(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】循環流動床ボイラ
(51)【国際特許分類】
F23C 10/10 20060101AFI20241211BHJP
F23C 10/04 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
F23C10/10
F23C10/04
(21)【出願番号】P 2023525963
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2021084499
(87)【国際公開番号】W WO2022122694
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-06-26
(32)【優先日】2020-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】506425251
【氏名又は名称】スミトモ エスエイチアイ エフダブリュー エナージア オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スルツニアク,スラヴォミル
(72)【発明者】
【氏名】グロヴィツキ,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィカ,クシシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】ソリピウコ,スワヴォミル
(72)【発明者】
【氏名】フェルディン,バルトウォミェイ
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-065701(JP,U)
【文献】特開2011-127818(JP,A)
【文献】実開平06-046115(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第103423738(CN,A)
【文献】特開2001-235101(JP,A)
【文献】国際公開第96/038689(WO,A1)
【文献】特開昭63-143409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23C 10/00-10/32
F22B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環流動床ボイラ(10)であって、
垂直延在火炉(12)と、
前記火炉(12)に接続され該火炉(12)から流れるガス流から固形物を分離する分離器ユニット(14)と、クロスオーバダクト(14)と、前記クロスオーバダクト(24)を介して前記分離器ユニット(14)に接続された排気ガスチャネル(18)と、を備え、前記排気ガスチャネルが、
第1の垂直延在パス(18.1)、水平延在パス(18.2)、及び第2の垂直延在パス(18.3)を含み、前記第1の垂直延在パス(18.1)、前記水平延在パス(18.2)、及び前記第2の垂直延在パス(18.3)がガス流方向に連続的に配置されており、これにより、前記水平延在パス(18.2)が、前記第1の垂直延在パス(18.1)及び前記第2の垂直延在パス(18.3)を互いに接続するように構成されている、循環流動床ボイラ(10)において、前記水平延在パス(18.2)が、前記第1の垂直延在パス(18.1)と前記第2の垂直延在パス(18.3)との間に配置された前記分離器ユニット(14)の下方に配置されていることを特徴とする、循環流動床ボイラ(10)。
【請求項2】
前記火炉(12)が長方形断面を有し、前記水平延在パス(18.2)が前記火炉(12)の
、前記分離器ユニット(14)が接続された後壁(12.2)と平行に延びていることを特徴とする、請求項1に記載の循環流動床ボイラ(10)。
【請求項3】
前記クロスオーバダクト(24)が前記火炉(12)の前記後壁(12.2)と平行に延びていることを特徴とする、請求項2に記載の循環流動床ボイラ(10)。
【請求項4】
前記分離器ユニット(14)が分離した固形物を前記火炉(12)に戻す固形物戻り系(16)をさらに備え、
前記固形物戻り系(16)が前記第1の垂直延在パス(18.1)と前記第2の垂直延在パス(18.3)との間に少なくとも部分的に配置されていることを特徴とする、請求項1
