(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】熱伝導性相変化材料とその用途
(51)【国際特許分類】
C08L 83/12 20060101AFI20241211BHJP
C08G 81/00 20060101ALI20241211BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20241211BHJP
C08K 9/04 20060101ALI20241211BHJP
C09K 5/06 20060101ALI20241211BHJP
C10M 107/34 20060101ALI20241211BHJP
C10M 107/50 20060101ALI20241211BHJP
C10M 113/00 20060101ALI20241211BHJP
C10M 113/16 20060101ALI20241211BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
C08L83/12
C08G81/00
C08K3/013
C08K9/04
C09K5/06 Z
C10M107/34
C10M107/50
C10M113/00
C10M113/16
H05K7/20 F
(21)【出願番号】P 2023559027
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(86)【国際出願番号】 CN2022081967
(87)【国際公開番号】W WO2022199520
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】202110320183.5
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523365413
【氏名又は名称】チアンシー・ブルースター・シンフオ・シリコーン・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGXI BLUESTAR XINGHUO SILICONE CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Yangjialing,Yongxiu County Jiujiang,Jiangxi 330300 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コイ・タン
(72)【発明者】
【氏名】ユイシア・リュ
(72)【発明者】
【氏名】タンタン・ホー
(72)【発明者】
【氏名】チャオポー・ウー
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111647161(CN,A)
【文献】特開2011-057879(JP,A)
【文献】特開平10-110179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08K,C08G
C09K,C10M,H05K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性相変化組成物であって、ベースポリマーとしての多官能基変性ポリシロキサンと、熱伝導性フィラーとを含み、前記多官能基変性ポリシロキサンは、
以下の構造:
【化1】
(式中、n
1
は10~100の整数であり、n
2
は、6~120の整数である。)
を有す
る、熱伝導性相変化組成物。
【請求項2】
n
1
は12~6
0の整数であ
り、n
2は
、6~10
0の整数である
、請求項1に記載の熱伝導性相変化組成物。
【請求項3】
前記熱伝導性フィラーは、水酸化アルミニウム、アルミナ、酸化亜鉛、酸化セリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、グラフェン、カーボンナノチューブ、石英粉末、アルミニウム粉末、銅粉末、銀粉末、及びそれらの混合物から選択される、請求項1
又は2に記載の熱伝導性相変化組成物。
【請求項4】
前記熱伝導性フィラーは処理剤で表面処理されており、前記処理剤は
、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、
3-アミノプロピルトリエトキシシラン、
3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、
N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、
メチル3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシシラン、
メタクリル酸3-(トリエトキシシリル)プロピル、
