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特許7602668空気供給装置、燃料電池システム、および車両
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  • 特許-空気供給装置、燃料電池システム、および車両 図1
  • 特許-空気供給装置、燃料電池システム、および車両 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】空気供給装置、燃料電池システム、および車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20241211BHJP
   H01M 8/04111 20160101ALI20241211BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20241211BHJP
   H01M 8/249 20160101ALI20241211BHJP
   B60L 50/72 20190101ALI20241211BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04111
H01M8/04 N
H01M8/00 Z
H01M8/249
B60L50/72
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023565849
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2022062291
(87)【国際公開番号】W WO2022234090
(87)【国際公開日】2022-11-10
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】102021204650.9
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522100316
【氏名又は名称】セルセントリック・ゲーエムベーハー・ウント・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・プロクター
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特表2024-522962(JP,A)
【文献】特表2005-507136(JP,A)
【文献】特表2011-511731(JP,A)
【文献】特開2019-160726(JP,A)
【文献】特開2015-015100(JP,A)
【文献】特開2019-087325(JP,A)
【文献】特表2013-506258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0355117(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-3/12
7/00-13/00
15/00-58/40
H01M 8/04-8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2段圧縮による燃料電池システム用の空気供給装置(27)であって、ターボコンプレッサー(15、16)が、電気的に並列接続された燃料電池スタック(2、3)への供給用に前記燃料電池スタック(2、3)の各々に対して設けられており、前記ターボコンプレッサー(15、16)が、それぞれの前記燃料電池スタック(2、3)のための排気タービン(17、18)と機械的に連結されており、圧縮された空気の流れ方向においてそれぞれの前記ターボコンプレッサー(15、16)の前に、少なくとも1つの電動のフローコンプレッサー(28)が設けられており、前記フローコンプレッサー(28)が、前記ターボコンプレッサー(15、16)の少なくとも2つに対して並列に空気を供給することを特徴とする、前記空気供給装置(27)。
【請求項2】
前記排気タービン(17、18)の少なくとも1つが、可変のタービン案内羽根(33、34)を有することを特徴とする請求項1に記載の空気供給装置(27)。
【請求項3】
前記排気タービン(17、18)の各々が、可変のタービン案内羽根(33、34)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気供給装置(27)。
【請求項4】
少なくとも1つの可変のタービン案内羽根(33、34)および前記フローコンプレッサー(28)の駆動モータ(29)が、共通の制御部(30)によって制御されることを特徴とする請求項1または2に記載の空気供給装置(27)。
【請求項5】
1つのフローコンプレッサー(28)および正確に2つのターボコンプレッサー(15、16)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気供給装置(27)。
【請求項6】
給気冷却器(21、22)が、流れ方向においてそれぞれの前記ターボコンプレッサー(15、16)の後ろに配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の空気供給装置(27)。
【請求項7】
少なくとも2つの燃料電池スタック(2、3)および請求項1または2に記載の空気供給装置(27)を備えた燃料電池システム。
