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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置の電源ユニット
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20241211BHJP
【FI】
A24F40/40
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023532997
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 JP2021025830
(87)【国際公開番号】W WO2023281714
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】北原 稔
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀二郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 泰弘
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-016306(JP,A)
【文献】国際公開第2020/213449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源からエアロゾルを生成する負荷、又は、前記負荷へ電磁誘導により送電するコイルが接続される第1コネクタと、
第1回路基板と、
第2回路基板と、
前記第1回路基板と前記第2回路基板とを接続する第1ケーブルと、
前記第2回路基板に実装され、且つ前記第1ケーブルが接続される第2コネクタと、
前記第2回路基板に実装され、且つ、前記電源と接続される第3コネクタと、
を備え、
前記第2コネクタに最も近い前記第2回路基板の縁と前記第2コネクタとの間の最短距離は、前記第2回路基板の中心と前記第2コネクタとの間の最短距離よりも長く、
前記第1ケーブルは、前記第2回路基板の幅方向から前記第2コネクタに接続され、
前記第1回路基板、前記電源、前記第3コネクタ、及び前記第2コネクタは、前記第2回路基板の長さ方向において、前記第1回路基板、前記電源、前記第3コネクタ、前記第2コネクタの順で並ぶ
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板に実装され、且つ、前記第2回路基板からの高さが前記第2コネクタよりも高い電子部品をさらに備え、
前記電子部品は、前記第2回路基板の長さ方向において、前記第1回路基板と前記第2コネクタとの間に配置されない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板に実装され、且つ、前記第2回路基板からの高さが前記第2コネクタよりも高い電子部品をさらに備え、
前記第1回路基板、前記第2コネクタ、及び前記電子部品は、前記第2回路基板の長さ方向において、前記第1回路基板、前記第2コネクタ、前記電子部品の順で並ぶ、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源の電圧を検出する検出端子と、前記電源を充電する電力を出力する出力端子とを有する充電ICをさらに備え、
前記第3コネクタは、前記第2回路基板の長さ方向の一端部に実装され、
前記検出端子は、前記出力端子よりも前記一端部に近い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項5】
請求項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板は、A面と、前記A面の裏面であるB面とを有し、
前記第3コネクタは、前記A面に実装され、
前記充電ICは、前記B面に実装される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項6】
請求項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第3コネクタの少なくとも一部は、前記A面と直交する方向において、前記充電ICと重なる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板は、A面と、前記A面の裏面であるB面とを有し、
前記第3コネクタは、前記A面に実装され、
前記第2コネクタは、前記B面に実装される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源と前記第3コネクタとを接続する第2ケーブルと、
前記第2回路基板の長さ方向において、前記電源と前記第2回路基板との間に設けられる絶縁性のスペーサと、
をさらに備え、
前記第2ケーブルは、前記第2回路基板の幅方向から前記第3コネクタに接続される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板は、前記第2コネクタとは異なる電子部品同士を接続する導電パターンを備え、
前記導電パターンは、前記第2回路基板のうち前記第2コネクタに重なる部分に形成される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板は、A面と、前記A面の裏面であるB面とを有し、
前記第2コネクタは、前記B面に実装され、
前記A面に実装され、且つ、前記A面と直交する方向において、前記第2コネクタと重なるICをさらに備える、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【請求項11】
請求項10に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ICは、MCUである、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置の電源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の回路基板を備えるエアロゾル生成装置が開示されている。複数の回路基板を備えるエアロゾル生成装置では、FPC(Flexible Printed Circuits)ケーブル等により、回路基板同士を電気的に接続したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許出願公開第111096480号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーブルを介して接続される複数の回路基板を備えるエアロゾル生成装置の電源ユニットの回路基板には、ケーブルが接続されるコネクタを実装する必要がある。しかしながら、コネクタの実装位置が適切でないと回路基板の大型化につながるおそれがあり、従来技術ではこの点に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、ケーブルを介して接続される複数の回路基板を備えるエアロゾル生成装置の電源ユニットにおいて、ケーブルが接続されるコネクタが実装される回路基板が大型化するのを回避可能なエアロゾル生成装置の電源ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
電源と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源からエアロゾルを生成する負荷、又は、前記負荷へ電磁誘導により送電するコイルが接続される第1コネクタと、
第1回路基板と、
第2回路基板と、
前記第1回路基板と前記第2回路基板とを接続する第1ケーブルと、
前記第2回路基板に実装され、且つ前記第1ケーブルが接続される第2コネクタと、
前記第2回路基板に実装され、且つ、前記電源と接続される第3コネクタと、
を備え、
前記第2コネクタに最も近い前記第2回路基板の縁と前記第2コネクタとの間の最短距離は、前記第2回路基板の中心と前記第2コネクタとの間の最短距離よりも長く、
前記第1ケーブルは、前記第2回路基板の幅方向から前記第2コネクタに接続され、
前記第1回路基板、前記電源、前記第3コネクタ、及び前記第2コネクタは、前記第2回路基板の長さ方向において、前記第1回路基板、前記電源、前記第3コネクタ、前記第2コネクタの順で並ぶ
エアロゾル生成装置の電源ユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ケーブルを介して接続される複数の回路基板を備えるエアロゾル生成装置の電源ユニットにおいて、ケーブルが接続されるコネクタが実装される回路基板が大型化するのを回避可能なエアロゾル生成装置の電源ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】エアロゾル吸引器1の斜視図である。
図2】エアロゾル吸引器1の他の斜視図である。
図3】エアロゾル吸引器1の断面図である。
図4】電源ユニット10の斜視図である。
図5】電源ユニット10の分解斜視図である。
図6】電源ユニット10の回路構成を示す図である。
図7】ケース11を取り外した電源ユニット10の斜視図である。
図8】MCU搭載基板7の主面側表面層71aを示す図である。
図9】MCU搭載基板7の第2配線層74aを示す図である。
図10】MCU搭載基板7の副面側表面層71bを示す図である。
図11】MCU搭載基板7の第4配線層74bを示す図である。
図12】MCU搭載基板7と放電端子41との位置関係を示す図である。
図13】MCU搭載基板7の断面図である。
図14図9に示したMCU搭載基板7の主面側配線層74aのうちのX1方向側の端部の周辺を拡大して示した図である。
図15図14に示した配線パターン77_Ln6aを拡大して示した図である。
図16図14に示した配線パターン77_Ln6bを拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態のエアロゾル生成装置の電源ユニットについて説明するが、先ず、電源ユニットが装着されたエアロゾル生成装置(以下、エアロゾル吸引器と称する)について、図1図3を参照しながら説明する。
【0010】
(エアロゾル吸引器)
エアロゾル吸引器1は、燃焼を伴わずに香味が付加されたエアロゾルを吸引するための器具であり、所定方向(以下、X方向と称する)に沿って延びる棒形状を有する。エアロゾル吸引器1は、図1及び図2に示すように、X方向に沿って電源ユニット10と、第1カートリッジ20と、第2カートリッジ30と、がこの順に設けられている。第1カートリッジ20は、電源ユニット10に対して着脱可能としてもよく、第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20に対して着脱可能である。言い換えると、電源ユニット10に対し、第1カートリッジ20及び第2カートリッジ30は、それぞれ交換可能である。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20に対し、交換可能でもある。なお、第1カートリッジ20を電源ユニット10に対して嵌合させて固定し、ユーザが容易に着脱できない構成としてもよい。
【0011】
(電源ユニット)
本実施形態の電源ユニット10は、図3図5図7に示すように、円筒状のケース11の内部に、バッテリパックBP、MCU(Micro Controller Unit)50、MCU搭載基板7、レセプタクル搭載基板8等を収容して構成される。
【0012】
バッテリパックBPに収容される電源BATは、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。電源BATの電解質は、ゲル状の電解質、電解液、固体電解質、イオン液体の1つ又はこれらの組み合わせで構成されていてもよい。
【0013】
ケース11のX方向の一端側(第1カートリッジ20側)に位置するトップ部11aには、放電端子41が設けられる。放電端子41は、正極側放電端子41a及び負極側放電端子41bから構成される。なお、本明細書において、「正極側」とは、「負極側」よりも高電位側であることを意味する。換言すると、「負極側」とは、「正極側」よりも低電位側であることを意味する。したがって、以下の説明における「正極側」という用語を「高電位側」、「負極側」という用語を「低電位側」、とそれぞれ読み替えてもよい。
【0014】
正極側放電端子41a及び負極側放電端子41bは、トップ部11aから第1カートリッジ20に向かって突出するように設けられ、第1カートリッジ20のヒータ21と電気的に接続可能に構成される。また、ケース11において、トップ部11aの周囲には低床部11bが設けられている。
【0015】
ケース11のX方向の他端側(第1カートリッジ20と反対側)に位置するボトム部11c側の周壁部には、充電端子42へのアクセスを許容する充電用開口43(図2参照)が設けられる。充電端子42は、コンセントやモバイルバッテリ等の外部電源と電気的に接続して電力供給を受けるものであり、本実施形態ではUSB(Universal Serial Bus) Type-C形状のレセプタクルとしているが、これに限定されるものではない。充電用開口43は、ボトム部11c側の周壁部ではなく、ボトム部11c側の底面に設けられてもよい。
【0016】
なお、充電端子42は、例えば、受電コイルを備え、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能に構成されてもよい。この場合の電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよいし、電磁誘導型と磁気共鳴型を組み合わせたものでもよい。また、別の一例として、充電端子42は、各種USB端子等が接続可能であり、且つ上記の受電コイルを有していてもよい。このような構成とすることで、電源BATの充電機会を増大できる。
【0017】
また、ケース11には、ユーザが操作可能な操作部14が、トップ部11aの周壁部に充電用開口43とは反対側を向くように設けられる。操作部14は、ボタン式のスイッチから構成され、ユーザの使用意思を反映してMCU50及び各種センサを起動/遮断する際等に利用される。操作部14は、タッチパネル等から構成されてもよい。
【0018】
また、エアロゾル吸引器1には、各種情報を報知する報知部が設けられている。報知部は、発光素子によって構成されていてもよく、振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。また、報知部は、発光素子、振動素子及び音出力素子のうち、2以上の素子の組み合わせであってもよい。報知部は、電源ユニット10、第1カートリッジ20、及び第2カートリッジ30のいずれに設けられてもよいが、電源BATからの導線(すなわち配線距離)を短くするため電源ユニット10に設けられることが好ましい。本実施形態の報知部は、操作部14の周囲に設けられたLED窓13、及び後述するLED_L1、LED_L2(図6図8参照)によって構成される。
【0019】
電源ユニット10の内部構成については後述する。
【0020】
(第1カートリッジ)
第1カートリッジ20は、図3に示すように、円筒状のカートリッジケース27の内部に、エアロゾル源22を貯留するリザーバ23と、エアロゾル源22を霧化及び/又は気化(以下、単に霧化という)するヒータ21と、リザーバ23からヒータ21へエアロゾル源を引き込むウィック24と、エアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルが第2カートリッジ30に向かって流れるエアロゾル流路25と、第2カートリッジ30の一部を収容するエンドキャップ26と、を備える。
【0021】
リザーバ23は、エアロゾル流路25の周囲を囲むように区画形成され、エアロゾル源22を貯留する。リザーバ23には、樹脂ウェブや綿等の多孔体が収容され、且つ、エアロゾル源22が多孔体に含浸されていてもよい。リザーバ23には、樹脂ウェブ又は綿上の多孔質体が収容されず、エアロゾル源22のみが貯留されていてもよい。エアロゾル源22は、グリセリン、プロピレングリコール、水などの液体を含む。リザーバ23におけるエアロゾル源22の貯留量は、第1カートリッジ20に設けられた残量確認窓28(図1、2参照)から視認可能となっている。残量確認窓28とカートリッジケース27の間には空気取込口となる隙間(図示せず)が形成され、この隙間から外気をカートリッジケース27の内部に取り込む。なお、空気取込口は、必ずしも残量確認窓28の周囲に設けられている必要はない。例えば、電源ユニットに設けられた操作部14とLED窓13の間に隙間を形成し、その隙間から外気をケース11の内部に取り込んでもよいし、充電用開口43を利用してもよい。また、カートリッジケース27やケース11の壁面に内部と外部とを連通する連通孔が設けられていてもよい。
