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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-11
(45)【発行日】2024-12-19
(54)【発明の名称】保持台、印刷装置、及び印刷装置保持体
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/04 20060101AFI20241212BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20241212BHJP
【FI】
B41J29/04
H05K5/02 B
H05K5/02 V
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020219181
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022104151
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古山 敏行
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄士
(72)【発明者】
【氏名】浅井 翔
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 武彦
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-171875(JP,A)
【文献】特開2020-082647(JP,A)
【文献】特開2016-028879(JP,A)
【文献】特開2005-102372(JP,A)
【文献】特開2016-168795(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0236493(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/04
H05K 5/02
B41J 3/36
B41J 2/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置を着脱可能に装着する装着面と、前記装着面とは反対側の底面とを有する筐体であって、前記装着面に直交する方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向を第2方向としたときに、前記装着面は、前記第2方向の一方側の端部における前記底面からの距離が前記第2方向の他方側の端部における前記底面からの距離よりも大きい傾斜面をなす筐体と、
前記装着面のうち前記第2方向の前記一方側の端部に設けられ、前記印刷装置の第1位置にある第1係合部に係合可能な固定型係合具と、
前記装着面のうち前記第2方向における略中央部に設けられ、前記印刷装置の第2位置にある第2係合部に係合可能な可動型係合具と、
前記装着面に設けられ、前記装着面に装着される前記印刷装置を摺動させて前記第2方向に沿って案内する案内部と、
前記可動型係合具を前記第2係合部に係合する係合位置から当該係合が解除される解除位置へと切替え可能な操作部と、
を備え
略直方体形状を備えた印刷機本体と、表示画面と操作ボタンとを含む操作パネル部であって、前記印刷機本体のうち一方側の端面に配置された操作パネル部と、を備えた前記印刷装置を、略水平な設置面に設置されて装着した状態で、前記操作パネル部が水平面に対し所定角度だけ斜め上方を向く姿勢となるようにすることを特徴とする保持台。
【請求項2】
前記案内部は、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向において前記固定型係合具よりも外側の位置で、かつ前記可動型係合具よりも前記第2方向の前記一方側の位置から当該一方側の端部に延びるように設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の保持台。
【請求項3】
前記案内部は、
前記印刷装置のうち前記装着面に対向する面に設けられた凹部に対して係合可能な凸部、若しくは、前記印刷装置のうち前記装着面に対向する面に設けられた凸部に対して係合可能な凹部、を備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の保持台。
