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特許7602697車両用無線給電ユニットおよび車両用無線給電システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-10
(45)【発行日】2024-12-18
(54)【発明の名称】車両用無線給電ユニットおよび車両用無線給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20241211BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241211BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20241211BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20241211BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20241211BHJP
   B60L 53/122 20190101ALI20241211BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/12
H01F38/14
B60M7/00 X
B60L53/122
B60L5/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024530881
(86)(22)【出願日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 JP2023023810
(87)【国際公開番号】W WO2024005016
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2024-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2022106671
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002255
【氏名又は名称】SWCC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 昌啓
(72)【発明者】
【氏名】野内 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 瞭太
(72)【発明者】
【氏名】三浦 聖
(72)【発明者】
【氏名】酒井 和彦
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-23997(JP,A)
【文献】国際公開第2021/70553(WO,A1)
【文献】特開2020-198763(JP,A)
【文献】特開2021-27771(JP,A)
【文献】特開2019-36613(JP,A)
【文献】特開2021-61725(JP,A)
【文献】特開2019-34696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/40
H02J 7/00
H02J 50/12
H01F 38/14
B60M 7/00
B60L 53/122
B60L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対して無線で給電を行う車両用無線給電ユニットであって、
複数の送電コイルと、
道路の内部に設置され、前記複数の送電コイルを備える下部筐体と、を含み、
前記複数の送電コイルは、前記下部筐体の道路と並行な一の平面上における車両の走行方向および前記走行方向と直交する方向のうち少なくとも一の方向に沿って配置され、
前記下部筐体は、前記送電コイルが配置される面に排水のための溝を有する
車両用無線給電ユニット。
【請求項2】
前記下部筐体は、前記下部筐体の前記複数の送電コイルが配置される面における一方側から他方側へ貫通する貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記溝に連なって設けられる請求項に記載の車両用無線給電ユニット。
【請求項3】
車両に対して無線で給電を行う車両用無線給電ユニットであって、
複数の送電コイルと、
道路の内部に設置され、前記複数の送電コイルを備える下部筐体と、を含み、
前記複数の送電コイルは、前記下部筐体の道路と並行な一の平面上における車両の走行方向および前記走行方向と直交する方向のうち少なくとも一の方向に沿って配置され、
前記下部筐体は、前記車両の走行方向における前方及び後方の端部に、他の下部筐体と連結するための連結部を有する
車両用無線給電ユニット。
【請求項4】
車両に対して無線で給電を行う車両用無線給電ユニットであって、
複数の送電コイルと、
道路の内部に設置され、前記複数の送電コイルを備える下部筐体と、
前記下部筐体上に備えられ、上方からの荷重に耐えるとともに、内部への水の侵入を防ぐ上部筐体と、を含み、
前記上部筐体からの荷重を前記下部筐体に伝える支持体と、を含み、
前記複数の送電コイルは、前記下部筐体の道路と並行な一の平面上における車両の走行方向および前記走行方向と直交する方向のうち少なくとも一の方向に沿って配置される、
車両用無線給電ユニット。
【請求項5】
前記支持体は、ケーブル類を収容可能な筒状形状を有し、
前記筒状形状の軸線方向における一端は前記上部筐体に接するとともに、他の端は前記下部筐体に接しており、前記上部筐体と前記下部筐体との間の位置にケーブル類の取出穴を有する請求項に記載の車両用無線給電ユニット。
【請求項6】
前記上部筐体は、上面が道路として舗装されており、
前記上面が前記道路の表面の一部を構成する請求項に記載の車両用無線給電ユニット。
【請求項7】
前記上部筐体の上面に車両を案内する案内部を有する請求項に記載の車両用無線給電ユニット。
【請求項8】
前記案内部は、断面形状が凸部形状であり、かつ平面視において長方形状であり、
前記案内部の前記長方形状の車両の走行方向における先端は、前記長方形状の車両の走行方向における後端より、前記車両の走行方向と直交方向における中央側に配置される請求項に記載の車両用無線給電ユニット。
【請求項9】
複数の送電コイルを含み、車両に対して無線で給電を行う車両用無線給電ユニットと、
前記送電コイルへ電力を供給する制御装置と、
前記制御装置から道路前記車両用無線給電ユニットへと電力を供給するケーブルと、
