(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】レーザ光源アセンブリ、照明ユニットおよびレーザ投影装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241211BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20241211BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20241211BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20241211BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241211BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20241211BHJP
【FI】
F21S2/00 311
F21S2/00 340
F21S2/00 375
F21V9/32
H01S5/40
G03B21/14 A
F21Y115:30
F21Y113:10
(21)【出願番号】P 2023544084
(86)(22)【出願日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 EP2022052734
(87)【国際公開番号】W WO2022167592
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】102021102798.5
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーグハイマー ティルマン
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/301156(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 9/32
H01S 5/40
G03B 21/14
F21Y 115/30
F21Y 113/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ投影装置(33)用のレーザ光源アセンブリであって、
少なくとも1つの第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)を含む第1照明群(3)と、少なくとも1つの第2レーザダイオード(6.1、…、6.4)を含む第2照明群(5)とを有するレーザダイオードアレイ(2)を含み、前記第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)および前記第2レーザダイオード(6.1、…、6.4)はスペクトルにおいて異なる発光極大を有する、レーザ光源アセンブリにおいて、
前記第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)が440~462nmの波長領域に発光極大を有し、前記第2レーザダイオード(6.1、…、6.4)が462~472nmの波長領域に発光極大を有し、
前記レーザダイオードアレイ(2)は、前記第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)および前記第2レーザダイオード(6.1、…、6.4)のビーム経路(8.1、8.2)がハウジング(7)内で空間的に分離して延びるように前記ハウジング(7)内に収容されている、レーザ光源アセンブリ。
【請求項2】
前記第1レーザダイオード(4.1、…、4.n)が、450~460nmの波長領域に発光極大を有する、請求項1に記載のレーザ光源アセンブリ。
【請求項3】
前記第2レーザダイオード(6.1、…、6.4)が、464~470nmの波長領
域に発光極大を有する、請求項1または2に記載のレーザ光源アセンブリ。
【請求項4】
前記レーザダイオードアレイ(2)が、610~635nmの波長領
域に発光極大を有する少なくとも1つの第3レーザダイオード(16.1、…、16.8)を備える第3照明群を含む、請求項1~3の何れか一項に記載のレーザ光源アセンブリ。
【請求項5】
前記レーザダイオード(4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8)が、前記レーザダイオードアレイ(2)のキャリア(9)上に、異なる照明群(3、5、15)のレーザダイオード(4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8)間の横方向間隔(D)が少なくとも2m
mとなるように配置されている、請求項1~4の何れか一項に記載のレーザ光源アセンブリ。
【請求項6】
