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特許7602716光抽出効率を向上させたナノ構造ベースの表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】光抽出効率を向上させたナノ構造ベースの表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13357 20060101AFI20241212BHJP
【FI】
G02F1/13357
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021564702
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 US2020031856
(87)【国際公開番号】W WO2020227518
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-05-08
(31)【優先権主張番号】62/845,224
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000186762
【氏名又は名称】昭栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】リー,アーネスト シー.
(72)【発明者】
【氏名】オルマイヤー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ホッツ,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ルイシン
(72)【発明者】
【氏名】ハートラブ,ジェイソン
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/116559(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/040725(WO,A1)
【文献】特開2008-091069(JP,A)
【文献】特開2005-251488(JP,A)
【文献】特開2018-010298(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0041700(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107942573(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335-1/13357
G02B 5/20-5/22
H05B 33/00-33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
光源を含むバックライトユニットと、
第1のピーク波長を有する一次光を前記光源から受け取り、前記一次光の一部を変換して、前記第1のピーク波長と異なる第2のピーク波長を有する二次光を放出するように構成されたナノ構造ベースの色変換(NSベースのCC)層と、
前記NSベースのCC層に光学的に結合された光抽出層であって、ナノメートルスケールの1つ又は複数の寸法を有するパターン形成された特徴部を有する、前記光抽出層と、
を含み、
前記光抽出層は、光学的に透明な基板を含み、かつ、前記二次光の全内部反射を低減するように構成されており、
前記パターン形成された特徴部は、前記光学的に透明な基板上に繰り返しパターン又はランダムパターンで配設され、
前記光学的に透明な基板は、前記NSベースのCC層と前記パターン形成された特徴部との間に配置され、
前記パターン形成された特徴部の上面は、前記NSベースのCC層の上面から離れる方向に向いている、
表示装置。
【請求項2】
前記パターン形成された特徴部及び前記NSベースのCC層のマトリックスは、同じ材料を含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記パターン形成された特徴部の材料及び前記NSベースのCC層のマトリックス材料は、屈折率が互いに等しい、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記パターン形成された特徴部は、約10nm~約100nmの範囲の横寸法を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記パターン形成された特徴部は、約10nm~約100nmの範囲の縦寸法を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記パターン形成された特徴部は、前記NSベースのCC層に接触する、請求項1~5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記光抽出層と前記NSベースのCC層との間に配置されたフィルタ要素を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記フィルタ要素は、前記NSベースのCC層と前記光抽出層とに光学的に結合され、前記二次光が前記フィルタ要素を通過することを可能にし且つ前記一次光の変換されていない部分が前記フィルタ要素を通過するのを阻止するように構成されている、請求項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記フィルタ要素は、前記一次光の前記変換されていない部分を吸収するように構成される、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記フィルタ要素は、前記一次光の前記変換されていない部分を散乱させるように構成される、請求項8又は9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記NSベースのCC層は、マトリックスを含み、且つ前記フィルタ要素は、前記マトリックス中に埋め込まれる、請求項7~10のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記フィルタ要素は、色素、インク、塗料、又はポリマー材料を含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記NSベースのCC層は、発光性ナノ構造を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項14】
前記NSベースのCC層は、セグメント化されたNSベースのCC層のアレイを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記NSベースのCC層は、
赤色光を放出するように構成された発光性ナノ構造の第1の集団を有する第1の領域と、
緑色光を放出するように構成された発光性ナノ構造の第2の集団を有する第2の領域と
を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記NSベースのCC層は、
赤色光を放出するように構成された発光性ナノ構造の第1の集団を有する第1の領域と、
緑色光を放出するように構成された発光性ナノ構造の第2の集団を有する第2の領域と、
青色光を放出するように構成された発光性ナノ構造の第3の集団を有する第3の領域と
を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項17】
前記NSベースのCC層と前記光抽出層とを含むLCDモジュールを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記LCDモジュールは、
前記一次光を偏光させるように構成された第1の偏光フィルタと、
前記偏光した一次光の偏光角を調節するように構成された液晶層と、
前記NSベースのCC層と前記液晶層との間に配置され、前記液晶層から前記NSベースのCC層への前記偏光した一次光の透過を制御するように構成された、第2の偏光フィルタと
を更に含む、請求項17に記載の表示装置。
【請求項19】
表示装置を製造する方法であって、
前記方法は、液晶表示(LCD)モジュールの第1の部分及び第2の部分を形成することと、前記LCDモジュールの前記第1の部分上に前記LCDモジュールの前記第2の部分を配置することと、前記LCDモジュールの前記第2の部分上に表示画面を配置することと、を含み、
前記第1の部分を形成することは、前記表示装置のバックライトユニット(BLU)上に液晶層を配置することと、前記液晶層上に偏光フィルタを配置することと、を含み
前記第2の部分を形成することは、光学的に透明な基板上に光抽出層を形成することと、前記光抽出層上にナノ構造ベースの色変換(NSベースのCC)層を形成することと、を含む、
方法。
【請求項20】
前記光抽出層を形成することは、前記光学的に透明な基板上にナノ構造特徴部をパターン形成することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記光抽出層を形成することは、前記光学的に透明な基板上にナノ構造特徴部を転写印刷することを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記光抽出層を形成することは、前記光学的に透明な基板上にナノ構造特徴部を繰り返しパターン又はランダムパターンで転写印刷することを含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記光抽出層を形成することは、前記NSベースのCC層のマトリックス材料の屈折率に等しい屈折率を有する材料を用いてナノ構造特徴部をパターン形成することを含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記光抽出層を形成することは、約10nm~約100nmの範囲の横寸法を有するナノ構造特徴部をパターン形成することを含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記光抽出層を形成することは、約10nm~約100nmの範囲の縦寸法を有するナノ構造特徴部をパターン形成することを含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記光抽出層上にNSベースのCC層を形成することは、
前記光抽出層上に遮光要素を配置することと、
前記遮光要素上に前記NSベースのCC層を配置することと
を含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記NSベースのCC層を形成することは、前記光抽出層上に前記NSベースのCC層を直接配置することを含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記LCDモジュールの前記第1の部分上に前記LCDモジュールの前記第2の部分を配置することは、前記NSベースのCC層を前記偏光フィルタと結合することを含む、請求項19~27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
分野
[0001] 本発明は、量子ドット(QD)などの発光性ナノ構造を有する色変換層を含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] 量子ドット(QD)などの発光性ナノ構造(NS)は、狭い線幅を有する単一スペクトルピークで光を放出し、高度に飽和した色を生み出す能力を有する一種の蛍光体を表す。NSのサイズに基づいて発光波長を調整することが可能である。NSは、表示装置(例えば、液晶表示(LCD)装置、有機発光ダイオード(OLED)表示装置)において色変換(CC)層(色ダウンコンバージョン層とも呼ばれる)として使用できるNSフィルムを作製するために使用される。発光ディスプレイにおけるNSベースのCC層の使用は、光が色フィルタを通過する前に、白色光、青色光、又は紫外(UV)光を、赤色及び/又は緑色波長領域の光にダウンコンバートすることにより、システム効率を向上させることができる。NSベースのCC層の使用により、フィルタリングに起因する光エネルギーの損失を低減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] NSベースのCC層は、典型的には、光が放出される平面上面を有する。また、これらの層は、典型的には、光が内部に放出される媒体に比べてより高い屈折率を有するので、NSにより生成された相当量の光が、全内部反射により反射されてCC層内に戻される。複数回の全内部反射の後に光が平面上面から漏出し得るとしても、全内部反射により生じる発光の遅延は、表示装置に重大な光学的損失をもたらす可能性がある。したがって、NSベースの表示装置を作製する際の課題の1つは、NSベースの表示装置の高い外部量子効率のために高い光抽出効率(例えば、50%、60%、70%、又は80%を超える)を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
