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特許7602696炭化水素プロセス流処理用のハロゲン吸着剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】炭化水素プロセス流処理用のハロゲン吸着剤
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/12 20060101AFI20241211BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20241211BHJP
   C10G 25/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
B01J20/12 C
B01J20/28 Z
C10G25/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024525514
(86)(22)【出願日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2023045279
(87)【国際公開番号】W WO2024135611
(87)【国際公開日】2024-06-27
【審査請求日】2024-06-04
(31)【優先権主張番号】P 2022204483
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田川 和成
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信輔
(72)【発明者】
【氏名】三津井 知宏
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-221373(JP,A)
【文献】特表2018-523572(JP,A)
【文献】特開2021-007937(JP,A)
【文献】特開2019-201796(JP,A)
【文献】特開2001-072984(JP,A)
【文献】特開2002-338236(JP,A)
【文献】特開2005-187324(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106925240(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/00-20/28
B01J 20/30-20/34
C01B 33/40
C01F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素含有プロセス流からハロゲンを除去するための吸着剤であって、
セピオライト、アタパルジャイトおよび炭酸塩化合物を含み、
前記炭酸塩化合物が、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の少なくとも一方を含み、
フーリエ変換赤外分光光度計を用いて前記吸着剤を測定し得られた赤外スペクトルにおいて、波長1400~1500cm-1に極大値(ACO3)がある吸収帯を備え、
CO3が0.180以上である、
吸着剤。
【請求項2】
水酸基を有する無機化合物を含み、前記赤外ペクトルにおいて3500~3700cm-1に極大値(AOH)がある吸収帯を備え、前記ACO3とAOHとの比率(ACO3/AOH)が、5以上、20以下の範囲にある、請求項1に記載の吸着剤。
【請求項3】
前記炭酸塩化合物が炭酸カルシウムである、請求項2に記載の吸着剤。
【請求項4】
X線回折パターンにおいて、2θ=29°~30°に現れるピークの強度Bに対する2θ=7.1°~7.6°に現れるピークの強度Aの比率(A/B)が0.120以下である、請求項3に記載の吸着剤。
【請求項5】
X線回折パターンにおいて、前記強度Bに対する2θ=8.2°~8.7°に現れるピークの強度Cの比率(C/B)が0.130以下である請求項4に記載の吸着剤。
【請求項6】
水銀圧入法により測定される細孔分布において、平均細孔径が10nm以上、50nm以下の範囲にある、請求項5に記載の吸着剤。
【請求項7】
水銀圧入法により測定される細孔分布において、細孔容積が0.30mL/g以上、1.10mL/g以下の範囲にある、請求項6に記載の吸着剤。
【請求項8】
Ca含有量が、吸着剤の総質量に対して、CaO換算で、5質量%以上、40質量%の範囲にある、請求項7に記載の吸着剤。
【請求項9】
Mg含有量が、吸着剤の総質量に対して、MgO換算で、1質量%以上、25質量%の範囲にある、請求項8に記載の吸着剤。
【請求項10】
Si含有量が、吸着剤の総質量に対して、SiO2換算で、20質量%以上、70質量%以下の範囲にある、請求項9に記載の吸着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素プロセス流処理用のハロゲン吸着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
