(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】少なくとも1つの戸を動かす方法
(51)【国際特許分類】
E05D 15/26 20060101AFI20241211BHJP
E05D 15/58 20060101ALI20241211BHJP
E06B 3/48 20060101ALI20241211BHJP
E05F 1/16 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
E05D15/26
E05D15/58 A
E06B3/48
E05F1/16 B
(21)【出願番号】P 2023524837
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 AT2021060374
(87)【国際公開番号】W WO2022082234
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-06-07
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ハメラー
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-514591(JP,A)
【文献】特表2018-524501(JP,A)
【文献】特表2018-502234(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0239216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/26
E05D 15/58
E06B 3/48
E05F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動の家具キャビネット(4)に対して相対的に少なくとも1つの戸(2,3,26)を動かす方法(1)であって、前記家具キャビネット(4)は少なくとも1つの収容スペース(5)と
、少なくとも1つの中空室(6)とを有していて、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)は、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)が閉鎖平面(7)に配置されていて、前記少なくとも1つの収容スペース(5)を少なくとも部分的に遮蔽する閉鎖位置と、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)が前記少なくとも1つの収容スペース(5)を解放し、前記少なくとも1つの中空室(6)内の終端位置に配置されている開放位置との間で可動である方法において、当該方法は、以下の方法ステップ、すなわち、
-第1の方法ステップ(8)において、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を、前記閉鎖位置を起点として
、第1のエジェクト装置(9)によって、回転軸(10)を中心として、前記少なくとも1つの収容スペース(5)から離れるように旋回さ
せるステップ(8)、
-第2の方法ステップ(11)において、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を、前記戸が、前記閉鎖平面(7)に対して実質的に横方向に、かつ前記少なくとも1つの中空室(6)の外側に配置されている部分開放位置へと動かすステップ(11)、
-第3の方法ステップ(12)において、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を、前記部分開放位置から前記開放位置へと動かし、この場合、少なくとも1つの駆動装置(13,14)と第2のエジェクト装置(15)とが負荷され、
前記少なくとも1つの駆動装置(13,14)は、部分開放位置では負荷軽減されているステップ(12)、
-第4の方法ステップ(16)において、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を、前記開放位置を起点として
、前記第2のエジェクト装置(15)によって、前記部分開放位置の方向へと押し出すステップ(16)、
-第5の方法ステップ(17)において、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を、前記少なくとも1つの駆動装置(13,14)によって前記部分開放位置へと動かすステップ(17)、および
