(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】排気ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/023 20060101AFI20241211BHJP
【FI】
F01N3/023 K
(21)【出願番号】P 2023580929
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 JP2022042260
(87)【国際公開番号】W WO2024105737
(87)【国際公開日】2024-05-23
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】見野越 洋行
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0679939(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第2003-0030699(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに接続された排気流路に設けられるフィルタと、
前記排気流路における前記フィルタの下流側に設けられる回転羽根と、
1つまたは複数のプロセッサ、および、前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリを有する制御装置と、
を備え、
前記プロセッサは、
前記排気流路を流れる排気ガスの流れによって受動的に回転する前記回転羽根の回転速度に基づいて、前記フィルタにおける粒子状物質の堆積量を推定する推定処理、または、前記フィルタを再生する再生処理の少なくともいずれかを含む処理を実行する、排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記回転羽根の回転速度の推移に基づいて、前記推定処理または前記再生処理を実行する、請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記エンジンの動作時間の経過に伴い、前記回転羽根の回転速度が、第1回転速度以上に増加した後に、前記第1回転速度未満の第2回転速度以下に減少したとき、前記推定処理または前記再生処理を実行する、請求項2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記排気流路を流れる排気ガスの流量が定常状態である場合の前記回転羽根の回転速度に基づいて、前記推定処理または前記再生処理を実行する、請求項1または2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記回転羽根の回転速度を、前記排気流路を流れる排気ガスの流量で補正した補正値に基づいて、前記推定処理または前記再生処理を実行する、請求項1または2に記載の排気ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンから排気される排気ガスには、煤等の粒子状物質が含まれる。このため、車両には、粒子状物質を取り除くフィルタとして、DPF(Diesel Particulate Filter)またはGPF(Gasoline Particulate Filter)が設けられている。このようなフィルタでは、フィルタに形成された孔で粒子状物質を捕捉することにより、排気ガスから粒子状物質を取り除く。フィルタは、使用を継続するに従い、粒子状物質によって目詰まりする。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に示されるように、フィルタの前後の差圧に基づいて、フィルタにおける粒子状物質の堆積量を推定する技術が広く用いられている。この技術では、差圧が所定の圧力閾値まで増加したら、フィルタにおける粒子状物質の堆積量が所定の量閾値まで増加したと推定して、フィルタに対し再生処理が実行される。再生処理は、フィルタに空気を送り、粒子状物質を燃焼させてフィルタから除去する処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、フィルタの前後の差圧は、フィルタにおける粒子状物質の堆積量のみならず、堆積分布によって変動する。このため、フィルタでは、粒子状物質の堆積量が量閾値以上であるにも拘わらず、差圧が圧力閾値未満となる場合、または、粒子状物質の堆積量が量閾値未満であるにも拘わらず、差圧が圧力閾値以上となる場合がある。
【0006】
粒子状物質の堆積量が量閾値以上であるにも拘わらず、差圧が圧力閾値未満となる堆積分布である場合、差圧が圧力閾値になったときには、粒子状物質の堆積量はすでに量閾値をはるかに上回っている。このため、差圧が圧力閾値になったときに再生処理が実行されると、粒子状物質が異常燃焼してしまうおそれがある。
【0007】
一方、粒子状物質の堆積量が量閾値未満であるにも拘わらず、差圧が圧力閾値以上となる堆積分布である場合、差圧が圧力閾値になったときであっても、粒子状物質の堆積量は、まだ量閾値未満である。このため、フィルタが目詰まりしていなくても、差圧が圧力閾値になったときに再生処理が不要に実行されてしまう。
【0008】