【0022】
ウィック24は、リザーバ23から毛管現象を利用してエアロゾル源22をヒータ21へ引き込む液保持部材であって、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミック等によって構成される。
【0023】
ヒータ21は、電源BATから放電端子41を介して供給される電力によって燃焼を伴わずにエアロゾル源22を霧化する。ヒータ21は、所定ピッチで巻き回される電熱線(コイル)によって構成されている。なお、ヒータ21は、エアロゾル源22を霧化してエアロゾルを発生可能な負荷の例示であり、負荷は、例えば、発熱素子、又は超音波発生器である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。
【0024】
エアロゾル流路25は、ヒータ21の下流側であって、電源ユニット10(ケース11)の中心線L上に設けられる。なお、この中心線Lは、電源ユニット10(ケース11)をX方向に直交する面で切断した際の電源ユニット10(ケース11)の中心点をX方向に連続してつなげた線である。
【0025】
エンドキャップ26は、第2カートリッジ30の一部を収容するカートリッジ収容部26aと、エアロゾル流路25とカートリッジ収容部26aとを連通させる連通路26bと、を備える。
【0026】
(第2カートリッジ)
第2カートリッジ30は、香味源31を貯留する。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20のエンドキャップ26に設けられたカートリッジ収容部26aに着脱可能に収容される。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20側とは反対側の端部が、ユーザの吸口32となっている。なお、吸口32は、第2カートリッジ30と一体不可分に構成される場合に限らず、第2カートリッジ30と着脱可能に構成されてもよい。このように吸口32を電源ユニット10と第1カートリッジ20とは別体に構成することで、吸口32を衛生的に保つことができる。
【0027】
第2カートリッジ30は、ヒータ21によってエアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルを香味源31に通すことによってエアロゾルに香味を付与する。香味源31を構成する原料片としては、刻みたばこ、たばこ原料を粒状に成形した成形体を用いることができる。香味源31は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源31には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0028】
本実施形態のエアロゾル吸引器1では、エアロゾル源22と香味源31とヒータ21とによって、香味が付加されたエアロゾルを発生させることができる。つまり、エアロゾル源22と香味源31は、エアロゾルを発生させるエアロゾル生成源ということができる。
【0029】
エアロゾル吸引器1に用いられるエアロゾル生成源の構成は、エアロゾル源22と香味源31とが別体になっている構成の他、エアロゾル源22と香味源31とが一体的に形成されている構成、香味源31が省略されて香味源31に含まれ得る物質がエアロゾル源22に付加された構成、香味源31の代わりに薬剤等がエアロゾル源22に付加された構成等であってもよい。
【0030】
このように構成されたエアロゾル吸引器1では、ヒータ21が、ウィック24によってリザーバ23から引き込まれた又は移動させられたエアロゾル源22を霧化する。霧化されて発生したエアロゾルは、残量確認窓28とカートリッジケース27の間に形成された空気取込口となる隙間(図示せず)から流入した空気と共にエアロゾル流路25を流れ、連通路26bを介して第2カートリッジ30に供給される。第2カートリッジ30に供給されたエアロゾルは、香味源31を通過することで香味が付与され、吸口32に供給される。
【0031】
(電源ユニット10の回路構成)
続いて、電源ユニット10の回路構成について図6を参照しながら説明する。
図6において、一点鎖線で囲んだ範囲内に図示した電子部品は、レセプタクル搭載基板8に実装された電子部品である。すなわち、レセプタクル搭載基板8は、主要な電子部品として、USB Type-Cのプラグ(以下、単にUSBプラグともいう)を挿入可能なレセプタクルである充電端子42と、レセプタクル搭載基板8とMCU搭載基板7とを接続する基板接続ケーブルCb1の一端が接続されるレセプタクル搭載基板側コネクタCn1と、を備える。本実施形態では、基板接続ケーブルCb1を、6本のプリントパターンを有するFPC(Flexible Printed Circuit)ケーブルとするが、これに限定されるものではない。
【0032】
また、図6において、二点鎖線で囲んだ範囲内に図示した電子部品は、MCU搭載基板7に実装された電子部品である。すなわち、MCU搭載基板7は、主要な電子部品として、基板接続ケーブルCb1の他端が接続されるMCU搭載基板側コネクタCn2と、電源ユニット10を含むエアロゾル吸引器1全体を統括制御するMCU50と、電源BATの充電等を行う充電IC(Integrated Circuit)55と、充電IC55を保護する保護IC61と、MCU50等に対して所定の電圧を供給するLDO(Low Dropout)レギュレータ62と、ユーザのパフ(吸引)動作を検出するための吸引センサ15と、ヒータ21が接続される放電端子41(41a、41b)と、放電端子41に電力を供給可能なDC/DCコンバータ63と、バッテリパックBPとMCU搭載基板7とを接続するバッテリ接続ケーブルCb2が接続されるバッテリコネクタCn3と、を備える。
【0033】
MCU50、充電IC55、保護IC61、LDOレギュレータ62、吸引センサ15、及びDC/DCコンバータ63は、例えば、複数の回路素子をチップ化して構成され、自装置の内部と外部とを電気的に接続するための端子としてのピンを備える。これらチップ化された各電子部品が備えるピンの詳細については後述する。なお、本明細書等では、これらチップ化された各電子部品が備えるピンのうち主要なピンのみを記載している点に留意されたい。
【0034】
バッテリパックBPは、電源BATと、電源BATの正極端子に接続されるヒューズFSと、電源BATの負極端子に接続され且つ電源BATに近接配置されたサーミスタTHと、を備える。サーミスタTHは、NTC(Negative Temperature Coefficient:負の抵抗温度係数)特性あるいはPTC(Positive Temperature Coefficient:正の抵抗温度係数)特性を有する素子、すなわち、電気抵抗値と温度とに相関を持つ素子を主体に構成される。また、本実施形態では、バッテリパックBPとMCU搭載基板7とを接続するバッテリ接続ケーブルCb2を、3本のプリントパターンを有するFPCケーブルとするが、これに限定されるものではない。バッテリ接続ケーブルCb2は3本のワイヤで接続されていてもよい。
【0035】
図6において、太い実線で示す配線は、電源ユニット10に設けられたグランドに接続された配線(例えば、後述するグランドパターン78等により構成される配線)である。すなわち、この配線は、電源ユニット10において基準となる電位(グランド電位)と同電位になる配線であり、以下、グランドラインともいう。
【0036】
また、電源ユニット10には、グランドライン以外の主要な配線として、VBUSラインLn1と、VBATラインLn2と、D+ラインLn3aと、D-ラインLn3bと、パワーパス(Power-Path)ラインLn4と、VSYSラインLn5と、VHEATラインLn6とが設けられる。これらの各ライン(配線)は、MCU搭載基板7に形成された導電パターンを主体に構成される。これら各ラインに接続される電子部品については後述する。
【0037】
なお、以下では、レセプタクル搭載基板8とMCU搭載基板7とを接続する電子部品である、基板接続ケーブルCb1と、レセプタクル搭載基板側コネクタCn1と、MCU搭載基板側コネクタCn2とを合わせて、基板接続部CNとも称する。
【0038】
(充電端子及び保護IC)
充電端子42は、挿入されたUSBプラグのA1ピン、A4ピン、A5ピン、A6ピン、A7ピン、A8ピン、A9ピン、A12ピン、B1ピン、B4ピン、B5ピン、B6ピン、B7ピン、B8ピン、B9ピン、及びB12ピンの各ピンにそれぞれ接続されるピン(端子)を備える。本明細書等では、USBプラグのAnピン(ただしn=1~12)に対応する充電端子42のピンを、充電端子42のAnピンともいう。同様に、USBプラグのBnピンに対応する充電端子42のピンを、充電端子42のBnピンともいう。
【0039】
USBプラグのGND(グランド)ピンに対応する充電端子42のA1ピン、A12ピン、B1ピン、及びB12ピンは、グランドラインに接続される。
【0040】
USBプラグのVBUSピンに対応する充電端子42のA4ピン、A9ピン、B4ピン、及びB9ピンは、基板接続部CN、VBUSラインLn1、及び保護IC61を介して、充電IC55の高電位側の電源端子であるVBUSピンに接続される。これにより、充電端子42のA4ピン、A9ピン、B4ピン、あるいはB9ピンを介して電源ユニット10へ入力された外部電源からの電力(例えばUSBバスパワー)を充電IC55に供給でき、この電力を用いた充電IC55による電源BATの充電やMCU50への電力供給を可能にする。
【0041】
充電端子42と充電IC55との間に設けられる保護IC61について詳述すると、保護IC61は、高電位側の電源端子であるINピンと、低電位側の電源端子であるVSSピンと、グランドされるGNDピンと、後述の第1システム電圧Vs1が出力される出力端子であるOUTピンと、保護IC61の動作をオンにしたりオフにしたりする(以下、オン/オフするともいう)ためのCEピンと、電源BATの接続状態を検知するためのVBATピンと、を備える。
【0042】
充電端子42のA4ピン及びB9ピンと、A9ピン及びB4ピンとは、基板接続部CN及びVBUSラインLn1を介して、保護IC61のINピンに対して並列に接続される。換言すると、保護IC61のINピンは、充電端子42のA4ピン及びB9ピンと、A9ピン及びB4ピンとのそれぞれに接続される。保護IC61のVSSピン、GNDピン、及びCEピンは、グランドラインに接続される。保護IC61のOUTピンは、充電IC55のVBUSピンに接続される。保護IC61のVBATピンは、VBATラインLn2、バッテリコネクタCn3、バッテリ接続ケーブルCb2、及びヒューズFSを介して、電源BATの正極端子(すなわち高電位側)に接続される。なお、電源BATの負極端子(すなわち低電位側)は、バッテリ接続ケーブルCb2及びバッテリコネクタCn3を介して、グランドラインに接続される。
【0043】
保護IC61は、INピンの電位とVSSピンの電位との差分により電源電圧が供給され、且つCEピンへの入力がローレベルであるときに動作して、所定の第1システム電圧Vs1をOUTピンから出力したり、VBATピンへの入力電圧に基づき電源BATが接続されているか否かを検知したりする。本実施形態における充電IC61は、CEピンへローレベルが入力されることでイネーブルされることから、負論理動作である。これに代えて、CEピンへハイレベルが入力されることでイネーブルされる正論理動作の保護IC61を用いてもよい。この場合、CEピンへハイレベルが入力されるように、CEピンはINピンへ接続されることが好ましい。
【0044】
より詳細に説明すると、充電端子42にUSBプラグが挿入され、且つ、このUSBプラグを含むUSBケーブルが外部電源に接続されると、充電端子42のA4ピン、A9ピン、B4ピン、及びB9ピンには、外部電源から所定のUSB電圧(例えば5[V])が供給される。これにより、このUSB電圧が電源電圧として保護IC61に供給される。また、保護IC61のCEピンはグランドされているため、このCEピンへの入力電圧は常にローレベルとなる。したがって、保護IC61は、充電端子42を介して外部電源からUSB電圧が供給されたことに応じて、第1システム電圧Vs1を充電IC55に対して出力する。
【0045】
保護IC61が出力する第1システム電圧Vs1は、充電IC55の推奨入力電圧の範囲(例えば4.35~6.4[V]の範囲)に含まれる電圧値を有する。
【0046】
例えば、保護IC61は、INピンへの入力電圧(換言するとINピンの電位)が充電IC55の推奨入力電圧の範囲に含まれる場合には、INピンへの入力電圧を第1システム電圧Vs1としてそのままOUTピンから出力する。一方、保護IC61は、INピンへの入力電圧が充電IC55の推奨入力電圧の最大値を上回る場合には、INピンへの入力電圧から充電IC55の推奨入力電圧の範囲に含まれる所定の電圧(例えば5.5±0.2[V])に変換し、変換した電圧を第1システム電圧Vs1としてOUTピンから出力する。これにより、充電IC55の推奨入力電圧の最大値を上回るような高電圧が保護IC61へ入力されたとしても、この高電圧が保護IC61から充電IC55に出力されるのを回避して、この高電圧から充電IC55を保護することが可能となる。
【0047】
なお、保護IC61は、充電IC55の推奨入力電圧の最大値を上回るような高電圧がINピンに入力された場合には、INピンとOUTピンとを接続する保護IC61内の回路(不図示)を開くことで、INピンに入力された高電圧がOUTピンから出力されないようにしてもよい。
【0048】
また、前述したように、保護IC61は、VBATピンへの入力電圧に基づき電源BATが接続されているか否かを検知することが可能である。保護IC61は、電源BATが接続されているか否かの検知結果を、自装置で利用してもよいし、自装置の外部(例えばMCU50あるいは充電IC55)へ出力してもよい。さらに、保護IC61は、前述した充電IC55を保護する機能のほか、例えば過電流検知機能や過電圧検知機能等、電源ユニット10の電気回路を保護するための各種保護機能を有していてもよい。
【0049】
また、図6に示すように、VBUSラインLn1には、保護IC61のINピンへの入力を安定化(平滑化)するためのコンデンサ(平滑コンデンサあるいはバイパスコンデンサとも称される)Cd1が必要に応じて適宜接続される。同様に、保護IC61のOUTピンと充電IC55のVBUSピンとの間には、充電IC55のVBUSピンへの入力(すなわち保護IC61から出力された第1システム電圧Vs1)を安定化するためのコンデンサCd2が必要に応じて適宜接続される。
【0050】
ところで、保護IC61のINピンと接続される充電端子42のA4ピン、A9ピン、B4ピン、及びB9ピンは、バリスタ(Variable Resistor:非直線性抵抗素子)VR1を介して、グランドラインとも接続される。このように、バリスタVR1を介して、充電端子42のA4ピン、A9ピン、B4ピン、及びB9ピンをグランドラインと接続しておくことで、充電端子42へのUSBプラグ挿入時にこれらが擦れる等して充電端子42のA4ピン、A9ピン、B4ピン、あるいはB9ピンに静電気が発生しても、この静電気を、バリスタVR1を介してグランドラインへ逃がすことができる。したがって、充電端子42のA4ピン、A9ピン、B4ピン、あるいはB9ピンに発生した静電気から保護IC61を保護することが可能となる。
【0051】
USBプラグのDp(D+ともいう)1ピンあるいはDp2ピンに対応する充電端子42のA6ピン及びB6ピンは、基板接続部CN及びD+ラインLn3aを介して、MCU50のPA11ピンに接続される。また、USBプラグのDn(D-ともいう)1ピンあるいはDp2ピンに対応する充電端子42のA7ピン及びB7ピンは、基板接続部CN及びD-ラインLn3bを介して、MCU50のPA12ピンに接続される。これにより、充電端子42に挿入されたUSBプラグを含むUSBケーブルが接続された外部機器(以下、単に、外部機器ともいう)とMCU50との間で、例えば、D+ラインLn3a及びD-ラインLn3bの2つの信号線を用いたシリアル通信を行うことを可能にする。なお、外部機器とMCU50との間の通信には、シリアル通信以外の通信方式を採用してもよい。