-第6の方法ステップ(18)において、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を
、前記部分開放位置から前記閉鎖位置へと動かし、この場合、前記第1のエジェクト装置(9)が負荷されるステップ(18)、
を含むことを特徴とする方法(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの中空室(6)は、シャフト状である、請求項1記載の方法(1)。
【請求項3】
前記第1のエジェクト装置(9)は、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を前記少なくとも1つの収容スペース(5)の方向で過剰に押し込むことにより作動可能である、請求項1または2記載の方法(1)。
【請求項4】
前記第1のエジェクト装置(9)は、前記家具キャビネット(4)にまたは前記少なくとも1つの戸(2,3,26)に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの駆動装置(13,14)はボーデンケーブルおよび/またはばね負荷された旋回レバーを有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法(1)。
【請求項6】
前記第2のエジェクト装置(15)は、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を前記終端位置の方向で過剰に押し込むことにより作動可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの戸(2,3,26)は、旋回装置(19)によって、かつ/または手動で、前記部分開放位置から前記閉鎖位置へと動かされる、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法(1)。
【請求項8】
前記第1のエジェクト装置(9)は、旋回装置(19)としても形成されていて、前記旋回装置によって、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)は、前記部分開放位置から、前記閉鎖位置の方向に可動であり、前記旋回装置(19)は、前記第2の方法ステップ(11)の過程で負荷され、前記少なくとも1つの戸(2,3,26)は、前記第6の方法ステップ(18)の過程で、前記旋回装置(19)によっておよび手動で、前記部分開放位置から前記閉鎖位置へと動かされる、請求項1
から7までのいずれか1項記載の方法(1)。
【請求項9】
前記第5の方法ステップ(17)の過程で、前記部分開放位置への前記少なくとも1つの戸(2,3,26)の運動を減衰させる少なくとも1つの減衰装置(20)が設けられている、請求項1
から8までのいずれか1項記載の方法(1)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を、前記第2の方法ステップの過程で、手動で前記部分開放位置へと動かす、請求項1から
9までのいずれか1項記載の方法(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を、前記第3の方法ステップの過程で、手動で前記部分開放位置から前記開放位置へと動かす、請求項1から
10までのいずれか1項記載の方法(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を、前記第1の方法ステップ(8)、前記第2の方法ステップ(11)、および前記第6の方法ステップ(18)の過程で少なくとも旋回させる、請求項1から
11までのいずれか1項記載の方法(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を、前記第3の方法ステップ(12)、前記第4の方法ステップ(16)、および前記第5の方法ステップ(17)の過程で線形に動かす、請求項1から
12までのいずれか1項記載の方法(1)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの戸(2,3,26)は、支持体(21)に
、支持されていて、前記支持体(21)を、前記第3の方法ステップ(12)、前記第4の方法ステップ(16)、および前記第5の方法ステップ(17)の過程で、前記少なくとも1つの中空室(6)内に配置された少なくとも1つのガイド(22,23)に沿って摺動させる、請求項