車両の所定の領域への侵入を検出するセンサと、を備え、
前記車両用無線給電ユニットは、前記複数の送電コイルと、道路の内部に設置され、前記複数の送電コイルを備える下部筐体と、を含み、
前記複数の送電コイルは、前記下部筐体の道路と並行な一の平面上における車両の走行方向および前記走行方向と直交する方向のうち少なくとも一の方向に沿って配置され、
前記制御装置は、前記センサからの出力に基づいて前記送電コイルへ電力を供給するか否かの制御を行う
車両用無線給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用無線給電ユニットおよび車両用無線給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、給電装置から走行中の車両等の移動体(以降、「車両等」)へ無線で電力を供給する、無線給電システムの開発が行われている。例えば、特許文献1には、道路の内部に無線給電装置を設置する例が開示されている。走行中の車両への無線での給電では、受電コイルを備える車両等が、道路の内部に設置された送電コイルの上を通過した際に、送電コイルから無線で電力が供給される。受電コイルで受電された電力は、車両等に搭載される二次電池等に充電される。走行中に給電することで、二次電池の容量の大型化を抑制しつつ走行距離を延ばすことができる。
【0003】
無線での給電を行う送電コイルと受電コイルとは、一般的に、それぞれのコイルの中心軸の水平方向の位置が近いほど伝送効率が良いため、道路に受電コイルを設置する場合の位置決めは正確に行う必要がある。また、コイルの厚さ方向の距離が近いほど伝送効率が良いため、道路に受電コイルを設置する深さの位置決めは、正確に行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-12377号公報
【0005】
道路の内部に送電用コイルを設置するには、道路を掘削工事する必要がある。道路の内部に設置される送電コイルは、所定の伝送効率を得るため、道路の内部の所定の位置で、かつ所定の深さに位置決めして設置する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、道路への送電コイルの設置を簡便に行うことが可能な車両用無線給電ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、車両に対して無線で給電を行う車両用無線給電ユニットであって、複数の送電コイルと、道路の内部に設置され、前記複数の送電コイルを備える下部筐体と、を含み、前記複数の送電コイルは、前記下部筐体の道路と並行な一の平面上における車両の走行方向および走行方向と直交する方向のうち少なくとも一の方向に沿って配置される車両用無線給電ユニット、が提供される。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、車両用無線給電システムは、上記記載の車両用無線給電ユニットと、前記送電コイルへ電力を供給する制御装置と、前記制御装置から道路前記車両用無線給電ユニットへと電力を供給するケーブルと、車両の所定の領域への侵入を検出するセンサと、を備え、前記制御装置は、前記センサからの出力に基づいて前記送電コイルへ電力を供給するか否かの制御を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態を用いることにより、道路への送電コイルの設置を簡便に行うことが可能な車両用無線給電ユニットおよび車両用無線給電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムの構成を示す模式図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムの側面から見た断面模式図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムにおける電気的接続を示す模式図である。
図4A図4Aは、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムの配置施工方法を示す断面模式図である。
図4B図4Bは、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムの配置施工方法を示す断面模式図である。
図4C図4Cは、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムの配置施工方法を示す断面模式図である。
図4D図4Dは、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムの配置施工方法を示す断面模式図である。
図4E図4Eは、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムの配置施工方法を示す断面模式図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムにおける電気的接続を示す模式図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムの断面模式図である。
図7A図7Aは、本発明の一実施形態に係る上部筐体の上面図である。
図7B図7Bは、本発明の一実施形態に係る凸部の側面図である。
図7C図7Cは、本発明の一実施形態に係る上部筐体の上面図である。
図8A図8Aは、本発明の一実施形態に係る上部筐体の側面図である。
図8B図8Bは、本発明の一実施形態に係る上部筐体の側面図である。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る上部筐体の上面図である。
図10A図10Aは、本発明の一実施形態に係る筐体の側面断面図である。
図10B図10Aは、本発明の一実施形態に係る筐体の上面断面図である。
図11A図11Aは、本発明の一実施形態に係る支持体を上部筐体側から見たときの断面図である。
図11B図11Bは、本発明の一実施形態に係る支持体を側方から見たときの模式図である。
図11C図11Cは、本発明の一実施形態に係る筐体の側面断面図である。
図11D図11Dは、図12Cの要部の拡大図である。
図11E図11Eは、本発明の一実施形態に係る支持体を上部筐体側から見たときの断面図である。
図12A図12Aは、本発明の一実施形態に係る支持体を側方から見たときの模式図である。