【請求項4】
前記固定型係合具は、先端に略L字型形状に屈曲する屈曲部を有する固定フックであり、
前記可動型係合具は、先端に略L字型形状に屈曲する屈曲部を有する可動フックであり、
前記固定フックの屈曲部と前記可動フックの屈曲部は、前記第2方向において互いに向かい合うように配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の保持台。
【請求項5】
前記底面には、当該筐体の前記第2方向の前記一方側が下方を向く姿勢での被保持を可能とする取付部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の保持台。
【請求項6】
印刷装置であって、
装着面と、前記装着面とは反対側の底面とを有する筐体であって、前記装着面に直交する方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向を第2方向としたときに、前記装着面は、前記第2方向の一方側の端部における前記底面からの距離が前記第2方向の他方側の端部における前記底面からの距離よりも大きい傾斜面をなす筐体と、
前記装着面のうち前記第2方向の前記一方側の端部に設けられ、前記印刷装置の第1位置にある第1係合部に係合可能な固定型係合具と、
前記装着面のうち前記第2方向における略中央部に設けられ、前記印刷装置の第2位置にある第2係合部に係合可能な可動型係合具と、
前記装着面に設けられ、前記装着面に装着される前記印刷装置を摺動させて前記第2方向に沿って案内する案内部と、
前記可動型係合具を前記第2係合部に係合する係合位置から当該係合が解除される解除位置へと切替え可能な操作部と、
を備える保持台の前記装着面に着脱可能に構成され
略直方体形状を備えた印刷機本体と、
表示画面と操作ボタンとを含む操作パネル部であって、前記印刷機本体のうち一方側の端面に配置された操作パネル部と、
を備え、
略水平な設置面に設置された前記保持台に装着された状態で、前記操作パネル部が水平面に対し所定角度だけ斜め上方を向く姿勢となることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
印刷装置と保持台を備えた印刷装置保持体であって、
前記保持台は、
前記印刷装置を着脱可能に装着する装着面と、
前記装着面とは反対側の底面と、
前記装着面に直交する方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向を第2方向としたときに、前記装着面は、前記第2方向の一方側の端部における前記底面からの距離が前記第2方向の他方側の端部における前記底面からの距離よりも大きい傾斜面をなす筐体と、
前記装着面に設けられ、前記印刷装置と係合可能な係合具と、
を備え、
前記印刷装置は、
略直方体形状を備えた印刷機本体と、
表示画面と操作ボタンとを含む操作パネル部であって、前記印刷機本体のうち一方側の端面に配置された操作パネル部と、
を備え、
前記保持台の前記装着面は
略水平な設置面に設置された前記保持台の前記装着面に前記印刷装置を装着した状態で、前記操作パネル部が水平面に対し所定角度だけ斜め上方を向く姿勢となる前記傾斜面となっている
ことを特徴とする印刷装置保持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置を保持するための保持台、印刷装置、及び印刷装置保持体に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置を保持するための保持台が知られており、例えば、特許文献1には、印刷装置を着脱可能に構成された保持台が開示されている。この保持台の印刷装置が装着される基部は、略平板状をなしている。更に、保持台には係合部が設けられ、装着される印刷装置と係合される。これにより、印刷装置を、保持台に保持することができる。また、上記係合が解除されることで、印刷装置を保持台から脱離させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-82647号公報(図1図5等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の保持台では、基部の上面は、略平面状で水平に延びるよう構成されている。この上面に装着される印刷装置においては、操作パネル部(表示画面、操作ボタンなどを含む)が、印刷装置の前面側に設けられる場合が多い。