ジアミノシラン含有シランオリゴマー、ヘキサメチルジシラザン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びそれらの混合物から選択される、請求項1~
3のいずれか1項に記載の熱伝導性相変化組成物。
【請求項5】
前記熱伝導性相変化組成物は、組成物の総重量に対して5~30重量
%の前記多官能基変性ポリシロキサンを含み、及び/又は、前記熱伝導性相変化組成物は、組成物の総重量に対して70~95重量
%の前
記熱伝導性フィラーを含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の熱伝導性相変化組成物。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の熱伝導性相変化組成物を用いて得られる熱伝導性相変化製品であって
、シート、ストリップ、リング、球、又は立方体の形状である、熱伝導性相変化製品。
【請求項7】
放熱素子である、請求項
6に記載の熱伝導性相変化製品。
【請求項8】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のベースポリマーの熱伝導性相変化物質としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料の分野に属し、特に、熱伝導性相変化材料及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展に伴い、電子部品の集積度はますます高くなり、単位体積あたりの発熱量はますます大きくなっている。放熱の問題は長い間設計のボトルネックとなっている。放熱の問題を解決しないと、電子機器の寿命が直接短くなり、通常の使用にも影響する。発熱する電子部品の放熱問題を解決するために、通常、放熱シートが設計される。しかし、電子部品や放熱シートの表面は完全に平坦にはならず、接触面には90%以上の空隙が存在し、熱抵抗が大幅に増加する。
【0003】
界面の熱抵抗を低減するために、従来技術において、金属溶接、熱伝導性接着剤、熱伝導性ガスケット、熱伝導性シリコーングリース、熱伝導性相変化材料などの使用など、様々な解決策が提案されてきた。中でも、熱伝導性相変化材料を用いた解決策は、熱抵抗が低く、分解・組立が容易で、乾燥しにくいなどの利点があり、注目を集めている。
【0004】
熱伝導性相変化材料は、相転移能力を備えた熱伝導性材料の一種であり、特定の温度範囲で相転移挙動を示すことができる。通常、電子部品の使用温度(通常は30℃以上)で液体になり、熱抵抗が減少する。非動作温度では固体のままであり、漏れを効果的に防ぐ。
【0005】
中国特許第102634212号明細書は、主にカーボンナノチューブ、グラフェン、相転移カプセル粒子及びシリコーンオイルから構成される熱伝導性シリコーングリース組成物を開示している。熱伝導性シリコーングリース組成物は、高い熱伝導率と低い熱抵抗を有し、熱伝導性シリコーングリースの放熱効率と寿命を大幅に向上させ、高い実用価値を有する。しかしながら、この発明は、相転移能を有するカプセルとシリコーンオイルとを機械的に混合することのみに関するものであり、これらは相溶性が悪く、局所的に凝集しやすい。また、組成物全体として相転移挙動を示さず、冷熱を繰り返すとシリコーンオイルが流出しやすい。
【0006】
中国特許出願公開第109844030号明細書は、(A)ベースポリマーとしてのオルガノポリシロキサンと、(B)熱伝導性フィラーを含む、熱伝導性シリコーン組成物に関するものであり、熱伝導性シリコーン組成物中、熱伝導性フィラーが60~85体積%であり、熱伝導性フィラーの40~60体積%が平均粒径50μm以上の窒化アルミニウムである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術の熱伝導性相変化材料には、特に次のような問題が1つ以上存在する。
(i)成分間の相溶性が悪いと、分散が不均一になり、局所的な熱抵抗が増加しやすくなる。
(ii)相変化材料は高温で酸化しやすいため、硬化又は乾燥しやすくなり、場合によっては相転移機能が失われる。
(iii)冷温衝撃を繰り返すと相分離が起こりやすく、成分が漏れて熱抵抗が上昇する恐れがある。
(iv)材料が可燃性であり、保管が困難である。
(v)スクリーン印刷による加工方法には適してない。スクリーン印刷には、コーティングする材料に対して次のような厳しい要件がある:1)コーティングされる材料は、加工中に良好な流動性を確保する必要がある;2)コーティングされる材料に含まれるフィラーの粒径は、スクリーンの孔径よりもはるかに小さくなければならない;3)スクリーン印刷中、化学反応による架橋や特定成分の結晶化が起こってはならない。したがって、スクリーン印刷技術でコーティングできる熱伝導性相変化材料は市場では希少である。