それぞれ1つの照明群(3、5、15)内においてレーザダイオード(4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8)間の前記横方向間隔(D)が、異なる照明群(3、5、15)のレーザダイオード(4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8)間の前記横方向間隔(D)より小さい、請求項5に記載のレーザ光源アセンブリ。
【請求項7】
前記レーザダイオードアレイ(2)に、異なる照明群(3、5、15)のレーザダイオード(4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8)の前記ビーム経路(8.1、8.2、8.3)をコリメートおよび/または分離するビームガイド装置(10)が割り当てられている、請求項1~6の何れか一項に記載のレーザ光源アセンブリ。
【請求項8】
前記ビームガイド装置(10)の部品の少なくとも一部が前記ハウジング(7)内に配置されている、および/または前記ハウジング(7)と1つの構造群へ一体化されている、請求項7に記載のレーザ光源アセンブリ。
【請求項9】
前記レーザダイオードアレイ(2)の全レーザダイオード(4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8)に、冷却のための共通の熱経路(20)が割り当てられている、請求項1~8の何れか一項に記載のレーザ光源アセンブリ。
【請求項10】
前記レーザダイオード(4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8)を電気的に動作するための電極アセンブリ(21)が前記ハウジング(7)から延出しており、前記電極アセンブリ(21)は、異なる照明群(3、5、15)のレーザダイオード(4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8)が互いに独立して動作可能なように形成されている、請求項1~9の何れか一項に記載のレーザ光源アセンブリ。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載のレーザ光源アセンブリ(1)、
波長変換素子(29)、および、
オーバレイ光学系(32)を含む照明ユニットであって、
前記照明ユニット(28)は、前記波長変換素子(29)が前記レーザ光源アセンブリ(1)内の第1照明群(3)の発光によって蛍光ビームを放出するために励起され、前記オーバレイ光学系(32)が前記レーザ光源アセンブリ(1)の第2照明群(5)の発光と前記蛍光ビームとを1つの照明ビーム経路(37)内へまとめるように設計されている、照明ユニット。
【請求項12】
撮像システムと、前記撮像システム(34)を照明するための請求項11に記載の照明ユニット(28)とを有するレーザ投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その公開内容を参照によって本願明細書に組み込んだものとする、2021年2月5日の特許文献1の優先権を請求している。
【0002】
本発明は、レーザ光源アセンブリ、これを含む照明ユニットおよびこの照明ユニットを備えたレーザ投影装置に関する。
【背景技術】
【0003】
投影装置、例えばマイクロミラーデバイス(DMD)または液晶プレート内で撮像システムを照明する半導体光源の使用は公知である。放電ランプを備えた大規模構造の照明モジュールに比べて、半導体光源は照明用のコンパクトな構造群を可能にする。LED(LED=発光ダイオード)以外に半導体光源としてレーザダイオードアレイが使用され、レーザダイオードアレイは、改善された有効寿命、良好なエネルギー効率および高いスペクトル安定性を特徴としていて、このことから、色飽和が改善された強発光レーザ投影装置が実現可能である。
【0004】
特に映画館、高価値の家庭用映写機およびスマートフォン用小型化プロジェクタの専門的なレーザ投影装置において可視スペクトルを広範にカバーするために、青色、緑色または赤色発光の光源ユニットが別々に設けられ、光源ユニットは通常空間的に分離して配置されてあり、光源ユニットの発光がビーム結合光学系を用いてまとめられる。これに関しては、例えば特許文献2を参照されたい。
【0005】
特許文献3は、それぞれ青色、緑色および赤色用のレーザダイオードアレイをまとめる少なくとも2つの照明モジュールを備えた小型の光源構造ユニットを記載している。個々の照明モジュールは互いに直交しているので、ビームオーバレイおよびスペクトル混合は、角位置に配置された、前方および後方へ放射する光学マルチプレクサを用いて行われ、この光学マルチプレクサは、局所的に異なるダイクロイックミラー面を有する。
【0006】
可視スペクトルの青色、緑色および赤色部分で発光するレーザダイオードは、到達可能な発光効率に関する現在の開発状態に応じて区別され、可視スペクトルの緑色-黄色部分に発光極大を有するInGaN半導体ベースのレーザダイオードは、青色発光のものより低い電流密度に適合する。さらに赤色光用レーザダイオードには、それより短い波長のレーザダイオードに比べてより高い熱安定性が要求される。このことから、単色光源を備えたレーザプロジェクタ用光生成装置は、大部分がより経済的である。レーザプロジェクタ用光生成装置は、通常高出力の青色発光レーザダイオードを用い、このダイオードは、青チャネルを供給し、さらに、緑色および赤色領域の電磁放射線を供給する波長変換素子を励起するために使用される。この種のレーザ投影装置には、例えばリン系の、スペクトルが異なる蛍光物質を励起する青色レーザダイオードが用いられる。分光色を連続生成するために、波長変換素子として蛍光被膜した回転部材を使用できる。そのような色環は、例えば特許文献4により開示されている。