この場合、例えば、略水平な設置面に保持台を設置し、保持台に印刷装置が装着された状態において、操作パネル部がユーザの視界に入り難くなる。このため、ユーザは、表示画面を見難く、操作ボタンを操作し難いという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、印刷装置が保持台に装着された状態において、印刷装置の表示画面が見やすく、操作ボタンを操作しやすくなる保持台、印刷装置、及び印刷装置保持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の保持台は、印刷装置を着脱可能に装着する装着面と、前記装着面とは反対側の底面とを有する筐体であって、前記装着面に直交する方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向を第2方向としたときに、前記装着面は、前記第2方向の一方側の端部における前記底面からの距離が前記第2方向の他方側の端部における前記筐体の底面からの距離よりも大きい傾斜面をなす筐体と、前記装着面のうち前記第2方向の前記一方側の端部に設けられ、前記印刷装置の第1位置にある第1係合部に係合可能な固定型係合具と、前記装着面のうち前記第2方向における略中央部に設けられ、前記印刷装置の第2位置にある第2係合部に係合可能な可動型係合具と、前記装着面に設けられ、前記装着面に装着される前記印刷装置を摺動させて前記第2方向に沿って案内する案内部と、前記可動型係合具を前記第2係合部に係合する係合位置から当該係合が解除される解除位置へと切替え可能な操作部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本願発明の保持台においては、筐体は、印刷装置が装着される装着面と底面とを有する。装着面の第2方向の一方側の端部に固定型係合具が設けられ、装着面の第2方向の略中央部に可動型係合具が設けられる。印刷装置が装着面に装着される場合、固定型係合具および可動型係合具は、印刷装置の第1係合部および第2係合部にそれぞれ係合する。第1係合部による係合と、第2係合部による係合とにより、印刷装置を、安定的に保持台に保持できる。
【0008】
保持された印刷装置を取り外す際には、操作部を介し可動型係合具を動作させる。操作部が操作されると、可動型係合具が、係合位置から解除位置へと切り替えられることで、第2係合部による係合が解除される。この係合の解除により、印刷装置を、容易に保持台から取り外すことができる。
【0009】
装着面は、傾斜面として構成されている。印刷装置を装着する際には、装着面に設けられた案内部による案内が行われる。案内部は、上記のように傾斜した装着面に装着される印刷装置を、第2方向に沿って摺動させて案内する。これにより、ユーザは、印刷装置を円滑に装着することができる。
【0010】
装着面は、第2方向の一方側の端部における底面からの距離が、第2方向の他方側の端部における底面からの距離よりも大きい傾斜面をなしている。これにより、例えば、略水平な設置面に保持台を設置したとき、装着面のうち第2方向の一方側の端部は、第2方向の他方側の端部よりも高くなる。このような装着面に印刷装置を装着することにより、第2方向の一方側が高くなるように傾斜した態様で、印刷装置を保持できる。即ち、印刷装置に設けられる操作パネル部が、保持台の第2方向の一方側を向く姿勢で装着された場合、設置面からの操作パネル部の位置を高くできる。これにより、ユーザは、操作パネル部に備えられた表示画面を見やすくなり、操作パネル部に備えられた操作ボタンを操作しやすくなる。
【0011】
以上の構成により、本願発明によれば、印刷装置が保持台に装着された状態において、印刷装置の表示画面を見やすくでき、操作ボタンを操作しやすくできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷装置が保持台に装着された状態において、印刷装置の表示画面を見やすくでき、操作ボタンを操作しやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】印刷装置及び保持台の斜視図である。
図2】印刷装置を上方から見た斜視図である。
図3】印刷装置を下方から見た斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による保持台を上方から見た斜視図である。