[0004] 本開示は、NSベースのCC層からの向上した光抽出のための光抽出層を備えた例示的な高効率のNSベースの表示装置を提供する。本開示はまた、上記の高効率のNSベースの表示装置を製造するための例示的な安価な方法も提供する。
【0005】
[0005] いくつかの実施形態では、光抽出層は、NSベースの表示装置のNSベースのCC層から放出される光に指向性を与え、NSベースのCC層内での放出された光の全内部反射を実質的に低減又は防止し、これにより、NSベースの表示装置の光抽出効率(例えば、50%、60%、70%、又は80%を超える)を高めるように構成することができる。光抽出層は、NSベースのCC層とNSベースのCC層からの光を内部に放出することができる媒体との間に不均一な境界面を提供することにより、全内部反射を実質的に低減又は防止することができる。不均一な境界面は、光抽出層のナノ構造特徴部により提供することができる。ナノ構造特徴部は、光抽出層の基板上に又はNSベースのCC層からの光を内部に放出することができる媒体の表面上に繰り返しパターン、非繰り返しパターン、及び/又はランダムパターンで転写印刷することができる。
【0006】
[0006] いくつかの実施形態では、光抽出層のナノ構造特徴部及び/又は基板は、NSベースのCC層と媒体との屈折率整合よりも良好な、NSベースのCC層との屈折率整合をもたらすために、NSベースのCC層のマトリックス材料と同様の材料を含む。また、より良好な屈折率整合により、NSベースのCC層内での放出された光の全内部反射を実質的に低減又は防止することができる。本開示は更に、表示装置の1つ又は複数のピクセルを通る不要な光の漏れを実質的に低減するか又はなくすことにより、NSベースの表示装置の色域範囲などの表示性能を向上させるための種々の実施形態を提供する。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態によれば、表示装置は、光源を有するバックライトユニットと液晶表示(LCD)モジュールとを含む。LCDモジュールは、ナノ構造ベースの色変換(NSベースのCC)層と光抽出層とを含む。NSベースのCC層は、第1のピーク波長を有する一次光を光源から受け取り、一次光の一部を変換して、第2のピーク波長を有する二次光の第1の部分を放出するように構成される。第2のピーク波長は、第1のピーク波長と異なる。光抽出層は、NSベースのCC層に光学的に結合され、二次光の第2の部分の全内部反射を防止するように構成される。光抽出層は、ナノメートルスケールの1つ又は複数の寸法を有するパターン形成された特徴部を有する。
【0008】
[0008] いくつかの実施形態によれば、表示装置を製造する方法は、液晶表示(LCD)モジュールの第1の部分及び第2の部分を形成することと、LCDモジュールの第1の部分上にLCDモジュールの第2の部分を配置することと、LCDモジュールの第2の部分上に表示画面を配置することとを含む。第1の部分を形成することは、表示装置のバックライトユニット(BLU)上に液晶溶液層を配置することと、液晶溶液層上に偏光フィルタを配置することとを含む。第2の部分を形成することは、光学的に透明な基板上に光抽出層を形成することと、光抽出層上にナノ構造ベースの色変換(NSベースのCC)層を形成することとを含む。
【0009】
[0009] 本発明の更なる特徴及び利点、並びに本発明の種々の実施形態の構造及び動作については、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は本明細書で説明する具体的な実施形態に限定されないことに留意されたい。そのような実施形態は、単に例示の目的で本明細書において提示される。追加の実施形態は、本明細書に含まれる教示に基づいて関連技術分野の当業者に明らかになるであろう。
【0010】
図面の簡単な説明
[0010] 本明細書に組み込まれ且つ本明細書の一部を形成する、添付の図面は、本実施形態を図示し、更に、本説明と共に、本実施形態の原理を説明する役割と、関連技術分野の当業者が本実施形態を作製及び使用できるようにする役割とを果たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】[0011]いくつかの実施形態による、光抽出層を備えた液晶表示(LCD)装置の分解断面図である。
図2】[0011]いくつかの実施形態による、光抽出層を備えた液晶表示(LCD)装置の分解断面図である。
図3】[0012]いくつかの実施形態による、光抽出層を備えた液晶装置を製造するための方法のフロー図である。
図4】[0013]いくつかの実施形態による、ナノ構造の概略断面図である。
図5】[0014]いくつかの実施形態による、ナノ構造フィルムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0015] 本発明の特徴及び利点は、全体を通して類似の参照符号が対応する要素を特定する、図面と併せて解釈される場合に、以下に記載する詳細な説明からより明らかになるであろう。図面中では、類似の参照番号は概して、同一の、機能的に同様の及び/又は構造的に同様の要素を表す。要素が最初に現れる図面は、対応する参照番号の左端の数字で表される。別段の指示がない限り、本開示全体を通して提供される図面は、縮尺通りの図面であると解釈されるべきではない。
【0013】
発明の詳細な説明
[0016] 具体的な構成及び配置が検討され得るが、これは、単に例示の目的で行われることを理解すべきである。関連技術分野の当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の構成及び配置を使用できることを認識するであろう。本発明を本明細書で具体的に述べたもの以外の他の様々な用途にも用いることができることが、関連技術分野の当業者には明らかになるであろう。本明細書に示し説明する特定の実施態様は、例であり、本出願の範囲を限定するようには決して意図されていないことを認識すべきである。
【0014】
[0017] 本明細書での「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などについての言及は、説明する実施形態が、特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、全ての実施形態が、特定の特徴、構造、又は特性を必ずしも含まなくてもよいことを表すことに留意されたい。その上、このような語句は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されるか否かにかかわらず、かかる特徴、構造又は特性を他の実施形態に関連して達成することは、当業者の知識の範囲内にある。
【0015】
[0018] 量、材料の比、材料の物理的特性、及び/又は使用を表す本説明における全ての数字は、別段の明示的な指示がある場合を除き、「約」という語により修飾されるものと理解されるべきである。
【0016】
[0019] いくつかの実施形態では、「表示装置」という用語は、表示画面上のデータの可視表現を可能にする要素の配置を指す。好適な表示画面は、情報をユーザに視覚的に表示するための種々の平坦な、湾曲した、又は他の形状の画面、フィルム、シート又は他の構造を含むことができる。本明細書で説明する表示装置は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、テレビ、コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA:personal digital assistant)、ゲーム機、電子読書装置、デジタルカメラ、タブレット、ウェアラブル装置、自動車ナビゲーションシステムなどを包含する、表示システムに含めることができる。
【0017】
[0020] 本明細書で使用される「約」という用語は、所与量の値が値の±10%だけ変動することを表す。例えば、「約100nm」は、90nm~110nmの範囲のサイズを包含する。
【0018】
[0021] 本明細書で使用される「実質的に」という用語は、所与量の値が値の±1%~±5%だけ変動することを表す。
【0019】
[0022] いくつかの実施形態では、「反応混合物を形成する」又は「混合物を形成する」という用語は、成分が互いに反応して第3の成分を形成するのに好適な条件下で、容器内で少なくとも2つの成分を組み合わせることを指す。
【0020】
[0023] いくつかの実施形態では、「導光板」、「光導体」、又は「導光パネル」という用語は、同義で使用され、ある位置から別の位置に電磁放射(光)を導くのに好適な光学構成要素を指す。
【0021】
[0024] いくつかの実施形態では、「光学的に結合される」という用語は、光が実質的な干渉なしにある構成要素から別の構成要素に通過できるように構成要素が位置決めされることを意味する。
【0022】
[0025] 本明細書で使用される「ナノ構造」という用語は、約500nm未満の寸法の少なくとも1つの領域又は特徴的な寸法を有する構造を指す。いくつかの実施形態では、ナノ構造は、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の寸法を有する。典型的には、領域又は特徴的な寸法は、構造の最小軸に沿ったものである。かかる構造の例としては、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノ構造、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、QD、ナノ粒子などが挙げられる。ナノ構造は、例えば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、アモルファス、又はこれらの組み合わせとすることができる。いくつかの実施形態では、ナノ構造の3つの寸法の各々は、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の寸法を有する。
【0023】
[0026] 本明細書で使用される「QD」又は「ナノ結晶」という用語は、実質的に単結晶性であるナノ構造を指す。ナノ結晶は、約500nm未満であり且つ約1nm未満程度までの寸法の少なくとも1つの領域又は特徴的な寸法を有する。「ナノ結晶」、「QD」、「ナノドット」、及び「ドット」という用語は、類似の構造を表すことが当業者により容易に理解され、本明細書では同義で使用される。本発明はまた、多結晶又はアモルファスナノ結晶の使用を包含する。
【0024】
[0027] ナノ構造に関して使用される場合の「ヘテロ構造」という用語は、少なくとも2つの異なる及び/又は識別可能な材料タイプにより特徴付けられるナノ構造を指す。典型的には、ナノ構造の1つの領域は、第1の材料タイプを含み、その一方で、ナノ構造の第2の領域は、第2の材料タイプを含む。ある特定の実施形態では、ナノ構造は、第1の材料のコアと、第2(又は第3など)の材料の少なくとも1つのシェルとを含み、異なる材料タイプは、例えば、ナノワイヤの長軸、分岐ナノワイヤのアームの長軸、又はナノ結晶の中心の周りに放射状に分布する。シェルは、シェルとみなされるように又はナノ構造がヘテロ構造とみなされるように、隣接する材料を完全に覆うことができるが、必ずしもその必要はなく、例えば、1つの材料のコアが第2の材料の小さな島で覆われることを特徴とするナノ結晶は、ヘテロ構造である。他の実施形態では、異なる材料タイプは、ナノ構造内の異なる位置に、例えば、ナノワイヤの主軸(長軸)に沿って又は分岐ナノワイヤのアームの長軸に沿って分布する。ヘテロ構造中の異なる領域は、全く異なる材料を含むことができ、又は異なる領域は、異なるドーパント若しくは異なる濃度の同じドーパントを有するベース材料(例えば、シリコン)を含むことができる。