したがって、フィルタの前後の差圧に基づいて堆積量を推定すると、適切なタイミングで再生処理が実行できないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、このような課題に鑑み、フィルタの前後の差圧以外の基準に基づいて、適切なタイミングで再生処理を実行することが可能な排気ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一実施の形態に係る排気ガス浄化装置は、
エンジンに接続された排気流路に設けられるフィルタと、
前記排気流路における前記フィルタの下流側に設けられる回転羽根と、
1つまたは複数のプロセッサ、および、前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリを有する制御装置と、
を備え、
前記プロセッサは、
前記排気流路を流れる排気ガスの流れによって受動的に回転する前記回転羽根の回転速度に基づいて、前記フィルタにおける粒子状物質の堆積量を推定する推定処理、または、前記フィルタを再生する再生処理の少なくともいずれかを含む処理を実行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィルタの前後の差圧以外の基準に基づいて、適切なタイミングで再生処理を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両の構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係るフィルタにおける粒子状物質の堆積分布と、フィルタを通過する排気ガスの流れとの関係を説明する第1の図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係るフィルタにおける粒子状物質の堆積分布と、フィルタを通過する排気ガスの流れとの関係を説明する第2の図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係るフィルタにおける粒子状物質の堆積分布と、フィルタを通過する排気ガスの流れとの関係を説明する第3の図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係るエンジンの動作時間と回転羽根の回転速度との関係を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係るフィルタ220の再生方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第1の変形例に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第1の変形例に係るフィルタの再生方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第2の変形例に係るフィルタの再生方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第3の変形例に係るフィルタの再生方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両100の構成を示す概略図である。なお、
図1中、破線の矢印は、信号の流れを示す。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る車両100は、エンジン110と、吸気流路120と、排気流路130と、マフラ140と、排気ガス浄化装置200とを含む。
【0016】
車両100は、エンジン110を駆動源として備える。エンジン110は、ガソリンエンジンである。ただし、本発明に係る車両は、この例に限定されず、例えば、エンジン110に加えてモータを駆動源として備えるハイブリッド車両であってもよい。
【0017】
エンジン110の吸気ポートには、吸気マニホールドが連通される。吸気マニホールドの集合部には、吸気流路120が連通される。吸気流路120は、例えば、配管で構成される。
【0018】
エンジン110の排気ポートには排気マニホールドが連通される。排気マニホールドの集合部には、排気流路130が連通される。排気流路130は、例えば、配管で構成される。エンジン110から排気された排気ガスは、排気流路130を流れる。以下、排気ガスの流れ方向の上流を単に「上流」という場合がある。また、排気ガスの流れ方向の下流を単に「下流」という場合がある。
【0019】
排気流路130には、排気ガス浄化装置200と、マフラ140とが設けられる。排気ガス浄化装置200は、排気流路130におけるエンジン110とマフラ140との間に設けられる。排気ガス浄化装置200は、エンジン110から排気された排気ガスを浄化する。排気ガス浄化装置200によって浄化された排気ガスは、マフラ140を通じて外部に排気される。
【0020】
続いて、排気ガス浄化装置200の構成および機能の詳細について説明する。
【0021】
[排気ガス浄化装置200]
図1に示すように、排気ガス浄化装置200は、触媒装置210と、フィルタ220と、回転羽根230と、モータ240と、制御装置250とを含む。
【0022】