【0007】
波長変換素子を励起するためには、通常、その発光極大が440~462nmの波長領域にあるレーザダイオードが使用される。この目的のための公知のレーザダイオードアレイは、この極大の+/-6nmの狭いスペクトル分布を有する455nmの発光を供給する。この波長帯は、特にリン物質またはCerドーピングのイットリウム-アルミニウム-ガーネットによる蛍光発生に適することが判明した。青色励起光がさらに青色を表すために用いられると、波長変換素子への適合が、スクリーンに投影可能なカラーパレット(色域)を制限することにつながる。したがって標準規格Rec.2020は、波長467.1nmで100%飽和の青色の描写性を要求している。この、前述の蛍光励起に適合された波長帯では達成不可能な「純青色」を、色空間sRGB、Rec.709および467.7nmでのDCI-P3が定義している。
【0008】
特許文献5は、異なるスペクトル領域に割り当てられている2つの固定式の、空間的に分離した波長変換素子を備えたレーザ投影装置用の照明アセンブリを記載している。このことから、別のビーム経路に重ねられる緑色と赤色の同時のビーム発光が可能となる。両波長変換素子を励起するために、発光電磁放射線の偏光方向および/またはスペクトル帯に関して区別される2つのレーザダイオード型が交互に配置されたレーザダイオードアレイが用いられる。ビーム経路内のレーザダイオードアレイと波長変換素子との間に配置されたビームスプリッタ光学系は、発光特徴のこの違いを利用し、そのことから第1レーザダイオード型からのビームは第1波長変換素子へのみ送られ、第2レーザダイオード型からのビームは第2波長変換素子へのみ送られる。照明の青色部分に関しては、特許文献5が好ましい形態を提案していて、これは、ビーム経路内の波長変換素子の後方にコリメートレンズ系を用いて結合された第3の単独光源を使用するものである。ビームガイドに必要な光学系によって、複合且つ大規模構造の照明アセンブリが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願第102021102798.5号
【文献】米国特許出願公開第2020/0301265A1号
【文献】米国特許出願公開第2020/0301156A1号
【文献】独国特許出願公開第102010003234A1号
【文献】独国特許出願公告第112013004405B4号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、コンパクトで容易に操作できるレーザ投影装置の照明ユニット用レーザ光源アセンブリを提供することである。さらに、波長変換素子とレーザ光源アセンブリとを備えた照明ユニットが挙げられ、照明ユニットは、高い色空間のカバーを特徴とし、小さい構造空間で済む。好ましい一態様では可能な限り大きい色域が、標準規格Rec.2020にしたがって、特に長波長(青色)領域の可能な限り完全な色空間のカバーによって与えられる。さらに、高い画像品質と広い色空間とを有する、場所をとらない照明ユニットを備えたレーザ投影装置を提供するという目的に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求項1の特徴によって実現される。レーザ光源アセンブリの有利な態様は従属請求項の対象であり、請求項10および請求項11は、レーザ光源アセンブリを含む照明ユニットおよびレーザ投影装置に関する。
【0012】
本発明のレーザ光源アセンブリは、少なくとも1つの第1レーザダイオードを含む第1照明群と、少なくとも1つの第2レーザダイオードを含む第2照明群とを有するレーザダイオードアレイを含む。このとき第1レーザダイオードおよび第2レーザダイオードはスペクトルにおいて異なる発光極大を提供し、第1レーザダイオードは440~462nmの波長領域の発光極大を、第2レーザダイオードは462~472nmの波長領域の発光極大を提供する。さらにレーザダイオードアレイは、第1レーザダイオードおよび第2レーザダイオードのビーム経路がハウジング内で空間的に分離して延びるようにハウジング内に収容されている。
【0013】
したがって、本発明のレーザ光源アセンブリは、構造ユニットとして操作可能なモジュールを形成し、このモジュールは、第1照明群によって蛍光励起のための440~462nmの青色波長帯の発光極大を含むビームを提供し、その波長が同じくスペクトルの青色部分にある(発光極大が462~472nmの波長領域にある)第2照明群によって、標準規格Rec.2020、sRGB、Rec.709またはDCI-P3のうちの1つにしたがう100%飽和純青色への要求を満たす単独の青チャネルを形成する。それ故、本発明のレーザ光源アセンブリは、コンパクトな寸法のモジュールの形状の部材を用いてカラーパレットを拡大できるようにする。