石油精製分野において、精製される炭化水素には原料または精製過程の触媒処理に由来する塩素化合物が含まれることがある。例えば、使用済みの触媒を再生して使用することがあり、触媒再生に塩素化合物が使用されることがある。このような再生触媒を使用したときに、塩素化合物が炭化水素中に溶出することがある。この塩素化合物として無機塩素化合物または有機塩素化合物の何れも知られている。精製する炭化水素に塩素化合物が含まれていると、精製装置が塩素によって腐食され、また使用触媒が被毒される等の問題を引き起こす。
【0003】
炭化水素に含まれる塩素化合物を除去する方法として、無機塩素化合物と有機塩素化合物を別々の装置で除去する方法が知られているが、この方法はコスト高になる問題がある。そこで、無機塩素化合物と有機塩素化合物を同時に除去できる塩素化合物吸着剤が注目されている。
【0004】
このような塩素化合物吸着剤として、酸化亜鉛を主成分とする吸着剤が従来から知られている。例えば、特許文献1には、酸化亜鉛と結合剤であるセピオライト、タルクまたはアタパルジャイト(パリゴルスカイト)からなる塩素吸着剤にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を少なくとも10重量%以上添加した塩素化合物除去剤が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、有機塩素化合物に対し吸着特性を示す固体材料10~80重量%、酸化亜鉛20~90重量%を含有し、有機塩化物の吸収量が、塩素として10mg/L以上である塩化物吸収剤を用いることが開示されている。
【0006】
しかしながら、酸化亜鉛を用いた吸着剤は、塩素化合物の吸着の進行とともにルイス酸性を有する塩化亜鉛を生成する。このような固体酸性を示す材料上では流体中の炭化水素と塩素化合物が反応して、有機塩素化合物が生成し、吸着塔のその出口濃度が入口濃度より高くなることが知られている。そこで、特許文献3、4に開示されるような酸化亜鉛を含まない塩素化合物の吸着剤も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-72984公報
【文献】特開2008-184512号公報
【文献】特開2021-7937号公報
【文献】特表2018-523572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のハロゲン吸着剤では、無機ハロゲン化合物、有機ハロゲン化合物の吸着速度が速い吸着剤を得ることは困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、無機ハロゲン化合物、有機ハロゲン化合物の吸着速度が速い吸着剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、セピオライト、アタパルジャイトおよび炭酸塩化合物を含み、前記炭酸塩化合物が、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の少なくとも一方を含み、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて前記吸着剤を測定し得られた赤外スペクトルにおいて、波長1400~1500cm-1に極大値(ACO3)がある吸収帯を備え、ACO3が0.180以上である吸着剤を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無機ハロゲン化合物、有機ハロゲン化合物の吸着速度が速い吸着剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の方法で得られた吸着剤のX線回折パターンである。
図2】実施例2の方法で得られた吸着剤のX線回折パターンである。
図3】実施例3の方法で得られた吸着剤のX線回折パターンである。
図4】比較例1の方法で得られた吸着剤のX線回折パターンである。
図5】比較例2の方法で得られた吸着剤のX線回折パターンである。
図6】比較例3の方法で得られた吸着剤のX線回折パターンである。
図7】比較例4の方法で得られた吸着剤のX線回折パターンである。
図8】比較例5の方法で得られた吸着剤のX線回折パターンである。
図9】比較例6の方法で得られた吸着剤のX線回折パターンである。
図10】実施例1の方法で得られた吸着剤の赤外スペクトルである。
図11】比較例1の方法で得られた吸着剤の赤外スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ハロゲンを除去するための吸着剤に関する発明(以下、「本発明の吸着剤」ともいう。)を含む。本発明において、数値範囲を示す「~」の表示は、その数値範囲に上限と下限の値を含み、例えば、「X~Y」はX以上かつY以下を意味する。以下、本発明の吸着剤について詳述する。
【0014】
[本発明の吸着剤]
本発明の吸着剤は、セピオライト、アタパルジャイトおよび炭酸塩化合物を含み、前記炭酸塩化合物が、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の少なくとも一方を含み、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて前記吸着剤を測定し得られた赤外スペクトルにおいて、波長1400~1500cm-1に極大値(ACO3)がある吸収帯を備え、ACO3が0.180以上である。
【0015】
