(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】シャッタ機構、情報処理装置、及びシャッタ機構の製造方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20241211BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20241211BHJP
G03B 11/00 20210101ALI20241211BHJP
【FI】
G06F1/16 312Q
G06F1/16 312E
G06F1/16 312Z
G03B17/02
G03B11/00
(21)【出願番号】P 2024091500
(22)【出願日】2024-06-05
【審査請求日】2024-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】柴山 佳幸
(72)【発明者】
【氏名】三井 利来
(72)【発明者】
【氏名】井上 敏博
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-006941(JP,A)
【文献】特開2021-107890(JP,A)
【文献】特開2011-091744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16- 1/18
G03B 17/02
G03B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光部を有し、情報処理装置の筐体に搭載されたカメラと、
前記受光部の受光を制限する第1位置と、前記受光の制限を解除する第2位置との間をスライド移動可能なシャッタと、
前記筐体に相対的に固定されたシート状のマグネットシートであり、前記スライド移動方向にN極とS極とが交互に所定のピッチで複数配置されている第1シート部材と、
シートの着磁面が前記第1シート部材の着磁面と対向するように、前記シャッタに相対的に固定されたシート状のマグネットシートであり、前記スライド移動方向にN極とS極が交互に所定のピッチで複数配置され、前記第1位置及び前記第2位置において、前記着磁面のN極とS極との着磁パターンが前記第1シート部材と対向する方向からみて前記第1シート部材の着磁パターンと反転している第2シート部材と
を備えるシャッタ機構。
【請求項2】
前記第2シート部材の前記スライド移動方向の長さは、前記第1シート部材の前記スライド移動方向の長さよりも、前記シャッタの移動可能分短く構成されている
請求項1に記載のシャッタ機構。
【請求項3】
前記第2シート部材の前記スライド移動方向の長さは、前記第1シート部材の前記スライド移動方向の長さよりも、前記シャッタのスライド移動により発生するクリック感の回数に、前記所定のピッチの2倍の長さを積算した長さ分短く構成されている
請求項2に記載のシャッタ機構。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシャッタ機構と、
前記シャッタ機構を搭載した前記筐体と
を備える情報処理装置。
【請求項5】
前記筐体には、表示部が搭載されており、
前記シャッタ機構は、前記表示部を囲んで前記筐体に設けられたベゼル部分に配置されている
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1シート部材と前記第2シート部材とは、前記ベゼル部分において、前記筐体の厚み方向に重ねて配置されている
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
受光部を有し、情報処理装置の筐体に搭載されたカメラと、前記受光部の受光を制限する第1位置と、前記受光の制限を解除する第2位置との間をスライド移動可能なシャッタと、前記筐体に相対的に固定されたシート状のマグネットシートであり、前記スライド移動方向にN極とS極とが交互に所定のピッチで複数配置されている第1シート部材と、シートの着磁面が前記第1シート部材の着磁面と対向するように、前記シャッタに相対的に固定されたシート状のマグネットシートであり、前記スライド移動方向にN極とS極が交互に所定のピッチで複数配置され、前記第1位置及び前記第2位置において、前記着磁面のN極とS極との着磁パターンが前記第1シート部材と対向する方向からみて前記第1シート部材の着磁パターンと反転している第2シート部材とを備えるシャッタ機構の製造方法であって、
2枚の前記マグネットシートを、着磁面を対向して、前記N極と前記S極とが互いに反転して安定する位置に重ね合わせた状態にして、当該2枚の前記マグネットシートから前記第1シート部材と前記第2シート部材とを切り出す第1工程と、
前記第1シート部材と前記第2シート部材とを前記重ね合わせた状態で、前記第1シート部材及び前記第2シート部材の位置決め用の目印を、前記第1シート部材及び前記第2シート部材に付加する第2工程と、
前記第2シート部材を前記シャッタの移動可能分短く切断する第3工程と
を含むシャッタ機構の製造方法。
【請求項8】
前記位置決め用の目印は、前記第1シート部材及び前記第2シート部材を固定するための固定孔であり、
前記第2工程は、前記第1シート部材と前記第2シート部材とを前記重ね合わせた状態で、固定するための固定孔を形成する工程である
請求項7に記載のシャッタ機構の製造方法。
【請求項9】
前記第1工程は、2枚の前記マグネットシートを重ね合わせた状態で、前記スライド移動方向の第1の長さに切断し、切断した前記第1の長さの2枚の前記マグネットシートを、着磁面を対向して、前記N極と前記S極とが互いに反転して安定する位置に重ね合わせた状態にして、前記第1の長さより短い第2の長さに切断して、前記第1シート部材と前記第2シート部材とを切り出す工程である
