(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】加工機械における板状加工物のための再調整装置及び再調整方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/04 20060101AFI20241211BHJP
B21D 43/00 20060101ALI20241211BHJP
B21D 43/10 20060101ALI20241211BHJP
B23Q 1/44 20060101ALI20241211BHJP
B23Q 5/34 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B23Q7/04 A
B21D43/00 Q
B21D43/10 B
B23Q1/44 E
B23Q5/34 Z
(21)【出願番号】P 2023532239
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2021084199
(87)【国際公開番号】W WO2022128535
(87)【国際公開日】2022-06-23
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】102020133999.2
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン エス・エー プルス コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Werkzeugmaschinen SE + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Str. 2, 71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デニス トレンクライン
(72)【発明者】
【氏名】ティノ ハーガー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ プライサー
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-112228(JP,A)
【文献】特開平08-243968(JP,A)
【文献】特開2002-001464(JP,A)
【文献】特開平05-138273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/04
B23Q 5/34
B21D28/04
B21D43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状加工物(10
)を加工するための工作機械(1)のための再調整装置であって、
- 互いに間隔をあけて方向付けられる圧力プランジャ(241)を少なくとも含む上部圧力印加装置(234)を含み、
- 互いに間隔をあけて配置されるカウンタベアリング(260)を少なくとも有する下部支持装置(235)であって、作動位置(232)において、前記上部圧力印加装置(234)の前記圧力プランジャ(241)に対して締め付けて前記板状加工物(10)を固定するように方向付けられる下部支持装置(235)を含み、
- 少なくとも1つの駆動装置(243)であって、それにより、前記上部圧力印加装置(234)の前記圧力プランジャ(241)が休止位置(231)から前記作動位置(232)に移行され得る、少なくとも1つの駆動装置(243)を含み、
- 前記上部圧力印加装置(234)の少なくとも2つの圧力プランジャ(241)は、互いに結合され、且つ前記休止位置(231)と前記作動位置(232)との間で一緒に移動可能又は旋回可能であるように制御され
、
- 前記上部圧力印加装置(234)は、前記圧力プランジャ(241)の旋回可能な配置のために平行に方向付けられる2つの旋回軸(248)が互いに間隔をあけて提供される保持要素(249)を有する、再調整装置。
【請求項2】
前記上部圧力印加装置(234)の少なくとも2つの圧力プランジャ(241)は、連結又は連結機構(242)によって同期して移動され得、及
び前記連結機構(242)は、出力側に前記圧力プランジャ(241)を、且つ入力側に少なくとも1つの駆動装置(243)を有する、請求項1に記載の再調整装置。
【請求項3】
前記圧力プランジャ(241)は、前記作動位置(232)では、前記板状加工物(10)に面し
て方向付けられ、及び前記圧力プランジャ(241)は、休止位置(231)では、前記板状加工物(10)に対して上向きに移動されるか又は横方向に旋回される、請求項1又は2に記載の再調整装置。
【請求項4】
前記下部支持装置(235)は、前記上部圧力印加装置(234)から分離されるように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の再調整装置。
【請求項5】
前記上部圧力印加装置(234)の前記圧力プランジャ(241)は、円筒形ハウジング(254)であって、その中に圧力ピン(255)が柔軟に取り付けられて提供される円筒形ハウジング(254)を有し、前記圧力ピンは、前記作動位置(232)で締付力が印加されるとき、力に対抗してハウジング(254)内に沈むことができるように案内される、請求項1~4のいずれか一項に記載の再調整装置。
【請求項6】
前記力を印加するための予荷重力保存要
素が前記
円筒形ハウジング(254)内に提供される、請求項5に記載の再調整装置。
【請求項7】
前記旋回軸(248)は、前記圧力プランジャ(241)が休止位置(231)で並んで位
置して配置され
、前記圧力プランジャ(241)の水平方向に方向付けられた配置が提供されるように、前記上部圧力印加装置(234)の前記保持要素(249)上で互いに間隔をあけて配置される、請求項
1~6のいずれか一項に記載の再調整装置。
【請求項8】
前記作動位置では、前記圧力プランジャ(241)は、前記圧力プランジャ(241)の端部位置の境界を定めるストップ(251)に当接する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の再調整装置。
【請求項9】
前記駆動装置(243)は、保持要素(249)上に回転可能に取り付けられる、請求項1~
8のいずれか一項に記載の再調整装置。
【請求項10】
前記上部圧力印加装置(234)は、前記駆動装置(243)のピストンロッド(245)によって作動され得、前記ピストンロッドは、連結機構(242)と係合する、請求項1~
9のいずれか一項に記載の再調整装置。
【請求項11】
少なくとも1つのトグルレバー機構は、前記圧力プランジャ(241)と係合する、連結機構(242)の摺動部材又はレバーアーム(246、247)と前記駆動装置(243)との間に提供される、請求項1~
10のいずれか一項に記載の再調整装置。
【請求項12】
上部ストローク駆動装置(13)に取り付けるためのインターフェイス(240)は、前記上部圧力印加装置(234)の保持要素(249)上において、且
つ前記圧力プランジャ(241)とは反対側に位置するように提供される、請求項1~
11のいずれか一項に記載の再調整装置。
【請求項13】
前記圧力プランジャ(241)のハウジング(254)と圧力ピン(255)との間又は上部ストローク駆動装置(13)と前記上部圧力印加装置(234)のインターフェイス(240)との間に再調整位置が設定され得る、請求項1~