図12B図12Bは、本発明の一実施形態に係る支持体を上部筐体側から見たときの断面図である。
図12C図12Cは、本発明の一実施形態に係る筐体をおよび支持体を側方から見たときの断面図である。
図12D図12Dは、本発明の一実施形態に係る支持体を上部筐体側から見たときの断面図である。
図13図13は、本発明の一実施形態に係る下部筐体の上面図である。
図14図14は、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムの側面から見たときの断面模式図である。
図15A図15Aは、本発明の一実施形態に係る下部筐体の端部についての詳細断面図である。
図15B図15Bは、本発明の一実施形態に係る下部筐体の端部についての詳細断面図である。
図15C図15Cは、本発明の一実施形態に係る下部筐体の端部についての詳細断面図である。
図15D図15Dは、本発明の一実施形態に係る下部筐体の端部についての詳細上面図である。
図15E図15Eは、本発明の一実施形態に係る下部筐体の端部についての詳細上面図である。
図16図16は、本発明の一実施形態に係る車両用無線給電システムの側面から見たときの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0012】
また、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字xxxの後にA,Bまたは1,2などを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。その他、本発明の属する分野における通常に知識を有する者であれば認識できるものである場合、特段の説明を行わないものとする。
【0013】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る車両用無線給電システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(1-1.車両用無線給電システムの構成)
図1は、車両用無線給電システム(以下、給電システム10という)の構成を示す概略模式図である。図2は、給電システム10の断面模式図である。図1および図2に示すように、給電システム10は、制御装置20および複数の送電コイルユニット30を含む。制御装置20および送電コイルユニット30はケーブル15により電気的に接続される。
【0015】
制御装置20は、ブランチケーブルから供給された交流電力を所定の周波数へと変換するとともに、送電コイルユニット30への送電処理を制御する。制御装置20には、インバータ、マイコン、CPU(Centrral Processing Unit)のほか、その他の演算処理装置の少なくとも一つが用いられる。インバータでは、送電用電力として、例えば85KHzの周波数に変換される。制御装置20(インバータボックスともいう)は、道路50の側部(例えば、歩道55)上に設けられる。制御装置20への電力供給は、例えばブランチケーブルから行われる。
【0016】
複数の送電コイルユニット30は、筐体40に収納されて、道路50の内部(地中)に埋め込まれて設けられる。複数の送電コイルユニット30および筐体40を合わせて、車両用無線給電ユニット100と称してもよい。具体的には、第1送電コイルユニット30-1を基準として、車両60の走行方向(道路50の延びる方向)を示す第1方向D1に第2送電コイルユニット30-2が配置される。第1送電コイルユニットを基準として、第1方向と直交する第2方向D2に第3送電コイルユニット30-3が配置される。第2送電コイルユニット30-2に対して第2方向であって、第3送電コイルユニット30-3に対して第1方向に第4送電コイルユニット30-4が配置される。各々の送電コイルユニットを分けて説明する必要がないときは、送電コイルユニット30として説明する。
【0017】
送電コイルユニット30は、送電コイル31、共振コンデンサ33、およびケース39を含む。送電コイルユニット30では、送電コイル31、共振コンデンサ33によってLC共振回路が形成される。
【0018】
図2に示すように、送電コイル31の設置場所は道路50の表層部から所定の深さの地中52となる。道路50を走行する車両60に設けられた受電コイル61が送電コイルユニット30上に配置されたとき、送電コイル31と受電コイル61は対向する。このとき、車両60に搭載される受電コイル61と送電コイル31の距離を出来るだけ近接させた方が給電効率を高くすることができる。具体的には、送電コイル31と、受電コイル61との距離は、5センチメートル以上50センチメートル以下であることが望ましい。さらに望ましくは、送電コイル31と、受電コイル61との距離は、3センチメートル以上である。受電コイル61と対向する送電コイル31に高周波電力が供給されることにより、送電コイル31から受電コイル61に向かって電磁誘導により磁束(交流磁束)が発生する。このとき、受電コイル61に誘導起電力が発生する。これにより、送電コイル31から受電コイル61へ無線で電力を送ることができる。
【0019】
受電コイル61で受け取った電力は、車両60に搭載されたバッテリ63に蓄積される。バッテリ63には、リチウムイオン電池が用いられる。なお、バッテリ63には、リチウムイオン電池のほか、ニッケル水素電池などその他の充電可能な電池が用いられてもよい。また、バッテリ63には、キャパシタを蓄電体として用いられるものも含む。
【0020】
図1に示すように、送電コイル31は、中央部が空洞の円環形状を有する。送電コイル31は、導体が巻回された渦巻形状を有してもよい。また、送電コイル31は、導体を巻回することによりプレート状に形成されてもよい。
【0021】
送電コイル31の導体には、無酸素銅を含む銅または銅合金が材料として用いられる。送電コイル31は、銅に限定されず、アルミニウムその他の金属材料またはその合金材料が用いられてもよい。
【0022】
送電コイル31は、例えば単線、単線を複数本撚り合わせたもの(リッツ線)、または単線を複数束ねたものでもよい。また、送電コイル31は、導体を合成樹脂材料により被覆して絶縁処理がされたエナメル線であってもよい。導体を被覆する場合の合成樹脂材料として、例えばポリウレタン樹脂,ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂およびポリアミド樹脂を用いることができる。
【0023】