又は3に記載の循環流動床ボイラ(10)。
【請求項5】
前記循環流動床ボイラ(10)には、前記固形物戻り系(16)内に流動床固形物質冷却器(31)が設けられ、前記流動床固形物質冷却器(31)は前記第1の垂直延在パス(18.1)と前記第2の垂直延在パス(18.3)との間に少なくとも部分的に配置されていることを特徴とする、請求
項4に記載の循環流動床ボイラ(10)。
【請求項6】
前記第1の垂直延在パス(18.1)が、クロスオーバダクト(24)の出口に接続された第1の端部(18.1’)、及び第2の端部(18.1’’)を有し、前記第2の垂直延在パス(18.3)が第1の端部(18.3’)及び第2の端部(18.3’’)を有し、前記第1の垂直延在パスと前記第2の垂直延在パス(18.3)との間の前記水平延在パス(18.2)が、前記第1の垂直延在パス(18.1)の前記第2の端部(18.1’’)及び前記第2の垂直延在パス(18.3)の前記第1の端部(18.3’)に接続されていることを特徴とする、請求項1
~5のいずれか一項に記載の循環流動床ボイラ(10)。
【請求項7】
前記第1の垂直延在パス(18.1)及び前記第2の垂直延在パス(18.3)が
、それぞれ前記水平延在パス(18.2)と直角をなすこ
とを特徴とする、請求
項6に記載の循環流動床ボイラ(10)。
【請求項8】
前記第1の垂直延在パス(18.1)がその内部空間(17)内に熱交換器を含まないことを特徴とする、請求項1又
は6に記載の循環流動床ボイラ(10)。
【請求項9】
節炭器熱交換器(32)、蒸発熱交換器(26)、及び過熱器熱交換器(28)を含む蒸気発生システムが前記循環流動床ボイラ(10)に関連して配置されており、前記過熱器熱交換器(28)が、前記流動床固形物質冷却器(31)、及び前記クロスオーバダクト(24)に関連して配置されており、前記蒸発熱交換器(26)が、前記火炉(12)、前記分離器ユニット(14)、及び前記水平延在パス(18.2)に関連して配置されており、前記節炭器熱交換器(32)が前記第2の垂直延在パス(18.3)に関連して配置されており、前記第1の垂直延在パス(18.1)がその内部空間内に熱交換器を含まないことを特徴とする、請求
項5に記載の循環流動床ボイラ(10)。
【請求項10】
節炭器熱交換器(32)、蒸発熱交換器(26)、及び過熱器熱交換器(28)を含む蒸気発生システムが前記循環流動床ボイラ(10)に関連して配置されており、前記過熱器熱交換器(28)が、前記流動床固形物質冷却器(31)、及び前記クロスオーバダクト(24)に関連して配置されており、前記蒸発熱交換器(26)が、前記火炉(12)、前記分離器ユニット(14)、前記水平延在パス(18.2)、及び前記第2の垂直延在パス(18.3)に関連して配置されており、前記節炭器熱交換器(32)が前記第2の垂直延在パス(18.3)に関連して配置されており、前記第1の垂直延在パス(18.1)がその内部空間内に熱交換器を含まないことを特徴とする、請求
項5に記載の循環流動床ボイラ(10)。
【請求項11】
前記水平延在パス(18.2)が、蒸発熱交換器(26)を各々含む独立して支持されたモジュール(19)を含むことを特徴とする、請求項1~
10のいずれか一項に記載の循環流動床ボイラ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
[001] 本発明は、請求項1の前段に係る循環流動床ボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
[002] 本発明は、管壁によって少なくとも部分的に形成された垂直燃焼室及び対流部分、並びに垂直サイクロン分離器を有する循環流動床反応器であって、垂直サイクロン分離器のガス入口チャネルが燃焼室の上方部分に接続されており、分離された固形物のための戻り経路が燃焼室の下方部分に接続されている、循環流動床反応器に関する。流動床ボイラ、特に、循環流動床ボイラは、蒸気を生成するように構成されつつ、様々な廃棄物質由来の燃料などの多種多様の固形燃料の燃焼のために有利であることが知られている。
【0003】