本発明の吸着剤は、セピオライトを含む。セピオライトは、本発明の吸着剤の構成成分の一つであって、ハロゲンを吸着するための吸着媒である。セピオライトは、粘土鉱物の1種であり、一般的な粘土鉱物であるカオリンやタルク等の層状粘土鉱物とは異なる鎖状粘土鉱物である。セピオライトの代表的な化学構造式を次式(1)に示す。
MgSi15(OH)・6HO (1)
【0016】
セピオライトは天然の鉱物として産出され、その産地や精製方法によって化学組成が異なることがある。しかし、化学組成が相違しても、吸着剤のX線回折においてセピオライトの一般的な回析パターンが得られれば、この吸着剤にはセピオライトが含まれていると判断することができる。なお、セピオライトを原料として使用した吸着剤である場合も、この吸着剤にセピオライトが含まれていると判断することができる。本発明の吸着剤におけるセピオライトの混合質量割合は、吸着剤の構成成分全質量に対する割合として、20質量%以上、50質量以下の範囲にあることが好ましく、25質量%以上、50質量以下の範囲にあることがより好ましく、30質量%以上、50質量以下の範囲にあることが特に好ましい。セピオライトを多く含む本発明の吸着剤は、無機ハロゲン吸着速度が速くなる。
【0017】
本発明の吸着剤は、アタパルジャイトを含む。アタパルジャイトは、本発明の吸着剤の構成成分の一つであって、ハロゲンを吸着するための吸着媒である。アタパルジャイトは、含水マグネシウムとアルミニウムシリケートを主成分とする天然の硅酸塩鉱物である。前述のセピオライトと同様に、X線回折においてこれらに由来する回折パターンが確認できれば、この吸着剤にアタパルジャイトが含まれていると判断することができる。なお、アタパルジャイトを原料として使用した吸着剤である場合も、この吸着剤にアタパルジャイトが含まれていると判断することができる。本発明の吸着剤におけるアタパルジャイトの混合質量割合は、吸着剤の構成成分全質量に対する割合として、20質量%以上、50質量以下の範囲にあることが好ましく、25質量%以上、50質量以下の範囲にあることがより好ましく、30質量%以上、50質量以下の範囲にあることが特に好ましい。アタパルジャイトを多く含む本発明の吸着剤は、有機ハロゲン吸着速度が速くなる。また、有機ハロゲン生成速度も遅くなりやすい。
【0018】
本発明の吸着剤は、炭酸塩化合物を含み、前記炭酸塩化合物が、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の少なくとも一方を含む。アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の少なくとも一方を含む炭酸塩化合物は、本発明の吸着剤の構成成分の一つであって、有機ハロゲン生成速度を抑制する成分である。前述のセピオライトと同様に、X線回折において前記炭酸塩化合物に由来するX線回折パターンが確認できれば、この吸着剤に前記炭酸塩化合物が含まれているものと判断できる。また、前記炭酸塩化合物を原料として使用した吸着剤である場合も、この吸着剤に前記炭酸塩化合物が含まれていると判断することができる。ただし、原料に前記炭酸塩化合物を使っていた場合であっても、前記炭酸化合物が分解する条件で製造された吸着剤は、この限りではない。本発明の吸着剤における前記炭酸塩化合物の混合質量割合は、吸着剤の構成成分全質量に対する割合として、1質量%以上、50質量以下の範囲にあることが好ましく、5質量%以上、45質量以下の範囲にあることがより好ましく、5質量%以上、40質量以下の範囲にあることが特に好ましい。セピオライト、アタパルジャイト共に前記炭酸塩化合物を前述の範囲で含む本発明の吸着剤は、無機ハロゲン、有機ハロゲンの吸着速度が速くなる。また、有機ハロゲン生成速度も遅くなりやすい。さらに、前記炭酸塩化合物は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムの少なくとも一方であることが好ましく、炭酸カルシウムであることがより好ましい。
【0019】
本発明の吸着剤は、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて前記吸着剤を測定し得られた赤外スペクトルにおいて、波長1400~1500cm-1に極大値(ACO3)がある吸収帯を備え、ACO3が0.180以上である。この波長領域に現れる吸収帯は、炭酸根に由来する吸収帯である。本発明の吸着剤は、セピオライト、アタパルジャイトおよび前記炭酸塩化合物を含み、かつACO3が0.180以上であると無機ハロゲンおよび有機ハロゲンの吸着速度に優れる。また、ACO3が、0.200以上、0.500以下の範囲にあることが好ましく、0.220以上、0.400以下の範囲にあることが特に好ましい。ACO3が前述の範囲にある本発明の吸着剤は、無機ハロゲン、有機ハロゲンの吸着速度が速くなる。また、有機ハロゲン生成速度も遅くなりやすい。
【0020】
本発明の吸着剤は、水酸基を有する無機化合物を含み、前記赤外ペクトルにおいて3500~3700cm-1に極大値(AOH)がある吸収帯を備え、前記ACO3とAOHとの比率(ACO3/AOH)が、5以上、20以下の範囲にあることが好ましく、5以上、17以下の範囲にあることがより好ましく、5以上、14以下の範囲にあることが特に好ましい。この波長領域に現れる吸収帯は、水酸基に由来する吸収帯である。このような水酸基は、例えば前述のセピオライト、アタパルジャイト等に含まれる。本発明においては、水酸基に由来する吸収帯の極大値と炭酸根に由来する吸収帯の極大値との比率を一定の範囲にコントロールすることで、無機ハロゲン、有機ハロゲンの吸着速度が速い吸着剤を得ることができる。