12のいずれか一項に記載の再調整装置。
【請求項14】
少なくとも2つのカウンタベアリング(260)を受け入れるために、前記下部支持装置(235)は、下部ストローク駆動装置(27)に固定され得る耐荷重フレーム又は支持フレームを有する、請求項1~
13のいずれか一項に記載の再調整装置。
【請求項15】
前記カウンタベアリング(260)は、剛性カウンタベアリングの形態又は降下可能な若しくは弾性的に可撓性のあるカウンタベアリングの形態である、請求項1~
14のいずれか一項に記載の再調整装置。
【請求項16】
工作機械(1)での加工のために板状加工物(10)を再調整する方法であって、
- 前記板状加工物(10)は、X-Y軸に沿って延在する加工物台(28、29)上に位置決めされ、
- 前記板状加工物(10)は、複数のグリッパ(23)を含む供給装置(22)によって前記加工物台(28、29)に沿って保持及び移動され、前記加工物台は、機械フレーム(2)に対して方向付けられ、
- 上部ストローク駆動装置(13)を有する上部ツール(11)及び下部ストローク駆動装置(27)を有する下部ツール(9)は、前記機械フレーム(2)に沿って移動することができるように制御され、及び前記上部ツール(11)と前記下部ツール(9)との間に位置決めされた板状加工物(10)が加工され、
- 2つの加工サイクル間で前記板状加工物(10)を再調整するために、請求項1~
15のいずれか一項に記載の再調整装置(230)によって再調整プロセスが実行される、方法。
【請求項17】
前記再調整プロセスの開始時、前記板状加工物(10)は、前記再調整装置(230)によって固定して保持され、及び前記板状加工物(10)に対する前記供給装置(22)の前記グリッパ(23)の把持位置が解放され、及び前記供給装置(22)は、再調整移動量だけ前記板状加工物(10)に対して移動され、及び前記板状加工物(10)は、その後、前記供給装置(22)の前記グリッパ(23)により、前記再調整移動量だけ変化した前記把持位置で固定される、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記再調整プロセスの第1作業ステップでは、前記上部圧力印加装置(234)は、前記機械フレーム(2)に対して上端位置に移動され、及び少なくとも前記2つの圧力プランジャ(241)は、その後、休止位置(231)から作動位置(232)に移行される、請求項
16又は
17に記載の方法。
【請求項19】
前記再調整プロセスの後続の作業ステップでは、前記上部圧力印加装置(234)は、前記板状加工物(10)に向かって移動され、及び前記板状加工物(10)は、前記上部圧力印加装置(234)と前記下部支持装置(235)との間で締め付けて保持される、請求項
16~
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記板状加工物(10)が前記再調整装置(230)によって締め付けて固定された後、前記供給装置(22)の前記グリッパ(23)が開放され、及び前記板状加工物(10)は、前記Y軸に沿って前記供給装置(22)の前記グリッパ(23)から離れて移動するように制御される、請求項
16~
19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記板状加工物(10)を前記グリッパ(23)から離れて移動させるように、前記供給装置(22)の移動及び/又は前記加工物台(28、29)の移動が制御される、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記板状加工物(10)が前記グリッパ(23)から離れて移動された後、前記供給装置(22)は、再調整移動量に沿って移動され、及び前記板状加工物(10)は、その後、前記供給装置(22)の前記グリッパ(23)に向かって移動するように制御される、請求項
16~
21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
最初の再調整プロセスの場合、前記板状加工物(10)を前記グリッパ(23)から離れて移動させるときの移動の移動量は、前記板状加工物(10)を前記グリッパ(23)に向かって移動させるための移動の移動量を上回るように制御される、請求項
16~
22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
後続の再調整プロセスの場合、前記板状加工物(10)を前記グリッパ(23)に向かって且つそれから離れて移動させるために、同一の移動の移動量が制御される、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記供給装置(22)の再調整移動量が通過された後、前記板状加工物(10)は、前記グリッパ(23)によって締め付けて保持され、及び少なくとも前記上部圧力印加装置(234)は、Z軸に沿って移動され、且つその後、休止位置(231)に移行される、請求項
16~
24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
再調整プロセス中、前記供給装置(22)及び/又はストローク駆動装置(13、27)のプロセスパラメー
タが低減される、請求項
16~
25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
衝突監視が再調整プロセス前及び/又はその間に実行される、請求項
16~
26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
再調整プロセス中、上部ツール(11)又はスクレーパ及び下部ツール(9)による前記板状加工物(10)の締付は、前記再調整装置(230)に対して
連続的に又は同時に制御される、請求項
16~
27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状加工物を加工するための工作機械における板状加工物のための再調整装置及びまた工作機械での加工のために板状加工物を再調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(特許文献1)は、パンチングによって板状加工物を加工するための工作機械を開示している。この工作機械は、加工物台上に位置する板状加工物を加工するために上部ツール及び下部ツールを含む。板状加工物は、加工を目的として、グリッパにより、供給装置によって保持され、且つパンチングツールに対して移動される。板状加工物の完全な加工を得るために、板状加工物を再調整する必要があり、これは、作業平面の軸に沿った板状加工物に対する供給装置の把持要素の把持が行われることを意味する。再調整中、板状加工物を加工物台に対して固定する必要がある。この目的のため、互いに間隔をあけて且つパンチングツールに対して間隔をあけて配置された2つの液圧制御可能なシリンダが提供される。ピストンロッドの延伸可能な端部に提供されるのは、板状加工物の締付を得るために、加工物台内に位置決めされるカウンタベアリングに供給される圧力片である。
【0003】
互いに、且つ圧力片とは反対側に位置するカウンタベアリングとは独立して制御され得る2つの押し上げシリンダが再調整装置を形成する。
【0004】
