する場合に作動する。
温度制御部41は、補助電気ヒータ3の温度を制御するものであり、外気温度センサ40に接続されている。
外気温度調節計42は、外気温度センサ40と温度制御部41とに接続されている。
そして、補助電気ヒータ3の温度は、外気温度センサ40によって検知された温度に基づいて、外気温度調節計42が温度制御部41を制御することによって、制御される。
【0031】
例えば、精密空調装置1に取り込まれて、補助電気ヒータ3を通過した外気が所定の温度である場合は、当該外気は補助電気ヒータ3によって加熱されることなく当該補助電気ヒータ3を通過後、冷却コイル2にて最低限の冷却制御が行われ、送風機4の発熱負荷を活用して目標温度に到達する。この場合、補助電気ヒータ3の稼働は不要であり、省エネである。
一方、外気が所定温度より低温の低温条件の場合、精密空調装置1に取り込まれた外気は補助電気ヒータ3で昇温され、その後、冷却コイル2にて冷却制御が行われ、送風機4の発熱負荷を活用して目標温度に到達する。この場合、補助電気ヒータ3が稼働し、送風機4の発熱負荷によって温度不足分を補う。
【0032】
以上のように本実施形態によれば、外部冷却水供給路12から冷却コイル2に流入する外部冷却水の流量が、送風機4から送風される空気の温度を検知する送風空気温度センサ18によって検知された温度に基づいて、調節計17が制御弁15を制御することによって、制御され、流量が制御された外部冷却水によって、冷却コイル2で温度制御されて当該冷却コイル2から送風機4に送られる空気を、送風機4の発熱負荷によって所定温度に昇温して送風機4によって送風するので、従来と異なり、空調温調制御に電気ヒータを用いずに、冷却コイル2に流入する冷水量の制御のみで空調温調制御を行うことができる。
また、環境負荷が大きい冷凍機を使用していないので、環境負荷を小さくすることができる。
【0033】
さらに、外気を加熱可能な補助電気ヒータ3を備え、冷却コイル2は、必要に応じて補助電気ヒータ3によって昇温された外気を冷却するので、送風機4の発熱負荷だけでは、冷却コイル2から送風機4に送られる空気を所定温度に昇温するのが困難(昇温不足)な場合に、補助電気ヒータ3によって外気を昇温することによって、空調の昇温不足を解消できる。
【0034】
加えて、補助電気ヒータ3によって加熱された外気の温度を検知する外気温度センサ40と、補助電気ヒータ3の温度を制御する温度制御部41と、外気温度センサ40と温度制御部41とが接続される外気温度調節計42とを備え、補助電気ヒータ3の温度は、外気温度センサ40によって検知された温度に基づいて、外気温度調節計42が温度制御部41を制御することによって、制御されるので、補助電気ヒータ3によって加熱される外気の温度を所定の温度に制御できる。
【0035】
(第2の実施形態)
図2は第2の実施形態の精密空調装置11の概略構成を示す温度制御システム図である。
図2に示すように、精密空調装置11は、第1の実施形態の精密空調装置1と同様に、冷却コイル(冷却部)2と、補助電気ヒータ(補助加熱部)3と、送風機4とを備えている。
【0036】
冷却コイル2には、後述する内部冷却水循環路21を流れる内部冷却水が流通しており、当該冷却コイル2の表面を外気が通過し、これによって、当該外気が冷却される。
【0037】
また、本実施形態の精密空調装置11は、熱交換器20と、内部冷却水循環路21とを備えている。内部冷却水循環路21は、冷却コイル2と熱交換器20とに接続され、当該冷却コイル2と熱交換器20との間で内部冷却水を循環させる管路である。
また、内部冷却水循環路21は、往路21aと復路21bとを備えている。往路21aは、冷却コイル2から熱交換器20に向けて内部冷却水が流れる管路であり、基端部が冷却コイル2に接続され、先端部が熱交換器20に接続されている。復路21bは、熱交換器20から冷却コイル2に向けて内部冷却水が流れる管路であり、基端部が熱交換器20に接続され、先端部が冷却コイル2に接続されている。
そして、往路21aと復路21bとは熱交換器20の内部で接続されている。
【0038】
また、本実施形態の精密空調装置11は、外部冷却水供給路22と外部冷却水排出路23とを備えている。
外部冷却水供給路22は、外部冷却水を熱交換器20に供給する管路であり、基端部が建屋側に設けられた冷却塔に接続され、先端部が熱交換器20に接続されている。外部冷却水排出路23は、熱交換器20において内部冷却水との間で熱交換された外部冷却水を熱交換器20から排出する管路であり、基端部が熱交換器20に接続され、先端部が前記冷却塔に接続されている。