触媒装置210は、排気流路130におけるエンジン110とマフラ140との間に設けられる。触媒装置210は、例えば、三元触媒を含む。三元触媒は、例えば、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の触媒金属である。触媒装置210は、エンジン110から排出された排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を除去する。
【0023】
フィルタ220は、排気流路130における触媒装置210の下流側に設けられる。換言すれば、フィルタ220は、排気流路130における触媒装置210とマフラ140との間に設けられる。フィルタ220は、例えば、円柱形状である。フィルタ220は、フィルタ220の上流側に接続される排気流路130aと同軸上に配置される。
【0024】
本実施形態において、フィルタ220は、例えば、GPF(Gasoline Particulate Filter)である。フィルタ220は、排気ガスに含まれる粒子状物質を捕捉する。粒子状物質は、例えば、煤を含む。フィルタ220は、例えば、ウォールフロー型である。
【0025】
回転羽根230は、排気流路130におけるフィルタ220の下流側に設けられる。本実施形態において、回転羽根230は、排気流路130を流れる排気ガスの流れによって受動的に回転可能に構成される。また、回転羽根230は、後述するモータ240によって能動的に回転することも可能である。
【0026】
本実施形態において、回転羽根230の回転軸は、例えば円柱形状のフィルタ220の中心軸と同軸である。つまり、排気流路130aの中心軸、フィルタ220の中心軸、および、回転羽根230の回転軸は、同一直線上に配置される。これにより、フィルタ220を通過した排気ガスにより回転する回転羽根230の回転速度と、フィルタ220に堆積した粒子状物質の堆積分布および堆積量との相関性が高くなるので、当該堆積量をより高精度に推定可能となる。
【0027】
モータ240は、回転羽根230を回転させる。本実施形態において、フィルタ220の再生処理が実行される際、モータ240は、回転羽根230に接続されて、回転羽根230を回転させる。モータ240によって回転羽根230が回転されることにより、フィルタ220を流れるガスの流速を増加させることができる。
【0028】
また、フィルタ220の再生処理が実行されていない場合、モータ240と回転羽根230との接続は解除され、回転羽根230は排気ガスの流れによって自由に回転可能となる。また、フィルタ220の再生処理が実行されていない場合、モータ240の動作は停止される。
【0029】
制御装置250は、1つまたは複数のプロセッサ252と、プロセッサ252に接続される1つまたは複数のメモリ254とを有する。プロセッサ252は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。メモリ254は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。ROMは、CPUが使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する記憶素子である。RAMは、CPUにより実行される処理に用いられる変数およびパラメータ等のデータを一時記憶する記憶素子である。
【0030】
制御装置250は、車両100に設けられる各装置(例えば、エンジン110、回転羽根230、モータ240等)と通信を行う。制御装置250と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態に係る制御装置250の機能構成の一例を示すブロック図である。例えば、
図2に示すように、制御装置250は、信号取得部260と、堆積量推定部262と、エンジン制御部264と、モータ制御部266と、記憶部270とを有する。なお、信号取得部260、堆積量推定部262、エンジン制御部264、および、モータ制御部266により行われる以下で説明する処理を含む各種処理は、プロセッサ252によって実行され得る。詳細には、メモリ254に記憶されているプログラムをプロセッサ252が実行することにより、各種処理が実行される。
【0032】
信号取得部260は、回転羽根230の回転速度(回転数)を取得する。本実施形態において、信号取得部260は、フィルタ220に対する再生処理が不実行であり、かつ、排気流路130を流れる排気ガスの流量が定常状態である場合の回転羽根230の回転速度を取得する。なお、定常状態は、排気ガスの流量が略一定、例えば、当該流量の変化率が±5%以内となる状態である。定常状態は、例えば、エンジン110の暖機運転中に排気ガスの流量が略一定となる状態である。
【0033】
堆積量推定部262は、回転羽根230の回転速度の推移に基づいて、フィルタ220における粒子状物質の堆積量を推定する推定処理を実行する。ここで、回転羽根230の回転速度の推移とは、エンジン110の動作中において回転羽根230の回転速度が時間の経過に伴って変化する際の当該回転速度の時間的な推移である。
【0034】
図3~
図5は、本発明の一実施形態に係るフィルタ220における粒子状物質の堆積分布と、フィルタ220を通過する排気ガスの流れとの関係を説明する図である。なお、
図3~
図5中、片側斜線ハッチングの領域は、粒子状物質が堆積していない領域を示し、クロスハッチングの領域は、粒子状物質が堆積している領域を示す。また、