【0021】
本発明の吸着剤は、炭酸カルシウムを含み、かつX線回折パターンにおいて、2θ=29°~30°に現れるピークの強度Bに対する2θ=7.1°~7.6°に現れるピークの強度Aの比率(A/B)が0.120以下であることが好ましい。本発明の吸着剤において、2θ=7.1°~7.6°に現れるピークは、セピオライトに由来するピークであり、2θ=29°~30°に現れるピークは、炭酸カルシウム(カルサイト)に由来するピークである。本発明の吸着剤は、セピオライト、アタパルジャイトおよび炭酸カルシウムを含み、かつこれらのピーク強度の比率(A/B)を特定の範囲にコントロールすることで、無機ハロゲン吸着能、有機ハロゲン吸着速度が速く、有機ハロゲン生成速度が遅くなる。この比率は、各構成成分の混合比率のみで定まるものではなく、各構成成分の結晶性、粒子サイズ等の様々な要因によって影響を受ける。この比率は、0.001以上、0.120以下の範囲にあることがより好ましく、0.010以上、0.120以下の範囲にあることが特に好ましく、0.010以上、0.100以下の範囲にあることが極めて好ましい。
【0022】
本発明の吸着剤は、炭酸カルシウムを含み、かつX線回折パターンにおいて、前記強度Bに対する2θ=8.2°~8.7°に現れるピークの強度Cの比率(C/B)が0.130以下であることが好ましい。本発明の吸着剤において、2θ=8.2°~8.7°に現れるピークは、アタパルジャイトに由来するピークである。本発明の吸着剤は、セピオライト、アタパルジャイトおよび炭酸カルシウムを含み、かつこれらのピーク強度の比率(C/B)を特定の範囲にコントロールすることで、無機ハロゲン、有機ハロゲン吸着速度が速くなり、有機ハロゲン生成速度が遅くなる。この比率は、各構成成分の混合比率のみで定まるものではなく、各構成成分の結晶性、粒子サイズ等の様々な要因によって影響を受ける。この比率は、0.001以上、0.130以下の範囲にあることがより好ましく、0.010以上、0.130以下の範囲にあることが特に好ましい。
【0023】
本発明の吸着剤は、構成成分の一つとしてセピオライト、アタパルジャイトおよび前記炭酸塩化合物以外の成分を含むことができる。例えば、造孔剤成分、希釈成分、バインダー成分として、シリカ、アルミナ、ゼオライト、粘土鉱物、有機バインダー等を含んでいてもよい。これらの成分の混合質量割合は、吸着剤の構成成分全質量に対する割合として、10質量%以上、50質量以下の範囲にあることが好ましく、20質量%以上、40質量以下の範囲にあることがより好ましい。
【0024】
本発明の吸着剤のカルシウム(Ca)含有量は、吸着剤全量に対して、CaO換算で、1質量%以上、50質量%以下の範囲にあることが好ましく、5質量%以上、40質量%以下の範囲にあることがより好ましく、10質量%以上、40質量%以下の範囲にあることが特に好ましい。本発明の吸着剤に含まれるカルシウムは、主に、炭酸カルシウム、セピオライトおよびアタパルジャイトに含まれうるカルシウムに由来する。
【0025】
本発明の吸着剤のマグネシウム(Mg)含有量は、吸着剤全量に対して、MgO換算で、1質量%以上、25質量%以下の範囲にあることが好ましく、3質量%以上、25質量%以下の範囲にあることがより好ましく、8質量%以上、15質量%以下の範囲にあることが特に好ましい。本発明の吸着剤に含まれるマグネシウムは、主に、セピオライト、アタパルジャイトおよび炭酸マグネシウムに含まれるマグネシウムに由来する。
【0026】
本発明の吸着剤のシリコン(Si)含有量は、吸着剤全量に対して、SiO換算で、20質量%以上、70質量%以下の範囲にあることが好ましく、30質量%以上、70質量%以下の範囲にあることがより好ましい。本発明の吸着剤に含まれるシリコンは、主に、セピオライトおよびアタパルジャイトに含まれるシリコンに由来する。また、バインダー成分としてシリカを用いた場合はこれにも由来する。
【0027】
本発明の吸着剤のアルミニウム(Al)含有量は、吸着剤全量に対して、Al換算で、1質量%以上、40質量%以下の範囲にあることが好ましく、1質量%以上、20質量%以下の範囲にあることがより好ましい。本発明の吸着剤に含まれるアルミニウムは、バインダー成分またはセピオライトおよびアタパルジャイトに含まれる不純物と考えられる。
【0028】
本発明の吸着剤の亜鉛(Zn)含有量は、吸着剤全量に対して、ZnO換算で、10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが特に好ましい。本発明の吸着剤に酸化亜鉛が含まれると、有機ハロゲン生成速度が速くなりやすい。したがって、亜鉛の含有量は少ないほうが好ましい。
【0029】