この再調整装置は、板状材料の固定のための大きい力を生成できないという欠点を有する。加えて、これらのシリンダは、大きい設置空間、特に大きい構造的高さを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、板状加工物を加工するための工作機械のための再調整装置を提案する目的に基づき、前記再調整装置は、プロセスの安全性を増大させるために、板状加工物の固定のための大きい保持力を可能にする。更に、本発明は、工作機械での加工のために板状加工物を再調整する方法を提案する目的にも基づき、それにより、板状加工物の位置は、プロセスの安全性を増大させるために高い保持力によって維持される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、板状加工物を加工するための工作機械のための再調整装置によって実現され、ここで、上部圧力印加装置は、互いに間隔をあけて配置される少なくとも2つの圧力プランジャを含み、互いに間隔をあけて配置される下部支持装置の少なくとも2つのカウンタベアリングは、圧力プランジャの反対側に位置するように位置決めされ得、及び再調整装置は、駆動装置であって、それにより、圧力印加装置の圧力プランジャが休止位置から作動位置に移行され得る、駆動装置を含み、上部圧力印加装置の少なくとも2つの圧力プランジャは、互いに結合され、且つ休止位置と作動位置との間で一緒に移動可能又は旋回可能である。休止位置から作動位置に特に同時に又は連続的に一緒に移行される少なくとも2つの圧力プランジャの結合は、締付により、圧力片とは反対側に位置する個々のカウンタベアリングに対する締付で板状加工物を固定するために、これらの圧力プランジャがそれぞれ同じ圧力又は押圧力によって板状加工物に作用することを可能にする。これにより、供給装置のグリッパの解放及び実装中の加工物台上におけるZ軸を中心とした板状加工物の回転移動、即ちX-Y平面内での回転移動の防止が更に可能になる。加えて、休止位置から作動位置への移動可能な配置のため、この上部圧力印加装置の少なくとも2つの圧力プランジャの結合は、コンパクトな構造的高さを得ることができるという利点を有し、その結果、例えば生成された加工物部分を板状加工物から除去するために、グリッパ装置を含む除去装置などの工作機械の更なる構成要素が挿入可能であり、且つ上部ツールと板状加工物との間に位置決めされ得る。
【0008】
再調整装置の有利な構成によれば、少なくとも2つの圧力片は、連結又は結合機構によって同期して移動され得る。これにより、板状加工物に対する保持力の印加のために、2つの圧力プランジャが一緒に且つ同時に移動し得るような2つの圧力プランジャの単純化された制御が可能になる。
【0009】
好ましくは、上部圧力印加装置の少なくとも2つの圧力片は、連結機構によって制御され得、圧力片は、出力側に配置され、及び少なくとも1つの駆動装置が入力側に配置される。このような連結機構により、少なくとも1つの駆動装置は、休止位置と作動位置との間の圧力片の規定された移動量の移動又は旋回移動を制御することができる。
【0010】
更に、好ましくは、圧力プランジャは、作動位置では、板状加工物に面して方向付けられ、特に板状加工物に垂直に方向付けられ、且つ休止位置では、板状加工物に対して上向きに移動されるか又は横方向に旋回される。結果として、再調整プロセスの外側において、再調整装置が使用中でないとき、板状加工物に対するアクセス可能性及び上部ツールと板状加工物との間の増大した自由空間が提供される。
【0011】
更に、下部支持装置は、好ましくは、上部圧力印加装置から分離されるか又は切り離されるように構成される。これにより、工作機械内の再調整装置の単純化された構造的設計及び単純化された取り付けが可能になる。
【0012】
有利には、上部圧力印加装置の圧力プランジャは、円筒形ハウジングであって、その中に圧力ピンがばねによって取り付けられて配置される円筒形ハウジングを含む。この圧力ピンは、締付力が板状加工物に印加されるとき、可撓性要素に対抗してハウジングカウンタ内に沈むことができるように案内される。結果として、第1に、十分に既定の押圧力を印加することが可能であり、第2に、公差について補正することが可能である。
【0013】
好ましくは、圧力ピンを介して力、特にばね力を印加するための力保存要素、特に予荷重ばね組立体が圧力プランジャのハウジング内に提供される。有利には、予荷重皿ばね組立体が提供され、その結果、前進移動の場合、規定された力の増大を得ることができる。
【0014】
再調整装置の上部圧力印加装置は、好ましくは、圧力プランジャの旋回可能な配置のために平行に方向付けられる2つの旋回軸が間隔をあけて提供される本体又は保持要素を有し、前記旋回軸は、後退した休止位置から、延伸した作動位置に圧力プランジャを移動させるために使用され得る。この圧力印加装置の本体上での圧力プランジャの旋回可能な配置は、休止位置で低い又はコンパクトな構造的高さを得ることを可能にする。加えて、延伸した作動位置への圧力プランジャの移行は、圧力プランジャの長手方向軸が例えばZ軸に位置し、従って板状加工物の締付のために、上部ツールの前進移動の場合に大きい締付力を得ることを可能にする。
【0015】
上部圧力印加装置上において、旋回軸は、好ましくは、本体又は保持要素上に互いに間隔をあけて提供され、その結果、圧力プランジャは、後退した休止位置で互いに前後に位置し、具体的には並んで位置し、好ましくは水平方向に方向付けられた列として方向付けられる。結果として、上部圧力印加装置は、小さい高さ及び小さい幅を有する。
【0016】
更に、延伸した作動位置では、圧力プランジャは、好ましくは、旋回移動の範囲を定めるエンドストップに当接する。これにより、上部ツールのストローク移動の場合、本体及びエンドストップを介して上部ツールから圧力プランジャに力を直接伝達することが可能になる。
【0017】
有利には、駆動装置は、上部圧力印加装置の本体上に回転可能に取り付けられ、且つ休止位置と作動位置との間の圧力プランジャの後退及び延伸のために連結機構を制御する。結果として、上部圧力印加装置は、取付組立体の形態である。
【0018】
駆動装置は、好ましくは、連結機構が制御される延伸可能なピストンロッドを有する往復ピストンを含む。この往復ピストンは、液圧、空気圧又は電磁制御可能であり得る。代替として、駆動装置は、ギア機構、カム制御システム又はリニア駆動機構の形態でもあり得る。
【0019】
有利には、トグルレバー機構は、圧力プランジャ及び駆動装置と係合する、連結機構の摺動部材又はレバーアームと駆動装置との間に提供される。結果として、特に圧力プランジャを休止位置に移行させるとき、力の補助を実現することができる。
【0020】
再調整装置の上部圧力印加装置は、好ましくは、本体又は保持要素上において、圧力プランジャとは反対側に位置する接続インターフェイスを有し、前記接続インターフェイスは、圧力印加装置を上部ストローク駆動装置又は工作機械の上部ツールに解放可能に固定するために使用され得る。これにより、このような上部圧力印加装置の単純且つ迅速な取り付けが可能になる。
【0021】
更に、好ましくは、ハウジングと圧力プランジャの圧力ピンとの間に再調整位置が設定され得る。これは、例えば、距離補正要素又は同様のものにより実現され得る。例として、圧力ピンは、距離補正要素がその間に位置するように構成され得るように2部分形態のものであり得る。更に、代替として、作動位置に配置された圧力プランジャの再調整位置は、上部ストローク駆動装置と上部圧力印加装置のインターフェイスとの間で設定可能であり得る。好ましくは、同様に、その間に位置するように、厚さに関して好ましくは所定の変化を有する距離補正要素も配置可能であり得る。