送電コイル31は、いわゆる二重巻きであってもよい。送電コイル31が二重巻きの場合、送電コイル31のそれぞれの線材端部37を巻回の外側とすることができ、送電コイル31の厚さを抑制することができる。
【0024】
ケース39は、送電コイル31および共振コンデンサ33を内部に収容するよう備えられる。ケース39は、送電コイル31および共振コンデンサ33との間に隙間ができないよう一体に成形される。ケース39と、送電コイル31および共振コンデンサ33との間に隙間が生じる場合には、充填物が適宜配置されてもよい。
【0025】
筐体40は、下部筐体41および上部筐体43を含む。筐体40は、下部筐体41の上に上部筐体43を設置した後、例えばネジなどの締結部材により締結して取り付けられる。なお、上部筐体43と下部筐体41とは、接着剤を用いて接着して取り付けられてもよい。
【0026】
下部筐体41は、送電コイルユニット30の位置を規定する。下部筐体41は、平板状に構成される。下部筐体41は、平面状に設けられた底面部411を有する。本実施形態では、4つの送電コイルユニット30が下部筐体41の底面部411である同一の平面上に配置される。下部筐体41のうち各送電コイルユニット30が配置される領域の部分は、位置決めのため、周囲より窪んでいてもよい。また、下部筐体41のうち各送電コイルユニット30が配置される領域の周辺には、送電コイルユニット30を位置決めするのための突起部が設けられてもよい。送電コイルユニット30は、下部筐体41に、例えばネジなどの締結部材により締結して設置される。
【0027】
下部筐体41は、合成樹脂材料により形成される。下部筐体41の材料は、送電コイル31から受電コイル61への無線の給電により形成される電界および磁界への影響が少なく、かつ、温度変化による形状変化が少ないことが望ましい。好ましくは、下部筐体41の材料は、例えば-30℃から120℃までの間で熱膨張が少ないものものである。下部筐体41の材料は、例えばポリカーボネート樹脂が用いられる。また、下部筐体41の材料は、ポリプロピレン樹脂が用いられてもよい。
【0028】
下部筐体41は、底面部411を送電コイル31が設置される面から反対の面へ貫通する配線穴411aが設けられてもよい。配線穴411aを挿通させることにより、各送電コイルユニット30の線材端部37と筐体40の外側のケーブル15とを、接続することができる。また、線材端部37は、接続端子35(コネクタともいう)を介してケーブル15と接続される。接続端子35を用いることにより、接続施工を容易にすることができる。
【0029】
上部筐体43は、耐荷重性が高い構造を有する。上部筐体43は、上面部431および側面部433を有する。この例では、上部筐体43は上面視において、下部筐体41の底面部411と同じ形状を有する。側面部433は、締結部材(例えば、ねじ)を用いて下部筐体41と締結される。
【0030】
上部筐体43は、下部筐体41と同様の材料で形成することができる。すなわち、上部筐体43の材料は、無線の給電により形成される電界および磁界への影響が少ないことが望ましい。また、上部筐体43の材料は、温度変化による形状変化が少ないことが望ましい。好ましくは、上部筐体43の材料は、-30℃から120℃までの間で熱膨張が少ないものものである。上部筐体43の材料は、例えばポリカーボネート樹脂が用いられる。また、上部筐体43の材料は、ポリプロピレン樹脂が用いられてもよい。
【0031】
図3は、給電システム10における電気的接続を示す模式図である。図3に示すように、給電システム10の筐体40の各々の送電コイルユニット30は、それぞれ接続端子35に接続される。筐体40の接続端子35と、制御装置20の接続端子25とは、それぞれケーブル15を介して接続される。すなわち、図3に示す給電システム10では、ケーブル15の本数が、送電コイルユニット30の個数と同数となっている。なお、ケーブル15は、図3では接続経路を示しているため1本の線として記載されているが、具体的には、1つの線には2本のケーブルが含まれる。
【0032】
(1-2.給電システム10の配置施工方法)
図4は、給電システム10の配置施工方法を示す断面図である。まず、図4Aに示すように、道路50の側部(歩道55)の所定の位置(第1位置P1)に制御装置20を設置する(S110)。また、図4Aにおいて、道路のうち制御装置20の設置位置P1に対応する位置第2(第2位置P2)を掘り起こす。このとき、筐体40およびケーブル15が道路50内に埋め込まれる程度の深さまで掘り起こす。次に、図4Bに示すように、ケーブル15を地中52に設置する(S120)。ケーブル15は、一部を地上に露出させながら適宜固定されるように埋設されてもよい。
【0033】
次に、図4Cに示すように、下部筐体41を地中に設置する(S130)。このとき、下部筐体41には送電コイルユニット30があらかじめ配置されている。ケーブル15は、接続端子35と接続される。また、このとき、ケーブル15は、下部筐体41の底面部411に設けられた配線穴411aを通り接続端子35に接続される。なお、下部筐体41を地中52に設置した後に、送電コイルユニット30を配置してもよい。
【0034】
次に、図4Dに示すように、上部筐体43および充填物45を、送電コイルユニット30が配置された下部筐体41に取り付ける(S140)。なお、充填物45は、送電コイルユニット30が配置された下部筐体41に上部筐体43を設置した後から充填されてもよい。
【0035】
最後に、図4Eに示すように、筐体40の上面および側部を、土、砂利、コンクリートなどを用いて埋めるとともに、コンクリートまたはアスファイルト混合物により道路50を舗装する(S150)。以上により、無線給電システムの配置施工処理が終了となる。なお、上述した配置施工方法は、適宜変更してもよい。また、筐体40は、地上で下部筐体41の上に上部筐体43を取り付けてから、地中に配置してもよい。
【0036】
道路の工事中は、工事の対象の道路の車両の通行は停止される。道路を工事する期間は短いことが望ましい。本実施形態の場合、複数の送電コイルユニット30が配置される位置が下部筐体41上にあらかじめ画定されている。したがって、本実施形態を用いることにより、送電コイルユニット30を地中にそれぞれ配置する場合に比べて、容易かつ簡便に複数の送電コイル31の位置決めが可能となる。これにより、短時間で道路への送電コイルユニット30の設置工事を完結することができる。すなわち、送電コイルユニット30の設置工事のために道路を封鎖する時間を短くすることができる。