【0025】
[0028] 本明細書で使用される場合、ナノ構造の「直径」という用語は、ナノ構造の第1の軸に垂直な断面の直径を指し、第1の軸は、第2及び第3の軸(第2及び第3の軸は長さが互いにほぼ等しい2つの軸である)に対して長さの差が最も大きい。第1の軸は、必ずしもナノ構造の最長軸ではなく、例えば、円盤状のナノ構造の場合、断面は、円盤の短い長手方向軸に垂直な実質的に円形の断面である。断面が円形でない場合、直径は、その断面の長軸及び短軸の平均である。ナノワイヤなどの、細長い又は高アスペクト比のナノ構造の場合、直径は、ナノワイヤの最長軸に直交する断面にわたって測定される。球形のナノ構造の場合、直径は、その球の中心を通って一方側から他方側まで測定される。
【0026】
[0029] ナノ構造に関して使用される場合、「結晶性」又は「実質的に結晶性」という用語は、ナノ構造が、典型的には、構造の1つ又は複数の寸法にわたって長距離秩序を示すことを指す。単結晶の秩序は、結晶の境界を越えて延在できないので、「長距離秩序」という用語は、具体的なナノ構造の実寸に依存することが、当業者により理解されるであろう。この場合、「長距離秩序」とは、ナノ構造の寸法の少なくとも大部分にわたる実質的な秩序を意味する。場合により、ナノ構造は、酸化物又は他の被覆を有することができ、又はコアと少なくとも1つのシェルとから構成することができる。そのような場合、酸化物、シェル、又は他の被覆は、かかる秩序(例えば、秩序は、アモルファス、多結晶、又はその他とすることができる)を示すことができるが、必ずしもその必要はないことが認識されるであろう。そのような場合、「結晶性」、「実質的に結晶性」、「実質的に単結晶性」、又は「単結晶性」という語句は、ナノ構造の中心コア(被覆層又はシェルを除く)を指す。本明細書で使用される「結晶性」又は「実質的に結晶性」という用語は、構造が実質的な長距離秩序(例えば、ナノ構造又はそのコアの少なくとも1つの軸の長さの少なくとも約80%超の秩序)を示す限り、種々の欠陥、積層欠陥、原子置換などを含む構造も包含することが意図されている。加えて、コアとナノ構造の外側との間、又はコアと隣接するシェルとの間、又はシェルと隣接する第2のシェルとの間の境界面は、非結晶性領域を含むことができ、更には、アモルファスとすることができることが認識されるであろう。これは、ナノ構造が本明細書で定義されるように結晶性又は実質的に結晶性であることを妨げない。
【0027】
[0030] ナノ構造に関して使用される場合の「単結晶」という用語は、ナノ構造が実質的に結晶性であり、実質的に単結晶を含むことを表す。コアと1つ又は複数のシェルとを含むナノ構造ヘテロ構造に関して使用される場合、「単結晶」は、コアが実質的に結晶性であり、実質的に単結晶を含むことを表す。
【0028】
[0031] 本明細書で使用される「リガンド」という用語は、例えば、共有結合性相互作用、イオン性相互作用、ファンデルワールス相互作用、又はナノ構造の表面との他の分子相互作用により、ナノ構造の1つ又は複数の面と(弱いか又は強いかにかかわらず)相互作用することが可能な分子を指す。
【0029】
[0032] 本明細書で使用される「量子収率」(QY)という用語は、例えば、ナノ構造又はナノ構造の集団により吸収された光子に対する放出された光子の比を指す。当技術分野で知られているように、量子収率は、典型的には、既知の量子収率値を有する十分に特徴付けられた標準試料を使用する比較方法により決定される。
【0030】
[0033] 本明細書で使用される「一次発光ピーク波長」という用語は、発光スペクトルが最大強度を示す波長を指す。
【0031】
[0034] 本明細書で使用される「半値全幅(FWHM:full width at half-maximum)」という用語は、スペクトル幅の尺度を指す。発光スペクトルの場合、FWHMは、ピーク強度値の半分における発光スペクトルの幅を指す。
【0032】
[0035] 本明細書で使用されるフェルスター半径という用語は、当技術分野におけるフェルスター距離とも称される。
【0033】
[0036] 「輝度」及び「明るさ」という用語は、本明細書では同義で使用され、光源又は被照明面の単位面積当りの光度の測光尺度を指す。
【0034】
[0037] 「鏡面反射体」、「鏡面反射面」、及び「反射面」という用語は、本明細書では、鏡面反射できる要素、材料、及び/又は表面を指すために使用される。
【0035】
[0038] 「鏡面反射」という用語は、本明細書では、入射光が表面に当たったときの、表面からの光(又は他の種類の波)の鏡のような反射を指すために使用される。
【0036】
[0039] 「ナノ構造(NS)フィルム」という用語は、本明細書では、発光性ナノ構造を有するフィルムを指すために使用される。
【0037】
[0040] 「赤色サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの赤色波長領域に一次発光ピーク波長を有する光を放出するピクセルの領域を指すために使用される。いくつかの実施形態では、赤色波長領域は、約620nm~約750nmの範囲の波長を含むことができる。
【0038】
[0041] 「緑色サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの緑色波長領域に一次発光ピーク波長を有する光を放出するピクセルの領域を指すために使用される。いくつかの実施形態では、緑色波長領域は、約495nm~約570nmの範囲の波長を含むことができる。
【0039】
[0042] 「青色サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの青色波長領域に一次発光ピーク波長を有する光を放出するピクセルの領域を指すために使用される。いくつかの実施形態では、青色波長領域は、約435nm~約495nmの範囲の波長を含むことができる。
【0040】
[0043] 「サブピクセルの発光面」という用語は、本明細書では、表示装置の表示画面に向けて光が放出されるサブピクセルの最上層の表面を指すために使用される。
【0041】
[0044] 本明細書において参照される公開特許、特許出願、ウェブサイト、企業名、及び科学文献は、参照により組み込まれるように各々が具体的且つ個々に示されているのと同程度まで、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書において引用される任意の言及と本明細書の具体的な教示との間のいかなる矛盾も、後者を優先して解消されるものとする。同様に、単語又は語句の技術的に理解される定義と、本明細書において具体的に教示される単語又は語句の定義との間のいかなる矛盾も、後者を優先して解消されるものとする。
【0042】
[0045] 本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、別段の定義がない限り、本出願が属する当業者により一般的に理解される意味を有する。本明細書では、当業者に既知の種々の方法及び材料について言及する。
【0043】
表示装置の例示的な実施形態
[0046] 図1は、いくつかの実施形態による、光抽出層140を備えたLCD表示装置100の概略分解断面図を図示している。図1の表示装置の図は、説明の目的で示されおり、原寸に比例してない場合がある。LCD表示装置100は、いくつかの実施形態によれば、バックライトユニット(BLU)102とLCDモジュール104とを含むことができる。
【0044】
[0047] BLU102は、光キャビティ112と、光キャビティ112に結合されたLED110のアレイ(例えば、白色LED、青色LED、又はこれらの組み合わせ)とを含むことができる。光キャビティ112は、上部側103と、底部側105と、側壁107と、上部側103と底部側105と側壁107とにより閉じ込められた閉鎖容積とを含むことができる。LED110は、閉鎖容積内で底部側105の上面105aに結合させることができる。LED110は、LCDモジュール104を通して処理し、その後、LCD表示装置100の表示画面130まで透過させ、表示画面130にわたって分散させることができる一次光(例えば、青色光又は白色光)を提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、LED110は、約440nm~約470nmの範囲で発光する青色LEDを含むことができる。いくつかの実施形態では、LED110は、約440nm~約700nmの範囲又は他の可能な光波長範囲で発光する白色LEDを含むことができる。いくつかの実施形態では、LED110のアレイは、上面105aの面積にわたって広がるLEDの2次元アレイを含むことができ、その面積は、表示画面130の表面積に等しいものとすることができる。
【0045】
[0048] 2つの側壁107が図1に示されていても、種々の実施形態によれば、光キャビティ112が任意の数の側壁107を含むことができることに留意すべきである。例えば、光キャビティ112は、直方体形状を有することができ、側壁107と同様の4つの側壁を含むことができる。光キャビティ112は、直方体形状であること又は側面が真っ直ぐな他の形状を有することに限定されるものではない。光キャビティ112は、種々の実施形態によれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、限定されるものではないが、円筒形、台形、球形、又は楕円形などの、任意のタイプの幾何学形状であるように構成することができる。光キャビティ112の矩形断面形状は、図1に図示するように、例示の目的のためのものであり、限定的なものではないことにも留意すべきである。光キャビティ112は、種々の実施形態によれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の断面形状(例えば、台形、長円形、菱形)を有することができる。
【0046】
[0049] 光キャビティ112の上部側103は、LED110からの光が、上部側103の上面103a全体にわたって明るさの実質的に均一な分布で、上部側103を通って光キャビティ112から出ることができるように、光学的に拡散性及び透過性の層であるように構成することができる。いくつかの実施形態では、上部側103は、上部側103から出る光の明るさの実質的に均一な分布をもたらすようにLED110上に戦略的に配設される光学的に透明な領域及び光学的に半透明な領域を含むことができる。別の実施形態では、上部側103は、直径が様々なサイズの細孔と、上部側103から出る光の明るさの実質的に均一な分布をもたらすように戦略的に配設される光学的に半透明な領域とを含むことができる。
【0047】
[0050] 底部側105及び/又は側壁107は、鏡面反射上面105a及び/又は鏡面反射側壁内面107aをそれぞれ有するように構成される1つ又は複数の材料(例えば、金属、非金属、及び/又は合金)から構築することができる。例えば、上面105a及び/又は側壁内面107aは、鏡のような反射特性を有する鏡のような表面とすることができる。いくつかの実施形態では、上面105a及び/又は側壁内面107aは、完全に鏡面反射性又は部分的に鏡面反射性且つ部分的に散乱性とすることができる。いくつかの他の実施形態では、上面105a及び/又は側壁内面107aは、拡散反射体を含む。
【0048】