【請求項8】
請求項7に記載の燃料電池システムを備えた車両(1)。
【請求項9】
商用車として設計されていることを特徴とする請求項8に記載の車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2段圧縮による燃料電池システム用の空気供給装置に関する。さらに本発明は、このような空気供給装置を備えた燃料電池システムおよびそのような燃料電池システムを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば定置型の用途のための、またはさらにはとりわけ車両用の電動出力部としての、電力を生成するための燃料電池システムの使用は、大体のところでは先行技術から知られている。これに関しては、カソード側で酸素供給源としての空気が供給されるPEM燃料電池が用いられることが多い。この場合には、空気供給のためにしばしば1段式フローコンプレッサーが用いられる。特に多いのは、このフローコンプレッサーが、排気タービンおよび電気機械と結合されており、いわゆる電気ターボチャージャまたはモータ支援型ターボチャージャを形成することである。つまり、それぞれの燃料電池の排気中に内包されているエネルギーが、少なくとも部分的に回収されて、空気供給に用いられ得る。
【0003】
常に問題となるのは、このような構造が、サージング限界に非常に近い動作特性曲線で動作するということである。したがって部分負荷運転中に、サージング限界を上回ることなく、燃料電池の信頼できる供給を保証するために、ウェイスト・ゲート・バルブとも呼ばれるいわゆる逃し弁が存在しているのが典型的である。
【0004】
これは実際に、一方では動作点の自由な選択を制限し、他方では既に圧縮された供給空気が逃し弁を通って流れる場合、排気タービン内では、圧縮時に送給されたエネルギーの一部しか再び回収され得ないので、出力損失を生じさせる。
【0005】
この問題に対処するため、特許文献1からは、2段式システムとして形成された燃料電池空気供給システムが知られている。これにより、サージング限界に左右されずに、体積流量および圧力の高い可変性が実現され得る。この構造は、第1の段が電動のフローコンプレッサーによって、および第2の圧縮段がターボコンプレッサーによって形成されるようになっている。ターボコンプレッサーはシャフトを介して直接的に排気タービンと連結されており、したがってフリーランナーとして実現されている。この場合、排気タービンが可変のタービン案内羽根を有している。そこで説明されている構造では、それでもなお逃し弁が引き続き設けられているが、しかしここでは原理的にはなくても済むであろう。
【文献】WO 02/086997 A2
【0006】
今では燃料電池システムは、比較的大きな出力を提供するために、例えば乗合バス、トラック、またはその類似物のような商用車の駆動のために、ますます用いられるようになっている。これに関し、出力の簡単で、場合によっては商用車の様々な大きさに合わせてスケーリング可能でもある適合を達成するために、燃料電池システム内では複数の燃料電池スタックが電気的に組み合わされる。典型的な構造は、このような構造内で例えば2つの電気的に並列接続された燃料電池スタックを設けている。両方の燃料電池スタックは、燃料供給に関しても空気供給に関しても互いに独立して制御されるべきなので、一般的な先行技術から知られた構造では、典型的には2つの空気供給システムが互いに並列に設けられている。たいていこれは、2つの別々の、冒頭に記載した意味における電気ターボチャージャであり、これらの電気ターボチャージャは、この場合、2つの逃し弁、2つの変換器、2つの電気モータ、およびその類似物を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、先行技術から原理的に知られているこの構造を相応に簡略化すること、および燃料電池システムの空気供給の際に達成されるべき可変性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明により、この課題は、請求項1における、ここではとりわけ請求項1の特徴部分における特徴を有する燃料電池システム用の空気供給装置によって解決される。さらに、このような空気供給装置を備えた燃料電池システムがこの課題を解決する。このような燃料電池システムを備えた車両もこの課題を解決し得る。さらに、空気供給装置および車両の有利な形態および変形形態は従属請求項から明らかである。
【0009】
本発明による空気供給装置は、電気的に並列に動作する燃料電池スタックに供給するために、これら燃料電池スタックの各々に対してターボコンプレッサーを設けており、このターボコンプレッサーは、それぞれの燃料電池スタックのための排気タービンと機械的に連結されている。これに関し、圧縮された空気の流れ方向においてターボコンプレッサーの前に、少なくとも1つの電動のフローコンプレッサーが設けられており、このフローコンプレッサーはそれぞれ、ターボコンプレッサーの少なくとも2つに対して並列に空気を供給する。
【0010】
それぞれフリーランナーとして、排気タービンと直接的に機械的に結合して形成されているターボコンプレッサーは、ここではつまり、2段式空気供給装置の第2のコンプレッサー段となっている。これらのターボコンプレッサーは、それぞれ燃料電池スタックの1つに割り当てられており、これらの燃料電池スタックは、システム全体の中では並列に動作しており、典型的には並列に電気接続されている。ただし電気的直列接続も原理的には考えられるであろう。