図5】保持台の平面図である。
図6】保持台を右側から見た側面図である。
図7】可動型の係合具が解除位置にある状態における保持台を右側から見た側面図である。
図8】保持台を下方から見た斜視図である。
図9】保持台の筐体が水平な設置面に設置される場合における、印刷装置が装着された状態の印刷装置及び保持台を右側から見た側面図である。
図10】保持台の筐体70が壁掛け態様で使用される場合における、印刷装置が装着された状態の印刷装置及び保持台を右側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、印刷装置1は、保持台7に着脱可能に装着される。保持台7の詳細は後述する。印刷装置1は、バッテリー5(図3参照)による駆動が可能なモバイル型の感熱プリンタである。印刷装置1は、有線又は無線通信により外部端末(図示略)に接続可能である。印刷装置1は、外部端末から受信した印刷データに基づいて内部のサーマルヘッド(図示略)を発熱させることによって、感熱ラベルに文字、図形等のキャラクタを印刷できる。外部端末は汎用のパーソナルコンピュータ(PC)である。印刷装置1は、例えばベルトクリップ(図示略)を介して腰ベルトに装着されたり、肩掛けベルト(図示略)により肩に掛けられたりすることによって、ユーザに携帯されて使用される。保持台7は、印刷装置1を保持することが可能な据え置き型の台である。保持台7は、バッテリー5が装着された印刷装置1が保持された場合、バッテリー5を充電することが可能な充電台としても機能する。又、印刷装置1は、保持台7に保持された状態においても、ユーザによる操作により、印刷動作を実行できるようになっている。なお、以下の説明において、上下方向、前後方向、左右方向は、各図に示すように、ユーザから見た上下方向、手前奥手方向、左右方向に相当する。
【0016】
<印刷装置>
図2図3に示すように、印刷装置1は、略直方体形状をなす印刷機本体10を有する。印刷機本体10の前面10Fのうち左右両端部を除く部分に、ユーザインタフェース11(操作パネル部に相当する)が設けられる。ユーザインタフェース11は、LCD12A(表示画面に相当する)及び複数の操作ボタン12Bを含む。ユーザによるLCD12Aの視認、操作ボタン12Bの操作等に基づき、印刷動作が実行される。図2に示すように、印刷機本体10の前端であって、前面10Fのうちユーザインタフェース11に対して下側の位置に、第1係合部13L、13Rが左右方向に隔離して配列される。第1係合部13L、13Rを総称して「第1係合部13」という。第1係合部13は、後側に向けて凹んだ凹部である。第1係合部13の開口部は矩形状である。第1係合部13が設けられる位置を第1位置と称する。
【0017】
印刷機本体10の下面10Bは、後述する保持台7の装着面70Uに対向する面である。図3に示すように、下面10Bにおいて、第1係合部13Lよりも外側の左端に、凹部14Lが設けられる。凹部14Lは、下面10Bの左端に沿って下面10Bから上側に向けて凹んだ凹部であり、下面10Bの前端から後側に延びる。また、第1係合部13Rよりも外側の右端に、凹部14Rが設けられる。凹部14Rは、下面10Bの右端に沿って下面10Bから上側に向けて凹んだ凹部であり、下面10Bの前端から後側に延びる。凹部14L、14Rを総称して「凹部14」という。
【0018】
図2に示すように、印刷機本体10の上面10Uに、印刷済みの感熱ラベルが排出される排出口15が設けられる。
【0019】
図3に示すように、印刷機本体10の下面10Bに収容部16が設けられる。収容部16は、上側に凹んだ凹部である。収容部16には、バッテリー5を収容可能である。図3は、収容部16にバッテリー5が収容された状態を示す。バッテリー5は略直方体状であり、収容部16の内部形状と略同一である。収容部16にバッテリー5が収容された状態で、印刷機本体10の下面10Bとバッテリー5の下面とのそれぞれの上下方向の位置は一致する。このため、印刷機本体10の下面10Bとバッテリー5の下面とは、同一高さの平面になっている。
【0020】
収容部16にバッテリー5が収容された状態で、バッテリー5及び収容部16のそれぞれに設けられた端子(図示略)が接触する。バッテリー5は、接触したそれぞれの端子を介して、印刷装置1に直流電源を供給する。印刷装置1は、バッテリー5から供給される直流電源により駆動して印刷動作を実行する。又、バッテリー5が装着された印刷装置1が保持台7(図1参照)に保持された場合、バッテリー5は、保持台7から供給される電源により充電可能である。