13記載の方法(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの戸(2,3,26)は、支持体(21)に旋回可能に支持されている、請求項14記載の方法(1)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの戸(2,3)は、少なくとも1つの別の戸(3,2)に枢着的に接続されていて、前記戸(2,3)は、前記閉鎖位置で共平面位置に配置されていて、前記部分開放位置ならびに前記開放位置では、互いに実質的に平行に配置されており、前記戸(2,3)は、前記第1の方法ステップ(8)、前記第2の方法ステップ(11)、および前記第6の方法ステップ(18)の過程で、旋回スライド運動を行う、請求項1から
15までのいずれか1項記載の方法(1)。
【請求項17】
前記家具キャビネット(4)には、前記閉鎖平面(7)に対して平行に、少なくとも1つの走行レール(24)が配置されていて、前記戸(2,3)のうちの1つは、走行キャリッジ(25)を介して、前記少なくとも1つの走行レール(24)に接続されていて、前記第1の方法ステップ(8)、前記第2の方法ステップ(11)、および前記第6の方法ステップ(18)の過程で、前記少なくとも1つの走行レール(24)に沿って移動させられる、請求項
16記載の方法(1)。
【請求項18】
前記少なくとも1つの戸(2,3,26)を、前記第5の方法ステップ(17)の過程で、少なくとも2つの駆動装置(13,14)によって相前後してかつ/または同時に前記部分開放位置へと動かし、この場合、前記駆動装置(13,14)を前記第3の方法ステップ(12)の過程で負荷する、請求項1から
17までのいずれか1項記載の方法(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動の家具キャビネットに対して相対的に少なくとも1つの戸を動かす方法であって、家具キャビネットは少なくとも1つの収容スペースと、好ましくはシャフト状の少なくとも1つの中空室とを有していて、少なくとも1つの戸は、少なくとも1つの戸が閉鎖平面に配置されていて、少なくとも1つの収容スペースを少なくとも部分的に遮蔽する閉鎖位置と、少なくとも1つの戸が少なくとも1つの収容スペースを解放し、少なくとも1つの中空室内の終端位置に配置されている開放位置との間で可動である方法に関する。
【0002】
このような方法は、従来技術により既に公知である。この場合の欠点は、戸を動かすために、使用者は大きな労力を要し、使用者は、様々な方向から力をかけなければならず、これにより運動経過がスムーズではなくなるということにある。
【0003】
本発明の課題は、この欠点を少なくとも部分的に解消し、従来技術に対して改善された、特に、調和の取れた直感的な運動経過および使用者にとってより僅かな労力を要する点で優れていて、これにより操作快適性を著しく向上させる方法を提供することにある。
【0004】
この課題は、請求項1の特徴により解決される。
【0005】
すなわち、第1の方法ステップにおいて、少なくとも1つの戸を、閉鎖位置を起点として、好ましくは少なくとも1つの戸を少なくとも1つの収容スペースの方向で過剰に押し込むことにより作動可能な第1のエジェクト装置によって、回転軸を中心として、少なくとも1つの収容スペースから離れるように旋回させ、好ましくはこの場合、第1のエジェクト装置は、家具キャビネットにまたは少なくとも1つの戸に配置されていることが想定されている。これにより、少なくとも1つの戸は、この少なくとも1つの戸を、使用者にとって簡単な方法で、開放位置の方向にさらに動かすことができる角度位置へと動かされる。
【0006】
第2の方法ステップにおいて、少なくとも1つの戸を、戸が、閉鎖平面に対して実質的に横方向に、かつ少なくとも1つの中空室の外側に配置されている部分開放位置へと動かす。この部分開放位置では既に、収容スペースに外部からアクセスすることができる。好適には、少なくとも1つの戸を、第2の方法ステップの過程で、手動で部分開放位置へと動かすことが想定されている。このような動きは、規定された1つの方向から比較的僅かな労力で行われる。
【0007】
第3の方法ステップにおいて、少なくとも1つの戸を、部分開放位置から開放位置へと動かし、この場合、少なくとも1つの駆動装置と第2のエジェクト装置とが負荷され、好ましくはこの場合、少なくとも1つの駆動装置はボーデンケーブルおよび/またはばね負荷された旋回レバーを有している。この場合、少なくとも1つの戸を、第3の方法ステップの過程で、手動で部分開放位置から開放位置へと動かすことが考えられる。このような動きも、使用者にとって直感的な、規定された1つの方向への動きである。
【0008】