【0008】
本発明は、従来技術の問題を克服することを目的とする。
【0009】
したがって、本発明の目的は、総合性能に優れた熱伝導性相変化材料を提供することにある。特に、本発明による熱伝導性相変化材料は、良好な成分相溶性を有する。本発明による熱伝導性相変化材料は、良好な耐酸化性も有する。本発明による熱伝導性相変化材料は、老化実験及び/又は長期間の冷熱衝撃を受けた後でも、良好な熱伝導性及び相転移挙動を維持することができる;長期間の冷熱衝撃の後でも成分が析出されない。本発明による熱伝導性相変化材料は不燃性であり、保存が容易である。本発明による熱伝導性相変化材料は、スクリーン印刷による加工に特に適している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の一態様によれば、ベースポリマーとしての多官能基変性ポリシロキサンと、熱伝導性フィラーとを含む熱伝導性相変化組成物が提供される。
【0011】
好ましくは、熱伝導性相変化組成物は、ベースポリマーとしての多官能基変性ポリシロキサンと、熱伝導性フィラーとから構成される。
【0012】
一実施形態によれば、ベースポリマーとしての多官能基変性ポリシロキサンは、二官能基変性ポリシロキサン、好ましくはポリエーテル官能基及び抗酸化特性を有する官能基によって変性されたポリシロキサンである。
【0013】
ポリシロキサンは、通常、その主鎖部分が実質的にオルガノシロキサンの繰り返し単位から構成される。オルガノポリシロキサンにおけるケイ素原子に結合する有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、キシリル基、トリル基、フェニル基等が挙げられる。
【0014】
好ましい実施形態によれば、ポリシロキサンは直鎖状ポリジオルガノシロキサン、特に好ましくは直鎖状ポリジメチルシロキサンである。別の好ましい実施形態によれば、ポリシロキサンはポリメチルヒドロシロキサン、好ましくは直鎖状ポリメチルヒドロシロキサンである。
【0015】
一実施形態によれば、ポリエーテル官能基は、ポリアルキレンオキシド官能基、好ましくはポリエチレンオキシド官能基、ポリプロピレンオキシド官能基、及びそれらの組み合わせから選択される。前記官能基は、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル、又はビニル、アリルなどのアルケニルによって場合により置換されていてもよい。
【0016】
特に好ましい実施形態によれば、ポリエーテル官能基はアリルポリオキシエチレンエーテル官能基である。
【0017】
一実施形態によれば、抗酸化特性を有する官能基は、ヒンダードフェノール官能基、ヒンダードアミン官能基、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0018】
本発明に記載のヒンダードフェノールは、以下から選択することができる:メチルβ-(3,5-ジ-tert-ブチルヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n-オクタデシルβ-(4-ヒドロキシフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル)プロピオネート、N,N’-1,6-ヘキシレン-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)プロピオネート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-クレゾール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、及びそれらの組み合わせ。
【0019】
特に好ましい実施形態によれば、本発明のヒンダードフェノールはメチルβ-(3,5-ジ-tert-ブチルヒドロキシフェニル)プロピオネートである。
【0020】
本発明に記載のヒンダードアミンは、ジフェニルアミン、p-フェニレンジアミン、ジヒドロキノリン及びそれらの組み合わせから選択することができる。
【0021】
抗酸化特性を有する官能基は、ベースポリマーの側鎖及び/又は両末端に位置していてもよい。
【0022】
特に好ましい実施形態によれば、多官能基変性ポリシロキサンは以下の構造を有する:
【化1】
式中、n
1は10~100、好ましくは12~60、より好ましくは15~50、最も好ましくは18~42の任意の整数である。n
2は、6~120、好ましくは6~100、より好ましくは8~90、最も好ましくは10~80の任意の整数である。
【0023】
n1を変えることでベースポリマーの相転移温度を調整できる。n1の値が大きいほど、相転移温度は高くなる。例えば、多官能基変性ポリシロキサンの相転移温度は0℃~80℃、好ましくは20℃~50℃である。