【0021】
図3に示すように、下面10Bのうち収容部16に対して後側に形成された凹部170の内部に、装置側端子17が設けられる。装置側端子17は、左右方向に配列された複数の電極を含む。図3において、凹部170は蓋17Aにより閉塞されている。蓋17Aが取り外された場合、装置側端子17は露出する。印刷装置1は 、蓋17Aが取り外された状態で、保持台7に保持される。
【0022】
下面10Bのうち装置側端子17に対して左側の位置に、第2係合部18Lが設けられる。下面10Bのうち装置側端子17に対して右側の位置に、第2係合部18Rが設けられる。第2係合部18L、18Rを総称して、「第2係合部18」という。第2係合部18は、上側に凹んだ凹部である。第2係合部18の開口部は矩形状である。第2係合部18が設けられる位置を第2位置と称する。
【0023】
<保持台>
図4図5、および、図6に示すように、保持台7は、全体として略箱形状の筐体70を有している。筐体70の上側には、印刷装置1を装着する装着面70Uが設けられる。装着面70Uは、平面視略長方形状を有し、底面70Lに対し所定角度をもって傾斜している。又、筐体70においては、第1方向、第2方向、および、第3方向がそれぞれ規定される。第1方向は、傾斜している装着面70Uに直交する方向である。第2方向は、装着面70Uに沿った方向であり、第1方向に直交する。第3方向は、第1方向及び第2方向の両方と直交する方向であり、図中の左右方向に相当する。
【0024】
装着面70Uは、図6に示すように、第2方向の前斜め上側の端部における筐体70の底面70Lから装着面70Uまでの距離DFは、第2方向の後斜め下側の端部における筐体70の底面70Lから装着面70Uまでの距離DSよりも大きい。即ち、装着面70Uは、前方ほど上方に傾斜する傾斜面である。
【0025】
図4に示すように、装着面70Uのうち第2方向の前斜め上側端に、固定型の係合具71L、71Rが左右方向に隔離して配列される。係合具71L、71Rを総称して「係合具71」という。係合具71は、装着面70Uから第1方向に沿って後斜め上側に突出する。図6に示すように、係合具71は、側面視でL字型形状をなす固定フックである。係合具71の上面は、装着面70Uに対して傾斜し、後斜め上側を向く。係合具71の先端には、第2方向に沿って後斜め下側に屈曲する屈曲部711が設けられる。屈曲部711が、印刷装置1における第1係合部13の開口より進入することで、係合具71は、第1係合部13に係合可能となっている。
【0026】
図5に示すように、装着面70Uのうち第2方向における略中央部であって、第2方向における係合具71の後斜め下側に、矩形状の穴70Hが設けられる。図4に示すように、係合具71Lの後斜め下側の穴70Hにおいて、第1方向に沿って、前斜め下側から後斜め上側に向けて可動型の係合具72Lが延びる。係合具71Rの後斜め下側の穴70Hにおいて、第1方向に沿って、前斜め下側から後斜め上側に向けて可動型の係合具72Rが延びる。係合具72L、72Rは、左右方向に離隔して配列される。係合具72L、72Rを総称して「係合具72」という。係合具72は略四角柱状を有する。
【0027】
係合具72は、装着面70Uから第1方向に沿って後斜め上側に突出する。図6に示すように、係合具72は、側面視でL字型形状をなす可動フックである。係合具72の上面は、装着面70Uに対して傾斜し、前斜め上側を向く。係合具72の先端には、第2方向に沿って前斜め上側に屈曲する屈曲部721が設けられる。屈曲部721が、印刷装置1における第2係合部18の開口より進入することで、係合具72は、第2係合部18に係合可能となっている。固定フックである係合具71の先端の屈曲部711と、可動フックである係合具72の先端の屈曲部721とが、第2方向において互いに向かい合うように配置されている。
【0028】
係合具72の下端部は、筐体70内で、第2方向に移動可能に支持される。即ち、係合具72は、第2方向に沿って筐体70に対し相対移動可能である。係合具72は、図6に示す位置である「係合位置」と、図7に示す位置である「解除位置」とに亙って位置が切り替わる。係合具72は、筐体70内に設けられた非図示のバネにより、解除位置から係合位置に向けて付勢される。
【0029】