少なくとも1つの戸が開放位置に位置しているので、今や妨げられることなく、使用者は収容スペースにアクセスすることができる。例えば、収容スペースにはキッチンを配置することができる。この場合、今や使用者は、通常、キッチンで行われる活動を行うことができる。
【0009】
次いで使用者が、収容スペースを再び閉鎖したい場合は、第4の方法ステップにおいて、少なくとも1つの戸を、開放位置を起点として、好ましくは前記少なくとも1つの戸を終端位置の方向で過剰に押し込むことにより作動可能な第2のエジェクト装置によって、部分開放位置の方向へと押し出す。
【0010】
第5の方法ステップにおいて、少なくとも1つの戸を、少なくとも1つの駆動装置によって部分開放位置へと動かす。この場合、少なくとも1つの戸を、第5の方法ステップの過程で、少なくとも2つの駆動装置によって相前後してかつ/または同時に部分開放位置へと動かし、この場合、これらの駆動装置を第3の方法ステップの過程で負荷することが考えられる。例えば、第1の駆動装置は、本出願人による出願公開第51123/2019号明細書に開示されているようなボーデンケーブルであってよく、第2の駆動装置は、本出願人による出願公開第50495/2020号明細書に開示されているような旋回レバー引込み装置であってよい。
【0011】
第6の方法ステップにおいて、少なくとも1つの戸を、好ましくは旋回装置によって、かつ/または手動で、部分開放位置から閉鎖位置へと動かし、この場合、第1のエジェクト装置が負荷される。
【0012】
すなわち、第4の方法ステップ、第5の方法ステップ、および第6の方法ステップでは、使用者は、少なくとも1つの戸を閉鎖位置に戻すために力をかける必要は全くない、またはごく僅かな力しかかける必要はない。
【0013】
好適な実施形態によれば、第1のエジェクト装置が、旋回装置としても形成されていて、この旋回装置によって、少なくとも1つの戸は、部分開放位置から、閉鎖位置の方向に可動であり、旋回装置は、第2の方法ステップの過程で負荷され、少なくとも1つの戸は、第6の方法ステップの過程で、この旋回装置によっておよび手動で、部分開放位置から閉鎖位置へと動かされる。
【0014】
このためには、例えば、本出願人による出願公開第51116/2019号明細書に開示されているような第1のエジェクト装置が形成されてよい。
【0015】
第5の方法ステップの過程で部分開放位置への少なくとも1つの戸の運動を減衰させる少なくとも1つの減衰装置が設けられていることが考えられる。これにより、部分開放位置で行われる方向変更を特に円滑に行うために、少なくとも1つの戸を、部分開放位置への移動の直前で制動させることができる。
【0016】
少なくとも1つの戸を、第1の方法ステップ、第2の方法ステップ、および第6の方法ステップの過程で少なくとも旋回させると有利であることがわかった。
【0017】
代替的にまたは補足的に、少なくとも1つの戸を、第3の方法ステップ、第4の方法ステップ、および第5の方法ステップの過程で線形に動かすことが有利であることが実証されている。
【0018】
この関連で、少なくとも1つの戸が、支持体に、好ましくは旋回可能に支持されていて、支持体を、第3の方法ステップ、第4の方法ステップ、および第5の方法ステップの過程で、少なくとも1つの中空室内に配置された少なくとも1つのガイドに沿って摺動させることが考えられる。
【0019】
好適な実施形態によれば、少なくとも1つの戸が、少なくとも1つの別の戸に枢着的に接続されていて、これらの戸は、閉鎖位置で共平面位置に配置されていて、部分開放位置ならびに開放位置では、互いに実質的に平行に配置されており、戸は、第1の方法ステップ、第2の方法ステップ、および第6の方法ステップの過程で、旋回スライド運動を行うことが想定されている。
【0020】
この関連で、家具キャビネットには、閉鎖平面に対して平行に、少なくとも1つの走行レールが配置されていて、戸のうちの1つは、走行キャリッジを介して、少なくとも1つの走行レールに接続されていて、第1の方法ステップ、第2の方法ステップ、および第6の方法ステップの過程で、少なくとも1つの走行レールに沿って移動させられることが有利であることがわかっている。
【0021】
本発明のさらなる詳細および利点を、図面の説明に基づき図面を参照しながら以下により詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】家具キャビネットと、この家具キャビネットに対して相対的に可動の戸とを備えた第1の家具を概略的に示す斜視図である。
【
図2】家具キャビネットと、この家具キャビネットに対して相対的に可動の戸とを備えた第2の家具を概略的に示す斜視図である。
【