【0024】
n2を変えることでベースポリマーの粘度を調整できる。n2の値が大きいほど粘度は高くなる。好ましくは、多官能基変性ポリシロキサンは、国家規格GB/T10247-2008粘度測定法標準に従って、回転粘度計を使用して50℃で測定したとき、10~2000mPa・s、好ましくは200~1500mPa・sの粘度を有する。
【0025】
熱伝導性フィラーは以下から選択することができる:水酸化アルミニウム、アルミナ、酸化亜鉛、酸化セリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、グラフェン、カーボンナノチューブ、石英粉末、アルミニウム粉末、銅粉末、銀粉末、及びそれらの混合物。
【0026】
一実施形態によれば、熱伝導性フィラーの粒径(D50)は、当該技術分野で一般的に使用されるレーザー粒径分析装置(OMEC社のPIP9.1粒子画像処理装置、Shandong Niket Analytical Instrument Co., Ltd.のNKT2010-L乾式粒度分析装置など)を使用して測定すると、0.1~50μm、好ましくは1~20μmである。
【0027】
別の実施形態によれば、熱伝導性フィラーは、粗い粒径と細かい粒径とを組み合わせて使用されてもよい。ここで、より粗い部分の中央粒径(D50)は5~20μmの範囲であり得、より細かい部分の中央粒径(D50)は0.1~5μmの範囲であり得、粗い部分と細かい部分の比は、例えば3:7から7:3、好ましくは4:6から6:4の範囲であり得る。
【0028】
熱伝導性フィラーの形状は、球状又は略球状であることが好ましい。
【0029】
好ましい実施形態によれば、熱伝導性フィラーは、処理剤で表面処理されており、処理剤は、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、KH550、KH560、KH792、KH602、KH570、ダイナシラン(登録商標)1146、ヘキサメチルジシラザン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0030】
任意選択で、本発明による組成物は、本発明の目的を損なわない限り、熱伝導性相変化組成物に一般的に使用され得る添加剤を含んでもよい。例えば、添加剤は、異なる色の顔料、カーボンブラック又はシリカなどの強化充填剤から選択することができる。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、熱伝導性相変化組成物は、組成物の総重量に対して5~30重量%、好ましくは8~20重量%の多官能基変性ポリシロキサンを含む。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、熱伝導性相変化組成物は、組成物の総重量に対して、70~95重量%、好ましくは80~92重量%の多官能基変性熱伝導性フィラーを含む。
【0033】
本発明者らは、本発明で定義されるベースポリマーを熱伝導性相変化組成物に使用することにより、総合性能に優れた熱伝導性相変化材料を得ることができることを予期せぬことに見出した。本発明で定義される特定のベースポリマーを使用することにより、特に、以下の優れた特性を有する熱伝導性相変化材料を得ることが可能になる:良好な成分適合性、良好な耐酸化性、老化実験や長期の冷熱衝撃を受けた後でも、良好な熱伝導率と相転移挙動を維持できること、長期間の冷熱衝撃による成分の析出がないこと、不燃性で保管が容易であること、特にスクリーン印刷による加工に適していること。
【0034】
本発明のベースポリマーは、当業者に知られている方法によって調製することができる。例えば、ベースポリマーは、ポリエーテル、ポリシロキサン及び酸化防止剤を触媒の存在下で反応させることによって調製される。
【0035】
特に、ポリエーテルがアリルポリオキシエチレンエーテルであり、ポリシロキサンが水素含有シリコーンオイルであり、酸化防止剤がβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルである場合を例に挙げると、ベースポリマーは、以下のステップを含む方法によって調製される:
1)アリルポリオキシエチレンエーテルを反応容器に添加し、温度を60~90℃に上げ、窒素を充填し、機械的に撹拌し、温度が一定になった後、触媒Aを反応容器に添加する;
2)水素含有シリコーンオイルを反応容器に添加する;
3)アリルポリオキシエチレンエーテルと水素含有シリコーンオイルを反応させ、反応終了後減圧蒸留してポリエーテルシリコーンオイルを得る;
4)一定量のポリエーテルシリコーンオイルとβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルを反応容器に添加し、窒素を充填し、触媒Bを添加し、均一に混合し、還流下で反応させる;好ましくは、還流反応温度は120~160℃であり、反応時間は6~9時間である。