【0039】
また、外部冷却水供給路22および外部冷却水排出路23は、熱交換器20に内部冷却水循環路21と独立して接続され、外部冷却水供給路22と外部冷却水排出路23とは熱交換器20の内部で接続されている。また、上述したように、内部冷却水循環路21の往路21aと復路21bも熱交換器20の内部で接続されている。したがって、熱交換器20によって、外部冷却水と内部冷却水との間で熱交換される。つまり、熱交換器20は、内部冷却水循環路21の往路21aから流入する内部冷却水と、外部冷却水供給路22から流入する外部冷却水との間で熱交換する。
【0040】
また、本実施形態の精密空調装置11は、第1制御弁25を備えている。第1制御弁25は、三方弁とモータを備えたモータ弁であり、当該第1制御弁25には、内部冷却水循環路21の往路21aと復路21bとが接続されている。すなわち、復路21bは、当該復路21bから分岐する分岐路21cを有しており、この分岐路21cが第1制御弁25に接続されている。また、往路21aの途中に、バッファータンク28より上流側において、第1制御弁25が接続されている。
【0041】
また、本実施形態の精密空調装置11は、第1調節計17と送風空気温度センサ18とを備えている。送風空気温度センサ18は、送風機4から送風される温空気の温度を検知するものであり、第1調節計17に接続されている。この第1調節計17には、前記第1制御弁25が接続されている。
そして、内部冷却水循環路21の復路21bから冷却コイル2に流入する内部冷却水の流量は、送風空気温度センサ18によって検知された温度に基づいて、第1調節計17が第1制御弁25を制御(フィードバック制御)することによって、制御される。
【0042】
例えば、送風空気温度センサ18によって検知された空気の温度が所定の設定温度より低い場合、第1調節計17は第1制御弁25を、現在より開側に制御することで、復路21bを流れる内部冷却水の一部を分岐路21cを通して、往路21aに流すことで、冷却コイル2に供給する内部冷却水の流量を減らして、冷却コイル2による熱交換量を調整することによって、冷却コイル2によって生成される空気の温度を設定温度まで上昇させる。
【0043】
一方、送風空気温度センサ18によって検知された温空気の温度が所定の設定温度より高い場合、第1調節計17は第1制御弁25を、現在より閉側に制御することで、冷却コイル2に供給する内部冷却水の流量を増やして、冷却コイル2による熱交換量を調整することによって、冷却コイル2によって生成される空気の温度を設定温度まで下降させる。
【0044】
このように、冷却コイル2に流入する流量が制御された内部冷却水によって、冷却コイル2で温度制御されて当該冷却コイル2から送風機4に送られる空気は、送風機4の発熱負荷によって所定温度に昇温されて送風機4によって送風される。
【0045】
さらに、本実施形態の精密空調装置11は、第1の実施形態と同様に、前記補助電気ヒータ(補助加熱部)3と、外気温度センサ40と、温度制御部41と、外気温度調節計42とを備えている。
補助電気ヒータ3は、冷却コイル2に供給される外気を必要に応じて加熱するものである。
温度制御部41は、補助電気ヒータ3の温度を制御するものであり、外気温度センサ40に接続されている。
外気温度調節計42は、外気温度センサ40と温度制御部41とに接続されている。
そして、補助電気ヒータ3の温度は、外気温度センサ40によって検知された温度に基づいて、外気温度調節計42が温度制御部41を制御することによって、制御される。
【0046】
例えば、精密空調装置11に取り込まれて、補助電気ヒータ3を通過した外気が所定の温度である場合は、当該外気は補助電気ヒータ3によって加熱されることなく当該補助電気ヒータ3を通過後、冷水コイル2にて最低限の冷却制御が行われ、送風機4の発熱負荷を活用して目標温度に到達する。この場合、補助電気ヒータ3の稼働は不要であり、省エネである。
一方、外気が所定温度より低温の低温条件の場合、精密空調装置11に取り込まれた外気は補助電気ヒータ3で昇温され、その後、冷水コイル2にて冷却制御が行われ、送風機4の発熱負荷を活用して目標温度に到達する。この場合、補助電気ヒータ3が稼働し、送風機4の発熱負荷によって温度不足分を補う。
【0047】