図3】不動の家具キャビネットに対して相対的に少なくとも1つの戸を動かす方法の実施例を概略的に示すフローチャートである。
【
図4】不動の家具キャビネットに対して相対的に戸を動かす方法の別の実施例を、図の上側部分では家具の概略的な平面図で、下側部分では力・変位グラフで示す図である。
【
図17】不動の家具キャビネットに対して相対的に戸を動かす方法の別の実施例を、図の上側部分では家具の概略的な平面図で、下側部分では力・変位グラフで示す図である。
【0023】
図1は、1つだけの戸26を含む可動の家具部分を備えた家具39と、この家具に結合された家具38とを示しており、家具38は、互いに枢着的に接続された2つの戸2,3を含む可動の家具部分を備えている。可動の家具部分によってそれぞれ、例えばキッチン機器および/またはキッチン家具が配置可能な収容スペース5を遮蔽することができる。これにより、隠すことができるキッチンを実現することができる。家具38および39は、1つの共通の家具と見なされてもよい。
【0024】
図1に示されたものとは異なり、第1の側からは、戸26を備えた可動の家具部分によって遮蔽可能で、第2の側からは、戸2,3を備えた可動の家具部分によって遮蔽可能な1つの共通の内部スペースであってもよい。
【0025】
家具38,39は、家具の奥行き方向で延在する、好ましくはシャフト状に形成された中空室6を有しており、この中空室内には、可動の家具部分が配置可能である。
【0026】
戸2,3,26は、戸2,3,26が閉鎖平面7に配置されていて、収容スペース5を少なくとも所定の領域で遮蔽している閉鎖位置と、戸2,3,26が収容スペース5を解放していて、中空室6内の終端位置に配置されている開放位置との間で可動である。
【0027】
可動の家具部分を中空室6内にガイドするために、不動の家具キャビネット4の家具壁28,30に配置されたそれぞれ1つのガイドアセンブリが組み付けられている。このガイドアセンブリは、第1のガイド22と、この第1のガイドから鉛直方向に離隔された第2のガイド23とを有していてよい。
【0028】
戸2,3,26は、支持体21に、好ましくは旋回可能に支持されていてよく、この場合、支持体21を、少なくとも1つの中空室6内に配置されたガイド22,23に沿って摺動させることができる。
【0029】
水平方向軸線を中心とした戸26,2,3または支持体21の傾動モーメントを補償することができる補償装置31が設けられていてよい。補償装置31は、少なくとも1つのボーデンケーブル35および/または好ましくはY字型のはさみ機構36を含んでいてよい。
【0030】
図2は、互いに枢着的に接続された2つの戸2,3を含む可動の家具部分を備えた家具38を示している。戸2,3は、ヒンジ32を介して互いに枢着的に接続されている。
【0031】
家具38の上面33には、少なくとも1つの走行レール24が、戸2,3の閉鎖平面7に対して平行に(
図17も参照)配置されていて、この場合、可動の家具部分の2つの戸2,3のうちの1つは、走行キャリッジ25を介して走行レール24に沿って摺動可能に支持されている(
図1も参照)。走行レール24は、前板37によって域所定の領で遮蔽されている。
【0032】
中空室6は、互いに離隔されかつ互いに実質的に平行に配置されたそれぞれ2つの側壁28,29および30,40によって形成されていてよく、この場合、側壁28,29,30,40は、接続部材34によって互いに接続されていてよい。
【0033】
側壁29と30の間ならびに側壁28と別の側壁27との間に、収容スペース5を配置することができる。
【0034】
図1および
図2に示された家具38,39の他に、1つだけの戸を含む1つだけの可動の家具部分を有している家具、または2つ以上の可動の家具部分および/または2つ以上の可動の家具部分を備えた家具も考えられる。本発明は以下に、
図4につき、例として家具38および39に関して説明される。
【0035】
図3は、不動の家具キャビネット4に対して相対的に少なくとも1つの戸2,3,26を動かす方法1の実施例を、フローチャートにつき概略的に示している。この方法1は、以下の方法ステップを含む。
【0036】
第1の方法ステップ8において、少なくとも1つの戸2,3,26を、閉鎖位置を起点として、好ましくは少なくとも1つの戸2,3,26を少なくとも1つの収容スペース5の方向で過剰に押し込むことにより作動可能な第1のエジェクト装置9によって、回転軸10を中心として、少なくとも1つの収容スペース5から離れるように旋回させ、好ましくはこの場合、第1のエジェクト装置9は、家具キャビネット4にまたは少なくとも1つの戸2,3,26に配置されている。