[0051] 代替実施形態では、光キャビティ112は、側壁内面107aに結合された鏡面反射体109を含むことができる。鏡面反射体109は、光学的に透明な接着剤を使用して側壁内面107aに結合させることができる。光学的に透明な接着剤としては、テープ、種々の糊、シリコーンなどのポリマー組成物などを挙げることができる。追加の光学的に透明な接着剤としては、種々の例によれば、限定されるものではないが、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(酢酸ビニル)、エポキシ、及びウレタンを含む、種々のポリマー;限定されるものではないが、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、フッ素化シリコーン、並びにビニル及び水素化物で置換されたシリコーンを含む、シリコーン及びシリコーン誘導体;限定されるものではないが、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びラウリルメタクリレートを含む、モノマーから形成されたアクリルポリマー及びコポリマー;スチレン系ポリマー;ジビニルベンゼンなどの、二官能性モノマーと架橋されるポリマーを挙げることができる。
【0049】
[0052] 鏡面反射上面105a及び側壁内面107a及び鏡面反射体109は、底部側105及び/又は側壁107を通るLED110からの光の吸収を実質的に最小限に抑え、したがって、光キャビティ112内の輝度の損失を実質的に最小限に抑え、且つBLU102の光出力効率を高めることができる。
【0050】
[0053] 代替実施形態では、BLU102は、光キャビティ112とLCDモジュール104との間に配置された1つ又は複数の輝度向上フィルム(BEF)(図示せず)を更に含むことができる。1つ又は複数のBEFは、反射及び/又は屈折フィルム、反射偏光フィルム、光抽出特徴部、光再利用特徴部、プリズムフィルム、溝フィルム、溝付きプリズムフィルム、プリズム、ピッチ、溝、又は他の好適な輝度向上特徴部を有することができる。BEFの輝度向上特徴部は、一次光(例えば、光キャビティ112からの青色光)の一部を光キャビティ112に向かって戻るように反射し、それにより、一次光の再利用を行うように構成することができる。
【0051】
[0054] LCDモジュール104は、BLU102から受け取った光を、表示画面130まで透過させ且つ表示画面130にわたって分散させるための所望の特性に処理するように構成することができる。いくつかの実施形態では、LCDモジュール104は、第1の偏光フィルタ114及び第2の偏光フィルタ122などの、1つ又は複数の偏光フィルタと、第1の光学的に透明な基板116及び第2の光学的に透明な基板128などの1つ又は複数の光学的に透明な基板と、第1の基板116上に2Dアレイで配設されたスイッチング装置118.1~118.6と、液晶(LC)溶液層120と、2Dアレイで配設されたピクセル124.1~124.2などの複数のピクセルと、ピクセル124.1、124.2と光学的に透明な基板128との間に配置された光抽出層140と、表示画面130とを含むことができる。
【0052】
[0055] いくつかの実施形態では、ピクセル124.1は、サブピクセル126.1~126.3を含むことができ、ピクセル124.2は、サブピクセル126.4~126.6を含むことができる。いくつかの実施形態では、ピクセル124.1~124.2の各々は、例えば、赤色サブピクセル126.1及び126.4と緑色サブピクセル126.2及び126.5と青色サブピクセル126.3及び126.6とをそれぞれ有する三色とすることができる。
【0053】
[0056] それぞれのピクセル124.1~124.2における赤色、緑色、及び青色サブピクセル126.1~126.6の配置順序は、例示的なものであり、限定的なものではない。ピクセル124.1~124.2の各々における赤色、緑色、及び青色サブピクセルは、互いに対して任意の順序で配設することができる。いくつかの実施形態では、ピクセル124.1及び/又は124.2は、赤色、緑色又は青色サブピクセル126.1~126.6を有する単色とすることができる。図1に示すピクセル及びスイッチング装置の数は、例示的なものであり、限定的なものではない。LCDモジュール104は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、任意の数のスイッチング装置及びピクセルを有することができる。
【0054】
[0057] BLU102からの光は、第1の偏光フィルタ114を通して偏光させることができ、偏光した光は、LC溶液層120まで透過させることができる。LC溶液層120は、LC溶液層120からの光透過量を制御するようにシャッタとして働くことができる棒状分子を有するLC132を含むことができる。いくつかの実施形態では、LC132は、3Dアレイで配設することができる。LCの3Dアレイの列134.1~134.6は、それぞれのスイッチング装置118.1~118.6により独立して制御することができる。いくつかの実施形態では、スイッチング装置118.1~118.6は、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)などのトランジスタを含むことができる。LC132を制御することにより、列134.1~134.6からそれぞれのサブピクセル126.1~126.6に移動する光の量を制御することができ、結果として、サブピクセル126.1~126.6から透過する光の量が制御される。
【0055】
[0058] LC132は、それぞれのスイッチング装置118.1~118.6により列134.1~134.6に印加される電圧に応じて様々な程度までツイストさせることができる。LC132のツイストを制御することにより、LC溶液層120を通過する光の偏光角を制御することができる。したがって、LC溶液層120を離れる光は、第1の偏光フィルタ114に対して90度に位置決めできる第2の偏光フィルタ122を通過することができる。LC溶液層120を離れて第2の偏光フィルタ122に入射する光の偏光角により、どの程度多くの光が第2の偏光フィルタ122を通過して偏光フィルタ122から出ることができるかを決定することができる。第2の偏光フィルタ122は、その偏光角に基づいて、光を減衰させるか、光を遮断するか、又は減衰なしに光を通過させることができる。
【0056】
[0059] 次いで、LCの列134.1~134.6を通って進み且つ第2の偏光フィルタ122から出る光の部分は、サブピクセル126.1~126.6のそれぞれに入射することができる。光のこれらの部分は、サブピクセル126.1~126.6のそれぞれを通る色フィルタリングの段階を経て、表示画面130にわたる光の分散のための所望の光学特性を達成することができる。いくつかの実施形態では、サブピクセル126.1~126.6の各々は、サブピクセル126.1~126.6に入射する光の部分をフィルタリングできるNSベースのCC層136を含むことができる。
【0057】
[0060] NSベースのCC層136は、いくつかの実施形態によれば、QD(例えば、図4を参照して説明したQD400)などの発光性ナノ構造を含むことができる。NSベースのCC層136は、ダウンコンバータとすることができ、この場合、サブピクセル126.1~126.6のそれぞれのサブピクセルに入射する光の部分(一次光とも称される)は、例えば、NSベースのCC層136内の発光性ナノ構造により吸収し、一次光よりも低いエネルギー又は長い波長を有する一次光として再放出することができる。
【0058】
[0061] いくつかの実施形態では、赤色サブピクセル126.1及び126.4のNSベースのCC層136は、一次光を吸収して、可視スペクトル光の赤色波長領域に一次発光ピーク波長を有する第1の二次光を放出する発光性ナノ構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、緑色サブピクセル126.2及び126.5のNSベースのCC層136は、一次光を吸収して、可視スペクトル光の緑色波長領域に一次発光ピーク波長を有する第2の二次光を放出する発光性ナノ構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、青色サブピクセル126.3及び126.6のNSベースのCC層136は、一次光を吸収して、可視スペクトル光の青色波長領域に一次発光ピーク波長を有する第3の二次光を放出する発光性ナノ構造を含むことができる。
【0059】
[0062] 代替実施形態では、青色サブピクセル126.3及び126.6は、NSベースのCC層136の代わりに非NSベースの層を有することができる。非NSベースの層は、QDなどの発光性ナノ構造を排除することができ、青色サブピクセル126.3及び126.6に対する青色LED110からの一次光のダウンコンバージョンの必要がないので、BLU102が青色LED110を有する場合に青色光に対して光学的に透過性とすることができる。そのような代替実施形態では、遮光要素138の代わりに、青色サブピクセル126.3及び126.6はまた、青色光に対して光学的に透過性である非NSベースの層を有することができる。
【0060】
[0063] いくつかの実施形態では、NSベースのCC層136は、第2の偏光フィルタ122上又は光学的に透明な基板(図示せず)上に互いに隣接して配置される、セグメント化されたフィルムとすることができる。セグメント化されたNSベースのCC層136は、境界面を通る一次光の漏れを防止するために隣り合うNSベースのCC層136間の境界面にごく僅かな隙間が生じるような態様で配置することができる。代替実施形態では、NSベースのCC層136の各々は、連続したNSベースのCC層の異なる領域とすることができる。
【0061】
[0064] 任意選択的に、サブピクセル126.1~126.6の各々は、いくつかの実施形態によれば、NSベースのCC層136上に配置された遮光要素138を含むことができる。NSベースのCC層136から放出される二次光は、表示画面130に移動する前に、遮光要素138のうちの対応する遮光要素138を通してフィルタリングすることができる。
【0062】
[0065] 遮光要素138は、二次光(例えば、上述した第1、第2及び/又は第3の二次光)を通過させ、NSベースのCC層136により吸収されず二次光にダウンコンバートされない一次光の部分(例えば、青色光)を遮断するように構成することができる。NSベースのCC層136から漏出した可能性のある一次光の望ましくない部分は、それらの吸収及び/又は散乱により遮断することができる。NSベースのCC層136から表示画面130への変換されていない一次光の漏れは、LCD表示装置100の色域範囲に悪影響を及ぼす可能性がある。また、そのような漏れを防止するための遮光要素138の使用は、NSベースのCC層136に含まれる発光性ナノ構造の密度を低減することにより、LCD表示装置100の製造コストを低減するのに役立つことができる。一次光の実質的に全ての部分を吸収するために発光性ナノ構造を使用する代わりに、NSベースのCC層136に吸収されない一次光の部分を、遮光要素138によるフィルタリングにより除去できるので、発光性ナノ構造の密度を低減することができる。
【0063】
[0066] 遮光要素138はまた、LCD表示装置100の所望の色域範囲を達成するために、二次光(例えば、上述した第1、第2及び/又は第3の二次光)のスペクトル発光幅(発光スペクトルの幅とも称される)を調整するように構成することができる。スペクトル発光幅の調整には、明るさの大幅な低下なしに所望の色域範囲を達成するために、二次光からの1つ又は複数の波長をそれらのスペクトル発光幅を狭くするために吸収することが必要となる可能性がある。例えば、遮光要素138のない表示装置と比較して、この調整プロセスにより、10%未満(例えば、約8%、約5%、約3%、又は約1%)の明るさの低下が生じる可能性がある。QDなどの発光性ナノ構造を有するNSベースのCC層136からの二次光は、典型的には、狭いスペクトル発光幅を示すので、調整プロセスは、同様の色域範囲を達成するために非QDベースの表示装置において必要とされる所望の色域範囲を達成するのに広範囲の波長の吸収を必要としないことがある。
【0064】