【0052】
また、MCU50のPA11ピンと接続される充電端子42のA6ピン及びB6ピンは、バリスタVR2を介して、グランドラインとも接続される。これにより、充電端子42のA6ピンあるいはB6ピンに静電気が発生しても、この静電気を、バリスタVR2を介してグランドラインへ逃がすことができる。したがって、充電端子42のA6あるいはB6ピンに発生した静電気からMCU50を保護することが可能となる。
【0053】
さらに、図6に示すように、充電端子42のA6ピン及びB6ピンと、MCU50のPA11ピンとの間に抵抗器R11を設ければ、MCU50のPA11ピンに大電流が入力されるのを抵抗器R11によって抑制することが可能となる。なお、本明細書等において、抵抗器とは、抵抗素子やトランジスタ等により構成された所定の電気抵抗値を有する素子である。
【0054】
また、MCU50のPA12ピンと接続される充電端子42のA7ピン及びB7ピンは、バリスタVR3を介して、グランドラインとも接続される。これにより、充電端子42のA7ピンあるいはB7ピンに静電気が発生しても、この静電気を、バリスタVR3を介してグランドラインへ逃がすことができる。したがって、充電端子42のA7ピンあるいはB7ピンに発生した静電気からMCU50を保護することが可能となる。
【0055】
さらに、図6に示すように、充電端子42のA7ピン及びB7ピンと、MCU50のPA12ピンとの間に抵抗器R12を設ければ、MCU50のPA12ピンに大電流が入力されるのを抵抗器R12によって抑制することが可能となる。
【0056】
また、電源ユニット10では、USBプラグが充電端子42にアップサイドアップの向きで挿入されたのかアップサイドダウンの向きで挿入されたのかを、MCU50が認識しなくても問題は生じない。このため、USBプラグのCC1ピンあるいはCC2ピンに対応する充電端子42のA5ピン及びB5ピンは、グランドラインに接続される。さらに、USBプラグのSBU1ピンあるいはSBU2ピンに対応する充電端子42のA8ピン及びB8ピンにあっては、電源ユニット10の電気回路と接続されていない。すなわち、これら充電端子42のピンは、電源ユニット10において利用されていないため、適宜省略することも可能である。このようにすることで、電源ユニット10の回路構成が複雑化することを抑制できる。
【0057】
(充電IC)
充電IC55は、高電位側の電源端子の1つであるVBUSピンと、低電位側の電源端子であるGNDピンと、充電IC55と電源BATとの間の電力授受に用いられる入出力端子であるBAT_1ピン及びBAT_2ピンと、電源BATへの入力あるいは電源BATからの出力を検出する検出端子としてのBAT_SNSピンと、後述の第2システム電圧Vs2が出力される出力端子であるSYS_1、SYS_2ピン、SW_1ピン、及びSW_2ピンと、充電IC55の動作をオン/オフするためのCEピンと、を含んで構成される。なお、BAT_1ピン及びBAT_2ピンも、充電IC55における高電位側の電源端子として機能し得る。
【0058】
充電IC55のVBUSピンは、前述したように、保護IC61のOUTピンに接続される。充電IC55のBAT_1ピン、BAT_2ピン、及びBAT_SNSピンは、VBATラインLn2、バッテリコネクタCn3、バッテリ接続ケーブルCb2、及びヒューズFSを介して、電源BATの正極端子に接続される。充電IC55のSYS_1ピン、SYS_2ピン、SW_1ピン、及びSW_2ピンは、パワーパスラインLn4を介して、LDOレギュレータ62の高電位側の電源端子であるINピンと、DC/DCコンバータ63の高電位側の電源端子であるVINピンとに接続される。なお、SW_1ピン及びSW_2ピンは、リアクトルRc1を介して、パワーパスラインLn4に接続される。また、充電IC55のCEピンは、MCU50のPB14ピンに接続される。
【0059】
充電IC55は、VBUSピン、BAT_1ピン、あるいはBAT_2ピンの電位とGNDピンの電位との差分により電源電圧が供給され、且つCEピンへの入力がハイレベルであるときに動作して、電源BATの充電を行ったり、電源BATから放電された電力をLDOレギュレータ62やDC/DCコンバータ63等に供給したりする。本実施形態における充電IC55は、CEピンへハイレベルが入力されることでイネーブルされることから、正論理動作である。これに代えて、CEピンへローレベルが入力されることでイネーブルされる負論理動作の充電IC55を用いてもよい。
【0060】
より詳細に説明すると、充電IC55は、VBUSピンに第1システム電圧Vs1が入力されると、BAT_1ピン及びBAT_2ピンから電源BATに対して電源BATを充電するための電圧(例えば第1システム電圧Vs1)を出力する。一方、電源BATの放電時には、電源BATの出力電圧(端子電圧)がBAT_1ピン及びBAT_2ピンに入力される。この場合、充電IC55は、BAT_1ピン及びBAT_2ピンへの入力電圧に応じた第2システム電圧Vs2を、SYS_1ピン、SYS_2ピン、SW_1ピン、及びSW_2ピンから、LDOレギュレータ62やDC/DCコンバータ63等に対して出力する。第2システム電圧Vs2は、例えば、電源BATの出力電圧そのものであり、具体的には3~4[V]程度の電圧とすることができる。
【0061】
また、充電IC55は、MCU50のPB8ピンに接続されるSCLピンと、MCU50のPB9ピンに接続されるSDAピンと、をさらに備える。これにより、充電IC55とMCU50との間で、例えばI2C(Inter-Integrated Circuit)通信を行うことが可能である。この通信を利用して、充電IC55は、例えば、電源BATに関するバッテリ情報をMCU50に送信する。ここで、バッテリ情報は、例えば、充電IC55による電源BATの充電状態(例えば充電中もしくは充電停止中)や、電源BATの残量(SOC:State Of Charge)等をあらわす情報である。なお、充電IC55とMCU50との間の通信には、I2C通信以外の通信方式を採用してもよい。
【0062】
また、図6に示すように、充電IC55は、ISETピン、ILIMピン、TSピン等をさらに備えてもよい。充電IC55がISETピンを備える場合、このISETピンとグランドラインとの間に接続される抵抗器の電気抵抗値により、充電IC55から電源BATに対して出力される電流値を設定可能である。充電IC55がILIMピンを備える場合、このILIMピンとグランドラインとの間に接続される抵抗器の電気抵抗値により、充電IC55からLDOレギュレータ62やDC/DCコンバータ63等に対して出力される電流値の上限を設定可能である。充電IC55がTSピンを備える場合、充電IC55は、このTSピンへの入力電圧に基づき、TSピンに接続された抵抗器の電気抵抗値や温度を検出可能である。
【0063】
なお、図6に示すように、VBATラインLn2には、充電IC55のBAT_SNSピンへの入力等を安定化するためのコンデンサCd3が必要に応じて適宜接続される。また、パワーパスラインLn4には、充電IC55から出力された第2システム電圧Vs2を安定化するためのコンデンサCd4、LDOレギュレータ62のINピンへの入力を安定化するためのコンデンサCd5が必要に応じて適宜接続される。
【0064】
(LED回路)
充電IC55から出力された第2システム電圧Vs2が供給されるパワーパスラインLn4には、さらに、LED_L1を作動(例えば点灯)させるための第1LED回路Cc1と、LED_L2を作動させるための第2LED回路Cc2とが接続される。
【0065】
第1LED回路Cc1は、LED_L1と、第1LED回路Cc1の導通及び遮断を切り替えるスイッチSw1とを直列に接続して構成される。第1LED回路Cc1の一端はパワーパスラインLn4に接続され、他端はグランドラインに接続される。また、第1LED回路Cc1のスイッチSw1は、MCU50からのオン指令に応じてオンとなり、MCU50からのオフ指令に応じてオフとなる。スイッチSw1がオンとなると、第1LED回路Cc1が導通した状態となり、充電IC55から出力された第2システム電圧Vs2がLED_L1に供給されて、LED_L1が点灯する。
【0066】
スイッチSw1としては、例えば、MOSFETにより構成されるスイッチを採用することができる。本実施形態では、一例として、スイッチSw1を構成するMOSFETのゲート端子がMCU50のPA0ピンに接続されており、MCU50がPA0ピンからの出力を制御することにより、スイッチSw1のゲート端子に印加されるゲート電圧を変化させ、スイッチSw1をオンにしたりオフにしたりする。なお、スイッチSw1は、MOSFETに限らず、MCU50の制御にしたがってオン/オフされるスイッチであればよい。
【0067】
また、第2LED回路Cc2は、LED_L2と、第2LED回路Cc2の導通及び遮断を切り替えるスイッチSw2とを直列に接続して構成される。第2LED回路Cc2の一端はパワーパスラインLn4に接続され、他端はグランドラインに接続される。また、第2LED回路Cc2のスイッチSw2は、MCU50からのオン指令に応じてオンとなり、MCU50からのオフ指令に応じてオフとなる。スイッチSw2がオンとなると、第2LED回路Cc2が導通した状態となり、充電IC55から出力された第2システム電圧Vs2がLED_L2に供給されて、LED_L2が点灯する。
【0068】
スイッチSw1と同様に、スイッチSw2としては、例えば、MOSFETにより構成されるスイッチを採用することができる。本実施形態では、一例として、スイッチSw2を構成するMOSFETのゲート端子がMCU50のPB3ピンに接続されており、MCU50がPB3ピンからの出力を制御することにより、スイッチSw2のゲート端子に印加されるゲート電圧を変化させ、スイッチSw2をオンにしたりオフにしたりする。なお、スイッチSw2は、MOSFETに限らず、MCU50の制御にしたがってオン/オフされるスイッチであればよい。
【0069】
(LDOレギュレータ)
LDOレギュレータ62は、高電位側の電源端子であるINピンと、低電位側の電源端子であるGNDピンと、後述の第3システム電圧Vs3が出力される出力端子であるOUTピンと、LDOレギュレータ62の動作をオン/オフするためのENピンと、を備える。
【0070】
LDOレギュレータ62のINピンは、前述したように、パワーパスラインLn4を介して、充電IC55のSYS_1ピン、SYS_2ピン等に接続される。LDOレギュレータ62のGNDピンは、グランドラインに接続される。LDOレギュレータ62のOUTピンは、VSYSラインLn5を介して、MCU50の高電位側の電源端子であるVDDピンと、吸引センサ15の高電位側の電源端子であるVDDピンとに接続される。LDOレギュレータ62のENピンは、パワーパスラインLn4に接続される。
【0071】
LDOレギュレータ62は、INピンの電位とGNDピンの電位との差分により電源電圧が供給され、且つENピンへの入力電圧がハイレベルであるときに動作し、所定の第3システム電圧Vs3を生成してOUTピンから出力する。本実施形態におけるLDOレギュレータ62は、ENピンへハイレベルが入力されることでイネーブルされることから、正論理動作である。これに代えて、ENピンへローレベルが入力されることでイネーブルされる正論理動作のLDOレギュレータ62を用いてもよい。この場合、ENピンへローレベルが常に入力されるように、ENピンはグランドラインへ接続されることが好ましい。
【0072】
より詳細に説明すると、充電IC55から第2システム電圧Vs2が出力されたことに応じて、LDOレギュレータ62には、第2システム電圧Vs2が電源電圧として供給される。また、充電IC55から第2システム電圧Vs2が出力されているときには、LDOレギュレータ62のENピンへの入力電圧は第2システム電圧Vs2(すなわちハイレベル)となる。したがって、LDOレギュレータ62は、充電IC55から第2システム電圧Vs2が出力されると、第3システム電圧Vs3を生成し、生成した第3システム電圧Vs3をMCU50や吸引センサ15等に対して出力する。
【0073】
LDOレギュレータ62が出力する第3システム電圧Vs3は、MCU50や吸引センサ15等を動作させるのに適した電圧値を有する。具体的に、第3システム電圧Vs3は、第2システム電圧Vs2よりも低い電圧であり、例えば2.5[V]とすることができる。
【0074】
(操作スイッチ回路)
LDOレギュレータ62から出力された第3システム電圧Vs3が供給されるVSYSラインLn5には、さらに、操作スイッチOPSに対するユーザの操作を検出するための操作スイッチ回路Cc3と、電源BATの温度を検出するための電源温度検出回路Cc4とが接続される。
【0075】
操作スイッチ回路Cc3は、抵抗器R1と、抵抗器R2と、抵抗器R3と、操作スイッチOPSとにより構成される。抵抗器R1は、一端がVSYSラインLn5に接続され、他端が抵抗器R2及び抵抗器R3のそれぞれの一端に接続される。また、抵抗器R2の他端はMCU50のPC4ピンに接続され、抵抗器R3の他端は操作スイッチOPSの一端に接続される。そして、操作スイッチOPSの他端はグランドラインに接続される。
【0076】
操作スイッチOPSがユーザによって操作されていないときに、MCU50のPC4ピンには、VSYSラインLn5に供給される第3システム電圧Vs3を抵抗器R1と抵抗器R2とによって降圧した電圧が入力される。一方、操作スイッチOPSがユーザによって操作されているときに、MCU50のPC4ピンには、VSYSラインLn5に供給される第3システム電圧Vs3を抵抗器R1と抵抗器R3とによって分圧した後に抵抗器R2によって降圧した電圧が入力される。したがって、MCU50は、PC4ピンへの入力電圧に基づき操作スイッチOPSに対するユーザの操作の有無を検出することができる。
【0077】
(電源温度検出回路)
電源温度検出回路Cc4は、サーミスタTHと、抵抗器R4と、電源温度検出回路Cc4の導通及び遮断を切り替えるスイッチSw3とを直列に接続して構成される。電源温度検出回路Cc4におけるスイッチSw3側の一端はVSYSラインLn5に接続され、電源温度検出回路Cc4におけるサーミスタTH側の他端はグランドラインに接続される。また、MCU50のPC1ピンは、電源温度検出回路Cc4において抵抗器R4とサーミスタTHとの間となる接続点CPに接続される。
【0078】
電源温度検出回路Cc4のスイッチSw3は、MCU50からのオン指令に応じてオンとなり、MCU50からのオフ指令に応じてオフとなる。スイッチSw3がオンとなると、電源温度検出回路Cc4が導通した状態となり、VSYSラインLn5に供給される第3システム電圧Vs3を抵抗器R4の電気抵抗値とサーミスタTHの電気抵抗値とによって分圧した電圧がMCU50のPC1ピンに入力される。前述したように、サーミスタTHは電気抵抗値と温度とに相関性を有するものであるため、スイッチSw3をオンとしたときのPC1ピンへの入力電圧はサーミスタTHの温度によって変化する。したがって、MCU50は、スイッチSw3をオンとしたときのPC1ピンへの入力電圧に基づきサーミスタTHの温度(すなわち電源BATの温度)を検出可能である。
【0079】
なお、スイッチSw1等と同様に、スイッチSw3としては、例えば、MOSFETにより構成されるスイッチを採用することができる。本実施形態では、一例として、スイッチSw3を構成するMOSFETのゲート端子がMCU50のPA8ピンに接続されており、MCU50がPA8ピンからの出力を制御することにより、スイッチSw3のゲート端子に印加されるゲート電圧を変化させ、スイッチSw3をオンにしたりオフにしたりする。なお、スイッチSw3は、MOSFETに限らず、MCU50の制御にしたがってオン/オフされるスイッチであればよい。
【0080】
(DC/DCコンバータ)
DC/DCコンバータ63は、高電位側の電源端子であるVINピンと、低電位側の電源端子であるGNDピンと、電圧が入力されるSWピンと、後述の第4システム電圧Vs4が出力される出力端子であるVOUTピンと、DC/DCコンバータ63の動作をオン/オフするためのENピンと、DC/DCコンバータ63の動作モードを設定するためのMODEピンと、を備える。
【0081】