本発明の吸着剤の平均細孔径は、10nm以上、50nm以下の範囲にあることが好ましく、10nm以上、40nm以下の範囲にあることがより好ましく、10nm以上、30nm以下の範囲にあることが特に好ましい。平均細孔径が前述の範囲にある本発明の吸着剤は、炭化水素含有プロセス流において、炭化水素が拡散しやすくなる。これによって、本発明の吸着剤に炭化水素中に含まれるハロゲンが吸着されやすくなる。本発明における平均細孔径は、窒素吸着法により得られる吸着等温線から求められた細孔分布における平均細孔径を指すものとする。
【0030】
本発明の吸着剤の細孔容積は、0.20mL/g以上、1.00mL/g以下の範囲にあることが好ましく、0.25mL/g以上、0.90mL/g以下の範囲にあることがより好ましく、0.30mL/g以上、0.80mL/g以下の範囲にあることが特に好ましい。細孔容積が前述の範囲にある本発明の吸着剤は、炭化水素含有プロセス流において、炭化水素が吸着剤の内部まで拡散しやすくなる。これによって、本発明の吸着剤に炭化水素中に含まれるハロゲンが吸着されやすくなる。本発明における細孔容積は、窒素吸着法により得られる吸着等温線から求められた細孔分布における平均細孔径を指すものとする。
【0031】
本発明の吸着剤の比表面積は、40m/g以上、250m/g以下の範囲にあることが好ましく、80m/g以上、225m/g以下の範囲にあることがより好ましく、120m/g以上、200m/g以下の範囲にあることが特に好ましい。比表面積が前述の範囲にある本発明の吸着剤は、炭化水素含有プロセス流において、炭化水素が吸着剤の内部まで拡散しやすくなる。これによって、本発明の吸着剤に炭化水素中に含まれるハロゲンが吸着されやすくなる。本発明における比表面積は、BET1点法により求められた比表面積を指すものとする。
【0032】
本発明の吸着剤の嵩密度は、0.30g/mL以上、1.10g/mL以下の範囲にあることが好ましく、0.35g/mL以上0.90g/mL以下の範囲にあることがより好ましい。本発明の吸着剤は、無機ハロゲン化合物、有機ハロゲン化合物の吸着速度に優れるので、嵩密度を低くしても効率的にハロゲンを吸着することができる。
【0033】
本発明の吸着剤の形状は、球状、柱状(円柱状や四つ葉状を含む)またはこれらに類する形状であってもよい。また、そのサイズ(吸着剤の外形で最小の長さ)は、0.5mm以上~6mm以下の範囲が好ましい。吸着剤のサイズが小さいと、吸着剤と炭化水素の接触面積が増えるので、炭化水素中に含まれるハロゲンに対する吸着速度が高まる。
【0034】
本発明の吸着剤は、さまざまな媒体に含まれるハロゲンを除去することができ、炭化水素プロセス流に含まれるハロゲンをより効率的に除去することができる。また、前述の媒体は、液体であっても、気体であってもよい。本発明の吸着剤は、気体に対して液体のハロゲンの除去効率が低くなりやすい液体であってもハロゲンをより効率的に除去することができる。本発明の吸着剤は、液体の炭化プロセス流に含まれるハロゲンを特に効率的に除去することができる。これは、本発明の吸着剤の有機ハロゲン生成能が低いためである。
【0035】
[本発明の吸着剤の製造方法]
本発明の吸着剤は、例えば、以下(1)~(3)工程を備えた製造方法を用いて調製することができる。
(1)セピオライト、アタパルジャイト、炭酸塩化合物であって、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の少なくとも一方を含む化合物および溶媒を混合して成形前駆体を調製する成形前駆体調製工程
(2)前記成形前駆体をペレット状に成形して吸着剤前駆体を得る成形工程
(3)前記吸着剤前駆体を350℃以下の温度で乾燥して吸着剤を得る乾燥工程
【0036】
以下、この製造方法を一例として本発明の吸着剤の製造方法を詳述するが、本発明の吸着剤の製造方法は、この製造方法のみに限定されない。
【0037】
[(1)成形前駆体調製工程]
前記製造方法は、セピオライト、アタパルジャイト、炭酸塩化合物であって、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の少なくとも一方を含む化合物および溶媒を混合して成形前駆体を調製する成形前駆体調製工程を含む。この工程では、本発明の吸着剤の各構成成分を含む粘土状の捏和物を調製する。
【0038】
この工程におけるセピオライトの混合割合は、溶媒を除いた固形分全量に対して、20質量%以上、50質量以下の範囲にあることが好ましく、25質量%以上、50質量以下の範囲にあることがより好ましく、30質量%以上、50質量以下の範囲にあることが特に好ましい。また、この工程におけるアタパルジャイトの混合割合は、溶媒を除いた固形分全量に対して、20質量%以上、50質量以下の範囲にあることが好ましく、25質量%以上、50質量以下の範囲にあることがより好ましく、30質量%以上、50質量以下の範囲にあることが特に好ましい。さらに、この工程における炭酸カルシウムの混合割合は、溶媒を除いた固形分全量に対して、5質量%以上、50質量以下の範囲にあることが好ましく、5質量%以上、45質量以下の範囲にあることがより好ましく、5質量%以上、40質量以下の範囲にあることが特に好ましい。この工程におけるセピオライト、アタパルジャイトおよび前記炭酸塩化合物は、市販品を用いてもよく、また合成品を用いてもよい。
【0039】