【0011】
ここでは、空気供給装置内での圧縮の第1の段は、ターボコンプレッサーのそれぞれ少なくとも2つに対して1つの電動のフローコンプレッサーによって形成されている。つまり、2つの燃料電池スタックを備えた典型的な構造の場合、第1の圧縮段としての1つの電動のフローコンプレッサーが、圧縮の第2の段としての2つのターボコンプレッサーに供給し、これらのターボコンプレッサーの方は、それぞれ1つの割り当てられた燃料電池スタックに供給する。その後、この燃料電池スタックのカソード側の排気が、それぞれのターボコンプレッサーと結合した排気タービンを経て周囲に到達し、これにより排気中の残留エネルギーが排気タービンを介して、それぞれの燃料電池スタックのための第2の圧縮段を駆動する。この場合、両方のターボコンプレッサーが共通のフローコンプレッサーを有し、このフローコンプレッサーは、ターボコンプレッサーに低圧側で空気を供給し、それにより両方のターボコンプレッサーに共通の、圧縮の第1の段を形成する。
【0012】
したがってこの構造は、サージング限界を超えるという危険を冒すことなく、動作点の選択の際に高い自由度を有するために、2段圧縮の利点を利用することを可能にする。そのうえこの構造は、第2の段としての両方のターボコンプレッサーの領域では、電気機械なしで、単純かつ効率的なフリーランナーになっているので、コンパクトで効率的である。この構造は、圧縮の第1の段として、1つの同様に単純なフローコンプレッサーを用い、このフローコンプレッサーは、中程度の回転数および相応に単純で安価な駆動モータの場合に必要な空気量を提供するため、例えば、両方のターボコンプレッサーより大きな周長のコンプレッサーホイールを有し得る。
【0013】
総括すると、この構造は、両方の並列の燃料電池スタックのために、相応の変換器を備えた1つだけの電気モータしか必要とせず、かつ2段圧縮により、とりわけ逃し弁をなくすことができる。これは、節減されたコンポーネントに関して、とりわけ節減された電気コンポーネントおよびその制御に関して、費用および設置空間のかなりの利点を生じさせる。
【0014】
本発明による空気供給装置の非常に好適な一変形形態によれば、排気タービンの少なくとも1つが、可変のタービン案内羽根を有する。好ましくは、有利な一変形形態によれば、すべての排気タービンが可変のタービン案内羽根を有してもよい。第2の圧縮段でのターボコンプレッサーを駆動する際の高い可変性を実現するために、排気を介して燃料電池からそれぞれの排気タービンに提供されるエネルギーは、排気タービンの領域でのこのような可変のタービン案内羽根により、相応に変化させられ得る。これにより、両方の並列に動作する燃料電池スタックは、それに供給される空気の量に関して互いに十分に独立して制御され得る。これは、燃料電池スタックの空気供給に関し、それぞれの燃料電池スタックの非常に有利で、別の燃料電池スタックから十分に独立した動作を可能にする。こうして、アノード側にある簡単に制御され得る水素用ドージングバルブと併せて、燃料電池スタックの各々は、それぞれ別の燃料電池スタックから独立して動作し得る。
【0015】
さらなる非常に決定的な一態様は、制御部に関するコストも減らすために、少なくとも1つの可変のタービン幾何形状およびフローコンプレッサーの電動モータが、共通の制御部によって制御されることにある。制御部は、とりわけ、それぞれの燃料電池スタックのアノード側への水素のドージングも制御できることにより、少なくとも2つの並列に動作する燃料電池スタック内でもたらされる電力を個別に制御し得る。
【0016】
既に言及したように、特に好適な一形態によれば、この構造は、正確に1つのフローコンプレッサーおよび正確に2つのターボコンプレッサーを有することができ、かつ2つの並列に動作する燃料電池スタックに空気供給するために設けられ得る。
【0017】
さらなる有利な一形態は、これに加えて、流れ方向においてターボコンプレッサーの後ろにそれぞれ給気冷却器が配置されていることにより、2段圧縮プロセスにおける圧縮後には熱く、典型的には乾燥している過給気を、相応に冷却し、場合によっては給気冷却器に接続されたまたは給気冷却器と組み合わされた加湿器を介して加湿する。
【0018】
本発明による燃料電池システムは、少なくとも2つの燃料電池スタックおよび説明した方式での空気供給装置を含み得る。これにより、1つの燃料電池システム内の少なくとも2つの燃料電池スタックの効率的な動作および個別の制御に対し、空気供給に関して説明した利点および空気供給を介して開かれた可能性が、理想的に利用され得る。
【0019】
それに応じて本発明による車両は、少なくとも2つの、好ましくは正確に2つの燃料電池スタックを備えたこのような燃料電池システムを含む。この車両は、商用車として、例えばトラックまたは乗合バスとして形成されていてもよい。
【0020】
本発明による空気供給装置ならびに本発明による燃料電池システムおよび/または車両のさらなる有利な形態は、以下に図を参照しながら詳しく解説する例示的実施形態からも明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】先行技術に基づく2つの燃料電池スタックおよび2つの空気供給システムを備えた燃料電池システムを示す図である。