[0067] 遮光要素138は、1つ又は複数の非蛍光体材料を含むことができる。すなわち、1つ又は複数の非蛍光体材料は、光吸収特性及び/又は光散乱特性を示すが、光学発光特性を示さない。1つ又は複数の非蛍光体材料は、上記で説明した遮断及び調整プロセス中に吸収及び/又は散乱を必要とする1つ若しくは複数の波長又は波長の範囲のみを吸収するための非蛍光体材料の光吸収特性及び/又は散乱させるための非蛍光体材料の散乱特性に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の非蛍光体材料は、同じ吸収特性を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の非蛍光体材料の各々は、互いに異なる吸収特性を含む。
【0065】
[0068] 1つ又は複数の非蛍光体材料は、NSベースのCC層136又はLCD表示装置100の他の任意の層/構造(例えば、光抽出層140)上に安価に配置されて遮光要素138を形成できるように選択することができる。例えば、1つ又は複数の非蛍光体材料は、色素(例えば、狭帯域有機Exciton P491色素)、インク、塗料、ポリマー材料、及び/又は噴霧するか、塗装するか、スピンコーティングするか、印刷するか、若しくは他の任意の好適な低温(例えば100℃未満)堆積方法とすることができる任意の材料とすることができる。印刷は、例えば、プロッタ、インクジェットプリンタ、又はスクリーンプリンタを使用して行うことができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の非蛍光体材料は、NSベースのCC層136又は光抽出層140上に直接配置することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の非蛍光体材料は、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、シリコーン、又はこれらの組み合わせのフィルム又は粒子(例えば、約100nm~約500μmの範囲の直径を有する粒子)を含む散乱材料とすることができる。いくつかの実施形態では、遮光要素138は、1つ又は複数の非蛍光体材料が基板上に配置された基板を含むことができる。
【0066】
[0069] いくつかの実施形態では、遮光要素138は、NSベースのCC層136上又は光抽出層140上に互いに隣接して配置される、セグメント化されたフィルムとすることができる。セグメント化された遮光要素138は、隣り合う遮光要素138間の境界面にごく僅かな隙間が生じるような態様で配置することができる。代替実施形態では、遮光要素138の各々は、NSベースのCC層136又は光抽出層140上に配置された連続フィルムの異なる領域とすることができる。
【0067】
[0070] いくつかの実施形態では、遮光要素138は、図1に示すような別個の構造ではなく、NSベースのCC層136に含めることができる。すなわち、NSベースのCC層136は、遮光要素138と共に、上記で説明したように、発光性ナノ構造を含む複合フィルムとすることができる。色素、インク、塗料、ポリマー材料、散乱材料(例えば、約100nm~約500μmの範囲の直径を有する粒子)、又はこれらの組み合わせなどの、遮光要素138の1つ又は複数の非蛍光体材料は、NSベースのCC層136のマトリックス中に組み込むか又は埋め込むことができる。1つ又は複数の非蛍光体材料は、NSベースのCC層136のマトリックス中に分散させることができるナノ構造材料を含むことができる。これらのナノ構造材料は、光吸収特性及び/又は光散乱特性を示すことができ、光学発光特性を全く示さなくてもよい。いくつかの実施形態では、遮光要素138は、光学的に透明な基板128に含めることができ、この光学的に透明な基板128は、LCDモジュール104及び/又はBLU102の下にある層及び/又は構造に環境的な封止を提供するように構成することもできる。代替実施形態では、遮光要素138は、第2の偏光フィルタ122に含めることができ、この第2の偏光フィルタ122は、基板128とNSベースのCC層136との間に位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、遮光要素138は、例えば、二次光を透過させる一方で一次光(例えば、青色光)を反射できる二色フィルタとすることができる。
【0068】
[0071] いくつかの実施形態では、光抽出層140は、基板128の表面128a上に配置することができる。光抽出層140は、光学的に透明な基板142と、基板142上に配置されたナノ構造特徴部144とを含むことができる。いくつかの実施形態では、光抽出層140は、基板142を含まなくてもよく、表面128a上に直接形成されたナノ構造特徴部144を有することができる。ナノ構造特徴部144は、転写印刷法を使用して基板142又は表面128a上に形成することができる。いくつかの実施形態では、ナノ構造特徴部144は、基板142又は表面128a上に繰り返しパターン、ランダムパターン、又はこれらの組み合わせで配設することができる。いくつかの実施形態では、ナノ構造特徴部144は、基板142又は表面128a上に凹凸面を形成するように配設することができる。凹凸面は、1次元(例えば、帯状)、2次元(例えば、柱状)、及び/又は3次元(例えば、球形)のナノ構造特徴部144のアレイを有するように形成することができる。ナノ構造特徴部144は、任意の3次元幾何学形状(例えば、球形、円錐形、円筒形、直方体状、楕円形、又は台形)を有することができる。X軸に沿ったナノ構造特徴部144の横寸法(例えば、幅)は、約1μm未満とすることができ、又は約10nm~約100nmの範囲(例えば、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、若しくは約60nm)とすることができる。Z軸に沿ったナノ構造特徴部144の縦寸法(例えば、高さ)は、約1μm未満とすることができ、又は約10nm~約100nmの範囲(例えば、約10nm、約20nm、約30nm、約40nm、約50nm、若しくは約60nm)とすることができる。図1のナノ構造特徴部144の配置及び形状は、例示的なものであり、限定的なものではない。
【0069】
[0072] ナノ構造特徴部144を備えた光抽出層140は、任意選択的に遮光要素138がない場合に、基板128と遮光要素138又はNSベースのCC層136との間に不均一な境界面を提供することができる。不均一な境界面は、NSベースのCC層136により生成され及び/又は遮光要素138により放出された光が、それぞれの遮光要素138又はNSベースのCC層136内での放出又は生成された光の全内部反射に起因して、反射されてNSベースのCC層136中に戻されるのを実質的に低減又は防止することができる。結果として、ナノ構造特徴部144を備えた光抽出層140は、光抽出層140のない表示装置と比較して、NSベースのCC層136から抽出されてNSベースの表示装置100から出力される光の量を大幅に増大させることができる。
【0070】
[0073] いくつかの実施形態では、基板142及び/又はナノ構造特徴部144は、NSベースのCC層136と基板128との屈折率整合よりも良好な、NSベースのCC層136との屈折率整合をもたらすために、NSベースのCC層136のマトリックス材料(例えば、図5で説明するマトリックス材料510)と同様の材料を含むことができる。これは、典型的には、NSベースのCC層136のマトリックス材料が基板128よりも高い屈折率を有し、高屈折率材料(例えば、NSベースのCC層136)中の光が、低屈折率材料(例えば、基板128)との境界面に臨界角よりも大きな角度で当たる場合に、光が高屈折率材料から出るのではなく、光を高屈折率材料中に戻すことができるからである。これを全内部反射と称することができる。したがって、より良好な屈折率整合は、それぞれの遮光要素138又はNSベースのCC層136内での放出又は生成された光の全内部反射を実質的に低減又は防止することもできる。
【0071】
[0074] 表示画面130は、画像を生成するように構成することができる。表示画面130は、いくつかの実施形態によれば、タッチスクリーンディスプレイとすることができる。LCD表示装置100は、LCD表示装置100内の隣り合う要素のいずれかの間、例えば、光キャビティ112とLCDモジュール104との間、LC溶液層120の両側、又はLCD表示装置100の任意の他の要素間に配置された1つ又は複数の媒体材料(図示せず)を更に含むことができる。1つ又は複数の媒体材料としては、限定されるものではないが、基板、真空、空気、ガス、光学材料、接着剤、光学接着剤、ガラス、ポリマー、固体、液体、ゲル、硬化材料、光結合材料、屈折率整合材料若しくは屈折率不整合材料、屈折率勾配材料、被覆材料若しくは被覆防止材料、スペーサ、エポキシ、シリカゲル、シリコーン、輝度向上材料、散乱材料若しくは拡散材料、反射材料若しくは反射防止材料、波長選択材料、波長選択反射防止材料、又は他の好適な媒体材料を挙げることができる。好適な材料としては、シリコーン、シリコーンゲル、シリカゲル、エポキシ(例えば、Loctite(商標)エポキシE-30CL)、アクリレート(例えば、3M(商標)接着剤2175)を挙げることができる。1つ又は複数の媒体材料は、硬化性ゲル又は液体として塗布するか、堆積中又は堆積後に硬化させるか、又は堆積前に予備成形し且つ予備硬化させることができる。硬化方法としては、UV硬化、熱硬化、化学硬化、又は当技術分野において既知の他の好適な硬化方法を挙げることができる。屈折率整合媒体材料は、BLU102及びLCDモジュール104の要素間の光学的損失を最小限に抑えるように選択することができる。
【0072】
[0075] LCD表示装置100は、種々の実施形態によれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、限定されるものではないが、円筒形、台形、球形、又は楕円形などの、幾何学形状を有することができる。LCD表示装置100は、直方体形状であること又は側面が真っ直ぐな他の形状を有することに限定されるものではない。LCD表示装置100の矩形断面形状は、例示の目的のためのものであり、限定的なものではないことに留意すべきである。LCD表示装置100は、種々の実施形態によれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の断面形状(例えば、台形、長円形、菱形)を有することができる。光キャビティ112、基板116及び128、偏光フィルタ114及び122、並びに表示画面130は、X軸に沿って同様の寸法を有するように図1に示されているが、当業者であれば、これらの構成要素の各々が、種々の実施形態によれば、1つ又は複数の方向において互いに異なる寸法を有し得ることを理解するであろうことにも留意すべきである。
【0073】
[0076] 図2は、いくつかの実施形態による、光抽出層140を備えた直接照明LCD表示装置200の概略分解断面図を図示している。LCD表示装置200は、BLU202とLCDモジュール104とを含むことができる。図1の要素と同じ注釈を有する図2の要素については、上記で説明されている。
【0074】
[0077] BLU202は、LED210(例えば、青色LED)と、導光板(LGP)212と、反射体208とを含むことができる。BLU202は、LCDモジュール104を通して処理し、その後、表示画面130まで透過させ、表示画面130にわたって分散させることができる一次光(例えば、青色光)を提供するように構成することができる。青色LEDは、約440nm~約470nmの範囲で発光することができる。いくつかの実施形態によれば、青色LEDは、例えば、450nmの波長で青色光を放出するGaNのLEDとすることができる。
【0075】
[0078] LGP212は、いくつかの実施形態によれば、光ファイバケーブル、プレート、フィルム、容器、若しくは他の構造などのポリマー又はガラス固形物を含むことができる。LGP212のサイズは、LED210の最終的な用途及び特性によって決まる可能性がある。LGP212の厚さは、LED210の厚さと適合性のあるものとすることができる。LGP212の他の寸法は、LED210の寸法を超えて延びるように設計でき、数10ミリメートルから数10~数100センチメートル程度とすることができる。
【0076】