【0037】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と異なる構成を有する給電システムについて説明する。具体的には、接続端子の構成が異なる給電システムについて説明する。
【0038】
図5は、給電システム10Aにおける電気的接続を示す模式図である。図5に示すように、給電システム10Aにおいて、第1送電コイルユニット30-1と前記第3送電コイルユニット30-3とは、並列つなぎで接続されており、第1共通端子35A-1に接続される。第2送電コイルユニット30-2と第4送電コイルユニット30-4とは、並列つなぎで接続され、第2共通端子35A-2に接続される。筐体40の第1共通接続35A―1と、制御装置20の接続端子25A―1とが、および筐体40の第1共通接続35A―2と、制御装置20の接続端子25A-2とが、ケーブル15で接続される。すなわち、図5に記載の給電システム10Aでは、ケーブル15の本数が送電コイル31の個数よりも少ない。第1送電コイルユニット30-1と第3送電コイルユニット30-3とは、制御装置20の一の制御により、それぞれ同じタイミングで制御される。第2送電コイルユニット30-2および第4送電コイルユニット30-4の場合も同様である。第1送電コイルユニット30-1および前記第3送電コイルユニット30-3は、後輪側に対応し、第2送電コイルユニット30-2および第4送電コイルユニット30-4は、前輪側に相当する。本実施形態の場合、第1実施形態の場合よりもケーブル15および接続端子35の数が少なくてよいため、施工における送電コイルユニット30側の端子と、制御装置20側の端子との接続にかかる時間を短縮することができる。
【0039】
なお、第1送電コイルユニット30-1と前記第3送電コイルユニット30-3とは、直列つなぎで接続され、第1共通端子35A-1に接続されてもよい。第2送電コイルユニット30-2と第4送電コイルユニット30-4とは、直列つなぎで接続され、第2共通端子35A-2に接続されてもよい。本実施形態の場合、第2実施形態の場合よりもケーブル15および接続端子35の数がさらに少なくてよいため、施工における送電コイルユニット30側の端子と、制御装置20側の端子との接続にかかる時間をさらに短縮することができる。
【0040】
<第3実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と異なる構成を有する給電システムについて説明する。具体的には、下部筐体の下側に接続端子を含むシートを備える給電システムについて説明する。
【0041】
図6は、給電システム10Bの断面模式図である。図6に示すように、給電システム10Bは、制御装置20、複数の送電コイルユニット30、及び筐体40に加えて、シート体70を含む。
【0042】
シート体70は、下部筐体41の下側に設けられる。シート体70は、接続部72(導電部ともいう)を有してもよい。接続部72は、各々の送電コイルユニット30に対応して設けられる。これにより、下部筐体41に送電コイルユニット30が配置されていない場合においても送電コイルユニット30の位置決めが容易になる。また、本実施形態において、地中52に配置されたケーブル15と、送電コイルユニット30に接続された線材端部37とは、接続部72を介して接続することができる。接続部72は、接続端子(コネクタ)としての機能を有する。そのため、ケーブル15および線材端部37を容易に接続することができる。したがって、より短時間で送電コイルユニット30の設置工事を完結することができる。
【0043】
<第4実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と異なる給電システムについて説明する。具体的には、上部筐体43の上面部431Cに案内部を有する給電システムについて説明する。
【0044】
図7Aは、上部筐体43Cの上面図であり、図7Bは、凸部の側面図である。図7Aに示すように、本実施形態では、上部筐体43Cの上面部431Cには、送電コイルユニット30の配置される場所に対応して車両60の走行方向(第1方向D1)に複数の凸部431Caが離隔して設けられる。車両60の運転者は、凸部431Caを目安に車両60を運転して道路50を走行する。具体的には、運転者は、車両60が凸部431Caの上を通過することにより生じる振動を認識して、例えば車両60の速度または走行する位置を制御する。車両60は、道路50の内部に配置されている送電コイルユニット30の上を通過する。このとき、運転者が、凸部431Caによる振動が生じるよう車両60の位置を制御することにより、車両60に備えられる送電コイル31を、受電コイル61の位置で対向させることができるので、車両60への給電効率を高めることができる。上記において、複数の凸部431Caは車両60を送電コイルが配置されている場所に案内するための案内部として用いることができる。
【0045】
また、上部筐体43Aの上面部431Cは、道路50の表面に露出してもよい。上部筐体43Aの上面部431Cが道路50の表面に露出することにより、受電コイル61との距離をさらに近づけることができる。また、この場合において、上面部431Cが複数の凸部431Caを有するので、車両60が上面部431Cを通過するときにスリップすることが抑えられる。
【0046】
また、凸部431Caは、図7Cに示すように、短手部分431Ca1が先細る断面形状を有してもよい。これにより、より効果的にスリップを抑えることができる。また、凸部431Caの長手部分431Ca2は、雨水を道路50の側部に流しやすくするために、車両60の走行方向(第1方向D1)に直交する方向(第2方向D2)に延伸することが望ましい。また、図7Cに示すように、凸部431Caは、道路50の側部(歩道55)側に向かって狭まる形状を有してもよい。これにより、さらに効率的に雨水を道路50の側部に流すことができる。
【0047】
図8Aおよび図8Bは、上部筐体43Cの断面図である。図8Aに示すように、上部筐体43Cの上面部431Cは、道路50の中央から両側の側部(歩道55)にそれぞれ向う傾斜を有してもよい。また、図8Bに示すように、上部筐体43Cの上面部431Cは、道路50の一方の側部(歩道55)から他方の側部に一様に向かう傾斜を有してもよい。これにより、効率的に効率的に雨水を道路50の側部に流すことができる。
【0048】
なお、本実施形態において、上面部431Cが露出しない場合には、上部筐体43C上にアスファイルト混合物などの舗装部材が舗装されてもよい。この場合、上面部431Cが道路50の表面の一部を構成してもよい。