また、本実施形態の精密空調装置11は、第2制御弁30を備えている。第2制御弁30は、三方弁とモータを備えたモータ弁であり、当該第2制御弁30には、外部冷却水供給路22と外部冷却水排出路23とが接続されている。すなわち、外部冷却水供給路22は、当該外部冷却水供給路22から分岐する分岐路22aを有しており、この分岐路22aが第2制御弁30に接続されている。また、外部冷却水排出路23の途中に第2制御弁30が接続されている。
【0048】
そして、外部冷却水供給路22から熱交換器20に流入する外部冷却水の流量は、内部冷却水循環路21の熱交換器20より下流側の復路21bを流れる内部冷却水の温度に基づいて、第2制御弁30によって制御される。
具体的には、復路21bの途中に、当該復路21bを流れる内部冷却水の温度を検知する冷却水温度センサ26が設けられている。また、この冷却水温度センサ26には、第2調節計27が接続され、この第2調節計27に第2制御弁30が接続されている。そして、第2調節計27は、冷却水温度センサ26によって検知された温度に基づいて、第2制御弁30を制御(フィードバック制御)する。
【0049】
例えば、冷却水温度センサ26によって検知された内部冷却水の温度が所定の設定温度より低い場合、第2調節計27は第2制御弁30を、現在より開側に制御することで、外部冷却水の一部を熱交換器20を通すことなく、直接外部冷却水排出路23に流すことで、熱交換器20に供給する外部冷却水の流量を減らして、熱交換器20による熱交換量を調整することによって、内部冷却水の温度を設定温度まで上昇させる。
【0050】
一方、冷却水温度センサ26によって検知された内部冷却水の温度が所定の設定温度より高い場合、第2調節計27は第2制御弁30を、現在より閉側に制御することで、熱交換器20に供給する外部冷却水の流量を増やして、熱交換器20による熱交換量を調整することによって、内部冷却水の温度を設定温度まで下降させる。
【0051】
また、前記内部冷却水循環路21には、上流側から順にバッファータンク28、ポンプ29が設けられている。このポンプ29によって、第1制御弁25から温水がバッファータンク28を介して熱交換器20に供給される。バッファータンク28およびポンプ29は内部冷却水循環路21の往路21aに設けられている。
【0052】
また、内部冷却水循環路21の往路21aと復路21bとには、バイパス路35が接続され、このバイパス路35に手動式のバイパスバルブ36が設けられている。このバイパスバルブ36を開とすることで、復路21bを流れる内部冷却水の一部を冷却コイル2を通すことなく、直接往路21aに流入させることができる。
【0053】
前記構成の精密空調装置11は、図3に示すように、略直方体箱状のケーシング50を備え、このケーシング50の内部に、冷却コイル2、補助電気ヒータ3、送風機4等が設けられている。ケーシング50内の上部には、チャンバー51が設けられ、このチャンバー51にHEPAフィルタ等のフィルタ52が設けられている。
そして、送風機4から吹き出される空気はフィルタ52によって異物が取り除かれたうえで、天井部53の吹出口から外部(例えばクリーンルーム)に向けて吹き出される。
なお、図3において、天井部53より下方に空間は開放されており、外部と連通している。
【0054】
ケーシング50は部屋54を備えており、この部屋54に、送風機4の下方において冷却コイル2と補助電気ヒータ3とが上下に連設された状態で設けられている。部屋54を形成する壁には、外気(例えば、精密空調装置11が設置されたクリーンルーム内の空気)を取り込む吸気口54aが設けられ、送風機4によって外気が吸込まれ、この外気は必要に応じて補助電気ヒータ3によって昇温されたうえで、冷却コイル2によって冷却され、さらに送風機4の発熱負荷によって所定温度に昇温されて、チャンバー51に吹き込まれる。チャンバー51に吹き込まれた空気は、フィルタ52によって異物が取り除かれたうえで、天井部53の吹出口から外部(例えばクリーンルーム)に向けて吹き出される。
【0055】
また、部屋54の下方には部屋55が設けられており、この部屋55に熱交換器20が設けられている。冷却コイル2と熱交換器20とに接続されて、冷却コイル2と熱交換器20との間で内部冷却水を循環させる内部冷却水循環路21は、部屋54と部屋55との間の仕切壁を貫通するようにして、両部屋54,55に渡って設けられている。
また、部屋54には第1制御弁25が設けられ、この第1制御弁25に、内部冷却水循環路21の往路21aと復路21bの分岐路21cとが接続されている。