図2】本発明に基づく可能な一実施形態での空気供給装置を備えた構造を図1での構造に倣って示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1の表現では、車両1、例えば商用車が非常に強く概略化されて示唆されている。車両1は、その電動出力または電動出力の少なくとも一部を2つの燃料電池スタック2、3から受け取ることとする。燃料電池スタック2、3は、このために並列に動作し、とりわけ電気的に並列接続されている。この構造は、例えば圧縮ガス貯蔵器、クライオ貯蔵器、またはその類似物として形成され得る共通の水素源4を有する。水素源4により水素が、2つの別々の圧力調整バルブおよびドージングバルブ5、6を経て両方の燃料電池スタック2、3のアノード室7、8に導かれる。未使用の水素は、ここで図示した例示的実施形態では排ガスと一緒に周囲に到達する。
【0023】
これは単なる概略図にすぎない。ここでは例えばアノード回路のようなさらなるコンポーネントが配置され得ること、または排ガスを相応に希釈するために例えば排気に送給する措置がとられ得ることが、当業者には明白である。しかしながらアノード側は本発明にとっては付随的なものなので、これにさらには立ち入らない。
【0024】
両方の燃料電池スタック2、3の両方のカソード室9、10に空気を供給するために、先行技術に基づくこの構成では、それぞれ電気ターボチャージャ11、12が設けられている。電気ターボチャージャ11、12は両方とも、電動機13、14およびターボコンプレッサー15、16を有する。この両方のコンポーネントと一緒に共通のシャフトに、さらにこの電気ターボチャージャの排気タービン17、18がそれぞれ配置されている。加えて、それぞれの燃料電池スタック2、3への給気管19、20にはそれぞれ給気冷却器21、22が設けられている。さらに両方の燃料電池スタック2、3への給気管19、20が、ウェイスト・ゲート・バルブとも呼ばれるいわゆる逃し弁23、24を介して燃料電池スタック2、3のそれぞれの排気管25、26と結合していることで、それぞれの燃料電池スタック2、3が部分負荷運転で動作する場合に、それぞれのターボコンプレッサー17、18の後の圧縮された空気を必要の際に放出することができる。これは、特定の動作点でのサージング限界の上回りを確実に阻止するために必要である。この構造は、両方の燃料電池スタック2、3の互いに独立した空気供給を可能にするが、しかし必要とされる部品およびその制御に関して比較的複雑である。
【0025】
そこで図2の表現では、ここで決定的な利点を提供する空気供給装置27を備えた構造を示している。供給管および排出管ならびに両方の給気冷却器21、22を備えた両方の燃料電池スタック2、3は、図1での表現に倣って示されており、かつ理解され得る。この構造にも、燃料電池システムのここでも例示的および概略的にのみ図示されたアノード側全体にも、さらには立ち入らない。
【0026】
ここでは空気供給装置27が、両方の燃料電池スタック2、3の互いに独立した空気供給に役立ち、かつ2段式空気供給装置27として形成されている。第1の段は、両方の燃料電池スタック2、3に対して共通の、電動機29を備えたフローコンプレッサー28である。この電動機29は、後でまた言及するさらなる部品と同様に、共通の制御部30によって相応に制御される。この場合、フローコンプレッサー28の空気流が、2つの並列の吸入管31、32に分割され、ここでもまた図1での表現に倣って符号15、16が付された2つのターボコンプレッサーに空気を供給する。したがってこの両方のターボコンプレッサー15、16が第2の圧縮段を形成し、この第2の圧縮段によって圧縮された空気を酸素供給源として、給気冷却器21、22を介して給気管19、20により両方の燃料電池スタック2、3のカソード室9、10に届ける。
【0027】
先行技術に基づく図1での構造とは違い、この両方のターボコンプレッサー15、16は、いわゆるフリーランナーとして形成されており、それぞれの排気タービン17、18と共通のシャフト上に配置されている。ただしこの構造は、先行技術に基づく両方の電気ターボチャージャ12、13の電気機械がなく、はるかに単純で効率的に実現され得る。ここでは、これまで図1の枠内で説明してきた構造に加えて、両方の排気タービン17、18がそれぞれ可変のタービン案内羽根33、34を有する。これに関し、このタービン案内羽根33、34の互いに独立した制御が、共通の制御部30によって提供される。これにより、フローコンプレッサー28による圧縮の第1の段が共有されている場合、両方のターボコンプレッサー15、16を介してそれぞれの燃料電池スタック2、3またはそのカソード室9、10に送給される空気量を互いに独立して相応に調整することができる。図1の先行技術での構造の場合と同等に、少ない部品による比較的単純な構造にもかかわらず、両方の燃料電池スタック2、3の空気供給が互いに独立して制御され得る。こうして、いずれにしても非常に簡単に独立して実行されるべきドージングバルブ5、6の制御と併せて、両方の燃料電池スタック2、3の互いに十分に独立した動作が可能である。そのうえこの2段式により、逃し弁23、24をなくすことができ、とはいえ原理的にはもちろん、例えばシステムバイパス以外の理由から必要とされるかまたはそれに類する場合には、逃し弁23、24が設けられていてよいであろう。

図1
図2