請求項7又は請求項8に記載のシャッタ機構の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ機構、情報処理装置、及びシャッタ機構の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートブック型パーソナルコンピュータ(ノートPC)などの情報処理装置では、内蔵されたカメラによる意図しない撮影を防止するために、カメラを覆うレンズカバー(シャッタ)をスライドさせるシャッタ機構を備えるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来のシャッタ機構では、レンズカバー(シャッタ)が重力や振動などで不用意に移動しないようにするとともに、レンズカバー(シャッタ)をスライドさせる際に、移動のクリック感を発生するように、板バネなどの変形可能な弾性体が突起を乗り越える機構を備えている。板バネと突起を含むため、従来のシャッタ機構では、小型化することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、シャッタの移動により適切なクリック感を発生させつつ、小型化することができるシャッタ機構、情報処理装置、及びシャッタ機構の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、受光部を有し、情報処理装置の筐体に搭載されたカメラと、前記受光部の受光を制限する第1位置と、前記受光の制限を解除する第2位置との間をスライド移動可能なシャッタと、前記筐体に相対的に固定されたシート状のマグネットシートであり、前記スライド移動方向にN極とS極とが交互に所定のピッチで複数配置されている第1シート部材と、シートの着磁面が前記第1シート部材の着磁面と対向するように、前記シャッタに相対的に固定されたシート状のマグネットシートであり、前記スライド移動方向にN極とS極が交互に所定のピッチで複数配置され、前記第1位置及び前記第2位置において、前記着磁面のN極とS極との着磁パターンが前記第1シート部材と対向する方向からみて前記第1シート部材の着磁パターンと反転している第2シート部材とを備えるシャッタ機構である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記のシャッタ機構において、前記第2シート部材の前記スライド移動方向の長さは、前記第1シート部材の前記スライド移動方向の長さよりも、前記シャッタの移動可能分短く構成されていてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記のシャッタ機構において、前記第2シート部材の前記スライド移動方向の長さは、前記第1シート部材の前記スライド移動方向の長さよりも、前記シャッタのスライド移動により発生するクリック感の回数に、前記所定のピッチの2倍の長さを積算した長さ分短く構成されていてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記のシャッタ機構と、前記シャッタ機構を搭載した前記筐体とを備える情報処理装置である。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記筐体には、表示部が搭載されており、前記シャッタ機構は、前記表示部を囲んで前記筐体に設けられたベゼル部分に配置されていてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の情報処理装置において、前記第1シート部材と前記第2シート部材とは、前記ベゼル部分において、前記筐体の厚み方向に重ねて配置されていてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、受光部を有し、情報処理装置の筐体に搭載されたカメラと、前記受光部の受光を制限する第1位置と、前記受光の制限を解除する第2位置との間をスライド移動可能なシャッタと、前記筐体に相対的に固定されたシート状のマグネットシートであり、前記スライド移動方向にN極とS極とが交互に所定のピッチで複数配置されている第1シート部材と、シートの着磁面が前記第1シート部材の着磁面と対向するように、前記シャッタに相対的に固定されたシート状のマグネットシートであり、前記スライド移動方向にN極とS極が交互に所定のピッチで複数配置され、前記第1位置及び前記第2位置において、前記着磁面のN極とS極との着磁パターンが前記第1シート部材と対向する方向からみて前記第1シート部材の着磁パターンと反転している第2シート部材とを備えるシャッタ機構の製造方法であって、2枚の前記マグネットシートを、着磁面を対向して、前記N極と前記S極とが互いに反転して安定する位置に重ね合わせた状態にして、当該2枚の前記マグネットシートから前記第1シート部材と前記第2シート部材とを切り出す第1工程と、前記第1シート部材と前記第2シート部材とを前記重ね合わせた状態で、前記第1シート部材及び前記第2シート部材の位置決め用の目印を、前記第1シート部材及び前記第2シート部材に付加する第2工程と、前記第2シート部材を前記シャッタの移動可能分短く切断する第3工程とを含むシャッタ機構の製造方法である。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記のシャッタ機構の製造方法において、前記位置決め用の目印は、前記第1シート部材及び前記第2シート部材を固定するための固定孔であり、前記第2工程は、前記第1シート部材と前記第2シート部材とを前記重ね合わせた状態で、固定するための固定孔を形成する工程であってもよい。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記のシャッタ機構の製造方法において、前記第1工程は、2枚の前記マグネットシートを重ね合わせた状態で、前記スライド移動方向の第1の長さに切断し、切断した前記第1の長さの2枚の前記マグネットシートを、着磁面を対向して、前記N極と前記S極とが互いに反転して安定する位置に重ね合わせた状態にして、前記第1の長さより短い第2の長さに切断して、前記第1シート部材と前記第2シート部材とを切り出す工程であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、シャッタの移動により適切なクリック感を発生させつつ、小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態によるノートPCの一例を示す外観図である。