5)ステップ4)で得られた溶液をフィルターで濾過し、濾過された透明な溶液を減圧下、80~120℃の温度で2~4時間蒸留して、最終生成物を得る。
【0036】
触媒Aとしては、白金触媒が好ましく、塩化白金酸、スピア触媒、カルステッド触媒、固相白金触媒から選ばれるいずれかがより好ましい。
【0037】
触媒Bは、固体触媒であることが好ましく、酸性樹脂、酸性粘土等の酸性固体触媒であることがより好ましい。
【0038】
反応容器としては四つ口フラスコが好ましい。
【0039】
ステップ2)では、水素含有シリコーンオイルを蠕動ポンプを用いて反応容器にポンプで送り込むことができる;及び/又は、水素含有シリコーンオイルの添加速度は0.5~20ml/分であり得る。
【0040】
ステップ3)において、アリルポリオキシエチレンエーテルと水素含有シリコーンオイルとの反応は、80~100℃の温度で3~5時間実施することができる;及び/又はm、減圧下での蒸留は、90~110℃の温度で2~4時間実施することができる。
【0041】
水素含有シリコーンオイルは当業者にはよく知られている。その使用及び選択も当業者の能力の範囲内である。一般に、水素含有シリコーンオイルとは、一定数のSi-H結合を有するポリシロキサン、好ましくは直鎖ポリシロキサンを指し、通常室温で液体である。水素含有シリコーンオイルは、末端水素含有シリコーンオイルであることが好ましい。有利には、本発明に従って使用される水素含有シリコーンオイルは、国家規格GB/T10247-2008粘度測定法標準に従って、毛細管粘度計を使用して25℃で測定した場合、25℃で3~400mm2/s、好ましくは6~150mm2/s、より好ましくは7~50mm2/sの粘度を有する。また有利には、本発明に従って使用される水素含有シリコーンオイルのSi-H含有量は、SiHの質量比に基づいて計算して、好ましくは0.4%~8.7%、より好ましくは0.7%~7.5%、最も好ましくは1.6%~6.0%である。
【0042】
好ましくは、アリルポリオキシエチレンエーテルと水素含有シリコーンオイルとのモル比は、0.8:1~1.2:1である。
【0043】
好ましくは、ポリエーテルシリコーンオイルとβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルとのモル比は、0.8:1~1.6:1である。
【0044】
触媒Aの質量は、アリルポリオキシエチレンエーテルと水素含有シリコーンオイルとの質量の合計に対して0.5~20ppmであることが好ましい;及び/又は、触媒Bの質量は、ポリエーテルシリコーンオイルとβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルとの質量の合計に対して1質量%~5質量%である。
【0045】
本発明による組成物は、スクリーン印刷技術を利用して塗布することができる。例えば、本発明の組成物は、スクリーン印刷技術を使用してヒートシンクの界面上にコーティングされ得る。スクリーン印刷技術は、塗膜厚を正確に制御でき、スクリーンの厚さとメッシュ(孔径)を制御することで塗膜厚を調整でき、粒子の大きな不純物の一部を濾過することができる応用技術である。スクリーン印刷技術を使用したコーティングは、ヒートシンクと発熱体間の熱抵抗をさらに低減するのに有益であり、同時に、材料を節約し、コーティングされた余剰材料のオーバーフローを効果的に防止し、他のコンポーネントの汚染を回避し、潜在的な隠れた危険を排除する。本発明の組成物は、以下のような優れた特性を有するため、スクリーン印刷技術を用いたコーティングに適している:1)加工時の流動性が良好である;2)その中に含まれる充填剤の粒径は、スクリーンの孔径よりもはるかに小さい;3)スクリーン印刷のプロセス中に、化学反応や特定の成分の結晶化による架橋が発生しない。
【0046】
一例として、本発明による組成物は、以下のステップを含む方法によって使用され得る:
1)本発明の熱伝導性相変化組成物を、加熱及び恒温機能を備えたスクリーン印刷装置に充填する;
2)35~60℃に加熱し、一定温度に保つ;
3)スクリーン印刷装置を使用して、熱伝導性相変化組成物をCPU、GPUなどの放熱が必要な電子部品上にコーティングする;
4)コーティングされた電子部品をベルトコンベアで冷却ゾーンに移送し、5℃未満に急冷し、熱伝導性相変化材料が固化した後、電子部品とともに包装する;
5)あるいは、ステップ3)の完了後、熱伝導性相変化材料でコーティングされた電子部品を放熱フィンとともに直接組み立てて、全体としてパッケージングする。
【0047】
別の態様によれば、本発明は、本明細書で定義されるベースポリマーの熱伝導性相変化物質としての使用に関する。好ましくは、ベースポリマーは熱伝導性相変化組成物に使用される。