図3~
図5中、矢印は、排気ガスの流れを示す。
【0035】
上記したように、排気流路130aの中心軸およびフィルタ220の中心軸は、同一直線上に配置されている。このため、
図3に示すように、フィルタ220の全ての領域に粒子状物質がほとんど堆積していない第1の状態である場合、排気流路130aからフィルタ220に供給された排気ガスは、フィルタ220の中心軸を含む中央領域220aを直進する。第1の状態のフィルタ220は、新品のフィルタ220、または、再生処理が実行された直後のフィルタ220である。
【0036】
粒子状物質は、フィルタ220における、排気ガスが通過した領域に捕捉される。したがって、粒子状物質は、まず、フィルタ220の中央領域220aに堆積する。
【0037】
一方、フィルタ220の圧力損失の大きさは、粒子状物質の堆積量に依存する。具体的に説明すると、フィルタ220において、粒子状物質の堆積量が多いほど、圧力損失は大きくなる。このため、排気流路130aからフィルタ220に供給された排気ガスは、堆積量の多い領域よりも、堆積量の少ない領域を優先的に流れることになる。したがって、
図3~
図5に示すように、第1の状態から、エンジン110の動作時間が経過するに従って、粒子状物質が堆積する領域は、フィルタ220の中央領域220aから外周領域220bに向かって拡張される。
【0038】
続いて、フィルタ220を通過する排気ガスの流れ、および、回転羽根230の回転速度について説明する。
【0039】
図3に示すように、フィルタ220にほとんど粒子状物質が堆積していない第1の状態である場合、排気流路130aを流れる排気ガスは、略直進してフィルタ220の中央領域220aを通過し、回転羽根230に到達する。したがって、排気ガスは、主に、回転羽根230の回転軸(中央部分)および回転軸の近傍に対して当たることになる。
【0040】
そして、第1の状態からエンジン110の動作時間が経過すると、フィルタ220への粒子状物質の堆積量が増加し、フィルタ220は、第1の状態から第2の状態へ移行する。
【0041】
図4に示すように、フィルタ220が第2の状態である場合、フィルタ220の中心軸を含む中央領域220aに粒子状物質が堆積している。上記したように、粒子状物質が堆積した領域は、圧力損失が大きい。このため、排気ガスは、粒子状物質が堆積した中央領域220aよりも、粒子状物質が堆積していない外周領域220bを優先的に流れる。したがって、排気ガスは、主に、回転羽根230の外周部分および外周部分の近傍に対して当たることになる。
【0042】
回転羽根230を回転させるためのトルクTは、回転羽根230に作用する力Fと、当該力Fが作用する回転羽根230の位置から回転軸までの距離Lとに依存する(T=F×L)。回転羽根230に作用する排気ガスの流量は上記「力F」に相当し、回転羽根230に排気ガスが当たる位置から回転軸までの距離は上記「距離L」に相当する。したがって、回転羽根230の回転速度は、回転羽根230に作用する排気ガスの流量と、回転羽根230に排気ガスが当たる位置から回転軸までの距離に依存する。したがって、排気ガスの流量が略一定である場合、回転羽根230の中央部分に排気ガスが当たるときよりも、回転羽根230の外周部分に排気ガスが当たるときの方が、回転羽根230の回転速度は大きくなる。このため、フィルタ220が第2の状態である場合、回転羽根230の回転速度は、第1の状態よりも大きくなる。
【0043】
そして、第2の状態からエンジン110の動作時間が経過すると、フィルタ220への粒子状物質の堆積量がさらに増加し、フィルタ220は、第2の状態から第3の状態へ移行する。
【0044】
図5に示すように、フィルタ220が第3の状態である場合、フィルタ220の全ての領域に粒子状物質が堆積している。このため、排気ガスは、フィルタ220全体を通過する。したがって、排気ガスは、回転羽根230全体に対して概ね均等に当たることになる。そうすると、フィルタ220が第3の状態である場合、回転羽根230の回転速度は、第2の状態よりも小さくなる。また、フィルタ220が第3の状態である場合、回転羽根230の回転速度は、第1の状態よりも大きくなる。
【0045】
図6は、本発明の一実施形態に係るエンジン110の動作時間と回転羽根230の回転速度との関係を示す図である。
図6中、横軸は、エンジン110の動作時間を示す。また、
図6中、縦軸は、回転羽根230の回転速度を示す。
【0046】
図6に示すように、例えば、フィルタ220が第1の状態(
図3参照。)である時刻t1において、回転羽根230の回転速度が回転速度Riniであるとする。上記したように、第1の状態からエンジン110の動作が継続されると、粒子状物質が堆積する領域は、フィルタ220の中央領域220aから外周領域220bに向かって拡張される。このため、第1の状態から時間の経過に伴い、回転羽根230に対して排気ガスが当たる箇所は、回転羽根230の中央から外周(先端)に移動する。したがって、第1の状態から時間の経過に伴い、回転羽根230の回転速度は、回転速度Riniから徐々に増加する。
【0047】
そして、フィルタ220が第2の状態(
図4参照。)となる時刻t2において、回転羽根230の回転速度は、最大の回転速度Rmaxになる。