この工程では、構成成分の一つとしてセピオライト、アタパルジャイトおよび前記炭酸塩化合物以外の成分を混合することができる。例えば、造孔剤成分、希釈成分、バインダー成分として、シリカ、アルミナ、ゼオライト、粘土鉱物、有機バインダー等を混合してもよい。これらの成分の混合割合は、溶媒を除いた固形分全量に対して、10質量%以上、50質量以下の範囲にあることが好ましく、20質量%以上、40質量以下の範囲にあることがより好ましい。
【0040】
この工程では、前述の成分に加えて、溶媒を混合する。この溶媒は、前述の成分同士を固着させ、成形に適した前駆体とするための成分である。この工程では、溶媒として、無機溶媒および有機溶媒のどちらも使用することができ、無機溶媒を用いることが好ましく、水を用いることがより好ましい。溶媒の混合割合は、前述の成分の性状等によって異なるので、好ましい範囲を一義的に定めることは困難であるが、成形前駆体の全量に対して10質量%以上、70質量%以下の範囲で混合するとよい。溶媒の添加量が少ないと、前述の成分同士が固着して顆粒状になりやすく、このような成形前駆体は、打錠成形用の前駆体として好適に使用できる。また、溶媒の添加量が多いと、前述の成分同士の固着がより進行し粘土状になりやすく、このような成形前駆体は押出成形用の前駆体として好適に使用できる。
【0041】
この工程では、各成分を従来公知の方法で混合することができる。例えば、ハイスピードミキサー、ミル等を用いて混合することができる。また、ニーダーを用いて混合することもできる。これらの混合方法は製造プロセスに合致するように適宜選択すれば良い。
【0042】
[(2)成形工程]
この工程では、前述の工程で得られた成形前駆体を従来公知の方法を用いて成形することができる。例えば、打錠成形、押出成形等を用いてペレット状に成形することができる。打錠成形を用いる場合は、顆粒状の成形前駆体を錠剤成形機にセットして、一定の圧力を付加する方法を用いるとよい。このとき用いるシリンダーの形状によって、最終的に得られる吸着剤の形状を定めることができる。また、押出成形を用いる場合は、粘土状の成形前駆体前駆体を、一軸オーガ式押出成形機や、ディスクペレッターを用いるとよい。このとき用いるダイスの形状によって、最終的に得られる吸着剤の形状を定めることができる。
【0043】
[(3)乾燥工程]
この工程では、前述の工程で得られた吸着剤前駆体を従来公知の方法を用いて乾燥することができる。例えば、風乾、加熱乾燥、減圧乾燥、またはこれらを組み合わせた方法を用いることができる。乾燥温度は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。熱によって吸着剤前駆体に含まれる各成分の性状が変化しないようにするためである。特に高温にした場合、前記炭酸塩化合物が分解したり、セピオライト、アタパルジャイトの構造が変化したりする可能性がある。
【0044】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0045】
[測定方法ないし評価方法]
各種測定ないし評価は以下のように行った。
【0046】
[1]FT-IR測定(ATR法)
各実施例で得られた吸着剤を粉末状に粉砕したのち、各吸着剤の赤外スペクトルを以下の条件で測定した。
<条件>
機種名:FT/IR-6100typeA
付属品名:ATR PRO470-H
入射角:45度
光源:装置付属の標準光源
検出器:TGS
積算回数:16回
分解能:4 cm-1
ゼロフィリング:On
アポダイゼーション:Cosine
ゲイン:Auto (32)
アパーチャー:Auto (7.1 mm)
スキャンスピード:Auto (2 mm/sec)
フィルタ:Auto (10000 Hz)
【0047】
[2]X線回折測定
各実施例で得られた吸着剤を粉末状に粉砕したのち、以下の条件で粉末X線回折測定を行った。
<条件>
X線回折装置:MiniFlex600(株式会社リガク製)
線源:Cu-Kα線
加速電圧、電流:40kV、15mA
受光スリット:13mm
スキャン速度:5.0°/min
ステップ幅:0.01°
測定範囲(2θ):5~90°
【0048】
[3]組成分析(Ca、Mg、Si、Al)
各実施例で得られた吸着剤を粉末状に粉砕したのち、加圧成形用リングに試料を入れ、成型圧力30MPaで3min加圧成形した。成形試料を蛍光X線分析装置(株式会社リガク社製、ZSX100e)にセットし、オーダー(半定量)分析にて測定した。
【0049】
[4]細孔分布
各実施例で得られた吸着剤を磁製ルツボに約3g採取し、500℃の温度で1時間加熱処理後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。水この測定用サンプルを用い、以下の条件で吸着剤の細孔分布を測定した。以下の条件で細孔分布を測定した。
・細孔分布測定装置:PM-33GT1LP(QUANTA CROME製)
・サンプル容量:3g
・細孔径測定範囲:5nm~5000nm
・水銀の接触角:150°
・水銀の表面張力:480dyn/cm
得られた細孔分布から、細孔径5nm~5000nmの範囲の細孔容積の総量を、細孔容積とした。
【0050】
[5]比表面積
<窒素吸脱着測定のBET一点法により求められる触媒の表面積(比表面積N2)の測定方法>
各実施例で得られた吸着剤を磁製ルツボ(B-2型)に約30mL採取し、110℃の温度で2時間加熱処理後、デシケータに入れて室温まで冷却し、測定用サンプルを得た。次に、このサンプルを1g取り、全自動表面積測定装置(湯浅アイオニクス社製、マルチソーブ12型)を用いて、サンプルの比表面積(m2/g)をBET法にて測定した。