[0079] いくつかの実施形態では、LGP212の材料としては、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート、スチレン、アクリルポリマー樹脂、ガラス、又は他の好適なLGP材料を挙げることができる。LGP212の好適な製造方法としては、射出成形、押出成形、又は他の好適な実施形態を挙げることができる。LGP212は、LCDモジュール104に入射する一次光が均一な色及び明るさを有することができるように、均一な一次光放出を提供するように構成することができる。LGP212は、LGP212表面全体にわたって実質的に均一な厚さを含むことができる。代替的に、LGP212は、くさび状の形状を有することができる。いくつかの実施形態では、LGP212を、LED210に光学的に結合することができ、LED210に物理的に接続するか又はLED210から物理的に分離することができる。LGP212をLED210に物理的に接続するために、光学的に透明な接着剤を使用することができる(図示せず)。
【0077】
[0080] いくつかの実施形態では、BLU202は、LEDのアレイ(図示せず)を含むことができ、それらの各々は、構造及び機能においてLED210と同様とすることができる。LEDのアレイは、LGP212に隣接することができ、図1を参照して上述したように、処理のために且つその後の画面130への透過のためにLCDモジュール104に一次光を提供するように構成することができる。
【0078】
[0081] いくつかの実施形態では、反射体208は、LGP212から放出される光の量を増大させるように構成することができる。反射体208は、反射性ミラー、反射体粒子のフィルム、反射金属フィルム、又は他の好適な従来の反射体などの、好適な材料を含むことができる。いくつかの実施形態では、反射体208は、白色フィルムを含むことができる。いくつかの実施形態では、反射体208は、散乱、拡散体、又は輝度向上特徴部などの、追加の機能又は特徴部を含むことができる。
【0079】
表示装置を製造するための例示的な方法
[0082] 図3は、いくつかの実施形態による、表示装置100及び/又は200を製造するための例示的な方法300のフロー図である。ステップは、具体的な用途に応じて異なる順序で実施することも実施しないこともできる。方法300では完全な表示装置が作製されないことがあることに留意すべきである。よって、追加のプロセスを方法300の前、最中、及び後に提供できることと、いくつかの他のプロセスは本明細書では簡潔にのみ説明され得ることを理解されたい。
【0080】
[0083] ステップ305では、1つ又は複数の光源を備えたBLUが形成される。例えば、図1図2を参照して説明したように、BLU102は、光キャビティ112と、光キャビティ112に結合されたLED110のアレイ(例えば、白色LED、青色LED、又はこれらの組み合わせ)とを有するように形成することができ、又はBLU202は、LGP212とLED210(例えば、青色LED)とを有するように形成することができる。
【0081】
[0084] ステップ310では、スイッチング装置、LC溶液層、及び偏光フィルタが、BLU上に配置される。例えば、図1図2を参照して説明したように、2Dアレイで配設されたスイッチング装置118.1~118.6は、BLU102又は202上に配置される、光学的に透明な基板116上に配置することができ、LC溶液層120は、スイッチング装置118.1~118.6上に配置することができ、偏光フィルタ122は、LC溶液層120上に配置することができる。
【0082】
[0085] ステップ315では、光抽出層が、光学的に透明な基板上に形成される。例えば、図1図2を参照して説明したように、基板142とナノ構造特徴部144とを含む光抽出層140は、基板128上に形成することができる。いくつかの実施形態では、光抽出層140のナノ構造特徴部144は、基板128上に直接形成することができる。ナノ構造特徴部144は、転写印刷法を使用して形成することができる。
【0083】
[0086] ステップ320では、遮光要素及び/又はNSベースのCC層が、光抽出層上に形成される。例えば、図1図2を参照して説明したように、遮光要素138は、噴霧、塗装、スピンコーティング、印刷、若しくは他の任意の好適な低温(例えば100℃未満)堆積方法により、光抽出層140上に配置することができる。印刷は、例えば、プロッタ、インクジェットプリンタ、又はスクリーンプリンタを使用して行うことができる。NSベースのCC層136は、好適な堆積方法(例えば、図5のNSフィルムを形成するために説明した方法)により遮光要素138上に配置することができる。いくつかの実施形態では、NSベースのCC層136は、任意選択的に遮光要素138がない場合に、光抽出層140上に直接配置することができる。
【0084】
[0087] ステップ325では、光抽出層140を備えた基板、遮光要素、NSベースのCC層が、偏光フィルタ上に配置される。例えば、図1図2を参照して説明したように、光抽出層140を備えた基板128、遮光要素138、NSベースのCC層136は、NSベースの層136が偏光フィルタ122に面して接触した状態で偏光フィルタ122上に配置することができる。
【0085】
[0088] ステップ330では、表示画面が基板上に配置される。例えば、図1図2を参照して説明したように、表示画面130は、光抽出層140を有する表面128aとは反対側の基板128の表面上に配置することができる。
【0086】
バリア層で被覆されたナノ構造の例示的な実施形態
[0089] 図4は、いくつかの実施形態による、バリア層で被覆された発光性ナノ構造(NS)400の断面構造を図示している。いくつかの実施形態では、NS400の集団は、NSベースのCC層136内に含めることができる。バリア層で被覆されたNS400は、NS401とバリア層406とを含む。NS401は、コア402とシェル404とを含む。コア402は、より高いエネルギーの吸収時に光を放出する半導体材料を含む。コア402用の半導体材料の例としては、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化鉛(PbS)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化インジウムガリウム、(InGaP)、セレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)、及びテルル化カドミウム(CdTe)が挙げられる。直接バンドギャップを示す他の任意のII-VI族、III-V族、第3級、又は第4級の半導体構造も同様に使用することができる。いくつかの実施形態では、コア402はまた、いくつかの例を提供するために、金属、合金などの1つ又は複数のドーパントを含むことができる。金属ドーパントの例としては、限定されるものではないが、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、クロム(Cr)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。コア402内の1つ又は複数のドーパントの存在により、ドープされていないNSと比較して、NS401の構造的及び光学的安定性並びにQYを向上させることができる。
【0087】
[0090] コア402は、いくつかの実施形態によれば、20nm未満のサイズの直径を有することができる。別の実施形態では、コア402は、約1nm~約5nmのサイズの直径を有することができる。コア402のサイズ、結果としてナノメートル範囲のNS401のサイズを調整する能力により、光学スペクトル全体の光電子放出範囲が可能となる。概して、より大きなNSはスペクトルの赤色端部に向かう光を放出し、その一方で、小さなNSはスペクトルの青色端部に向かう光を放出する。この効果は、より大きなNSがより小さなNSよりも密接に離間したエネルギーレベルを有するので生じる。これにより、NSが、より少ないエネルギーを含む光子、すなわちスペクトルの赤色端部により近い光子を吸収することが可能となる。
【0088】
[0091] シェル404は、コア402を取り囲み、コア402の外面上に配置される。シェル404は、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛カドミウム(ZnCdS)、セレン化硫化亜鉛(ZnSeS)、及び硫化亜鉛(ZnS)を含むことができる。いくつかの実施形態では、シェル404は、厚さ404t、例えば、1つ又は複数の単層を有することができる。他の実施形態では、シェル404は、約1nm~約5nmの厚さ404tを有することができる。シェル404は、コア402との格子不整合を低減し且つNS401のQYを向上させるのに役立つように利用することができる。シェル404はまた、NS401のQYを増加させるために、コア402上の、ダングリングボンドなどの、表面トラップ状態の不動態化及び除去にも役立つことができる。表面トラップ状態の存在は、非放射再結合中心を提供し、NS401の発光効率の低下に寄与することができる。
【0089】
[0092] 代替実施形態では、NS401は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、シェル404上に配置された第2のシェル、又はコア402を取り囲む3つ以上のシェルを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のシェルは、2つの単層程度の厚さとすることができ、典型的には、必須ではないが、半導体材料でもある。第2のシェルは、コア402に対する保護を提供することができる。第2のシェル材料は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく他の材料も使用できるが、硫化亜鉛(ZnS)とすることができる。
【0090】
[0093] バリア層406は、NS401上に被覆を形成するように構成される。いくつかの実施形態では、バリア層406は、シェル404の外面404a上に実質的に接触して配置される。1つ又は複数のシェルを有するNS401の実施形態では、バリア層406は、NS401の最外シェル上に実質的に接触して配置することができる。例示的な実施形態では、バリア層406は、例えば、複数のNSを有する溶液、組成物及び/又はフィルムにおいて、NS401と1つ又は複数のNSとの間のスペーサとして働くように構成され、複数のNSは、NS401及び/又はバリア層で被覆されたNS400と同様とすることができる。このようなNS溶液、NS組成物、及び/又はNSフィルムでは、バリア層406は、NS401と隣接するNSとの凝集を防止するのに役立つことができる。NS401と隣接するNSとの凝集により、NS401のサイズが増大し、結果として、NS401を含む凝集NS(図示せず)の光学発光特性が低下又は消失する可能性がある。更なる実施形態では、バリア層406は、例えば、NS401の構造特性及び光学特性に悪影響を及ぼす可能性がある水分、空気、及び/又は過酷な環境(例えば、NSのリソグラフィ処理中、及び/又はNSベースの装置の製造プロセス中に使用される高温及び化学物質)からの保護をNS401に提供する。
【0091】
[0094] バリア層406は、非晶質、光学的に透明、及び/又は電気的に不活性である1つ又は複数の材料を含む。好適なバリア層としては、限定されるものではないが、無機酸化物及び/又は窒化物などの無機材料が挙げられる。バリア層406用の材料の例としては、種々の実施形態によれば、Al、Ba、Ca、Mg、Ni、Si、Ti、又はZrの酸化物及び/又は窒化物が挙げられる。バリア層406は、種々の実施形態では、約8nm~約15nmの範囲の厚さ406tを有することができる。
【0092】