【0049】
また、本実施形態では、上面部431Cに凸部431Caを有する例を示したが、上面部431Cに凹部が設けられてもよいし、上面部431Cに白線のように色付けされた標識またはデジタルサイネージのような表示装置が設けられてもよい。いずれも、車両60を送電コイルが配置されている場所に案内するための案内部として用いることができる。
【0050】
また、本実施形態では、凸部が第1方向D1に直交する第2方向D2に沿って設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。図9は、上部筐体43Cの上面図である。図9に示すように、凸部431Caは、道路50の走行方向と直交して配置される停止線48に向かって第1方向D1(車両60の走行方向)あるいは第1方向から上部筐体43Cの内側に傾いた方向に沿って設けられてもよい。これにより、運転者は、凸部431Caを目安に道路50を走行することにより、車両60が送電コイルユニット30の上を通過することが可能となる。これにより、送電コイル31と、受電コイル61とは、位置のズレ量が抑制されて対向して配置されることになり、車両60への給電効率を高めることができる。
【0051】
<第5実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と異なる給電システムについて説明する。具体的には、上部筐体と下部筐体41との間に設けられた支持体を有する給電システムについて説明する。
【0052】
図10Aは、筐体40Dの断面図である。図10Bは、筐体40Dの平面図である。図10Aに示すように、本実施形態では、筐体40Dは、下部筐体41および上部筐体43に加えて支持体47を含む。この例では、支持体47は、隣接する送電コイルユニット30の間に配置される。支持体47は、上部筐体43および下部筐体41に挟まれて設けられる。支持体47は、上部筐体43と下部筐体41とを支持する機能を有する。支持体には、上部筐体43と同様の材料が用いられてもよい。支持体47を有することにより、筐体40の剛性を高めることができる。
【0053】
図11Aは、支持体47を上部筐体43側から見たときの断面である。図11Bは、支持体47を側方から見たときの模式図である。図11Cおよび図11Dは、筐体40Eの断面図およびその詳細図である。図11Aおよび図11Bに示すように、支持体47は、下部筐体41または上部筐体43側から見たときに筒状(円筒)形状を有してもよい。また、図11Bに示すように、支持体47は、長手方向(高さ方向)の一部にケーブル類を挿通可能な取出穴47aを有してもよい。また、図11Cに示すように、支持体47は、送電コイルユニット30に隣接して設けられてもよい。支持体47が、送電コイルユニット30の線材端部37の近傍に配置されている場合、送電コイルユニット30の接続端子35に接続された線材端部37が孔45aを介して支持体47の中に引き回され、筐体40の外側に導出される。これにより、筐体40Cの剛性を高めることができるとともに、線材端部37の引き回しが簡単になる。したがって、本実施形態を用いることにより、容易かつ簡便に位置決めが可能で短時間で送電コイルユニット30の設置工事を完結することができる。
【0054】
なお、本実施形態において、支持体47は、隣接する送電コイルユニット30の間など、局所的に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。支持体47は、筐体40に、図11Eに示すように六角形の筒型形状を有しており、複数の支持体47がハニカム状に隣接して設けられてもよい。これにより、さらに筐体40の剛性を高めることができる。また、支持体47は、筒状の形状として、六角形の筒型形状のほか、四角形または八角形のような多角形の筒型形状を有してもよい。
【0055】
また、本実施形態では、下部筐体41または上部筐体43側から見たときに筒型(円筒)形状を有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。図12Aは、支持体47を側面から見たときの模式図である。図12Bは、上面から見たときの断面図である。図12Cは、筐体40Eの断面模式図である。図12A~Cに示すように、支持体47は、上部筐体43側と、下部筐体41側に分離して設けられてもよい。このとき、支持体47は、円柱形状を有しつつ、高さ方向の一部にケーブル類を挿通可能な孔45aを有してもよい。これにより、送電コイルユニット30に接続された線材端部37を引き回しやすくなる。なお、この場合、支持体47は円柱に限定されず、図12Dのように、六角柱のような多角柱であってもよい。
【0056】
<第6実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と異なる給電システムについて説明する。具体的には、下部筐体41に排水用の溝を有する給電システムについて説明する。
【0057】
図13は、本実施形態に掛かる下部筐体41Fの模式図である。図13に示すように、下部筐体41Fは、溝Fmと貫通孔41Fkを備える。溝Fmは、下部筐体41Fの複数の送電コイルユニット30が設置される面を、送電コイルユニット30が設置される夫々の領域に、区分するよう形成される。貫通孔41Fkは、下部筐体41Fの一部に、溝41Fmと連なって設けられる。これにより、筐体の内側に水が浸入した場合に、下部筐体41の、送電コイル31が設置される面側の水を、溝Fmおよび貫通孔Fkを流通させて、下部筐体41の送電コイル31が設置される面と反対側に排水することができる。
【0058】
<第7実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と異なる給電システムについて説明する。具体的には、センサを有する給電システムについて説明する。
【0059】
図14は、給電システム10Gの断面模式図である。図14に示すように、給電システム10Gは、制御装置20およびセンサ80を含む。センサ80は、歩道55の一部に配置されてもよいし、送電コイルユニット30に配置されてもよいし、筐体40の内側に配置されてもよい。例えば、センサが、車両60が所定の領域に入ってきたことを検出した際、制御装置20は送電コイル31に電流を流してもよい。また、制御装置20は、送電コイル31への出力を開閉する送電スイッチを有してもよい。
【0060】
<第8実施形態>
本実施形態では、第1実施形態と異なる給電システムについて説明する。具体的には、筐体を連結する連結部を有する無線給電ユニットについて説明する。