【0022】
更に、少なくとも2つのカウンタベアリングを受け入れるために、下部支持装置は、好ましくは、下部ストローク駆動装置又は下部ツールに固定され得る支持フレームを有する。この支持フレームは、好ましくは、特に加工物台の平面内での偏向を回避するために剛性の形態である。
【0023】
下部支持装置のカウンタベアリングは、第1態様によれば、剛性カウンタベアリングの形態であり得る。代替として、降下可能なカウンタベアリングを使用することもできる。降下可能なカウンタベアリングの構成の結果として、特により柔らかい板状加工物の場合、引っかき傷のない加工を可能にすることができる。
【0024】
本発明が基づく目的は、工作機械での加工のために板状加工物を再調整する方法によって更に実現され、ここで、板状加工物がツールを使用して加工される2つの加工サイクル間で板状加工物を再調整するために、再調整プロセスは、上述の実施形態の1つによる再調整装置によって実行される。この方法は、その間に板状加工物を締め付けるために、再調整装置の圧力プランジャが下部支持装置のカウンタベアリングに向かって移動し、且つ板状加工物上に同時に配置されるという利点を有する。結果として、その加工中に板状加工物を把持し、且つ少なくともX軸に沿って、少なくとも加工物台のX軸に沿って移動する供給装置の移動によって再調整プロセスを実行するために、確実な締付位置を取り、維持することが可能である。
【0025】
好ましくは、再調整サイクルの開始時、板状加工物は、加工物台に対する位置で再調整装置によって固定して保持され、及び板状加工物に対する供給装置の把持位置が解放され、及び供給装置は、再調整移動量だけ板状加工物に対して移動され、及び板状加工物は、供給装置のグリッパにより、再調整移動量だけ変化した把持位置で固定されることが提供される。結果として、特にその長さが供給装置の移動の移動量を上回る長い板状加工物の場合、板状材料の完全な加工を実現することができる。
【0026】
更に、再調整プロセスの第1作業ステップでは、再調整装置の上部圧力印加装置は、好ましくは、機械フレームに対して上端位置に移動され、及び少なくとも2つの圧力プランジャは、その後、休止位置から作動位置に移行される。結果として、板状加工物10との衝突を伴うことなく、作動位置への圧力プランジャの確実な延伸又は旋回を可能にすることができる。
【0027】
再調整プロセスの後続の作業ステップでは、上部圧力印加装置は、好ましくは、板状加工物に向かって移動され、及び板状加工物は、上部圧力印加装置と下部支持装置との間で締め付けて保持される。Z軸に沿った上部圧力印加装置の移動は、少なくとも2つの圧力プランジャの傾斜のない配置を得ることを可能にする。
【0028】
その後、好ましくは、板状加工物が再調整装置によって締め付けて固定された後、供給装置のグリッパが開放され、及び板状加工物は、Y軸に沿って供給装置のグリッパから離れて移動するように制御される。グリッパから離れる、具体的にはグリッパの締付ジョーから外へのこの移動の結果、再調整移動量の実行中、再調整装置内の板状加工物の締付位置に影響を及ぼすことなく、板状加工物の側部エッジの真直度誤差が存在する。板状加工物を離れて移動させる際、グリッパの方を指す板状加工物の端部側は、好ましくは、グリッパの締付ジョーから完全に外に案内されず、むしろ締付ジョー内に位置するゼロストップから除去されるのみである。
【0029】
板状加工物がグリッパから離れて移動された後、供給装置は、好ましくは、調整移動量に沿って移動され、及び板状加工物は、その後、供給装置のグリッパに向かって移動するように制御される。従って、板状加工物の固定のための拡大された係合表面を提供するために、再度、板状加工物をグリッパの締付ジョー内に導入することができる。
【0030】
具体的には、最初の再調整プロセスの場合、板状加工物をグリッパから離れて移動させるときの移動の移動量は、板状加工物をグリッパに向かって移動させるための移動の移動量を上回るように制御される。これは、特に最初の再調整動作の場合に当てはまり、なぜなら、板状加工物を最初に把持する際、締付ジョー内で係合する板状加工物の端部エッジは、規定された向きを有するようにグリッパの締付ジョーのゼロストップに当接するためである。更なる後続の再調整プロセスの場合、向かう移動及び離れる移動の動作のための移動の移動量は、好ましくは、同一である。
【0031】
更に、好ましくは、再調整移動量が通過された後、板状加工物は、グリッパによって締め付けて保持され、及び上部圧力印加装置は、休止位置に移行され、後続の加工サイクルが開始される。
【0032】
有利には、再調整プロセス中、供給装置及び/又はストローク駆動装置の移動速度のためのプロセスパラメータを低減することが可能である。これにより、向上したプロセス安全性が可能になり、なぜなら、引き下げられた移動速度及び/又は加速度の場合、慣性のモーメントが低減されるためである。
【0033】
衝突監視が再調整プロセス前及び/又はその間に実行され得る。具体的には、このような衝突監視は、プロセスコントローラによって実行される。結果として実現されるのは、上部圧力印加装置の圧力プランジャ及び/又は下部支持装置のカウンタベアリングが板状加工物の加工領域に隣接して位置決めされることである。板状加工物内のこのような加工領域は、切り離された部分、上昇部若しくは凹入部又はひだ若しくは溝或いは同様のものであり得る。
【0034】
方法の更なる有利な構成は、再調整プロセス中、上部ツール及び下部ツールによる板状加工物の締付が再調整装置に対して平行に且つ/又は連続的に制御されることを提供する。この上部ツール及び下部ツール又は上部ツール上のスクレーパ及び下部ツール間の板状加工物の更なる締付の結果として、更なる固定を実現することができる。具体的には、圧力プランジャ及びスクレーパ又は上部ツールは、互いに対して三角形の位置に配置される。この結果、板状加工物を3つの点で締め付けて保持することが可能であり、XY平面内での板状加工物の回転に対抗する増大した保持モーメントを得ることができる。
【0035】
図面に示される例により、本発明及び更なる有利な実施形態並びにその発展形態を更に詳細に記載及び説明する。記載及び図面から知ることができる特徴は、本発明に従ってそれ自体で個別に又は任意の組合せで複数として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2】
図1によるストローク駆動装置及びモーター駆動機構の基本設計の概略図を示す。
【
図3】加工物台を有する、
図1による工作機械の概略平面図を示す。
【
図4】機械ベースフレームに割り当てられた加工物台表面を有する、
図1の線IV-IVに沿った工作機械の概略断面図を示す。
【
図5】休止位置における再調整装置の斜視図を示す。
【
図6】作動位置における、
図5による再調整装置の斜視図を示す。
【
図7】休止位置における再調整装置の上部圧力印加装置の概略断面図を示す。
【
図8】作動位置における、
図7による圧力印加装置の概略断面図を示す。
【
図9】休止位置における、
図5に関する上部圧力印加装置の代替実施形態の斜視図を示す。
【
図10】作動位置における、
図9による圧力印加装置の斜視図を示す。
【
図17】板状加工物に対する休止位置における再調整装置並びに上部ツール及びスクレーパを有する上部駆動装置の概略図を示す。
【