【
図2】本実施形態によるシャッタ機構の一例を示す断面図である。
【
図3】本実施形態によるシャッタ機構の一例を示す分解斜視図である。
【
図4】本実施形態におけるカメラの一例を示す構成図である。
【
図5】本実施形態によるシャッタ機構のカメラの使用許可位置における第1シート部材と第2シート部材との位置関係の一例を説明する図である。
【
図6】本実施形態によるシャッタ機構のカメラの使用禁止位置における第1シート部材と第2シート部材との位置関係の一例を説明する図である。
【
図7】本実施形態における第1シート部材及び第2シート部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態における第1シート部材及び第2シート部材の製造方法の一例を説明する図である。
【
図9】本実施形態における第1シート部材及び第2シート部材の製造方法の変形例を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態における第1シート部材及び第2シート部材の製造方法の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態によるシャッタ機構、情報処理装置、及びシャッタ機構の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本実施形態によるノートPC100の一例を示す外観図である。
図1に示すように、ノートPC100は、第1筐体101(筐体)と、第2筐体102と、ヒンジ機構103と、表示部104と、ベゼル105と、カメラ20と、シャッタ機構と、カバー板109とを備える。なお、ノートPC100は、例えば、クラムシェル型のノートブック型パーソナルコンピュータであり、情報処理装置の一例である。
【0019】
第1筐体101及び第2筐体102は、矩形板状とされている。第1筐体101と第2筐体102とは、端部同士がヒンジ機構103を介して連結されている。第2筐体102は、第1筐体101に対して、ヒンジ機構103がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。第1筐体101と第2筐体102との開き角は、例えば、0°以上、180°以下の範囲で選択できる。
【0020】
第1筐体101は、矩形状の表示部104を搭載している。
表示部104は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(EL:Electro-Luminescence)ディスプレイなどの表示装置である。第1筐体101は、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。表示部104は、ノートPC100に実行される情報処理に基づく情報(例えば、画像など)を表示する。
【0021】
また、第1筐体101は、ベゼル105を有している。
ベゼル105は、表示部104を囲む矩形状に形成されている。ベゼル105の上枠部分には、カメラ20及びシャッタ機構10が搭載されており、カメラ20及びシャッタ機構10のベゼル105部分には、カバー板109が設けられている。
なお、カメラ20及びシャッタ機構10の詳細については、
図2~
図4を参照して後述する。
【0022】
第2筐体102は、キーボード111及びタッチパッド112を搭載する。
キーボード111及びタッチパッド112は、入力デバイスの一例である。第2筐体102には、バッテリ(不図示)、ストレージ装置(不図示)なども搭載される。第2筐体102は、システム筐体とも呼ばれる。
【0023】
次に、
図2~
図4を参照して、カメラ20及びシャッタ機構10の構成について説明する。
【0024】
なお、第1筐体101、シャッタ機構10、及びカメラ20の説明において、XYZ直交座標系を用いて各構成の位置関係を説明することがある。ヒンジ機構103の回動軸の方向をX方向という。また、表示部104の表示面及びベゼル105の前面と平行な面内において、X方向と直交する方向をY方向という。
【0025】
また、X方向は、ベゼル105の上枠の延在方向(ベゼル105の長さ方向)である。また、Y方向は、ベゼル105の上枠の幅方向(ベゼルの幅方向)である。X方向及びY方向に直交する方向から見ることを「平面視」という。X方向及びY方向に沿う平面をXY平面という。
また、第1筐体101の厚み方向を、Z方向という。
【0026】
図2は、本実施形態によるシャッタ機構10の一例を示す断面図である。また、
図3は、本実施形態によるシャッタ機構10の一例を示す分解斜視図である。
【0027】
図2及び
図3に示すように、シャッタ機構10は、カメラ20と、シャッタ30と、台座部40と、第1シート部材41と、第2シート部材42とを備えている。
第1筐体101において、第1筐体101の背面部から厚み方向(Z方向)に、シャッタ機構10は、カメラ20、台座部40、第1シート部材41、第2シート部材42、シャッタ30の順に配置されており、さらに、シャッタ30を覆うように、ベゼル105及びカバー板109が配置されている。