【0061】
図15Aは、下部筐体41Jの端部を拡大した断面図である。下部筐体41Jは、車両60の走行方向(第1方向D1)における端部に、連結部41Jaを備える。下部筐体41Jは、連結部41Jaにより、車両の走行方向に隣接する他の下部筐体41Jと締結部材410により連結することができる。連結部41aは、厚さ方向に貫通した複数の連結穴41Jahを備える。下部筐体41は、他の下部筐体41と車両の走行方向における端に備えられる連結部41Jaにより連結される。下部筐体41の端は、他の下部筐体41の端と、当接して連結されてもよい。
【0062】
図15Bおよび図15Cは、下部筐体41の端部断面図である。図15Dおよび図15Eは、下部筐体41Jの端部平面図である。下部筐体41Jは、間隙部材46を介して他の下部筐体41Jと連結してもよい。この場合、間隙部材46Jは、一の下部筐体41Jにおける車両の進行方向における前方の連結部41Jaと他の下部筐体41における車両の進行方向における後方の連結部41aとを締結部材410により連結する。図15Cに示すように、間隙部材46は、下部筐体41Jの連結部41Jaと対応した段形状を有し、下部筐体41Jの連結部41Jaの連結穴41Jahと対応した連結穴46hを有する。間隙部材46は、一の下部筐体41Jと連結する一端側と他の下部筐体41Jと連結する他端側とにそれぞれ段形状を有する。
【0063】
間隙部材46の一端側の連結部41Jaと他端側の連結部41Jaとは、図15Dに示すように平行でもよく、また、図15Eに示すように所定の角度を有していてもよい。図15Eに示すように、間隙部材46の一端側と他端側とが所定の角度を有する場合、間隙部材46により連結される他の下部筐体41Jは、一の下部筐体41Jに対して所定の角度を有する。これにより、曲がった道路であっても、下部筐体41Jを所定の位置に設置することができる。
【0064】
(変形例)
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、処理の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0065】
上部筐体43は、下部筐体41と異なる材料を有してもよい。上部筐体43は、道路50上に水を残るの防ぐために、透湿性の材料を含むことが望ましい。一方、下部筐体41は、送電コイルユニット30の近傍に水分が残ることを防止するために、吸湿性の材料を有してもよい。吸湿性の材料としては、例えばナイロン樹脂を用いることができる。
【0066】
本発明の第1実施形態では、下部筐体41に4つの送電コイルユニットが配置される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、下部筐体41は、2輪車に適合するように2つの送電コイルユニットが、2輪車の走行方向に沿って配置されてもよい。また、下部筐体41は、車両の大きいトラックに適合するように、例えば8つの送電コイルユニットが配置されてもよい。この場合において、送電コイルユニットは、車両の走行方向に沿って4つ、かつ、車両の走行方向と直交方向に沿って、それぞれ2つずつの計8つ配置されてもよい。
【0067】
本発明の第1実施形態では、上部筐体43の上面部431は、上面視において下部筐体41の底面部411と同じ形状を有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。上部筐体43の上面部431の面の形状は、上面視において下部筐体41の底面部411よりも大きくてもよい。これにより、筐体40の内部に雨水が直接浸入することを防止することができる。
【0068】
本発明の第1実施形態では、上部筐体43が側面部433を有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。上部筐体43ではなく下部筐体41が側面部を有してもよい。このとき、上部筐体43の上面部431の面の形状を、下部筐体41の底面部411の面よりも大きくすることにより、上部筐体43を蓋のように用いることができるとともに、筐体40の内部に雨水が直接浸入することを防止することができる。
【0069】
本発明の第1実施形態では、上部筐体43は、合成樹脂材料により形成される場合を示したが、強度向上の観点から合成樹脂材料に加えて強化繊維を有してもよい。この場合において、上部筐体43が有する強化繊維は、送電コイル31と受電コイルとの間の無線で電力を供給する際の磁界および電界を遮へいするもの以外であれば用いることができる。例えば、上部筐体43は、FRP(Fiber Reinforced Plastics;繊維強化樹脂)で形成されてもよい。上部筐体43をFRPで形成する場合には、強化繊維としては例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維を用いることができる。
【0070】
本発明の第1実施形態では、下部筐体41の下側からケーブル15が接続される例を示したが、本発明はこれに限定されない。図16は、給電システム10Kの断面図である。図16に示すように、例えば、側面部にケーブル15が接続するための接続端子35が設けられてもよい。この場合、側面部は、下部筐体41または上部筐体43のいずれに設けられても良い。これにより、道路部分の土砂の掘削量を減らすことができ、より短時間で送電コイルユニット30の設置工事を完結することができる。
【0071】
下部筐体41は、送電コイルユニットの位置決めできればよく、可撓性を有してもよい。下部筐体41は、例えば、シートであり、ロール状に丸めることができてもよい。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、車両に対して無線で給電を行う車両用無線給電ユニット100であって、複数の送電コイルと、道路の内部に設置され、前記複数の送電コイルを備える下部筐体と、を含み、前記複数の送電コイルは、前記下部筐体の道路と並行な一の平面上における車両の走行方向および走行方向と直交する方向のうち少なくとも一の方向に沿って配置される車両用無線給電ユニット100、が提供される。したがって、送電コイルユニット30を地中にそれぞれ配置する場合に比べて、容易かつ簡便に複数の送電コイル31の位置決めが可能となる。また、本発明の一実施形態の車両用無線給電ユニット100により、送電コイルユニット30の単体の場合より大きな面積でユニットを支えることができるので、コイルの地中での深さや傾きが変化するのを抑制できる。また、本発明の一実施形態の車両用無線給電ユニット100により、送電コイルユニット30の単体より重量が重くなることから、外部から振動を受けても応答を低減でき、耐久性の向上が期待できる。また、本発明の一実施形態の車両用無線給電ユニット100により、施工作業者の技量によらず、正確な位置にコイルを埋設施工できる。