【0048】
さらに別の態様によれば、本発明は、本発明の熱伝導性相変化組成物を用いて得られる熱伝導性相変化製品に関する。本発明による熱伝導性相変化製品は、熱伝導性相変化組成物中に様々な成分を混合することによって調製され得る。具体的には、高速撹拌槽に各種成分を添加し、60~90℃に加熱し、-0.085MPaの負圧下、300~500r/mの速度で30~60分間撹拌し、その後、溶融状態で放出し、熱伝導性の相変化製品を得る。
【0049】
熱伝導性相変化製品は、特定の用途に応じて、例えばシート、ストリップ、リング、球、又は立方体の形態など、保管しやすい形態であってもよい。
【0050】
好ましくは、熱伝導性相変化製品は、放熱素子として使用され得る。放熱素子は、例えば、発熱する電子部品と放熱シート部品との間に配置されてもよい。
【0051】
好ましくは、熱伝導性相変化製品は、加熱スクリーン印刷によって発熱電子部品と放熱シート部品との間に塗布又は配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1による熱伝導性相変化材料のDSC分析を示し、その吸熱-発熱挙動を5℃/分の加熱及び冷却速度を使用して研究した。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1による熱伝導性相変化材料のDSC分析を示し、その吸熱-発熱挙動を2℃/分の加熱及び冷却速度を使用して研究した。
【
図3】
図3は、10℃/分の加熱及び冷却速度を使用して研究された、本発明の実施例1による熱伝導性相変化材料の30サイクルにおける吸熱-発熱挙動を示す。
【
図4】
図4は、ベースポリマーAの製造工程(3)で得られたポリエーテルシリコーンオイルのIRスペクトルを示す。
【
図5】
図5は、得られたベースポリマーAのIRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明を、特定の実施例と併せて以下にさらに説明する。
【0054】
実施例で使用した原材料は以下の通りである。
(1)アリルポリオキシエチレンエーテル:繰り返し単位の鎖結合数が18~42である;
(2)水素含有シリコーンオイル:末端水素含有シリコーンオイル、繰り返し単位の鎖結合数が10~80、国家規格GB/T10247-2008粘度測定法標準に従って、毛細管粘度計を使用して25℃で測定した場合、粘度が6~150mm2/s;グレード620V3-150、Jiangxi Bluestar Xinghuo Silicones Co.,Ltd.製;
(3)β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル:分析用純度;
(4)触媒A:カルステッド触媒、白金含有量3000ppm;
(5)触媒B:酸性樹脂、粒径0.335~1.25mm、水素生成率≧99.9%、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体を骨格とする大細孔強酸性陽イオン交換樹脂;
(6)熱伝導性フィラー:工業用グレード、例で特定される特徴を有する;
(7)メチルシリコーンオイル:グレード47V100-1000、Jiangxi Bluestar Xinghuo Silicones Co.,Ltd.製;
(8)酸化防止剤1706:BASF製。
【0055】
1.ベースポリマーの調製:
ステップ1):アリルポリオキシエチレンエーテル1モルを四つ口フラスコに添加し、温度を90℃に上げ、窒素を充填し、機械的に撹拌し、温度が一定になった後、四つ口フラスコに触媒Aを合計10ppm添加した;使用されるアリルポリオキシエチレンエーテルの鎖結合数は、反応生成物におけるn
1の値を決定し、これら2つの値は等しく、その対応関係は以下の表1に示される;
ステップ2):1モルの水素含有シリコーンオイルを、蠕動ポンプを用いて1ml/分の速度で四つ口フラスコに注入した;使用する水素含有シリコーンオイルの鎖結合数は、反応生成物におけるn
2の値を決定し、これら2つの値は等しく、その対応関係を以下の表1に示される;
ステップ3):反応を90℃で5時間実施した。そして、95℃で4時間減圧蒸留を行い、ポリエーテルシリコーンオイルを得た。製品のIRスペクトルにはC-O-C及びSi-O-Si吸収ピークが含まれているが、C=C及びSi-Hピークは含まれておらず、これは、アリルポリオキシエチレンエーテルと水素含有シリコーンオイルが完全に反応したことを示している。例として、
図4に示すように、ベースポリマーAを調製するプロセスのこのステップ3)で得られたポリエーテルシリコーンオイルのIRスペクトルを参照されたい。