[003] 文献国際公開第2007035169A1号は、固形ごみを流動床内で燃焼させるための火炉を開示している。煙道ガスは、火炉から、戻り煙道への入力を構成する引き出しシュート内へ入り、そこからガスは後部シュートを通って前進し、ボイラから出て行く。煙道ガスは、その後、それらが煙突を通って大気へ逃げることが可能になる前に、サイクロン及びフィルタを含むガス清浄装置を通過する。
【0004】
[004] 文献米国特許第4686939号は、一次粒子捕集装置と対流熱交換器を包含するパスとを備える流動床ボイラを開示している。粒子捕集装置は、反応器の上部と第1の垂直延在パスとの間の移行部に配置されている。第1の垂直延在パスは、挿入された熱交換器を全く含まない空のパスである。その代わりに、ボイラは、対流熱交換器が配置された第1の垂直延在パスの後の上向きのパスを備える。上向きのパスに従うように配置されたサイクロンが存在する。
【0005】
[005] 中国実用新案出願第203431878U号は、都市固形廃棄物を単一の燃料として用いる循環流動床ボイラシステムを開示している。ボイラシステムは、燃焼室、及び燃焼室に接続されたサイクロン分離器を含む。サイクロン分離器に接続された排気ガスのための垂直熱交換煙道、並びに過熱器及び節炭器を設けられた水平熱交換煙道が開示されている。
【0006】
[006] 韓国特許第101354938号はRDF燃料のための流動床燃焼ボイラを開示している。ボイラは、煙道ガス経路を通して空のパス及び対流熱伝達パスに接続されたサイクロン分離器を有する。熱伝達パスは、過熱器、節炭器、及び空気予熱器を含む。
【0007】
[007] 上述の公報の全てはプラントの直列レイアウトを開示している。ボイラの異なる部分は排気ガス流の途上で横方向に順々に配置されているため、これは、著しく長く扱いにくい配置をもたらす。
【0008】
[008] 本発明の目的は、従来技術の解決策と比べてボイラのコンパクト性を著しく高める循環流動床ボイラを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の開示
[009] 本発明の目的は、実質的に、独立請求項において、及び本発明の異なる実施形態のさらなる詳細を記載する他の請求項において開示されるように果たされ得る。
【0010】
[0010] 本発明の一実施形態によれば、循環流動床ボイラが、垂直延在火炉と、分離器ユニットと、クロスオーバダクトと、クロスオーバダクトを介して分離器ユニットに接続された排気ガスチャネルと、を備える。排気ガスチャネルは、第1の垂直延在パス、及び水平延在パス、及び第2の垂直延在パスを含み、第1の垂直延在パス、水平延在パス、及び第2の垂直延在パスは、使用時に、ガス流方向に連続的に配置されており、これにより、水平延在パスは、第1の垂直延在パス及び第2の垂直延在パスを互いに接続するように構成されており、水平延在パスは、第1の垂直延在パスと第2の垂直延在パスとの間に配置された分離器ユニットの下方に配置されている。
【0011】
[0011] このように、特に、循環流動床ボイラの床面積の必要性が最小限にとどめられ、及び/又は非常に効率的に利用される。
【0012】
[0012] 本発明の一実施形態によれば、火炉は長方形断面を有し、水平延在パスは火炉の後壁と平行に延びている。
【0013】
[0013] 本発明の一実施形態によれば、火炉は長方形断面を有し、水平延在パスは火炉の後壁と平行に延びており、クロスオーバダクトは火炉の後壁と平行に延びている。
【0014】
[0014] 火炉の断面の長方形形状は、火炉の後壁と平行に案内される水平延在パス及びクロスオーバダクトと相まって、ボイラの必要設置面積を減少させる。
【0015】
[0015] 本発明の一実施形態によれば、固形物戻り系が第1の垂直延在パスと第2の垂直延在パスとの間に少なくとも部分的に配置されている。
【0016】
[0016] 固形物戻り系が垂直延在排気ガスパスの間に装備されているとき、循環流動床ボイラの占有体積は固形物戻り系によって増大させられず、主に、火炉、クロスオーバダクト、及び垂直ガスパスによって規定される。
【0017】
[0017] 本発明の一実施形態によれば、循環流動床ボイラは、分離された固形物の戻りチャネルの経路を提供する固形物戻り系内の流動床固形物質冷却器を設けられており、流動床固形物質冷却器は第1の垂直延在パスと第2の垂直延在パスとの間に少なくとも部分的に配置されている。