図4図5に示すように、装着面70Uのうち係合具72L、72Rがそれぞれ通過する穴70Hの間の部分に、台側端子73が設けられる。台側端子73は複数の電極を有する。複数の電極には、ACアダプターのジャックがソケット701(図6図7参照)に接続された状態で、電圧Vが印加される。壁部73Aは板状を有し、装着面70Uのうち台側端子73を囲む位置から後斜め上側に向けて延びる。壁部73Aの前端部の一部は欠落しており、開口部が形成される。
【0030】
筐体70の後面70Sにレバー74(操作部に相当する)が設けられる。レバー74は、筐体70内に設けられた第3方向(左右方向)に延びる支持軸(図示略)により、後端部が上方に移動可能に支持される。レバー74は、筐体70内に設けられたリンク部材(図示略)を介して係合具72の下端部に連結する。図7に示すように、レバー74の後端部が上方に移動するよう操作された場合、リンク部材の作動を介して、係合具72の下端部が第2方向の後斜め下側に移動する。即ち、係合具72は、筐体70内のバネの付勢力に抗して係合位置から解除位置に向けて移動する。このように、レバー74は、可動型の係合具72を第2係合部18に係合する係合位置から、当該係合が解除される解除位置へと切替え可能である。
【0031】
図4図5に示すように、装着面70Uのうち第3方向において、係合具71Lよりも左側の位置に案内部75Lが設けられる。案内部75Lは、略直方体形状の凸部751Lを備えている。案内部75Lの一角は、装着面70Uの左前側の角に重なり、案内部75Lの長辺は、装着面70Uの左端に重なる。案内部75Lは、係合具72Lよりも第2方向における前斜め上側から、第2方向に沿って前斜め上側に向けて、装着面70Uの前端まで延びる。装着面70Uのうち第3方向において、係合具71Rよりも右側の位置に案内部75Rが設けられる。案内部75Rは、略直方体形状の凸部751Rを備えている。案内部75Rの一角は、装着面70Uの右前側の角に重なり、案内部75Rの長辺は、装着面70Uの右端に重なる。案内部75Rは、係合具72Rよりも第2方向における前斜め上側から、第2方向に沿って前斜め上側に向けて、装着面70Uの前端まで延びる。案内部75L、75Rを、総称して「案内部75」という。凸部751L、751Rを総称して「凸部751」という。図6に示すように、凸部751は、装着面70Uから第1方向に沿って後斜め上側に突出する。凸部751は、印刷機本体10の凹部14に対して係合可能となっている。案内部75は、印刷装置1が装着面70Uに装着される際、印刷装置1を摺動させて第2方向に沿って案内する。
【0032】
図8に示すように、筐体70のうち、第1方向の前斜め下側の面である底面70Lに、円形状の孔70P(取付部に相当する)が設けられる。筐体70を壁掛け態様で使用する際、底面70Lが壁面と対向するよう、孔70Pを介して筐体70が壁掛けされる。これにより、筐体70の前面70Fが、下方を向く姿勢で保持される(図10参照)。
【0033】
<保持台に対する印刷装置の保持方法>
蓋17A(図3参照)が取り外されて装置側端子17が露出した状態の印刷装置1が、保持台7(図4参照)に対して上側に配置される。保持台7に対して印刷装置1が前斜め下側に移動することに応じ、保持台7に印刷装置1が近接する。印刷装置1の凹部14の前端が、保持台7の凸部751に接触し、次いで、印刷装置1が、装着面70Uにて摺動しながら、前斜め上側に移動する。このとき、凹部14が凸部751に係合されて、案内部75は、印刷装置1を摺動させて第2方向に沿って案内する。図1に示すように、印刷装置1の第1係合部13に、保持台7の係合具71の屈曲部711が前側から進入する。これによって、印刷装置1の第1係合部13に保持台7の係合具71が係合し、印刷装置1の前端部が保持台7に保持される。
【0034】
次に、印刷装置1の後端部に対して下向きに力が加えられる。印刷装置1の後端部は保持台7に近接する。保持台7の係合具72(図4図6参照)の上面に、印刷装置1の第2係合部18(図3参照)の開口端が接触する。係合具72の上面は傾斜しているので、第2係合部18の開口端から係合具72の上端部に対して、後向きの力が作用する。係合具72は第2方向の後斜め下側に移動し、筐体70内のバネの付勢力に抗して係合位置から解除位置まで移動する(図7参照)。印刷装置1の後端部が保持台7に更に近接することによって、保持台7の係合具72の屈曲部721は、印刷装置1の第2係合部18内に進入する。係合具72に対して後ろ向きの力は作用しなくなる。係合具72は、筐体70内のバネの付勢力により解除位置から係合位置まで移動する(図6参照)。これによって、印刷装置1の第2係合部18に保持台7の係合具72が係合し、印刷装置1の後端部が保持台7に保持される。以上により、印刷装置1は、筐体70の装着面70Uに装着される(図1参照)。