【0014】
有利な態様では、第1照明群が450~460nmの波長領域の発光極大を提供する。さらに、第2照明群では464~470nmの波長領域、特に好ましくは466~468nmの波長領域の発光極大を使用することが好ましい。
【0015】
可視スペクトルの緑色および赤色領域の照明は、第1照明群による波長変換素子の励起によって生じさせることができる。このことは、レーザ光源アセンブリを含む、レーザ投影装置の照明ユニットに関する本発明の発展形態に関連付けたさらなる説明で詳しく表す。
【0016】
本発明のレーザ光源アセンブリの有利な一態様では、直接照明に結び付く別のカラーチャネルが用いられ得る。第3照明群を、共通のハウジングによりまとめられたレーザダイオードアレイ内へ収容することが好ましい。このとき第3照明群は、610~635nmの赤色波長領域、好ましくは627~633nmの波長領域の発光極大を放射する少なくとも1つの第3レーザダイオードを有する。
【0017】
構造空間の低減要求以外に、本発明のレーザ光源アセンブリは、モジュールとしての簡素化された操作性を特徴とする。この目的のためにレーザダイオードアレイのレーザダイオードは、異なる照明群のレーザダイオードのビーム経路が少なくともハウジングから出るまでは空間的に分離して延びるようにハウジング内に配置される。そのことから分離したカラーチャネルが、単純な光学系、特に段形ミラーおよびマイクロレンズなどの反射部品によって、蛍光励起のために設けられた第1照明群の発光から分離できる。したがって、ダイクロイック光学系の使用を省略できる。レーザダイオードをその発光特性にしたがって、則ちその照明群の1つへの帰属に応じて空間的に配置することが好ましい。レーザダイオードが、ハウジングの一部を形成するキャリア上に、異なる照明群のレーザダイオード間の横方向間隔が少なくとも2mm、好ましくは少なくとも4mmとなるように配列されていることが有利である。このとき、横方向間隔は、2つのレーザダイオードの活性区域の重心間の距離と定義される。それぞれの照明群内にレーザダイオードが密に詰められていて、好ましくは、照明群の1つに属するレーザダイオードの濃度となる配列が生じる。そのことから生じるレーザダイオード領域は、レーザダイオード領域のレーザダイオードが別の1つの照明群に割り当てられている限り、隣接領域に対して要求される横方向間隔を有する。レーザ光源アセンブリの構造の大きさを拡大し過ぎないために、横方向間隔の好ましい上限として10mm、特に好ましくは8mmが定められる。
【0018】
本発明のレーザ光源アセンブリのさらなる有利な一態様では、レーザダイオードアレイに、異なる照明群のレーザダイオードのビーム経路をコリメートおよび/または分離するビームガイド装置が割り当てられている。好ましくは、ビームガイド装置の部品の少なくとも一部がハウジング内に配置されている、および/またはハウジングと1つの構造群へ一体化されている。ビームガイド装置は異なる照明群の発光を分離するために用いられ、そのことから、分離したカラーチャネルおよび空間的に望ましくないビーム拡張した励起光がレーザ光源アセンブリのハウジングから出て、好ましくは異なる空間方向に放射され得る。
【0019】
照明群のそれぞれが複数の単色レーザダイオードを含むことが有利であり、単色レーザダイオードの発散ビームは、その時々の照明群に付属していないレーザダイオードのビーム経路と交差しないことが保証される限りにおいて、ハウジング内部で交差してもよい。ビームガイドのために、マイクロレンズアレイおよび個々のレーザダイオードに割り当てられた反射光学系が好ましく使用される。
【0020】
レーザ光源アセンブリのさらなる有利な一態様では、レーザダイオードアレイの全レーザダイオードに冷却のための共通の熱経路がある。共通の熱経路は、レーザダイオードのキャリアと一体型に仕上げることができる。この一体型の形態は、特に、一定温度に対するより高い要求が生じるので、長波発光レーザダイオードを備えた第3照明群がモジュールとして形成されたレーザ光源アセンブリ内へ収容される場合に有利である。さらに共通の熱経路が、レーザダイオードを一貫したプロセスによってレーザダイオードアレイのためのキャリア上に実装することを可能にする。
【0021】
さらに、レーザ光源アセンブリは、好ましくは外部動作のために設計されている。そのためにレーザダイオードを接触させる電極アセンブリが設けられ、電極アセンブリはハウジングから延出している。このとき電極アセンブリは、異なる照明群のレーザダイオードが互いに独立して動作可能であるように形成されている。考えられ得る態様では、1つの照明群内にさらなる下位群が、例えば共に動作可能なレーザダイオードの行状または列状のアセンブリで形成される。外部の電気的動作によって、電流強度および出力電力が、異なる照明群のレーザダイオードに対して別々に調整できるようになる。
【0022】