図18】作動位置における再調整装置を有する上部ストローク駆動装置の概略図を示す。
【
図19】作動位置における再調整装置及びスクレーパを有する、
図17による上部ストローク駆動装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、パンチプレスの形態の工作機械1を示す。この工作機械1は、閉鎖された機械フレーム2を有する耐荷重構造を含む。前記機械フレームは、2つの水平方向フレーム部材3、4と、2つの垂直方向フレーム部材5及び6とを含む。機械フレーム2は、フレーム内部空間7を取り囲み、これは、上部ツール11及び下部ツール9を有する工作機械1の作業領域を形成す。
【0038】
工作機械1は、板状加工物10の加工のために機能し、これは、わかりやすさを目的として
図1に示されておらず、加工を目的としてフレーム内部空間7内に配置することができる。加工のための加工物10は、フレーム内部空間7内に提供される加工物支持部8上に配置される。例えば、パンチングダイの形態の下部ツール9は、機械フレーム2の下部水平方向フレーム部材4上で加工物支持部8の切り取り部内に取り付けられる。このパンチングダイは、ダイ開口部を提供され得る。パンチング加工動作の場合、パンチの形態の上部ツール11は、パンチングダイの形態の下部ツールのダイ開口部内に沈み込む。
【0039】
パンチ及びパンチングダイの代わりに、上部ツール11及び下部ツール9は、加工物10を成形するための折り曲げラム及び折り曲げダイとして使用することもできる。
【0040】
上部ツール11は、プランジャ12の下端でツールレセプタクル内に固定される。プランジャ12は、ストローク駆動装置13の一部分であり、それにより上部ツール11をストローク軸14に沿ってストローク方向に移動させることができる。ストローク軸14は、工作機械1の
図1に示される数値コントローラ15の座標系のZ軸の方向に延在する。ストローク軸14に対して垂直方向において、ストローク駆動装置13は、二重矢印の方向に位置決め軸16に沿って移動させることができる。位置決め軸16は、数値コントローラ15の座標系のY方向の方向に延在する。上部ツール11を受け入れるストローク駆動装置13は、モーター駆動機構17によって位置決め軸16に沿って移動する。
【0041】
ストローク軸14に沿ったプランジャ12の移動及び位置決め軸16に沿ったストローク駆動装置13の位置決めは、位置決め軸16の方向に延在し、且つ機械フレーム2に固定された方式で接続された駆動スピンドル18と共に、駆動構成17、特にスピンドル駆動構成の形態のモーター駆動機構17によって実現される。位置決め軸16に沿った移動中、ストローク駆動装置13は、上部フレーム部材3の2つのガイドレール19上で案内され、このガイドレール19は、
図1で観察することができる。残りの1つのガイドレール19は、可視状態であるガイドレール19に対して平行に延在し、且つ数値コントローラ15の座標系のX軸の方向にそれから離間される。ストローク駆動装置13のガイドシュー20は、ガイドレール19上に延在する。ガイドレール19及びガイドシュー20の相互の係合は、このガイドレール19とガイドシュー20との間の接続が、垂直方向に作用する負荷にも対応し得るようなものである。従って、ストローク装置13は、ガイドシュー20及びガイドレール19によって機械フレーム2上に吊るされる。ストローク駆動装置13の更なる部分は、ウェッジ機構21であり、それにより下部ツール9に対する上部ツール11の位置を設定することができる。
【0042】
下部ツール9は、下部位置決め軸25に沿って移動可能となるように受け入れられる。この下部位置決め軸25は、数値コントローラ15の座標系のY軸の方向に延在する。下部位置決め軸25は、好ましくは、上部位置決め軸16に対して平行に方向付けられる。下部ツール9は、下部位置決め軸16で直接、モーター駆動構成26によって位置決め軸25に沿って移動させることができる。代替として又は加えて、下部ツール9は、モーター駆動構成26によって下部位置決め軸25に沿って移動し得るストローク駆動装置27上にも提供され得る。この駆動構成26は、好ましくは、スピンドル駆動構成の形態である。下部ストローク駆動装置27は、設計に関して上部ストローク駆動装置13に対応し得る。同様に、モーター駆動構成26もモーター駆動構成17に対応し得る。
【0043】
同様に、下部ストローク駆動構成27は、下部水平方向フレーム部材4に割り当てられたガイドレール19上に変位可能に取り付けられる。ストローク駆動装置27のガイドシュー20は、下部ツール9上のガイドレール19とガイドシュー20との間の接続が、垂直方向に作用する負荷にも対応し得るようにガイドレール19上に延在する。従って、ストローク駆動装置27も、ガイドシュー20及びガイドレール19により、且つガイドレール19及び上部ストローク駆動装置13のガイドシュー20から離間されるように機械フレーム2上に吊るされる。ストローク駆動装置27は、ウェッジ機構21も含み得、それによりZ軸に沿った下部ツール9の位置又は高さが設定可能である。
【0044】
数値コントローラ15により、上部位置決め軸16に沿った上部ツール11の移動のためのモーター駆動機構17及び下部位置決め軸25に沿った下部ツール9の移動のための1つ又は複数のモーター駆動機構26の両方を互いに独立して制御することができる。従って、上部ツール及び下部ツール11、9は、座標系のY軸の方向に同期して移動させることができる。同様に、上部ツール及び下部ツール11、9の独立した移動を異なる方向に制御することもできる。この上部ツール及び下部ツール11、9の独立した移動は、同時に制御することができる。上部ツール11と下部ツール9との間の移動の分離は、加工物10の加工における増大した柔軟性を得ることを可能にする。上部ツール及び下部ツールは、加工物10の加工のために様々な方法で構成することもできる。
【0045】
ストローク駆動装置13の一部分がウェッジ機構21であり、これは、
図2に示されている。ウェッジ機構21は、2つの駆動側ウェッジ機構要素122、123と、また2つの出力側ウェッジ機構要素124、125とを含む。後者は、出力側ダブルウェッジ126の形態の構造的ユニットを形成するように構造的に組み合わされる。プランジャ12は、ストローク軸14を中心として回転可能となるように、出力側ダブルウェッジ126上に取り付けられる。モーターロータリ駆動装置128は、出力側ダブルウェッジ126内に収容され、且つ必要に応じてストローク軸14を中心としてプランジャ12を前進させる。この場合、左及び右の両方に対するプランジャ12の回転は、
図2の二重矢印に従って可能である。プランジャマウント129は、概略的に示されている。第1に、プランジャマウント129は、ストローク軸14を中心としたプランジャ12の低摩擦の回転移動を可能にし、第2に、プランジャマウント129は、軸方向にプランジャ12を支持し、且つ対応する方式で、ストローク軸14の方向にプランジャ12に対して作用する負荷を出力側のダブルウェッジ126内に取り除く。
【0046】
出力側ダブルウェッジ126は、ウェッジ表面130及び出力側機構要素125のウェッジ表面131によって範囲が定められる。駆動側ウェッジ機構要素122、123のウェッジ表面132、133は、出力側ウェッジ機構要素124、125のウェッジ表面130、131の反対側に位置する。長手方向ガイド134、135により、駆動側ウェッジ機構要素122及び出力側ウェッジ機構要素124並びに駆動側ウェッジ機構要素123及び出力側ウェッジ機構要素125は、Y軸の方向、即ちストローク駆動装置13の位置決め軸16の方向に互いに対して移動可能であるように案内される。