【0018】
[0018] 固形物戻りチャネルに加えて、流動床固形物質冷却器又は固形物戻り系が垂直延在排気ガスパスの間に装備されている場合にさえも、循環流動床ボイラの占有体積は依然として、主に、火炉、クロスオーバダクト、及び垂直ガスパスによって規定される。
【0019】
[0019] 本発明の一実施形態によれば、火炉は長方形断面を有し、水平延在パスは火炉の後壁と平行に延在しており、クロスオーバダクトは火炉の後壁と平行に延在しており、固形物戻り系が第1の垂直延在パスと第2の垂直延在パスとの間に配置されている。
【0020】
[0020] 本発明の一実施形態によれば、火炉は長方形断面を有し、水平延在パスは火炉の後壁と平行に延びており、クロスオーバダクトは火炉の後壁と平行に延びており、固形物戻り系は第1の垂直延在パスと第2の垂直延在パスとの間に配置されており、循環流動床ボイラは、分離された固形物の戻りチャネルの経路内の流動床固形物質冷却器を設けられており、流動床固形物質冷却器は第1の垂直延在パスと第2の垂直延在パスとの間に少なくとも部分的に配置されている。
【0021】
[0021] 本発明の一実施形態によれば、第1の垂直延在パスは、クロスオーバダクトの出口に接続された第1の端部、及び第2の端部を有し、第2の垂直延在パスは第1の端部及び第2の端部を有し、第1の垂直延在パスと第2の垂直延在パスとの間の水平延在パスは、第1の垂直延在パスの第2の端部及び第2の垂直延在パスの第1の端部に接続されている。
【0022】
[0022] 本発明の一実施形態によれば、第1の垂直延在パスは、クロスオーバダクトの出口に接続された第1の端部、及び第2の端部を有し、第2の垂直延在パスは第1の端部及び第2の端部を有し、第1の垂直延在パスと第2の垂直延在パスとの間の水平延在パスは、第1の垂直延在パスの第2の端部及び第2の垂直延在パスの第1の端部に接続されており、第1の垂直延在パス及び第2の垂直延在パスは水平延在パスに対し、直角をなす。
【0023】
[0023] 本発明の一実施形態によれば、第1の垂直延在パスはその内部空間内に熱交換器を含まない。これは、排気ガスが、内部熱交換器の管束の洗浄と比べて、いかなる付着物も好適なつち打ちシステムによって容易に除去され得る第1の垂直延在パスの壁への熱伝達によってのみ冷却されるという効果をもたらす。第1の垂直延在パスは本発明の不可欠の部分であるため、本実施形態は本発明の任意の他の実施形態に関連して実施可能である。
【0024】
[0024] 本発明の一実施形態によれば、以下のように排気ガスチャネル内の排気ガスからの熱を伝達するために配置された熱交換器が存在する:第1の垂直延在パスは、その内部空間内に熱交換器を含まない空のパスであり、水平延在パスはその内部空間内に少なくとも1つの熱交換器を含み、第2の垂直延在パスはその内部空間内に少なくとも1つの熱交換器を含む。
【0025】
[0025] 本発明の一実施形態によれば、節炭器熱交換器、蒸発熱交換器、及び過熱器熱交換器を含む蒸気発生システムが循環流動床ボイラに関連して配置されており、過熱器熱交換器は、流動床固形物質冷却器、及びクロスオーバダクトに関連して配置されており、蒸発熱交換器は、火炉、分離器ユニット、及び水平延在パスに関連して配置されており、節炭器熱交換器は第2の垂直延在パスに関連して配置されており、第1の垂直延在パスはその内部空間内に熱交換器を含まない。
【0026】
[0026] 本発明の別の実施形態によれば、節炭器熱交換器、蒸発熱交換器、及び過熱器熱交換器を含む蒸気発生システムが循環流動床ボイラに関連して配置されており、過熱器熱交換器は、流動床固形物質冷却器、及びクロスオーバダクトに関連して配置されており、蒸発熱交換器は、火炉、分離器ユニット、水平延在パス、及び第2の垂直延在パスに関連して配置されており、節炭器熱交換器は第2の垂直延在パスに関連して配置されており、第1の垂直延在パスはその内部空間内に熱交換器を含まない。
【0027】
[0027] 概して、設計の利点は、ガスパスが火炉及び固形物質流動床冷却器に接近していることである。このように、機能的に空のガスパスが含まれるため、全体の設計はボイラの必要空間及び蒸気配管の長さを低減する。レイアウトはまた、蒸気システム内の異なる蒸気発生段を接続するという観点からも利点をもたらす。