【0073】
車両用無線給電ユニット100において、複数の送電コイル31は、道路における車両の走行方向と直行する方向に沿って配置されてもよい。したがって、送電コイルユニット30を地中に道路50における車両60の走行方向と直行する方向に沿ってそれぞれ配置する場合に比べて、容易かつ簡便に複数の送電コイル31の位置決めが可能となる。
【0074】
車両用無線給電ユニット100において、下部筐体41は、送電コイル31が配置される面に、排水のための溝41Fmを有してもよい。これにより、下部筐体41の送電コイル31が設置される面側の水を、溝Fmを流通させて排水することができる。
【0075】
車両用無線給電ユニット100において、下部筐体41は、下部筐体41の複数の送電コイル31が配置される面における一方側から他方側へ貫通する貫通孔41Fkを有し、貫通孔41Fkは、溝41Fmに連なって設けられてもよい。これにより、下部筐体41の送電コイル31が設置される面側の水を、貫通孔41Fkを流通させて、下部筐体41の送電コイル31が設置される面と反対側に排水することができる。
【0076】
車両用無線給電ユニット100において、下部筐体41は、車両60の走行方向における前方及び後方の端部に、他の下部筐体41と連結するための連結部41Jaを有してもよい。これにより、下部筐体41は、他の下部筐体41と車両の走行方向における端に備えられる連結部41Jaにより、設置する位置が特定されるので、簡便に位置決めすることができる。また、下部筐体41は、他の下部筐体41と車両60走行方向における端に備えられる連結部41Jaにより連結されるので、道路50を介して伝達される車両60の走行による力を分散させることができる。
【0077】
車両用無線給電ユニット100において、下部筐体41上に備えられ、上方からの荷重に耐えるとともに、内部への水の侵入を防ぐ上部筐体43を有してもよい。これにより、筐体40は、道路50を介して伝えられる力に耐えるとともに、筐体40の内部への水の侵入を防ぐことができる。
【0078】
車両用無線給電ユニット100において、上部筐体43からの荷重を前記下部筐体41に伝える支持体47を有してもよい。これにより、筐体40は、上方からの荷重に、さらに耐えることができる。
【0079】
車両用無線給電ユニット100において、支持体47はケーブル類を収容可能な筒状形状を有し、筒状形状の軸線方向における一端は上部筐体43に接するとともに、他の端は下部筐体41に接しており、上部筐体43と下部筐体41との間の位置にケーブル類の取出穴47aを有してもよい。これにより、支持体47は、上部筐体からの荷重を下部筐体に伝達するとともに、筒状形状内に収容した線材を取出穴47aから取り出すことができ、筐体40内の線材の引き回しを簡素化することができる。
【0080】
車両用無線給電ユニット100の上部筐体43は、上面431が道路50として舗装されており、上面411が道路50の表面の一部を構成してもよい。これにより、車両用無線給電ユニット100は、筐体40を道路50に埋設した後の筐体40の上面431の舗装をする必要がないので、工期を短くすることができる。
【0081】
車両用無線給電ユニット100は、上部筐体43の上面431に車両60を案内する案内部を有してもよい。これにより、車両用無線給電ユニット100は、案内部により、車両60を上部筐体43の上面431の所定の位置に案内することが可能となる。
【0082】
車両用無線給電ユニット100において、案内部は、断面形状が凸部形状であり、かつ平面視において長方形状であり、案内部の長方形状の車両の走行方向における先端は、長方形状の車両の走行方向における後端より、車両の走行方向と直交方向における中央側に配置されてもよい。これにより、車両用無線給電ユニット100は、案内部を通過する車両60に車輪を通じて振動を生じさせて、運転者に走行位置を認識させることで、所定の位置に案内することが可能となる。
【0083】
車両用無線給電ユニット100において、複数の送電コイル31は、並列つなぎで接続されてもよい。これにより、車両用無線給電ユニット100の複数の送電コイル31への給電を、より少ない本数のケーブル15で行うことができる。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、車両用無線給電システムは、上記の車両用無線給電ユニット100と、送電コイル31へ電力を供給する制御装置20と、制御装置20から車両用無線給電ユニット100へと電力を供給するケーブル15と、車両の所定の領域への侵入を検出するセンサ80と、を備え、制御装置20は、センサ80からの出力に基づいて送電コイル31へ電力を供給するか否かの制御を行う。これにより、車両用無線給電システムは、センサ80が所定の領域へ侵入する車両を検出した場合に、制御装置20が複数の送電コイル31へ電力を供給を行い、センサ80が車両を検出しない場合に、制御装置20が複数の送電コイル31への電力の供給を行わない制御を行うことで、電力の無駄を省くことが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
10・・・給電システム,15・・・ケーブル,20・・・制御装置,25・・・接続端子,30・・・送電コイルユニット,31・・・送電コイル,33・・・共振コンデンサ,35・・・接続端子,35A-1・・・第1共通端子,35A-2・・・第2共通端子,37・・・線材端部,39・・・ケース,40・・・筐体,41・・・下部筐体,41Fm・・・溝,41Fk・・・貫通孔,43・・・上部筐体,45・・・充填物,45a・・・孔,47・・・支持体,50・・・道路,55・・・歩道,60・・・車両,61・・・受電コイル,63・・・バッテリ,70・・・シート体,72・・・接続部,80・・・センサ,100・・・車両用無線給電ユニット,411・・・底面部,411a・・・配線穴,431・・・上面部,431Ca・・・凸部,431Ca1・・・短手部分,431Ca2・・・長手部分,433・・・側面部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16