DC/DCコンバータ63のVINピンは、前述したように、パワーパスラインLn4を介して、充電IC55のSYS_1ピン、SYS_2ピン等に接続される。DC/DCコンバータ63のGNDピンは、グランドラインに接続される。DC/DCコンバータ63のSWピンは、リアクトルRc2を介して、パワーパスラインLn4に接続される。DC/DCコンバータ63のVOUTピンは、VHEATラインLn6を介して、放電端子41の正極端子(すなわち高電位側)である正極側放電端子41aに接続される。DC/DCコンバータ63のENピンは、MCU50のPB2ピンに接続される。DC/DCコンバータ63のMODEピンは、パワーパスラインLn4に接続される。また、放電端子41の負極端子(すなわち低電位側)である負極側放電端子41bは、グランドラインに接続される。
【0082】
DC/DCコンバータ63は、VINピンの電位とGNDピンの電位との差分により電源電圧が供給され、且つENピンへの入力電圧がハイレベルであるときに動作し、入力された電圧を昇圧してVOUTピンから出力する。本実施形態におけるDC/DCコンバータ63は、ENピンへハイレベルが入力されることでイネーブルされることから、正論理動作である。これに代えて、ENピンへローレベルが入力されることでイネーブルされる負論理動作のDC/DCコンバータ63を用いてもよい。
【0083】
より詳細に説明すると、充電IC55から第2システム電圧Vs2が出力されたことに応じて、DC/DCコンバータ63には、第2システム電圧Vs2が電源電圧として供給される。また、MCU50は、エアロゾルの生成要求(例えばユーザのパフ動作)等に応じてヒータ21を加熱すると判断した際に、DC/DCコンバータ63のENピンにハイレベルの電圧信号を入力する。これにより、DC/DCコンバータ63は、DC/DCコンバータ63に入力された電圧を昇圧して得られる第4システム電圧Vs4を放電端子41(すなわちヒータ21)に対して出力する。
【0084】
DC/DCコンバータ63が出力する第4システム電圧Vs4は、ヒータ21を加熱するのに適した電圧値を有する。具体的に、第4システム電圧Vs4は、第3システム電圧Vs3よりも高い電圧であり、例えば4.2[V]程度の電圧とすることができる。
【0085】
また、DC/DCコンバータ63は、例えばスイッチングレギュレータであり、動作モードとして、パルス幅変調モード(以下、PWMモードともいう)と、パルス周波数変調モード(以下、PFMモードともいう)と、をとり得る。本実施形態では、DC/DCコンバータ63のMODEピンをパワーパスラインLn4に接続することで、DC/DCコンバータ63が動作し得るときのMODEピンへの入力電圧がハイレベルとなるようにして、DC/DCコンバータ63をPWMモードで動作させるようにしている。
【0086】
また、図6に示すように、VHEATラインLn6には、VHEATラインLn6の導通及び遮断を切り替えるスイッチSw4が設けられる。スイッチSw4は、MCU50からのオン指令に応じてオンとなり、MCU50からのオフ指令に応じてオフとなる。スイッチSw4がオンとなると、VHEATラインLn6が導通した状態となり、DC/DCコンバータ63から出力された第4システム電圧Vs4が放電端子41(具体的には正極側放電端子41a)に供給されて、ヒータ21が加熱される。これにより、エアロゾル源が霧化あるいは気化され、エアロゾルを生成することが可能になっている。
【0087】
スイッチSw4としては、例えばMOSFETにより構成されるスイッチを採用できる。より具体的には、スイッチSw4は、スイッチング速度が高速なパワーMOSFETであることが望ましい。本実施形態では、一例として、スイッチSw4を構成するMOSFETのゲート端子がMCU50のPB4ピンに接続されており、MCU50がPB4ピンからの出力を制御することにより、スイッチSw4のゲート端子に印加されるゲート電圧を変化させ、スイッチSw4をオンにしたりオフにしたりする。
【0088】
(VHEATラインLn6に接続される他の電子部品)
放電端子41に供給される電力が不安定になると、ヒータ21によって生成されるエアロゾルの量がばらついて香喫味の悪化につながるおそれがある。そこで、図6に示すように、VHEATラインLn6には、DC/DCコンバータ63から出力された第4システム電圧Vs4を安定化するためのコンデンサが接続される。
【0089】
より詳細に説明すると、電源ユニット10では、DC/DCコンバータ63から出力された第4システム電圧Vs4を安定化するためのコンデンサとして、コンデンサCd61、コンデンサCd62、及びコンデンサCd63の3つのコンデンサを並列に設けている。このように、複数のコンデンサにより電圧の安定化(平滑化)を行うようにすることで、電圧の安定化に伴う発熱を複数のコンデンサに分散できる。したがって、1つのコンデンサにより電圧の安定化を行うようにした場合に比べて、コンデンサが高温となることを回避して、コンデンサの劣化や故障を抑制することが可能となる。
【0090】
特に、ヒータ21によって生成されるエアロゾルの量を確保する観点から、第4システム電圧Vs4には高い電圧値が要求される。仮に、このような高電圧の安定化を1つのコンデンサにより行うようにすると、このコンデンサが非常に高温となることが想定される。その結果、高温となったコンデンサが著しく劣化するだけでなく、このコンデンサの周辺に配置された他の電子部品にも悪影響を及ぼし得る。したがって、前述したように、第4システム電圧Vs4の安定化は、複数のコンデンサにより行うのが望ましい。
【0091】
なお、コンデンサCd61、コンデンサCd62、及びコンデンサCd63のうち、コンデンサCd61は、静電容量が比較的小さく、これに伴って物理的なサイズも比較的小さいコンデンサとなっている。一方、コンデンサCd62及びコンデンサCd63は、静電容量が比較的大きく、これに伴って物理的なサイズも比較的大きいコンデンサとなっている。具体的一例として、コンデンサCd61の静電容量は0.1[μF]とすることができ、コンデンサCd62及びコンデンサCd63の静電容量は50[μF]とすることができる。このように、静電容量が互いに異なる複数のコンデンサを用いることで、第4システム電圧Vs4にさまざまな脈動成分(リップル)が含まれていても、これらを除去できる。
【0092】
また、図6に示すように、本実施形態では、VHEATラインLn6において、放電端子41とスイッチSw4との間には、バリスタVR4を設けている。より詳細に、バリスタVR4の一端はVHEATラインLn6に接続され、他端はグランドラインに接続される。このようなバリスタVR4を設けることで、例えば第1カートリッジ20の脱着により放電端子41に静電気のノイズが発生しても、このノイズを、バリスタVR4を介してグランドラインへ逃がすことができる。したがって、放電端子41に発生した静電気等のノイズから、スイッチSw4やDC/DCコンバータ63等の電源ユニット10のシステムを保護することが可能となる。
【0093】
また、図6に示すように、VHEATラインLn6において、放電端子41とスイッチSw4との間には、スイッチSw4を介して放電端子41に供給される電圧を安定化するためのコンデンサCd7も接続される。なお、このコンデンサCd7は、放電端子41に発生した静電気等のノイズから、スイッチSw4やDC/DCコンバータ63等の電源ユニット10のシステムを保護する保護部品としても機能し得る。したがって、コンデンサCd7によっても、放電端子41に発生した静電気等のノイズから、スイッチSw4やDC/DCコンバータ63等の電源ユニット10のシステムを保護することが可能になっている。なお、第1カートリッジ20の脱着時以外にも、ユーザが放電端子41を触れてしまったときや、放電端子41に応力が加わったとき等にも、放電端子41において静電気等のノイズが生じ得る。
【0094】
(吸引センサ)
吸引センサ15は、高電位側の電源端子であるVDDピンと、低電位側の電源端子であるGNDピンと、出力端子であるOUTピンと、を備える。
【0095】
吸引センサ15のVDDピンは、前述したように、VSYSラインLn5を介して、LDOレギュレータ62のOUTピンに接続される。吸引センサ15のGNDピンは、グランドラインに接続される。吸引センサ15のOUTピンは、MCU50のPC5ピンに接続される。
【0096】
吸引センサ15は、VDDピンの電位とGNDピンの電位との差分により電源電圧が供給されると動作する。具体的に、吸引センサ15には、LDOレギュレータ62から出力された第3システム電圧Vs3が電源電圧として供給されることで動作して、ユーザのパフ動作を検出するセンサ装置として機能する。例えば、吸引センサ15は、コンデンサマイクロフォンや圧力センサを主体に構成され、ユーザの吸引により生じた電源ユニット10内の圧力(内圧)変化の値を検出結果として示す信号を、OUTピンからMCU50に対して出力する。なお、吸引センサ15には、コンデンサマイクロフォンあるいは圧力センサ以外のセンサ装置を採用してもよい。
【0097】
(MCU)
MCU50は、高電位側の電源端子であるVDDピンと、低電位側の電源端子であるVSSピンと、入力端子あるいは出力端子として機能する複数のピン(以下、入出力ピンともいう)と、を備える。MCU50は、VDDピンの電位とVSSピンの電位との差分により電源電圧が供給されることで動作する。
【0098】
MCU50は、入出力ピンとして、前述したPA11ピン及びPA12ピンを備えるため、これらのピンを利用して外部機器と通信でき、例えばファームウェアの更新データ等を外部機器から取得できる。また、MCU50は、入出力ピンとして、前述したPB8ピン及びPB9ピンを備えるため、これらのピンを利用して充電IC55と通信でき、前述したバッテリ情報等を充電IC55から取得できる。
【0099】
さらに、MCU50は、入出力ピンとして、前述したPB14ピン及びPB2ピンを備えるため、PB14ピンからの出力により充電IC55のオン/オフを、PB2ピンからの出力によりDC/DCコンバータ63のオン/オフを、それぞれ制御できる。
【0100】
また、MCU50は、入出力ピンとして、前述したPA0ピン、PB3ピン、PA8ピン、及びPB4ピンを備えるため、PA0ピンからの出力によりスイッチSw1を、PB3ピンからの出力によりスイッチSw2を、PA8ピンからの出力によりスイッチSw3を、PB4ピンからの出力によりスイッチSw4を、それぞれオン/オフできる。
【0101】
そして、MCU50は、入出力ピンとして、前述したPC5ピン、PC4ピン、及びPC1ピンを備えるため、PC5ピンへの入力に基づきユーザのパフ動作を、PC4ピンへの入力に基づき操作スイッチOPSに対するユーザの操作を、スイッチSw3をオンとしたときのPC1ピンへの入力に基づきサーミスタTHの温度(すなわち電源BATの温度)を、それぞれ検出できる。
【0102】
(電源ユニットの内部構成)
続いて、電源ユニット10の内部構成について図5、及び図7図12を参照しながら説明する。
ケース11の内部空間にはシャーシ12が設けられ、充電端子42(図3参照)、レセプタクル搭載基板8、電源BATを含むバッテリパックBP、及びMCU搭載基板7が、ボトム部11cからトップ部11aに向かってこの順にシャーシ12に保持される。
【0103】
このように、ボトム部11cからトップ部11aに向かって(すなわちX方向において)、レセプタクル搭載基板8、電源BAT、及びMCU搭載基板7をこの順で並べて配置することで、電源BATとMCU搭載基板7との間にレセプタクル搭載基板8を配置した場合に比べて、電源BATに近い位置にMCU搭載基板7を配置できる。そして、電源BATに近い位置にMCU搭載基板7を配置することで、MCU搭載基板7において電源BATと接続される電子部品(例えばバッテリコネクタCn3)と電源BATとの間の配線距離を短くでき、余分な配線を減らして、電源ユニット10の小型化を図れる。併せて、電源ユニット10を製造するためのコストの削減も図れる。
【0104】
また、電源BATと接続される電子部品と電源BATとの間の配線距離が短ければ、この配線距離が長い場合に比べて、この配線を電流が流れることにより発生するノイズの影響を受ける電子部品を少なくできる。したがって、この配線を流れる電流(例えば、電源BATを充電する充電電流、又は電源BATからの放電電流)の電流値が大きくなったとしても、この電流に起因して発生するノイズが電源ユニット10の電子部品に与える影響を低減でき、電源ユニット10の動作の安定化を図れる。
【0105】
また、MCU搭載基板7やバッテリパックBP等を保持するシャーシ12は、合成樹脂(例えばプラスチック)等の絶縁材料によって形成されている。そして、シャーシ12は、X方向において、MCU搭載基板7を保持する部分とバッテリパックBPを保持する部分との間に、これらを区画する壁部12aを備える。この壁部12aは、MCU搭載基板7と、バッテリパックBPの電源BATとを絶縁するスペーサとして機能し得る。
【0106】
このように、MCU搭載基板7とバッテリパックBPとの間に絶縁性のスペーサとして機能する壁部12aを設けることで、MCU搭載基板7と電源BATとが物理的に接触することによって短絡が発生するのを回避できる。なお、本実施形態では、MCU搭載基板7と電源BATとを絶縁するスペーサをシャーシ12の壁部12aにより構成したが、これに限らず、例えばシャーシ12とは別体に設けてもよい。
【0107】
また、ケース11には、充電端子42へのアクセスを許容する前述した充電用開口43、操作部14を外部に露出させる操作用開口、及び放電端子41をトップ部11aから外部に露出させる一対の放電用開口が設けられている。
【0108】
(MCU搭載基板)
MCU搭載基板7には、電源ユニット10の回路構成(図6等を参照)で説明した複数の電子部品が実装されている。MCU搭載基板7は、複数の層が積層されて構成された多層基板であって、略矩形形状を有する。MCU搭載基板7は、長手方向がケース11の中心線Lの延伸方向(すなわちX方向)に沿うように、且つ、一方側の素子実装面が操作部14に対向するように配置される。
【0109】
以下の説明では、X方向を長手方向Xと称することがあり、X方向において、トップ部11a側をX1方向、ボトム部11c側をX2方向と称する。また、MCU搭載基板7上において、長手方向Xに直交する方向を短手方向Yと称し、短手方向Yにおいて、一方側(図7の左方であって、図8、9の上方且つ図10、11の下方)をY1方向、他方側(図7の右方であって、図8、9の下方且つ図10、11の上方)をY2方向と称する。長手方向XはMCU搭載基板7の長さ方向ということもでき、短手方向YはMCU搭載基板7の幅方向ということもできる。MCU搭載基板7の中心線は、電源ユニット10(ケース11)のX方向に延びる中心線Lと一致する。なお、MCU搭載基板7の中心線は、MCU搭載基板7を長手方向Xに直交する面で切断した際のMCU搭載基板7の幅方向(短手方向)及び厚さ方向の中心点を長手方向Xに連続してつなげた線である。
【0110】
MCU搭載基板7は、図7に示すように、MCU搭載基板7の大部分を占める矩形部81と、矩形部81からX1方向に突出した突出部82と、から構成される。突出部82は、短手方向Yの両端部が切り欠かれており、突出部82のX1方向の端部がケース11のトップ部11aに対向し、突出部82が設けられていない矩形部81のX1方向の端部がケース11の低床部11bに対向する。
【0111】
MCU搭載基板7の操作部14側の面を主面7a、反対側の面(すなわち裏面)を副面7bとすると、MCU搭載基板7は、主面7a及び副面7bの両方に電子部品が実装される両面実装基板である。
【0112】
主面7aの主面側表面層71a(以下、単に主面7aと称する)には、図8に示すように、バッテリコネクタCn3、MCU50、操作スイッチOPS、LED_L1、LED_L2、DC/DCコンバータ63、リアクトルRc2、コンデンサCd61、コンデンサCd62、コンデンサCd63、スイッチSw4、コンデンサCd7、バリスタVR4、正極側放電端子41a等が実装される。
【0113】
より具体的に説明すると、主面7aの略中央には、操作部14と対向するように、ボタン式の操作スイッチOPSが実装される。これにより、ユーザは、ケース11の操作部14を介して操作スイッチOPSを押し下げることができる。また、操作スイッチOPSの近傍には、短手方向Yにおいて操作スイッチOPSを挟むようにLED_L1、LED_L2が実装される。これにより、ユーザは、LED_L1及びLED_L2から出射された光を、操作部14の周囲に設けられたLED窓13を介して視認することができる。