本発明の一発展形態では、照明ユニットが前述のレーザ光源アセンブリを含む。さらに、波長変換素子およびオーバレイ光学系がある。照明ユニットは本発明にしたがって、波長変換素子がレーザ光源アセンブリの第1照明群の発光によって蛍光ビームを放出するために励起され、オーバレイ光学系がレーザ光源アセンブリの第2照明群の発光と蛍光ビームとを1つの照明ビーム経路内へまとめるように設計されている。レーザ光源アセンブリのモジュールとしての形態と、蛍光励起のためのビームと分離したカラーチャネルのためのそれぞれのビームの空間的分離とによって、照明ユニットに割り当てられたビームガイドのための光学系を簡素化して小さな構造に設計できる。さらに、構造群として存在するレーザ光源アセンブリの交換が容易になる。
【0023】
本発明の一発展形態によると、撮像システムと本発明による照明ユニットを備えたレーザ投影装置が提案される。レーザ投影装置は、コンパクトな構造以外に、投影面を拡大した色空間で覆う撮像システムの照明を特徴としている。それにより達成される高い色飽和以外に、さらなる長所として、顧客側で実行可能な白色点補正のために達成可能な精度の向上が生じる。さらに、モジュールとして設計されたレーザ光源アセンブリによって、レーザ投影装置の動作時の熱効果の補正が容易になる。
【0024】
以下に、本発明の例による態様変態を図面に関連付けて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明によるレーザ光源アセンブリの第1態様の平面図である。
【
図2】
図1の本発明によるレーザ光源アセンブリの断面図である。
【
図3】本発明によるレーザ光源アセンブリの第2態様の平面図である。
【
図4】
図3の本発明によるレーザ光源アセンブリの断面図である。
【
図5】本発明によるレーザ光源アセンブリの第2態様の電気接触である。
【
図6】本発明によるレーザ光源アセンブリの第1態様を含む照明系を備えたレーザ投影装置である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明によるレーザ光源アセンブリ1を略図で示す。これは、ハウジング7により囲まれるレーザダイオードアレイ2を含み、そのことから構造ユニットとして操作可能なモジュールが生じる。
【0027】
レーザダイオードアレイ2は、異なるスペクトルレーザ光を放出する第1照明群3と第2照明群5に分けられる。このとき第1照明群3は、440~462nmの波長領域、好ましくは450~460nmの区間にそれらの発光極大がある第1レーザダイオード4.1、…、4.nを有する。この青色発光は蛍光励起に同調し、色空間-標準規格Rec.2020、sRGB、Rec.709またはDCI-P3による純青色のための確定に正確には該当しない。したがって第2照明群5が青チャネルの装入のために設けられ、第2照明群5に割り当てられた第2レーザダイオード6.1、…、6.4は、462~472nm、好ましくは464~470nm、特に好ましくは466~468nmの波長領域に発光極大を有するので、100%の色飽和の「純青色」を放射できる。そのことから、特に色水準-標準規格Rec.2020による全青色領域をカバーできる。
【0028】
本発明にしたがって第1および第2レーザダイオード4.1、…、4.n;6.1、…、6.4は、異なる照明群3;5のレーザダイオード4.1、…、4.n;6.1、…、6.4から出るビーム経路8.1、8.2がハウジング7内で空間的に分離して延びるようにレーザダイオードアレイ2内に限定的に配置されている。ハウジング7の一部を形成するキャリア9上に、レーザダイオード4.1、…、4.n;6.1、…、6.4が、同じ照明群3;5には属さないレーザダイオード4.1、…、4.n;6.1、…、6.4が第1レーザダイオード4.1、…、4.nと第2レーザダイオード6.1、…、6.4のビーム発散に適合している横方向間隔Dを有するように実装されることが有利である。通常の構造の大きさでは、少なくとも2mm、好ましくは少なくとも4mmの横方向間隔Dが、第1照明群3および第2照明群5の光路をハウジング7内で分離しておくのに有利であると判明した。横方向間隔Dの上限としては、10mm、とりわけ8mmが好ましい。
【0029】
第1レーザダイオード4.1、…、4.nと第2レーザダイオード6.1、…、6.4のビーム経路8.1、8.2を空間的に分離するためのさらなる好ましい措置として、
図2はハウジング7内のビームガイド装置10を示す。ビームガイド装置10は、ミラー11と、第2レーザダイオード6.1から出るビーム経路8.1を偏向およびコリメートするマイクロレンズ12とを含む。それに応じて、段状ミラー13およびマイクロレンズ14.1、…、14.7は、第1レーザダイオード4.1、…、4.7から出るビームのみを検出し、これを束ねてハウジング7の対向側に放出する。
【0030】
図3は、本発明によるレーザ光源アセンブリ1の第2態様を示し、第1態様と一致する部品には同様の参照符号が使用されている。追加の第3照明群15がハウジング7内に表されている。このとき、レーザダイオードアレイ2の第3照明群15は少なくとも1つの第3レーザダイオード16.1、…、16.8を有し、第3レーザダイオード16.1、…、16.8は、610~635nmの波長領域、好ましくは627~633nmの波長領域の発光極大を放出し、これは赤チャネルの照明に用いられる。したがって照明可能な色スペクトルをさらに拡大できる。