【0048】
時刻t2からさらに時間が経過すると、フィルタ220の全ての領域に粒子状物質が堆積するようになるため、排気ガスは、回転羽根230全体に対して当たるようになる。このため、時刻t2以降、時間の経過に伴って、回転羽根230の回転速度は、回転速度Rmaxから徐々に減少する。
【0049】
図2に戻って説明すると、本実施形態において、堆積量推定部262は、後述する記憶部270に記憶された相関情報を参照し、回転羽根230の回転速度に基づいて、フィルタ220における粒子状物質の堆積量を推定する推定処理を実行する。なお、相関情報は、フィルタ220における粒子状物質の堆積量と、回転羽根230の回転速度との相関を示す情報である。相関情報は、実験、または、シミュレーションによって作成され、予め記憶部270に記憶される。
【0050】
エンジン制御部264は、エンジン110を制御する。本実施形態において、エンジン制御部264は、堆積量推定部262によって推定された粒子状物質の堆積量が、所定の量閾値Tha以上となった場合に、エンジン110に対し燃料カットして、フィルタ220に空気を送り、再生処理を実行する。なお、量閾値Thaは、再生処理において異常燃焼させずに粒子状物質を燃焼できる堆積量の最大値に決定される。例えば、量閾値Thaは、回転羽根230の回転速度が最大値である回転速度Rmaxに到達した後、回転速度の変化率がマイナスに推移する過程において、回転速度が回転速度Rthaとなる場合の粒子状物質の堆積量に決定される(
図6参照。)。量閾値Thaを示す情報は、記憶部270に予め記憶される。
【0051】
モータ制御部266は、再生処理が実行されている間、モータ240を回転羽根230に接続して、モータ240を動作させる。
【0052】
記憶部270は、上記相関情報、および、量閾値Thaを示す情報を記憶する。
【0053】
[再生方法]
続いて、上記排気ガス浄化装置200を用いたフィルタ220の再生方法について説明する。
図7は、本発明の一実施形態に係るフィルタ220の再生方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示すように、本実施形態に係る再生方法は、定常状態判定処理S110と、取得処理S112と、推定処理S114と、減少判定処理S116と、堆積量判定処理S118と、再生処理S120とを含む。以下、各処理について説明する。なお、本実施形態において、所定の時間間隔毎に生じる割込によって再生方法が繰り返し遂行される。
【0054】
[定常状態判定処理S110]
信号取得部260は、排気流路130を流れる排気ガスの流量が定常状態であるか否かを判定する。その結果、定常状態であると判定した場合(S110におけるYES)、信号取得部260は、取得処理S112に処理を移す。一方、定常状態ではないと判定した場合(S110におけるNO)、信号取得部260は、当該再生方法を終了する。
【0055】
[取得処理S112]
信号取得部260は、回転羽根230の回転速度Rを取得する。
【0056】
[推定処理S114]
堆積量推定部262は、記憶部270に記憶された相関情報を参照し、取得処理S112において取得された回転速度Rに基づいて、フィルタ220における粒子状物質の堆積量Eqを推定する。
【0057】
[減少判定処理S116]
エンジン制御部264は、前回の取得処理S112において取得された回転速度Rである前回値と、今回の取得処理S112において取得された回転速度Rである今回値とを比較する。そして、エンジン制御部264は、今回の取得処理S112において取得された回転速度Rが前回値から減少しているか否かを判定する。その結果、回転速度Rが前回値から減少していると判定した場合(S116におけるYES)、エンジン制御部264は、堆積量判定処理S118に処理を移す。一方、回転速度Rが前回値から減少していないと判定した場合(S116におけるNO)、エンジン制御部264は、当該再生方法を終了する。
【0058】
[堆積量判定処理S118]
エンジン制御部264は、推定処理S114において推定した堆積量Eqが、記憶部270に記憶された量閾値Tha以上であるか否かを判定する。その結果、堆積量Eqが量閾値Tha以上であると判定した場合(S118におけるYES)、エンジン制御部264は、再生処理S120に処理を移す。一方、堆積量Eqが量閾値Tha以上ではない、つまり、堆積量Eqが量閾値Tha未満であると判定した場合(S118におけるNO)、エンジン制御部264は、当該再生方法を終了する。
【0059】
[再生処理S120]
エンジン制御部264は、エンジン110に対し燃料カットして、フィルタ220に空気を送り、再生処理を実行する。また、モータ制御部266は、モータ240を回転羽根230に接続して、モータ240を動作させる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度の推移に基づいて推定処理を実行する。上記のように、フィルタ220に粒子状物質が堆積し始める初期段階では、
図3に示すように、フィルタ220において粒子状物質の堆積分布に偏りはない。その後、フィルタ220の中央領域220aから外周領域220bにかけて粒子状物質が徐々に堆積していき、堆積分布の偏りが発生していく。したがって、排気ガスがフィルタ220の主に中央領域220aを通過する第1の状態(