また、部屋55に第2制御弁30が設けられ、この第2制御弁30に、外部冷却水供給路22の分岐路22aと外部冷却水排出路23とが接続されている。外部冷却水供給路22および外部冷却水排出路23は、ケーシング50の外壁を貫通して、図示しない建屋側の冷却塔に接続される。
【0056】
なお、図3に示す精密空調装置11では、図2に示す、送風空気温度センサ18、冷却水温度センサ26、第1調節計17、第2調節計27、バッファータンク28、バイパスバルブ36、温度制御部41、外気温度調節計42、送風空気温度センサ18等の図示を省略しているが、実際にはこれらもケーシング50の適宜の部位に設けられている。
このように、ケーシング50には、精密空調装置11の冷却制御システムがコンパクトに纏められて装備されている。
また、ケーシング50の底部に、精密空調装置11を移動させるためのキャスタおよび精密空調装置1を設置固定するための設定固定部を設けてもよい。
【0057】
なお、図示は省略するが、図1に示す精密空調装置1も前記ケーシング50と同様のケーシングに設けられている。この場合、精密空調装置1は、図2に示す精密空調装置11が備えていた熱交換器20、内部冷却水循環路21、第2調節計27、バッファータンク28、ポンプ29、第2制御弁30等を備えていないので、これらはケーシングには設けられていない。このため、精密空調装置1が設けられているケーシングは、精密空調装置11が設けられているケーシング50よりコンパクトになる。
【0058】
以上のように本実施形態によれば、内部冷却水循環路21の復路21bから冷却コイル2に流入する内部冷却水の流量が、送風機4から送風される空気の温度を検知する送風空気温度センサ18によって検知された温度に基づいて、第1調節計17が第1制御弁25を制御することによって、制御され、流量が制御された内部冷却水によって、冷却コイル2で温度制御されて当該冷却コイル2から送風機4に送られる冷空気を、送風機4の発熱負荷によって所定温度に昇温して送風機4によって送風するので、従来と異なり、温調制御に電気ヒータを用いずに、冷水コイルに流入する冷水量の制御のみで空調温調制御を行うことができる。
また、環境負荷が大きい冷凍機を使用していないので、環境負荷を小さくすることができる。
【0059】
また、補助電気ヒータ3によって加熱された外気の温度を検知する外気温度センサ40と、補助電気ヒータ3の温度を制御する温度制御部41と、外気温度センサ40と温度制御部41とが接続される外気温度調節計42とを備え、補助電気ヒータ3の温度は、外気温度センサ40によって検知された温度に基づいて、外気温度調節計42が温度制御部41を制御することによって、制御されるので、補助電気ヒータ3によって加熱される外気の温度を所定の温度に制御できる。
【0060】
また、内部冷却水循環路21が外部冷却水供給路22および外部冷却水排出路23に対して独立となっているので、内部冷却水循環路21が外部冷却水の圧力変動を受け難い。
また、外部冷却水供給路22から熱交換器20に流入する外部冷却水の流量が、冷却水温度センサ26によって検知された温度に基づいて、第2調節計27が第2制御弁30を制御することによって、制御されることで、内部冷却水循環路21を流通して冷却コイル2に供給される内部冷却水の温度を所定の温度に制御できる。
【符号の説明】
【0061】
1,11 精密空調装置
2 冷却コイル(冷却部)
3 補助電気ヒータ(補助加熱部)
4 送風機
12 外部冷却水供給路
13 外部冷却水排水路
15 制御弁
17 調節計、第1調節計
18 送風空気温度センサ
20 熱交換器
21 内部冷却水循環路
21a 往路
21b 復路
22 外部冷却水供給路
23 外部冷却水排出路
25 第1制御弁
26 冷却水温度センサ
27 第2調節計
30 第2制御弁
40 外気温度センサ
41 温度制御部
42 外気温度調節計
【要約】
【課題】環境負荷が小さく、電気ヒータを用いることなく、空調温度制御を行える精密空調装置を提供する。
【解決手段】外気を冷却する冷却部2と、この冷却部2によって冷却された空気を送風する送風機4と、冷却部2に外部冷却水を供給する外部冷却水供給路12と、冷却部2から外部冷却水を排出する外部冷却水排出路13と、外部冷却水供給路12と外部冷却水排出路13とが接続される制御弁15と、送風機4から送風される空気の温度を検知する送風空気温度センサ18と、送風空気温度センサ18と制御弁15とが接続される調節計17と、を備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5