【0047】
駆動側ウェッジ機構要素122は、モーター駆動ユニット138を有し、駆動側ウェッジ機構要素123は、モーター駆動ユニット139を有する。駆動ユニット138、139の両方は、一緒にスピンドル駆動構成17を形成する。
【0048】
モーター駆動ユニット138、139に共通するのは、駆動スピンドル18であり、これは、
図1では、機械フレーム2上に取り付けられ、且つ結果的に耐荷重構造側に位置する駆動装置の形態で示されている。
【0049】
モーター駆動ユニット138、139に対して、駆動側ウェッジ機構要素122、123は、例えば、位置決め軸16に沿って互いに向かって移動するような方式で動作し、その結果、1つの部分について駆動側ウェッジ機構要素122、123と、他の部分について出力側ウェッジ機構要素124、125との間の相対的な移動がもたらされる。この相対的な移動の結果として、出力側ダブルウェッジ126及びその上に取り付けられたプランジャ12は、ストローク軸14に沿って下向きに移動する。例えば、プランジャ12上に取り付けられたパンチ11は、作業ストロークを実行し、且つこれを実行する際、加工物台28、29上又は加工物支持部8上において、取り付けられた加工物10を加工する。また、反対方向における駆動ウェッジ要素122、123の移動の結果として、プランジャ12は、上昇し、且つストローク軸14に沿って上向きに移動する。
【0050】
図2による上述のストローク駆動装置13は、好ましくは、下部ストローク駆動装置27と同一の設計を有し且つ下部ツール9を収容する。
【0051】
図3は、
図1による工作機械1の概略図を示す。個々の加工物台28、29は、工作機械1の機械フレーム2上に横方向に延在する。加工物台28は、例えば、(更に詳細には図示されない)ローディングステーションに割り当てられ得、それにより、加工されていない加工物10は、加工物台表面28上に配置される。加工物台表面28、29に隣接して提供されるのは、加工物台28上に配置された加工物10を把持するために複数のグリッパ23を含む供給装置22である。加工物10は、供給装置22によって機械フレーム2を通してX方向に案内される。好ましくは、供給装置22は、Y方向に移動し得るように制御することもできる。この結果、X-Y平面内の加工物10の自由移動を提供することができる。作業タスクに応じて、加工物10は、X方向及び反X方向の両方に供給装置22によって移動可能であり得る。この加工物10の移動は、個々の加工タスクごとに、Y方向及び反Y方向における上部ツール11及び下部ツール9の移動に対して適合させることがきる。
【0052】
更なる加工物台29は、加工物台28と反対側に位置するように機械フレーム2上に提供される。これは、例えば、アンローディングステーションに割り当てられ得る。代替として、加工されていない加工物10及び加工物81を有する加工された加工物10のローディング及びアンローディングは、同一の加工物台28、29に割り当てられ得る。
【0053】
工作機械1は、レーザー加工装置201、特にレーザー切削機械を更に含み得、これは、
図3の平面図で概略的にのみ示されている。このレーザー加工装置201は、例えば、CO2レーザー切削機械の形態であり得る。レーザー加工装置201は、レーザーソース202を含み、これは、概略的に示されるビームガイド204によってレーザー加工ヘッド、特にレーザー切削ヘッド206に案内され、且つその中で合焦されるレーザービーム203を生成する。次いで、レーザービーム203は、加工物10を加工するために、切削ノズルにより、加工物10の表面に対して垂直方向に方向付けられる。レーザービーム203は、好ましくは、プロセスガスビームと共に、加工場所、特に切削場所で加工物10に対して作用する。レーザービーム203が加工物10上に入射する切削点は、上部ツール11及び下部ツール9の加工点に隣接する。
【0054】
レーザー切削ヘッド206は、少なくともY方向、好ましくはY及びZ方向において、リニア軸システムを有するリニア駆動機構207によって移動させることができる。レーザー切削ヘッド206を収容するこのリニア軸システムは、機械フレーム2に割り当てられ得るか、それに固定され得るか、又はその中に統合され得る。加工物台28内のビーム通過開口部210は、レーザー切削ヘッド206の作業空間の下方に提供される。好ましくは、レーザービーム21のためのビーム収集装置をビーム通過開口部210の下方に提供することができる。ビーム通過開口部210と、場合によりビーム収集装置とは、構造的ユニットの形態でもあり得る。
【0055】
代替として、レーザー加工装置201は、レーザーソース202として固体レーザーも有し得、その放射は、光ファイバケーブルを用いてレーザー切削ヘッド206まで案内される。
【0056】
図4は、
図1の線VI-VIによる概略断面図を示す。この工作機械1の図では、垂直方向フレーム部材5及び6並びに上部水平方向フレーム部材3が省略される。この図は、加工物台28、29が、下部ツール9を少なくとも部分的に取り囲む加工物支持部8上に直接延在することを示す。その間に生成された自由空間内では、下部ツール9を下部位置決め軸25に沿ってY方向及び反Y方向に移動させることができる。更に、この工作機械1がレーザー加工装置21を装備する場合、加工物台28内のビーム通過開口部210が示される。
【0057】
例として加工物台28上で休止しているのは、加工された加工物10であり、この場合、例えば残りの接続82を例外として、パンチング加工動作又はレーザービーム加工動作により、加工物部分81が切削ギャップ83によって切り離される。この残りの接続に起因して、加工物部分81は、加工物10内又は残りのスクラップスケルトン内に保持される。加工物部分81を加工物10から切り離すために、加工物10は、離間及び放出ステップのために供給装置22によって上部及び下部ツール11、9に対して位置決めされる。この場合、残りの接続82は、下部ツール9に対して上部ツール11のパンチングストロークによって切り離される。加工物部分81は、例えば、加工物支持部8の部分的落下によって下方に放出することができる。代替として、より大きい加工物部分81の場合、切り離された加工物部分81は、加工物部分81及びスクラップスケルトンを取り外すために、加工物台28又は加工物台29に再び移行して戻すことができる。小さい加工物部分81は、場合により、下部ツール9内の開口部を通して放出することもできる。
【0058】
図5は、休止位置231における再調整装置230を示す。
図6は、作動位置232における、
図5による再調整装置230を示す。再調整装置230は、上部圧力印加装置234及び下部支持装置235を含む。上部圧力印加装置234は、上部ストローク駆動装置13上に提供される。下部支持装置235は、下部ストローク駆動装置27上に提供される。圧力印加装置234及び支持装置235は、好ましくは、それぞれ上部ツール11及び下部ツール9に隣接して方向付けられる。
【0059】
図7及び