【0028】
[0028] 本発明の一実施形態によれば、水平延在パスは、水平延在ガスパス内の熱交換器の保守を容易にする、蒸発熱交換器を各々含む独立して支持されたモジュールを含む。
【0029】
[0029] 本発明の一実施形態によれば、水平延在パスは、水平延在ガスパス内の熱交換器の保守を容易にする、熱交換器を各々含む独立して支持されたモジュールを含む。
【0030】
[0030] 本特許出願において提示される本発明の例示的な実施形態は、添付の請求項の適用可能性の限定を課すと解釈されるべきでない。動詞「備える(comprise)」は、本特許出願において、記載されていない特徴の存在も除外しないオープンな限定として使用される。従属請求項において記載される特徴は、別途明示的に断りのない限り、相互に自由に組み合わせ可能である。本発明に特有のものと考えられる新規の特徴は添付の請求項において具体的に記述される。
【0031】
図面の簡単な説明
[0031] 以下において、添付の例示的な概略図面を参照して本発明が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る循環流動床ボイラを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面の詳細な説明
[0032]
図1は、本発明の一実施形態に係る循環流動床(CFB(circulating fluidized bed))ボイラ10を概略的に示す。循環流動床ボイラ10は、火炉12、一般的に分離器ユニットと称され得る、固形物分離器14、及び固形物戻り系16、並びに分離器ユニット14を排気ガスチャネル18と接続するクロスオーバダクト24を備える。クロスオーバダクト24及び排気チャネル18は、最も一般的な場合には、CFBボイラ内における燃料の燃焼によって発生された排気ガスを、さらなる処理、及び最終的に大気へ導くように構成されている。循環流動床(CFB)ボイラ10は、明確にするためにここでは図示されていない別個の支持構造によって支持されている。実際的事例では、比較的大きいボイラは上部で支持されて配置される。すなわち、それは、ボイラが、ボイラ圧力本体の周囲及び上方に延びた従来の剛性支持鋼構造からぶら下がるように配置されるように支持される。比較的小さいボイラは、下部で支持されて配置されてもよく、この場合、ボイラの垂直荷重は、ボイラの下方に配置された剛性支持鋼構造によってのみ支持される。上部で支持された構成と下部で支持された構成との主たる相違は、ボイラの温度が上昇した際に、上部で支持されたボイラの熱膨張は主に下向きに生じ、それに対して、下部で支持されたボイラでは、熱膨張は主に上向きに生じることである。ボイラ10を実際に支持する第3の代替例は、それをその中央区分において剛性支持鋼構造に対して支持することである。これにより、中央区分の下の、ボイラの下方部分は上部で支持され、中央区分の上の、ボイラ圧力本体の上方部分は下部で支持される。中央で支持された構成は、それが支持鋼構造のサイズを、上部で支持されたボイラのために必要とされるものより低減する限り、有利である。同時に、このような中央で支持された構成は、下部で支持されたボイラの場合のようなボイラの非常に高強度の壁の必要性を低下させる。
【0034】
[0033] 以下において、循環流動床ボイラ10が
図1~
図3を参照して説明される。
図1は、
図3において矢印Iによって方向が指示される、ここでは循環流動床ボイラ10の後側と呼ばれる、固形物分離器14が結合された側から循環流動床ボイラ10を示す。
図2は
図1の断面
図II-IIを示し、
図3は
図2の断面
図III-IIIを示す。CFB10の火炉12は垂直に延びており、それは、有利に、その先細り状の下方区分を有する長方形断面を有する。格子を通して流動化ガスを火炉12内へ導入するためのウインドボックス20が火炉12の下端部に存在する。図に示される火炉12の断面は長方形形状のものであり、それは、前壁12.1、後壁12.2、左壁12.3、及び右壁12.4を有する。火炉12は、火炉12の後壁12.2に結合されたフローチャネル22によってその上部領域において固形物分離器14に接続されている。固形物分離器14は、有利に、その中心管をガス出口として有する1つのサイクロン分離器から成る。