【0037】
第2の方法ステップ11において、少なくとも1つの戸2,3,26を、この戸が、閉鎖平面7に対して実質的に横方向に、かつ少なくとも1つの中空室6の外側に配置されている部分開放位置へと動かす。
【0038】
第3の方法ステップ12において、少なくとも1つの戸2,3,26を、部分開放位置から開放位置へと動かし、この場合、少なくとも1つの駆動装置13,14と第2のエジェクト装置15とが負荷され、好ましくはこの場合、少なくとも1つの駆動装置13,14はボーデンケーブルおよび/またはばね負荷された旋回レバーを有している。
【0039】
第4の方法ステップ16において、少なくとも1つの戸2,3,26を、開放位置を起点として、好ましくは少なくとも1つの戸2,3,26を終端位置の方向で過剰に押し込むことにより作動可能な第2のエジェクト装置15によって、部分開放位置の方向へと押し出す。
【0040】
第5の方法ステップ17において、少なくとも1つの戸2,3,26を、少なくとも1つの駆動装置13,14によって部分開放位置へと動かす。
【0041】
第6の方法ステップ18において、少なくとも1つの戸2,3,26を、好ましくは旋回装置19によって、かつ/または手動で、部分開放位置から閉鎖位置へと動かし、この場合、第1のエジェクト装置9が負荷される。
【0042】
図4~
図16は、不動の家具キャビネットに対して相対的に戸26を動かす方法1の別の実施例を、連続した図につき示しており、この場合、図の上側部分にはそれぞれ家具39が概略的に平面図で示されており、下側部分には力・変位グラフが示されている。
【0043】
家具39は、側壁29と30との間に配置された収容スペース5と、側壁30と40との間に配置された中空室6とを有している。
【0044】
戸26は、回転軸10を中心として旋回可能である。
【0045】
図面の下側部分には、それぞれ2つの力・変位グラフが示されており、左側のグラフは、戸26が閉鎖平面7に配置されている閉鎖位置と、戸26が中空室6に対して実質的に平行に配置されている部分開放位置との間で戸26が動く際に有効な力41を、旋回角度変位43に関して示している。右側のグラフは、部分開放位置と、戸26が中空室6内の終端位置に配置されている開放位置との間で戸26が動く際に有効な力42を、移動距離44に関して示している。
【0046】
図4には、戸26の閉鎖位置が示されている。図示した場合、家具キャビネット4に配置されている第1のエジェクト装置9の蓄力器は負荷されていて、このことは、黒色で塗られた正方形によって略示されている。
【0047】
第1の方法ステップ8において、戸26を、閉鎖位置を起点として、戸26を収容スペース5の方向で過剰に押し込むことにより作動可能な第1のエジェクト装置9によって、回転軸10を中心として収容スペース5から離れるように旋回させる。
【0048】
図5は、過剰押込み位置を示していて、
図6は、押し出し後の戸26の位置を示している。押し出しの際に、第1のエジェクト装置9の蓄力器は負荷軽減され、このことは、
図6の正方形がもはや塗られていないことにより示されている。
【0049】
第2の方法ステップ11において、戸26を、この戸が、閉鎖平面7に対して実質的に横方向に、かつ少なくとも1つの中空室6の外側に配置されている部分開放位置へと手動で動かす。部分開放位置は、
図7に示されている。設けられているすべての駆動装置9,13,14および15は、部分開放位置では負荷軽減されている。使用者は、
図6に示された押し出し位置から部分開放位置へと戸26を移行させるために、最初の上昇後は、実質的に一定の力をかけなければならない。
【0050】
第3の方法ステップ12において、戸26を、部分開放位置から開放位置へと動かし、この場合、2つの駆動装置13,14と第2のエジェクト装置15とが負荷され、好ましくはこの場合、駆動装置13は、ばね負荷された旋回レバーを、駆動装置14はボーデンケーブルを有している。
【0051】
この場合、最初に、駆動装置13の蓄力器が負荷され(
図8参照)、次いで少なくとも部分的に、駆動装置14の蓄力器が(
図9参照)、そして最後に第2のエジェクト装置15の蓄力器が負荷され、これにより、
図10に示されている開放位置では、第1のエジェクト装置9を除いて、設けられているすべての駆動装置13,14および15が負荷されている。
【0052】
家具39の使用者が戸26を再び開放位置から閉鎖位置へと戻したい場合には、第4の方法ステップ16において、戸26を終端位置の方向で過剰に押し込むことにより作動可能な第2のエジェクト装置15によって、戸26を部分開放位置の方向へと押し出すことができる。