【0051】
[6]嵩密度
各実施例で得られた吸着剤50gを250mlのメスシリンダー上部開口部から自重で落下させて充填し、充填層上部を水平面にしたときの容積(V1)を測り、次式により求めた。
嵩密度=50/V1 [g/mL]
【0052】
[7]ハロゲン吸着試験
(無機ハロゲン吸着速度定数)
各実施例で得られた吸着剤を、反応管へ層高20mmとなるように最密充填し、吸着試験装置に取り付けた。この反応管に窒素流通下にて150℃で1時間前処理を行った後に室温まで冷却した。その後、塩化水素を500ppm含有するキシレンを1ml/minの速度で流通した。所定の経過時間毎に反応管の入口および出口の流通液をサンプリングし、微量塩素分析装置(日東精工アナリテック社製、TCL-2100V)を用いて塩素濃度を測定した。この塩素の入口および出口の濃度の差分と吸着剤への流通液滞留時間から、無機ハロゲン吸着速度定数を算出した。また、本試験の流通を60hr以上継続し、無機ハロゲンを飽和吸着した吸着剤を得た。
【0053】
(有機ハロゲン吸着速度定数)
各実施例で得られた吸着剤を、反応管へ層高50mmとなるように最密充填し、吸着試験装置に取り付けた。この反応管に窒素流通下にて150℃で1時間前処理を行った後に室温まで冷却した。その後、有機塩素化合物を0.5ppm含有するリフォーメート(改質ナフサ)を0.2ml/minの速度で流通した。所定の経過時間毎に反応管の入口および出口の流通液をサンプリングし、微量塩素分析装置(日東精工アナリテック社製、TCL-2100V)を用いて塩素濃度を測定した。この塩素の入口および出口の濃度の差分と吸着剤への流通液滞留時間から、有機ハロゲン吸着速度定数を算出した。
【0054】
(有機ハロゲン生成速度定数)
無機ハロゲンを飽和吸着した吸着剤を、反応管へ層高10mmとなるように最密充填し、吸着試験装置に取り付けた。その後、ヘキセンを10%含有するキシレンを0.1ml/minの速度で流通した。所定の経過時間毎に反応管の入口および出口の流通液をサンプリングし、微量塩素分析装置(日東精工アナリテック社製、TCL-2100V)を用いて塩素濃度を測定した。この塩素の入口および出口の濃度の増加分と吸着剤への流通液滞留時間から、有機ハロゲン生成速度定数を算出した。
【0055】
[実施例1]
セピオライト粉末(購入元:IMV NEVADA社、品名:THERMOGEL)177g、アタパルジャイト粉末(購入元:Active Minerals社、品名:Min-U-Gel-200)167g、炭酸カルシウム(購入元:神島化学社、品名:軽微炭酸カルシウム)64.3gおよびイオン交換水240gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。この成形用前駆体を押出成形機で成形し、吸着剤前駆体を得た。この吸着剤前駆体を電気乾燥機で120℃-12時間乾燥し、さらに200℃-3時間乾燥して、直径1.2~1.3mmφ、高さ3~5mmの円柱状に成形された吸着剤を得た。この吸着剤について、前述の[1]~[7]の測定および評価を行った。結果を表1に示す。また、[2]の測定で得られた実施例1のX線回折パターンを図1に示す。さらに、[1]の測定で得られた実施例1の赤外スペクトルを図10に示す。
【0056】
[実施例2]
セピオライト粉末(購入元:IMV NEVADA社、品名:THERMOGEL)141g、アタパルジャイト粉末(購入元:Active Minerals社、品名:Min-U-Gel-200)133g、炭酸カルシウム(購入元:神島化学社、品名:軽微炭酸カルシウム)161gおよびイオン交換水210gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。以降の工程および評価は、実施例1と同様の方法で行った。実施例2のX線回折パターンを図2に、結果を表1に示す。
【0057】
[実施例3:シリカバインダー使用]
セピオライト粉末(購入元:IMV NEVADA社、品名:THERMOGEL)125g、アタパルジャイト粉末(購入元:Active Minerals社、品名:Min-U-Gel-200)117g、炭酸カルシウム(購入元:神島化学社、品名:軽微炭酸カルシウム)42.8g、バインダー成分として非晶質シリカ(購入元:Oriental Silicas Corporation 、品名:トクシール928)99.1gおよびイオン交換水450gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。以降の工程および評価は、実施例1と同様の方法で行った。実施例3のX線回折パターンを図3に、結果を表1に示す。
【0058】
[実施例4:シリカバインダー使用]
セピオライト粉末(購入元:IMV NEVADA社、品名:THERMOGEL)121g、アタパルジャイト粉末(購入元:Active Minerals社、品名:Min-U-Gel-200)114g、炭酸カルシウム(購入元:神島化学社、品名:軽微炭酸カルシウム)54g、バインダー成分として非晶質シリカ(購入元:Oriental Silicas Corporation 、品名:トクシール928)99gおよびイオン交換水510gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。以降の工程および評価は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