実用的適用によっては、分離器ユニットは、1つの代わりに、1つを超える並列のサイクロン分離器、又は衝突分離器などの、他の種類の分離器を設けられ得る。分離器は、当技術分野において通例であるように、その壁に統合された蒸発熱交換器又は表面26を含み、冷却される。有利に、蒸発熱交換器は、蒸発水系溶液の自然循環が得られるように結合されている。CFB10の動作時、火炉から分離器14へ流れるガスによって取り込まれた固形物質の大部分はガス流から分離される。本明細書において固形物と称される、分離された固形物質の少なくとも一部 - 通例、大部分 - は固形物戻り系16を経由して火炉12へ戻される。
【0035】
[0034] 循環流動床ボイラ10の排気ガスチャネル18は、実質的に水平に延びたクロスオーバダクト24を通して分離器ユニット14に接続されている。クロスオーバダクト24は、固形物分離器14を、そのガス出口において、及び第1の垂直延在パス18.1を上述の部分の上方において接続するように配置されている。クロスオーバダクト24の壁は冷却され、好ましくは、蒸気冷却される。したがって、クロスオーバダクト24は、熱交換器表面28として配置された冷却壁を含み、クロスオーバダクト24の内部ガス空間は空である、すなわち、内部熱交換器を含まない。
【0036】
[0035] 排気ガスチャネル18は、クロスオーバダクトが接続された第1の垂直延在パス18.1を含む。排気ガスチャネル18は水平延在パス18.2及び第2の垂直延在パス18.3をさらに含む。水平延在パス18.2の一方の端部は第1の垂直延在パス18.1の下方部分と接続して配置されている。水平延在パス18.2の他方の端部は第2の垂直延在パス18.3の下方部分と接続して配置されている。循環流動床ボイラ内のガスの全体的流動方向は図内の矢印Aによって示されており、分離された固形物の全体的流動方向は矢印Bによって示されている。水平延在パス18.2は、第1及び第2の垂直延在パスが流動床熱交換器31のための空間を空けるよう、火炉12の後壁12.2の幅と少なくとも等しい長さを有する。
【0037】
[0036] 第1の垂直延在パス18.1は、クロスオーバダクト24の出口に接続された第1の端部18.1’、及び第1の端部18.1’の反対端部部分にある第2の端部18.1’’を有する。第1の垂直延在パス18.1の第1の端部18.1’内のガス流開口部はその最上部にあり、開口部の周囲は第1の垂直延在パス18.1の側壁の端部によって形成されている。第1の垂直延在パス18.1の第2の端部18.1’’内のガス流開口部はその側壁のうちの1つに配置されており、これにより、パスの最端部は壁によって閉鎖されている。第2の垂直延在パス18.3は第1の端部18.3’及び第2の端部18.3’’を有する。第1及び第2の垂直延在パスの間の水平延在パス18.2は第1の垂直延在パス18.1の第2の端部18.1’’及び第2の垂直延在パス18.3の第1の端部18.3’に接続されている。第2の垂直延在パス18.3の第2の端部にガス出口18.4が存在する。有利に、火炉12、分離器ユニット14、及び固形物戻り系16と、クロスオーバダクトとの間には剛性接続が存在し、クロスオーバダクト24と第1の垂直延在パス18.1、及び第1の垂直延在パス18.1と水平延在パス18.2との間には伸縮継手が存在する。第1の垂直延在パス18.1及び第2の垂直延在パス18.3は互いに平行であり、水平延在パス18.2に対して直角をなす。パスの各々のものは排気ガスのための直線状導管を形成する。クロスオーバダクトは分離器ユニットの屋根上に支持されており、これは、それが鋼構造からの追加の支持を全く必要としないことを意味する。
【0038】
[0037]
図1~
図3から明らかになるように、排気ガスチャネル18は、クロスオーバダクト24、第1の垂直延在パス18.1、及び水平延在パス18.2、並びに第2の垂直延在パス18.3がガス流方向Aに連続的に配置されるように構成されており、これにより、クロスオーバダクト24は分離器ユニット14を第1の垂直延在パス18.1に接続し、水平延在パス18.2は、第1の垂直延在パス18.1及び第2の垂直延在パス18.3を互いに接続するように構成されている。換言すれば、ガスは、クロスオーバダクト24から第1の垂直延在パス18.1へ流れるように構成されており、そこでは、流動床ボイラが使用されている際には、煙道ガスは実質的に下向きに流れる。煙道ガスは、さらに、第1の垂直延在パス18.1から水平延在パス18.2へ流れ、水平延在パス18.2において、煙道ガスは実質的に水平に流れる。煙道ガスは、なおさらに、水平延在パス18.2から第2の垂直延在パス18.2へ流れ、第2の垂直延在パス18.3において、煙道ガスは実質的に上向きに流れる。クロスオーバダクト24も水平に延びており、そこでは煙道ガスは実質的に水平に流れるが、水平延在パス18.2内のガス流方向とは実質的に反対の方向に流れる。