【0028】
シャッタ30は、カメラ20(後述する受光部22及び赤外線受光部23)の受光を制限する第1位置と、受光の制限を解除する第2位置との間をスライド移動可能な部材である。シャッタ30は、X方向(スライド移動方向)に移動可能である。ここで、第1位置は、例えば、カメラ20のレンズ(後述する受光部22及び赤外線受光部23)をシャッタ30で覆って、カメラ20の使用を禁止するカメラ使用禁止位置である。また、第2位置は、例えば、カメラ20のレンズ(後述する受光部22及び赤外線受光部23)をシャッタ30の覆いから外して、カメラ20の使用を許可するカメラ使用許可位置である。
【0029】
シャッタ30は、操作部31と、インジケータ孔32と、可視光受光孔33と、赤外線受光孔34とを有している。
操作部31は、シャッタ30を、カメラ使用禁止位置(第1位置)と、カメラ使用許可位置(第2位置)との間で、X方向に、スライド移動させる際に、利用者が操作する部材であり、板状のシャッタ30の上部に配置されている。
【0030】
インジケータ孔32は、インジケータ光のための孔であり、シャッタ30のカメラ使用許可位置(第2位置)において、カメラ20の後述するインジケータランプ21と、Z方向(第1筐体101の厚み方向)の軸で重なるように配置されている。
【0031】
可視光受光孔33は、可視光カメラの受光部22の受光のための孔であり、シャッタ30のカメラ使用許可位置(第2位置)において、カメラ20の受光部22と、Z方向(第1筐体101の厚み方向)の軸で重なるように配置されている。
【0032】
赤外線受光孔34は、赤外線カメラの赤外線受光部23の受光及び赤外線照射部24の照射のための孔であり、シャッタ30のカメラ使用許可位置(第2位置)において、カメラ20の赤外線受光部23及び赤外線照射部24と、Z方向(第1筐体101の厚み方向)の軸で重なるように配置されている。
【0033】
台座部40は、第1シート部材41を固定する台座であり、カメラ20の一部(カメラ基板PBの一部)を覆うように配置されて、第1筐体101に固定されている。
第1シート部材41は、台座部40を介して、第1筐体101に相対的に固定されたシート状のマグネットシートである。第1シート部材41は、シートの着磁面において、スライド移動方向(X方向)にN極PNとS極PSとが交互に所定のピッチ(ピッチPT)で複数配置されている。また、第1シート部材41は、マグネットシートをスライド移動方向(X方向)の長さSL1に切り出して形成されている。
【0034】
ここで、マグネットシートは、例えば、金属製のホワイトボードなどに張り付けて、ラベルなどとして用いるシート状の磁石であり、所定のピッチ(ピッチPT)で、N極PNとS極PSとが交互に着磁されている。
【0035】
第2シート部材42は、シートの着磁面が第1シート部材41の着磁面と対向するように、シャッタ30に相対的に固定されたシート状のマグネットシートである。第2シート部材42は、第1シート部材41と同様に、スライド移動方向(X方向)にN極PNとS極PSとが交互に所定のピッチ(ピッチPT)で複数配置されている。第2シート部材42は、スライド移動方向にN極とS極が交互に所定のピッチで複数配置され、第1位置(カメラ使用禁止位置)及び第2位置(カメラ使用許可位置)において、着磁面のN極とS極との着磁パターンが第1シート部材41と対向する方向からみて第1シート部材41の着磁パターンと反転している。
【0036】
第2シート部材42は、シャッタ30のカメラ使用禁止位置及びカメラ使用許可位置において、着磁面のN極PNとS極PSとの着磁パターンか第1シート部材41と反転するように構成されている。すなわち、シャッタ30のカメラ使用禁止位置及びカメラ使用許可位置において、第1シート部材41のN極PNの位置に、第2シート部材42のS極PSが配置され、第1シート部材41のS極PSの位置に、第2シート部材42のN極PNが配置されている。
【0037】
また、第2シート部材42は、マグネットシートをスライド移動方向(X方向)の長さSL2に切り出して形成されている。第2シート部材42の長さSL2は、第1シート部材41の長さSL1より短い。なお、第1シート部材41の長さSL1と第2シート部材42の長さSL2との関係の詳細については、
図5及び
図6を参照して後述する。
【0038】
図4は、本実施形態におけるカメラ20の一例を示す構成図である。
図4では、カメラ20を平面視した構成を示している。
図2~
図4に示すように、カメラ20は、カメラ基板PB上に、インジケータランプ21、受光部22、赤外線受光部23、赤外線照射部24、及びコネクタ部25などが配置されている。
【0039】
カメラ基板PBは、第1筐体101に固定され、ベゼル105に収まるように、X方向に長く、Y方向に短く形成されている。
インジケータランプ21は、カメラ20のインジケータとして用いられる。
【0040】
受光部22は、不図示の受光レンズ及びCCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサを有し、受光した可視光に基づく画像データを生成する。受光部22は、例えば、可視光カメラである。
【0041】
赤外線受光部23は、不図示の受光レンズ及びCCDやCMOSなどの赤外線イメージセンサを有し、受光した赤外線に基づく画像データを生成する。赤外線受光部23は、例えば、赤外線カメラ(IRカメラ)である。
【0042】
赤外線照射部24は、例えば、赤外線発光ダイオードなどであり、赤外線光を生成して、外部に照射する。
【0043】
コネクタ部25は、ノートPC100のマザーボード(不図示)と、カメラ20との間の通信を行うためのコネクタであり、電源線を含む通信ケーブルが接続される。カメラ20は、コネクタ部25を介して、ノートPC100のマザーボード(不図示)から電源電力の供給を受けるとともに、ノートPC100のマザーボード(不図示)との間で各種通信を行う。