【0035】
印刷装置1が装着面70Uに装着されると、バッテリー5は、印刷装置1の装置側端子17を介して保持台7の台側端子73と電気的に接続する。なお、保持台7のソケット701にACアダプターのジャックが接続された状態で、バッテリー5の充電が可能な電圧Vが台側端子73の電極に印加されている。このため、印刷装置1に装着されたバッテリー5に、台側端子73及び装置側端子17を介して電圧Vが印加される。このため、バッテリー5は充電される。
【0036】
装着面70Uは、水平面に対し所定角度をもって傾斜している。図9に示すように、保持台7が略水平な設置面に設置される場合、即ち、筐体70の底面70Lが略水平な設置面に設置される場合、印刷装置1が保持台7に装着された状態で、前面10Fのユーザインタフェース11が水平面に対し所定角度だけ斜め上方を向く姿勢となる。又、図10に示すように、孔70Pを介して筐体70を壁掛け態様で使用する場合、即ち、筐体70の底面70Lが壁面(例えば、上記略水平な設置面に対し略垂直な面)に対向して設置される場合、印刷装置1が保持台7に装着された状態で、前面10Fのユーザインタフェース11が壁面に対し所定角度だけ斜め前方を向く姿勢となる。印刷装置1が保持台7に保持された状態で、ユーザによるLCD12Aの視認、操作ボタン12Bの操作、及び、バッテリー5の駆動により、印刷動作を実行できる。
【0037】
<保持台からの印刷装置の脱離方法>
保持台7に印刷装置1が保持された状態でレバー74が操作された場合、保持台7の係合具72は、係合位置から解除位置まで移動する(図7参照)。これによって、印刷装置1の第2係合部18に対して保持台7の係合具72が係合した状態は解除される。次に、印刷装置1の後端部に対して上向きに力が加えられる。保持台7の係合具72は、印刷装置1の第2係合部18から脱離し、印刷装置1の後端部は上側に移動する。次に、印刷装置1は後斜め上方向に移動される。これによって、印刷装置1の第1係合部13に対して保持台7の係合具71が係合した状態は解除される。あわせて、印刷装置1の凹部14に対して保持台7の凸部751が係合した状態も解除される。以上により、保持台7から印刷装置1が脱離される。
【0038】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の保持台7においては、筐体70のうち第1方向の後斜め上側に、装着面70Uが設けられている。装着面70Uには印刷装置1が装着される。装着面70Uの第2方向の前斜め上側の端部に固定型の係合具71が設けられ、装着面70Uの第2方向の略中央部に可動型の係合具72が設けられる。装着時において、係合具71および係合具72は、印刷装置1の第1係合部13および第2係合部18にそれぞれ係合する。第1係合部13による係合と、第2係合部18による係合とにより、印刷装置1を、安定的に保持台7に保持できる。
【0039】
保持された印刷装置1を取り外す際には、レバー74を介し係合具72を動作させる。レバー74が操作されると、係合具72が、係合位置から解除位置へと切り替えられることで、第2係合部18による係合が解除される。この係合の解除により、印刷装置1を、容易に保持台7から取り外すことができる。
【0040】
装着面70Uは、傾斜面として構成されている。印刷装置1を装着する際には、装着面70Uに設けられた案内部75による案内が行われる。案内部75は、上記のように傾斜した装着面70Uに装着される印刷装置1を、第2方向に沿って摺動させて案内する。これにより、ユーザは、印刷装置1を円滑に装着することができる。
【0041】
装着面70Uでは、第2方向の前斜め上側における筐体70の底面70Lからの距離DFが、第2方向の後斜め下側における筐体70の底面70Lからの距離DSよりも大きくなっている。これにより、例えば、略水平な設置面に保持台7を設置したとき、装着面70Uのうち第2方向の前斜め上側の端部は、第2方向の後斜め下側の端部よりも高くなる。よって、保持台7は、装着面70Uに印刷装置1を装着することにより、第2方向の前斜め上側が高くなるように傾斜した態様で、印刷装置1を保持できる。これにより、印刷装置1のユーザインタフェース11の位置が高くなるので、ユーザは、ユーザインタフェース11に備えられたLCD12Aを見やすくなり、ユーザインタフェース11に備えられた操作ボタン12Bを操作しやすくなる。