図3参照。)から、主に外周領域220bを通過する第2の状態(
図4参照。)に遷移してくので回転羽根230の回転速度は、初期の回転速度Riniから最大の回転速度Rmaxに到達するまで、徐々に増加する。
【0061】
そして、粒子状物質の堆積がある程度進んだ中期段階では、
図4に示すように、排気ガスが最も外側の外周領域220bを通過する第2の状態となるので、回転羽根230の回転速度が最大の回転速度Rmaxに到達する。その後、粒子状物質の堆積がさらに進んだ後期段階では、
図5に示すように、フィルタ220全体に粒子状物質が堆積して、堆積分布に偏りがなくなるので、排気ガスがフィルタ220全体を通過する第3の状態となる。このように、排気ガスが主に外周領域220bを通過する第2の状態(
図4参照。)から、フィルタ220全体の領域を通過する第3の状態(
図5参照。)に遷移していくので、回転羽根230の回転速度は、最大の回転速度Rmaxから徐々に減少し、最終的には、フィルタ220の再生処理が必要な状態に対応する回転速度Rthaに到達する。このように、回転羽根230の回転速度は、フィルタ220における粒子状物質の堆積分布と堆積量に基づいて変化する。
【0062】
したがって、本実施形態に係る排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度の推移(経時変化)に基づいて、フィルタ220における粒子状物質の堆積量を推定することにより、フィルタ220前後の差圧に基づいて堆積量を推定する従来技術と比較して、堆積量を高精度に推定することができる。このため、排気ガス浄化装置200は、適切なタイミングで再生処理を実行することが可能となる。
【0063】
また、上記のように、排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度が、回転速度Rmax(第1回転速度)まで増加した後に、回転速度Rmax未満の回転速度Rtha(第2回転速度)に減少したとき、再生処理を実行する。これにより、排気ガス浄化装置200は、フィルタ220の全体の領域に粒子状物質が堆積した後、フィルタ220の再生処理が必要なタイミングで、再生処理を実行することができる。したがって、排気ガス浄化装置200は、フィルタ220の再生処理が必要になる前に、再生処理が実行されてしまう事態を回避することが可能となる。
【0064】
また、上記したように、信号取得部260は、排気流路130を流れる排気ガスの流量が定常状態である場合(例えば、エンジン110の暖機運転中)に、回転羽根230の回転速度を取得する。これにより、排気ガスの流量の違いに起因した回転羽根230の回転速度の変動を排除でき、フィルタ220における粒子状物質の堆積分布および堆積量に起因した回転速度の変動を検出することが可能となる。
【0065】
また、上記したように、排気ガス浄化装置200は、モータ240およびモータ制御部266を備える。モータ240およびモータ制御部266は、再生処理を実行している間、回転羽根230を回転させる。これにより、排気ガス浄化装置200は、再生処理を実行している間に、フィルタ220に供給される新気(酸素)の量を増加させることができる。したがって、排気ガス浄化装置200は、フィルタ220の再生処理を効率よく実行することが可能となる。
【0066】
[第1の変形例]
上記実施形態において、排気ガス浄化装置200が、回転羽根230の回転速度の推移に基づいて堆積量の推定処理を実行し、推定された堆積量に基づいて、フィルタ220の再生処理を実行する例について説明した。しかし、排気ガス浄化装置200は、堆積量の推定処理を実行することなく、回転羽根230の回転速度の推移に基づいて、フィルタ220の再生処理を実行してもよい。
【0067】
図8は、第1の変形例に係る制御装置350の機能構成の一例を示すブロック図である。例えば、
図8に示すように、制御装置350は、信号取得部260と、エンジン制御部364と、モータ制御部266と、記憶部370とを有する。なお、信号取得部260、エンジン制御部364、および、モータ制御部266により行われる以下で説明する処理を含む各種処理は、プロセッサ252によって実行され得る。詳細には、メモリ254に記憶されているプログラムをプロセッサ252が実行することにより、各種処理が実行される。なお、上記実施形態の制御装置250と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
第1の変形例において、エンジン制御部364は、回転羽根230の回転速度の推移に基づいて再生処理を実行する。エンジン制御部364による具体的な処理については後に詳述する。
【0069】
第1の変形例において、記憶部370は、再生処理実行情報を記憶する。再生処理実行情報は、量閾値Thaである場合の回転羽根230の回転速度Rthaを示す情報である。再生処理実行情報は、実験、または、シミュレーションによって作成され、予め記憶部370に記憶される。
【0070】
続いて、第1の変形例に係るフィルタ220の再生方法について説明する。