図8は、休止位置231及び作動位置232における上部圧力印加装置234の断面図を示す。上部圧力印加装置は、ストローク駆動装置13上での解放可能な配置のための取付インターフェイス240を含む。前記取付インターフェイスとは反対側に位置するように提供されるのは、例として、連結機構242によって休止位置231から作動位置232に移行可能な2つの圧力プランジャ241である。作動位置232では、圧力プランジャ241は、板状材料10に面する。具体的には、これらは、作動位置232では、板状加工物10の平面に対して垂直に方向付けられる。圧力プランジャ241の移動を制御するために、駆動装置243が提供される。この駆動装置243は、好ましくは、ベアリング244を中心として回転可能となるように構成される。この結果、駆動装置243は、連結機構242の作動中に対応する旋回移動を実行することができる。圧力印加装置234の休止位置231では、圧力プランジャ241は、好ましくは、互いに前後に配置される。具体的には、駆動装置243は、休止位置では、同一の平面内に提供される。駆動装置243は、例えば、往復ピストンの形態である。連結機構242は、ピストンロッド245によって作動する。連結機構242は、位置が固定された軸248を中心とした圧力プランジャ241の旋回移動を制御するために複数のレバーアーム246、247から形成され得る。これらの位置が固定された軸248は、本体又は保持要素249上に提供され、これは、インターフェイス240に固定されて接続され、且つ更に好ましくはベアリング244のための回転軸を収容する。
【0060】
圧力プランジャ241を休止位置231から作動位置232に移行させるために、駆動装置243が作動する。例として、ピストンロッド245がピストン内に後退する。レバーアーム246、247は、圧力プランジャ241が90°にわたって旋回移動を実行するように制御される。作動位置232における圧力プランジャ241の端部位置は、好ましくは、設定可能であるストップ251によって実現される。
【0061】
連結機構242は、トグルレバー原理の方式で構成され得るか、又はそのようなトグルレバー原理を包含し得、その結果、作動位置232から休止位置231までの圧力プランジャ241の旋回移動中、圧力プランジャ241を水平方向位置に移行させるために増大した力が印加され得る。
【0062】
圧力プランジャ241は、圧力ピン255がその中に弾性的に取り付けられる円筒形ハウジング254から構成される。好ましくは、1つの部分について柔軟性の程度が適用され得るように、且つ他の部分について板状加工物10上の十分な接触圧力が圧力プランジャ241によって印加され得るように、皿ばね組立体256がハウジング254と圧力ピン255との間に提供される。
【0063】
下部支持装置235は、例えば、2つのカウンタベアリング260を含む。カウンタベアリング260の数は、圧力プランジャ241の数に対して適合される。カウンタベアリング260は、作動位置232では、圧力プランジャ241の長手方向軸に対して方向付けられる。
【0064】
第1実施形態によれば、カウンタベアリング260は、ベースフレーム上に固定されて提供され、これは、下部ストローク駆動装置27に対して固定することができる。代替として、カウンタベアリング260は、高さ調節可能及び/又は可撓性の形態でもあり得る。
【0065】
図9は、休止位置231における上部圧力印加装置234の代替実施形態の斜視図を示す。
図10は、作動位置232における
図9による圧力印加装置234の代替実施形態を示す。
【0066】
この実施形態は、連結機構242の代替構成を含む。この実施形態では、連結機構242は、はさみタイプの構成の形態である。レバーアーム246、247は、
図9による平坦な状態で1つに折り畳まれた構成から、
図10による延伸構成に変更することができる。1つのタイプの平行四辺形リンケージ265がレバーアーム246、247に対して平行に提供され得、その結果、例えば、受け入れ要素266上に配置された2つの圧力プランジャ241は、連結機構242の後退及び延伸移動中に水平方向の方式で方向付けられた状態に留まり得る。
【0067】
この
図9及び
図10による実施形態では、
図7及び
図8の実施形態による圧力プランジャ241を使用することができる。代替として、高さ調節可能であるが、受け入れ要素266上に固定状態で提供される圧力ピン255のみを提供することも可能である。
【0068】
この実施形態では、休止位置231と作動位置232との間の移動を制御するために、例えば前記はさみタイプの構成を作動させるために、それぞれの側からはさみタイプの構成に対して作用する2つの相互に反対側に位置した駆動装置243が提供される。
【0069】
この
図9及び
図10による圧力印加装置234の代替実施形態では、支持装置235は、
図5~
図8に関して上述の実施形態に対応し得る。
【0070】
図11~
図16は、再調整プロセスの個々の作業ステップを概略的に示し、これは、上述の実施形態の1つに従って再調整装置230によって工作機械1内で実行される。
【0071】
図11は、再調整プロセスのための初期位置を概略的に示す。再調整プロセスの開始は、X方向又は反X方向における供給装置22の移動の移動量が加工対象の板状加工物の長さよりも小さい場合に必要とされ、前記長さは、X方向に延在する。
【0072】
板状加工物10が最初にグリッパ23によって固定さるか又は締め付けられる際、グリッパ内を指し示す又はグリッパ23に面する板状加工物10のエッジは、グリッパ23のゼロストップに当接するように位置決めされる。このゼロストップは、最初に把持される際、板状加工物10を方向付けるようにも機能する。上部ツール及び下部ツール11、9による1つ又は複数の加工ステップが板状加工物10に導入された後に再調整プロセスが開始される。
図5による休止位置231では、
図11に従って概略的に示される再調整装置230が作動位置232まで制御及び移行される。これは、
図12に概略的に示されている。具体的には、再調整装置230の作動位置232は、
図6に示されている。
【0073】
作動位置232における再調整装置230の配置の結果として、板状加工物10が、圧力プランジャ241と反対側のカウンタベアリング260との間に位置が固定された状態で保持される。グリッパ23は、この時点で依然として閉鎖される。加えて、上部ツール11又は上部ツール11に割り当てられたスクレーパ及び下部ツール9は、板状加工物10に対して締付位置に配置することができる。
【0074】
板状加工物10の堅固な締付が少なくとも再調整装置230によって実現された後、グリッパ23が開放される。その後、グリッパ23は、供給装置22と加工物台28、29との間の移動により離れて移動する。好ましくは、加工物台28、29は、供給装置22により、Y方向に移動する。これは、
図13で例によって示されている。この離れて移動する動作中、グリッパ23に割り当てられた板状加工物10のエッジは、好ましくは、グリッパ23の締付ジョーから外まで完全に案内されず、むしろ依然として2つの締付ジョー間のギャップ内に留まる。
【0075】
その後、例えば、X軸又は反X軸における供給装置22の移動が制御される。これは、
図14に示されている。供給装置22の既定の再調整移動量が取られた後、向かって移動する動作が実現され、これは、グリッパ23に面する板状加工物10のエッジが把持位置に戻るように移行されることを意味する。この場合、最初に再調整を実行する際、向かって移動する移動量は、好ましくは、離れて移動する移動量よりも小さい。この移動量の差は、制御装置によって検出され、且つ板状加工物10の更なる加工中に考慮される。最初に再調整を実行するときの離れて移動する移動量と比較した、向かって移動する移動量の低減は、グリッパ23に面する板状加工物10のエッジの真直度誤差が補償され得るという利点を有する。最初の再調整に後続する更なる後続の再調整プロセス中、向かって移動する移動量及び離れて移動する移動量は、好ましくは、同一である。