図11は、中空室6における過剰押込み位置を示しており、
図12は、押し出し後に中空室6内に戸26が配置されている中間位置を示している。
【0053】
この中間位置を起点として、戸26は、第5の方法ステップ17において、駆動装置13および14によって部分開放位置へと動かされ、すなわち、相前後して押し出しの際に既に作動させることができる駆動装置14によって(
図13参照)、次いで定義された部分開放位置へと戸26を搬送する駆動装置13によって(
図14参照)動かされる。
【0054】
第6の方法ステップ18において、戸26を、手動で、部分開放位置から閉鎖位置へと動かし、この場合、第1のエジェクト装置9が、閉鎖位置に到達する前の最後の旋回角度範囲で負荷される(
図15および
図16参照)。
【0055】
これにより、戸26は、再び出発位置に位置し、新たに開くことができる。
【0056】
【0057】
この場合、家具38は、互いに枢着的に接続された2つの戸2,3を有している。家具38は同様に、側壁27と28との間に配置された収容スペース5と、側壁28と29との間に配置された中空室6とを有している。
【0058】
第1の方法ステップ8において、戸2,3を、
図17に示された閉鎖位置を起点として、戸2,3を収容スペース5の方向で過剰に押し込むことにより作動可能な第1のエジェクト装置9によって、回転軸10を中心として収容スペース5から離れるように旋回させる。
【0059】
この場合、第1のエジェクト装置9は、戸2,3のうちの一方に配置されている。過剰押込み位置は、
図18に示されていて、押し出し後にとる屈曲位置は
図19に示されている。
【0060】
第2の方法ステップ11において、戸2,3を、これらの戸2,3が閉鎖平面7に対して実質的に横方向に、かつ少なくとも1つの中空室6の外側に配置されている部分開放位置へと動かす。戸2,3はさらに、互いに実質的に平行であり、いわばパッケージとして配置されている。
【0061】
図20は、中間位置を示している。押し出し後にとる屈曲位置においても、中間位置においても、第1のエジェクト装置9の蓄力器は負荷軽減されている。中間位置に到るまで、方法は、
図4~
図16による方法と同様に進行する。
【0062】
相違点は、その後の経過で現れる。第1のエジェクト装置9は、ダブル扉アセンブリの場合、旋回装置19としても形成されていて、この旋回装置によって、戸2,3は、部分開放位置から、次いでその後の時点で再び、閉鎖位置の方向に移動可能である。旋回装置19は、今や、第2の方法ステップ11の過程で、
図20に示された中間位置から、
図21に示された部分開放位置への移動が進行する際に負荷され、これは力の増大につながる。
【0063】
第3の方法ステップ12において、戸パッケージを、部分開放位置から開放位置へと手動で動かし、この場合、1つの駆動装置14と第2のエジェクト装置15とが負荷され、好ましくはこの場合、駆動装置14は、ボーデンケーブルを有している。
【0064】
図22は、中空室6の周囲における戸2,3の中間位置を示していて、この位置では、駆動装置14の蓄力器は負荷されている。
図23は、終端位置を示していて、この位置では、第2のエジェクト装置15の蓄力器も負荷されている。
【0065】
第4の方法ステップ16において、戸パッケージは、戸パッケージを終端位置の方向で過剰に押し込むことにより作動可能な第2のエジェクト装置15によって、開放位置を起点として、再び部分開放位置の方向へと押し出される。
図24は、過剰押込み位置を示しており、
図25は、押し出し工程終了後の押し出し位置を示している。
【0066】
第5の方法ステップ17において、戸2,3は、駆動装置14によって部分開放位置へと動かされる。
【0067】
この実施例では、少なくとも1つの減衰装置20が設けられていて、第5の方法ステップ17の過程で部分開放位置への戸パッケージの運動が、この減衰装置によって減衰され、すなわち、部分開放位置の直前に位置する距離区分において減衰される。これは
図27に示されている。
【0068】
第6の方法ステップ18において、戸2,3を、最初に旋回装置19によって、次いで手動で、部分開放位置から閉鎖位置へと動かし、この場合、第1のエジェクト装置9は、閉鎖位置の直前に位置する最後の距離区分で負荷される(
図28、
図29および
図30参照)。
【0069】
戸2,3は、
図17および
図30に示されている閉鎖位置で、共平面位置に配置されていて、部分開放位置ならびに開放位置では、互いに実質的に平行に配置されており、第1の方法ステップ8、第2の方法ステップ11、および第6の方法ステップ18の過程で、旋回スライド運動を行う。