図9は、第1の変形例に係るフィルタ220の再生方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図9に示すように、第1の変形例に係る再生方法は、定常状態判定処理S110と、取得処理S112と、減少判定処理S116と、回転速度判定処理S318と、再生処理S120とを含む。以下、各処理について説明する。なお、第1の変形例において、所定の時間間隔毎に生じる割込によって再生方法が繰り返し遂行される。また、上記実施形態の再生方法と実質的に等しい処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
[回転速度判定処理S318]
回転速度Rの今回値が前回値から減少していると判定した場合(S116におけるYES)、エンジン制御部364は、取得処理S112において取得された回転速度Rが回転速度Rtha以下であるか否かを判定する。その結果、回転速度Rが回転速度Rtha以下であると判定した場合(S318におけるYES)、エンジン制御部364は、再生処理S120に処理を移す。一方、回転速度Rが回転速度Rtha以下ではない、つまり、回転速度Rが回転速度Rthaより大きいと判定した場合(S318におけるNO)、エンジン制御部364は、当該再生方法を終了する。
【0072】
以上説明したように、第1の変形例において、排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度の推移に基づいて再生処理を実行する。上記したように、回転羽根230の回転速度は、フィルタ220における粒子状物質の堆積分布と堆積量に基づいて変化する。
【0073】
したがって、第1の変形例において、排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度の推移(経時変化)に基づいて再生処理を実行することにより、フィルタ220前後の差圧に基づいて再生処理を実行する従来技術と比較して、適切なタイミングで再生処理を実行することが可能となる。
【0074】
また、第1の変形例において、制御装置350は、上記実施形態の制御装置250とは異なり、フィルタ220における粒子状物質の堆積量を推定しない。このため、第1の変形例において、制御装置350は、処理負荷を低減することができる。
【0075】
[第2の変形例]
上記実施形態において、排気ガス浄化装置200が、回転羽根230の回転速度の推移に基づいて、堆積量の推定処理を実行する例について説明した。しかし、排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度自体に基づいて、堆積量の推定処理を実行してもよい。
【0076】
図10は、第2の変形例に係るフィルタ220の再生方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図10に示すように、第2の変形例に係る再生方法は、定常状態判定処理S110と、取得処理S112と、推定処理S114と、回転速度判定処理S410と、フラグON処理S412と、フラグ判定処理S414と、堆積量判定処理S118と、再生処理S120と、フラグOFF処理S416とを含む。以下、各処理について説明する。なお、第2の変形例において、所定の時間間隔毎に生じる割込によって再生方法が繰り返し遂行される。また、上記実施形態の再生方法と実質的に等しい処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
[回転速度判定処理S410]
エンジン制御部264は、取得処理S112において取得された回転速度Rが、回転速度Rmax(第1回転速度)であるか否かを判定する。その結果、回転速度Rが、回転速度Rmaxであると判定した場合(S410におけるYES)、エンジン制御部264は、フラグON処理S412に処理を移す。一方、回転速度Rが、回転速度Rmaxではない、つまり、回転速度Rmax未満であると判定した場合(S410におけるNO)、エンジン制御部264は、フラグ判定処理S414に処理を移す。
【0078】
[フラグON処理S412]
エンジン制御部264は、回転羽根230の回転速度Rが回転速度Rmaxに到達したことを示すフラグをONする。なお、回転羽根230の回転速度Rが回転速度Rmax未満である場合、フラグはOFFとなる。
【0079】
[フラグ判定処理S414]
エンジン制御部264は、フラグがONであるか否かを判定する。その結果、フラグがONであると判定した場合(S414におけるYES)、エンジン制御部264は、堆積量判定処理S118に処理を移す。一方、フラグがONではない、つまり、フラグがOFFである場合(S414におけるNO)、エンジン制御部264は、当該再生方法を終了する。
【0080】
[フラグOFF処理S416]
再生処理S120が実行されると、エンジン制御部264は、フラグをOFFする。
【0081】
以上説明したように、第2の変形例において、排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度自体に基づいて推定処理を実行する。上記したように、回転羽根230の回転速度は、フィルタ220における粒子状物質の堆積分布と堆積量に基づいて変化する。
【0082】
したがって、第2の変形例において、排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度に基づいて、フィルタ220における粒子状物質の推定量を推定することにより、フィルタ220前後の差圧に基づいて堆積量を推定する従来技術と比較して、堆積量を高精度に推定することができる。