【0039】
[0038] 分離器ユニット14は、第1の垂直延在パス18.1と第2の垂直延在パス18.3との間に、及び水平延在パス18.2の上方に少なくとも部分的に配置されている。これは特に
図2から明らかになる。火炉12の内部空間、及び分離器ユニット14は互いに隣接して配置されている。火炉12及び分離器ユニット14の断面を通って延びる線L1、並びに第1の垂直パス18.1及び第2の垂直パス18.2の断面を通って延びる線L2が存在する。より具体的には、
図2において、線L1は火炉12及び分離器ユニット14の断面の中心を通って延びており、線L2は第1の垂直パス18.1及び第2の垂直パス18.2の断面の中心を通って延びている。さらに、図から分かるように、線L1及びL2は互いに対して角度をなす。図の実施形態では、火炉及び垂直パスに対する分離器ユニット14の位置は、線L1及びL2の間が直角になるようになっているが、例えば、分離器ユニット14が、何らかの実用上の理由で、その現在の位置から垂直パスのうちのどちらかの方へ移動させられることになった場合、角度は依然として実質的に直角になるであろう。火炉12は長方形断面を有するため、これは、水平延在パス18.2が火炉12の後壁12.2及び前壁12.1の双方と平行に延びていることも意味する。実際には、注目すべき点は、クロスオーバダクト24の方向が水平延在パス18.2の方向と平行であるということである。さらに、特に
図2及び
図3において見ることができるように、分離器ユニット14は水平延在パス18.2に対して垂直により高いレベルにあるだけでなく、水平延在パス18.2の真上にもある。すなわち、それは横方向に同じ位置にある。
【0040】
[0039] 固形物戻り系16は、分離された固形物の戻りチャネル30を含み、それは第1の垂直延在パス18.1と第2の垂直延在パス18.3との間に配置されている。分離された固形物の戻りチャネルの経路内には、流動床固形物質冷却器31が存在する。流動床固形物質冷却器31は、本発明によれば、蒸気を過熱するための1つ以上の熱交換器を設けられており、したがって、それは流動床熱交換器とも称され得る。また、流動床固形物質冷却器31は、少なくとも主として、分離器ユニット14の下方において、第1の垂直延在パス18.1と第2の垂直延在パス18.3との間に配置されている。たとえ図には示されていなくても、固形物戻り系16は、火炉12から分離器ユニット14へのガスの逆流を防止するためのループシール機構を設けられている。
【0041】
[0040] 本発明に係る循環流動床ボイラは、様々な組成を有するバイオマス、汚泥、及びごみ固形化燃料などの、固形廃棄物由来燃料の燃焼のために特に有利である。燃焼によって生成された熱は蒸気発生に利用される。本発明によって提供されるコンパクトな設計は廃棄物由来燃料用のCFBボイラのために特に有利である。循環流動床ボイラは、電力を作り出す発電所の部分であり得る。典型的には、作動媒体は水系溶液である。CFBボイラ10は、例えば、おおよそランキンサイクルを適用する蒸気サイクルに接続された、蒸気発生システムを含む。蒸気発生システムは、それが節炭器熱交換器32、蒸発熱交換器26、及び過熱器熱交換器28を含むよう、循環流動床ボイラに接続して配置されている。蒸気発生システムの過熱器熱交換器28は、流動床固形物質冷却器31内、及びクロスオーバダクト24内に配置されており、蒸発熱交換器26は、火炉16(冷却火炉壁)、分離器ユニット14内、水平延在パス18.2内、及び部分的にまた、第2の垂直延在パス18.3内に配置されている。節炭器熱交換器32は第2の垂直延在パス18.3内に配置されている。第1の垂直延在パス18.1はその内部空間17内に熱交換器の管束を含まず、したがって、第1の垂直延在パス18.1は、実際上、空のパスと呼ぶことができる。煙道ガスは、塩素及び重金属腐食を回避するか、又は少なくとも軽減するために、第1の垂直延在パス18.1の冷却壁によって冷却される。