【0076】
向かって移動する動作後、供給装置22のグリッパ23が閉鎖される。これは、
図15に示されている。
【0077】
次いで、再調整装置230は、
図5による休止位置231に移行される。加えて、スクレーパ又は上部ツール11及び下部ツール9による締付動作が生成された場合、これも解放される。これは、
図16に示されている。次いで、板状材料10のための1つ又は複数の加工サイクルを開始することができる。
【0078】
図17は、下部ツール9に対して休止位置に配置された上部ツール11を有する上部ストローク駆動装置13の概略図である。板状加工物10は、下部ツール9上で休止する。このストローク駆動装置13は、
図2に概略的に示されるストローク駆動装置13に対する補完的な方式により、スクレーパ装置270及び再調整装置230を有する。ダブルウェッジ126上、特にその下部面上に提供されるのは、再調整装置230の上部圧力印加装置234である。下部支持装置235は、下部ツール9の反対側に且つそれに隣接して位置するように位置決めされ且つ方向付けられる。この再調整装置230については、
図5~
図10による先行する実施形態で更に詳細に記載されている。
【0079】
スクレーパ装置270は、スクレーパ271を含み、これは、上下に移動させることができるか、又はスクレーパ駆動機構272によって上部ツール11に対して高さに関して移動させることができる。このスクレーパ駆動機構272は、ガイド273、特にカラムガイドを含む。このガイド273は、例えば、互いに平行に方向付けられ、且つスリーブ内で案内される2つ以上のガイドロッドから構成される。有利には、少なくとも1つの締付スリーブ274又は締付スリーブ274のペアは、ストローク軸14に沿ってスクレーパ271の制御された垂直方向位置を固定するためにスクレーパ駆動機構272内に提供される。スクレーパ271を上下に移動させるために、駆動シリンダ275、特に空気圧シリンダ、が提供される。スクレーパ271の移動は、ストローク軸14に沿ったストローク駆動装置13の又はプランジャ12の移動とは独立して提供される。
【0080】
図17は、休止位置におけるスクレーパ271を示し、この場合、前記スクレーパは、上部ツール11と同様に、板状加工物10又は下部ツール9に対して上昇して配置される。
図17に示されるこのような位置から進行することにより、工作機械での加工のために板状加工物を再調整する互いに異なる2つの方法を選択的に制御することができる。板状加工物10を固定及び再調整するために再調整装置230のみが制御される第1変形形態は、
図11~
図14に例として示されている。
図11~
図16に関する上述の方法による再調整装置230の作動位置232は、
図18に示されている。スクレーパ271及び上部ツール11は、依然として、休止位置では板状加工物10及び下部ツール9に対して間隔をあけて配置される。ストローク駆動装置13の休止位置又は上部位置では、上部圧力印加装置234は、休止位置231から作動位置232に移行される。2つの駆動側ウェッジ機構122、123がそれによって互いに向かって移動する駆動構成17により、ダブルウェッジ136が降下し、その結果、板状加工物10を固定するために、上部圧力印加装置234が下部圧力印加装置235に対して締付位置に移行される。
【0081】
図11~
図16に関して記載されるように、更なる作業ステップが実現される。
【0082】
板状加工物10を再調整する方法の更なる変形形態によれば、板状加工物10は、下部ツール9に対して、再調整装置230及びスクレーパ271及び/又は上部ツール11の両方によって締め付けて保持することができる。再調整装置230及びスクレーパ271が締付位置に移行される変形形態は、
図19に示されている。スクレーパ271及び上部圧力印加装置234は、板状加工物10が上部及び下部圧力印加装置234、235及びスクレーパ271及び下部ツール9の両方によって締め付けて保持されるように、連続的に又は同時に板状加工物10に供給される。ストローク軸14に沿ったスクレーパ271の移動を制御するために、締付スリーブ274は、結果的に作動シリンダ275を制御するために、特にこれに対して圧力を印加するために最初に解放される。締付位置では、締付スリーブ274は、スクレーパ271の締付位置が維持されるように締付位置に移行させることができる。スクレーパ271に加えて又はその代わりに、上部ツール11を下部ツール9に対して締付位置に移行させることもできる。
【0083】
板状加工物10が再調整された後、上部ストローク駆動装置13は、ストローク軸14に沿って初期位置又は上部ストローク位置に移行される。上部圧力印加装置234は、休止位置231に移行又は旋回される。スクレーパ271のための締付スリーブ274が解放される。スクレーパ271は、後続の加工動作のために対応する位置に移行させることができる。次いで、上部ツール11により、且つ場合によりスクレーパ271を用いて板状加工物の更なる加工を制御することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 工作機械
2 機械フレーム
3 上部水平方向フレーム部材
4 下部水平方向フレーム部材
5 垂直方向フレーム部材
7 フレーム内部空間
8 加工物支持部
9 下部ツール
10 加工物
11 上部ツール
12 プランジャ
13 ストローク駆動装置
14 ストローク軸
15 数値コントローラ
16 位置決め軸
17 モーター駆動機構
18 駆動スピンドル
19 ガイドレール
20 ガイドシュー
21 ウェッジ機構
22 供給装置
23 グリッパ
25 下部位置決め軸
26 モーター駆動構成
27 下部ストローク駆動装置
28 加工物台
29 加工物台
81 加工物部分
82 接続
83 切削ギャップ
122 駆動側ウェッジ機構要素
123 駆動側ウェッジ機構要素
124 出力側ウェッジ機構要素
125 出力側ウェッジ機構要素
126 出力側ダブルウェッジ
128 モーターロータリ駆動装置
129 プランジャマウント
130 ウェッジ表面
131 ウェッジ表面
132 ウェッジ表面
133 ウェッジ表面
134 長手方向ガイド
135 長手方向ガイド
136 ダブルウェッジ
138 モーター駆動ユニット
139 モーター駆動ユニット
201 レーザー加工装置
202 レーザーソース
203 レーザービーム
204 ビームガイド
206 レーザー切削ヘッド
207 リニア駆動機構
210 ビーム通過開口部
230 再調整装置
231 休止位置
232 作動位置
234 上部圧力印加装置
235 下部圧力印加装置
240 インターフェイス
241 圧力プランジャ
242 連結機構
243 駆動装置
244 ベアリング
245 ピストンロッド
246 レバーアーム
247 レバーアーム
248 軸
249 保持要素
251 ストップ
254 円筒形ハウジング
255 圧力ピン
256 皿ばね組立体
260 カウンタベアリング
265 平行四辺形リンケージ
266 受け入れ要素
270 スクレーパ装置
271 スクレーパ
272 スクレーパ駆動機構
273 ガイド
274 締付スリーブ
275 駆動シリンダ