【0114】
また、主面7aのX2方向の端部には、バッテリコネクタCn3が実装される。バッテリコネクタCn3には、電源BATを含むバッテリパックBPから延びるバッテリ接続ケーブルCb2がY2方向側から接続される(図7も参照)。
【0115】
ここで、バッテリコネクタCn3が実装されるX2方向の端部は、電源BATに近い位置である。このように、電源BATに近い位置にバッテリコネクタCn3を配置することで、バッテリ接続ケーブルCb2を短く構成することが可能となり、電源ユニット10の小型化を図れる。併せて、電源ユニット10を製造するためのコストの削減も図れる。また、バッテリ接続ケーブルCb2を短くすることで、電源BATを充電する充電電流あるいは電源BATからの放電電流等のバッテリ接続ケーブルCb2を流れる電流の電流値が大きくなったとしても、この電流に起因して発生するノイズが電源ユニット10の電子部品に与える影響を低減でき、電源ユニット10の動作の安定化も図れる。
【0116】
ところで、前述したように、長手方向Xにおいて、MCU搭載基板7とバッテリパックBP(すなわち電源BAT)との間には、これらを絶縁するスペーサである壁部12aが設けられている。このため、本実施形態では、バッテリコネクタCn3をY2方向に向けた状態でMCU搭載基板7に実装するとともに、バッテリ接続ケーブルCb2をY2方向側からバッテリコネクタCn3に接続している。これにより、バッテリ接続ケーブルCb2及び/又は壁部12aを複雑な形状とすることなく、これらが物理的に干渉するのを回避することが可能となる。
【0117】
なお、本実施形態では、バッテリコネクタCn3をY2方向に向けた状態でMCU搭載基板7に実装するとともに、バッテリ接続ケーブルCb2をY2方向側からバッテリコネクタCn3に接続するようにしたが、これに限らない。バッテリコネクタCn3をY1方向に向けた状態でMCU搭載基板7に実装するとともに、バッテリ接続ケーブルCb2をY1方向側からバッテリコネクタCn3に接続するようにしてもよい。
【0118】
また、図8において、符号55で示す破線は、主面7aの裏面である副面7bに実装される充電IC55の実装位置をあらわしている。すなわち、バッテリコネクタCn3及び充電IC55は、バッテリコネクタCn3の少なくとも一部が、MCU搭載基板7と直交する方向において充電IC55と重なるように、それぞれMCU搭載基板7の異なる面に実装されている。ここで、MCU搭載基板7と直交する方向とは、長手方向X及び短手方向Yと直交する方向を指すものとする。
【0119】
バッテリコネクタCn3及び充電IC55は物理的なサイズが大きく、MCU搭載基板7上で大きな面積を占有しやすい。そこで、バッテリコネクタCn3及び充電IC55をMCU搭載基板7の異なる面にそれぞれ実装することで、主面7a及び副面7bの両面を有効活用してバッテリコネクタCn3及び充電IC55を実装することが可能となる。これにより、MCU搭載基板7が大型化するのを回避しながら、バッテリコネクタCn3及び充電IC55をMCU搭載基板7に実装できる。
【0120】
そして、バッテリコネクタCn3の少なくとも一部が、MCU搭載基板7の主面7aと直交する方向において充電IC55と重なるようにすることで、バッテリコネクタCn3と充電IC55との間の配線距離を短くできる。これにより、余分な配線(例えばMCU搭載基板7に形成される導電パターン)を減らして、MCU搭載基板7の小型化を図れる。併せて、MCU搭載基板7を製造するためのコストの削減も図れる。また、バッテリコネクタCn3と充電IC55との間の配線距離が短ければ、この配線(例えばVBATラインLn2)を流れる電流の電流値が大きくなったとしても、この電流に起因して発生するノイズがMCU搭載基板7における他の電子部品に与える影響を低減でき、電源ユニット10の動作の安定化を図れる。バッテリコネクタCn3と充電IC55との間の配線を流れる電流は、例えば、電源BATを充電する充電電流(以下、単に充電電流とも称する)や、電源BATからの放電電流(以下、単に放電電流とも称する)である。
【0121】
また、主面7aのX1方向の端部である突出部82には、正極側放電端子41aが実装される。正極側放電端子41aには、第1カートリッジ20に設けられたヒータ21が接続される。正極側放電端子41aが実装されるX1方向の端部は、第1カートリッジ20に近い位置である。このように、第1カートリッジ20に近い位置に正極側放電端子41aを配置することで、正極側放電端子41aとヒータ21とを容易且つ効率的に接続することが可能となる。
【0122】
また、正極側放電端子41aは、突出部82において中心線Lを挟んでY2方向側に配置される。一方、突出部82において中心線Lを挟んでY1方向側には、スイッチSw4が配置される。
【0123】
また、主面7aには、X方向において、操作スイッチOPSとスイッチSw4との間に、DC/DCコンバータ63、リアクトルRc2、コンデンサCd61、コンデンサCd62、コンデンサCd63、コンデンサCd7等が実装されている。
【0124】
DC/DCコンバータ63、コンデンサCd61、コンデンサCd62、及びコンデンサCd63は、図8に示すように、MCU搭載基板7と直交する方向から見て(以下、MCU搭載基板7の平面視ともいう)、略L字状に配置されている。
【0125】
より具体的に説明すると、コンデンサCd61は、短手方向Y(すなわちMCU搭載基板7の幅方向)において、DC/DCコンバータ63及びコンデンサCd62と一列に並ぶ一方で、コンデンサCd63とは一列に並ばない。ここで、短手方向Yにおいて一列に並ぶとは、短手方向Yから見て、それぞれの少なくとも一部が重なることをいう。
【0126】
また、コンデンサCd63は、長手方向X(すなわちMCU搭載基板7の長さ方向)において、DC/DCコンバータ63と一列に並ぶ一方で、コンデンサCd61及びコンデンサCd62とは一列に並ばない。ここで、長手方向Xにおいて一列に並ぶとは、長手方向Xから見て、それぞれの少なくとも一部が重なることをいう。
【0127】
すなわち、コンデンサCd61及びコンデンサCd63は、図8に示すように、MCU搭載基板7の長さ方向である長手方向X、及びMCU搭載基板7の幅方向である短手方向Yにおいて一列に並ばない。同様に、コンデンサCd62及びコンデンサCd63は、長手方向X及び短手方向Yにおいて一列に並ばない。
【0128】
仮に、コンデンサCd61又はコンデンサCd62と、コンデンサCd63とを、長手方向X又は短手方向Yにおいて一列に並べてMCU搭載基板7に実装すると、これらを並べるスペースを確保するために、MCU搭載基板7の長手方向Xにおける大きさ(すなわち長さ方向における大きさ。以下、長さ寸法とも称する)、又は短手方向Yにおける大きさ(すなわち幅方向における大きさ。以下、幅寸法とも称する)が大きくなるおそれがある。
【0129】
そこで、本実施形態では、コンデンサCd61又はコンデンサCd62と、コンデンサCd63とを、長手方向X及び短手方向Yにおいて一列に並ばないようにMCU搭載基板7に実装することで、これらを一列に並べるようにした場合に比べて、MCU搭載基板7の長さ寸法及び幅寸法が大きくなるのを回避している。これにより、MCU搭載基板7を小型化でき、MCU搭載基板7を製造するためのコストの削減を図れる。また、MCU搭載基板7を小型化することで、電源ユニット10自体を小型化することも可能となる。これにより、エアロゾル吸引器1の可搬性を向上させて、ユーザの利便性の向上を図れる。
【0130】
また、本実施形態では、長手方向XにおいてDC/DCコンバータ63と一列に並ぶようにMCU搭載基板7に実装されるコンデンサの数は、1つ(コンデンサCd63のみ)であり、短手方向YにおいてDC/DCコンバータ63と一列に並ぶようにMCU搭載基板7に実装されるコンデンサの数(コンデンサCd61及びコンデンサCd62の2つ)よりも少なくなっている。このように、長手方向XにおいてDC/DCコンバータ63と一列に並ぶようにMCU搭載基板7に実装されるコンデンサの数を、短手方向YにおいてDC/DCコンバータ63と一列に並ぶようにMCU搭載基板7に実装されるコンデンサの数よりも少なくすることで、MCU搭載基板7の長さ寸法が大きくなるのを回避でき、MCU搭載基板7の小型化を図れる。
【0131】
ところで、前述したように、コンデンサCd63の静電容量は、コンデンサCd61の静電容量よりも大きいものとなっている。このように、静電容量が大きく物理的なサイズも大きくなりがちなコンデンサCd63を長手方向XにおいてDC/DCコンバータ63と並べることで、これらを短手方向Yに並べるようにした場合に比べて、MCU搭載基板7の幅寸法が大きくなるのを回避できる。したがって、MCU搭載基板7の小型化を図れる。
【0132】
さらに、前述したように、コンデンサCd62の静電容量も、コンデンサCd61の静電容量よりも大きいものとなっている。このように、静電容量が大きく物理的なサイズも大きくなりがちなコンデンサCd62を短手方向YにおいてDC/DCコンバータ63と並べることで、コンデンサCd62及びコンデンサCd63が短手方向Yに並ぶことを回避できる。これにより、コンデンサCd62及びコンデンサCd63を短手方向Yに並べるようにした場合に比べて、MCU搭載基板7の幅寸法が大きくなるのを回避できる。したがって、MCU搭載基板7の小型化を図れる。
【0133】
また、DC/DCコンバータ63、コンデンサCd61、及びコンデンサCd62は、短手方向Yにおいてこの順で一列に並ぶ。すなわち、MCU搭載基板7において、DC/DCコンバータ63の周辺には、多数のビア等が設けられる傾向がある。このため、コンデンサCd62といったサイズが大きい大容量のコンデンサを、MCU搭載基板7において、DC/DCコンバータ63に近接して実装するのは難しい。一方、コンデンサCd61といったサイズの小さいコンデンサであれば、MCU搭載基板7において、DC/DCコンバータ63に近接して実装しやすい。したがって、DC/DCコンバータ63、コンデンサCd61、及びコンデンサCd62を、短手方向Yにおいてこの順で並べることにより、これらを高密度でMCU搭載基板7に実装することを可能にし、MCU搭載基板7の基板面積を有効活用して、MCU搭載基板7の小型化を図れる。
【0134】
また、コンデンサCd63は、MCU搭載基板7の平面視で、長辺と短辺からなる長方形形状を有する。そして、コンデンサCd63は、その短辺が長手方向Xに対して平行となるように、MCU搭載基板7に実装されている。換言すると、コンデンサCd63は、コンデンサCd63の短手方向がMCU搭載基板7の長手方向Xと一致するように、MCU搭載基板7に実装されている。これにより、コンデンサCd63をDC/DCコンバータ63と長手方向Xに並べても、MCU搭載基板7の長さ寸法が増加するのを抑制できる。したがって、MCU搭載基板7の小型化を図れる。
【0135】
また、コンデンサCd62は、MCU搭載基板7の平面視で、長辺と短辺からなる長方形形状を有する。そして、コンデンサCd62は、その長辺が長手方向Xに対して平行となるように、MCU搭載基板7に実装されている。換言すると、コンデンサCd62は、コンデンサCd62の短手方向がMCU搭載基板7の短手方向Yと一致するように、MCU搭載基板7に実装されている。これにより、コンデンサCd62をDC/DCコンバータ63と短手方向Yに並べても、MCU搭載基板7の幅寸法が増加するのを抑制できる。したがって、MCU搭載基板7の小型化を図れる。
【0136】
副面7bの副面側表面層71b(以下、単に副面7bと称する)には、図10に示すように、充電IC55、リアクトルRc1、保護IC61、MCU搭載基板側コネクタCn2、吸引センサ15、負極側放電端子41b等が実装される。
【0137】
より具体的に説明すると、副面7bの略中央には、MCU搭載基板側コネクタCn2が実装される。MCU搭載基板側コネクタCn2の実装位置について詳述すると、図10中の符号O1は、MCU搭載基板7と直交する方向から見たMCU搭載基板7の中心をあらわしている。ここで、MCU搭載基板7の中心O1は、ケース11の中心線Lと一致するMCU搭載基板7の中心線上で、且つ長手方向XにおけるMCU搭載基板7の中央となる点である。
【0138】
また、図10中の符号O2は、MCU搭載基板7と直交する方向から見たMCU搭載基板側コネクタCn2の中心をあらわしている。ここで、MCU搭載基板側コネクタCn2は、MCU搭載基板7の平面視で、2辺が長手方向Xに平行で且つ他の2辺が短手方向Yに平行な略矩形形状を有する。このため、MCU搭載基板側コネクタCn2の中心O2は、長手方向XにおけるMCU搭載基板側コネクタCn2の中央で、且つ短手方向YにおけるMCU搭載基板側コネクタCn2の中央となる点となる。
【0139】
そして、本実施形態では、MCU搭載基板側コネクタCn2に最も近いMCU搭載基板7の縁とMCU搭載基板側コネクタCn2の中心O2との間の最短距離d1が、MCU搭載基板7の中心O1とMCU搭載基板側コネクタCn2の中心O2との間の最短距離d2よりも長くなるように、MCU搭載基板側コネクタCn2をMCU搭載基板7の副面7bに実装している。
【0140】
このように、MCU搭載基板側コネクタCn2に最も近いMCU搭載基板7の縁とMCU搭載基板側コネクタCn2との間の最短距離d1が、MCU搭載基板7の中心とMCU搭載基板側コネクタCn2との間の最短距離d2よりも長くなるように、MCU搭載基板側コネクタCn2をMCU搭載基板7に実装することで、MCU搭載基板7(ここでは副面7b)の略中央にMCU搭載基板側コネクタCn2を実装できる。
【0141】
そして、MCU搭載基板7の略中央にMCU搭載基板側コネクタCn2を実装することで、MCU搭載基板7の端部にMCU搭載基板側コネクタCn2を実装した場合に比べて、MCU搭載基板側コネクタCn2とMCU搭載基板7に実装される他の電子部品との間の配線距離を短くすることが可能となる。これは、MCU搭載基板側コネクタCn2の周囲且つ近傍に多くの電子部品を実装しやすくなるためである。これにより、MCU搭載基板側コネクタCn2とMCU搭載基板7に実装される他の電子部品とを接続するための配線としてMCU搭載基板7に形成される導電パターンを短くできる。したがって、余分な導電パターンを減らして、MCU搭載基板7の小型化を図れる。併せて、MCU搭載基板7を製造するためのコストの削減も図れる。
【0142】
また、MCU搭載基板側コネクタCn2には、充電端子42等を実装したレセプタクル搭載基板8から延びる基板接続ケーブルCb1が接続される。より具体的に説明すると、本実施形態では、MCU搭載基板側コネクタCn2をY1方向に向けた状態でMCU搭載基板7に実装するとともに、基板接続ケーブルCb1をY1方向側からMCU搭載基板側コネクタCn2に接続している。
【0143】
このように、基板接続ケーブルCb1をMCU搭載基板7の短手方向YからMCU搭載基板側コネクタCn2に接続することで、MCU搭載基板7の略中央にMCU搭載基板側コネクタCn2を実装しても、MCU搭載基板7に実装される他の電子部品と基板接続ケーブルCb1とが物理的に干渉しにくくすることができる。したがって、MCU搭載基板7に実装される他の電子部品の耐久性を向上させたり、MCU搭載基板7における各電子部品のレイアウトの自由度を向上させたりすることが可能となる。
【0144】
一方、仮に、MCU搭載基板7の略中央にMCU搭載基板側コネクタCn2を実装して、基板接続ケーブルCb1をMCU搭載基板7の長手方向XからMCU搭載基板側コネクタCn2に接続するようにすると、長手方向XにおいてMCU搭載基板側コネクタCn2と一列に並ぶ電子部品には、基板接続ケーブルCb1との物理的な干渉を回避する観点から、背の高い電子部品を用いることができない等の制約が生じ得る。
【0145】
なお、本実施形態では、MCU搭載基板側コネクタCn2をY1方向に向けた状態でMCU搭載基板7に実装するとともに、基板接続ケーブルCb1をY1方向側からMCU搭載基板側コネクタCn2に接続するようにしたが、これに限らない。MCU搭載基板側コネクタCn2をY2方向に向けた状態でMCU搭載基板7に実装するとともに、基板接続ケーブルCb1をY2方向側からMCU搭載基板側コネクタCn2に接続するようにしてもよい。
【0146】
また、副面7bには、MCU搭載基板側コネクタCn2のX2方向側に充電IC55が実装される。これにより、主面7aのX2方向の端部に実装されるバッテリコネクタCn3に近い位置に充電IC55を配置できる。そして、前述したように、バッテリコネクタCn3の少なくとも一部が、MCU搭載基板7の主面7aと直交する方向において充電IC55と重なるようにすることが可能となる。