ステップ4):ステップ3)で得られたポリエーテルシリコーンオイル1モルとβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル2モルを四つ口フラスコに添加し、窒素を充填し、その後触媒Bを添加し、続いて均一に混合し、140℃で8時間還流下で反応させた;
ステップ5):ステップ4)で得られた溶液をフィルターで濾過し、濾過した透明な溶液を減圧下100℃で4時間蒸留して、以下の構造を有する最終生成物を得た。
【化2】
【0056】
生成物のIRスペクトルはC=O及びAr-Hの吸収ピークを示し、生成物にはすでにβ-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチルが含まれている。例として、
図5に示すように、このステップ(5)で得られたベースポリマーAのIRスペクトルを参照されたい。
【0057】
【実施例】
【0058】
以下の例では、反応生成物としてベースポリマーA~Eを使用する。
【0059】
2.実施例
実施例1
この実施例の熱伝導性相変化材料は、重量部で以下の成分を含む。
ベースポリマーA:20部
ヘキサメチルジシラザン処理酸化亜鉛、中央粒径D50が0.5μm:40部
ヘキサメチルジシラザン処理アルミナ、中央粒径D50が5μm:40部
【0060】
上記各成分を高速撹拌槽に入れ、60℃に加熱し、-0.085MPaの負圧下、500r/mの速度で30分間撹拌し、溶融状態で吐出して、例1の熱伝導性相変化材料を得た。
【0061】
実施例2
この実施例の熱伝導性相変化材料は、重量部で以下の成分を含む。
ベースポリマーB:15部
KH550処理酸化亜鉛、中央粒径D50が1μm:65部
KH550処理窒化ホウ素、中央粒径D50が20μm:20部
【0062】
上記各成分を高速撹拌槽に入れ、70℃に加熱し、-0.085MPaの負圧下、400r/mの速度で20分間撹拌し、溶融状態で吐出して、例2の熱伝導性相変化材料を得た。
【0063】
実施例3
この実施例の熱伝導性相変化材料は、重量部で以下の成分を含む。
ベースポリマーC:10部
ステアリン酸処理アルミナ、中央粒径D50が1μm:40部
ステアリン酸処理アルミナ、中央粒径D50が10μm:50部
【0064】
上記各成分を高速撹拌槽に入れ、70℃に加熱し、-0.085MPaの負圧下、500r/mの速度で30分間撹拌し、溶融状態で吐出して、例3の熱伝導性相変化材料を得た。
【0065】
実施例4
この実施例の熱伝導性相変化材料は、重量部で以下の成分を含む。
ベースポリマーD:20部
ドデシルトリメトキシシラン処理酸化セリウム、中央粒子径D50が1μm:40部
ドデシルトリメトキシシラン処理酸化セリウム、中央粒子径D50が8μm:40部
【0066】
上記各成分を高速撹拌槽に入れ、70℃に加熱し、-0.085MPaの負圧下、500r/mの速度で30分間撹拌し、溶融状態で吐出して、例4の熱伝導性相変化材料を得た。
【0067】
実施例5
この実施例の熱伝導性相変化材料は、重量部で以下の成分を含む。
ベースポリマーE:8部
ヘキサメチルジシラザン処理酸化亜鉛、中央粒径D50が0.5μm:35部
中央粒径D50が2μmの銅粉:30部
中央粒径D50が15μmの銅粉:27部。
【0068】
上記各成分を高速撹拌槽に入れ、70℃に加熱し、-0.085MPaの負圧下、400r/mの速度で40分間撹拌し、溶融状態で吐出して、例5の熱伝導性相変化材料を得た。
【0069】
比較例1
実施例1のベースポリマーを同重量部の粘度350mPa・sのメチルシリコーンオイルに置き換え、その他の成分は実施例1と同様とし、製造プロセスも同様とした。
【0070】
比較例2
実施例2のベースポリマーを同重量部の粘度500mPa・sのメチルシリコーンオイルに置き換え、その他の成分は実施例2と同様とし、製造プロセスも同様とした。
【0071】
比較例3
実施例3のベースポリマーを同重量部の粘度1000mPa・sのメチルシリコーンオイルに置き換え、残りの成分は実施例3と同じであり、製造プロセスも同様とした。
【0072】
比較例4
実施例1のベースポリマーAの代わりに、ベースポリマーの調製プロセスのステップ1)~3)から得られた以下の構造を有するポリエーテルシリコーンオイルを使用した:
【化3】
式中、n
1=18、n
2=13、R
1は-Hである。
一方、残りの成分は実施例2から変更せず、製造プロセスも同様とした。
【0073】
比較例5
実施例2のベースポリマーBの代わりに、ベースポリマーの調製プロセスのステップ1)~3)から得られた以下の構造を有するポリエーテルシリコーンオイルを使用した:
【化4】
式中、n
1=24、n
2=80、R
1は-Hである。
一方、残りの成分は実施例2から変更せず、製造プロセスも同様とした。
【0074】
比較例6
比較例5に、酸化防止剤1076を1部添加し、その他の成分は変更せず、製造プロセスも同様とした。
【0075】