【0044】
また、
図3に示すように、ベゼル105及びカバー板109が、シャッタ機構10を覆うように配置され、シャッタ機構10が、第1筐体101のベゼル105の短辺幅(Y方向の幅に収まるように構成されている。
【0045】
カバー板109は、インジケータ孔35、可視光受光孔36、赤外線受光孔37、赤外線照射孔38、及び操作孔39を有している。
【0046】
インジケータ孔35は、インジケータ光のための孔であり、シャッタ30のカメラ使用許可位置(第2位置)において、インジケータランプ21及びシャッタ30のインジケータ孔32と、Z方向(第1筐体101の厚み方向)の軸で重なるように配置されている。
【0047】
可視光受光孔36は、可視光カメラの受光部22の受光のための孔であり、シャッタ30のカメラ使用許可位置(第2位置)において、受光部22及びシャッタ30の可視光受光孔33と、Z方向(第1筐体101の厚み方向)の軸で重なるように配置されている。
【0048】
赤外線受光孔37は、赤外線カメラの赤外線受光部23の受光のための孔であり、シャッタ30のカメラ使用許可位置(第2位置)において、赤外線受光部23及びシャッタ30の赤外線受光孔34と、Z方向(第1筐体101の厚み方向)の軸で重なるように配置されている。
【0049】
赤外線照射孔38は、赤外線カメラの赤外線照射部24の赤外線の照射のための孔であり、シャッタ30のカメラ使用許可位置(第2位置)において、赤外線照射部24及びシャッタ30の赤外線受光孔34と、Z方向(第1筐体101の厚み方向)の軸で重なるように配置されている。
【0050】
操作孔39は、シャッタ30の操作部31の操作のための孔であり、操作部31の操作により、シャッタ30をスライド移動できるように形成されている。
【0051】
次に、図面を参照して、本実施形態によるシャッタ機構10の動作について説明する。
図5は、本実施形態によるシャッタ機構10のカメラ20の使用許可位置における第1シート部材41と第2シート部材42との位置関係の一例を説明する図である。
【0052】
図5に示すように、シャッタ30が使用許可位置にある場合に、第1シート部材41と第2シート部材42とは、第2シート部材42が左端の位置で、N極PN及びS極PSの着磁パターンが互いに反転パターンになる位置になる。第1シート部材41と第2シート部材42との着磁パターンが互いに反転パターンになる場合、第1シート部材41と第2シート部材42との間で、引力(誘引力)が発生し、安定した状態になり、当該位置(シャッタ30が使用許可位置)が維持される。
【0053】
なお、第2シート部材42のスライド移動方向の長さSL2は、第1シート部材41のスライド移動方向の長さSL1よりも、シャッタ30の移動可能分(長さΔSL分)短く構成されている。
また、使用許可位置において、シャッタ30は、インジケータ孔32、可視光受光孔33、及び赤外線受光孔34が、インジケータランプ21、受光部22、赤外線受光部23、及び赤外線照射部24の位置と重なり、カメラ20が使用可能な状態になる。
【0054】
次に、操作部31の操作により、シャッタ30を使用許可位置から使用禁止位置にスライド移動させると、第1シート部材41と第2シート部材42との着磁パターンが互いに反転パターンから同一パターンに移行する際に、第1シート部材41と第2シート部材42との間で、斥力(反発力)が発生する。
【0055】
そのため、シャッタ30を使用許可位置から使用禁止位置にスライド移動させる場合に、斥力(反発力)にシャッタ30のスライド移動に抵抗が発生するとともに、同一パターンを飛び越えて、その先の反転パターンに短期間で移行する。これにより、操作部31の操作により、第1シート部材41と第2シート部材42との間の同一パターンを通過する際に、クリック感が発生する。
【0056】
図6は、本実施形態によるシャッタ機構10のカメラ20の使用禁止位置における第1シート部材41と第2シート部材42との位置関係の一例を説明する図である。
図6に示すように、シャッタ30が使用禁止位置にある場合に、第1シート部材41と第2シート部材42とは、第2シート部材42が右端の位置で、N極PN及びS極PSの着磁パターンが互いに反転パターンになる位置になる。第1シート部材41と第2シート部材42との着磁パターンが互いに反転パターンになる場合、第1シート部材41と第2シート部材42との間で、引力(誘引力)が発生し、安定した状態になり、当該位置(シャッタ30が使用禁止位置)が維持される。
【0057】
また、使用禁止位置において、シャッタ30は、インジケータ孔32、可視光受光孔33、及び赤外線受光孔34が、インジケータランプ21、受光部22、赤外線受光部23、及び赤外線照射部24の位置からはずれ、インジケータランプ21、受光部22、赤外線受光部23、及び赤外線照射部24を覆い隠す状態になる。これにより、カメラ20は、使用不可能な状態になる。
【0058】
次に、図面を参照して、本実施形態によるシャッタ機構10の製造方法について説明する。ここでは、
図7及び
図8を参照して、第1シート部材41及び第2シート部材42の製造方法について説明する。
【0059】
図7は、本実施形態における第1シート部材41及び第2シート部材42の製造方法の一例を示すフローチャートである。
また、
図8は、本実施形態における第1シート部材41及び第2シート部材42の製造方法の一例を説明する図である。
【0060】
図7に示すように、まず、2枚のマグネットシート(MS1、MS2)を安定する位置に重ね合わせた状態、すなわち、上下のマグネットシートの磁極が最大限互い違いになる位置で、所定の長さ(長さSL1)に切断して、第1シート部材41及び第2シート部材42(マグネットシートMS2A)を形成する(ステップS101)。すなわち、2枚のマグネットシート(MS1、MS2)を、例えば、