【0147】
さらに、副面7bには、長手方向Xにおいて充電IC55とMCU搭載基板側コネクタCn2との間であって、短手方向YにおけるY1方向寄りにはリアクトルRc1が実装され、Y2方向寄りには保護IC61が実装される。
【0148】
また、副面7bには、MCU搭載基板側コネクタCn2のX1方向側に吸引センサ15が実装される。これにより、電源ユニット10では、X2方向からX1方向に向かって、MCU搭載基板7に対しX2方向側に配置されるレセプタクル搭載基板8(図7参照)、MCU搭載基板側コネクタCn2、及び吸引センサ15がこの順で並ぶ。換言すると、吸引センサ15は、長手方向Xにおいて、MCU搭載基板7に対しX2方向側に配置されるレセプタクル搭載基板8と、MCU搭載基板側コネクタCn2との間に配置されていない。
【0149】
ここで、吸引センサ15は、副面7b(副面側表面層71b)からの高さがMCU搭載基板側コネクタCn2よりも高い電子部品となっている。内部に設けられたダイアフラムの振動等により吸引を検知するという構造上、吸引センサ15は大型化しやすいためである。仮に、このような吸引センサ15を、MCU搭載基板7においてMCU搭載基板側コネクタCn2のX2方向側(すなわちレセプタクル搭載基板8とMCU搭載基板側コネクタCn2との間)に配置すると、MCU搭載基板側コネクタCn2に接続される基板接続ケーブルCb1と吸引センサ15とが物理的に干渉しやすくなる。そして、この干渉を回避するために、基板接続ケーブルCb1を複雑な形状とせざるを得なくなったりする。
【0150】
そこで、本実施形態では、吸引センサ15を、MCU搭載基板7においてMCU搭載基板側コネクタCn2のX1方向側(すなわちレセプタクル搭載基板8の反対側)に配置した。これにより、基板接続ケーブルCb1を複雑な形状とすることなく、基板接続ケーブルCb1と吸引センサ15とが物理的に干渉するのを容易に回避することが可能となる。したがって、基板接続ケーブルCb1が複雑な形状となることによる電源ユニット10の製造コストの増加を抑制できる。
【0151】
また、本実施形態では、リアクトルRc2及び操作スイッチOPSが、吸引センサ15と同様にMCU搭載基板側コネクタCn2よりも背の高い電子部品(すなわちMCU搭載基板7における実装面からの高さが高い電子部品)となっている。そこで、本実施形態では、前述したように、リアクトルRc2及び操作スイッチOPSについては主面7aに実装することで、基板接続ケーブルCb1を複雑な形状とすることなく、これらの電子部品と基板接続ケーブルCb1とが物理的に干渉しにくくなるようにしている。
【0152】
また、本実施形態では、前述したように、バッテリコネクタCn3は主面7a、MCU搭載基板側コネクタCn2は副面7bといったように、これらのコネクタをMCU搭載基板7の異なる面にそれぞれ実装している。バッテリコネクタCn3及びMCU搭載基板側コネクタCn2は物理的なサイズが大きく、MCU搭載基板7上で大きな面積を占有しやすい。そこで、バッテリコネクタCn3及びMCU搭載基板側コネクタCn2をMCU搭載基板7の異なる面にそれぞれ実装することで、主面7a及び副面7bの両面を有効活用してバッテリコネクタCn3及びMCU搭載基板側コネクタCn2を実装することが可能となる。これにより、MCU搭載基板7が大型化するのを回避しながら、バッテリコネクタCn3及びMCU搭載基板側コネクタCn2をMCU搭載基板7に実装できる。
【0153】
また、図10において、符号50で示す破線は、副面7bの裏面である主面7aに実装されるMCU50の実装位置をあらわしている。すなわち、MCU搭載基板側コネクタCn2及びMCU50は、MCU搭載基板側コネクタCn2の少なくとも一部が、MCU搭載基板7の主面7aと直交する方向においてMCU50と重なるように、それぞれMCU搭載基板7の異なる面に実装されている。
【0154】
一般的に、MCU搭載基板7において、MCU搭載基板側コネクタCn2等のコネクタが実装される箇所には、他の箇所に比べて、設けられる導電パターンやビア等が少ない傾向がある。このため、MCU搭載基板7において、MCU搭載基板側コネクタCn2等のコネクタが実装される箇所の裏側には、他の電子部品に必要な導電パターンやビア等を設けやすい。したがって、MCU搭載基板7と直交する方向において、MCU搭載基板側コネクタCn2と重なる位置に、MCU50等の導電パターンやビアを多用するICを実装することで、MCU搭載基板7の基板面積を有効活用して、MCU搭載基板7の小型化を図れる。
【0155】
なお、本実施形態では、MCU搭載基板7と直交する方向において、MCU搭載基板側コネクタCn2と重なる電子部品をMCU50としたが、これに限らず、任意の電子部品としてもよい。ただし、前述したように、MCU搭載基板7の基板面積を有効活用する観点から、導電パターンやビア等を多用するICであることが望ましい。
【0156】
また、図10において、符号Cn3で示す破線は、副面7bの裏面である主面7aに実装されるバッテリコネクタCn3の実装位置をあらわしている。すなわち、バッテリコネクタCn3は、MCU搭載基板側コネクタCn2よりもX2方向側に実装されている。このため、電源ユニット10では、X2方向側からX1方向側に向かって(すなわち長手方向Xにおいて)、レセプタクル搭載基板8、電源BATを含むバッテリパックBP、バッテリコネクタCn3、及びMCU搭載基板側コネクタCn2がこの順で並ぶ。これにより、電源BATに近い位置にバッテリコネクタCn3が配置され、バッテリ接続ケーブルCb2を短く構成することができるので、電源ユニット10の小型化を図れる。併せて、電源ユニット10を製造するためのコストの削減も図れ、さらには、バッテリ接続ケーブルCb2を流れる電流に起因して発生するノイズが電源ユニット10の電子部品に与える影響を低減して電源ユニット10の動作の安定化も図れる。
【0157】
また、副面7bのX1方向の端部である突出部82には、負極側放電端子41bが実装される。負極側放電端子41bには、第1カートリッジ20に設けられたヒータ21が接続される。負極側放電端子41bが実装されるX1方向の端部は、第1カートリッジ20に近い位置である。このように、第1カートリッジ20に近い位置に負極側放電端子41bを配置することで、負極側放電端子41bとヒータ21とを容易且つ効率的に接続することが可能となる。
【0158】
また、負極側放電端子41bは、突出部82において中心線Lを挟んでY1方向側に配置される。このように、MCU搭載基板7の主面7aには正極側放電端子41aが実装され、副面7bには負極側放電端子41bが実装されている。ここで、正極側放電端子41a及び負極側放電端子41bは、プローブを有する。そして、図12に示すように、ケース11の中心線Lの延伸方向(X方向)から見て、正極側放電端子41aのプローブの中心Paと負極側放電端子41bのプローブの中心Pbを結ぶ仮想線Pは、中心線Lを通るように配置され、さらに正極側放電端子41aのプローブの中心Paと負極側放電端子41bのプローブの中心Pbは、中心線Lを通る円Q上に配置されている。
【0159】
また、MCU搭載基板7は、図13に示すように、ベース層70から主面側表面層71aに向かって、第1配線層72a、主面側絶縁層73a、第2配線層74aがこの順に設けられ、さらにベース層70から副面側表面層71bに向かって、第3配線層72b、副面側絶縁層73b、第4配線層74bがこの順に設けられている。なお、MCU搭載基板7は、これに限らず、種々の構成を採用することができる。例えば、第2配線層74a及び/又は第4配線層74bが複数設けられていてもよく、第1配線層72a及び第3配線層のうちいずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0160】
(MCU搭載基板の導電パターン)
第2配線層74a及び第4配線層74bには、銅箔等から形成される導電パターンが設けられている。また、第1配線層72a及び第3配線層72bにも、第2配線層74a及び第4配線層74bと同様に、銅箔等から形成される導電パターンが設けられていてもよい。以下の説明において、MCU搭載基板7の電源ライン及び信号ラインを構成する導電パターンを配線パターン77と称し、グランドラインを構成する導電パターンをグランドパターン78と称する。また、本明細書等では、配線パターン77のうち、VBUSラインLn1を構成するものを配線パターン77_Ln1、VBATラインLn2を構成するものを配線パターン77_Ln2、D+ラインLn3aを構成するものを配線パターン77_Ln3a、D-ラインLn3bを構成するものを配線パターン77_Ln3b、パワーパスラインLn4を構成するものを配線パターン77_Ln4、VSYSラインLn5を構成するものを配線パターン77_Ln5、VHEATラインLn6を構成するものを配線パターン77_Ln6、とそれぞれ表記する場合がある。
【0161】
図9及び図11に示すように、グランドパターン78は、配線パターン77を囲うように設けられている。なお、図9は、MCU搭載基板7の第2配線層74aを示す図であり、図11はMCU搭載基板7の第4配線層74bを示す図である。図9及び図11において、斜線のハッチングで示した部分が配線パターン77であり、ドットのハッチングで示した部分がグランドパターン78である。図9及び図11では、MCU搭載基板7に設けられた配線パターン77のうち一部の配線パターン77のみを示している点に留意されたい。
【0162】
図11において、符号55で示す破線は、副面7b(副面側表面層71b上)に実装される充電IC55をあらわしている。充電IC55は、VBATラインLn2を構成するものを配線パターン77_Ln2のうちの、図11中符号P1で示す箇所にBAT_1ピン及びBAT_2ピンが来るように、且つ、図11中符号P2で示す箇所にBAT_SNSピンが来るように、MCU搭載基板7に実装される。ここで、符号P2で示す箇所は、符号P1で示す箇所よりも、MCU搭載基板7におけるX2方向側の端部の近い箇所である。
【0163】
すなわち、電源BATの出力電圧等を検出する検出端子としてのBAT_SNSピンは、充電IC55と電源BATとの間の電力授受に用いられる入出力端子であるBAT_1ピン及びBAT_2ピンよりも、MCU搭載基板7におけるX2方向側の端部の近くに配置される。これにより、電源BATに近い位置にBAT_SNSピンを配置でき、電源BATとBAT_SNSピンとの間の配線距離を短くできる。したがって、BAT_SNSピンへの入力に含まれる導線抵抗等の影響を低減し、充電IC55が、BAT_SNSピンへの入力に基づき電源BATの出力電圧を精度よく検出することが可能となる。充電IC55が電源BATの出力電圧を精度よく検出できると、充電IC55による電源BATの充電の精度や速度が向上する。
【0164】
また、図11において、符号Cn2で示す破線は、副面7b(副面側表面層71b上)に実装されるMCU搭載基板側コネクタCn2をあらわしている。図11に示すように、MCU搭載基板7の副面7bにおいて、MCU搭載基板側コネクタCn2と重なる箇所には配線パターン77が形成される。すなわち、前述したように、MCU搭載基板側コネクタCn2等のコネクタが実装される箇所には、他の箇所に比べて、設けられる導電パターンやビアが少ない傾向がある。したがって、MCU搭載基板7においてMCU搭載基板側コネクタCn2と重なる箇所に、MCU搭載基板7に実装される他の電子部品同士を接続する配線パターン77を形成することで、MCU搭載基板7の基板面積を有効活用して、MCU搭載基板7の小型化を図れる。なお、MCU搭載基板側コネクタCn2と重なる箇所に形成される配線パターン77が接続する電子部品の種類等は、特に問わない。
【0165】
また、図13を参照しながらMCU搭載基板7に設けられるビアの一例について補足説明すると、図13において、ビアV1は、第2配線層74aから第4配線層74bまで貫通する導電体から構成され、第1配線層72a、第2配線層74a、第3配線層72b、及び第4配線層74bのそれぞれに形成される導電パターンのうちビアV1と電気的に接続される導電パターンを同電位とする。例えば、第2配線層74aに形成された所定の配線パターン77と、第4配線層74bに形成された所定の配線パターン77とは、ビアV1を介して互いに電気的に接続される。同様に、図13において、ビアV2は、第2配線層74aから第1配線層72aまで貫通する導電体から構成され、第1配線層72a及び第2配線層74aのそれぞれに形成される導電パターンのうちビアV2と電気的に接続される導電パターンを同電位とする。また、ビアV3は、第3配線層72bから第4配線層74bまで貫通する導電体から構成され、第3配線層72b及び第4配線層74bのそれぞれに形成される導電パターンのうちビアV3と電気的に接続される導電パターンを同電位とする。例えば、第2配線層74aに形成されたグランドパターン78と第1配線層72aに形成された一部の導電パターンとはビアV2を介して互いに電気的に接続され、第4配線層74bに形成されたグランドパターン78と第3配線層72bに形成された一部の導電パターンとはビアV3を介して互いに電気的に接続される。また、ビアV4は、第1配線層72aから第3配線層72bまで貫通する導電体から構成され、第1配線層72a及び第3配線層72bのそれぞれに形成される導電パターンのうちビアV4と電気的に接続される導電パターンを同電位とする。例えば、第1配線層72aに形成された一部の導電パターンと第3配線層72bに形成された一部の導電パターンとはビアV4を介して互いに電気的に接続される。これらにより、第1配線層72aの一部の導電パターン及び第3配線層72bの一部の導電パターンと、これらに接続される第2配線層74aのグランドパターン78及び第4配線層74bのグランドパターン78を、共通の基準電位を有するグランドラインとすることができる。
【0166】
また、第2配線層74aの配線パターン77及び第4配線層74bの配線パターン77はビアV1を介して互いに電気的に接続され得る。これにより、主面7a(主面側表面層71a)に実装される電子部品と、副面7b(副面側表面層71b上)に実装される電子部品とを電気的に接続することができる。
【0167】
なお、主面側表面層71a及び副面側表面層71bは、例えばレジスト膜から構成され、第2配線層74a及び第4配線層74bを覆い、配線パターン77同士が短絡しないように、且つ、配線パターン77とグランドパターン78が短絡しないように保護する。ベース層70、主面側絶縁層73a、及び副面側絶縁層73bは、例えばガラスやエポキシ樹脂を含む絶縁物から構成され、上下の層の短絡を防止しつつ接着する。
【0168】
(VHEATラインLn6を構成する導電パターン)
続いて、VHEATラインLn6を構成する導電パターンである配線パターン77_Ln6及び配線パターン77_Ln6に接続される電子部品について、図14図16を参照しながら補足説明する。なお、図14は、図9に示したMCU搭載基板7の第2配線層74aのうちのX1方向側の端部の周辺を拡大して示した図である。また、図15は、図14に示した配線パターン77_Ln6a(後述)を拡大して示した図であり、図16は、図14に示した配線パターン77_Ln6b(後述)を拡大して示した図である。
【0169】
図14において、符号を付した各破線は、主面7a(主面側表面層71a)に実装された電子部品のうち当該符号に対応する電子部品をあらわしている。具体的に、図14において、符号63で示す破線はDC/DCコンバータ63を、符号Cd61で示す破線はコンデンサCd61を、符号Cd62で示す破線はコンデンサCd62を、符号Cd63で示す破線はコンデンサCd63を、符号Sw4で示す破線はスイッチSw4を、符号Cd7で示す破線はコンデンサCd7を、符号VR4で示す破線はバリスタVR4を、符号41aで示す破線は正極側放電端子41aを、それぞれあらわしている。
【0170】
図14に示すように、配線パターン77_Ln6は、DC/DCコンバータ63、コンデンサCd61、コンデンサCd62、コンデンサCd63等が接続される配線パターン77_Ln6aと、コンデンサCd7、バリスタVR4、正極側放電端子41a等が接続される配線パターン77_Ln6bと、を含んで構成される。例えば、配線パターン77_Ln6aは、図6に示したVHEATラインLn6のうち、DC/DCコンバータ63のVOUTピンからスイッチSw4までの部分を構成する導電パターンである。また、配線パターン77_Ln6bは、図6に示したVHEATラインLn6のうち、スイッチSw4から正極側放電端子41aまでの部分を構成する導電パターンである。