【0083】
[第3の変形例]
上記第2の変形例において、排気ガス浄化装置200が、回転羽根230の回転速度自体に基づいて堆積量の推定処理を実行し、推定された堆積量に基づいて、フィルタ220の再生処理を実行する例について説明した。しかし、排気ガス浄化装置200は、堆積量の推定処理を実行することなく、回転羽根230の回転速度自体に基づいて、フィルタ220の再生処理を実行してもよい。
【0084】
図11は、第3の変形例に係るフィルタ220の再生方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図11に示すように、第3の変形例に係る再生方法は、定常状態判定処理S110と、取得処理S112と、回転速度判定処理S410と、フラグON処理S412と、フラグ判定処理S414と、回転速度判定処理S318と、再生処理S120と、フラグOFF処理S416とを含む。なお、第3の変形例において、所定の時間間隔毎に生じる割込によって再生方法が繰り返し遂行される。また、上記実施形態、第1の変形例、および、第2の変形例の再生方法と実質的に等しい処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
第3の変形例において、排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度自体に基づいて再生処理を実行する。上記したように、回転羽根230の回転速度は、フィルタ220における粒子状物質の堆積分布と堆積量に基づいて変化する。
【0086】
したがって、第3の変形例において、排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度に基づいて再生処理を実行することにより、フィルタ220前後の差圧に基づいて再生処理を実行する従来技術と比較して、適切なタイミングで再生処理を実行することが可能となる。
【0087】
また、第3の変形例において、制御装置350は、上記第2の変形例の制御装置250とは異なり、フィルタ220における粒子状物質の堆積量を推定しない。このため、第3の変形例において、制御装置350は、処理負荷を低減することができる。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0089】
例えば、上記実施形態、第1~第3の変形例において、排気ガス浄化装置200が、排気流路130を流れる排気ガスの流量が定常状態である場合の回転羽根230の回転速度に基づいて、推定処理または再生処理を実行する例について説明した。しかし、排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度を、排気流路130を流れる排気ガスの流量で補正した補正値に基づいて、推定処理または再生処理を実行してもよい。補正値に基づいて推定処理または再生処理を実行することにより、排気ガス浄化装置200は、排気ガスの流量の違いに起因した回転羽根230の回転速度の変動を排除でき、フィルタ220における粒子状物質の堆積分布および堆積量に起因した回転速度に基づいて、推定処理または再生処理を実行することができる。したがって、排気ガス浄化装置200は、堆積量の推定精度や、再生処理を実行するタイミングの判定精度を向上できる。
【0090】
また、上記実施形態、第2~第3の変形例において、第1回転速度として、回転羽根230の最大の回転速度である回転速度Rmaxを例に挙げた。しかし、第1回転速度は、回転速度Rmax未満、回転速度Rtha超の値であってもよい。この場合、排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度が、第1回転速度以上に増加した後に、第1回転速度未満の第2回転速度以下に減少したとき、再生処理または推定処理を実行してもよい。また、上記実施形態、第1~第3の変形例において、第2回転速度として、フィルタ220の再生処理が必要な状態に対応する回転速度Rthaを例に挙げた。しかし、第2回転速度は、第1回転速度未満、回転速度Rtha超の値であってもよい。
【0091】
また、上記実施形態、および、第2の変形例において、排気ガス浄化装置200が、常時推定処理を行う例について説明した。しかし、排気ガス浄化装置200は、回転羽根230の回転速度が、第1回転速度以上に増加した後に、第1回転速度未満の第2回転速度以下に減少したとき、推定処理を実行してもよい。これにより、排気ガス浄化装置200は、再生処理の実行開始前後の所定期間のみ推定処理を実行すればよい。したがって、制御装置250、350は、推定処理に要する演算負荷を低減することが可能となる。
【0092】
また、上記実施形態および第1~第3の変形例において、フィルタ220がGPFとして採用される例について説明した。しかし、フィルタ220は、DPF(Diesel Particulate Filter)として採用されてもよい。つまり、エンジン110は、ディーゼルエンジンであってもよい。
【符号の説明】
【0093】
200 排気ガス浄化装置
220 フィルタ
230 回転羽根
250 制御装置
350 制御装置