図8の状態ST11のように、着磁パターンが互いに反転パターンになるように重ね合わせる。この状態で、第1シート部材41のスライド移動方向の長さである長さSL1に、2枚のマグネットシート(MS1、MS2)を切断する(
図8の状態ST12)。
【0061】
次に、第1シート部材41及び第2シート部材42(マグネットシートMS2A)を安定する位置に重ね合わせた状態で、固定孔HLを形成する(ステップS102)。
図8の状態ST13に示すように、第1シート部材41及び第2シート部材42(マグネットシートMS2A)に2つの固定孔HLを形成する。
【0062】
なお、2つの固定孔HLは、第1シート部材41及び第2シート部材42の位置決め用の目印の一例であり、ステップS103の工程は、第1シート部材41と第2シート部材42とを重ね合わせた状態で、第1シート部材41及び第2シート部材42の位置決め用の目印を、第1シート部材41及び第2シート部材42に付加する工程に対応する。
【0063】
次に、第2シート部材42(マグネットシートMS2A)をシャッタストローク分(長さΔSL分)切断して、短く加工する(ステップS103)。すなわち、
図8の状態ST14に示すように、長さSL1のマグネットシートMS2Aを、長さΔSL分切断して、長さSl2の第2シート部材42を作成する。
【0064】
なお、シャッタストローク分(長さΔSL分)は、下記(1)に示すように、シャッタ30のスライド移動により発生するクリック感の回数Nに、所定のピッチ(ピッチPT)の2倍の長さ(2×ピッチPT)を積算した長さに相当する。
【0065】
長さΔSL = クリック感の回数N×2×ピッチPT ・・・ (1)
【0066】
また、ステップS103の工程実行の後に、固定孔HLを用いて、第1シート部材41を台座部40に固定するとともに、固定孔HLを用いて、第2シート部材42をシャッタ30に固定する。
【0067】
次に、
図9及び
図10を参照して、第1シート部材41及び第2シート部材42の製造方法の変形例について説明する。
非常に長い2枚のマグネットシートから第1シート部材41及び第2シート部材42を作成(製造)する場合、2枚のマグネットシートを重ね合わせると、N極PNとS極PSとのピッチPT(着磁ピッチ)のバラツキから、同極パターンが重ね合わされて、反発しあう部分が発生することがある。本変形例では、このように、非常に長い2枚のマグネットシートを用いて、第1シート部材41及び第2シート部材42を作成(製造)する変形例について説明する。
【0068】
図9は、本実施形態における第1シート部材41及び第2シート部材42の製造方法の変形例を示すフローチャートである。
また、
図10は、本実施形態における第1シート部材41及び第2シート部材42の製造方法の変形例を説明する図である。
【0069】
図9に示すように、まず、2枚のマグネットシート(MS1a、MS2a)を安定する位置に重ね合わせた状態で、第1の長さ(長さL1)に同時に切断して、第1の長さ(長さL1)の2枚のマグネットシートを形成する(ステップS201)。すなわち、2枚のマグネットシート(MS1a、MS2a)を、例えば、
図10の状態ST21のように、着磁パターンが互いに反転パターンになるように重ね合わせる。この状態で2枚のマグネットシート(MS1a、MS2a)を、長さL1に切断する。なお、長さL1は、第1シート部材41の長さSL1よりも長い値である。
【0070】
図10に示す例では、長さL1の2枚のマグネットシート(MS3、MS4)として、マグネットシート(MS3-1、MS4-1)、マグネットシート(MS3-2、MS4-2)、及びマグネットシート(MS3-3、MS4-3)を作成している。
【0071】
次に、第1の長さ(長さL1)の2枚のマグネットシート(MS3、MS4)を、再度、安定する位置に重ね合わせた状態で、第2の長さ(長さL2)に同時に切断して、第1シート部材41及び第2シート部材42を形成する(ステップS202)。すなわち、
図10の状態ST22に示すように、2枚のマグネットシート(MS3-1、MS4-1)、2枚のマグネットシート(MS3-2、MS4-2)、及び2枚のマグネットシート(MS3-3、MS4-3)のそれぞれの2枚のマグネットシート(MS3、MS4)を着磁パターンが互いに反転パターンになるように重ね合わせる。この状態で2枚のマグネットシート(MS3、MS4)を、長さL2(第1シート部材41の長さSL1)に切断する。
【0072】
その結果、
図10の状態ST23に示すように、長さL2(第1シート部材41の長さSL1)の第1シート部材41及び第2シート部材42(マグネットシートMS2A)として、第1シート部材41-1及びマグネットシートMS2A-1と、第1シート部材41-2及びマグネットシートMS2A-2と、第1シート部材41-3及びマグネットシートMS2A-3とが作成される。
なお、上述したステップS201の工程により、長いマグネットシート(MS1a、MS2a)の重ね合わせで発生する上下の反発を、次のステップS202で少なくできる。
【0073】
次のステップS203及びステップS204の工程は、
図7に示すS102及びステップS103の工程(