【0171】
先ず、DC/DCコンバータ63、コンデンサCd61、コンデンサCd62、及びコンデンサCd63が接続される配線パターン77_Ln6aについて説明する。配線パターン77_Ln6aは、図15に示すように、MCU搭載基板7の平面視で、台形形状を有する台形部771を含んで構成される。台形部771は、上底771aと、上底771aよりも長い下底771bと、第1の脚771cと、下底771bとなす角が第1の脚771cよりも小さい第2の脚771dと、を有する。
【0172】
DC/DCコンバータ63のVOUTピン、コンデンサCd61の一端(換言すると一方の端子)、及びコンデンサCd62の一端(換言すると一方の端子)は、それぞれ、配線パターン77_Ln6aにおける下底771b側の所定箇所に接続される。また、DC/DCコンバータ63のGNDピン、コンデンサCd61の他端(換言すると他方の端子)、及びコンデンサCd62の他端(換言すると他方の端子)は、それぞれグランドパターン78に接続される。そして、コンデンサCd63の一端(換言すると一方の端子)は、配線パターン77_Ln6aにおける台形部771の第1の脚771cに対応する箇所に接続され、コンデンサCd63の他端(換言すると他方の端子)は、グランドパターン78に接続される。
【0173】
より具体的に説明すると、配線パターン77_Ln6aは、図15に示すように、MCU搭載基板7の平面視で略矩形形状を有し、且つ、下底771bと第2の脚771dとの接続点p及び下底771bに接続される矩形部772をさらに含んで構成される。そして、DC/DCコンバータ63のVOUTピン、コンデンサCd61の一端、及びコンデンサCd62の一端は、矩形部772のそれぞれと対応する箇所に、それぞれ接続される。また、コンデンサCd62は、MCU搭載基板7の平面視で、第2の脚771dとは重ならないように配置されている。
【0174】
したがって、DC/DCコンバータ63からコンデンサCd62までは、例えば、図15中の符号Iaの矢印で示すように電流を流すことができる。そして、コンデンサCd62からコンデンサCd63までは、例えば、図15中の符号Ibの矢印で示すように電流を流すことができる。このため、DC/DCコンバータ63、コンデンサCd61、コンデンサCd62、及びコンデンサCd63を略L字状に配置しても、DC/DCコンバータ63からコンデンサCd63まで効率よく電流を流すことができる。
【0175】
一方、例えば、図15において一点鎖線で囲んだ部分を切り欠いて、DC/DCコンバータ63、コンデンサCd61、コンデンサCd62、及びコンデンサCd63を接続する導電パターンを、これらの配置に合わせて略L字状に形成したとする。この場合、コンデンサCd62とコンデンサCd63との間において、符号Ibの矢印で示したような最短経路で電流を流せなくなったり、最短経路で電流を流せたとしてもその経路部分に十分な太さを確保できなかったりする。その結果、DC/DCコンバータ63からコンデンサCd63までを接続する導電パターン(の見かけ上)の電気抵抗値が増加して、DC/DCコンバータ63からコンデンサCd63まで効率よく電流を流せなくなるおそれがある。また、略L字状の導電パターンを直角に曲がるように電流が流れるため、ノイズなどが生じるおそれもある。
【0176】
これに対し、本実施形態では、前述したように、配線パターン77_Ln6aが台形部771とその下底771bに接続される矩形部772とを含むように構成し、DC/DCコンバータ63、コンデンサCd61、及びコンデンサCd62を矩形部772にそれぞれ接続し、コンデンサCd63を台形部771に接続することで、DC/DCコンバータ63からコンデンサCd63までを接続する導電パターン(の見かけ上)の電気抵抗値が増加するのを回避でき、DC/DCコンバータ63からコンデンサCd63まで効率よく電流を流すことができる。
【0177】
また、図14において、破線で図示した各円は、ビアをあらわしている。例えば、図14において、符号Cd62で示す破線で囲んだ領域内のビアは、前述したコンデンサCd62の他端と、グランド(例えば第1配線層72aに形成されたグランドパターン78)とを接続するビアである。一方、符号Cd63で示す破線で囲んだ領域内のビアは、前述したコンデンサCd63の他端と、グランド(例えば第1配線層72aに形成されたグランドパターン78)とを接続するビアである。
【0178】
図14に示すように、例えば、ここで、コンデンサCd63の他端をグランドと接続するビアの数(例えば6本)は、コンデンサCd62の他端をグランドと接続するビアの数(例えば13本)よりも少なくなっている。換言すると、コンデンサCd62の他端をグランドと接続するビアの数は、コンデンサCd63の他端をグランドと接続するビアの数よりも多い。
【0179】
一般的に、グランドへ接続されるビアの数が多くなると、コンデンサによる平滑の効果が向上(安定)する。このため、コンデンサCd62の他端を多数のビアを用いてグランドと接続することによって、DC/DCコンバータ63の出力電圧(第4システム電圧Vs4)をコンデンサCd62がより効果的に平滑化できるようになる。したがって、エアロゾルを生成するヒータ21に対して、より安定した電圧を供給することが可能となり、ヒータ21によるエアロゾルの生成を安定化できる。これにより、エアロゾルの生成が不安定になることによるエアロゾル吸引器1の香喫味の悪化を抑制できる。
【0180】
また、図14に示すように、ここで、コンデンサCd63は、コンデンサCd62よりもスイッチSw4に近くなるように、MCU搭載基板7に実装されている。換言すると、コンデンサCd63よりも多数のビアを用いてグランドと接続されるコンデンサCd62は、コンデンサCd63よりもスイッチSw4から遠くなるように、MCU搭載基板7に実装されている。
【0181】
すなわち、コンデンサCd63よりも多数のビアを用いてグランドと接続されるコンデンサCd62は、コンデンサCd63よりも積極的にDC/DCコンバータ63の出力電圧を平滑化させることになるため、発熱しやすい傾向がある。このため、コンデンサCd62を、コンデンサCd63よりもスイッチSw4から遠くなるように配置することで、コンデンサCd62の発熱がスイッチSw4に伝わりにくくでき、スイッチSw4の動作の安定化を図れる。また、コンデンサCd62の発熱がスイッチSw4に伝わりにくくすることで、スイッチSw4の温度上昇を抑制して、スイッチSw4のオン抵抗の増加を抑制できる。これにより、エアロゾルを生成するヒータ21に対する電力供給の効率を高め、ヒータ21による高効率なエアロゾルの生成を可能にする。
【0182】
なお、図14では、MCU搭載基板7に設けられるビアのうち一部のビアのみを示している点に留意されたい。
【0183】
次に、コンデンサCd7、バリスタVR4、及び正極側放電端子41aが接続される配線パターン77_Ln6bについて説明する。配線パターン77_Ln6bは、図16に示すように、第1導電パターン77Aと、第2導電パターン77Bと、を含んで構成される。
【0184】
図14も参照して説明すると、第1導電パターン77Aは、スイッチSw4が実装される箇所から正極側放電端子41aが実装される箇所まで短手方向Yに沿って延びるように形成され、前述した第4システム電圧Vs4を正極側放電端子41aに供給可能に構成されている。第4システム電圧Vs4が電源BATの出力電圧に基づき生成されることを考慮すると、第1導電パターン77Aは、電源BATと正極側放電端子41aとを接続する導電パターン(の少なくとも一部)ということができる。第1導電パターン77Aには、電子部品として、スイッチSw4、バリスタVR4、正極側放電端子41a等が接続される。
【0185】
第2導電パターン77Bは、第1導電パターン77Aから分岐して設けられる。本実施形態では、第2導電パターン77Bは、第1導電パターン77Aにおいて正極側放電端子41aと接続される箇所から分岐して、正極側放電端子41aとは反対側(X2方向側)に、長手方向Xに沿って延びるように形成されている。第2導電パターン77Bには、電子部品として、例えばコンデンサCd7のみが接続される。
【0186】
コンデンサCd7は、正極側放電端子41aを介して電源ユニット10に侵入するノイズ(例えば正極側放電端子41aに発生した静電気。以下、外来ノイズとも称する)からMCU搭載基板7の電子部品を保護する保護部品として機能し得る。具体的に、コンデンサCd7は、一端(換言すると一方の端子)が第2導電パターン77Bに接続され、他端(換言すると他方の端子)がグランドパターン78(すなわちグランド)に接続されるように、MCU搭載基板7に実装されている。
【0187】
このように、本実施形態では、電源BATと正極側放電端子41aとを接続する第1導電パターン77Aから分岐する第2導電パターン77Bを設けて、この第2導電パターン77Bに、外来ノイズからMCU搭載基板7の電子部品を保護する保護部品としてのコンデンサCd7の一端を接続している。これにより、外来ノイズの少なくとも一部を第1導電パターン77Aから第2導電パターン77Bへ逃がすことができるので、第1導電パターン77Aを流れる外来ノイズを低減し、第1導電パターン77Aに接続された電子部品を外来ノイズから保護することが可能となる。
【0188】
また、第1導電パターン77Aには、スイッチSw4及び正極側放電端子41aを含む2つ以上の電子部品(例えばスイッチSw4、バリスタVR4、及び正極側放電端子41aの3つ)が接続されているのに対し、第2導電パターン77Bには、電子部品としてコンデンサCd7のみが接続されている。換言すると、第2導電パターン77Bに接続される電子部品の数は、第1導電パターン77Aに接続される電子部品の数よりも少ない。これにより、第2導電パターン77Bに多数の電子部品が接続されるようにした場合に比べて、外来ノイズの影響を受ける電子部品の数を少なくできる。
【0189】
また、第2導電パターン77Bは、第1導電パターン77Aにおいて正極側放電端子41aと接続される箇所から分岐するように設けられている。これにより、外来ノイズが第1導電パターン77Aの方へ流れにくくなるので、第1導電パターン77Aを流れる外来ノイズを低減し、第1導電パターン77Aに接続された電子部品を外来ノイズから保護することが可能となる。
【0190】
また、第2導電パターン77Bが第1導電パターン77Aから分岐する箇所(以下、単に分岐箇所とも称する)には、図16に示すように面取り部77Cが設けられており、分岐箇所が90°以下の角度を有さない(すなわち鋭角とならない)ようになっている。仮に、分岐箇所に直角又は鋭角となる部分を設けると、その角部分を電流が流れる際にノイズが生じ得る。つまり、このようにした場合、直角又は鋭角となる部分を有する導電パターンと、当該導電パターンを流れる外来ノイズとの相互作用により、外来ノイズとは別のノイズもさらに発生し得る。そこで、本実施形態では、分岐箇所が90°以下の角度を有さないようにすることで、外来ノイズが第2導電パターン77Bへ流れる際に、外来ノイズとは別のノイズが発生するのを抑制している。なお、面取り部77Cに代えて、例えば分岐箇所を円弧状に形成する等して、分岐箇所が90°以下の角度を有さないようにしてもよい。
【0191】
また、第2導電パターン77Bは、第1導電パターン77Aよりも細い導電パターンとなっている。本実施形態では、図16に示すように、第1導電パターン77Aにおける最も細い部分の寸法はw1であり、第2導電パターン77Bにおける最も細い部分の寸法はw2(ただしw2<w1)である。このように、第2導電パターン77Bを第1導電パターン77Aよりも細くすることで、第1導電パターン77Aと同等以上の太さにした場合に比べて、第2導電パターン77Bによって占有されるMCU搭載基板7上の面積を削減できる。これにより、MCU搭載基板7が大型化するのを回避しながら、第1導電パターン77Aを太くすることを可能にする。そして、第1導電パターン77Aを太くすれば、ヒータ21によって生成されるエアロゾルの量を確保するために第1導電パターン77Aに大電流を流したとしても、この大電流により第1導電パターン77Aにおいて生じる熱やノイズを削減することが可能となる。
【0192】
また、コンデンサCd7は、MCU搭載基板7の平面視で、長辺と短辺からなる長方形形状を有する。そして、コンデンサCd7は、その長辺が長手方向Xに対して平行となるように、MCU搭載基板7に実装されている。つまり、コンデンサCd7の長さ方向は、ケース11(すなわち電源ユニット10。ひいてはエアロゾル吸引器1)の延伸方向である長手方向Xと一致する。このように、コンデンサCd7の長さ方向が長手方向Xと一致するようにコンデンサCd7を実装することで、コンデンサCd7の長さ方向が短手方向Yと一致するようにした場合に比べて、MCU搭載基板7ひいては電源ユニット10やエアロゾル吸引器1の幅寸法が大きくなるのを回避しながら、コンデンサCd7を実装することを可能にする。
【0193】
また、第2導電パターン77Bは、X2方向側、すなわち正極側放電端子41aから離れる方向に延びるように形成されている。すなわち、正極側放電端子41a自体が物理的に小さくない電子部品であり、また、正極側放電端子41aの周囲には一般的に多数の部品(例えば絶縁性の部品)が設けられる傾向がある。このため、コンデンサCd7を正極側放電端子41aの近くに実装するのは難しい場合がある。そこで、第2導電パターン77Bを、X2方向側、すなわち正極側放電端子41aから離れる方向に延びるように形成することで、正極側放電端子41aから離れた位置にコンデンサCd7を実装することを可能にし、コンデンサCd7の実装を容易化できる。
【0194】
そして、図14に示すように、第2導電パターン77BのX2方向側の端部にコンデンサCd7を接続することで、正極側放電端子41aからより離れた位置にコンデンサCd7を実装することを可能にし、コンデンサCd7の実装を容易化できる。
【0195】
また、図14に示すように、第1導電パターン77Aには、外来ノイズからMCU搭載基板7の電子部品を保護する保護部品としてのバリスタVR4が接続される。具体的に、バリスタVR4は、一端(換言すると一方の端子)が第1導電パターン77Aに接続され、他端(換言すると他方の端子)がグランドパターン78(すなわちグランド)に接続されるように、MCU搭載基板7に実装されている。これにより、外来ノイズが第1導電パターン77Aに流れても、バリスタVR4によってこの外来ノイズをグランドへ逃がすことができるので、第1導電パターン77Aに接続された他の電子部品を外来ノイズから保護できる。
【0196】
また、バリスタVR4は、MCU搭載基板7の平面視で、長辺と短辺からなる長方形形状を有する。そして、バリスタVR4は、その長辺が長手方向Xに対して平行となるように、MCU搭載基板7に実装されている。つまり、バリスタVR4の長さ方向は、ケース11(すなわち電源ユニット10。ひいてはエアロゾル吸引器1)の延伸方向である長手方向Xと一致する。このように、バリスタVR4の長さ方向が長手方向Xと一致するようにバリスタVR4を実装することで、バリスタVR4の長さ方向が短手方向Yと一致するようにした場合に比べて、MCU搭載基板7ひいては電源ユニット10やエアロゾル吸引器1の幅寸法が大きくなるのを回避しながら、バリスタVR4を実装することを可能にする。
【0197】
また、第1導電パターン77Aに接続されるスイッチSw4、バリスタVR4、及び正極側放電端子41aは、第1導電パターン77A上で一列に並ぶように配置される。本実施形態では、第1導電パターン77Aが、スイッチSw4が実装される箇所から正極側放電端子41aが実装される箇所に向かって、短手方向Yに沿って延びるように形成されている。そして、スイッチSw4、バリスタVR4、及び正極側放電端子41aは、短手方向Y(すなわち第1導電パターン77Aの延伸方向)において一列に並んだ状態で第1導電パターン77A上に配置され、それぞれが第1導電パターン77Aに接続されている。これにより、第1導電パターン77Aをシンプルな形状とすることができる。したがって、スイッチSw4、バリスタVR4、及び正極側放電端子41aを接続するために第1導電パターン77Aが入り組んだ形状を有するような場合に比べて、第1導電パターン77Aを太く形成することが可能となる。そして、第1導電パターン77Aを太く形成することで、第1導電パターン77Aを電流が流れる際に生じる熱やノイズを削減することが可能となる。