【0031】
図4に示した、第2態様の側面図は、第1レーザダイオード4.1、…、4.n、第2レーザダイオード6.1、…、6.4および第3レーザダイオード16.1、…、16.8のアセンブリが、異なる照明群3;5;15のレーザダイオード4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8のビーム経路8.1、8.2、8.3がハウジング7内で空間的に分離して延びるように選択されていることを表す。これに関して、前述の横方向間隔Dが遵守される。さらにビームガイド装置10がハウジング7内にあり、マイクロレンズ18.1、…、18.7は第1レーザダイオード4.1、…、4.nに、ミラー11およびマイクロレンズ12は第2レーザダイオード6.1に、ならびにミラー17.1、17.2およびマイクロレンズ18.1、18.2は第3レーザダイオード16.1、16.5に、異なる照明群3;5;15がレーザ光源アセンブリ1のハウジング7の異なる側へ光を放出するように割り当てられる。
【0032】
さらに、レーザダイオードアレイ2の全レーザダイオード4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8に対して共通の熱経路20が設けられる。キャリア9内へ統合されるかまたはこれを形成する1つの冷却部材を使用することによって、レーザダイオード4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8を一貫したプロセス工程で容易に仕上げることができる。さらに駆動時の熱安定性が改善される。
【0033】
図5は、第2態様の好ましい形態のための電気接触を示す。ハウジング7から延出している電極アセンブリ21が見て取れる。これは、異なる照明群3;5;15の外部の独立した動作と、それによる、レーザダイオード4.1、…、4.n;6.1、…、6.4;16.1、…、16.8に関する電流強度と出力電力の群毎の調整を可能にする。第1照明群3用の第1陽極22および第1陰極23、第2照明群5用の第2陽極24および第2陰極25、ならびに第3照明群15用の第3陽極26および第3陰極27が個々に表されている。
【0034】
図6は本発明の照明ユニット28を示し、照明ユニット28は、前述の、交換可能なモジュールを形成するレーザ光源アセンブリ1、波長変換素子29およびオーバレイ光学系32を有する。波長変換素子29は、第1蛍光材料30と第2蛍光材料31とを励起するために用いられるレーザ光源アセンブリ1の第1照明群3からビームを受け入れ、波長変換素子29は、再び可視スペクトルの緑色および赤色部分のビームを放出する。この蛍光ビームは、オーバレイ光学系32を青チャネル35と結び付け、青チャネル35は、レーザ光源アセンブリ1の第2照明群5により直接供給される。示した変態では、蛍光材料30、31が空間的に互いに分離している。
【0035】
変容した一変態では、第1蛍光材料30と第2蛍光材料31のような蛍光材料の空間的分離はなく、変換素子29上に設けられている(図示していない)。別の変容した一変態では、単一の広帯域発光蛍光材料が使用される。広帯域発光蛍光材料は特別に3LCDシステムのために設けられ、3LCDシステムでは1つではなく3つの(原色毎に分かれた)撮像機が設けられ、連続照明白色光源により放射される。このとき原色のビーム経路は、波長選択光学系、例えばダイクロイックミラーによって分離できる(図示していない)。
【0036】
照明ユニット28は、構造群としてレーザ投影装置33内に収容されており、撮像システム34の照明に用いられる。ここでは、レーザ投影装置33が特に拡張されたカラーパレットとコンパクトな実装し易い構造とを特徴とする。レーザ光源アセンブリ1がモジュールとして形成されることから、単独の青チャネルは追加部品を形成しないので、光源の交換および白色光補正が容易になる。
【符号の説明】
【0037】
1 レーザ光源アセンブリ
2 レーザダイオードアレイ
3 第1照明群
4.1、4.2、…、4.n 第1レーザダイオード
5 第2照明群
6.1、6.2、6.3、6.4 第2レーザダイオード
7 ハウジング
8.1、8.2、8.3 ビーム経路
9 キャリア
10 ビームガイド装置
11 ミラー
12 マイクロレンズ
13 段状ミラー
14.1、14.2…、14.7 マイクロレンズ
15 第3照明群
16.1、16.2…、16.8 第3レーザダイオード
17.1、17.2 ミラー
18.1、18.2 マイクロレンズ
19.1、…、19.7 マイクロレンズ
20 熱経路
21 電極アセンブリ
22 第1陽極
23 第1陰極
24 第2陽極
25 第2陰極
26 第3陽極
27 第3陰極
28 照明ユニット
29 波長変換素子
30 第1蛍光材料
31 第2蛍光材料
32 オーバレイ光学系
33 レーザ投影装置
34 撮像システム
35 青チャネル
36 制御装置
37 照明ビーム経路
D 横方向間隔