図8の状態ST13及び状態ST14)と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態によるシャッタ機構10は、カメラ20と、シャッタ30と、第1シート部材41と、第2シート部材42とを備える。カメラ20は、受光部22を有し、ノートPC100(情報処理装置)の第1筐体101(筐体)に搭載される。シャッタ30は、受光部22の受光を制限する第1位置と、受光の制限を解除する第2位置との間をスライド移動可能である。第1シート部材41は、第1筐体101(筐体)に相対的に固定されたシート状のマグネットシートであり、スライド移動方向(X方向)にN極PNとS極PSとが交互に所定のピッチ(ピッチPT)で複数配置されている。第2シート部材42は、シートの着磁面が第1シート部材41の着磁面と対向するように、シャッタ30に相対的に固定されたシート状のマグネットシートである。そして、第2シート部材42は、第1位置(カメラ20の使用許可位置)及び第2位置(カメラ20の使用禁止位置)において、着磁面のN極PNとS極PSとの着磁パターンか第1シート部材41と反転して、スライド移動方向にN極PNとS極PSとが交互に所定のピッチ(ピッチPT)で複数配置されている。すなわち、第2シート部材42は、スライド移動方向にN極とS極が交互に所定のピッチで複数配置され、第1位置及び第2位置において、着磁面のN極とS極との着磁パターンが第1シート部材41と対向する方向からみて第1シート部材41の着磁パターンと反転している。
【0075】
これにより、本実施形態によるシャッタ機構10は、シャッタ30に相対的に固定された第2シート部材42をスライド移動する際に、第1シート部材41と第2シート部材42との着磁パターンが一致する位置で斥力(反発力)が発生し、第1シート部材41と第2シート部材42との着磁パターンが反転する位置で引力(誘引力)が発生する。そのため、着磁パターンが一致する位置から着磁パターンが反転する位置に移動する場合に、素早く弱い力でスライド移動し、着磁パターンが反転する位置から着磁パターンが一致する位置に移動する場合に、強い抵抗力が発生してスライド移動し難くなる。このことから、本実施形態によるシャッタ機構10は、シャッタ30のスライド移動によりクリック感を発生させることができる。
【0076】
また、本実施形態によるシャッタ機構10は、第1位置(カメラ20の使用許可位置)及び第2位置(カメラ20の使用禁止位置)において、第1シート部材41と第2シート部材42との着磁パターンが反転する位置になるため、シャッタ30が重力や振動などで不用意に移動することがない。
【0077】
また、本実施形態によるシャッタ機構10では、クリック感を発生させるための板バネなどの弾性体や突起部を設ける必要がないため、構成を簡略化できるとともに、小型化することできる。したがって、本実施形態によるシャッタ機構10は、シャッタ30の移動により適切なクリック感を発生させつつ、小型化することができる。
【0078】
例えば、本実施形態によるシャッタ機構10では、マグネットシートを用いることにより、カメラ基板PBの上に収めることができ、ベゼル105の短辺方向(Y方向)のサイズを短くすることができるとともに、第1筐体101の厚み方向(Z方向)のサイズを短くすることができる。
【0079】
また、本実施形態では、第2シート部材42のスライド移動方向の長さSL2は、第1シート部材41のスライド移動方向の長さSL1よりも、シャッタ30の移動可能分(長さΔSL分)短く構成されている。
【0080】
これにより、本実施形態によるシャッタ機構10は、シャッタ30の移動量を適切に設定することができるとともに、第1位置(カメラ20の使用許可位置)及び第2位置(カメラ20の使用禁止位置)を適切な位置に設定することができる。
【0081】
また、本実施形態では、第2シート部材42のスライド移動方向の長さSL2は、第1シート部材41のスライド移動方向の長さSL1よりも、シャッタ30のスライド移動により発生するクリック感の回数Nに、所定のピッチ(ピッチPT)の2倍の長さ(2×ピッチPT)を積算した長さ分短く構成されている(上記の式(1)を参照)。
【0082】
これにより、本実施形態によるシャッタ機構10は、シャッタ30をスライド移動する際に発生するクリック感の回数を適切に発生させることができる。
【0083】
また、本実施形態によるノートPC100(情報処理装置)は、上述したシャッタ機構10と、シャッタ機構10を搭載した第1筐体101とを備える。
これにより、本実施形態によるノートPC100(情報処理装置)は、シャッタ機構10を小型化することができるため、シャッタ機構10を搭載することで、小型化及び軽量化することができる。
【0084】
また、本実施形態では、第1筐体101には、表示部104が搭載されている。シャッタ機構10は、表示部104を囲んで第1筐体101に設けられたベゼル105部分に配置されている。
【0085】
これにより、本実施形態によるノートPC100は、ベゼル105の短辺方向(Y方向)のサイズを短くすることができるとともに、第1筐体101の厚み方向(Z方向)のサイズを短くすることができる。よって、本実施形態によるノートPC100は、表示部104のサイズを大きくすることができる。また、本実施形態によるノートPC100は、第1筐体101の厚み方向のサイズを縮小できるため、第1筐体101を小型化及び薄型化することができる。
【0086】
また、本実施形態によるシャッタ機構10の製造方法は、第1工程(
図7のステップS101の工程)と、第2工程(
図7のステップS102の工程)と、第3工程(
図7のステップS103の工程)とを含む。なお、シャッタ機構10は、上述したシャッタ30と、第1シート部材41と、第2シート部材42とを備える。第1工程は、2枚のマグネットシート(MS1、MS2)を、着磁面を対向して、N極PNとS極PSとが互いに反転して安定する位置に重ね合わせた状態にして、当該2枚のマグネットシート(MS1、MS2)から第1シート部材41と第2シート部材42(マグネットシートMS2A)とを切り出す工程である。第2工程は、第1シート部材41と第2シート部材42(マグネットシートMS2A)とを重ね合わせた状態で、第1シート部材41及び第2シート部材42(マグネットシートMS2A)の位置決め用の目印を、第1シート部材41及び第2シート部材42(マグネットシートMS2A)に付加する工程である。第3工程は、第2シート部材42をシャッタ30の移動可能分短く切断する工程である。