【0198】
また、バリスタVR4は、第1導電パターン77A上で、スイッチSw4と正極側放電端子41aとの間に配置されている。これにより、外来ノイズが第1導電パターン77Aに流れても、バリスタVR4によって、この外来ノイズからスイッチSw4を保護できる。したがって、外来ノイズによりスイッチSw4が故障するのを回避でき、スイッチSw4の故障に起因して、意図しないヒータ21への通電が発生するのを回避できる。
【0199】
また、図14に示すように、第1導電パターン77Aと第2導電パターン77Bとの間のスペース(換言すると第1導電パターン77Aと第2導電パターン77Bとに隣接するスペース)には、ビアV10が設けられている。ビアV10は、グランドにつながるビアであり、具体的には、第1配線層72a(及び/又は第3配線層72b)におけるグランドパターン78と、第2配線層74aにおけるグランドパターン78とを接続するビアである。
【0200】
すなわち、外来ノイズをコンデンサCd7あるいはバリスタVR4によってグランドへ流すと、グランドが発熱することがある。そこで、本実施形態では、グランド(例えば第1配線層72aにおけるグランドパターン78)につながるビアV10を第1導電パターン77Aと第2導電パターン77Bとの間に設けて、このビアV10を介して、グランドの熱を、MCU搭載基板7の主面7aに近い第2配線層74aへ放熱できるようにしている。これにより、第1導電パターン77Aと第2導電パターン77Bとの間のスペースを有効活用してMCU搭載基板7が大型化するのを回避しながら、MCU搭載基板7内に熱が溜まることを抑制して、MCU搭載基板7を効率よく冷却できる。
【0201】
以上に説明したように、本実施形態の電源ユニット10によれば、MCU搭載基板7が大型化するのを回避して、MCU搭載基板7の小型化を図れる。そして、MCU搭載基板7を小型化することで、MCU搭載基板7を備える電源ユニット10を小型化でき、エアロゾル吸引器1の可搬性を向上させてユーザの利便性を高めることが可能となる。また、MCU搭載基板7を小型化することで、MCU搭載基板7を製造するためのコストの削減も図れる。
【0202】
以上、図面を参照しながら本発明の各種の実施形態について説明したが、本発明は上記の例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0203】
例えば、前述した実施形態では、電源BATから供給される電力を消費してエアロゾル源からエアロゾルを生成する加熱部をヒータ21とし、電源ユニット10の放電端子41からヒータ21に電力を供給する例を説明したが、これに限らない。例えば、エアロゾルを生成する加熱部を、第1カートリッジ20等に内蔵されるサセプタと、このサセプタへ電磁誘導により送電する誘導加熱用コイルと、によって構成することもできる。サセプタ及び誘導加熱用コイルにより加熱部を構成した場合には、電源ユニット10の放電端子41は、誘導加熱用コイルに接続され、誘導加熱用コイルに電力を供給する。
【0204】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0205】
(1) 電源(電源BAT)と、
前記電源から供給される電力を消費してエアロゾル源からエアロゾルを生成する負荷(ヒータ21)、又は、前記負荷へ電磁誘導により送電するコイルが接続される第1コネクタ(放電端子41)と、
第1回路基板(レセプタクル搭載基板8)と、
第2回路基板(MCU搭載基板7)と、
前記第1回路基板と前記第2回路基板とを接続する第1ケーブル(基板接続ケーブルCb1)と、
前記第2回路基板に実装され、且つ前記第1ケーブルが接続される第2コネクタ(MCU搭載基板側コネクタCn2)と、
を備え、
前記第2コネクタに最も近い前記第2回路基板の縁と前記第2コネクタとの間の最短距離は、前記第2回路基板の中心と前記第2コネクタとの間の最短距離よりも長い、
エアロゾル生成装置(エアロゾル吸引器1)の電源ユニット(電源ユニット10)。
【0206】
(1)によれば、第2回路基板の略中央に第2コネクタが実装される。これにより、第2コネクタと第2回路基板に実装される他の電子部品との間の配線距離を短くすることが可能となり、これらを接続するための配線として第2回路基板に形成される導電パターンを短くできる。したがって、余分な導電パターンを減らして第2回路基板が大型化するのを回避し、第2回路基板の小型化を図れる。
【0207】
(2) (1)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第1ケーブルは、前記第2回路基板の幅方向(短手方向Y)から前記第2コネクタに接続される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0208】
(2)によれば、第1ケーブルを第2回路基板の幅方向から第2コネクタに接続することで、第2回路基板の略中央に第2コネクタを実装しても、第2回路基板に実装される他の電子部品と第1ケーブルとが物理的に干渉しにくくすることができる。したがって、第2回路基板に実装される他の電子部品の耐久性を向上させたり、第2回路基板における各電子部品のレイアウトの自由度を向上させたりすることが可能となる。
【0209】
(3) (1)又は(2)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板に実装され、且つ、前記第2回路基板からの高さが前記第2コネクタよりも高い電子部品(吸引センサ15)をさらに備え、
前記電子部品は、前記第2回路基板の長さ方向において、前記第1回路基板と前記第2コネクタとの間に配置されない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0210】
(3)によれば、第1ケーブルを複雑な形状とすることなく、第2コネクタよりも高い電子部品と第1ケーブルとが物理的に干渉するのを容易に回避することが可能となる。したがって、第1接続ケーブルが複雑な形状となることによる電源ユニットの製造コストの増加を抑制できる。
【0211】
(4) (1)又は(2)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板に実装され、且つ、前記第2回路基板からの高さが前記第2コネクタよりも高い電子部品(吸引センサ15)をさらに備え、
前記第1回路基板、前記第2コネクタ、及び前記電子部品は、前記第2回路基板の長さ方向において、前記第1回路基板、前記第2コネクタ、前記電子部品の順で並ぶ、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0212】
(4)によれば、第1ケーブルを複雑な形状とすることなく、第2コネクタよりも高い電子部品と第1ケーブルとが物理的に干渉するのを容易に回避することが可能となる。したがって、第1接続ケーブルが複雑な形状となることによる電源ユニットの製造コストの増加を抑制できる。
【0213】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板に実装され、且つ、前記電源と接続される第3コネクタ(バッテリコネクタCn3)をさらに備え、
前記第1回路基板、前記電源、前記第3コネクタ、及び前記第2コネクタは、前記第2回路基板の長さ方向において、前記第1回路基板、前記電源、前記第3コネクタ、前記第2コネクタの順で並ぶ、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0214】
(5)によれば、電源に近い位置に第3コネクタを配置することが可能となる。これにより、電源と第3コネクタとの間の配線距離を短くすることが可能となり、電源ユニットの小型化を図れる。併せて、電源ユニットを製造するためのコストの削減も図れる。また、電源と第3コネクタとの間の配線距離を短くすることで、電源を充電する充電電流あるいは電源からの放電電流等、電源と第3コネクタとの間の配線を流れる電流の電流値が大きくなったとしても、この電流に起因して発生するノイズが電源ユニットの電子部品に与える影響を低減でき、電源ユニットの動作の安定化も図れる。
【0215】
(6) (5)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源の電圧を検出する検出端子(BAT_SNSピン)と、前記電源を充電する電力を出力する出力端子(BAT_1ピン、BAT_2ピン)とを有する充電IC(充電IC55)をさらに備え、
前記第3コネクタは、前記第2回路基板の長さ方向(長手方向X)の一端部に実装され、
前記検出端子は、前記出力端子よりも前記一端部に近い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0216】
(6)によれば、電源に近い位置に充電ICの検出端子を配置でき、電源とこの検出端子との間の配線距離を短くできる。したがって、検出端子への入力に含まれる導線抵抗等の影響を低減し、充電ICが、検出端子への入力に基づき電源の電圧を精度よく検出することが可能となる。
【0217】
(7) (6)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板は、A面(主面7a)と、前記A面の裏面であるB面(副面7b)とを有し、
前記第3コネクタは、前記A面に実装され、
前記充電ICは、前記B面に実装される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0218】
(7)によれば、第3コネクタ及び充電ICは物理的なサイズが大きく、第2回路基板上で大きな面積を占有しやすい。そこで、第3コネクタ及び充電ICを第2回路基板の異なる面にそれぞれ実装することで、A面及びB面の両面を有効活用して第3コネクタ及び充電ICを実装することが可能となる。これにより、第2回路基板が大型化するのを回避しながら、第3コネクタ及び充電ICを第2回路基板に実装できる。
【0219】
(8) (7)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第3コネクタの少なくとも一部は、前記A面と直交する方向において、前記充電ICと重なる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0220】
(8)によれば、第3コネクタの少なくとも一部が、A面と直交する方向において充電ICと重なるようにすることで、第3コネクタと充電ICとの間の配線距離を短くできる。これにより、余分な配線(例えば第2回路基板に形成される導電パターン)を減らして、第2回路基板の小型化を図れる。併せて、第2回路基板を製造するためのコストの削減も図れる。また、第3コネクタと充電ICとの間の配線距離が短ければ、この配線を流れる電流の電流値が大きくなったとしても、この電流に起因して発生するノイズが第2回路基板における他の電子部品に与える影響を低減でき、電源ユニットの動作の安定化を図れる。
【0221】
(9) (5)から(8)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板は、A面(主面7a)と、前記A面の裏面であるB面(副面7b)とを有し、
前記第3コネクタは、前記A面に実装され、
前記第2コネクタは、前記B面に実装される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0222】
(9)によれば、第3コネクタ及び第2コネクタは物理的なサイズが大きく、第2回路基板上で大きな面積を占有しやすい。そこで、第3コネクタ及び第2コネクタを第2回路基板の異なる面にそれぞれ実装することで、A面及びB面の両面を有効活用して第3コネクタ及び第2コネクタを実装することが可能となる。これにより、第2回路基板が大型化するのを回避しながら、第3コネクタ及び第2コネクタを第2回路基板に実装できる。
【0223】
(10) (5)から(9)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記電源と前記第3コネクタとを接続する第2ケーブル(バッテリ接続ケーブルCb2)と、
前記第2回路基板の長さ方向において、前記電源と前記第2回路基板との間に設けられる絶縁性のスペーサ(壁部12a)と、
をさらに備え、
前記第2ケーブルは、前記第2回路基板の幅方向から前記第3コネクタに接続される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0224】
(10)によれば、第2回路基板と電源との間に絶縁性のスペーサを設けることで、第2回路基板と電源とが物理的に接触することによって短絡が発生するのを回避できる。そして、第2ケーブルを第2回路基板の幅方向から第3コネクタに接続するようにすることで、第2ケーブル及び/又は上記のスペーサを複雑な形状とすることなく、これらが物理的に干渉するのを回避することが可能となる。
【0225】
(11) (1)から(10)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板は、前記第2コネクタとは異なる電子部品同士を接続する導電パターン(配線パターン77)を備え、
前記導電パターンは、前記第2回路基板のうち前記第2コネクタに重なる部分に形成される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0226】
一般的に、第2回路基板において、第2コネクタ等のコネクタが実装される箇所には、他の箇所に比べて、設けられる導電パターンやビア等が少ない傾向がある。(11)によれば、第2回路基板において第2コネクタと重なる箇所に、第2回路基板に実装される他の電子部品同士を接続する導電パターンを形成することで、第2回路基板の基板面積を有効活用して、第2回路基板の小型化を図れる。
【0227】
(12) (1)から(11)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記第2回路基板は、A面(主面7a)と、前記A面の裏面であるB面(副面7b)とを有し、
前記第2コネクタは、前記B面に実装され、
前記A面に実装され、且つ、前記A面と直交する方向において、前記第2コネクタと重なるIC(MCU50)をさらに備える、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0228】
一般的に、第2回路基板において、第2コネクタ等のコネクタが実装される箇所には、他の箇所に比べて、設けられる導電パターンやビア等が少ない傾向がある。このため、第2回路基板において、第2コネクタ等のコネクタが実装される箇所の裏側には、他の電子部品に必要な導電パターンやビア等を設けやすい。(12)によれば、A面と直交する方向において、第2コネクタと重なる位置に、導電パターンやビアを多用するICを実装することで、第2回路基板の基板面積を有効活用して、第2回路基板の小型化を図れる。
【0229】
(13) (12)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
前記ICは、MCU(MCU50)である、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0230】
(13)によれば、第2回路基板と直交する方向において、第2コネクタと重なる位置に、導電パターンやビアを多用するMCUを実装することで、第2回路基板の基板面積を有効活用して、第2回路基板の小型化を図れる。
【符号の説明】
【0231】
1 エアロゾル吸引器(エアロゾル生成装置)
7 MCU搭載基板(第2回路基板)
7a 主面(A面)
7b 副面(B面)
8 レセプタクル搭載基板(第1回路基板)
10 電源ユニット
15 吸引センサ(電子部品)
21 ヒータ(負荷)
41 放電端子(第1コネクタ)
50 MCU(IC)
55 充電IC
BAT 電源
Cb1 基板接続ケーブル(第1ケーブル)
Cb2 バッテリ接続ケーブル(第2ケーブル)
Cn2 MCU搭載基板側コネクタ(第2コネクタ)
Cn3 バッテリコネクタ(第3コネクタ)
X 長手方向(長さ方向)
Y 短手方向(幅方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16