【0059】
[実施例5:アルミナバインダー使用]
バインダー成分としてアルミナ(購入元:日揮触媒化成株式会社、品名:AP-1)129gを用いたこと以外は、実施例4と同様の方法で吸着剤を得た。得られた吸着剤について、実施例1と同様の方法で評価を行った。結果を表1に示す。
【0060】
[実施例6:炭酸マグネシウム使用]
セピオライト粉末(購入元:IMV NEVADA社、品名:THERMOGEL)181g、アタパルジャイト粉末(購入元:Active Minerals社、品名:Min-U-Gel-200)171g、炭酸マグネシウム(購入元:富士フイルム和光純薬株式会社、品名:塩基性炭酸マグネシウム 和光一級)71gおよびイオン交換水220gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。以降の工程および評価は、実施例1と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
【0061】
[比較例1:炭酸カルシウムなし]
セピオライト粉末(購入元:IMV NEVADA社、品名:THERMOGEL)201g、アタパルジャイト粉末(購入元:Active Minerals社、品名:Min-U-Gel-200)190gおよびイオン交換水260gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。以降の工程および評価は、実施例1と同様の方法で行った。比較例1のX線回折パターンを図4に、結果を表1に示す。また、[1]の測定で得られた比較例1の赤外スペクトルを図11に示す。
【0062】
[比較例2:アタパルジャイトなし]
セピオライト粉末(購入元:IMV NEVADA社、品名:THERMOGEL)354g、炭酸カルシウム(購入元:神島化学工業社、品名:軽微炭酸カルシウム)64.3gおよびイオン交換水220gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。以降の工程および評価は、実施例1と同様の方法で行った。比較例2のX線回折パターンを図5に、結果を表1に示す。
【0063】
[比較例3:セピオライトのみ]
セピオライト粉末(購入元:IMV NEVADA社、品名:THERMOGEL)403gおよびイオン交換水200gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。以降の工程および評価は、実施例1と同様の方法で行った。比較例3のX線回折パターンを図6に、結果を表1に示す。
【0064】
[比較例4:セピオライトなし]
アタパルジャイト粉末(購入元:Active Minerals社、品名:Min-U-Gel-200)334g、炭酸カルシウム(購入元:神島化学社、品名:軽微炭酸カルシウム)64.3gおよびイオン交換水290gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。以降の工程および評価は、実施例1と同様の方法で行った。比較例4のX線回折パターンを図7に、結果を表1に示す。
【0065】
[比較例5:アタパルジャイトのみ]
アタパルジャイト粉末(購入元:Active Minerals社、品名:Min-U-Gel-200)379gおよびイオン交換水300gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。以降の工程および評価は、実施例1と同様の方法で行った。比較例5のX線回折パターンを図8に、結果を表1に示す。
【0066】
[比較例6:水酸化カルシウム]
セピオライト粉末(購入元:IMV NEVADA社、品名:THERMOGEL)177g、アタパルジャイト粉末(購入元:Active Minerals社、品名:Min-U-Gel-200)167g、水酸化カルシウム(購入元:富士フイルム和光純薬工業社、品名:水酸化カルシウム)50.1gおよびイオン交換水380gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。以降の工程および評価は、実施例1と同様の方法で行った。比較例6のX線回折パターンを図9に、結果を表1に示す。
【0067】
[比較例7:炭酸塩化合物なし]
セピオライト粉末(購入元:IMV NEVADA社、品名:THERMOGEL)141g、アタパルジャイト粉末(購入元:Active Minerals社、品名:Min-U-Gel-200)133g、バインダー成分として非晶質シリカ(購入元:Oriental Silicas Corporation 、品名:トクシール928)129gおよびイオン交換水450gをニーダーで混合して、粘土状の成形用前駆体を得た。以降の工程および評価は、実施例1と同様の方法で行った。
【0068】
【表1】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11