[0095] 図4に図示するように、バリア層で被覆されたNS400は、いくつかの実施形態によれば、複数のリガンド又は界面活性剤408を追加的又は任意選択的に含むことができる。リガンド又は界面活性剤408は、いくつかの実施形態によれば、バリア層406の外面上など、バリア層で被覆されたNS400の外面に吸着又は結合させることができる。複数のリガンド又は界面活性剤408は、親水性又は極性頭部408aと疎水性又は非極性尾部408bとを含むことができる。親水性又は極性頭部408aは、バリア層406に結合させることができる。リガンド又は界面活性剤408の存在は、NSの形成中に、例えば溶液、組成物、及び/又はフィルムにおいてNS400及び/又はNS401を他のNSから分離するのに役立つことができる。NSがそれらの形成中に凝集することがある場合、NS400及び/又はNS401などのNSの量子効率が低下する可能性がある。リガンド又は界面活性剤408は、非極性溶媒における混和性を提供するか又は他の化合物が結合するための反応サイト(例えば、逆ミセル系)を提供する疎水性などの、ある特定の特性をバリア層で被覆されたNS400に付与するために使用することもできる。
【0093】
[0096] リガンド408として使用できる多種多様なリガンドが存在する。いくつかの実施形態では、リガンドは、ラウリン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から選択される脂肪酸である。いくつかの実施形態では、リガンドは、トリオクチルホスフィン酸化物(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、ジフェニルホスフィン(DPP)、トリフェニルホスフィン酸化物及びトリブチルホスフィン酸化物から選択される有機ホスフィン又は有機ホスフィン酸化物である。いくつかの実施形態では、リガンドは、ドデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサデシルアミン、及びオクタデシルアミンから選択されるアミンである。いくつかの実施形態では、リガンドは、トリオクチルホスフィン(TOP)である。いくつかの実施形態では、リガンドは、オレイルアミンである。いくつかの実施形態では、リガンドは、ジフェニルホスフィンである。
【0094】
[0097] 界面活性剤408として使用できる多種多様な界面活性剤が存在する。いくつかの実施形態では、非イオン界面活性剤を界面活性剤408として使用することができる。非イオン界面活性剤のいくつかの例としては、ポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル(商品名IGEPAL CO-520)、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(IGEPAL CO-630)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(IGEPAL CA-630)、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(Brij 93)、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル(Brij 52)、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル(Brij S10)、ポリオキシエチレン(10)イソオクチルシクロヘキシルエーテル(Triton X-100)、及びポリオキシエチレン分岐ノニルシクロヘキシルエーテル(Triton N-101)が挙げられる。
【0095】
[0098] いくつかの実施形態では、陰イオン界面活性剤を界面活性剤408として使用することができる。陰イオン界面活性剤のいくつかの例としては、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、リン酸モノドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びミリスチル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0096】
[0099] いくつかの実施形態では、NS401及び/又は400は、赤色、オレンジ色、及び/又は黄色の範囲などの1つ又は複数の種々の色範囲の光を放出するように合成することができる。いくつかの実施形態では、NS401及び/又は400は、緑色及び/又は黄色の範囲の光を放出するように合成することができる。いくつかの実施形態では、NS401及び/又は400は、青色、藍色、紫色、及び/又は紫外の範囲の光を放出するように合成することができる。いくつかの実施形態では、NS401及び/又は400は、約605nm~約650nm、約510nm~約550nm、又は約300nm~約480nmの一次発光ピーク波長を有するように合成することができる。
【0097】
[0100] NS401及び/又は400は、高いQYを示すように合成することができる。いくつかの実施形態では、NS401及び/又は400は、80%~95%又は85%~90%のQYを示すように合成することができる。
【0098】
[0101] したがって、種々の実施形態によれば、NS400は、NS401上のバリア層406の存在によりNS401の光学発光特性が実質的に変化又は消失しないように合成することができる。
【0099】
ナノ構造フィルムの例示的な実施形態
[0102] 図5は、いくつかの実施形態による、NSフィルム500の断面図を図示している。いくつかの実施形態では、NSベースのCC層136は、NSフィルム500と同様であり得る。
【0100】
[0103] NSフィルム500は、いくつかの実施形態によれば、複数のバリア層で被覆されたコア-シェルNS400(図4)とマトリックス材料510とを含むことができる。NS400は、いくつかの実施形態によれば、マトリックス材料510中に埋め込むか又は他の方法で配置することができる。本明細書で使用される場合、「埋め込まれる」という用語は、NSが、マトリックスの大部分の構成要素を構成するマトリックス材料510内に封入されるか又は包まれることを示すために使用される。いくつかの実施形態では、NS400は、マトリックス材料510全体に均一に分散させることができるが、他の実施形態では、NS400は、用途に特有の均一性分布関数に従って分散させることができることに留意すべきである。NS400が同じサイズの直径を有するように示されていても、NS400がサイズ分布を有し得ることを当業者が理解するであろうことに留意すべきである。
【0101】
[0104] いくつかの実施形態では、NS400は、青色可視波長スペクトル、緑色可視波長スペクトル、又は赤色可視波長スペクトルで発光するサイズを有するNSの均質な集団を含むことができる。他の実施形態では、NS400は、青色可視波長スペクトルで発光するサイズを有するNSの第1の集団と、緑色可視波長スペクトルで発光するサイズを有するNSの第2の集団と、赤色可視波長スペクトルで発光するNSの第3の集団とを含むことができる。
【0102】
[0105] マトリックス材料510は、NS400を収容することが可能な任意の好適なホストマトリックス材料とすることができる。好適なマトリックス材料は、NS400と、NSフィルム500を装置に貼り付ける際に使用される任意の取り囲む包装材料又は層とに化学的及び光学的に適合することができる。好適なマトリックス材料としては、一次光と二次光の両方に対して透明であり、それにより、一次光と二次光の両方がマトリックス材料を透過することを可能にする、無黄変光学材料を挙げることができる。いくつかの実施形態では、マトリックス材料510は、NS400の各々を完全に取り囲むことができる。マトリックス材料510は、可撓性又は成形可能なNSフィルム500が望まれる用途において可撓性とすることができる。代替的に、マトリックス材料510は、高強度の非可撓性材料を含むことができる。
【0103】
[0106] マトリックス材料510は、ポリマー並びに有機酸化物及び無機酸化物を含むことができる。マトリックス材料510で使用される好適なポリマーは、かかる目的で使用できる、当業者に既知の任意のポリマーとすることができる。ポリマーは、実質的に半透明又は実質的に透明とすることができる。マトリックス材料510としては、限定されるものではないが、エポキシ、アクリレート、ノルボルネン、ポリエチレン、ポリ(ビニルブチラール):ポリ(酢酸ビニル)、ポリ尿素、ポリウレタン;限定されるものではないが、アミノシリコーン(AMS)、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、シルセスキオキサン、フッ素化シリコーン、並びにビニル及び水素化物で置換されたシリコーンを含む、シリコーン及びシリコーン誘導体;限定されるものではないが、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びラウリルメタクリレートを含む、モノマーから形成されるアクリルポリマー及びコポリマー;ポリスチレン、アミノポリスチレン(APS)、及びポリ(アクリロニトリルエチレンスチレン)(AES)などのスチレン系ポリマー;ジビニルベンゼンなどの、二官能性モノマーと架橋されるポリマー;リガンド材料の架橋に好適な架橋剤、リガンドアミン(例えば、APS又はPEIリガンドアミン)と結合してエポキシを形成するエポキシドなどを挙げることができる。
【0104】
[0107] いくつかの実施形態では、マトリックス材料510は、NSフィルム500の光変換効率を向上させることができる、TiOマイクロビーズ、ZnSマイクロビーズ、又はガラスマイクロビーズなどの、散乱マイクロビーズを含む。いくつかの実施形態では、マトリックス材料510は、図1図2を参照して上記で説明した遮光要素138などの遮光要素を含むことができる。
【0105】
[0108] 別の実施形態では、マトリックス材料510は、低い酸素透過性及び透湿性を有し、高い光及び化学安定性を示し、好ましい屈折率を示し、且つNS400の外面に付着し、これにより、NS400を保護するための気密封止を提供することができる。別の実施形態では、マトリックス材料510は、ロールツーロール処理を促進するために、UV又は熱硬化法を用いて硬化可能とすることができる。
【0106】
[0109] いくつかの実施形態によれば、NSフィルム500は、NS400をポリマー(例えば、フォトレジスト)中に混合し、NSポリマー混合物を基板上に成形し、NS400をモノマーと混合し、それらを互いに重合させ、NS400をゾルゲル中に混合して酸化物を形成すること、又は当業者に既知の他の任意の方法により形成することができる。
【0107】
[0110] いくつかの実施形態によれば、NSフィルム500の形成は、フィルム押出成形プロセスを含むことができる。フィルム押出成形プロセスは、マトリックス材料510とNS400などのバリア層で被覆されたコア-シェルNSとの均質な混合物を形成することと、均質な混合物を押出成形機内に供給する、上部に取り付けられたホッパ内に導入することとを含むことができる。いくつかの実施形態では、均質な混合物は、ペレットの形態とすることができる。フィルム押出成形プロセスは、スロットダイからNSフィルム500を押出成形することと、押出成形されたNSフィルム500をチルロールに通すこととを更に含むことができる。いくつかの実施形態では、押出成形されたNSフィルム500は、約75μm未満、例えば、約70μm~約40μm、約65μm~約40μm、約60μm~約40μm、又は約50μm~約40μmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、NSフィルム500は、10μm未満の厚さを有する。いくつかの実施形態では、NSフィルム500の形成は、二次プロセスと、その後に続くフィルム押出成形プロセスとを任意選択的に含むことができる。二次プロセスは、NSフィルム500の上面にテクスチャをもたらす、共押出成形、熱成形、真空成形、プラズマ処理、成形、及び/又はエンボス加工などのプロセスを含むことができる。NSフィルム500のテクスチャ加工された上面は、例えば、NSフィルム500の定められた光拡散特性及び/又は定められた角度光学発光特性を向上させるのに役立つことができる。
【0108】
発光性ナノ構造の例示的な実施形態
[0111] 本明細書では、発光性ナノ構造(NS)を有する種々の組成物について説明する。吸収特性、発光特性、及び屈折率特性を含む、発光性ナノ構造の種々の特性は、種々の用途に合わせて調整及び調節することができる。