【0042】
[0041] CFBボイラ10の主要部分の全ては実質的に熱絶縁カバーを設けられている。本発明に係るCFBボイラ10のレイアウトのおかげで、節炭器熱交換器32、蒸発熱交換器26、及び過熱器熱交換器28は互いに隣接して配置され、したがって、必要な配管の長さが最小限にとどめられ、これはまた、配管の絶縁の必要性も最小限にとどめる。CFBボイラ10のメンテナンスをさらに容易にするために、水平延在パス18.2は、各々のものが蒸発熱交換器26を設けられた、独立して支持された、組み立て可能及び分解可能な熱交換器モジュール19を含む。図の実施形態では、水平延在パス18.2は4つの熱交換器モジュール19から成り、モジュールの数は実用的適用による必要に応じて選択される。モジュールは、ガスパスから水平方向に取り外し可能であるように構成されている。第2の垂直延在パス18.2は下部から独立して支持されている。垂直延在パス及び水平延在パスの双方は、冷却又は非冷却部分として設計することができる適量のアッシュホッパが装備されている。
【0043】
[0042]
図4は、本発明の一実施形態に係るボイラシステム10への適応を行ういくらかの可能性を示す、本発明の別の実施形態に係る断面
図II-IIを示す。火炉12及び分離器ユニット14の断面を通って延びる線L1、並びに第1の垂直延在パス18.1及び第2の垂直延在パス18.3の断面を通って延びる線L2が存在する。本実施形態では、第2の垂直延在パス18.3は、
図2に示されるものと比べてより大きい断面積を有し、水平延在パス18.2の全体的壁線から火炉12の方へ延長されたチャネル断面を有する。また、空のパス18.1は
図2におけるものよりも小さい断面積を有する。さらに、図から分かるように、線L1及びL2は今度もまた互いに対して角度をなす。本発明に係るボイラ10では、火炉及び分離器ユニット14は、概ね線L1の方向にある、第1の方向に互いに隣接している。第1及び第2の垂直延在パス並びに水平延在パス18.2は、実質的に垂直平面内において、概ね火炉12の後壁12.2の方向である第2の方向に互いに隣接して配置されている。第1及び第2の垂直延在パス18.1、18.3の断面積は特定の実用的適用の必要性に従って好適に設計される。場合によっては、空のパス18.1の断面積(are)は第2の垂直延在パス18.2のものよりも大きいが、状況が要請すると、事情は逆になり得ることが想到可能である。基準は所望のガス速度又は圧力降下であり得る。
【0044】
[0043]
図5は、少なくとも排気ガスチャネル18の空間節約に関して本発明の利点を得ることができ、その一方で、排気ガスチャネル18と火炉12との間にいくらかのより多くの余裕が確保される、本発明の実施形態を示す。
図5の実施形態は、クロスオーバダクト24が水平延在パス18.2の長手方向と角度をなす、すなわち、それと非平行であるように、
図2におけるものと異なる。このように、排気ガスチャネル18と火炉12との間の水平距離は、
図1に示されるものと比べて増大させられる。
図2、
図4、及び
図5に示される特徴は、それらを互いに自由に組み合わせるために互いに技術的に互換性があることに留意されたい。具体的には、排気ガスチャネル18と火炉12との間により多くの水平距離を提供する、
図5に示される特徴は、
図4に示される排気ガスチャネルの増大した断面を適用することを可能にする。これは
図5に示されていない。なぜなら、この特徴は、空間を他の目的のために利用することも同様に可能にするからである。
【0045】
[0044] 本発明は、本明細書において、現在のところ、最も好ましい実施形態と考えられるものに関連して例として説明されたが、本発明は本開示の実施形態に限定されず、その特徴の様々な組み合わせ又は変更、並びに添付の請求項において定義されるとおりの、本発明の範囲に含まれるいくつかの他の適用を包括することを意図されることを理解されたい。上述の任意の実施形態に関連して言及された詳細は、このような組み合わせが技術的に実施可能であるときには、別の実施形態に関連して用いられ得る。