【0087】
これにより、本実施形態によるシャッタ機構10の製造方法は、適切な第1シート部材41及び第2シート部材42を製造することができ、シャッタ機構10及びノートPC100を小型化することができる。
【0088】
また、本実施形態では、位置決め用の目印は、第1シート部材41及び第2シート部材42を固定するための固定孔HLである。第2工程は、第1シート部材41と第2シート部材42(マグネットシートMS2A)とを重ね合わせた状態で、固定するための固定孔HLを形成する工程である。
【0089】
これにより、本実施形態によるシャッタ機構10の製造方法は、固定孔HLを形成することで、第1シート部材41と第2シート部材42とを適切な位置関係で固定することができる。
【0090】
また、本実施形態では、第1工程(
図10のステップS201及びステップS202の工程は、2枚のマグネットシート(MS1a、MS2a)を重ね合わせた状態で、スライド移動方向の第1の長さL1に切断し、切断した第1の長さL1の2枚のマグネットシートを、着磁面を対向して、N極PNとS極PSとが互いに反転して安定する位置に重ね合わせた状態にして、第1の長さL1より短い第2の長さL2(SL1)に切断して、第1シート部材41と第2シート部材42(マグネットシートMS2A)とを切り出す工程である。
【0091】
これにより、本実施形態によるシャッタ機構10の製造方法は、例えば、非常に長い2枚のマグネットシート(MS1a、MS2a)から第1シート部材41及び第2シート部材42を製造する場合であって、ピッチPT(着磁ピッチ)のバラツキが問題になる場合であっても、適切な第1シート部材41及び第2シート部材42を製造することができ、シャッタ機構10及びノートPC100を小型化することができる。
【0092】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の実施形態において、情報処理装置がノートPC100である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、タブレット端末装置、スマートフォン、カメラを備えた電子機器などの他の情報処理装置であってもよい。
【0093】
また、上記の実施形態において、表示部104を備える第1筐体101のベゼル105部分に、シャッタ機構10を搭載する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、表示部104を備えない筐体やベゼル105以外の部分など、他の筐体(箇所)にシャッタ機構10を搭載してもよい。
【0094】
また、上記の実施形態において、シャッタ機構10を用いるカメラ20が、インジケータランプ21、可視光の受光部22(可視光カメラ)、赤外線受光部23(赤外線カメラ)、及び赤外線照射部24を備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の構成のカメラであってもよい。例えば、カメラ20は、インジケータランプ21、可視光の受光部22(可視光カメラ)、赤外線受光部23(赤外線カメラ)、及び赤外線照射部24のうちの一部構成を備えない構成であってもよい。
【0095】
また、上記の実施形態において、位置決め用の目印の一例として、固定孔HLを用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、マークなどの他の目印であってもよい。また、位置決め用の目印の付加も、印刷などによる付加など他の加工であってもよい。
【0096】
また、第1シート部材41及び第2シート部材42の着磁パターンの数(磁極パターンの数)は、上記の実施形態に限定されるものではなく、使用する情報処理装置に応じて、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
10 シャッタ機構
20 カメラ
21 インジケータランプ
22 受光部
23 赤外線受光部
24 赤外線照射部
25 コネクタ部
30 シャッタ
31 操作部
32、35 インジケータ孔
33、36 可視光受光孔
34、37 赤外線受光孔
38 赤外線照射孔
39 操作孔
40 台座部
41、41-1、41-2、41-3 第1シート部材
42 第2シート部材
100 ノートPC
101 第1筐体
102 第2筐体
103 ヒンジ機構
104 表示部
105 ベゼル
109 カバー板
111 キーボード
112 タッチパッド
PB カメラ基板
MS1、MS1a、MS2、MS2a、MS3、MS3-1、MS3-2、MS3-3、MS4、MS4-1、MS4-2、MS-3、MS2A、MS2A-1、MS2A-2、MS2A-3 マグネットシート
【要約】
【課題】シャッタの移動により適切なクリック感を発生させつつ、小型化する。
【解決手段】シャッタ機構は、情報処理装置の筐体に搭載されたカメラと、受光部の受光を制限する第1位置と、前記受光の制限を解除する第2位置との間をスライド移動可能なシャッタと、前記筐体に相対的に固定されたシート状のマグネットシートであり、前記スライド移動方向にN極とS極とが交互に所定のピッチで複数配置されている第1シート部材と、シートの着磁面が前記第1シート部材の着磁面と対向するように、前記シャッタに相対的に固定されたシート状のマグネットシートであり、前記スライド移動方向にN極とS極が交互に所定のピッチで複数配置され、前記第1位置及び前記第2位置において、前記着磁面のN極とS極との着磁パターンが前記第1シート部材と対向する方向からみて前記第1シート部材の着磁パターンと反転している第2シート部材とを備える。
【選択図】
図3