【0109】
[0112] NSの材料特性は、実質的に均質とすることができ、又はある特定の実施形態では、不均質とすることができる。NSの光学特性は、NSの粒径、化学組成又は表面組成により決定することができる。発光性NSのサイズを約1nm~約15nmの範囲で調整する能力により、光学スペクトル全体の光電子放出範囲が可能となり、演色における多大な汎用性がもたらされる。粒子カプセル化は、化学物質及びUV劣化剤に対する堅牢性を提供することができる。
【0110】
[0113] 本明細書で説明する実施形態で使用される発光性NSは、当業者に既知の任意の方法を使用して作製することができる。好適な方法及び例示的なナノ結晶は、米国特許第7,374,807号、2004年3月10日に出願された米国特許出願第10/796,832号、米国特許第6,949,206号、2004年6月8日に出願された米国仮特許出願第60/578,236号に開示されており、これらの各々の開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
[0114] 本明細書で説明する実施形態で使用される発光性NSは、無機材料、より好適には無機導電性又は半導体材料を含む任意の好適な材料から作製することができる。好適な半導体材料としては、米国特許出願第10/796,832号に開示されたものを挙げることができ、II-VI族、III-V族、IV-VI族及びIV族の半導体を含む、任意のタイプの半導体を挙げることができる。好適な半導体材料としては、限定されるものではないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SuS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al,Ga,In)(S,Se,Te)、AlCO、及び2種以上のこのような半導体の適切な組み合わせを挙げることができる。
【0112】
[0115] ある特定の実施形態では、発光性NSは、p型ドーパント又はn型ドーパントからなる群からのドーパントを有することができる。NSは、II-VI族又はIII-V族の半導体を有することもできる。II-VI族又はIII-V族の半導体NSの例としては、周期表の、Zn、Cd及びHgなどのII族の元素とS、Se、Te及びPoなどのVI族の任意の元素との任意の組み合わせ、並びに周期表の、B、Al、Ga、In及びTlなどのIII族の元素とN、P、As、Sb及びBiなどのV族の任意の元素との任意の組み合わせを挙げることができる。
【0113】
[0116] 本明細書で説明する発光性NSはまた、それらの表面に結合させた、協働させた、関係させた、又は付着させたリガンドを更に含むことができる。好適なリガンドとしては、米国特許第8,283,412号、米国特許出願公開第2008/0237540号、米国特許出願公開第2010/0110728号、米国特許第8,563,133号、米国特許第7,645,397号、米国特許第7,374,807号、米国特許第6,949,206号、米国特許第7,572,393号、及び米国特許第7,267,875号に開示されたものを含む、当業者に既知の任意の群を挙げることができ、これらの各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。そのようなリガンドの使用により、発光性NSの、ポリマーを含む、種々の溶媒及びマトリックス中に混和する能力を高めることができる。種々の溶媒及びマトリックス中の発光性NSの混和性(すなわち、分離せずに混合される能力)を高めることにより、NSが、一緒に凝集せず、それゆえ、光を散乱させないように、発光性NSをポリマー組成物全体に分散させることができる。かかるリガンドは、本明細書では「混和性増強」リガンドとして説明される。
【0114】
[0117] ある特定の実施形態では、マトリックス材料中に分散されるか又は埋め込まれる発光性NSを有する組成物が提供される。好適なマトリックス材料は、ポリマー材料、有機及び無機酸化物を含む、当業者に既知の任意の材料とすることができる。本明細書で説明する組成物は、層、カプセル材料、被覆、シート、又はフィルムとすることができる。層、ポリマー層、マトリックス、シート又はフィルムについて言及がなされる、本明細書で説明される実施形態では、これらの用語が同義で使用され、そのように説明される実施形態は、任意の1つのタイプの組成物に限定されるものではなく、本明細書で説明されるか又は当技術分野において既知である任意のマトリックス材料又は層を包含することが理解されるべきである。
【0115】
[0118] ダウンコンバートするNS(例えば、米国特許第7,374,807号に開示されている)は、特定の波長の光を吸収し、次いで第2の波長で発光するように調整された発光性ナノ構造の発光特性を利用し、それにより、アクティブな光源(例えば、LED)の性能及び効率の向上をもたらす。
【0116】
[0119] 発光性NSを作り出すために当業者に既知の任意の方法を使用できるが、無機ナノ材料蛍光体の制御された成長のための溶液相コロイド法を使用することができる。開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、Alivisatos, A. P., “Semiconductor clusters, nanocrystals, and quantum dots,” Science 271:933 (1996)、X. Peng, M. Schlamp, A. Kadavanich, A.P. Alivisatos, “Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS Core/Shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility,” J. Am. Chem. Soc. 30:7019-7029 (1997)、及びC. B. Murray, D. J. Norris, M. G. Bawendi, “Synthesis and characterization of nearly monodisperse CdE (E=sulfur, selenium, tellurium) semiconductor nanocrystallites,” J Am. Chem. Soc. 115:8706 (1993)を参照されたい。
【0117】
[0120] いくつかの実施形態によれば、CdSeは、この材料の合成の相対成熟度のために、一例では可視光のダウンコンバージョンのためのNS材料として使用することができる。汎用的な界面化学の使用により、非カドミウム含有NSを置換することも可能であり得る。
【0118】
[0121] 半導体NSでは、光誘導発光がNSのバンド端状態から発生する。発光性NSからのバンド端発光は、表面電子状態から生じる放射減衰チャネル及び非放射減衰チャネルと競合する。X. Peng, et al., J Am. Chem. Soc. 30:7019-7029 (1997)。その結果、ダングリングボンドなどの表面欠陥の存在は、非放射再結合中心を提供し、且つ発光効率の低下に寄与する。表面トラップ状態を不動態化及び除去するための効率的且つ永続的な方法は、NSの表面上に無機シェル材料をエピタキシャル成長させることとすることができる。X. Peng, et al., J. Am. Chem. Soc. 30:701 9-7029 (1997)。シェル材料は、電子準位がコア材料に対してI型となるように選択することができる(例えば、電子及び正孔をコアに局在化させる電位ステップを提供するための、より大きなバンドギャップを有する)。その結果、非放射再結合の可能性を低下させることができる。
【0119】
[0122] コア-シェル構造は、シェル材料を含む有機金属前駆体をコアNSを含む反応混合物に加えることにより得ることができる。この場合、核生成事象に続いて成長が起こるのではなく、コアが核として働き、シェルが、それらの表面から成長する。反応温度は、シェル材料のナノ結晶の独立した核生成を阻止しながら、コア表面へのシェル材料モノマーの添加に好都合であるように低く保たれる。反応混合物中の界面活性剤は、シェル材料の制御された成長を促し且つ溶解性を確保するために存在する。2つの材料間に格子不整合が少ない場合に、均一で且つエピタキシャル成長したシェルを得ることができる。
【0120】
[0123] コア-シェル発光性NSを調製するための例示的な材料としては、限定されるものではないが、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイヤモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BA、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTc、BeS、BcSe、BcTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuP、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al,Ga,In)(S,Se,Te)、AlCOを挙げることができ、本発明の実施において使用されるシェル発光性NSとしては、限定されるものではないが、(コア/シェルとして表され)、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、CdTe/ZnS、及び他のものが挙げられる。
【0121】
[0124] 本明細書で説明する実施形態で使用される発光性NSは、約100nm未満から約2nm未満までのサイズとし、本発明では可視光を吸収することができる。本明細書で使用される場合、可視光は、人間の眼に見える約380~約780ナノメートルの波長の電磁放射である。赤、オレンジ色、黄色、緑色、青色、藍色、及び紫色などの、スペクトルの種々の色に可視光を分離することができる。青色光は、約435nm~約495nmの光を含むことができ、緑色光は、約495nm~570nmの光を含むことができ、赤色光は、波長が約620nm~約750nmの光を含むことができる。
【0122】
[0125] 種々の実施形態によれば、発光性NSは、紫外線、近赤外線、及び/又は赤外線スペクトルにある光子を吸収するようなサイズ及び組成を有することができる。紫外線スペクトルは、約100nm~約400nmの光を含むことができ、近赤外線スペクトルは、波長が約750nm~約100μmの光を含むことができ、赤外線スペクトルは、波長が約750nm~約300μmの光を含むことができる。
【0123】
[0126] 本明細書で説明する種々の実施形態では他の好適な材料の発光性NSを使用できるが、ある特定の実施形態では、NSは、本明細書で説明する実施形態で使用されるナノ結晶の集団を形成するために、ZnS、InAs、CdSe、又はこれらの任意の組み合わせとすることができる。上記で述べたように、更なる実施形態では、発光性NSは、CdSe/ZnS、InP/ZnSe、CdSe/CdS又はInP/ZnSなどの、コア/シェルナノ結晶とすることができる。
【0124】
[0127] 好適な発光性ナノ構造、種々の溶解度増強リガンドの添加を含む発光性ナノ構造を調製する方法は、公開された米国特許出願公開第2012/0113672号に見出すことができ、その開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0125】
[0128] ある特定の実施形態が本明細書において例示され説明されているが、特許請求の範囲は、説明され示される部分の具体的な形態又は配置に限定されるべきではないことを理解されたい。本明細書では、例示の実施形態が開示されており、具体的な用語が用いられているが、これらの用語は、限定目的ではなく、一般的且つ説明的な意味でのみ使用されている。実施形態の修正及び変形は上記の教示に照らして可能である。それゆえ、実施形態は、具体的に説明されたもの以外でも実施され得ることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5