【0042】
以上の構成により、本願発明によれば、印刷装置1のLCD12Aを見やすくでき、操作ボタン12Bを操作しやすくできる。
【0043】
また、本実施形態では特に、印刷装置1のうち装着面70Uへの対向面である下面10Bには凹部14が設けられ、案内部75は、その凹部14に係合する凸部751を備える。これにより、印刷装置1が装着面70Uに装着される際、保持台7との凹凸係合により円滑に印刷装置1の案内を行うことができる。
【0044】
また、本実施形態では特に、固定型の係合具71として固定フックが用いられ、可動型の係合具72として可動フックが用いられる。固定フック及び可動フックはともに側面視でL字型形状を備えている。固定フック及び可動フックは、先端の屈曲部711、721同士が互いに第2方向において向かい合うように配置される。これによれば、固定型及び可動型の係合具71、72として共にフックが用いられ、それらフックの先端が互いに向かい合っている。これにより、装着された印刷装置1を安定的かつ堅固に保持することができる。
【0045】
また、本実施形態では特に、図10に示すように、保持台7を、筐体70の前面70Fが下向きとなる姿勢、いわゆる壁掛け態様で使用することができる。保持台7においては、筐体70の底面70Lに孔70Pが設けられている。孔70Pにより、筐体70は、前面70Fが下方を向く姿勢で保持される。前述した装着面70Uの構造により、壁掛け態様で使用される際は、装着面70Uのうち第2方向前斜め下側の部位(すなわち下方側の部位)は、第2方向後斜め上側の部位(すなわち上方側の部位)よりも手前側に位置することとなる。即ち、壁掛け態様での使用時において、印刷装置1のユーザインタフェース11は、ユーザに近い手前側の位置となる。これにより、ユーザは、壁掛け態様の使用時においても、ユーザインタフェース11に備えられたLCD12Aが見やすくなり、ユーザインタフェース11に備えられた操作ボタン12Bを操作しやすくなる。
【0046】
また、本実施形態では特に、印刷装置1が、印刷機本体10と、ユーザインタフェース11とを備えている。ユーザインタフェース11には、LCD12Aと操作ボタン12Bとが備えられている。図9に示すように、略水平な設置面に対し保持台7を設置することで、装着面70Uのうち第2方向前斜め上側の端部は第2方向後斜め下側の端部よりも高くなる。このように傾斜した装着面70Uに印刷装置1が装着されることで、ユーザインタフェース11の姿勢は水平面に対し所定角度だけ斜め上方を向くこととなる。この結果、ユーザは、LCD12Aが見やすくなり、操作ボタン12Bを操作しやすくなる。
【0047】
<変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。上記実施形態において、印刷装置1のうち装着面70Uへの対向面に凹部14が設けられ、保持台7の案内部75は、その凹部14に係合する凸部751を備える。これに代えて、印刷装置1のうち装着面70Uへの対向面に凸部が設けられ、保持台7の案内部75は、その凸部に係合する凹部を備えてもよい。これによっても、印刷装置1が装着面70Uに装着される際、保持台7との凹凸係合により円滑に印刷装置1の案内を行うことができる。
【0048】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0049】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0050】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0051】
1 印刷装置
10 印刷機本体
11 ユーザインタフェース
12A LCD
12B 操作ボタン
13、13L、13R 第1係合部
14、14L、14R 凹部
18、18L、18R 第2係合部
7 保持台
70 筐体
70F 前面
70L 底面
70P 孔
70U 装着面
71、71L、71R 係合具
711 屈曲部
72、72L、72R 係合具
721 屈曲部
74 レバー
75、75L、75R 案内部
751 凸部
DF、DS 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10