実施例1の材料をDSC分析に供した。その吸熱-発熱挙動を、それぞれ5℃/分と2℃/分の加熱速度と冷却速度を使用して考察し(
図1及び
図2)、また、30サイクルにおける吸熱-発熱挙動を、10℃/分の加熱及び冷却速度を使用して考察した(
図3)。
【0076】
上記実施例及び比較例の材料の諸特性(表1)は、以下の基準に従って試験した。
1)熱伝導率は、ホットディスク装置を使用し、ISO22007規格に従ってサンプルの準備とテストが実行された;
2)融解吸熱ピーク温度は5℃/分の加熱速度でDSCによって測定され、吸熱ピーク頂点として測定された;
3)85℃、85%RH(ダブル85)で1000時間エージングした後の熱伝導率及び融解吸熱ピーク温度;
4)-40℃~125℃の冷熱衝撃を100回繰り返した後の熱伝導率及び融解吸熱ピーク温度;
5)50mm×50mm×2mmの2個の陽極酸化アルミナブロックでサンプルをクランプし、-40℃~125℃の冷熱衝撃を100回繰り返した後に成分の析出があるかどうかを観察した;
6)スクリーン印刷装置を用いて、50mm×50mm×2mmの陽極アルミナブロックに上記実施例及び比較例の熱伝導性相変化材料をそれぞれ塗布し、異なる処理温度において、熱伝導性相変化材料でコーティングできる陽極アルミナブロックの面積パーセンテージを比較した。
【0077】
【0078】
【0079】
図1からわかるように、実施例1のサンプルは5℃の加熱速度で20℃から37℃まで顕著な吸熱挙動を有し、このとき、系内のポリマーは固相から液相に転移し、吸熱ピーク値は約32℃となる;同じ速度での冷却プロセスにおいて、サンプルは14℃から4℃まで顕著な発熱挙動を示し、このとき、系内のポリマーは液相から固相に転移し、発熱ピーク値は約9℃になる。
【0080】
本発明の製品を適用する場合、スクリーン印刷を達成するには、材料の温度を溶融温度範囲よりも高くすることだけが必要である;印刷完了後、冷却温度を液体-固体転移温度より低くして材料を再凝固させるだけでよく、これにより包装と輸送が容易になる。製品のスクリーン印刷の用途に対する本発明の保護範囲には、実施例に含まれる温度範囲が含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
図2から、加熱及び冷却速度の変化によりシステムの相転移温度が変化することがわかる。
【0082】
図3から、本発明の実施例1のサンプルの相転移挙動は、DSC装置を使用して同じ加熱及び冷却速度で試験した場合、30サイクルでほぼ一貫しており、システムが良好な安定性を有することを示していることがわかる。
【0083】
試験結果(表2)を比較すると、実施例1~5のサンプルは、高温高湿エージング及び冷熱衝撃試験後に良好な熱伝導率及び相転移挙動を有することが分かる。また、アルミナブロックをクランプして冷熱衝撃試験を行った後も、成分の分離は起こらず、良好な使用性能を示した。実施例1~5のポリマー構造が異なるため、溶融吸熱ピークもそれに応じて変化し、異なるニーズを満たすようにポリマー構造を変えることによって系の相転移温度を調整できることを示している。本発明には、実施例に含まれる相転移温度が含まれるが、これに限定されない。
【0084】
比較例1~3については、相転移能を有するベースポリマーを使用していないため、相転移挙動を示さない。アルミナブロックをクランプして冷熱衝撃試験を行うと、シリコーンオイルの一部の析出による系の増粘や乾燥が発生し、使用性能に影響を及ぼす。
【0085】
比較例4~5については、本発明の実施例と同じ条件で、ベースポリマーに抗酸化基が無いため、材料が高温多湿、冷熱衝撃などの環境試験において酸化されやすく、硬化したり相転移挙動が失われ、正常に使用できなくなる。
【0086】
比較例6については、酸化防止剤成分の添加により比較例4、5に比べて耐高温高湿性は向上するものの、冷熱衝撃を複数回受けるとサンプルが局所的に硬化し、硬化した部品は相転移挙動を失った。
【0087】
処理性能の比較結果(表3)から、実施例1~5のサンプルは相転移温度以上に加熱した場合に良好なスクリーン印刷を行うことができることがわかる。
【0088】
比較例1、2のサンプルは粘度が低いため、スクリーン印刷の用途にも対応できる。ただし、相転移挙動を持たないため、スクリーン印刷後に温度を下げても固化せず、梱包時や輸送時に接触され部分的に拭き取られる恐れがある。しかし、実施例1~5のサンプルは、固化後は軽く触れても拭き取れない。
【0089】
比較例3のサンプルは、粘度が高すぎるため、スクリーン印刷効果が十分に得られず、処理温度を高くしても顕著な改善は見られない。
【0090】
比較例4、5、6のサンプルについては、実施例1、2と比較してベースポリマーに防酸化基が存在しない点のみが異なり、他の特性への影響はほとんどなく、スクリーン印刷効果への明らかな影響はない。